2022年4月18日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和4年4月18日(月)18:00~

出席者

出席委員(20名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(1名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  鈴木洋史(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のウェブ会議を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 まず初めに、濱先生に代わりまして、本日から新しく当部会の委員になられました先生を御紹介させていただければと思います。
 鳥取大学医学部附属病院薬剤部長の島田美樹先生でございます。
 島田先生、よろしければ一言御挨拶いただければと思います。
○島田(美)委員 この4月から委員として指名されましたので、微力ながら頑張っていきたいと思います。鳥大病院薬剤部の島田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品審査管理課長 よろしくお願いいたします。
 本日の医薬品第二部会につきましても、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、ウェブでの審議とさせていただいております。
 本日のウェブ会議におけます委員の出席状況でございますけれども、小崎委員から御欠席との御連絡をいただいておりますので、本日は、現在のところ、当部会委員数21名のうち20名の委員がこのウェブ会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続きまして、事務局に人事異動がございましたので御報告いたします。
 機構審査センター長に鈴木洋史が着任してございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 人事は以上でございます。
 それから、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認状況につきまして、報告をさせていただきます。
 薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。
 今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告をさせていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、大変御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田です。こんばんは。
 それでは、本日の審議に入ります。
 まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 それでは、本日のウェブ会議に係る資料の確認をさせていただきます。
 本日は、あらかじめお送りさせていただいた資料として、資料No.1-1から資料No.5までと製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。
 このほか、資料No.6として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.7として「専門委員リスト」を、資料No.8として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りさせていただいております。
 なお、システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申しつけください。
 続きまして、本日のウェブ会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。
 資料No.8の1ページを御覧ください。
 「ヌバキソビッド筋注」でございますが、本品目は「SARS-CoV-2による感染症の予防」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本ウェブ会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。
 議題1「ヌバキソビッド筋注」、退室委員、なし、議決に参加しない委員、亀田委員、川上委員、松下委員、南委員でございます。
 また、議題2につきましても、各委員より寄附金・契約金等の受け取りの申告をいただいておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 今の事務局からの説明に特段の御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は、審議事項2議題、報告事項1議題、その他事項1議題となっております。
 それでは、審議事項の議題に移ります。
 議題1及び議題2につきましては関連する議題ですので、まとめて御議論をいただきたいと思います。
 それでは、議題1につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。
 議題1、ヌバキソビッド筋注の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。
 資料No.1のフォルダを開き、「ヌバキソビッド筋注_審査報告書」のファイルをお開きください。
 本説明中にお示しするページ数は、各ページの下段に青色で記載の84分の幾つの数字を使用いたします。
 本剤は、SARS-CoV-2遺伝子組換えスパイクタンパク質ナノ粒子ワクチンであり、サポニンを主成分とするアジュバントが添加されています。本剤を筋肉内に接種後、これら2つのワクチン成分により、スパイクタンパク質に対するB細胞及びT細胞の免疫応答が誘導されると考えられています。
 本剤は、2022年3月17日時点で、30か国以上の国及びWHOにおいて条件つき販売承認または緊急供給の承認を取得しています。
 本品目の専門委員として、資料No.7に記載の10名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、御説明いたします。
 本剤の有効性は、主に、COVID-19の発症予防効果を評価した海外臨床試験2019nCoV-301試験(以下、301試験)及び2019nCoV-302試験(以下、302試験)に加え、免疫原性を評価した国内TAK-019-1501試験(以下、国内試験)に基づき審査いたしました。
