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- 2022年3月9日 第49回労働政策審議会 議事録
2022年3月9日 第49回労働政策審議会 議事録
1.日時
令和4年3月9日(水)16:00~17:50
2.場所
オンラインによる開催(厚生労働省専用第21会議室(17階))
3.出席者
- 公益代表委員
- ・清家会長 ・城内委員 ・守島委員
・奥宮委員 ・武石委員 ・山川委員
・小畑委員 ・中窪委員 ・山本委員 - 労働者代表委員
- ・安藤委員 ・清水委員 ・難波委員 ・山中委員
・石川委員 ・永井委員 ・則松委員
・酒向委員 ・中川委員 ・安河内委員 - 使用者代表委員
- ・井上委員 ・小松委員 ・冨田委員 ・矢口委員
・内田議員 ・西周委員 ・野村委員
・川﨑委員 ・淡輪委員 ・椋田委員 - 事務局
- ・古賀厚生労働副大臣 ・田中職業安定局長
・坂口厚生労働審議官 ・山田雇用環境・均等局長
・村山総括審議官 ・小林人材開発統括官
・松下会計管理官 ・田中政策立案総括審議官
・吉永労働基準局長 ・松本政策統括官付参事官
4.議題
- (1)令和4年度労働行政関係予算案の主要施策について
- (2)分科会及び部会等の審議状況、法案の国会審議状況について
- (3)その他
5.議事
- 議事内容
○清家会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第49回「労働政策審議会」を開催いたします。
皆様におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして誠にありがとうございます。
皆様、御案内のような状況でございますので、前回に引き続き今回もオンライン会議による開催となりましたことについて、よろしく御理解を賜りたく存じます。
それでは、審議会の開会に際しまして、古賀厚生労働副大臣から御挨拶をいただきます。
副大臣、よろしくお願いします。
〇古賀厚生労働副大臣 厚生労働副大臣の古賀篤でございます。本日は、お忙しい中、第49回労働政策審議会に御参集をいただき、厚く御礼を申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、前回に引き続きオンライン会議による開催となりましたが、本日は令和4年度の労働行政関係予算案の主要施策について皆様に御報告いたしまして、御議論をお願いすることとしております。
令和4年度の厚生労働省予算案におきましては、新型コロナウイルス感染症から国民の命・暮らし・雇用を守る万全の対応を引き続き行うとともに、労働行政関係では、『未来社会を切り拓く「成長と分配の好循環」の実現』のため、「人への投資」の強化をはじめとした新しい施策にも取り組むこととしております。本日は、そうした取組につきまして御報告申し上げますとともに、皆様から幅広い御意見をいただければと考えております。
感染症の影響が続く中、労働政策を策定し、実施していくには、現場を熟知した当事者である労使の参画を得まして、十分に議論を尽くすことがますます重要であると承知しております。
オンライン会議による開催ではありますが、委員の皆様方には、公・労・使の三者で構成された本審議会におきまして、幅広い御見識と豊かな御経験に基づき御意見をいただきますようお願い申し上げまして、私からの御挨拶とさせていただきます。
本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
〇清家会長 古賀副大臣、ありがとうございました。
なお、古賀副大臣におかれましては他の公務のため、ここで御退席をされます。
どうもありがとうございました。
(古賀厚生労働副大臣 退席)
〇清家会長 それでは、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。傍聴席の方は恐縮ですが、傍聴会場へ御移動をお願いいたします。
(傍聴者退室)
〇清家会長 それでは、議事に入ります前に、本日の審議会について事務局から御説明をお願いします。
〇松本政策統括官付参事官 事務局の政策統括官付参事官の松本でございます。よろしくお願いいたします。
厚生労働省では、審議会等のペーパーレス化の取組を推進しており、本日も厚生労働省内の会場はペーパーレスで実施しますので、お手元のタブレットを御利用ください。
また、厚生労働省の会場内で御発言される際はマスクを着用したままにてお願いいたします。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしてください。
御発言の際は「挙手ボタン」を押していただき、会長から指名がありましたらマイクのミュートを解除して御発言ください。
機器等のトラブルがございましたらチャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡ください。
音声トラブル等で御発言が難しい場合は、審議会終了後に御発言予定だった内容を事務局に御送付いただき、事務局から全委員に対して当該御発言予定だった内容を御提供いたします。
通信遮断などが生じた場合には、進行を一時中断とする場合がございますので御承知おきください。
続きまして、昨年12月10日付けで労働者代表委員2名の交代がございましたので、新たに就任された委員を御紹介します。資料1の労働政策審議会委員名簿を御参照ください。
日本労働組合総連合会事務局長の清水委員でございます。
日本労働組合総連合会副事務局長の則松委員でございます。
また、本日、荒木委員は所用により御欠席と承っております。
事務局からは以上でございます。
〇清家会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入ります。本日の議題は、議題1が「令和4年度労働行政関係予算案の主要施策について」、議題2が「分科会及び部会等の審議状況、法案の国会審議状況について」です。
以上、2つの議題について事務局から御説明をお願いします。
〇松下会計管理官 大臣官房会計課の松下と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
私のほうから、議題1の令和4年度労働行政関係予算案の主要施策につきまして、資料2に基づいて説明をさせていただきます。
資料2の1ページ目を御覧いただきたいと思います。「令和4年度厚生労働省予算案における重要事項」の資料でございます。厚生労働省におきましては、新型コロナウイルス感染症への対応に万全を期すとともに、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現に向けまして、令和3年度補正予算と令和4年度当初予算とを合わせて16か月予算と銘打って必要な予算の措置をしております。
令和4年度予算案の柱につきましては、その資料にあるとおり4つございます。柱の2つ目、左から2つ目でございますが、「未来社会を切り拓く「成長と分配の好循環」の実現」について、2ページ以降で説明をさせていただきます。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。まず「雇用維持・労働移動・人材育成等に向けた支援」についてでございます。
左上の1つ目の○の雇用の維持・在籍型出向の取組への支援といたしまして、令和3年度補正予算に加えまして、令和4年度当初予算におきましても雇用調整助成金等による雇用維持を進めていくとともに、在籍型出向につきましても産業雇用安定助成金により引き続き支援することとしております。
次の○でございますが、民間の知恵を活用して実施する「人への投資」の強化といたしまして、民間から聴取した意見を踏まえ、労働移動の円滑化や人材育成を強力に推進するための施策パッケージを創設することとしております。
次の○の女性・非正規雇用労働者へのマッチングやステップアップ支援、新規学卒者等への就職支援といたしまして、求職者支援訓練により再就職を支援するほか、子育て中の女性の方々などを支援するため、ハローワークに就職支援ナビゲーターを増員するなど、相談体制等を拡充することとしております。
次の○のデジタル化の推進、人手不足分野への円滑な労働移動の推進といたしまして、IT分野の資格取得を目指す訓練コースについて、訓練実施機関への訓練委託費の上乗せ等を行っていくほか、ハローワークの職業紹介業務のオンライン・デジタル化を推進することとしております。
右上のほうにいきまして、キャリア形成支援の推進といたしまして、キャリアコンサルティングを通じて一人一人に寄り添った支援を行うキャリア形成サポートセンターによる支援を引き続き実施することとしております。
次に、「多様な人材の活躍促進」についてでございます。
まず、女性活躍・男性の育児休業取得等の促進につきまして、男性の育児休業の取得を推進するため、企業向けセミナーの開催や事業主への助成金による支援を行っていくほか、不妊治療と仕事の両立支援のため、休暇制度等の環境整備を行う事業主に対し、助成金による支援等を行うこととしております。
次の○でございますが、就職氷河期世代の活躍支援について、ハローワークにおける専門担当者のチーム制による就職支援を実施するほか、地域若者サポートステーションにおいてオンラインによる相談支援等を推進してまいります。
次の○ですが、高齢者の就労・社会参加の促進につきまして、ハローワークに設置されております支援窓口におけるマッチング支援、シルバー人材センターを活用した高齢者の介護就業を促進する事業などを実施することとしております。
2ページ目の一番下にある☆印の雇用保険の国庫負担につきましては、令和4年度の雇用保険料率や機動的な国庫負担の仕組みの導入等を盛り込んだ雇用保険法案を今国会に提出をし、国会での審議も始まっているところでございます。
続きまして、3ページ目を御覧いただきたいと思います。障害者の就労促進、外国人に対する支援についてですが、事業主に対する各種助成金やハローワーク等における相談支援を引き続き実施することとしております。
次に労働者協同組合の設立の支援についてですが、令和4年10月からの法律の円滑な施行に向けまして、都道府県と連携したフォーラムの開催や相談窓口の設置等により支援することとしております。
