第2回介護保険制度における福祉用具貸与・販売のあり方検討会 議事録

日時

令和4年3月31日(木)

場所

オンライン会議

出席者

委員(五十音順)

議題

1.福祉用具貸与・販売種目のあり方について
2.その他

議事

第2回介護保険制度における福祉用具貸与・販売のあり方検討会

○高齢者支援課長
 おはようございます。厚生労働省老健局高齢者支援課長の須藤でございます。
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第2回「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」を開催させていただきたいと存じます。
 構成員の先生方、御多忙の中、また、新型コロナウイルス感染症に関する御対応の中、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、感染症の拡大防止の観点等も踏まえまして、従来の審議方式ではなく、引き続き、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただいております。また、動画配信システムにおきまして、ライブ配信等によります一般公開の形をとらせていただいております。
 本日、構成員の花岡委員につきましては、同協会の社会制度委員会委員長を務められております松永様に代理出席をいただいております。また、石田委員におかれては、遅れての御参加と伺っておるところでございます。
 なお、事務局のほうでございますが、土生老健局長のほか、堀内審議官、橋本総務課長、笹子認知症施策・地域介護推進課長、登内同課課長補佐、また、高齢者支援課におきましては、課長の私、須藤と、長倉福祉用具・住宅改修指導官が出席させていただいております。
 それでは、議事に入ります前に、お手元の資料の確認と、オンライン会議の運営方法の確認をさせていただきたいと思います。

○高齢者支援課福祉用具・住宅改修指導官
 では、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
 まず、議事次第がございます。
 次に、資料1-1「開催要綱」
 資料1-2「構成員名簿」
 資料2「論点の整理➀」続きまして、
 参考資料1「各種調査研究事業等による数値」
 参考資料2「第1回検討会議事概要」
 参考資料3「介護保険制度における福祉用具等について」
 参考資料4「介護保険制度における居宅介護支援等について」
 そして、小野木構成員提出資料、田中構成員提出資料がございます。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードしていただくなどの対応をお願いいたします。
 次に、オンライン会議における発言方法等について、確認させていただきます。
 オンラインで御参加の委員の皆様、画面下のアイコンのマイクについては基本的にミュートにしていただきますが、御発言される際には、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックしていただき、検討会座長の御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言をしていただくようお願いいたします。
 御発言が終わりました後は、「手を降ろす」をクリックしていただき、併せて、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 また、発言希望の御意思が座長に伝わっていないと思われる場合は、オンライン会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては、手を挙げる機能にて意思表示をお願いいたします。チャット機能等で記載いただいた内容についてはオンラインの画面に表示されますので、御承知おきください。

○高齢者支援課長
 続きまして、本検討会の座長代理でございますが、こちら、開催要綱におきまして、構成員の中から座長が指名するとございます。事前に御推薦いただいております近藤先生にお願いしたいと思いますが、野口座長におかれてはいかがでございますでしょうか。
 御異議ございませんでしたら、御指名いただけますでしょうか。

○野口座長
 異議ございません。本検討会の座長代理を近藤先生にお願いしたいと存じます。近藤先生、何とぞよろしくお願いいたします。

○近藤副座長
 了解いたしました。

○高齢者支援課長
 ありがとうございます。
 それでは、以降の進行を野口座長にお願いさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野口座長 
 皆様、改めまして、おはようございます。お忙しい中御参集いただいて、どうもありがとうございます。
 それでは、早速ではございますが、議事次第に沿って進めさせていただきます。
 議題1「福祉用具貸与・販売種目のあり方」について、事務局様より資料の御説明をよろしくお願いいたします。

