第113回労働政策審議会障害者雇用分科会(議事録)

日時

令和4年1月21日(金)16:00~18:00

場所

オンラインによる開催(厚生労働省 省議室)

議事

○山川分科会長 それでは定刻となっておりますので、ただいまから第113回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催いたします。委員の皆様方、お忙しいところ御参集いただきまして大変ありがとうございます。
本日は影山委員、門﨑委員、小西委員が御欠席です。長谷川委員、亀田委員におかれましては途中から御参加の予定と伺っております。また竹下委員は、途中で御退席の予定です。本日の分科会も、Zoomによるオンライン開催になります。開催に当たり、事務局から説明があります。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林です。本日も、Zoomを使ったオンライン会議となっております。開催に当たりまして、簡単ではありますがオンラインについての操作方法のポイントを御説明させていただきます。本日、分科会の進行中は、皆様のマイクをオフとさせていただきますが、御発言をされる際にはサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックいただき、分科会長の許可があった後にマイクをオンにして、お名前を名乗ってから御発言いただきますようお願いいたします。
会議進行中に、もしトラブル等がありましたら、事前にメールでお送りしております電話番号まで御連絡いただきますようお願いいたします。
なお、通信遮断等が生じた場合には一時休憩とさせていただくこともありますので、御容赦くださいますようお願いいたします。オンライン会議に係る説明については以上です。
○山川分科会長 それでは、議事に入ります。カメラ取材の頭撮りは、ここまでとなっております。本日の議題は(1)障害者雇用と福祉の連携の促進について、(2)中小企業における障害者雇用の促進について、(3)その他となっております。本日は、議題(1)の関係で、社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課の津曲課長に御出席いただいております。
では議題(1)につきまして、事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 事務局障害者雇用対策課長の小野寺です。それでは議題(1)につきまして、資料1を御参照いただきながら御説明申し上げます。今回、障害者雇用と福祉の連携の促進について、2点御意見を頂戴したいと思っております。1つ目が、障害者就労を支える人材の育成と確保、2つ目が地域の就労支援機関の役割分担についてです。
2ページ目の論点に記載がありますように、障害者就労を支える人材の育成・確保につきましては「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会報告書」の中でも、福祉と雇用の切れ目のない支援を可能とするためにという議論がなされました。これにつきましては、前回アセスメントについて御意見を頂戴したところです。こういった切れ目のない支援を行うに当たって、人材の育成も、そういった観点から検討する必要があると思います。そのような観点から、雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修、基礎的研修を確立することが必要であるとの方向性を頂きましたので、昨年9月から12月にかけて計4回、「雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修の構築に関する作業部会」を開催してまいりました。この作業部会において検討した具体的な内容につきまして、参考資料4に取りまとめております。今月17日には、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会に検討の経過につきましても御報告を申し上げたところであります。同作業部会での検討状況や、それを踏まえた上で同検討会等からいただいた御意見も踏まえて、以下のとおりの対応としてはどうかということで、今回基礎的研修の中身につきまして御意見を頂戴したいと思っております。
具体的には、3ページ目を御覧ください。主だった論点等をまとめております。今回構築したいと考えております基礎的研修につきまして、まず研修修了者の人材としての仕上がり像です。同作業部会あるいは同検討会でも確認しておりますが、この人材の育成は、基礎的研修のみで完結するものではなく、この研修修了後も、実践経験等とあいまって、そしてその上位の研修を含めて全体として体系的に完成するものです。この前提に立ち、今回の基礎的研修をゼロステップと位置付け、修了した者の仕上がり像は、障害者本人と企業双方に対して基礎的な支援を開始できるレベルとすると整理されております。次に、この考えの下でのカリキュラムのイメージです。研修に送り出す現場の負担感、あるいは一定の実践経験を積んだ上で学習したほうが効果が上がる内容もあるといった観点で精査をし、カリキュラムとしては研修期間を3日以内、おおむね900分と考えております。
6ページの各研修のカリキュラムの資料を御覧ください。各研修のカリキュラムの一番左側に、今回構築しようとしています【基礎的研修】カリキュラムイメージ(案)を載せております。その前提として現状行われております、2つ目に書いてあります就労支援員対応の【就業支援基礎研修】を見比べていただきたいと思います。
まず就業支援基礎研修は、就労移行支援事業所の就労支援員をメインとしており、一般就労に向けた支援が中身であると考えます。それと比べて今回は、雇用・福祉横断的となりますので、企業に就職した以降の支援の部分、あるいは企業に対してアプローチする部分を強化する考えに立ちます。例えばカリキュラムイメージで申し上げますと、まるきゅうに新規で位置付けております企業に対する支援の基礎と、企業に対してのアプローチを学んでいただくこと、あるいは企業に就職した後の定着のための生活支援や家族支援といった観点、併せて福祉から雇用だけではなく、雇用から福祉、いわゆるシームレスな支援をしていくために重要である、アセスメントの基礎を勉強していただくこととしています。
また、就業支援基礎研修ではまるきゅうに掲載してあるように、ケーススタディ等に150分を割いておりました。これについては、前提として申し上げたように、一定のケーススタディも実践経験を積んでからのほうが勉強になることもありますので、今回の新たなカリキュラムにおきましては、時間を多少縮減しておりますが、地域における就労支援の連携あるいは支援の在り方全体の枠組みが理解できるよう、モデル的な事例を検討する場に変更しております。併せて一部講義につきましては、オンラインでの実施も検討いたしましたので、集合研修の際には、まるじゅうよんに書いてあるようにオンライン形式での講義の振り返りをもって、オンライン講義のより一層の定着を図っていく工夫も行ってはどうか、となっております。
3ページにお戻りください。「受講を必須とする者の要件」です。障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会等におきましては、特に企業に対して直接的に支援をするとう観点で、就労移行支援事業所の就労支援員、定着の支援を行う就労定着支援員、障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者を必須ということで取りまとめておりましたが、これに加えて、雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修の構築に関する作業部会では、就職後の生活支援として、企業に就業する方の生活支援を行っております、障害者就業・生活支援センターの生活支援担当者まで含めるべきとされており、この4者を受講必須としてはどうかと考えております。これらの受講を必須とする4者と、職場適応援助者養成研修、いわゆるジョブコーチ養成研修を受講する方については、この基礎的研修の受講修了を要件とするという方向性を同検討会でもお示しいただいており、これについては同作業部会でも特に異論はありませんでした。これらを前提にすると全体としてのボリューム感は1万2,000人ほどではないかと見込んでおります。ただし、受講必須4者につきましては着任と同時に受けるのは現実的ではないので、移行支援事業所等福祉事業所の異動のサイクルなども勘案し、同作業部会の実践者からの御意見を踏まえ、猶予期間を3年と考えたいと思っています。そうしますと、1年で約4,000人ぐらいの受講の枠を用意することになります。前提となっている就業支援基礎研修は今、年間2,600から2,700人の枠を集合研修3日間で全国の地域センターで実施しております。このため、そういった実績を踏まえると、オンラインも活用し集合研修2日という建て付けになれば、非現実的な数字ではないと考えております。