続いて、「誰もが働きやすい職場づくり」についてでございます。
まず柔軟な働き方がしやすい環境整備、安全で健康に働くことができる職場づくりにつきまして、テレワークの導入、定着促進に取り組む事業主への助成金による支援のほか、時間外労働削減や年休の取得促進、勤務間インターバルの導入等に取り組む中小企業への助成金による支援も引き続き実施をすることとしております。
次に、最低賃金・賃金の引上げに向けた生産性向上等の推進、同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保につきまして、賃上げしやすい環境を整備するため、引き続き中小企業への業務改善助成金による支援を行っていくほか、非正規雇用労働者の処遇改善等を行う企業へのキャリアアップ助成金による支援についても引き続き実施をすることとしております。
このほか、公的部門における分配機能の強化といたしまして、看護、介護、保育などの現場で働く方々の収入の引上げに向けた予算についても計上をしているところでございます。
資料の4ページ目以降につきましては、今、御説明申し上げました事業内容を具体的に説明した資料をつけております。本日は、時間の関係で説明を省略させていただきます。
以上、駆け足での説明となりましたが、私からの説明は以上となります。
○松本政策統括官付参事官 続きまして、資料3及び資料4につきましては関係各局から御説明申し上げます。
○吉永労働基準局長 労働基準局長でございます。
資料の3-1を御覧いただければと思います。労働基準関係の分科会などにおける主な審議状況につきまして御報告申し上げます。
まず資料の1つ目の○を御覧ください。労働条件分科会におきましては、時間外労働の上限規制の適用が猶予されてございます医業に従事する医師につきまして、令和6年4月からの適用に向けまして必要な事項を定めた省令などにつきまして令和3年11月30日に要綱を諮問し、おおむね妥当との御答申をいただいたところでございます。
次に、2つ目の○を御覧いただければと思います。労災保険部会におきましては、新型コロナウイルス感染症に関する保険給付及び特別支給金の額をメリット収支率の算定に反映させないこととした省令案につきまして、令和3年11月26日に要綱を諮問し、妥当との答申をいただいたところでございます。
次に3つ目の○でございますけれども、同じく労災保険部会におきまして労災保険の特別加入の対象業務といたしましてあん摩マッサージ指圧師、はり師、またはきゅう師が行う事業を加えた省令案につきまして、令和3年12月14日に要綱を諮問し、妥当との答申をいただいたところでございます。
次のページの上から3つ目の○を御覧いただければと思います。安全衛生分科会におきまして、令和3年5月の建設アスベスト訴訟最高裁判決の結果を踏まえまして、労働安全衛生法第22条に基づきます11の省令の規定につきまして、労働者以外の者に対します保険保護措置を新たに規定した省令案につきまして、令和4年1月31日に要綱を諮問し、妥当との御答申をいただいたところでございます。
なお、労働基準局におけます各分科会等の開催実績につきましては、3ページの最後に示しているところでございます。
労働基準局からは以上でございます。
○田中職業安定局長 続きまして、職業安定局でございます。
職業安定局所管の分科会等における審議状況について御説明いたします。時間の都合上、御説明は法律改正に関する内容、それから新型コロナへの対応に関することとさせていただきます。
まず法律改正に関する内容ですけれども、通し番号は49ページになります。
1つ目の○、「雇用保険法等の一部を改正する法律案」でございます。本改正案においては、失業等給付に係る暫定措置の継続と、求人メディア等のマッチング機能の質の向上等の措置と合わせて、雇用保険財政の現状を踏まえ、激変緩和のための暫定的な雇用保険料率を定めるとともに、雇用情勢や雇用保険財政に応じた機動的な国庫負担の仕組みの導入、雇用保険臨時特例法による国庫負担の特例の暫定措置の継続などの措置を講ずるものでございます。
資料4にもありますけれども、2月1日に閣議決定をしまして、現在国会で、衆議院で御審議をいただいている状況でございます。
法律改正は以上です。
次は、新型コロナウイルス感染症への対応でございます。同じく49ページの2つ目の○、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令」、それから同じく3つ目の○の「新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」についてでございます。これらについては、雇用調整助成金の特例措置と新型コロナウイルス感染症対応休業支援金の特例措置の期間の延長などを内容とする省令案を順次、職業安定分科会において御議論いただいております。
そのほか、次の通しページの50ページ目の1つ目と2つ目の○にあるとおり、新型コロナウイルス感染症対応のための必要な措置について職業安定局所管の分科会等で御議論をいただいたところでございます。
職業安定局関係は以上でございます。
○山田雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局でございます。
資料はずっと飛んでいただきまして資料3の115ページになりますが、雇用環境・均等分科会における審議状況についてです。
まず115ページの一番上の○ですが、昨年6月に成立した改正育児介護休業法について、本年4月から順次施行されるところでありますが、円滑な施行に向けて御議論いただきました。
具体的には、常用雇用する労働者の数が1,000人を超える事業主に対する育児休業の取得状況の公表義務づけについて、その公表方法や公表の内容に関する事項。
それから、2つ目の○ですが、くるみん認定・プラチナくるみん認定の認定基準の見直し等を行うとともに、不妊治療と仕事が両立できる職場環境の整備の推進に向けて、くるみん認定等の新たな類型を本年4月1日から設けることについて御議論いただき、令和3年10月26日におおむね妥当との答申をいただきました。引き続き、円滑な施行に向けた取組を進めてまいります。
それから、○の3つ目、4つ目と、次のページの最初の○ですが、新型コロナウイルス感染症への対応として小学校休業等対応助成金の対象となる有給休暇の期限延長や、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置及び当該措置による両立支援等助成金の休暇取得支援コース助成金についての期限延長について御議論いただきました。
116ページにいきまして3つ目の○になりますけれども、家内労働部会のほうですが、この雇用環境・均等分科会家内労働部会について3月8日開催時に第13次の最低工賃新設・改正計画の進捗状況について報告を行いました。
最後ですが、下から3つ目の勤労者生活分科会において労働者協同組合法について本年10月1日の施行に向けて政省令、指針案について御議論いただきました。こちらについても、引き続き円滑な施行に向けて取組を進めてまいります。
以上です。
○小林人材開発統括官 続きまして、人材開発統括官の小林でございます。
資料はずっと飛びまして、通しページの197ページでございます。197ページに「人材開発統括官所管の分科会における審議状況」ということで、人材開発分科会の審議状況をおつけしております。
まず1つ目でございますが、雇用保険法施行規則等の改正の関係でございます。前段部分は、人材開発支援助成金のうち非正規雇用労働者の正社員転換に係る助成がございますが、正社員化のインセンティブを強化するための見直しを行ったものでございます。
後半でございますが、求職者支援訓練のコース設定につきまして、IT分野の設定を促すために基本奨励金の上乗せを行うこととしたものでございます。
2つ目、「人材開発分科会報告」ということで、「~関係者の協働による「学びの好循環」の実現に向けて~」という分科会報告をまとめていただきました。主な内容といたしまして、地域における精度の高い職業訓練を推進するための関係者の協議の場の設定、労働者の主体的な学びを支援するためのキャリアコンサルティングの推進の関係、それから企業における学びや学び直しの促進のためのガイドラインの策定等の内容を盛り込んでいただいております。
3つ目でございますが、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」の中に職業能力開発促進法の改正も盛り込まれております。先ほど人材開発分科会報告のところで申し上げた職業訓練を効果的に推進するための関係者の協議の場の設定、それからキャリアコンサルティングの推進に係る部分につきましては職業能力開発促進法の改正に盛り込んでおりまして、それについて御審議いただきました。
最後に4つ目の○でございますが、これは監理団体審査部会でございまして、技能実習制度の監理団体の許可について4回にわたり御審議をいただいております。
人材開発分科会の関係は以上でございます。
○田中政策立案総括審議官 政策立案総括審議官の田中でございます。
ページはまた少し飛んで235ページまでお進みください。私からは、労働政策基本部会の審議状況について御説明をさせていただきます。
労働政策基本部会は労働政策上の中長期的な課題全般にわたって議論をするところでございますけれども、この2月1日に第20回の基本部会を開催いたしました。事務局から今後の進め方の案をお示しいたしまして、委員のプレゼンを行っていただいた後に審議を行っております。
今後は、委員、有識者、企業等からのプレゼンを行いながら委員間の意見交換を行い、令和5年2月頃、取りまとめを行う予定としております。
以上でございます。
○松本政策統括官付参事官 事務局からの説明は以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、ここから委員の皆様方から御意見を承りたいと存じます。円滑な議事進行のため、大変恐縮ですけれども、まず委員の皆様の御意見を一通り全て承った後で、事務局からまとめてお答えをいただきたいと考えております。
それでは、御意見のある委員の方は挙手ボタンをお願いいたします。
