第8回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(議事録)

1 日時

令和4年3月28日(月)14時00分~15時10分

2 場所

厚生労働省 省議室
(東京都霞ヶ関1-2-2 9階)

3 出席委員

公益代表委員
    • 東京医科大学公衆衛生学分野講師 小田切優子
    • 筑波大学ビジネスサイエンス系教授 川田琢之
    • 立教大学経済学部教授 首藤若菜
    • 東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授 寺田一薫
    • 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 藤村博之
労働者代表委員
  • 日本私鉄労働組合総連合会中央副執行委員長 池之谷潤
  • 全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長 鎌田佳伸
  • 全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
  • 日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長 久松勇治
  • 全国自動車交通労働組合連合会書記長 松永次央
  • 全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
使用者代表委員
  • 東武バスウエスト株式会社取締役社長 金井応季
  • 京成バス株式会社代表取締役社長 齋藤隆
  • 西新井相互自動車株式会社代表取締役社長 清水始
  • 昭栄自動車株式会社代表取締役 武居利春
  • 公益社団法人全日本トラック協会副会長、松浦通運株式会社代表取締役 馬渡雅敏

4 議題

(1)改善基準告示の見直しについて
(2)その他

5 議事

議事内容
○中央労働基準監察官 定刻になりましたので、ただいまから第8回「自動車運転者労働時間等専門委員会」を開催します。本日、御欠席の委員は、両角委員です。定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。また、国土交通省からオブザーバーとして自動車局安全政策課谷合課長に御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
○谷合自動車局安全政策課長 国交省の谷合です。よろしくお願いします。
○中央労働基準監察官 なお、本日は感染症の防止対策として傍聴者の方は別室にて傍聴いただくこととしていますので御承知おきください。なお、本日の委員会の状況につきましては、別室にてカメラで傍聴いただける仕様となっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。それでは、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。これ以降の進行は藤村委員長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○藤村委員長 委員長の藤村でございます。それでは、本日の議題に入っていきたいと思います。先日、ハイヤー・タクシー及びバスの作業部会で、それぞれ報告が取りまとめられたようでございます。本日は、両部会からの取りまとめの内容を御報告いただき、本専門委員会としての中間的な取りまとめを行いたいと思います。各部会から御報告いただく前に、その他の資料について事務局から説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 事務局です。それではまず参考資料1ですが、ハイヤー・タクシーに関するものです。3月18日のハイヤー・タクシー作業部会で改善基準の見直しの方向性について取りまとめいただいた際の資料です。次に参考資料2は、バスに関するものです。3月16日のバス作業部会で見直しの方向性について取りまとめいただいた際の資料です。参考資料3は、参考資料1とも関連するものですが、3月18日のハイヤー・タクシー部会で取りまとめいただいた改善基準告示のあり方についての報告書で、両角部会長から専門委員会の藤村委員長あての報告書です。参考資料4は、参考資料2と関連するものですが、3月16日のバス作業部会で取りまとめいただいた改善基準告示のあり方についての報告書で、川田部会長から同じく藤村委員長あての報告書です。
 参考資料5です。こちらはトラック部会における改善基準告示の見直しに関する御意見をまとめたものです。直近3月4日にトラック作業部会がありましたが、その際に新たに労使から発言された部分、追加された部分を紹介させていただきます。ページをめくっていただきますと、各項目ごとに労使の意見があります。まず、4ページ目、「1日の拘束時間、休息期間について」です。中ほどに労使の主な御意見がありますが、労側からは、1日の休息期間については3業態、いわゆるタクシー、トラック、バスで揃えるべきではないかという御意見が出ています。また、宿泊を伴う運行の自動車運転者と、日勤の自動車運転者の運行形態の違いを踏まえ、1日の休息期間をそれぞれ検討すべきでないかという御意見もありました。使側からは、1日についての拘束時間が15時間を超える回数は、現在は1週間に2回ですが、1か月について8回以内としてはどうかという御意見が出されています。
 次に7ページ、特例の関係です。こちらについては、分割休息特例についての御意見が追加されています。使側からは、分割休息特例について、全勤務回数の2分の1を限度とするという制限を外して緩和してもらいたいという御意見があります。さらにフェリー特例については、駐車場で休んでいる時間も休息期間として取り扱うように緩和してもらいたいという御意見、その他の休日の扱いは、勤務終了時から24時間に緩和してもらいたいという御意見、拘束時間のタブルカウントは撤廃し、緩和してもらいたいという御意見が出ております。参考資料5は、以上です。
