第340回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2022年(令和4年)4月13日(水) 10時00分~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1会議室(12階)

出席者

(公益代表委員)
  • 小野 晶子
  • 原 昌登
  • 松浦 民恵
  • 山川 隆一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 冨髙 裕子
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 田尻 久美子
  • 平田 充

議題

  1. (1)改正職業安定法の施行について(公開)

議事

議事内容

○山川部会長 おはようございます。ただいまから「第340回労働力需給制度部会」を開催いたします。お忙しいところ御参集いただきまして、大変ありがとうございます。本日は、労働者代表の相羽委員、使用者代表の佐藤委員が所用により御欠席と伺っています。また、奈良委員、田尻委員はオンライン参加となります。佐久間委員におかれましては、所用により途中御退席と伺っています。
 本日は、「改正職業安定法の施行について」の御議論を頂きます。議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。事務局から説明をお願いします。

○高橋補佐 皆さん、おはようございます。需給調整事業課の高橋です。お手元に資料を3点御用意しております。資料1が、改正職業安定法の施行についてということで、本日のメイン資料です。もう1つが参考資料1で、参議院厚生労働委員会で頂きました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議です。衆議院のほうでは職業安定法の関係の附帯決議は頂いておりませんので、本日は参議院だけ御準備しております。基本的には改正内容の周知であったり、指導監督といった行政のほうで受け止めるべき事項が多くなっていますが、1点だけ、15番です。「募集情報等提供事業者等が求人等に関する情報を正確かつ最新の内容に保つために講ずるべき措置等の内容」、正に本日、御議論いただく事項については、「求職者保護の観点を最大限重視した上で検討を進めること」となっていますので、こういったことも踏まえながら皆様には御議論いただきたいと思っています。もう1つが参考資料2です。こちらは、資料1の御説明の中で適宜参照しながら説明を進めたいと思います。
 資料1を御覧ください。1ページで、改めて職業安定法の改正を含む雇用保険法等の一部を改正する法律の概要をお示ししています。先月、こちらの法律は成立いたしました。2が職業安定法の改正部分ですが、下に施行期日とございます。2の➀の一部及び➁とございまして、令和4年10月1日となっています。本日は、この施行に向けての政令、省令、指針の改正に関する対応案を事務局として整理していますので、御議論いただきたいと思っています。対応案の資料の中には、労政審で頂きました建議であったり国会の議論も盛り込んでいます。適宜、御参照いただきながら御意見を頂戴できればと思います。
 3ページです。赤いページが政令に関する事項です。1点だけ政令改正事項がございまして、改正職業安定法第5条の6において、職業紹介事業者に対し、求人の全件受理が義務付けられていて、その例外として労働関係法令に違反した求人者からの求人は受理しないことができることとされています。職業選択の自由を保障する趣旨で、求人について全件受理を原則とした職業安定法の中で、求人の不受理の対象とする法令については、求人者、募集者の義務として規定されているもの等を対象にしています。そこで、下の対応案です。今回の法改正により規定された募集情報の的確表示の義務に違反した場合、これは労働条件の明示違反と同じように、求人者、募集者の義務として規定されているものであるため、今回、求人不受理の対象の法令として加えるというのが対応案です。
 また、次のページ、青いゾーンが省令に関する事項です。5ページで、募集情報等提供の定義に関する事項です。募集情報等提供の定義における情報提供の依頼元や情報提供先となる主体について、法律では「労働者の募集を行う者」、「募集受託者」、「職業紹介事業者」が既に列挙されていて、その他の主体については、「その他厚生労働省令で定める者」と定められています。この厚生労働省令で定める者について下の対応案です。「募集情報等提供事業を行う者」、「特定地方公共団体」、これは職業紹介を行う地方公共団体です。それと「労働者供給事業者」、この三者を定めるというのが対応案です。この三者で基本的に想定される主体は列挙されているのではないかと考えています。
 6ページ、的確表示の関係です。改正職業安定法第5条の4に的確表示の義務が規定されていて、その対象となる「広告等」という言葉が第5条の4に出てきます。この広告等の範囲について法律上では「刊行物」や「文書の掲出又は頒布」が定められていて、それ以外にどういったものがあるかを厚生労働省令で定める方法とされています。この厚生労働省令で定める方法として下の対応案の1つ目のポツで、書面の交付、放送(テレビ、ラジオ等)、インターネット及びこれらに類する媒体を利用する方法というのが対応案です。放送やインターネットについては、刊行物や文書の掲出又は頒布と同様に、広く不特定多数の者に対して情報提供する方法として整理しています。もう1点、書面の交付については不特定多数ではなく、業者間の情報提供であっても募集情報の的確性が求められる場合があることを踏まえて整理しています。これによりまして、求人企業が求人メディアに対して情報の掲載を依頼する際にも的確表示が同様に求められることになると考えています。
 もう1点、対応案の2つ目の丸です。今回の的確表示の対象となる情報について、法律上は既に「労働者の募集に関する情報」、あるいは「労働者になろうとする者に関する情報」が規定されていて、それ以外に何があるかというのが厚生労働省令に委任されています。この点について6ページ真ん中の点線の箱の中です。頂きました建議において募集情報等や事業に関する情報ということで整理いただいています。これも踏まえて対応案として、厚生労働省令で定める情報として、労働者の募集を行う者に関する情報と事業の実績に関する情報を挙げています。※にございますとおり、例えば登録求職者数何万件といった事業実績について、事実と異なる広告を行うことは業界の信頼を損ない、雇用仲介事業のマッチング機能を損なうおそれがあることを踏まえ、この事業の実績に関する情報を加えています。
 7ページと8ページ、正確かつ最新に保つための措置の内容です。改正職業安定法第5条の4第3項において、募集情報等提供事業者に対し、求人等に関する情報を正確かつ最新の内容に保つための措置を講じることを義務付けています。その具体的な措置内容については、厚生労働省令で定めることとされています。7ページの下段の点線の箱の中にございますが、国会審議の中でも様々な議論がありまして、いくつか直接議論されているところを抜粋しています。
 具体的な対応案は8ページです。今回、この措置義務の対象には職業紹介事業者や募集情報等提供事業者が含まれていて、募集情報等提供事業者の中にも求人企業の依頼を受けて情報提供を行う者、受けないで情報提供を行う者など様々な事業形態が含まれているため、各事業形態に沿った措置義務を定める必要があると考えています。そうした中で、どの事業者にも共通で措置していただく必要があると考えられる事項として、➀で2点整理しています。求人等に関する情報の提供者や提供されている求人企業・求職者から、掲載の中止や内容の訂正の依頼があった場合には、速やかに対応する。もう1点が、正確かつ最新の情報でないことを自ら確認した場合には、速やかに内容の訂正の依頼を依頼者に対して行う。あるいは掲載の中止を行うといった事項を整理しています。
 その上で、➁です。事業形態に合わせた措置として、それぞれの事業形態ごとにいずれかの措置をとる必要があるということで整理しています。
まず、職業紹介事業者、労働者供給事業者に関しては、求人者や求職者に対して定期的に情報が最新であるかの確認を行う。あるいは、求人や求職者の情報の時点を明らかにする。このいずれかの措置をとるということを整理しています。
 次の段で、第4条第6項第1号に該当する募集情報等提供事業者、こちらは求人企業の依頼に基づいて求人情報を提供する事業者です。2点整理していて、募集者等に対し求人が充足したときや内容を変更したときには、速やかに通知するよう依頼する。2点目として、労働者の募集に関する情報の時点を明示する。このいずれかの措置をとるということで整理しています。
