2021年9月22日 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録

日時

令和3年9月22日(水)14:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎分科会長 ○分科会長代理
 

欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  田中徹(総務課長)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  河野典厚(医療機器審査管理課長) 他

議事

○総務課長 ただいまから、薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、お忙しいところ、御出席いただきありがとうございます。この度、総務課長に着任いたしました田中と申します。よろしくお願いします。
 本日の分科会については、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。本日の委員の皆様の出欠については、清田分科会長代理、戸部委員、半田委員から御欠席との御連絡を頂いております。また、川上委員、南委員から遅れて到着する旨の御連絡を頂いております。現在のところ、委員数22名のうち17名の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。
 併せて、事務局で人事異動がございましたので御紹介いたします。まず、私は医薬・生活衛生局総務課長に着任いたしました田中徹と申します。よろしくお願いします。監視指導・麻薬対策課長に佐藤大作、監視指導室長に荻原和宏、再生医療等製品審査管理室長に高畑正浩、医薬品副作用被害対策室長に今泉愛、化学物質安全対策室長に大久保貴之が着任しております。また、医薬品医療機器総合機構においては、執行役員(機器審査等審査部門担当)に高橋未明、執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査部門担当)に伯野春彦、医薬品安全対策第一部長に堀内直哉、審査マネジメント部長に安川孝志、ジェネリック医薬品等審査部長に倉持憲路が着任しております。
 分科会を開催する前に、委員の先生方の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定しております。本分科会におきましては会議開催の都度、薬事分科会規程の適合状況を書面に御署名いただく形で御申告いただいております。今回、全ての委員の皆様方から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、毎度、御負担をお掛けしておりますが、御理解を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際して、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用したまま御説明させていただく場合がありますので、御了承いただければと思います。本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、審議の進行方法について事務局より御説明させていただきます。
○事務局 事務局です。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず、御自身のお名前と、発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、分科会長から順に発言者を指名していただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。なお、発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際は、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員については、メッセージにお名前と御質問がある旨を記入していただくよう、事務局又は分科会長からお願いする場合があります。その場合には、記入されたメッセージに応じて、分科会長より発言者を御指名いただきます。
○総務課長 よろしいでしょうか。本日の議題は報告事項が10件となっておりまして、そのうち公開案件が4件、非公開案件が6件です。それでは、太田分科会長、以後の進行をよろしくお願いします。
○太田分科会長 それでは始めさせていただきます。最初に、これまでの事務局からの御説明に、委員の方々から御質問はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、事務局から本日の資料の確認をお願いいたします。
○事務局 事務局です。資料の確認をさせていただきます。本日は、あらかじめお送りさせていただいております資料を御覧いただき、御審議をお願いいたします。資料番号1~4が公開案件に係る議題、資料番号5~30が非公開案件に係る議題の資料です。また、資料10の説明の後に追加で御説明をさせていただきたい資料として、「当日配付資料」を2点、昨日、委員の皆様へメールにてお送りしております。資料番号101~126については、文書報告に係る資料となっておりますので、適宜、御確認をお願いいたします。非公開案件の各議題については、「議題概要」を作成しておりますので、こちらも併せて御参照のほど、よろしくお願いいたします。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。それでは、議事に入りたいと思います。本日の公開案件は、報告事項4件が予定されています。
 まず、議題1(資料番号1)「第十九改正日本薬局方作成基本方針(案)について」です。それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料1の「第十九改正日本薬局方作成基本方針」について説明をさせていただきます。本件は、本年7月20日開催の日本薬局方部会において御審議いただいたものです。日本薬局方については、本年6月7日に「第十八改正日本薬局方」を告示したところですが、日本薬局方は全面改正を5年毎に行っております。そこで、次回の第十九改正に向けまして、作成基本方針を御検討いただいたものです。作成基本方針の内容については、資料1の1ページの1.「日本薬局方の役割と性格」としまして、公的・公共・公開の医薬品品質規範書であることが示されており、その下の2.「作成方針」として、2ページに記載の「5本の柱」を定め、作成を推進することとされております。具体的には、第十八改正の際の基本方針を骨格といたしまして、最新の状況に基づき、所要の変更を行ったものです。幾つかのポイントについて、簡単に御説明させていただきます。
 まず、3ページの(2)最新の学問・技術の積極的導入による質的向上の項目ですが、4ページのマル2のカとして、「クリーンアナリシスの一層の推進」を盛り込んでいます。続いて、マル5「生物薬品に係る整備」とありますが、バイオ医薬品に対応した生物薬品に係る整備に積極的に取り組む姿勢を盛り込んでおります。
