2022年1月28日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

日時

令和4年1月28日(金)18:00~

出席者

出席委員(17名)五十音順
(注)◎部会長 ○部会長代理
 
欠席委員(4名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •    山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会のWeb会議を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度の医薬品部会につきましても新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からWebでの審議とさせていただきます。
 まず、本日のWeb会議におきます委員の出席状況について、飯島委員、小崎委員、武田委員、平石委員より御欠席との御連絡を頂いております。このほか現時点で佐藤直樹委員が遅れて御参加との御連絡を頂いております。そのほか石川委員、大森委員も現時点でまだ参加されておりませんが、後ほど御参加いただけるものと思っております。したがいまして、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち14名の委員がこのWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 次に、薬事分科会規程第11条におきまして、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない。」と規定されています。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますことを御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますけれども、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、森部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○森部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をお願いいたします。
○事務局 本日のWeb会議にかかる資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りいたしました資料のうち、資料No.1~資料No.12と製剤写真を用いますので、お手元に御用意ください。このほか、資料13として、「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料14として、「専門委員リスト」、資料15として、「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りいたしております。なお、システムの動作不良などがございましたら会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料15の1ページを御覧ください。「ケレンディア錠」ですが、本品目は「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページを御覧ください。「Soticlestat(Dravet症候群)です。本品目は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないDravet症候群のてんかん発作に対する併用療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページを御覧ください。同じくSoticlestat(Lennox-Gastaut症候群)ですが、本品目は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないLennox-Gastaut症候群のてんかん発作に対する併用療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。今の事務局の説明について、特段の御質問、御意見等はございますでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、先生方の御了解を得たものとさせていただきます。
 それでは委員からの申出について、御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく、各委員からの申し出状況及び第5条に基づく取扱いについては次のとおりです。議題1、ケレンディア錠の退出委員は、佐藤直樹委員。議決に参加しない委員は、代田委員、長谷川委員です。議題2、Soticlestat(Dravet症候群)の退出委員は、なし。議決に参加しない委員は、大森委員、川上委員、宮川委員です。議題3、Soticlestat(Lennox-Gastaut症候群)の退出委員は、なし、議決に参加しない委員は、大森委員、川上委員、宮川委員です。以上です。
○森部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見等はございますか、よろしいでしょうか。よろしければ皆様に御確認いただいたものとさせていただきます。
 本日は、審議事項3議題、報告事項8議題、その他事項1議題となっています。
それでは審議事項の議題に移らせていただきます。審議事項「議題1」ですけれども、佐藤直樹委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条及び利益相反の申出に基づきまして、議題1の審議の間、会議から御退出いただきまして、御待機いただくこととなっております。佐藤直樹委員、恐縮ですが御退出をお願いいたします。
── 佐藤直樹委員 退室 ──
○森部会長 確認いたしました。では、議題1について機構から概要の説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いいたします。議題1、資料No.1、医薬品ケレンディア錠10mg、及び同錠20mgについて、機構より説明させていただきます。審査報告書の一番下、全108ページの通し番号で4ページ、「1.起原又は発見の経緯及び外国における使用状況に関する資料等の項を御覧ください。本剤は、ミネラルコルチコイド受容体の選択的阻害薬であるフィネレノンを有効成分とし、組織の炎症及び線維化を抑制することにより、心臓及び腎臓において臓器保護作用を示すと考えられます。今般、二つの国際共同第III相試験の成績等に基づき2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(CKD)に係る効能・効果で製造販売承認申請が行われました。なお、本剤は2022年1月時点で、米国を含む4か国で承認されています。また、欧州では、2021年12月末の諮問委員会(CHMP)にて承認勧告が出されております。
 本品目の審査の概略について、国際共同第III相試験である試験16244及び試験17530の成績を中心に説明いたします。審査報告書の通し番号43ページを御覧ください。一つ目の国際共同第III相試験16244として、糖尿病性腎臓病患者を対象に、腎保護作用を検討するプラセボ対照二重盲検比較試験が実施されました。本薬の用法・用量はeGFRに応じて10又は20mgを1日1回から投与開始し、投与開始4週間後以降に血清カリウム値及びeGFRに応じて用量を調節することとされました。
 審査報告書の通し番号46ページ、表31を御覧ください。主要評価項目はeGFRの40%以上の持続的な低下、腎不全(末期腎不全及びeGFRの15ml/min/1.73㎡未満の持続を含む)及び腎臓死で構成される「腎複合エンドポイントの初回発現までの期間」とされ、腎複合エンドポイントの発現抑制効果についてプラセボに対する本薬の優越性が検証され、また、その構成要素についても同様の傾向が認められました。
 日本人集団における有効性の結果について、審査報告書の通し番号48ページ、表33を御覧ください。主要評価項目である腎複合エンドポイントのプラセボに対する本薬のハザード比は0.911と1を下回る結果でしたが、構成要素の一つである「腎不全」は1を上回る結果でした。
