2020年1月20日 第15回新型インフルエンザ対策に関する小委員会 議事録

健康局結核感染症課新型インフルエンザ対策推進室

日時

令和2年1月20日(月)14:00~16:00

場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

(1)新型インフルエンザ等対策における特定接種実施要領について
(2)プレパンデミックワクチンの今後の備蓄の種類について
(3)抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針について
(4)その他
 

議事

 

○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第15回厚生科学審議会感染症部会新型インフルエンザ等対策に関する小委員会を開催いたします。本日の出席状況は、委員13名中13名の御出席という御連絡を頂戴しておりますが、山﨑委員は少し遅れるという御連絡を頂いております。したがいまして、会議が成立しますことを御報告いたします。なお、参考人として、公衆衛生対策班医療・医薬品作業班の1名の委員に御出席いただいております。

 開会にあたりまして、日下結核感染症課長から御挨拶を申し上げます。

○日下結核感染症課長 皆さん、こんにちは。厚生労働省結核感染症課長の日下でございます。本日はお忙しい中、新型インフルエンザに関する小委員会に御出席いただきまして、ありがとうございます。既に、皆様御承知かと思いますが、先週、中国の湖北省武漢市で発症が相次いでおります新型コロナウイルスの肺炎について、日本国内で初めて感染者が確認されました。本日、御議論いただきます新型インフルエンザ対策においても、実際に発生した場合には同じような、あるいはそれよりも大きな社会的なインパクトがあるということで各課題を一つ一つ前に進めていく必要が重要であると認識しています。本日の小委員会では、新型インフルエンザ等対策における特定接種実施要領について、御議論いただく予定となっております。このため、委員の皆様方におかれましては、それぞれの専門的な見地から活発な御議論をお願いいたしますことをもって、私の御挨拶とさせていただきます。本日は、どうぞよろしくお願いいたします。

○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 日下課長は、所用により退席させていただきます。

 それでは、ここから谷口委員長に進行をお願いいたします。

○谷口委員長 国立病院機構三重病院の谷口と申します。本日は、先ほどの話のようにコロナウイルスのことでバタバタされているかもしれませんが、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 まず、審議参加に関する遵守事項について、事務局からお願いします。

○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 審議参加について御報告します。本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄付金・契約金などの受取状況について申告をしていただきました。委員の皆様の申告内容については、机上に配布しておりますので御確認いただければと思います。事務局で申告内容を確認しましたが、審議や議決に不参加となる基準に該当ございませんでした。以上でございます。

○谷口委員長 次に配布資料の御確認をお願いします。

○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 配布資料については、議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料が13、参考資料が16-3まで配布しております。議事次第に書かれている配布資料の一覧と照らして不足の資料がありましたら、事務局までお申し付けください。

 申し訳ありませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。以上でございます。

○谷口委員長 では、議題に入る前に、本日の議題について確認させていただきたいと思います。最初に新型インフルエンザ等対策における特定接種の実施要領について。2つ目に、プレパンデミックワクチンの今後の備蓄。最後が新規の抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針についてという順で御議論いただこうと思います。まず事務局から、現状及び論点について御説明をお願いします。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、説明させていただきます。今回の議題は3つあります。1つ目が特定接種実施要領。2つ目は、プレパンデミックワクチンの備蓄について今後どうしていくか。3つ目は、抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針になります。それでは、1つ目から説明させていただきます。特定接種の実施要領の資料1を見ていただければと思います。2つ目のスライドの特定接種についての所ですが、新型インフルエンザ等が発生した場合に、医療提供又は国民生活・国民経済の安定に寄与する業務を行う事業者や事業者の従業員や、新型インフルエンザ対策の実施に関わる公務員に対して行う予防接種です。これは、全住民に行うものが住民接種、それに対して、こちらのほうは、このような形で特定の対象に行う予防接種です。接種等のイメージとしては、住民接種が市町村が実施主体なのに対して、こちらのほうは政府対策本部の指示により厚生労働大臣からの実施という形になっております。それぞれ対象が登録事業者及び国家公務員は厚生労働大臣からの実施、都道府県及び市町村の公務員、地方公務員に対しては、厚生労働大臣から都道府県知事、市長村長への指示を行った上での実施となっております。

 根拠としては、特定接種は、新型インフルエンザ等対策特別措置法第28条に基づいて実施されるものです。また、政府行動計画ガイドラインに接種対象となる業種、また、接種順位の基本的な考え方、登録の要件・基準などが定められております。これらを踏まえて、厚生労働大臣は登録の基準、方法を告示で定めることになっております。

 留意点としては、登録事業者には、新型インフルエンザ等発生時においても医療の提供・国民生活及び国民経済の安定に寄与する業務を継続的に実施する努力義務が課されます。また、実際の特定接種の対象、接種総数、接種順位は新型インフルエンザ発生時、政府対策本部において判断し、基本的対処方針によって決定されます。このため、厚生労働大臣の登録を受けたからといって、必ずしも特定接種の実施対象となるわけではありません。このような内容の中で、実際の接種対象事業者と接種順位の考え方というのが次のページです。

 接種は、それぞれの業種によって幾つか区分けがされておりまして、医療分野がA分野、また、国民生活・国民経済安定分野はB分野となっております。また、新型インフルエンザ等対策の実施に関わる公務員ということで、また、これも1つグループ分けがされておりまして、全部で、一番右の接種順位の所に書いてありますが、グループ①~④までが決められております。ただ、実際にどこまで実施できるかということは、先ほど御説明させていただきましたように、発生時の政府対策本部において、発生状況等に応じて柔軟に決定することとされております。

 次ページ、特定接種の管理システムというのが、今、動いております。実際に厚生労働大臣が告示した後に、対象事業者がシステムのほうに申請をしたものを、関係府省庁が確認して、それを再度システムを通して厚生労働省のほうに報告が上がり、それを登録するという形で動いていきます。

 この登録に関しては、もともと平成29年度の対象事業者の登録後、システムを通じて、随時、事業者に通知という形を取りまして、厚生労働省Webサイトで公表を行いました。平成30年度には、登録済の事業者について登録内容の修正申請を受け付け、また、登録申請の審査再開を行っております。また、今年度は、対象事業者の登録・通知と新規登録を再開しておりまして、現在は新規登録をしている状況です。

 次ページ、特定接種に関するこれらの経緯を示しております。システムの所を説明させていただきましたが、平成28年が、そもそものシステムの登録開始でして、こういった形では平成30年、そして、令和元年という形でシステムに関して改修等を進めて登録を受け付けておりました。

 このような登録受付等の体制が、ある程度整ってきておりまして、そういった中で、実際に特定接種を実施するために、いろいろ決めていく上で実施要領が必要と考えております。

 7ページ、新型インフルエンザ等対策に係る住民接種の実施要領を、平成31329日付けで出させていただいております。この内容を基に特定接種で特に決めなければいけないところを更に議論をした上で、今回、特定接種の実施要領を取りまとめていくという方向で考えていきたいと思います。

 次ページ、実際に特定接種に係る接種要領作成における内容の中で、主な論点というのを挙げさせていただきました。こういった内容を議論させていただいた上で、令和2年度中に実施要領の作成をしたいと考えております。

 主な課題として3つあります。1つ目が接種対象者です。現状と課題ですが、令和元年11月の特定接種登録受付再開に伴って、申請者は特定接種管理新システムにおいて新規登録・更新の申請が随時可能となりました。新システムに伴い、登録において接種医療機関の登録を必須としております。一方で、旧システムで接種医療機関が未確保の登録事業者があります。新システム後も依然として未確保の登録事業者が存在する状況です。このため、特定接種実施時にワクチンが、実際にどこの医療機関に搬送すればいいのかということが確定できていないため、接種が行われない可能性が発生します。したがって、旧システムにおいて、接種医療機関が未確保の登録事業者についても、接種医療機関の確保及び更新申請を必須としたいと考えております。

