令和4年度第1回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医療機器・再生医療等製品安全対策部会安全対策調査会議事録

日時

令和4年5月10日(火) 18:00~

場所

厚生労働省 仮設第一会議室(オンライン会議場)

議事

○安全対策課長 それでは、定刻となりましたので「令和4年度第1回医療機器・再生医療等製品安全対策部会安全対策調査会」を開会いたします。
本日御出席の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
今回の会議の公開については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、今回もウェブ開催としており、対面での進行と一部異なる部分がございます。議事に先立ちまして、審議の進行方法等について事務局より説明させていただきます。
○安全使用推進室長 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
御意見・御質問をいただくときは、ミュートを解除し、初めに御自身のお名前をお知らせいただいた上で御発言ください。
御発言のタイミングが重なったり、音声のみでの判別が難しいほど混雑したりした場合は、一度発言を控えていただき、調査会長から順に発言者を御指名いただきます。
その他、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。
もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合は、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
御不便をおかけするかもしれませんが、何とぞ御理解、御協力のほどお願い申し上げます。
事務局からは以上です。
それでは、ここからの議事進行につきましては、調査会長の荒井委員にお願いいたします。
○荒井調査会長 荒井です。よろしくお願いいたします。できるだけに円滑に議事を進めさせていただきたいと思っております。
今回は、今お話がありましたように、オンライン開催ですので、事務局から説明がありましたとおりの形で進めたいと思いますけれども、ここまでの事務局からの説明につきまして、何か御質問・御意見等ありますか。よろしいですか。
ありがとうございます。それでは、まず、議事に入る前に、委員の出欠状況等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○安全使用推進室長 本日の委員の出欠状況ですが、5名中5名の委員に御出席いただいております。薬事・食品衛生審議会の規程により、本日の調査会は成立することを御報告申し上げます。
続きまして、参考人の先生を紹介いたします。議題1「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」の関係で、愛知県医療療育総合センター中央病院リハビリテーション室長の門野泉先生。
びわこ学園医療福祉センター草津施設長の口分田政夫先生。
名古屋大学医学部附属病院副病院長、患者安全推進部教授、長尾能雅先生。
一般社団法人日本臨床栄養代謝学会臨床研究委員会委員長、田無病院院長、丸山道生先生に御出席いただいております。
以上でございます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
続きまして、調査会参加に関する遵守事項につきまして説明をお願いします。
○安全使用推進室長 本日御出席の委員及び参考人の方々につきまして、議題1の影響企業とされた製造販売業者からの過去3年度における寄附金・契約金の受け取り状況を御報告いたします。
影響企業については、事前にリストを各委員・参考人にお送りして確認をいただいておりますが、荒井委員より、カーディナルヘルス株式会社より50万円以下のお受け取り、長尾参考人より、カーディナルヘルス株式会社より50万円以下のお受け取りと御申告をいただいております。
本議題につきましては、薬事分科会審議規程第18条において、申告対象期間中の受取額を自己申告し、申告書を厚生労働省ホームページにて公表することで、全ての委員・参考人は意見陳述等に加わることができるとされておりますので、追ってホームページで公表させていただきます。
続きまして、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。
薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。
今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので報告させていただきます。
報告は以上でございます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。今説明していただきました調査会参加に関する遵守事項につきましてはよろしいでしょうか。
特に御意見ないようですので、影響企業の妥当性も含めて御了解いただけたものとさせていただきます。
それでは、事務局から、次に本日の資料の確認をお願いいたします。
○安全使用推進室長 それでは、本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。
あらかじめ資料をお送りさせていただいておりますが、議題1に関して資料1-1~1-3及び参考資料1~6をお手元に御用意いただけておりますでしょうか。
このほか、議事次第・資料一覧、委員・参考人一覧及び影響企業リストをあらかじめお送りしております。お手元に御用意のない委員がいらっしゃいましたら、お知らせください。
なお、資料は厚生労働省ホームページにも掲載しておりますので、オンラインで傍聴されている方は、そちらを御参照ください。
○荒井調査会長 資料につきましてもよろしいですか。