 続きまして、審査報告書の通し番号49ページを御覧ください。二つ目の国際共同第III相試験(試験17530)として、糖尿病性腎臓病患者を対象に、心保護作用を検討するプラセボ対照二重盲検比較試験が実施されました。用法・用量を含む試験デザインは一つ目の試験とほぼ同様とされましたが、一つ目の試験との違いとして、相対的に腎障害の程度が低い患者が組み入れられるよう、アルブミン尿とeGFRに関する基準が異なっており、また、主要評価項目は、心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中及び心不全による入院から構成される「心血管複合エンドポイントの初回発現までの期間」とされました。
 審査報告書51ページ、表36に示しますように、心血管複合エンドポイントの発現抑制効果についてプラセボに対する本薬の優越性が検証され、また、その構成要素においても同様の傾向が認められました。
 日本人集団における有効性の結果について、審査報告書の通し番号54ページ、表38を御覧ください。主要評価項目である心血管複合エンドポイントのプラセボに対する本薬のハザード比の点推定値は1を下回り、日本人集団において全体集団と一貫した傾向が認められました。
 先ほど説明しましたとおり、試験16244の日本人集団において腎複合エンドポイントの構成要素別のプラセボ群に対する本薬群のハザード比のうち、「腎不全」では1を上回ったこと、加えて、試験17530においても、審査報告書の通し番号54ページの表38に記載のとおり、副次評価項目とされた腎複合エンドポイント及びその構成要素のプラセボ群に対する本薬群のハザード比は、いずれも1を上回ったこと等を踏まえ、日本人患者における本薬の腎複合エンドポイントの発現抑制効果について詳細に検討いたしました。
 審査報告書59ページから記載している「7.R.2.3 日本人における本薬の有効性について」の項を御覧ください。まず、本薬の薬力学的作用として国内外の第II相試験(試験16816及び試験16243で評価された尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR))の変化の用量反応関係は、審査報告書40ページの表25及び42ページの表27に示したとおり、国内外差は認められず、本薬の薬物動態にも臨床上問題となるほどの国内外差は認められませんでした。
 次に、医療環境、2型糖尿病を合併するCKD患者の病態等を含め、内因性及び外因性民族的要因に関して検討を行いましたが、本薬の有効性に影響を及ぼすような国内外差は示されておらず、審査報告書62ページの図5及び図6に示しますとおり、各試験での腎不全の発現状況の国別のフォレストプロットから、プラセボに対するハザード比が1を上回った日本を含む国の中で地理的要因及び民族的要因の明らかな類似性は見出されませんでした。加えて、試験16244及び試験17530は、実施可能性の観点から、いずれも腎複合エンドポイントの各構成要素に対して、全体集団と日本人集団の一貫性の評価が十分に可能な日本人症例数を組み入れておらず、日本人被験者及びイベント発現例数が少数であったことによる可能性も考えられました。
 審査報告書61ページのマル4に示しますように、日本人集団では、腎複合エンドポイントを発現せず死亡に至った症例がプラセボ群に多く見られたことも、腎複合エンドポイントを指標とした評価に影響した可能性もあり、腎不全の進展につながるeGFRの持続的な低下については日本人集団でも抑制傾向が示されたことを重視し、本薬の腎複合エンドポイントの発現抑制効果が日本人患者にも適用されると判断いたしました。また、腎複合エンドポイント以外のCKD患者の予後の関連する重要な評価項目に関して、試験17530では主要評価項目の心血管複合エンドポイントについて全体集団と同様に日本人集団でプラセボに対する本薬のハザード比が1を下回っていたこと、全死亡については試験16244及び試験17530のいずれにおいても全体集団と同様に、日本人集団でプラセボに対する本薬のハザード比が1を下回っていたことも踏まえると、結論としては、試験16244及び試験17530の日本人集団において、全体集団とおおむね一貫した有効性が認められ、本薬の臨床的なベネフィットは日本人の2型糖尿病を合併するCKD患者でも期待できると判断しました。日本人患者における有効性の解釈については、専門協議でも特に重要な論点として専門委員に意見を伺い、限られた症例数と少ないイベント数のため解釈に限界があるとしつつ、二つの国際共同第III相試験の成績から日本人の2型糖尿病を合併するCKD患者でも、臨床上、心・腎の臓器保護に関するメリットは得られるとした機構の判断を支持することで専門委員の意見も一致しました。
 続いて、安全性についてです。審査報告書69ページから記載している「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。国際共同第III相試験において、プラセボ群と比較して本薬群で作用機序から想定される高カリウム血症の有害事象の発現割合は高く、eGFR低値、血清カリウム高値、高カリウム血症の既往歴がある患者で、より発現リスクが高まる傾向が認められたことから、高カリウム血症の発現について注意喚起するとともに、eGFR低値、血清カリウム高値、高カリウム血症の既往歴のある患者では、本薬投与の必要性を慎重に検討した上で、本薬を投与する場合には、血清カリウム値をより頻繁に測定し、試験の基準にしたがって投与量を調節する必要があると判断しました。また国際共同第III相試験では、血清カリウム値が5.5mmol/Lを超えた場合は、本薬の投与を中断する規定であり、このような場合での投与経験は非常に限られていることを踏まえ、本薬の投与開始時に血清カリウム値が5.5mmol/Lを超える患者は禁忌とする必要があると判断し、専門委員に支持いただいております。
 続きまして、本薬の投与対象及び効能・効果について御説明します。審査報告書の通し番号87ページ「7.R.5 投与対象及び効能・効果について」の項を御覧ください。試験16244及び試験17530を実施した結果、有効性が確認されたという経緯を踏まえますと、本薬の投与が推奨される集団は、これらの試験の対象集団に基づく集団と同様とすることが妥当と判断し、添付文書の効能・効果に関連する注意の項に、「臨床試験に組み入れられた患者の背景を十分に理解した上で、適応患者を選択すること」と注意喚起し、臨床成績の項で試験の対象となった患者の条件を具体的に記載することとしました。なお、臨床試験の対象とされなかった、マル1糖尿病以外の原因のCKD患者、マル2ACE阻害薬又はARBを投与していない患者、マル3アルブミン尿のない又はeGFRが25ml/min/1.73㎡未満の患者、マル4末期腎不全又は維持透析中の患者を本薬の投与対象に含めることの可否については、それぞれ審査報告書の通し番号89ページから示す検討の結果、末期腎不全又は維持透析中の患者は投与対象から除外すべきとして、効能・効果に反映し、その他の集団は投与対象から明確に除外する必要まではないと判断しました。以上の判断についても、専門委員に支持いただいております。
 続きまして、用法・用量について説明いたします。審査報告書の93ページから記載している「7.R.7 用法・用量について」を御覧ください。いずれの国際共同第III相試験においても、維持用量の内訳に全体集団と日本人集団で大きく異なる傾向が示されず、本薬の有効性及び安全性が示されたことから、基本的にはこれらの試験で規定された開始用量、最大用量及び用量調節方法に従って投与することが適切であり、これらの内容は添付文書に記載することが適切と判断しました。
 最後に、製造販売後調査について御説明します。審査報告書の102ページから記載しています「1.7 医薬品リスク管理計画(案)について」の項を御覧ください。試験16244及び試験17530における高カリウム血症の発現状況を踏まえ、使用実態下における高カリウム血症の発現状況について、患者背景、臨床検査値等を収集することにより、高カリウム血症のリスク因子を検討することを目的とした製造販売後データベース調査を実施する予定です。加えて、心血管イベントの発現抑制効果も含めて総合的に日本人における本薬の有効性は期待できると判断しましたが、腎不全の発現抑制効果については日本人における有効性を強く支持する成績であったとは言えないことから、製造販売後に使用実態下での本薬投与時の腎不全等の発現状況を、適切な対照と比較する等して確認することが妥当と判断し、腎不全等の発現抑制効果を評価するためのデータベース調査を検討中です。調査計画の詳細は今後、申請者と疫学調査相談等を活用して決定する予定ではありますが、腎不全等の腎イベントの発現状況を適切な対照集団と比較検討をする予定です。
 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、当部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