 また、医薬品のグローバル化への対応としまして、6ページの(3)に、国際化の一層の推進をするための各種の取組を掲げて、日本薬局方の一層の国際化、国際整合化を図り、医薬品の開発と円滑な流通を支援することを目指しております。
 この作成基本方針については、7月の部会で御了承いただいた後、パブリックコメントを実施しております。今後、事務連絡を発出いたしまして周知を行う予定です。説明は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。日本薬局方の部会長は私でございますが、私から特に追加で申し上げることはございません。委員の方々から、御意見、御質問などがありましたら承ります。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件について、御確認いただけたものといたします。
 続きまして、議題2、資料番号2「生物学的製剤基準の一部改正について」です。それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
○事務局 御説明いたします。資料No.2です。この度の生物学的製剤基準の改正ですが、各種血液製剤に規定されている「異常毒性否定試験」を削除するものです。異常毒性否定試験は、生物学的製剤基準の一般試験法に定められている試験で、モルモットの腹腔内に投与して体重減少やその他異常がないことを確認する、いわゆる従来の試験です。これは歴史的にワクチンや血液製剤等のいわゆる生物学的製剤に対して過去から実施されてきた試験ですが、近年は生物学的製剤の製造管理や品質管理の向上に伴って、こういった試験によらずとも製品の品質を確保することが可能になってきている状況です。それに加えて、動物愛護の観点もありまして、世界的にもこういった異常毒性否定試験、いわゆるジェネラルセーフティテストですが、こういったものも廃止の流れとなっております。
 既に、2005年から、国家検定の試験項目からは血液製剤についての異常毒性否定試験は廃止されておりますが、この度、各製造メーカーが実施している、いわゆる自家試験として実施している異常毒性否定試験の成績を国立感染症研究所において精査した結果、血液製剤については、今後、異常毒性否定試験を実施しなくても製剤の品質に問題がないと判断されたことから、この度、生物学的製剤基準の血液製剤から異常毒性否定試験を削除するものです。
 資料No.2の3ページの別紙1に、異常毒性否定試験を削除する血液製剤の一覧を示しております。これらの製剤から異常毒性否定試験を全て削除することになります。説明は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。委員の方々から、御意見、御質問などはございませんか。よろしいでしょうか。
 それでは、本件についても御確認いただいたものといたします。
 続きまして、議題3「医療機器及び体外診断用医薬品の基本要件等の一部改正について」の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題3について事務局から御説明いたします。資料3です。本議題では、医療機器の基本要件基準等の改正について御報告いたします。医療機器の基本要件基準及び体外診断用医薬品の基本要件基準については薬機法第41条第3項に基づき、再製造単回使用医療機器類については薬機法第42条第2項に基づき、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて医療機器の性状、品質、性能等の必要な基準を定めたものであり、これら基本要件基準等において添付文書に関する要求事項が定められております。
 資料3、1ページです。こちらは医療機器の基本要件基準の改正の概要をまとめた資料です。本年8月1日から施行した改正薬機法により、医薬品、医療機器等の添付文書については、一部の製品を除いて電子的な提供が求められることとなるとともに、従前の薬機法では「添付文書記載事項」とされていた用語が「注意事項等情報」という用語に変更となりました。これを受け、基本要件基準において、これまで「添付文書に記載する事項」として要求していた事項を「注意事項等情報」として公表する事項として改正を行ったものです。御説明は割愛しますが、資料3の4ページから示している「体外診断用医薬品の基本要件基準」、7ページから示している「再製造単回使用医療機器基準」についても同様の改正となります。
 今回の基本要件基準等の改正は、「注意事項等情報」という用語への変更に伴い、記載整備を行うものですので、それぞれの基準で定める要求事項についての変更はありません。事務局からの説明は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。医療機器・体外診断薬部会の荒井委員から、追加の御発言等がございますか。
○荒井委員 ありがとうございます。特段、追加はございません。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々から御意見、御質問などはございませんでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、本件について、御確認いただけたものといたします。
 続きまして、議題4、資料番号4「一般用医薬品のリスク区分について」の御説明をお願いいたします。
○事務局 資料No.4の「令和3年度第1回医薬品等安全対策部会について」御説明いたします。本年7月9日に開催した部会にて、「一般用医薬品のリスク区分」について御審議いただきましたので、その結果を御報告いたします。
 一般用医薬品は、リスクに応じて第一類医薬品から第三類医薬品に分類し販売規制が行われております。当初は要指導医薬品として販売され、その間に製造販売後調査が行われ、この調査の終了後1年間は第一類医薬品に分類された後、調査の結果等に基づき分類の見直しを行っております。
 今回、第一類医薬品に分類されておりました「フェキソフェナジン(小児用量)」については、7月の部会に先立ちまして、本年4月26日の令和3年度第3回安全対策調査会において、製造販売後調査の終了に伴うリスク区分の検討を行いました。安全対策調査会では、耳鼻咽喉科の専門家の参考人にも御参加いただき、小児のアレルギー性鼻炎に対して、実地臨床において以前より長く安全に使われてきた薬剤であり、重篤な副作用等、特段問題となる副作用はなく、第二類である類薬と同等であるとの御意見を頂きました。7月の部会においても、パブリックコメントの結果を踏まえた上で、本剤に関しては類薬である「ロラタジン」や「エピナスチン」と同様に、第二類医薬品に分類することが適当であると議決され、8月10日付けで答申を頂いております。「フェキソフェナジン(小児用量)」については、本年11月9日より第二類医薬品とされます。資料4の報告については以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。医薬品等安全対策部会の岡委員から追加の御発言など、ございますか。
