第4回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ (議事録)

医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室

日時

令和4年4月28日(木)
16:00~18:00

場所

主婦会館プラザエフ クラルテ

議事

下記のとおり
2022-4-28 第4回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ
 
○大村専門官 それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第4回「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
さて、今回のワーキンググループにつきましては、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止の観点を踏まえて、公開の検討会として実施、従前どおり資料や議事録については厚労省ホームページで公開、ただし傍聴については事前に御希望があったマスコミの方については、体調不良がないことをあらかじめ申告いただいた場合に認め、それ以外の一般の傍聴者はなしという形での開催とさせていただきます。構成員の皆様におかれましては、あらかじめこの点について御了承ください。
また、今回は会場にお越しいただきました構成員の方と、ウェブで参加される構成員の方がいらっしゃいます。会場には遠藤構成員と坂本構成員が参加されており、そのほかの構成員の方にはウェブで御参加いただいております。
本日は、長島構成員から欠席との御連絡をいただいております。また、オブザーバーとして総務省消防庁救急企画室救急専門官の小塩専門官に御出席をいただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。ウェブ参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにし、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いします。
「手を挙げる」ボタンがない場合は、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどで表明をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1、参考資料1から4をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がいらっしゃいましたら、ここまででお願いいたします。
(報道カメラ撮り終了)
○大村専門官 それでは、遠藤座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、これより議事に入りたいと思います。
本日の議題は1つでございまして、「第8次医療計画策定に向けた救急医療について1」でございます。
それでは、まず、事務局から資料の説明をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
○大村専門官 それでは事務局より、資料1の「第8次医療計画策定に向けた救急医療について1」を御説明させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、1ページ目が目次でございます。1つ目「2040年頃を見据えた課題」、2つ目「病院前救護活動の現状」、3つ目「救急医療機関の役割」、4つ目「新型コロナウイルス感染症まん延時における救急医療」について資料を用意しております。
2ページから「2040年頃を見据えた課題」の資料です。医療政策を含む社会保障政策は、これまで団塊の世代が後期高齢者になり切る2025年をターゲットに進められてまいりました。次の第8次医療計画中に2025年を迎えることから、中期的には、団塊ジュニア世代が高齢者となり生産年齢人口の減少が見込まれる2040年頃を見据えて、医療提供体制の検討を進めていくべきではないかと考え、2ページから14ページに各種データを用意しております。
また、これに関しまして、参考資料1として「都道府県別の人口推計」を掲載しておりますので、御参照ください。
それでは、15ページをめくってください。「2040年頃を見据えた課題(まとめ)」です。現役世代(生産年齢人口)の減少と高齢者の増加が続き、2042年、高齢者数がピークを迎えます。高齢者数の増加には地域差があり、都市部を中心に増加しますが、減少する都道府県もございます。単身世帯、高齢者単身世帯の増加が見込まれます。
85歳以上の人口は、2040年に向けて引き続き増加が見込まれており、在宅・介護施設の要介護高齢者の増加が見込まれます。
65歳以上の退院患者のうち、介護施設等や、ほかの医療施設へ退院する患者の増加が見込まれます。死亡数については、2040年まで増加傾向にあり、ピーク時には年間約170万人が死亡すると見込まれております。
死亡の場所については、病院・診療所の割合が大きいですが、近年は自宅や介護施設等も増加傾向にございます。
高齢者数の増加に伴いまして、脳梗塞・肺炎・心不全・骨折などによる入院が増加することが見込まれております。認知症の有病者も増加することが見込まれております。
ページをおめくりいただきまして、16ページから「病院前救護活動の現状」について御説明いたします。
17ページ、救急出動件数及び搬送人員数の推移になります。令和2年は新型コロナの影響等により若干減少しているものの、年々増加傾向にございます。
18ページ、年齢区分別搬送人員構成比率の推移になります。高齢者の搬送割合の中でも特に75歳から84歳、85歳以上の割合が増加傾向にございます。
19ページ、事故種別の救急出動件数と構成比の推移になります。交通事故は減少し、急病と一般負傷の搬送割合が徐々に増加しております。
20ページ、10年前と現在の救急搬送人員の比較です。高齢者の人口増加に伴い、高齢者の救急搬送人員が増加し、中でも軽症・中等症が増加しております。
21ページ、こちらは10年前と現在の救急自動車による急病の疾病分類別搬送人員の比較となります。急病のうち高齢者の脳卒中、精神系を除いた疾患と、成人の症状・徴候・診断名不明確が増加しております。
22ページはまとめとなっております。救急出動件数及び搬送人員数は、令和2年は新型コロナの影響等により若干減少しているものの、年々増加傾向にあり、高齢者の搬送割合の中でも、特に75歳から84歳、85歳以上の割合が年々増加傾向にあります。交通事故は減少し、急病と一般負傷の搬送割合が徐々に増加しております。高齢者の人口増加に伴い、高齢者の救急搬送人員が増加し、中でも軽症・中等症が増加しております。急病の疾病分類搬送人員のうち、特に高齢者の症状・徴候・診断名不明確が増加しております。
次のページからは「救急医療機関の役割」について御説明いたします。
1枚めくりまして、24ページに救急医療体制体系図を掲載しております。救急医療機関は、図のように第三次救急医療、第二次救急医療、初期救急医療として整備してまいりました。救急医療体制の整備の経緯や各救急医療機関の機能について、詳細については参考資料2に掲載しておりますので、そちらを御参照ください。
続きまして、25ページに移ります。消防法に基づきまして、都道府県に医療機関、消防機関等が参画する協議会、メディカルコントロール協議会等を設置し、消防機関による傷病者の搬送及び医療機関による当該傷病者の受入れの迅速かつ適切な実施を図るため、傷病者の搬送及び受入れの実施に関する実施基準の策定が義務づけられております。
続きまして、26ページには、平成30年7月に開催されました救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会における議論の整理を掲載しております。四角の中の現状と課題の2ポツ目、高齢化等社会経済構造の変化に対応できるよう、これまでも救急医療体制の在り方については議論がされてきましたが、こうした変化に十分対応できる仕組みへの変更がなされるには至っておりません。
続きまして、3ポツ目、さらなる高齢化の進展、継続して増加する救急搬送件数、医師の働き方に関する議論等、救急医療を取り巻く状況を踏まえますと、これ以上の時間的猶予はなく、質が高く効率的な救急医療体制の構築のために必要な救急医療機関の機能分化・連携について、今回の検討会において決着が図られるよう真摯に議論を深める必要があるといったことが課題とされております。
こちらに対しまして、傷病者の受入数だけでなく、生命予後や機能予後等、客観的なデータを用いた質の評価があるのではないか、また、5ポツ目にありますように、高齢者救急の増加に応じ、搬送力の増強だけでなく、患者の状態・意思を尊重した個別的な対応を取り入れる必要があるのではないか、といったような意見をいただきました。
続きまして、27ページに移ります。こちらは第三次救急医療機関における救急搬送受入件数区分別の年間救急車受入台数です。年間2,000件以上の救急車を受け入れている第三次救急医療機関が、第三次救急医療機関で受け入れている救急車全体の97%を受け入れているといったデータになります。