 本剤は新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体は劇薬に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○森部会長 御説明どうもありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問、御意見等をお願いいたします。
○代田委員 代田ですが、よろしいでしょうか。
○森部会長 どうぞ、お願いいたします。
○代田委員 先ほど話があった腎不全の発現で、日本人においてはハザード比が1を超えるということで、この傾向をフォレストプロットで見ても結構、他の集団でも1を超えていることが多いと感じました。発売後に適切な集団を対象として、もう一度調査をされるということですが、具体的にはどのようなデザインをお考えかを教えていただけますでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 製造販売後データベース調査は、本薬非投与群を対照として、実施可能性を踏まえて本薬群を400例、対照群を800例収集し、腎イベントの発現状況を比較し、イベント抑制効果が非投与集団より劣らないことを確認する予定としております。腎イベントの定義等の詳細は、今後実施予定の疫学調査相談等を踏まえて検討する予定です。
○代田委員 サンプルサイズが十分あることが必要だろうと思いますので、十分に検討していただければと思います。それから、もう一点よろしいでしょうか。
○森部会長 どうぞ、お願いします。
○代田委員 二つの介入試験の年齢層が大体どのようなものかということで、特にカリウムの上昇については高齢者が心配になるのですけれども、実際にはどういう対象で、この年齢層で、この介入試験が組まれていて、高齢者というのはどの程度含まれていたかについてお伺いしたいのですが。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。年齢の平均値としては65.56歳で、65歳~74歳以下の患者が最も多く、約2,400例含まれております。こちらは一つ目の試験の背景で、二つ目の試験の傾向もほぼ同様でした。
○代田委員 高カリウム血症を来す方は、やはり高齢者が多いように思うのですけれども、例えば75歳以上とかの比較的高齢の集団はどのぐらい含まれているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 75歳以上の患者は895例含まれておりました。
○代田委員 では、その集団の安全性は、ある程度確認できているという認識でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そうです。
○代田委員 ありがとうございました。
○森部会長 今の数は、16244の方でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。
○森部会長 もう一つの17530はいかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 今、数値を確認しておりますので、申し訳ありません。少々お待ちいただけますか。
○森部会長 お願いいたします。代田先生、御質問はこの2点でよろしいですか。
○代田委員 はい、結構です。
○森部会長 分かりました。代田先生から御質問があった今後のデザインに関することですけれども、腎症はどういった方を含むのか。16244のような方を含むのか、17530のような方を含むのか、これは何か決まっていらっしゃいますか。若しくは、広く全体をカバーする感じになるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現在のデータベース調査での対象集団の想定としては、16244及び17530の投与対象はどちらも含める予定で考えております。
○森部会長 はい、分かりました。では、腎症は2期も3期も両方入るということですね。
○医薬品医療機器総合機構 先ほど代田先生より御質問いただいた試験17530の年齢分布について御説明いたします。試験17530の年齢の平均値としては64.13歳で、75歳以上の患者は1,021例と試験の14%程度含まれておりました。
○代田委員 これは日本人とグローバルと、ほぼ同じような年齢分布なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 確認したところ、全体集団と同じぐらいの割合で含まれているようでした。
○代田委員 ありがとうございました。
○森部会長 では引き続き、大谷委員から御質問を承ります。
○大谷委員 単刀直入にお伺いしたいのですけれども、これは結果的に日本人における有効性というのは確認されていないのではないでしょうか。非常に単刀直入な質問になってしまうのですけれども。
 全体集団においてはKaplan-Meierプロットとかを見ても効いているような気はするのですが、日本人において有効性を明確に示しているデータが見当たらないものですから、全体集団と日本人集団で傾向が同じだとはいっても、日本人においては、全体として効きが悪いとしかとれないのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。日本人の評価においては、審査報告書でも先ほど説明したような引用箇所で詳細を記載しております。まず腎複合エンドポイントの評価としては全体集団と同様の傾向がみられており、eGFRの低下の減衰率についても、本薬群でプラセボ群に比べれば良好な傾向にあったことから、同様の傾向がみられるとして日本人でも有効性が期待ができるという判断をしております。国際共同治験として実施する以上、どうしても日本人において有効性の評価に限界がありますが、基本的には今回、腎複合エンドポイントを評価した試験と、もう一つの心血管イベントをメインの評価項目とした二つの試験においては、日本人集団でも主要評価項目でハザード比は1を下回っており、こうしたところからも同様な傾向が示されたとの総合評価をしております。全体集団と日本人集団の結果で、ある程度類似した傾向が示されれば、国際共同治験の基本的な解釈としては、全体で検証された有効性が日本人にも適用できるという仮定に基づいて実施しておりますので、今回はそれらの試験全体の成績が日本人でも期待できると判断することは可能だと、結論に至ったものです。
 ただ、腎イベントの抑制効果の大きさという観点では、やはり御指摘いただいたように日本人の方が全体よりは効果が小さいかもしれないという可能性も否定はできない結果かと思いますので、そうした点を含めて製造販売後のデータベース調査で更に詳細な検討を行っていきたいと考えております。以上です。
○大谷委員 確かに、国内での被験者数が少ないので、統計学的に有意差が出にくいということは分からなくはないのですけれども、ただ全体として、もちろん報告文を一つ一つ見ていくと、日本人が国際共同治験とほぼ同等若しくはそれより少し上回る程度の平均値で効いているものもあるのですけれども、全体として見たときに、少なくとも日本人において統計学的に有意な有効性はみられていないということ。それから、国際共同治験に比べると、やや日本人の方は効きが悪いというような傾向が散見されるというところから考えると、本当にこの薬が日本人にとって効くのかなというのは、非常に有効性を期待できるという判断をしていいのかどうか、私には少し疑問が残るのですが、ここは余り論点にはならなかったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先ほどと多少繰り返しになりますが、やはり日本人集団だけで何か統計学的に有意なものを示すというところは、国際共同治験の性質上困難ですので、基本的にはおっしゃっていただいたように各項目ごと、あるいは有効性評価に影響し得る民族的要因といったものの影響を加味した総合的な評価になります。御指摘のとおり、当然今回の日本人における有効性の評価、解釈というのは審査上非常に大きな論点となっておりますので、専門協議においても、この解釈、機構の行った判断が妥当かどうかを循環器の専門医や腎臓の専門医に御意見を伺って、結果としてエビデンスレベルが一番高いのは、全体集団において検証的な試験を今回は二つ、事前に規定した想定どおりの結果が得られたところで、あとは機構が行った日本人での総合的な評価を踏まえると、本邦でも有効性が期待できる薬剤として臨床現場に提供する意義はあるという判断で、専門委員に御支持いただいておりました。
