令和4年1月12日 第206回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和4年1月12日(水) 15:00~17:00

場所

WEB会議
東京虎ノ門グローバルスクエアコンファレンス

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.介護人材の処遇改善について
  2. 2.その他

議事録

議事内容
○古元老人保健課長 それでは、定刻となりましたので、第206回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開会させていただきます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
今般の新型コロナウイルス感染症に関する様々な対応につきまして、各自治体、並びに関係団体の皆様には、各方面において多大な御尽力をいただいておりまして、改めまして感謝を申し上げます。
本日は、これまでと同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきます。また、傍聴席などは設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としてございます。
本日の委員の出席状況でございますが、正立委員、並びに松田委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、長内繁樹委員に代わりまして宮城節子参考人に、黒岩祐治委員に代わり水町友治参考人に、東憲太郎委員に代わり今村英仁参考人に御出席いただいております。
なお、石田委員につきましては、遅れて御出席いただく旨の御連絡をいただいております。
以上によりまして、本日は20名の委員に御出席いただいておりますことで、社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告申し上げます。
議事に入る前に、お手元の資料とオンライン会議の方法について確認をさせていただきます。
まず、資料の確認を行います。
本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。また、同様の資料をホームページにも掲載してございます。
資料でございますが、まず議事次第と委員名簿がございます。
次に、資料「介護人材の処遇改善について」及び正立委員提出資料を掲載してございます。
資料の不足等がございましたら、恐縮でございますが、ホームページからダウンロードいただくなどの御対応をお願いできますと幸いでございます。
続きまして、オンライン会議における発言方法などについて確認させていただきたく存じます。
これまで、発言をいただく際には、実際に画面上で挙手をしていただく形でお願いしておりましたが、今回の会議からはZoomのツールバーにございます「リアクション」から「手を挙げる」の操作をいただきまして、その上で分科会長から御指名を受けた方が御発言いただく方法に変えさせていただきたく思います。
オンラインで御参加の皆様、画面の下にマイクのアイコンが出ていると思います。会議の進行中は基本的に皆様のマイクをミュートにしていただきますが、御発言をされる際にはZoomツールバーの「リアクション」から「手を挙げる」をクリックしていただき、御指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言をいただければと思います。
少し複雑になりますが、お付き合いいただければと思います。
御発言が終わりました後は、Zoomツールバーの「リアクション」から「手を降ろす」をクリックしていただきまして、併せて再度マイクをミュートにしていただきますようお願い申し上げます。
以上、ルールが長くなりましたが、御理解いただければ幸いでございます。
それでは、冒頭のカメラ撮影につきましてはここまでとさせていただきたく存じます。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様を含めまして、ここで退出していただくこととなりますので、よろしくお願い申し上げます。
では、以降の進行は田中分科会長にお願い申し上げます。
○田中分科会長 委員の皆様、本年もよろしくお願いいたします。
早速ですが、議事次第に沿って進めてまいります。
本日は、「介護人材の処遇改善について」の議論を行います。
事務局においては資料説明を簡潔に行うとともに、各委員におかれましても御発言は論点に沿って簡潔にくださるよう協力をお願いいたします。
では、事務局より資料の説明をお願いします。
○古元老人保健課長 それでは、老人保健課長より御説明をさせていただきます。
資料「介護人材の処遇改善について」でございます。
1ページ目、論点でございます。介護職員の処遇改善につきましては、昨年11月に閣議決定をされました「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」におきまして、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度引き上げるための措置を実施することとされておりました。これを踏まえまして、予算編成過程で検討いたしました結果、昨年12月の大臣折衝事項におきまして、令和4年10月以降について臨時の報酬改定を行い、補正予算事業と同様の措置を講じることとされました。
