第146回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和4年3月23日(水)15:00~17:00

場所

オンラインにより開催
(労働委員会会館講堂(7階))
(東京都港区芝公園1-5-32)

出席者

公益代表委員
砂金伸治、熊﨑美枝子、城内博(分科会長)、髙田礼子、原俊之、水島郁子、山口直人
労働者代表委員
小菅元生、勝野圭司、袈裟丸暢子、佐々木弘臣、佐藤和幸、中村恭士、門崎正樹
使用者代表委員
天沼陽介、鈴木重也、出口和則、及川勝、中村節雄、増田将史、矢内美雪
(五十音順、敬称略)
事務局
武田康久(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、髙倉俊二(労働衛生課長)、木口昌子(化学物質対策課長)、吉見友弘(化学物質対策課化学物質評価室長補佐)、中村宇一(安全課長補佐)

議題

  1. (1)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱等について(諮問)
  2. (2)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
  3. (3)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令について
  4. (4)石綿障害予防規則第三条第四項の規定に基づき厚生労働大臣が定める
    者の改正について
  5. (5)その他
     

議事

議事内容
○城内分科会長 定刻となりましたので、ただいまから「第146回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日は公益代表委員の砂金委員、労働者代表委員の佐藤委員、使用者代表委員の矢内委員が欠席しております。また、公益代表委員の水島委員から、所用のため20分から30分ほど遅れて参加するとの御連絡を頂いております。
本日は、感染症の防止対策として、オンラインにより開催することとし、一般の傍聴を募集せず、報道関係者のみの傍聴を受け入れることとしていますので、御承知おきください。カメラ撮影等については、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。まず、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いします。
○小宅計画課長 事務局です。本日はハウリング防止のため、御発言されないときには、マイクをオフに設定するようお願いします。また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込み、分科会長から指名されましたら、マイクをオンに設定した上、氏名をおっしゃってから御発言するようお願いいたします。このほかに、進行中、通信トラブルなどの不具合がありましたら、チャットに書き込み、又は事務局へメールにて御連絡をお願いいたします。以上です。
○城内分科会長 それでは、議事に入ります。議題1「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について」に関して、事務局から説明をお願いします。
○木口化学物質対策課長 化学物質対策課長の木口です。議題1につきまして御説明いたします。資料としては、資料1-1が要綱、資料1-2が概要ですが、資料1-2に沿って御説明させていただきます。
昨年7月に取りまとめられました職場における化学物質管理のあり方に関する検討会を踏まえた制度改正であり、政令改正で対応する部分は1月31日の分科会で御答申を頂き、2月24日に公布をしております。今回は省令で対応する部分です。内容としては、安衛則で対応する部分と特別則の部分があります。
まず、安衛則で対応する部分を御説明いたします。1、事業場における化学物質に関する管理体制の強化です。1-1「化学物質管理者の選任の義務化」です。リスクアセスメント対象物とは、右側の囲みにありますが、リスクアセスメントの実施が義務付けられている物質のことです。このような物質を製造し、又は取り扱う事業場で選任を必要としております。業種や規模の要件はありません。
※が3つあります。まず、有期事業の場合は、個別の作業現場ごとではなくて、工場、店社、営業所などの事業場ごとに化学物質管理者を選任していただくことになります。2つ目の※ですが、一般消費者の生活の用に供される製品には、ラベル表示、SDS交付、リスクアセスメントの実施などの義務がかかっておりませんので、このような製品だけを取り扱う事業場は、選任の対象外となります。法令上は、選任は各事業場1名でいいのですが、3つ目の※にあるように、事業場の状況に応じて複数名の選任も可能です。
(2)選任要件です。化学物質の管理に係る業務を適切に実施できる能力を有する者としております。特にリスクアセスメント対象物の製造事業場においては、よりきっちりと管理しなければいけないので、右側の表にありますような12時間の専門的講習の修了者から選任していただくこととしております。それ以外の事業場では、いわゆる資格要件は設けませんが、このような講習の受講を推奨してまいりたいと思っています。
(3)は、化学物質管理者の職務です。ラベル・SDSの確認、それに基づくリスクアセスメントの実施の管理、リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択・実施の管理、自律的な管理に係る各種記録の作成・保存、労働者への周知・教育、リスクアセスメント対象物を製造する事業場の場合はラベル・SDSの作成、リスクアセスメント対象物による労働災害の対応などが職務となります。
次に、1-2「保護具着用管理責任者の選任の義務化」です。保護具着用管理責任者につきましては、リスクアセスメントに基づく措置として、労働者に保護具を使用させる事業場で選任していただきます。選任要件は、保護具について一定の経験及び知識を有する者としております。(2)選任要件については、通達で示すこととしています。衛生管理者などの一定の経験と知識を有する方を想定しております。(3)職務としては、有効な保護具の選択、労働者の使用状況の管理その他保護具の管理に係る業務となっています。先ほどの化学物質管理者もですが、施行は令和6年の4月1日を考えております。
次に、1-3「雇入れ時等教育の拡充」です。雇入れ時教育は、1番から8番までの項目が決まっているのですが、1番から4番に掲げた項目については、製造業や建設業などの業種以外、例えばサービス業などでは実施を省略することはできるとされております。ところが、サービス業などでも化学物質が多く使われていまして、ここが省略されますと、例えば原材料等の危険性又は有害性に関する教育が抜けてしまうといったこともあり得ますので、こういった教育が確実に行われるように、この省略規定を廃止するというものです。雇入れ時教育は、その労働者の従事する業務に関する教育ですので、業務に該当しない項目については、もちろん教育はしなくてもよいということになります。
次に、2番の「化学物質の危険性・有害性に関する情報の伝達強化」です。2-1「SDS等による通知方法の柔軟化」です。現在、SDSの通知方法としては、文書の交付、あるいは相手方が承諾した方法として磁気ディスクの交付やFAX送信などを認めていますが、改正案としては、事前に相手方の承諾を得なくても、相手方が確実にアクセスできるという条件下で、このような方法による通知を可能とし、通知の方法の幅を広げるということです。文書の交付はもちろんですが、3つ目にありますとおり、通知事項が記載されたホームページのアドレス、二次元コード等を伝達した上で、情報が変わったので見てくださいということを求めることも規定したいと思っております。こちらにつきましては、通知方法の柔軟化ですので、公布日施行と考えております。
次に、2-2「「人体に及ぼす作用」の定期確認及び更新」です。化学物質による健康障害防止のために一番重要な事項である「人体に及ぼす作用」については、定期的に更新する必要がないかを確認していただき、もし内容に変更があった場合には、確認後1年以内に更新し、SDS通知先にも、このように変更になりましたよという変更内容を通知していただきたいということです。なお、SDS交付が努力義務になっている物質につきましても、同じようなことを努力義務としています。こちらは令和5年4月1日施行としておりまして、この令和5年4月1日を起点として5年以内ごとに確認し、メンテナンスをしていただくことになります。
次に、2-3「SDS等による通知事項の追加及び含有率表示の適正化」です。まず、SDSに係る通知事項として、新たに「(譲渡・提供時に)想定される用途及び当該用途における使用上の注意」を追加するとしております。これは製造者がSDSを作成する際にどのような用途を想定してリスクアセスメントを行ってSDSを作ったかということを明確にすることによって、用途を外れた使い方をする場合には、より慎重にリスクアセスメントを行っていただきたいという趣旨です。