 もう一つ補足いたしますと、もともと申請時、試験16244の1試験のみが申請されており、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ということもあり、追加提出されたもう一つの国際共同治験の結果も踏まえて、最終的には有効性が期待できるという結論まで至ったという審査経緯もあります。以上です。
○大谷委員 ありがとうございます。例えば、日本人におけるKaplan-Meier曲線のような資料というのは、実際には審査段階ではあったのですか。結構、Kaplan-Meierカーブなどで見てみると効いているなという感じもするのですが。
○医薬品医療機器総合機構 それ自体は提出されており、確認した上での判断となっております。
○大谷委員 その辺りも含めて、専門協議では確認をされているという理解でよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○大谷委員 分かりました。ありがとうございます。私としてはちょっと疑問を差し挟まざるを得ないなということで、素直に、その承認を出せるのかなということで疑問に感じました。あくまでも私の意見ですけれども、ありがとうございます。
○森部会長 引き続き、柴田委員から御発言いただきます。
○柴田委員 今、大谷先生から御指摘のあった点に関する治験の解釈に関する質問と、もう一つは市販後の調査の見解に関する質問の二つあります。前者については考察を書いておられますし、今の大谷先生とのやり取りでも御説明いただきましたが、1点読み落としでしたら申し訳ないのですけれども、腎機能保護効果に関して同じような傾向が2回続けて出ることはあるのですか。その論点について検討されているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがどうございます。今頂いた御指摘は、腎不全というイベントについて2試験ともハザード比が1を上回ることがあり得るかという御指摘でよろしいでしょうか。
○柴田委員 はい。腎複合エンドポイントに関しては、例えば一つの試験でサンプルサイズが小さいので、たまたまハザード比1を超えるという悪い結果が出るということは当然、可能性としてはよくある話ですけれども、2試験とも同様に腎複合エンドポイントに関してはネガティブな方向に出ているので、そういうことが続くというのはサンプルサイズが小さくてもきちんと丁寧に見ておかないといけないのではないかと思うのですけれども。それについては、どのような考察をされたのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。まず腎複合エンドポイント自体で言いますと、日本人集団でも一つ目の試験では0.911ですので、1は下回っております。その構成要素である腎不全については1を超えていました。
○柴田委員 すみません、腎不全です。訂正いたします。
○医薬品医療機器総合機構 腎不全については、詳細な数値まで出しているわけではないのですけれども、まず、この腎複合エンドポイント自体でハザード比が1を下回る確率は、事前の日本人目標症例数を検討する段階でも見積もっております。今回の試験ですと、各試験が60%~75%ぐらいの確率で、全体と一貫した傾向が期待できるだろうという試験、それは複合エンドポイントです。その確率が60~70%ということで、更にその構成要素である腎不全で、かつ発現頻度も少ない腎不全になると、恐らく更に確率としては厳しくなるという見積もりの試験でした。
○柴田委員 分かりました。例えば、仮にそれが五分五分だったとしても、2回続けて1を超えるというのは当然25%以下になりますよね。そういう話なのですけれども、そこのところはどうなるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 その御指摘については、やはり2回とも超えてしまったので、まず懸念すべきは、有効性が期待できないというよりは、かえって腎機能を悪化させてしまわないかというところを最も避けるべきと考えましたので、本薬投与後、特に投与初期はeGFRの低下が起きやすいので、投与してしまったがためにeGFRが低下して腎不全までいってしまった症例がないかというところは、日本人の個別症例のeGFR推移等も確認して、そこまでの懸念は傾向として出ていないことを確認しております。
 複数の委員から、やはり腎複合エンドポイントの評価に関しては、この日本人症例数の限られた2試験の中で結論を出すことに限界があるという御指摘いただいていることで、そこについては製造販売後の検討の課題にさせていただければと考えています。
○柴田委員 はい、分かりました。二つ目の製造販売後の調査の件ですが、103ページのRMPに関する御説明の中で、本剤非投与群を対照に腎機能低下が劣らないことを確認すると、先ほどおっしゃったと思います。本剤については、既存の標準治療に上乗せする薬であると理解しているのですけれども。そうなると、既存の非投与例に対して腎機能低下が劣らないということを示しても、それは極論すると、プラセボと変わらないということを示すわけで、本剤の有効性のエンドポイントの一つであったような案件で本剤の有効性のエンドポイントが足りないのではないか、有効性のエビデンスが足りないのではないかという議論もあった中で、これではちょっと足りないのではないかと思うのですけれども、その点はどのような御見解なのでしょうか。もちろん、安全性を確認するという意図があるというのは分かるのですけれども。
○医薬品医療機器総合機構 非常に重要な御指摘ありがとうございます。この点については、対象集団の条件をどのようにするかというところで、昨年ですか、かなり最近ですけれども、SGLT2阻害薬についても標準治療に上乗せするような形でCKDの適応が承認され、本剤以外にも取られると、本剤以外にも標準治療に上乗せしてCKDに使われる薬剤なども入ってまいりますので、仮に同じようなラインで入ってくる薬剤も対照群に入った場合は、それに劣らないということを示すことにも意義があると考えております。この対象について、どこまでの標準治療と併用薬を設定して比較するかというところは、今後データベース調査の作り込みの段階で、重要な論点として検討してまいりたいと考えています。
○柴田委員 分かりました。おっしゃることは分かるのですけれども、今回のものについては、単に安全性を見るだけでなくて有効性のエビデンスが不十分ではないかという懸念もある中での議論なので、対照の設定をする上で、細かい話は今後詰めるにしても、こういう確認をするための調査を行うということははっきり製販報告書に書いておかれるべきかと思います。また、これについては、いつ結果が出るのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 結果が出るのは、販売から5年後までのデータを集計して解析する予定としておりますので、それ以降になると思います。
○柴田委員 分かりました。強いことを申し上げるつもりは現時点ではないのですけれども、そこについては安全性の監視であれば、例えばケースレポートの集積であっても添付文書の改訂などにつなげるということが、問題が認知できた段階で対応がとられると思います。有効性の効果の欠如というものの情報が、本当にそんなに先まで放っておかれてもいいのかというのは少し懸念があるところで、それについて機構として一定の見解はお持ちなのでしょうか。
 繰り返しになりますが、有効性について問題ないという状況で承認されて、あとは安全性の確認をするということであれば、5年間待たずとも何か重篤な報告があれば、それに基づいて安全対策がとられると思うのですけれども、有効性の欠如の情報が得られた場合に、それを5年間ずっと放っておくということは自然な考え方なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘をありがとうございます。本薬に期待される有効性としては、大きく腎保護効果と心保護効果があります。少なくとも心保護効果に関しては、ある程度日本人でも期待できるという結果が今回は示されておりますので、CKDの治療効果というトータルで見ればそこまで欠如しているという懸念は今回ないという前提で、その一部、片翼を担う方の効果について追加の検討を行うということです。とは言え、当然、御指摘のように、非常に大きい評価ポイントの一つですので、どうしてもイベント評価ということで更にそれを日本人だけで行うということで、必要な規模とイベント数、例えばイベントがなるべく発現しやすい対象を選定することで、それを早めることができないか、そうした可能性も含めてできるだけ早く現場にフィードバックする重要性も非常に重要な点かと思われますので、そういったスピード感も含めて協議してまいりたいと思います。
