第3回小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和4年3月11日(金) 11:00~13:00

議事

議事内容
○岩佐がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第3回「小児・AYA世代のがん患者等に対する妊孕性温存療法に関する検討会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課がん対策推進官の岩佐と申します。よろしくお願いいたします。
本検討会におきましては、YouTubeにおいて配信を行っておりますので、御承知おきいただければと思います。また、会議の最中はビデオのほうをオンにしていただいて、御発言がある際には挙手ボタン、もしくは挙手をしていただきまして、座長のほうから指名がありましたら御発言をいただければと思います。
構成員の出欠状況でございますが、本日、大須賀構成員、中澤構成員、森本構成員から欠席の御連絡をいただいているところでございます。検討会の構成員15名に対しまして、現在出席者は12名ということで、議事運営に必要な過半数8名に達していることを御報告申し上げます。
また、新任の構成員につきまして御紹介をさせていただきます。公益社団法人日本看護協会常任理事の森内みね子構成員でございます。
森内構成員、一言御挨拶を頂戴できればと思います。
○森内構成員 日本看護協会常任理事の森内でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○岩佐がん対策推進官 事務局は、私に加えまして、がん・疾病対策課長の中谷、課長補佐の成田で務めさせていただきます。
続きまして、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載してございますが、議事次第、資料1から3及び参考資料1、2がございますので、お手元に御確認いただければと思います。
事務局からは以上でございますので、以降の進行につきまして吉村座長にお願いいたします。
○吉村座長 ただいま御紹介にあずかりました吉村でございます。
今日のテーマでございますけれども、皆様よく御存じのように、4月から不妊治療の保険適用によりまして特定不妊治療費助成事業が中止になります。それに伴いまして、妊孕性温存後の生殖補助医療についての検討であるということを御承知おきいただきたいと思います。
それでは、まず事務局より資料1「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業について」の御説明をお願いいたします。
○成田課長補佐 事務局でございます。
では、お手元の資料1「小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業について」に沿って説明させていただきます。こちらは現行の研究促進事業の概要を示したものでございますので、特段新しい内容はほとんどございません。
次のスライドをお願いします。
まず、背景として、妊孕性温存療法は、高額な自費診療であるため、特に若年のがん患者等にとっては経済的な負担となっておりました。その一方で、未受精卵子凍結や卵巣組織凍結については、近年開始された治療であり、実際に妊娠に至ったかという有効性等のエビデンスがさらに求められておりました。また、経済的支援については、独自に助成を行う自治体が増えてきていたものの、全国共通の課題であって、国による支援が求められておりました。そういった背景があり、今年度から事業が開始となっておりますが、事業の概要としては、患者さんの費用負担の軽減を図りつつ、患者さんから臨床情報等を収集することで、妊孕性温存療法の有効性等のエビデンス創出といった研究を促進する事業となっております。
次をお願いします。
事業実施要件の1つ目ですけれども、事業の対象とする妊孕性温存療法としては、胚(受精卵)凍結、未受精卵子凍結、卵巣組織凍結、精子凍結、精巣内精子採取術による精子凍結の5種類となっております。
2つ目、対象者の要件としましては、年齢については、上限は男女共に43歳未満、年齢下限は制限なしとなっております。
対象疾患対象治療としては、日本癌治療学会の診療ガイドラインにおいて妊孕性低下リスク分類の高・中間・低リスクの治療が1つ目です。2つ目として、ガイドラインには規定されていないものですが、乳がん患者のホルモン療法のような長期間の治療によって卵巣予備能の低下が想定されるがん疾患も対象としております。また、悪性腫瘍以外として、例えば再生不良性貧血など造血幹細胞移植が行われるような疾患、あるいは重症の全身性エリテマトーデスなどでアルキル化剤が投与される方も対象としております。
対象者の選定方法としては、がんなどの原疾患を対象とする医師と生殖医療を専門とする医師の両者で医学的適用について検討が行われることを要件としております。
次をお願いします。
実施医療機関の要件として、まず都道府県ごとにがん・生殖医療ネットワークが構築されていることを要件としております。これは妊孕性温存療法を希望する患者さんに対して速やかに原疾患の医療機関から妊孕性温存療法を実施する医療機関に連携するための事前の連携体制の構築を求めるものです。
また、妊孕性温存療法を実施する医療機関に対しては、日本産科婦人科学会または日本泌尿器科学会の指定を受けているという学会の認定と、かつ都道府県の認定した医療機関であることを要件としております。
次をお願いします。
研究に関する要件として、収集する臨床情報等の項目は、事業参加時点においては、原疾患の診断・治療に関する項目と、妊孕性温存療法に関する項目を含んでいることとしました。フォローアップ時点においては、原疾患の転帰、妊娠・出産に関する項目、保存検体の保管状況等の項目を含んでいることとしております。フォローアップについては定期的、すなわち年に1回以上は情報を収集することとしております。また、これらの情報については、日本がん・生殖医療登録システム(JOFR)に入力することとしております。
助成については、制度の趣旨を踏まえ、所得制限は設けておりません。
各治療ごとの助成上限額については、こちらの表にお示しするとおりです。また、助成回数としては2回までとしております。
次をお願いします。
国は普及啓発資材の開発等を行い、都道府県はがん治療等を実施する医療機関や住民に対して普及啓発を行うこととしております。また、国と都道府県は関係学会とも協力して、妊孕性温存療法や心理社会的ケアを担う人材のさらなる育成をすることとしております。事業の全体像としてはこちらの図でお示しするとおりでございます。
次をお願いします。
こちらは最後のスライドで、事業の実施状況についてです。見込みも含めますと、47都道府県全てにおいて事業開始となっております。ネットワーク体制の中に何らかの会議体を設置している都道府県については、47分の12となっております。
以上です。
○吉村座長 ありがとうございました。
それでは、資料1の内容につきまして、これは皆様方よく御存じだと思いますけれども、御質問、御意見のある構成員の方、お見えになりますか。馬上構成員、どうぞ。
○馬上構成員 馬上です。
最後のパワーポイントについてですが、47都道府県中、見込みも含めてということですけれども、こちらは事業開始をまだされていないところがあるということなのでしょうか。
○成田課長補佐 事務局でございます。
こちらは、一部の都道府県については現時点では事業が開始されていないのですけれども、令和4年度には開始の見込みという回答をいただいておりまして、ですので、来年度には見込みも含めると47都道府県全てで開始となると承知しております。
○吉村座長 よろしいでしょうか。
○馬上構成員 そうしますと、1年ラグがあるということで、そこの都道府県の方はこちらの事業について支援を受けられていないということですね。これは全国に向けた小児・AYAのがん患者のための事業ですので、なるだけ早くやっていただきたいなというのが意見です。
○吉村座長 分かりました。
そのほかにございますでしょうか。岸田構成員、どうぞ。
○岸田構成員 ありがとうございます。
そこに付随して確認なのですが、今、実施していない都道府県も来年から実施されて、遡って患者さんは今年の分の補助を受けられるという認識で合っていますでしょうか。全国的にはもうスタートしていると思いますので。
○吉村座長 いかがでしょうか。
○岩佐がん対策推進官 事務局でございます。