2つ目は、通知事項の1つである「成分及び含有量」のうち、含有量の記載について、現在は10%刻みの記載方法を認めているのですが、その物質をきちんとリスクアセスメントできるようにということで、重量パーセントの記載を求めることとしております。もちろん、製品によっては含有量にどうしても幅が出てしまうことがあると思います。その場合は、国際基準等にのっとり、濃度範囲による何パーセントから何パーセントという表記も認めるとしております。こちらは令和6年の4月1日施行としております。
次に、2-4「化学物質を事業場内で別容器等で保管する際の措置の強化」です。ラベルやSDSの義務は、化学物質の譲渡・提供時にかけられるものですが、事業場で購入したものを小分けして一時的に保管するとか、あるいは製造したものを出荷前に保管しておくといったときに、その中身が分からなければ誤って使用して健康障害につながるという危険もありますので、名称と人体に及ぼす作用の2点について、ラベルではなくてもいいのですが、何らかの形での情報の伝達を義務付けるということです。これは、小分けして、その日のうちに使い切ってしまう場合を想定しているのではなくて、一定期間保管するようなときに行っていただきたいということです。これは令和5年の4月1日施行としております。
以上のような省令の改正に伴い、化学物質等の危険性又は有害性等の表示又は通知等の促進に関する指針、これは大臣告示ですが、こちらについても、これに合わせて所要の改正を行いたいと思っております。
次に、3番の「リスクアセスメントに基づく自律的な化学物質管理の強化」です。3-1「リスクアセスメント結果等に係る記録の作成及び保存」です。リスクアセスメントの結果と、それに基づいて講ずる措置の内容については、記録を作成し、次のリスクアセスメントを行うまで保存していただき、関係労働者に周知しなければならないこととします。次のリスクアセスメントを3年以内に実施する場合でも最低3年は保存していただきます。これは令和5年の4月1日施行です。
次に、3-2「化学物質による労働災害発生事業場等への労働基準監督署長による指示」です。これは労働災害の発生又は、そのおそれのある事業場で、突発的な事故というよりも、このまま同じような作業をしていたら、また別の健康障害が出るおそれがあるというような、化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあると監督署長が判断した場合には、当該事業場の事業者に対して改善を指示するということです。改善の指示を受けた事業者は化学物質管理専門家から、リスクアセスメントの結果に基づいてその事業場で行った措置が有効かどうかを確認していただくことと、望ましい改善措置に関する助言を受けていただきます。その助言を受け、改善計画を作成して、監督署長に報告をした上で、必要な改善措置を実施するということです。
化学物質管理専門家の要件としては、こちらの吹き出しにありますように、労働衛生コンサルタント、衛生工学衛生管理者、作業環境測定士等として、一定以上の実務経験を有する方を想定し、厚生労働大臣告示で示す予定としております。
次に、3-3「リスクアセスメント対象物に係る事業者の義務」です。(1)として、リスクアセスメント対象物へのばく露濃度の低減措置です。①リスクアセスメント対象物にばく露される程度について、代替物等の使用、設備の設置及び稼働、作業方法の改善、有効な呼吸用保護具の使用などの方法により、最小限度にするとしております。これは令和5年の4月1日施行です。
リスクアセスメント対象物のうち、一部の物質につきまして「ばく露管理値」を設定することとしておりますが、ばく露管理値を設定された物質につきましては、ばく露管理値以下に管理をしていきます。ばく露管理値は令和4年度以降、順次設定することとしており、こちらについては令和6年4月1日から施行と考えております。
(1)の措置に関して、措置の内容や労働者が実際にどの程度ばく露しているかという状況については、労働者の意見を聞く機会を設けた上で、記録を作成して3年間保存していただきます。なお、がん原性物質については、記録の保存は30年間としております。がん原性物質については下の囲みに書いてありますが、GHS分類で発がん性区分1の物質とか、いわゆる「がん原性指針」の対象物質などを、厚生労働大臣告示で指定することを考えています。これらにつきましては、(1)の結果の記録ですので、それぞれ施行日と連動しており、令和5年か令和6年となっています。(3)リスクアセスメント対象物以外の物質についても、同じように対策をとって、ばく露されることを最小限度にするように努力義務とすることとしております。これは、令和5年の4月1日施行と考えています。
(4)リスクアセスメント結果に基づいて事業者が自ら選択して講じるばく露防止措置の一環としての健康診断の実施・記録作成です。リスクアセスメントの結果に基づいて講じるばく露防止措置の一環として、リスクアセスメント対象物による健康影響の確認のために、労働者の意見を聴いて、必要があると認める場合には、医師又は歯科医師が必要と認める項目についての健康診断を行い、必要な措置を講ずることとしております。また、ばく露管理値が設定されている物質で、その管理値を超えて、ばく露したという場合には、速やかに医師による健康診断を実施していただくとしております。これらの健康診断の記録の保存は5年間とし、がん原性物質については30年間としております。この健康診断に関しては、令和6年4月1日施行としております。
(5)がん原性物質の作業記録の保存です。がん原性物質を製造し、取り扱う業務を行う場合は、当該業務の作業歴について記録をし、その記録は30年保存していただくとしております。これは令和5年4月1日施行です。下の囲みの中の「リスクアセスメント指針」ですが、この指針についても、これらの省令改正などを踏まえて改正を考えております。
3-4「化学物質への直接接触の防止」です。皮膚・眼刺激性、皮膚腐食性又は皮膚から吸収されて健康障害を引き起こし得る有害性に応じて、労働者に皮膚障害等防止用保護具を使用させるということです。幾つかのパターンがあります。①健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質、例えば皮膚刺激性などに関してGHS分類がなされている物質とか、経皮吸収があることをSDSに書き込まれているような物質です。こういった物質を取り扱う場合には、保護眼鏡、保護衣、保護手袋などの保護具を使うことに関して、令和5年4月1日からは努力義務、令和6年4月1日からは義務としたいと思っております。②健康障害のおそれがないことが明らかなもの以外の物質ということで、健康障害のおそれがあるかないか分からないような物質につきましては、このような保護具の使用を努力義務とするということで、令和5年4月1日の施行としております。図に書きますと、このようなスタイルとなります。
次に、4番の「化学物質の自律的な管理の状況に関する労使等のモニタリング」です。こちらは衛生委員会の付議事項の追加ということで、労働者が化学物質にばく露する程度を最小限度にするための措置、ばく露管理値以下とするための措置、ばく露防止措置の一環として実施した健康診断の実施とその結果に基づく措置などについては、衛生委員会の付議事項として、実施状況の調査審議を行うことを義務付けるとしております。衛生委員会の設置義務のない労働者数50人未満の事業場においても、関係労働者からの意見聴取の機会を設けなければならないとしております。これは令和5年の4月1日施行です。
5番の「がん等の遅発性疾病の把握の強化」です。化学物質を取り扱う同一の事業場で、1年間に複数の労働者が同一のがんに罹患したと把握したときに、まず、がんの罹患が業務に起因する可能性について、医師の意見を聞いていただいて、業務に起因すると疑われると判断された場合には、遅滞なく、その方の従事業務の内容等について、所轄の都道府県労働局長に報告していただきます。こちらは令和5年の4月1日施行としております。以上が安衛則の改正内容です。
次に、特化則などの特別則の改正事項について御説明いたします。まず、6番ですが、化学物質管理の水準が一定以上の事業場の個別規制の適用除外です。これは自律的な管理の制度が走りだしても、いわゆる特別則は最低5年間は併存することになりますが、化学物質管理の水準が一定以上であると都道府県労働局長が認定した事業場に関しては、個別規制の適用除外として、リスクアセスメントに基づくいわゆる自律的な管理に委ねることができるようにするものです。
認定の要件は4つあります。①専属の化学物質管理専門家が配置されていること、②過去3年間に特別規則が適用される化学物質による死亡又は休業4日以上の労働災害が発生していないこと、③作業環境測定の結果が全て第一管理区分であること、④特殊健康診断の結果、新たに異常所見があると認められる労働者がいなかったことなどが要件になります。少し説明を飛ばしましたが、労働局長による認定につきましては、事業者からの申請に基づきまして、特化則、有機則、鉛則又は粉じん則の各省令ごとに別々に行い、それぞれの省令ごとに適用除外をするかどうかを決めていくことになります。こちらにつきましては、令和5年の4月1日施行としております。