 次が、第4条第6項第2号に該当する募集情報等提供事業者、これは求人企業からの依頼なくクローリングによって求人情報を収集・提供する事業形態です。こちらについては、労働者の募集に関する情報を定期的に収集・更新し、その頻度を明確にするというのが1点目です。もう1点が、労働者の募集に関する情報を収集した時点、クローリングした時点を明示するということで整理しています。
 次が、第4条第6項第3号に該当する募集情報等提供事業者、こちらは求職者情報を取り扱う事業者です。求職者の方から依頼を受けて求職者情報を提供する事業形態です。これについては、1点目、労働者になろうとする者に対し情報を正確かつ最新の内容に保つよう依頼する。もう1点が、労働者になろうとする者が情報を提供・更新した時点を明示する。この2点を整理しています。
 次が、第4条第6項第4号に該当する募集情報等提供事業者で、こちらは求職者情報をクローリングしてくる事業形態です。こちらについても2点整理していて、労働者になろうとする者に関する情報を、定期的に収集・更新し、その頻度を明確にするというのが1点。もう1点が、労働者になろうとする者に関する情報を収集した時点を明示する。この2点を整理しています。
 9ページ、個人情報の取扱いの関係です。改正職業安定法第5条の5第1項において、個人情報を収集する際には、その業務の目的を明示することとされています。その方法については、厚生労働省令に委任されているところです。下の対応案ですが、この省令については募集情報等提供事業者だけでなく、職業紹介事業者なども含まれていることを踏まえ、インターネットの利用を基本としつつ、その他の適切な方法というものも含めて整理しています。ホームページのサイトを使った情報提供を行っている場合には、そのサイトに掲載する。あるいはインターネットを利用しないで対面で職業紹介を行っているような事業形態の場合には、事業所に掲出するといった方法も考えられます。また、紙媒体を利用している場合には、その紙媒体で明示するといったことも考えられます。こういったものを想定しつつ、インターネットの利用その他の適切な方法を定めると整理しています。
 10ページです。改正職業安定法第43条の2第1項において、特定募集情報等提供事業者に対して厚生労働大臣への届出を義務付けているところです。その届出事項については氏名又は名称及び住所を例示としつつ、厚生労働省令で定めることとされています。下の対応案です。この厚生労働省令で定める事項については、氏名又は名称、住所、連絡先、職業紹介事業者又は派遣事業者の場合には、許可番号又は届出番号を定めることとしてはどうかと考えています。また、上から2つ目のポツです。サービス名称、サイトURL、サービス概要、第4条第6項第各号のいずれに該当する事業かということも様式記載事項とし、これらの情報については、厚労省の人材サービス総合サイトに一覧として掲載し、利用者のサービス選択に資するようにするというのが対応案です。この上から2つ目のポツに整理した事項については、逐一の変更届出までは求めずに、後ほど説明します事業概況報告書の中で随時アップデートしていくことを考えています。併せて、届出事項の住所とか名称の真正性を確保する観点から、住民票の写し又は登記事項証明書の添付を求めることとしたいと考えています。これら職業紹介あるいは派遣の許可番号、届出番号を書いていただいた場合には、そちらのほうで確認をしているということで、募集情報等提供事業の届出においては省略可能としたいと考えています。最後のポツです。届出については原則オンラインで行うことにしたいと考えています。
 11ページです。改正職業安定法第43条の5において、事業概況報告書の提出を求めることになっています。その具体的な方法、項目については厚生労働省令に委任されているところです。この点、真ん中の点線の箱の中ですが、建議でも整理いただいていて、提供している情報の概数、サービスの内容、適正な事業運営のために取り組んでいる事項の3点を含めるべきものとして整理いただいています。これも踏まえて下の対応案ですが、3点を記載事項としてはどうかと考えています。1点目が、6月1日時点における提供している労働者の募集に関する情報や労働者となろうとする者に関する情報の概数、2点目が、提供しているサービスの内容、3点目が、募集情報等の的確表示、個人情報保護、苦情の適切な処理のために実施している措置、この3点を記載事項としたいと考えています。2つ目のポツです。提出時期については6月1日時点の情報を頂くことになりますので、作業期間を考慮して8月末を期限として設定しています。こちらも原則オンラインで届け出ていただくことを想定しています。
 12ページ、事業情報の公開の関係です。改正職業安定法第43条の6において、募集情報等提供事業者に対して事業情報の自主的な公開を努力義務として定めています。その公開方法と公開事項が厚生労働省令に委任されています。下の対応案です。その事業情報の公開の方法については、インターネット又は事業に利用している紙媒体を利用する方法を定めるというのが対応案です。また、どのような事項を公開事項とするかという点について、2点整理しています。労働者の募集に関する情報の的確な表示に関する事項、苦情の処理に関する事項が既に法律の中で定められていますので、それ以外に個人情報を適正に管理するために講じている措置と、利用者が検索をした場合に、その表示順を決定するために用いる主要な事項を定めてはどうかと考えています。この利用者が検索をした場合に表示順を決定するために用いられる主要な事項というのは、利用者の方が検索したときにスポンサー企業が上に出てくるとか、あるいは新着順で並べるとか、そういった事項を公表していただくことを想定しています。
 13ページ、苦情の処理の関係です。改正職業安定法第43条の7において、募集情報等提供事業者に対し苦情の適切な処理が義務付けられています。その対象について、誰からの苦情がその対象になるかというのが厚生労働省令に委任されています。既に法律の中で、労働者になろうとする者、労働者の募集を行う者、募集受託者、職業紹介事業者が定められており、厚生労働省令で定める者として3点、「募集情報等提供事業を行う者」、「特定地方公共団体」及び「労働者供給事業者」を定めるというのが対応案です。
 次のページ、緑の部分が指針の関係です。15ページですが、現行の指針の中で既に職業紹介事業者等に対して、人種などに基づく差別的な取扱いの禁止や、男女雇用機会均等に反する職業紹介の禁止を定めているところで、募集情報等提供事業者に対しても同様の内容を定めるというのが15ページの対応案です。
 16ページ、募集情報の的確な表示の関係で、2点整理しています。下の対応案で1点目、募集情報を提供する段階でも、労働条件として明示することとされている事項に関する情報をできる限り含めることが望ましいこととする、と整理しています。法改正を議論いただいた際にも、募集情報の段階で労働条件の明示を求めるべきという御意見を頂いていました。募集情報の段階で労働条件の明示を行うことを一律の義務として定めることは難しいと考えていますが、業態や事業者によってそういった取組が可能な部分も考えられることから、指針においてできる限り含めることが望ましいという形で整理しています。もう1点、2つ目のポツです。誤解を生じさせる表示として、どういったものがあり得るか、指針の中でも整理したいと考えています。具体的には4点お示ししていて、関係会社と求人企業、例えば親会社と子会社を混同させるような表示、従前より御議論いただいていた雇用と請負の募集を混同させるもの、固定残業代等を基本給に含めて実際よりも賃金を高く見せるもの、職種・業種等について、実際のものと乖離する名称を用いるもの、こういったものを指針の中で誤解を生じさせるものの事例として明記したいと考えています。この4点に限らず、誤解を生じさせる表示の例についてはQ&Aやリーフレットの中で、もっと分かりやすく事例についてお示ししていきたいと考えています。
 17ページです。求人企業については、法律で募集内容を正確かつ最新に保つことが直接的な義務として定められていますが、具体的にどのような対応が必要なのかを指針の中で整理するものです。下の対応案です。具体的には、労働者の募集を変更又は終了した場合には、その掲載を速やかに変更又は終了する。求人メディアに掲載を依頼している場合には、その掲載も変更又は終了するよう依頼する。2点目として、情報の時点を明らかにする。3点目として、求人メディアから募集情報の訂正や変更を依頼された場合には速やかに対応する。こういったことを対応の例示として指針に記載したいと考えています。いずれにしても、最終的な結果として、正確かつ最新の内容に保つ義務が求人企業にかかっていることに変わりはありません。