 35ページを御覧ください。海外301試験では、「ベースライン時にSARS-CoV-2に対して血清学的陰性の成人における、PCR検査で確定した症候性COVID-19の最初の発症」に対するVaccine Efficacy(以下、VE)を主要評価項目に設定して、COVID-19の発症予防効果が検討されました。
 表33に、海外301試験におけるVEの結果を示しています。本剤のVEは90.40%であり、有効性に関する基準としてあらかじめ設定された「VEの両側95%信頼区間の下限値が30%を上回り、VEの点推定値が50%以上」を満たしていたことから、本剤の有効性が示されたものと判断いたしました。
 次に、39ページを御覧ください。表37及び表38に、海外302試験におけるVEの結果を示しています。302試験でも301試験と同様のVEが評価され、結果は、中間解析において89.3%、主要解析において89.7%でした。それぞれのVEにおける両側96.9%信頼区間または両側95%信頼区間の下限は、事前に規定された有効性の基準である30%を上回っていたことから、海外302試験においても本剤の有効性が示されたものと判断いたしました。
 続いて、日本人における免疫原性の結果について、21ページを御覧ください。表16に、治験薬1回目及び2回目接種後のSARS-CoV-2に対する中和抗体について、幾何平均抗体価GMT、幾何平均上昇倍率GMFR及び抗体陽転率を示します。国内試験では、20歳以上65歳未満のコホートと65歳以上のコホートが設定されました。検証的試験における有効性の主要な評価時点とされた2回目接種後14日時点で、本剤接種後のGMTは全体として884.4であり、高齢者コホートで非高齢者コホートより抗体価が低い傾向であったものの、いずれのコホートにおいても抗体陽転率は98%以上を示しました。
 次に、46ページを御覧ください。海外301試験及び302試験における中和抗体価の結果は表45及び表46にお示ししたとおりであり、国内試験の結果と大きく異ならない傾向を示しました。以上より、機構は、日本人においても、海外と同様の有効性が期待できると判断いたしました。ただし、長期の有効性データは得られていないことから、臨床試験等から引き続き情報収集する必要があると考えます。
 続いて、変異株に対する本剤の有効性について、御説明いたします。47ページ、下段「マル6 変異株に対する有効性について」を御覧ください。海外301試験及び302試験から得られたデータを用いて、これらの試験実施時に流行していた変異株に対する本剤の有効性を予備的に評価しました。その結果、アルファ変異株をはじめとする変異株に対するVEや重症度の内訳を踏まえますと、これらの変異株に対する本剤の有効性は期待できるものと考えられました。
 一方、48ページ、上から2行目「また、予備的な結果ではあるものの」から始まる段落以降を御覧ください。南アフリカ共和国で実施された2019nCoV-501試験(以下、501試験)において得られた探索的な結果からは、主要評価項目の最終解析において48.6%とのVEが示されており、301試験及び302試験と比べて低い傾向が認められました。501試験は南アフリカでベータ変異株が優勢な流行株である時期に実施されており、ウイルス株の配列が決定された発症例のうち約9割でベータ変異株が確認されたことから、本剤のベータ変異株に対する有効性が低下する可能性は否定できないものの、501試験ではHIV陽性の者を除外しなかったことによる影響等を踏まえると、本試験の成績のみから結論づけることは困難と考えております。
 オミクロン変異株に対する有効性については、探索的な中和抗体価の成績が得られています。50ページ、上から6行目「なお、101試験パート2において」から始まる段落を御覧ください。こちらの段落の最後の文章のように、バリデーション未実施の方法による探索的な結果ではあるものの、本剤2回目接種後14日の中和抗体価は、従来株に対して853、オミクロン変異株に対して232との結果でした。既承認のSARS-CoV-2ワクチンと同様、オミクロン変異株に対しては抗体価の低下が認められますが、他剤における知見も踏まえますと2回接種でも一定の効果はあるものと考えられます。なお、追加接種後の中和抗体価は、従来株に対して13,123、オミクロン変異株に対して823まで上昇が認められました。ただし、いずれも予備的な結果であることから、今後新たに出現する変異株も含め、変異株に対する有効性や変異株の流行状況については製造販売後も引き続き情報収集し、適切に対応する必要があると考えます。
 続いて、本剤の安全性について御説明いたします。36ページを御覧ください。表34に、海外301試験の治験薬各回接種後7日間における特定有害事象の結果を示しています。特に本剤2回目接種後に、被験者の多くで局所性及び全身性の特定有害事象が認められたものの、大部分が軽度または中等度であり、回復性が認められました。海外302試験及び国内試験においても、同様の結果が得られました。国内試験の結果は、22ページ、表17に示しています。国内外の安全性プロファイルに大きな差異は認められておらず、加えて、その他の有害事象の発現状況や年齢別の発現状況等も踏まえ、機構は、本剤の安全性プロファイルについて、承認の可否に影響する重大な懸念は認められていないと判断いたしました。
 次に、72ページを御覧ください。上から6行目「国内1501試験及び海外試験」で始まる段落に、新型コロナウイルスワクチン副反応の報告基準として挙げられているショック・アナフィラキシー、心筋炎・心膜炎及び血栓症の発現状況を記載しています。これらの事象についても、国内外の試験及び海外の使用許可後または製造販売後の情報から、現時点で追加の注意喚起が必要な状況ではないと判断しております。なお、本年3月31日までに収集された海外製造販売後の自発報告において、アナフィラキシー反応4件、心筋炎1件、心膜炎5件、肺塞栓症1件が報告されていますが、現時点で症例集積が限られること、情報が不足していることから、引き続き適切な情報収集と評価を行ってまいります。
 以上より、本剤接種に際して注意が必要な事項はあるものの、適切な注意喚起・情報提供の下で使用されることを前提として、本剤の安全性は忍容可能と判断いたしました。しかしながら、本剤接種後長期の安全性データは今後得られること、また、国内における本剤接種後の安全性に係るデータは限られていることなどから、今後も継続的な情報収集及び評価が必要と考えております。
 次に、本剤の用法・用量について御説明いたします。
 65ページ、下から5行目「機構は」から始まる段落を御覧ください。本剤の初回免疫について、本剤の国内外の臨床試験成績から、本剤0.5mLを1回分として、3週間の間隔で2回筋肉内接種すると設定することは可能と判断いたしました。