次の実施主体の所にありますように、まずはセーフティーネットとして高齢・障害・求職者雇用支援機構が現状どおりやっていくことになりますが、その上で量的な観点から、民間機関を活用すべきという同検討会での方向性を踏まえ、同作業部会におきましては、まずは厚生労働大臣指定のジョブコーチ養成研修実施機関を活用してはどうかとなっております。併せて研修実施手法としては、研修の質を担保しつつ、一部についてオンラインを活用してはどうかと考えております。ただし、各事業所において研修日時をしっかりと設定し、事業所の管理責任の下で受講させること、悉皆の取扱いがありますので、研修実施に当たっては確実に修了書を交付することについても、同作業部会の取りまとめの中で整理されております。1点目の人材育成については以上です。
次に、2つ目の「地域の就労支援機関の役割分担」につきまして、8ページを御覧ください。同じく「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」におきまして、その役割分担等について議論がなされました。当分科会で御議論いただきたい点としては地域障害者職業センターを含む高齢・障害・求職者雇用支援機構の役割と、障害者就業・生活支援センターについての御期待に沿う形での在り方を検討したいと考えております。水色の四角囲みの1点目が、高齢・障害・求職者雇用支援機構の本部である障害者職業総合センターについてです。ここは、いわゆる職業リハビリテーションの研究あるいは技法開発の中核機能を担っております。今回新たに立ち上げる基礎的研修は、この障害者職業総合センターと連携して、地域障害者職業センターが実施してはどうかと考えております。またこの基礎的研修に加え、地域障害者職業センターについては特に今後、各地域の支援機関等に対して、個別に計画的・体系的な人材育成を行っていくことを通じて、地域の就労支援の基盤整備を図ることを目指してはどうかと考えております。
以上のイメージにつきまして、次の9ページにお示ししております。左側の赤枠です。この一番下に、今回新設する基礎的研修が位置付けられており、ステップゼロとして、これを受けていただきます。障害者職業総合センターが、主にオンラインの部分に対応し、地域障害者職業センターでその後の集合研修を担っていく形で、2つの機関が合同で基礎的研修を実施します。その上で、より上位に位置付けられている実践研修については、今までどおりにやっていくことになります。これだけではなく、右の青い四角囲みにあるように、地域障害者職業センターにおきましては、各地域の就労支援機関等に対して、それぞれの機関の特性、あるいは弱点や、まだ力が十分でない部分等についての状況を踏まえた上で、御要望に応じて計画的・体系的なOJTを応援していってはどうかということです。ケースカンファレンスに参加して助言をしたり、あるいはペア支援などを通じての技術のノウハウ等の提供を行うことになると思います。こういったことも通じて、地域の就労支援の基盤整備を図っていってはどうかと考えております。
それから、8ページの水色の四角囲みの2つ目に書いてあります、障害者就業・生活支援センターにつきましては、これまでも特に就業については地域におけるスーパーバイザーや困難事例に対応する基幹的な機能を担っております。これについては地域の支援機関と併せて全体で認識を明確化していくことで、基幹型の機能を位置付け直し、より一層地域障害者職業センターと連携していく形を考えてはどうかと考えております。
関連して、10ページにイメージをお示ししております。まず高齢・障害・求職者雇用支援機構においては、先ほど申し上げたように障害者職業総合センターが中核的に研究成果に基づく技法やツールを開発しており、これらを地域障害者職業センターを通じて、各支援機関に技術的な助言・援助を行っています。これについては、引き続きやっていくことになります。更に地域障害者職業センターについては、非常に困難な事例への対応、先導的な支援をやっていますが、都道府県内におおむね1箇所ですので、物理的にその支援を使えないところもあります。そういった意味で、障害者就業・生活支援センターが、他の就労支援機関よりも若干高いレベルで中核的に位置付けられ、他の支援機関では対応がなかなか難しい事例などに対して、地域障害者職業センターからの助言なども得、連携を図りながら基幹型としての機能を担っていきます。併せて、これまで同様、まずワンストップで障害者の就労に対しての相談をお受けして、必要な関係機関等につないでいくといった総合的な連絡調整であるハブ機能につきましても、引き続き担っていくということで、障害者就業・生活支援センターの位置付けについてしっかりと明確化を図っていきたいと考えております。議題(1)につきましては以上です。よろしくお願いを申し上げます。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、議題(1)につきまして質疑応答に入りたいと思います。御質問や御意見がありましたら、Zoomの「手を挙げる」ボタンをクリックし、こちらで指名した後に、聴覚・視覚障害者の方々への情報保障という観点から、お名前をおっしゃっていただいた上で御発言いただければと思います。それでは、竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。この基礎研修に大いに期待している立場ですけれども、そこでお願いしたいのは、研修を受ける人の立場が意識された形での研修内容を組立ててほしいということです。すなわち、既に一定の就労関係に携わっている、A型とか、そういう事業所の支援だけではなく、例えば一般企業における人事担当者や、障害者が就労している職場のセクションの一定の管理職、直属の長だったり、そういう方たちも研修を受けることの価値、十分に期待されるものが盛り込まれていることを期待したいということが1点であります。
それから、内容面についてですが、例えばリハビリに対する理解、あるいは逆に雇用促進法に基づく制度だったり、障害者総合支援法に基づく支援であったり、それらがどういう形で就労や日常生活に役立つかということが理解されていくためには、いわば就労に直結はしていないように見えるけれども、その人の日常生活や就労の補助的な支援に結び付くことによって、その人の就労の質、あるいは生産性が向上することが、十分に結び付いていることを理解していただけるような研修内容にしていただくことを、お願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、次に清田委員、お願いします。
○清田委員 日本商工会議所の清田です。御説明ありがとうございます。意見を申し上げます。雇用と福祉の分野横断的な基礎的研修・スキルを付与する研修により企業の理解を深めていただくという趣旨には非常に賛成いたします。資料1の6ページに記載されている各研修のカリキュラムにおいて、「企業に対する支援の基礎」、「ケースマネジメントと職場定着のための生活支援・家族支援」が設定されていることは、非常に参考になる有効な内容であると思います。ただし、企業の障害者雇用の現場を理解する上では、なかなか座学だけでは理解が困難ではないかと感じており、実際に企業を訪問して見学することが、最も有効であると思います。今回の基礎研修の枠組みでは、受講が想定される人数などから、実施は困難であると理解しておりますので、別途オプション講座のような形で設定しても非常に有効ではないかと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、内田委員、お願いします。
○内田委員 労働側の内田です。支援人材育成と就労支援体系に関して、要望2点発言させていただきます。障害者雇用と福祉の連携を強化して切れ目のない支援を行うためには、支援人材の育成が重要だと考えております。その上で、実施に当たっては、スムーズな受講を可能とするため、関係機関の連携や事業所への支援及び働きかけが必要だと考えます。そこで、1点要望となりますが、基礎的研修の実施状況などを踏まえ、上位階層の研修カリキュラムとの整合性を図りつつ、必要に応じて見直しを図っていただきたいと思います。また研修にかかる費用の一部は、雇用保険財源も含まれておりますので、質の確保を前提としつつ、効率的、効果的な活用をお願いしたいと思います。
2点目の要望として、就労支援体系の在り方や役割の見直しに当たっては、関係機関の支援業務の重複感や人手不足などによる負担増の発生などに留意をし、今後必要な支援が適切に実施されるように、体制整備や財政支援を含めた対応をお願いしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、続きまして山口委員、どうぞ。