 18ページ、個人情報の適切な取扱いの関係です。下の対応案の1つ目のポツですが、今回の法改正により目的の明示が義務付けされています。この目的の明示についてどの程度具体的に明示すればいいかを整理するものです。一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的にと整理しています。これにより、一言、「募集情報提供に使用するため」といったあまりに抽象的な記載は、この目的の明示で求めている水準を満たしていないことをお示ししたいと考えています。2つ目のポツですが、今回、クローリングによる情報の収集・提供というものが法律上の事業として位置付けられたことを踏まえ、自ら公開している個人情報を収集する方法を、許容される手段として指針上も明確にする趣旨で、ここは整理しています。3つ目、あらかじめ明らかにした業務の目的の範囲外で個人情報を使用、保管してはならない。これはある意味、法律上、当然であることを指針の中でも整理、明記するものです。
 19ページ、上段が個人情報の使用に関する本人同意の関係です。参考を御覧いただきたいのですが、職業安定法上で本人の同意が必要とされるのは、業務の範囲を超えて個人情報を収集・使用する場合などに限定されていますので、通常の職業安定法の事業を行う範囲で個人情報を収集・使用する場合には、必ずしも本人同意は必要でないとされています。その上で、同意を取る際の留意事項を整理しているものです。
 上の対応案に戻っていただき、1点目は、何の同意を求めているかを求職者にきちんと具体的に明示した上で同意を取ることが必要であることを記載したものです。2点目は、業務の範囲外に個人情報を使用することの同意を、募集情報等提供などのサービス提供の条件としないことを求めるものです。求人と関係ない業務に関する個人情報の使用に同意しないと、そもそも求人サービスを利用させないという取扱いをここでは禁止しているものです。3点目は、自由な意思に基づく同意が本人により明確に表示されることを求めるものです。例えば求人サービスの利用開始をもって、求人サービスと全く関係ない業務の範囲外の個人情報の使用に関する同意とみなすという取扱いは、ここではしてはならないということを整理したものです。下段での対応案は、現行の指針で職業紹介事業者などに対して求めている、保管する必要がなくなった個人情報の破棄などの措置を、募集情報等提供事業者にも同様に求めていくということで記載しています。
 20ページ、職業紹介事業と募集情報等提供事業の区分についてです。下の対応案を御覧いただければと思います。1つ目ですが、雇用仲介事業者が主体的に特定の求職者と求人企業を結び付けて、雇用関係の成立をあっせんしているかどうかを基本的な考え方として、今回の区分案を検討しています。具体的な文言に入る前に2点、通則的な考え方を整理しています。対応案の上から3つ目のポツです。コンピュータなどにより自動的に行われている行為であるかどうかは、あくまで手段の問題であり、最終的に職業紹介に当たるか否かの判断は、実態として何が行われているかに着目して判断すべきことから、まずコンピュータ等により自動的に行われているか否かは、この区分の判断においては問わないことを明確にしたいと考えています。また、次の4つ目のポツです。今回、お示しする基準は、これに該当すれば職業紹介だという基準にはなっていますが、これに該当しなくても実態から判断して、雇用契約の成立をあっせんする行為だと判断されれば職業紹介に該当するということ。これは従来もそうだったのですが、改めて区分基準の中でも明確にしたいと考えています。
 こういったことも踏まえ、21ページに具体的な基準案をお示ししています。右側が現行の指針の内容、左側が改正案です。一番上の柱書きですが、今、申し上げた、コンピュータにより自動的に行われているか否かを問わない旨と、実態から判断する旨を記載しています。
 右側の現行のイです。この現行のイについては選別と加工が一緒くたになって整理されていますが、リコメンドなどを行う選別と、情報の内容の付加などを行う加工では、判断すべきポイントが若干異なってくると考えていて、改正案においては分けて整理しています。イが選別の基準、ロが加工の基準として整理しています。なお、現行のイにあった「あらかじめ明示的に設定された客観的な条件」という文言は、アルゴリズムの使用などがここに該当するか否かなど、適用がやや不明確になる場面が非常に増えたと考え、使用せずに整理しています。
 左側の改正案のイを御覧ください。こちらについては雇用仲介事業者が主体的に判断し、情報の提供相手や提供する情報の選別を行い、その対象者や対象となる情報しか閲覧できないということを職業紹介の基準と整理しています。また、改正案のロです。こちらは提供する情報の内容を提供相手に応じて加工し、提供を行うこと。すなわち、オーダーメードに近い形で情報を提供しているか否かを、加工における職業紹介の基準として整理しています。
 そのように言葉で言われてもイメージが湧かないかと思いますので、参考資料2を御覧ください。6ページ、7ページ、8ページに具体的な例をお示ししています。6ページを御覧ください。こちらは今回、改正後の区分基準においては、引き続き募集情報等提供にとどまる例だと考えています。この6ページの例については、サイトを閲覧すればその事業者が扱っている情報に全て触れられるという前提で、その一部をリコメンドとしてメールで配信している例をイメージして記載しています。従来の基準に照らしますと、この例1の「あなたと同じお仕事に応募した人は、こんなお仕事にも応募しています。」であったり、例2のAI、あるいは例3の閲覧履歴に基づくリコメンドというのが、「あらかじめ明示的に設定された客観的な条件」に該当するかが、やや不明確でした。改正案に照らしますと、サイトに行けば全件見られるという前提から、改正案のイにおける、「当該者の判断により選別した情報のみ提供する」ということにはなっていないため、この基準からは職業紹介には該当しないと考えています。
 7ページの事例を御覧ください。こちらは、事業者からお勧めとして送られてくる情報にしか利用者は接することができないという前提の事例です。こちらは改正案の基準に照らしますと、「当該者の判断により選別した情報のみ提供」に該当するので職業紹介に該当すると考えています。
 8ページの事例です。こちらは引き続き職業紹介に該当する事例と考えていますが、この事例は業務に求められるスキルと、求職者が持っているスキルを個別に検討した上で両者のマッチングを図り、その結果を「ぴったり」という表現で募集情報に付加して送っていることだと理解していて、これは改正案の基準に照らしますと、「当該者の判断により、求職者に応じて加工し、提供」に該当していますので、職業紹介に該当するのではと考えています。なお、この同じ情報の付加でも、例えばこの企業はくるみん認定企業ですというふうに個別に応じてという形ではなく、一般的な情報の付加であれば個別に応じて加工には該当せず、職業紹介ではないと考えています。
 本体の資料21ページに戻っていただき、現行のロについては、「求人に関する情報に係る連絡を行うこと」とあり、これは現代においてはメールなどの活用が容易になっていて、極めて対象が広範に読めてしまうおそれがあることから、この基準については削除したいと考えています。また、現行のハですが、ほかの基準と同様に「当該者の判断により」ということを追記しています。これによって、あくまでメールフォームの機能をサイトで提供しているだけであったり、日程調整の機能をサイト上設置しているだけで、実際のやり取りは求職者と求人企業に直接やってもらう。そんな場合については、やり取り自体には直接関与しておらず、この基準には該当しないことを明確にしたいと考えています。
 最後、22ページです。テクニカルな事項が多くなっています。現行の指針で既に募集情報等提供事業者に対して求めている事項を存置するであったり、職業紹介事業者などに求めている事項と同様のものを、募集情報等提供事業者に求めるものと考えています。1点だけ補足しますと、一番下のポツです。こちらは、改正法で設けられた苦情の適切な処理のための体制整備の義務への対応として、少なくとも相談窓口は明確にしてほしいということを求めている趣旨で、ここを記載しています。
 大変駆け足でしたが、資料の説明としては以上です。今、お示しした政省令、指針以外にも今後の周知に当たりましては、パンフレット、Q&Aなどで詳細にお示しする部分もあると考えていて、引き続き、改正法の施行に向けて十分な準備をしてまいりたいと考えています。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御質問、御意見等がありましたら挙手をお願いいたします。Zoomで御参加の委員はZoomの「手を挙げる」機能を使うか、あるいは画面上に映るように挙手をお願いします。いかがでしょうか。佐久間委員、どうぞ。

