第2回効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループ議事録(2022年4月12日)

日時

令和4年4月12日(火)14:00~16:00

場所

Web会議
日比谷国際ビルコンフェレンススクエア(8階)
東京都千代田区内幸町2-2-3

議題

  1. 1.特定保健指導の実施状況について
  2. 2.特定保健指導の見直しの方向性(案)について
  3. 3.その他

議事

議事内容
(事務局)それでは定刻となりましたので、ただいまより第2回 第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会 効率的・効果的な実施方法等に関するWGを開催いたします。委員の皆様におかれましては、ご多忙のところ、ご参加いただきまして、ありがとうございます。出欠状況ですが、本日は構成員全員にご出席いただいております。本日もオンラインによる開催としておりますので、初めに発言の仕方などを説明させていただきます。会議中、ご発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただき、主査の指名を受けてから、マイクのミュートを解除しご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。また、議題に対してご賛同いただく際には、カメラに向かって「頷いていただく」ことで、「異議なし」の旨を確認させていただきます。本日の会議ですが、医療介護連携政策課長は、公務の都合で、途中退席させていただきます。ご了承ください。
次に、資料の確認をお願いいたします。構成員名簿、座席表、資料1、資料2-1、2-2、3、参考資料1になります。過不足等があれば、マイクもしくはコメントでお申し出ください。大丈夫でしょうか。会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。それでは、以降の進行を主査にお願いいたします。
(津下主査) 皆様、こんにちは。第1回が1月に開かれまして少し間が空きましたが、いよいよ第4期に向けての効率的・効果的な保健指導に関する議論を深めていきたいと考えております。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まず議事次第をご覧ください。本日は、3つの議事が予定されております。1つ目が「特定保健指導の実施状況について」、2つ目が「特定保健指導の見直しの方向性について」、3つ目が「その他」となっております。
まず資料1「3期特定保健指導の見直し実施状況について」ということで、事務局よりご説明をお願いいたします。
 
1. 第3期特定保健指導の見直し実施状況について(資料1)
(事務局:医療費適正化対策推進室_堤室長) どうぞよろしくお願いいたします。
それでは資料1「第3期特定保健指導の見直し実施状況について」をご用意ください。資料の2ページ目でございます。第3期の主な特定保健指導の実施方法の見直しということで5点挙げさせていただいております。
1つ目ですが、行動計画の実績評価の時期の見直しということで、行動計画の実績評価を3か月経過後に行うことを可能にするという短縮を行っております。2点目ですが、特定健診当日に初回面接を開始するための運用方法の改善といたしまして、1つ目、健診結果が揃わない場合の初回面接の分割実施ですとか、2つ目、特定健診当日に初回面接を行う場合の集合契約の整備について、ルール化等を行ったところでございます。3つ目ですが、2年連続して積極的支援に該当したものへの2年目の特定保健指導の弾力化。4つ目、積極的支援対象者に対する柔軟な運用による特定保健指導のモデル実施ということで、モデル実施等、一定の要件を満たせば、特定保健指導を実施したことと見なすこととして、一部行っていただいたところでございます。5つ目としまして、情報通信技術を利用した初回面接の推進ということで、国に求めておりました実施計画の事前の届け出を廃止したところでございます。
3ページ目をご覧ください。行動計画の実績評価の時期の見直しについて、支援の形態ごとに実績評価までの期間を見たグラフでございます。いずれの支援形態でも、実績評価までの期間を6か月未満の支援期間が半数以上を占めております。特にモデル実施では、94%が6か月未満であるということが見てとられます。
4ページ目、お願いいたします。積極的支援において、支援期間別に実施者における2018年度健診時と、2019年度健診時の腹囲の変化および体重の変化を見たグラフでございます。どの支援期間においても、腹囲については0.6~1.0㎝ほどの減少、体重については0.5~0.9㎏程度の減少が見られてございます。
続いて5ページ目ですが、こちらは動機付け支援実施者において同じものを見たものでございます。いずれの支援期間においても、腹囲については0.3~0.6㎝ほどの減、体重については0.3~0.6㎏程度の減が見られてございます。
続いて6ページ目でございますが、初回面接の分割実施について、その割合を見たものでございますが、左が積極的支援、右が動機付け支援でございます。2018年は積極的支援が2.6%、2019年は4.1%。動機付け支援については、2.2%から4.1%と増えてはいるものの、依然少ないという状況が見てとれます。
7ページ目、お願いいたします。特定健診当日に初回面接を行うことについてのメリットとデメリットを見たものでございます。7ページ目はメリットでございます。メリットといたしましては、「実施率の向上」がいちばん多く意見としていただいております。次いで、「対象者の負担軽減が多い」という結果が出ております。
8ページ目が、上のグラフがデメリットでございますが、「特になし」が最も多いのですが、2つ目として32%ほどから「保健指導員の業務負担の増加が見られた」という意見をいただいております。下のグラフは、特定健診当日に初回面接を行うことを実施していない保険者からの回答ですが、「実施体制の構築が困難」、「委託先で実施ができない」という回答を多くいただいております。
9ページ目をお願いいたします。2年連続して積極的支援に該当したものへの、2年目の特定保健指導の弾力化について、メリットとデメリットを見たものでございます。9ページ目はメリットでございます。動機付け支援相当の支援を行うことのメリットとしては、「実施率の向上」や、「対象者の負担軽減」などを多くいただいております。
10ページ目、デメリットでございます。「特になし」が61%いただいておりますが、「保健指導効果の低下」というのも20%ほどいただいているところでございます。下のグラフが、それを未実施の理由ですが、「通常の積極的支援と平行して取り組む運用の管理が困難」というのが最も多く、次いで「従来の支援内容を変更する必要性を感じない」ということが多く見られました。
最後11ページ目ですが、2年連続して積極的支援に該当した方への2年目の特定保健指導の弾力化についての工夫に関する質問ですが、リピーターや無関心者に対しては、「これまでの保健指導の内容や取組を確認している」、「特定保健指導の参加意思を確認している」など、利用者の個別性を確認する工夫が実施されているという回答が見られました。以上でございます。
 
(津下主査) ありがとうございました。「第3期特定保健指導の見直しについて」は、資料の2ページ目にあります(1)~(5)の見直しが行われた中で、今、(1)、(2)、(3)についてのご説明をいただきました。前回、(4)のモデル実施については、詳細なご報告をいただいておりました。また、(5)については、後ほどの議題になっているということです。まとめますと、実績評価については6か月より短い期間での評価が増えていて、腹囲や体重も遜色ない結果が出ている、1年後の結果も出ている。それから、初回面接の分割実施については、実施率が伸び悩みということがあります。実施者としては、実施率向上のメリットはあるものの、「実施体制構築が困難だ」の課題が見られている。3つ目については、2年連続の積極的支援で、1cm・1kg。前回よりも、改善している人は動機付け支援相当でいいということについても、メリットはあるものの、課題とか、どのぐらいこれで運用されたかとか、その辺りはまだちょっと十分に見えていないところかなというふうに思いました。
ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見等をお願いしたいと思います。この(1)、(2)、(3)、どれについてのご発言かということをお話しいただいて、どこからでも結構ですが、お話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。挙手をお願いできますでしょうか。河原構成員、お願いします。
(河原構成員) ありがとうございます。3か月の実施についてですが、(1)のところで、私どもも3か月の実施が非常に多くなっている傾向があります。これで成果が変わらないという結果で、とても安心しているのですが、もう一点、3か月にするメリットというのは、途中脱落が減るということがあると思います。私どもがやっていても、6か月と3か月では、やはり脱落のリスクが少なくなるところがすごくメリットがありますの。これは成果だけではなくて、アウトプットのほうですね。量的な評価という点でも、3か月というのはとても有効だろうと思うのです。もし厚労省さんのほうでそういった脱落のデータがあれば、ぜひ出していただいて、成果だけではなくて、量的なことのメリットもあることを出していただけるとさらに広がりやすいと思いました。以上です。
(津下主査) ありがとうございます。貴重なご指摘、ありがとうございます。他にいかがでしょうか。小松原構成員、お願いいたします。
 