 続きまして、参考資料6です。改善基準告示の見直しのスケジュールです。青の枠の中を御覧ください。令和元年11月に、労働条件分科会の下に「自動車運転者労働時間等専門委員会」を設置いたしました。その後、実態調査を実施し、令和3年4月に、専門委員会の下に「業態別作業部会」を設置いたしました。その後、タクシー部会、バス部会につきましては、令和3年5月から見直しの議論を行い、令和4年3月、今の時点ですが、取りまとめに向けて進んでいるという状況です。また、トラック部会については、令和3年4月から見直しの議論がスタートしておりますが、令和3年10月に、2回目の実態調査を実施しております。今後は、令和4年夏頃にとりまとめを予定しており、最終的には、令和4年12月頃を目途に改善基準告示を改正し、令和6年4月施行という予定で進めております。参考資料6は、以上です。
 最後に参考資料7です。今回、バスの改善基準告示において、連続運転時間の際の「軽微な移動」という仕組みを新しく取り入れました。「緊急通行車両等、他の車両の通行の妨げを回避するなど、運行計画上予定していた位置で駐車または停車しているときに軽微な移動を行う必要がある場合には、記録が認められる場合に限り、一の連続運転時間当たり30分を限度として連続運転時間から除くことができることとする。」という文言です。具体的に図解しますと、表の真ん中に運行計画、その下に青色で示していますが現行と、赤色で軽微な移動の考え方を取り入れた見直し後の考え方を図で示しております。
運行計画を、例えば2時間運転して20分の中断予定、そして1時間半運転して57分の中断予定という運行計画を組んだとしますと、2時間運転を行い、20分中断をしようとしていたところ、12分の中断をした段階でパトカーが後ろから来て、ロータリーを回らなければいけないようなことが発生したとします。この場合に、現行では、これを連続運転時間としてカウントするということになっております。新たな考え方としては、これを軽微な移動と捉えて連続運転時間から除くことができるということです。次に、2分休んだ場合、これは10分に満たないものですので、運転の中断にカウントされないし、移動もしていないので軽微な移動にもならないということになります。そして、その後1時間半運転をして、15分間、運転の中断をしていたところに、今度は消防車がやってきて、またロータリーを回らなければいけなくなって10分運転したとします。現在では、これは連続運転時間にカウントされますが、これを軽微な移動として、連続運転時間から除くことができるということになります。次に、8分間中断したところで救急車が来て再度移動を余儀なくされたとします。この8分も10分に満たないので、運転の中断にも軽微な移動にもカウントしないということになります。その後の運転については、現行では14分経過した時点で連続運転時間が4時間たってしまいますので、その後の運転は違反となります。一方、見直し後ですと、この14分は軽微な移動になりますので、ここは連続運転時間にカウントされませんが、ここまでの軽微な移動を最初からカウントすると、6分+10分+14分で合計30分になりますので、その後の運転は連続運転時間としてカウントされるということになります。
 整理をいたしますと、下の四角囲みですが、軽微な移動というのは、一旦、駐車または停止した状態から移動を開始する場合に限るということ、一の連続運転時間当たり合計30分までとし、1回当たりの下限時間は設けないということ、一の連続運転時間について「軽微な移動」が合計30分を超えた場合は、超過分の時間(上記の図のA)は、通常どおり連続運転時間として合算されるということ、そして、連続運転時間からは除外できるが、労働時間には該当し、拘束時間及び運転時間の規制の適用に当たっては除外されないということ。そして、合計30分以上の「運転の中断」により連続運転時間がリセットされた場合は、「軽微な移動」も改めて新たなカウントが開始されることになるということです。説明は以上です。
○藤村委員長 まず、ハイヤー・タクシー作業部会で取りまとめた報告の内容について、部会長代理の寺田委員から説明をお願いいたします。
○寺田委員 本日、両角部会長が所用のため、部会長代理の私から、3月18日に取りまとめたハイヤー・タクシー作業部会の報告の内容を説明させていただきます。ハイヤー・タクシー作業部会においては、令和3年5月28日以降、公労使それぞれの立場から過労死等防止の観点から、どのように見直すべきかについて真摯に御検討いただいた結果、取りまとめを行うことができました。参考資料1の内容に沿って、改正の内容を中心に御報告させていただきます。
 1ページ、1か月の拘束時間です。日勤の1か月の拘束時間について、現行の299時間から288時間に見直すことといたしました。隔勤の1か月の拘束時間については、現行のどおりとしています。
 2ページ、1日及び2暦日の拘束時間、休息期間です。日勤について、1日の拘束時間については、現行は13時間を超えないものとし最大拘束時間は16時間となっておりますが、最大拘束時間を15時間に見直すことといたし、1日の拘束時間が14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めることといたしました。また、1日の休息期間については、現行は勤務終了後、継続8時間以上ですが、継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とした上で、継続9時間を下回らないこととすると見直すことにいたしました。
 次に隔勤です。2暦日の拘束時間は、現行は21時間を超えないものとされていますが、22時間を超えないものとし、かつ、2回の隔日勤務を平均して1回当たり21時間を超えないものとしております。また、休息期間については、現行は継続20時間以上ですが、継続24時間以上を与えるように努めることを基本として継続22時間を下回らないとすることを見直すこととしました。
 3ページ、日勤の車庫待ち等の自動車運転者です。車庫待ち等の自動車運転者については、1か月の拘束時間の上限を現行の322時間から300時間に見直すこととしました。また、車庫待ち等の要件について、事業場が人口30万人以上の都市に所在をしていないこと等を明確に基準に示すこととしました。1日の拘束時間の延長時間や条件については現行どおりとしています。
 4ページ、隔勤の車庫待ち等の自動車運転者についてです。延長時間については、1か月の拘束時間のベースは現行どおりですが、一方、隔勤勤務の車庫待ち等の自動車運転者の延長時間について、1か月の拘束時間の延長時間を現行の20時間から10時間に見直すこととしました。2暦日の拘束時間の延長時間や条件等は現行どおりとしています。