○柴田委員 ありがとうございます。通常は製販後に安全性の話を議論する場合には、余り気にされない論点だと思うのですけれども、有効性を評価する臨床評価の中で、無効だとか、あるいは有効性の欠如が予想されるような、要は有効中止ではなくて早期無効中止の判断をするような評価のタイミングなどを設定するということも一つの考え方としてあるかなと思いますので、今おっしゃったような議論の中で一緒に御検討いただければと思います。以上です。
○森部会長 続いて、赤羽委員から御質問を承ります。
○赤羽委員 血清カリウム値の上昇に関しては、非常に慎重に検討されていましたけれども、併用薬の影響に関しては、まだ症例数は限られているかと思います。それに関して、市販後、製造販売後のデータベース調査の中で高カリウム血症というものが挙がっていますけれども、カリウム保持性利尿薬やトリメトプリムなどの併用薬の影響、また、それが腎機能とどう関連するかといったところに関しても調査に含まれていると理解してよろしいでしょうか。具体的なことを少し教えていただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。製造販売後データベース調査においては、高カリウム血症のリスク因子となるものを、因子としてはどういったものがあるかを検討する予定で、その中に併用薬はどういったものが使われていたかという情報も収集し、どの程度リスクが高まるかについても検討する予定です。
○医薬品医療機器総合機構 補足いたしますと、カリウム保持性利尿薬については、本薬と併用すると、高カリウム血症リスクが高まるおそれがあるということで、治療上で余程必要と判断されない限りは併用を避けるような注意喚起をしております。結果的に、やはり実臨床においては、併用が必要と判断されて用いられる場合があると思いますので、どのぐらいの情報量が得られるかというところの見通しが困難なところもありますが、併用された場合は確実にそういった情報も解析して評価できるようにしたいと考えております。
○赤羽委員 ありがとうございました。
○森部会長 続いて、宮川委員から御質問を承ります。
○宮川委員 大谷委員や柴田委員から的確な御指摘があったと思います。ですから重複した言い方はしませんけれども、マル1においての48ページ下段の有効性についてうんぬん、それから53ページ下段の有効性についてうんぬんと、これは両方とも有意差はないと考えなければいけないので、有効性のうんぬんを市販後調査のどうのこうので補うということは、あってはならないはずだと私は思います。この審議の中で有効性がどうなのかをしっかり審議することが必要なので、大谷委員や柴田委員から御指摘があったように、実際には有効性というものを認めるわけには、全体的に見てもいかないのだろうと思います。ですから、61ページのマル4に、日本人における本薬の有効性の結果に与える影響は限定的と考えると。限定的ではなくて、それは本当に微細な重箱を突いたようなところで限定的と言われるわけですから、非常に危ういとしか言いようがないのではないかと思うので、端的に言うと、私は認めることができないなという形です。
 実際には、申請時の効能・効果という所に、腎臓病の進展抑制及び心血管疾患の発症抑制と、ここまで書かれるとどうなのかなと思います。母集団の問題はあるかもしれませんけれども、適応患者についても、56ページの中程に書いてありますように、実際にこれは標準治療に上乗せする新たな作用機序を有する選択肢としてうんぬんと書いてあるわけですから、非常に限定されたところにあるべきで、そのような効能・効果は本当に認められるのかどうか。適応患者は高血圧であったり、糖尿病、要するに腎症であって、非常に限定的ですし、有効性というものをしっかりと認めるというような結果が出ていない以上、これは審議として問題があるのではないかと。機構のおっしゃっていることはよく分かりますけれども、そういうことを擁護するようなことがあってはならないのではないかと思っています。以上です。
○森部会長 機構から、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 この国際共同治験を介した日本人での有効性の解釈というのは先ほど申し上げたとおりで、少なくとも心血管の抑制効果を含めてCKDに対する治療効果としては期待できるという今回の機構判断です。申し訳ありませんが、どこが承認に足る有効性ではないという御指摘なのか、もう一度確認させていただけますか。
○宮川委員 報告書の書きぶりとしては、どうしたってそう言わざるを得ないじゃないですか。先ほども大谷委員や柴田委員から御指摘があったとおりだろうと思います。それを機構が今、反論するような言い方をするというのは、私は釈然としません。逆に、機構の方が明解に答えていないという形になるので、これは議論すべきことではないと思います。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、念のために確認させていただきたいのですが、大谷委員と柴田委員も、機構の説明を踏まえても承認に足る有効性が示されていないという御意見をまだお持ちということでよろしいでしょうか。
○森部会長 続いて、大谷委員からの御発言がありますので。大谷委員、どうぞ発言してください。
○大谷委員 私としては、手を挙げろと言われれば手を挙げたくないようなところもあります。もし承認するとしても、これは少なくとも心血管系イベントの方は統計的に有意差がないにしても、かなり国際治験との整合性があるので、そこを援用することによって、百歩譲って認められるとしても、この腎複合エンドポイントの方に関しては、明らかに国際共同治験の結果との一貫性を認めるだけの結果は得られていないと思うのです。例えば、少なくとも現段階であれば効能・効果に関しては、少なくとも腎複合エンドポイントではなくて心血管系複合エンドポイントに絞った書き方をし、かつ腎複合エンドポイントに関しては日本人において有効性を認められるような結果は得られていないというような注意を、しっかりと添付文書等に記載するのであれば、まだ譲って認めてもいいかなと、私はそれぐらいの感覚です。
○森部会長 私から一つ、機構に質問があります。審査報告書の通し番号3ページの「申請時の効能・効果」の所には、「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病患者における腎臓病の進展抑制及び心血管疾患の発症抑」というような記載があります。今回おまとめいただいた最後の所の効能に関しては、少し文言が修正されていまして、「2型糖尿病を合併する慢性腎臓病」というように効能・効果が変更されているのですけれども、実際に実臨床で医師の方や患者さんが、この薬をどういった目的に使用するのかということに大きく関わってきますので、ここの表現を今回このように修正した背景を確認してもいいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。腎臓病によらずなのですけれども、本邦の効能・効果においては、基本的には対象とする疾患の疾患名を記載して、例えば最終的なその疾患に対して期待される心血管イベントの抑制であったり、腎イベントの進展抑制という、そのイベントそのものの抑制については、効能・効果の記載に余りそぐわないということで、効能・効果としては、あくまで疾患名として記載するということで、今回審査結果としては提示させていただきました。
 恐らく、心不全や先般承認されたSGLT2のCKDの効能・効果においても、同様の考え方で適用しております。
○森部会長 分かりました。特に2型糖尿病を合併している慢性腎臓病の患者における重大な健康イベントとしては、腎臓病が悪化して腎不全になるということと、もう一つは心血管イベントを発症するという両方の側面があって、どちらも大変重要ではありますけれども、実臨床で患者や先生方が御使用なさるときに慢性腎臓病に有効であるということをうたった場合には、腎臓病の、いわゆる腎症の進展抑制にも有効だということが十分伝わってしまうので、この点はやはり誤解がないように、きちんと情報整理をして、情報提供しつつ適用することが大変重要ではないかと考えております。
 大谷委員、まだ追加の御発言はありますか。
○大谷委員 いや、私からは言いたいことは足りたのですが、宮川先生の御意見が、まだ途中かなと思いますので、私は振られてまいりましたのでお答えした次第です。
○森部会長 では、宮川委員にお戻しいたします。