続きまして、28ページは第三次救急医療機関における救急搬送受入件数の分布です。救急搬送受入件数の中央値は4,520件であり、救急搬送受入件数が1,000件未満と報告した第三次救急医療機関数は17であり、全体の5.5%でした。
続きまして、29ページ、第三次救急医療機関における救急搬送患者を含む夜間・時間外・休日の急患受入件数の分布です。中央値は9,893件であり、1,000件未満の第三次救急医療機関は14で全体の4.5%でした。
続きまして、30ページ、第三次救急医療機関の整備についてです。救命救急センターは当初、増大する救急医療需要に対応するため、おおむね100万人に1か所を目標に整備がなされてきました。現在、299施設まで増加が続いております。医療計画の救急医療の体制構築に係る指針では、一定のアクセス時間内に適切な医療機関に到着できる体制を整備する必要があるとしつつも、新たに救命救急医療施設等の整備を進める際には、1施設当たりの患者数を一定以上に維持する等して質の高い救急医療を提供することが重要であるとされております。
こちらに関しまして、31ページ、救命救急センターの質を評価する目的で救命救急センター充実段階評価を行っております。こちらの充実段階評価におきましては、令和4年から6年の地域医療基盤開発推進研究事業において評価項目の内容について検討することとしております。
32ページが令和3年救命救急センター充実段階評価の結果です。S評価が98医療機関、A評価が194医療機関となり、S評価とA評価の施設が全体の98%を占める結果となっております。
続きまして、33ページから第二次救急医療機関のデータとなります。第二次救急医療機関における救急搬送受入件数区分別の年間救急車受入件数です。年間2,000件以上の救急車を受け入れている第二次救急医療機関が第二次救急医療機関で受け入れている救急車全体の63%を受け入れております。一方で、年間1,000件未満の救急車を受け入れている第二次救急医療機関においても、第二次救急医療機関で受け入れている救急車全体の18%を受け入れております。
続きまして、34ページ、第二次救急医療機関における救急搬送受入件数の分布です。救急搬送受入件数の中央値は576件であり、救急搬送受入件数が1,000件未満の第二次救急医療機関は1,948、第二次救急医療機関全体の63.6%であり、このうち141の医療機関において受入れ実績がゼロ件という結果でございました。
医療計画の救急医療の体制構築に係る指針では、数年間、受入れ実績のない救急医療機関については、その位置づけについて見直しを検討することとされております。
続きまして、35ページ、第二次救急医療機関における夜間・時間外・休日の救急受入件数の分布です。中央値は1,499件、1,000件未満の第二次救急医療機関は1,150、第二次医療機関全体の37.7%であり、このうち115の医療機関において受入れ実績がゼロ件でございました。医療計画の指針に係る記載については、34ページと同様となっております。
続きまして、36ページに在宅医療・救急医療連携セミナーについてお示ししております。本人の意思に反した延命を望まない患者の救急搬送が散見されることを背景としまして、患者の意思を医療機関間で共有するための連携ルール策定支援を行っております。
続きまして、37ページ、患者の意思決定支援や方針決定についてのガイドラインのイメージを示しております。人生の最終段階における医療・ケアについては、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話合いを行い、患者本人による決定を基本として進めることを最も重要な原則としております。
続きまして、38ページです。人生の最終段階における医療・ケア体制整備等事業についてです。人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインに関して、人材育成研修会及び研修会の拡充と継続性の担保のための講師人材の育成、国民への普及啓発事業を実施し、人生の最終段階を穏やかに過ごすことのできる環境を整備するという事業内容となっております。
続きまして、39ページには地域包括ケアシステムにおける救急医療の役割を図で示しております。慢性期の方は、日常的に地域包括支援センター・ケアマネジャー等、地域の保健医療福祉の関係者の支援を受けていることが多く、こうした関係者と消防機関が連携して情報共有に取り組むことで、救急車をどのような場合に利用すべきかに関する理解を深めてもらうとともに、医師の診療が必要な場合でもできる限り地域のかかりつけ医で完結することが望ましく、介護施設等に入所している高齢者につきましても、できる限り提携病院を含めた地域の中で完結することが望ましいとしております。
続きまして、40ページから自治体における取組を示しております。40ページは新潟県の資料になります。地域医療構想の実現に向けた医療提供体制の方向性のイメージとなっております。地域で高度な医療を支える柱となる病院の体制が強化され、専門的な手術や救急で入院が必要になったときに、構想区域内で質の高い医療を提供し、ニーズの多い入院(後期高齢者等)については、地域包括ケアシステムを支える医療機関で対応することを想定しております。
続きまして、41ページです。休日・夜間の救急医療体制の役割分担において、下り搬送の必要性について示した図になります。下の四角の下り搬送の促進をすることで重症患者の受入れが可能な体制を維持でき、患者にとって身近な病院で必要な医療を受けられる等の体制が整えられます。
続きまして、42ページです。救急医療と在宅医療の連携について、福岡市南区の取組例です。増悪時やみとりの際の支援体制を明確化し、積極的な治療を希望、必要としない患者は、ブロック支援病院に指定された市内9病院のいずれかに転院するような取組を行っております。
続きまして、43ページにおきましては、千葉県柏市の取組例です。在宅療養患者の急性増悪時は、原則、在宅側のスタッフが訪問し、退院元病院が受け入れることを合意形成するような取組を行っております。
続きまして、44ページは福井県坂井地区の取組例となっております。坂井地区内の7病院と在宅医療対応診療所間で協定を締結し、バックアップ体制を担う医療機関を明確化する取組を行っております。
続きまして、45ページは長崎県の取組例となります。搬送打診時に、あじさいネットというものを利用し、診療データや画像等を共有し、適切な搬送先に患者を搬送するような取組を行っております。
続きまして、46ページは救急医療情報収集・搬送ルールに関する取組例です。東京都八王子市の救急医療情報(キット)では、もしものときに医師に伝えたいことがあればチェックしてくださいとの設問を設け、できるだけ救命・延命してほしい、苦痛を和らげる処置なら希望する、そのほかの回答欄を設けております。
また、右側の愛知県岡崎市における救急要請・搬送時のルールについては、氏名や緊急連絡先のほか、疾患やアレルギーの状況、並びにDNARについての記載欄に記入しておくこととしております。
続きまして、47ページ、左側、東京消防庁の取組です。心肺蘇生を望まない傷病者への対応について、下記の運用条件を満たした場合、救急隊から在宅医、かかりつけ医等に連絡し、心肺蘇生を中断する。在宅医、かかりつけ医等または家族棟に傷病者を引き継ぐといったルールを策定しております。運用条件としましては、下の四角にございます4つの条件となります。
また、右側の静岡県静岡市の取組におきましては、グリーンカードシステムといって、在宅みとりのための診療所連携システムを構築しております。
続きまして、48ページには救急医療の現状と課題のイメージを示しております。
左上の1、高齢者の増加により、高齢者の救急患者・救急搬送、特に軽症・中等症の患者が増加します。右側の2、一部受入れが少ない医療機関があり、患者の増加に伴い、三次医療機関も軽症患者を診療せざるを得ず、重症患者の診療に支障を来す可能性がございます。また3として、単身の高齢者や要介護者の増加によって、退院先が決まらずに下り搬送や退院が滞ることで出口問題が発生することといった問題が生じます。
ここまでを踏まえまして、49ページに論点1を示しております。論点1の1、超高齢化・人口減少が地域ごとに進み、高齢者の救急患者・救急搬送、特に軽症・中等症の患者が増加する中で、地域の実情に応じた第三次・第二次救急医療機関の果たすべき役割についてどのように考えるか。例えば、重症患者を含めて幅広く救急患者を受け入れる。脳卒中・心筋梗塞等といった専門性の高い疾患の救急患者を特に受け入れる。かかりつけ医等と連携して在宅や介護施設の高齢者を中心に受け入れるなど、地域の需要に応じて役割分担・連携を図っていくことについてどのように考えるか。論点1の2、地域包括ケアシステムやACPに関する議論の場への消防機関の参加率、こちらに関しましては、後ほど消防庁の御説明にもございます。これに加えて、心肺蘇生を望まない傷病者への対応方針策定の場への介護関係者や在宅医療関係者の参加率を高めるため、関係者から参加を呼びかける等の取組が必要ではないか。また、心肺蘇生を望まない傷病者への対応方針の策定を普及させるためにはどのような方策が有効であるか。この2つを論点として示しております。