まず、それぞれの都道府県において事業の実施ということをしていただいているところでございまして、私たち厚生労働省としてはできる限り早い段階で全ての自治体においてということをお願いしてきたところでございます。ただ、現実問題としましては、各都道府県の状況、コロナ対策等々を含めた他の業務の優先状況などにより若干差はあるというところではありますけれども、ただ、令和4年度、最初の段階からは少なくとも全ての都道府県で一定程度事業が始められるのではないかという見込みをいただいているというのが現状でございます。
その上で、各都道府県においてどこまでをその対象にするのか。国の事業の中では一定程度遡っての実施日ということも可能とはしているところでございますけれども、その辺りは都道府県の事業の内容によって差が生じ得るかなと考えております。
いずれにしましても、当該事業につきましては、事業の主体が都道府県という形にしておりますので、事業開始当初についてはどうしてもこういったずれが生じてくるというところでございます。ですので、我々としては引き続きしっかりと各都道府県において事業を実施していただくようお願いをしていきたいと思っております。
○吉村座長 よろしいでしょうか。主体は都道府県であるということですので、今の御説明でよろしいかと思いますが。
○岸田構成員 ということは、3年でスタートしている県と4年でスタートしている県で患者さんによっては受けられている、受けられていないということがあるという認識で合っていますでしょうか。そういうことですね。
○岩佐がん対策推進官 はい。これは国が事業を始める前から実施されていた都道府県もございます。ですので、そういった状況であるということについてはそのとおりでございます。ただ、逆に言いますと、国として事業を開始して、1年という時間はかかりましたが、見込みも含めて全ての自治体が事業を開始できる状況になっているというのは、まさにこの事業を開始したことの意議ではあると考えております。
○吉村座長 岸田構成員、どうぞ。
○岸田構成員 患者としてはこれを全国で早急に進めてほしいと思いますので、そういったところをまた厚生労働省を含め、都道府県に推進していただくようお願い申し上げます。
最後に1つだけ。ネットワークの会議体の設置、12とここに書かれていますが、これは今後増えていく、47になっていく見込みであるのか、それともこのままという形であるのか。患者としたらこういうネットワーク体制の会議に関しては、自分の病院で治療を受けて、妊孕性温存は別の場所でという患者さんも多くいらっしゃるので、こういった会議とかネットワーク、そういったところの充実が必要かなと思うのですが、こちらの見込みはいかがなのでしょうか。
○岩佐がん対策推進官 ネットワークにつきましては、事業の開始にあたってネットワークそのものの構築が必須となっておりますので、これはあくまでもその中に独自の会議体を設けているのかどうかということになってございます。ネットワークの充実ということは、委員がおっしゃられたとおりだと考えておりまして、そういったことも踏まえて、今回、この後の資料3のところで少し御議論もいただければなと思っております。いずれにしましても、これはその会議体があるかどうかということで一応確認はしましたけれども、それを全てに求めていくことが必要なのかどうかということも含めてまた御意見をいただき、ただ、ネットワーク自体は充実を図っていきたいと思っております。
○岸田構成員 承知しました。ありがとうございました。
○吉村座長 そのほかはよろしいでしょうか。
それでは、議題の1つ目「保存後生殖補助医療にかかる助成について」に移ります。まず初めに、事務局から資料2を御説明いただきたいと思います。
○成田課長補佐 それでは、資料2「保存後生殖補助医療にかかる支援について」に沿って説明させていただきます。
次をお願いします。
まず、課題として記載しておりますけれども、これまでがん患者さん等で妊孕性温存療法、つまり、卵子・精子等の凍結保存を行った方がその後に妊娠を希望する際に、凍結保存した検体を用いた生殖補助医療を行う場合には、特定不妊治療費助成事業の活用が可能でございました。令和4年度から不妊治療が保険適用になることに伴い同事業は廃止される予定となっておりますが、その一方で、保険適用の範囲については、採卵時において不妊症であることが要件とされる予定でありますため、保存後生殖補助医療は多くの場合で保険適用の対象外となる見込みでございます。そのため、科学的知見の確実な集積や保存後生殖補助医療への支援について検討する必要があると考えられます。
対応案としまして、小児・AYA世代のがん患者等で妊孕性温存療法を希望する方に対する保存後生殖補助医療につきましても、本事業の対象に追加してはどうかとしております。
採卵・採精時のみならず保存後生殖補助医療の段階においても費用負担の軽減を図りつつ、出産までの長期にわたる臨床データ等を確実に収集することで、より精緻な有効性・安全性のエビデンスの創出が期待できると考えております。
次をお願いします。
こちらはがん患者等の妊孕性温存療法の助成事業について、令和2年度までと令和3年度と令和4年度以降についてまとめたものでございます。先ほど申し上げましたように、令和4年度以降は特定不妊治療費助成事業が廃止となることもあり、保存後生殖補助医療の部分の助成について、小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業、本事業への追加をしてはどうかと考えております。
次をお願いします。
こちらは確認となりますが、令和3年度、つまり今年度については、卵子・精子等の凍結保存は妊孕性温存療法研究促進事業で助成、保存後生殖補助医療については特定不妊治療費助成事業で助成という形となっております。
次をお願いします。
こちらは事業の見直し後のイメージです。卵子・精子等の凍結保存に加えて、保存後生殖補助医療についても妊孕性温存療法研究促進事業で助成を行ってはどうかと考えております。
次をお願いします。
こちらのスライドで治療ごとの助成条件額を示しております。表1は凍結保存の部分でございまして、現在既に助成対象となっているものでございます。表2は今回新たに助成対象とすることを検討している保存後生殖補助医療でございまして、それぞれ助成上限額を案として記載しております。
次をお願いします。
ここから以降は、事業の改正に当たって検討が必要な事項を1から4まで挙げております。このスライド以降が本検討会において検討いただきたい事項となっております。
次をお願いします。
まず、事業の対象とする保存後生殖補助医療についてです。現在実施されている療法のうち、これまでに一定程度の実績がある保存後生殖補助医療を当該事業の対象とすることが適当であると考えます。点線で囲っております中の①から⑤で凍結された検体を用いて妊娠・出産に至った臨床実績が一定程度あると認識しておりますので、事業の対象とする保存後生殖補助医療としては、1番の胚凍結、2番の未受精卵子凍結、3番の卵巣組織凍結、4番の精子凍結、5番の精巣内精子採取術による精子凍結によって凍結された検体を用いた生殖補助医療としてはどうかとしております。
次をお願いします。
対象者の要件についてです。事業の対象とする方の年齢上限についてですが、高年齢での妊娠・出産に伴うリスク、患者さんへ希望を与えるという政策目的、特定不妊治療費助成事業や保険適用における対象者の範囲との整合性等に留意する必要がございます。また、原疾患治療後の実際の妊孕性評価に応じて対象者を設定することが必要と考えられまして、また、対象者の選定に当たっては、保存後生殖補助医療が対象者の健康状態に与える影響等についても考慮する必要がございます。さらに、保存後生殖補助医療について十分な情報提供が行われた上で、患者さんが自己決定することも必要でございます。
対応方針として、対象者の範囲は、保存後生殖補助医療の治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦としてはどうかとしております。また、本事業の対象となる妊孕性温存療法を受けた夫婦であって、保存後生殖補助医療以外の治療法によっては妊娠の見込みがない、または極めて少ないと医師に診断された者を対象としてはどうか。生殖補助医療を専門とする医師及び原疾患担当医師によって、保存後生殖補助医療に伴う影響について評価を行い、生命予後に与える影響が許容されると認められる者を対象としてはどうか。さらに、本人による書面同意を要件としてはどうかとしております。
次をお願いします。
実施医療機関の要件についてです。卵子・精子等の凍結保存後に対象者が転居する等の可能性もありますので、保存後生殖補助医療のみを担当するような医療機関の指定を行う必要がございます。また、通常の生殖補助医療とは異なる医学的な留意点を有する治療を適切に行える必要がございます。患者への情報提供・相談支援・精神心理的支援を行うことが求められ、さらに定期的に患者のフォローアップを行い、臨床情報を収集することが求められます。