○宮川委員 私はありません。大谷先生や柴田先生がしっかり言っていただいたので、納得しております。私も百歩譲ってもなかなか手を挙げることができないという現状は確かだと思います。あえて言うならば、認めることができないというような気持ちで、報告書をずっと読ませていただきました。多分、それは大谷先生と同じだろうと思います。やはりデータとして揃っていないものを実際に揃ったというような言い方で市販後調査に結び付けて、それも有効性をそこでまた検証するというようなことは、薬事の審議においては、あってはならないはずだろうと私は思っています。
○大谷委員 少なくとも、効能・効果の所に腎臓病の進展抑制が入るような書き方をされているのは、非常に解せないですね。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、その点は訂正し、削除しております。申請者が出してきた案になります。
○大谷委員 むしろ、だから今の書き方だと、それが入ってしまうように読めてしまうのです。逆に、心血管疾患の発症抑制に絞った形での書き方でなければいけないのではないかというのが、私の意見です。
○医薬品医療機器総合機構 分かりました。御指摘ありがとうございます。効能・効果と、その関連注意を含めて、今回の試験の範囲で期待できる有効性を明確化させていただく必要があるという御指摘と理解しましたので、その部分はこちらでも検討させていただければと思います。
○宮川委員 今、大谷先生がおっしゃったように、91ページの所も、しっかりとした書き方ができていないですよね。それは明らかに今、部会長がおっしゃったように、それがどうやって矛盾しているのが書かれたのか。もちろん申請者が書かれたようなことがあったけれども、これは最終的にはこうですよと、最初から機構もそのような話しぶりはありませんでした。ですから、このような形で審議を続けるのは危険ではなかろうかと思います。もしあれでしたら部会長にお願いして継続審議にするのか、もちろんこれは駄目だと言っていいものなのか、しっかりと皆さんで考えなければいけない薬剤だろうと思います。
○森部会長 では一度、こちらでお預かりさせていただきます。今、先生方から御発言いただきました内容は大変ごもっともですし、機構の方からの御発言がありましたように、今回この薬剤の有効性、特に日本人における集団の部分的な情報を鑑みますと、現在機構から提出されています本薬剤の効能・効果に関する記載に関しては、より慎重に検討すべきであるということが分かりました。したがって、この点については更に検討を追加した上で、先生方の御意見をもう一度お伺いすることが妥当であろうと考えております。
 もう一点は、この薬剤が一体どういった患者を対象に、どういった目的で使われるかということに非常に深く関わってまいります。腎臓内科の先生等、御専門の先生方の、この薬剤に対するポジショニングや意見にも非常に関係してまいりますので、場合によっては専門医の先生方にも、参考人の先生にもお越しいただいて、現場での位置付けについての御意見も伺うことも視野に入れて、更なる検討をさせていただくということをお話してはいかがでしょうか。
○医薬品審査管理課長 事務局、審査課としては、そのような形でよろしいかと思います。先ほど機構からもありましたけれども、今、部会長にまとめていただいたような形で、少し効能・効果の書き方、あるいは臨床上の位置付けを整理させていただき、また改めて、この場で再度御審議いただく形で進めさせていただければ有り難いと思っております。いかがでしょうか。
○森部会長 委員の先生方から、この進め方について御質問、御異議はありますか。
○合田部会長代理 賛成します。それが良いと思います。
○森部会長 どうもありがとうございます。今、合田委員からも御発言いただきました。それでは、今お話いたしましたように、本審議については継続審議とさせていただき、更らにこの効能・効果に関する議論、又は臨床現場での立ち位置についての議論も含めた上で、審議を進めていくことにさせていただきました。では、よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございました。では、佐藤直樹委員にはお戻りいただいてよろしいでしょうか。
○事務局 はい。
○森部会長 どうぞ御入室ください。お願いいたします。
── 佐藤直樹委員 入室 ──
○森部会長 それでは、議題2に進みます。議題2について、事務局から概要説明をお願いします。
○事務局 議題2、資料No.2 Soticlestatを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明します。「希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書」のファイルをお開きください。報告書1ページの中ほどを御覧ください。申請者は「武田薬品工業」、予定される効能・効果は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないDravet症候群のてんかん発作に対する併用療法」です。まず、1ページの「1.対象者数について」、Dravet症候群は指定難病であり、要件を満たしております。なお、本邦における患者数は約3,000人と推定されております。
 次に、「2.医療上の必要性について」ですが、Dravet症候群は、通常1歳未満で発症するてんかん性脳症の一つです。1歳を過ぎると発達遅滞や運動失調が出現し、患者64例を追跡した結果では、全症例で知的障害が認められたといった報告があります。
 2ページの中ほどから、Dravet症候群に対する薬物療法について記載しております。本邦のてんかん診療ガイドラインにおいては、第一選択薬として、トピラマート及びバルプロ酸ナトリウム、追加薬として、クロバザム及びスチリペントールが記載されておりますが、これらを使用した場合でも、てんかん発作の完全なコントロールは困難とされております。ページの下の方に、本剤の臨床試験について記載しております。Dravet症候群及びLennox-Gastaut症候群の患者を対象とした海外第II相試験が実施されており、発作頻度の変化率について、プラセボ群との間に有意差が認められております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 3ページに、「3.開発の可能性について」を記載しております。現在、国際共同第III相試験を実施中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○森部会長 ありがとうございました。では、委員の先生方から、御質問等ございましたらお願いします。
○佐藤(直樹)委員 すみません、質問ですが。
○森部会長 どうぞ、お願いします。
○佐藤(直樹)委員 ちょっと専門外なので教えていただきたいのです。この薬剤は、おそらく長期に投与することになるのですが、なると思うのですが、長期に継続したときの安全性とかに関しては、どういう見解なのかを教えていただければと思います。
○事務局 事務局です。この薬剤の有効性、安全性に関する詳細な評価については、今後、臨床試験の成果が出まして、結果が出まして、承認申請がなされたときに評価されると考えております。もし、機構から何か補足があれば御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。今、御説明のあったとおり、現在、国際共同第III相試験も実施されておりますので、その試験で、有効性と安全性が評価される予定です。以上です。
○佐藤(直樹)委員 了解しました。ありがとうございます。
○森部会長 ありがとうございました。そのほかに、先生方、御質問はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは議決に入らせていただきます。なお、大森委員、川上委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関するお申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことになっております。では、本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
 では、御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。では続いて、議題3に移ります。
 議題3について、事務局から概要説明をお願いします。