これを受けまして、政府としては、補正予算事業を令和4年10月以降は介護報酬に引き継ぐことを前提に、必要な予算を令和4年度予算案に計上してございます。
また、補正予算事業・臨時の報酬改定による措置のいずれにおきましても、同じ政策目的の下での対応であることや、介護報酬に組み入れられるのは年度途中であり、仮に補正予算事業と要件等を変えた場合には追加的な事務負担が発生することなどを踏まえる必要がございます。
これらを踏まえまして、令和4年10月以降の対応につきましては、介護職員処遇改善支援補助金の要件・仕組みなどを基本的に引き継ぐこととしてはどうか。こうした論点を提示させていただいております。
その下は参考でございます。昨年12月22日の大臣折衝事項、こちらの下線部をご覧ください。介護・障害福祉職員の処遇改善につきましては、先ほど申し上げた経済対策を踏まえ、令和4年10月以降についての臨時の報酬改定を行い、収入を3%程度引き上げるための措置を講ずることとする。ここに「臨時の報酬改定」という記載がございます。これらの処遇改善に当たりましては、予算措置が執行面で確実に賃金に反映されるよう、適切な担保策を講じることとする。
下の注3、注4にございますとおり、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める。さらには、現行の処遇改善加算I~IIIを取得していることに加えて、具体的には賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給または決まって毎月支払われる手当の引上げにより改善を図るなどの措置を講ずるとされているところでございます。
こうした論点を基に案を策定いたしました。2ページ目を御覧ください。
介護報酬改定による処遇改善案でございます。本日は主にこの内容について委員の皆様から御意見をいただければと存じております。
まず、2ページ目の上の欄でございます。これは先ほど申し上げました経済対策からの流れで、10月以降について臨時の報酬改定を行うということを記載しております。
具体的な内容が中段の枠囲みの中にございます加算額からのところですが、対象介護事業所の介護職員、これは常勤換算でございます。1人当たり月額平均9,000円の賃金引上げに相当する額ということです。額の算出に当たりましては、対象サービスごとに介護職員数、常勤換算に応じて必要な加算率を設定いたしまして、各事業所の介護報酬にその加算率を乗じて単位数を算出するという形でございます。
取得要件、これは該当する施設の要件になりますが、処遇改善加算I~IIIのいずれかを取得している事業所ということ。さらには、賃上げ効果の継続に資するよう、補助額の3分の2は介護職員などのベースアップなどの引上げに使用することを要件としてはどうかということでございます。
対象となる職種は、介護職員、並びに事業者の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう、柔軟な運用を認める。
申請方法でございます。各事業所において、都道府県などに賃金の改善額を記載した計画書を提出いただきます。月額の賃金改善額の総額の記載を求めるものでございまして、個々人の賃金改善額の記載を求める趣旨ではございません。
また、報告方法につきましては、同様に各事業所において都道府県などに賃金改善期間経過後に実績報告書を提出いただくといった流れを想定してございます。
交付方法でございます。左下の枠でございますが、対象事業所は都道府県等に対して申請をし、対象事業所に対して報酬による支払いが行われる。
申請・交付スケジュールでございます。10月からということでございますので、申請は令和4年8月に受付をいたしまして、10月分から毎月支払われる。10月分からということですので、実際に支払われるのは12月からといった想定でございます。賃金改善期間後、処遇改善実績報告書を御提出いただくということで、執行のイメージは右側に記載しているとおりでございます。
続きまして3ページ目、介護報酬改定による処遇改善加算率。先ほど申し上げましたとおり、現行の介護職員改善加算などと同様に、介護サービス種類ごとに、介護職員数に応じて設定された一律の加算率を介護報酬に乗じる形で単位数を算出するという案でございます。それぞれのサービス区分ごとの加算率については、そちらに記載のとおりでございます。
最後に4ページでございます。こちらは、これまで御説明申し上げました対応案にもとづき、新たな加算についてイメージ図をお示ししたものでございます。この図の黄色い部分が、新加算と書いてありますが、月額0.9万円相当の額を新たに設けるということで、従前の処遇改善加算及び特定処遇改善加算との関係を分かりやすく資料としてお示ししてございます。こちらは参考まで御覧いただければと思います。
5ページ以降は参考資料となりますので、この場での御説明は割愛させていただきます。