対応方針として、日本産科婦人科学会が指定した保存後生殖補助医療実施施設であって、かつ都道府県が指定した医療機関で実施された治療を事業の対象としてはどうか。保存後生殖補助医療実施施設は、定期的(年1回以上)に患者のフォローアップを行い、自然妊娠を含む妊娠・出産・検体保存状況及び原疾患の転帰等の情報を日本がん・生殖医療登録システムへ入力することとしてはどうか。原疾患の治療実施医療機関と連携して、患者への情報提供・相談支援・精神心理的支援を行うこととしてはどうかとしております。
次をお願いします。
所得制限等についてです。保存後生殖補助医療にかかる助成に当たっては、所得制限の在り方や助成対象となる費用の考え方について検討する必要がございます。
対応方針として、卵子・精子等の凍結保存にかかる助成、従来の助成と同様に、制度の趣旨を踏まえ、所得制限は設けないこととしてはどうか。助成対象となる費用については、保存後生殖補助医療に要した医療保険適用外費用の額を上限としてはどうかとしております。
次をお願いします。
助成回数についてです。保存後生殖補助医療については、1名の患者さんに対して複数回行われる場合がございまして、また、対象者への身体的リスクや成功率を考慮して、助成回数のルールが必要であって、また、特定不妊治療費助成事業や保険適用におけるルールとの整合性にも留意する必要がございます。
対応方針として、助成回数について、初めて保存後生殖補助医療の助成を受けた際の治療期間の初日における妻の年齢が40歳未満である場合には通算6回、40歳以上であるときには通算3回までとしてはどうかとしております。ただし、助成を受けた後、出産した場合や妊娠12週以降に死産に至った場合については、これまで受けた助成回数をリセットすることとするとしております。
以上です。
○吉村座長 ありがとうございました。
それでは、資料2に沿って議論を進めていきたいと思います。まず、資料2の8ページを開けていただきたいと思います。この事業の対象とする保存後生殖補助医療は1から5ということで、この点についてはよろしいですか。これは問題がないと思いますが。
(首肯する構成員あり)
○吉村座長 それでは、9ページ目を開けていただきたいのですが、対象者の要件ということですが、妻の年齢が43歳未満ということと、見込みがないということ、そういった人を対象とするとしておりますが、この点について御意見がある方はお見えになりますでしょうか。村上構成員、お願いいたします。
○村上構成員 ありがとうございます。
まず、この年齢なのですけれども、現行の特定不妊治療費助成制度を踏まえてこの年齢になったということは理解できるのですが、この研究促進事業のほうで入り口が43歳未満となっていて、出口も同じ43歳未満というのは、制度として整合性が取れないような気がいたしますし、この対象者の方々は恐らく卵子・卵巣というのを凍結する年齢がもっとお若い方なので、現行の特定不妊治療費助成で行われている、今、受精卵を凍結して治療に行くという方に比べると成功率は高いと思われるので、この年齢を43歳未満で規定するのは少し若過ぎるのではないかなと思います。
以上です。
○吉村座長 まず、年齢のことが1つ議題に上がりました。
御舩構成員、お願いします。
○御舩構成員 ありがとうございます。御舩です。
私も年齢の引上げを御検討いただければなと思っております。がん患者の場合は、妊孕性を温存した後にがん治療が必要となりますし、乳がんの場合は長期の治療が必要で、治療を終えると40代、43歳を超えてしまうということも少なくないと思っています。それでも子供を授かりたいという希望を思って治療を続けている患者もいらっしゃいますので、医学的なリスク等に留意する必要もあるかと思いますが、ぜひその方たちを救っていただけるような年齢制限を考えていただけたらなと思っています。
以上です。
○吉村座長 ありがとうございました。
そのほか。それでは、馬上構成員、お願いします。
○馬上構成員 馬上です。ありがとうございます。
確認ですけれども、本事業の対象となる妊孕性温存療法を受けた夫婦であってというこちらの要件は、令和3年度から始まった事業に参加している夫婦ということでよろしいでしょうか。それ以前に自由診療などで温存されている方は対象にならないということでしょうか。
○吉村座長 それでは、岩佐がん対策推進官、お願いします。
○岩佐がん対策推進官 そこの辺りについては少し御議論いただきたい点でもありますが、これまでにももちろん各都道府県の事業等によってそういった対象の方がいらっしゃると思っております。そういった方々も対象とした上で、きちんとそのデータを取ることができるのかどうかという点について、一応鈴木構成員にもその辺りを確認させていただければと思います。
○吉村座長 鈴木構成員、いかがでしょうか。
○鈴木構成員 この国の研究促進事業が開始する前に、二十幾つの自治体でこの対象患者さんに対する温存の公的助成がなされているということを検討してきたわけです。その点を考慮しますと、その前から既に凍結保存をしていた患者さんに対しても、今回の新しいこの研究促進事業対象となる。この事業はエビデンス創出、がん側と生殖側の安全性と有効性を検証するという研究促進事業というたてつけから言えば、その点を考慮するべきではないかと考えております。
以上です。
○吉村座長 いかがでしょうか。まず、年齢のことは難しいことがあると思います。皆さん御意見があると思いますので。今の点についてはいかがですか。
○岩佐がん対策推進官 現時点での書き方、「本事業の対象となる」という形で書いているところは、本事業の対象となり得るような治療として過去のものも含めてというふうな形で考えられればと思っております。ただ、一方で、特に疾患等がなく、今はまだ様々な状況によって妊娠を希望しないのだけれども、将来のために卵子を保存しておくといったケースもあるのかなと思っておりますが、ただ、そういったケースはこの事業の目的とは異なると考えておりますので、基本的にはこれまでに治療を受けた方であっても、この事業が対象とするような要件に合致しているということや、あとはJOFRに登録をしているなどの要件を満たしていること自体は必要なのではないかと思っております。
○吉村座長 では、この点について、鈴木構成員、もう一度お願いします。
○鈴木構成員 今、岩佐さんのおっしゃるとおりでありまして、日本産科婦人科学会の倫理委員会でこの研究促進事業に参加する施設認定をかなり厳しく行っております。ですので、本事業の対象となるような妊孕性温存療法を受けた患者さんが、新しい保存後生殖補助医療のこの研究促進事業にさらに追加される場合においても、その施設認定の中でがん治療の先生方と密に連携が取れている施設において行うといったところはしっかり行って、続けていきたいと思っています。
以上です。
○吉村座長 そのように日本産科婦人科学会あるいは泌尿器科学会で認定された施設ということが要件になると。
市川構成員、どうぞ。
○市川構成員 千葉大学の市川智彦でございます。
精子の凍結について確認をさせていただきます。精子については比較的容易に凍結保存ができますので、5年、10年、それ以上前に凍結を済ませて保存をされている方もいらっしゃると思います。実際にその場合にはこの事業に参加していないような施設で凍結保存されているような場合もございまして、ただ、結婚して子供をもうけたいという場合には、令和4年度以降には補助が厳密にはないということになってしまうのですが、そういった方たちをこの新しい事業の中ですくい上げるということはできるのでしょうか。
○吉村座長 この点について、いかがでしょうか。
○岩佐がん対策推進官 現段階で私たちのほうとしましては、そこの辺り、どういった方をその対象にするのがこの事業として適切なのかということをしっかり考える必要性があると思っております。がん等の治療によって妊孕性が低下する方々に対するこの治療の有効性・安全性というものをエビデンスとして出していく。そのためのそれぞれの自己負担の軽減を図るという観点。両面でやっているというところでございますので、一定程度管理された状況の中でなされているということや、エビデンス、データが取れるということは必要なのではないかと考えているところです。ですので、そういった意味でJOFRへの登録がなされているとか、特定の施設で実施されているということが必要ではないかと考えているところですが、いかがでしょうか。
○吉村座長 ありがとうございました。