それでは、議題に進ませていただきます。議題1「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」を始めさせていただきます。まず、事務局から概要について説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。概要につきまして資料1―1「経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて」をお手元に御用意ください。
まず、背景については、前回の安全対策調査会で御説明した内容と大部分が重複いたしますので簡単な御説明となりますが、経腸栄養分野の小口径コネクタ製品については、旧規格製品の出荷が一度、2020年11月末までと通知しておりましたが、日本重症心身障害学会などからの要望を踏まえ、旧規格製品の出荷期限を1年延長した上で、新規格製品の切替えに関する課題と対応策の整理を行う方針としておりました。
1ページの最後の箇条書きが、前回調査会以降の情報となります。新規格品製品への切替えに関する課題の整理と対応策の検討については、厚生労働科学特別研究事業として、本日参考人として御出席いただいております長尾先生方を初めとする研究班の皆様に御議論いただきまして、今般、検討結果を御提示いただいたものとなります。
2では、研究班の検討結果、提言の概要を記載しております。
提言については、研究班の皆様がいらっしゃっておりますので、事務局からは簡単な御説明とさせていただきますが、新規格製品への切替えの促進が基本である。ただ、新規格製品の使用に当たっては、ねじり動作等に関して工夫した使い方の周知が必要であるとの課題を御指摘いただいておりまして、そのため、長期的には安全性向上と利便性の両立が可能な新しい製品の開発などが望まれる。ただ、そのような製品が開発されるまでの短期的な当面の間の対策としては、新規格製品の使用が困難な場合などの一部のケースでは、記載された4つの条件の担保が確実に実施される場合には、旧規格の使用を許容するというものとなっております。
また、一部のケースについては、関係学会による明確が望まれることや、継続して流通する旧規格製品については、添付文書による情報提供、本体への表示などの安全対策の実施が必要との御指摘もいただいております。
なお、旧規格製品が必要な一部のケースとなる可能性のある症例の参考として、資料に記載した4つの学会から参考資料3~6のとおり意見書が提出されているところでございます。
研究班の提言を踏まえた事務局からの対応方針案について御説明いたします。3を御覧ください。
以下の対応を行ってはどうかというところで、経腸栄養分野の小口径コネクタ製品について、新規格製品の使用が困難な一部のケースにおいて当面の間、一定の条件を担保した上で旧規格製品の使用を可能とする。すなわち、現在設けている旧規格製品の出荷期限を廃止し、当面の間設けないこととする。ただし、新規格製品への切替えが基本であることから、旧規格製品は新規格製品の使用が困難な場合に使用する旨及び研究班から提示された旧規格製品を使用する際の条件の内容を添付文書で明示することとする。
また、旧規格製品について誤接続等の不慮の事故を防止するため、添付文書において誤接続防止に関する追加の注意喚起を行うこととする。
また、製品本体についても可能な範囲で誤接続防止に関する措置、例えば、コネクタ部分に経腸栄養ラインであることを記載する、色による識別などを挙げておりますが、こちらを行うこととする。
また、旧規格と新規格を接続するためのコネクタ、「変換コネクタ」と呼ばせていただいておりますが、こちらは現在、医療機関等が変換コネクタを備えるなどの体制を整えるとともに、製販業者等が医療機関等からの求めに応じて変換コネクタを提供できる体制を整えることとしていただいております。これらの体制については、引き続き継続いただく方針案を考えております。
また、仮に方針案のとおり進めることとした場合には、通知にて方針の周知等を行う予定でございますので、通知案についても簡単に御説明させていただきます。資料1-3を御覧いただければと思います。
通知案の「記」より上までは、発出の経緯等を記載しております。今回で大きく変わる点は「記」より下の1と2であり、1には経腸栄養コネクタの切替えに関する基本的な考え方を記載しています。提言に基づく内容となりますが、1行目「医療・介護時の事故防止と安定供給確保の観点から新規格製品への切替えを進めていくことが基本である」。
「長期的には、医療・介護時の安全性と利便性の両立が可能な新たな製品の開発等が望まれる。しかしながら、それまでの間、新規格製品の使用が困難であり、且つ旧規格製品を使用することについて、その目的に見合った医学的理由がある場合において、旧規格製品使用によるリスク等も含めたインフォームド・コンセントが行われ、旧規格製品の使用についての情報共有や記録が作成されている場合には、旧規格製品の使用を可能とする」というものでございます。
また、2には、1の考え方を踏まえ「製造販売業者による旧規格製品の出荷期限は、当面の間設けないこととする」と記載させていただいております。
3以降は、これまでの通知を廃止する都合上、これまでの通知の内容のうち必要なものを再掲したものとなります。
ただ、5の変換コネクタについては、切替え終了までの時限的な措置ではなくなるということで、今回、対応方針案として示させていただいたものとなります。
御説明は以上になります。
○荒井調査会長 ありがとうございました。
それでは、まず、この班の研究事業をまとめていただきました長尾先生に、もし補足等御意見があれば、お伺いしたいと思います。
○長尾参考人 班長を務めさせていただきました長尾です。
この件は、1年間という短い間ではございましたが、研究班の回数を重ねていくうちに、この問題の重要性というか全体像を把握するに至っております。