続きまして、正立委員から事前に御意見を頂戴しておりますので、併せて御説明をさせていただいてもよろしいでしょうか。
それでは、一枚紙の正立委員提出資料を御覧ください。
介護現場で働く方々の収入の引上げなどに関する意見ということでございます。
このたびの介護職員を対象とした収入の引上げに係る予算措置につきましては、他業種との賃金格差の是正、また、現場の方々のモチベーションの維持・向上を図る上で、高く評価いたします。
その上で、これまでの各種処遇改善加算が保険料及び利用料に反映されることとなったということ、また、年金の平均受給額や介護保険料の負担、さらには、高齢者の医療費窓口負担などについての記載がございます。
そういった状況を踏まえまして、以下の2点について意見を申し上げますという内容となっております。
1つ目が、予算措置終了後、令和4年10月以降の介護現場で働く方々の収入の引上げに係る財源確保が保険料・利用料の負担増につながることのないように配慮すること。
2つ目、国民の生活と生命を守る社会保障制度の改正に当たっては、高齢者の生活実態などを踏まえ、収入(年金)と負担(介護や医療などの保険料・利用料)の均衡が取れた調整を図ることとの意見書を御提出いただいております。
以上、御報告申し上げます。
では、分科会長、よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 説明ありがとうございました。
ただいまの説明を伺った事項について、御意見、御質問のある方はどうぞ挙手をして御発言ください。
吉森委員、どうぞ。
○吉森委員 ありがとうございます。
今回の処遇改善案、資料の1ページの論点の令和4年10月以降の対応について、介護職員処遇改善支援補助金の要件・仕組みなどを基本的に引き継ぐ考え方について意見を申し上げたいと思います。
今回の臨時の介護報酬改定対応は、補正予算事業と同じ政策目的の対応である。また、改定時期が年度途中で当たる、及び新たな要件設定等の対応をもしするならば、追加的な事務負担が発生することなどを考慮すれば、介護職員処遇改善支援補助金の要件・仕組み等を基本的に引き継ぐことにするという考え方には特に異論はなく、現状取り得る対応策として理解できるものと考えております。
しかし、2点ほど意見、質問がございます。
前回の補正予算事業の議論での意見表明も同様ではありますけれども、介護職員の処遇改善につきましては、介護現場の改善及び活性化の観点で今回の補正予算事業措置による実効性をしっかりと検証するとともに、対象となる個々人の給与などが確実に引き上がり、その効果検証が可能であるような仕組みにすることが必要であると考えております。今回の措置対応の必須要件とすべきであるのではないかと考えております。
これに関連して、事務局に2点質問、確認をさせていただければと思っております。
まず1点目ですけれども、介護報酬改定に向けて、まずは先行して実施される介護職員処遇改善支援補助金の実効性の検証を行い、その上で必要な改善を加えた上で臨時介護報酬改定を行い、さらには、報酬改定後に改めてその効果検証を行うことが望ましいと考えておりますが、今回この対応について、補正予算事業等を臨時介護報酬改定の検証実施の有無、並びに今後のスケジュール感を確認させていただければと思っております。これが1点目です。
2点目ですが、資料2ページの介護報酬改定による処遇改善案では、取得要件の2つ目の黒ポツ、補助額の3分の2は介護職員などのベースアップなどの引上げに使用することとされておりますけれども、この要件追加は対象となる個々人の給与が確実に引き上がることを担保する上で望ましいとは考えておりますが、実際にこの要件が確実に実施されたということが処遇改善実績報告書による報告方法で確認、検証がしっかりと担保される仕組みであるという理解でよろしいのかどうかというのが2点目でございます。
以上2点、事務局のほうで御回答いただければと思います。
以上です。
○田中分科会長 では、2点についてお答えください。
○古元老人保健課長 吉森委員、ありがとうございます。
まず、先に2点目の御質問についてです。ベースアップにきっちり使われていることが検証できる実績報告になるのかということにつきましては、それが確認できる様式で実績報告を求めるということとしたいと思っております。
あと、1点目でございます。補助金の効果などについても検証を行った上でというお話をいただいております。公的価格評価検討委員会の中間整理におきましても、費用の見える化についての課題などについても検討がなされておりまして、そうした議論も踏まえながら、今回の措置に係る調査のスケジュールなどについては今後検討してまいりたいと考えております。
ただ、その検討に当たりましては、補助金の対象期間というのが本年2月から9月までという非常に短い期間であること。また、10月以降の対応については、基本的に補正予算事業と同様のものが介護報酬に引き継がれることを前提に臨時改定を行うというものでございます。仮に頻回に調査を行うとなりますと、また、発生する事業所の負担なども踏まえることがあると考えておりまして、どのようなタイミングで調査、検証を行っていくのかについては、本日いただいた御意見も踏まえまして検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○吉森委員 そうすると、イメージとしては、10月以降この仕組みで対応して、その後の検証効果については今後の議論の中で明らかになるという理解でよろしいでしょうか。