○事務局 議題3、資料No.3、同じくSoticlestatを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明します。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。先ほどと同じ医薬品ですが、異なる疾患を対象としております。報告書の1ページの中ほどを御覧ください。申請者は同様に「武田薬品工業」です。予定される効能・効果は、「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないLennox-Gastaut症候群のてんかん発作に対する併用療法」です。
 まず、1ページの「1.対象者数について」です。Lennox-Gastaut症候群は、同じく指定難病であり、要件を満たしております。本邦における患者数は、約4,300人と推定されております。
 次に、「2.医療上の必要性について」ですが、Lennox-Gastaut症候群は、小児期に発症するてんかん性脳症の一つであり、知的障害、失調症状、睡眠障害等を合併し、多くの患者に重度の知的障害が認められるとの報告があります。2ページの中ほどから、Lennox-Gastaut症候群に対する薬物療法について記載しておりますが、本邦のてんかん診療ガイドラインにおいては、バルプロ酸ナトリウム等の医薬品が用いられるとされておりますが、症候群により生じる多様な発作は薬剤抵抗性であるとされております。このページの下の方に、本剤の臨床試験について記載しております。先ほどと同様に海外第II相試験が実施されており、発作頻度の変化率について、プラセボ群との間で有意差が認められております。以上より、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 3ページに、「3.開発の可能性について」を記載しております。現在、国際共同第III相試験を実施中であり、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○森部会長 ありがとうございました。では、委員の先生方から、御質問等ございましたらお願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、議決に入らせていただきます。なお、大森委員、川上委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申し出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくこととなっております。では、本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。
 では、御異議ないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続いて、報告事項に移ります。では、報告事項の議題1~議題8について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 順に御説明いたします。まず、報告事項の議題1及び議題2について、資料No.としては4-1~4-6及び資料No.5について御報告します。本申請の背景についてですが、昨年の12月6日に開催されました再生医療等製品・生物由来技術部会において、再生医療等製品のサクラシーについて審議され、承認を可とされております。サクラシーは、患者の口腔粘膜組織から分離した口腔粘膜上皮細胞を培養して細胞シートを製する培養自己口腔粘膜上皮細胞シートパッケージです。「角膜上皮幹細胞疲弊症における眼表面の癒着軽減」に使用されます。サクラシーの眼表面への移植の際には、移植後に想定される高度の炎症を抑制することを目的に、移植後より免疫抑制剤としてシクロスポリンやシクロホスファミドが投与されます。今般、サクラシーの製造販売承認申請に伴って、シクロスポリン及びシクロホスファミドについて、各製造販売業者から、「細胞移植に伴う免疫反応の抑制」に係る効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売事項一部変更承認申請が行われました。機構における審査の結果、承認して差し支えないとされております。
 続いて、報告事項の3と5を、併せて御説明します。資料No.6と8に該当するものがあります。これらは、不妊治療に関する議題です。不妊治療に関しては、令和2年5月29日に閣議決定された「少子化社会対策大綱」において、不妊治療の経済的負担の軽減を図るために、適応症と効果が明らかな治療には広く医療保険の適用を検討し、支援を拡充するとされており、令和2年12月23日に実施された社会保障審議会医療保険部会において、不妊治療に標準的に用いられる医薬品について、令和4年度当初から保険適用することが結論付けられております。これを受けて、令和2年度から、公的な研究事業において、不妊治療において標準的に使用されている医薬品の実態調査や、それを踏まえた生殖補助医療の標準化を目的とした検討が行われ、令和3年6月には、日本生殖医学会において「生殖医療ガイドライン」が取りまとめられました。薬事審査においては、令和3年7月30日に発出した通知において、ガイドラインにおいて使用が推奨され、学会からの要望がある医薬品については、これらの公的研究事業の成果を活用した公知申請が可能であるとの取扱いとしております。
 今般、日本生殖医学会から、レトロゾール及びブセレリン酢酸塩について、生殖補助医療に関する薬事承認の要望書が提出され、ノバルティスファーマ株式会社及びサノフィ株式会社から、先ほどの公的研究事業の結果等に基づいて、生殖補助医療に関する効能・効果の追加に係る承認事項の一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、これらの申請に係る有効性及び安全性は医学薬学上公知に概当すると判断し、承認して差し支えないと判断しました。
 続いて、報告事項の議題4と議題6について併わせて御説明します。資料No.7と資料No.9を御覧ください。これらの薬剤については、それぞれオンダンセトロン塩酸塩水和物及びグラニセトロン塩酸塩を有効成分とする制吐剤です。いずれも現在、「抗悪性腫瘍剤投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」の効能・効果で承認されております。これらの薬剤については、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、「術後の消化器症状(悪心、嘔吐)」に関する公知申請の該当性報告書が取りまとめられ、令和3年8月30日に開催された本部会において事前評価の御報告をしております。今般、丸石製薬株式会社及び太陽ファルマ株式会社から、当該適応の追加に係る承認事項の一部変更が申請され、機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続いて、議題7、医療用医薬品の再審査結果について御報告します。資料No.10-1及び10-2を御覧ください。今回、御報告する品目は、イグザレルト錠及びサインバルタカプセルとなっております。これらの品目について、製造販売業者から、製造販売後調査等の結果に基づいて再審査申請が行われ、機構における審査の結果、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要はない「カテゴリー1」と判断しました。
 続いて、議題8、医療用医薬品の承認条件について御説明します。資料No.11の2/5ページを御覧ください。ラパリムスゲル0.2%は、平成30年3月23日に結節性硬化症に伴う皮膚病変の効能・効果で承認されており、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。今般、ノーベルファーマ株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、収集された患者背景、安全性及び有効性に関する情報等から、現時点で新たな懸念は生じておらず本剤の適正使用に必要な措置は講じられていることから、承認条件は改良されたものと判断しております。以上です。
○森部会長 ありがとうございました。では、委員の先生方から、御質問ございましたらお願いします。御質問はいかがでしょうか。特にございませんでしょうか。
 それでは、報告事項の議題1~8については御確認いただいたものとさせていただきます。続いて、その他事項の議題1に移ります。その他事項について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 「その他事項」です。議題1、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、事務局より御説明いたします。その他事項の資料12、公知申請の事前評価報告書のファイルをお開きください。