(小松原構成員) 今の河原構成員と同じ3か月の実施についてですが、われわれも途中脱落がかなり減った現場から聞いております。一方で、3か月で180ポイントというのは、かなり忙しい保健指導になっており、過剰ポイントと現場でも言われております。こういう点はまた別途議論されると思いますが、3か月で180ポイントの投入量が本当に適切なのかどうか、一度ご検証をいただいたほうがよろしいかなと思います。以上でございます。
(津下主査) ありがとうございます。田口構成員、お願いします。
(田口構成員) 私のほうでは、当日に初回面接を開始するためのという2番目の点について、発言させていただきます。前回にも少し発言させていただいたのですが、健診と保健指導の委託先とが異なることによって、初回面接が難しい場合が多いと伺っています。また、委託先と委託元で健診データのやり取りに時間を要することもあります。そこで委託先の見直しや、健診と保健指導の委託先同士のやり取りを短期間でスムーズにするといった、弊害になっている課題を見直すことが必要であると思います。
(津下主査) ありがとうございます。他にいかがでしょうか。中西構成員、いかがでしょうか。健診で、当日実施とか、分割ということに関してのご意見、いかがでしょうか。
(中西構成員) ありがとうございます。当日、私たちも、2割ぐらいは分割実施を行っておりますので、ここの運用に関しましては、特別問題ではないというふうに感じております。ただ、評価の時期に関しましては、(1)のところでございますが、3か月後の経過の時の評価ということも一つ方法だとは思うのですが、途中脱落しても、翌年改善している方というのも結構いらっしゃるものですから、一つ評価時期というものも、3か月後、6か月後、次年度という評価の仕方も一つ方法ではないかなというふうに考えております。
(津下主査) ありがとうございました。中西構成員、今、2割が分割実施ということなのですが、分割実施ができる状況というのは、それは保険者さんによって違うのか、分割実施の体制を取るために、健診機関等で準備されたこと等はあるのでしょうか。
(中西構成員) そうですね。保険者との契約によって実施するということが大前提でございます。あと人間ドックは、当日に結果をお返しするという仕組みを持っておりますので、当日は、分割実施が確実に行えるということになります。あと、巡回健診におきましても、契約をさせていただきまして、巡回健診当日に健診会場でわかる血圧、体重、腹囲、そこのところで、実施をすることが可能です。
(津下主査) そうしますと、その体制を構築するのは健診機関としては準備が要るのですが、ルール化すれば、運用は可能と。
(中西構成員) まったく問題なくできておりますし、むしろこの制度があったことで、特定保健指導の分割実施だけでなく、特定保健指導の対象にならない方にも保健指導を提供するような仕組みも構築することができておりますので、非常に健診機関としては、やってよかったなという運用です。
(津下主査) ありがとうございます。他にいかがでしょうか。河原構成員。お願いします。
(河原構成員) すみません。今の分割実施の件でお話をしたいことがあります。健診機関さんのほうも、体制が整えられるところもありますが、多くの規模がそれほど大きくないところは体制が取りづらいケースも結構あります。当日、対象者が思ったほど挙がってこないのに、専門職をスタンバイさせておくということが非常に負荷になる。あるいは、健診が終わったあと対象者を1時間、2時間待たせてやるわけにはいきませんから、健診後時間を空けずに保健指導を実施するとか、現場は、いくつか課題は残っていると思っております。
先般、厚労省さんのほうに伺ったのですが、例えば健診と保健指導を別の会社で契約をして、健診を受けたあと、オンラインでつないで保健指導機関が指導を行うなどそういう方法も、もっと推奨していただくと、多くの健診機関で保健指導を実施する機会が増えるのかなと思っております。
もう一つ、これは、今は認められていないと思いますが、対象者が健診を受けたあと、すぐ帰らなくてはいけないケースも結構あるかと思います。ですので、例えば3日以内であったら、その場で予約をするだけで、後日、分割実施の初回ができるとか、少し時間的な猶予を与えていただけると、保健指導を受ける機会としては確保できるのかなと思っております。そういったこともぜひ緩和の方向で検討いただけるとよいかと思っています。以上です。
(津下主査) ありがとうございます。今のお話は、分割実施だが、1回目は健診当日ではない分割という、今までにないパターンがどうかということですね。
(河原構成員) そうです。健診当日に予約して、実施を行うということです。
(津下主査) ありがとうございました。健診機関によって、保健指導のスタッフの人数とか、体制が取れる・取れないという違いがあるので、その辺りを柔軟に選択できて、実施につながるというのが望ましいのかなというふうに伺っていて思いました。他にいかがでしょうか。古井構成員、お願いいたします。
(古井構成員) ありがとうございます。健診機関などでの当日実施なのですが、今、河原先生からあったように、体制面の整備と、あともう一つは、国保とか、健保を見ていますと、契約した健診機関で、当日面談をやってもいいよというところに、保健指導に関するマニュアルのようなものを配るとか、初回面談のやり方を教授することでの健診機関さんがやりやすくなっている事例もありますので、体制の整備と健診機関への教育、ツール提供があるといいなと感じます。以上です。
(津下主査) ありがとうございます。1回目実施するところと、2回目のところの情報共有とか、その辺りも丁寧に行っていければいいかなというふうに思いますし、健診機関ごとにどこまで説明されているのか、ばらばらだと2回目のところもやりにくいということもありそうな感じがしました。ありがとうございます。三好構成員、お願いいたします。
(三好構成員) ありがとうございます。国保中央会の三好でございます。これは、どちらでお伺いすればいいかなという話になるのですが、この分析で出していただいているデータが、保険者別の内容で読み取ることができないのかなというのが確認したいところでございます。というのは、国保のような、地域保険の中でやっている進め方と職場対応とかでやられているのとはやはり特性が違うのではないかなという気持ちがしております。気になっているのは、見直し後の短期の3か月になったところとかの変化のところですかね。4ページ、5ページ辺りにあるのが、国保の場合も、効果が上がっているのか、もしモデル事業の分析であれば、手上げをしていた国保が少ないから、分けられないという事情があるかもしれませんが、その辺りをお伺いしたいと思いました。よろしくお願いします。
(津下主査) ありがとうございます。今のご質問、またこれまでのご意見に対して、事務局よりコメントをお願いできますでしょうか。
(事務局) 事務局でございます。先生方からいろいろ意見をいただきまして、また今後に反映させていければと思っております。最後に事務局への対応としまして、三好先生から保険者別のデータが示せないかということをいただいております。ここからのデータは結構大規模なデータを使ったので、まったく同じことをそのままできるか、ちょっと精査が必要ですが、保険者ごとでの違いを何か見せる工夫というのは検討させていただければと思っております。
(津下主査) よろしいでしょうか。保険者間で、国保と被用者保険とではずいぶん対象者や体制が違いますし、健保組合で大規模で保険者が主導的に契約する場合と、小さいところと違うかもしれません。安田構成員、協会けんぽさんの状況ではいかがでしょうか。
(安田構成員) 安田でございます。協会けんぽの状況でございますか。
(津下主査) 1について、何かご意見がございましたら。
(安田構成員) 1のところですね。この数字については、特別こちらのほうからはないのですが、ただ、1点教えていただきたいところがあります。短縮して終わった場合に、2019年度健診時で、例えば腹囲も93から92に下がっているのですが、最終的な保健指導の目標というのは、85というところになると思うのですが、そこへ着実につながっているのかどうか。前回もお聞きしたのですが、これがちゃんと保健指導の本来の姿である、メタボの解消のほうにきちっとつながっていくかどうかというところを一つ教えていただきたいというのがあります。
あともう一点、ちょっと話が変わりますが、よろしいですか。
(津下主査) はい、どうぞ。
(安田構成員) 動機付け支援相当について、いくつかアンケート結果を載せていただいているのですが、この結果というのは、こういうふうにやりやすかったとか、そういう話はあるのですが、この結果がどういうふうに効果に結びついているかという、そのところのデータというのはございますか。
(津下主査) ありがとうございます。事務局にお訊ねしたいことだと思います。この動機付け支援相当にしたことで、積極的支援をそのまま実施したのと、支援を軽くしたものとで、効果に違いがあるかどうか、この辺りの分析が可能かどうかという点かと思いますが、今、安田構成員から2点、更なる分析についてのご質問がありましたが、いかがでしょうか。
(事務局) ありがとうございます。1点目の(1)のところですね。支援期間を短縮したことによる効果ということで、一応今回1年間の比較をさせていただいて、その結果を見る限りにおいては、メタボの解消、腹囲の減少と体重の減ということで、その方向には向かっている。それを長期的に見ようとしますと、2年以上のデータを見るとか、そういった更なる分析が必要だと思うので、できることはこちらでまた考えてお示しできたらなと思っております。
2点目の動機付け支援についても、同様です。今回、データとしては前回のワーキングを踏まえて、こちらをお示しさせていただいているところでございますが、動機付け支援相当に関しては、確かにプラスの面とマイナスの面、両方結果が見えておりますので、さらに分析ができたらなと思っております。
(津下主査) ありがとうございます。他にいかがでしょうか。田中構成員から何かお気づきの点等、ございますか。
(田中構成員) ありがとうございます。先ほど三好構成員のほうからもありましたが、被用者保険と市町村国保というのは、やはり健診体制がまったく違います。例えば初回面接は有効で、健診機関等での体制の構築は非常に重要です。市町村が直営で集団健診を行った場合、初回面接を市町村がフォローしてやっているような状況もございますので、やはり健診機関、保険者、市町村もあわせて、初回面接のできる体制整備を全体で考えていくことが必要と思っています。その初回の面接ですが、資料の6で、例えば積極的支援2018年が2.6%、2019年が4.1%、動機付けが2.2%から4.1%ということで、非常に少ないなというイメージを持っています。初回で面接をすることは、非常にモチベーションは上がっていますので、ここを強化していくことが重要かと思っています。先ほども申しました通り、それらについて、健診機関や医療機関、市町村を含めた保険者と一緒に地域で考えていかなければいけないことかなと思っております。よろしくお願いします。
(津下主査) ありがとうございます。例えば市町村別に、当日実施できているところの自治体ではどんな工夫しているかとか、そんなことをヒアリングしてもいいかもしれないですね。統計量で見るだけではなくて、具体的にどんなやり方をしたら、初回ができるのか。その地域連携でやっているのか。または、やっているといっても、1つの健診機関だけがやっている状況なのか複数なのかなど、ずいぶん広がりが違うと思いますので、その辺、市町村の状況なども、具体的に把握できるといいのかなというふうに思いました。ありがとうございます。他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
今回の資料を見ますと、第3期特定保健指導の見直しの実施状況については、新しい制度でなかなか体制づくりが進まないところも一部は見られますが、3か月評価はで定着してきているし、初回の分割実施も手ごたえを感じているところがあるので、これをどう増やしていくかということです。それから、3番目の2年連続の積極的支援については、まだまだ評価がはっきり見えてこないところなので、もう少しデータを見ていくことが必要なのかもしれないなというふうに感じた次第です。第3期の改正の中で、これはやめたほうがいいというようなことはなかったように思いますが、いかがでしょうか。大体第3期でやってきたことを、この改革については踏襲してもいいのかなというような方向ということでよろしいでしょうか。事務局の皆様、委員としてはこのような意見になっておりますが、コメント等、ございましたら、よろしくお願いいたします。
(事務局) いただいた意見に関しては、繰り返しになりますが、可能な分析はしまして、ちょっとデータの限界もあるとは思いますが、できる限り対応はさせていただこうと思います。
(津下主査) ありがとうございます。また、国保中央会さんとか、連合会さんとか、協会けんぽさんとか、健保組合さんとか、好事例などをご存じであれば、NDBで分析するというだけではなく、そういう好事例などの収集も併せてやっていけたらいいかなというふうに思いました。引き続きのご検討をよろしくお願いいたします。
よろしければ、次の議題に入りたいと思います。よろしいでしょうか。資料2-1「ICTを活用した特定保健指導の実施状況について」、事務局よりご説明をお願いします。