 5ページ、例外的な取扱いです。例外的な取扱いとして、予期し得ない事象に遭遇した場合、適用除外業務について新たに規定を設けることとしました。予期し得ない事象に遭遇した場合ですが、事故、故障、災害等、通常予期し得ない事象に遭遇し、一定の遅延が生じた場合には対応に要した時間について、1日又は2暦日の拘束時間の規制から除くことができることとしました。また、対応に要した時間を含めて算出した時間が、1日の拘束時間の限度を超えた場合には、勤務終了後、継続11時間以上、2暦日の拘束時間の限度を超えた場合には継続24時間以上の休息期間を与えることとしました。具体的な事由としては、ア 運転中に乗務している車両が予期せず故障した場合、イ 運転中に予期せず乗船予定のフェリーが欠航した場合、ウ 運転中に災害や事故の発生に伴い道路が封鎖された場合や道路が渋滞した場合、エ 異常気象(警報発表時)に遭遇して運転中に正常な運行が困難となった場合としております。
 続いて、適用除外業務です。タクシーも、トラックと同様に、災害対策基本法等に基づき、緊急輸送の業務は適用除外業務として扱うこととしました。
 6ページ、ハイヤーについてです。ハイヤーについては、現行は時間外労働協定で延長時間の目安を定めておりますが、令和6年4月以降の上限規制の適用を踏まえ、時間外労働協定の延長時間は、1か月45時間、1年360時間を限度とし、臨時的特別事情においても、1年について960時間を超えないものとすること、労働時間を延長することができる時間数、又は休日労働の時間数をできる限り少なくするよう努めることとしました。
 また、新たに必要な睡眠時間が確保できるよう、勤務終了後に一定の休息期間を確保することとしました。以上が見直しの内容となりますが、このほかに報告では賃金の累進歩合制度についても触れています。
 恐縮ですが、参考資料3の最後のページを御覧ください。7番に「その他」として、累進歩合制度については、廃止するものとされた趣旨を通達に記載の上、改善基準告示の改正内容と併せて周知を徹底することといたしました。以上がハイヤー・タクシー作業部会において取りまとめた報告の内容となります。私からの報告は、以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。ただいま寺田委員から御説明のありました内容について、公労使それぞれに御発言をお願いしたいと思いますが、順番ですが、使用者側、労働側、それから公益という順番でいきたいと思います。では、使用者側の委員の方、いかがでしょうか。武居さん、どうぞ。
○武居委員 使用者側の武居です。先生から御報告がありましたとおり、3月18日、労使で、ある程度合意をさせていただきました。今まで、5月28日からずっと論議をしてきたわけでございますが、労働者側と一番問題になったと言いますか、合意のところで、ある意味ではお互いの言い分で食い違いがあったのは、実は休息期間の問題でございます。
 今、全国的に労働者不足という問題があります。タクシーだけではなくバスもトラックも同じだと思うのですが、自動車運転手の労働者不足というのはもう全国で大変大きな問題になっておりまして、ある意味では労務倒産に至るぐらい大変厳しい経営環境が続いております。なおかつ、新型コロナウィルス感染症の拡大ということでございまして、現在は需要が少ないわけです。今、まん延防止重点措置が全国解除になりましたから、夜は少し忙しくなりましたけれども、まだまだコロナ前の8割にも満たないというのがタクシーの現状でございます。今の実態の中では、ある意味で1日の労働時間がかなり短くなっているのは、需要が低下していたからでございます。
 ただ、今後コロナ禍の今後を見据えた中では、インバウンドも含めて、Go Toキャンペーンも始まってくるという流れの中で、休息期間については、労災の認定基準に11時間という時間が入ったというのは、我々も十分に認識をしております。やはり、これは意識をしなければいけないと思います。ただ、やはり季節的な問題ですとか、今お話にありましたとおり、インバウンドを含めて、これから日本の経済が持ち直すためには、どうしてもコロナ禍の実態に向かって従来の経営環境を整えていかなければいけないということで、そういったニーズに対応するためには1日の拘束時間という問題が、余り極端に短くなっては、我々としては需要に対応できないということです。現在8時間といわれているものを11時間にするということになると、とてもそういった特殊な需要に、ニーズに対応できないということで、労使でずっと話し合ってきました。その中で、我々は11時間という問題については、今後の努力義務というだけではなくて、需要者側にもその辺を認識してもらうということで、「基本」という言葉を入れさせていただいたというのが実態でございます。
 つまり、努力義務の中でも、これを目指していくのだという事業者側の意識を強く働かせたいということで、こういう文書で何とか使用者側としても実態的には了解をさせていただきました。その中で、9時間は当然、従来、今は8時間ですけれども、1時間延ばしていただいた上に、更に11時間というものを意識した中で、一般産業である年間720時間というものを、まだ960時間は実施されてないわけですけれども、将来的にはそういったものを意識した中で、ドライバーの採用ということを意識すると、どうしても長時間労働を是正していかないと、自動車運転手という産業として今後、バスもトラックもタクシーも成り立たないのではないかという強い危機感の下に、これから進めてまいりたいと思っている次第でございます。
 特にタクシー会社の場合には、バスもトラックも同時に経営している会社が結構あります。やはり休息期間というのは、今まで3団体が一緒でございますので、この辺は1つのタクシーというだけではなくて、自動車運転手全体を考えたときに休息期間というものを、どういう形で収めていったらいいのかという中で、最大限、使用者側としては譲歩したつもりでございますし、これで何とか労働者側にも理解を得たということと、私どもは認識している次第でございます。以上でございます。
○藤村委員長 ありがとうございます。使用者側はよろしいですか。では労働側、お願いします。久松委員、どうぞ。
○久松委員 久松です。どうぞよろしくお願いします。ハイタクに関する報告の内容については異論がないということを申し上げた上で意見を述べさせていただきたいと思います。日勤の休息期間が11時間とならなかったことについては、非常に残念に思っているところです。