それでは、清水委員よろしくお願いいたします。
○清水委員 連合の清水でございます。
コロナ禍が長期化する中で雇用調整助成金、あるいは産業雇用安定助成金など、雇用保険を財源とする各種制度の活用により、多くの雇用がかろうじて守られてきたことは評価したいと思います。
一方、雇用の維持、在籍型出向の取組への支援に関する令和4年度の予算は昨年度の予算を下回っており、年度途中で予算が枯渇することも懸念されます。状況に応じて、補正予算の編成や予備費からの機動的な繰入れなどの対策が必要になるのではないかと考えております。これまでの経験を踏まえ、予算が逼迫する前にしかるべき対策をお願いしたいと思います。
また、今後の地域における雇用の安定のためには、国や地方自治体による雇用創出事業の強化や、ハローワークなどによる求人開拓、就職や在籍型出向のマッチング機能強化などの取組が求められると思います。次年度以降も必要な予算措置を行った上で、地域雇用の受け皿となる雇用機会の創出について、一層取り組んでいただきたいということを強く申し上げたいと思います。
最後に、人への投資や就職氷河期対策、あるいは高齢者の就労、社会参加の促進など、厚生労働省に求められている役割は広く深いものと考えております。今後も十分な予算を確保するとともに、新型コロナウイルスの感染拡大対策を講じつつ、暮らしや雇用を守るための万全な対応を確実に実施していただくようにお願いしたいと思います。
私からは、以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、冨田委員よろしくお願いいたします。
○冨田委員 ありがとうございます。冨田でございます。
私からは、資料2の16ページにあります労働環境の整備、そして生産性の向上の推進に関連して意見を申し上げます。
改めて申し上げるまでもなく、成長と分配の好循環の実現のためには、やはり生産性の向上が起点になると思います。ただし、現在の我が国の1時間当たりのGDP、すなわち労働生産性は2020年度の数値ですと、OECDに加盟している38か国中23位であり、長く低迷しております。それだけでもゆゆしいことだと思いますが、さらに問題なのは、仮に我が国の労働時間が、OECD加盟国の中で最も短いドイツと同じになったとしても、この順位は23位から20位に上がるだけで、小幅な上昇にとどまると推定される点であります。
企業各社は労働時間の削減、あるいは年休の取得を増やすという取組を進めてきておりますけれども、これから労働生産性を上げるという意味では労働の量ではなくて質に目を向ける必要があると思います。
今、我が国はデジタル化や脱炭素化をてことして、中小企業の生産性向上と経済、特に地方経済の活性化の実現に向けて邁進しておりますが、この絶好のチャンスを生かして生産性を高め、付加価値の飛躍的な向上を目指していかなければならないと思います。
そして、その鍵を握るのはエンゲージメント、すなわち一人一人の働き手が働きがいや働きやすさを感じながら新しいことに挑戦してもらうという環境、制度づくりだと思います。経営者は働き手が自律的に働ける、そして創造性を発揮できる環境を整えるために頑張っていますけれども、こうした取組を進めていく上で労働時間法制の見直しが必要なのではないかと感じております。
とりわけ、かねてより議論しております裁量労働制の対象業務の拡大は急務だと思います。本審議会で繰り返し申し上げておりますが、いまだに実現しておりません。御検討を急いでいただきたいと思います。
昨年公表された実態調査でも、制度適用者の満足度は非常に高いということは分かっておりますので、働き手の皆さん方にとってもメリットのある制度だと思っております。公・労・使・政府の間で我が国の現在の危機的な状況を共有して、労働時間法制の見直しに向けた分科会の議論を早急に開始することを改めて強くお願いいたします。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、石川委員よろしくお願いいたします。
○石川委員 ありがとうございます。
私からは、雇用仲介事業に係る職業安定法改正について御要望申し上げたいと思います。
今国会に上程をされております職業安定法改正法案において、募集情報等提供事業者の定義が拡大をされ、新たな形態の求人サービスを含め、法の適用対象となりました。現行法では、法の指針による努力義務しかなかった募集情報等提供事業者に対し、法に基づいて情報の的確性の確保や苦情処理体制の整備などを義務づけられることは、求職者保護に資するものだと受け止めています。
一方で、求職者に係る情報を収集する募集情報等提供事業者に対しては届出制が義務づけられることになりましたが、規制の在り方については、今後実態を把握した上で、適宜、検証と課題整理を行い、検討していくことが重要だと考えます。
また、法案が成立した際には、新たに法の適用対象となる募集情報等提供事業者への周知を徹底するとともに、法の適切な履行確保に向けた取組をお願いしたいと思います。
なお、募集情報には業務委託や請負等の雇用ではない情報も掲載されている実態があります。職業安定法の対象が労働者であることは承知していますが、フリーランスなど、雇用類似の就業者についても、就業者保護の観点から関係省庁が連携して取り組んでいただくことを御要請申し上げます。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、淡輪委員よろしくお願いいたします。
○淡輪委員 ありがとうございます。淡輪です。
私からは、雇用保険関連で意見を申し上げます。
まず国会に提出されている雇用保険法の一部を改正する法律案において、本来であれば雇用保険の料率は本則に付記が求められるところ、長期化するコロナ禍によって厳しい状況に引き続き置かれている産業や企業があることを踏まえ、激変緩和措置を盛り込んでいただいたことに改めて感謝申し上げます。
加えて、今回の改正法案には国庫から雇用勘定への任意繰入れ規定の常設化が盛り込まれています。雇用情勢や財政状況を見極めながら、必要なタイミングで任意繰入れを行うことによって雇用保険財政を安定させ、制度の持続可能性を担保することが不可欠と考えております。
ところで、雇調金の多額の支給を賄うために失業等給付の積立金から雇用安定資金に貸し出された累積債務は本年度末に2.6兆円に上る見込みと承知しております。改正法案では累積債務の全貌が固まった段階で返済免除の対象範囲を含めて検討することとされていますので、適切なタイミングでの審議をお願いいたします。
また、先日発表された雇用調整助成金の特例措置に関する4月から6月までの政府方針では、現行の枠組みが維持されると承知しております。コロナ禍において雇調金は、とりわけ業績の厳しい産業や企業の雇用維持に大きな役割を果たしていることは間違いありません。
他方で、長期にわたる雇調金の特例措置が円滑な労働移動を妨げ、労働市場活性化の弊害となっているとの懸念も聞かれます。円滑な労働移動に資する雇用政策の在り方についても検討していかなければならないと考えております。この点も、何とぞよろしくお願いいたします。
私からは以上です。
○清家会長 ありがとうございます。
それでは、則松委員よろしくお願いいたします。
○則松委員 よろしくお願いいたします。連合の則松です。
私からは、資料2の21ページの非正規雇用労働者のキャリアアップの推進等について、意見を述べたいと思います。
感染症拡大によるこの困難な状況は予想以上に長期化して、いまだ収束が見えてはいません。御承知のとおり、その影響を大きく受けているのは非正規雇用で働く人たちであり、その多くが女性です。連合が今年2月に実施した調査によると、非正規雇用で働く女性の4人に1人がコロナ禍により収入が減少したというような負の影響が及んでいることが分かりました。求職者や、正規雇用を希望する非正規雇用で働いている労働者が質の高い雇用で働くことができるよう、取組を進めることが重要だと考えます。
この点、資料2の21ページには、「キャリアアップ助成金の正社員化コースの助成対象を正社員待遇を受ける労働者への転換に重点化」という記載があります。連合の調査でも、正規雇用を希望する非正規雇用の女性の41.5%が、現在の職場での正社員化を望んでいます。非正規雇用から正規雇用への転換を促すとともに、正社員待遇という記載のとおり、確実に処遇改善につなげるべきと考えます。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、内田委員よろしくお願いいたします。
○内田委員 ありがとうございます。
それでは、資料3の237ページにあります労働政策基本部会の今後の検討テーマとなっております成長分野等への円滑な労働移動に向けた支援に関連して申し上げます。
ポストコロナに向けて、DXやGXの進展による産業構造の転換を見据えますと、日本経済全体の生産性を高めていくには新たな成長や生産性の高い産業、あるいは分野への円滑な労働移動の推進が避けては通れない重要な課題というふうに考えます。
その実現には、雇用のセーフティーネットの整備を前提として働き手、企業、政府の各主体が一体となって具体的な枠組みをともにつくり上げる必要があると思います。企業には、働き手が主体的なキャリア形成や能力開発に取り組めるよう、きっかけや仕組みづくり、職場環境の整備が求められると認識しております。
具体的には社内公募制の導入、拡充や、自己啓発のための休暇充実制度、時短勤務制度、あるいは新たなスキル習得に向けたリスキリングやリカレント教育の充実など、総合的な処遇改善に重点を置いて労使で議論を行っているところであります。
政府は、人への投資の強化に向けて今後3年間で4000億円規模の施策パッケージを実施されると承知しております。施策の制度設計に当たっては、企業、労使の取組を支援すべく、実効性のある内容にしていただければ幸いでございます。
私からは以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、安河内委員よろしくお願いいたします。
○安河内委員 安河内でございます。