2. ICTを活用した特定保健指導の実施状況について(資料2-1)
(事務局) 事務局でございます。資料2-1「ICTを活用した特定保健指導の実施状況について」をご用意ください。
2ページ目でございます。ICTを活用した特定保健指導の実施状況について、2つ調査を行っております。1つ目は、調査対象としまして、「令和3年度特定保健指導遠隔実施支援モデル事業」の交付申請を行った保険者で、回答いただいた方、保険者さん46、都道府県支部を入れますと92から回答をいただいております。
3ページ目でございます。特定保健指導でICTの活用を始めた時期についての質問ですが、2020年度、コロナ禍ということもありまして、2020年度に始められた保険者さんが64%と最も多く見られております。
4ページ目ですが、ICT活用状況について、特定保健指導の実施率の変化ということで、2020年と2019年を見ております。左のグラフですが、15~30%未満の実施率の保険者が半数を占めていたというところでございます。右のグラフですが、2020年度の実施率が増加した保険者は、27ポイントと9%を合わせまして、36%。減少した保険者については、51と5を合わせまして、56%が見られているところでございます。
次のページ、お願いいたします。用いられたICT技術・デバイスについてですが、初回面接では、会議ツールの活用が最も多く見られました。継続支援や最終評価においては、スマートフォンアプリの活用が最も多く見られております。
続いて6ページ目でございます。アプリの機能として、「スマートフォンアプリ」及び「Webアプリ」で活用した機能としては、「食事支援」が最も多く、次いで「バイタル情報のレコーディング」や「健康相談」も機能として活用されていました。
次のページをお願いいたします。ICT利用対象者ですが、「対象者全員」と「対象者が自由に選択」という設定をされているところが最も多く、次いで「勤務形態(在宅、出社)」や「立地」が条件として多く見られております。
8ページ目でございます。ICT活用した保健指導において、かかった時間や負担感についての質問でございます。全体にかかった時間は「長くなった」、「やや長くなった」を合わせまして35%、「変わらない」が33%、「短くなった」が27%見られております。
業務の負担感については、「負担が高くなった」が40%、「軽くなった」が30%、「変わらない」が26%という回答でございました。
9ページ目をお願いいたします。費用の変化でございます。費用の変化は「軽減」が41%、「変わらない」が27%、「高くなった」が22%でした。そのうち、軽減と増加の量を見たところ、費用の変化率は「軽減」、「増加」ともに10%未満が最も多く見られております。
10ページ目をお願いいたします。コミュニケーションの変化というところで、「変わらない」が38%、「難航した」が32%、「円滑に進んだ」というのが13%という回答でございました。
11ページ目をお願いいたします。ICTの活用状況として、行動変容と質の変化という質問についてですが、行動変容の結果は「わからない」が40%、「変わらない」が34%、「向上した」が23%でした。特定保健指導内容の質については、「変わらない」が58%、「低下した」が10%、「向上した」が9%でございました。
次にICTの活用における課題ですが、棒グラフでいちばん大きいところが、「ICTリテラシーが低い対象者への対応」というところで、あと「画面越しの初回面接は得られる情報が限られる」などがあります。大きく分類しますと、「ICT環境やリテラシーに関する課題」ですとか、「情報収集やコミュニケーションに関する課題」、「業務負担・コストに関する課題」が課題として多く挙げていただいていたところでございます。
13ページ目ですが、今後の活用意向は、「積極的に活用する」とお答えいただいたところが59%、「必要に応じて活用する」としていただいたのが31%見られております。
14ページ目ですが、続いて同じ事業の交付申請を行った保険者の特定保健指導利用者のうち、回答をいただいた1511名の方にアンケートをした結果でございます。内訳を下に示しておりますが、例えば「今回初めて参加した」という方が51%見られておりました。
15ページ目をお願いいたします。回答されている利用者さんの中で、最も使われたICTツールとしては、「会議ツール(Zoom、Teamsなど)」が最も多く、次いで「スマートフォンアプリ」という結果でございました。
16ページ目ですが、アプリの機能として、最も使われていたのは「面接・健康相談」の機能。あと、「バイタル情報のレコーディング」や「食事支援」、「運動支援」なども見られております。
17ページ目をお願いいたします。ICTの取組の理由としましては、「会社から勧められた」が65%と最も多く見られております。
18ページ目でございますが、取組意欲や成果については、「とてもできた」、「ややできた」が過半数を占めております。
最後19ページ目ですが、ICTの活用状況としまして、負担感や困りごとについては「なかった」とお答えいただいているのが82%でした。右のグラフですが、「今後もICTを活用して、生活習慣を改善したいか」については、「積極的に活用する」、「必要に応じて活用する」が73%と見られました。以上でございます。
 