次のページからは4番目の話題としまして「新型コロナウイルス感染症まん延時における救急医療」の資料に移ります。
1枚おめくりいただきまして、51ページです。新型コロナウイルス感染症新規患者数と入院者、重症者数の推移をお示ししたものです。第5波までは重症者が多く、第6波では新規感染者数は増加しておりますが、重症者の割合は低下しておりました。
続きまして、52ページです。こちらはオミクロン株の流行時、第6波で主な問題となりました救急搬送困難事案の推移となっております。第6波において最も件数が多くなっております。
続きまして、53ページです。こちらはワーキンググループの構成員からお求めがあった資料であり、昨年の計画検討会で千葉市消防局から御発表いただいた資料となっております。
続きまして、54ページには新型コロナウイルス感染症まん延時における救急医療の主な課題と対応を示しております。第5波は重症者対応が主な課題となりまして、それに対して重症者対応が可能な医療従事者の派遣、電話相談、搬送調整を行う支援事業、重症者対応が可能な人材育成のための研修事業、遠隔によるサポートのための遠隔ICU体制整備促進事業を実施しております。
第6波は救急搬送の受入れが課題となりまして、救急搬送された患者を一時的に受け入れる病床確保に対する財政支援、高齢者施設での医療体制の強化を行い、救急搬送の増加に対応、濃厚接触者の条件を緩和、医療従事者の子供の保育の充実を図ることで医療従事者の減少に対応してまいりました。
病床の逼迫に対しては、患者の一連の流れを確認して目詰まりのない体制を確保するよう促すとともに、オーバーベッドを許容することや病床確保の財政支援を実施しております。
続きまして、55ページです。感染症拡大時の病床のイメージをお示ししております。一般病棟のマンパワーを活用して感染症拡大時の対応を行っております。一定程度一般診療を制限した構図となっております。感染症が拡大すると、右側の図のようにマンパワーを感染症病床に移さざるを得ず、一般病床がかなり圧迫されることを示しております。
続きまして、56ページは重症者治療搬送調整等支援事業についてお示ししております。集中治療専門医等による相談窓口業務等、ECMOの取扱いに精通した医師等の派遣調整業務、都道府県調整本部等における搬送調整業務支援を行っております。
次の57ページ、58ページに関しましては、医療スタッフの育成についてです。57ページは新型コロナウイルス感染症重症患者に対応する医療従事者養成研修事業としまして、ECMOや人工呼吸器等を扱う医師、看護師、臨床工学技士などの育成を行っております。
続きまして、58ページは新型コロナウイルス感染症対応看護職員養成事業としまして、こちらにつきましては重症患者だけでなく、軽症から中等症患者対応研修としまして、一般病棟・入院待機施設、自宅療養者などに対応する対応ができる看護師の育成を行っております。
続きまして、59ページは遠隔ICU体制整備促進事業としまして、遠隔で集中治療をサポートする遠隔ICU体制を整備するものです。ほかの医療機関にいる専門知識を持ったスタッフが常時モニタリングすることによって診療をサポートし、診療の質の向上に資するものです。こちらの実例としまして、次の60ページに昭和大学より提供いただいた資料をお示ししております。遠隔ICU支援センターを用いたCOVID-19への対応としまして、緑の折れ線がICUの医師数、棒グラフが病床数になりますが、昭和大学病院においては本来、倍の人数が必要なベッドの増床に当たりましても、集中治療医は1名の増員で対応可能であったことが示されております。
続きまして、61ページにつきましては、主に第6波で課題となった救急搬送の受入れの課題と対応を表にまとめたものでございます。左側が課題となりまして、右側に厚生労働省として行った対応を示しております。
続きまして、62ページです。転院・入院・救急搬送に係るコロナ患者・コロナ疑い患者の受入れ拡大を図るための緊急支援としまして、救急搬送の受入れ支援として対象の医療機関に対して補助額の3分の2以上を人件費とするような緊急支援を実施しております。
続きまして、63ページには、高齢者施設等における医療支援体制の徹底・強化を示しております。この冬の感染拡大では、高齢者にも多くの感染が生じている地域では、病床等の逼迫の状況により、高齢者施設等の入所者で感染された方について施設内での療養を余儀なくされるような状況が生じております。こちらに対して医療支援の体制について強化をするような整備を行っております。
64ページに新型コロナウイルス感染症まん延時における救急医療体制の強化に係る取組の全体像をイメージとしてお示ししております。赤の四角にございますように、救急搬送増加、医療従事者の減少、病床の逼迫、それぞれに対しまして対応を四角の中にお示ししております。
次のページにこれらを踏まえました論点2を示しております。論点2の1、重症者に対応できる救急医療体制をどのように構築していくべきか。感染症まん延時等の有事に、迅速かつ柔軟に切り替え可能な体制の構築のため、重症者に対応できる医師・看護師等の医療人材の育成についてどう考えるか。
論点2の2、オミクロン株の流行時は高齢者を中心に救急搬送困難事案が急増しましたが、今後の超高齢化を見据えれば、今回の対応を踏まえて在宅医療や高齢者施設等における医療体制の強化とともに、単身の高齢者や要介護高齢者の出口問題への対応策を含めて、今後の救急医療の在り方を検討すべきではないか、としております。
以上で事務局からの発表を終わります。
○遠藤座長 それでは、消防庁から参考資料の御説明があるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
○消防庁小塩専門官 御紹介ありがとうございます。総務省消防庁救急企画室の小塩と申します。いつもお世話になっております。
先ほど厚労省から御説明のありました資料の論点1に関連しまして、消防庁の取組を御紹介いたします。参考資料3をお願いいたします。
1ページ、高齢者救急需要が増加する中で、救急現場において傷病者の家族等から本人の心肺蘇生の中止の意思を示されている事案が増えていたことや、こうした問題が全国のシンポジウム等の場でも議論されていたことを受けまして、消防庁では平成30年度の検討会で救急現場におけるこうした事案への対応について実態調査やヒアリングを行いまして、議論をいたしました。
2ページに、検討会報告書の概要を書いております。実態として、当時、当該事案の対応経験があった本部のうち対応方針を定めていた本部は5割に満たず、その内容は約3割が一定条件下で心肺蘇生を中止可能、そして、約6割が心肺蘇生を継続するという方針でした。このときの報告書では、左下に書いてございますように、基本的な認識として、救急隊は救命を役割としていることから、時間や情報の制約がある中では心肺蘇生の実施を基本としつつ、他方でACPの考え方の広まりを踏まえて、今後、医療やケア、チームとの十分な話合いの上で本人の生き方を尊重していくべきと整理をいたしました。
また、右下に書いておりますように、今後の検討のために実態把握を進めていくことが必要とされました。この報告書を踏まえまして、3ページでございますが、消防庁から令和元年11月8日付け通知を発出いたしました。報告書の要点とともに、今後、消防機関に求められることとして、地域包括ケアシステムやACPに関する議論の場への参画を求めるとともに、救急隊の対応方針について在宅医療や介護に関わる関係者の参画も得ながら十分に議論することなどを呼びかけ、また、併せてお願いとして、今後の実態把握のために調査に御協力いただくことを依頼しました。
こうした調査の結果について、4ページ以降で御紹介をいたします。
まず4ページは、心肺蘇生を望まない傷病者に係る救急出動件数の調査結果ですが、中央に書いてございますとおり、令和2年は5,538件ということで、対前年でプラス約180件、約3%の増となりました。この内訳を下に4分類で載せておりますけれども、いずれも対前年で比べますと、まず発生場所については住宅の割合が増加し、老人ホームが減少、心肺蘇生継続または中止については中止した事案の割合が増加、救急搬送の有無については不搬送の割合が増加、かかりつけ医の連絡については連絡が取れた割合が増加と、このような変化が見られました。
続きまして、5ページから心肺蘇生を望まない傷病者への対応方針に係る調査結果でございます。まず、全本部のうち対応方針を定めている本部がこの3年間で約4割から約6割に増加いたしました。その内容としては、中止または中断できるものの割合が増加傾向にありました。また、方針の策定の検討が行われた場については、地域のメディカルコントロール協議会の場であったというのが最多で、3年間いずれも約7割という結果でございました。
続きまして、6ページ、対応方針策定の場にどういった関係者が参加していたかという質問に対しては、消防職員が約9割、地域MC協議会の委員が約7割、救急病院の医師が約5割という結果でこの順に多くなっておりますけれども、在宅医療関係者や介護関係者の参加については、赤で囲っておりますとおり5%未満にとどまっております。また、現在方針を定めていない本部について、そのうち約5割は策定に向けて検討中である一方で、4割弱は策定検討の予定はないと回答しており、さらに、こういった事案の事後検証については、全本部の約8割が行っているという結果でございました。