まず、背景ですけれども、誤接続をいかに防ぐかという長い取組がこれまでにあったということ。それは特に医療現場が薬液を準備した雄側の機材と患者の体から出ている雌側の機材の口径が合わないときに、様々な工夫をして接続を可能としてしまうという、医療現場の工夫や創意といったものに関する現状が背景にあって、2000年ごろから誤接続重大事故が頻回に共有されるようになってきたという背景があります。それに対して、基本的にはフールプルーフ・フェイルセーフを意識した接続ができないものを医療現場に普及させようという動きがあったのと、もう一つ、特に近年になって概念の標準化をしようとしているのだなということが見てとれます。というのは、例えば腹腔には腹腔用のセットを用いるのだ、胸腔には胸腔用のセットを用いるのだ、胃ろうには胃ろう用のセットを用いるのだ。つまり医療者の頭をリセットするというか、あれもこれも使って何でも便利にくっつけるということではなくて、そこに一定の歯止めをかける概念の標準化をしようとしているというのが、特に海外を中心に大きな流れがあったと思います。
もう一つ大きな問題は、日本独自のフールプルーフ製品をつくることによって生じるかもしれないガラパゴス化が、安定的な製品の供給を妨げてしまうかもしれないという非常に大きな懸念がメーカー側にあって、いち早くグローバルな動きに乗っていかなければいけないのではないかという背景もありました。それで、今日も御参加の丸山先生方が中心となって、非常に大きな、大局的見地からの御決断だったと思うのですけれども、誤接続を防ぐための新規製品への国内での標準化が進められていったということだと思います。
私も医療安全を専門にしておりますので、このことの重要性は容易に理解できるところです。ところが、先ほど説明がありましたように、このことが決定されてから重症心身学会から1つ問題が提起されました。これはこれで検討を重ねるにつれ、これまた重要な問題であると。特に、日本を中心に普及してきたいわゆるミキサー食や半固形食といったものが、新規格製品ではスムーズに注入できなくなる。特に、ケアギバーにとっての大きな負担になり得るのではないか。さらには、幾つか医学的に旧製品でないと安全に使用できないケースがあるのではないかといったことが提示されたわけです。また、特に御家族と同じ形状のものを心身障害のお子さんに投与しながら、食事という時間を大切なコミュニケーションの時間にしたいという社会福祉の根管に関わるような部分について、それが達成できなくなるのではないかという強い懸念や疑義が提示されたと理解しています。
そこで、これは冷静に考えれば、医療安全の現場ではまま起こり得ることだなと。特に、医療現場をパーシャルに見たときに、添付文書や安全上は好ましくないという使い方であっても、このことが患者にとって有益なのではないかと思ったときに、現場で何とか工夫して使おうとする、これは常に生じる問題で、特に国内では群馬大学や東京女子医大のプロポフォール事故などを受けて、それをどのように解決していくかといった議論が本格化してきたと私は理解しています。これを使いたいという現場と、それは好ましくないとする管理側と、もう一極倫理という極を置いて、ならばどうするかという議論をするスキームが、特にこの5~6年急ピッチで進められてきていて、特定機能病院ではそれが医療法の改定とともに倫理の委員会などを設置して、機器や薬剤の適応外や添付文書外の使用についての手続をしっかり確立しようということが進められてきているという背景があります。
私は、議論を進めながら、そのことをこの問題にも適用できるのではないかと考えまして、先ほどの資料1-2に書かれています4条件をクリアした場合は使用を認められるという方略を皆さんと議論しながらまとめたものです。
先ほど事務局からの御説明にもありましたが、大前提は今、移行期における一過性の措置だと認識しています。新製品への切替えは大局的に進めていかざるを得ませんし、そういうものに適応していかなければいけない。実際に研究班には、適応に努力されている門野先生などにも参加いただいて、現場の工夫なども議論の俎上に上げました。
一方で、特殊な合目的医学的事由が存在すると思われる事例に関しては、先ほどの患者へのインフォームド・コンセントやリスクのインフォームド・コンセントと、医療者間での情報共有、そして、カルテへの記載を条件に使用を認めるということを提言させていただいたという形になります。
この議論を通じてもう一つ感じた私なりの視点は、いわゆる経腸栄養というものが注射器で行われなくてはいけないのかという根本的な問題です。注射の形をしているもので行われているので、誤接続の問題が起きたり、口径の問題があったりするのだろうと。この概念を抜本的に変えるような食器というか、特にケアの現場で非常に慈しみに満ちたような食事コミュニケーションの場にふさわしい容器のようなものの開発が求められるのではないかとも感じまして、メーカーの皆さんなどとそういう議論もいたしました。
1つ大きな課題となりましたのは、合目的医学的事由とは何なのかという議論です。そこに関しましては、重症心身学会を初め4つの団体から、今のところこういう場合に認めてほしいという意見書が出てきているのですが、これは専門的見地での提示ですので、この研究班で何かをお願いするものではないのですけれども、まだそれは熟議を尽くされたものではないと考えておりまして、これから専門ボードでの議論が活発に行われることを期待したいなと思っているものです。
それから、メーカー側の協力も不可欠かなと思っていて、その提言のところ、接続の部分で間違いが起きないような注意喚起が行われるような製品を暫定的にでも開発いただけるといいのかなと思っているところです。
私からは以上となります。
○荒井調査会長 長尾先生、詳細な経過を御説明いただき、ありがとうございました。
今日御参加いただいた委員の先生方、当然この議論の経過も御存じではあると思いますけれども、改めて本件につきまして委員の先生方から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
口分田先生、どうぞお願いいたします。
○口分田参考人 今、経過の中でお話しいただいた重症心身障害学会として、基本的な流れは新規コネクタなのだけれども、どうしてもそれでは安全上あるいは介護負担によってうまく注入できない事例があるということを学会から申し入れさせていただき、その検証を研究班で行ってまいりました。