○岡委員 特にありません。大丈夫です。
○太田分科会長 それでは、委員の方々から御意見、御質問などはございませんか。
 よろしいでしょうか。それでは、本件についても御確認いただけたものといたします。
 以上で公開案件を終了いたします。別室で傍聴されている方におかれましては退室をお願いいたします。
 それでは、非公開案件の議事に入ります。本日の非公開案件は、報告事項6件が予定されております。事務局より、御担当の部会ごとに区切って御説明いただくこととします。
 それでは、資料5「副作用・感染等被害判定第一・第二部会について」御説明をお願いいたします。
○事務局 御報告申し上げます。本年6月から8月までに開催されました副作用・感染等被害判定第一部会・第二部会の判定結果について、資料5に基づいて御説明いたします。
 1ページです。中ほどに「1.請求等の内訳」とありますが、新規266件、継続37件、現況74件の請求があり、判定が行われました。
 「2.判定結果」です。「支給決定することが適当であると考えられるもの」が320件で、全体の約85%となっております。
 一方、2ページ、真ん中下側、「不支給決定することが適当であると考えられるもの」が57件です。主な意見としましては、「マル1 疾病、障害又は死亡が医薬品の副作用により発現したと認められないため、不支給とすることが適当である」というものが24件、「マル2 判定不能のため、不支給とすることが適当である」が17件等となっております。
 以降のページについては、各部会の判定結果となりますので、本日の説明は割愛させていただきます。報告は以上です。よろしくお願いいたします。
○太田分科会長 ありがとうございました。副作用・感染等被害判定第一・第二部会長の滝川委員から、追加の御発言等はございますか。
○滝川委員 滝川でございます。特に追加することはございません。
○太田分科会長 それでは、委員の方々から御意見、御質問等はございませんでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは本件について、御確認いただけたものといたします。
 続いて、資料6~21「医薬品第一部会・第二部会について」の御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、医薬品第一部会及び第二部会関係の報告事項について御説明いたします。資料は横表の資料「薬事分科会議題概要【非公開案件】」に沿って御説明いたします。資料6~21についても適宜、御参照ください。
 まずは資料6「モイゼルト軟膏」はジファミラストを有効成分とする医薬品であり、効能・効果は、「アトピー性皮膚炎」となっています。部会における議論としては、一つ目のマルとして妊婦への投与について、二つ目のマルとして高濃度製剤を希釈して使用することについて、三つ目のマルとして他剤との併用、重ね塗りについて、それぞれ御意見を頂きましたが、いずれも資材等により適切に注意喚起する予定である旨を回答し、資材の修正等が行われています。
 続きまして、資料7「ネクスビアザイム点滴静注用100mg」はアバルグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「ポンペ病」となっております。
 資料8「ビンマックカプセル61mg」はタファミジスを有効成分とする医薬品であり、効能・効果は「トランスサイレチン型心アミロイドーシス」となっています。
 資料9「オンデキサ静注用200mg」については、部会においては「承認して差し支えない」とされましたが、大変申し訳ございませんが、本日の分科会での報告を取りやめさせていただければと思っております。理由としましては、部会の審議後、本品目の主たる評価の対象となった臨床試験において、データの取扱いが不適切である可能性があったことが、申請者から報告されました。このため、現在、機構において事実関係の確認を行っているところです。正確な事実関係を確認し、これまでの評価に影響がないことが確認されるまでの間、承認を留保させていただければと考えております。このため、本日の分科会への報告は取りやめさせていただき、改めて御報告をさせていただければと思っております。
 続きまして、資料10「ロナプリーブ点滴静注セット」ですが、これはカシリビマブ及びイムデビマブを有効成分とする抗SARS-CоV-2モノクローナル抗体製剤であり、効能・効果は「SARS-CоV-2による感染症」となっています。部会における御議論ですが、「重症度の高い患者に対して投与できるようにすべきではないか」との御質問があり、「臨床試験では酸素飽和度が93%以上の患者が組み入れられたこと、重症度の高い患者では症状が悪化したとの報告があること、酸素投与を要する患者に対する臨床試験は実施中であり、その結果を踏まえて評価すること」との回答をしております。また、具体的な重症化リスク因子について御質問があり、臨床試験において採用されたリスク因子に限らず、診療の手引きなど最新の知見に基づいて判断される旨を回答しています。
 三つ目のマルとして変異株について御質問がありましたが、臨床試験において幾つかの変異株が認められていること、非臨床試験においてもデルタ株を含む主な変異株に対して中和活性の低下が認められていないことなどを回答しております。
 四つ目のマルとして、臨床試験において収集された副作用が限られていたことについて御質問がありましたが、入念的に情報提供を行うよう申請者に指示をしており、資材等の情報提供がなされております。
 また、最後に、供給の都合で入院患者に対して使用することについて、医療現場が混乱しないように情報提供してほしい旨の御意見がありましたが、担当部局とも相談したい旨の回答をしております。
○太田分科会長 医薬品第一部会・第二部会についての御説明の途中ではございますが、ただいま、資料10で御説明いただいた新型コロナの関連で、部会での審議の報告と併せまして、「ワクチンの接種状況及び副反応疑い報告の状況等について」の御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、私から御説明申し上げます。当日配付資料として「副反応疑い報告の状況について」というポンチ絵の資料をお送りしております。こちらを御覧ください。ワクチンの安全性に関しては、医薬品等安全対策部会の安全対策調査会、厚生科学審議会の予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の合同開催という形で御検討いただいておりますので、直近の開催となります9月10日の資料に基づきまして御説明いたします。
 本資料の2ページ、副反応疑い報告の状況について資料にまとめております。上半分、青い所がファイザー社ワクチン、下のオレンジの所が武田/モデルナ社ワクチンとなっております。前回の部会の資料と区別できるように、2段に示していますが、下の方が最新の情報となっております。
 「推定接種回数」の欄ですが、ファイザー社ワクチンについては、1回目接種が5,600万回、2回目が4,600万回まできています。武田/モデルナ社ワクチンについては、1回目が1,000万回、2回目が600万回です。