次に、規制強化の部分ですが、7番の「作業環境測定結果が第三管理区分の事業場に対する措置の強化」です。現在、作業環境測定の結果が第三管理区分に区分された場合には、必要な改善措置を講じて、第一管理区分又は第二管理区分にしなければいけないのですが、改善措置を講じても、なお、第三管理区分で改善できない場合には、改善ができるのかどうか、できる場合にはどのような改善方策があるのかについて、外部の作業環境管理専門家の意見を聴いていただくとしています。作業環境管理専門家の要件を四角囲みに書いていますが、労働衛生コンサルタント、衛生工学衛生管理者など、一定の実務経験を有する方を通達で示すこととしております。専門家の見立てで、作業環境の改善が可能だといった場合には、必要な改善措置を講じて、その効果の評価をしていただきます。これで改善できればいいのですが、例えば専門家の見立てによっても、これ以上の改善は困難だと判断された場合、あるいは改善措置を講じても、なお第三管理区分から改善できない場合につきましては、呼吸用保護具によるばく露防止対策の徹底を図っていただくこととなります。具体的には個人サンプリング法による化学物質の濃度測定を行って、その結果に応じて適切な保護具を選択して使用させること。その保護具が適切に装着されていることをフィットテストで確認をすること。保護具着用管理責任者を選任して、保護具の管理や作業主任者の指導などを行わせることです。作業環境管理専門家の意見の概要や措置と評価の結果につきましては、労働者にも周知をしていただきます。このような措置を講じたときには、遅滞なく、措置の内容について所轄の労働基準監督署にお届けいただきます。
(3)ですが、(2)の措置を講ずる場所で評価結果が改善するまでの間の義務です。評価結果がずっと悪いままの場合には、6月以内ごとに個人サンプリング法による濃度測定で有効な呼吸保護具を使用させる。1年以内ごとにフィットテストを実施するなどを続けていただくということを考えております。これらのフィットテストや濃度測定などのやり方については、大臣告示で示すこととしております。
(4)その他です。①作業環境測定の結果、第三管理区分に区分されて、改善されるまでの間、応急的に呼吸用保護具を使っていただきますが、こういうときも有効な保護具を使っていただきます。②個人サンプリング法による測定の結果、評価の結果、マスクの装着確認の結果は3年間保存、粉じんについては7年間保存をしていただきます。今回の改正に伴い、石綿則と粉じん則についても同様に、作業環境測定の結果等に関する労働者への周知規定を設けたいと思っております。
厚生労働大臣告示で定める予定のものが3つあります。1つ目は個人サンプリング法による濃度の測定方法、2つ目は有効な呼吸用保護具の選択方法、3つ目は呼吸用保護具が適切に装着されていることの確認方法です。こちらは令和6年4月1日の施行を考えております。
最後ですが、8番の「ばく露の程度が低い場合における健康診断の実施頻度の緩和」です。これは規制緩和ですが、有機溶剤、特化物のうち健診などの記録の30年保存が義務付けられている特別管理物質等以外の物質、鉛、四アルキル鉛に関する特殊健診の実施頻度については、作業環境管理やばく露防止対策が適切に実施されている場合に、事業者は、通常6月以内ごとに1回の健診の実施を1年以内ごと1回に緩和できるとするものです。
条件としては3つあります。①直近3回の作業環境測定結果が第一管理区分に区分されたこと、②直近3回の特殊健康診断で何らかの異常所見がないこと、③直近の健康診断実施日から、ばく露の程度に大きな影響を与えるような作業内容の変更がないこと、これらを満たした場合には、頻度が緩和できるということです。条件を満たすかの判断につきましては、事業者が労働者ごとに行う。できれば医師などの助言を踏まえてやることが望ましいとしております。同一の作業場で、同じような作業をする方が複数名いらっしゃる場合には、その全員が同じ要件を満たしている場合に、頻度を見直すことが望ましいとしております。四アルキル鉛につきましては、作業環境測定の義務付けがそもそもありませんので、①の要件を除いて②及び③を充たす場合には適用するとしております。これは令和5年の4月1日施行です。
施行スケジュールとして、それぞれにまとめたものがこちらです。周知期間は1年程度を取るということで、令和5年4月1日、特に準備が必要なものにつきましては、令和6年4月1日施行としております。説明は以上です。御審議をよろしくお願いいたします。
○城内分科会長 本件について質問、意見等のある方は、御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問、意見等のある方は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。出口委員お願いします。
○出口委員 出口です。よろしくお願いいたします。まず資料1-2の2ページの化学物質管理者の選任の義務化についてです。これは「個別の作業現場ごとではなく」という記載があるとおり、建設業の作業現場では個別に置かない。ただ、元請、一次、二次、三次下請けと、それぞれ取り扱っている事業者がおられる場合のみ個別に事業者の、工場、店社、営業所等で選任されればよいという考えでよろしいでしょうか。また、作業現場の事業所で、二次の事業者のみが使用している場合、元請は、選任義務はないと理解してよろしいでしょうか。
2つ目は、ラベル表示の義務、またSDSの交付に関しても、第13次労働災害防止計画の目標数値が80%で現状の進捗が60~70%(2017年)の状況であったと記憶しています。リスクアセスメントを実施していくためには、ラベル表示とSDS交付が不可欠です。またSDSの注意書きには、適切な保護具を使用するなどの記載で済まされているものもあります。まずは、このラベル表示、SDS交付を、やはり実施率の高い数値まで引き上げ、尚且つ保護具の種類、規格等をSDSの記載義務という形で先行させていくべきではないでしょうか。この点については、どうお考えでしょうか。
次に、適切な呼吸用保護具を着用するという点は、ユーザー側がどの規格、どの保護具を使用しなければならないか分からなければ、意図せず規格能力の低いものを使用することによって災害が生じると考えています。SDSを見た事業者が作業員の方々に適切な保護措置を講じられるように、具体的な保護具の内容が記載されるようにしていただきたいとお願いします。
次は、5ページの2-4、化学物質を事業場内で別容器等で保管する際の措置の強化です。この表を見て感じるのですが、作業現場等では、これらの化学物質の保管場所が、事業所や作業現場の中で個別にあります。当然、他の容器に移し替えた日から、その日中に使い切る場合もあれば、半月、一カ月で保管される場合もありますが、それら関しては、伝達義務の対象にならない。、そのことは、今後、通達等、文書で細かいことが明確化されるのでしょうか。
次に、6ページの3-1です。記録についてですが、作業現場のような複数の事業者が作業を行う場合、通知対象物を取扱うリスクアセスメントの対象事業者、協力業者のみが行うものであって、元請け事業者は、これらの措置は不要という理解でよろしいでしょうか。
次に、7ページの3-3、GHS分類で発がん性区分1の物質とは、どのようなものと考えればよろしいでしょうか。そして、9ページの3-4、健康障害を起こすおそれのあることが明らかな物質と、健康障害を起こすおそれがないことが明らかな物質の詳細については、どのようなものと考えればよいでしょうか。
次に、10ページの衛生委員会の付議事項の追加ですが、意見聴取の機会については、実施した証明は、どこまで求められるのでしょうか。衛生委員会の設置義務のない事業場も、意見を聴取する機会を設けるだけで、記録や議事録等の作成までは不要という理解でよろしいでしょうか。
最後に17ページですが、リスクアセスメント結果等に係る記録の作成・保存は、2023年4月施行となっています。これらのラベル表示、SDS交付義務の対象物以外の物質取扱いでは、作成・保存義務等の違反には当たらず、罰則も課せられないという理解でよろしいでしょうか。SDSについても、保護具の種類や、記載の義務化を実施していただいた後、1年から2年後に化学物質管理の強化、保護具着用責任者の選任、義務化を施行していただきたいのです。その点についてはいかがでしょうか。以上、確認と要望について、よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 ありがとうございました。回答は事務局から後でまとめてお願いしたいと思います。続いて、小菅委員お願いします。
○小菅委員 小菅です。聞こえますか。
○城内分科会長 はい、聞こえております。
○小菅委員 私からは3点発言をさせていただきます。まず、2ページの化学物質管理者に関しての確認と意見です。化学物質管理者は、資料にもありますが化学物質の管理に係る業務を適切に実施できる能力を有する者ということです。適切に実施をしていくということでは、やはり社内、事業所内でも一定の権限を持った、例えば部長等の者が対応するべきであると考えておりますが、そのような認識でよいのかという確認です。また、そのような一定の権限を持つ者が化学物質管理者になるということであれば、その旨もしっかりと通達等で示していただきたいというのが意見です。