資料2の21ページの「(3)未払賃金立替払の確実・迅速な実施」について意見を述べます。「未払賃金立替払」に関しては、220億円の予算計上がされておりますけれども、企業倒産において、未払賃金や退職金の確保は労働者のその後の生活に直結する極めて大きな問題であり、立替払いの確実、かつ迅速な実施が求められています。
企業が倒産に至った場合、労働債権には民法で一般先取特権が与えられております。しかし、公租公課よりも優先順位が低いことに加え、労働債権確保の原資となるはずの動産や債権に担保権が設定されていれば、担保権が優先されるために、労働債権を十分に確保できないという実態があります。私どもJAMの現場でも大変苦労している案件がございます。
現在、法務省の法制審担保法制部会におきまして、譲渡担保等のルールの明確化や事業担保権といった新たな担保権に関する議論が行われておりますが、残念ながら、労働者を含む一般債権者の債権法という観点が乏しく、労働債権の確保がさらに困難になることを懸念しております。
私どもの現場では、例えば、担保になっている工作機械が持っていかれないようにピケを張って、労働者自らが仕掛かり品を完成させることで労働債権を確保して労働者保護に当たるというようなことをやっておりますが、仕掛かり品が担保ということになれば、こうした活動ができなくなることもあろうかと思います。
今回の担保法制の見直しは、国による事業主への求償という点で、未払賃金立替制度にも波及することとなりますので、この制度の持続可能性の問題だと思っております。
厚生労働省においても、2000年の労働債権保護に関わる研究会報告作成以降、既に20年以上が経過しています。事業環境の変化が激しくなっている実態を踏まえて、厚生労働省としても積極的な対応をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、野村委員よろしくお願いいたします。
○野村委員 ありがとうございます。
全国中小企業団体中央会の野村でございます。私のほうからは、2点意見を申し上げさせていただきます。
1つ目が、雇用保険財政への国庫からの繰入れについてであります。雇用保険財政につきましては、厚生労働省の皆様が財務省当局との折衝を重ね、最大限の努力をしていただいたおかげで、補正予算や令和4年度予算案において一般会計からの繰入れや激変緩和処置、各種制度の改正等につなげていっていただいたものと理解しております。この場をお借りしまして、お礼申し上げます。
また、雇用保険二事業財源が枯渇化し、借入れ先である失業等給付積立金も底を突く状況の中で、今回の国庫負担の繰入れ規定の法制化については、我々事業を行う者にとりまして従業員の雇用維持を図るための安心感にもつながっております。
今後は、財源がさらに逼迫してきた状況におきまして、一般会計からの繰入れをどのようにして実施していただけるのか、繰入れ実行の方策をより明確にしていただきますようお願い申し上げます。
続きまして2つ目でございますが、企業組合と労働者協同組合についてであります。労働者協同組合法は令和2年12月に交付され、本年度10月より施行されることになっておりますが、労働者協同組合は私ども中央会の根拠法となります中小企業等協同組合法に基づく企業組合と同様に、組合員が出資し、運営し、従事する組織であり、加入・脱退の自由、議決権及び選挙権の平等、直接奉仕、公平奉仕原則など、多くの類似点がございます。とりわけ組合員につきましては、企業組合も労働者協同組合も同様に個人であります。
労働者協同組合という名称ではありますが、組合員は労働者に限定されず、事業者であっても個人であれば設立、加入できる立てつけとなっております。つまり、労働者協同組合は私たちから見ますと企業組合と重複した制度であると受け止めております。よって、企業組合の現行制度を活用することで十分にカバーできるのではないかと考えておりますが、今後はお互いがともに成長、発展していければと思っております。
今後、法律が施行されますと、企業組合から労働者協同組合への組織変更を可能とする処置がなされます。現場が混乱することのないよう、今後の状況を注視していただきますお願い申し上げます。
また、労働者協同組合が事業運営を行っていく上で、厚生労働省などの支援事業や助成策、税制処置等が用意される機会があるかと存じます。その場合には、既存の組織体である企業組合についても同様に、その機会を平等に与えていただくことが組合組織の有効活用につながり、地域社会の発展のためにも必要だと考えております、ぜひともこの点は御検討いただきますようお願い申し上げます。
私のほうからは以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、中川委員よろしくお願いいたします。
○中川委員 労働者代表委員の中川です。よろしくお願いいたします。
私からは、労働移動と今後の人材開発政策について意見要望させていただきます。
資料3-4、197ページに記載の今国会に上程されている職業能力開発促進法案については、地域ニーズを適切に反映するための地域の訓練協議の場を法的に位置づけ、個別事案の効果検証を踏まえた職業訓練の強化を図る仕組みが設けられました。地域で働き、暮らす私たちにとっては、大変重要な職業訓練でございます。その中で、DXやGXなどの推進がされておりますが、実際、現場では具体的にどのように対応すべきなのか、または何から始めればよいのか難しいのが現状です。そのため、今後は就業規則がない中小企業や地場産業の現場の視点を持っていただきながら、適切にデジタル分野に対応した人材育成を進めていただき、同時に職業訓練を受けた方々が活躍できる環境整備を支援する必要があると思っています。
また、地域の人材や訓練ニーズを適切に把握し、より実効的な職業訓練となるよう、実施期間等の体制の整備や強化を図るとともに、労働者や求職者などのスキル・キャリアの向上に資する職業訓練の実践や就労支援の強化もぜひお願いしたいと思います。
人材不足分野、特に慢性的な医療介護、そして今コロナ禍の中でのエッセンシャルワーカーの分野、成長産業分野への労働移動は、労働者本人の意思が大前提であると思います。安易で無理な誘導は、その後の離職につながりかねないと危惧してます。
一方で、企業内での専門人材の育成や確保が図られるように、スキル、キャリア向上に資する人材育成、人的投資への支援策に対する、より一層の強化が必要だと考えております。
私どもでは、宮崎県の地域で高校生、大学生を中心に労働雇用リテラシー講座を実施しています。実際に高校生、大学生がアルバイトとして現場で重要な役割を果たしています。ぜひとも、今後の人材開発政策において、働きやすい職場に向けての取組や支援の強化をお願いしたく、発言させていただきます。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、小松委員よろしくお願いいたします。
○小松委員 ありがとうございます。
私のほうから、2点申し上げます。
まず、「雇用調整助成金の特例措置」について申し上げます。雇調金の特例措置が6月末までに延長されることは、飲食業や宿泊業など、コロナ禍の長期化により厳しい経営環境下にある中小企業にとってありがたく、雇用の安定という点では十二分な措置であると考えます。
ただし、来年度の予算案は0.5兆円と限られており、年度途中で予算が足りなくなるおそれがありますので、「一般会計からの繰り入れ」をあらかじめ想定しておく必要があると思います。
一方、雇調金の特例措置の長期化は、労働市場における健全な流動を妨げ、新しい資本主義を支えるデジタルやグリーン等の成長分野や、建設・介護等の人手不足分野への労働力の供給を阻害するおそれがあります。
このため、特例措置は昨年6月に策定された「骨太の方針」を踏まえ、コロナの感染状況に十分留意しながらも、基本的には段階的な縮減を進めていくとともに、3年間で4000億円規模の予算が予定されている「人への投資」に関わる施策や、成長分野や人手不足分野への「円滑な労働移動」を強力に促進していくことが求められます。
特に雇用の7割を占める中小企業にとって、「人への投資」を促進しようとする際に、教育のスケジュール、すなわち教育時間帯と労働時間の扱いが問題となりやすいので、効果のある施策であることと幅広い利用の勧奨をお願いいたします。
次に、本年4月に中小企業に適用される労働法制について申し上げます。日商が昨年の夏に実施した調査では、改正女性活躍推進法について、本年4月から一般事業主行動計画の策定が義務づけられる従業員数101人以上300人以下の企業で、「名称・内容ともに知っている」と回答した割合は54.5%でした。また、「パワハラ防止法」、「改正育児・介護休業法」についても、「名称・内容ともに知っている」と回答した中小企業の割合は4割台にとどまりました。
厚生労働省におかれましては、これらの労働法制を改めて周知するとともに、専門家による相談対応など、中小企業に対するきめ細やかな支援をお願いいたします。
なお、日商では「パワハラ防止法」に関して、事業者が取り組むべき一連の取組を具体的に分かりやすく解説する冊子「ハラスメント対策BOOK」を1月に策定し、全国の商工会議所を通じて配布しております。こうした取組に加え、一連の労働法制の周知にも引き続き努めてまいります。
私のほうからは以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、難波委員よろしくお願いいたします。
○難波委員 ありがとうございます。難波でございます。
私は、資料3の5ページに記載の労働安全衛生規則改正とフリーランス保護について、意見を申し上げます。
建設アスベスト訴訟の最高裁判決を踏まえ、安衛法第22条に基づいた関連省令が改正され、労働者以外の者も保護措置の対象に追加されたことは、広く働く全ての者の安全を守るという意味で前進だと思います。まずはこの改正内容が現場において適切に遵守されるよう、周知、啓発を行っていただき、その上で実施状況を検証していくことが必要不可欠と考えます。
さらに、請負契約で就業する者に対し、労働者と同様の保護水準を確保することが重要であり、今回の改正を契機に、引き続き検討を進める必要があると考えています。
また、御承知のとおり、新しい資本主義実現会議におきまして、フリーランスの方々の労災保険に加入できるよう、労災保険特別加入の対象拡大を図るとされました。