 この右に、「一般接種のうち高齢者の推定接種回数」とありますが、これと「推定接種回数」とを比較していただければお分かりかと思いますが、1回目接種でいうと、ファイザー社ワクチンについてはおおむね半分が高齢者となっているのに対し、武田/モデルナ社ワククチンについては1割前後ということで、かなり接種者の背景が異なることがお分かりいただけると思います。
 資料24枚目、先ほど御紹介しましたのがmRNAワクチン2品目でしたが、アストラゼネカ社のウィルスベクターワクチンについても接種が始まっておりますので、24枚目で状況を御説明しております。接種が始まったのが8月3日からですが、データロックを行いました8月22日まで35回接種と、かなり数も限られておりまして、まだ、副反応疑い報告も寄せられていない状況ですが、集まってくれば検討していきたいと考えております。
 それでは続きまして、審議会で御検討いただきました論点をまとめたスライドです。まず32枚目、1点目として、死亡例に関する内容です。上の青い枠の所は、現時点での状況の整理として記載しております。一つ目のマルに、死亡報告の件数を記載しております。
 二つ目のマルは、報告された症状として、虚血性心疾患、心不全、肺炎、出血性脳卒中等が多く発生しております。なお、これまでの審議会において、特に注目すべき疾患として考えられた出血性脳卒中や虚血性心疾患等に関しては、ファイザー社ワクチンについて人口動態統計を用いた非ワクチン接種群との比較検討を行ってきましたが、これまでにワクチン接種群において死亡が多いことが明らかとなった疾患はありませんでした。
 また、三つ目のマルですが、専門家による評価では、大半はワクチンと死亡との因果関係は評価できないという状況です。
 下の赤い部分は、論点のまとめです。一つ目のマルですが、現時点においては、個々の死亡事例についてmRNAワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた事例は認められず、mRNAワクチンの接種と疾患による死亡との因果関係が統計的に認められる疾患もないという状況です。
 二つ目のマルですが、引き続き集積する事例に関する情報を収集し、丁寧に評価を行っていくことにより、接種対象者の属性等に留意しつつ、集団としてのデータを系統的に検討し、接種と因果関係にある疾患がないかということを引き続き見極めていきたいと考えております。
 次の33枚目には、アナフィラキシーに関する考え方をまとめております。こちらに関しては、これまでの報告と特に傾向等は変わっておりません。
 次の34枚目は、心筋炎関連事象についてのまとめです。前回の分科会では、海外で注目されているということで御紹介しましたが、そちらの状況です。心筋炎関連事象に関しては、国内外において、2回目接種後数日以内に発症する若年の男性での報告が多く、その因果関係が疑われておりますが、発症しても軽症であることが多いとの状況です。また、国内の心筋炎関連事象疑いの報告事例に関しては、特に因果関係が疑われている若年男性に係る事例では、ほとんどの事例で軽快または回復が確認されています。
 下の「まとめ」ですが、心筋炎関連事象の典型的な症状としましては、ワクチン接種後4日程度の間に、胸痛や息切れが出ることが想定されることから、こうした症状が現れた場合には医療機関を受診することを注意喚起しております。引き続き、情報収集しながら注意喚起を行っていきたいと考えております。
 続きまして35枚目、全般に関する考え方です。青枠では、年齢・性別別の解析についてまとめております。mRNAワクチンにおいては、アナフィラキシー及び心筋炎関連事象以外の副反応疑い報告全体の報告頻度についても、若年者において頻度が多い傾向が見られました。一方で、死亡報告については高齢者において頻度が多い傾向が見られました。
 全体のまとめです。ここまで紹介した事項のほか、血小板減少症を伴う血栓症・血栓塞栓症、あるいは武田/モデルナ社ワクチンの異物混入に関する影響などを含めて御検討いただきましたが、現時点において、ワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められず、引き続き国内外の情報を収集しつつ、ワクチンの接種を継続していくということと結論されております。報告は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは資料11に戻って、引き続き医薬品第一部会、第二部会について御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料11から横表の概要を元に、御説明を継続させていただきます。資料11「レットヴィモカプセル」は、セルペルカチニブを有効成分とするRET受容体型チロシンキナーゼ阻害剤であり、効能・効果は「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」となっております。部会における議論としては、外国人と比較して日本人で本剤投与時の曝露量が高い傾向が認められることに関連して、注意喚起が必要ではないかとの御質問があり、本剤の曝露量と有害事象の発現率との間に明確な関連は認められておらず、臨床試験においても日本人患者での有害事象は管理可能であったこと、製造販売後において安全性情報を注視し、注意喚起の必要性については引き続き検討していくことを御回答するといったものがありました。
 資料12「サイバインコ錠」は、アブロシチニブを有効成分とするヤヌスキナーゼ阻害剤(JAK阻害剤)であり、効能・効果は「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」となっております。部会における議論としては、「臨床試験における悪性腫瘍の発現状況を踏まえると、警告欄の悪性腫瘍に関する注意喚起は過剰警告ではないか」との御質問があり、「薬理作用から悪性腫瘍の発現リスクが上昇する可能性は否定できず、臨床試験において既承認のJAK阻害薬と同程度の発現が認められていることから、既承認のJAK阻害薬と同様の注意喚起を行っている。」と回答しております。
 続いて、資料13「サフネロー点滴静注300mg」は、アニフロルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とするヒト抗I型インターフェロン受容体1モノクローナル抗体製剤であり、効能・効果は「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」となっております。部会における議論ですが、「添付文書の警告欄における悪性腫瘍に関する注意喚起について、記載不要ではないか、医師の説明内容に関して想定している内容はあるか」との御質問があり、悪性腫瘍については、本剤の作用機序等から潜在的なリスクがあり、臨床試験でも発現が認められていることから、他の製剤と同様に注意喚起を行っている旨を回答しております。医師における患者への説明としては、資材等を用いて、作用機序や臨床試験成績を踏まえた悪性腫瘍の発現リスクについて説明をした上で、治療が開始されることを申請者は想定していることを確認し、御回答しております。