最後に、地域包括ケアシステムやACPに関する議論の場への消防機関の参加状況について尋ねますと、左側の円グラフにございますように、こういった場に参加したという本部は全体のうち約3割にとどまっておりまして、この3割に対して、議論の場で心肺蘇生を望まない傷病者に係る事案について議論があったかと伺うと、半数ぐらいで議論されたという結果でございました。
こういった消防庁の取組・調査の結果も踏まえて、本日の論点1を書いていただいているものと認識しております。御議論のほどよろしくお願いいたします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、御説明をいただきましたので、これから構成員の皆様方から御意見、御質問等をいただければと思いますが、本日御説明いただいてお分かりになりますように、前半が高齢化に伴います今後の救急体制のあり方に関する議題でありまして、後段が新興感染症の拡大に伴って救急体制をどうするかという2つの議論であったわけです。ただいまの消防庁の参考資料3もどちらかというと前半の高齢社会の中での救急の在り方に入るかと思います。
そういう2つの議題なのですけれども、実は論点2も高齢者が増えているという前提の下での感染症の対策ということも絡みますので、多少絡んでいるところがあるものですから、議論の効率化も含めまして、あえて論点1と論点2を分けて議論するということはせずに、御意見があればまとめて頂戴したいと思っております。
それと、皆様からの御意見の前に、本日御欠席をしておられます長島構成員から意見書が出されているということでありますので、これにつきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。その後、皆様方からの御意見を頂戴したいと思います。
では、事務局、どうぞ。
○大村専門官 事務局からです。公益社団法人日本医師会の常任理事でいらっしゃいます長島先生から、今回、意見書をいただいておりますので、読み上げさせていただきます。
まず論点1についてです。地域により高齢化や人口減少の進み方、高齢者の状況もかなり異なる。各地域で5年後、10年後、20年後にどうなるか、そこでどのような疾患の救急患者が増えるかという予測に基づいて考えなくてはいけないので、検討に資するデータを地域に提供していくことが重要である。
また、そういった想定に対して、まず現時点で対応できる医療機関があるのか、もしないのであれば、例えば5年後、10年後、20年後にどのようなことに対応可能な医療機関が望ましいのかを地域医療構想や医療計画で考えていただく必要がある。そういった視点での検討を行わず、救急医療を単独で考えていくと、そもそも救急医療が成り立たくなってしまう。
特に二次救急を担う医療機関では、救急医療だけを提供しているわけではない。今後、高齢者が増えるとともに、救急の搬送件数や疾病が増加することが想定される中で、1つの医療機関で全てに対応することが現実的かということが、恐らく地域で違ってくると思うので、地域で今後どうあるべきかという発想がそもそも必要である。
そのため初期・第二次・第三次という既存の立てつけは残したとしても、その内容、役割は地域の実情に応じて考える必要がある。そのためには、幾つかのモデルやパターンを厚労省で示していただくとよいのではないか。
中でも今後特に問題になると思われるところとして、在宅医療であれば主治医がいるが、高齢者施設だと嘱託医がいない、またはいたとしてもあまり関われていないケースもある。そういったところからの救急患者が一番の検討課題だと考えられる。
これについては論点1の2にあるが、救急医療の関係者と地域包括ケアの関係者、特に介護保険施設や有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅なども含めた高齢者施設の関係者の連携が必要である。この点は、消防庁の「救急業務のあり方検討会」でも盛んに発言させていただいたが、例えば救急医療の会議に地域包括ケアの関係者が参加したり、その逆も進めたりするなど、是非お互いに歩み寄っていただきたい。
またACPも含めた御本人の意思に沿った心肺蘇生についても、やはり救急の現場では判断できないので、医師や医療・介護スタッフの下で御家族と一緒に考えて、まずはかかりつけ医に相談することを事前に共有しておくことで、救急現場の負担を減らせるかが今後最大のポイントになってくる。
その中で、ICTを情報共有などに上手に使えているところもあると思うので、そういった好事例は展開していっていただきたい。
また役割分担・連携という観点では、今回の新型コロナウイルス感染症に対応していく中で、中等症はここが診るとか、後方支援はここで行うなど、各地で医療機関の役割について話し合う場や、仕組みなどもできたと思うので、 ここにうまくつなげていってもらえるとよいのではないか。
ただコロナの場合は、感染者などの数の変化と、変異株による質の変化、それらの急激な変化が災害的な側面をもたらしてしまうので、通常の救急医療では対応できない。
そこにまで通常の救急医療を対応させようとすると大変過ぎるので、コロナ特有の部分まで底上げするのは少し考えたほうがよい。あくまで災害的なものとして、災害対応的な仕組みを上乗せするという考えでいかないと、通常の救急医療への負担が大き過ぎると思われる。
とにかくまず地域の実情と、将来予測があって、それに基づいて各地域でしっかりと検討していくことが必要である。急激な変化は混乱をもたらすので、そこにだんだんと向かっていただくというのが基本ではないか。
次に論点2について。論点2で示されている人材の育成は非常に重要であるが、こちらは感染症対策の医療人材育成であり、必ずしも救急の話ではないということを分けて考えたほうがよい。
以上でございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、お待たせいたしました。構成員の皆様からの御意見、御質問等をいただければと思います。いかがでございましょうか。
加納構成員、お願いいたします。
○加納構成員 ありがとうございます。まず順番にいきますと、20ページのところなのですが、これは今回傷病程度について明記していただいているので非常に分かりやすいかなと思うのですけれども、我々は今も軽症、中等症、重症という言葉を安易に使っているのが現実ですが、これの本当の意味というのは左下に書いてあるように、あくまでも消防庁の集計による軽症というのは、いわゆる気管支喘息で死にかけて本当に大変な状況でも、来られてから点滴で外来で帰られた方は実は軽症になるということになりますが、入院された方は中等症なのですね。重症というのは3週間以上入院なさった方。平均在院日数で考えたらほとんどそういう方はいらっしゃらないというのが現状だと思うのです。そういう意味では、この意味を取り違えないように、ここに書いてあることで認識して我々は救急に関しては考えていかなければいけないかなと思っています。
ですから、中等症というのは実は重症患者も含んでいるわけですし、いろいろな症状の患者を含んだ、入院を必要とする患者であるという認識を持って対応すべきで、軽いイメージでいかれますと重症より軽いのかとなりますし、中等症という何か変な意味がないようにということで、これは今回明記していただいているのは非常にいいことではないかなと思っております。
次に30ページに移っていただきたいのですが、これは今後の問題だと思うのです。先ほどからも議論があるように、これから我々日本の救急が必要とされる内容というのは、65歳以下の救急は間違いなく需要は落ちていく。その中で65歳以上の高齢者の救急がどんどんふえていく。また、さらに85歳以上とかその年齢的なことを考えると本当に高齢者医療をどうするかというのが今後の我々の救急のポイントだと思っておりまして、これをどこで見るのかという話にそろそろ言及しなければいけないのではないかと思うわけなのです。一次・二次・三次という分類で救急というのを大体分けられているわけなのですが、その中で二次に関しましては、今、3,000近くの救急機関があるわけなのですけれども、三次救急に関しましては、実は本来、初期の目的は100万人に1か所ということであり、そうなると日本の人口でいきますと120か所あればよかったわけなのですが、今は既に299か所あるわけです。これは本当に必要なのか、これからの高齢者救急で果たして救命救急センターが必要なのか。先ほどから出ていますように、高齢者の蘇生をしてみなければいけない患者さんがあることはあると思うのですけれども、それはACPをやることによってこれからどんどん減らしていこうということでありましょうし、本来、三次救急は多発外傷とか交通事故の時代にまず考えてつくられた組織であります。救命という意味と災害時のとかいろいろな形で必要だというのは我々も認識しているわけなのですが、本来、高齢者救急の中においては、これから三次救急がどういう役割をするのかということをもう一度検証しないといけない時期に来ているのではないかと実は思っております。