その中で、重症心身障害の特性として、非常に筋緊張の変動が常にあることや側わんがあることで、逆流があったり通過障害があったりということが消化管に非常に日内変動をもって起こり得まして、そういうときに、手早くコネクタに接続して排気・排液をし、安全を確認した上で注入するという、ケアとしての頻回の注入と排気の繰り返しが起こっていることと、在宅の皆さんは、先ほど長尾先生にも言っていただいた、御家族と一緒のものを食べたいという思いがあって、それによって食卓に並んだものを注入しやすいミキサー食の形にして行っているのですけれども、やはり径が細くなってくると、滑らかなものは同じ圧で注入できることは分かっているのですけれども、在宅で作るものは粒子が混じっていたり、粘度が高いものであったり、特に肉や繊維質の粒子が残って、今まで入っていたものが、せっかく家族だんらんで食べられていたのに注入できなくなってしまう、そういう思いが寄せられました。
それから、どうしてもねじりの動作があるので、かなり手首の負担が増えてくる。テレビで医療的ケア児のこともやっていましたが、本当に頻回に入れたり抜いたりします。我々が調べたものでは、最高で一日182回という形で抜き差しを行っている中で、あるときは固定することも必要なのですけれども、抜き差しが簡便にできるほうが非常に負担感の軽減につながるということで、こういったところから研究班で課題の抽出や検証を行ってまいりました。特に、薬剤の注入や吸引がかなり難しくなってきて、薬剤の選択もうまくいかないと、うまく注入できないという問題も非常に多くなってきています。
アンケートの中で、当事者の約8割の方が新規で困っている。そのうち30%は安全性にも影響を及ぼしているということで、長尾先生が言われたように、大きな流れとしては新規コネクタへということは我々もそうあるべきと思っておりますけれども、どうしてもそういうものに不適合な方がいるということで、そういった方の病態などを抽出し、かなり実証的なデータも出させていただいて、研究班の皆様に合意をいただいて、基本は新規コネクタである、さらに、よりよいコネクタを開発していく流れの中で、そういったものが実現できるまでの間は、今のミキサー食や半固形食を注入できる状況を継続しながら開発に向かっていくことが必要だということで、旧規格コネクタの併存について、かなり研究班で実証的なデータを添えて表明させていただき、御理解を得ることができました。
そういった形で、必要な病態について合意ができたことは大変うれしく思っておりますし、これからもより安全に使えるような仕組みを、さっき言った4条件を含めて皆さんと一緒に進めていければと思います。
以上です。
○荒井調査会長 口分田先生、大変詳細な御説明ありがとうございます。恐らく先ほど長尾先生が御説明された4つの中の医学的事由に該当するのか、がっちり当たるか分かりませんけれども、臨床現場での目線というか、そこでの実情を詳しくお話しいただけたかと思います。
ほかの委員の方々、御意見いかがでしょうか。
丸山先生、お願いいたします。
○丸山参考人 今、口分田先生からもお話があったように、研究班としては新規格を一部の症例には残していこうということで合意ができたと思っております。実際は、我々日本臨床栄養代謝学会として、臨床的に考えてみても、新規コネクタがすごくいいわけではないと思うのです。例えば、成人などでは今回の新規コネクタがどうしても使えないというのはかなり少ないと思います。ただ、力がなかったり、注入しづらかったりということもありますが、ミキサー食を入れたり、半固形化栄養剤を入れたりする注入圧に関しては、さほどの問題はないと私は思っておるのですけれども、それ以外の手間はどうしても新しいコネクタのほうがかかってしまう。栄養剤を吸ったり、また、その他の部分においてもいろいろな問題があると思っておりますので、旧規格を使うという症例は一時的には残していかなければならない面があるだろうと思います。
米国などでも一応言われているのは、使い始めにどうしても問題点が多く指摘される。慣れてきてしまえば、多くの場合それでミキサー食もオーケーだということになっているのですけれども、何かの不都合が出てくる場合もあるということで、今回の決断は正しかったのではないかと思います。
ただ、問題点は、1~4番までの合目的医学的事由やインフォームド・コンセント、モニタリングやカルテへの記載を非常に安易に簡単にとられてしまうと、異常なぐらいに旧規格が残る可能性があるのが一番の問題ではないかと思います。
せっかく今まで誤接続ということでやってきているので、誤接続の新規格がこのレギュレーションによって非常に広く残ってしまうのも問題なので、その辺が今回の一番の肝ではないかと思っています。全体で使っているのは多分40万人ぐらいの方がいると思うのですけれども、胃ろうから栄養剤を入れている、また、半固形やミキサー食だと多分合わせても10万人近くは日本にいるのではないか。その人たちが今まで使っていたから、このほうが楽だからとドクターにこっちにしてくださいよと言ったときに、簡単に旧コネクタを残されてしまうと、また問題になって来ます。いわゆるユーザーへの情報の上げ方とか、医療者への上げ方が今後問題になってくるのではないかと思っております。
以上です。
○荒井調査会長 丸山先生、ありがとうございます。特に後段でおっしゃられたレギュレーションとして形だけ、文面だけが独り歩きしてしまって、実際には全然絞られていかないということを大変懸念しておられることが分かりました。ありがとうございます。
そのほかの委員の方々、御意見いかがでしょうか。
では、門野先生、お願いいたします。
○門野参考人 愛知県医療療育総合センターの門野と申します。よろしくお願いいたします。
私のこの研究班の役割としましては、いち早く新製品を導入した病院としての経験で、どういった工夫をしてきたかや医療安全上どのような問題があったかを整理するという役割をいただきました。