○高齢者支援課福祉用具・住宅改修指導官
 それでは、資料説明に入らせていただきます。資料2を御覧ください。「論点の整理について➀」について御説明させていただきます。また、参考資料は1から3となります。資料2の、まず1ページを御覧ください。
 「本検討会の主な検討事項等について」お示ししております。第1回検討会では大きく3つの論点について御議論いただきました。本日は、そのうちの1番目にあります福祉用具貸与・特定福祉用具販売の現状と課題を踏まえたあり方の検討について、さらに深く御議論、御意見等をいただきたく、資料を作成させていただいております。
 2ページを御覧ください。本日の議題であります福祉用具貸与・特定福祉用具販売の現状と課題を踏まえたあり方の検討について、さらに着目すべき論点として、5つお示ししているところです。
 資料は、この5つの論点ごとに、現況、第1回検討会の御意見、関連するデータ、特に御意見いただきたい点と御議論いただきたい点と分けて記載させていただいております。
 なお、関連するデータに記載されているページ数は、参考資料1の各種調査研究事業等における数値のものとなります。時間の都合上、詳細な説明は省略させていただきますことをあらかじめ御了承ください。
 次、3ページを御覧ください。1点目の「現行制度における福祉用具貸与と特定福祉用具販売の考え方の再整理の必要性」についてです。
 まず、現況としまして、福祉用具サービスは貸与が原則でありますが、一方、販売としている種目があり、このような枠組みは制度施行時より変更なく現在に至っており、メンテナンスの必要性の低い種目や要介護度に関係なく、給付対象となっている種目については、販売への移行の検討を進める意見や指摘があるところです。
 4ページを御覧ください。第1回検討会の御意見では、高齢者は状態の変化が生じやすいため、適宜借り換え等も行うことができることに対する福祉用具貸与の有用性に関する御意見、一方、制度の持続可能性を高めるため、多くの意見を得た上で、貸与と販売の関係の見直しや、種目の移行に向けた検討を進めることが必要とする御意見。
 また、販売と貸与のあり方を検討するに当たり、現在の原則の考え方の整理がまず前提として必要ではないか。そして、手すりについては、工事前の暫定的な手すりの貸与や賃貸住宅等工事が不可能な住宅における貸与事例など、住宅改修以外の方法でも手すりは必要であり、メーカーの開発努力によって製品が充実した結果、使用も増えている点も踏まえるべきといった御意見がございました。
 5ページになります。関連するデータでは、福祉用具の借り換えの状況を見ますと、手すり、歩行器、歩行補助つえについては貸与終了後、別の製品や他種目に借り換えを行っている事例が40%近くあります。スロープは20%程度となっていることや、福祉用具専門相談員が行っている福祉用具の使用に関するモニタリングの内容では、手すりについては他の用具よりも住宅環境を踏まえた対応が求められ、また歩行器、歩行補助つえについては確認項目が類似しております。用具の特性によっては確認が生じない項目もあることが明らかとなっております。
 用具別、福祉用具貸与を利用している方では、福祉用具の借り換えが落ち着くまでの期間について、歩行器は手すりや歩行補助つえと比較して、2か月以上かかると回答されております。
 同一商品の借り換え期間の中央値についてですが、歩行補助つえ11か月、手すり12か月、歩行器9か月、スロープ6か月、一方、2年以上使用している方も25%から30%いらっしゃいます。
福祉用具貸与と居宅介護支援のみの利用者について、要支援・要介護ともに手すりと歩行器の利用者が多くなっており、要介護者については車いすと特殊寝台が多くなっております。
 続いて6ページになります。こちらはテクノエイド協会が運営している福祉用具情報システムに登録されている4種目の希望小売価格の平均値及び中央値を示しております。
 これら、以上のことから、現行制度における福祉用具貸与と特定福祉用具販売の考え方の再整理の必要性について、特に御議論いただきたい点としまして、介護保険制度における福祉用具については、利用者の身体状況や要介護度の変化、福祉用具の機能の向上に応じて適時適切な福祉用具を利用者に提供できるよう、貸与を原則として、他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの、使用によってもとの形態・品質が変化し、再利用できないものに限って販売種目としている。この現在の基本的な制度について、改めて整理を行うとすると、どのようなことが考えられるか。
 2点目としまして、特に、廉価とされている福祉用具貸与種目について、福祉用具の種目の違い(価格、主な利用者の状態、使用状況、相談員の支援状況等)を踏まえ、どのようなことが考えられるか。また同一の種目についても、その中で様々な種類の品目を踏まえた場合、どのようなことが考えられるかとさせていただきました。
 次、7ページを御覧ください。2点目の「利用者の状態を踏まえた対応」についてでございます。
 現況としまして、介護保険施行当時と比較して要支援者や要介護1の認定者は、要介護2以上と比較した場合、増加の割合が大きいことや、利用者の状態も様々で、要介護状態区分は介護の必要量に応じて、要支援1~要介護5に分類されるものであり、1か月ごとの区分支給限度基準額も異なっております。
 特殊寝台、床ずれ防止用具等については、要支援者及び要介護1では、貸与については、原則対象外としておりますが、末期がん等により、短期間のうちに日常的に起き上がりが困難となることが確実に見込まれる場合等は、対象外の用具についても給付を可能としているところです。
 なお、福祉用具貸与の利用期間に関する条件は定めておりません。
 続いて、第1回検討会での御意見では、末期がんのように、急に病状が悪化するおそれがある、また、退院・退所直後で生活状況が安定していない、後期高齢者、軽度認知症の方など、いわゆる軽度者とされている要支援・要介護1であっても、介護保険施行時と比較すると状態は多様になってきており、制度改正が及ぼす影響も考慮して、医療職からの判断、評価、情報共有等も含め、慎重に検討すべきではないか。
高齢者は状態が短期で変わることが多く考えられるため、導入時と導入後の定期的な福祉用具の適合確認が必要となるといった御意見がございました。
 次、8ページ、続いておりますが、財政審の資料は36か月使用した例を掲載しておりますが、平均的な利用期間はおおむね1年程度であること、一方、2年以上使用している人も一定数いることも踏まえ、状態の維持等、福祉用具が果たしている役割を検証できればよいといった御意見がございました。
 続いて、関連するデータです。福祉用具貸与の長期貸与となる主な理由に関して、要介護度が低い場合は被介護者のADLの維持・向上や生活範囲の維持・拡大のため、一方、要介護度が高い場合は介護負担軽減や介助者の希望により貸与継続を希望する傾向にあり、短期貸与となる主な理由に関しては、要介護度が高くなると入院・入所などを理由とする割合が高くなる傾向がある。
 また、福祉用具1種のみを長期、3年以上を長期としておりますが、貸与されている方については、開始時の要介護度が現在も維持されている割合が約50%と、他のケースより高く、長期にわたり使用されている用具について、他サービスを利用せずに福祉用具を1種目のみ貸与され続けている方の場合、手すりと歩行器がそれぞれ30%、複数種類や他のサービスを利用している場合は車いすや特殊寝台の割合も多くなっております。
 福祉用具の借り換えが落ち着くまでの期間については、ケアマネージャーも福祉用具専門相談員も大半は1か月と回答している割合が多くなっております。
 同一商品の利用期間について、歩行補助つえ、手すり、歩行器、スロープのいずれの種目においても、30か月以上利用している要支援の方が要介護者よりも多いことが確認されております。
 続いて9ページをお願いします。福祉用具貸与を利用している方の1年間の要介護度の変化について、福祉用具貸与と居宅介護支援のみの方の場合、介護保険サービス全体の利用者よりも維持・改善の割合が高くなっていることも分かりました。
 福祉用具専門相談員が行っている福祉用具の使用に関するモニタリングの状況では、使用中の福祉用具種目数について、要支援1、2の方は1種目のみが56.9%、福祉用具専門相談員が行うモニタリングにおける滞在時間は、要介護度が高くなるにつれて平均時間が増す傾向があることも明らかとなっております。
 以上のことから、利用者の状態を踏まえた対応について、特に御議論いただきたい点は、要介護状態区分で重度とされている方と軽度とされている方や、要介護状態の軽度・重度にかかわらず、状態が安定していないと考えられる方がいることなど、様々な利用者の状態が考えられることや、医療機関等について、医療職との連携等も含めどのような点に留意して、貸与と販売の種目のあり方の議論を進めるべきかとさせていただきました。
 10ページを御覧ください。3点目の「福祉用具の使用に関するモニタリング・メンテナンス等」についてでございます。
 現況としまして、福祉用具貸与事業所、特定福祉用具販売事業所の福祉用具専門相談員等は、介護支援専門員が作成したケアプランを踏まえ、要介護者等と面接等を通じて状態を把握し、対象者に応じた貸与・販売計画を作成、実際に貸与・販売する用具を決定しております。
 また、福祉用具貸与事業は貸与した用具について、利用者等からの要請に応じて、使用状況の確認、使用方法の指導・修理や、貸与計画の実施状況の把握、計画の変更等が指定基準で規定されておりますが、特定福祉用具販売についてはこれらの規定がないところです。
 ただし、一部の特定福祉用具販売事業者においては、福祉用具貸与も利用している場合、定期的な訪問の際には販売用具も一緒に確認しているほか、令和4年4月より特定福祉用具販売の種目として追加される種目については、販売後も支援が必要と見込まれるなどの場合は、販売後の定期的な訪問や相談対応を求めているところでございます。
 なお、貸与後のモニタリングやメンテナンスの頻度等について国の規定はなく、個々の事例に応じて現場の判断によって実施されているところです。
 第1回検討会の御意見でございますが、福祉用具専門相談員が適切に定期的な支援を行い、要介護者等が自宅で自立した生活を送ることができていることから、福祉用具専門相談員の支援は必要なものである。
 また、身体状況の変化によって、通路等の変更の必要が生じる場合、手すりの設置変更、つえ、歩行器は転倒を防ぐためにキャスターなど消耗品の不具合の確認など、福祉用具専門相談員の定期的な確認が必要である。
 福祉用具専門相談員による適合確認やモニタリング等が適正に実施されず、適切でない用具が給付されると状態の悪化を招くことになることから、この点を検討することは適正化施策に通じるものがある。
 続いて11ページです。特定福祉用具販売における修理、交換、メンテナンスにおいても、指定基準で規定することの必要性について検討するべきではないかなどの御意見がございました。
 関連するデータです。福祉用具専門相談員等が行っている福祉用具の使用に関するモニタリングの実態としまして、不定期訪問のモニタリングは全体の5~10%、定期的なモニタリングについては6か月~9か月ごとに実施していることや、モニタリングの実施により福祉用具の使用状況について変化の発生を確認、把握したのが20~30%、また、指導を行ったのが30~40%、用具の適合調整を実施したが15%という結果を得ております。
 また、用具によって確認すべき使用状況や住環境の状況が異なり、起き上がりや屋内歩行など基本的動作の変化についても確認していたり、ヒヤリ・ハットへの有無についても確認しており、安全に対する注意喚起を行っているほか、機器の使用について指導を実施していることが明らかとなりました。
 さらに、貸与された福祉用具以外に販売された福祉用具を使用している場合、約半数程度は自主的に使用状況の確認をしていることも明らかとなっております。
 12ページを御覧ください。以上のことから、「福祉用具の使用に関するモニタリング・メンテナンス等」について、特に御議論いただきたい点は、現行制度では、貸与の場合、用具の貸与後も使用状況の確認、使用方法の指導・修理や、貸与計画の実施状況の把握、計画の変更等が指定基準で規定されているのに対して、販売の場合、用具の提供後にこのような支援を行うことは規定されておりません。福祉用具専門相談員等が行う利用者に対する福祉用具の使用に関する支援について、今後の取組としてどのようなことが必要と考えられるかとさせていただきました。
 13ページを御覧ください。4点目の「介護支援専門員による支援」についてでございます。
 現況としまして、介護支援専門員はケアプランの作成をはじめ、サービス担当者会議の開催、ケアプランの実施状況の把握(モニタリング)や変更、各事業者等との連絡調整等を実施しております。
 福祉用具購入費の支給対象者は居宅介護支援の対象外となっているため、他の介護保険サービスを受けていない場合は、ケアプラン作成の対象外である。一方、既にケアプランを作成されている場合はケアプランに位置づけた上で、特定福祉用具販売計画も共有されることになっております。
 居宅介護支援における介護支援専門員の訪問回数について、指定基準では、1か月に1回以上としていますが、介護予防支援の指定基準では訪問回数について、3か月に1回以上とされておるところです。
 居宅介護支援の基本報酬は利用者の要介護度や取扱件数に応じて定められており、介護予防支援の基本報酬については、要支援度や件数にかかわらず同額となっております。
 なお、令和3年度春の財政審の建議では、福祉用具貸与のみのケースの報酬引下げを言及されているところです。
 第1回検討会の御意見についてです。ケアプランは介護保険サービス以外のインフォーマルサービスも含まれており、実際のモニタリング以外の場面でも細かな連絡調整も行っているので、福祉用具貸与のみだからといって、ケアマネジメントに係る業務負担が一概に少ないとは言えないのではないか。
 毎月のモニタリングを通して、常に利用者の状態を最新の情報にアップデートしていることで有事の際にも迅速に対応できるものであり、ケアマネジメントプロセスについては、養成された専門職が実施すべきである。
 続いて14ページになります。介護支援専門員等によるアセスメントやモニタリング等が適正に実施されず、適切でない用具が給付されると状態の悪化を招くことがあり、販売の場合、介護支援専門員が用具の交換を勧めても利用者は使い続ける可能性がある。福祉用具貸与のみの場合は、介護報酬を引き下げるとした場合、必要性が不明な他のサービスを加える可能性も考慮する必要がある。
 福祉用具貸与のみの場合のアセスメントやケアプランの作成、モニタリングや給付管理など、ケアマネの業務がどのようになっているのか、他の利用者との差が大きくあることはないのか、また、ケアマネの方が外部圧力によりサービス利用を求められたケースが約4割、必要のない福祉用具等によってケアプランを作成したケースが約15%あるという指摘もあるが、どういう状況なのか、チェック機能はないのか、このような点も議論していく必要があるといった御意見がございました。
 関連するデータでございます。介護支援専門員が福祉用具貸与のみを判断する要因として多いのは、他のサービスの必要性がない、あるいは利用者や介助者の希望、利用者の介護拒否などであり、様々な状況等を勘案し、多職種協働、連携の上で総合的に判断していること。
 福祉用具貸与のみの者に対するモニタリングで特に重視している点は、利用者の状態の変化、利用者の新たな生活課題やケアプランの変更の必要性と回答している割合が高くなっております。
 続いて15ページになります。また、介護支援専門員は、貸与される製品について、具体的な種目の種類や利用者や家族の希望する用具を福祉用具専門相談員に伝達していることや、福祉用具専門相談員の提案の妥当性を判断する際には、身体機能や認知機能に応じた種目や種類の選択になっているか等であり、想定する用具と異なる場合には、福祉用具専門相談員と意見交換し、その結果をケアプランに反映する等、適宜、提案の妥当性について判断し、必要な協議を実施していることも明らかとなっております。
 以上のことから、介護支援専門員による支援について、特に御議論いただきたい点は、介護支援専門員が行っているケアマネジメント等の実態を踏まえ、現行制度では福祉用具貸与の場合、ケアプランに位置づけられた上で介護支援専門員による支援が行われますが、特定福祉用具販売の場合、他の介護保険サービスを受けていないとケアプランに位置づけられないため、介護支援専門員による支援がなされないなどの違いがありますが、特定福祉用具販売のみの場合、介護支援専門員による支援がなされないことについて、どのように考えるか。
 2点目、福祉用具専門相談員は福祉用具を中心とした支援を行うとともに、介護支援専門員は生活全般に関する支援を行っていると言えるが、それぞれの職種の連携について、どのように考えるべきかとさせていただきました。
 16ページを御覧ください。5点目の「経済的負担」についてでございます。
現況としまして、現行制度では福祉用具貸与の期間について、制限は設けられていないが、期間が長期になれば販売価格を上回る点については、過去の検討会等で従来から指摘されておるところですが、貸与期間が短くなれば、販売よりも安価に抑えることができる点についても同様に指摘されているところです。
 少しはしょりますが、福祉用具貸与価格には、メンテナンス・モニタリング等の福祉用具専門相談員の支援に要する費用も含まれております。また、貸与でなく購入を希望する方に対しては購入を選択できるようにすべきという提案については、従来よりある意見でございます。現行制度では、用具の種目によって貸与・販売が分類されているので、利用者の意思、事業者の提案等によって選択することはできません。
 第1回検討会の御意見でございます。購入した場合の定期的なモニタリングやメンテナンス等も重要ですが、利用者の意向や負担の状況等を踏まえて、貸与と販売の選択制も検討の余地があるのではないか。
 給付費の適正化に関する取組は一定の成果を上げていることから、販売への移行や購入の選択肢も議論すべき時期に来ているが、検討に際しては、貸与と販売とでは給付費の支払い事務が異なり、販売の方が市町村における事務負担がより重くなってくる点についても留意すべきである。
 続いて17ページ、意見の続きでございます。福祉用具が状態に合っていない方にも給付されてしまうと、状態の悪化を招くことになるので、必ずしも販売のほうが経済的負担少ないというものではない。
 施設サービスや居宅の人的サービスと比較して、福祉用具貸与は少額で多くの人が利用しているため、給付に要する費用全体を抑えることができる点がメリットと考える。
 また、貸与から販売への移行の検討に際して、介護保険制度の基本的な理念は変わらないことを踏まえることや、財政面のみならず、家庭や社会的全体に及ぼす影響に関する検証等をすべきではないかといった御意見がございました。
 関連するデータでは、福祉用具貸与の利用期間について、同一商品の貸与期間の中央値としましては、歩行補助つえ11か月、手すり12か月、歩行器9か月、スロープ6か月。一方、2年以上使用している利用者は25~30%いらっしゃる。これは平成23年度検討会報告と比べ、割合は上昇しております。
 また、同一商品の利用期間については、歩行補助つえ、手すり、歩行器、スロープのいずれの種目においても、30か月以上の利用者は、要支援の方が要介護者よりも多くなっております。
 以上のことから、経済的負担について、特に御議論いただきたい点は、長期利用者の場合には、貸与より購入のほうが安く済むという意見についてどのように考えられるか。経済的負担の観点から、貸与・購入の選択を可能とすることについて、どのような利点や課題があると考えられるかとさせていただきました。
 資料2の説明については以上でございます。