3. ICTを活用した特定保健指導の実施状況について(資料2-2)
(津下主査) ありがとうございました。引き続きまして、資料2-2について、私のほうからご紹介させていただければと思います。よろしくお願いいたします。ICTを活用した保健指導の適切な実施方法の検証ということで、AMEDの研究で「壮年期就労者を対象とした生活習慣病予防のための動機付け支援の技術開発に関する研究」という研究を行ってまいりました。この研究自体は、動機付け支援で、どういう方が、効果が出にくいかという分析を行ったというのが1点。2点目に、そういう方々に上乗せで何かをするならば、どんな方法があり得るか。3点目が、それを導入して、結果はどうかというRCT研究。この3本立てでやっております。
まず動機付け支援で効果が出にくい対象者としては、保健指導を繰り返し受けている人、リピーターと言われている方が、どうしても効果が出にくいということが明らかになりました。
2点目の、ではどういうことを上乗せするかということで、動機付け支援に加えて、あまり負担感なく、指導のマンパワーをかけずに実施できることとして、ICTの活用というのが、選択肢として考えられるということで、システマティックレビューを行いました。肥満者の体重変化に対するウェブベース介入に関して、これは2001年から2020年9月までの99の国内外の論文でメタ解析を行ったものでございます。標準化平均偏差、SMDを出すということで、有意な効果があるかどうかということを検証しております。筑波大学の中田先生を中心にまとめていただいております。この結果なのですが、ウェブベース介入の有効性が認められたという論文が複数出ておりまして、メタアナリシスで効果があったのだろうということ。それからスマートフォンアプリベースの介入の有効性、そして、個別化された情報提供の減量効果への有効性が認められた、また専門家の助言の有効性が認められたという結果でございました。
次に、3ページをご覧ください。この介入の中で、アプリと言いましても、多彩な構成要素になっております。Behavior Change Technique TaxonomyというBCTタクソノミーという、構成要素の整理がなされていますが、それを活用して、ウェブベースの介入ではどのような介入要素が含まれているかということを見たのが、この図になります。右側にありますように、1から21の介入構成要素が存在したということになりますが、左側で、採用された論文において、どのような構成要素があったかということ、また、その要素があることが、結果の有意差をもたらす研究であったかどうかということで、整理した図になっています。これによりますと、情報提供や、ソーシャルサポート、また、モニタリングですね。行動変容や、それから体重のモニタリング。行動変容のモニタリングとしては、歩数とか、そういうようなモニタリング。または、食行動記録とか、そういうようなものになります。それからアウトカム目標の設定、行動目標の設定などが、効果にも関係していた。アプリの中でこういう要素を持つものが効果につながる可能性が示唆されたということがわかりました。
次の4ページになるのですが、【DOUKI-APP STUDY】という、RCTランダム化比較試験を組んでおります。前年度に特定保健指導を受けているリピーターの方を対象に、アプリ導入支援とコントロールを無作為で分けまして、初回の面接時にアプリ導入支援をしました。このアプリについては、食生活とか、運動とか、6種類の行動目標、行動にアプローチをするアプリであるということ。それから、どちらかというと、楽しさ重視のものからまじめに取り組むためのもの。それから簡単なものから、若干難しいもの。様々なアプリを活用しながら、導入をしたということになります。
今回、お示ししました結果は、このアプリを使ってもよい条件、ランダム化する前に対象者に質問をした項目になります。「どのような健康アプリを使いたいですか」ということについて、「記録に残る」とか、「簡単である」、「安価・無料」、そして「アドバイスがもらえる」、それから「効果が期待できる」、「楽しい」というようなことに対して、高い評価で、「特典がある」については、あまり重視していなかったというような結果が得られました。現在、導入して3か月間のフォローしたデータを取りまとめているところでございますので、またこの結果が出ましたら、ご報告させていただきたいと思いますが、初回面接の時に様々なアプリの中で行動目標に合い、本人のICTリテラシーに合ったものを指導者が、助言する、導入支援をするということについて、どんな効果が出るか、また分析結果をご報告したいというふうに考えております。以上、2-2について、研究班からのご報告ということになります。
それでは、ここから事務局の先ほどのご説明、また私の説明について、ご意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。事務局のほうの2-1については、モデル実施でのICT活用についてお話をいただきました。安田構成員、お願いいたします。
(安田構成員) ありがとうございます。安田でございます。今回、資料をまとめていただきまして、ありがとうございました。ただ、先ほどの1のところでも少しお話をさせていただきましたが、2-1についても、効果のある保健指導とはどのような要素を兼ね備えていなければならないのかという観点が、もう少しきちっとしたほうがよいのではないか、そういうことがもうちょっと必要なのかなと思っております。あと、データですね。ICTについてのアンケート結果をお示しいただいていますが、実際にどういうふうな行動変容に結びついたとか、そういったところのデータが要るのかなと思っております。特にICTについては、このまま、この資料だけでは多分議論がされるということではないと思うのですが、質を伴った保健指導を実施できているかということを、われわれとしては非常に危惧をしているというところがございますので、まず第3期で行った、こういう取組について、データに基づいた検証をきちっとやるべきではないのかなというのが1点でございます。
あと、もう一つICTについてですが、アプリを使った場合と、ウェブで面談を行った場合が資料の中でまとめて示されております。継続支援のところで、アプリを使うことと、初回面談をウェブで行うということはちょっと別の問題というふうに考えています。そもそものところからいくと、面談については、対面で行うということが、原則であったというところがございます。協会けんぽについても、基本的には対面で行っているのですが、ただ、ICTをすべて否定するのではなくて、在宅勤務や遠隔地等、対象者の勤務形態が多様化している中で、ICTを使った効果のある保健指導を検証するという観点から、もうちょっと突っ込んだ議論が必要なのかなというふうに考えております。ぜひともこういう方向での議論をお願いしたいと考えております。以上です。
(津下主査) ありがとうございます。前回、モデル実施の紹介の中で、プログラム別にどんな効果があったかを見たものはあるのですが、アプリだけの効果とは言えないというところがあります。様々な要素が入っているというところがちょっと複雑になっています。また、こういう検証結果について、【DOUKI-APP STUDY】でやっていることも、少しは答えになる結果が得られるかもしれないと思っておりますが、このモデル実施の解析ではちょっとアプリの効果だけ切り抜け出して検証するというのはなかなか難しいような気もしております。それでは、小松原構成員、河原構成員の順でお願いします。
(小松原構成員) ありがとうございます。今、協会けんぽの安田さんが言われたことはご尤もだ思います。ただ、このコロナ禍という環境を考えた時に、学校教育、あるいは国の会議、オンライン診療等、ICTを活用した新たな取組というのはたくさん進んでいると思います。データを集めて、しっかり効果検証して、本当に効果があるのか否か確認するのは大事ですが、こういう状況の中で、特定健診保健指導を止めずに、進めていこうと考えた時に、一定程度、ICTを活用して、何がチャレンジできるかを考えずにデータを待っていると、5年、6年あっという間に過ぎてしまいます。今後、ICTを活用していかなければいけないことは、皆さんある意味一致していると思っていますので、どういう形で実施すれば安全にできるのかという視点で前向きに議論したほうがいいのではないかと思います。
(津下主査) ありがとうございます。それでは、河原構成員は挙手されていましたね。
(河原構成員) 今、小松原部長と同じような形なのですが、保健指導協会で、ICTの実施の推移をまとめましたので、ご報告したいと思います。保健指導協会の大手会員で集計したところ、2019年度に約35万件の面談を実施しております。この時のICT面談、遠隔面談ですね。アプリとはちょっと違いますが、遠隔面談の実施率が2.8%となっております。約9900件でした。ところが、2020年度。この資料でも2020年度、面談が減ったとありますが、やはり一般的に2019年度に対して、2020年度は、面談件数は減っている傾向があります。先ほど言った35万件も、32万件ぐらいに保健指導協会でも実施件数が減っております。これは、コロナの影響がもちろん原因でございます。それで、ICT面接の実施率は29.7%まで上がっています。ですから、その前年が2.8%だったものが、30%ぐらい上がっていて、さらに翌年のデータは8月までしかないのですが、40%を超えております。やはりコロナの影響で、安全に面接を実施する、そういった状況下でも、生活習慣の改善に寄与するという点では、ICT面談は非常に役立ったのかなということと、実際、事例を見ても、例えば、店頭で勤務をされている方とか、それから外勤営業の方とか、3交代制みたいな方の面接実施では非常に役に立っております。そういう部分で、空間とか時間を超えて面接ができるということが事例としても挙がってきている状況であります。
最後に、私のほうの意見なのですが、ICT面談というのは、今の段階だとやはり対面と同じぐらいのクオリティを保つというところが1つの目標かと思うのですが、これからはアニメーション技術とか、動画とか、ICTだからできるという技術的なテクノロジーを使ったものが、いっぱい出てくると思うのですね。多分数値の分析をその人の状況で、その場で出すとかですね。ですので、対面を全部ICTに切り換えるということはないのですが、ICTの良さを使った形で、保健指導を実施していくことが、量的な評価においても、質的な評価においても、とても有効と思っておりました。以上でございます。
(津下主査) ありがとうございます。確かに4ページで、2019年と2020年とで減ったところも多いというのは出ていますが、ICTを使わなかったら、もっと減っていた。ICTを使っていない保険者さんでは、もっと減っていた可能性が高いということで、注意して見ていかなければいけないというご指摘であろうし、実際に大手のところでは、増えている。逆に言うと、ICT導入について、導入格差といいますか、先ほどの国保の例もありましたが、中小のところで取り組めていない可能性がある。ただ、これだけ普及してきましたので、その辺の格差も縮まってくるかもしれないと思いますが、時代が変わってきたなということは思います。ただ、安田構成員が言われたように、対面の良さというか、訪問すれば、そこの職場の様子がわかって、そこの食堂の様子もわかってという、そういう生活感溢れることとか、担当者とちょっと会えるとか、そういう様々な付加的な良さというのが、対面の良さでもあります。代え難い部分はあるかと思いますが、遠隔面接も重要ではないかというご意見だったと思います。田口構成員、お願いいたします。