当院につきましては、実際、新製品に完全に切替えをいたしまして1年以上が経過しております。現在、旧製品の使用は全くしておりません。そういった状況の中で、もちろんいろいろな工夫があったわけですけれども、当院で切替えを決めた時期というのは、旧製品の生産が延長されるという情報はまだない時期でしたので、切り替わるのだという思いでスタッフ一丸となって工夫をしていろいろな検証を行って、今は慣れて問題なく使える状況になってきたという次第です。いろいろな現場に定着するまでは様々な苦難があることは経験上、皆さんに情報共有して、それでもこうするとうまくいくよということや、こうするとトラブルが起こるから気をつけましょうということをなるべく全国的に発信していけると、今言ったような皆さんのレギュレーションで新製品を積極的に使っていただける方向性に持っていけるのではないかと期待しております。できれば、そちらの方向性が主になるようにということで考えていただけるといいなと思っております。
以上です。
○荒井調査会長 門野先生、ありがとうございます。
研究班の先生方は、非常に詳しく御検討いただいた上で、今回、長尾先生の御意見に最終的な御説明をいただいたところにある程度まとめていただきましたけれども、実際にはこうやって御説明いただきますと、どういう経過があったのか、それぞれのお立場からの御意見をいただいて、実際の委員の先生方の判断にも大変大きく響くものがあると思いますので、中川先生、もし調査会の委員として何か御発言があればいただけますか。
中川先生、お願いいたします。
○中川委員 よろしくお願いいたします。横浜栄共済病院の中川です。
我々の病院は急性期の病院で、救急の患者さんが来て、慢性期に移行するときに胃ろうを作成して、慢性の機関にまた行っていただくというような動作を繰り返しております。その中で、当院も門野先生と同じように全て新しいものに規格が統一されております。現在、旧規格は全くないという状態です。
今回の決定につきまして、胃ろうチューブを扱う関係者が多くいらっしゃると思うのですが、今回のチューブの通知に関する取扱いについて、多くの方が詳細にまだ把握されていない状態にあると考えています。そのために、今後胃ろうのチューブを取り扱う関係者への伝達が非常に重要かなと思いまして、チューブを併用することで起こり得るリスクについても御発言がございましたが、リスクもちゃんと明確にして出していただいて、必要な条件について明確かつ分かりやすくしていただきたいというのが我々現場で感じていることです。ですので、ぜひ周知徹底をしていただきたいと考えております。
また、胃ろうの作成や交換時のチューブの取扱いについて、患者様を管理する御家族や施設の職員の皆様、逆に我々医療側、急性期で胃ろうを作成する側と、それぞれの情報の伝達と意思疎通が今後併用する場合には必要になる。これができないと誤接続等の予期しない事故が起きるのではないかと考えています。
私は臨床工学技士ですので、工学的な立場からお話しさせていただきますと、医療機器の標準化が今進められて、標準化をすることは非常に安全性が向上しますし、誰がやっても同じような結果が出ることを目標にしているわけですが、JIS規格が日本にはございます。JIS規格は国際規格であるISOやIECの規格の整合性が必要になると考えています。現在、ISOやIECの国際規格から由来しているJIS規格が多くなってきました。また、さらに薬機法や計量法から引用して規格がつくられていると考えています。こうした背景から、将来的に標準化のデメリットを理解した上で、必要な仕組み等の方針を決定することを希望していきたいと考えています。
以上です。
○荒井調査会長 中川先生、ありがとうございました。
たまたまですけれども、研究班の先生方に先に御発言いただいたような形になってしまったのですけれども、もし長尾先生、今の調査会の先生方の御意見に追加あるいは補足して何かございますか。
○長尾参考人 皆様から大変建設的な御意見をいただきまして、それぞれのお立場で本当に充実した資料やデータなどを提示いただいて、この結論に至っていますので、今の皆様の御発言に追加することはございません。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
私は今伺っておりまして、多分相当な議論を尽くされた結果だと思いますけれども、最終的にこれを出すことに関してはいいのだけれども、その後どうやってそれをちゃんと伝えるかという情報の伝達、あるいは安易に昔のままでいいということに流れないようなことの徹底のほうが、むしろこの先大事なのかなと伺っておりましたけれども、研究班の委員の先生方ではない、今日御参加いただいている委員の先生方、何か御意見いただけますでしょうか。いかがでしょうか。
外園先生、お願いいたします。
○外園委員 質問させていただいてよろしいでしょうか。
専門が違いますので、ちょっと的が外れてしまうかもしれないのですけれども、詳しく説明いただいてある程度理解できているつもりではあるのですが、今日の御説明を聞いておりますと、新製品は使いにくいけれども安全であると、だから、頑張って使いましょうと聞こえるのですが、先ほど長尾先生がおっしゃっていた、よりよい製品がいつごろ出てくるかといった部分のめどがあるのかどうか。要するに、安全で使いやすいものが出るのがベストだと聞いていて感じますけれども、めどがあるのかないのかも分かれば。
あともう一つ質問は、病院や施設で使うのと御家庭で使うのとでは負担度が違いますので、使う方の御家庭なり一般の家族の方が使われている割合は何割ぐらいなのでしょうか。そういった方への情報発信が最も難しいように思いますけれども、そのあたりの情報もいただけたらと思いました。
○荒井調査会長 ありがとうございます。かなり重要なポイントだと思います。今の御質問に出た2つ目、御家庭の方、一般の方が使っている頻度の問題に関しまして、どなたかお答えいただけますか。
口分田先生、お願いいたします。
○口分田参考人 我々も大規模アンケートで当事者約1,000名について、新規格と旧規格の割合を調査しました。1,000名のうち約45%が新規格に移行しており、55%が旧規格のままだったということです。
今、委員からいただいたように在宅の現場は、走り回っている子がいて引っ張ろうとしたり、施設や急性期の病院のように加圧バッグとかいろいろなデバイスを使って入れるという状況ではなく、野戦病院のような非常に苦労して入れている、それから、引っこ抜く人もいるかもしれない、ネジ式だと本当に胃ろうの元のところに強烈な力がかかってしまう。デイサービスの現場でも、呼吸器をつけて寝たきりの方と走り回る子が共存しているような環境の中でミキサー食の注入が行われていて、基本的にコネクタは抜けないほうがいいのですけれども、そういう現場では抜けないと胃ろう部の根元からの抜去が出現してしまうとか、強烈な力が加わってしまうなど、かえってリスクが多くなるという御家族の意見もありました。