○認知症施策・地域介護推進課長
 推進課長でございます。引き続き、居宅介護支援等につきまして、推進課長より御説明させていただきます。
 参考資料4を御覧いただけますでしょうか。今、長倉のほうから御説明した前回の御意見の中でもございましたけれども、様々な御意見をいただいております。前回の検討会の最後に私のほうから少し御説明させていただきましたけれども、少々お時間をいただきまして、御説明させていただきます。
 1ページ目でございます。御案内のとおりかと思いますけれども、居宅介護支援専門員でございますけれども、要介護者等からの相談に応じまして、その心身の状況等に応じて適切な介護サービスを利用できるように、市町村、サービス提供事業者、介護保険施設等との連絡調整を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的な知識及び技術を有するとして、介護支援専門員証の交付を受けた者ということが介護保険法に規定されているところでございます。
 資格取得・研修体系でございますけれども、受験要件は、保健・医療・福祉に関する法定資格に基づく業務または一定の相談援助業務に従事した期間が通算して5年以上の方でございますが、右下に矢印がついておりますが、まずは、実務研修受講試験を受けていただいて、その試験にパスすると実務研修87時間受けていただいて、登録して、専門員証の交付を受けて事業も実施していただくということでございますが、有効期間5年ございまして、更新する前に更新研修というものを、88時間、1回目でございますけれども、2回目の更新からは32時間受けていただくというようなものになってございます。
 2ページ目でございます。居宅介護支援と介護予防支援、これも念のためでございますけれども、居宅介護支援につきましては、要介護者が居宅サービス等の適切な利用ができるようにということで、事業所には介護支援専門員を1人以上配置するということ、管理者も配置するということが基準として定められているところでございます。
 下半分の介護予防支援につきましては、居宅の要支援者が介護予防サービス等の適切な利用ができるように、市町村が設置する地域包括支援センターが介護予防サービス計画等を作成し、関係者との連絡調整を行うといった違いがあるわけでございます。
 3ページ目でございます。「ケアマネジメントの流れ」でございますけれども、左のほうから、解決すべき生活課題と可能性を把握する、心身機能の低下の背景・要因を分析する、生活上の支障・要望などに関する情報を収集する、利用者の置かれている状況の把握をする、そういったことで、生活の将来予測をした上で、ケアプランの原案を作成いたします。
 このケアプランの原案には、法令上、法定の給付以外にも、インフォーマルサービスについても位置づけるように努めなければならないとされているところでございます。原案につきましては、真ん中にございますように、サービス担当者会議を開催いたしまして、ケアプラン原案について専門的な視点で、多職種連携のもとでたたいてもらうということで、それを踏まえて利用者への説明、同意を得てプランを決定するということでございます。
 この担当者会議でございますけれども、主な出席者は、黄色に書いてございますけれども、本人・家族、サービス提供責任者、管理者、各サービス事業所担当職員のほか、地域包括支援センター、さらには民生委員とか、そういった方々も参加するというようなことでございます。
 サービス提供後、給付管理をして、モニタリング評価、生活の将来予測に基づく再アセスメントということで、要介護者の場合には1か月に1回以上訪問、要支援者の場合には3か月に1回以上訪問ということで、これは法令に基づいてこういったプロセスを経るということになってございます。
 4ページ目でございます。どういった項目についてケアマネさんがアセスメントしているのかということでございます。厚生労働省のほうで課題分析標準項目というものをお示ししてございます。これに限るものではございませんけれども、上半分にあるような基本情報のほか、アセスメントに関する項目として、ADL、IADLをはじめとした状態、さらには、15番にある社会との関わりであるとか、21番にある介護力、22番目、居住の環境、23番目、虐待とかターミナルケアとか、そういった特別な状況、こういったものを幅広くアセスメントするということでございます。
 5ページ目はサービス担当者会議の出席者のデータでございますのでスキップさせていただきます。
 6ページ目です。ケアマネージャーによるモニタリングであります。1か月に2回以上の頻度でモニタリングを行う割合を見ると、1~2割未満、または2~3割未満と回答した事業所が合わせて67.4%、2回目以降の訪問以外の方法でモニタリング頻度については、電話やSNSでの話し合いが平均で15.2回、その他の方法でのモニタリングが平均5.0回ということでございました。
 介護報酬でございます。7ページ目であります。左半分が基本報酬でございまして、一番上の左上の居宅介護支援費、例えば要介護3、4、5であれば1398単位/月ということになります。左下でございますけれども、要支援者の介護予防支援につきましては、438単位/月ということでございます。
 そのほか、右側には様々な加算がございます。その中で前回御紹介したのは赤の点線で書いてございますけれども、特定の事業所を位置づける場合に減算があるということでございまして、それが8ページ目でございます。特定事業所集中減算というものでございます。
 ケアマネ事業所が作成するケアプランについては、サービスが特定の事業者に不当に偏ることがないようにすることが求められているということで、その事業所の利用者に対して作成するケアプランにおいて、特定のサービス事業所に集中する正当な理由がなく集中割合が80%を超える場合に報酬を減算する仕組みでございます。この対象サービスには福祉用具貸与も含まれているということでございます。ちなみに、そのほかは訪問介護と、あとは通所介護(地域密着型含む)になります。
 9ページ目でございます。報酬とは別途、省令の基準上に前6か月に作成したケアプランにおける各サービスの利用割合や各サービスごとの同一事業所によって提供されたものの割合、これについて、利用者にまずは説明するとともに、介護サービス情報公表制度において公表することを求めるといった改定を令和3年度の報酬改定で行わせていただいております。
 10ページ目でございます。先ほどの報酬の話でございますけれども、これは前回お示ししたものですけれども、左側が居宅介護支援費で計算した場合で、右側は介護予防支援費で計算した場合ということで、左側がスポットライト当たることが多いわけでございますけれども、介護予防支援費で計算するとこのような結果になるということでございます。
 11ページ目でございます。介護保険法に基づいて地域支援事業というものを市町村が行うことになっております。そのメニューの中で介護給付費等の費用適正化事業というものがございまして、その中で、赤で囲っておりますけれども、ケアプランの点検というものがございます。介護支援専門員が作成した計画、介護予防サービス計画の記載内容を事業者からの提出または事業所への訪問調査等により市町村職員等の第三者がその内容等の点検及び指導を行うということで、特定のサービスに偏っているかどうかということも、このチェックの視点ということで厚生労働省のほうからお示ししているところでございます。
 12ページ目でございます。地域ケア会議、こちらにつきましては、多職種協働による個別事例の検討や地域課題の把握を推進するという観点から、市町村が介護保険法に基づいて行うように努めなければならないというものでございます。この個別ケースのチェック、さらには地域課題の把握、そういったプロセスもあり得るというものでございます。
 13ページ目でございます。先ほど、法人上司からの圧力により自法人のサービス利用を求めるというのを見たり聞いたりした割合が4割というデータもあるということでございますけれども、私どもが調査しているものでございます。上は30年度の調査でございますが、自法人の系列のサービスの利用、必要性を超えて推奨したことの有無について、一番上、居宅介護支援事業所であれば、「ある」が8.1%、「ない」が90.2%ということでございました。28年と30年ということで比較してございます。
 下の段は令和元年度の調査でございまして、居宅介護支援事業所であれば、赤囲いしてございますけれども、「ある」が6.0%ということでございます。
 ちなみに、これは自法人への集中ということでございまして、回数とか、あとは提供時間とか、そういったものを必要性もないのに位置づけたかどうかということも聞いておりますけれども、そういったものが「ある」といったものは125件のうち26件ということでございましたので、全体で言えば1.2%程度ということになろうかなと思います。
 最後に14ページ目でございます。前回の検討会においても、居宅介護支援事業所の経営状況についてのお尋ね、御指摘がございました。居宅介護支援事業所につきましては、ずっと収支差がマイナスということでございます。右に、令和元年度の決算、△1.6%と書いてございますけれども、全サービスの平均が2.4%でございます。事実関係でございます。
 以上でございます。

○高齢者支援課長
 続きまして、本日、事務局からの説明に加えまして、小野木構成員と田中構成員からも参考となる御資料をいただいておりますので、まず、小野木委員から御説明いただき、引き続き田中構成員から御説明ということでお願いしたいと思います。

○小野木構成員
 ありがとうございます。それでは、私のほうから私どもの資料について説明させていただきます。
 これは日福協、私どものほうの協会が平成28年に調査した資料であります。どういう資料かといいますと、軽度の方々が福祉用具を使われている、それをもしも使わなくなった場合にどのような行動に出られるか等々を調べた資料です。100事業所に対して500人の方々にアンケート調査をさせていただきました。
 結論をお話ししますと、まず、3ページを開けていただけますか。
 これの左の上の棒グラフがあるのですけれども、これは軽度の方々が、車いす、歩行器、多点つえ、手すり等々を使う前には、転倒の経験がありましたかという質問をします。結果として、手すり等を使われている方が、それを使う前は、85.3%の人が転倒の経験がある、多点つえで64.7、歩行器で71.7ということで、大半の方々が転倒の経験をしたというデータが出ております。
 そして、我々の福祉用具を軽度の方が使うことによって、転倒の不安や困難さが軽減されましたかという部分で出ているのがこの下の部分で、ほとんどの方が、95%から86%という形で転倒のリスクが減ったということで、転倒のリスクは大幅に軽減したという効果がこれで出ております。
 ここで少しお考えいただきたいのは、私どものほうはこのときにはもうレンタルしか考えておりませんでしたけれども、で、このような調査をしているのですけれども、我々のほうが現場のほうで聞く話は、軽度な方々は、自分は元気だと思われているのですね。福祉用具を購入という形になりますと、「購入するなら、おれは要らん」と言われる方々が多いのですね。
 そんな中で、取りあえず、例えば手すりですと、10万円のものが、本人負担1万円で買うことができるかもしれませんけれども、1か月500円で借りられるのですね。取りあえず500円で借りられるので、だめだったら返せばいいのだからという形で使われるから、この手すり等々が導入できているのですね。これがもしも購入だけという形になりますと、「そんなの、おれ要らん」というふうな部分で使われない可能性がある。そして、もしも使われない場合は、御本人さんは、あるいは家族の方々はほかのサービスを求められる。ほかのサービスを求めた場合が次の4ページに載っております。
 結論から言いますと、福祉用具の手すり等を使わずにトイレに行くとか、あるいはお風呂に入るとか、料理をつくるとか、洗濯をするとかいうことを、もしもヘルパーさんに頼むとか、入浴サービスを頼むとか、ほかのサービスを使った場合にはどれぐらいのコストがかかるのかという部分で、低位推計、高位推計となっていますけれども、どちらにしましても、福祉用具を利用する場合には、年間ではこれらの商品、1,130億円になっていますけれども、もしもそれをほかのヘルパーさんとかで使いますと、2,500億円、あるいは高位の場合には4,686億円ということで、大幅に介護コストはかかってしまう。
 先ほど20万円ということで、3年以上使う人は大変高いというのが出ましたけれども、でも、もしもそこの部分で販売だけとなりますと、販売の部分に対して、もう私は使わない、そうすると、ヘルパーさんとか使わなければいかんという形になれば、かえってそちらのほうが介護コストは余計にかかってしまうということが我々の調査で出たということです。
 もう一つ言えますことは、5ページにありますけれども、例えば、この上の部分でちょっと小さくて見えないのですけれども、歩行器を居宅内で使われている方々が、もしも歩行器が使えない場合は、掃除、洗濯、食事、入浴、洗面という部分は介助を依頼する。一方で、掃除等々については、何とか時間をかけても福祉用具なしで対応するということですけれども、外で歩行器を使われている方々は、例えば文化的な活動はほとんど諦めるということが言われています。結果として、本来ならば、歩行器を使えばいろんな自分がやりたいことができたけれども、それを諦めるという部分で屋内にとどまる、結果としてフレイルが進むという部分で重篤化が進むということが見て取れますので、やはり我々の福祉用具のレンタルという部分が効果を出しているということを表しているのではないかということで、この資料を出させていただきました。
 以上です。