(田口構成員) 11枚目の質の変化を見ても「変わらない」「やや質が向上した」の意見が大半であったことからも、ICTの活用は一定の対象者に対しては進めていくべきだと思っております。個人的な経験になりますが、普段対面ではなかなか話さない学生が、オンラインだと対等に話せることもあるので、オンラインがコミュニケーションツールとして合っている人がいるように思います。先ほど勤務形態の側面から、時間的な柔軟性が高いというのも利点として挙げられます。
そのようなことからICTの活用を推進していくのは重要かと思う一方で、課題もあります。12ページにありますように、例えば、把握できる情報量がICTだと限られるということから、資料にあるように「画面越しの初回面接で得られる情報が限られる」、「体格がわかりづらい」といった課題があるため、ICTを推進していく上で、保健指導の質の標準化を図る必要があります。例えば実施者のトレーニングやアセスメント方法の具体的な提示が必要になってくるように思います。
(津下主査) ありがとうございます。それでは鈴木構成員、お願いいたします。
(鈴木構成員) 日本栄養士会の鈴木です。よろしくお願いいたします。8ページ目のところにありますが、初回面接の分割実施を行っている保険者における課題として、負担、変わらないとありますが、データのばらつきについて、アプリに関してなのか、Zoomなどの会議システムによるものなのか明確になるとよいと思いました。
もう一つ、負担について、対象者1人当たりの負担なのか、何をもって負担といっているのかが不明です。全体にかかった時間についての負担ということであれば、議論も変わってくると考えます。できることならば、もう少し詳細を見せていただけますと、考察ができると思います。
私も管理栄養士として、特定保健指導の現場で指導時に、体型について、会議システム上で話をすることはなかなか難しいと考えるのですが、社名を出してよろしいかわからないのですが、ユニクロさんでは、自分の身長と、体重、ふっくらめなどの情報を入れると、私の体型に似たアバターのような画像がすぐに出てきます。このようなシステムを特定保健指導時に導入すると、内臓脂肪が体型にどのような変化をもたらすか対象者に把握してもらえると考えます。ICTを利用することによって、ますます効果的な指導ができると私は考えています。対面の良さは確かにあります。対面でしか感じ取れないこともあり大切なのですが、腹囲や体重を減少させるという観点であれば、ICT活用がとても効果的ではないかと考えますので、検討いただければと思います。ありがとうございます。
(津下主査) ありがとうございます。今回、【DOUKI-APP STUDY】で使ったアプリの1つで、スキャンというか、スマホでぐっとやると、体型がわかるというような計測もできる、そんなようなアプリも出ていて、この分野、本当に進化が早いので、どういうふうにうまく取り込んでいくのか、デメリットの部分を減らしていくのかという検討も必要なのだなというふうに思いました。ありがとうございます。田中構成員、お願いいたします。
(田中構成員) お願いします。市町村国保の立場から言いますと、ICTの導入について、いろいろな企業が説明に来るのですが、対象を考えると導入は難しいのが現状です。被用者保険のほうで、ICTを活用して、きちんと保健指導ができれば、そういった方々の保健指導を受けるという体制が整い、その方が国保になった時にも、自分は保健指導を受けていたというところで健診に確実につながっていくということを思っています。やはり活用できるところは効果的に活用していただければよいと思っています。ICTの活用の結果を見ますと、コミュニケーションに関する課題などありますが、これから研究していく中で、さらに効果的になると、活用が進んでいる被用者保険で、今後、効率よく実績も上がってくるのではないかなと思います。
(津下主査) ありがとうございます。中西構成員、お願いいたします。
(中西構成員) 聖隷保健事業部の中西です。安田先生が最初におっしゃられたように、効果のある保健指導をどういうふうに評価していくのかというところですが、本当にこのICTの保健指導というのは、これからずっと続いていくだろうというふうに思われます。私どもも、2021年度は、これも全体の2割になりますが、1000件ほどICTの面接を実施いたしました。その時にどういうふうに評価をするのがいいのだろうかというふうに考えたところ、やはり対面と比較をさせていただきまして、計測率に遜色はないのか、体重の変化に遜色はないのかというところで、この2点で検定をかけて確認しながら進んでいるのですが、今のところ、対面とICTでは有意差が認められていないという状態のところまで持ってきております。やはりこれからICTを進める上で、ここだけは押さえておかなければいけないという指標づくりというものが必要ではないかなというふうに感じております。
(津下主査) ありがとうございます。中西構成員、今のついでにお訊ねしたいのですが、ここだけは大事というポイントを2つ3つ挙げるとどんなことですか。
(中西構成員) 私どもが現場で感じているのは、やはり継続率の状態と、体重の変化、そして翌年の階層化の変化、こういったところに着目しております。
(津下主査) ありがとうございます。そういうもので、効果を比較しながら、導入を考えていく。ありがとうございました。古井構成員、お願いいたします。
(古井構成員) ありがとうございます。資料2-1の事務局の資料で、ICTがコロナ禍もあって普及をしていて、小さな課題はいろいろあるのですが、流れとして、小松原委員はじめ、皆さんがおっしゃるように、いかにICTをうまく使っていくかというステージなのだと思いました。
それから津下先生のご研究の中で、第3期までやってきた特定保健指導の成果やその要素の多くが検証されていて、良かったと思いました。ICTに関しては、保険者とか専門職だけではなくて、利用者のほうも親和性があるということが出ていますので、実際に現場の受容性もあると思っています。その中で、このモニタリングによって、保健指導を「見える化」して、保健指導の質の標準化にもつながるのかと。新人の保健師さんもそうですが、困難な事例に当たった時に、それをどういうふうに解決するかということにもつながりますので、そういう意味でも、モニタリングということを、対面、非対面にかかわらず、うまく入れていくといいと思いました。非常に前向きな要素がわかったのかなと思います。以上です。ありがとうございます。
(津下主査) ありがとうございます。私も、驚いたことに、本当に現在市販されている健康系のアプリの中に、保健指導の要素を取り入れて開発されている、そういう専門職もかかわられてつくられているとか、そういう事例のものも結構あったりします。なので、アプリの中には、ゲーム系とか、いろいろありますが、特定保健指導の親和性の高いアプリを開発していただける、いろいろ対象者に合わせて、リテラシーとか、慣れとか、普段のアプリをどのぐらい使っているかとかによって、導入の困難さもずいぶん違いますので、そういう意味では、対象者に合ったアプリをうまく選んで、食わず嫌いの人にも、ちょっと勧めてみるみたいなことがありうる。先ほど田中構成員からありましたように、特定保健指導で使われたものが、ずっと継続してその人の健康管理になってつながるとか、そういう形で生涯の健康づくりというか、伴走するような感じになっていくのもいいのかなと思ったりしたところです。
(古井構成員) 大いに賛同します。
(津下主査) ありがとうございます。三好構成員、お願いいたします。
(三好構成員) ありがとうございます。私も、ICT活用が思った以上に、今回は上がりそうだというので、すごく期待が高まっていると思うのですが、こちらのモデルでは、市町村国保の6か所ほどが参加されていて、先ほどと変わらないのですが、保険者別が見られるような分析を提供していただくか、もしまだまだ少数ということであれば、これをうまく使いこなしている事例をぜひ提供していただきたい。あとの資料の論点にも出ているので、事例とか、課題ですね。国保の被保険者は平均年齢が他の保険者より高いので、例えば、けんぽさんは43歳ぐらいなのですが、国保は53歳を超えるような、10歳以上高いような状況になっている。退職後、国保に来られた方は、職場でICTを使われていて、高いかもしれませんが、まだまだ世代間の格差というか、馴染んでいないようなところもあると思うので、そこをうまく国保で導入できるような例を紹介していただけるとありがたいと思っています。
加えて、津下先生のウェブ解析の中で、ソーシャルサポートに有意差があるという点ですが、社会資源をどう使い、ポピュレーション・アプローチの動きに合わせて、保健指導の効果を上げていくか、国保は各地の持てる資源でもって、勝負しないといけないところなので、その辺りは非常に頼もしいなと思います。個別の面談だけではなくて、うまくそうしたサポートも活用できるというのは非常にありがたいことだと思います。その辺りを知りたいなと思いました。ぜひよろしくお願いします。
(津下主査) ありがとうございます。最近、専門家による助言とか、アドバイスだけではなくて、グループでとか、また家族でとか、いろいろなサポートの在り方のアプリなども開発されています。先ほどのシステマティックレビューというのは、2000年から2020年の9月までなのですが、論文化されているということは、その前にそのデータが出て、まとまってアクセプトされて、というタイムラグがありますので、この間の急速な発展というのは、この中にはまだ反映されていない、そういう状況だと思います。これからもちょっとしっかりとウォッチしていかなければいけないなというふうに思っています。ということで、ICTを活用した特定保健指導の実施に関する意見交換をしたのですが、事務局様からご回答、コメント等をいただけましたらと思いますが、いかがでしょうか。
(事務局) ありがとうございます。事務局でございます。まず初めに、安田先生からいただいた「効果がある特定健診、特定保健指導とは何ぞや」というところで、そこは、われわれもICTに限らず、いちばん大事な問いだと思っておりますので、今後ともそれには気を付けて取り組んでまいりたいと思っております。
他方、三好先生からもいただきました、分析に関しまして、資料2で使ったものというのは、ちょっとアンケート調査でして、かなり少ないものという関係もありまして、詳細な分析というのは難しいかなと思うのですが、三好先生からいただいていたような、好事例については、ヒアリング等を行って、何らか好事例はお示しできたらなと思っております。
先生方のご議論を聞いておりまして、何でもかんでも、ICTというわけではないが、有効な場面ですとか、ICTでの強みなどを活かしていくという方針については、概ねそういう方向性だと受け取っておりますので、今後その方向で検討していきたいと思います。
(津下主査) ありがとうございました。
それでは、次の議題に入ります。資料3の「特定保健指導の見直しの方向性(案)について」、事務局よりご説明をお願いいたします。
 