 資料14「タブネオスカプセル」は、アバコパンを有効成分とする選択的C5a受容体拮抗薬であり、効能・効果は「顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」となっております。
 資料15「ライアットMIBG-I131静注」は、3-ヨードベンジルグアニジン(131I)を有効成分とする放射性医薬品であり、効能・効果は「MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマ」となっております。部会においては、複数回投与における投与間隔について御質問があり、関連学会の最新のガイドライン等を参考にしつつ、個々の患者の状態に応じて選択することが適切と回答しております。
 資料16「パドセブ点滴静注用30mg」は、エンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え)を有効成分とする抗Nectin-4抗体微小管阻害薬複合体であり、効能・効果は「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」となっております。部会における議論ですが、「臨床試験において、Nectin-4の発現がカットオフ値未満では全生存期間の延長効果は小さい傾向が示唆されており、本薬投与に当たってNectin-4の発現を確認する必要はないか」との御質問があり、「カットオフ値未満の患者集団でも奏効が得られており、一定の臨床的意義があると考えられることから、Nectin-4の発現状況にかかわらず治療選択肢として提供することが適切と判断した。」と回答しております。
 資料17「メグルダーゼ静注用1000」は、グルカルピダーゼ(遺伝子組換え)を有効成分とする解毒剤であり、効能・効果は「メトトレキサート・ロイコボリン救援療法によるメトトレキサート排泄遅延時の解毒」となっております。部会における議論としては、「抗グルカルピダーゼ抗体を発現した患者の割合が40~70%程度の臨床試験もあり、発現割合について情報提供する必要があるのではないか」との御意見がありました。「抗グルカルピダーゼ抗体の発現と安全性との関連は現時点では不明でありますが、発現割合については、資材等で医療現場に情報提供する。」と回答しております。
 資料18は「放射性医薬品基準の一部改正について」のとおり、今回、放射性医薬品である3-ヨードベンジルグアニジンの承認に伴い、医薬品各条に新たに規定を追加するなどの改正を行う予定です。以上の12品目については、本年8月30日に開催された医薬品第一部会並びに7月19日、7月30日及び9月6日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、承認して差し支えない旨の結論を頂いております。
 続いて、資料20の「希少疾病用医薬品の指定について」御説明いたします。2ページに一覧表があり、今回は上から「フェンフルラミン塩酸塩」「ボソリチド」「アシミニブ塩酸塩」「Nipocalimab」「ブトリシランナトリウム」「エミシズマブ」「イスラトラビル水和物」の7品目に関して、それぞれ資料に記載の予定効能・効果について指定の可否が審議されました。これらの品目については、本年7~9月までの医薬品第一部会及び医薬品第二部会において御審議いただき、希少疾病用医薬品として指定して差し支えない旨の結論を頂いております。
 続いて資料21の「ペボネジスタット塩酸塩を先駆的医薬品として指定することの可否について」御説明いたします。先駆的医薬品は、これまで運用により優先審査等の対象としていた「先駆け審査指定制度」について、昨年の法改正に伴い、先駆的医薬品として法律上明確化した制度です。指定要件としては、先駆け審査指定制度と同様に、新規作用機序であることや、世界で初めて日本に承認申請する予定であることなどとされております。指定を受けると、審査期間が通常12か月の目標のところ、6か月で受けられるなどの措置があります。
 今回、資料21の1ページに記載のとおり、医薬品ペボネジスタット塩酸塩について、8月24日に先駆的医薬品として指定いたしました。指定理由としては、マル1に記載のとおり、新規作用機序を有するものであること、マル2のとおり、対象疾患である骨髄異形成症候群は前白血病状態等を含む疾患群の総称であり、高い確率でAMLなどの白血病へ進展する疾患であることから生命に重大な影響がある重篤な疾患であること、マル3のとおり、海外第II相試験において、全生存期間の延長傾向が認められ、既存の治療薬に比べて極めて高い有効性が見込まれること、マル4のとおり、本剤は世界に先駆けて、又は同時に本邦で承認申請を行う予定とされていることとしております。本件については、本年7月30日に開催された医薬品第二部会において御審議いただき、指定を可とされております。
 部会審議品目についての報告事項は以上ですが、今回御報告した品目に最適使用推進ガイドラインを作成する品目がありますので、ガイドラインについて御説明いたします。資料19-1~4を御確認いただければと思います。
 まず資料19-1は、リンヴォック錠に関する最適使用推進ガイドラインです。今回、アトピー性皮膚炎に関する効能・効果が新たに承認されたことに伴い、他のJAK阻害剤と同様に、最適使用推進ガイドラインを作成したものです。
 資料19-2は、キイトルーダ点滴静注に関する最適使用推進ガイドラインです。今回、乳癌に関する効能・効果が新たに承認されたこと、マイクロサテライト不安定性を有する結腸・直腸癌について化学療法歴のない場合について新たに承認されたことに伴い、最適使用推進ガイドラインを作成・改訂したものです。
 資料19-3は、オプジーボ点滴静注に関する最適使用推進ガイドラインです。今回、腎細胞癌についてカボザンチニブに関する効能・効果が新たに承認されたこと、古典的ホジキンリンパ腫について、小児に係る用法・用量が新たに承認されたことに伴い、最適使用推進ガイドラインを作成・改訂したものです。
 資料19-4は、サイバインコ錠に関する最適使用推進ガイドラインです。今回、アトピー性皮膚炎に関する効能・効果が新たに承認されたことに伴い、他のJAK阻害剤と同様に最適使用推進ガイドラインを作成したものです。
 医薬品第一部会、第二部会に関する報告事項は以上ですが、事前に佐藤俊哉委員からコメントを頂いておりますので、この場で御紹介させていただければと思います。資料10のロナプリーブ点滴静注セットについて御質問を頂いています。概要の横表の中で、部会における主な意見に記載があります。「供給の都合で入院患者に対して使用する」とありますが、これに関して海外試験の第III相パートでの主要評価項目は、入院又は死亡となっており、既にSARS-CoV-2による感染症に関連のある入院というイベントを発現している患者に対して、本剤は有効であるというエビデンスがあるのでしょうかという御質問を頂いております。海外第I・II・III相試験の第III相パートにおいて投与対象とされた患者は、本邦における軽症から中等症1のSARS-CoV-2による感染症患者に該当すると考えられることから、入院の有無にかかわらず、当該患者に対する有効性は期待できると考えております。また、当該患者に対する本剤の有効性を確認するための評価項目として、臨床試験が実施された主な国である米国における医療患者を踏まえますと、入院又は死亡は臨床的に意義のある評価項目であると考えております。