 一方、追加免疫に係る用法・用量について、73ページ、中段「マル1 審査報告(1)確定後の動向について」を御覧ください。本剤の追加免疫に係る試験として、現時点では、海外2019nCoV-101試験(以下、101試験)及び501試験において検討された追加免疫の探索的な成績が提出されています。また、現在、別途、海外301試験の継続試験として本剤を追加接種する検証的な試験、及び国内においてコミナティ筋注による初回免疫を受けた者に本剤を追加接種する検証的な試験を実施中です。これらの成績については今後提出される予定ですが、機構は、公衆衛生上の観点から、追加免疫に係る用法・用量の承認の可否について、現在実施中の試験成績の提出を待って判断するよりも、現時点で最大限利用可能な情報に基づき判断することを積極的に考慮すべき状況であると考え、101試験及び501試験の成績に基づき検討いたしました。
 まず、本剤による初回免疫を受けた者に対する本剤の追加接種について御説明いたします。101試験における追加接種後の免疫原性について、29ページ、表28を御覧ください。右から3番目の列、本剤を2回接種後168日に本剤を追加接種したB2群において、追加接種後28日の中和抗体価のGMTは6,185.4まで上昇しました。安全性に関して、同じページ、表29を御覧ください。右端の列、101試験B2群の97例において、追加免疫後の局所及び全身の特定有害事象の発現割合は初回免疫の2回目接種後に比べて高かったものの、大部分はグレード2以下であり、初回免疫完了の約6か月後に追加接種した際の忍容性は許容可能と考えられました。
 次に、74ページ、表64を御覧ください。追加接種後の免疫原性については、501試験においても同様の傾向でした。HIV陰性または陽性、ベースライン時に血清学的にSARS-CoV-2陰性または陽性等の被験者背景によらず、中和抗体価GMTは、本剤2回目接種後14日から180日までに減少し、一番下の「2回目接種後215日」、すなわち本剤追加接種後35日に上昇が認められました。
 続いて、75ページ、中段「マル3 機構の判断について」を御覧ください。追加免疫の有効性を示す中和抗体価の閾値等は明確でなく、有効性の代替指標としての中和抗体価の位置づけは確立しているとは言い難いものの、本剤については臨床的なイベントに基づき初回免疫の有効性を検証する試験が実施され、良好な成績が得られていること、また、初回免疫後の中和抗体価について試験間で大きな差は認められないことも踏まえると、中和抗体価の変動から一定の有効性が推測可能と考えられます。101試験では、初回免疫の2回目接種後14日時点の中和抗体価と比較して、追加接種後28日に約4倍まで中和抗体価の上昇が認められ、501試験においても同様の傾向が示されました。以上を総合的に評価すると、機構は、101試験及び501試験の成績から本剤の追加免疫に係る有効性が検証されたとは言い難いものの、一定の有効性は期待できると判断することは可能と考えます。
 安全性について、101試験で追加接種された安全性評価症例において大きな懸念はなく、また、本剤の初回免疫については3万例を超える被験者を対象とした観察者盲検試験において安全性が確認されており、既承認SARS-CoV-2ワクチンでは追加免疫後に初回免疫後を超える安全性の懸念は確認されていません。加えて、本剤の製造販売後においては、既承認SARS-CoV-2ワクチンと同様に、本剤接種後に認められた副反応の発現状況を定期的に評価・公表すると想定されることも踏まえると、本剤追加接種についても安全性は許容可能と判断いたしました。
 以上に加えて、本剤に係る公衆衛生上の有用性も踏まえると、製造販売承認後に追加免疫に係る試験成績を提出することを承認条件として付した上で、本剤の追加免疫に係る用法・用量を「1回0.5mLを筋肉内に接種する」とし、接種間隔について「通常、本剤2回目の接種から少なくとも6か月経過した後に3回目の接種を行うことができる」とすることは可能と判断いたしました。
 次に、本剤以外のワクチンによる初回免疫を受けた者に本剤を追加接種した場合(以下、異種追加接種)について、76ページ、中段「一方」から始まる段落を御覧ください。現時点で、これらの場合の免疫原性及び安全性について、本剤による初回免疫を受けた者に本剤を追加接種した場合の成績に基づき評価可能とは判断できません。したがって、添付文書等においては、異種追加接種における有効性及び安全性について確立していない旨を情報提供する必要があると考えます。
 一方で、既承認SARS-CoV-2ワクチンについては、製造販売承認後に厚生科学審議会等において初回免疫や追加免疫における交互接種の可否が検討され、追加免疫では初回免疫時に用いたワクチンの種類にかかわらず、コミナティ筋注またはスパイクバックス筋注のいずれかを使用可能とされてきたところであり、本剤についても同様に、承認後に異種追加接種に係る検討がなされる可能性はあるものと考えます。
 なお、現時点で、本剤について追加免疫の用法・用量が承認されている国・地域はないものの、本剤の承認、使用許可等がなされている複数の国及び機関において、mRNAワクチンの接種が適切ではないまたは接種を希望しない等の18歳以上の成人に対する本剤の追加免疫としての接種が認められております。
 最後に、本剤は、Sf9細胞を用いて製造される遺伝子組換えタンパク質ワクチンであることを踏まえ、本剤の製造方法に係る機構の判断について御説明いたします。
 10ページ、「2.R.1 本剤におけるSf-RV混入のリスクと管理について」を御覧ください。本剤は、Sf9細胞を用いたバキュロウイルス発現系でSARS-CoV-2の組換えスパイクタンパク質を産生させ精製したタンパク質を主な有効成分としています。Sf9細胞については、2014年の文献報告において、新規のウイルスであるSf-ラブドウイルスが混入していると報告されています。「ヒトまたは動物細胞株を用いて製造されるバイオテクノロジー応用医薬品のウイルス安全性評価」に係るICH Q5Aガイドラインにおいては、「げっ歯類のレトロウイルス以外のウイルスに汚染されたケースは、通常、医薬品の製造方法としては使用しない」とされていることを踏まえ、機構は、本剤の製造にSf9細胞を用いることの妥当性について評価いたしました。
 同じページ、「機構は、WCBの特性解析において」から始まる段落を御覧ください。発見から現在までの約8年間に得られた研究結果に基づき、Sf-ラブドウイルスは昆虫細胞でのみ増殖するラブドウイルスと考えられ、ヒトへの感染性・ヒトでの増殖性は有さないこと、ヒトは野菜等の身近な植物を通して間接的にSf-ラブドウイルスに曝露されていることが示唆されています。
 また、11ページ、中段「以上のように、WCB中に」から始まる段落を御覧ください。申請者は、原材料であるワーキングセルバンク中にSf-ラブドウイルスが存在していたとしても、原薬の精製工程中で十分に不活化/除去され、感染性を有するSf-ラブドウイルスが最終製剤に混入している可能性は極めて低いと説明しています。実際、本剤について開発初期段階に製造された原薬ではSf-ラブドウイルスの遺伝子断片が認められましたが、国内市販用製法で製造された原薬中にはSf-ラブドウイルス遺伝子断片は検出されませんでした。