労災保険部会においても、労災に特別加入できる対象業種の拡大が進められています。たとえ、働き方がフリーランスであっても、業務を行うことで起こり得る疾病や事故などのリスクを回避するための安全衛生教育の実施が重要であり、厚生労働省として強力に推進していただくよう御要請申し上げます。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、川﨑委員よろしくお願いいたします。
○川﨑委員 ありがとうございます。川﨑です。よろしくお願いいたします。
私のほうからは、資料2の12ページに記載してあります「9 障害者の就労促進」に関して意見を述べさせていただきたいと思います。
御案内のとおり、企業等に雇用されております障害者の数は昨年6月時点で59.8万人と過去最高となるなど、企業だけでなく地域の支援機関や政府、自治体の取組によって障害者雇用は着実に進展してきています。
他方、企業規模が小さいほど実質的な実雇用率は低い傾向にあり、中小企業に対する支援強化が求められています。
また、各企業の現場を見ますと、様々な特性を持つ精神障害者の雇用の増加や、身体障害者の高齢化への対応、障害を持つ社員を対象としたテレワークの活用などが課題となってきています。
こうした状況を踏まえ、来年度予算では障害者雇用ゼロ企業に対するサポートやテレワークの導入支援などの手当がなされているというふうに承知しております。
加えて、デジタル化やテレワークの普及などによって、場合によっては障害のある働き手が出勤して担っていた業務が減少あるいは消滅したこともあるというふうに聞いております。つきましては、様々な障害に合った働き方のできる新たな職域、業務開拓に向けた支援の拡充もお願いしたいと考えております。
また、これらの施策と合わせまして、企業の障害者雇用を後押しし、様々な障害者に対応できる制度への見直しが不可欠というふうに考えております。現在、障害者雇用分科会において、障害者雇用制度の在り方に関し、議論が進められていると聞いております。例えば、精神障害者の雇用率カウントの特例の継続や、長期雇用をしている中高年齢障害者を対象とした雇用率カウントの上積みなど、障害者雇用に前向きに取り組んでいる企業を支援する観点からぜひ御検討いただきたいと思います。
また、障害者雇用の納付金制度につきましては、安定性、継続性が重要と考えております。この制度につきましても、安定性、継続性を維持する観点からの検討も進めていただきたいと思います。
私からは、以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、永井委員よろしくお願いいたします。
○永井委員 ありがとうございます。
私からは、資料2の3ページの同一労働同一賃金につきまして、中小企業の取組と派遣の取組の2点に関して、御意見を申し上げます。
まず1つ目として、同一労働同一賃金に関する法整備が2020年4月に施行され、間もなく2年となります。また、旧労契法20条に関する最高裁判決も出る中で、私ども労働組合としても、基本給や一時金などの均等・均衡を含めて、その実現に取り組んでまいりました。
一方、施行と時を同じくして、コロナ禍となり、法への対応が後回しになっているところもあると聞いております。
労働組合においては、引き続き、均等・均衡待遇の実現に向け、取組を進めてまいりますが、とりわけ、地方行政においては、労使と連携した中小企業支援の取組を積極的にお願いしたいと思います。予算計上にもあります通り、働き方改革推進支援センターによる相談支援や専門家による個別支援など非常に有意義な役立つメニューがありますが、まだまだ周知が進んでいないと思いますので、その点についても、留意していただき、今後の取り組みをお願いしたいと考えております。
また、派遣に関してですが、令和3年度の労働者派遣事業報告書によれば、派遣労働者の賃金決定方式として、労使協定方式が9割を占めております。事業報告における賃金水準の中央値は、その多くが業務統計とほぼ同水準となっており、結果的に職業安定業務統計の労使協定方式における最低賃金のような形になっていることは、部会でも指摘をさせていただいていたところです。
厚生労働省におかれましては、派遣労働者の一般賃金水準を示す際には、併せて労使協定書集計結果の最大値も参考として示すなど、派遣労働者の処遇改善に向けた取組を促進していただきたいと思います。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、矢口委員よろしくお願いいたします。
○矢口委員 ありがとうございます。矢口です。
私からは、まず企業による自発的な賃上げの促進について申し上げます。
御承知のとおり、我が国の賃金はOECD諸国の中でも低い水準で、この30年間ほとんど伸びておりません。賃金を上げるには、各企業が成長戦略により生産性を向上させ、付加価値を増やし、その成果を賃金として分配すること、「すなわち成長と分配の好循環」を実現していくことが強く求められています。
ところが、雇用の7割を占める中小企業の労働分配率は高止まりしており、賃上げ余力が乏しいというのが実情です。
厚生労働省におかれましては、デジタル技術活用のための設備投資や働き方改革の推進など、中小企業の生産性向上に資する支援策を強化することに加え、中小企業庁と連携し「パートナーシップ構築宣言」などを推進して企業間取引の適正化を図ることにより、企業が自発的に賃上げできる環境を整備いただきますようお願い申し上げます。
次に、最低賃金の引上げについて申し上げます。最低賃金は昨年10月、政府方針に沿う形で中小企業の経営実態を超える大幅な引上げが実施されたことから、全国の中小企業経営者から、「コロナ禍の経済状況が考慮されず、データやエビデンスに基づいた審議が十分に行われていない」といった声が多く聞かれております。
来年度の審議においては、ぜひ法が定める3要素、すなわち生計費、賃金、支払い能力に関わる指標やデータに基づき、公労使による真摯な議論によって、明確な根拠の下で納得感のある水準を決定していただきたいと改めてお願い申し上げます。
なお、厚生労働省は補正予算において最低賃金引上げの主な支援策である業務改善助成金の拡充に135億円を計上していただきました。本助成金につきましては、中小企業への幅広い周知と申請に関わるきめ細かいフォローをお願い申し上げます。
次に、企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大について申し上げます。テレワークの普及・定着など、コロナ禍を契機とした働き方の変化により、「労働時間」ではなく「仕事の成果」を基準とした効率のよい働き方に対する関心が改めて高まっております。厚生労働省が昨年6月に公表した調査によりますと、裁量労働制が適用されていることについて、適用労働者の8割が「満足」であると回答していることに加えまして、半数が「時間にとらわれず柔軟に働くことで、ワークライフバランスが確保できる」と回答するなど、多くの適用労働者がその効果を実感しております。
現在、厚生労働省の検討会において裁量労働制の制度改革案が検討されておりますが、労働生産性の向上に向けて、ぜひ企画業務型裁量労働制の対象業務の拡大を早期に実現していただきたいと思います。
最後に、今後の労働政策の在り方について一言申し上げます。
資料の235ページ以降に記載されている「労働政策基本部会」におきまして、人口減少やデジタル化、脱炭素化など、加速する社会環境の変化を受けて、生産性と働きがいのある多様な働き方など、労働政策における中長期的課題について議論をしていると、先ほど御説明がございました。こうした議論は、民間企業が中長期の経営戦略を立てる際、大変参考になると思われますので、議論の中身を労使双方に適宜幅広く開示していただければと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、酒向委員よろしくお願いいたします。
○酒向委員 私からは、資料2の13ページの外国人労働者について、発言させていただきます。
日本政府は2020年10月にビジネスと人権に関する行動計画を策定して、責任ある企業行動や人権保護の促進に向けて、国を挙げて取り組んでいると承知しております。この行動計画の確実な履行のためには、外国人を含む労働者の権利保護を担う厚生労働省の果たす役割は大変大きいと思っております。特に技能実習制度においては、アメリカが発行する人身取引報告書で、日本の制度が強制労働に相当すると指摘をされ、この技能実習生に対する人権侵害が国際的にも問題視をされています。
この技能実習制度は、先進国の一つである日本が開発途上国の経済発展を担う人づくりに協力をしていく大きな目的があると思いますが、そういった中で外国人技能実習機構における実地検査を実効性のあるものとするとともに、法務省と連携して、適正な運用が行われますよう、取り組んでいただきたいと思います。
現在、厚生労働省では外国人の雇用の在り方に関する検討会が設置され、日本の労働市場における外国人労働者の分析をきめ細かに行っていただいていると思っています。外国人労働者に係る統計についても、別途検討が行われておりますが、この客観的なデータを基に、トータルな外国人労働政策を議論することは非常に重要だと思いますので、ぜひご対応をお願いしたいと思います。
また、労働組合におきましても、外国人労働者の組織化や相談対応、行動計画を踏まえました取組についても検討を進めております。厚生労働省においても、指導監督、相談体制の充実はもちろんのこと、検討会で得られた知見を広く省庁間の中で、省庁の間で共有していただき、政府が一体となって外国人労働者を含むディーセント・ワークの促進に取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、西周委員よろしくお願いいたします。
○西周委員 西周でございます。ありがとうございます。
資料2の9ページの「6 女性活躍・男性の育児休業取得等の促進」で、「男性が育児休業を取得しやすい環境の整備に向けた企業の取組支援」に関しまして意見を申し上げたいと存じます。