そういう意味で、40ページを見ていただきますと、一つの形が書いてあるわけです。これを見ると、もしかしたらこれで意味しているのは、真ん中にあるのは三次救急なのかな、右が二次救急なのかなという感じで見てしまうわけです。今、実は脳梗塞もコア病院とかいろいろな形で全国で分担がはっきりと明記され出しましたし、都会では少なくとも二次救急で診ています。ただし、先ほどからの話の根本には地域差というものがありますので、地域によっては二次救急から三次救急まで診る病院はあそこしかないというところであれば、これは三次救急であろうが二次救急であろうが対応しなければいけないわけなのですけれども、脳梗塞、先ほど出ました骨折、肺炎、高齢者が増える疾患に関して、私は二次救急でほとんど今、都会では診られているので、そういう意味ではぼちぼち三次救急の整理をすべきなのではないかなということがあります。それを今回の検討において我々が言っていくのかどうかということであれば、48ページのところでの整理において考えるべきではないかと思います。高齢者救急に関しては、各地で二次救急が主体で担っていますし、今後も二次救急でという形に私はなると思いますので、この点の整理をぜひとも我々でやるべきではないかと考えております。その件に関してはまた後で御意見をいただきたいと思います。
最後に、これは追加になりますが、私、実はこれをお願いして追加させていただきました。コロナの話の中で53ページの表なのですが、これは前の52ページを見ていただくと、救急搬送困難事例となって推移の図が出ております。第6波においては大変だった。これはもちろんオミクロンの感染力プラス今回のピーク時が2月に入った。1月、2月というのは我々救急にとりましては一番多忙な時期、これは急性期、回復期、慢性期も含めて全国の病院が満床になる時期であります。この中ではふだんの、コロナ以前から搬送困難事例が出る時期でありましたから、これにコロナ病棟を確保してやった結果、搬送困難事例が出たというのはよく分かるわけですけれども、53ページを見ていただくと、これは実は我々が逆に誇らなければいけないことだということで、私が無理やりお願いして出していただいた図です。千葉の消防署がまとめていただいた、この種のデータはなかなか全国でまとめているデータがないので、これを見ていただくとどういうことか分かるのですが、赤で表示されているのがコロナ陽性患者の搬送数です。救急車で搬送されている中でどの程度であったのかというのは非常に貴重な事例だったのでお願いして出していただきました。これは右と左とで搬送数の桁が違うのですね。これを見ていただくと、第3波、4波のときでさえ、せいぜい救急車搬送数の千葉市においての事例ですから非常に限られているのですけれども、数%位で1割にもいっていないのですね。第5波のときにはさすがに1割を超えたときがあったみたいなのですが、これを見て分かるごとく、実は日本の救急はコロナにおいても非常に頑張ってやっておりますが、一方で、二次救急、三次救急も含め一般の救急搬送も頑張っており、コロナ陽性者数の10倍ぐらい、救急対応をこの間、不要不急ではない一般の救急患者をしっかりと診ていたという実績ではないかなということです。これは逆に我々が誇るべきで、我々がもっとマスコミや、日本の国民に対してもしっかり頑張ったぞと伝えるべきです。欧米と違うのは、欧米はこれができていなかったのです。我々はしっかりと対応したということの一つの根拠になるのではないかなということで提示させていただきました。
質問と今の説明となりましたけれども、以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。多くは御意見だと思いますけれども、質問がありましたか。
○加納構成員 今後、三次救急に関しての在り方を問うのかどうかと。
○遠藤座長 それをここで検討するかどうかという議論ですね。事務局、お願いします。
○吉田参事官 事務局です。今回、参考資料2として、救急医療体制の整備と救急医療機関の今の一次・二次・三次救急の機能の現状を入れております。現状の救急医療提供体制は、1977年・昭和52年につくり上げたもので、第2次ベビーブームが終わって、まさに高齢化の入口に入っていたときにつくった体制となっています。これから2025年、さらには2040年の超高齢社会を見据えたときに、どういう一次・二次・三次救急の建てつけにするかを含めて改めて考えていかなければいけない、こういう問題提起をさせていただいているわけです。
救急医療の一次・二次・三次救急の機能の中に、医療機関に求められる事項というのがありますが、高齢者数の増加に伴って増える疾患に対してどうやって対応していくのかということが1977年に作ったこの体系の中では明示がされていないという状況ですので、御検討いただきたいという趣旨です。
三次救急医療機関の役割も、そのような高齢化社会の入口の中で、そのときの位置づけという形で、今、位置づけられておりますので、この位置づけをどう見直していくのかを御議論いただければと思っております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、よろしゅうございますか。
○加納構成員 一言だけよろしいでしょうか。確かに三次救急、今回、コロナにおいてはECMOというものを使っての治療という面では非常に頑張っていただいたと認識しているのですけれども、これも質問になってしまって申し訳ないのですが、今回のコロナにおいて、ECMOで助かった症例とか、そういったものははっきりと分かっているのでしょうか。
○遠藤座長 では、事務局、お願いいたします。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 統計的にデータとしてどのくらいのECMOが使われているか、それで死亡症例がどのくらいかということに関しては、集中治療医学会のクライシスというところで集計は取っております。ただ、その中では、ECMOをつけて結局亡くなった方と、今つけている方という形で出していて、それ以上の詳細な割合とか、そういったものについては現状把握しているものはございません。
○遠藤座長 ありがとうございます。
加納構成員、そういうことです。よろしゅうございますか。
○加納構成員 はい。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、お待たせいたしました。野木構成員、お願いいたします。
○野木構成員 ありがとうございます。僕も加納先生と長島先生と意見的には似ているのですけれども、今回のデータ等を見ていると、かなり厚労省さんも苦渋の選択をおっしゃっているのかなという印象を受けて、ダイレクトな話はされていないという印象を受けました。高齢者の増加の地域差とかいうのが出ていますけれども、結局、地域はやはり差が出てくるわけですけれども、ここで問題になってくるのは医療者がどれくらいいるのかと、今後医療者がどうなっていくのかという動態が語られていないというか、統計が出ていない。当然のごとく一次救急、二次救急、三次救急、一般病床、全部充実していけばいいのですよ。しかし、それが本当にできるのかというところを考えていかないと、実際に我々は精神科病院ですけれども、秋田県とここに出ていたので言ってしまいますけれども、秋田県なんかは老人の患者さんが多いのですけれども、働く方がおられないのですね。患者さんはおられるけれども職員がいない。コロナでも一緒だったと思うのです。次に代わるナースがいないので、濃厚接触者でも出ざるを得ないという状況になってしまっている。要するに、医療従事者をどうしていくのか、増やしていくのかどうなのかと、そこはしっかり考えてもらわないと、夢みたいなことを語っていたら絶対に無理だと思うのです。
やはり加納先生がおっしゃったとおり、僕もここは二次救急、一次救急は充実させていくというのが今後の国民に対する医療を守る上でそこが非常に重要になってきて、三次救急も非常に重要ですけれども、そこに人数を集めるよりも、私はやはり二次救急、一次救急等に職員を集めていかざるを得なくなってくるのではないかなという気がいたします。
だから、ここは加納先生と一緒なのですけれども、三次救急をどんどん充実させていくことが本当にいいのかというところはしっかり議論していくべきだと思います。本当に医療者がどれくらいいるのかと考えていかないと、医療は成り立っていかないということを考えていただかないと駄目なのではないかなと思います。
それと、この場で次のコロナのこともちょっとお願いしたいと思うのですけれども、実は精神科病院では、やはりコロナで転院がほとんどできなかった。先生方も皆さん聞かれたと思いますけれども、東大病院でさえ精神疾患の患者さんの受入病床は1床、十三市民病院は受入れがほとんどできませんでしたと言われました。要するに、我々の精神科病院でコロナに罹患した患者の転院が必要と考えられてもどこにも転院できなくて、どうしようもなくて自院で亡くなっていくというようなことになってしまったわけです。その辺りをどう考えていくのかということも議論していただきたい。いわゆる障害者の治療をどうしていくのか。確かに一般病院ではなかなか診られないと思うのです。その患者さんたちにとって我々精神科病院に、いわゆる障害者施設等にどのようなサポートをしていくのか。そこに1人感染症の専門医と感染症の専門ナースでも送っていただいたら対応がかなり違うと思うのです。そういうこともちょっと考えていただきたいなということを思って、私の意見とさせていただきます。ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。御意見として承りました。