○山口委員 愛知県中小企業団体中央会の山口です。今日は、どうもありがとうございます。私が質問したいのは、資料ナンバー1の、2ページの論点3の部分で、基礎的研修の受講必須とすべき者は、当面、就労移行支援事業所の就労支援員、就労定着支援事業の就労定着支援員、障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者、生活支援担当者の4者としてはどうかとありますが、就労支援A型、B型についてはどのように考えているか、お聞きしたいと思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。今の御発言は御質問ですので、事務局からお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。今、山口委員から御指摘がありました、就労支援事業所A型、B型の取扱いにつきましては、今回の雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修の構築に関する作業部会、障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会の下に開催した障害者就労を支える人材の育成・確保に関するワーキンググループ、そして同検討会の場でも、将来的にA型、B型のみならず、就労支援機関の職員人材について検討することについて御意見を多々いただいているところです。こういったことも踏まえまして、まず企業で働く障害者に直結する部分でということで、今回4者に限って優先順位を付けて必須という形にしましたが、基礎的研修の実施状況等を見まして、将来的に、おっしゃっていただいたA型、B型を含む、その他の方たちの受講の枠組みについても、検討していくということかと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。山口委員、何かありますか。
○山口委員 分かりました。ありがとうございました。
○山川分科会長 ありがとうございます。それでは、新田委員、お願いします。
○新田委員 経団連の新田です。御説明ありがとうございました。今回お話しされた内容について、専門人材の育成確保の必要性は非常に大きいと感じているところです。冒頭、竹下委員からもお話しがありましたとおり、私もこの基礎的研修については、大変期待をしております。その関係で1点質問と意見を申し上げたいと思います。資料を拝見しますと、受講者として最大で1,800人、年間で3,900人ほどの受講機会の確保が必要と推計されていると認識しております。また、基礎的研修の実施機関としてJEEDが挙げられており、具体的にはJEEDが運営する地域障害者職業センターの活用が想定されていると理解しています。これだけの規模で運用するとなると、人材や設備等の確保が非常に大事ですけれども、これに充てる費用、財源について、どのように考えているのかという質問が1点です。その際、基礎的研修の導入実施に当たりましては、やはり効果検証が非常に大事だと思っておりますので、効果検証をしっかりと行いながら効率的な運用を是非とも図っていただきたいと思います。最後は意見、要望です。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。財源について御質問ですので、事務局からいかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。おおむね年間4,000人弱の運用を考えたときに、その財源についてという御質問でした。現状行われております、集合3日間による年間2,700から2,800人というような規模の就業支援基礎研修につきまして、会場費の確保、あるいは講師への謝金、テキストの配布など、必要なコストで見込んだところ、約1,000万円ぐらいの経費がかかっています。これは3日間の集合研修ということですので、1.数倍の4,000人弱のボリューム感で運用した場合にも、大きな変化はないのかと考えております。ただ、一方でオンライン講義に係るシステムなどの対応がありますので、その辺りにつきましてはイニシャルコスト等がかかってくる可能性がありますし、それを含めても、大事な二事業の財源を使うことになりますので、先ほど内田委員からもありましたように、効果的、効率的な運用ということで、しっかりと精査をしていきたいと考えております。以上です。
○山川分科会長 新田委員、いかがでしょうか。何かありますか。
○新田委員 ありがとうございました。最後に申し上げたとおり、効果検証を是非しっかりと行っていただきたいということを重ねて申し上げます。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。2点あります。まず、全体としてすごくよくまとめられていて、良い形になっていくのではないかと思います。これで全体の底上げが始まるとよいと考えています。
まず1点ですけれども、地域障害職業センターが、今回その研修をかなり担っていくということで、少しずつ地域障害職業センターが後方支援にシフトしていくのだろうというのは感じています。そこで気になるのは、ここで研修を担当する障害者職業カウンセラーたちが、どんどん後方シフトしていくと、現場経験が減少して、新たに採用となった障害者職業カウンセラーが、現場経験を積まずに専門家として育成されていくのかというのが気になっていますので、職業カウンセラーの育成の在り方というのは同時に検討していかないと、現場経験を持たないと難しくなっていくのではないかという心配が1点です。もう1点ですが、カリキュラムのところで細かいことが気になったのですが、障害ごとの研修内容が入っています。そこで、身体障害のところは身体障害、高次脳機能障害、知的障害の所に知的障害と発達障害が入っているのですね。私は、雇用促進法でいえば、高次脳機能障害や発達障害は精神障害のほうに含まれているし、現実的に障害としては認知機能に障害が出てきているので、ここでくくれるのではないかと考えています。ですから、知的障害は知的障害の問題として、しっかりと研修を受ける。身体障害については、今、余り触れられていない視覚障害や聴覚障害、非常に障害として私は重いと思っているのですが、余りきちんと研修されていないので、その辺りをしっかりと研修していくという形にされたらどうかと思いました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。御意見、御要望ということでお伺いして、後で事務局でまとめて、何かありましたら説明をお願いしたいと思います。ほかに御質問、御意見等は。下屋敷委員、手を挙げておられるでしょうか。下屋敷委員、どうぞ。
○下屋敷委員 新規で家族支援が入ったのは、本当にありがたいことだと思っています。細かい話ですけれども、家族からすると、いわゆる金銭、一般就労を目指す方たちなので、お金の管理といいますか消費者教育というのですかね。そこら辺のところは非常に、家族相談をやっていると出てくるのですよ。ですから、基礎研修の中で、例えば各地にある消費生活センターとか、確か今度、成年年齢も18歳に下がりますよね。そういうところも併せて、例えば消費生活センター、契約とか、社会生活の面での一般的な常識というようなものも共有するようなことを、何か研修の中で1つでもいいのですけれど、細かい話ですけれど、入れていただくとありがたいという感じがしています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかは何かありますでしょうか。よろしいでしょうか。種々建設的な御意見、あるいは御要望をいただきました。カリキュラム等についても、いろいろ御意見、御要望いただいたところですけれども、事務局から何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。多岐にわたって様々な御指摘をいただきまして、ありがとうございました。いただきました、例えば研修受講者への配慮、あるいは研修内容に係る様々な御指摘につきましては、十分に踏まえて具体的な運用に向けて更に検討を深めてまいりたいと思っております。それから、上位研修の見直しという内田委員からの御指摘につきましても、基礎的研修のシラバス等が固まってきた段階で、例えば上位に重なる職場適応援助者養成研修、障害者就業・生活支援センターの就業支援担当者研修については、併せて見直しを図っていく予定としております。また、倉知委員からカウンセラー自体の教育についての御指摘がありました。高齢・障害・求職者雇用支援機構と定期的に意見交換をしながら検討を進めておりますが、現在もOJTとして様々な体系的な研修をカウンセラーに対しても実施されているということで、さらにこの辺りの強化も含めて考えていかなければいけないと思います。先程申し上げたように、役割分担としての個別支援がなくなってしまうわけではありませんし、当然困難事例に対応していくことでの実践を踏ませるという意識につきましても引き続き強く持ちまして、カウンセラーの育成にも取り組んでまいりたいと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。ここで、本日御欠席の影山委員から意見書をいただいておりますので、議題(1)についての部分を紹介させていただきます。代読させていただきます。