○佐久間委員 御説明どうもありがとうございました。資料No.1の8ページに、情報の最新性の対応策があります。求人をする企業と、それから求職者、つまり労働者になろうとする者の両方にとって「最新の情報」というのは本当に必要なことだと思います。ただ、この1件1件について、常に何日時点というのを明記することが可能なのか。システム的に掲載をすることは大手の事業者では可能かもしれませんけれども、中小の規模が小さい事業所にとってはシステムの入替え時ではないと変更のために費用がかかり、記載をどう変えていくのかというのが気になるところです。現状、このような募集情報等提供事業者の中で中小事業者が安易にできるものかどうか、その辺の現状をお伺いしたいと思います。例えば、全体でこの情報は30日以内に掲載をしたものですとか、そういう表記でもよいのではないかという点をお伺いしたいと思います。
 もう1点ですが、同じく10ページに事業開始の届出があります。届出項目については、本部会の審議においても意見として、なるべく事業者に負担が掛からない項目でということでお願いをしてきたところですが、氏名又は名称、住所、連絡先、そして職業紹介事業者又は派遣事業者の場合には許可番号又は届出番号の大きく分けて4つの項目があります。これは基本的には、絶対的な記載事項という形になると思うのですが、そのほかにサービス名称、URL、サービスの概要についても、どういうことをやっているのか明確にしていただくことは利用者にとって必要だと思います。ただ、このサービスの名称、サイトURLなど、何か記載の仕方が画一的になってしまうのではないかというのが気になるところです。今後の審議において、様式というのもお示しいただくことになると思うのですけれども、この様式というのを分かりやすく、一緒に掲載するということで御用意いただければよろしいかなと思います。
 最後に、21ページに「選別又は加工」とあります。私はこの選別、加工について、このように分けていただいたことで、改正案というのが非常に分かりやすくなったのではないかと思います。参考資料にもこのリコメンドの例を出していただいておりますが、今回の改正については、インターネットを活用して提供する方が単に「募集情報等提供事業者」に該当するということではなく、募集情報等提供事業者の対象となる範囲を広げ、明確にしたということだと考えます。現状、職業紹介を実施している事業者の方々は分かるのですけれども、一般に求人をする企業にとってどこが変わったのかというのが非常に分かりにくいところがあると思います。ですから、この例示というか、こういうものをさらに分かりやすく提示いただければよろしいのではないかと思います。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。3点御発言いただきまして、1点目は御質問が含まれていたかと思います。何日時点と明示することが、中小企業にとって負担にならないかという御質問だったかと思います。事務局、お願いします。