それでは、お待たせしました。溝端構成員、お願いいたします。
○溝端構成員 大阪公立大学、日本臨床救急医学会代表の溝端でございます。
まず1点、データの中で少し気になるものがありましたので、申し上げたいと思います。三次救急医療施設の受入れデータで幾つかグラフを挙げていただいております。三次救急医療施設である救命救急センターの適応となるような重症患者の数からいって、これほど多くの患者を救命救急センターが重症患者として受け入れているというのは少しデータの取り方がおかしいと思います。このデータを基に救命救急センターの在り方等、また救命救急センターの果たしている役割等を検討されるのは注意をいただきたいと思います。
今回の論点の件ですけれども、今後、高齢化が進むとともに、軽症あるいは中等症の救急搬送が増える。そして、症状や徴候、また診断名のつかないような救急の搬送も増えていくという中で、高齢者が病院に入院しているのではなく、地域、自宅あるいは施設等といったところにいるようになります。このため、先のような救急搬送の依頼が増えているというのは仕方のないことだと思います。救急は依頼があると全て医療機関に搬送するということになりますので、そのような形をこれからもずっと取っていくのか、あるいは在宅の段階でもう少し選別できるようにやっていくのかということを考えていく必要があるかなと思っています。
今回のコロナ禍において、医療機関の受入れができない、あるいは医療機関に行けないという中で、療養施設やホテルに医師が出向いて医療を行っています。近年、救急診療所や在宅の救急医療いった活動をする医師も増えていますので、そういったことも解決策の一つとして検討してもいいのではないかと思います。
アドバンスケアプラニングの部分ですけれども、こちらに関してはもちろんしっかりと考えていく必要があると思います。ただ、ここの役割を分担する者としては、かかりつけ医と、御本人、介護あるいは看護される施設等での看護師や医療従事者等が役割を担っているということになると思います。そういう中で、かかりつけ医がDNARの指示書を出す、その指示書が一体いつまで有効なのかといったことを議論していかないといけないと思いますし、一定のルールやモデルをつくっていく必要があると思います。自宅にいる高齢者まで含めてしまいますとそういったことを進めていくことは難しいと思いますので、施設に入っておられる方、特に施設の管理者等とかかりつけ医、救急隊、受け入れる側の病院等が一緒になってACPについてきちんとした対応ができる体制をつくっていくことが必要だと思っています。
最後に、65ページの論点2のコロナの感染における論点についてですが、重症者に対応できる救急医療体制をどのように構築していくべきかと書かれています。この文面にはコロナの重症者を救急医療体制が対応するという根本的な考えがあるように思われますけれども、基本的にはコロナ患者というのは救急の診療科だけが診ればいいというものではないと考えます。私は、コロナの重症者に対応しつつも、日常の救急医療体制をどのように維持していくべきかということを考えないといけないのだと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。冒頭、データについての御発言がありました。事務局からコメントをお願いしたいと思います。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 28ページと29ページの三次医療機関の救急搬送受入件数や夜間・時間外・休日の救急受入件数の数が多いのではないかというお話でしたけれども、こちらは病床機能報告のデータから引っ張ってきているものでございまして、救命救急センターを持っている病院全体のデータとなっておりますので、センターだけというような言い方ではないと。つまり、三次救急機能を持っている医療機関のデータということで御覧いただければと思っております。
○遠藤座長 溝端構成員、よろしゅうございますか。
○溝端構成員 了解いたしました。ありがとうございます。
○遠藤座長 では、関連で坂本構成員、お願いいたします。
○坂本構成員 今の救命救急センターの患者の数の話ですけれども、親病院の救急患者の数と救命救急センター自体の数が異なっているのは独立型の救命救急センター以外では当然のことなので、厚生労働省の救命救急センターの充実段階評価の中で重篤患者というものを定義して、これが本来、救命救急センターで診るべき患者だろうということで、その数を出させていただいております。それについては多いところでも2,000人とか3,000人とかで、多くのところは1,000人前後ということになりますので、三次救急を要する患者をどうするかということに関しては、その数値で考えていくのが私はいいと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。そのような補足の御説明をいただきましたので、今後そのような考え方で議論していきたいと思います。
それでは、先ほど来、お手を挙げておられます本多構成員、お願いいたします。
○本多構成員 ありがとうございます。埼玉県の本多でございます。
まず、論点1について1点ほど意見を述べさせていただきたいと思います。論点1の1の方で超高齢化・人口減少が地域ごとに進み、高齢者の救急患者・救急搬送、特に軽症・中等症の患者が増加する中で、地域の実情に応じた第三次・第二次救急医療機関の果たすべき役割についてどのように考えるかということでございますが、ここのところはたまたま文字数の関係かもしれませんけれども、高齢者が増えるということと、軽症・中等症というところが強調されています。先ほど加納構成員の御意見にもありましたけれども、軽症・中等症というだけではなくて、資料にもあったかと思いますが、急病の方では症状・徴候・診断名不明確が増加しているとなっております。
地域によって違うかと思いますが、現場の実感として私自身が感じているところを述べさせていただきますと、むしろ単に重症が減っているというよりは、もともと複数の疾患を持っていらっしゃって、たまたま新しい疾患等の発症によって救急搬送が必要になって運ばれた場合になかなか受けていただけない、受けていただける病院を探すのに苦労するというようなケース、あるいは診断自体が難しいケースが多い、お年寄りの方で診断が難しいケースというのがあると思います。
また、コロナとも絡みますが、コロナ陽性だったのでコロナだと思っていたら実はほかの感染症も併発していてお亡くなりになったのではないかという疑いがあるような事例もあります。単に重症が減っているというよりは、非常に事例が多様化しているということで、重症だけではなく多様化する複数疾患合併例とか、あるいは診断困難事例について対応できるといった部分について課題ではないかと考えております。
また、二次医療機関の方々に大変頑張っていただいておりますし、県としても充実を図っている県は多いと思いますが、やはり対応困難事例というのは増えている印象がございます。具体的には先ほど野木構成員から障害者についてお話がありましたけれども、障害者、また高齢者施設の問題、外国人、無保険、合併症、認知症、こういったものについては救急の発端となった病気とは別の理由で対応困難となる事例が多く、なるべく二次の方で受けていただけるようにしている状況ですけれども、やはり二次での受け入れが難しいとどうしても三次の病院でバックアップしていただくことも珍しくないという状況があります。こういった実情を踏まえて、今後の在り方を検討する必要があると考えております。
次に、在宅みとりの関係ですけれども、これは非常に時宜を得たテーマだと思いますし、各自治体で試行錯誤しているところかと思います。今後に向けてさらなる体制の整備といいますか、さらにいいことができるような体制を目指していくべきだと考えます。
最後に感染症の課題のところで医療人材の育成のことがございました。私はこの辺は現場で見ていると三次の病院も二次の病院も、検査で特定の感染症が陽性であろうがなかろうが、日頃からの標準予防策として感染対策がICNを中心にきちんと行われているとか、そういう医療機関が自信を持って一生懸命対応していただけたという面があったような印象を持っています。
ですので、医療人材の育成という観点では、重症の事例ということもあるのかもしれませんけれども、むしろ救急患者を受け入れるときの感染症対策をきちんとやれるために必要な人材を育成するということも述べておくべきではないかという印象を受けました。
以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、猪口構成員、次に坂本構成員でお願いしたいと思います。猪口構成員、お待たせしました。