 今回、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断され、本部会に御報告する品目は6品目あります。これらは全て、先ほどと同じように、不妊治療に係る医薬品に関する品目であり、全て日本生殖医学会より要望がなされたものになります。
 一つ目です。ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、HCGと申し上げたほうが馴染深いかもしれませんが、「生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化」と、「一般不妊治療における排卵誘発及び黄体化視床下部-下垂体機能障害に伴う無排卵又は希発排卵、原因不明不妊及び男性不妊で人工授精を実施する場合」の二つの効能・効果で要望が提出されました。一つ目、前半の「生殖補助医療における卵胞成熟及び黄体化」についてです。本薬は、海外において生殖補助医療(ART)における卵胞成熟及び黄体化に係る効能・効果で承認されており、海外臨床試験の成績等、また国内外の教科書及びガイドラインから、本薬の有効性及び安全性が示されております。また、ARTにおける卵胞成熟及び黄体化の標準的使用法として位置付けられていることを確認しております。
 本薬の投与時には、卵巣刺激をする関係で、主に卵巣過剰刺激症候群(以下、OHSS)の発現に注意が必要ですが、本邦の医療現場においてOHSSの管理方法は広く知られていることを踏まえ、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用することで管理可能と考えております。なお、OHSSの副作用については、レトロゾール以外の品目全てで認められますが、対応としては同様であり、臨床上管理可能と考えられることから、以降については割愛させていただきます。
 二つ目です。こちらもHCGとなり先ほどと同様の薬剤です。先ほどはARTを目的としたものでしたが、今回は一般不妊治療を目的とした効能・効果で要望されております。こちらの効能・効果に対しても、欧米等6か国において、排卵障害患者における一般不妊治療での排卵誘発及び黄体化に係る効能・効果で承認されております。また、国内外のガイドラインの記載内容からも、排卵障害の患者さんに対する一般不妊治療において、標準的に使用されていることが読み取れます。また、原因不明不妊及び男性不妊のカップルについても、同様に本剤の効果が認められております。海外臨床試験においても、この剤が使用されていること、また、国内外のガイドラインや教科書の記載からも、また公表文献からも、要望されている効能・効果が認められております。
 以上より、不妊の原因によらず、一般不妊治療における排卵誘発及び黄体化の効能・効果が認められていることから、要望としては、原因を幾つか特定した効能・効果を記載されておりますが、原因によらず、一般不妊治療における排卵誘発及び黄体化に使用した際の有効性と安全性が認められるため、この範囲で医学薬学上公知と判断しております。
 50ページです。ヒト下垂体性性腺刺激ホルモン(HMG)の生殖補助医療における調節卵巣刺激についての要望です。こちらは68ページを御覧ください。本薬は、欧米等6か国において、ARTにおける調節卵巣刺激(以下、COS)で、承認されております。国内外の臨床試験の成績等から、本剤の有効性と安全性は示唆されております。また、ARTにおけるCOSに用いる薬剤として、国内外の教科書及びガイドラインにも挙げられており、本邦の医療現場においても十分な使用実績がある状況です。安全性については、先ほどのHCGと同様で、OHSSの発現がありますが、臨床的に、一定の確率で起きる副作用であり、管理可能と考えております。以上がHMGになります。
 次に、78ページのナファレリン、また、95ページのブセレリンがありますが、これらは両剤とも「生殖補助医療における早発排卵の防止」として要望がなされております。類似しておりますのでまとめて御説明を致します。90ページを御覧ください。海外臨床試験において、本薬のARTにおける早発排卵の防止に関する有効性は示されております。また、安全性にも大きな問題がないことが確認されており、それらの試験成績に基づいて海外では承認されております。
 また、ナファレリンは、ARTにおける早発排卵の防止に係る効能・効果で海外での承認があると同時に国内の臨床試験においても、海外と同様の本薬の有効性及び安全性は確認されております。また、教科書やガイドラインにおいても、本適応としてナファレリンを使うことが治療選択肢の一つとされていることから、また、本邦の調査研究でもその使用実態が認められていることから、今回、要望された内容での公知は妥当であると考えております。ブセレリンに関しても、同様の内容で推奨されていることを確認しておりますので、未承認薬検討会議では、医学薬学上、公知と判断しております。
 次は最後ですが、114ページのレトロゾールです。レトロゾールの多嚢胞性「卵巣症候群(PCOS)に対する排卵誘発」について御報告します。113ページを御覧ください。本薬は、欧米等6か国において要望に係る適応はないのですが、海外の臨床試験の成績からPCOS患者に本剤を投与したときにクロミフェンと同程度の排卵率、妊娠率及び出産率が得られており、国際的なガイドラインや教科書では、本剤のレトロゾールは、クロミフェンと並び、PCOS患者における排卵誘発に使用する薬物療法の一つと位置付けられております。
 国内のガイドラインや教科書の記載にも同じように、レトロゾールがPCOS患者に対する本剤の有用性が確認できていることから、また有効性や安全性に問題なく使用されている実態が認められております。また、安全性についても、既知の副作用(ほてり、疲労、めまい等)がありましたが、管理可能と判断しております。
 1点、この検討会議の中で議論された内容として、非臨床試験で本薬の催奇形性が示唆されていることがございましたが、本薬の投与期間は妊娠成立前であり、海外の臨床試験や国内外の観察研究においては、クロミフェンや自然妊娠との比較において、児の先天異常の発現割合が同程度であったことから、妊娠初期の意図しない本剤曝露を避ける対策が講じられるのであれば、本邦においてもPCOS患者における排卵誘発を目的とした本薬の投与のリスクは、ベネフィットを上回らないと判断しております。以上より、今回、御報告しました6品目について、検討会議では医学薬学上公知であると判断しております。以上となります。
○森部会長 御説明ありがとうございました。委員の先生方から、御質問等がございましたらお願いします。御質問はいかがですか。今、6剤について御説明いただいて、先の4剤は海外では承認はあるのですね。そして、ブセレリンについては、英国で承認があるのでしょうか。
○事務局 そうです。おっしゃるとおりです。
○森部会長 レトロゾールは、他国では、まだ承認がない状況だということを確認させていただきました。今回、要望を出されている日本生殖医学会からは、この薬剤の国内での適正使用について、どういった御支援を頂ける見込みか、もし分かったら教えていただけないでしょうか。
○事務局 生殖医学会として、今後も安全性情報等の収集についてはご協力をしていただけると聞いております。
○森部会長 分かりました。ガイドラインも少し整理なさる方向になりそうでしょうか。もう既に整理されていらっしゃいますか。
○医薬品審査管理課長 私の承知している範囲内では、また、ガイドラインの見直しの検討をするものと承知しています。
○森部会長 分かりました。日本で広く行われる不妊治療は、広く参照していただけるように、適正使用法について、是非、学会としても御指導いただければと希望するものです。
○医薬品審査管理課長 分かりました。薬食審からの御意見として、学会の方に、ガイドラインの更なる適正化、そういうことについてはお伝えしておきたいと思っております。よろしくお願いします。
○森部会長 ありがとうございます。そのほか、委員の先生方から、御発言、御質問等ございますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 では、その他の事項について御確認いただいたものとさせていただきます。では、そのほか、事務局から報告はございますか。
○事務局 次回の部会は、令和4年2月25日金曜日の午後4時から開催させていただく予定です。よろしくお願いします。
○森部会長 それでは、本日も大変長時間となりましたが、御審議いただいて、どうもありがとうございました。また2月の部会につきましても、よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)