 今、武居委員も触れられておりましたが、私たち労働側委員としては、脳・心臓疾患に係る労災認定基準の令和3年改正で勤務間インターバルが11時間より短い勤務については評価対象に加えられたということを重く受け止め、休息期間については11時間を主張してまいりました。もちろん、運転者が不足しているタクシー業界の状況であったり、利用者のニーズにいかに応えていくか、また生産性の向上というものも考えていかないといけないという使用者側委員の御意見についても、よく認識はしているつもりですが、労災認定基準の改正を踏まえての主張でありますから、労働側委員の主張は妥当であるということを改めて申し述べておきたいと思います。さりとて、これまで公労使で議論を重ねた結果でもありますし、1か月の拘束時間の上限とあいまって、実務的には例外の部分の15時間の拘束時間、9時間の休息期間がフルに使われるわけではないということも踏まえて、総拘束時間の短縮にはなるだろうとは思っております。
 一方で、隔日勤務の休息期間については、一昼夜が逆転するという不規則勤務である隔日勤務がいかに過酷な勤務であるかということを踏まえて改善が必要であるという私ども労働側委員の主張について、使用者側委員におかれましては御理解をいただき、一定の譲歩をいただいたことについて感謝を申し上げておきたいと思っています。改善基準告示は労働時間等の上限を定めてあるものでしかなく、タクシー事業者の皆さんにおかれましては、実際の労務管理について日勤の拘束時間は13時間、休息期間は11時間、隔日勤務の休息期間は24時間を基本としていただいた上で、長時間労働や健康被害を防止し、運転者のみならず、利用者の安全・安心も担保でき得る対応を、改正されるまでの間、周知をしていただき、また推進していただきますようお願いしておきたいと思います。また、厚生労働省におきましても、現場での監督については改善基準告示改正の趣旨・目的を踏まえて、周知、助言、指導を徹底していただきたいとお願いしておきたいと思います。私のほうからは以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。労働側、よろしいでしょうか。では公益の寺田委員、どうぞ。
○寺田委員 今、結論を申し上げましたけれども、努力義務規定は残りましたし、それから努力義務といっても今後の、次につなげてというのでしょうか、そういう側面はあるかと思います。特に前回の改正から25年で、前回どうしたかということが記録上、特に余り残っておりませんので、次の見直しの機会をどうするかということを、今回の議事録か、それ以上の形で残しておく必要はあるかと思います。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございました。ただいま、公労使それぞれの御意見を伺いましたが、追加で何かありますか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 それでは、続きましてバス作業部会で取りまとめた報告書の内容について、部会長の川田委員から説明をお願いいたします。
○川田委員 川田でございます。私から、3月16日に取りまとめたバス作業部会の報告の内容を説明させていただきます。バス作業部会においては、令和3年5月12日以降、公労使それぞれの立場から、過労死等防止の観点から、どう見直すべきかについて真摯に御検討いただいた結果、とりまとめを行うことができました。以下、参考資料2の内容に沿って、改正内容を中心に御報告させていただきます。
 まず、参考資料2の1ページ、「1か月、4週間を平均し1週間当たりの拘束時間について」です。まず、1か月の拘束時間に関しては、現行では4週間を平均し1週間当たりの拘束時間を定めていますが、今回、1か月の拘束時間を新たに設けることとし、当面は、4週間を平均し1週間当たりの拘束時間の基準も尊重し、いずれかの基準を遵守すればよいことといたしました。1か月の拘束時間については、年間の総拘束時間が3,300時間、かつ、1か月の拘束時間が281時間を超えないものとしました。
 ただし、例外的に拘束時間を延長できる場合については、新たに、乗合バスのうち一時的な需要に応じて追加的に運行を行う営業所の運転車について対象としました。年間3,400時間を超えない範囲内において、年間6か月までは、月294時間まで延長することができることとし、1か月の拘束時間は281時間を超える月が4か月を超えて連続しないものとしております。
 次に、「4週間を平均し1週間当たりの拘束時間」についてですが、52週間の総拘束時間が3,300時間、かつ、4週間を平均し1週間当たり65時間を超えないものとしました。ただし、例外的な取扱いについては、対象期間を52週間のうち16週間から24週間、1週間当たりの拘束時間は、現行の71.5時間から68時間まで延長できると、それぞれ見直すこととし、65時間を超える週が連続16週間を越えないこととしました。
 次に2ページ、「1日の拘束時間、休息期間について」です。1日の拘束時間については、13時間を超えないものとし、最大拘束時間は15時間として、14時間を超える回数をできるだけ少なくするよう努めることとしました。また、1日の休息期間については、継続11時間以上与えるように努めることを基本とした上で、継続9時間を下回らないものとすると見直すこととしました。以上の見直し内容は、タクシーと同様となっています。
 次に3ページ、運転時間、連続運転時間についてです。運転時間については現行どおりですが、例外措置の対象に、拘束時間と同様、一時的な需要に応じて追加的に運行を行う乗合バスの営業所の運転者を追加することとしています。また、連続運転時間についても現行どおりですが、国土交通省のバスの交代運転者の配置基準の内容を踏まえ、高速バス及び貸切バスの高速道路の実車運行区間における連続運転時間は、おおむね2時間までとするよう努めることとしました。
 次に4ページ、例外的な取扱いについてです。予期しない事象に遭遇した場合、軽微な移動の必要が生じた場合、それから適用除外業務について、新たに規定を設けることとしました。そのうち、予期し得ない事象に遭遇した場合について、基本的な考え方はタクシーと同様です。勤務終了後の休息期間は、通常どおり、すなわち、参考資料2の2ページの所に挙げましたが、1日の休息期間の内容のとおり与えることとしました
 次に、軽微な移動の必要が生じた場合は、緊急通行車両等、他の車両の通行の妨げを回避するなど、運行計画上予定していた位置で駐車又は停車しているときに軽微な移動を行う必要がある場合には、30分を限度として連続運転時間から除くことができることとしました。また、適用除外業務ですが、バスもトラックと同様に、災害対策基本法等に基づき、緊急輸送の業務は適用除外業務として扱うこととしました。