○猪口構成員 どうもありがとうございます。僕は新しい意見を特に言うという内容ではないかもしれませんけれども、先ほど三次の医療機関の件数の中に二次救急と思われる件数がかなり含まれているという説明がございました。今、三次救急の病院に対してかなり負荷がかかっているというのは、その二次の部分で負荷がかかっているのだとするならば、そこのところの救急としての搬送の仕分けの仕方だとか、そういうところがすごく大事なのかなと思います。地域医療構想というのは病棟単位で物を考えるようにできておりますけれども、多分、救急搬送するに当たっては病院単位の発想に立つだろうと思います。そうすると、今、御高齢者の軽症・中等症を診るという役割を担うところは二次救急という形で一般化、一言で言われてしまっておりますけれども、地域包括ケア病床などを持っているようなところは救急をやることが義務づけられているわけです。要件として入っているわけですけれども、そういったような亜急性期を診るような救急という概念も今後は必要になってくるだろうと思っています。
もう一つは、先ほど来、ACP等の御高齢者の救急の話が出ておりますけれども、コロナで東京で経験したことは、高齢者施設で感染者がたくさん出てまいりますと、救急搬送だけではなくて調整して入院していただくためには、調整機能が麻痺してくると、なかなか御高齢者の入院する施設がなくなってくるのです。今ぐらいまで感染者が減ってくると、御高齢者であったとしてもスムーズにいく。御高齢者というのは条件によって医療側の対応がいろいろ変わりやすい。この変わりやすい状況を、本来はそうあるべきではないのではないかと思うのですけれども、そこの部分が安定化するためには、ACPをしっかり取っておくことも大事ですけれども、初期の在宅だとか、もしくは施設なのかもしれませんけれども、そういうところで今後御高齢者が増えていく現実においてはプライマリ・ケアを救急現場に近いようなところで救急にならないようにするとか、そういう部分からしっかり始めていかないと、働き方改革とか、一気に二次救急相当の患者さんが増えそうな状況においては、最初の段階から充実させていく必要があるのではないかと思っています。
加納構成員、野木構成員がおっしゃったように、人がなかなかついていかない、二次救急が大事であるということに関して賛成であると同時に、もっとプライマリ・ケアをしっかりさせていくということも大事だと思っています。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、坂本構成員、お願いいたします。
○坂本構成員 ありがとうございます。49ページの論点1に従って少し意見と質問があります。
この中で初期・二次・三次の救急医療機関の在り方については、その地域の実情に合わせてと書いていただいていますので、これは非常に重要で、都市部と非都市部ということでも大きく違ってくると思います。
その中で、1ポツ目の重症者を含めて幅広く救急患者を受け入れるというところに関しては、41ページの新潟県の下り搬送の促進ということが不可欠かなと思っております。やはり現場で救急隊が幾ら重症度を判断しても、病院に来てみないと本当の重症度は分かりませんし、また、実際に重症であってもその患者が高度の医療を望むのか、あるいは無理のない医療を望むのかということによって、その後の治療を高度な救急医療機関で行ったほうがいいのか、あるいは二次救急医療機関で行ったほうがいいのかというようなこともございますので、このような形での取組は非常に大事だと思います。
このときに1つのポイントになるのは、下り搬送を誰が担うのかということについてであり、通常であれば消防救急の本来の業務ではないので、病院間の搬送システムの構築と病院間の日常の連携が必要かと思います。
もう一つは、先ほど働き方改革という言葉が出てまいりましたけれども、2024年の働き方改革で私は今、大学病院の病院長でございますので、大学病院の医師の働く労働時間ということを考えていったときに、今、かなりの時間をいわゆる外勤という形で二次救急医療機関の当直業務等をして地域の救急医療を支えているわけです。その労働時間を全部含めていくとかなり厳しい状況になっていく中で、総労働時間が減らしていくとすると、やはり生産性を上げた医療をしていかなければいけない。そのときにタスクシフト、タスクシェアということもございますけれども、やはり集約ということも考えていかざるを得ないのではないかということが労働面から考えられるかなと思いました。
それから、3ポツ目のところで在宅医療と介護ということがございまして、医療機関の現場から見ると、在宅医療をきちんと受けていらっしゃる、つまり在宅医療の主治医がいて訪問診療を定期的に受けていらっしゃる方は、いざ悪くなったときにどうするか、あるいは病院でしばらく治療して元に戻ったらどうするかということについて相談相手もいますし、非常に円滑にいくわけです。しかし、介護施設では、その施設に連携している医師の先生方が、何かあったら救急車を呼んでくださいと言ってしまっていることもまだ少なくないという状況です。なおかつ、元の状態にならないと介護施設に戻れないとすると、急性期医療機関と介護施設の間で患者さんが宙に浮いてしまうことも非常に多いということで、そこのところの連携を考えるというのが地域包括ケアの中でも非常に重要かなと思いました。
それから、ACPに関してですけれども、私も日本臨床救急医学会の代表理事のときに心肺蘇生を望まない傷病者に対する心肺蘇生の中止に関しての提言を出しましたけれども、ACPのうちでDNAR、つまり心停止時に心肺蘇生をしないということは実はごく一部の問題であって、そもそも例えば肺炎になったら人工呼吸器をつけてほしいのか、あるいは腎臓の機能が悪くなったら透析までするのかというようなことを日頃から考えておいていただかないと、いざ、その様な状況になったときに救急医療をどこまでするかということは、単に心停止時に心肺蘇生をするかしないかということ以上に大きな問題かと思いました。
それから、論点2のところで全ての医療機関が感染症に強くなる、感染症のための病床やゾーニングなどをしっかりとして感染症に備えるということは非常に重要なのですけれども、急激に感染者数が増加するときにはリザーバーとして大規模な感染症専門病院があるということは地域にとって非常に負担が減って、患者さんにとっても非常にいいのではないかと考えます。東京都で言えば、東京都が都立病院・公社病院をコロナの専門病院化したところで第3波のときにかなり医療の逼迫が軽減されたということがございましたので、全ての医療機関でやるべきこと以外に、そのような感染症の専門病院である程度急激に大量に患者が発生したときに吸収できるようなシステムがつくれないかどうかと。もしそういうことをするとしたら、そこで働く医師や看護師はどのようにふだん育てていってキープしておくのかと、そういうことを考えていらっしゃるかどうかと。最後は厚労省への質問になります。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
では、厚労省、コメントをお願いします。
○吉田参事官 最後の御質問でございますが、第8次医療計画から新興感染症まん延時における医療の在り方を医療計画上書くことになっています。その作成指針等を我々、今年度中には考えていきたいと思っておりますので、今の御指摘のような取組も地方でできるような仕組みを考えていきたいと思っています。
○遠藤座長 坂本構成員、いかがでしょうか。よろしいですか。
○坂本構成員 はい。ありがとうございます。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。井本構成員、どうぞ。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。これから2040年に向けて救急医療を提供する上で、看護提供体制も極めて重要な観点かと考えておりますので、それについて2点ほど意見を申し上げさせていただきます。
まず1つ目として、看護師の配置基準等の検討についてでございます。これは2020年の厚生労働省の「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会の議論の整理」で既にまとめられていることではございますが、「実態を把握し、看護師の配置に関する基準等について検討し、必要な措置を行う」と記載されており、現在、厚生労働科学研究のほうで「救急外来における医師・看護師配置に関する実態調査」が実施されていると認識しております。ぜひともその結果を踏まえて専門性の高い看護師のことも含めた看護師の配置に関する基準等の議論をしていただきたいと考えております。
2つ目として、先に御紹介いただきました日本医師会の長島構成員の意見書にもございましたし、資料1の20ページにもありますが、救急外来を受診する患者の高齢化や軽症・中等症が増加していること、及びこの傾向が今後も続くと見込まれることから、救急外来を受診し、入院せずに帰宅される患者さん、特に高齢者等に対しての体制構築が必要ではないかと思いますし、その一つに現在も看護師が療養指導等を行っている状況がございます。先行研究等においては3日以内の再受診患者さんの37%は再受診の予防が可能という報告もあります。また、帰宅後の症状悪化や病気を抱えて生活することへの不安から再度救急搬送を要請する患者も少なくないという報告もございました。そのため、看護師が帰宅する高齢者の患者様に対して療養指導等を行い、さらに必要な患者さんについては社会的リソースにつなぐ体制を構築していくことが今後、生活上、あるいは社会的な問題を解決し、地域における療養生活の継続を支援し、ひいては度重なる救急搬送を防ぐことにもつながるのではないかと考えております。