さらに、化学物質管理者に関して、検討会の報告書では安全衛生法の第19条の能力向上教育の対象に追加するとなっています。今回はそのことについて触れられていませんが、同様の認識でよいのでしょうか。化学物質の管理者も継続的に能力向上が必要だと思いますから、是非、そのことを明記していただきたいということです。さらに、選任要件についてリスクアセスメント対象物質を製造する事業場とそれ以外の事業場で要件が異なる中で、専門的講習の修了者と、、そうではない者について区別するなどして、混乱がないようにしていただきたいという意見です。
2つ目は、3ページの保護具着用管理責任者の選任要件についてです。保護具の着用管理責任者は作業主任者のようなイメージでしたが、講習等の要件がない中で、保護具についての一定の経験や知識を有することをどのように担保されるのかということです。説明にありましたが、13ページの下に、衛生管理者等の一定の経験知識を有する者である旨を通達で示すという記載もありますが、今回、規模や業種を問わず、化学物質を扱う事業場が対象になる中で、当然50人未満の事業所も対象になってくるわけです。そこでは衛生管理者が選任されていなかったり、10人未満であれば衛生推進者すらいないような状況だと思いますが、そのような中で、この一定の知識・経験を持っている者をどのように担保して実効性を持たせていくのか確認をしたいと思います。
また、これは意見ですが、13ページの作業環境測定の評価結果が第三区分の事業場に関する措置の強化に関しては保護具着用管理責任者が、作業主任者等の職務に対して指導をする役割が書かれております。適切な指導をするために、事業場で名前だけを登録するような、名ばかりの責任者にならないように、一定の知識と経験がある者、かつ、しっかりと指導ができる立場の人を選任する必要があるということが、きちんと現場に伝わるようにしていただきたいと思います。仮に、中小の事業場で、そのような担当者がいないケースがある場合には、研修等を受講するなどして知識や経験を積んでいただくことが大前提で、自律的管理においては、化学物質管理者や保護具着用管理責任者の質をきちんと確保していくことが重要だと考えております。
最後に、10ページの衛生委員会付議事項の追加の部分に関してです。50人未満の事業場においても、安衛則の第23条2に基づいて意見聴取の機会を設けなければならないということですが、この50人未満の事業所において聴取する機会を設けるというのが、具体的に、どこに明記されていくのかというのが確認です。併せて、50人未満の事業所は多くあるわけですが、中小企業においても化学物質の自律的な管理の実施状況を共有することは大変重要ですので、今後この内容の実効性をどのように担保していくのか御説明を頂きたいと思います。
これは意見ですが、50人未満の事業所には産業医がいない事業所も当然あります。化学物質の知識が十分でない事業所において、意見聴取が十分なものとなるように、事業者と関係労働者、両方を対象にした化学物質についての知識習得のための講習受講の機会等も必要だと考えますので、しっかりと行っていただきたいと考えております。以上です。
○城内分科会長 どうもありがとうございました。続いて増田委員、お願いします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。2点質問と確認をさせていただければと思います。スライドの8枚目、(4)の健康診断の実施のタイミングとして、速やかにとなっているのですが、健康障害の種類によっては遅発的な健康障害などもあろうかと思いますので、必ずしも速やかに実施すれば健康障害が拾えるものではなかったりするのではないかと思います。健康診断の実施のタイミングについては、医師の意見等に基づいて事業者が決定するという要領がよいのではないかと思いますが、その点を確認させていただければと思います。
もう一点は、スライドの15枚目の健康診断の実施頻度の緩和の所で、「区分1」の場合の②として、「当該労働者に新たな異常所見がないこと」と記載がありますが、異常所見はどこまで含まれるのか。例えば、検査数値、基準値が設定されていない検査項目を採用した場合には、どのように考えたらいいか。一般の特殊健康診断の管理区分のA、B、C、R、Tで考えるのであれば、Cでなければよいのか、Bも含まれてしまうのかといったところを確認させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて中村委員、お願いいたします。
○中村(節)委員 要望と意見を発言いたします。まず今回の改正内容についてですが、多くの事業所が対象となり、内容も多岐にわたります。業界団体などの協力も仰ぎながら広く周知を徹底するとともに、「具体的に何をしなければならないのか」を分かりやすく丁寧に御説明いただきますようお願いいたします。また、こうした改正への対応は、マンパワーが不足する中小企業にとっては大変大きな負担となります。改正に伴う相談体制の充実や専門家による個別指導など、従来以上にきめ細やかなサポートに取り組んでいただきますようお願いいたします。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。続いて山口委員、お願いいたします。
○山口分科会長代理 まずコメントから申し上げたいのですが、化学物質の影響は大雑把に言ってしまえば急性影響と、遅発性の、がんのような影響があると思います。急性影響は、ばく露から影響が出るまでの時間も短いですし捕えやすいので、研究もたくさんあって、これまでのいろいろな取組で非常に成果も上げてきてということで、今回の中でのいろいろな変更が、ある程度理解できるかなと思うのです。一方の遅発性は、がんをはじめとする遅発性の影響については、正直言って余りにもバランスが悪いなと。ちょこちょこと触れられておりますが、それは、もしかしたら知見の集積も十分ではなく、頻度も希であって、把握も困難であってというようなことが、もしかしたら背景にあるのかもしれません。頻度は急性影響のほうが多いですが、一旦起きたときは、遅発性のもののほうが大きいと思うのです。そのようなことから考えますと、分からない部分について急性影響と同じようにとは申し上げませんが、少しバランスが悪いなというのが正直な印象です。
質問としては、先ほどから上がっている10ページの下に5番として、がん等の遅発性の疾患についてという記載があります。これは、2名以上のがんが発生したというのは、直近のいろいろな胆管がんなどの経験に基づいて、このようなことが言われていて、アラームとして私は非常に貴重だと思うのです。複数のがんが同一事業場で起こったりすれば、それに敏感に反応するのは非常に大事なことであると思うのですが、そこに着目して本当にそれがどのようなことを意味しているのかということを理解して、それをアラームとして捉えるのは、「医師の意見を聴き」とありますが、医師であったら誰でもそんなことができるのかと言ったら、そういうことはないです。ですから、医師の意見を聴きうんぬんの所で、せっかく出てきたアラームが十分に取り上げられずに、かき消されてしまっていくのではないのかなということを大変危惧するところです。
やはり王道は、前にも発言しましたが、こういう単発の異常な現象に頼ることなく、疫学的なサーベイランスの手法で多発が起きているかどうかをきちんとモニターしていくというのが王道だと思います。そのようなことについても何回も申し上げていますが、厚生労働省として是非とも今後取り組んでいただきたいと思います。この「医師の意見を聴き」という所は、少し考える必要があるのではないかと思うので、その辺りについても御意見を頂けたらと思います。以上です。
○城内分科会長 続いて熊﨑委員、お願いいたします。
○熊﨑委員 熊﨑ですが、聞こえますか。
○城内分科会長 はい、聞こえております。
○熊﨑委員 御説明ありがとうございました。コメントと質問をさせていただきます。物質の危険性を理解した上で取り扱うためにリスクアセスメントを実施することは非常に重要と考えます。質問は、どのレベルのリスクアセスメントを実施すべきかということです。コントロールバンディングは規定なのでしょうか。安全工学の観点からいいますと、リスクの大きさによってその対応は違って然るべきで、研究所や大学など、膨大な種類の化学物質を非常に少ない量扱っているような開発現場と、少ない種類の化学物質をそれぞれ大量に扱う製造現場で、同じアセスメントで同じ手法でいいのか、と懸念しております。リスクアセスメント手法の多様性といったものが認められるのかどうか。例えばコントロールバンディングをする前に、量によるスクリーニングを挟むといった手法が許容され得るのかという点についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 続いて鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 今般の省令改正案は、規制対象外の化学物質を原因とする労働災害が多く発生している状況に鑑みて必要な見直しだと考えております。とは言え、先ほど課長から御説明がありましたとおり、全てのGHS分類済み危険・有害物質に対してリスクアセスメントを実施し、その結果に基づきばく露防止措置を選択・実施することや、衛生委員会の付議事項が追加され、化学物質の自律的な管理の実施状況を調査審議する義務が生じること、あるいは新たな選任義務や各種記録の保存義務が課されることなど、大企業も含めて実務上大きな負担が生じるものだと思っております。