 次に、5ページ、拘束時間及び休息期間の特例の1です。まず、休息期間の分割の特例について、現行では合計10時間以上の休息期間を与えることとしていますが、これを11時間以上としました。また一定期間は、現行の最大2か月程度から1か月を限度とし、分割の回数は2分割までとすることとしました。次の2人乗務の特例については、最大拘束時間は現行の20時間から19時間、休息期間は現行の4時間から5時間にしました。また、車両内ベッドが設けられている場合や、身体を伸ばして休息できるリクライニング方式の専用座席が少なくとも1座席以上確保されてカーテン等により他の乗客からの視線を遮断する措置が構じられている場合には、最大拘束時間を20時間まで延長し、休息期間を4時間まで短縮できることにしました。
 最後に、6ページ、拘束時間及び休息期間の特例の2です。隔日勤務の特例については現行どおりとしています。フェリーに乗船する場合の特例については、現行はフェリー乗船時間のうち2時間は拘束時間として取り扱い、その他の時間を休息期間として取り扱うものとしています。これについて、トラックと同様、バスもフェリー乗船時間は原則として休息期間として取り扱うものとしました。以上が、バス作業部会において取りまとめた内容の報告です。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございます。では、公労使それぞれの委員から御発言をお願いしたいと思います。先ほどと同じように、まずは使用者側からお願いいたします。どうぞ。
○齋藤委員 今回の改善基準の見直しですが、国会の付帯決議にもあるとおり、自動者運転者の過労死防止の観点から進められてきています。使用者側は代表委員として、従業員の過労防止を大前提とし、同時に地域住民の足であるバスの運行に与える影響が少なくなり、経営環境が非常に厳しいバス産業が、公共交通機関としての役割を果たし続けることのできる持続可能な見直しとなるよう、事業者の立場から意見を述べさせていただきました。
 今回の見直しによりまして、年間の総拘束時間が80時間削減され、休息期間も基本11時間、最低9時間となる、全体として過労死防止に資する見直しになったと考えております。私からは以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。どうぞ、金井委員。
○金井委員 日本バス協会の金井でございます。私からも一言。告示の見直しに当たりまして、第5回の専門委員会のときにも申し上げた件について、改めてお願いしたいと思っております。これは要望の部分ですが、専門委員会で、旅行代理店などエージェント等にも改善基準の遵守に向けた協力を求めてもらいたいということを申し上げてまいりました。対象として、貸切バスを手配する旅行業者に限らず、公共交通計画であったり、コミュニティーバスの運行を計画する自治体、そしてまたバスの利用者にも御理解をいただけるように、厚生労働省からも告示の見直しの趣旨などについて、広く周知をしていただきたいと切に願っているところでございます。このことについての見解というか、お尋ねしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 今の御発言は。はい、どうぞ。
○監督課長 御指摘ありがとうございます。私どもといたしましても、今回の改正については、この趣旨も含めて、適用対象となる事業者の皆様にとどまらず、今、御指摘のありました旅行代理店、あるいは自治体を含めた利用者の皆様に広く御理解いただけるように、周知には努めてまいりたいと考えております。
○金井委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。最後ですが、専門委員会や作業部会において、使用者側委員として、運転者の過労防止と公共交通の使命について悩みながらですが、議論を進めてまいりました。今回の報告書も、委員がそれぞれの立場から発言をして、より良い見直しの方法を模索した結果であると考えております。また、多くの論点に対して様々な立場から御検討をいただいた委員の皆様には改めて感謝を申し上げたいと思っております。改正に向け、厚生労働省で通達等をこれから作成されることになると思いますが、これまでの議論を踏まえながら作成をお願いしたいと思っております。私からは以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、労働側委員、お願いいたします。池之谷委員、どうぞ。
○池之谷委員 労働者委員の池之谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今回の改善基準告示の見直しについては、長時間労働の是正を念頭に、それぞれ委員の皆さんで真摯に議論をし、一定程度、この中間とりまとめがなされたと考えております。
 しかし、この見直しの議論に入るときに、当初から現状はどうなのだというアンケート調査を行い、そのアンケート調査の結果に、全てが反映されてはいないといったところが少し懸念として残るのだろうと思いますし、今回の見直しを一定程度行いましたら、組み方によっては現状と余り変わりのない組み方がなされる可能性もあると考えております。
 今回の見直しの中で、1日の最大拘束、また分割特例などについて、連続性を労働者側としては強く主張いたしました。長時間労働が連続して行われることによって疲労がかなり増えてきますので、できればその連続性を軽減させることの主張をさせていただきましたが、やはり使用者側の意見にもありましたとおり、朝ラッシュ、夕ラッシュの対応といったところではやむを得ない部分もあるのだろうと考えています。ただ、今回の見直しで作り上げた内容について、本則のみならず、通達であったり、様々なところをしっかり、冒頭に申し上げました長時間労働の是正、疲労度を軽減させるといった前提に立った上での対応をお願いしたいと思います。
 この中には、努力をするという表現が随分多くなっています。これは、努力だけをすればいいということではなく、先ほど言いましたように、そこで働く人たちの健康管理をしっかりしていかなければいけないと思っていますので、厚生労働省、国土交通省、バス事業者から、一定程度この通達の趣旨、本意をしっかりと踏まえて、皆さんに周知をしていただいて、脳・心臓疾患、また労災支給決定の件数の軽減、そして健康起因事故の減少、そして何よりは、そこで働く人たちの健康を守っていくのだといったところを大前提に、周知していただければと思っております。