○高齢者支援課長
 では、田中構成員からの御説明を引き続きお願いします。

○田中構成員
 よろしくお願いいたします。
 資料2、論点1の15ページ、特に御議論いただきたい点に関係しますが、御意見として提出させていただいた内容を御説明させていただきます。
 第1回の御議論を踏まえまして、現場で実際にケアマネジメントを行っている中での経験を踏まえ、福祉用具のみのケアプランについての実情や傾向を御紹介したく、実際の事例の概要を以下のとおり、御意見として申し上げさせていただきます。
 こちらに記載のとおりでありますが、福祉用具のみのケアプランになりやすい御利用者様の傾向としましては、ケアマネジメントは、利用者の意向、心身の状態や生活環境等、様々な状況を勘案しながら、ケアマネジメントとしてアセスメント・モニタリング等を行っていることから、一概には言えませんが、これまでの経験を踏まえますと、このような御利用者様の状況が傾向として言えるのではないかと考えております。
 例えば同居の家族はいるけれども、配偶者も高齢でありまして、判断能力の低下や持病を抱えているが、現時点では何とか介護を行っておりまして、本人は進行性の疾患であるため、予後不良と言われているが、まだ何とか自宅内動作や近隣への外出はできているため、有事の際に は迅速に介入できるように頻繁に連絡を取り合っており、経過観察しておりまして、ただ、結果として、給付としては福祉用具貸与のみとなっており、入退院や外来通院の際には必要に応じて医療機関へ同行したり、連絡を取り合っているようなケースもございます。
 また、精神疾患を患っておりまして、他者が自宅内に入ってくることに対して非常に拒否的であり、福祉用具貸与によりまして住環境を整え、車いす貸与等を利用して通院を行っている。モニタリング訪問を通じて本人の精神的な訴えに対して傾聴を行い、精神面での安定を図っているほか、訪問以外の場面でも頻繁に連絡を取り合っているようなケースもございます。
 また、認知症がありまして、独居にて生活を送っている。服薬管理ができずに訪問介護等により服薬確認、服薬介助を行ってきましたが、他者の介入に対して拒否を示し、訪問介護の支援を断ってしまい、さらには、訪問診療、訪問薬局も介入しているが、こちらも拒否が見られており、いつ終了するか分からないような状況にある。一人で外出してしまい、転倒により再骨折、再入院となり、都度病院と連絡を取り合っている。
 こちらのケースなども、福祉用具のみで給付がつながっているような状況もございます。
 上記の事例に対しても、結果として、福祉用具のみのケアプランであっても、毎月のモニタリング訪問においては、利用者の詳細な状況の確認、状態の変化、生活環境など、また、家族、親族との関係性、対面でないと把握できないことがあるなど、多くの配慮が必要でありまして、具体的には、以下の点について把握するようにしております。
 具体例としまして、居室の環境ですね。実際に訪問させていただいて、室内の散乱状況、床、じゅうたんの状況、転倒しやすくないかとか、ごみがたまっていないか、ごみがそもそも捨てられているか、居室内のにおいはどうか、机や冷蔵庫の上に賞味期限切れのものや、同じようなものがないか、あと、詐欺のような不審な手紙がないか、あと、居室内だけではなくて郵便受けなども確認しておりまして、何か手続が滞っているものがないかどうか、新聞がきちんと取れているかどうか、現在であれば、コロナワクチンの接種状況なども確認しております。
 居住の状況、居住の周辺環境では、例えば工事中による騒音であったり、生活物資の確保のための近隣のお店が例えば閉店していないかとか、あと御本人の状況としては、皮膚の状態の確認、むくみ、体温、顔色、声のトーン、残薬の確認、医療機関への受診状況、口腔内の状況等、対面でないと確認できないことを把握しております。
 さらに、対面による信頼関係で引き出される御本人の本音であったり、意向に隠された、真のニーズと言ったりもしますけれども、そういったものを把握するように努めております。
また、昨今では、仕事と介護のバランス、介護離職がないように、介護負担の状況を把握していたり、本人の前では話せない家族の本音、身体拘束や虐待に発展しないかの確認、また、ヤングケアラーがいないか等の確認なども行っております。
 次のページ、お願いいたします。そういったことを踏まえまして、現在では、福祉用具のみのケアプランの利用者が、行く行くは、福祉用具に加え、複数のケアプランに移行するケースなどを挙げさせていただいております。現在は認知症等があり、とじこもりがちになっており、家族からも外出をしてほしいと言われておりまして、デイサービスなどの利用を勧めておりますが、本人の拒否もあり、なかなか利用に至らないが、ケアマネージャーが粘り強く説得をすることで徐々にほかのサービスが導入できるようなケースであったり、御本人は病識が乏しく、実際のADLと本人の状態に乖離がありまして、転倒を繰り返しているようなケース。リハビリテーション等の必要性が理解できずに、福祉用具のみにより環境整備を行っていることで何とか転倒予防を図っており、こちらも説得を続けることで徐々にリハビリテーションの介入など行えるようなケースがあるかと思います。
 上記の事例に関しても、結果として複数のサービスのケアプランに移行するようなケースであっても、当然、利用者の自立支援、重度化防止の観点からケアマネジメントを行っております。
資料の説明は以上になりますが、先ほど笹子課長のほうからも御説明ありましたが、現行、実務者研修や更新研修等でも、福祉用具貸与であったり、リハビリテーションなどの研修を行いまして、多職種協働、医療職をはじめとした多職種連携についてのポイントを学んでおります。
 また、先ほどケアプラン点検のお話もありましたが、福祉用具だけのケアプランであったとしても、ケアプラン点検の実態を把握して、今後どういったことができるか、ケアマネ自身も問題意識を持って取り組んでいくことが重要と考えられます。
 私の説明は以上となります。

○野口座長
 事務局様及び小野木様、田中様、資料の御説明、どうもありがとうございました。大変有益だったと思います。
 議論に入る前に、簡単な御質問、御確認事項とかありますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、先ほど事務局様から御説明のあった資料2に基づいて議論をしていきたいと思います。資料2のほうに書かれております特に議論いただきたい点、あるいは関連するデータについて、少し踏み込んだ議論に向けて御意見を伺いたいと思います。
 本日は、前回の会議で挙げていただいた1番、現行制度における福祉用具貸与と特定福祉用具販売の考え方の再整理と必要性について、着目すべき論点として、事務局様が整理していただいた5つの点について御意見を伺いたいと思います。
 議論の時間の都合上、御発言の際は、5つのうち、どの点についての御意見か、あるいは御質問かを先に明示していただいてお話をしていただければと思います。また、できるだけ多くの構成員の皆様に御発言をいただくために、複数の論点について発言を希望される場合、例えば5つの論点全てについて希望したいという方もいらっしゃると思いますけれども、一回の発言に当たっては2つ程度の論点として、少し間を置いてか ら、再度挙手していただくようにお願い申し上げます。
 それでは、御発言いただきたいと思います。挙手でお願いします。
 濵田様、よろしくお願いいたします。

○濵田構成員
 よろしくお願いします。
 意見でございますが、5つございますけれども、2つ程度ということで、まず1番の「現行制度における福祉用具貸与と特定福祉用具販売の考え方の再整理の必要性」ということで、資料2の6ページでございますが、福祉用具も介護保険制度開始より多種多様となり、材質や耐久性などの変化、利用者家族の心理的変化、抵抗感も変化している可能性もあるので、改めて制度設計当時の状況と現在の状況を相対的に比較して検討してはいかがかということでございます。
 また、例えば用具なんかでも、リクライニングやモジュラー式車いすなど技術革新があり、大きく価格が下がっているものもありますので、以前、廉価な価格として10万円程度の介護ロボットの開発が奨励されたということも記憶しておりますが、汎用性の高い品目を絞るなどして、廉価な商品開発が促進されるような取組が重要と考えております。優れた商品にはグッドデザイン賞のような一定の評価が行われて普及を促進させる取組が必要ではないかと考えております。
 続きまして、4番の「介護支援専門員による支援」についてでございます。前回の会議以降に、日本介護支援専門員協会におきまして居宅介護支援における福祉用具貸与の単品利用における実態調査を本日締め切りで行わせていただいております。詳細な結果につきましては、次回、分析した上で報告させていただきますが、現在のところでは、福祉用具の介護保険サービスにおきましては、福祉用具の単品利用の利用者でも何らかのインフォーマルサポートの支援や、いわゆる医療ですね。訪問診療や訪問リハビリテーション、訪問看護、あるいは市町村の福祉サービス、その他の支援と組み合わせるケースがほとんどということでございます。
 ただし、具体的な内容としましては、先ほど田中委員から御発言ありましたような内容が多くを占めているということで、この介護保険サービスが福祉用具のみの場合でありましても、ケアマネジメントによって在宅生活が維持できていて、これが困難となると、病院や施設への入院や入居を検討せざるを得なくなる場合もございます。記載のとおり、特定福祉用具販売のみの場合は居宅介護支援や介護予防支援の対象では現在ございませんけれども、もし福祉用具貸与の場合との違いについて相対比較を行うのであれば、両者の利用者、対象者につきまして調査研究を行うなどにより慎重に検討する必要があると考えております。
 なお、福祉用具、今の介護支援専門員、ケアマネジメントの中では、入退院支援、特に退院時の支援というものが大変重要になっておりまして、特に在院日数ですね。これをできるだけ短く済ませると。これは、在院日数が延びますとADLの低下等も指摘されることもございますので、しかし一方で、退院が決定してから実際に退院が行われるまでの期間が非常に短くなっておりまして、もしこれが購入ということになりますと、在宅に帰られる前に福祉用具が間に合わないということで、その間にADLが低下されて、せっかくリハビリテーションで機能が向上したのに、またもとに戻って再入院するという、過去そういうこともございましたので、やはりその辺り、十分留意して対応をお願いできればということでございます。
 それから、資料のところですが、第1回検討会の議事概要ということで、参考資料2の内容がどうも本体資料2のほうに反映されていないようにも見受けられますので、少し議論のバランスが十分なのかなと感じますので、資料2と参考資料の扱い、変わりがないのかも分かりませんけれども、その辺りは十分、大変恐縮でございますけれども、御配慮いただければと思います。
 以上でございます。

○野口座長
 どうもありがとうございました。論点1と4ということでよろしいでしょうか、濵田構成員。

○濵田構成員
 そうでございます。後ほど時間があればまた。

○野口座長
 もちろんです。事務局様のほうから、資料2と参考資料2のアンバランスということでしたが、何か御発言ありますか。

○高齢者支援課長
 基本的には、本体資料であれ、参考資料であれ、第1回の御議論を踏まえて作成、論点を整理したところでございますので、特段、資料と参考資料で差をつけているということはございません。どうしても資料のほうに全てを盛り込む、書き尽くすというのはちょっとできないものですから、そのように見える部分があったということは御容赦いただきたいと思います。