「1.障害者就労を支える人材の育成・確保関係について。御提案の人材育成の仕組みは、総論として賛成である。企業で働く障害者も増えている中で、基礎的研修のレベルで企業にアドバイスしたり、企業で働く障害者を支えたりするイメージを形成することは、必要であると思われる。ただ、事業評価を事業実施前の段階で御検討いただくとよいと思われる。例えば、受講者に講座を受けた感想を尋ねるアンケートを受講直後に実施することとは別に、企業が社員に外部研修を受けさせた場合や、自治体の地域活動人材セミナーの事業評価のごとく、本人に「研修で学んだことが業務に役立っているか」などを尋ねるとともに、受講者の所属機関による人事考課(本人の成長につながったかなど)のデータを集めることもあり得る。サンプルサイズとしては十分であるので、評価の厳しさ・緩さの差は、それほど考慮しなくてもよい可能性もあるが、差が集計値に影響を与えない工夫を行い、また、リッカートスケールなど選択肢の設問を設定すれば、集計・分析の負担は軽減できるように思われる」。以上が議題(1)に関する影山委員の御意見であります。
先ほどの事務局からの補足説明と、今の影山委員の御意見等を踏まえて、何かほかにありますでしょうか。よろしいでしょうか。種々御意見、御要望をいただきましたけれども、基本的には御異論ではなかったと思いますので、先ほどの御説明の論点の方向性にそって、さらに事務局で検討を進めていただきたいと思います。恐らく研修のカリキュラム等は、多分、私も別個労働紛争処理の研修などをやっておりますが、やりながら改善していくというところがかなりありますので、そういうことで効果を上げていけるのではないかと思います。
では、次に議題(2)につきまして事務局から説明をお願いします。
○小野寺障害者雇用対策課長 それでは、議題(2)について、資料2に基づいて御説明申し上げます。「中小企業における障害者雇用の促進について」です。今回この中において、2点御意見を頂戴したいと思っております。まず、中小企業における障害者雇用促進の観点からすると、1社で取り組むことがなかなか難しいという状況があるため、事業協同組合等算定特例という枠組みを設けて運用してきました。これについては、第104回の当分科会でのフリーディスカッションの際にも、実際に取り組んでおられる組合からのアンケートや、労働局の意見等も交えて御意見を頂戴したところです。引き続きこれらの取組について、より効果的に活用していただくための措置について御意見を頂戴したいというのが1点目です。
もう1点、事業協同組合等算定特例における国家戦略特区に基づく「有限責任事業組合(LLP)」の取扱いについてです。これについては、令和3年6月18日に「成長戦略フォローアップ」において、全国展開に向けて今年度中に結論を得るということでの閣議決定を受けておりますので、これに基づいて御意見を頂戴したいと思っております。
具体的には、3ページ以降から御説明申し上げます。まず、資料の3ページ、事業協同組合等算定特例について、改めて整理をしております。この取組については、事業協同組合等が中心となり、雇用促進事業に参加した企業全体で取り組んでいただき、一体の法人としてとらえて全体として実雇用率を通算した上で、法定雇用率を達成していくことを目指しております。この枠組みの中において取り扱っている事業協同組合等の要件については、下のほうのブルーの点線の所に書いてあります。アンケート等で特に御指摘があったのが、組合等自らが1人以上の障害者を雇用し、また、20%を超える障害者雇用の割合を有しているということを問うておりますが、これについて少し厳しいということでの撤廃という要望もありました。
併せて、参加に当たっての特定事業主の要件については、まず雇用の義務が掛かっている企業ということで、現状で言うと43.5人以上ということになります。この点、あるいは(5)に記載があるように、一定規模の企業については、障害者1人以上といったような一定人数の障害者の雇用が必要であるとしております。これは、全体で雇用率を達成する枠組みではあるものの、全体での達成をもって各特定事業主の障害者雇用が大幅に後退することがないように、最低限のものを規定していると理解しておりますので、これらについても撤廃ということは難しいのだろうと思っております。ただ、要件の(4)にあるような、事業協同組合等の行う事業と特定事業主の行う事業との人的関係又は営業上の関係が緊密であることの部分については、見直せないかと考えています。具体的には後ほど御説明申し上げます。こういった形で事業協同組合等算定特例があります。
併せて次ページです。特例として、有限責任事業組合を国家戦略特区において認定対象に加えております。LLPについては、いわゆる異業種の企業がそれぞれの強みを持ち寄って参画するということで、併せて設立の手続きが簡単であるということでより一層企業同士のジョイントベンチャー的な取組で障害者雇用を進めていくというようなことを考えております。一定、こういった形で柔軟に設定ができますが、一方で意思決定を原則出資者全員で行って、出資者全員が業務執行に参加するということで共同事業性の確保ということも図っています。このような中で、国家戦略特区指定区域内において取組を進める方向でしたが、現状においては特例認定を受けているLLPは1件となっています。
次ページで実際のLLPの取組を御紹介しております。5ページです。渋谷区に所在地を持って事業が開始されており、現状、計画3年目に入っていますが、その3年間において障害者雇用数が5.5名増加となっています。併せて、障害者雇用の経験やノウハウが乏しい特定事業主に対して、この組合が中心となってノウハウの提供だったり、障害者の採用・マネジメントのサポートを行うといった取組で、全体としての障害者雇用が促進されており、効果については一定評価できるのではないかと考えております。また、有限責任事業組合として立ち上がっている組合に意見を伺ったところ、特定事業主として参加を希望した会社が特区外の事業主だったということで参画ができなかったということもありますので、現状の取組というよりは全国ということの展開に対しての期待を持っておられるようです。
併せて、実際には取組としては生まれていませんが、申請に対しての御相談があったような事例でも、特区の区域外からの参画とセットでの取組で立ち上げたいというような、特区というところが制約になっていたという話も聞いておりますので、この一事例ではありますけれども、一定の障害者雇用促進の効果があったという評価と、特区域を越えての様々な可能性も踏まえて、事務局としてはLLPについて全国展開を図っていきたいと考えております。
1ページめくっていただいて、今回の特区についての取扱い、これは閣議決定された内容を載せております。今回の障害者雇用に関するLLPの取扱いについては、ここに記載があるように、分科会での検討を行って今年度中に結論を得るということになっております。特例措置の活用から一定期間が経過して、特段の弊害がない特区の成果については、積極的に全国展開を図っていくという基本的な考え方もありますので、是非全国展開ということでお願いしたいと思っています。
7ページです。LLP全国展開も加えて、以下の見直しを併せてしていきたいと考えております。こういったLLPの全国拡大ということがありますので、改めて事業協同組合等算定特例については制度の周知を図っていきたいと考えています。今現在7つの事業協同組合等算定特例の事例がありますが、この7つの事例を見ても、例えば組合員から障害者雇用に苦慮しているという相談を受けて、ハローワークから誘導して事業が始まっているといったこともあったりしますので、ハローワークあるいは労働局を通じて個別の取組について進んでいくような形での分かりやすいリーフレット等を紹介したり、あるいは実際の取組事例を共有したりということで具体的に進めていければと考えております。
営業上の関係が緊密であることについては、左側に書いてあるように、現状は発注ということをもってとらえております。これに対して、組合員の事業支援等に係る事業として行われている共同事業については、例えば共同購入だったり共同販売、共同運送といったような様々な取組がありますので、現状の共同事業等も踏まえて共同受注に係る業務の分担や、共同販売用商品の納入ということでの事業についても認めていく方向で考えてはどうかと考えております。