 同じページ、下から2行目「加えて、海外では」以降に記載のように、海外ではSf9細胞を用いて製造された複数の医薬品が承認済みであり、うち、季節性インフルエンザワクチンについては米国、欧州及びオーストラリアで現在年間数百万ドーズ以上の単位で製造、販売されていますが、これまでにSf-ラブドウイルスに起因すると考えられる安全性の懸念は確認されていません。
 さらに、12ページ、上から9行目「機構の意見を踏まえ」から始まる段落を御覧ください。本剤の製造工程においては、原薬の全製造ロットについて、Sf-ラブドウイルス○○○○○○○○○○を測定する試験及び○○○○○○○○○○○○○○○○○○○感染性Sf-ラブドウイルス否定試験を実施し、Sf-ラブドウイルスに係る潜在的なリスクが適切に管理されます。機構は、以上のことに加え、SARS-CoV-2ワクチン開発に係る緊急性及び本剤については良好なリスク・ベネフィットが示されていることを踏まえると、Sf9細胞を本剤のセルバンクとして使用することは可能と判断いたしました。
 総合評価について、81ページに記載しています。
 以上の結果、機構は、総合評価に記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。本品目は既承認のSARS-CoV-2ワクチンとは異なるワクチンプラットフォームを用いた遺伝子組換えタンパク質ワクチンであり、COVID-19予防における新たな選択肢を提供するものであることから、本品目を医療現場に提供する意義はあると考えます。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、また、生物由来製品に該当すると判断いたしました。薬事分科会は報告を予定しております。
 次に、石井委員から事前にいただいております御質問3点について、機構から御説明いたします。
 1点目、国内製造の原薬エンジニアリングロット○○○○ではSf-ラブドウイルスが検出され、原薬PPQ○ロットでは検出されなかったとの結果が示されているが、これらのロットは製法が異なるのかという御質問をいただいております。
 エンジニアリングロットとPPQロットの製造方法はいずれも同様であり、ラブドウイルスRNAが検出された開発初期の○ロットの原薬製法とも同じです。ただし、PPQロットの製造では、エンジニアリングロットの製造結果を踏まえ、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、ウイルス除去/不活化の最適化がなされているものと考えております。なお、承認申請書の製造方法は、PPQロットの製造方法を踏まえた記載内容となっております。
 2つ目の御質問ですが、工程管理8として実施される原薬を対象とした残存Sf-ラブドウイルス試験及び感染性Sf-ラブドウイルス否定試験について、これらは本邦での上乗せの対応であるのかとの御質問をいただいております。
 審査報告書12ページ、上から5行目「機構は」で始まる段落のとおり、これらは機構が申請者に実施を求めた試験であり、本邦の製造でのみの対応となります。海外においては、Sf-ラブドウイルスについて、開発初期の特性解析において評価されたのみであり、製造工程における評価はなされておりません。両試験については、先生から、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、今後、試験法の改良が図られ、適切な試験が設定されると理解していると御指摘いただいておりますとおり、今後○○○○○○○○○○○○○○○○○、適切な管理値及び試験方法が設定されます。
 3つ目の御質問として、本品の製造販売業者において実施されるアジュバントであるMatrix-A及びMatrix-Cの受入試験の内容についてということで御質問いただいております。
 武田薬品工業の国内工場においては、受入試験として、試験1、試験2及び試験3を実施しています。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○とのことでございます。詳細な組成等が開示されておりませんので実施内容は限られますが、最終製剤におきましてはMatrix-A及びMatrix-Cそれぞれの含量が測定されることから、市販製剤の品質については担保されているものと考えております。
 議題1の御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。
 それでは、続いて議題2について、先に事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項、議題2「生物学的製剤基準の一部改正について」、事務局より御説明いたします。
 資料2の1ページの「1.改正の趣旨」を御覧ください。
 医薬品医療機器等法第42条第1項に基づき、保健衛生上特別の注意を要する医薬品等について、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を定めることができるとされており、生物学的製剤基準において、ワクチン、血液製剤等に係る基準を定めております。
 今回は、このたびの「組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン」を追加する改正を行います。
 本基準については、昆虫細胞を利用した組換えタンパク発現系で製造するワクチンとして、製品での力価試験のほか、セル・バンクやウイルスシードの管理と原液段階での残存バキュロウイルス否定試験等を設定したものとなっております。
 本議題につきましては、中野貴司委員と石井明子委員から事前に質問をいただいておりますので、まず御説明させていただきます。
 中野委員からは、過去の組換えタンパクワクチンは、一般名の語尾のところ、基準名の語尾のところに、例えば酵母由来であったりとか、チャイニーズハムスター卵巣細胞由来などが付されておりましたが、今回はそうではありません。こういったものを付す方がよいのか、それとも付す必要はないのかと、今後、ほかの組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンが承認申請される可能性もあると考え、その際の区別など、便宜上の問題も含めて質問させていただきますというコメントをいただいております。
 現在、世界的に開発されている主な組換えコロナウイルスワクチンですけれども、本品を含めて大体が昆虫細胞の発現系を用いているというところもございまして、今回、できるだけ簡潔な基準名で作成するということで、このたびの基準名を作成しているところでございます。
 なお、組換えタンパクワクチンにつきましてはB型肝炎ワクチンが一番最初ですけれども、これで複数の由来のワクチンが存在していたことから、それらを区別して基準が作成されて、それ以降の組換えタンパクワクチンについても、いわゆる発現系が何であるかを表すような言葉がついているところでございます。