○濱田構成員
 どうも御説明ありがとうございます。

○野口座長
 それでは、東畠構成員。

○東畠構成員
 東畠です。ありがとうございます。では、2点申し上げます。
 まず1点は「現行制度における貸与と販売の考え方の再整理」。これは前回も申し上げたとおり、全く必要だと思います。特に、もう二十数年、介護保険スタートから立っていること。もう一点は、当時と違い、今は、特に在宅介護の中で最も利用されているのが福祉用具貸与であるというだけの利用者が増加していることがあると考えれば、介護保険制度における福祉用具の範囲の考え方、これは参考資料3にありますけれども、この6番の、「ある程度の経済的負担があり、給付対象となることにより利用促進が図られるもの」。この「給付対象となることにより利用促進が図られるもの」というのは、別な産業的な観点から、先ほどのグッドデザイン賞ではないですけれども、そうしたサポートないしは支援によって補われるものであり、福祉用具貸与の範囲の考え方からはやや異にするのではないのかなというのが1点。
 そして、ある程度の経済的負担というのが、今回はまた財務省財政審等々の論点になるかと思っているのですけれども、これがそもそも、経済的負担というのがどの程度なのかというのは示されていない。もしあるとしたら、手がかりとして、特定福祉用具販売の上限10万円ということでしかないというところにおいて、何か今後お示し、事務局としていただけることがあれば、あるいはその6番のところを検討として範囲をどうするかということの考え方から、私個人的には削除してもいいのかなと思っているのですけれども、ということがあるのかなと思いました。
 同じく、考え方の再整理の特定福祉用具販売の他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感。これも、施行二十数年たって、具体的にいうとポータブルトイレとかシャワーチェアというようなものが販売ということになる理由だと思いますけれども、例えば私たちでも、公共機関であったり、あるいは入浴施設、温泉等々であれば、シャワーチェアもありますし、ポータブルトイレではないですけれども、トイレを使うということを考え、また福祉用具貸与についての消毒ということも考えると、そもそも今回の貸与と販売の考え方の整理の前提にあった、この「他人が使用したもの」というところはもう一回考え直してもいいのではないか。具体的に言うと、今後についてはそれが必要なのかどうかということについて検討する時期には来ているのではないのかなと思います。
 2点目のもう一項目だけ、福祉用具専門相談員によるモニタリング・メンテナンス、これも議論項目の3番だと思います。ここの「特定福祉用具販売における修理、交換、メンテナンスにおいても、指定基準で規定すること」、これは私は必要だと思っています。やはり貸与と販売、基本は貸与が軸ではあったとしても、貸与と販売というのはこれまで余りにも指定基準の中で違い過ぎる。しかし、今申し上げたように、ポータブルトイレ等々においても、特定福祉用具販売として売られているわけですから、そこに例えば何らかのフォローが必要ではないかと考える次第です。
 特に調査において約半数程度は自主的に使用状況の確認をしているということが現状として確認されている中においては、特定福祉用具販売においても、修理、交換、メンテナンスということにおいての義務というのは必要なのではないかと思います。
 なお、これはモニタリングとメンテナンスは意味が異なります。メンテナンスはあくまで物の、今申し上げた調整だったり修理だったりということですけれども、モニタリングは専門相談員による状況確認ということになるかと思います。これについては、やはり貸与がPDCAサイクルの中で回しているということを考えると、特定福祉用具販売で義務づけるということまでは難しいのかな。ただし、仮に自主的に行われるというところで、特定福祉用具販売においても、福祉用具貸与計画と一体的に行われていく点についてだったとしたら、状況確認というのも自主的に、あるいは努力義務としてやられているということは望ましいのではないかなと考える次第です。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。1点目と3点目に対する御意見ということです。
 次は、小野木構成員、よろしくお願いいたします。

○小野木構成員
 私のほうも、1点目と3点目についてお話しします。
 1点目の部分ですけれども、私は、廃棄の件についてお話をします。レンタルの場合ですと、業者のほうで再利用しますので、廃棄は大変少ないです。一方で、購入という形になると、御利用者さんが使われなくなったら全て廃棄に回るということであります。
 ちなみに、私どものほうで実はちょっと調べてみたのですけれども、手すりの部分が、我々の会社のほうでは年間で3,000台ぐらいを廃棄しています。これは、返却されても、それをさらに再利用するというような形で使っていますので、廃棄台数は3,000台ぐらいですけれども、一方で、手すりの返却台数は年間で7万台ぐらいあります。だから、23倍ぐらいの廃棄量が、もしも購入にすると出てくるということであります。
 ここの部分については、手すりや歩行器等については金属の部分であったり、あるいはプラスチックの部分であったりゴムの部分であったりいろいろございますので、廃棄コストが御利用者さんのほうにかかるという形になりますし、そこの処分という部分では行政のほうにもそれなりの負担があるということで、今、資源の有効活用と言われていますけれども、残念ながら、そこの部分には逆行するということが言えると思います。
 もっと問題なのは、これが廃棄されればいいのですけれども、これは個人のものになりますので、それが、今個人のものはいろんな形で再販売できています。衣類であったり、かばんであったりですね。オンラインのフリーマーケット会社等に出せば、そういうものが売却できるという話が出てきます。
 10万円の手すりが、御本人さんは、特定福祉用具販売の場合ですと1万円で購入できます。で、2年以内に7割から8割の方が使わなくなるということでございますので、その人たちの中では当然、そこの部分をオンラインのフリーマーケット会社で販売する。もしもそれが3万円か4万円で売れたら、逆に御利用者さんは2万円か3万円もうかるという話になってしまうわけでございまして、これは特定福祉用具販売の趣旨と全然違うのではないかなと。ですから、特定福祉用具販売というのは、本人しか使えないもの、あるいは本人さんがずうっと使うものという部分ですので、2年以内に7割から8割の人が使わなくなる手すりとか歩行器等については特定福祉用具販売には適さないのではないかというのが我々の考えです。
 もう一つ、3番の部分ですけれども、今、東畠先生のほうからもお話がありましたように、我々のほうは、従来の特定福祉用具販売のモニタリングという部分、一部やっておりますけれども、これはほかのレンタル商品があるからこそできている部分でございまして、もしも特定福祉用具販売だけということになると、モニタリングは大変難しいのかなと。個人の商品に対して、我々がそこに訪問して、それをチェックするという部分については相当なハードルがあるかなと思っています。そういう部分で、個人のものに対して国がモニタリングの制度を設けているというのは車の車検ぐらいしかないのではないかと思うのですけれども、それと同じ制度をこの福祉用具の部分で手すりとか歩行器に設けるというのはなかなか難しいのではないかなと。せいぜい、御利用者さんのほうから何か不具合があった場合には私どものほうが訪問させていただいて対応するという部分で、アフターケアという部分ではそういう形ぐらいしかないのではないかなと思います。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。1点目と3点目ということでした。
 岩元構成員、よろしくお願いいたします。

○岩元構成員
 ありがとうございます。2点について申し上げます。
 まず、論点整理の9ページの議論でございます。軽度者、要介護状態の軽重にかかわらず云々ということに対して御意見を申し上げます。これは田中構成員からも御紹介ございましたけれども、現場ではいろんな御利用者さんがいらっしゃる中で、特に私が申し上げたいのは、難病、あるいはがん末期の方の福祉用具の利用実態についてであります。がん末期など、特にターミナルケアにおいては、訪問看護と福祉用具を組み合わせたプラン、ケアプランが多いという実態がございます。訪問看護の多くは介護保険ではなく、医療保険によって提供されている。医師の処方により必要と思われる医療サービスを、1日3回を条件に毎日実施できるというところから、病状の変化に速やかに対応できる体制を整えることができているという実態があります。
 そこに組み合わされる福祉用具は、ターミナルの初期においては身体機能が維持されているケースが多いことから、移動支援の機器が中心になり、急速に進行するに従って、ベッド、床ずれ防止用具といった安楽性を重視した福祉用具に移行していきます。
 看取り期に必要な入浴、排せつ、リハビリなどはおおむね訪問看護によって支援されるということを考えますと、結果として、介護保険サービスは福祉用具貸与のみということになります。えてして、ターミナルで退院されてくる方、場合によっては介護度が軽度で退院され、軽度であっても、例外給付の対象としてベッド等の給付が受けられるという仕組みで在宅の期間を過ごされるという方が多い。こういった方の支援について、軽度だから販売といったような対応、これは困難と言わざるを得ないのだと思います。
 また、田中委員からもありましたけれども、御利用者によっては、人の出入りを嫌う、あるいは人の集まる場所に行きたくないとおっしゃる方、一定数いらっしゃいます。さらに、ここ数年のコロナで際立っていますけれども、通所、訪問系の人的サービスの利用控え、あるいは事業が休止せざるを得ないといった状況がある中で、福祉用具貸与を位置づけたケアプランが成り立っているからこそ、ケアマネージャーによる定期的な訪問、相談、対応によって、身体機能の維持、健康観察等々が行われているという実態について、十分認識しておく必要があるのではないかなと思います。
 この点を考えますと、貸与と販売の種目のあり方の議論をするに当たっては、もし変更した場合に、御利用者、あるいは御家族に不利益が及ばないようにというところをぜひ考えておく必要があるのではないか。まず、1点目の論点であります。
 続いて2点目、「経済的負担」のところです。17ページでございます。長期間利用の場合には、貸与より購入のほうが安い。これは確かに、物に関して、そこだけに注目すればそれはおっしゃるとおりなのですが、果たして導入時に長期利用になるということが決められるのか、あるいは予測が立てられるのか。予測が外れて、購入したけど短期だったときには誰がどう責任取るのだろうかというところが私は気になります。
 福祉用具貸与のみプランと同様に、適切なケアマネジメントのもとで貸与サービスの定期的なモニタリングによる適合確認。適合確認の結果として、福祉用具の単品プランであるということ、あるいは福祉用具が長期に利用されるということ、これが結果として行われているわけでありまして、最初のアセスメントの段階で長期利用になることをあらかじめ想定するということが果たして適切かどうかということに私は疑問を持っております。
 また、長期利用ということの定義は、同一TAISコード、同一商品を継続していることだと理解していますけれども、この点、定期的なメンテナンスが行われている、定期的なモニタリングが行われていることで状態が確認されているということを踏まえると、購入に切り替えた場合に、このチェック機能が失われてしまう。製品故障、不具合、不適合による事故も想定されるということも申し上げておきたい。
 さらに申し上げると、介護DBにおいてサービスの提供開始から同一商品が長く貸与されていると見えるものにおいても、実際には経年劣化、不具合等によって同一商品での入れ替えが行われるというケースも少なくありません。本来であれば、その都度買い換え、あるいはメンテナンスをしなければならないということを考えますと、一概に購入のほうが安いという議論は慎重に行うべきではないかということを御意見として申し上げます。
 以上2点でございました。ありがとうございました。

○野口座長
 どうもありがとうございました。2と5を中心にしながら、1と4にも触れた御議論だったと思います。
 それでは次、久留構成員、よろしくお願いいたします。

○久留構成員
 ありがとうございます。私は、まず1点目の論点について御意見申し上げます。
まず、厚労省のほうの資料の2つ目の丸について、ちょっと確認をさせていただきたいのですが、冒頭に、「特に、廉価とされている福祉用具貸与種目について」とありますが、これは参考資料3の、先ほど東畠委員が御指摘された2ページの6番目のことを言っておられるのかの確認でございます。これまで私が記憶する限りにおいて、福祉用具貸与種目について、廉価を前提としてきた議論はなかったかと思いますが、ちょっと確認をまずさせていただきたいと思います。

○野口座長
 事務局様、いかがでしょうか。参考資料3の2ページ、6番目のことについて、廉価というのはそれを意味しているのかという御質問だったと思います。参考資料3の2ページの6番目の丸でよろしいですよね、久留構成員。

○久留構成員
 確認したかったのは、したがって、資料2の6ページの下の2つ目の丸ですね。「廉価とされている福祉用具貸与種目について」という表現があるので、ここで言っている「廉価とされている」という表現は何を根拠にされているかということが確認したくて、それのための根拠として、参考資料3の2ページ目の6番目のことを御指摘されているのかどうかの確認です。