最後に、資料の8ページにあるように、入口についてはこのような形で利活用が進むような形での対応とさせていただく一方で、やはりこれが実効あるものとしてしっかりと運用されていく必要があるということで、現状についてはいわゆる事業協同組合等に対するいろいろな支援・指導について一般的な枠組みでしか対応ができていません。この雇用促進事業を適切に実施するための計画として位置付けられている実施計画の目標達成に向けて、支援をするようにといった指示は特段していませんので、ここを強化していきたいと考えております。
その上で、計画期間が2年間とされておりますが、実施計画の中身をしっかりと把握して、雇用促進事業の内容も具体的にきちんと把握した上で、計画に掲げた目標自体の達成に向けてしっかりと支援をしていくということ。それから、計画の終了時点において、例えば通算した実雇用率が法定雇用率を下回るような状況になった場合や、あるいは実施計画に掲げた雇入れの目標といった数値が現実的に達成できなかったといった場合には、次期の計画に向けてしっかりと助言指導した上で、その計画期間中に目標がクリアできるような形で重点的に支援をしていくことを考えていきたいと思っております。
通常、一般の事業主に対しては、実雇用率が法定雇用率を達成しなかった場合、一定の事業主については、雇入計画の作成命令を掛けて、その後、適正実施勧告、特別指導を経て公表というような流れで指導しております。この枠組みからは特定組合等、それから特定事業主については外れていますが、こういった一般的な事業主に対しての指導のプロセスも踏まえて、直ちにいわゆる認定取消しということは、雇用の安定という趣旨を踏まえるといささか乱暴かと考えております。このため、一定期間の集中的な指導を通じて、その上でやはり達成できないというような状況になった場合には、障害者雇用促進と安定に資する取組であるといった要件に該当しないとして、認定取消しをしっかりやっていくということで考えていきたいと思っております。利活用に向けて柔軟化を図る部分と、一方でしっかりとした実効あるものにしていくといった運用上、厳正に取り扱うということの対応も併せて考えていきたいと思っております。説明としては以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○山川分科会長 それでは、質疑応答に移りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、先ほどと同じような方法で挙手をお願いしたいと思います。竹下委員、どうぞ。
○竹下委員 日視連の竹下です。結論としては、LLPを全国で立ち上げやすい、そういう仕組みを是非作っていただきたいと思います。要件とかをできるだけ柔軟にというのでしょうかね、柔軟にしてほしい。すなわち、厳しいものにするとなかなか立ち上げられないという印象を持っております。単に特区という領域の限定を外すだけではなくて、立ち上げの要件そのものも非常に立ち上げやすい、そういうものを是非検討していただきたいというのが1点です。といいますのは、やはり中小企業における障害者雇用の1つの大きなきっかけないし動機付けにもなるでしょうし、1人の業務内容が週10時間以内で足りる場合、例えば、私なんかが頭にあるのはヘルスキーパーなのですが、そういうヘルスキーパーなんかは中小企業にとって週2時間とか3時間勤務していただければ足りるような企業については、それぞれの企業が雇用するというのはなかなかあり得ないわけです。そういうことを考えると、LLPを想定した中での障害者雇用というものが大いに期待できるのではないかと思ったりもします。
もう一点は、LLPの立ち上げそのものは、関連性のない企業という言い方がいいのかどうか分かりませんが、業種の違う所が連携するわけですから、どういう所が母体というか主導権を持ってやるのかとかということを考えると、なかなか立ち上げるのはそう簡単ではないのかなという思いがあります。それだけに、1つは企業団体あるいは行政の後押しといいますか、一定のサポートが重要ではないかと思っておりますので、この点の仕組みも考えておいていただくことをお願いしたいと思います。以上です。
○山川分科会長 では次に、冨高委員、お願いいたします。
○冨高委員 連合の冨高です。今回の対象や要件の拡充の件については、中小企業の障害者雇用促進を図る1つの選択肢と認識しております。しかし、今回拡大をする場合、全国から様々な業態、業種の事業所の参画が可能となりますので、従来よりは設立が進むことが考えられる一方、全国的な範囲の特定事業主によるLLPに関して、登録所在地のハローワークだけではなく、それぞれの特定事業主が所在している各地域のハローワーク同士の連携やハローワークによる支援の強化などが今まで以上に重要になってくると考えております。また、設立が進むと、特定事業主間で障害者雇用の取組の濃淡が生じることが懸念されます。それぞれの事業主が事前計画で掲げた目標を確実に達成できる支援が必要であり、就労後の定着支援の取組も含めて労働局、ハローワークによるフォローアップの徹底が求められます。
併せて、今後、適宜実態や状況を把握しつつ、中小企業の障害者雇用の促進につながる先進的な企業のノウハウの共有などの支援も含めて、是非御対応いただきたいと考えております。以上です。
○山川分科会長 では長谷川委員、お願いいたします。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。LLPに関して1件既に先例があるということなのですが、その中の事業所の1つにA型事業所が入っているということで理解は合っていますか。
○山川分科会長 今、事実関係の御質問ですが、いかがでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。御質問いただいた件についてはそのような御理解で結構です。
○長谷川委員 ありがとうございます。A型事業所が入った上で、A型事業所で障害者雇用を多数達成して、そこに加入していく中小企業が十分な障害者雇用をせずとも法定雇用率を達成してしまうことになるとすれば、こういったLLPの制度をより使いやすくするのは非常に危険なのではないかと思っているので、賛成できないなと思っています。A型事業所の雇用義務制度上の位置付けについても、今後より議論が必要だということがこの分科会でも言われている中で、A型事業所が入った形でこういう今の制度をもっと広げていくのだというメッセージを出すことも、結局、議論しなければならないと言いながら制度を広げていくということになると矛盾してしまっているのではないかなとも思います。
竹下委員がおっしゃったように、確かにメリットもあると思うのですが、すごく怖さもあるのではないかと思うのです。リスクがあるのではないかと。みなし雇用みたいな、ほかの所に障害者雇用を委ねてしまえば、それで自分の所は労働局に怒られない程度に障害者雇用をしておけばいいみたいになるのではないかと思っていて、そこをしっかりと対応できないのであれば、たった1件の先例を特に問題ないという理由だけで全国に広げるということは、やめたほうがいいと思います。以上です。
○山川分科会長 では、続いて倉知委員、お願いいたします。
○倉知委員 九州産業大学の倉知です。私も今、長谷川委員がおっしゃったことと全く同じことをお話ししようかと思っていました。このメリットは何かとずっと考えていて、例えば、今、法定雇用率を超過している特定事業主がここに参画するメリットって何だろうとよく分からなかったのです。いろいろ考えていたら、新たにそういうA型事業所みたいな所を入れておけば、ほかの事業主は採用しなくても全体は達成してしまうのではないかな、それはどうなのだろうと私も先ほど思ったのです。ですから、そこはそうならないような仕組みにすべきではないかなと思っています。最初は特例子会社のようなものができてしまうのではないかな、それもどうかな、あえてそれを増やすのは好ましくないのではないかなと思ってはいたのですが、A型事業所を入れることはやめるべきではないかなという気がしています。ですから、ほかの企業は障害者雇用をしないけれども、どこか1つあえてA型事業所のようなものを作って、そこでやることによって全体が障害者雇用をしなくて済むというような悪用がされないような仕組みにすべきではないかなと思いました。以上です。
○山川分科会長 清田委員、どうぞ。
○清田委員 日本商工会議所の清田です。意見を申し上げます。中小企業は事業規模がマンパワー・事業の業務量も含めて小さい所が多いため、連携の取組は有効であると思っています。今回の事業協同組合・LLPの枠組みを拡大することには賛成いたしますが、一方で事例も1つしかないことから、なかなか分かりづらい制度であり、どのように活用したらいいのかも分かりにくいため、周知の抜本的強化だけではなく、事務局が御提示されている対応案なども考慮しながら更なる工夫と検証が必要であると思っています。取組が進まない要因を検証するとともに、労働局やハローワークなどでも積極的に支援をしていくことや、厚生労働省主導で適切なモデルケースとなるような事業協同組合・LLPを積極的に作って周知していくこと、また連携の核となる団体や事業所を支援していくことなど、利用が促進されるような取組を進めていただければと思っています。以上です。