日本産科婦人科学会あるいは日本生殖医学会が認定する施設であって、JOFRに登録している施設であれば、以前に凍結した精子であっても可能であるという御意見でよろしいかと思いますけれども、いかがでしょうか。
市川先生、まだ何かありますか。
○市川構成員 確認でございます。精子の凍結の場合には、この事業でそもそも入っていないで凍結してある可能性。あと、泌尿器科学会におきましても、今後二十数施設において凍結保存をしているということ、認定施設を近々行うことになっているわけでございますが、その施設が全てJOFRに登録していただければもちろんいいわけでございますが、それがされない、あるいはそもそもそういったことを予定していない施設の凍結精子がこの事業でされる場合に、こうやってはいかがという一つの提案でもあるのですけれども、泌尿器科だけでこういった生殖補助医療をできるわけではございませんので、婦人科を紹介すると。その婦人科のクリニックがこの助成事業に登録されていれば、そこで何年に凍結された精子であるとか、その患者さんの背景を入力していただければその辺のデータを取れますので、そういったところを広く認めていただけると、先ほど申し上げたような、何年も前に精子を凍結された方もすくい上げられるかなと思っております。
以上、提案も含めて意見でございます。
○吉村座長 それは可能ではないかと思います。要するに、産婦人科の医療機関が登録をしていれば大丈夫だということだと。市川構成員、そういうことでよろしいですね。
○市川構成員 はい。
○吉村座長 では、初めから手を挙げておられる岸田構成員、お願いいたします。
○岸田構成員 ありがとうございます。
恐らく松本構成員から小児の話はあると思うのですけれども、僕自身も実は10年前に凍結保存をしていて、今、まさに凍結したものを活用しています。で、使うまでに10年ぐらいは普通にかかってしまうなというのが僕の個人の経験であります。
かつ、例えば今、18歳の子が保存して、三十数歳で結婚されてから使われるということになれば、10年以上かかっていくということも往々にしてあると思うので、医学的にエビデンスが取れる限りで年齢はできるだけ広げてほしいなというのがこちらからのお願いになります。
以上です。
○吉村座長 松本構成員、いかがでしょうか。
○松本構成員 ありがとうございます。
今、岸田構成員のほうからもお話があったと思うのですが、小児がんというのは若く発症して、実際妊孕性の年齢になるまでが非常に長いのです。岸田委員は先ほど10年とおっしゃっていましたけれども、10年どころか、20年、30年という方もいらっしゃいます。そして、20年、30年前に保存していたという人もあるのです。JOFRという仕組みができる前に保存していた人もかなりの数いらっしゃるのではないかなと思いますので、間口は非常に広げていただくということを私としても要求したいと思います。
以上です。
○吉村座長 精子を使って生殖補助医療を行うのは産婦人科の医療機関ということになりますので、実施する施設は厳密に登録していただいて、カウンセリングもできるような体制で行うということでよろしいかと思いますが、それでよろしいですか。
今、年齢、43歳未満ということについていろんな方から御意見が出ていますが、この点について話したいと思います。それ以外で何か問題点があるという方はお見えになりますか。
では、助成の43歳未満ということで、皆さんと検討したいと思います。ほかに御意見のある方はお見えになりますでしょうか。村上構成員と御舩構成員からお話を伺ったのですが、そのほかに御意見はございますでしょうか。馬上構成員、どうぞ。
○馬上構成員 素人なので教えていただきたいのですが、私の印象では生殖医療は物すごく進歩が早いという印象なのですけれども、小児がんの子供たちは、20年、30年後になって、そのときに年齢制限が変わっていくという可能性はあるのでしょうか。43歳ということが今、言われているのですが、そこのところについて。
○吉村座長 この点につきましては、要するに、女性の年齢が40歳を超えますと採卵した卵というのは、10組に1組ぐらいしか妊娠できません。医療が進歩した現在でもそうです。45歳になりますと、100組に1組ぐらいしかできません。
ただ、今回の場合は採卵したときが年齢がもっと若いことが想定されるわけです。例えば38歳で採卵をして5年間程の後療法をやった場合には、凍結した卵子を使用するのが44歳になることだってあるわけです。しかし、採った卵は38歳だということになりますと、妊孕性はある程度良好な成績が得られるということが可能であるということで、村上構成員や御舩構成員から御意見があったのではないかと認識をしています。
このほか、43歳の年齢について何か御意見がある方はお見えになりますでしょうか。
清水構成員は乳がんの患者などを扱っておられますが、いかがですか。
○清水構成員 ありがとうございます。国際医療センターの清水でございます。
私は、乳がんの患者さん、若い方に接することが多いのですけれども、やはり40歳を超えてから妊娠・出産ということを考えて凍結に臨む患者さんがいらっしゃるということは確かでございます。乳がんの術後の補助治療というのは非常に長いものでありまして、先ほども御説明がありましたように、ホルモン療法などですと、5年、10年というのが標準的な治療期間になっております。5年、10年というのも、患者さんのリスクに応じてどれくらいの期間をやるのかというのは、個別の患者さんとの御相談の中で決めていくことなのですけれども、最低でも5年はやりたいという方が多く、年齢の上限をどこに設定するのかというのはなかなか難しいところでありますが、私個人としても、高齢であっても産みたいという患者さんの希望があり、そこでどれぐらいのエビデンスがつくれるのかというのが恐らくこの研究事業の目的でもあると思いますので、年齢に関しては上げていただきたいなと思うところです。
一方で、これは私も素人なので分からないところですが、何歳までこういった妊娠・出産が安全にできるのかということに関して、産科的な立場などからその上限を決めることができるのかどうか。その辺り、生殖医療の立場の先生からお話を伺いたいなと思います。
○吉村座長 その点につきましては、高齢で妊娠されますと、当然のことながら高齢妊娠のリスクということを考えていかなくてはいけません。例えば何歳以上であったら高齢であって危険であるとかといったことを決めることはなかなか難しい。これまでのいろいろな会議体でも「生殖年齢を超えない」というような言い方をしています。年齢を正確に何歳というふうに決めてこなかったと思います。
特定不妊治療費助成で「43歳」になったというのは、私が座長のときに決めたのですれども、これは皆さんからお叱りも受けましたし、御批判も受けました。しかし、それまでの特定不妊治療費助成制度のデータをみてみますと、40歳を超えると極めて妊娠率が低くなり、8割から9割の方は40歳未満で妊娠されていました。回数についても従来は10回であったのですが、これを6回までにしたというのは、6回以上で妊娠した方がほとんどお見えにならなかったこと、こういったエビデンスを基に、43歳、あるいは6回、3回というのを決めてきたといった経緯がございます。
あと、鈴木構成員から何かございますでしょうか。
○鈴木構成員 ありがとうございます。
この研究促進事業の目的は2つだと思うのですが、経済的負担の軽減を図るということと、臨床データ等を患者さんから収集して妊孕性温存療法の有効性・安全性のエビデンスを創出するということであったかと思います。今、議論になっています上限年齢というのは、いつ戻すか、いつ保存した検体を用いて生殖補助医療を行うかという観点だと思うのですが、43歳未満であるときの懸念は2つあるかと思うのです。1つは、今、申し上げたとおりに、エビデンスの創出ができなくなる可能性が高いということであります。臨床の現場においても、清水先生も経験があると思うのですが、42~43歳ぐらいの乳がんの方で受精卵凍結をして、それを47歳ぐらいで移植して妊娠・出産に至る方が決していないわけではないということも考えますと、その点のエビデンスの創出がなされなくなってしまう点が懸念。
もう一つは、がん治療の立場からしてあってほしくはないのですが、研究促進事業の年齢が43歳ということは、例えば40歳の方が5年間あるいは3年間治療をしなければいけない中で妊娠をトライしたい、国の研究促進事業で検体保存したものを使うことを、がん治療を優先としなければいけない中で、それを早めに使うということになった場合、逆の意味でのよくない事象、例えば再発をするとか、あってはいけないことが起きてしまうといった懸念があるかと思います。
以上です。
○吉村座長 ありがとうございます。