そういう意味で、環境によって使い方が全く違っているので、病院や急性期は誤接続防止というのは第一なのですけれども、在宅の場合は安全性と利便性の折り合い点で使わないと今までの栄養が維持できないという声が多く届きました。我々もそういう内容を、アンケートの中で課題抽出してきたということです。
最初の質問に戻ると、約45%です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。約半分ですね。
門野先生どうぞ。
○門野参考人 当院だけの事情ですけれども、当院は割と特殊でして、胃ろう増設も当院で行い、さらに在宅の管理も月100人弱ほど行い、さらには入所施設も持っているということで、患者さん側も必ず当院で循環するようなシステムになっております。そういった中では、切替えが行われたということで患者さんにお渡ししているシリンジも全て新規格のものを使用しております。
ただ、月に何本かというのは在宅管理量の範囲の中から決めてお渡ししているのですけれども、基本的には1か月ぎりぎりの量ではなくて、少し多めにお渡ししていることもございますので、実際は旧規格がおうちにかなりたまって残っているという状況の御家庭の中では、古いものから使っているという状況が発生していると当院の患者さんのお話では聞いております。ただ、新規格になってから胃ろう増設した方も3割ほどおられますので、そういった方々に関しては、旧規格を手にすることなく新規格を使われているという状況になっております。
そのような状況ですと、在宅の管理中や短期入所を利用されたとき、レスパイトを利用されるという段階で、スタッフとの情報共有が確実に行えるところが定着の基本的な流れではないかと思いますので、情報共有がとても大事だなとは感じております。
以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。実際、今お話いただきましたように、医療環境が全国でそれぞれかなり違うところがあるということが、まず大きな背景にあるように思われます。ですから、自己完結型というか完結できる医療地域だといいのですけれども、そういうところばかりではないと思いますので、今、外園先生からいただいた御質問の正確な数は私は分かりませんけれども、大体半分近くの方々がかなり医療施設としての特殊な環境ではないところで使われているのが現状にあるというお話かと思います。
もう一つ大変重要な御質問をいただきました。私もお話を伺っていて、長尾先生から御提言いただいた、新しいものでもっといいものができれば、それにこしたことはないと、それは本当に誰も反対されないと思いますけれども、ここで議論するのは難しいのですがどうですか。
○安全対策課長 医薬安全対策課長です。
御指摘いただきました新しい製品についてなのですが、率直に申し上げて現時点でいつごろできるとかそういうことは全く予定してございません。新規格には新規格のそれなりのメリット・デメリットがあるわけで、旧規格も同様にあると思うのですが、まずは、いろいろな議論をしていただいた上で、いろいろな課題が明らかになって、開発が進んでいくのだと期待しております。
先ほど座長から、この場ではなかなか議論ができにくいという話もされましたが、我々は規制当局ですので規制当局が開発支援をするというのはなかなか困難ですが、医療ニーズがあれば、厚生労働省全体として必要な研究費などの議論は話をする必要があると思いますし、我々としても、担当部局にも相談させていただきたいと思っております。
○荒井調査会長 行政側としては、かなり前向きな御発言をいただきました。ありがとうございます。
ほかに委員の方々御発言ありますか。山本先生お二人いらっしゃいますが、無理にではないですが、もし御意見がありましたらどうぞ。
○山本(謙)委員 東京医大の山本でございます。
旧製品を許容する4条件の最後の記録が非常に大事なところだと思いますので、これをどのような形で記録するかの条件を少し具体的に記したほうがいいのではないかと考えております。
以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
長尾先生、条件については詳細なものはつくっておられませんか。
○長尾参考人 基本的にはカルテ記載かなということです。つまり、特定機能病院などでは今そういう倫理委員会が立ち上がって、パッケージでこれを認可しているというスキームが定着していますけれども、今回の問題の多くは、在宅であったり小規模医療機関群がメジャーなフィールドと思いますので、そこでどのようにこの4条件を担保するかというのが課題だと思っています。できる限りは、まずはカルテ記載と関係するメディカルスタッフとの情報共有でしっかりモニターしていただいて、全国的なレベルでのインシデント・アクシデントのモニタリングといったことで当面はやっていくしかないのかなと思っているところです。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
では、国立医薬品食品衛生研究所の山本先生、よろしいですか。お願いいたします。
○山本(栄)委員 ありがとうございます。
これまでのお話を聞いて、新旧製品それぞれに課題があるものの、これから新製品にシフトしていけるのだろうということが分かりました。特に、門野先生のところで状況が限定される部分もあるかもしれませんが、スムーズな移行もできるものと理解いたしました。方針については全く賛成です。
課題としては、これから新製品で優れたものが出てくることを当然期待するのですが、古い製品も求められる期間供給されるのかが気になるところです。この点については、事前の説明の中で質問し回答いただきましたので安心しました。一方で、使われる方の立場に立って新製品が開発され、供給されていく、どこでも同じようなものが使えることが重要であろうと思っています。