○山川分科会長 ほかにはいかがでしょうか。新田委員、どうぞ。
○新田委員 経団連の新田です。御説明等ありがとうございました。他の委員からのお話をお聞きして、いろいろな御懸念があるというのも十分理解したところです。ただ、一方で、清田委員からもお話があったとおり、中小企業では障害者雇用について非常に苦慮しているという実態もあります。中小企業における障害者雇用の促進を図る観点から、今回のLLPの算定特例の要件等を見直すことも、1つの方策として考えてもいいのではないかと思ったところです。一方で、各委員から御指摘があったとおり、まだ1事例しかないことや、制度を悪用するようなケースも想定されるということですので、この制度の一層の活用を進めていくためには、正しい周知と労働局等の指導・支援、指導強化といったところも非常に大事になってきますので、そういった点について是非、事務局に検討をお願いしたいと思います。多少、条件付きではありますが、見直す方向で検討を進めてもいいのではないかということを申し上げます。私からは以上です。
○山川分科会長 では小原委員、どうぞ。
○小原委員 大阪大学の小原です。制度が悪用されないということは大事だと思います。ですが、日本全体として働く障害者を増やすというのがまず大事だと思うので、そういう意味ではできることをするという取組には賛成したいと思います。例えば、自分とグループを組んでいる所で雇うという所が増えることで、雇えるかなとかそういう認識を増やしていくことも大事だと思うので、悪用ばかりではないのではないかなということも同時に思います。以上です。
○山川分科会長 ほかは、御意見はいかがでしょうか。山内委員、どうぞ。
○山内委員 使用者側の山内です。既に皆様方から御意見を頂いているように、やはり雇用を拡大していくための方法としては、私個人も賛成させていただきたいと思います。ポイントとして、我々のようなちょっと大きな企業でも、業種とか地域特性によって多くの障害者の方を雇用している所と、そうでない所が助け合うような形で実際には機能しています。ただ、重要なのは組合の役割です。雇用率を上回っている事業主とそうでない事業主をそのまま継続していくと、当然ながら上回っている事業主の不公平感が募っていきますので、一定の計画を持たせて、組合に対して7ページの一番下にあるように、組合にメリットを何らか共有しておくと。それを組合の役割とのバーターで回していくようなことをしていくと、将来的にこの組合の雇用率を上げていくことにもつながりますし、加入することのメリットを外に対しても示すことになるので、何か組合の役割をもう少し明確にしていくことを1つの方法として考えてはどうかなと感じました。私からは以上です。
○山川分科会長 ほかはいかがでしょうか。今の段階で特段ありませんでしたら、御欠席の影山委員の意見書の議題(2)に係る部分について読み上げさせていただきます。
「事業協同組合等算定特例・LLP算定特例について。規模の小さな企業の障がい者雇用を進める制度としてはあり得ると思われる。LLP算定特例は、従来の制度よりアクセスしやすいものになっており、また、参画する企業が障がい者雇用のノウハウを修得できる可能性もあり、その点ではよいのではないかと思われる。その際、各地ではそれぞれに障がい者雇用ないし就労の取組を進めているので、LLP算定特例について全国展開の形を取ってもよいと思われる。ただ、事例がそれほど出てこない可能性はある。企業は雇用の手続をするだけで、障がい者は就労支援組織が用意したオフィスや農家で作業を行うサテライト型がよくみられる。また、入札がらみで雇用に着手する例もある。障がい者雇用のハードルが感じられる事例である。
しかし、規模の小さな企業における雇用率達成企業割合の時系列データを見ると、規模の大きな企業とは異なり、法定雇用率改定の影響を余り受けない。雇用率が変わっても必要な雇用数が変わらないこともあるが、コンプライアンスではなく人材確保が主たるインセンティブであることもある。そのようなニーズのある企業が障がい者雇用を進めるに当たって、当該制度は利用できる可能性がある。そこで、企業に何が訴求するのかを分析した上で、地域の労働局などが制度の意義や使い方などを丁寧に指導する必要があると思われる。そして、この点も含めて事業評価を行うべきと思われる」。以上が影山委員の御意見です。
更に御意見等はありますか。なければ、御懸念も出たところですので、事務局から先ほど若干説明は頂いたかもしれませんが、御意見を踏まえて何かありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 ありがとうございました。いろいろと御意見を頂き、御礼申し上げます。倉知委員、長谷川委員から特に御懸念についてお示しがありました。ただ、A型を含む1つの先進的取組が進んでいる企業をもって、その他の企業の取組というのが進まなくても、それが是とされているということで言えば、特例子会社やグループ算定特例においても同じような考え方の中で、先導的にやっていく所と一緒にやることによって、その中での全体としての取組を進めていくということを法律としても位置付けております。
その中において、今回の取扱いについては、先ほど申し上げたような形で、計画策定に当たって、最終的に障害者雇用の安定と促進に資するような中身にするという観点で、労働局等もしっかりと関与し、御助言や指導をしていきたいと思っております。まずは、こういった全体で実雇用率を上げていく、法定雇用率を達成していくという枠組みを増やした上で、次の段階としては、そこに参画する各個別の企業に確実に取組が広がっていくという方向性を出していくということになるかと思っております。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。では、ほかに、あるいは追加的な御質問、御意見等はありませんか。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。御説明ありがとうございました。一応、確認をさせていただきたいのですが、現在、1件認められている組合の状況が資料の5ページに書いてありますが、ここにA、B、C、D社とある所なのですが、それぞれの会社の個々の実雇用率というのはどういう状況になっているのでしょうか。
○佐藤主任障害者雇用専門官 障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官の佐藤です。ウィズダイバーシティ有限責任事業組合の特定事業主それぞれの実雇用率ですが、令和3年6月1日現在の雇用状況報告によりますと、この資料のA社については73%。長谷川委員からお話がありましたように、こちらがA型事業所になるところです。B社のほうが0人となっています。C社、D社はどっちがどっちということはないのですが、一方が1.05%、もう一方が0人企業という状況になっています。
ただ、今回、資料の右上に計画に基づいた障害者雇用の推移をお示ししていますが、先ほど申しましたように特定事業主A社がA型事業所となっていまして、これまでの計画の中で障害者の雇用が増えたのは、こちらのA社でということにはなっているのですが、計画においては3年目の計画というところで、一応、計画上採用予定4名の中で組合本体と、それから特定事業主A社以外の3事業主でそれぞれ1名の雇用を進めるということで、目標としては掲げていただいているところです。このA社の障害者雇用のノウハウを他の組合、特定事業主に普及させていくということも、策定いただいた計画の中では記載していただいているところで、それについても御参考までにお伝えしておきたいと思います。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。長谷川委員、何かありますか。
○長谷川委員 御説明ありがとうございました。設立が令和2年なので、まだ始まったばかりなのでその評価というのはすごく難しいと思いますが、やはり0人の事業主が入った形で全体として実雇用率が達成できているので、何て言うのでしょうか、法律上の問題がないと評価されてしまうとすれば、確かに労働局がそこは一生懸命指導することもできるのでしょうが、なかなか先ほど私がぐちぐち述べた懸念というものが、除かれないなという印象を今の数を聞いてより思いました。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。では竹下委員、お願いいたします。