 2つ目は流通体制です。ワクチンについては、通常の医薬品の流通スキームのもと、製造販売業者、販売業者及び卸業者を通じて、各接種医療機関に納品・納入されることが想定されますが、接種については、接種対象者に応じた納品依頼や、流通調整が必要になります。

 今後の方向性としては、通常の医薬品の流通体制や、予防接種の接種体制との相違点を踏まえた特定接種流通スキームを構築する必要性があると考えております。

 3つ目が実施報告です。ワクチンの接種の実施報告について、住民接種との関係から自治体の報告が必要となります。特定接種被接種者は、住民接種対象者からは除外されること。また、特定接種と住民接種の実施時期が、一部重複する場合があることを考慮した上で、住民、自治体への報告フローについて検討する必要性があると考えております。

 それぞれの論点ですが、まず、1つ目として、特定接種対象者の登録情報についてというのが9ページです。論点1として、特定接種管理システムの登録の再開に伴い、旧システムから新システムに改修移行したことで、登録事業を、以下のように規定してはどうかと考えております。旧システムにおいて、接種医療機関が未定又は確保できていない場合は、管理システム上に、特定の接種施設が入力されておらず、実際に発生した場合にワクチンの接種が行えません。

 対応として考えているのは、新システムにおいては、登録事業者は接種医療機関を確保した上で登録申請を行うこととしたため、旧システムの登録事業者においても、同様に接種医療機関を必ず入力することとする。旧システムでは、接種医療機関について、特定の医療機関が記載されていない場合は、事務連絡により、再度周知を行った上で、令和33月末までに入力がない登録事業者は削除を行うということを考えております。

 続いて、特定接種の流通スキームについてです。論点2として、通常の医薬品の流通体制や既存の予防接種体制との相違点を踏まえた上で、特定接種流通スキームを検討する必要があると考えております。ワクチンについては、通常の医薬品の流通スキームと同様に納入されることが望ましい。また、接種対象者ごとに納品依頼や流通調整等が必要となるため、特定接種登録事業者が決定されたワクチン配分数をもとに、接種医療機関に対し、購入依頼を行うことが想定されております。また、プレパンデミックワクチンのほか、パンデミックワクチンを行うことも想定されておりますので、パンデミックワクチン製造販売業者3社の、どの種類のワクチンでも接種ができるように、流通体制を構築する必要性があります。これは住民接種のときでも同じようなことを議論いただきました。また、ワクチンの安全な保管を考慮した流通・接種体制が求められております。

 最後の3点目は、ワクチン接種の実施報告についてです。特定接種によりワクチンの接種を受けた者は住民接種対象者から除外されること。特定接種、住民接種の実施時期が一部重複する場合があることを考慮した上で、自治体への報告の流れについて検討する必要性があると考えております。()としては、3つあると考えております。1つは、接種を受けた個人が市町村に登録をすること。この場合は、報告手続は簡便になるのですが、実際、報告手続方法によるとは思いますが、報告が確実に実施されない可能性もあると思いますので、その点を考慮する必要性があると考えております。2つ目としては、医療機関から都道府県及び市町村、都道府県を通じるということも含めて、市町村に報告ということを考えております。報告が確実に実施されますが、事務手続上の負担増ということも考えられます。3つ目としては、事業者から市町村のほうに都道府県を介するということも含めての()です。被接種者の取りまとめ及び報告が確実に実施されることが期待されます。個人情報の観点から、報告すべき情報には配慮が必要ではないかと考えております。この3つの()に関しては、それぞれ先生方からもいろいろ忌憚のない御意見を頂きたいと考えております。以上でございます。

○谷口委員長 特定接種の実施要領を今後どのように作っていくかということですが、事務局から論点を3つ挙げていただいておりますが、まず、挙げていただいた論点の一つ一つの御質疑、御質問がありましたら、最初の論点1からお願いいたします。

○坂元委員 川崎市の坂元でございます。医療機関の名前を再度登録するというのは私はいいことだと思いますが、医療機関ごとにワクチンを配布するとなると、医療機関の従事者は全く問題ないのですが、例えば、ここに挙がっている特定接種対象者がどこの医療機関で受けるかということを事前に把握しておかないと、どの医療機関にどれぐらい持って行っていいかというのは、多分、分からないと思うのです。つまり医療機関の従事者の事前登録というのが必要になるのかどうかということが、この論点1の場合ではあるのではないかと思います。それから、論点3のところで、特定接種を受けた医療関係者等々から、それを住民接種から除くという方法が考えられると思います。現実的に市町村は、恐らく住民基本台帳を開けて、特定接種を受けた者をを住民基本台帳から抜いていって、それ以外の住民に住民接種の通知を出すという形に実際はなるのかなと思います。そうなると、住民基本台帳から抜くというのは、恐らく手作業でやることになると思います。私も担当に確認したら、それは手作業でやるしかないということで、非常に大変なのと、場合によっては接種した時期によっては間違いが起こるかもしれないということで、そこら辺の問題を実際どのようにやるかが問題かと思います。1つの方法としては、我々市町村は、住民に住民接種の通知を出すときに、場合によってはその通知に特定接種を受けたか受けなかったかということに○を付けてもらって返信してもらうとか、その通知を接種の際に持って来てもらったときには、あなた、もう受けているからいいとか、二重のチェックシステムでできないかということも考えております。いちいち特定接種を受けた者の通知が来たものを住民基本台帳から抜くという作業は、かなり実際は大変な作業だというように聞いております。私からは以上です。

○谷口委員長 ありがとうございます。最初の論点1のことですが、これは実際には、今、坂元委員から御質問がありましたが、その医療機関を特定しておくというのは、ここの論点ですよね。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現時点で既に医療機関を特定して、登録していただくこと自体は、もともと従来のときからお願いしていたことで、それを今回、旧システムのときにそれができていないところがあったので、それを全てやっていただくというように考えているということです。

○谷口委員長 つまり、基本的に、1つの事業者が1つの医療機関ということではないということですか。今、坂元先生のお話だと、確か、1つの事業者で複数の医療機関もあり得るのかなというようにも聞こえましたけれども。

○坂元委員 私がよく分かっていないだけなのかもしれませんが、例えば、いろいろな医療機関以外の団体がどこで受けるかというのは、既に決めてあるということなのですね。

○谷口委員長 つまり、一事業者が決めてあるということですね。

○坂元委員 はい。

○谷口委員長 ほかに論点1については。

○矢内参考人 参考人として出席しております東京都の矢内でございます。まず、接種対象者のうちに医療機関を入力していない登録事業者というのは、どのぐらい数があるのかというのが、都道府県では確認のしようがないのですけれども、どのぐらいあるのかということと。

 事務連絡で、まだ決めていない事業者に対しては御連絡をして、周知するということになるのかと思いますが、ほかにどういった方法で周知されるのかということについて確認させてください。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 数に関しては、今、ここに具体的な数字を手元に置いていないのですが、実施する方法としては、一番最初に登録してから、かなり時間もたっていることもありますので、改めて丁寧に説明した上で、一定の猶予期間を設けた上で決めていただくということを考えております。その1つの目安として、令和33月末というところを考えています。

○谷口委員長 よろしいでしょうか。ほかに御質問、御議論はありますか。では、論点2について御質問、御議論はありますか。では、先ほど坂元委員からもお話がありましたが、論点3について、いかに特定接種を受けた方が住民接種からきちんと除外できるか、どのように報告の流れをするかということについて、住民基本台帳から抜くというのは、かなり手間が掛かる。それもあって、今、いろいろなアイディアを出すところだろうと思いますが、これについては住基を基本としているということではないのですよね、今のところは。今から考えていくということです。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 実際には住民接種の接種要領のほうで台帳を作っていただくということを示させていただいておりますので、あくまでもそこが住民接種の対象者になってきます。そこのところで、特定接種の人たちの場合は、逆に接種をしているので、複数回打ってしまった場合、パンデミックワクチンの場合は通常2回接種、それを、例えば3回接種したりとか、4回接種してしまうような方が発生した場合は、それはそれなりの有害事象とかも含めての懸念もあると思います。そういった事例が起きないことをするということも大事だと考えております。

