生活保護制度に関する国と地方の実務者協議 第4回議事要旨

日時

2022年1月31日(月) 13:00~15:30

場所

オンライン開催

議事要旨

参加者から以下の意見が出された。
1.  保護施設の機能について
・ 生活保護を受けている世帯は多様な課題があり、単身での居宅が難しい場合も、他法の認定になかなか合致しないという例もある。制度のはざまでの受け皿として保護施設は必要と考えている。
・ 救護施設については、様々な支援を求められ、専門性の高いスキルが求められるが、施設数も少なく、研修機会が少ない。現場からは、全国研修があったほうがよいという声もある。
・ 複合的な課題を抱えた入所者が増えたことを踏まえて、職員のスキルといったソフト面・個室化等のハード面、両面の支援が必要。
・ 管内の保護施設には、管外からの被保護者も多く入所しており、今後必要となる施設改修等に伴う財政支援などについて自治体単独で対応していくのは困難であるため、支援が必要と考えている。
・ 管内に保護施設は更生施設しかなく、救護施設への入所が必要な人も更生施設に入れざるをえないことがある。救護施設への移行を進めてはいるが、現在の保護施設の区分では、施設面や職員配置も含めて対象者像が合わない事例が増加している。各施設の在り方について、対象や機能面などで柔軟に対応できるような工夫が必要だと考えている。
・ 今日的な保護施設の役割としては、被保護者の方の状況を把握した上で、他法他施策の制度につなぐための役割、例えば障害手帳の取得の支援や生活訓練といったことを通じて支援を行っていくことが求められていると考えている。
・ 医療保護施設と指定医療機関との関係性、運用の違いを説明することが難しい。各保護施設の在り方を検討するということであれば、医療保護施設の現下における必要性や運用などを整理する必要があるのではないか。
・ 路上生活者はすぐに居宅生活ができる方ばかりでなく、地域移行支援・定着支援は大切。
・ 救護施設等で事実上取り組まれている個別支援計画の義務づけについては、された方がよいと思う。施設において一貫した支援が行えるし、退所に際しても共有できる。
・ 個別支援計画を義務化し、例えば地域移行をその計画に位置づけるといった関与をしていくことについては、一定効果があるのではないか。
・ 援助方針も含め、個別支援計画についてはケースワーカーと共有して支援に結びつけることが大切。
・ 保護施設に措置しているのは福祉事務所ということになるので、計画づくりの主体はあくまでも施設側だと思うが、その内容についてはケースワーカーも確認し、建設的に意見交換をしていただきつつ、さらには援助方針にも取り込むという取組ができるとよい。
・ 就労支援について、救護施設には限界がある。障害施策のノウハウを使えないか。
・ 就労支援は更生施設の大事な機能であり、これを強化することは賛成である。
・ 保護施設通所事業について、路上生活者が減少傾向にあって、保護施設に空きが発生しているという状況では、地域の被保護者の受入れを進めていくというのも一つの考え方であり、理解はできる。ただ、本来の利用者を圧迫しないことや、職員の負担が過大にならないことへの配慮が必要。
 
2.  日常生活支援住居施設の推進方策について
・ 無料低額宿泊所では地域移行の支援がないので、日常生活支援住居施設は必要。
・ ケースワーカーも施設を使い分ける意識を向上させていくことが求められる。
・ 無料低額宿泊所・日常生活支援住居施設がないために救護施設に入っており、ニーズはあると考える。これからも日常生活支援住居施設の対象となる人は増えていくと思う。 
・ 日常生活支援住居施設という選択肢が増えると良いと思っている。1人での在宅生活は難しいが支援があれば生活できる方について、一人暮らしか施設かという選択肢だけではなく、中間的な選択肢があると良いと感じている。
・ 相談がほとんどないため、単独では対応が難しい。広域で対応しているが、一部の利用実績が多い自治体で埋まっていて、使いたいときに使えないという課題がある。
・ 研修によって日常生活支援住居施設の取組が強化されれば日常生活支援住居施設の必要性についての認識も高まるため、研修の事業は必要と考えており、都道府県が果たすべき役割も大きいと考えている。
 
3. 無料低額宿泊所等に対する規制等について
・ 無届の無料低額宿泊所について、書面のやりとりで無低に該当するような回答を得られず、立ち入りまで至らない。また、立ち入り調査や届出勧奨をどのように行うかについては、ノウハウがないことが課題だと考えている。
・ 無料低額宿泊所についても、他施設のような規制は必要と考える。
・ 無届の事業者に対する罰則の創設については、具体的なイメージを含めガイドライン等が必要。無届の有料老人ホームなどへの罰則の適用の状況等も確認しつつ、有効性・有用性も含め検討する必要がある。
 
4. その他居住支援等について
・ 地域定着支援については、24時間の支援が求められ、ケースワーカーでは困難。居住不安定者等居宅生活移行支援事業を活用すれば効果をあげられ、ケースワーカーの負担軽減にもなるのではないか。一方、地方都市では、適切な事業者を確保できるか、という懸念点がある。