○竹下委員 竹下です。今の専門官の説明があったことによって、私の発言は半分いらなくなったなと思っているのですが、実は私が発言しようと思ったのは2点あって、1点は確かにこういうLLPにA型事業所が入っているのでおかしいなと、何か脱法的なことを考えているのかなというある種の不信感があるというのは、私もこの実態の報告を受けたとき思ったのですが、そうではなくて要するに就労継続A型の事業所がそういう一員に加わることによって、障害者雇用のノウハウや障害者に対する理解など、そういうメリット面をどういう形でほかの事業主に伝えながら、LLPを成り立たせていくか。場合によったら、さらに言うならば、障害者の雇用の幅を広げていくときにA型事業所がよい役割を果たしているということが私は期待されてもいいのかなと思って、そんなに悪意を持ってこれを見ていませんでした。もちろん長谷川先生等もおっしゃるように、懸念というか悪用ということも絶対に気を付けておかないといけないというのは分かるのですが、そういう面は十分注意しながらも、私はプラス面は幾つか、これ以上細かく言いませんが、あると思っていることと、もう1点は、先ほども発言しましたが、中小企業自身が単独で、50人から100人程度の企業であったとして、自分の所の障害者雇用を直ちに0から1にするというのは、大きな壁があると私は率直に感じているので、そういうものを打ち破るときにLLPを使いながら事業主自身が自ら直接雇用と言いますか、そういうところに発展させていくことを誘導していくことも、このLLPを活用しながら考えるべきではないかというのが、私のプラス面で見た場合の評価です。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに何か御意見はありませんか。大谷委員、どうぞ。
○大谷委員 育成会の感覚的に言いますと、やはり懸念を感じるなと思います。ただ、その中でもA型ということを感じたときに、上手にいけばこのA型から他の企業、一緒に参加している企業に就労できる可能性も0ではないなというイメージも持てるのですが、そういうこともやはり進める中で十分考えられるのではないかなと。ただ、農福連携の障害者を扱っている所が企業さんと算定して何年雇用していますというような流れもあるので、そういうことだけにはならないようにしてほしいということがあって、確かにこういう形にするとクリアされやすいのかなと思いますが、その部分において就労率だけの問題なしに、一人でも多くの障害のある方が働けるということが大事ですので、この中で3年後必ず増えるなど、A型からノウハウを伺ってそこから就業、企業のほうに向かう。それで新しい方がそこのA型に入ってくるということになれば、これはプラスではあると思いますが、やはりその辺をきっちりチェックをしながらやっていただきたいということが、私の意見です。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかには何かありませんか。なかなか難しいところがあるかと思います。御懸念の点は、多分2つの面があるのではないかと思います。1つは、そもそも通算特例子会社なども含めて、通算の仕組みを政策としてどう考えるかという点が根本的な点としてあるかもしれません。それから具体的な運用の中でのいわゆる悪用というようなもの、その計画がいわば誠実に作られていない、実行されていないなど、形だけであるなど、そういう2つの面があるのかなと思ったところです。
それで後者の点については、先ほどの事務局のお話としてはこの資料2の2ページ目に対応案がありますが、2番目にLLPの仕組みを全国拡大する一方で、労働局による関わりを増やすというような記載があります。これが2つの意味を持たせ得るのかなと思っています。委員の方々から御指摘のあった周知、支援、あるいはノウハウの共有面という形の支援的な側面と、それからある種のモニタリングというかチェックというか、場合によっては取締りという言葉はちょっと妥当でないかもしれませんが、計画がきちんと履行されるように指導する。悪質な場合には、認定取消しというようなこともあるかもしれない。そういう二面の関わりがあるのかなと思ったところです。事務局に確認しますが、そういう理解でよろしいのでしょうか。
○小野寺障害者雇用対策課長 はい。
○山川分科会長 そうすると悪用については、そういった面でいわば厳しく対応するということも含めた関わりであるという理解ができるのかなと思っています。また大きな政策的な問題は、別途、A型の事業所も含めて議論するということは出てくるのではないかと思いますが、必ずしも全員一致ということに無理にする必要はないかと思いますが、御議論の状況としてはいろいろ御懸念、それから要望も踏まえた上でこの対応に書かれたような方法で、特段異論はないという御意見が多かったという整理になるのではないかと思いますが、そのような整理で進めていただくということでは、いかがでしょうか。倉知委員、どうぞ。
○倉知委員 ありがとうございます。今の整理で私はよく分かったのですが、例えば悪用というものをどう捉えるかというところを、もう少し整理しておかないと、何をもって悪用なのかというところがちょっと分かりづらいかなと思ったのです。ですから、私としてはA型事業所が入ってくることに、すごい懸念があって、他は良いと思っています。と言うのは、障害者福祉サービスのほうでもA型が非常にいろいろな大きな影響を与えてきてしまっていて、それがこちらのほうにも入ってくるのかなと思うのは、やはりすごく懸念されてしまうので、そこだけなのです。ですから、それが悪用でないのであれば、どういうものが悪用になるのか、ちょっと私は分からなかったものですから、それだけです。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。今の段階で、悪用を全て定義し切ることは難しいかもしれませんが、事務局は何かイメージなどはありますか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。大変恐縮ですが、事務局としても悪用と懸念されていることについてお考えを確認させていただければと思っています。
○山川分科会長 質問返しということになっていますが、倉知委員、何か御意見はありますか。あるいは長谷川委員も含めてですが。
○倉知委員 要するにA型事業所というのはそもそも訓練をする所で、障害のある方を訓練をする所、それが主な役割で、そこが要するに中小企業と一緒の組合に入ることによって、ほかの特定企業が全く障害者雇用をしなくても、組合として全員が達成されてしまう。そこが一番懸念だなと思っているのです。それを悪用と言わないのであれば、何なのだろうなとは思います。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。恐らくは先ほどの専門官からの説明にありますように、計画が段階的に進行するようになっているかどうか、あるいはそれが着実に実施されているかどうか。先ほど認定の取消しの例を挙げましたが、そこまでいかなくてもきちんと段階的に増える、先ほど御意見がありましたようなそのノウハウの拡散と言いますか、ノウハウが他の中小企業主にも拡大されていくというような効果も含めての段階的な評価が可能かどうかということが、今の例で言うとあり得るかと思ったところです。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 ありがとうございます。A型事業所が入ってもよいということで、ほかの委員もおっしゃっていたように、それにより働く場が拡大するということもあると思いますが、やはり倉知委員の御懸念のほうが私もすごく強く感じます。ただ、それが駄目と言ってしまうと、今、認めてもらっている1件の制度も、実は駄目だったということになるので、何かそれは既に認められている組合に対して非常に不利益かなとは思います。だから、広げずに今のままそっとしておこうということが1つかなと思いますが、ちょっとそういうわけにはいかない。ほかの委員のお考えもあるので、そういうわけにはいかないというときに、やはり悪用ということはどういうものかということをしっかり基準を一定程度作っておくというのは、とても大事だと思いますが、例えば、今、障害者雇用計画を策定させて、最終的に企業名公表も実施できます。その段階に至った場合には、認定を取り消すなど、そういうことは可能でしょうか。