○高橋補佐 高橋です。まず1点目で御指摘いただいた点です。もちろん求人情報の1件1件にいついつ時点と明記してもらうのがベストな対応だと思っておりますが、求人全体として、「今週の求人」のように表示を工夫していただくというのも対応としては1点あるかなと思っています。もう1点は、いずれかの措置ということですので、時点の明示という対応ではシステム改修などに非常にコストが掛かるという場合であれば、そのほかの選択肢の、例えば求人企業に対して内容を変更したときはすぐに通知してくれという働き掛けを常に行っておくということで対応していただくことも考えられるかと思っております。
 もう1点御指摘いただきました届出のサービス概要などの記載の方法については、様式に合わせて記入例なども丁寧に用意をして、事業者の方々が迷わないようにきちんと準備をしたいと思っております。
 3点目に頂きましたリコメンドの事例などについても、これで十分とは思っておりませんので、引き続き分かりやすくなるように周知には尽力していきたいと思っております。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありますか。冨高委員、どうぞ。

○冨高委員 的確表示義務について幾つか確認させていただきます。求職者保護の観点から求人広告において労働条件明示が必要ではないかと審議会で申し上げてきました。今回、資料16ページに対応案として、労働条件として明示することとされている事項に関する情報をできる限り含めることが望ましいとされています。指針ではありますが、非常に重要だと考えます。是非、求職者保護の観点から積極的に、求人広告を提供する事業者に対して周知していただきたいと思います。
 その上で、2点伺います。
 正確かつ最新の内容に保つための措置の対応案として、資料8ページ及び資料17ページで、労働者の募集に関する情報の時点を明示するとあります。例えば1年前に掲載した求人情報、求人広告について、1年間求人が充足されなかったため、そのまま掲載されているような例もあるかと思います。そういった募集内容についても変更がない場合には、明示する時点は1年前の時点でいいということになるのでしょうか。その場合、求職者から見ると放置されているのか、それとも充足されていないので募集内容がそのまま変わらず掲載されているのか区別が付かないのではないかと思います。常に求人広告を更新しているような事業者はいいですが、そうでない所もあるかと思うので、単に時点を明示することで正確かつ最新ということが担保されるのかということをお伺いしたいと考えています。
 もう1点、今回、対応案に公共職業安定所に対する措置について記載はないですが、連合の労働相談ではハローワークの求人票に関する相談も寄せられています。内容を見ると、実際に行ってみたら労働条件が異なっていたというような相談が複数寄せられており、公共職業安定所に掲載されている情報の正確かつ最新性について、どう担保されるのかお考えを伺いたいと思います。

○山川部会長 2点御質問ですので事務局からいかがでしょうか。

○高橋補佐 1点目で頂きました通年採用している事例については、1年間通じて求人内容自体に変更もなければ終了もしていないということであれば、1年前というふうに掲載していた場合にそれが法令違反かと問われればそうとはならないとは考えておりますけれども、求人企業側にも正確かつ最新の義務というのは掛かっておりますし、実際にそれを見て求職者の方は行動をとるということもあります。求人企業側のインセンティブとして、その内容に実際変更がなくても情報のアップデートを行うというような行動を期待することはあると思いますので、今頂いた問題点については周知の中で工夫をしていきたいと思っております。
 ハローワークについては詳細はまた確認をしたいとは思いますけれども、ハローワークについては職業紹介をやっているのだということで、実際に、8ページの職業紹介事業を行う者の記載にあるように、求人者、求職者に定期的に情報が最新であるか確認を行っていると、当方としては把握をしております。今、ハローワークも中には行ってみたら違うという場合があるという御指摘を頂きました。ひょっとしたら求人企業のアクションに問題がある事例もあるかなと今お聞きして思いました。今回、ハローワークにも改めて正確かつ最新に保つための措置をとる義務が法令上掛かりますので、求人企業の正確かつ最新の内容に保つ義務と相まって、改めてハローワークの求人においても、この的確表示の徹底に取り組んでまいりたいと思います。

○山川部会長 冨高委員、どうぞ。

○冨高委員 確認の上しっかり御対応いただきたいと思います。附帯決議にも求職者保護の観点を最大限重視した上で検討を進めることとありました。先ほど佐久間委員からもありましたが、求人者、募集情報等提供事業者等から見て、改正内容を知らなければ、法律で適切に対応しても、情報の正確性が担保されない可能性が生じると思いますので、是非周知徹底いただくようお願い致します。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。今、事務局から御説明がありましたように、職業紹介事業にはもちろんハローワークも含まれるので、改正法の規定が基本的に掛かってくるという理解だと思います。ほかに御質問、御意見はありますか。平田委員、お願いします。