 現在、生物学的製剤基準全体の最適化を進めるためにいろいろと検討を行っているところでありまして、そのような背景も勘案しまして、今回、簡潔な基準名で作成したところでございます。
 また、今後、仮に組換えコロナウイルスワクチンについて、本日御審議いただく基準とは別の基準を作成する必要が生じた場合など、必要に応じて他の各条も含めた見直しも検討していきたいと考えております。
 次に、石井委員からの御質問でございます。石井委員からは、本品の各条に収載する試験項目の選択の考え方について御説明をお願いいたしますというコメントをいただいております。
 こちらにつきましては、いわゆる昆虫細胞を発現系に用いた組換えコロナウイルスワクチンということで、その有効性・安全性を担保する上で特に重要と考えられる項目を他の組換えタンパクワクチンの各条も踏まえて設定させていただいたところでございます。ただ、先ほども申し上げましたけれども、現在、生物学的製剤基準全体の最適化を進めるために検討を行っているところでございまして、これにつきましては、今後、方向性といたしましては、検定に関わる事項であったり、品目横断的に求める事項であったり、あるいは予防接種政策上の必要な事項であったり、個別の承認書で記載できない事項など、いわゆる承認書で規定できない、あるいは承認書ではなくて主体的に国が定めるべき事項を検討しているところでございまして、関係者間での協議を経て、生物学的製剤基準の今後の方向性の整理ができましたら、また本部会に報告させていただきたいと考えておりますので、その際にはどうぞよろしくお願いいたします。
 本品の説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、まず、議題1と議題2に対して御質問いただいた石井委員から、ただいまの回答でよろしいかどうか確認させていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○石井委員 Sf-ラブドウイルスについて、非常に緻密に御検討いただいていると思います。追加のコメントはございません。
 Matrix-A及びMatrix-Cの受入試験につきましては、マスターファイルという事情は分かりますけれども、本品のアジュバントはスパイクタンパク質に勝るとも劣らない重要な成分だと思いますので、できるだけ製造販売業者と品質面でも密に連携して、最終製品の品質を確保していただきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 生物学的製剤基準につきまして、御説明は理解いたしました。有効性・安全性に関わる重要な項目を載せていただいているということは、よいことだと思います。例えば今回ですとポリソルベート80の含量などは非常に重要と思われますが、載っておりませんので、今後整理する際に改めて御検討いただけましたら幸いです。
 以上です。ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございました。機構から何か追加でございますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 特にございません。石井先生、ありがとうございます。引き続き製造販売業者と品質の担保について相談してまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 それから、1点、私の御説明について訂正をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど免疫原性のところの御説明で、免疫原性の国内外の比較について、2回目接種後14日時点で評価したという御説明の際に、14日を検証的試験における有効性の主要な評価時点と申し上げてしまったのですけれども、検証的試験における有効性の主要な評価時点は2回目接種後7日時点でございましたので、こちらの点、修正させていただきたいと思います。
 14日に関しては、7日時点よりも抗体価は上昇しておりますので、14日時点で抗体価を比較したこと自体は問題なかったと考えております。
 申し訳ございませんでした。
○清田部会長 この訂正について、特によろしいでしょうか。
 それでは、議題2に対して御質問いただいた中野先生、先ほどのこちらからの回答に対して、それでよろしいでしょうか。
○中野委員 質問に対する回答をありがとうございました。私も質問に書かせていただいたように、これまでの組換えタンパクワクチンは全て由来細胞を括弧づけで書いていただいている気がしたので、それを質問させていただきました。御回答で了解いたしました。簡便化も含めて、そういった方向性で進めていただくということで了解いたしました。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 それでは、ほかの委員からの御質問がございましたら受け付けたいと思います。ございますでしょうか。
 中野先生、どうぞ。
○中野委員 すみません、まとめてお話しすればよかったのですが、1点教えてください。
 Matrix-Xでしたか、アジュバントでございます。教えていただきたいのは、このワクチンで使われているアジュバントは、サポニン系のアジュバントかと思います。どちらかというと新しいタイプのアジュバントであって、そのせいで高い免疫原性、有効性が保たれているのかなと思いますが、国内外で同様のサポニン系のアジュバントを使ったワクチンがほかの製剤であるのかどうか、もしお分かりであればお教えいただきたいと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
 国内で現在サポニン系のアジュバントを使用しているワクチンとしては、帯状疱疹ワクチンであるシングリックスが挙げられます。そちらで使われていますアジュバントも、今回のアジュバントと同様のキラヤサポニン、キラヤから抽出されるサポニンということになります。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○中野委員 ありがとうございます。了解いたしました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。
 宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 大変基本的なところで申し訳ないのですが、まずは、4月6日に厚生労働省の予防接種室が発出している文書があるのですけれども、その中で、mRNAワクチンに対するアレルギーがある者へ当ワクチンの接種が受けられるとの記載があるのです。私は大変拙速な文書が出ているなと心配しておるのですけれども、では、mRNAに対するアレルギーがある者が、今回のワクチンは完全にアレルギーに対して安全であるというような確証はあるのでしょうか。機構にお聞きしたいと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構からお答えいたします。