改正育児介護休業法が4月1日から段階的に施行されます。研修の実施や育休制度取得促進方針の周知など、育児休業を取得しやすくする雇用環境の整備や、本人または配偶者の妊娠・出産の申出をした労働者に対して、プッシュ型と言われる個別周知と意向確認を実施することになることで、女性のみならず男性も、より育児休業を取得しやすくなると期待しているところです。
また、女性の産後休業期間に当たる子の出生後8週間以内に、4週間分を2回に分けて取得することができる出生時育児休業の創設も、また分割取得のニーズが高い男性の育児休業取得促進に寄与するのではないかと考えております。
昨年12月に、経団連がオンライン形式で開催した男性の育休推進セミナーでは、例えば育児休業期間中に受け取れる給付金のシミュレーションを行ったり、イントラネット上に育児休業専用ページを開設する事例など、実務に役立つ話を多数の参加者とともに共有することができたと聞いております。
弊社では既に任意の制度でございますが、男性の場合は育児休業を分割して取得できるようにしたり、または出産お祝い金制度というものを持っておりまして、その申請があった際に、男性には育児休業やそのほか様々な育児支援の制度の利用意向を併せて申請しなければ出産祝い金がもらえないというような仕組みを取っております。
そして、そこで育児休業の希望がないとされた方には個別に、ちょっと異動がありましたけれども、しばらく前までは私が直接メールで取得をするようにと、上長も含めてプッシュをさせていただいていたというようなこともありまして、現時点で大体半分の男性が育児休業を取得するというところまで何とかたどり着いたところでございます。
こういう取組をする中でも、やはりまだまだ男性が育児休業をするということに抵抗を示すような御本人、または上長がいるというのは重々承知しておりまして、そういう中でやはり政府主導で他の企業様におかれましてもそういったプッシュ型の男性育児休業取得促進をぜひやっていただかないと、配偶者の方がそういうふうに取っていただければ女性がみんな活躍できるのにというような思いも持っているものですから、ここはやはり個別の企業にだけ単にやれということではなくて、ぜひ政府主導で優遇策なども含めて強力にプッシュをしていただきたいと考えているところでございます。
人手不足の産業や営業の現場では、制度改正の趣旨は理解できるけれども、対応が難しいという声もまた一方で聞かれます。各企業が取り組む際の参考となるような取組の好事例、こういったものも厚生労働省のサイトなどでさらに一層拡充していただければと思います。企業としましても、男女問わず育児休業を取りたいと労働者が希望する期間、取得できるよう、これからも支援してまいりたいとは存じます。
私からは、以上でございます。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員よろしくお願いいたします。
○安藤委員 安藤です。資料2の16ページに記載の曖昧な雇用について意見を申し上げたいと思います。
曖昧な雇用で働く就業者の不安定な就労環境を問題視しているEUでは、昨年12月にギグワーカーの保護に関する法案を公表し、一定の基準を満たす就労者については従業員とみなし、保護する姿勢を打ち出しました。アメリカでも同様の動きがあり、労働者としての権利を保護しようとする取組は世界的な流れとなっております。
一方、政府が昨年3月に公表したフリーランスガイドラインは今までの考え方を整理したにすぎず、新しい資本主義実現会議の緊急提言で提言されたフリーランス新法についても、労働者概念の見直しまで踏み込む内容とはなっておりません。
連合は、社会の実態に合わせた労働者概念の見直しが急務であることを繰り返し述べてきました。フリーランスへの相談支援は重要な取組となっておりますが、それだけにとどまっていては十分だとは言えません。曖昧な雇用で働く就業者の法的保護に向けた世界的な取組の流れを踏まえれば、労働者概念の見直しは待ったなしの課題であり、早急に検討を開始すべきと考えます。
なお、先日、ベルコ事件に関わる札幌高裁和解に続き、2月25日の札幌地裁判決でもベルコ代理店従業員の雇用形態の違法性が認められましたが、使用者による業務委託契約を濫用した責任逃れがないよう、指導監督の強化を図るとともに、法整備を含め、偽装請負、違法派遣の未然防止に資する取組の徹底をお願いしたいと思います。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、井上委員よろしくお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。井上でございます。
私からは資料2の20ページ、(4)の「総合的なハラスメント対策の推進」に関して意見を申し上げます。
経団連では、昨年秋に職場におけるハラスメントに関するアンケートを実施いたしました。簡単に結果を御紹介いたしますと、5年前に比較したパワーハラスメントに関する相談件数が増えたとの回答が約44%でした。
増えた理由といたしましては、法施行に伴う社会の関心の高まりの大きさと考えますが、それに加えて相談窓口の定期的な周知や幅広い内容の相談を受け付けるなど、各社が相談しやすい雰囲気を醸成してきたことも大きく影響しているのではないかと思っております。
当社におきましても、正規、非正規、全従業員に対して窓口の書かれたカードを配布したりとか、または内部に持っていた相談窓口を外部に移したことで、大変多くの事案がハラスメント等に至る前の段階で上がってくるようになりましたので、迅速な対応ができるようになってまいりました。
また、来月から中小企業にもパワーハラスメント防止措置が義務化されます。既に取り組んでいる企業では、特に相談対応に苦慮しております。中小企業の取組を支援するためにも、相談対応に役立つような情報提供の充実をお願いしたいと思っております。
また、事後的な対応以上に予防に向けた周知啓発が重要です。厚生労働省の「あかるい職場応援団」のサイトには、研修教材や事例動画などの有用なコンテンツが多く掲載されており、大変好評でございます。今後も教育職や営業職といった職種別動画の新設、あるいは管理職向け、若手向けといった対象者別の動画の拡充等、一層の情報の充実を図っていただきたくお願い申し上げます。
私からは以上になります。ありがとうございました。
○清家会長 ありがとうございました。
それでは、山中委員よろしくお願いいたします。
○山中委員 ありがとうございます。電機連合の山中です。
私からは、総合的なハラスメント対策の推進について意見を述べさせていただきます。
ハラスメント対策関連法が2020年6月1日に施行され、2年弱経過をしておりますが、連合が2021年に実施した調査においては、ハラスメント対策関連法に基づく職場の対策については低い実施率となっております。特に職場でパワハラの内容、方針の明確化や周知啓発に関して、何も行われていないとする回答が4割に上っているというアンケート結果となっております。
2022年4月1日からの中小企業へのパワーハラスメント防止措置の義務づけに向けまして予算が計上されておりますけれども、併せてこれまでの履行状況について国としても調査を実施し、実態を把握し、法の実効性を確保するための取組を進めることが重要であると考えています。
また、望ましい取組であるカスタマー・ハラスメントや就職活動中の学生等に対するセクシュアル・ハラスメント対策についても、今回記載がある点は評価をさせていただきたいと思っています。
連合の構成組織ではカスタマー・ハラスメントのアンケートなどを実施しておりますが、被害は業種や業態により異なる点も多く、また、コロナ禍での顧客等からの誹謗中傷やリモート下でのセクシュアル・ハラスメントなど、ハラスメントは時とともに変化をしていると感じています。
具体的な取組として、カスタマー・ハラスメント対策企業マニュアルによる研修の実施や就活ハラスメント対策事例集の作成を行うとありますが、事例集やマニュアルの作成に当たっては現場の声などを聞きながらアップデートを重ねていただき、より効果的なものにしていただきたいと思います。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
ただいま、山中委員までのところで御発言を希望された委員の方からは御意見を承ったかと思いますが、よろしゅうございましょうか。
それでは、今いただきました御意見について事務局から簡潔に御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○吉永労働基準局長 労働基準局長でございます。
端的な御意見ありがとうございました。私からは、労働基準関係につきまして若干御説明申し上げたいと思います。
まず冨田委員から生産性向上、あるいは労働の質の向上の観点からの労働時間法制の見直し、なかんずく裁量労働につきましての御発言がございました。また、同種の意見は矢口委員からもいただいたところでございます。
現状、両委員からも御指摘がございましたけれども、実態調査結果が出てございますので、こうした実態調査結果を踏まえながら、現在これから労働時間制度に関する検討会におきまして裁量労働制が制度の趣旨に沿って労使双方に有益な制度として活用されるよう、丁寧に検討を進めていただいているところでございます。この検討会の取りまとめの終了後、労働条件分科会において御議論をいただきたいと考えてございますので、その際にはよろしくお願いしたいと考えてございます。
また、矢口委員より、自発的な賃上げ促進、最低賃金についての御発言をいただいてございます。成長と分配の好循環が政府として非常に重要なテーマとなってございますけれども、この実現のためには賃上げが重要である。これは政府の一致した考え方であろうと思ってございます。
具体的には中小企業における設備投資、あるいはIT化といった生産性向上のための取組に対する支援でございますとか、労務費を適正に価格に転嫁するための下請取引の適正化など、こういった問題につきまして政府を挙げて取り組んでいるところでございます。引き続き、賃上げしやすい環境整備に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