○古元老人保健課長 処遇改善の現状について、どのタイミングで検証を行っていくかにつきましては、しっかりと検討してまいりたいと思います。詳細の時期についてはもう少し検討させていただければと考えてございます。
○吉森委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 では、次に小林委員、お願いします。
○小林委員 ありがとうございます。
介護人材の処遇改善については、公定価格評価検討委員会の中間整理にもさらなる処遇の改善に取り組むべきと指摘されていることを踏まえて、本年10月以降も3%程度の引上げにとどめることなく、少なくとも全産業平均の水準に達するまでの継続的な取組にすべきと考えています。
その上で、論点の内容について大きく3点意見を申し上げます。
1つ目は、介護労働者に月額の賃金改善が確実に行きわたるよう、処遇改善計画書及び処遇改善実績報告書の提出を徹底していただきたいということです。
2つ目は、現行の処遇改善加算の対象外となっているサービス事業所も含めていただきたいということです。この点については、現場の労働者から強い要望が届いております。私たちが将来にわたって質の高いサービスを利用できるようにするためには、介護分野全体の賃金水準を底上げしていくことこそが人材確保につながると考えております。繰り返しますが、全てのサービス事業所を対象にすると同時に、ケアマネージャー、訪問介護、福祉用具専門相談員、事務員など、介護現場で働く全ての労働者を対象とすべきと考えております。
3つ目は、対象となる職種の柔軟な運用に当たっては、事業所における労使交渉によることを基本に、賃金改善水準に制約を設けず、職場の実態に応じて柔軟に対応できるようにすること、また、その際、全産業平均の水準を目指して、まずは介護分野全体の賃金底上げを徹底すべきであり、その観点から年収要件を設ける必要があること、以上のように考えております。
また、大臣折衝事項には気になることも書かれていまして、それは「社会保障の充実に充てる歳出の見直しにより安定財源を確保」するという点です。これについては、社会保障ニーズが今後ますます高まっていくことを踏まえれば、政府が実現を目指している全ての方々が安心して生活できる全世代型社会保障の構築に向けて、持続可能な安定財源の確保策を検討していくことが必要と考えます。
最後に、今年9月までの介護職員処遇改善支援補助金についてもお願いがございます。この2月からの賃上げということもあって、現場では何とか間に合わせようと、具体的にどう対応すればよいかなど、こちらにも様々な声が届いているところです。そうした現場のためにも、実施要綱の速やかな発出をお願いしたいと思います。
また、実際の交付が6月からと書かれていましたので、それまで、とりわけ小規模の事業所などにおいては頑張って実施していただかなければなりませんし、その意味で、交付時期はもっと前倒しされたほうがよいと思っております。もちろん取得要件等についても、先ほど申し上げたとことと同様にしていただきたいと考えております。
以上です。
○田中分科会長 合計5つの御要請、御意見でした。ありがとうございます。
及川委員、お願いします。
○及川委員 ありがとうございます。日本介護士会、及川でございます。
このたびの賃上げ効果の継続の取組に感謝申し上げます。オミクロン株による感染が拡大する中、これまでの生活の制限を利用者並びに介護職員と自らに課して、もうすぐ2年が経過いたします。期待をしていた生活上の制限の解除ができないままでございますが、職能団体としましても介護の質を担保する取組を推進してまいります。
1つだけ申し上げます。
私どもは、国民の過度な負担増を望むものではございません。また、同時に利用者負担や保険料に反映したことによる要介護状態の方々へのサービスの利用控えにつながらないようにだけしていただきたい。そこに留意いただきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 御意見ありがとうございます。
次は小泉委員、お願いいたします。
○小泉委員 ありがとうございます。全国老人福祉施設協議会の小泉でございます。
まずは意見でございますけれども、令和4年10月以降の対応につきましては、介護職員処遇改善支援補助金の要件・仕組み等を基本的に引き継ぐということであり、令和4年10月からも介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算、介護職員処遇改善支援補助金の3つの加算の請求を行うようになると理解をしておりますが、もしできるものであれば、制度の複雑化、事務の煩雑化を回避するために、加算の一本化など合理化の促進ができないものか御検討いただきたいと思います。
次に、意見と質問でありますけれども、令和4年10月以降においても計画書、実績報告書の提出が必要なのかどうか、御回答をいただきたいと思います。計画書、実績報告書の提出を想定しているのであれば、極力簡素化、合理化の推進を御検討いただきたいと思います。