清水構成員、手を挙げておられましたが、何か。
○清水構成員 ありがとうございます。
最初のほうでお話があったと思うのですけれども、特定不妊の方と、がんの患者さんで妊孕性温存をする方というのは、もともとの妊孕性に関するバックグラウンドが違うのではないかという気がしていて、もともと不妊である方も中には含まれるかもしれないのですが、妊孕性温存をする方にはもともと不妊ででない方も含まれているということを考えると、そこと制限年齢を完全に一致させる必要があるのかなと思うところではあります。
あと、生殖年齢の上限は、かなり個体差もあるということで、年齢で区切るのが難しいということなのだとすると、これは妊孕性温存のときもそうなのですけれども、意思決定のプロセスの中で、どれくらいの成功率が見込まれるのかとか、どれくらいの合併症があるのかとか、そういうことをきちんと話し合うプロセスが担保されることのほうが、年齢の上限を決めてしまうことよりも大事なのではないかなと思いました。まとめますと、私自身はもしかしたら年齢制限を設けないという考え方もあるのかなと思いました。あるいは絶対難しいだろうというところまで制限年齢を引き上げる考えもあるのではないかということを思いました。
○吉村座長 おっしゃるように、特定不妊治療費助成とこの事業とはちょっと違ったものであるということだけは事実だと思います。
それから、採卵した時期がもう少し若い時期でありますので、43歳と同じような年齢で切っていいのかどうかということは、清水構成員がおっしゃるように問題かもしれません。
この点について、そのほかに御意見のある方はお見えになりますか。大体その辺で意見集約されていますでしょうか。中島構成員、どうぞ。
○中島構成員 ありがとうございます。京都大学の中島でございます。
先ほど清水先生、鈴木先生がおっしゃられたことにまさに同意で、本事業が研究事業であると。そしてまた有効なエビデンスを出していかなければいけないということを十分理解した上での発言ですけれども、特定不妊治療とそのバックグラウンドが異なる患者さんに御参加いただく事業であるということを考えると、御参加いただく一人一人の患者さんの治療とその後の妊娠・出産に関するタイミングというのは全く異なってくると思います。この事業に年齢制限があることによって、治療が終わって、その後妊娠・出産を希望するがために、そのタイミングを焦ってトライしなければいけないという思いをする患者さんが一定の割合でいるということが予測されるとなると、やはりそれはあまりよろしくないかなと思います。
私も清水先生がおっしゃったように年齢制限、上限は設けない形で、もちろんしっかりとしたインフォームド・コンセントが産婦人科、泌尿器科、そしてがん治療医の間で患者さんに提供されるということを前提に、制限を設けないというのもありなのかなと思っております。
○吉村座長 しかし何らかの制限は設けないといけないと思います。産婦人科医として50歳以上の妊娠は好ましくないと思うのです。これは母体にとって大きなリスクとなりますので、ある程度の年齢制限は必要だと思うのです。事務局の御意見をちょっとお伺いしたいと思います。
○岩佐がん対策推進官 厚生労働省でございます。
この点につきましては、昨年、この事業を開始する際にも43歳という上限。そもそも特定不妊治療費助成事業の上限が43歳であるということで、その出口となるところの助成の上限が43歳であるのに、採卵し凍結をするところの上限が同じ43歳でいいのかということで、議論をしっかりとしたと認識してございます。その上で、状況によっては非常に短期間で妊娠まで持っていける場合もあり得るということも含めて、採卵時の上限を43歳未満という形でそろえたというところがございます。
そういった観点から申し上げますと、まず採卵から時間がかかるので同じ上限になっているのは不適切という議論は、これまでの考え方とは違ってくるのかなという点が1つございます。もう一つは、先ほど吉村先生のほうからも御発言があったと思いますが、高年齢での妊娠・出産、しかもがんをかつて患った方ということですので、そこには一定のリスクというものがあるのだと思っておりますので、上限を設けないということもなかなか難しいと考えてございます。
その上で、どこかに上限を設けるとした場合に、私たち行政の立場からすると、他の事業等々での助成の上限というものを参考に、また、それは一つ平等性ということも考えなくてはいけないというところでございます。一方で、そこもエビデンスとして取っていくべきだというところもあるという観点は、今、御意見をいただいたところだと思っています。その上で、これはこういう考え方もあるのかなということでの御提案ではございますが、特に医療費の助成をするとなると、そこはある意味行政として促進をしているというふうな立ち位置にもなってくるというところで、では、我々として43歳以上の妊娠を促進させることが適切であると言えるエビデンスが何かあるのかというと、そこもなかなか難しいのかなと思っております。
そういった観点では、例えばそれ以上の妊娠・出産についての助成ということはしないのだけれども、この事業の中でエビデンスの収集はしっかりやっていくと。そういったエビデンスを収集しながら、もちろんこれは他の国等々でのエビデンスも集めてということでいいとは思うのですが、例えば40歳までに採取した卵子であれば、45歳ぐらいまでであれば安全にできそうだということが分かれば、その段階で助成の対象に入れていくというやり方もあるのではないかと考えているところです。いかがでしょうか。
○吉村座長 行政の立場も分からないではないのですけれども、この案を見たときに、43歳で切るというのは少し問題ではないかと思いました。入り口も43歳で、出口も43歳というのは整合性が取れないと思ったのです。いずれにしても、何歳までにするということになりますと、支援事業で高齢妊娠を奨励しているのかというような行政の考え方もあるとは思います。これを43歳で切るということはなかなか難しいのではないかなと思いまして、私はここに「原則として」を入れるとか、43歳を超える場合には医師の意見書を求めるとか、そして許可をしていただくとか、そういうことがあってもいいのではないかということを考えています。
43歳以上は助成は全くしませんということよりも、余地を少し残したらいかがと思います。今ここで結論を出すことが難しいと思います。事務局としてのお考え方はいかがでしょうか。
○岩佐がん対策推進官 ありがとうございます。
私たちのほうとしましても、これは税金を使って支援をしていくというところですので、一定のエビデンス等々が必要なのかなと思っているところです。そういった今回の御指摘なども踏まえて、少し難しい課題ではあるので、もう少し継続しての検討課題という形にさせていただいて、来年度の事業については、まずは43歳未満という形で事業を開始させていただければと思ってございます。
○吉村座長 今、そういった事務局からの御説明でしたけれども、御意見のある方。森内さん、どうぞ。
○森内構成員 日本看護協会の森内でございます。
今までのお話を伺いまして、私自身もがん治療の長い経過の中で、妊娠をしたいという切実な思いの方たちを臨床の現場で多く見てきました。エビデンスの範疇の中で43歳未満というのをもう少し延ばせないかという思いでいます。今、事務局等々から御意見をいただきましたけれども、ぜひ御検討いただきたいなと思っているところです。よろしくお願いいたします。
○吉村座長 神村構成員、どうぞ。
○神村構成員 日本医師会の神村でございます。
私も43歳未満ということは明確に反対させていただきます。先ほど座長がおっしゃったように、例えば要件の中にどのように書き込むかということはまた別の問題といたしましても、はっきりしているのは、採卵をした時点、43歳という制限がございますが、そのときの卵子年齢、卵子の健康度と、それから凍結保存したものを実際に活用する、使うときの母体の年齢というのは分けて考えないといけない問題であると思っておりますので、それが同じ43歳というところは何としても、医学的にも納得できないやり方であると思います。
以上です。
○吉村座長 御舩構成員、どうぞ。
○御舩構成員 御舩です。
先ほど事務局の方からの話もありまして、私もその後いろいろ考えてはいましたが、私は今、43歳なのです。今、私だったら対象外になるのだろうなと思ったときに、費用の面でその選択肢が狭まってしまうというのはすごく悲しいことだと思っています。今、同世代で治療を終えたら子供を持ちたいという切実な思いで治療と向き合っている患者に支援の手を差し伸べるような選択をしていただけないかなと思っていますし、先ほど平等性という話がありましたけれども、そもそもがんを経験した方としていない方というのは、そのバックグラウンドも違うと思いますので、そういったところを含めて再度検討していただければなと思っています。