 続いて資料19-1と資料19-4に関連する御質問を頂いております。まず資料19-1の7/17ページを御覧いただければと思います。例えば7/17ページの表1に、脚注a)とb)があります。その注のb)について、プラセボ群の差と両側p値のいずれにも、脚注のb)があるということになっています。この両側p値についてはコクラン-マンテル-ヘンツェル検定で計算し、プラセボ群との差の信頼区間については、マンテル-ヘンツェルの方法で求めたという記載が正しいのではないかという御質問です。これについては表1に限らず、表4とか、審査報告書である資料116の表12、表18も同様ではないかという御指摘を頂いております。
 また、資料19-4についても同様の御指摘を頂いております。資料19-4の6/18ページを御確認いただけますか。6/18ページの表1の注のa)も、同じ記載となっていますが、これについてプラセボ群との差の脚注としては、割り付け時の層別因子(重症度に基づく層ごとの達成率の差の重みづき平均値(加重平均)に対して推定近似法を用いて算出した95%信頼区間)と、両側p値に関しては、割り付け時の層別因子で調整したコクラン-マンテル-ヘンツェル検定と記載するのが正しい脚注ではないかと。これについては表3と、審査報告書である資料12の表45、表48、表52、表56も同様ではないかとの御意見を頂いております。
 これに関しても確認をさせていただきました。御指摘、ありがとうございます。御指摘いただいた内容は機構の方で確認し、佐藤委員の御指摘の記載が最も正確な記載ではないかという確認をさせていただいております。ただ、正確な記載ぶりには、改めて確認をさせていただければと思います。いずれにせよ、今後の審査報告書等を作成する場合には、より適切な記載を行うように心掛けていきたいと思います。説明は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。医薬品第一部会長の森委員から、追加の御発言などはありますか。
○森委員 特にありません。
○太田分科会長 委員の方々から御意見、御質問などはありませんか。
○山田委員 山田です。質問してよろしいでしょうか。資料10でよろしいですか。escape mutantの件です。資料10の11ページを見ると、in vitroではescape mutantが出ているように読めます。アカゲザルを使った動物実験では、結果的にescapeは見られてないのですが、実は、これは接種3日前と、接種1日後に抗体を投与していて、ウイルスが全く増えていない状況で抗体を投与しているのです。あるいは、僅かに増殖した後です。したがって、ここでこういうやり方をしたのであれば、escapeは出てこないと思われるのです。
 現実に東京都で行った試験結果では、患者に投与すると投与が遅れると効果が見られないのです。ということは、患者が発症してからだとウイルス量が大量になって、そういう状況で、この抗体薬を入れると患者の体内でescape mutantができる可能性があるのではないかと。それが動物実験によって、きちんと検討されていないと思われます。したがって今後の使い方が、発症してから、しばらくたってウイルス量が多いような方にどんどん使うようなことになると、どちらの抗体も効かなくなる可能性が非常に高いと私は考えますので、何らかのガイドラインのようなものを準備する必要がないだろうかという疑問が湧いてきます。その辺についてはいかがでしょうか。
○太田分科会長 では、事務局からいかがでしょうか。
○事務局 事務局より回答させていただきます。投与する時期に関しての御質問ですが、同じ資料の1番下の60/63ページの添付文書を御確認いただければと思います。7.の「用法及び用量に関する注意」でも、関連する注意として「SARS-CoV-2による感染症の症状が発現してから速やかに投与すること」という記載をしており、投与する時期は感染の発症から、なるべく早い時期に投与するのが望ましいという注意喚起がされています。投与はどういった時期が適切かということについては、臨床試験における情報も限られていると考えておりますが、今後、製造販売後における治験も収集されましたら適切に医療機関への情報提供などもしていただきたいと考えております。以上、回答になっておりますか。
○山田委員 それはいいとは思うのですけれども、コロナの場合、発症したときにはかなりのウイルスが出ているわけですよね。発症前からウイルスが出ている。だから、かなり早期に大量に抗体薬を入れないと、escape を生み出す可能性が十分あるわけです。濫用ではないけれども、あちらこちらで、これを際限なく利用すると、確実にescape mutantが出てくる可能性があると私は思うのです。
 まず、今やらなければいけないことは、例えばin vitroで取れた二つの抗体からescapeした株が、現行のワクチン接種者や感染者の回復期血清で中和されるかどうかです。逆のことはやっているわけです。現在見られている変異株に対して、この抗体の効果があるかどうかは見ているわけですけれども、そうではなくて、この抗体をescape してきた mutantが、現行のワクチネーションで誘導される抗体で中和されるか、そういった知見も今後は必要になると思われます。もしもescapeの株が、ワクチン等で誘導された抗体によって中和されないということになると、これは一大事だと思いますので、継続的に注意をしていっていただきたいと思います。
○事務局 御指摘、ありがとうございます。いただいた御意見については、関係部局や申請者とも共有させていただき、個々での検討もさせていただけたらと思います。
○山田委員 よろしくお願いいたします。以上です。
○太田分科会長 山田委員、ありがとうございました。大変重要な御指摘だと思います。今後ともよろしくお願いしたいと思います。ほかの委員の方々から御意見、御質問等はありますか。
○佐藤委員 佐藤ですけれども、よろしいでしょうか。先ほどのコメントに対する回答をありがとうございました。今のロナプリーブのところですけれども、よく分からなかったのが、日本の入院患者は、アメリカで言う軽症に相当するという御回答だったのでしょうか。
○事務局 事務局です。日本の入院患者が必ずしもアメリカにおける軽症患者と一致するものではありませんが、承認された効能・効果と言いますか、投与対象とされた患者は、本邦においても軽症から中等症1の患者に該当しますので、そういった患者に対する有効性は期待できると考えております。
○佐藤委員 そうすると、当面は日本の入院患者に使用するとはいっても、軽症の患者に限って使用するという理解でよろしいでしょうか。
○事務局 御指摘のとおりです。
○佐藤委員 ありがとうございます。以上です。
○太田分科会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件については御確認いただけたものとします。