最低賃金につきましては、最低賃金法に基づきまして法が定める3つの要素を考慮して、各種データに基づいて審議会で御議論いただくということが法律制度でございます。昨年、最低賃金審議会の議論の中で様々な御意見を賜ったところでございますので、こういった問題を改めて注視しながら積極的な議論をお願いしたい。そのための準備を事務局としても努力してまいりたいと考えてございます。
また、業務改善助成金につきましては補正予算で135億円ということで積ませていただいているところでございます。あわせまして、様々に要件の緩和等々も行ってございますので、今回の大幅な拡充を効果的に周知して、企業の負担軽減に資するよう取り組んでまいりたいと考えてございます。
また、安河内委員より、賃金の立替払制度に関しまして担保法制の見直しの観点での御指摘がございました。御指摘の中にもございましたけれども、法務省の法制審の担保法制部会につきまして非常に革新的なと申しますか、これまでの法制とは違うような形の担保法制の在り方についての議論が進んでいるところでございます。厚生労働省からは、担当の青山審議官がこの法制審の担保法制部会の幹事として今年の1月より議論に参加させていただいているところでございます。労働債権につきまして、労働者の生活を支える重要な債権であるということを十分認識しながら議論に参加してまいりたいと考えてございます。
また、難波委員よりフリーランスの安全衛生対策について御発言がございました。昨年5月の最高裁判決を受けまして省令改正を行ったと、先ほど御報告したとおりでございますけれども、分かりやすいパンフレットなども作成し、関係する業界を通じて周知を行っているという段階でございます。
また、労働局あるいは監督署による周知や、委託事業によります一人親方に対する周知等々に積極的に取り組んでいきたいと考えているところでございますけれども、今回、最高裁判決で具体的に指摘のあった労働安全衛生法第22条に基づきます掲示の関係での対応を取ったというところでございます。これまで取り組んでいなかったことで、個人事業者の安全性対策の在り方に一石を投ずるものだろうと思ってございますが、この22条以外の部分につきましても別途検討会を設けまして、何らか必要な措置があるかどうかということにつきまして検討をお願いしたいと考えているところでございますので、よろしくお願い申し上げます。
また、労災保険の特別加入制度は、雇用労働でない方につきましても労災保険の保護の対象とするということで非常に重要な制度でございますが、先ほど審議会の進捗状況の中でも御報告したとおり、現在、特別加入制度の対象拡大を進めていただいているところでございます。例えば、令和3年9月からは自動車配送員でございますとか、ITフリーランスというものを特別加入の対象としているところでございます。こうした特別加入制度の拡大ということを踏まえながら、フリーランスの保護という観点からどのようなことができるかということにつきましては引き続き検討してまいりたいと考えております。
あとは、酒向委員より外国人労働者に対する指導監督相談体制についての御発言がございました。労働局、または労働基準監督署におきましては、外国語で対応できる相談員を配置しているほか、13の言語に対応可能な電話相談なども行っているところでございます。
労働基準監督署におきましては、外国人労働者に係る法違反が認められた場合には、その是正に向けた指導を行ってまいります。最近の事例で申しますと、技能実習生に対しまして法務省の入管局、あるいは技能実習機構と連携をして大きな人権侵害が疑われる事案につきまして対応したというような事例もございますので、関係機関と連携を取りながら効果的な指導体制を取っていきたいと考えてございます。
安藤委員より、曖昧な雇用につきまして労働者概念の見直しを行ったらどうかという御発言がございました。フリーランスとして働く方に対しましては、委員会の御発言にもございましたけれども、フリーランスガイドラインを策定して、これに基づきまして様々な周知、あるいは安心して働ける環境整備というものを図っているところでございます。
また、契約の名称のいかんにかかわらず、実態として労働と認められる場合につきましては労働基準関係法令をきちんと適用していくということを本筋として様々な指導ということを行っているところでございます。
一方、委員の御発言にもございましたけれども、EU指令、これはギグワーカーに対するプラットフォーマーに対する規制ということにもなろうかと思いますが、そういうことでの考え方というもの、あるいは諸外国においても様々な考え方、これまでにない考え方が出ているということは重々承知してございます。こういった外国の動向でございますとかガイドラインの運用状況、あるいは判例などの動向も注視しながら現行の考え方の枠組みというものにつきまして振り返ってまいりたい、不断に確認をしてまいりたいと考えてございます。
労働基準局からは以上でございます。
○田中職業安定局長 職業安定局長の田中でございます。
まず、清水委員から雇用の維持、在籍型出向への取組の支援について御指摘がございました。雇調金、あるいは産業雇用安定助成金の予算額についても御指摘がございました。雇調金につきましては昨年末以降、支給決定額が少し減少してきておりますけれども、4年度予算案にも4月以降、一定程度特例支給が続くことを想定して約0.5兆円を計上しておりまして、当面の執行には問題はないと考えておりますが、今後も執行状況をしっかり注視しながら必要に応じて適切な対応を行っていきたいと考えております。
産業雇用安定助成金についても、3年度の実績を踏まえて十分な予算を確保しているところでございます。
また、地域雇用の創出の御指摘につきましては、引き続き地域活性化雇用創造プロジェクトの実施や、それぞれのハローワークによる求人開拓、マッチング支援など、関係自治体とも連携しながら対応していきたいと考えております。
中川委員から、職業訓練の実践や就労支援の強化について御指摘いただきました。これにつきましても、ハローワークにおいて対応を強化しているところでございまして、訓練受講者に対する職業訓練の情報提供、受講あっせんから就職までの支援を個々の方々の状況に応じてきめ細やかに行い、いわゆる寄り添い型の再就職支援という形で対応を充実させていっているところでございまして、今後ともしっかりやっていきたいと思います。
それから、永井委員、安藤委員から労働者派遣についての御指摘がございました。同一労働同一賃金を含む派遣労働者の待遇改善や、または偽装請負、違法派遣の防止については大変重要な課題だと考えております。引き続き労働局による助言・指導、周知啓発等により、派遣法の周知、履行化を図ってまいりたいと考えております。
酒向委員から、外国人雇用対策について御指摘がございました。昨年6月の外国人雇用対策の在り方に関する検討会の中間取りまとめを受けまして、現在その実現に向けた検討を進めておりまして、特に御指摘の統計整備につきましては出入国在留管理庁や総務省と連携しながら、研究会において議論を行っております。引き続き関係省庁とも連携しつつ、外国人労働者の就労環境の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
石川委員より、職業安定法改正法案について御指摘がございました。また、募集情報等提供事業者の定義を拡大しつつ、新たなルールを設定する内容でございますが、法案が成立した際には改正法の内容についてしっかりと周知徹底を図ってまいります。
また、省令指針で定める事項もありまして、10月の施行までの間に労政審でも改めて御議論をお願いしたいと考えております。
それから、淡輪委員から雇用保険財政、雇調金の特例措置について御指摘がございました。まず任意繰入れ規定でございます。今般の改正法案においては、雇用情勢や雇用保険の財政状況に応じた国庫負担割合を設定して、それに加えて機動的に国庫からの繰入れを可能とする仕組みを常設化することとしております。厚生労働省としては、労政審の雇用保険部会報告書も踏まえ、雇用保険制度のセーフティーネット機能を果たすために、このような仕組みにより、雇用保険財政の安定的な運営を確保してまいりたいと考えております。
累積債務の問題ですけれども、今般の法案においては令和6年度までを目途に累積債務や返済の在り方について検討する旨の規定を置いております。今後、雇調金等の支出の状況や積立金、雇用安定資金の額などの財政状況を踏まえながら、適切な時期に検討してまいりたいと考えております。
それから、雇調金の特例措置と円滑な労働移動との関係ですけれども、これまで雇調金の特例措置により雇用の維持を強力に支援してきたところですが、特例の長期化で給料の固定化など、弊害も懸念されております。先般、特例措置を6月末まで延長する方針を公表しましたが、今後の取扱いについては引き続き昨年の骨太の方針で段階的な縮減を行う方針を明らかにしておりますけれども、その方針を踏まえて検討を行ってまいります。
また、人手不足分野への円滑な労働移動が今後重要となってまいります。人への投資として3年間で4000億円の規模の政策パッケージを展開していく中で、職業安定行政としては労働移動の円滑化というところに重点を置いて対応していくこととしております。
野村委員から、今般の雇用保険の一般会計からの繰入れについて御指摘がございました。今般の法案における新たな国庫繰入れの要件は、失業等給付に係る保険料率が法律上の本則であります1,000分の8である場合に加えまして、翌年度に保険料率が1,000分の8となる場合とか、さらには雇用情勢や雇用保険財政が急激に悪化している場合も対象となるように政令を定める予定であります。これによって、失業者の増大等による財政リスクの発生などの際に、より機動的に国庫を投入できる仕組みとなると考えております。雇用保険部会報告書において示された考え方も踏まえながら、こうした仕組みを活用することで雇用保険財政の安定的な運営を図ってまいりたいと考えております。
小松委員から、雇調金についての御指摘をいただきました。雇調金については、これまでに例のない特例措置を講じて事業主の雇用の維持を強力に支援してきたところですけれども、一方で給料の固定化など、長期化に伴う弊害も懸念されております。雇調金の特例措置を6月末に延長する方針、先ほどお答えしましたけれども、その後については段階的な縮減という基本方針に従って検討を行います。経済活動が今後徐々に再開していく中で、成長分野、人手分野への円滑な労働移動を図るための施策を推進し、バランスのよい雇用対策を進めてまいりたいと考えております。