 mRNAワクチンに含まれている主なアレルゲンとして問題になっているのがPEGかと思いますので、PEGに関して申し上げると、本剤には含まれておりません。
 ただ、本剤にもアレルギーを起こすと一般的に言われている物質が含まれていないわけではございません。そちらは情報提供資材においても提供させていただいておりますけれども、例えばポリソルベート80などはアレルギーを起こすことがある物質として知られているものかと存じます。ポリソルベート80については、抗体の注射剤の約7割に含まれているという報告もございますが、そういった点では、既承認のワクチンと同様に注意して御使用いただくものかと考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。私もそこが聞きたかったのですが、ポリソルベート80、mRNAワクチンのときでもそれがかなりあるということで、非常に大きな問題として副反応のところで取り上げられていたと思うので、機構側の責任ではないのです。機構を責めているわけではないのですが、予防接種室がそのような文書を発出したということが非常に問題なので、ここは訂正させなければいけないとは思うのですけれども、機構も心配だと思いますから、それから、厚生労働省の医薬品審査管理課にもお聞きしたいのですが、それはどのようにしたらよろしいのでしょうか。
○医薬品審査管理課長 予防接種室が出した文書に対して、この場でというのはなかなか難しいかもしれませんが、ただ、正確なワクチンについての評価に基づいた情報提供であるべきだと思いますので、本日の議論については健康局の方にお伝えしておきたいと思っております。
○宮川委員 よろしくお願いします。このような薬事の審査が終わったら出せばいいのですが、終わる前にそのような文書が発出されることは、私たち薬事承認をつかさどっている人間たちにとっては大変失礼な話だと思いますし、実際にこのようなアレルギーがあるということに対して、副反応のことに対してしっかりと記載があるべきです。アレルギーがある者に対して簡単にできるのだというようなことを短絡的に捉えられてしまうのは非常に問題であろうと思います。副反応部会に対しても非常に問題が波及されることになるので、そのような記載があった場合には訂正していただくお願い申し上げます。これは都道府県にまで届いているので、これに関してはぜひ取り下げてもらうように、このような形に対しては、これからも慎重に扱っていくということを、再度、健康局健康課の方にしっかりとお伝えしなければいけないと私は思っております。
 以上でございます。
 機構に対しては全く問題ございません。ただ、事実を確かめたかったので、大変失礼いたしました。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、よろしくお願いいたします。
 宗林先生から御質問があるようです。
○宗林委員 宗林です。1点御質問させてください。
 今回、ブースター接種のところまで同時に承認が出ていますが、中を見ますと、先ほど御説明もありましたように、76ページのところで、異種追加接種に関しての有効性・安全性については確立していないと。また、それを添付文書にも書くようにということで、添付文書の中の8.7のところにも記載されています。
 そうなりますと、この追加接種の今回のものについては、1回目、2回目を打たれて、それから3回目を打つときの話として受け取ればよろしいでしょうか。それとも、それまでに異種類のものについての追加接種のデータが出てくるので、それまで待ってという意味でしょうか。その辺を教えていただければと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構からお答えいたします。
 先生が御指摘のとおり、薬事の観点からは、添付文書に記載可能な情報としては、現在、本剤を初回で打った方に対する追加免疫ということを超えて情報提供差し上げることは難しいと考えております。そちらの状況については、現在、既承認のコミナティやモデルナのワクチンについても同様の状況と考えております。ただ、ワクチンについては、薬事の添付文書の範囲だけではなくて、今後、厚生科学審議会等で実際にどのように使用していくのかを御議論いただくものと考えておりますので、そちらで先ほど私から御説明したような例えば海外の接種状況等も含めまして御検討いただくことになるのではないかと考えております。
 機構側から御説明できることは以上になります。
○清田部会長 宗林先生、いかがですか。
○宗林委員 ありがとうございました。運用上そういうふうになっていくのだろうなと思いましたが、そのときは添付文書も8.7のところの確立されていないという辺りは修正されることになるのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。
 先ほど御説明差し上げたように、現在、武田薬品工業の方で異種の追加接種、つまりコミナティを打った方にヌバキソビッドを追加接種する試験を実施しております。その試験の結果が出るのが夏頃と伺っておりますので、恐らく添付文書の改訂自体はその際に検討することになるものと機構としては考えております。
○宗林委員 ありがとうございました。よく分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。
 どうぞ。
○宮川委員 今、宗林先生がおっしゃったことは非常に重要なことで、同種の追加接種と異種の追加接種というのはしっかりと分けて考えるべきであります。機構の方がしっかりとそのような形で御説明願ったことは大変ありがたかったと思います。
 しかしながら、薬事の分科会としては、同種の追加接種なのか、異種の追加接種までしっかりと認めるというわけではないですけれども、それを認識しているのかということは非常に重要かと思います。異種の追加接種のニーズは公衆衛生上の有益という形で高いと考えられますが、有効性・安全性に関してはさほど実際に有益な情報は得られていません。それにもかかわらず、機構も、専門家も、それは分かっていてここにさまざまな記載があります。どこまで薬事の部部会として、有効性・安全性に対して、言い切ることができるのかどうかは私にとっても非常に難しいと考えます。海外での追加接種の承認のない中で、我が国でそれを承認する理由をしっかりと探していかなければいけないということは事実だろうと思います。それに関しては、何らかの文言というか、審議の中で疑念が出されているという表明はすべきだろうと私は思っています。
 しかしながら、それが公衆衛生上何なのかということで、分科会の方でまた別に審議されるということでしょうけれども、薬事の審議としては、やはり問題であろう考えますので、御意見申し上げたいと思います。
 以上です。