以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。一通り御発言いただいた形になりましたけれども、何か追加でございますか。
外園先生どうぞ。
○外園委員 質問なのですけれども、マル3の十分なモニタリング体制を敷く、旧製品を使用することについてのモニタリングですが、今お聞きした御発言だと、リスクに関するモニタリングということだったのですけれども、現場のニーズで約半数存在する病院施設外の御家庭での使用者が、なぜ旧製品を使うかということを徹底的にモニターすることが、次の新製品のよりよいもののニーズにつながるので、そこのモニタリングをどうするかは具体的にどのような予定になっているのでしょうか。
モニタリングの仕方というのが今後の現場の、特に半数の御家庭でこれを必要として最後まで使う人はどういう人かということが、よりよい製品につながるのかなと思いましたので。
○荒井調査会長 ありがとうございます。モニタリングの具体的な内容ですね。
○安全使用推進室長 モニタリングでございますが、まず、患者様を囲んでいる環境という意味では、関係の医療スタッフの皆様、御家族で情報共有していて、旧規格を使う場合も安全に使っていただくことをモニタリングしていくという一般的なことでございます。
一方で、医療機器でございますので、薬機法に基づく不具合などがあれば、もちろん法に従ってメーカーや医療関係者から御報告いただく、そこはこれに限らず全ての機器で行われていることでございます。したがって、モニタリングについては、薬機法に基づく報告をいただくという意味と、患者様個人個人に対して旧規格をあえて使われていることに関して、関係のスタッフの皆様で注意して見ていただくという2つの意味がございます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。恐らく今、外園先生が御指摘になられたのは、特に今後新製品、新しい体制を考えていく上で現場がどうなっているのか、なんで昔のものを使いたいのかというところをかなり深掘りして調べたほうがいいですよというアドバイスをいただいたかなと思いますが。
○外園委員 そのとおりです。
○安全使用推進室長 現時点でこれですという策はなかなか難しいのですけれども、恐らく、ここはこういう使い方がいいとか悪いといったところを関係の先生方や関係のメーカーさんに共有していただき、そこで何か新しいお知恵が出て何かにつながればいいのではないかと、非常に漠とした御説明ではございますが、今、規制当局として申し上げられるとすると、それくらいのことになります。
○荒井調査会長 この辺について学会とか何か動きはあるのですか。この時点でなかなか明確なお答えは難しいと思うのですが。
丸山先生どうぞ。
○丸山参考人 今のお話ですけれども、新規格が45%と旧規格が55%と言われているのは以前の統計ですので、今年の11月までにはこれはなくなる予定でだんだん替えているところなので、それは途中段階ということですから、基本的には11月までに100%替えようと思って今までやっているので、数はどんどん11月にしたがって物すごく縮小されているはずです。そういう意味では、そんなにたくさん残るということはないということが一つあります。
もう一つは、今お話があったモニタリングに関しても、カルテ記載に関しても、疾患でやっているわけではなくて、こういう人に使いましょうとやっているわけではなくて、ドクター、また、医療スタッフの判断になってきますから、その医療スタッフやドクターの考え方が大きくクローズアップされてくると思います。その辺のコンセンサスをきちんとつくっていくことが必要で、使う人は物すごい数使うでしょうし、使わない人は使わないということになってくると思うから、非常に凹凸が激しくなってくるようなことが起こると、ここの施設ではこればかり、こちらの施設はこうなってしまうということが起こり得るので、そこは何かの方法でうまく調節できれば一番いいのではないかと思います。今の1~4までだと疾患や状態で分けているわけではございませんので、そこが一番今回の難しいところなのではないかと思っています。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
口分田先生も手を挙げていらっしゃいますね、どうぞ。
○口分田参考人 重症心身障害学会としても、なぜ今の新規コネクタが使えないのかいろいろ検証を行って、どう改善すればいいのかはプロジェクトチームをつくっておりますので、継続して行っていきたいと思います。
1つ参考になるのは、一番最初に新規コネクタへ移行提唱した米国が日本以上にミキサー食をよく使っていて、この研究班をやり始めたころ新規格への移行が30%だったのが、最新のデーターではいまだに28%しか移行できていないということです。新規移行を推進しているGEDSAのような団体もあるのですけれども、移行できない理由として、多様な形態があるミキサー食も、加工した、滑らかなものは入るのですが、ミキサー食を中心にやっている米国などでは、明確にはなっていませんけれども、今の新規コネクタは使いにくいというのが依然あって進んでいかないところがあるのだと思います。ミキサー食を負担なく入れられるような、我々の検証でミキサー食や薬剤を本当に負担なく入れられるかどうかを今後さらに検討していく必要があるかなと思っています。研究班でも、日本で非常に普及してきたミキサー、半固形という栄養剤を大口径で入れられるようなものを考えていきたいというメーカーからの提案もありましたので、ぜひ厚生労働省にもお願いして、今の課題の抽出を継続しながら、そういった取組も目指していければと思っています。メーカーも独自の開発をやっていただけているところが幾つかあるようには聞いております。
以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
門野先生、手を挙げていらっしゃいますね、どうぞ。