○吉村座長 岸田構成員、どうぞ。時間が大分過ぎていますので、手短に。
○岸田構成員 私も御舩構成員のおっしゃるとおりだと思っていますし、今回は研究をする。43歳、45歳がどうなのか、そこのエビデンスが出てくるというのは、この事業をやることで出てくると思いますので、海外のエビデンスが出てくるまで待つというよりも、やはり日本で率先してそういったところをやっていくべきだと考えております。
以上です。
○吉村座長 ありがとうございました。
大体意見は出尽くしたとは思うのですが、こういったことを踏まえてどのようにしていくかということについて、事務局から御説明をいただきたいと思います。構成員の方が納得していただかないと困るのですが。
○岩佐がん対策推進官 この点につきましては、今、まさに先生方からいろいろと御意見を頂戴いたしました。対象年齢の考え方、どう整理するのかということは重要なポイントかなと思いますので、一旦引き取らせていただいた上で、座長とも相談の上、まず令和4年度の事業対象をどうするのかということとしたいと思います。
それ以降のことにつきましては、また少しこの検討会の中でも議論をさせていただいた上で、もちろんその対象の拡大等々を含めて検討をさせていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○吉村座長 ありがとうございました。
まだいろいろ御意見はあると思いますけれども、私も構成員の皆さんの御意見はよく理解しているつもりですので、事務局ともお話をしながら決めさせていただきたいと思います。全く年齢制限をしないで実施するということになりますと、高齢妊娠、リスクを助長しているのかというような考え方もないわけではないと思うのです。ですから、若いうちに安全な分娩をしていただくためには、ある程度の年齢は必要かもしれません。この点は事務局と少し相談をさせていただいて、また先生方にはそういったことをお知らせするということにしたいと思いますが、その点でよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○吉村座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、10ページ目を見ていただきたいのですけれども、実施医療機関の要件に関しましては、これでよろしいでしょうか。松本構成員、どうぞ。
○松本構成員 1つ質問と2つ意見を述べさせていただきたいと思います。
1つ質問は、JOFRのシステムに入力することとなっておりますが、JOFRに入力するときの匿名化はどうなっているのか、あるいは顕名で行っているのかどうなのかということを質問したいと思います。匿名化で行った場合というのは、恐らく医療機関側が匿名化をするのか、学会が匿名化するのかということになると思うのですが、対象の患者さんが全国にいろいろ動いて、名前も変わってくると思うので、その辺りをどうするのかなというのが1つ質問です。
2つ意見ですが、そうであった場合に、このシステムのセキュリティーが非常に重要なことになってくると思うのですけれども、その辺りをどう考えているのかというのが問題の1つ。
もう一つ、レジストリというのは永続性がある程度求められると思うのですが、それに対する予算というものは大丈夫なのかとちょっと不安に思ったものですから。
以上、よろしくお願いします。
○吉村座長 分かりました。3つ御質問があったと思います。まず、匿名化についてはいかがでしょうか。鈴木構成員からお話をいただきます。
○鈴木構成員 私からお答え申し上げます。松本先生、匿名化になっております。実際には入力をする際の番号があるのですが、いわゆるマイナンバーみたいなJOFR番号があります。その番号を持って事務局は対応いたしますので、事務の登録を受ける側は、その患者さんがどなたかというのは全く分かりません。入力する際には生殖医療、妊孕性温存医療をする産婦人科または泌尿器科の先生がその登録番号を使って入力いたします。ですので、患者さんのひもづけは簡単にはできないようになっております。
ただ、昨年のこの会議でもありましたように、がんのアウトカムのためには、がんのデータとも突合させる、あるいは同様に昨年のこの会でありましたように、患者さんが参加できるアプリをつくりましたが、患者さんにもその同じ番号を持っていただき、アプリを使って患者さんの状況も確認していくといったことが一応JOFRのたてつけになっております。
ここまで大丈夫でしょうか。
○松本構成員 ありがとうございます。
そうなると、例えば患者さんが番号を忘れてしまったとか、あるいはよそに転居したときというのは、元の保存したところに立ち返らないと番号が分からないというシステムになっているということでしょうか。
○鈴木構成員 長期保管をする側、つまり、がん側でなく、生殖側で管理をします。その番号はずっと変わらず継続していきます。ただ、今回患者さんにFSリンクといったアプリに参加していただきますと、そちらでも年に1回更新する際、あるいは引っ越したとか、いろんな情報を患者さん側にも可能な限り入力していただくことになっています。少なくとも凍結保存更新が必要ですので、生殖側がそこを管理しますし、相手はがん患者さんですので、がん治療側との連携が必要であります。ですので、そこら辺のところは抜けがないように進んでいくたてつけになっております。
○吉村座長 セキュリティーの問題点についてはいかがでしょうか。
○鈴木構成員 セキュリティーに関しましては、システム開発を担当した会社がISO27001に対応した認証を取得していること、厳格な情報セキュリティーの基本方針を持っています。また、国内サーバに保管されているということ。患者さんの疾患情報は別のサーバで保管しているといったことを行っております。ですので、入力する医療者からは、先ほど申し上げましたようにそれは閲覧できず、患者さんの情報は分からないということになっています。一方、事務局においてもその管理をする体制は二重にも三重にもなされています。厳密には事務局のある事務所の入り口のセキュリティー、あとは事務所の入り口のセキュリティー、そしてコンピュータを管理するセキュリティーということで万全に体制を整えて進めております。
以上になります。
○吉村座長 あと、レジストリに対しての予算の問題点はどうですかという御質問があったと思いますけれども。
○鈴木構成員 これは私よりも厚生労働省でしょうか。
○岩佐がん対策推進官 そういったこともございますので、厚生労働省としましては、資料1の6ページ目のところでございますけれども、直接矢印では書いていないところですが、この患者レジストリをつくっておられます日本がん・生殖医療学会に対しまして委託の費用として予算を確保し、国としても担保をしているところでございます。
○吉村座長 だから、そういう意味で、現時点では国として患者レジストリに対して、JOFRに支援があるという御理解でよろしい。今のところは予算の心配はないということでよろしいかと思います。
○松本構成員 ありがとうございます。
やはり永続性が必要だと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
あと、データの利活用ということも考えていかないといけないのかなと思いますが、それは学会に限定されるものではないということも求められることかなと思いまして、意見をさせていただきます。
○吉村座長 その点について、鈴木構成員、どうぞ。
○鈴木構成員 JOFRに入力するために学会の入会は全く必要ないような状況にしております。現在は研究促進事業ですので、この上に厚労科研の研究班がおります。ぜひそこでこのデータをいろんな方が活用していただき、エビデンスの創出につながるような研究も進めていければと考えております。
以上でございます。
○吉村座長 この研究班では国民に対してもこういったデータを開示するということが使命としてありますので、研究班の役割の一つだというふうに御認識をいただきたいと思います。
それでは、10ページ目はよろしいでしょうか。御舩構成員、どうぞ。
○御舩構成員 御舩です。
1点、年1回以上のフォローアップに関してです。こちらは期限は設定されるのでしょうか。例えば生殖補助医療がうまくいかなかったり、子供を持つことを諦めざるを得ない方も出てくる中で、定期的なフォローアップが精神的につらいという方もいらっしゃるのではないかなと推測しますので、永続性とかももちろん大切だと思いますが、いつまで実施されるのか、また、そのフォローアップが事務的なものでなくて、患者の心に寄り添ったものであってほしいなと思いましたので、コメントをさせていただきます。