○平田委員 ありがとうございます。大きく4点あります。まず1つ目が政令改正についてです。改正案はトラブルの未然防止に資すると認識しており、妥当な案ではないかと思っております。今後、不受理の対象となる法律を追加していく際には、この場で慎重に議論することが必要だと思っております。
 2つ目は、省令改正と指針改正の両方について、幾つかあります。まず、スライド7、8で的確表示、それからスライド12で事業情報の公開、スライド13で苦情の処理、スライド16では的確表示、スライド18は個人情報の取扱いについて記述あります。先ほど少し意見がありましたが、情報の時点を明らかにする標準的な方法や、どんな情報を公開していくのか、また、苦情処理の体制整備の在り方、誤解を生じさせないための留意事項は標準的にどんなものがあるのか、個人情報の取扱いに関して目的の開示をどの程度具体的に行うのかということについて、法律以下の省令等で細かく定めるよりも、参議院の審議で大久保参考人が意見をされたとおり、業界が実態に精通しているわけですから、標準的なガイドラインなどを業界が自主的に策定して、それを公開、共有していくことでトラブルが回避されることに期待したいと思っております。職業紹介とは異なる事業ですので、同じ規制は必要ないと思っております。そうした積み重ねで労働市場は健全に発展していくのではないかと思っております。
 3点目は質問です。スライド17の掲載の変更・終了に関してです。「速やか」にという言葉がありますけれども、法律の用語としては、直ちに、速やかに、遅滞なくという記述があると思いますが、「速やかに」は一定の幅があるものだと思っていますので、もし今の時点でのお考えがあれば教えてください。
 最後に4点目、職業紹介事業の区分についてです。スライド20、21、それから参考資料も付いておりましたけれども、基本的に御説明いただいたとおり、実態に照らして選別した相手にのみ情報提供を行わない、選別した情報のみを提供しない、提供する相手により情報を加工しないのであれば職業紹介事業に該当しないと判断するという対応案と理解をしました。対応案自体は妥当なのではないかと思っておりますが、参考資料にある7つの事例は少し混乱を招くと思います。そこで、もう少し適切に見直していただければと思っております。
 求職者の属性等を基に公開されている募集情報等について、AIなどを用いて自動的に絞り込んで情報提供することは、どういう表現でリコメンドするかにかかわらず、職業紹介ではないと明らかにしていただければと思います。
 具体的に申し上げますと、参考資料2の8ページ目の例と6ページ目の例の本質的な違いが見いだせず、分かりにくく、混乱すると思っています。もう少し分かりやすい資料、リーフレット、Q&A等を、業界の意見も聞きながら、作り込んでいただきたいと思っております。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。質問が1点含まれていました。「速やかに」という文言等についてですが、いかがでしょうか。

○高橋補佐 高橋です。求人企業に求められる「速やか」ですが、これはリアルタイムというところまでは求めないものです。実際の対応としては、紙媒体でやっていれば次の更新のときであったり、ネットでも週単位で更新していきますということであれば、その次のタイミングでといった対応はあり得ると思っております。ですから、合理的な説明ができない範囲で対応を滞らせるという場合は法令違反になり得るということで考えております。
 もう1点、リコメンドについても御指摘を頂きました。どのようなコメントを付するかにかかわらず、紹介ではないということを明確にという御言葉も頂きました。最終的には、やはり実態を見て雇用契約の成立をあっせんするか否かで判断をすべきということになっております。紹介と整理すべきものは紹介に整理すべきと思ってはおりますが、事例が確かに定型的すぎるとのご指摘や、個別でなくて集団属性に応じて加工した場合はどうかという話も頂きました。例えば看護師資格を登録している人に対して看護師の求人を機械的に配信しますといった集団属性に応じてリコメンドするという場合については、個別に応じてとまでは言えないかなというのは、確かに御指摘のとおりかと思っております。御意見を頂きましたとおり、例については引き続き精査をして、また次回の部会でも整理したものをお示しできればと思っております。

○山川部会長 よろしいでしょうか。ほかにはいかがでしょうか。永井委員、どうぞ。

○永井委員 御説明、ありがとうございました。私からは指針の部分で3項目、質問並びに意見を申し上げたいと思います。まず資料18、19ページの個人情報についてです。19ページの対応策に、「自由な意思に基づく同意が本人により明確に表示されること」とあります。言うまでもなく本人同意を得る場合には、求職者の真に自由な意思に基づく同意であることが不可欠と考えておりますが、具体的にどのような方策で自由意思の実効性を担保されるのかお考えを伺いたいと思います。
 2つ目はリコメンドに関してです。21ページにあるように、改正案ではイとロにおいて選別・加工について明確にしていただきました。リコメンドの例として参考資料で、全件検索可能であれば募集情報提供とありますが、今はサイト等のトップページのURLが併記されているメールや広告などが多くあると認識しております。URLが併記されていることをもって募集情報提供と見なしてよいのか疑問もあるところです。これは意見です。
 もう1つは、21ページの現行のロが削除となっていることについて、改めて削除の考え方を伺いたいと思います。
 それと、参考資料に「AIによるあなたのおすすめ求人です」といった表記がありますが、参議院の附帯決議の中でもAI、人工知能の利用に関しては、実態把握及び調査研究の実施など、必要な対策を検討することという記載があります。雇用仲介市場におけるAIの利活用や、最近ではジョブ型というものが広がる中で、ジョブ型の採用が広がっているとも聞いております。そういった意味でジョブ型の求人の今後の動向などについて、適時、実態を把握して検討していくことが必要ではないかと考えます。これは意見です。
 最後に、資料22ページの苦情処理についてです。相談窓口の明確化等の必要な措置を講ずるということが、一番下に記載されています。昨年の部会で示された施行状況調査では、苦情やトラブルが起こったときの相談窓口の設置等の対応の充実について、約3割の求職者が要望していたということを踏まえれば、明確化ということにとどまらず、具体的にサイトのトップページなど、分かりやすい場所に明示するといったことも必要ではないかと考えているところです。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。御意見、御要望と御質問で、個人情報の関係での同意が自由意思に基づくことを確保する具体的方策、区分の所でロを削除した理由について、改めて御説明をということでした。よろしくお願いします。