検討会の報告書においては、5年後をめどに自律的な管理への移行を目指すこととされていたかと思います。しかしながら、環境が整わないまま完全移行することは、現場の混乱を来し、かえって労災防止の取組を後退させてしまうのではないかと懸念をもっているところです。中小企業も含めて自律的な管理を定着させ、新しい規制に完全移行するためには、先ほど、中村(節)委員からご発言がありましたように、国や関係団体による相談対応、あるいは研修の実施も含めた十分な支援を頂くとともに、ベンチマークを設けて計画的にクリアしていくことが不可欠だと考えております。
具体的なイメージを申し上げますと、第一に、ラベル表示、SDS交付、リスクアセスメント等の実施率が少なくとも8割以上に達すること。第二に、新たな措置の実施状況を定期的、かつ産業別、企業規模別など、詳細に把握をしていただき、やはり履行率が8割以上に達すること。とりわけ、化学物質管理者等については、適切に選任されていることなどが前提になると考えております。達成に向けた取組が遅れているベンチマーク、あるいは業界などがあれば、予算や支援策を強化し、PDCAを着実に回す体制を早急に整えていただきますようお願い申し上げます。そうした体制の下で、経済界としても新たな規制の周知活動などに全力を尽してまいる所存です。
自律的管理に向けて特に重要だと思うのは、危険性・有害性に関する情報伝達の要となるSDSです。SDSの通知事項が最新の状態で、サプライチェーンの下流まで正しく伝わることで、実効性のあるリスクアセスメントの実施につながり、ベンチマークの達成にも近づくと考えています。このような観点から、SDSに関する共通データベースの構築について申し上げたいと思います。
今回、規制緩和の措置として、相手方の事前の承諾を得ずに電磁的な方法による通知が可能となります。これに併せて、各企業が作成・管理するSDSを網羅する共通データベースを厚生労働省等が構築し、データが随時アップデートされる仕組みになれば、化学物質を取り扱う事業者が最新のSDSの通知内容を容易に確認でき、適切なリスクアセスメントの実施につながると考えております。是非御検討いただければと思います。私からは以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。そのほかに御発言はありますか。
それでは、ここまでのところで事務局から回答をお願いいたします。
○木口化学物質対策課長 御質問等ありがとうございました。それでは、出口委員の御質問から順番に回答いたします。元請から、一次下請、二次下請と、それぞれで化学物質を扱うといった話がありましたが、化学物質管理者については実際に化学物質を扱う会社で選任を頂くことを考えております。ですから、二次下請だけが化学物質を使って元請は使わないということであれば、実際に使う二次下請の店社で選任を頂ければと思っております。
2番目の御質問ですが、リスクアセスメントをするためにはSDSが不可欠であるという指摘は、ごもっともです。保護具の種類などについても、SDSにきちんと書いてあれば、それを見れば現場で対応ができることも御指摘がありました。現在、製品のメーカーに対して、保護具の種類などについても書き込んでいただくように要請をしておりますし、特に建設業やサービス業など、ある程度作業の内容が決まっているようなものについては、包括的にリスクアセスメントを行って、標準的なばく露防止対策をガイドラインのような形で示していくことも考えております。その中にも、こういった作業ではこういった保護具が必要だということを書いて、そのことをSDSにも書き込んでいただくようなことも今後要請をしていきたいと思っておりますので、そういった形で、SDSを見れば対策が分かるような環境整備を進めてまいりたいと思っております。
それから小分けして保管するときの話ですが、小分けしたものに情報を書いていただきたいというのは、小分けした事実を全然知らない方が誤って化学物質を使って災害になるということを防止するものです。1日で使い切ってしまう場合は、その方は分かっているのですが、例えば半月とか、1か月間保管して、作業者がいろいろ入れ替わる場合には、やはり何らかの形で分かるようにしていただければと思っております。ただ、ラベルをいちいち書くというのではなくて、例えば赤いテープや黄色いテープで色分けをして、このテープが付いているのはこういうものだからといった伝達の方法もあろうかと思いますので、現場の実態など、お話を伺わせていただきながら、具体的にこういう手法があるということを通達やガイドラインでお示しできればと思っております。
それから、記録の作成についてです。リスクアセスメントの対応の記録についても、実際に化学物質を扱った事業場でやることです。元請が実際にその作業を行っていない場合には、元請の対応は不要です。それから発がん性1の物質については、今の特化則の特別管理物質に該当するような物質などがあります。これも、こういった物質が対象なのだということが分かりやすいように示してまいりたいと思っております。
皮膚障害については、刺激性などは、GHSの表示で、皮膚刺激性で区分1の表示があるものは、明らかなものに該当します。それがないものは、GHS分類の結果、区分に該当しないという判断がされたものは刺激性がないということになるかと思います。いずれにしても、SDSのこういう所を見て判断してくださいということを通達やガイドラインなどでお示ししたいと思っております。それから、衛生委員会の記録をどこまでの細かさで書くかということについても、通知などで示してまいりたいと思っております。
次に、小菅委員からの御質問ですが、化学物質管理者の要件について、一定の権限を持つ方がやるべきではないかという御指摘がありました。化学物質管理者の職務として6点ほど書いておりますが、それをなし得る方でなければならないというのは言うまでもないことですので、その辺りは通達などで書いていきたいと思っております。能力向上教育については、今後、化学物質のいろいろな知見などが出てきますと、更なる教育を受けることも必要になってくると思いますので、追って対応していきたいと思っております。
製造事業場と取扱いの事業場で管理者の要件が異なるので混乱しないようにということですが、これも通知などできちんと分かりやすく書いてまいりたいと思っております。保護具の責任者について、経験などをどう担保するかという御指摘がありました。講習の受講などを一律に決めるということはいたしませんが、保護具責任者として必要な知識についても、ガイドライン等の形で情報を発信していきたいと思いますし、相談窓口などでも相談などに対応できるようにしたいと思っております。50人未満の所は衛生管理者がいないので適任者がいないのではないかという御指摘もありました。こういった中小企業については、外部の相談窓口などでも対応できるように環境整備をしたいと思っております。
衛生委員会の付議事項に関してですが、50人未満の事業場については安衛則第23条に基づいて、意見聴取をしていただくということです。こちらも今回の改正の趣旨について、通知等で分かるように対応していきたいと思っております。
○髙倉労働衛生課長 労働衛生課です。増田委員から御指摘のあった点についてお答えいたします。まず8ページのリスクアセスメントに基づいて行う健康診断の実施と記録作成等についてです。ばく露管理値を超えたばく露が起きたときの、医師等による健康診断は「速やかに」でよいのかという御指摘だったかと思います。この点に関しては、ばく露管理値を超えたばく露という、緊急的な状態ですので、やはり速やかに医師等による健康診断の実施が必要だと考えております。そのときに、何をどこまで確認するかというのは、その物質や、ばく露の状況等を踏まえた上での医師等の判断になると思いますし、それが遅発性の健康障害を生じるようなものであれば、そのときの医師が確認した内容によってその後の健康障害の発生の可能性について、その後の健診などでフォローしていくという判断をすることが必要になってくると考えております。そのような観点での「速やかに」ということだと理解していただきたいと思います。
次に、15ページの特殊健診の実施頻度の緩和の区分1の要件②です。直近の健康診断において、当該労働者に異常所見がないことの「異常所見」というのは、どのように異常所見と判断するのかという御指摘についてです。これについては、対象物質による異常所見という意味ですので、対象物質ごとに判断していくことになります。ですので、従来言われております管理区分のA、B、CやT、Rなどの判断で申し上げますと、それ以外の要因による異常であれば該当しないことになりますし、その物質による異常所見かどうかを判断した上で、この要件を満たすかどうかを決定していただくことになるということです。