 今回、この見直しは25年間されなかったということですが、人流であったり、そのバスの仕様であったりというものは数年置きに変わってきますので、25年ということではなく、今回の告示が今の働き方にマッチしているかどうかは見直しをしながら、もう少し短いスパンでの議論は必要なのだろうという感触を持っていますので、そのことを付け足しまして、私からの意見とさせていただきます。
○藤村委員長 ありがとうございました。労働側はよろしいですか。鎌田さん、どうぞ。
○鎌田委員 鎌田です。先ほど御意見が出ていますとおり、今回の検討会というのは、過労死防止と長時間労働の是正ということを速やかに検討しなさいという衆参の付帯決議から始まったものです。残念ながらコロナでスタートしましたが、我々労側としては、それは度外視して、10年、30年先の業界はどうあるべきかと、今の若い方々が夢と希望を持って就職したいという産業にするためには、現行の長時間労働で低賃金というレッテルを剥がさないといけません。やはり疲労がたまらない、休息期間の在り方をどうすべきかということで、原則11時間ということを言い続けてきましたが、いろいろな事情も、もちろん働く側としても理解はしています。ただ、9時間を下回らないでもいいということに目がいくのではなく、あくまでも基本は11時間ということをまず考えて周知をやっていただきたいと思っています。
 あと、個別のいろいろな項目だけを見ると、大幅な時間の短縮にはなっていないのですが、総体的に見ると、現行の基準よりは短縮しているということで一定の見直しはできたと思っています。
 ここの論議ではないのですが、結局、時間が減ってしまうと、働く時間が減ると、当然、働く側としては賃金が減ってしまうという問題があります。時間が減っても年間で頂く総賃金が減らないような賃金体系を作ることが望ましいと思いますが、それには原資が必要なわけであり、そういう意味ではトラックで既に説明しています適正な運賃、そしてバスも、昨年末に、人件費の比率を今は伴っていないということで、算出方法を見直されました。なので、この改善基準告示の見直しの令和6年までの間に、トラックもバスもタクシーも、是非、適正な運賃というものを検討していただいて、この改善基準告示の見直しと同時に、具体的には、今の初乗運賃等を見ていただいても本当にあれが適正なのかと。バスだけで言うと、1台3,000万、4,000万する車両を初乗り170円で維持できるかという根本的なことを考えても、当然、それは見合っていないのではないかということもありますので、ここの論議にはありませんが、是非、事業者の方々も協会のほうで、このスタートと合わせて、是非そういった見直しもしていただきたいということを最後に申上げて、私からの発言を終わります。
○藤村委員長 ありがとうございます。では公益委員から、小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 公益委員の小田切です。議論の中で、労働者側、それから事業者側、それぞれのお立場に、思いを寄せながら委員会に出していただきました。その中で、毎回の委員会でお願いしてまいりましたことは、やはり連続性をなるだけ避けてほしいということでした。総拘束時間という枠の中での考え方でありますが、労働時間の長い日がなるべく続かないようにし休息を取れるようにすると。それが人間として労働していく中で疲れをためないための一番のポイントだと思いますので、告示や、これから検討いただく通達の中でも、それをしっかりと押さえていただけると大変うれしいと思います。
 それから、今回、委員会に出させていただいて、文章の受け止め方は非常に難しいと思いました。「努めること」という言葉が、はたして、どこに掛かっているのかと言いますと、例えば、継続11時間以上与えることに努めることなのですが、それの後に「基本とし」となっています。この「基本」は、努めることが基本なのではなく数字のほうが基本だということを強調して、これから広報していっていただくとよろしいのではないかと思いました。以上です。
○藤村委員長 川田委員、いかがですか。
○川田委員 私は部会長という立場でいろいろな取りまとめをさせていただいたわけですが、この課題は、一方では長時間労働による健康被害の防止を図っていくことを第一に検討すべき課題としつつ、同時に公共交通機関という社会的な使命を担っているバスの事業について、将来に向けて持続し、かつ、働く者にとって魅力的な働き方にしていくという、非常に全体をうまく実現するのが極めて難しい課題について、各それぞれの委員がそれぞれの立場から真摯に審議をされ、取りまとめられたものと思っております。そういうものとして、ここにまとめられた内容については受け止めて尊重したいと思っていますが、同時に、3月16日に作業部会の際に取りまとめられたときにも述べさせていただいたことですが、今回、取りまとめられた内容はこのように真摯な御議論がされた上でまとめられたもので、報告書の言葉としては、文字にしたら極めて短い数文字の言葉の中に、先ほど述べさせていただいたようないろいろな考え方を、どうやってできるだけ全体としてうまく実現させていくかという考え方が凝縮されているところがあると思います。そうしたところについては、その審議の過程を踏まえた趣旨ができるだけ、より良く実現されるように、このような内容で改善基準告示が改正されていくとした場合には、その内容の社会に向けての周知や、その内容の細部を、より具体化する通達の策定で、議論の経過を踏まえた趣旨が、より良く実現されることを望んでおります。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。発言は以上でよろしいでしょうか。ハイヤー・タクシー、それからバスの委員におかれましては、改善基準見直しの議論を開始して以降、本日までの間、大変、熱心に御議論いただきました。いずれも全体として、過労死等防止に資する見直し内容となっていると思います。各委員におかれましては、本当にお疲れさまでございました。さて、本専門委員会としても、以上の報告をいただいた内容をもって中間的な取りまとめを行いたいと思います。事務局から、中間とりまとめの案が提出されておりますので、説明をお願いいたします。どうぞ。
○過重労働特別対策室長 資料1、中間とりまとめ案です。2ページをご覧ください。「記」の1番は、ハイヤー・タクシーに関するものです。内容は参考資料3の「ハイヤー・タクシー作業部会」の報告書と同様ですので、内容は省略いたします。