○吉村座長 鈴木先生、その点を考慮していただきたいと思います。
○鈴木構成員 御舩構成員がおっしゃるとおりでして、そういった点など、人材育成が急務だと思っています。がん側も生殖側も理解できて、長期にわたる保存での患者さんの心理社会的なケアができるような人材育成が急務だと考えております。そういった意味で、認定のがん・生殖医療ナビゲーター制度を今、厚労科研の研究班で急いで構築しているところであります。
以上です。
○吉村座長 それでは、11ページですが、所得制限は設けないことということで、そして保存後生殖補助医療に要した医療保険適用外費用の額を超えないと。これは問題がないように思うのですが、いかがでしょうか。よろしいですね。
(首肯する構成員あり)
○吉村座長 それから、12ページですが、これは40歳以上であるときは3回、未満である場合は6回ということ、それから流産とかそういったものに陥った場合はリセットされるということですね。
ちょっとお聞きしたいのですけれども、これは2人目のときも当然リセットされるということでよろしいのですね。特定不妊治療費助成ではそうなっていましたけれども。
○岩佐がん対策推進官 基本的にはそのように考えております。
○吉村座長 資料2については、年齢のことが一番大きな問題となりましたが、この点については検討課題とするということで、初年度は一応43歳未満で開始するということを御理解いただきたいと思います。今後もこの制度をよくしていかなくてはいけませんので、改良するということを念頭に置いてやっていきたいと思います。
特定不妊治療費助成は、皆さん御存じないかもしれませんけれども、制度が決まってから今まで十数回改良がなされているのです。患者さんからの御意見とか専門家の御意見を聞きながら制度を変えてきました。一旦決めればそのままで行くということではなくて、よりよい制度に持っていくということが大切なのではないかということで、御理解いただきたいと思います。
ありがとうございました。
時間も過ぎておりますので、議題2つ目の「ネットワークの要件について」に移りたいと思います。鈴木構成員から資料3の御説明をお願いしたいと思います。
○鈴木構成員 資料3を御覧ください。
その前に、資料1の4ページ目を1回読みたいと思います。この研究促進事業の実施医療機関の要件について、(1)は「がん等の治療と生殖医療の連携体制:都道府県でがん・生殖医療の連携ネットワーク体制が構築されていることを要件とする」とされています。それでは、がん・生殖医療の連携ネットワークというのは、地域による差がある中でどんなものかというのが資料3でございます。こちらは厚生労働省の科学研究班の中で岐阜大学の古井辰郎教授を中心として考えた案でございます。
資料3を説明していきたいと思っています。地域がん・生殖医療ネットワークの構成と機能に関する研究班の基本的な考えであります。あくまでも各自治体に参考にしていただく案でございます。
Iポツは「地域がん・生殖医療ネットワークの設置の目的」であります。この目的は、医療連携や情報連携の推進、患者さんに対する情報提供、意思決定支援体制の整備と質の向上を図るということであり、最終的に妊孕性温存を希望する患者さんが円滑に治療を受けられる体制を構築することが目的であります。
2番目の「設置概要(構成と運営)」に関しましては4つございます。簡単に申し上げますと、1番目はがん等の診療施設と妊孕性温存療法実施医療施設、産婦人科や泌尿器科、関連する行政機関等、がん等診療医、生殖医療医、相談支援者など、さらに行政の担当者、つまり、がんと生殖と行政といった3つの担当者から構成されていることが望ましいということです。
そして、地域がん・生殖医療ネットワークには代表者を置いて、全体の仕組みが円滑に進んでいるかを総括する必要性があります。
3番目、この事業の庶務等を担う事務局が必要であり、先ほど47分の幾つといったデータが出ておりましたが、注2を少し読みたいと思います。我々研究班で調査した結果、神奈川県では神奈川県健康医療局保健医療部がん・疾病対策課が事務局を担っております。また、島根県では県のがん診療ネットワーク協議会(島根大学病院内)が事務局機能を担っているということです。この医療はがん医療の一環であるということにより、こういった対策が必要だと考えました。
4番目は、患者さんがネットワークの中のどの医療機関を受診しても迅速に必要な紹介等ができる体制、すなわちネットワークとネットワークの連携も必要だということであります。
2ページ目を御覧ください。IIIの「地域がん・生殖医療ネットワークの事業」は、Oncofertility Consortium Japan(OCjpn)と書いていますが、これは注3を御覧ください。厚生労働省の科学研究班の中で実際に提唱・構築されたものでありますが、まさに地域を超えたネットワークの相互支援活動ができるような研究班であります。こちらに関しましては、日本がん・生殖医療学会の入会は必要とせず、しかしながら、そのウェブサイトを見ていただきますと、47都道府県の全てのネットワークの情報を確認することができます。さらに、患者さんへの補足説明資料や啓発資材なども各都道府県、自治体のものをダウンロードできるような状況になっております。
2番目の丸は、関連学会等と連携して、大切なことは先ほども申し上げましたがん・生殖医療に携わる医療従事者に対する研修の機会を提供するということであります。認定がん・生殖医療ナビゲーター、がん・生殖医療専門心理士、オンコファティリティー・ナビゲーター・ナース等の人材育成支援及びがん・生殖医療に関する医療者、患者さんや国民への啓発活動がこのネットワークの事業の根幹をなすものであります。
そして、がん・生殖医療の連携状況における課題の把握と解決に向けた検討会の開催が必要です。この研究促進事業が各自治体でその患者さんへの経済的支援がなされた場合の状況、すなわち相談件数や実態を把握して実際のその支援の内容や、適正に行われているかということを監督するのもこの地域のネットワークの仕事であろうと思っています。
一番最後になりますが、がん等治療開始から治療開始後、妊娠・分娩後に至るまでの長期にわたるがん・生殖医療に関する支援の在り方及び情報提供や支援に携わる人材育成に関する検討も行うのがこの事業のもう一つの大切なポイントでございます。
以上になります。
○吉村座長 鈴木構成員、どうもありがとうございました。
このがん・生殖医療ネットワークの構成と機能につきまして、御質問がございましたら。いかがでしょうか。では、松本構成員からどうぞ。
○松本構成員 ありがとうございます。
今、読ませていただいているのですが、IIの「④患者がネットワーク内のどの医療機関を受診しても迅速に必要な紹介等ができる体制の整備」というところなのですが、このネットワークというのは都道府県単位にできているものですから、そうではなくて、それぞれにある都道府県のネットワーク同士が連携するという体制も必要ではないかなと思ったものですから、質問させていただきます。
○吉村座長 この点について、鈴木構成員、いかがでしょうか。
○鈴木構成員 松本先生、ありがとうございます。まさに先生と進めています小児・思春期に関しましてはブロックごと、つまり、地域と地域を超えた大きなブロックでのそういった研究の仕組みをつくっているところでございますが、おっしゃるとおり、ネットワークを超えた連携をぜひOncofertility Consortium Japanを通じて、厚労科研の研究班ですが、ネットワーク同士の連携を取れるような体制を引き続き取ってまいりたいと思います。御指導よろしくお願いします。
○松本構成員 ありがとうございます。
○吉村座長 都道府県との連携が大事であるということの御指摘は、大変貴重な御指摘だと思いますので、その点は考慮していきたいと思っております。
そのほかに御質問。清水構成員、どうぞ。
○清水構成員 IIの①のところについてお伺いしたいと思います。「各都道府県において、がん等診療施設」云々より構成されているという一文があるのですけれども、がん診療連携拠点病院では生殖との連携というのが拠点病院の指定要件の中に書き込まれているのではないかと思っています。なので、そのネットワークの中にがん診療連携拠点病院がきちんと参加できているということは、がん対策という角度からこの事業を見たときには非常に大事なことなのではないかなと思っております。