○清田部会長 機構からいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。
 先生からいただいた御指摘も踏まえて、機構といたしましても、引き続き適切な情報の評価を継続していきたいと考えております。ありがとうございました。
○宮川委員 機構の方、大変でしょうけれども、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 それでは、ないようですので議決に入りたいと思います。
 議題1につきましては、亀田委員、川上委員、松下委員、南委員におかれまして、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくものといたします。
 まず、議題1につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 次に、議題2につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、報告事項に移ります。
 報告事項、議題1につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 報告事項の議題1、資料No.3とNo.4について併せて御説明させていただきます。
 まず、資料No.3を御覧ください。こちらは「バキスゼブリア筋注」に関する承認条件の解除に係る御報告でございます。
 資料の1ページの2段落目に記載しておりますが、「バキスゼブリア筋注」における初回承認時において、一部提出されていなかった原薬及び製剤の長期保存試験結果が提出されました。機構において、提出された資料を確認いただいた結果、特段問題はないと判断いただいており、それによって承認条件の(4)と(6)は満たされたものと判断しております。
 (4)と(6)は具体的に何かと申しますと、下のところに承認条件で(1)から、次のページにわたりまして(6)まで記載しておりますが、(4)が長期安定性等に関する情報を引き続き収集し、報告することというもの、(6)は総括的な記載ですが、猶予資料の提出期限が6か月というもので、いずれも今回の資料提出と確認によって対応されたということで、これらの記載を今後削除していくとさせていただければと思っております。
 続きまして、資料No.4でございます。こちらはワクチンではなくて治療薬ですが、「ゼビュディ点滴静注液」、同じく新型コロナの治療薬に関する承認条件の解除について御報告いたします。
 資料の2ページを御覧ください。ゼビュディにつきましては、昨年9月に承認され、現在1から5までの承認条件が付されております。先ほどのバキスゼブリアと同様ですが、3.に猶予資料の提出の期限として4か月ということが記載されており、今回、これに基づいて資料の提出がなされたものでございます。
 2については、資料の提出が猶予されていることに基づいて、文書による同意を得てから初めて投与するといった承認条件が記載されていますが、こちらについても資料が提出されましたので、併せて対応について確認したものでございます。
 3ページの「2.提出された資料の概要」を御覧ください。具体的には、海外第I相試験ということで、日本人と外国人健康成人を対象とした第I相試験、主にPKを確認する試験が提出されております。その結果が、表1に記載したとおりの薬物動態の情報となっております。
 日本人における値が少し高いという結果になっておりますが、体重の影響を補正したものが4ページの表2に記載されており、この結果に基づいて同等程度ということで、結論としては、臨床的に重要な差異ではないと考えております。
 この結果に基づきまして、承認条件の2と3については対応されたと判断しております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございました。
 委員の皆様から何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、報告事項、議題1につきましては、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項に移ります。
 その他事項、議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項といたしまして、資料No.5を御覧いただけますでしょうか。ソトロビマブのオミクロン株BA.2系統への対応について、御報告させていただければと思います。
 本日、直前にお送りした資料を画面共有もさせていただければと思いますので、併せて御覧ください。
 まずは資料No.5を御確認いただければと思いますけれども、「1 背景」でございますが、SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統、いわゆるオミクロン株ですが、2021年11月26日にWHOから「オミクロン株」と命名されて、懸念される変異株に位置づけられております。
 オミクロン株の下位系統としては、BA.1、BA.2、BA.3と3つの系統がありますが、世界的にはBA.1系統が最も多くを占めていると推定されていましたけれども、多くの地域でBA.2系統が増加しており、幾つかの国で優勢となっているという報告がなされています。
 3つ目の○と4つ目の○で、国内においても増加しているということを記載させていただいておりますが、少し情報が古いということもありますので、最新の情報を画面共有させていただいております。こちらは国立感染症研究所から提供いただいた4月15日までの登録数に基づく4月10日時点での推定の割合を都道府県ごとと全国で示したものです。少し黄色がかったところが割合を示しておりますが、ほとんどの都道府県で50%を超えているという状況で、全国においては75%という推計となっております。こちらが現在のBA.2系統の日本における割合となっております。
 こういった状況を踏まえまして、資料No.5に戻っていただき、「2 中和活性の変化について」です。ソトロビマブにつきましては、GSK社からBA.2系統に対する中和活性を検討した試験の結果の報告がなされております。表に記載しておりますが、疑似ウイルスにおきましては、BA.2については野生株から16倍程度の変化倍率がEC50においてあったという報告が提出されております。
 また、(2)において臨床分離株における中和活性も併せて報告されておりますが、こちらは91分の2ページの一番上の表を見ていただければと思いますけれども、2つのBA.2系統の臨床分離株で検討されていますが、EC50については16.5倍または15.1倍、EC90につきましては48.1倍または25.3倍という結果となっておりました。