○谷口委員長 ほかに御質問、御議論はありますか。

○押谷委員 これは考えれば考えるほど複雑で、本当にうまくいくのかという気がしていて、例えば住民接種対象者から除外すると書いてありますけれども、基本的対処方針がどの時点でどのように出て、それがどの時点でどのように変わるかということは分からないわけですよね。あるところまで特定接種を優先的にやりますと言っていたところで、日本でもかなり流行して、例えば、かなりの子供が亡くなるという事態になったときに、特定接種よりも当然子供を優先に接種しなければいけないのではないかという議論は当然出てくると思うのですが、そのときに、例えば、特定接種の1回目しか受けていない人をどうするかとか、そういういろいろなシナリオがあり得て、それを考えれば考えるほど、ここは簡単にはいかなくて、非常に大きな混乱が起こるのではないかと私はずっと思っています。多分、そう簡単にワクチンはできないので、そうすると、かなり流行したところで、その結果を基に基本的対処方針が大きく住民接種に移行していくというシナリオは十分に考えられるので、そのときにどうするかということを考えておかなければいけないのかと思います。

○谷口委員長 これに関してはどうですか。

○坂元委員 どのみち、住民接種台帳というのは、住民基本台帳から抜き出したものを使って、接種対象者ごとに多分グルーピングをして、あなたは、ここで、いついつという通知を出す方法が考えられるのかなと思います。現実には、特定接種を受けた人から五月雨式に自治体のほうに接種を受けた通知が来ても、通知を受け取る時間差もあるし、それを本当に的確に住民基本台帳から抜くことができるかどうかという問題があると思います。ただ、これでマイナンバーが使えると、ちょっと話は違ってくるかと思います。マイナンバー操作ができると、そこは自治体の住基台帳はマイナンバーで操作できるようにはなっているので、ただ、この場合にマイナンバー使用の特例が認められるかどうかとか、そういう問題もあるので、要検討かなと思います。ただ、実際にそういうインフルエンザが流行っているさ中に、特定接種を受けた者を抜く作業を実際に業者に委託するのですが、そういう業者があるかどうかという不安もあるし、多分、課題は多いだろうと我々は考えています。以上です。

○谷口委員長 ありがとうございます。これに関してですか。

○中里委員 佐賀県の中里です。先ほど坂元委員がおっしゃられたこととも重複するのですが、11ページの②若しくは③でいく場合、都道府県が振り分ける作業量というのがものすごく大きくなることが予想されますので、先ほどおっしゃられたようなマイナンバーが使用できるかとか、システムが組めるかとか、そういったツールも併せて検討していくことが、実行性を考える上では必要があると感じております。

○谷口委員長 ありがとうございます。

○矢内参考人 今、都道府県の負担というお話がありましたけれども、まず、医療機関から送られるにしても、事業者から送られるにしても、都道府県の中で集約をしている部署はグループごとに部署が異なっております。ですので、それぞれの担当部署が、例えば市町村に送るのかと、非常にまたこれも難しいし、1か所、例えば新型インフルエンザ対策を担っている担当部署がやるには、非常に事務量として過多であることが言えます。

 マイナンバーを使用すればというお話がありましたけれども、事業者なり、医療機関からマイナンバーという非常に個人情報として保護の確度が高いものを、都道府県がお預かりして、それを市町村に配布するというのはまた難しい問題があって、法的な部分をクリアしていただかなくてはいけないと思います。また、名簿が、もしも都道府県に来たとしても、それは様々な住所地の方がいらっしゃるということで、それを振り分けて全国の市町村に都道府県が送ろうというのは、実際の事務量としては全く難しいと考えております。ですので、新しい仕組みとして、どこかに委託をして、そこに集約して、そこで集約した情報を市町村にまくという方法が、多分、スピードも速いし、確度も高いのではないかと思いますので、都道府県の負担がこれ以上、実際に新型インフルエンザが流行っているとき、流行り始めるときにそのようなことをしている事務量はとてもカバーしきれないと思いますので、できるだけ簡易な方法で、しかも確度が高い方法というのを考えていただく必要があるのではないかと思っております。

 また、先ほどお話があったように、順番ということで、特定接種なのか、住民接種なのかということで考えていくと、何か受けたときに御本人に渡して、本人の接種カードを持たせるようなことも考えていかないと、何回打ったのか、誰なのか、あなたは対象として誰なのかということも、本人も分からなくなってしまうと思いますので、そういったことも含めて御検討いただければと思います。

○谷口委員長 ありがとうございます。いろいろな意見が出てくる、ちょうどよいと思いますが、ほかにどうでしょうか。

○齋藤委員 新潟大学の齋藤と申します。既に接種された方は、各地方自治体から接種の連絡がきた際に、私は既に接種しているので、もう接種はいりませんと申告することを、徹底すればいいのではないかと思います。台帳から抜くなどの作業はいりません。予診表を書く際に、このワクチンを受けていないかどうか確認すれば一番簡単と考えますが、いかがでしょうか。

○坂元委員 実は私もそれには賛同です。自治体から住民接種で通知を出すときに、特定接種を受けている方は受けられませんということを赤字で記載して出して、来られた方にもう一度、その場で特定接種を受けていませんねと、二重確認を行うことでよいと思います。特定接種を受ける方ですから、恐らく認識度は非常に高い人たちなので、受けたか受けないかを忘れてしまった人も万が一いるかもしれないけれども、やはり大きな手間を考えると今、先生がおっしゃった方法が一番簡便で現実的かと思います。通知のときと会場でのダブルチェックが一番簡便かなと思います。住基台帳から抜くというのは、これは誤りの率もあります。また接種の時間差の関係で抜き忘れたということも起こるので、やはりこの方法も完璧かというと必ずしも完璧ではないということなので、通知の方法が一番簡便ではないかと、今の段階では考えているところです。

○谷口委員長 ありがとうございます。ほかに御議論はありませんか。実際、どのワクチンも問診票は取りますから、そのときに聞くことになるとは思いますが。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 数点補足をさせていただきたいと思います。まずマイナンバーに関しては、住民接種に関しては使用ができる形になっています。ですので、例えば住民接種のところでは、そのまま使えますし、そこに特定接種で接種したということなどは、記入するというような運用はできるのではないかと考えているのが1点です。

 もう1点は、住民接種のときにでも早い段階というのは、恐らくマルチバイアルのものが配布されることが前提になりますので、接種人数をカウントするときに実際に来た特定接種の人が、やっぱりそこまで受けないとなったときの人数調整というのは、多少生じるというところがあります。そこは、人数の余剰をある程度加味した形での対応になるのではないかなというのはあります。

○釜萢委員 予防接種は、我が国ではかなり幅広く行われていますが、この形での対応というのは経験がないので、果たしてうまくいくのかなということは、皆様の御指摘のとおりいろいろよく考えておかなければいけないと思います。

 まだ抜けているところがあるかもしれませんが、まず大きな問題としては、特定接種と住民接種がどのように行われるのか、ほぼ同時に行われるのか、特定接種がかなり先行するのかによって大分変わってくると思います。ほぼ同時に行われる場合には、今、お話のあったように本人のしっかりとした確認で、何とかそこを整理するしか私も手がないだろうなと思います。

 従来、行ってきている予防接種との大きな違いは、この特定接種については事業者がかなりの役割を担わないといけないということがあります。まず事業者がしっかり医療機関との契約を結んで、そして連携をしっかり取るという必要があるし、最終的にこれは後でも議論が出るかもしれませんが、接種の報告を行政に出すことになりますが、それは事業者がしっかり取りまとめて報告するという形が、やはり現実的だろうと思います。