○高橋補佐 高橋です。まず、1点目の、求職者の自由意思に基づく同意を阻害する典型的なパターンは、正に1つ上のポツにあるように、この同意をしないとサービス提供をしないよという形で、自由な意思に基づく同意を阻害することはあり得るかと思っています。また、ホームページの画面などの作り込みの問題かと思っておりますが、サービスの利用開始のボタンを押すと、なぜかそれが見えない所で個人情報利用の同意として勝手に扱われていたという場合があり得るかと思っております。なので、そういった事例は正に明確な意思を阻害する、自由な意思を阻害するものとして、きちんと周知などに取り組んでいきたいと思っております。
 もう1点頂いた、区分基準の現行のロについてです。現行の指針では、求職者に対する求人に関する情報に係る連絡を行うと職業紹介だというように読めます。そうしますと、例えばメールを使ったリコメンドをするとその瞬間、外形的には全部職業紹介かのように読めてしまうわけです。これは若干想像にはなるのですけれども、制定当時は紙媒体を中心とした情報提供などが行われていて、紙媒体でやっている情報を切り出して特別にお届けするという行動が、あっせんの度合が非常に高い時代があったのかと想像しております。メールなどを使って気軽に求職者に対してアプローチができるようになった現代においては、ロの基準をこのまま適用していくというのは、少し難しいかなというように思っております。
 ほかにリコメンドについては、外形的にURLを貼っていればいいのかという御指摘も頂きました。あくまでもこれに該当すれば職業紹介という基準なので、サービスの実態としてURLを付けていたとしても、サービスの中身自体が非常にあっせんの度合の高いものであれば職業紹介となるということも、今回の指針の中に改めて明記をすることにしておりますので、そういったことで対応することになるかと思っております。

○山川部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかに御質問、御意見がありましたらお願いいたします。松浦委員、お願いします。

○松浦委員 御説明いただき、ありがとうございました。私からの質問は、職業紹介と募集情報提供事業の区分についてです。スライドの21ページですが、イとロで整理をしてくださったということで御説明を頂きました。特にイについて2点、私の理解が間違っていないかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
 1つ目は、「選別した提供相手に対してのみ」「選別した情報のみ」という所です。リコメンドについては、基本的に選別しているというのが大原則だと思うので、ここでおっしゃっていることで重要なのは、「のみ」という部分なのではないかと理解しました。要は、ほかの人が閲覧できれば募集情報提供事業だという理解で良いかというのが1つ目の確認点です。
 もう1つはイの中で、「当該者の判断により」という言葉が、混乱を招いているのではないかと思いました。当該者の判断が自動的であろうとアナログであろうと、要は選別した相手・情報「のみ」かどうかということのほうがポイントなのではないでしょうか。
 参考資料の6ページにも「AI、閲覧履歴に基づくリコメンドが」と書いてあるのですが、AI、閲覧履歴に基づくリコメンドであろうと、アナログで当該者が判断したリコメンドであろうと、ほかの人が閲覧できれば募集情報提供事業という理解で良いのかというのが、2つ目の確認点です。

○山川部会長 ありがとうございました。いかがでしょうか。

○高橋補佐 高橋です。基本的にはおっしゃるとおりだと思っております。イの基準については、この「のみ」という所が1つのポイントになってきて、全部見ることができることによって「のみ」ではないという判断ができると思います。「当該者の判断により」というのは、確かにもう1つのポイントとしてあるのですが、御指摘いただいたとおり、まず「のみ」で回避していれば、もうここは問題ではなくなるというのも御指摘のとおりです。また、当該者の判断でない場合はどうなのかということを申し上げると、例えば求人企業の依頼で、何々県に住んでいる人に撒いてほしいという依頼に基づいて撒く、あるいは、あらかじめ求職者の希望条件、この求人は送ってくださいという依頼に基づいて情報提供をするといった場合は当該者の判断ではないと。「のみ」か否かという問題もありますが、当該者の判断がどうなのかという点については、今申し上げたところになってくるかと思っています。

○松浦委員 ありがとうございます。それでは、今おっしゃった、例えば求人企業の意向とか求職者の意向で選別した場合は、募集情報提供事業ですか。

○高橋補佐 その行為だけを切り取れば、基本的には募集情報等提供にとどまると思っています。

○松浦委員 しかし、一番のポイントは「のみ」の部分ですよね。

○高橋補佐 そうです。それはおっしゃるとおりです。

○松浦委員 例えば求人企業の意向で何々県に配信してください、あるいは求職者の意向で、こういう求人を配信してくださいということに対応しましたと。しかしながら、それはほかの人たちも閲覧できますということであれば、募集情報提供事業なのですよね。

○高橋補佐 そうです。その上で求人企業であったり、求職者の依頼に応じて情報提供をしましたという行為であれば、「のみ」が成立していなくても当該者の判断にはなっていないので、それはそれで募集情報等提供にとどまります。

○松浦委員 なるほど。では、ほかの人が閲覧できない情報であったとしても、当該者が判断したのではない、お客様の意向に基づいて情報提供をしたということであれば、それは募集情報提供事業に当たるということですか。

○高橋補佐 おっしゃるとおりです。

○松浦委員 その点はこの資料だけでは読みとれないので、例として追記していただいたほうが良いと思います。ありがとうございます。

○山川部会長 ありがとうございました。今の点は21ページのイの所で、「当該者の判断により」という部分と、例えば相手のところで言いますと、「選別した提供相手に対してのみ」という部分の2つが、独立した要件として掛かっているということですね。すなわち「当該者の判断」が入っていたとしても、選別した提供相手以外にも提供した場合はこの要件に合致しない。逆に「当該者の判断により」ということがなかった場合、つまり以前の「客観的な条件に基づくこと」が、一部生きているような部分がありますけれども、それがある場合には「のみ」提供であるとしても、職業紹介には該当しないのですね。2つの要件を満たした場合に、初めて職業紹介に該当するという読み方で良かったですか。