 続いて資料22~26、医療機器・体外診断薬部会について、御説明をお願いいたします。
○事務局 横表の議題概要を御確認ください。医療機器審査管理課より御説明いたします。本年6月11日及び8月4日に開催いたしました医療機器・体外診断薬部会並びにプログラム医療機器調査会において、審議された5件について御報告いたします。資料番号22「オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についてです。本件は、ホルモン受容体陽性、かつHER2陰性の早期浸潤性乳癌患者の腫瘍組織における21遺伝子のRNA発現量に基づき、再発スコア等を出力する解析プログラムです。部会での主な御意見の一つとして、米国の検査施設に送付された検体と解析データの二次利用について御指摘がありました。これに対し、類似の既承認品と同様に、目的外使用を行わないよう承認条件を付けるとともに、QМSの実地調査にて管理状況を確認する旨回答しており、本品を承認することが摘当との審議結果を頂いております。
 次に、資料番号23「体外型補助人工心臓EVAD」の使用成績評価の指定の要否についてです。本品は、体外設置式の補助人工心臓であり、従来の薬物療法や既存の補助循環法の限界を超えた重症心不全患者に対して、左心補助による全身循環の維持及び心不全の回復を目的として使用するものです。本品は、調査期間を4年として、使用成績評価の指定を行うことが適当との審議結果を頂いております。
 資料番号24「Harmony経カテーテル肺動脈弁システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についてです。本品は、右室流出路への外科的修復又は経カテーテル的インターベンションの既往があり、肺動脈弁置換が臨床上必要とされる重度肺動脈弁逆流症の患者に使用する、経カテーテル肺動脈弁と留置のためのデリバリーシステムです。部会での主な御意見の一つとして、適用を「外科手術不能な患者」に限定した場合、実質的に適用される症例が存在しないのではないかとの御意見があり、検討の結果、対象患者を「外科的手術のリスクが高い患者」に修正いたしました。本品は、生物由来製品として指定し、調査期間を7年6か月として使用成績評価の指定を行った上で承認することが適当との審議結果を頂いております。
 資料番号25「Rezumシステム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否についてです。本品は、経尿道的なアプローチにより前立腺に水蒸気を噴射し、前立腺肥大症に関わる前立腺組織を減らし、症状や閉塞を緩和することを目的とするデリバリーデバイス、ジェネレータ等から構成されるシステムです。部会での主な御意見の一つとして、使用成績評価の症例数設定に有効性も考慮すべきとの御指摘があり、症例数の設定根拠について有効性評価も適切に記載する旨回答いたしました。本品は、調査期間を6年として、使用成績評価の指定を行った上で承認することが適当との審議結果を頂いております。
 資料番号26「トレミキシン」の希少疾病用医療機器の指定の要否についてです。本品は、特発性肺線維症の急性増悪症例に対する病態改善を目的とする血液浄化器です。部会での主な御意見の一つとして、先進医療Bにおいて、試験結果が薬事申請に十分とは言い難いとの評価がされている点について御指摘があり、承認審査に当たっては、先進医療B以外の臨床成績等も含めた申請資料に基づき総合的に評価を行い、機構による事前の相談等を含め適切に対応する旨回答しております。本品は、希少疾病用医療機器として指定することが適当との審議結果を頂いております。御説明は以上となります。
○太田分科会長 ありがとうございました。医療機器・体外診断薬部会の荒井委員から追加の御発言等はありますか。
○荒井委員 特段、追加はありません。
○太田分科会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から、御意見、御質問をよろしくお願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものとします。
 続いて、資料27及び資料28、要指導・一般用医薬品部会について、御説明をお願いします。
○事務局 それでは、要指導・一般用医薬品部会関係の内容について、御説明させていただきます。「薬事分科会議題概要」の7ページの資料27及び資料28を御覧ください。今回、報告の対象となりますのは、殺虫剤の新有効成分含有医薬品の2議題「ベクトロンFL」及び「アースレッドME」です。
 資料No.27「ベクトロンFL」を御覧ください。本剤は、新有効成分であるブロフラニリドを含有するゴキブリ、ノミ、トコジラミ、イエダニの駆除を効能・効果とする残留噴霧処理が可能なフロアブル型の殺虫剤です。防除業者が使用する殺虫剤は、抵抗性を抑え殺虫効力を持続させるために薬剤を順番にローテーションして使用することが推奨されております。防除業者が一般的に行っている噴霧処理を行う殺虫剤は、1980年代以前に承認された有機リン系、ピレスロイド系、カーバメート系と選択肢が限られておりました。ブロフラニリドは、昆虫の神経細胞のGABA作動性塩素イオンチャネルに、既承認のものとは異なる部位に結合し、塩素イオンの神経細胞への流入を阻害することで殺虫活性を示します。ブロフラニリドは、本邦ではシロアリ駆除剤として2019年から、農薬としては2021年から販売されております。
 本申請においては、試験管内でチャバネゴキブリ、クロゴキブリ、イエダニ、トコジラミ及びノミに対する殺虫効果を評価した基礎効力試験、飲食店での駆除率を評価した実地効力試験が実施され、既承認の殺虫剤と同等以上の有効性が示されております。また、既承認の殺虫剤であるピレスロイド系に抵抗性を示すチャバネゴキブリに対しても、有効性が示されております。安全性については、毒性試験として、各投与経路による単回投与毒性試験、反復投与毒性試験、遺伝毒性試験、生殖発生毒性試験、局所刺激性試験及び皮膚感作性試験が実施され、それらの試験結果より本剤の使用時のリスクは低いことが示されております。部会では、以上を踏まえ、承認して差し支えないとの結論を頂いております。
 続いて、資料No.28「アースレッドME」を御覧ください。本剤は、「ベクトロンFL」と同一の原薬であるブロフラニリドを含有いたしますが、こちらはゴキブリ、トコジラミの駆除を効能・効果とする加熱蒸散剤になります。本剤は、薬剤に曝露されにくい隙間に潜むトコジラミも効率的に駆除できるように、部屋の隅々まで殺虫成分を行き渡らせることを目的として開発されております。こちらは一般の使用者が家庭や店舗等で使用する製品であり、既承認の加熱蒸散剤と同様、容器に水を入れ生石灰と反応させた際に発生する熱を利用して有効成分を煙状に蒸散させるものです。