 一方で、今度は、ワクチン量がどのくらい供給されるのだろうかということもあって、限られたワクチンをどのように配分するかというところには、非常に国の役割が大事になってきて、それをどのように国がお決めになるのかというところが、大変大きなポイントになると思います。そのワクチンの全体量をどう配分するかという方針が決まると、今度は、それをメーカーが特定接種に関しては、メーカーが事業所単位でこの事業所には何人接種用のワクチンが必要ということを、メーカーが把握して国からの指示に従って医療機関に確実に卸を通じて届けるという作業が必要になります。卸がこのワクチンの流通に関しては、特定接種のために新たな集配のシステムを作るというのは現実的ではありませんから、メーカーから卸、医療機関という形の現存のシステムはそれを使わざるを得ないだろうと思います。

 そして、その事業所に何人分のワクチンが来るかによって、事業所がどなたに接種するかということを決めて、医療機関に依頼してくるという形になるだろうと思います。それを医療機関は指示されたとおりに、接種を行う。その場合の予診票等の扱いはきちんとやって、接種が終了したということを医療機関は事業所にきちんと報告をする。それをもって事業所は、県のほうに報告するというような流れになるのですが、全然、経験がないので果たしてそんなにうまくいくのだろうかなというところは、私も現時点では少し不安を感じますが、これをやらざるを得ないということになれば、そういうところが大きな流れになるのかなと考えています。

 その中でやはり、先ほど申し上げましたように事業所がこれらの作業にどれだけしっかりと対応できるのかというのは、事業所は全然、御経験がないわけですから、その辺りのところをよく周知しておくということが、是非、必要になるのかなと現時点で考えています。以上です。

○谷口委員長 ありがとうございます。事業所が中心になったフローということだと思います。

○押谷委員 これもさっきのいろいろなシナリオがあり得るということと関連しているのですが、仮に医療機関などで1回目接種をやるだけの十分な特定接種のワクチンがあったけれども、2回目接種するには十分ではないというようなシナリオも十分考えられると思いますが、そのときに現在考えられているのは、ワクチンメーカーによって製剤が違うのです。ここの会議だったか、どこかの会議でそういう議論があったと思いますが、やはり同じ会社のものを受けるという話になっていたと思います。そうすると、1回は優先的にみんなにやりましょうと、だけど2回目は後からというようなことになったときに、1回目に何を受けていたのかということが非常に大きな問題になる。仮にA社のものは2回目にみんなが接種しようとしたときに、A社のものだけがなかったというような事態に、どうするのかということも考えないといけないし、考えれば考えるほど、いろいろなシナリオがあって、非常に難しい問題があるので、これをどこまできちんと整理しておくべきなのかというのは、非常に難しい問題だと思いますが、いろいろなことを考えないといけないのかなと思います。

○谷口委員長 おっしゃるとおり、いろいろなところをきちんと整理しておかないといけないと思います。

○信澤委員 今の押谷先生の御意見にも関連するのですが、ちょっと細かいことかもしれませんが、特定接種と住民接種の時期が離れていればいいのですが、かなりかぶっているような場合、特定接種者が1回目を受けて、2回目を受ける時期には住民接種が始まっていたようなときは、その特定接種者は事業所が登録している病院で2回目を受けなければいけないなど、そういうことになっているのですか。それとも、住民接種対象者としても受けられるのか、あるいは今のお話のようにワクチンが足りなかった場合、住民接種と特定接種の時期が非常に近いときにどのように対応していくのかというのは、ある程度ルールが決まっているのでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現段階では、明確には決まっていません。基本的には、以前にもこの内容の議論は、この場でもしていただいたと考えています。多くの人に1回接種をなるべく多くするほうがいいのか、それとも2回接種の人の数を増やすことが優先されるのか、それはワクチンの実際の有効性や、そのときの新型インフルエンザのどのような影響を与えるような疾患なのかということも含めて、総合的に議論することが必要なのではないかなと考えています。

 2009年のときも当初は2回だったものが、最終的には1回でよくなるような事例もあると思いますし、やはりそれでは難しくて2回打たないと、全く有効性が示せないという場合もあるかもしれませんので、それによって大きな考え方は変わってくると考えています。ただ、いずれにしても接種要領みたいな形で、その手順など、そういったものがある程度決まった上で、さらに技術的なテクニカルに、実際に発生時にいわゆるこういったところでの委員会で、どういう議論をすべきかということを、ある程度また整理していくというのが手順としてはいいのかなと考えています。

○谷口委員長 ほかにはよろしいですか。実際に、極めてuncertainlyの部分が非常に多いと思いますので、柔軟なシステムということも必要でしょうし、基本的にこうするという大枠が、多分必要なのだろうと思いますが、今、先生方に御議論いただいたように、いろいろなパターンと派生するような形で作っておく必要があるのかなと思います。昔、私はnational immunization registryというものがあれば、そんなに難しいものではないのではないかというお話をしたことがありますが、あれは非常にお金も手間も掛かりますので難しいかと思いますが、システムとして考えていくのだろうと思います。ほかに御質問や御議論はよろしいでしょうか。

○長谷川委員 特定接種対象者が、実際に接種するというのは何パーセントぐらいと予測されているのでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 基本的に登録をしていただいた方々というのは、いわゆる事業所や公務員の方もいらっしゃいますが、要するに優先的に打っていただいてでも、なるべく倒れてもらうと困るという方々なので、何パーセントというのはここでは正確には言えませんが、高い確率で打っていただくことになるのではないかなと。もちろん御本人の希望等もあるとは思いますが、高い確率で打っていただくことを想定しています。

○長谷川委員 風疹の予防接種などで、いくら推奨しても実際に伸びてこないという現実があるので、同じようなことが起こり得ないかなと、ちょっと危惧しています。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 もちろん、そういった御本人の希望というのはあると思いますが、発生時の疾患の程度やそのときのワクチンの逼迫している状況などを考えたときに、また状況は変わってくると思いますので、必ずしも風疹の例がそのまま当てはまるかどうかというのは、何とも言えないかなと考えています。

○川名委員 防衛大の川名と言います。例えば、接種する立場でちょっと考えてみますと、3つ案が出ていますが、①が一番簡単なのかなと。個人から市町村へということですが、一番簡単なのは問診票の中に特定接種を既に受けていますかという欄を作り、そこにチェックを付けていただく、あるいは空欄のまま返してもらうか、それでもってOKにしてしまうというのが、多分一番簡単な方法です。もし、1回目に打ったもののメーカーがどこだということが知りたいのであれば、接種する現場で市町村宛の「接種済み」を示すはがきを配布して、そこで本人に名前を書いていただいて、それをそのまま会場出口で投函していただく。普通ワクチンにはロット番号の小さいシールが付いているので、そのシールをはがきにぺたっと貼って本人に渡して、出口で投函していってもらう。そのぐらいが、多分、簡単で許容範囲なのかなという気がします。

○加藤委員 論点3のところで話がありましたが、先ほど竹下補佐からも話がありましたように、この貴重なワクチンを優先的に回すという性質上、可能な限り多くの方に受けていただくということが前提になっていると思います。恐らく事業者としてもどれぐらいの従事者が接種を受けているかということを、当然、把握したいところだと思います。予防接種率を出すためには事業者がきちんと接種を受けた人を把握する必要があります。ただ、接種を受けた者のデータを市町村などに報告し、それをもとに住民接種から対象者を外していくのは、非常に煩雑な作業ですので、私は現時点では予診票に特定接種を受けた人は対象にならないことを示すことが現実的なのかと思います。事業者単位というスキームで、ワクチン接種の実施報告まで完結するのが、何となく分かりやすいような気がします。

○谷口委員長 ありがとうございます。臨床でワクチンを打っていると、やはり問診票をうまく使えばいいのではないかなと思います。事業者は、多分リストは作っているはずなので、自分の所のBCPにもろに関わってくるわけですから、今回、登録事業者はBCPを作って提出しているわけですが、それとも関連してくるので、そこともきちんとリンクを取ってもらうということが必要なことかもしれないですね。ほかにはよろしいですか。

○釜萢委員 今のところで、例えば、ある事業者で100人が登録をしていて、ワクチンが50人分しか来ないということも当然あるわけです。その場合の100人から50人に絞るというのは、これは事業者で考えてもらわないとできないことです。ですから、そういう意味では、この特定接種の仕組みというのはかなり事業者がしっかりやらないと回っていかない仕組みだと思いますので、そこをこれまでに全然経験のない事業者にいかに事前によく理解してもらうかということは、私は非常に大事だと思います。