4. 特定保健指導の見直しの方向性(案)について(資料3)
(事務局) 事務局でございます。資料3「特定保健指導の見直しの方向性について(案)」をご覧ください。
2ページ目でございますが、前回、論点としてお示しさせていただいた見直しの方向性としまして、個人の受診者の行動変容につながり、成果が出たことを評価する方向(アウトカム評価の導入や、ICTを活用した取組など)で検討してはどうかという方向性で、ストラクチャ、プロセス、アウトカムの3カテゴリに分けて、見直しの方向性についてまとめさせていただきました。
まず2ページ目の見直しの方向性(案)のところですが、こちらストラクチャとしまして、委託によるモデル実施の実施体制について、モデル実施を委託して実施するには、委託方法を事業成果に着目した契約に見直していく必要があるのではないか。成果連動型民間委託契約方式など、参考にモデル実施に合った委託方法を普及していく必要があるのではないか。また、直営については、個々の市町村ですでに取り組まれているところ等もございますので、事例収集して、周知を進めてはどうかとさせていただいております。
3ページ目をお願いいたします。こちら、続いてストラクチャで、ICTの活用でございます。見直しの方向性(案)の1つ目、初回面接の分割実施の促進についてですが、初回面接の分割実施を実施している保険者では、特定保健指導の実施率の向上や、対象者の負担軽減に資するというメリットが得られていることから、引き続き実施保険者を増やす必要があるのではないか。また、未実施の理由として、実施体制の課題が挙げられておりましたので、ICTによる初回面接の分割実施など、柔軟な実施体制の普及を進めてはどうか。
続きまして、ICTを活用した遠隔面接が有効な事例の普及としまして、ICTを利用した特定保健指導について、対象者のICT環境やリテラシーが低い方への対応、指導者側のICTリテラシーの必要といった課題が挙げられておりました。一方で、ICTを活用する利用者さんというのもおられまして、また勤務形態や立地によって、ICTを活用しなければ、特定保健指導の実施が難しいという場合も見られております。ですので、個々の課題に対応できるような留意点等を「特定保健指導における情報通信技術を活用した指導の実施の手引き」ですとか、「標準的な健診・保健指導プログラム」で具体的に示していくこととしてはどうかとしております。
続いて4ページ目をお願いいたします。こちら「プロセスについて」でございます。見直しの方向性(案)として、アプリについてまとめております。アウトカム指標である腹囲や体重、対象者が選択した「行動目標」や「行動計画」に沿った指標を記録して、それがまた対象者にわかりやすい形で表示されるアプリ機能ですとか、2点目、「行動計画」に沿った指標の記録を確認するとともに、「行動計画」が継続できるよう、支援を行うようなチャットやビデオ通話等の機能など、効果的なアプリの機能や活用方法について、「標準的な健診・保健指導プログラム」で具体的に示していくこととしてはどうか。
5ページ目、お願いいたします。こちら、プロセスの「見える化」でございます。見直しの方向性の案ですが、特定保健指導の指導内容や指導による対象者の行動変容にかかわる情報を収集して、「見える化」を推進することで、効果的な取組を保険者が把握することが重要ではないか。また、その結果を対象者個々人に還元していく必要があり、現場負担も考慮した、収集項目を考えていく必要があるのではないか。2点目、「見える化」に必要な収集項目については、厚労科研の研究班で特定保健指導のプロセス評価の体系について、今、検討中で、また結果が上がってきますので、そういった成果を踏まえながら、今後検討してはどうか、としております。
6ページ目、お願いいたします。こちらはアウトカムでございます。見直しの方向性(案)でございますが、特定保健指導のアウトカム評価については、実施率の向上等の一定のメリットがある一方で、高齢の問題など、2cm・2kgというものが馴染まない方もいらっしゃいます。そういった方への保健指導の内容としまして、2cm・2kgというアウトカム評価を原則としつつも、従前のポイント制も併用していくこととしてはどうか。2点目、アウトカム評価の指標として、行動変容の、例えばステージモデルに基づいて、対象者が選択した行動目標について、行動を変えることができたかを評価してはどうか。また、2cm・2kgに加えて、もう一段階、例えば1cm・1kgの指標を設定し、その達成と上記の行動変容を組み合わせて、段階的に評価することも可能としてはどうか、としております。
最後7ページ目、お願いいたします。こちら、先ほどのアウトカム評価について、イメージとして記載させていただいております。2cm・2kgを達成した場合、何々ポイント。2cm・2kgは達成できなかったが、1cm・1kgを達成したので、またより低いポイント。そちらも達成できなかったが、ただ運動は始めているみたいな行動変容が起こった場合は、より低いポイント。また、他の項目として、喫煙について、何か月間禁煙を達成したから、何とかポイントというようなイメージで、アウトカム評価をポイント制に組み込んでいければと思っております。
最後8ページ目は、参考として行動変容ステージモデルを付けてございます。以上でございます。
 