○高齢者支援課福祉用具・住宅改修指導官
 事務局でございます。
 国のほうから、廉価としたものを定義したことはございません。今回、財務省のほうからそういう御指摘があったことに対しての「されているもの」という表現で表させていただいております。6番ということではございません。これでよろしいでしょうか。

○久留構成員
 はい、ありがとうございます。私も同意見で、基本的には、厚労省はこれまで「廉価」というような表現を用いたことはないかということを1つ確認としておきたいと思います。
 その上で、1についてですが、まず、この福祉用具貸与についての貸与原則について、従来このような表現がされているわけですけれども、介護保険法においては、この上位概念としては、自立支援ということがあるわけですね。自立支援というのは基本的には自己決定と自己実現でありますから、これは我が国の社会保障を貫く概念として全てに導入されている考え方ということで言うと、貸与原則は、まず利用者の状態像が変わるからということだけではなくて、利用者の自己決定と自己実現をかなえるためには、そのときの状況、状況に応じて本人が選べるということを前提にしているということです。
 したがって、この貸与原則は、利用者の状態像の変化だけからスタートしていることではないということをまず確認したいということで、これについては普遍的な概念であろうと思っております。
 改めて整理を行うとするとどのようなことが考えられるかという御下問でございますので、そういう観点で申し上げると、自己決定、自己実現という観点から見ると、貸与か購入かということを選択すること、もしくは、一定期間を経た後に貸与から購入へ変更すること、これも自己決定としてはあり得るのではないかということを考えている次第です。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。1と、あと2について触れられていたと思います。
 それでは、田中構成員、よろしくお願いいたします。

○田中構成員
 よろしくお願いいたします。
 論点5つ目の、福祉用具専門相談員は福祉用具を中心とした支援を行うとともに、介護支援専門員は生活全般に関する支援を行っていると言えるが、それぞれの職種の連携についてどのように考えるべきかということですが、当たり前のところですけれども、福祉用具専門相談員とケアマネージャーはかなり密に連携をとっておりまして、福祉用具を選定する際には、一例として、入院中からリハビリテーションを行う際には、退院後の生活をイメージしながら実際のリハビリテーションを行っているため、退院後、自宅で使用することを想定して、実際に在宅で使える福祉用具を病院に持っていっていただいて、そこを使ってリハビリテーションを行っているということもございます。
 また、退院前カンファレンスに同行していただくこともございます。入院中のため、実際には現実的に給付にはつながっていないのですけれども、病院まで福祉用具を届けていただいて、病院のリハビリテーション専門職と一緒に評価を行って、さらに家屋調査などを通じて現地にも来ていただきながら選定を行っている。さらに退院後、自宅を一緒に訪問して、福祉用具の再評価を行って、使用できないと判断した場合にはすぐに引き下げていただくなど、本当にケアマネージャーとしても申し訳ないと思いながらお願いしていると。体に合わず、無駄打ちになってしまっていることも実態としては多く見受けられるかなと思っております。
 また、退院後、在宅の現場においても、今度は訪問のリハビリテーションなどを利用している方の場合、リハビリテーション専門職が在宅で評価してくださった上で、別の品目を試したいと希望された際には、真っ先に福祉用具専門相談員さんが、例えばデモ品などをお持ちしてくださって、すぐにそれをケアマネージャーに報告していただきながら、また再度同行訪問したり、またはサービス担当者会議の場で使用を検討したりとか、福祉用具選定の際には真っ先に、ケアマネージャーよりも先に訪問してくださっているような実態があろうかと思います。本当にこんなことを言っていいのか迷う場面もありますが、現場では、一回で体にフィットする福祉用具を選定するということはほぼ不可能かなと思っておりまして、何度も何度も足を運んでいただいているのですね。
 さらに、入れた後で使えないといったときには引き下げていただいたり、本当にこの福祉用具ということに関してはケアマネージャーよりも迅速に動いていただいておりまして、さらにリハビリテーション専門職などとも連携を図りながら、実際に在宅で使えるものを選定しているというような連携を図っているかと思います。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。4を中心に、3、2にも若干触れた御意見だったと思います。
 それでは、渡邉構成員、お願いいたします。

○渡邉構成員
 よろしくお願いいたします。私は、論点1と論点5について発言させていただきます。
 まず、論点1の貸与と販売の考え方ですが、原則貸与とし、貸与にそぐわないものを販売としているということですけれども、状態像は変化していくという状況から考えますと、原則貸与に賛成しております。
 販売の考え方ですが、他人が使用したものの心理的抵抗感等々については、東畠委員の御指摘もあったとおり、病院や公衆トイレ等の実情を鑑みると、消毒整備を担保すれば、心理的抵抗感については余り昨今配慮する必要はないのではないかとも言えると思います。
使用によって、もとの形態、品質が変化し再利用できないものについてはつえ先ゴム等、現在、貸与で対応しており、貸与の保守点検として、対応できるものと考えます。
 いずれにしても、現状の、販売での福祉用具がどのぐらい自立支援に資しているのか、貸与から販売形式にすることで、これまで通り自立支援も資しることができるのかという調査の上、判断するべきではないかと考えております。
 2番目の廉価の概念ですけれども、2つのことを申し上げます。1つは、どの程度の価格を廉価とするかということです。今回のデータでは、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえの希望小売価格が示されて、4つを比較して、安いからという理由で、廉価である販売に資するというのはちょっと乱暴かなと思います。他のレンタル商品についても、価格の廉価なものはないのか小売希望価格も踏まえて議論すべき内容だと考えております。
 2つ目は、そもそも価格の低いもの、廉価のものは、介護保険という皆で支え合っている制度では、安いものはやはり自分で負担すべきものという考え方ですから、廉価であるもの、安いものは保険給付の対象になじまないと思います。ですから、例えば希望小売価格が○○円以下は保険給付の対象としないとする場合、価格の下限を決めることになりますが、価格が公的基準に張りついてしまうとか、安くてよい製品の開発や流通を妨げて、ひいては利用者にしわ寄せいくことが課題になると思っています。
 論点5の経済的負担についてですが、長期利用の場合は購入のほうが安いということで、選択制にしてはどうかという御提案だと思いますが、2年以上使用しているものが2~3割いるとしています。これも、手すり、スロープ、歩行器や歩行補助つえでのデータだけが出ていますが、同一商品で見ると、1年以内に5~6割の人が貸与を行っているという状況でもあります。
 要介護者の状況は変化するということを前提にしますと、要介護者等が福祉用具を利用開始するときに個別の使用期間を予測するのは困難と思われます。これは岩元委員の御指摘にあったとおりだと思います。進行性の疾患であれば、使用期間がある程度短い期間となるのは見込めるかもしれませんけれども、専門家が判断しても2年以上使用するだろう、あるいは利用者自身が2年以上使用できるかという予測は難しいと思います。また、購入することを選んだ方へのモニタリング・メンテナンスをどのように提供するかというのも課題になると思います。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。1と5を中心に、2、3にも少し触れられた御意見だったと思います。
 それでは、次は五島構成員、よろしくお願いいたします。

○五島構成員
 どうもありがとうございます。どの論点も、みんな絡み合っていることかなと思ったのですけれども、私のほうは、1と2と併せてと、あと3を中心に話したいと思います。
 皆さん、種々いろいろ御意見いただいて、そのとおりかなと思いながらお聞きしていたのですけれども、廉価な福祉用具ということを厚労省の資料の中で初めて厚労省自身が使ったということで今ちょっと話がありましたけれども、これがメーカー希望小売価格を指しているのか、個々の福祉用具のレンタル料を指しているのかというところはあると思うのですけれども、我々、忘れてはならないのは、今、種々いろいろお話がありましたように、物の価格だけではなくて、レンタルのメリットとしては、必要なものを必要な時に、必要な期間借りられるということ、ここはすごく大きなサービスとしてのメリットがあると思うのですね。
 制度発足当時というのは、状態像に応じて借り換えができるということが基本的な理念であったと思いますけれども、昨今の状況や今回の調査結果を見てみると、安全利用にも寄与しているというところがすごく見受けられるのですね。なかなか、スロープとか手すりを長期利用するのとかいう利用者の予後予測が困難な中で、転倒とか、転落とか、ややもすると医療保険にかからないといけないようなところを阻止したり、あるいは、先ほどケアマネの方からのコメントでは、抑制というか、拒否というような言葉がありましたけれども、拒否というよりは、何とか手すりやなんかを使って自立支援、重度化を防止しようとする表れだと思うのですね。そういったところで機能していると思いますので、論点2の利用者の状態を踏まえた対応というのは非常に重要になってくるのかなあと思います。
 ですから、安易に購入にしたときに、メンテナンスの問題であるとか、安全性の確保をどう図っていくのかというところが非常に重要かなあと考えているところでございます。最初からこの方は間違いなく長期の期間利用するということが、予後の予測がはっきりとできれば、それは購入をして全体の費用を抑えるということはできるかもしれませんけれども、なかなか予後予測ができない中において、本人の自己決定や生活、ライフスタイルというのがあると思いますので、そこら辺を踏まえて考えていかないといけないのではないかなと思っているところですけれども、そうした中で、論点2の9ページのところに、今回新しく加えていただいた、27ページの参考資料を参考にしているあれですよね。1年間の要介護度の変化で見たときに、福祉用具の貸与と居宅介護支援のみの場合のほうが維持の比率が多いというような結果も出ているわけで、先ほどケアプランの話を課長から詳しく説明がありましたけれども、よりそのケアプランを有効に活用しながら、福祉用具プランも立てているわけですので、そこを上手に機能させていくようなことを私は逆に考えないといけないではないかなと思ったところでございます。
 なぜそのような論点になるかというところですけれども、12ページの論点3のところに今度は影響してくるわけですけれども、高齢者の場合、あるいは安全性を確保するためには、身体状況というのは変化してくるわけですね。それに合わせた対応というのは必ず必要だと思うのですね。ですから、メンテナンスとかモニタリングを義務化してやっていくというようなこともあるのですけれども、形骸化したり、レンタル事業者からしてみると、移動コストや人的コストって物すごく大きいわけですね。
 ですけど、今回の令和4年度の4月からの改正の中で、先ほど長倉指導官からも、新しい種目については購入種目についてもそういうことを求めていくという話がありましたけれども、安全性に寄与していくということを考えると、やはりメンテナンスとかモニタリングをケアマネも含めてどうやって確保していくのかということを考える時期に来ているのではないかなと。全てをレンタル事業者がやっていくのか、ケアプラン、ケアマネージャーの方々が1か月に1回とか3か月に1回、支援も行っているわけですので、きちんとその情報を共有して、状態変化に応じて変えないといけないような場合が生じたときには、きちんと維持していくというようなことが必要ではないかなと思ったところでございます。
 最後に、もし購入にいった場合に、先ほど、メルカリなんかで物が流通してしまうのではないかという話がありましたけれども、まさにそこをすごく、粗大ごみとそういうことを、障害の分野でもありますので、懸念するところでございます。逆に、そうなった場合に、自貸与事業者が入れていないもの、利用者が他所から購入した商品をメンテナンスしたりするということは、これは多分本来あり得ないことだと思います。ですから、そうした、例えばビスであるとか、きちんとした配置がされていないものも含めて貸与事業者がメンテナンスをあと追っていくということは多分現実的にはできないことだと思いますので、その辺も含めて購入と販売のあり方をよく検討しないといけないのではないかなと思ったところでございます。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。1、2、3、4についても少し触れられたと思います。
 次、松永構成員、よろしくお願いいたします。