○谷口委員長 恩恵を受けるわけですから、そういう苦労はしなくてはいけないということですね。

○信澤委員 ちょっとずれるのですが、特定接種の場合には3社が作るワクチンのどれでも接種できるように流通体制を構築すると書いてありますが、住民接種の場合にはその地域ごとにメーカーが決まっているのでしょうか。もし、そうだとすると接種できる地域とできない地域があるなど、そういうことはないのですか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 前回、住民接種の議論をしていただいたときに、そういったいろいろな案が出ていましたが、現時点ではどのような形で配分するかどうかも含めて決まっていませんので、住民接種もどこのワクチンメーカーでも使えるように、事前に流通等ができるような契約や覚書等の準備をしてくださいということになっています。

○谷口委員長 ほかにはよろしいですか。すみません、都道府県としたら、医療機関から問診票が回ってきたら、やはり結構手間なのですかね。

○坂元委員 このいわゆる取扱いが、先ほど都道府県で1回集約して市町村というのは、それは余り現実的ではないと思います。どのみち、それだったら市町村ごとにやってしまったほうが早いので、1回都道府県を介する意味とは何なのだということになります。つまりその問題も出てくると思います。そこは、国の御判断で、1回都道府県で集約して、それで市町村にばらまくと言ったら変ですが、渡す方法で行くのか、それとも、もう市町村を介さないでやってしまうかというのか、このどちらの方法を取るかということで、まず違うと思います。最終的には、市町村が住民基本台帳を扱っているので、そこで実務が発生するという形にはなると思うのです。そこは介するか介さないかによって、大分違いはあるかなと思います。都道府県の方の御意見もあるかと思いますが。

○中里委員 例えば、金融業やエネルギーの業種など、都道府県の中でも管轄がいろいろあって、今、それがホームページ上では、都道府県の健康部局は金融業の部分は把握できないなど縦割りになっています。このように、都道府県の担当部局としても、全てを管理できるのかという疑問も、現段階ではある仕組みになっています。

○矢内参考人 今、お話があったように部局が様々分かれているので、実際の登録内容が把握できませんので、どの事業者からどのぐらいの数がやってくるのかという予想がまずできないということが1点あります。

 あとは東京都という立場で言えば、かなりの他府県にまたがった住民がいるということで、それを一律に都道府県の立場で市町村にお返しをするというのは、かなり困難が伴うという話です。

○谷口委員長 多分、東京都と例えば三重県とでは、全然、状況もきっと違うと思いますので。ほかはよろしいですか。

 そうしますと、結局、論点の1に関しては、これはこのとおりで登録情報をきちんと規定していけばいいのではないかというところで、余り御異論はないかなと感じます。流通スキームについても、既存のものを使っていくのがいいのではないか、ただ御議論にありましたように、いろいろなuncertainlyがありますので、それを踏まえた上で考えておく。そして、一番議論になりました論点3については、問診票をうまく使えばいいのではないかということと、やはり特定登録事業者を中心としたスキームで考えていくことが、より現実的ではないかという御議論を伺ったと思っています。ほかにはよろしいですか。論点123は事務局からいただきましたが、それ以外、接種要領について。

○加藤委員 論点2の所で、今の議論では接種医療機関と契約をして、そこで個別接種をやるようなイメージがあるかと思いますが、例えば企業内のある部屋を使って、集団接種のようなことも認めるのかどうかというところは、接種要領の中に書き込まれるべき、議論されるところではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○谷口委員長 いわゆるそこで産業医みたいな形でやるということでしょうかね。よろしいですか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 住民接種でも、集団的接種ということをなるべく勧めている状況です。特定接種のほうも、ある程度まとまった数で実施してやることという形になっているので、もちろん、そういったものを制限するということではありません。

○川名委員 先ほどの論点3ですが、これは接種する側の医師、それをハンドリングする行政の方、そういう方はこの会議に出ていらっしゃると思うのですが、企業などの登録事業者の方がこの会議の中にいらっしゃらないので、登録事業者を中心にと言うと、登録事業者サイドではまた何かいろいろ御意見があるかもしれないので、それはどこかで聞いておいたほうがいいかなと思います。

○谷口委員長 ただ、先生の所も登録事業者だと思いますし、うちの病院も登録事業者。

○川名委員 病院は両面を持っていますが。

○谷口委員長 ほかにはよろしいですか。登録事業者であれば、当然のことながらその事業所の中での接種順位のリストもあらかじめ作っておかないと、いざというときにはどうしようもありませんので、そういったことも踏まえて、BCPも一緒に考えていただくのかなと思いますが、ほかにはよろしいですか。今、申し上げましたように、それぞれ皆さん登録事業者だと思いますので、自分の所だったらどうするかということもあるのかもしれませんが、よろしいでしょうか。では、1つ目の議題について、おおむね議論を尽くしていただいたと考えます。

 続きまして、議題の2に入りたいと思います。事務局に御説明をお願いできますか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 資料2を御覧ください。プレパンデミックワクチンの今後の備蓄の種類について()です。

 まず、1つ目は、プレパンデミックワクチンの備蓄の経緯です。平成9年に世界で初めて香港において鳥インフルエンザA(H5N1)ウイルスによる感染確定者が報告されました。

 病原性の高いH5N1ウイルス由来の新型インフルエンザが発生した場合、その病原性の高さにより、大きな健康被害が引き起こされると想定されたことから、我が国では平成18年度からH5N1プレパンデミックワクチンの備蓄を行っております。

 備蓄するワクチン株については、第19回厚生科学審議会において、検討時点において「危機管理上の重要性」が高いワクチン株の備蓄を優先することとしております。

 第25回厚生科学審議会感染症部会において、近年の鳥インフルエンザの発生状況から、H7N9(A/Guangdong/17SF003/2016(IDCDC-RG56N))を備蓄することとしております。危機管理上の重要性に関する内容は、下で説明しております。

 今回は、令和元年度に備蓄すべきワクチン株について御議論いただきたいと考えております。

 平成25年以降における、H7N9鳥インフルエンザウイルスの人への感染者数は、中国で1,568人になっており、このうち少なくとも615人の死亡事例が報告されていることから、人での重症度が高いと考えております。

 過去3年間の世界における鳥インフルエンザウイルスの感染症例については、H7N9鳥インフルエンザウイルス株が最も多い。

 さらに、中国は日本との往来が最も多い国である。

 上記を踏まえ、現在確認されている亜型の中でH7N9(A/Guangdong/17SF003/2016(IDCDC-RG56N))が、最も危機管理上の重要性が高いと考えられることから、以下のとおり提案いたします。

 提案です。1,000万人分備蓄するプレパンデミックワクチンのワクチン株については、現在もH7N9株が最も「危機管理上の重要性」が高いと考えられることから、令和元年度の備蓄株については、第25回厚生科学審議会感染症部会で承認された方針を継続することとする。以上です。

○谷口委員長 プレパンデミックワクチンの備蓄株についてです。御質問、御議論等ございましたらお願いいたします。

○信澤委員 まず、最初に確認いたします。令和元年度に備蓄すべきワクチンは、納品されるのは令和何年度でしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 実際に方針が決まってから製造のスケジュール等を相談いたしますので、それを踏まえて決めることになると思います。

○信澤委員 平成31年度分が今年の3月までに納品されるのかどうかを、1点確認したいのです。つまり、H7N9ワクチンについて、2年目として備蓄しようとしているのか、これが1回目の備蓄なのかを確認したいのです。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 正確に言うと、ワクチンの製造に関してはワクチンメーカーの、もちろん、パンデミックのときには、ほかのワクチン生産を止めて優先的に作っていただくので、ある程度早いタイミングで出来るというのは、これまでも議論させていただいた点です。今は平時なので、新型インフルエンザに関しては、そのタイミングですとほかのワクチンなどを作りながら作っていただくので、その範囲内でできる量で生産をお願いしているところです。それに合わせて、製造のタイミングを見ながらの購入です。