○高橋補佐 そのとおりです。すみません。例については次回に向けて、もう少しアップデートして、皆さんの理解に資するようにしたいと思います。

○山川部会長 ありがとうございました。特に「判断により」という部分が、より分かるようにしていただく必要があるかというように私も思います。今の点に関連して、あるいはほかの点でも結構ですが、何かありますか。平田委員、どうぞ。

○平田委員 今の点についてです。私もこの日に臨むために、幾つかのサイトを自分で確認してみて、ワクチン接種会場の仕事が多いなとか、様々な実態を見ました。紙媒体で配るのであれば無限には撒けないですけれども、例えば「埼玉県の仕事」について、埼玉県在住という登録がある人たちだけにインターネット上で情報提供することは、ただ情報提供をしているだけで、何のあっせんもしていないということだと思います。そういった実態を的確に捉えて場合によっては、事業者の御意見も聞きながら、わかりやすい資料作りをお願いしたいと思います。

○山川部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。原委員、お願いします。

○原委員 私からは大きく3点質問させていただきます。1点目は今ちょうど御議論されている、資料の21ページの(2)のイとロのイの所です。先ほどの「のみ」の扱いと「当該者の判断」は理解したのですけれども、当該者の判断でそういう対応を事業者がしたかどうかというのは、後から分からないことにもなるかと思うのです。どこかに明示された記録が残っているかどうかは必ずしも分からないので、結局、違反があったかどうか、誰が悪かったかを判断するのも非常に難しくなるかと思うのです。「のみ」のほうはある意味、明確に判断できるかと思うのです。確かに「当該者の判断により」という要件の重要性は分かるのですが、やや不明確な部分があるので、明確にするように工夫していただく必要があるのではないかと感じたところが1点です。どのように判断するかというところです。
 2点目の質問です。18ページの個人情報の利用に関して、下の対応案の1つ目です。個人情報の収集の際に、求職者が想定できる程度に具体的に明示をするということで、先ほどの御説明で、募集情報等の提供のためという趣旨では足りないという御説明があったように理解したのですが、では、具体的にどこまで明示することをイメージされているのかを、次回以降の議論との関係で参考に、もしお考えがあれば教えていただきたいところです。
 3点目が資料の8ページ、情報を最新かつ正確に保つための措置という所です。この8ページの➁を見ていますと、情報の時点を明らかにするというところが、共通する要素かと思います。それができればベストだけれども、実際にはなかなか困難を伴うということが、先ほどの御議論でもありました。ただ、➁に括弧が5つあって、2つ目や4つ目の依頼を受けた場合ですけれども、募集者や、労働者になろうとする者に対して、情報を最新に保つように依頼するだけでよいということになりますと、情報の正確性や最新性でクエスチョンが付きはしないかというところを懸念しております。
 例えば情報が変わったら、求人企業の側に「変わったら速やかに教えてくださいね」とお願いしていたけれども、向こうが教えないから結果として不正確な情報が流通してしまったときに、もちろん苦情処理とか、そもそも求人企業についても問題があるわけですが、結局困るのは求職者の側になるかと思うのです。そうしますと、例えばこの書きぶりとしては8ページの所で、「情報の時点を明示することが望ましい」ぐらいは明記しておいて、それが難しい場合には通知を依頼するとか、更新頻度を明確にするとか、そういった扱いにするといったことで、考え方はいろいろあろうかと思いますが、やはり基本は、情報の時点の明示があれば、あとは求職者側で判断できるわけです。1年前のタイムスタンプがあったら、この会社は使っていいかということは判断できるわけです。なので、情報を収集した、更新の時点を明示するということを原則に据える。ただ、やはりそれが難しいということであれば、更新頻度や情報に関する依頼でもよいといった構造にするのも、一つあり得るのではないかと思った次第です。そういった対応が可能かということも含めて、お考えがあれば、少しお聞かせいただければと思います。以上です。

○山川部会長 ありがとうございます。最後の点は資料の8ページで、いずれかの措置ということで全く並列的に書かれているのを、望ましいということであってもある程度は重み付けをしたほうがいいのではないかという御提案ですね。

○原委員 はい。

○山川部会長 3点頂きましたけれども、事務局からいかがでしょうか。

○高橋補佐 高橋です。1点目、21ページの「当該者の判断により」をどうやって判断するかということです。実際にはボーダーラインの事案が出たときに事業者にお尋ねして、どういうアクションでこの行為を行っているかというのをつぶさにお聞きし、最終的な判断をするということかと思っております。紹介か募集情報等提供かというのは、別にあくまでも区分なので、どちらにしても情報の的確表示などの義務は掛かっているわけで、どちらが悪いということでは全くないと思います。そこは率直に何をしているかを聞いて、主体性があるか否かを判断するということかと思っております。
 もう1つが、目的の明示をどういったレベルでというお尋ねでした。よくあるものとしては、頂いたメールアドレスに基づいて求人情報の配信を行うとか、頂いた連絡先などを求人企業に渡しますということで、少なくともそこぐらいは書けるのではないかと思っております。
 もう1点が、時点のほうが望ましいというように書けるのかというところです。指針も、法令的な性質もありますので、法令上そういったことが書けるかどうかということも含めて、検討させていただければと思います。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見等はありますか。よろしいでしょうか。非常に有益な御意見、御質問を多々頂きまして、ありがとうございます。今日頂いた御意見等を踏まえて、更に御検討をお願いしたいと思います。また、省令事項、指針事項に限らず、周知の方法あるいはリーフレットやQ&A等で、非常に分かりやすいものを示してほしいという御要望もたくさん出たところです。その点も含めて、御検討をお願いしたいと思います。ほかには特段よろしいでしょうか。事務局から何かありますか。よろしいでしょうか。それでは、そのように改めて更に御検討し、御議論を頂きたいと思います。では事務局から、その他連絡事項等はありますか。

○笠松補佐 事務局です。次回の部会の日程については、追って事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。それでは、以上で第340回労働力需給制度部会を終了いたします。皆様方、大変お疲れさまでした。ありがとうございました。