○松永構成員(代理)
 ありがとうございます。日本福祉用具・生活支援用具協会の松永でございます。
 本日、テーマ2つ、テーマ1に関して、まずはお話をさせていただきます。廉価とされている福祉用具云々というところですけれども、福祉用具の利用に関しましては、適時適切な用具の保守点検や、身体状況の変化による機種の見直しと、安全性の確保は言うまでもございません。特につえ、歩行器、手すりなどの移動関連用具に関してですけれども、経年劣化による不具合が転倒事故につながり、利用者が重度化してしまうリスクが想定され、貸与のほうが適していると私どもは考えております。
 一つの事例ではありますが、当協会の歩行器を利用している会員企業の報告によりますと、歩行器に類似している、一般的にはシルバーカーと言われている、販売されている商品になるのですけれども、こちらの修理品におきまして、キャスターの部分が極端に削れてホイールがむき出しになっているものや、未使用時に屋外に放置されて、全体製品の劣化が非常に激しい、誤った使用方法や取扱方法によって安全性が極端に下がっている製品というのが散見されるという報告がございました。このことから、福祉用具販売後のアフターフォローは大変重要でありまして、特に製品の状態に注意を傾ける家族がいらっしゃらない、独居の利用者の方に関してはよりリスクが高くなると考えております。
 そういった面において、福祉用具専門相談員が定期的なモニタリングとメンテナンス及び適時製品の見直しを行う貸与の継続が望ましいと考えております。また、もし販売品目への移行ということになりますと、明確な安全基準を設けないと、安易な価格競争になって、コスト低減が優先された安全性をないがしろにした製品の販売拡大につながりかねないと懸念もしております。
 同じく、特定の利用者にとってはADLの維持向上に必要な機能を無駄な機能として排除される危険もあるのではないかと思っております。昨今、福祉用具の製造は、部材の調達はもとより、人件費の増大などによって製造コストがどんどん上がってきているというのが現状です。この状況で、安全かつ使いやすい製品を適正価格で提供ということであれば、販売価格への転嫁もやむを得ない状況です。となれば、安価とされているつえ、歩行器、手すりなんかも、安価ではなく、貸与の基本原則、個人では購入ができない困難な価格の製品となっていくことも十分予想されるのではないでしょうか。福祉用具の製造事業者は、貸与を前提とした製品やメンテナンスを前提として、部品交換が可能な設計変更をしております。
 しかし、販売が前提となってしまった場合においては、逆に安全性確保のために安易な分解ができないような設計になります。そうすれば、メンテナンスができず、買い換えをせざるを得なくなり、利用者の経済的な負担というのはより一層多くなる、そんな可能性もあると考えております。
以上、安価な製品は福祉用具の貸与から販売への移行は、利用者の安全確保の論点と負担増が予想される懸念が大変多いと思っておりますので、貸与の継続を望んでおります。もし販売への移行、検討を行うのであれば、安全性を確保するための方策、例えばモニタリングや使用期間の設定、現状の販売の上限額なんかもセットで、慎重に検討していくことが必要ではないかと考えております。
 続きまして、テーマ2に関して意見を述べさせていただきます。介護保険における福祉用具の選定と判断基準についてのところですけれども、判断基準は、平成16年、ケアマネージャーさんに向けて使用が想定しにくい状態や要介護度を示すものですけれども、制定当時、今後さらに福祉用具の利用の収集等を行い、検証することによって、福祉用具給付の判断基準の追加や見直しを適宜行っていくとしております。ここについて、さらなる福祉用具の販売、貸与の適正化のために、判断基準についての改正を提案いたします。
 1点目は内容のアップデートです。平成16年から新たに追加された福祉用具もあるので、その用具の掲載が必要です。判断基準内容も事例収集を行い、細分化するなどして見直しを行ってはいかがでしょうか。さらに、福祉用具別の取扱いの注意事項も明記して、リスクアセスメントができるようにしますと利用者への安全向上につながるのではないかと考えております。
 2点目に関しては、判断基準を活用するシステムを再構築することです。判断基準の制定当時、厚労省は都道府県に関してケアマネージャーがサービス担当者会議で活用することや、福祉用具に関する専門的な研修の場においても積極的に活用するように示しております。これをさらに推進していくために、サービス担当者会議や、退院、退所時のカンファレンスなどで、ケアマネージャーが相談員だけでなく、多くの関係者が判断基準をもとに福祉用具の適正導入や注意事項を共通認識できるようにすべきです。そのために研修を再構築し、都道府県で実施し、全国的に普及することができれば、用具が適正に普及される環境が幅広く展開できるのではないでしょうか。
 利用者に福祉用具が適正に選定されているということは安心・安全に利用する環境が整うことです。それにリスクアセスメントが加われば、安全性はより高くなると考えております。ぜひそのような形で御検討いただければと思っております。
 以上です。ありがとうございました。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 東畠委員、一度御発言があったので、初めての方の発言を優先させていただいてもよろしいでしょうか。

○東畠構成員
 分かりました。

○野口座長
 それでは、幸野委員、よろしくお願いいたします。

○幸野構成員
 ありがとうございます。私の場合は1、3、4、5についてコメントさせていただきます。私の場合、制度の経緯とか現場の状況は余り熟知しておりませんので、素朴な疑問を含めて意見を申し上げたいと思います。
 まず、1番目の現行制度における福祉用具貸与と特定福祉用具販売の再整理ということですが、貸与、販売の整理の考え方については、基本的に今までどおり、利用者の福祉用具の適時適切な利用、貸与になじまないものは販売という考え方というのは大きく変える必要はないと考えますが、貸与または購入によってその後のあり方、福祉用具専門相談員のモニタリングとかメンテナンス、あるいは介護支援専門員の支援のあり方に相違があるというのが素朴な疑問として、なぜ相違があるのかなと思っていまして、それは見直す必要があるのではないかと思っています。貸与であれ、販売であれ、その後の支援は同様に安全性を考えると必要で、同一の基準とすれば利用者が、用具によっては貸与か販売かの選択もしやすくなるということから、やはり貸与、あるいは販売であっても、その後の取扱いについては基準を同一にすべきではないかなと率直に思います。
 それから、3番目の福祉用具の使用に関するモニタリング・メンテナンス等についてですが、これも、モニタリングやメンテナンスの頻度に関して、貸与後はおおむね6か月から9か月程度で行われているというデータが示されていますが、安全性やサービスの質の向上の観点から、貸与、販売ともに指定基準はやはりつくっていくべきだと考えます。
 特定福祉用具販売の販売種目についてはモニタリングやメンテナンス等の基準がないということですが、貸与、購入によらず安全な利用というのは共通であるにもかかわらず、購入後の指定基準がないという考え方、制度創設のときにはそれなりの考え方とか根拠があったかと思いますので、その辺について、もし皆さんの中で、あるいは事務局でどういう考え方でこういう相違が出たのかというところをお教えいただければ幸いでございます。
 それから、4点目の介護支援専門員による支援なのですが、これも同様の質問です。なぜ貸与の場合と購入によって違うのか。貸与、購入によらず安全な利用は共通であるにもかかわらず、購入の場合はケアプランの作成の対象外になっているという考え方、それもそれなりの根拠が多分あっただろうと思うのですが、これは素朴な疑問として、なぜ違うのかなという疑問がありますので、これは分かればお教えいただきたいと思います。
 それから、最後の5点目、経済的な負担ですが、利用者の状態に合ったものを使用していくという意味では、借り換えのしやすい貸与が望ましいと考えるのですが、利用期間も様々で、ものによっては長期間使用されているケースも一定数あるというデータも出ております。介護保険財政が厳しい状況の中で、要介護度に関係なく対象となっていて、比較的長期に利用されることが見込まれるもの、また廉価な商品、手の届く商品については、購入後のモニタリング・メンテナンスは貸与と同様にするということを前提に購入に移行するということも考えていいのではないかなと思います。その基準価格をどれぐらいにするかという点については議論していくべきだと思います。
 また、ちょっと別な観点から、貸与、販売の別の考え方として、一定期間長く使用したもの、もしくは貸与の費用の合計額ですね。自己負担額と給付額の合計額が販売額を超えてしまうほど長く使った場合、これについてはその商品は利用者が購入したものと位置づけて、それ以降も使用を継続することは可能なのですが、この時点で自己負担と給付はもう元は取れているので、自己負担と給付はしないと。モニタリングとメンテナンスは一定の実費を取るのですけれども、貸与に関する自己負担と給付はないということも考え方としてはあるのではないかなと思います。
 繰り返し申し上げますが、貸与と購入の選択制については柔軟に患者の方が選べるようにすべきであり、そのためにはやはり、貸与であろうが購入であろうが、その後のフォローは限りなく同じように合わせていけば患者の方も選びやすくなるのではないかと思うので提案させていただきます。
 以上でございます。

○野口座長
 どうもありがとうございました。幸野構成員からは1、3、4、5で、ちょっと根拠について御質問がありましたが、時間の関係で、先に御発言を優先させていただきたいと思います。
 それでは、石田構成員、よろしくお願いいたします。

○石田構成員
 ありがとうございます。私は、端的に2点、論点4と論点5について意見を簡単に申し上げます。
 まず、論点4について、ページでいうと15ページになりますけれども、仮に選択制を想定した場合、特定福祉用具販売のみのケースの介護予防支援については地域包括支援センターの役割や体制の強化での対応ということも考える必要があるのではないかと考えています。また併せて販売について、保険者の事務負担の軽減についても考える必要があるのではないか、そういった意見を持っています。
 次に論点5についてであります。これも選択制とする場合の制度改正の移行について、保険者を含め、被保険者の幅広いアンケート調査など行ってみる必要もあるのではないかと考えます。
 以上、簡単に意見を申し述べました。よろしくお願いします。