○信澤委員 まだ私がよく理解していないのですが、前回、H7N9を備蓄すると決まり、それは納品が予定されていると思いますけれども、その次の話なのかということを確認したいのです。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 そのとおりです。

○信澤委員 そうすると、お伺いいたしますが、今、H7N9のインフルエンザウイルスの人感染は全く少なくて、危機管理上の重要性の意味から言うと、余り当たらないような気がいたします。付けていただいている参考資料25ページにもあるように、感染者数、死亡者数のいずれも現時点ではほとんどないという状況であることは御存じだと思うので、果たして、もう一度同じGuangdong株を備蓄することが、今の状況に対応しているといえるのかという疑問。

 あと、Guangdong株は、上の説明で高病原性から低病原性まで広く交差性を示す特徴があるとあります。2016年の時点では、確かにGuangdong株と香港株という低病原性のウイルスの両方に交差性を示しました。交差性というのは、このワクチンを打ったフェレットの血清が両方と反応しましたが、現時点では新たなH7N9の株が出てきており、その株に対してはGuangdong株は全く反応しないという報告が、昨年の9月のWHOの会議で出ております。新しいワクチン株は開発中で入手できる状況ではありませんので、今の状況で、お金を掛けて同じ株をもう一度備蓄することが、本当に適しているのかということに少し疑問を感じます。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 H7N9株については、少なくとも現在、議論の俎上に上がるものはワクチン株として開発されているものが前提なので、まだワクチンとして開発されていないものは、残念ながら議題の対象にはなりません。

○信澤委員 そうすると、現状で出ているウイルスに対しては、反応性がなくても現時点では同じワクチンを備蓄せざるを得ないという理解でよろしいでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 正に、そこを議論していただければと思っております。今、逆に言うと購入の時期が決まっている中で、今ある中で一番いいものは何なのかということで、リスク評価がどうなっているのか、正に、H7N9を含めて発生状況、ほかの亜型が非常に多くなってきたか等を踏まえての検討になると思います。そういうことに関して、感染研のインフルエンザセンターのセンター長の長谷川先生にも御意見を伺い、今回、意見を提出しております。

○長谷川委員 今回、H7で選ばれるとなると、備蓄全体で見たときのH5H7の割合が12になるという、そうではないのでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 一番リスクが高いものを備蓄することになっておりますので、その株に関して1,000万人分を備蓄いたします。

○長谷川委員 いいえ。1,000万人分を備蓄した場合に、現在トータルで備蓄されているワクチンの亜型。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 H7N9だけで1,000万人です。

○長谷川委員 その前に、今、有効なものも含めてということでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 基本的には、有効期限が切れるタイミングで新しい亜型を検討いたします。H5N1の有効期限が切れる頃に、次は何にするのかという議論をしていただいたときに、H7N9がいいのではないかという御意見を頂いております。

○長谷川委員 今あるワクチン株の中で、過去3年の発生を見るとH7N9が一番多いというのは確かかと思います。

○谷口委員長 どうぞ。

○信澤委員 もう一点だけ確認したいことがあります。2回目に備蓄するH7の場合、製剤化もされるということでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 製剤化についても、これまで決められていたとおりの形で、最小量の製剤化を進める方向で考えております。

○谷口委員長 どうぞ。

○釜萢委員 H7N9のプレパンデミックとしての備蓄は、細胞培養で行われるのかどうかという確認と、細胞培養のラインをどのようにしたら維持できるのかというところも教えてください。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 このワクチンについては、次に購入するときも同じような形で細胞培養のものを備蓄する方向で考えております。

○信澤委員 その場合、お話していただけない内容なのかもしれませんが、1回目に備蓄を依頼した製造所と別の製造所に依頼するという可能性、あるいは、その辺りは決められているのでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 現時点では、有効性が示せる製造能力のある所にお願いする形になると思います。

○押谷委員 最後の提案の所に、平成306月に承認された方針を継続すると書いてあります。今、信澤委員がおっしゃったように、危機管理の重要性は日とともに変わっていくわけです。そういう中で、今、3年間という話がありましたが、それは3年間の一番最初の頃に多かったということにすぎず、2年間で見ればそうでもないので、危機管理上の重要性をどのように考えるのかということ。

 あと、以前、この会議だったかどうかは覚えていないのですが、長谷川委員の前の小田切委員がH7N9ワクチンについて免疫原性に結構問題があると、そういうことも全部加味した上で、危機管理上の重要性がこのワクチンに対してあるという判断をしているのかどうか。判断しているのであれば、その理由をきちんとここに説明するべきです。1年半か2年前にそういう方針を決めたので、継続するというのは少し乱暴な議論かと思います。

○谷口委員長 ほかに何かございますか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 H7N9に関しては、今後、研究班でも実際に作ったものの有効性を見ていくということが決まっております。来年度以降の購入ではなくて、今年度中に何を購入するのかという短い時間での内容なので、こういう提案となっております。

 以前、御議論いただいたように、中長期的なものに関しては、そもそもプレパンデミックワクチンをどうしていくのかということも含めて、改めて議論させていただきたいと考えております。その点に関しては、また次回以降のワクチン作業班から順番に議論させていただきたいと考えております。

○信澤委員 お願いなのですが、今、押谷委員が言われたように、ワクチンの免疫原性を確認しつつ備蓄を決めていくときに、免疫原性というときに打ったワクチンそのもの、あるいは、その親株に対する免疫原性は、その時点ではどれぐらい意味があるかということが分からないのです。確認する時点で人に感染しているウイルスが手に入れば、現在流行しているウイルスに対して、古いワクチン株で作ったワクチンが有効であるのかということを確認した上で、備蓄の判断をするようにしていただければと思います。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 流行株やそのときの血清自体を簡単に入手できるのであれば、それも1つかと思います。鳥インフルエンザに関しては、最初に信澤委員がおっしゃったように、数が少し減ってきている状況です。一方、各国も含めて発生する確率がないと言っていいのかというと、そういう状況でもありません。

 あくまでも、こういうものに関しては、流行が過去に起こったものや直近の状況などを踏まえた上で、入手できるものの限られた範囲内での検討の中で、リスクアセスメントをしていただかなくてはいけないのは大変申し訳ないのですが、引き続き、こちらでもできることは、なるべく支援していきながら進めていきたいと考えております。

○谷口委員長 ほかに何かございますか。

○齋藤委員 当然、国内の状況と海外の状況は違いますが、例えば、以前、流行した香港、あるいは、リスクの高い周辺地域で、実際にプレパンデミックワクチンの備蓄はどのように行われているのか、もし御存じでしたら教えていただけますか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 各国のワクチンの備蓄に関しては、公開している国と公開していない国があります。ここで各国の情報を全て公表することは難しいのですが、先進国も含めて備蓄をしている国もあります。

 例えば、実際に幾つかの株を作り、研究やそういうもので有効性などを示しながらある一定数の備蓄をやっている国とか、そういう状況を見ながら、実際に発生したときのためにワクチンを準備している国もありますので、一概にどこの国もやっていないというわけではなくて、やっている国とやっていない国に分かれております。

○齋藤委員 日本は、これまでH5N1に対するワクチンの製造が続けられ、5年間の有効期限で使われないまま破棄されていたという現実があります。当然、流行するかどうかというのは分からないところで、その辺りの判断は難しいと思いますが、既に何千万ドースのワクチンが破棄されているわけですので、この体制自体も本当にこれでいいのかどうか、再検討する必要があると思います。

 当然、H7N9に対する脅威への認識は一致しているところだと思いますが、H5N1はもう考えなくていいのかどうか、非常に難しい問題だと思います。

○谷口委員長 確か、先生のよく知っている国ではH5H7と、あくまで、危機管理ということで、ナショナルデシジョンとして備蓄しています。何を選ぶかは専門家が考えているところだろうと思います。ほかに何かございますか。