最後に、川﨑委員から障害者雇用施策についての御指摘がございました。地域障害者職業センター、障害者就業生活支援センター等の支援機関において、新たな職務の選定や配置転換等に関する専門的な支援を行っておりまして、好事例についてはしっかり周知をしてまいりたいと考えております。
雇用率制度につきましては、御指摘の精神障害者や長期雇用の雇用率制度における取扱い、障害者雇用分科会の検討課題でもあり、引き続き納付金制度の在り方とも合わせてしっかりと検討してまいりたいと思います。御指摘の制度の安定性、継続性についてもしっかりと留意しながら対応していきたいと考えておりますので、引き続き御指導のほどよろしくお願いいたしたいと思います。
安定局関係は、以上でございます。
○山田雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局からです。
1つ目、ハラスメント改正、女活法改正の周知について経団連の井上委員、日商の小松委員、連合の山中委員からそれぞれ御意見をいただきました。
井上委員から御指摘がありまして、そこで引用していただいた我々の「あかるい職場応援団」のサイトとかについてもお褒めいただきましたけれども、パワーハラスメントに関してはセクハラ以上に事例に基づいた、先ほど言われた事例動画のようなものが非常に効果的だと思っておりまして、そういった素材を我々のほうから提供して、それを活用していただくということが非常に理解を深めるのに役立つと思いますので、引き続きそうしたことを意識しつつ、内容の拡充をしていきたいと思っております。
小松委員のほうから中小企業への支援、これは改正女活法、ハラスメントの話をひっくるめた話だと思いますけれども、こちらについてもハラスメント対策研修・人材育成事業等々によって、あとは女活については民間企業における女性活躍促進事業といったもので個別支援を行うということが大事だと思っておりますので、引き続きそういった方向でさせていただきたいと思います。
それから、山中委員の御指摘のパワーハラスメントの履行状況については、雇用均等基本調査によって実態把握を行っているところであります。そういったもので実態を把握しつつ、これからの対策については今ほど申し上げたハラスメント対策研修・人材育成事業などによって相談対応、事業主等への研修、人材育成等についてもしていきたいと思います。
カスタマーハラスメントについては、先日2月25日にカスタマーハラスメント対策企業マニュアルを公表して、我々が思っている以上にこれについての反響はあるのですが、そういったマニュアルを通じて企業担当者向けの研修も実施することにしております。また、カスタマーハラスメントはこれが大きく問題になってから歴史がまだ長くないので、適宜実態を踏まえつつ、アップデートをしていかなければいけないということについては我々も意識して、これについてもそうしていきたいと思います。
就活セクハラについても同じく、一番新しいハラスメントとして出てきているものですけれども、これも現場の実態を踏まえて、事例集の作成だとか、そういったことも含めてアップデートさせていきたいと思っております。
2つ目の話として、改正育児介護休業法の男性の産後パパ育休について経団連の西周委員からお話がありました。自社でも非常に積極的にやっていただいていることについて感謝いたしております。本日もテレビのアナウンサーさんに来ていただいて、御自身で育児休業を取られた男性のアナウンサーにディスカッションをしていただくというような企画もして、恐らく今日の夕刊、テレビ等でも出てくると思いますけれども、そういった実際にやった人、実際に男性育休を実践した人の情報を発信するということは何より必要かと思います。
あとは、今、事業主向けにセミナーを経済団体さんの協力も得てやっておりますが、各企業から非常に具体的な形での質問がされていて、この10月の施行に向けて非常にそれを強くきっちりしようという思いが非常に伝わってくるものでありますので、我々もそういうものに対応できるように、Q&Aについてはそういったセミナーでの質問なども参考にしつつ、どんどんアップデートさせて対応していっているところでございます。
3番目は、中央会の野村委員からいただいた労働者協同組合の関係の話です。野村委員のほうからは、労働者協同組合と企業組合の類似性について御指摘いただきましたが、一方で労働者協同組合については準則主義であって企業組合は認可主義、それで労働者協同組合については労働契約を締結しなければいけないが、企業組合については締結義務がないということで、違いがある。
実際にそういった地域活動等をされる方については、そうした労働者協同組合という在り方、企業組合という在り方のメリット、デメリットを踏まえて、それぞれの地域の実情に応じて選択していただくという話かなと思っております。
企業組合に対する助成措置については中小企業庁において所管しているものでありますが、労働者協同組合法の施行については設立を希望する者への相談対応だとか制度の情報提供等について措置しておりますが、御指摘があった企業組合等が労働者協同組合に組織変更する際に、それが円滑に進むようにということは審議会の場でも御意見をいただいておりますので、丁寧な対応に努めてまいりたいと思います。
4つ目のテーマは、連合の永井委員から提起いただいた同一労働同一賃金に関しての働き方改革推進支援センターによる周知の徹底ということであります。特にこれは中小企業を意識されての御発言だと思いますが、今、働き方改革推進支援センターで実施する事業主向けの支援については、中小・小規模事業主にはダイレクトメールで直接そういった支援について周知するようにして、特にそういった支援が必要であろう中小企業に対する対応は手厚くしておりますので、ぜひこういったセンターを利用していただきたいと思います。
最後に5点目です。連合の則松委員から、非正規雇用で働く女性の問題ということでキャリアアップ助成金について御指摘がありました。資料にあるキャリアアップ助成金の正社員化コースの助成対象正社員待遇を受ける労働者への転換、重点化ですけれども、キャリアアップ助成金については正社員待遇の適用を受けない無期雇用労働者への転換に対する助成は今回廃止をして、逆に正社員待遇を受ける労働者への転換への支援に重点化するというのが今回の見直しの心でありますので、恐らくそのことは御指摘のコンセプトに合っているかと思います。
以上です。
○小林人材開発統括官 人材開発統括官の小林でございます。
まず、内田委員及び小松委員から、人への投資パッケージ等に関する御意見をいただきました。労働者、そして企業のニーズに合った支援に一定期間、一定の規模で強力に取り組んでいくということで、3年間で4000億円の施策パッケージを創設いたしまして人材育成、円滑な労働移動などを進めていこうという取組でございます。こちらにつきましては、既に民間の企業ですとか、それから働く労働者の皆さんなどからアイデアを広く募ったところでございます。現在、その内容を精査しているところでございますが、効果のあるものとなるようにしてまいりたいと考えております。
また、この施策パッケージのほか、先ほども申し上げましたが、企業内における学び、学び直しの促進に向けたガイドラインも策定をすることにいたしております。これらの施策の実施に当たりましては積極的な周知、広報に努めまして、企業や労働者の皆さんに幅広く御活用いただけるものにしていかなければならないと考えております。
それから、中川委員から法定化を予定しております訓練に関する協議会など、職業訓練の強化について御意見がございました。この協議会におきましては、デジタル化の急速な進展や地域の詳細な訓練ニーズというものをしっかりと把握して、精度の高い教育訓練の設定というものを効果的、効率的に進めていくということにしております。
また、この協議会の場で訓練効果の把握、検証というものをしっかりと行って、カリキュラムの改善を図っていくということであります。先ほど、人への投資パッケージについて申し上げましたが、これも含めてニーズを踏まえた学び直しですとか、職業訓練がしっかり行われ、希望に沿ったキャリアアップや再就職の実現が図られるようにしてまいりたいと考えております。
それから、酒向委員から外国人技能実習制度の適正化について御意見がございました。暴力等の人権侵害はあってはならないものでございますので、外国人技能実習機構による実地検査を行い、問題事案に対しては厳正に対処しているところでございます。
また、人権侵害の問題については早期把握ということが重要でございますので、技能実習生に対する母国語相談の窓口を設けているほか、人権侵害行為に対してはSOS窓口と称しまして保護と指導を一体的に進める体制というのを取っております。
また、先般、岡山での暴行事案がございました。監理団体、機構、本省への連絡、報告が直ちに行われるという体制を改めて徹底したところでございます。技能実習機構や法務省とも連携をいたしまして、これまで以上に制度の適正化、技能実習生の保護に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○田中政策立案総括審議官 政策立案総括審議官の田中でございます。
矢口委員から、基本部会の議論の内容を労使双方に幅広く周知をという御意見をいただきました。基本部会の議論の経過につきましては、ホームページでの公開のほか、機会を捉まえて皆様方にもお知らせしてまいりたいと考えております。
以上です。
○清家会長 ありがとうございました。
厚生労働省には、今後の政策立案等において委員の皆様からいただきました御意見を踏まえて取り組んでいただきたいと思っております。
最後に、この際、何か御発言、御意見等はございますか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、本日の会議は以上で終了といたします。
皆様、長時間にわたってありがとうございました。
照会先
政策統括官付政策統括室
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代表: 03-5253-1111