○山川分科会長 事務局、お願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。先ほども御説明の中でも申し上げましたように、この特定事業主については基本的には計画作成命令等の対象から除外されていますので、公表という取扱いはございません。ただ一方で、そのような取扱いにしたのは、そもそもこの事業協同組合等算定特例に対しては、計画を別途立てており、この計画の中で法定雇用率を達成していくような取組にしていくことを担保しています。そういった意味では、別途その計画自体が達成できないときに、先ほども申し上げましたように企業名公表に向けての一般事業主に対するアプローチを踏まえて、同じような形で指導した上で、最終的に認定取消しということになれば、認定取り消し後は個別の事業所として雇用率の達成義務が課されるということになるものです。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 すみません、何度も、長谷川です。それで組合の中で法定雇用率がしっかり守られていて、例えば10事業所があって、2つぐらいはずっと計画は立てるものの0が続いているというような状況だとして、ずっとというのは例えば3年続いている。計画どおりに実施できていないとなったときに、全体としては法定雇用率は超えているのですが、そういう普通の単独で事業所として存在している場合には、場合によっては企業名の公表もあり得るというような状況になったときは、どうなるのですか。その2つの会社だけが、外に出るように言われるのですか。それとも特例自体の認定が取り消されるのですか。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。事業協同組合等算定特例においては、一体的な組織としてみなしていますので、その全体において雇用率を達成していることが求められています。そういった意味では、その中の特定事業主の雇用障害者数が0という状況がずっと続いても、この認定自体が取り消されない限りは、全体としての実雇用率換算をした上で法定雇用率ということをクリアしているかどうかという確認になります。
ただ一方で、先ほど来申し上げていますように、全体として通算してもなお法定雇用率を達成していない状況が繰り返されているという状況に対しては、今後は一般事業主に対するアプローチ等を踏まえて、一定期間しっかりと指導した上で、最終的に認定を取り消すという段取りもしっかりと仕組んでいきたいと考えています。以上です。
○山川分科会長 ありがとうございます。あと、私からの追加的なことかもしれませんが、計画の中で目標を設定して、特定事業主が例えばこの例でいうと1名採用する。しかし、それが実現できなかったという場合には、その計画を達成できない、そういう評価になるというようなことはよろしいのでしょうか。つまり計画どおりに、特定事業主の中での雇用が達成できない場合です。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長の小野寺です。計画全体の中で見ますので、その中の1事業主が仮に雇い入れを見込んでいた数を、計画期間内に達成できない場合、それだけをもってすぐに認定の取消しという段階に入るというのは、考えにくいかなと思いますが、いずれにしてもその次の計画において、その雇い入れが達成できるように、労働局としては今後しっかりと支援や指導をしていきたいと考えています。
○山川分科会長 ありがとうございました。つまり全体として、その計画が達成できないかという評価をする。それから認定取消しということまでの質問ではなかったのですが、行政指導はそういう場合にはしていくということ。
○小野寺障害者雇用対策課長 はい、そういうことです。
○山川分科会長 すみません、私も議論に関わっていろいろ質問したりしていますが、ほかに何かありませんか。ないようでしたら、先ほど申しましたように結論を年度内に出さなければいけないということがあります。かつ、必ずしも全員一致ということを厳格に考えるというような性質のものでもありませんので、先ほど申しましたように、大勢の御意見としては、この2ページの対応のような方向で、特段の異論はなかったが、種々御懸念が提起されたので、労働局の関わりとしては支援のみならず、チェックをして、問題があればいろいろ厳しい対応もしていく。そういうことでまとめさせていただいてもよろしいでしょうか。このようなまとめ方ということで、特に御異論がなければ、ただ、これからまた実例が1点しかないので、例をモニターするのは簡単なことですし、そんなに急激に増えないかもしれませんので、いろいろ実態を把握していただいて、またこの分科会の俎上で議論をしていただく機会もあり得る、そういうことは想定しておいてよろしいですか。
(異議なし)
○山川分科会長 ありがとうございます。では、そういうことでまとめさせていただければと思います。
すみません、議題(3)がまだありました。議題(3)について、事務局から説明をお願いいたします。
○小野寺障害者雇用対策課長 障害者雇用対策課長、小野寺です。議題(3)「その他」といたしましては、参考資料5で付けております「令和3年障害者雇用状況の集計結果」につきまして共有させていただきます。既に年末に発表しておりますので、お目通しいただいている委員の方も多いかと思いますが、改めて状況について説明させていただきます。
資料5、1ページ目にポイントが書いてありますが、今回、民間企業について、その報告時点におきましては法定雇用率2.3%ということでしたが、実雇用率2.20%と対前年度比0.05ポイント上昇しております。また、雇用障害者数は59万と、もう既に約60万近くになっております。対前年比でも3.4%増ということです。実雇用率については10年連続、雇用障害者数については18年連続で過去最高を更新したという状況です。
障害種別で見ますと、身体・知的・精神、全ての障害種別において前年と比較して増加をしております。特に、精神障害者の伸びが大きくなっていることが特徴です。
法定雇用率の達成企業数、5万306企業ということで対前年比0.7%増と増加する一方で、雇用率引上げがありましたので、未達成企業数も増加をしています。法定雇用率達成企業割合については、対前年比で1.6ポイント低下ということで47%となっております。
次のページに、企業規模別の状況が載っております。実雇用率は全ての企業規模において上昇しており、特に1,000人以上の規模において2.42%ということで、法定雇用率を実雇用率が上回っております。一方で、達成企業の割合は全ての企業規模で低下しております。これは、法定雇用率の引上げがあったという状況の影響があろうかと思いますが、企業規模が大きくなるにつれて、達成企業割合の低下する割合が大きくなっております。また、今回から雇用率を引き上げましたので、新たに報告対象となった43.5人から45.5人未満規模におきまして、実雇用率達成企業割合とも低い水準になっている状況です。
それから、資料の2ページ目、国等の状況です。国の機関につきましては全てが達成をしているということと、都道府県、市町村、それから都道府県等の教育委員会におきましても達成割合は上昇しているということで、それぞれの機関において、少しずつではありますが雇用が進んでいるという状況にあります。報告は以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。それでは、議題(3)、参考資料の5になりますけれども、こちらの質疑応答に移りたいと思います。御質問、御意見等がありましたら、先ほどと同様の方法で挙手をお願いいたします。東矢委員、お願いいたします。
○東矢委員 労働者代表の東矢です。私からは、参考資料「令和3年障害者雇用状況集計結果」ついて発言をさせていただきます。昨年6月時点の障害者雇用状況に関しまして実雇用率は上昇する一方で、法定雇用率の達成企業は若干減少しております。これは2021年3月からの法定雇用率の引上げや、また、コロナ禍での雇用状況の悪化などが影響していると認識をしております。しかしながら、そうした状況下においても、ノーマライゼーションの理念に基づき、就労を希望する全ての者が障害の有無や種類・程度にかかわらず、合理的配慮を受けることで、安心して安定的に就労でき、地域の中でいきいきと暮らせる社会の実現を目指す。こうしたことを前提としつつ、障害者雇用ゼロ企業を可能な限り軽減させていくことが重要だと考えております。
今後も新型コロナウイルスの変異株の感染拡大などにより、予断を許さない状況が続くと想定されますが、今の状況を注視しつつ、引き続き、雇用の維持や就労にかかわる支援の充実を図っていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。私からは以上です。
○山川分科会長 ありがとうございました。ほかに、御質問、御意見等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。今の東矢委員の御意見、要望あるいは、激励といったことになるのかもしれませんけども、それを受け止めていただければと思います。ほかにないようでしたら、予定されていた議題は、これで終了となります。最後に何か、委員の皆様からありますか。よろしいでしょうか。では、本日の障害者雇用分科会はこれで終了させていただきたいと思います。事務局から連絡事項がありましたら、お願いいたします。
○小林障害者雇用対策課課長補佐 障害者雇用対策課課長補佐の小林です。次回の日程につきましては、2月下旬の開催を予定しております。詳細はまた、追って事務局より御連絡をさせていただきます。以上です。
○山川分科会長 それでは、本日も大変充実した御議論いただきましてありがとうございました。これで終了いたします。お疲れさまでした。