○坂元委員 H7N9を備蓄するというのは、確か行動計画の中にありますよね。そうすると、もしそれをしないとなると行動計画を変えるという議論があり、すでに国民にこういう形でワクチンを備蓄するという1つの方向性を出してやっているという中で、抗原性やいろいろな問題があっても、即、それをやめてしまうというのは今の段階ではまだ議論が十分ではないと思います。

 やる、やめるとなったときに、極端かもしれませんが、無駄というほうが無駄ではなかったというときの国民への説明のリスクとしては、やはり無駄だったというほうが納得が得られるのかなと思います。やっておけばよかったというほうが納得が得られないと思います。今の段階でいろいろな議論があることは承知しているのですが、既に国民に行動計画の中でこういうやり方でやっていくということを示しており、一旦、それをやっている以上、やはりこの選択は必要かと思っています。もちろん、今後、プレパンデミックワクチンをどうするかということは別途考えていくということは必要で、しかし今の段階では、この選択はそれほど間違ったものではないのかと思っております。以上です。

○谷口委員長 どうぞ。

○釜萢委員 私も坂元委員のおっしゃるとおりだと思います。まず、プレパンデミックワクチンの備蓄をやめる選択は現時点ではないと思います。ですから、御専門の方から、H7N9以外に備蓄の株としてもっと優れているという御提案があり、これを変えたほうがいいというのであれば、教えていただいて多くの賛同が得られれば変えたらいいと思います。

 ただ、備蓄をしないという選択はないと思います。株がどうなのかということは専門ではないので分かりませんが、その辺りを教えていただいて、もしH7N9に代わる、もっとこれをやったほうがよいという御示唆があり、その株が手に入ってちゃんと増えるのだというところがあればそういう議論をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○押谷委員 私は備蓄を全くしないというオプションも、考えておくべきことなのかと考えています。

 その理由は、細胞培養ワクチンはどこまでの数が作れるのかという問題はありますが、これまで政府はかなりの予算を使ってパンデミックワクチンを国民全体に行き渡らせる、これが本当にできるかどうかということはまた別の問題ですけれども、短期間にできるということを目標にしてやられてきたのだと思います。

 そうであれば、プレパンデミックワクチンを作らないという選択肢は当然あるべきで、実際に幾つかの先進国では、そういう方針の下に、最初からプレパンデミックワクチンという選択肢を持っていない国がかなりあります。日本も以前は十分なワクチンを作れなかったという問題があり、こういう話が出てきたのだと思います。

 状況はいろいろ変わってきている中で、プレパンデミックワクチンは危機管理上どうあるべきなのか、それ以外にもいろいろな課題があるということは薄々知っておりますが、そういうことも含めてどうあるべきかという議論は必要なのかと思います。

○谷口委員長 ほかに何かございますか。

○長谷川委員 私もパンデミックワクチンの生産体制が整い速やかに作れるようになれば、もちろん、パンデミックが起こった株で作るのが最も有効であり、現に、季節性インフルエンザはそれに近いような形で起こって、直近のもので速やかにワクチン株を作りワクチン製造をされているわけです。将来的にはそうなるのが一番好ましいかと考えております。

 ただ、現在、それだけ速やかにワクチン株を、それはグローバルに対応しなければいけないことですが、グローバルにワクチン株を製造して、最も適切な抗原性の一致しているものが手に入らない状況においては、もちろん、プレパンデミックワクチンを作る作らないという議論は、当然、どこかのフェーズでパンデミックワクチンの準備ができた段階で必要とは考えますが、その議論とは別に、現在、直近のものを選ばなければいけないとなったときには、今、手に入るワクチン株の中で選ばざるを得ないのかと考えております。

○谷口委員長 ほかに何かございますか。

○信澤委員 私もどちらかというと、プレパンデミックワクチンは備蓄しないという選択肢もあるかという御意見に賛成です。その理由は、プレパンデミックワクチンとして備蓄に使うワクチン株の推定が非常に難しいと言うか、これまでのインフルエンザのパンデミックの状況を見ていると、推測できるウイルスでパンデミックが起きたことはほとんどないという歴史があります。

 これだけH5が騒がれていましたが、2009年にはH5ではパンデミックは起きていませんでしたし、過去の歴史を見ると、パンデミックを起こすウイルスは、動物の中で増えていたものがいきなり人にパンデミックを起こすようになるものではなく、その仕組みが全然分からずに急に出てきたウイルスでパンデミックが起きていると思えるので、無駄という言い方はできませんけれども、余りプレパンデミックワクチンに期待をして備蓄するだけの効果があるのかと常に疑問に思っていました。

 ただ、全く丸腰というわけにはいきませんので、やはり抗インフルエンザ薬の備蓄や、ほかの対応法をこれまでもこの委員会等で考えられてきたと思いますので、その辺りも考慮して、別の方法を考えてもいいのではないかという気はいたします。

○谷口委員長 ありがとうございます。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 あくまでも、今回は今年度という短い期間での提案なので、こういう形にしております。本日頂いた御意見は、いずれ中長期的な方針を決める上で反映して、今後の検討をさせていただきたいと考えております。

 特に、プレパンデミックワクチンの議論をするときに重要だと考えているのは、前回の資料でもお出ししたのですが、インフルエンザ対策全体の話、もう1つは、日本の中でワクチンの体制整備をどのようにしていくかという中の、1つのピースであると考えておりますので、パンデミックワクチン、それこそ、先ほど特定接種の議論のときに、それぞれのワクチンの有効性や情報がまだ十分ではないということなどについて、先ほど皆様から御意見を頂きました。そういう情報をどのような形で、そこのところを補強していくかとか、そういうところにも使っていくということも含めて、広く体制のためには、どういう形で方策を組み立てていくかということの1つだと考えております。本日頂いた御意見なども踏まえた上で、いずれ中長期的な議論をしていただきたいと考えておりますので、そのときの参考にさせていただきます。ありがとうございました。

○谷口委員長 もちろん、皆様の御意見、パンデミックワクチンの体制が整うにつれて、プレパンデミックワクチンの考え方も当然変わってくると思いますので、今後、そちらを考えつつ、現在としては最善のところをやっていくということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

○谷口委員長 ありがとうございました。続いて、「抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針について」事務局から説明をお願いします。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 資料3、抗インフルエンザウイルス薬の今後の備蓄方針について、御説明させていただきます。現在の備蓄方針については、国は特別措置法に基づき新型インフルエンザ等対策政府行動計画、またガイドラインを作成しております。その中では、以下の方針が定められております。

 1つ目は国と都道府県は、最新の諸外国における備蓄状況や医学的な知見等を踏まえ、全り患者(被害想定において全人口の25%がり患すると想定)の治療、その他の医療対応に必要な量(合計4,500万人分)を目標として抗インフルエンザウイルス薬を備蓄しております。備蓄薬剤の種類に関しては、国は抗インフルエンザウイルス薬耐性株の検出状況や臨床現場での使用状況等を踏まえ、今後、備蓄薬を追加・更新する際には、他の薬剤の備蓄割合を検討するとともに多様化を図るということで対応しております。

 2つ目は現状について、現在、オセルタミビル、ザナミビル、ラニナミビル、ペラミビル、ファビピラビルの備蓄保管を行っております。平成302月にはバロキサビルが薬事承認され、翌月314日から薬価収載のもとに販売が開始されました。第13回厚生科学審議会感染症部会新型インフルエンザ対策に関する小委員会において、バロキサビルについては直ちに備蓄することとはせず、臨床現場における使用状況等を踏まえた上で、引き続き検討することとなったとされております。令和元年10月に出されました日本感染症学会の提言や日本小児科学会の提言において、バロキサビルについては以下のような記載があります。

 12歳から19歳及び成人については臨床データが乏しい中で、現時点では推奨/非推奨は決められないとする一方で、小児については耐性ウイルスの出現頻度が高いことから、12歳未満の小児については積極的な投与を推奨しないとしております。さらに、免疫不全患者や重症患者では、単独での積極的な推奨はしないとしております。また、今後の基礎及び臨床データの蓄積と解析が必要とされております。