 また、4ページの中段からの、「記」の2番です。こちらも内容は、バスの作業部会の報告書と同様です。
 最後に、1ページにお戻りください。中段部分につきましては、それぞれの部会の内容と同じですが、一番最後の段落が部会の報告書と異なりますのでご覧下さい。「この度、ハイヤー・タクシー作業部会及びバス作業部会において改善基準告示及び関係通達の在り方についての検討結果が下記のとおり取りまとめられたため、当委員会の中間的な検討結果として整理することとした。今後、トラック作業部会の検討状況を踏まえ、最終的な報告書として、改めて取りまとめることとしたい。」ということで、中間とりまとめとさせていただきたいと思います。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。この資料1について、御意見はございますか。よろしいですか。では、この資料1を「中間とりまとめ」ということで、この委員会の決定としたいと思います。あと、トラックが残されております。3業態をできるだけ合わせてというのが、基本的な方針でやってきておりますが、トラックは、まだ議論の途上で、今日取りまとめのありましたハイヤー・タクシー並びにバスの内容を参考にしながら、トラックも取りまとめに向けて議論をしていただきたいと思います。この場で、トラックの使用者委員から、何かございますか。馬渡さん、どうぞ。
○馬渡委員 全ト協の馬渡です。今日、バスやハイヤー・タクシーの労使の方々が真剣に議論を重ねられて、成案を出されたことに敬意を表します。我々トラック業界も、おおむね7月頃に向けて、今日の議論を参考にしながら、一生懸命に議論したいと思います。ただ、いつも申し上げておりますが、この場にいる労使、それから公益委員の先生方も労働者が健康で安全な生活を送ることを切に願っておられると思っておりますので、私としては実質的に、そういうふうになってほしいと。やはり、どこかで水が漏れるようなことでは、結局は運転者たち、労働者の人たちが現場で困ってしまうことのないように議論をしたいと思います。また、960時間規制になっていますが、実質的には再来年度の残業代の割増率引上げを考えると、使用者側も含めて月間60時間、年間で720時間は意識せざるを得ない部分がありますので、その辺のところも考えながら、今回の960時間規制、次の720時間規制を連続して考えさせていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 他の業界の方も、本来は今日で終われるところなのですが、もうしばらく我々を待っていただいて、申し訳ありませんが、夏頃までには何とか成案を得たいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、労働側から御発言はございますか。世永委員、どうぞ。
○世永委員 ありがとうございます。冒頭、私からもバス、ハイタクの関係者の皆さん、公益委員の先生、そして行政の皆様にも感謝を申し上げたいと思っています。取りまとめをしていただきまして本当にありがとうございました。今、トラックの使用者側から発言がありました。事の発端は、やはり我々自動車運転者だけが一般則の適用にならないという、国会審議の中で附帯決議が付いて始まったものだと思っています。
 労側としましては、2018年秋から、この告示見直しの議論を予定したわけですが、トラックの使用者側から貨物自動車運送事業法の一部改正を優先してほしいという強い要請を受けて、労側としても最大限の取組をして、改正に結びつけてきたと自負しております。また、この事業法の再度の改正が喫緊の課題であるということについては、労使とも共通の認識と思っています。
 改めまして、労使の課題である「過労死をなくしていこう」ということと、「若い人が入職してくれる産業」に向けての努力が必要だということで、その骨格と土台が、この告示だと思っています。トラックとしても、告示の見直しにつきましては、社会に対する約束事だというふうに重く受け止めております。
 我々自動車運転手と相関性の高い建設業は、既に2024年4月から、一般則の適用を決めております。そういった中で、運輸業・郵便業は、何だかんだ言っても、週の労働時間が60時間以上の雇用者の割合が突出しているということが現状として続いています。その次が建設業です。ただ、建設業は一般則に舵を切ったということです。ここは、きちんと見ていく必要があるだろうというふうに思っています。これから議論が始まるトラックにつきましては、2回の調査結果もあります。1年、1か月、1日における拘束時間の短縮は待ったなしだというふうに思っております。
 本来であれば、この専門委員会で、一般則適用に向けたロードマップを作っていくことが本来の役目だというふうに思いますが、なかなかそこまでは、まだ到達していないということを、やはり全体で情報共有しながら、次のステップに向けての議論にしていきたいと思います。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございました。貫委員、どうぞ。
○貫委員 ありがとうございます。貫です。私も世永委員と同様の考えです。今回の議論を、バス、タクシーの労使で、本当に真摯な議論を交わしていただいた中で今回の取りまとめになったことには本当に敬意を表したいと思っております。
 トラックにおいても、馬渡委員がおっしゃっていたとおり、やはりドライバーの方々の安全で安心な環境に持っていくためにも、この告示が1つの大きな役割であると思っておりますし、やはりバスでは、鎌田委員がおっしゃいましたが、10年、20年、30年先に、今の若年層の方々に、この業界を選んでいただくようなバス、トラック、タクシーにおいて、このタクシーの乗務員になりたいとか、運転手になろうと思われるような環境になるような仕組みづくりは、この改善基準告示で重要なのかなと、議論が重要だと前々から思っておりましたので、是非とも、それに向けてトラックとしても議論を進めてまいらなければならないと思っているところです。
 二度も調査結果を行ったわけですから、やはり公的な調査期間の結果を基にして、どうあるべきかを議論し、前回の作業部会で議論が始まりましたが、まずは調査結果を見た上で、どうあるべきかということを始め、それを受けて、現状ここは、まだ難しいから段落としをしていかないといけないのではないかという議論を進めていくべきではないかなと思っておりますので、また、いろいろと御指導いただければと思っております。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、公益委員の首藤委員、どうぞ。