○木口化学物質対策課長 続いて、中村委員からの御指摘についてです。今回の改正は、中村委員が御指摘のとおり、大変多くの業種、多くの事業場が対象になり、これまで化学物質を意識していないような所も対象になります。周知については、リーフレットを作成するとか、セミナーをやるのはもちろんなのですが、いろいろなチャネルからアプローチをしていきたいと思っております。主要な団体には行政からも直接、周知の呼び掛けをいたしますし、いろいろな団体で行われるセミナーに無料で講師派遣をするといったようなこともやっていきたいと思っております。もし、こういったルートなら、より中小企業に情報が伝わるというようなことがありましたら、御教示いただけましたら、そういったルートも含めて周知活動をやってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それから山口委員からの御指摘で、急性症状に対して遅発性の部分が少ないのではないかという御指摘がありました。これについては、「がん等の把握」の部分なのですが、がん等を把握して、その事業場だけで終わらせるのではなくて、こういった状況があったら同じような化学物質を扱っている他の事業場にも、同じような健康障害などが出ていないか等について、労働安全衛生総合研究所などとも連携をとって、より幅の広い調査をしてまいりたいと思っております。そういった調査のきっかけをつかむため、「がん等の把握」をするものです。医師の判断についても、業務上の疑いがあるという確実なエビデンスを求めるものではなく、ちょっと怪しいのではないかという程度でも構いませんので、労働局に投げていただきたいということですので、そういった趣旨が明確になるように、通知などで示してまいりたいと思っております。
それから熊﨑委員からは、リスクアセスメントを、どのようなレベルを求めるのかという話がありました。リスクアセスメントについては、コントロールバンディングや、今はCREATE-SIMPLEのような推計法などもありますが、化学物質を扱う状況も大きく違いますので、それぞれの使い方に適した手法をとっていただければと思っております。特に、調査研究のような、多品種を少しずつ扱うような場合のリスクアセスメントについては、こういった手法でリスクアセスメントを頂きたいということをガイドラインのような形でお示しできればと思っております。教育現場などは大体そのようなパターンになるのではないかと思いますので、こちらについても関係の方々のお知恵を拝借しながらやってまいりたいと思っております。
それから鈴木委員からの御指摘は、今後5年をめどで自律的な管理を定着させるとしておりますが、そこの環境が十分整わないままでは、かえって混乱を招くという御指摘は、ごもっともだと思っております。そのため、5年後を目指して、人材の育成や各種支援策などの充実を図ってまいりたいと思います。定着状況についても委員御指摘のとおり、どこの部分が遅れていて特に力を入れて支援していかなければいけないかを十分に見極めた上で、戦略的に環境の整備をしてまいりたいと思っております。特にSDSの交付は、一番基本になる部分ですので、SDSを作る事業場に対しても、まずSDSの交付をしてくださいという働き掛けや指導を行うことと、併せてSDSの交付ができない場合には何がネックになっているかをお伺いしながら、ネックになっている部分を解消するような支援策も含めて考えてまいりたいと思っております。
それから、SDSの共通データベースの提案を頂きました。これについては業界団体の御意見も伺いながらになるかと思いますが、今後の課題ということで検討させていただきたいと思っております。御提案をありがとうございました。以上です。
○城内分科会長 どうもありがとうございました。ほかに何か御発言はありますか。ないようですので、それでは労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
                               (異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いします。
次に、議題(2)「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について」に関して、事務局から説明をお願いします。
○髙倉労働衛生課長 それでは、議題(2)について労働衛生課から御説明いたします。資料2-1が、労働安全衛生規則の一部を改正する省令案の要綱で、2-2が、その概要となっておりますので、資料2-2を用いて御説明いたします。
1.改正の趣旨です。労働安全衛生法第66条第3項において、事業者は、有害な業務に従事する労働者に対し、歯科医師による健康診断(以下「歯科健康診断」という)を行わなければならないとしております。この有害な業務というのは、※にありますように、労働安全衛生法施行令で規定されており、「塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りん、その他歯又はその支持組織に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務」という規定があります。この歯科健診については、事業場の規模によらずに義務付けられているものです。
2つ目のポツとして、その報告に関して、安衛則第52条の規定により、常時50人以上の労働者を使用する事業者は、歯科健康診断を行った場合に、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を労働基準監督署長に提出しなければならないという規定になっております。と申しますのも、この定期健康診断結果報告書には歯科健康診断の欄がある様式になっておりますので、この提出の義務に関しても50人以上の事業場にかかるものとなっております。
3つ目のポツとして、このように事業場の規模によらず義務化されております歯科健康診断ですが、この実施状況については、令和元年度に一部地域で自主点検を行いましたところ、常時使用する労働者が50人未満の事業場において、非常に歯科健診の実施率が低いことが判明いたしました。これについては参考資料1-1にありますが、全体的に実施率が低く、特に、50人未満の事業場においては22.5%という非常に低い値であったことが判明したわけです。
4つ目のポツとして、同じように、有害業務に従事する労働者に対する健康診断としては、特化則あるいは有機則等のいわゆる特別則における特殊健診というのは、事業場の人数規模にかかわらず、実施が義務付けられており、その報告も指定の様式があり、その報告義務も課されている状況にあります。
5つ目のポツとして、この歯科健診は、その他の特殊健診と同様に実施の義務がかかっておりますので、この報告の義務についても、歯科健診の実施状況を今後正確に把握し、その実施率の向上を図る必要があるため、事業場の人数にかかわらず、実施のみならず報告に関しても義務付けを行うこととし、安衛則第52条等について所要の改正を行うものです。
次のページです。2.改正の内容は、今の御説明と重なりますが、歯科健診を実施する義務のある事業者については、使用する労働者の人数にかかわらず、歯科健診を行った場合には、遅滞なく、歯科健康診断結果報告書を所轄の労働基準監督署長に提出することとするものです。加えて、この報告の様式を変更することが2つ目のポツです。現行の定期健診結果報告書の中には歯科健診の記載欄がありますが、こちらは削除いたします。そして新たに、歯科健診に係る報告書として、新たな様式を作成し、これが有害な業務に係る歯科健診の結果報告書という形とすることにいたします。
報告事項については、この法定の歯科健診の対象となった労働者が従事する有害な業務の内容を把握するために、この業務の内容の記載欄を追加したものです。施行時期は、令和4年10月1日を予定しております。この改正案の概要については以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について御質問、御意見等のある方は、御発言のある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 労働側の門﨑です。御説明ありがとうございました。諮問内容に異論はありませんが、お願いということで申し上げます。参考資料1-1の右下のグラフを見ますと、義務付けられているはずの歯科健診の実施状況が、全体で31.5%という低いものとなっております。原因究明や制度の周知等を行っていただき、歯科健診を必要な労働者が確実に受診できるようにお願いしたいと思います。
また、議題(1)でできた今後の化学物質の技術的管理について同様のことが言えるのかなと思います。そもそも、自分たちが化学物質を扱っている認識のない事業所に対しては、実は自分たちが化学物質を扱っている事業所なのだということに気付いてもらうことがまずは必要なので、必ず周知についてはあらゆる機会を捉えて広くお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。
○城内分科会長 ほかに御発言はありますでしょうか。山口委員、お願いいたします。
○山口分科会長代理 今回の改正については特に異論はございません。賛成です。実施率が低いことについて、やはり、歯科医師がそれを実施しなくてはいけないということが、恐らく、ある部分でネックになっているのではないかと思います。その辺は実態をもう少しきちんと調べないと余り無責任なことは言えませんが、ただ、いずれにしても、技術革新といいますか、例えば、胸部X線は放射線技師がX線撮影をたくさんして、最終的な読影はドクターがやるということで、非常に効率的に実施できるようになっているわけです。