私は、平成30年度の厚生労働科研でAYA世代のがんの患者さんの包括的ケアの構築という課題で研究をさせていただいたのですが、14の地域版診療連携病院等でAYA支援のモデルというのをつくっていただきました。そうしますと、せっかくこういう事業があるのですけれども、対象となる患者さんが拾い上げられないとか、あるいは患者さんのニーズをアセスメントできないとか、せっかく事業があるにもかかわらず、患者さんに届けることができていないというのががん診療側の課題としてあります。なので、ぜひネットワークを構築されるのだとしましたら、少なくともがん診療連携拠点病院が参加できているということを担保していただけるような、そんなネットワークにしていただきたいなと思いました。
以上です。
○吉村座長 がん診療連携拠点病院がこの事業に参加されていることが必要だということはもっともな御意見だと思うのですが、いかがでしょうか。
○鈴木構成員 鈴木です。
清水先生、そのとおりだと思います。この事業は、がん対策の中の、特にがんとの共生の中で必要な事業であり、妊孕性温存というのはAYAがんの医療の充実の一つだと思うのです。AYAがんの政策というのはそれだけではないと思うのです。就学・就労、アピアランスケアもそうですが、そういった観点から診療拠点病院の中にこのがん・生殖医療ネットワーク、国の研究促進事業が動いていることから、そこはうまく連動して、そして全国47都道府県でAYA支援の担当者がこういった妊孕性温存のこともしっかりハンドリングできるような体制を国にぜひ構築していただきたいと私も同様に思っております。
以上です。
○吉村座長 馬上構成員、どうぞ。
○馬上構成員 馬上です。ありがとうございます。
同じくIIの①の一番最後の行についてお伺いしたいのですが、「患者本位の体制を構築するにあたって、患者または患者家族の代表の参画が望ましい」ということで、患者側の意見を吸い取っていただけるようになっているのはよいのですけれども、今、第3期がん対策推進基本計画の中間評価でも都道府県のがん対策推進協議会があるのですが、そちらのほうに患者参画がまだまだ進んでいないところがあるという評価がありまして、患者家族から直接意見を吸い取っていただく体制の構築がとても望ましいと思いますので、ここのところを強力に推進していただけたらなと思いました。コメントです。
もう一つ、先ほどアプリのお話があって、患者が使えるということですが、そのアプリを通して患者の意見なども吸い上げていただくようなシステムというのもお願いできたらなと思いました。
○鈴木構成員 馬上構成員、ありがとうございます。鈴木でございます。
最初の「患者本位の」というところを先ほど読まずに、すみませんでした。これは我々厚労科研の研究班のメンバーの総意であり、気持ちが込められた内容でありますが、簡単にはまだそういう事情になっていないということがありますので、これは厚労省を含めて国の対策に携わる方々にも検討していただきたいと思っています。
患者アプリの件に関しましては、清水構成員も一緒に、彼女が中心になってつくってきたものでありますが、患者さんの意見を反映して、あと、登録に参加することによって患者さんにいろんな情報が伝わる。いろんな不安も5年、10年あると思いますので、そういった情報も提供できるような仕組みに必ず加えていきたいと思っております。
清水構成員、それでいいでしょうか。
○吉村座長 清水構成員、いかがでしょうか。
○清水構成員 ありがとうございます。
ぜひそのようにしていきたいと思います。ここにおられる岸田構成員もこのアプリづくりに参加されておりますので、魅力的であり、かつ実際に使っていただいて、参加いただく患者さんにもメリットがあるようなものをつくっていきたいと思います。御協力のほどどうぞよろしくお願いいたします。
○吉村座長 岸田構成員、何か御意見ありますでしょうか。
○岸田構成員 ありがとうございます。
このアプリについては、しっかり患者さんの意見も反映されるような形で調整はしていきたいと思っております。かつアプリで患者さんだけに負荷がかかるのものではなく、ちゃんと情報をこちら側から提供して、相互に情報のやりとりが取れるようなものにしていく所存でございます。
それと違うことになるのですけれども。
○吉村座長 どうぞ。
○岸田構成員 ありがとうございます。
鈴木構成員に質問になるのですが、2ページ目のIIIの②のところです。今、関連学会と連携して人材育成とかそういったところを行っていくということも書かれているのですけれども、先ほどの議論の中で御舩構成員から1年1回のフォローアップということ、人材育成のところについて鈴木構成員から育成が急務ですというお話をいただいたと思います。こちらに関しては、具体的にどれぐらいいたらこの事業としてよいのかとか、それに向けては何年の形を考えていらっしゃるのか。というのも、これは研究班としてあると思うので、これが終わった後どうなっていくのかといったところが患者として不安なので、育成といったところの今後。今どれぐらいで、どういうふうになっていってというところを、お伺いできますでしょうか。
○吉村座長 それでは、鈴木構成員、お願いします。
○鈴木構成員 鈴木でございます。
岸田構成員のおっしゃるとおりでして、これはがん側と生殖側、両方とも施設にこのような心理士、患者さんの気持ちを考えて支援できるような人材がいるべきだと考えています。つまり、がん側だけでなく、年に1回更新に来られた患者さんに対しても、生殖側でがんの治療医に伝えることができないような生殖に関わる不安もあると思いますし、一方、がん側でも当然のことながらがんに関する不安がありますので。がん・生殖医療ナビゲーターに関しましては、今、厚労科研研究班のほうで既にeラーニングや試験を受けるようなシステムは出来上がっており、今年度これでその検証を行う予定です。ただ、何人ぐらいかというのは、生殖側でいきますと、日本産科婦人科学会が約100の研究促進事業の認定がもう終わります。泌尿器科学会は、先ほど市川先生から二十幾つということでしたので、受入れ側は大体百幾つの施設だと思っています。
課題は、がん診療のほうの先生方からがんの患者さんにこれを伝えなければ、結局、がんの患者さんにこの情報が伝わらないため、がん側としては、診療拠点病院にあるAYAの支援部会とか、あるいはAYA関係のところに、がん相談員の方も含めてだと思うのですが、こういった情報を提供できるような方がより多く必要だと考えております。ちなみに、現在がん・生殖医療専門心理士は、全国に七十数名の患者さんが認定されております。
以上であります。
○岸田構成員 ありがとうございます。
こちらに関しても多く進めてほしいと思いますし、今、がんの治療医側では妊孕性の説明をまだ受けていないケースも全国的に見られますので、がん側もこういったところをしっかり推進してほしいなということを述べさせていただきたいと思いました。
以上です。
○吉村座長 今の岸田構成員のおっしゃったことは大変大事なことで、患者さんが生殖医療にたどり着けないという状況も非常に多いということがありますので、その点はしっかりやっていきたいと思っております。
それでは、ネットワーク要件などにつきまして、まだ御意見のある方はお見えになるでしょうか。大体これでよろしいでしょうか。
今日は構成員の方々から貴重な御意見をたくさんいただきました。しかし、妊孕性温存後の、保存後の生殖補助医療について国から支援していただけるようになったということは、大変すばらしい一歩ではないかと思います。今日、43歳未満ということが問題になりました。この点につきましては、皆さんの御意見が保存後の生殖医療を受ける場合の年齢を43歳未満とするのは問題であるということで一致していたと思います。どのようにして改良していくかということを今後考えていきたいと思います。
高齢の妊娠に関してはかなりのリスクが伴います。妊娠・分娩というのは全て安全であるわけでありませんので、こういったことを我々も考えておかなくてはいけないと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
今日は構成員の方々、活発な御討論を本当にありがとうございます。
それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。
○岩佐がん対策推進官 本日は活発に御議論いただきまして、誠にありがとうございます。いただいた御意見等も踏まえまして、最終的には座長とも御相談の上、所定の手続を経た上で、各都道府県に対しまして本事業の実施要綱の通知を行う予定としております。
また、次回の会議等々につきましては、追って御連絡・御調整をさせていただければと思います。
事務局からは以上でございます。
○吉村座長 それでは、本日の検討会はこれで終了させていただきます。貴重な御意見を賜りましてお礼を申し上げます。本日は誠にありがとうございました。