(津下主査) ありがとうございます。資料3「特定保健指導の見直しの方向性について」、事務局の案をお示しいただきました。このご説明について、ご意見、ご質問等をいただきたいと思います。いかがでしょうか。ストラクチャ、プロセス、また評価、アウトカム評価ですね。その辺りで新たな考え方が示されたと思います。河原構成員、お願いいたします。
(河原構成員) このそれぞれのテーマの中に入っているかもしれないのですが、やはり特定保健指導の今の課題の1つに、実施率が23.2%になっている点があると思っています。アウトプットの量的な評価を上げていくというテーマで、出して議論していただけると大変ありがたいと思います。ぜひ検討のほうをお願いします。
(津下主査) ありがとうございます。第3期の導入した様々な方策は、効果だけではなく、実施率を高めるということが非常に大きな目標だったと思いますので、アウトプットをどう高めるかというのも、評価になるということですね。最後のアウトカム指標というのは、一人ひとり個人のアウトカムをどう見るかという判断ということになりますので、保険者全体のアウトプットをちゃんと見ていくということ、重要なご指摘と思います。小松原構成員、お願いいたします。
(小松原構成員) 実施率が上がらない理由には、アウトプット、プロセス、アウトカムもあるのですが、他の理由もあると思っています。それは、実施率を計算する時の、分母分子の考え方を、少し第4期に向けて、もう一度ご議論いただきたいと思っています。特に健保組合の場合、大手チェーンストアなどの健保組合ですと、年間で3割弱ぐらいが途中で退職をしてしまいます。雇用の流動化が最近、叫ばれていますが、せっかく介入をしても、途中でいなくなっても分母に残って、分子に計上できないため実施率が挙がらない、ということがあります。保険者としては、手を付けて一生懸命介入をしたにもかかわらず、その評価が落ちてしまうということについて考えていただかないと、この23.2%という実施率はなかなか上がらないというのが1点です。
もう一点は、被保険者ではあまりないのですが、被扶養者の中には、難病申請とか、障碍者手帳をすでに持たれていて、健診自体は受けられない。あるいは、健診は受けられるが、保健指導介入を医師と連携してやっていくことがなかなか難しい方がいらっしゃいます。そういう方々に対しても、初回面談は確認するという意味で必ず実施はしなければいけないと思いますが、確認が取れた場合に、そこを対象から除外できるような仕組みも、少し考えていただきたいなと思っています。
(津下主査) ありがとうございます。貴重なご指摘だったと思います。第1回の時にも、お話したと思うのですが、受診勧奨判定値がある方が特定保健指導対象者だとすると、受診につながると、そこで特定保健指導としては脱落扱いになってしまいます。でも、その人の生活習慣改善とか、保健指導を続ける意味はあるわけですから、脱落しなくてもいいし、少なくとも受診につながったということは、保健指導のアウトカムとしては、よりよい方向に行くので、これもちょっと脱落扱いは厳しいというか、ちょっと見直すべきかと思います。実施率の考え方をもう一度精査してほしいということですね。ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。古井構成員、お願いいたします。
(古井構成員) ありがとうございます。まず、資料の6ページ目の方向性のところなのですが、アウトカムを意識するというのはすばらしいことだと思います。先ほどの議論であったように、集団全体では実施率を上げることが大事なのですが、アウトカムを評価するということは、それぞれの保健師さん、管理栄養士さんが保健指導を実施する際に、何を目指すかということを明確にメッセージすることになると思います。従って、専門職とか、委託事業者さんのモチベーションにもつながりやすくなると思います。
また、先ほどあったように、例えば初回面談の時の、この方にどういう行動計画・目標を一緒に立てるかということにもつながりますし、また先般あった、ICTを入れた効果を比較検証する時にやりやすくなるのだと思います。
それから前段で、委員の先生からあったのですが、例えば特定保健指導以外の保健事業として、例えばプレメタボの人への指導とか、あるいは肥満対策でのウォーキング事業とか、そういうメタボ関連の保健事業をやる時にも、参考になる評価指標だと思います。
それから2点目は、2ページ目のところなのですが、PFSを政策的に目指していく場合に、やはり委託事業者さんとして、実施率はもちろんなのですが、例えば特定保健指導事業として何を目指していくかというのは、やはりアウトカム指標があったほうが設計がしやすい、ソリューション開発にもつながりやすいと思います。それから、国保は、現場にすばらしい暗黙知がたくさんありますので、ここにあるように、どんな方法、体制を組んだ時に、保健指導の効果が上がったかという、その知見を抽出する時にも、こういった共通のアウトカム指標があると、やりやすくなってくるのではないかなという印象を持ちました。以上でございます。
(津下主査) ありがとうございます。指標が明確になっていて、保健指導でそれを目指すのだということを「見える化」して、指導者も、保険者も、保健指導機関も、みんながその方向へ向かっていくということや、今回は2cm・2kgというのが一つ初めて導入されたのですが、それだけではない、対象者に合った、高齢者であれば、体重減量は少なくても、運動を実施するようになったとか、そういうことをプラス加点していくとか、そういうような、どういうところで点数を取っていこうかみたいな話ができると、ちょっと新しい保健指導になりそうな気がしました。ありがとうございました。安田構成員、お願いいたします。
(安田構成員) ありがとうございました。安田でございます。今回の、このワーキングの中では、2つ大きな論点があると思っております。1つは、アウトカム指標の導入をどうするかということと、もう1つはICTの活用をどうするかということだと思います。
1つ目のアウトカム指標の導入については、特別われわれのほうとしては、異論はないというふうに考えております。前回のモデル事業でも、お示しされたように、腹囲とか、体重とか、減少した状態を維持できている。HbA1cの数値も改善傾向が見られたというようなご報告がございましたから、それについては保健指導の目標値としては一定の役割を果たしているのかなというふうに考えております。特に数値目標というのは、対象者と保健指導実施者双方にとってわかりやすく、目標達成に向かって、行動しやすいということを考えると、導入するのはよいのかなと思います。ただ、先ほどから何度も言って申し訳ないのですが、保健指導本来の目標というのは、メタボリック解消でございますので、それにきちっとつながっているかどうかということの検証と、2cm・2kgが本当によいのかどうかというところの検証をもう一回やったほうがよいのかなと思っています。
もう一点のICTの活用につきましては、先ほど申し上げたとおりです。第3期の見直しに関する実施状況を丁寧に検証した上で、積極的に活用していくべきというふうに考えております。
あと最後の行動変容ステージについて、案が示されておりますが、これについては、判断に客観的な基準がないということもございますし、対象者の自己申告をもとに、指導者側の主観によって判断されるということであるので、アウトカム指標に入れることについてはもう少しきちっと議論をしたほうがよいのかなと思います。
最後に、ちょっと今回の議論とは、直接は関係ないのかもしれないのですが、問診票の項目の中で、「生活習慣の改善について保健指導を受ける機会があれば、利用しますか」という項目がございます。これにつきましては、問診票を提出する段階では、特定保健指導の具体的な内容を十分に理解できていないという段階でございますので、この段階で回答を求めるということになると、保健指導を受ける権利を逸することになるのではないかというふうに危惧しております。ですので、ぜひとも今回、この健診項目につきましては、一度検討していただきたいと思います。今、われわれとしては、当日実施にかなり力を入れております。先ほどコロナ禍の中でも、ICTにより、保健指導の機会を確保できたということがあるのですが、われわれのほうでは、もう一つ、当日実施が、このコロナの状況下にあっても、かなり力になったというふうに考えております。特に当日実施は、みなさんもご存じのとおり、いちばんモチベーションが高い時に保健指導を受けられるという利点がございますので、ぜひとも進めていきたいと思うのですが、この項目で「いいえ」を選択されていると、ちょっと健診機関のほうでも実施に躊躇してしまうのではないかというような危惧がありますので、ちょっとこの場ではないかもしれないのですが、ご検討をお願いしたいというふうに考えております。以上です。
(津下主査) ありがとうございます。全体的なご意見をいただきました。ありがとうございます。それでは田中構成員、お願いいたします。
(田中構成員) お願いいたします。まず2ページにあります、モデル実施の実施体制の成果連動型民間委託契約方式ということで今、いろいろな様々な保健事業と、こういったものも導入されてきていますし、元行政にいましたが、やはりどう成果を出すかという、委託はするのだが、それを管理していく中で、なかなか成果が出ないという委託先もありますので、こういったものを、健診の際も導入していくことがこれから必要ではないかなと思っています。
それから直営によるモデル実施のところで、個々の市町村国保の取組の周知ということで、なかなか見えていない部分ですので、こういったものもこれから少し情報提供いただければ、いいかなと思います。
あと、協会けんぽの方などとも話すのですが、マイナス2kg・2cm、こういったモデル実施ですね。2cmかつ2kgの目標達成。こういったものは、非常に被用者保険の皆様において、組織の中で、みんなで取り組みやすいということで、非常にこういったもの、特に若い方たちはどちらかというと、コーチング的なそういった話でも取り込めるので、非常にいいかなということで、被用者保険のほうはこういったものをぜひ進めていっていただきたいのですが、国保においては、なかなか、被用者保険で、重症化まではいっていないのですが、そういう方たちが国保に来た時に、やはり2kg・2cmという位置づけがなかなか、個別性が強い故にできず、やはり肥満の診療のガイドラインにありますように、体重が3%減少によって、健診データのリスクが、中性脂肪ですとか、HDLとか、リスクが予防できるというところで、皆さんの住民の方の体の中で起こっていることというものを感じてもらうというようなことで、保健指導をしていますので、やはりここら辺は、市町村国保は、また違った意味で、個別に対して非常に丁寧にかかわっていかなければ、なかなか改善が難しいかなという感じがいたします。
行動変容に関しましても、行動変容という形でかかわってしまうと、相手を代えなければいけないという、保健指導を必死になってしまうので、やはり行動変容という言葉は結果的に、行動変容なのですが、相手の方に自分の体を理解していただくというようなことで、皆さん、保健指導されていますので、そういったことも非常に保健指導をする上での実績になっていく。その中で、プロセスの中で、資料5のところですが、対象者の特性に応じた質の高い保健指導を対象者個々人に還元していく仕組みが重要ではないかとあるのですが、まさにこのとおりで、それぞれ皆さん、個に対して、目の前の方たちにかかわっていくかということで、事例検討するとか、保健指導教材など、常に学習しながら、保健指導を進めておりますので、こういった非常に、それで成果が出ているところもありますので、そういったものも情報収集しながら、還元できる好事例の横展開といったものもできていければ、いいのではないかなと思っています。それで、市町村の皆さん方が、被用者保険の方もやはり住民ですので、やはり最近、被用者保険の方々に対しても、地域として、地域の連携で、一緒に質の向上を目指していきたいというような動きも出ておりますので、やはり好事例をどんどん情報提供していくことが必要かなと思っておりますので、またお願いしたいと思います。