 以上をもって備蓄方針にとしましては、バロキサビルは、臨床データが乏しいこと、また耐性ウイルスの出現状況等を踏まえ、関係学会からの使用上の留意点について提言等が出されております。バロキサビルは、国内工場において製造されていることから、パンデミック発生時も速やかに製造することが可能です。抗インフルエンザウイルス薬は、医療現場において既に複数の種類が使用されていること、また、既存の備蓄薬については、臨床現場での使用状況等を鑑み、薬事承認後から一定程度の期間が経過した後に備蓄を開始しております。

 上記を踏まえ、以下のとおりに提案させていただきたいと考えております。提案です。バロキサビルの備蓄については、直ちに備蓄することとはせず、基礎及び臨床でのエビデンスの蓄積のもと、関係学会の臨床上の位置づけを踏まえた上で、引き続き検討することとする。以上です。

○谷口委員長 ありがとうございます。バロキサビルの備蓄ですが、委員の皆様から御議論、御意見がありましたらお願いします。

○川名委員 先ほどのプレパンデミックワクチンの議論もありましたが、私もどちらかというとプレパンデミックワクチンの効果には懐疑的なほうで、いろいろな議論はあると思うのですが。それに対して抗インフルエンザウイルス薬は絶対的に重要だと思います。例えば、早期投与とか、予防投与とか、いろいろな使い方があると思うのですが、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄は極めて重要だと思います。

 その中でバロキサビルですが、いろいろなディスカッションはありますが、パンデミックが起こったようなときにこそ、いろいろな使い方が検討される可能性のある薬だと思うので、これが使える状況は必ず作っておく必要があると思います。私は備蓄もあっていいのではと思ったのですが、これを見ると、国内工場で製造されるので、パンデミック発生時でも速やかに製造することは可能であると。だから、備蓄は必要ないということで理解してよろしいのでしょうか。

○谷口委員長 それが全てではないと思いますが。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 過去の抗インフルエンザウイルス薬の中には、完全に海外での製造が前提になっているものもありますので、そういったものに比べると、国内に工場がある場合には、国内で一定数の生産がされていくことが前提に考えていけるのではないかということです。

○長谷川委員 バロキサビルの耐性の問題が昨年かなり注目され、特に小児におけるその耐性の出現率が大きかったと。その理由として、免疫がない状態での感染でそういうのが起きやすいのではないかという状況があると思いますので、そこら辺をもう少し臨床データと突き合わせて検討してから、もし備蓄するなら備蓄するという形がよろしいかと思います。と言いますのは、新型インフルエンザの場合には、皆さんは免疫がない状態で来ますので、そのときにどれぐらい来るかというのは、動物実験も含めて少しやっておいたほうがいいのかと考えています。

○齋藤委員 小児科医の立場から。今の長谷川先生のお話のとおり、小児での使用においては、半分弱ぐらいの症例で耐性ウイルスが出現したということで、小児科学会の委員会で話し合い、このような推奨を出したわけです。また、一方でこの薬剤は作用機序が異なり、ほかの抗ウイルス薬と組み合わせることによって効果が期待できる可能性もあります。例えば、重症例において、複数の薬剤を組み合わせて使用することでの治療効果は期待出来るかもしれません。この薬剤の作用機序が異なるという点からは非常に重要な薬剤だと思います。耐性ウイルスの発生、複数の薬剤の組み合わせで重症例に対して相乗効果などが期待できるかなど、このあたりはデータとして是非出していただいて、今後、重症例が出たときの有用な薬剤の1つとして検討するのは、非常に重要と考えます。

○押谷委員 今、齋藤委員がおっしゃったことと関連するのですが、現行の抗インフルエンザ薬、ノイラミニダーゼインヒビター、オセルタミビルを含めてです。明確なエビデンスとしてあるのは、有熱期間が10数時間短くなるということです。みんなが今の季節性インフルエンザに関しては、日本では国民の多くが抗インフルエンザウイルス薬の投与を受けている。それは、有熱期間が短くなることに期待をして受けている。それが一応国民的なコンセンサスが得られているのかなと私は思っているのです。では、みんながパンデミックが起きて、多くの人が亡くなるような事態になったときに、10数時間有熱期間が短くなると。そのことを期待して、これだけの税金を使っているわけではなく、国民はそういうことを本当に期待してはいないのではないかと思うのです。そういう事態になっても、抗インフルエンザウイルス薬があるので、重症化をどのぐらい防げるのかと。そのエビデンスは非常に乏しいエビデンスしかなくて、2009年のときにいろいろなデータが出てきて、メタアナリシス等で、ある程度重症化を阻止できる可能性があるというデータは出ていますが、実際にどの程度、ある程度というのは実際にどの程度かは実際のところはよく分かいない。結局、非常に弱いエビデンスしかなくて、日本でいろいろな抗インフルエンザウイルス薬が出てきて、バロキサビルもそうですが、今、齋藤先生もおっしゃったように、もしかすると、パンデミックが起きたときに重症化を阻止できるという意味で役に立つ薬かもしれないのですが、そこに対するエビデンスは、今のところは多分ない。そのエビデンスが出てくるとしたら、ほかの国ではそんなに使っていませんので、日本から出てくるしかないのかということを考えると、やはり我々の責任として、この薬が本当にそういう事態にどう使えるのかを、エビデンスとして明確に出していくことが必要なのかと私は思っています。

○谷口委員長 おっしゃるとおりだと思います。ほかに御議論はありますか。多分、今のエビデンスに関しては、きちっと研究班なり、そういったものを立てて系統的にやっていかないと、特に今は学会からの勧告も出ているわけですから、そういうことは絶対必要ではないかと思います。ただ、先ほどの議論のあったように、パンデミックが起こりましたら、みんな免疫がありません。バロキサビルを使いました。その後のウイルスは全部耐性になりましたというのでは話にならないので、多分そういったことも考えて、しばらくデータを見るということかと思います。

○長谷川委員 そこでどの程度データを見ることが必要かも考えなくてはいけないと思うのです。質問ですが、ファビピラビルを備蓄すると決めたときには、どれぐらいのエビデンスがあって、これは備蓄されたのでしょうか。

○竹下新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 ファビピラビルの場合には、もう1つエビデンスもそうですが、あと、もう1つ状況が違ったのは、市場で流通していないものだったので、そういったことも含めた上での備蓄の必要性を考えたことになっております。つまり、いざ使おうとしたときに、市場では一般の季節性インフルエンザで使うということでは薬事承認が取れておりませんので、そういったことを前提に、使うといったときに、ある程度の量がすぐには入手できないという状況になりますので、そういった意味でいうと、一定数、それこそ耐性が非常に多いような、ノイラミニダーゼでは全く有効性が示せないときに、使うというものが入手できるようにということで出されております。なので、エビデンスとしては、薬事承認として耐性のウイルスのときに使えることが、ある程度示されたものとして得られた段階で、そういった手続を取っております。

○谷口委員長 多分、あのときは本当に耐性ウイルスが出てきて、最後の手段的な考え方も結構ありましたよね。何かほかに御質問、御議論等はありますか。そうしますと、皆さんの御意見はしばらくいろいろな、積極的にという意味も含めて詳細なデータ、経験を蓄積した上で再考するという考え方でよろしいですか。ありがとうございます。

 本日、議題3つ目まで終わりましたが、この議題以外で新型インフルエンザ対策について、全般何でも結構ですが、御意見を頂ければと思いますが、いかがですか。議題123の中でもいろいろ御意見が出ましたが、まだまだ考えることはたくさんあろうかと思いますので、今後、日本国として、クリティカルデシジョンも含めて我々は考えていかなければならないのかもしれません。それでは、一旦、事務局にお返しします。

○福井新型インフルエンザ対策推進室室長補佐 それでは、事務局から、日程については追って御連絡をさせていただくようにいたしますので、よろしくお願いいたします。事務局からは以上です。

○谷口委員長 本日はこれで終了とさせていただきたいと思います。御議論ありがとうございました。