それと同じように、歯の状況を歯科医師でなく、最新の技術で画像か何かで撮り、それを歯科医師が判定読影をするみたいな、今はそのような技術はないと思うので、今後のことになると思いますが、長い目で見るとそのような技術的な解決法も考えたほうがよいのではないかという気がいたします。例えば、厚生労働科学研究費等、その辺の検討もお進めになるとよろしいのではないかという気がしており、発言いたしました。以上です。
○城内分科会長 続いて及川委員、お願いいたします。
○及川委員 資料2-1の4ページで、1点だけ確認というか教えていただきたいのですが、最後の第二の施行期日等の中の二に、「この省令の施行に関し必要な経過措置を設けることとすること」というのは、施行は10月1日から施行することだと思いますが、ほかに何か必要な措置があったかどうか分からないのですが、教えていただければ幸いです。以上です。
○城内分科会長 そのほかに御意見等はありますでしょうか。
それでは、ここまでの御発言に対して、事務局からお願いいたします。
○髙倉労働衛生課長 ありがとうございます。門﨑委員からの御指摘ですが、実施率が非常に低い状況で、まだ周知が足りないのではないかということですが、正しくおっしゃるとおりだと考えております。先ほど、御説明のありました参考資料1-1の自主点検の結果が出たとき、このことを踏まえて、令和2年から周知は開始しており、今回、参考資料1-2を用いた周知を行っているところです。
しかしながら、今後、この改正の周知等も含め、新たに機会を設けたいといいますか、様々なルートを使い周知活動を行っていきたいと考えております。歯科医師会を含めた歯科医療に関わる方との御協力、連携等も図りながら、この歯科健診の実施が可能になるようにということで周知に努めてまいりたいと考えております。
そして、山口委員から御指摘がありましたが、今後の技術や研究に関してです。こちらに関しても、厚生労働科学研究で、この歯科健診の実施の実態、実際の有所見率や業種、業態等に関しては、この研究を実施し、様々な情報を得たいと考えております。その状況あるいは現在の歯科の技術等に関しては、将来的には様々な健診のやり方といったものに関しても検討の余地は出てくるであろうと考えておりますので、まずは、この周知で実施率を高める努力を図りながら、研究のほうで実態を正確に把握し、次の課題解決につなげていくことを進めてまいりたいと考えております。
及川委員から御指摘がありましたが、要綱にあります経過措置ですが、これは主に報告様式の変更に関わるもので、現行の様式で有害業務の歯科健診を実施したものが報告されるという、そのような50人以上の事業場等もあると思いますので、一定の期間、旧報告様式によるものも認めるという、そのような経過措置を考えております。以上です。
○城内分科会長 どうもありがとうございました。ほかに何か御発言はありますでしょうか。御発言がないようですので、それでは、労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
                                 (異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いします。
次に、議題(3)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令について」に関して、事務局から説明をお願いします。
○小宅計画課長 計画課長の小宅です。私から御説明いたします。個人事業者の方の保護規定の在り方については、これまで御議論いただき、前回、1月31日の会で諮問し、答申いただいたところです。それに基づいて具体的な省令作成作業をしておりましたところ、全体を見ていく中で一部に漏れといいますか、並びとして同様にしなければいけなかったのではないかという部分が数点ありましたので、改めて、漏れと思われるところを整理して、本日、御説明いたします。
まず、作業方針の振り返りですが、大きく4つの類型で考えておりました。設備を稼働させるといったものについては、その稼働について配慮をしていただく。それから、法令で作業方法が決まっているものについては、そのような作業方法を取らないと安全性が保てないということについて周知していただくというもの。3つ目は、立入禁止、退避については、労働者と同様に対応していただく。4つ目の類型として、危険有害性の掲示についても、個人事業者の方にも見やすいように掲示していただくという、大きく4つの方向性でやっていくということであったかと思います。
そういった観点で確認しましたところ、まず、1つ目の安全衛生規則で廃棄物の焼却炉の設備の解体作業を行うときに労働者が従事する場合には、設備の内部に付着したダイオキシン類を含むものを除去した後に行うという規定がありますので、これは請負人の方に一部請負っていただく場合にも、同様の作業方法を取っていただく必要がありますので、周知に追加したいということです。
2つ目の有機則は、タンク内部で有機溶剤業務に係る発散源密閉設備等の設置が原則必要なところに、それを必要としないという例外規定があります。送気マスクを備えるというようなことが要件となりますが、そういった作業の一部を請負人に請負わせるときには、同様に送気マスクを使う必要があるということについての周知を、この特例要件の1つとして加えるというものです。
3つ目は、四アルキル鉛中毒予防規則ですが、1ポツ目は、法定の作業方法についての周知です。ドラム缶等についての容器を堅固で四アルキル鉛が漏れるおそれのないものを使用することが法令上で定まっておりますので、請負人にやっていただくときにも、そういったことが必要だということを周知していただく。
2ポツ目は、この作業に係るタンク内での業務で、設備の操作を行っていただくと、開口部の開放等の一定の作業をすることが必要になってくるわけですが、請負人にやっていただくときにも、そういったことが必要だということを周知するということを、前回、御説明したところです。具体的に、その開口部の開放という設備の操作が必要になってきますので、配慮規定に変更する必要があるのではないかということです。それから、同じポツの後半部分ですが、「同項第6号及び第8号に関する規定」について配慮規定を追加すると。こちらも換気や異常事態の把握のための措置といったことですので、配慮規定にする必要があるのではないかというものです。
4番の特化則です。1ポツ目は、設備の稼働に係る措置ですので、配慮規定に追加したいというものです。第22条の第1項は、特化物を製造、取扱い、貯蔵等をする設備であり、特化物が滞留する可能性のあるような設備です。そういったものを分解する作業の際に、一定の設備操作が必要になってきますので、設備の操作ということで配慮規定の対象にしたいということです。また、1ポツ目の2行目に第22条の2第1項第3号とありますが、これも特化物の製造等を行う施設についての設備の操作の関係ですので、配慮規定に追加したいというものです。
1ポツ目の3行目後半にある第38条の13第3項第1号について、発散源密閉設備等を基本的に必要とするような作業についても、一定の条件が整っている場合には、それを要しないということが書かれております。その作業の一部を個人事業者に請負わせるときにも、同様の特例措置を講じていただく必要がありますので、そういった設備を稼働させることについての配慮規定を追加して、そういったことがとられていれば特例措置の対象とするというものです。
2ポツ目は、法定の作業方法であるため周知規定にするというものです。これはPCBを容器に入れ、又は容器から取り出すときに用いる器具についてです。器具についてですので、配慮と書いていたわけですが、吟味いたしますと、法定の作業方法についての規定であろうということで周知にしたいということです。
3ポツ目は、これはいずれも法定の作業方法についての規定ですので周知にしております。第12条は、アルキル水銀化合物を含有する残さい物の取扱いについては、除毒した後でなければ廃棄してはならないこと、第12条の2は、特定化学物質により汚染されたぼろ等については厳重に、ふた又は栓をした不浸透性の容器に収めておく等の措置が必要だということです。第20条においては、特定化学設備等について漏えい防止のための規程を定める必要があり、第22条第1項第7号及び第8号は、設備を分解する作業等について設備の内部の確認及び閉止版を取り外す場合の措置が法令で定まっておりますので、こういったことを守っていただくということです。第22条第2項については、確認が行われていない設備の内部に頭を入れてはならないといったこと等の周知です。また、第38条の10は、滅菌作業をするときの手順で、第38条の13は、発散源密閉設備等の設置を要しない特例的な条件について、一人親方や個人事業主の方が従事するときも、同様の条件を満たしたときに特例措置になるということの周知をきちんとしておくこと。第38条の20は、リフラクトリーセラミックファイバー等を製造又は取り扱う作業について、作業場所を隔離しておくことについての必要性の周知です。
4ポツ目は、前回は周知の対象として整理しておりましたが、吟味しますと、作業計画と考えられるものでした。具体的にどういった作業をしていただくかというのを労働者の方に周知する趣旨ですが、一人親方や個人事業者の方に請負わせる場合には、作業方法は当該個人事業者の方が決定するということで、これまでの審議会での議論の結果、作業計画の周知は必要がないという整理になったところです。その上で、整理し直し、作業計画と捉えて周知対象としないこととしたいと思います。