 これについて、「3 有効性・安全性への影響にかかるGSK社の見解について」を記載しておりますが、(1)の用法・用量につきましては、GSK社から、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○見解が示されておりまして、結論としては3つ目のポツに書いていますが、BA.2系統に対しては、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ことということがGSK社としての見解として示されております。
 これにつきまして、(2)に安全性について記載しておりますが、ソトロビマブを○○○○○○○○する際の安全性につきましては、GSK社は、現時点では軽度から中等度のCOVID-19患者に対する臨床的なデータはないとした上で、以下のとおり考えているということです。
 1ポツ目に書いていますが、英国においてオックスフォード大が中心となって実施した大規模医師主導試験(RECOVERY試験)において、入院患者に対する1,000mgの単回点滴静注が投与されているという報告がされています。この中におきまして、安全性の情報としては、投与直後の注入に伴う反応や、予期しない重篤な有害事象などが収集されているということでございました。結果としては、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○とされております。
 これらについて、4番目で、海外においてどういった対応がされているかということを御紹介させていただければと思います。
 まず、米国のEUAにおきましては、中和抗体全般につきまして、非感受性のSARS-CoV-2変異株が流行していると考えられる地域では許可の対象から外されることになっております。
 本剤につきましては、具体的な地域はFDAが示すこととなっておりますが、この表のとおりに対応されてきておりまして、BA.2系統の割合が50%以上となった地域から順に許可外とされるという取扱いになっております。具体的には、3月25日にここに記載の地域、3月30日にここに記載の地域を追加して許可外となり、4月5日には全米、全ての地域において許可の対象外となったという取扱いだと承知しております。
 GSK社におきましては、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ということですが、FDAの判断といたしましては、500mg投与についてはBA.2系統へ有効である可能性は低いとして、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○としています。さらに、○○○○○○○○○○につきましても、○○○○○○○○○○○○○○○○○○伺っております。
 また、米国FDAは、米国では、軽症から中等症の患者向けの治療薬としては、BA.2系統への有効性が期待されるものとして、パキロビット、ベクルリー、ベブテロビマブ、ラゲブリオがあるとしております。このうち3つ、パキロビット、ベクルリー、ラゲブリオについては日本でも承認されていますが、ベブテロビマブはイーライリリー社が米国においてのみ製造販売をしている中和抗体薬でございます。
 欧州につきましては、現在、対応を検討中と聞いております。
 これらの状況を踏まえまして、「5 日本における対応について」ですが、まず、GSK社が○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と考えております。
 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○と考えております。
 ただ、BA.1系統に対するロナプリーブの効果と異なり、本剤については極端な中和活性の低下が認められたものではないと考えられますので、有効性が認められないということについて必ずしも明らかではないといった状況であるとも考えられます。
 このため、本邦においてオミクロン株に対して利用可能な他の中和抗体薬がないということも踏まえまして、ソトロビマブについては、まず、BA.2系統に対しては、他の治療薬が使用できない場合に投与を検討するよう、添付文書において注意喚起するといった対応ではどうかと考えております。
 具体的な添付文書の記載では、ここに書いているとおりですが、資料の一番下、91分の88ページに添付文書の修正後の案を記載しております。こちらは本日別途御報告した承認条件の解除を踏まえた記載内容にもなっているものでございますが、品目名の下の黒い枠の中に記載のとおり、「omicron株(B.1.1.529/BA.2系統)については、本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、他の治療薬が使用できない場合に本剤の投与を検討すること」という注意喚起を記載してはどうかと考えております。
 以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。
 委員の先生方から何か御質問はございますでしょうか。
○宮川委員 これは体格・体重のことも利いてくるとは思うのですけれども、例えば諸外国と日本とではかなり体格・体重が違うので、この辺の概略、500mgでは効かないかもしれませんけれども、それに近いぐらいの日本人の投与量になっている可能性とかはあるのでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
 ちょうど本日別途御報告しております資料No.4にゼビュディの日本人と外国人のPKの差を記載しているところでございます。こちらでも報告されているとおり、日本人では一定程度、外国人よりも体重が小さいので、PKの値としては高めになっているということは報告されております。ただ、直接的にPKの値と有効性についてどこまで何が言えるかというのは、必ずしも直結させての議論は現時点では難しいと思っていますが、参考としてこういったことになっていることは御報告させていただければと思います。
○宮川委員 絶対に効かないから無理だというような感覚ではなく、例えば臨床上有用であろうといった場合には、速やかに投与していくような配慮も非常に必要だろうという意識は持っていていいのかなという気がします。
 これは雑談的な話です。
○事務局 ありがとうございます。
 資料にも記載させていただいたとおり、有効性がないということが明らかになったというものではないと考えておりますので、最終的には医療現場における判断に基づいて使用していただければと思っております。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
 それでは、その他事項、議題1につきましては御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会につきましては、追って御連絡をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。お疲れさまでございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)