(津下主査) ありがとうございます。いろいろなご意見をいただいたところだと思います。例えば2ページのストラクチャの委託のところでは、こういうような事業成果に着目するのはいいが、成果をどう測るかということですね。その指標について、ちょっと整理をしていくのが重要だし、また成果連動型と言って、高過ぎるとなかなか抵抗感が出るということも心配されるので、実現可能な成果指標、そして保険者が選べるというか、機関ごとに指標が違うとなかなか何がいいのかわからないということで、標準的な指標が必要なのかなということを思いました。
3ページ目の初回面接の分割実施はもう増やす方向で、どうやってやるかというご意見が多かったかなと思いますし、ICTもうまく対象者に、必要な人にうまく活用していく。その際の留意点などをきちっとまとめていくことが必要というご意見でした。3番目のところで、プロセス、またアウトカムということで、対象者にわかりやすい形で示すこと。またこの15年間で保健指導についての研修とか、学習の機会もずいぶん増えてきたということなのですが、一方ではなかなか難しい対象者さんとか、メンタルの課題とか、様々なことで難しい方もいるということもありますので、対象者の個別性ということも、ちょっと考えていく必要があるとか、また、アウトカム指標で2cm・2kgですが、この根拠は先ほど田中構成員が言われましたように、3%以上の減量ということで、体重が75~80ぐらいの方だと、2センチ。それの8割ぐらいの(6割、何割だったかな)の成功率ということで2cm・2kgが出されているわけですが、体重減少。メタボにおいては、体重減少量と比例して、効果が出ますので、2cm・2kgじゃないと結果が出ないというよりも、1cm‣1kgでも、もちろんゼロと比べると、結果が出ているので、それを評価するというのも、1つの方向なのかなとも思います。。
あと、行動変容ステージモデル。やはりこの質問票の在り方についてとか、地域・職域連携を含めた実施のしやすさとか、そういうことについても、ご発言があったかと思います。小松原構成員、お願いいたします。
(小松原構成員) ありがとうございます。健保連も、アウトカム評価については、賛成です。前回、われわれと新潟大学の加藤先生との共同研究でも少し述べさせていただいたのですが、実は今回モデル実施で非常に効いたのは、目標を達成しなかった場合、追加の支援があるという、ある意味ペナルティというか、ナッジ論的な意味合いがすごく強かったと思います。自分で頑張って達成すれば、追加の支援なく終われるというメリットが多分効いていると思っています。今回、厚労省のご提案は、アウトカム評価がすべてポイント化されてしまって、足し上げ方式になっていますので、ナッジ論が効きづらいなと思います。
もう一点は、安田構成員もおっしゃっていました、行動変容ステージによる評価はなかなか難しいと思います。特に問診票のところで、行動変容したことが維持できているのかどうか確認する術がないところが、最大の欠点だと思っています。例えばタバコをやめたということは、保健指導介入して、すごく効果があったことで、ある意味、1つの目標は達成していると思っています。ただ、翌年、その方がやめた方なのか、どうなのか。元々吸っていなかったのかということを区別する問診票の仕組みになっていません。そこは改善をしていただかないと、維持していることに対する評価ができないのかなと思います。問診票については、ここのワーキングではないかもしれませんが、そういう視点での改革もぜひお願いしたいと考えています。
(津下主査) ありがとうございます。三好構成員、お願いいたします。
(三好構成員) ありがとうございます。私からは、こちらの結果データをお預かりする立場の発言をさせていただきたいと思います。例えば7ページの最後の見直し。まず、前提として、大枠の見直しの方向性については、さらに進めるべき指標とか、モニタリング後の検討をしていただきながら、大枠に関してはこちらでよろしいのではないかなと賛成の気持ちでおります。加えて、7ページの具体的な方向性のイメージを出していただいているところで、例えば2cm・2kgの達成とか、その次のステップで、1cm・1kgというような例があって、それで今度は具体的な行動が変わったかという、段階的に考えていただいているところです。これは多分できるだけ拾っていこうという発想で検討いただいている、ありがたいことだとは思うのですが、一方で、電話での対応や進捗の管理とか、入力に至っても、現場の負担が結構増えるのではないかと感じますので、この辺りについて今後実施するにあたって、何らかのサポートというか、ツールを出していただくとか、そういったところもご検討いただけたらありがたいかなと思いました。
同じページの行動変容ステージモデルが一方向でいいほうに改善する絵柄のイメージなのですが、決してそんなことはなく、停滞期や挫折期といった、いわば行ったり来たりしながらの感じです。なので、行動変容には何を見るのがいいかという場合、質問票の運動・栄養。あと睡眠が入っているのですが、他にも生活リズムのようなものは、保健師がよく確認しております。そういった観点とか、保健指導の内容をこれから検討して追加する際にデータとして拾えるように、論点に「見える化」を進めるというような項目もありますので、そういった中で拾うのか、質問票の検討は別のワーキングかと思いましたが、そこも併せて指摘を受けていくのか、その辺りを次回以降、どういう進め方で検討されていくのかお示しいただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。
(津下主査) ありがとうございます。先ほどの小松原構成員と三好構成員の話で思ったのですが、特定健診の質問票というのは、元々メタボに着目して、保健指導につながる質問票ということでつくられたと思うのですが。それを結果評価するところまで、当時、そこまでの、評価に耐えうる指標かどうか。鈴木構成員、まさに何時間も何回も会議をもって、つくった質問票なのですが、これだけ使われたというのはすごいなと思うのですが、こういう評価にまで、ここまで使われるということを当時想定できていたかどうかという観点からいくと、ちょっと検討していただいてもいいかなというふうに思うのですが、鈴木構成員、いかがでしょうか。
(鈴木構成員) 抽出や、アセスメントに活用することを中心に、津下先生とともにやってきましたので、最終的な評価やアウトカムとしての考えは、あの当時はなかったと思います。現在、これだけデータが上がってきていますので、そのようなアウトカムが必要かを、再検討したほうがいいと私は考えます。以上です。
(津下主査) ありがとうございます。たくさんの研究の中で、どういう質問票が変わっている。結果が出ている人はどういう項目が変わっているとか、これは動きにくいとか、そういうこともだいぶ出てきていると思うので、ちょっと整理をしてもいいかなと、評価に軸を置いた質問票というのも、検討していただきたいなという気がしたりします。ありがとうございました。田口構成員、お願いいたします。
(田口構成員) アウトカム評価に対しては、私も賛同するところですし、そこは明確にしていくべきと思います。一方で、あまり評価が厳し過ぎると、委託を受けて貰えるところが少なくなることを懸念します。特定健診の委託先の話を何か所かヒアリングをさせていただいて知ったことですが、この事業は効率が悪いし、あまり儲かる仕事ではないという理由で、手を引かれている企業さんも多いと伺っています。評価はできる仕組みはできたが、引き受けてくれるところがないというのは深刻な問題になりますので、先ほど津下先生がおっしゃっていたように、高齢者でしたら、運動している行動を評価するなど、少しレベルを下げた行動評価が必要になってくると思いました。
もう一点は、繰り返しになるかもしれないのですが、初回の面接の重要性というのは、共通認識が得られていることかと思います。かなり時間がかかりますし、脱落者を減らすとか、今後効果を上げていくという部分では重要なところですので、初回面接の評価にウェイトを置くのも必要だと考えています。
(津下主査) ありがとうございます。おっしゃるように、あまり高い目標ではなかなかひるんでしまうというのもありますし、保健指導者がやりがいを感じるような、そういう目標、「こういうことだったら、ちょっと頑張ってみたい」みたいな、そういう要素が感じられる評価だったらいいなというふうに思いました。様々な観点でご意見をいただきました。基本的な方向性としては、見直しの方向性は賛同いただきつつ、留意点とか、追加のご意見をいただいたということだと思いますが、事務局様から、いかがでしょうか。ご回答いただけるものや、現在の考え方などをお話しいただけるとありがたいです。
(事務局) 事務局でございます。大きな方向性として、ご了承いただいたと思いますので、ありがとうございます。大変多くご意見をいただいたので、すべて網羅できるかはわかりませんが、初めに2cm・2kgに関して、それをアウトカムとすべきかという意見をいただいたように記憶しておりますが、われわれ、メタボ健診という枠組みでやっている以上、これに関しては、一定の合理性はあると考えておりますので、ここに関して、深掘るということはあまりないのかなと思っております。もちろん他の評価すべきポイントがあるのではないかというご指摘であれば、おっしゃるとおりだと思うので、今後検討はしていきたいと思っております。
また、行動変容ステージに関して、ちょっと誤解をさせてしまったのかなと反省をしているところですが、あくまで参考としてお示ししたというところで、今、問診票にも使っているステージモデルのところを記載しております。一方で、われわれは、これから第4期の見直しに向けて、制度化していく必要がありますので、何か先生方もご知見がございましたら、行動変容、例えば評価するにあたって、現場ではこういうものを使っているとか、こういうのが海外の事例としてあるみたいなことがあれば、ぜひ教えていただければなと思っております。
重複することですが、このアウトカム評価、これからポイントをどうするかというのは、今後検討会やこの場で考えていくことになると思いますが、小松原先生でしたか、ペナルティ的な発想で、いわゆる行動経済学的な発想で、損失回避をさせることで、より誘導させていくみたいなことも含めて、ポイントをどうするかというのは、今後考えていくことかなと思っております。
あともう一点、問診票のこともいただいていると思っていて、先生方もご承知のとおり、このワーキングではないところで考えますが、ポイントというか、この特定健診、特定保健指導という、全体の要素の1つですので、われわれが健康局さんと一緒に検討会をやっていくというのも、そうですが、密に連携しながらやっていきたいなとは思っております。以上でございます。
(津下主査) ありがとうございます。皆様のご意見について、ご検討いただくということや、それからそれぞれの委員の皆さんがお持ちの知見とか、また必要に応じた情報については、ご提供いただく、つなげる、または事例などを教えていただくなども必要かなと思います。質問票については、この委員会からはこういう意見があったよというようなことも、提案できるといいかなというふうに思いました。全体を通して、いかがでしょうか。言いそびれてしまったとか、そういうことは大丈夫でしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の議事は以上で終了とさせていただきたいと思います。事務局より、次回の日程等の連絡事項をお願いいたします。
(事務局) 次回の日程は事務局で調整の上、あらためてご連絡をさせていただきます。
(津下主査) ありがとうございました。また詰めの方向に向けて、どんどん議論が深まっていくことと思います。
本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しい中、ご参集いただき、活発なご意見をいただきまして、ありがとうございました。これにて終了いたします。
(一同) ありがとうございました。
〔了〕