5ポツ目の第38条の15は、ニトログリコール又は薬が付着した器具の保管容器に関する措置で、第38条の19は、一・三-プロパンスルトン等を製造し、又は取り扱う作業に関する容器、保管等に関する規定です。これは保管場所を特定の所に決めておく等のことで、これは事業者が決定するべき内容であったということです。以前は作業方法に係るものという整理をしておりましたが、周知対象から除外するということです。
次に、5番の高圧則です。第18条第2項、及び第41条についても、一定の労働者についての就業制限です。いわば、法定の作業方法に関することですので、周知対象として追加するということです。
6番の酸欠則です。第13条は、酸素欠乏危険作業における作業の監視人の配置等の措置であり、第25条の2は、設備を分解する作業等について、設備の操作等に係る措置です。設備稼働に係る事項ということで配慮規定とするということです。
7番の粉じん則ですが、今は掲示規定がありませんが、これは並びで入れるべきであったということです。以上、前回諮問したものについて、漏れがあったということです。非常に申し訳ありませんが、こういったことを対応するということでお願いできればと思います。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について、御質問、御意見等のある方は、御発言のある旨、チャットに書き込みをお願いします。御発言はありませんでしょうか。勝野委員、お願いいたします。
○勝野委員 今回、追加として出されたものについては、全体として必要な改正事項であると考えております。7番の粉じん則ですが、今回、掲示規定を追加と示されております。現場で働く者を守るという観点からは非常に重要なことで、しっかりと実施していただきたいと思っております。その際に、掲示規定の内容についてですが、掲示を見て、全ての従事者がどのような危険のある現場かということをしっかり理解できるような掲示内容にしていただきたいと改めて要望したいと思います。よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 そのほかに御発言はありますでしょうか。今の御発言に対して事務局から、何かありますか。
○小宅計画課長 ただいま御指摘のありました点を踏まえて、通達等でお示ししていきたいと思います。以上です。
○城内分科会長 そのほかに御発言はありますでしょうか。それでは、追加でもありますし、事務局から説明いただいた方針で進めていただくことにしたいと思います。どうもありがとうございました。
次に、議題(4)「石綿障害予防規則第三条第四項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者の改正について」に関して、事務局から説明をお願いします。
○木口化学物質対策課長 「石綿障害予防規則第三条第四項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者の改正概要」です。12月13日の分科会で石綿則の改正の御審議を頂きました。船舶の解体又は改修の作業を行う際の石綿の有無の事前調査を、一定の資格者に行わせる事前調査の対象に加えるという改正を行いました。これに伴い、船舶の事前調査を適切に実施するために、必要な知識を有する者の要件を定めることが、今回の告示の内容です。まず、(1)船舶の解体・改修工事における石綿含有の有無の事前調査を行う者の要件は、「船舶石綿含有資材調査者講習」を受講し、修了試験に合格した者、又はこれと同等以上の知識を有すると認められる者とするとしております。建築物におきましては、「建築物石綿含有建材調査者講習」を既にやっているのですが、船舶は構造が違いますので、別途、講習のカリキュラムを決めるということです。この講習は、学科講習で行うこととし、カリキュラムはここに示しております7時間の講習としております。
この受講資格ですが、船舶の事前調査ですので、船舶に関する知識・経験を有する者です。ただ、建築物の石綿含有建材調査に関する一定の知識・経験を有する方も十分勉強しているので、受講の対象といたします。それから、船舶又は石綿飛散防止等に対する一定の行政経験を有する者など、具体的には、①~⑰までの方々を受講資格があるとしたいと思っております。
次に、講師の要件ですが、船舶石綿含有資材調査者、建築物石綿含有建材調査者、それから学校教育法に基づく大学等において、造船工学、医学、化学、その他の学科講習に関する科目を担当する教授若しくは准教授の職にある方、若しくはその職にあった方、あるいはそういった科目の研究で博士の学位を授与された方などを講師の要件としております。
受講資格の免除ですが、3点挙げております。1つはインベントリ作成専門家ですが、これは、船舶のリサイクルの関係で、シップリサイクル法に基づく有害物質の確認証書を作成する方がいるのですが、この証書の作成専門家、建築物石綿含有建材調査者、石綿作業主任者、のそれぞれについて、既に学習している科目については免除をするとしております。その他の細かい事項は、厚生労働省労働基準局長が定めることとするとしております。
施行期日は、事前調査の資格者については、令和5年10月1日からの施行となっておりますので、4月下旬に告示をして、施行は建築物などとも合わせて、令和5年10月1日としたいと思っております。説明は以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について質問、意見等のある方は御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いします。御発言はありませんでしょうか。
ありがとうございます。それでは、次に議題(5)に移りたいと思います。「その他」に関して事務局から説明をお願いいたします。
○小宅計画課長 続きまして、計画課長ですが、私から御説明させていただきます。資料は特にございませんが、これまで個人事業者の保護規定について御議論いただいてきた中で、様々な論点が出されました。その中で、今回は判決を踏まえて速やかに対応する必要があることについて、まず議論をすることにいたしまして、その他、様々な御提起のありました論点につきましては、別の検討の場を設けて議論してはどうかということになっておりました。例えば、今回の判決ですと、ものの危険性や、場所の危険性に関する規定については、労働者以外の方も対象になり得るとの御議論がありました。そういったものに関連する規定にぶら下がっている省令について、どうあるべきなのか。
それから、今回は労働者の方と個人事業者の方が、いわば併存というか、並行して作業を行う場合、作業の一部を請け負わせている場合という前提で御議論いただきましたが、そうではなくて、全て請負に出ているというのであれば、労働安全衛生法でいうところの事業者は存在せず、注文者といった立場の方しかいないといった場合に、どうあるべきなのかという論点の御提起がありました。それから、労働者の方については、一定の規定につきましては、遵守義務というのが課されておりますけれども、今回、個人事業者の方に対しては一定の保護措置が講じられ、例えば周知や配慮がなされる等の関係で、個人事業者の方については労働者と同様に遵守規定が必要なのかどうかという論点の御提起、それから、個人事業者としてどう措置すべきか、どう対応すべきかという観点も必要ではないかというような御提案がございました。また、リスクアセスメントなどを基本とする自主的な管理となった場合に、労働者以外の方について、アセスメントなどが適切に行われるのかといったことを今後議論すべきではないかとなっておりました。
今回、省令について御議論いただきまして、一定の方向性が取りまとまりましたので、別の場を設けて検討してはどうかということでしたので、今後、学識経験者の方や、労使団体の方、それから個人事業者の多い建設や陸上貨物運送、あるいはIT関係の分野などの実務に詳しい方に御参画いただく検討会を開いて検討を進めていこうかと思っております。現時点では、まだ準備中ですが、そういった方向で、これまでの御議論を踏まえて、次の議論としていきたいと思っておりますので、御報告でございます。以上です。
○城内分科会長 ありがとうございました。本件について御質問のある方は、御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いします。御発言はありませんでしょうか。ありがとうございました。小菅委員、お願いいたします。
○小菅委員 おそれいります。今後の検討ということでしっかりやっていただきたいと思うのですが、スケジュール感があれば教えてください。
○小宅計画課長 事務局です。かなり本格的な論点についての御提言があったものですので、スケジュールを何か、いつまでということではなくて、十分に御議論していただいて、取りまとめができればと考えております。
○小菅委員 ありがとうございます。
○城内分科会長 そのほかに御発言はありますでしょうか。ないようですので、これで全ての議題を終了しました。本日も熱心に御議論いただきましてありがとうございました。本日の分科会は、これで終了いたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。