○首藤委員 首藤です。バス、タクシーの関係者の方々、中間とりまとめを拝見して、大変参考になるものが出来上がったと思っております。本当にどうもありがとうございました。トラックは、まだ議論の途上ですが、そもそも、この改善基準告示が、この3業態でそろって提供されることの意味を、私は今回非常に強く考えさせられました。特に自動車運転者が、かつてより長時間労働の傾向が見られること、更に労災の申請件数も飛び抜けて多く、かつ、自動車運転者は公道を職場としているわけですから、何か事故があった場合には社会的な影響も非常に大きいことで、やはり3業態そろって告示が提供されてきたということがあります。
 この告示のそもそもの趣旨から踏み外すことがないように、トラックを含めて今後、トラックでの議論というものを進めていかないといけないと思っております。また、この間、随分メディア等でも取り上げていただき、この議論は非常に社会的な注目を集めているところでもあると思っております。日弁連をはじめ、幾つかの声明も出されて、私たちは各組織や団体を背負って、ここに座っているわけですが、同時に、やはり社会的な存在として位置していると、やはり社会的な声を聞きながら議論を進めていかないといけないと改めて思っているところです。どうぞよろしくお願いいたします。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。今日は、資料1という形で、中間とりまとめ案が出ており、これは中間的な整理として、トラック作業部会での検討結果を踏まえて最終的に取りまとめを行う手順でやっていきたいと考えますが、いかがでしょうか。
(異議なし)
○藤村委員長 どうもありがとうございます。それでは、これをもちまして中間とりまとめとさせていただき。すみません、齋藤委員、どうぞ。
○齋藤委員 最後に、意見と要望をよろしいでしょうか。
○藤村委員長 はい。
○齋藤委員 今回、先ほどから過労死防止という観点から、改善基準の見直しの議論を行ってきましたが、改善基準を遵守していても過労死が発生しているのかというところなのですが、そういう場合は当然、見直しは必要と考えています。仮に、基準を遵守していない状態で過労死が発生しているということであれば、その遵守していない事業者への指導・監督を強化することが過労死防止を図る上で必要ではないかと私は考えております。
 作業部会の中の議論でも、悪質な事業者がいるので、基準をより厳しくする必要があるとの御意見もありましたが、基準を厳しくすることよりも、そのような基準を守らない事業者に、いかに守らせるか。そのことに注力することも、過労死の防止に効果が出るのではないかと思っておりますので、意見として言います。
 それから要望ですが、今後、各事業者は見直しに向けて準備を進めることになりますが、しっかり内容を理解して取り組むために、施行に向けて改正された改善基準告示に関する説明会などを、順次開催していただきたいと思っております。全ての事業者が、見直しに向けた準備をしっかりと進められるよう、お願いいたします。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。ただいま齋藤委員から出されました意見、要望について事務局から何かございますか。尾田課長、どうぞ。
○監督課長 御指摘をありがとうございます。御指摘のとおり、こういった基準を遵守しない事業者に対して、特にしっかりと指導していくことはごもっともですし、私どもの本務ですので、そうしたところは引き続き、あるいは新しい基準につきましてもしっかりやってまいりたいと思っております。また説明会も、なるべく早いタイミングで、今回おまとめいただいた内容を幅広く事業者の皆様にしっかり理解していただけるように、私どもとしても取り組んでまいりたいと思っております。
○藤村委員長 では、小田切委員、どうぞ。
○小田切委員 ありがとうございます。今、齋藤委員がおっしゃられた観点からも、今回の改善基準告示が事業者にとっても非常にアピールの機会になると思います。このように改善基準告示の見直しに従って、うちの業界はこういうふうな働き方で前向きに取り組んでいることを示すわけです。その点も含めて、厚生労働省には、説明会を含めて進めていっていただけると大変有り難いと思います。
○藤村委員長 ありがとうございました。あと、トラック作業部会が残っておりますので、トラック作業部会の各委員、並びに事務局におかれましては、引き続き取りまとめに向けて御尽力いただきますようにお願いしたいと思います。
 それではここで、小林審議官に御挨拶を頂きたいと思います。どうぞ。
○審議官 審議官の小林でございます。中間とりまとめに当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。委員の皆様方におかれましては、改善基準見直しの議論を開始して以降、本日までの間、大変熱心に御議論いただいたことに改めて感謝申し上げます。
公・労・使それぞれのお立場から、過労死等防止の観点でどう見直すべきかについて真摯に御検討いただいた結果、全体として大幅な改善の内容となっているものと考えております。
 令和6年4月の施行に向けて、告示、通達の改正等の作業を進めながら、今回の見直し内容が、事業者・労働者の皆様に広く浸透するよう周知を図っていきたいと考えております。この周知につきましては、本日の御議論の中でも複数の御指摘を頂きましたので、遺漏のないよう、進めてまいります。
 今後、トラックについての改善基準見直しの検討ですが、引き続き事務局として、円滑に議論が進むよう尽力してまいりたいと考えております。簡単ではございますが、挨拶とさせていただきます。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。最後に、事務局から御連絡等があればお願いいたします。
○中央労働基準監察官 次回の専門委員会の日程につきましては、日時、場所について調整の上、追って御連絡させていただきます。以上でございます。
○藤村委員長 それでは、本日はここまでといたします。これをもちまして、第8回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会を終了いたします。皆様、どうもありがとうございました。