 本申請においては、試験管内でチャバネゴキブリ、クロゴキブリ及びトコジラミに対する殺虫効果を評価した基礎効力試験、飲食店、民家等での駆除率を評価した実地効力試験が実施され、既承認の殺虫剤と同等以上の有効性が示されております。また、ピレスロイド系殺虫剤に抵抗性を示すチャバネゴキブリ及びトコジラミに対しても有効性が示されております。安全性については、毒性試験として、各投与経路における単回投与毒性試験、吸入による反復投与毒性試験、局所刺激性試験及び皮膚感作性試験が実施され、それらの試験結果により、既承認の加熱蒸散剤と同様、リスクは低いことが示されております。部会では、本剤の使用時に、ベッドや箪笥の引き出しの中身等について、どのように処理すればよいのか分かりにくいとの御意見を頂きました。これについては、添付文書で情報提供を行うとのことで御了承いただいております。こちらについては、部会後に添付文書に、ベッド・衣類等には事前にカバーをかける旨の情報提供が追記されております。以上を踏まえ、承認して差し支えないとの結論を頂いております。説明は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。要指導・一般用医薬品部会長は私ですが、特に追加で申し上げることはありません。委員の方々から、御意見、御質問がありましたら承ります。いかがでしょうか。
○遠藤委員 遠藤と申します。1点お願いしたい点があり、コメントしたくお願いします。今回の御説明を伺い、既承認の殺虫剤と比較して、新たな有効成分ということで、殺虫剤としての効果が期待できる製品だと認識したのですが、アースレッドMEは、既承認の加熱蒸散剤と同様の使い方をされるということで、注意喚起をお願いしたいと思っています。
 こういった家庭用の加熱蒸散剤ですが、使用中の吸入事故だけでなく、小児や高齢者が、中の薬剤を誤食してしまうという事故を、私どもの日本中毒情報センターで複数把握しています。その中には、痙攣を起こして入院加療を受けた症例も散見されますので、今回、新有効成分ということで、是非この機会に既承認の殺虫剤も含めて消費者への注意喚起等をお願いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○太田分科会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。事務局から、もしコメントがあれば。
○医薬品審査管理課長 審査管理課の吉田ですが、貴重な御意見をどうもありがとうございます。まずは、この品目についての注意喚起を、業者の方に、どういう形でできるのかについては、必要な指導とともに相談をしたいと思います。併せて、今、御指摘の既承認のものについての注意喚起をどうするのかについては、ほかのものもありますので、安全対策の部門とも相談しながら、何らかの措置で対応できないのかを検討させていただきたいと思います。
○遠藤委員 ありがとうございます。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。ほかの委員の方々からの御意見、御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認をいただけたものとします。
 続いて、資料29指定薬物部会についての御説明をお願いします。
○事務局 それでは、指定薬物部会について御説明させていただきます。資料29を御覧ください。まず、指定薬物の指定とは、危険ドラッグに含まれる成分のうち、中枢神経系に作用する蓋然性があるものを医薬品医療機器等法に基づき、指定することにより、医療等の用途を除き、その製造、販売、使用などを禁止するものとなっております。
 令和3年度第2回指定薬物部会が令和3年8月24日に持ち回りで開催されました。第2回の部会では、カンナビノイド系1物質とカチノン系2物質の計3物質について、指定薬物に指定するか否かを審議いただいた結果、いずれの物質も指定薬物とすることが適当であるとされました。
 指定薬物に指定した物質の名称、構造式等については、資料29の2~3ページに記載しております。また、部会で審議いただいた第2回の3物質については、令和3年8月25日に、指定薬物に追加する省令を公布し、同年9月4日に施行しております。報告は以上です。
○太田分科会長 ありがとうございました。指定薬物部会長の関野委員から、追加の御発言などはありますか。
○関野委員 関野です。追加のコメントはありません。よろしくお願いします。
○太田分科会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々から御意見、御質問等を受けたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものとします。
 続いて、資料30動物用医薬品等部会についての御説明をお願いします。
○農林水産省 農林水産省から御報告いたします。資料30を御用意ください。動物用生物学的製剤基準の一部改正について、本年9月1日に開催された動物用医薬品等部会において御審議いただき、御了承いただいたものです。動物用生物学的製剤につきましても、人用生物学的製剤と同様、医薬品医療機器等法に基づき、製剤基準を定めているところですが、本基準の医薬品各条に新たな製剤の基準の追加を行います。
 資料の1ページを御覧ください。再審査終了に伴い、「ひらめストレプトコッカス・パラウベリス(I型・II型)感染症・β溶血性レンサ球菌症混合不活化ワクチン」の各条を追加することとし、定義、製法、各段階での試験法、貯法及び有効期間を規定しております。以上、御報告いたします。
○太田分科会長 ありがとうございました。動物用医薬品等部会長の山田委員から、追加の御発言などはありますか。
○山田委員 私からは特段の追加はありません。
○太田分科会長 ありがとうございます。それでは、委員の方々から、御意見、御質問等を受けたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本件について御確認いただけたものとします。
 以上で本日の議題は全て終了しましたが、今回の薬事分科会全体を通じて御意見、御質問等はありますか。よろしいでしょうか。
○山田委員 山田ですが、先ほど言い忘れたのですが、escape mutantをモニターするような仕掛けを考えていただけたらいいと思いましたので、追加させてください。
○医薬品審査管理課長 御指摘ありがとうございます。併せて、健康部局等の関係部局とも相談させていただきながら、御意見をお伝えしていきたいと思います。
○山田委員 よろしくお願いします。
○太田分科会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、事務局から報告事項はありませんか。
○事務局 事務局です。次回の薬事分科会の開催については、12月24日(金)14時から予定をしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○太田分科会長 それでは、以上をもちまして薬事分科会を閉会いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
この会議は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

総務課 薬事審議会係 (内線2785)