○門野参考人 ミキサー食の観点からですが、当院でもミキサー食を注入する場合が5割は超えると思うのですけれども、当院は新製品を使うことを軸にして検討した結果、食事を少し工夫する、入れるものを工夫するとか薬剤の形態を工夫するという選択肢をとってまいりました。もちろん患者さんに御指導させていただくときにもそのようにお話をするので、患者さんとしては当院ではそのように受け止めておられることになります。ただ、食事は本当にフィロソフィーであると思いますので、御家庭なりの方針があると言われますと、そこがなかなかそろいづらいところではありますし、医療としても強制はできないところだなとは思っておりますが、何かと食事が生活であると同時に、使用している製品が医療製品であるというところが、概念として両立しにくいところだなとは今回研究班の活動を通して感じておりますので、そこを解決することがなかなか難しかったということはあると思います。
以上です。
○荒井調査会長 ありがとうございます。非常に貴重な多数の御意見をいただきました。最初に長尾先生から御説明いただきましたように、議論していただいた上で今回の対応案が示されまして、それぞれのお立場から御意見を追加していただいて、比較的共通項として出てきたのが、ここで決めた条件をいかにきちんと担保するか。それが表面の項目だけにならないようにすることと、実際に使う現場にどうやってきちんと情報提供していくのか。さらに、先ほどモニタリングの話も出ましたけれども、そういったことをいかにモニタリングしていって、願わくばよりいい製品につなげていけないかというところが、かなり共通した御意見ではなかったかと思います。
改めまして、特に追加の御意見はよろしいでしょうか。
中川先生、どうぞ。
○中川委員 最後に恐縮なのですが、医療機器の安全管理を担当する者から1点お伺いしたいことがございまして、経腸栄養のチューブには経腸栄養のいろいろな液体や固形物等を注入するためのポンプ、経腸栄養ポンプという機器があるのですが、この機器も新しいものが開発されて混在するわけです。今回はチューブのほうが非常に問題になって議論になったか思うのですが、これに付随して使われるポンプについては一切触れられていなかったのですが、今日私は、実際に経腸栄養を使っている患者さんのところに行って現状を見てきましたが、経腸栄養ポンプを結構使われていることがあったので、ちょっと気になったのでお聞きしたいと思いましたので、よろしくお願いいたします。
○荒井調査会長 丸山先生どうぞ。
○丸山参考人 経腸栄養ポンプは普通液体に使うものなんです。液体の栄養剤を注入するのに、胃の中に入れる場合は3回に分けて入れることができますけれども、小腸に入れようとした場合には、ポンプを使って持続的に少量流さないと下痢をしたりするということで、量の管理をするためにはポンプを使うということが液体の栄養剤ではあるのですけれども、半固形化の栄養剤やミキサー食は一応今ポンプらしいいいものはないんです。手でくるくる回したりや、いわゆる血圧計みたいなマンシェットでぎゅっとやったり、そういうような非常に原始的なものしかまだないのが現状で、先ほど皆さんからお話があったように、圧力も高くなるので今のポンプでは入れられないということがあります。
ですから、ミキサー食も半固形化栄養剤も、どちらかというと在宅から出てきたような治療法で、まだ民間療法に近いと考えたほうがよくて、その周辺機器はそれ以上にまだ未開発なわけです。それを長尾班も含めて、ぜひイノベイティブなものをつくっていきたいということでお話があったのだと思います。ポンプに関しては半固形とミキサー食は使えないということでございます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。中川先生、よろしいでしょうか。
○中川委員 ありがとうございます。理解できました。
○荒井調査会長 それでは改めまして、委員の方々から御意見・御質問等、追加はよろしいですか。
ありがとうございます。大変有意義なディスカッションができたと思います。
それでは改めまして、ただいまの御議論を踏まえまして、今日示されました事務局の提案のとおりでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。幾つか課題というか、今後の宿題も残ったかと思いますけれども、それでは、この原案をこの場で認めさせていただくことにしたいと思います。
それでは、今日の結果に基づいてどうするのか、事務局から説明をお願いします。
○事務局 皆様、お忙しいところ、たくさんの貴重な御意見・御議論をいただき、誠にありがとうございました。いかに4条件を担保するかや周知徹底するかという課題はございますが、方針自体については皆様の合意をいただけたものと認識しておりますので、ただいまの御議論を踏まえまして経腸栄養分野の小口径コネクタ製品については、資料1-1の対応方針案のとおりとしまして、追って資料1-3の内容の通知の発出を行うこととさせていただければと思います。
○荒井調査会長 よろしいでしょうか。後の具体的なアクションですね。ここには、例えば、新しい製品開発等々はあまり触れられておりませんでしたけれども、先ほどいろいろ御意見もいただきましたので、ぜひそういう方向で今後動いていければいいなと考えております。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、意見が出尽くしたようですので、本議題につきましては、ただいま事務局から説明していただきました対応案でこの後進めていただきたいと思います。ありがとうございます。
以上をもちまして、本日予定しておりました議題は全て終了となりますが、そのほか何かございますか。よろしいでしょうか。
では、事務局からお願いします。
○安全使用推進室長 本日は御意見いただきまして、ありがとうございました。
次回の調査会の日程につきましては、別途個別の審議等が必要な議題が生じた場合に開催させていただきますので、開催日程等につきましては、事務局より改めて先生方の御都合を伺って調整させていただきたいと思います。
以上でございます。
○荒井調査会長 ありがとうございます。
今日は、結構この会議が遅い時間に始まったのですけれども、申し訳ございません。
それでは、これをもちまして令和4年度第1回の医療機器・再生医療機器等製品安全対策部会安全対策調査会を閉会させていただきます。どうも長時間ありがとうございました。