また、論点2については、先ほど坂本構成員の最後の質問等にもございましたが、やはり平時から重症患者対応が可能な看護師の育成は必要な議論ではなかろうかと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、続きまして、田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 田中でございます。
最初は32ページの救命救急センターの充実段階評価の結果の棒グラフを見ると、地域による差が非常に大きくて、S評価をたくさん取っているような東京都とか神奈川県とか大阪府などに比べると、静岡県あたりはS評価をほとんど取れていない。これは一つの切り口にすぎないのですけれども、やはり救急医療に関して地域格差がかなり大きいということを表しているのだと思います。
今、働き方改革がこういった地域格差を考えないで強行されますと、野木構成員が言及していただきましたけれども、医師不足の地域では救急の確保・維持ということが非常に難しくなると思いますけれども、厚労省はこの点をどう考えていらっしゃるのかお聞きしたいと思っています。
もう一つは、救急でコロナ感染症対応というのはやはりコロナの感染が非常に多いところ、パンデミックが本当にひどいところは感染症自体が災害レベルということで救急というふうに捉えられているのだと思いますけれども、静岡県はそれほど多いわけではなかったので、当院に関しましてはコロナの入院患者を全て呼吸器内科のドクターが感染病棟で診ておりました。結核病棟が50床ある以外に新たに34床のコロナ病棟、全室陰圧室にして対応しまして、この病棟で人工呼吸器、透析等を全部行いまして、さらに最重症化した場合にICUで治療するといった体制でしたので、地域によって感染症が災害レベルになるかどうかということで、救急の対象になるかどうかという考え方かなと、私は個人的には思いました。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、最初に事務局のコメントを求めておられましたので、お願いします。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。充実段階評価によると地域格差があるということについてですけれども、先生がおっしゃるように、地域によっては例えば働く人の人数であるとか働き方改革の影響といったものもあると思いますので、働き方改革については、現状、実態調査という形でどのような影響が地域医療にあるのかということの調査をしているところでございまして、そういったことで今後の地域格差というものはどのような影響があるのかということも見ていきたいと考えております。
○遠藤座長 田中構成員、よろしいですか。
○田中構成員 はい。ありがとうございます。
○遠藤座長 それでは、お待たせいたしました。野木構成員、どうぞ。
○野木構成員 ありがとうございます。2回目なので簡単に済ませたいと思います。先ほどちょっと話した部分なのですけれども、やはり今後、医療従事者、特に医師・ナースがどういう人数になっていくのか。医師の働き方改革などを今の感染状況(感染者数)で考えるとどうなっていくのか。あるいは都道府県の医療従事者、少なくとも医師・ナースがどのような動態になっているのかというデータをしっかり出してもらわないと、この議論はなかなか進んでいかないと思いますので、次でもいいので、その辺のデータを出していただきたいと思います。これはあくまでも要望ですけれども、よろしくお願いします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局、何かコメントがあればお願いします。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 ありがとうございます。検討させていただきます。
○遠藤座長 よろしくお願いします。
それでは、お待たせしました。大友構成員、どうぞ。
○大友構成員 私から3点お願いいたします。
1点目は、先ほど加納構成員から指摘がありました20ページの救急搬送患者の重症度の定義ですけれども、これは救急医療で患者さんの緊急度・重症度を加味しながらいろいろなことを検討しなければいけない中で、基礎データとなる救急搬送患者の重症度というのが、入院が3週間以上だと重症だとか、外来で帰れたら軽症というのは、ちょっとこれはミスリードしてしまうと思います。心筋梗塞でも1週間で帰れば中等症ですし、単なる誤嚥性肺炎の高齢者で3週間以上になると重症となってしまって、これは実際のいろいろなことを検討する上でそぐわないので、やはり見直しをするべきではないかなと、緊急度、重症度に合わせて分類できるようにしていかなければいけないのかなと思いました。
2点目でございますけれども、二次救急医療施設、三次救急医療施設の役割が不明確だという議論があったり、それから、受入困難事案が増えているという話がございましたけれども、これは結局どうしてこういう形になってしまっているかというと、三次施設にはその施設に対する財政的な補助がしっかりあるのですけれども、二次救急病院にはないのですね。指定を受けているメリットもあまりありません。実績がなければ取り消すという話もありましたけれども、取り消されても痛くもかゆくもないのではないかと思うわけです。
結局、その中で、二次病院で比較的頑張っている病院に対して行政的に何とか支援しようとすると、その病院を三次に指定するというような、それで財政的支援をしやすくするということをやっているために、本来、二次で診るべき患者さんもあふれてしまって三次に行っているという実態があるのです。もう少し二次病院に対する何らかのインセンティブといいますか、もちろん補助金が出るのであればそれをきちんと充実度を評価して、ちゃんと体制の整っている病院に何らかの財政的な支援をするというふうに今後していかないと、二次と三次の役割分担に関してうまくいかないのではないかなと思います。
3点目ですけれども、コロナ禍を受けて感染症対応の人材育成ということの中で私が非常に重要だと思うのは、重症者に対応できる医師・看護師の育成ということで、特に看護師を、つまりICUで働ける看護師の数を増やさないと、これは次のパンデミックでまた大変な目に遭う。第5波で重症患者さんが溢れてしまって、それまで人工呼吸器がついた患者さんを診たこともないような二次病院の看護師さんが人工呼吸患者を診なければいけない状態になってしまったのです。これは三次もしくは重症のコロナの患者さんを診る病床数が、結局は重症の患者さんを管理できる看護師の頭数で決まってしまったからです。そのベッドがあふれてしまったので、二次病院で重症のコロナ患者を診ざるを得なくなってしまったわけです。ですので、ICUで働ける看護師をもっともっと増やすということが非常に重要だと思います。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございました。
事務局に対する御質問といいましょうか、御意見があったかと思いますので、例えば重症度の定義の話等々、もしコメントがあればお願いいたします。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 重症度の定義などについても今後、消防庁ともお話をしながら検討していきたいと考えております。ありがとうございます。
○遠藤座長 あと、御提案の中では、二次に対する支援というかインセンティブに関しての御発言もありましたけれども、何かコメントございますか。
○中村災害等緊急時医療・周産期医療等対策室長 こちらにつきましては、御意見としていただきましたので、今後の二次・三次の在り方を検討する中でこういった視点も含めて議論していければなと考えております。
○遠藤座長 ありがとうございます。
大友構成員、よろしゅうございますか。
○大友構成員 はい。ありがとうございます。
○遠藤座長 それでは、ほかにございますでしょうか。全体を通してでも構いませんけれども、何か御意見、御質問等があれば、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、本日は本当に非常に多様な視点から積極的な御発言をいただきまして、どうもありがとうございました。本日は取りあえず意見聴取の場という位置づけでございますので、そういう意味では非常に多様な御意見を頂戴したと思います。事務局におかれましては、本日いろいろな御意見をいただいておりますので、これらを整理いたしまして、今後の検討会での議論に資するものをつくっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議論はこのぐらいにさせていただきたいと思いますが、事務局、何かございますか。
○大村専門官 事務局から、次回のワーキンググループにつきましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。
以上です。
○遠藤座長 それでは、本日のワーキンググループはこれにて終了したいと思います。本日は長時間どうもありがとうございました。
 

照会先

医政局地域医療計画課

災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
病院前医療対策専門官 土屋(2597)