○野口座長
 ありがとうございました。
 それでは、江澤構成員、よろしくお願いいたします。

○江澤構成員
 ありがとうございます。
 まず、本検討会は、共助の仕組みである公的保険方式の介護保険において、福祉用具の貸与、あるいは販売のあり方をどう検討するのかというふうに認識をしております。今日の資料の随所に、財政審の建議とかいう表記が複数ございますし、本来こういう検討会は、もちろん財政ありきですが、国民のために、まずは議論を中核として行うべきだと思っています。したがいまして、介護保険の目的である本人の尊厳に応じた自立支援を念頭に置いて、そして、御本人の意思により活動参加、いわゆるADL、IADLの拡大、あるいは社会参加、そのことによって地域共生社会の一員として、誰であっても生き生きと暮らせる、そこがゴールであると考えています。福祉用具を使うことはプロセスであって目的ではございませんので、まずはその目的を共有した上で、何がベストチョイスなのかというのがこの検討会の宿題だと考えています。
 そういった中で、貸与か購入かという議論が全般にわたっておりまして、どの用具の使用者のうち何割が要支援1で要介護1とか、あるいは借り換えの割合が用具によって何%とか、全体の傾向があちらこちらに出ているわけですけれども、我々現場の感覚としては、同じ要介護度の方であっても千差万別であって、要介護者の方が100人いらっしゃると100通りの方がいらっしゃるというのを常々感じております。したがって、御本人にテーラーメードにフィットするふさわしい用具の選択は、ここが極めて重要な論点だと思っています。
 例えば福祉用具専門相談員が退院・退所時のカンファに参加して、医師、あるいは作業療法士等と協働のもと、用具の選択を行うべきとも考えております。実際に昨年度の令和3年度の介護報酬改定におきましても、居宅介護支援における退院・退所加算のカンファレンスの要件につきまして、退院・退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は、必要に応じ福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士等が参加するものと通知に記載されたところでございます。
 併せまして、こういったカンファレンスを円滑に進めるためには、福祉用具専門相談員の方の取得されている資格について、そういったこともまだ国として把握されていないようでしたので、今後必要ではないかなと思っております。
 今日の議論、2を中心に、一部、3について触れたいと思います。すみませんでした。
 続きまして、貸与か販売かという議論がなされているわけですけれども、その前提として、貸与か販売かという前提の判断基準が非常に重要だと思っています。したがいまして、本人の状態の安定性、あるいは障害が固定しているのかどうか、それから、進行性の疾患も多く、医学的な予後予測の判断が不可欠となります。その判断ができるのはやはりかかりつけ医、主治医であります。したがって、医師の判断や指示なくしては貸与か販売か設定するのは極めて難しいと考えています。したがいまして、医学的な所見、判断というものが非常に重要であると思っています。
 障害者においては、我々も日頃よく書きますけれども、障害者のためのいろんな状態とかいろんな評価をして書式を記載しているところでございます。したがいまして、かかりつけ医とかかかりつけ医の指示を受けた作業療法士等と福祉用具の専門相談員の密なる連携が求められると思っています。また、現場の視点からは、リハビリテーションと福祉用具の選択は表裏一体の関係にあります。疾患とか状態の特性に応じて、その方の体重移動、あるいは解剖生理等を考慮して、御本人に適したトランスファーを模索しています。そのトランスファーをサポートするものが福祉用具でありますので、その辺りも含めて専門職との連携が重要だと思っています。
 例えば生活期でのリハビリテーションにおいて、改善が期待できるフェーズは何かと考えますと、いろいろなデータがありますが、一般的には、改善が期待できるのはやはり要支援者、軽度要介護者、あるいは介護サービスの利用開始の当初の期間、それから、感染症等によって一時的に廃用性症候群が急性増悪したその直後、そういったときに短期集中的にリハビリテーションすると改善するというデータはいろいろ示されております。
 一方で悪化するケース、基礎疾患の悪化や合併症の併発に加えて、今日も資料にありますように、がん末期等は当然いろいろ状態が急変して悪化することがしばしばあります。したがいまして、こういった医学的判断なくしては適切な福祉用具選定はできませんので、その医学的な判断、あるいは専門職との連携、それを踏まえた上で御本人の意思を尊重して、御本人の活動参加にどうつなげていくのか、そこがアウトカムだと思いますので、そういったことが極めて重要だと思っています。
 最後に。

○野口座長
 すみません。ちょっと短めにお願いします。

○江澤構成員
 次、3番についてです。まず、いきなりの購入というのはかなりハードルが高いと思っています。特に御本人にフィットして、御本人がちゃんと使えるかどうか、何を思っているかというと、有効性・安全性を検証する期間というのは必ず必要だと思っています。その上で、先ほどの医学的判断等も交えながら、今後どうしていくのか検討するというふうに考えています。
 したがいまして、3番のところですが、モニタリング・メンテナンスというのは当然、貸与と販売が今後どうなるか分かりませんが、いずれにせよ不可欠な部分でありますし、専門職の連携、ケアマネージャーとの連携、あるいは、もし通所サービスや、訪問リハビリテーションサービスを利用している方であれば、そういった専門職との連携が必要だと思います。
 すみません。以上でございます。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、別所構成員、よろしくお願いいたします。

○別所構成員
 別所です。
 論点5についてコメントします。まず1つ目の、購入のほうが安く済むという意見についてですが、今までの話を伺うと、恐らくはメンテナンスを含んだモニタリングの費用が計上されていないというのと、安く上がりそうなケースだけをピックアップして見せているということがあるので、安く済むということが全くないとは言いませんが、ちょっと議論としては乱暴ではなかったかなあと、財審の委員としては思います。
 それで、2番目ですが、貸与と購入の選択を可能にするほうがいいと思います。というのも、先ほどどなたかがおっしゃっていたように、購入後のフォローですね。メンテナンスとかモニタリングを含めた、全く同等に扱うことができるとするならできるようにしてほしいのですが、するなら、購入することと貸与を受けるということは、つまり、一括で買うかローンで買うかの差に多分すぎないので、そこに差をつけるということが意味あるのかどうかがよく分からないという点があります。
 利用者の側からするとそこがよく分からないですけれども、借りているということにちょっと遠慮して、使い方がやさしくなるのか、借りているものだから乱暴に使うのかとか、そういう使い方の差が出るという可能性はもちろんあります。購入するにしても、ちょっと試しで使ってみるとか、いろいろ専門家の方のフォローが入るということだとすれば、お金の払い方について選択の余地がないというのはちょっとどうなのかなという気がします。
 したがって、課題としては、メンテナンスとかモニタリングのフォローアップをちゃんとするということを前提として選択制を入れてもいいのかな、今話題に上がっている用具については、と思います。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 では、安藤構成員、よろしくお願いいたします。

○安藤構成員 
 私は、5の「経済的負担」に関して2つコメントがあります。第一に、1点目の「長期利用者の場合には貸与より購入の方が安くすむ」について、一括払いか分割払いか、つまり一括で購入するか貸与で少しずつ払うかという違いがあります。一括購入の場合、一時点で払わなければならないお金が多いので、例えば年金生活者では使用控え・購入控えの可能性も考えられると思います。同じ支払い金額でも、1回で10万円払うのと3年かけて10万払うのは違うので、そこは注意が必要と思います。
 第二に、2点目の「経済的な負担の観点から貸与・購入の選択を可能にする」に関しては、これは「3.福祉用具の使用に関するモニタリング・メンテナンス等」や「4.介護支援専門員による支援」とも関わってくると思いますが、この論点の本質は、少なくとも財政審の「貸与と購入の費用比較」の資料を見る限り、貸与か販売かというよりも、むしろケアマネや福祉用具専門相談員ありかなしかということだと思います。財政審の費用比較においてあれだけコストが違うのは、結局その部分であり、もし貸与でも販売でもケアマネジメントに係る費用を同じようにつけるのであれば、財政審あるいは財務省としては、むしろこの議論をする意味はないということになる可能性もあるかと思います。つまり、この議論の本質的な部分は、貸与か販売かではなく、福祉用具貸与のみの利用の場合にケアマネや相談員を入れるかどうかというところなのかもしれません。
その観点からすると、今の制度では、何らかの介護や支援が必要な人が福祉用具の貸与サービスだけを使う場合に、それでもケアマネや福祉用具の相談員から一定の人的サポートを受けられるというメリットがあることを認識する必要があります。この人的サポートがなくなった場合、例えば本人や家族の経済的・身体的・精神的負担の増加にもつながる可能性もあります。その部分を無視して、単純に介護保険の目に見えるコストだけで、「ここに無駄があって、この無駄を削減しても誰も困らない」という形の議論に誘導するのはやや印象操作だと思います。
 ですので、福祉用具のみを利用している要支援者・要介護者にも一定程度の人的サポートがあるという今の仕組みがあり、かつ国も孤独・孤立対策を別途進めている状況で、貸与から販売へのシフトという名の下で、ケアが必要な人に対する孤立・孤独対策という側面も有していたケアサービスを削るという流れにはなってほしくはないと思います。以上です。

○野口座長
 ありがとうございました。
 近藤先生がお手を挙げていらっしゃるので、近藤先生で本日は最後にしたいと思います。今日はお時間がちょっとございませんので、東畠先生、次回もこの議論継続させていただきますので、今日は申し訳ございません。
 では、近藤先生、お願いします。

○近藤副座長
 最後なので、ごく手短に申し上げます。
 論点整理の1の資料の5ページのところに書いてある、2年以上使用している方ですね。これは要するに今回のいろいろな御提案のもとになっていると思いますけれども、これがなかなか実際はどういう形の人たちなのか見えていないと思います。なので、TAISコードが同じで、途中で違うものに変わっているかもしれないのですけれども、一応こういった方を把握して、どういった状態の方かというのをきちっと見極める必要、調査が必要になってくると思います。その状態像が、購入の時点、それが2か月になるか6か月になるかはまだ分かりませんけれども、予測できるかどうかということを十分にディスカッションしてからでないと、購入を安易に導入するのは非常に危険な感じがいたします。
 なぜかというと、今まで義肢装具の仕事をしてきて、支給を前提とした供給をしている仕事をしておりますと、状態像が急に変わったときに、そういった新しいものをつくるというのが非常に難しくなる場合が結構ありまして、やはりそこは慎重に、しかも、もう少し詳しいデータをもとにして議論を進めるべきだと考えております。
 以上です。

○野口座長
 近藤先生、どうもありがとうございました。
 私のマネージが悪くて、時間が過ぎておりますが、幸野構成員と別所構成員から出た、貸与と販売でどうして、何が違うのかと。これは法律ができたとき、制度ができたときに何か根拠があったのだということに関して、事務局様のほうから短く何かコメントございますでしょうか。

○高齢者支援課長
 すみません。過去全て調べ切れているわけではございません。まず、法律でどうこうというのは書いておりませんで、一般的に考えられるとすれば、やはり貸与は定期的なマネジメント、定期的な関わり合いがある中でということと、あと、販売はどうしても売り切りということで、一般的にはその購入者側に完全に所有権が移転すると。そういったことも踏まえながら、利用者さんの御負担と事業者さんの御負担とか、現実的なところでいろいろ御議論があった中で、貸与のほうには定期的なモニタリング・メンテナンスがきっちりついて、販売はどうしても所有権も完全に移転するという中で、全般的な負担関係等を踏まえて今のような制度になっているのではないかなと考えているところでございます。

○認知症施策・地域介護推進課長
 すみません。推進課長でございます。補足でございます。
 福祉用具貸与事業に限らず、全ての事業同じですけれども、毎月継続的にサービスを提供していただいて、それに対して介護報酬が支払われるという仕組みになっています。ケアマネージャーにつきましては、先ほどの参考資料の3ページの中で、いろいろアセスメントからやっておりますという中に、給付管理というものがございます。ケアマネ事業者は、毎月、市町村に対してそれぞれの事業者さんがどんなサービスを実際に提供したのか、必要に応じて利用者さんに調査して、それが真実だったのかも含めて確認した上で、市町村に提出することになっています。市町村は、そのケアマネの給付管理と実際にほかの事業者さんから請求されたレセプトを突き合わせて、間違いがないかということをチェックしているということでございますので、この給付管理を継続的に毎月しているというところが販売と貸与との大きな違いかなと思います。
 以上です。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 皆様、議論は尽きませんが、お時間になりました。活発な御議論、どうもありがとうございました。若干時間が超過してしまって大変申し訳ございませんでした。
 今後の予定について、何か事務局様のほうからアナウンスございますでしょうか。

○高齢者支援課長
 すみません、事務局側の資料の準備、また説明のほうで時間を大分食ってしまった点もございますが、この論点1から5については、先ほど座長からお話いただきましたように、次回の議論においても、今回の資料等も使いながら、再度御意見等を賜れればと思っております。本日の御意見等も踏まえまして、またさらに事務局のほうから、補足的な資料等も出させていただければと思っております。
 今後の予定といたしましては、次回は4月21日、10時から第3回を開催させていただきたいと考えてございます。先生方、御多忙なところと承知しているところではございますが、ぜひとも御出席のほどよろしくお願いしたいと思います。
 私のほうは以上でございます。

○野口座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。長時間にわたる大変有益な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。