もう一件、質問でありますけれども、介護職員と他の職員の配分ルールに何か取決めはあるのでしょうか。他の職員の範囲または要件は設定されているのでしょうか。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田中分科会長 おっしゃるとおり、複雑な形になってきたので考えよという御指摘と、質問が2つありましたのでお答えください。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。
いただきました御質問2点について回答を申し上げます。
まず、計画書並びに実績報告書につきましては、御提出いただくということで考えてございます。どのような形で事業所の皆様の負担を軽減する形でできるのか、御意見を伺いながら行ってまいりたいと思いますが、実績などを確認するという手続は必要だと考えております。
2点目、配分ルールについてでございます。職種などにつきまして、明確な規定を本日の案としては設けてございません。ただし、その制度並びにこの政策の趣旨を御加味いただいて、各事業所で御判断いただきたいと考えております。
以上でございます。
○田中分科会長 小泉委員、いかがでしょうか。
○小泉委員 ありがとうございました。
○田中分科会長 よろしいですか。
井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。
今回の介護職員の皆様の処遇改善につきましては、岸田政権が掲げております成長と分配の好循環に係る政策の一環でございまして、その方向性につきましては賛同いたします。すなわち、今後さらに就労人口の増大が見込まれております介護従事者の皆様は、経済を支える分厚い中間層でございまして、所得増加に伴う消費拡大を通じて国内経済の活性化にも進むものと考えております。
今回事務局からお示しのありました10月以降の介護報酬上の対応につきましても、基本的にはやむを得ないものと思っています。ただし、私どもといたしましては、従来から申し上げているとおり、本来はこの処遇改善というものは事業者の経営努力、労使間の自立的な対応で実現されるべきだと考えております。実際に、介護事業者の中には自らの経営努力で処遇改善に取り組んでいるところがあり、自由主義経済の中で民間の経営力を生かした介護事業という視点はぜひ今後も注視していただきたいと思います。
2点ほど意見を申し上げたいと思いますけれども、まず1点目、他の委員からもありましたが、この改善を介護報酬で対応する場合、保険料負担の増加あるいは保険財政の持続可能性の懸念というものがございますので、公費や保険料はどのような負担になっていくのかということをぜひ分かりやすく説明するようなことをお願いしたいと思います。
一方で、やはり制度の持続可能性の確保という観点からは、給付や負担の在り方の見直しということを不断に続けていかなくてはならないと思います。
2点目、今後高齢化がますます進行いたしまして、今後も介護職員の方々の数が増加してくるという中で、この賃上げ・処遇改善というのは継続的に行うことが経済にとって重要でございます。したがいまして、これを継続的に行うということになりますと、介護報酬によって継続的な改善をしていくということには限界があると思います。これは当然のことだと思います。したがいまして、やはり介護サービスの提供自体をより効率的、効果的に運営していくということについて、真摯に検討を深めていかなくてはならないと思います。
例えば新しいテクノロジーを活用する。それに応じた適切な人員配置の在り方などを検討するといったことも不断に進めていかなくてはなりませんし、また、バックオフィスを効率化する観点などからも経営規模をより大きなものとしていくといった視点も重要だと思います。こういう視点につきましても、次期の介護保険事業計画でぜひしっかりと検討いただきたいと思います。
また、ほかの委員からも御指摘がありましたけれども、今回の対応も含めまして、これまでの処遇改善が介護職員の確保とかモチベーションにどのように効果があったのかということを、エビデンスベースでしっかりと効果検証をしていただきたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 大きな時代の流れを御指摘いただきました。ありがとうございます。
次は宮城参考人、お願いします。
○宮城参考人 代理でございますが、全国市長会、基礎自治体の立場で発言をさせていただきます。公費負担などの財源の関係と事務負担の関係、加算についての3点になります。
令和4年10月以降につきまして、臨時の報酬改定を行い、同様の措置を講じるとされておりますが、保険料・利用者負担に少なくない影響を与えるとともに、都道府県、市町村が負担する公費部分にも非常に大きな影響が発生いたします。経済対策、人材確保対策といった点では、一定の理解はいたしますが、国としましては方向性を定めて推進しているものであることを踏まえると、本来であれば、財源の確保も含めて、全て国の責任において実施していただく施策であると考えております。介護報酬に組み入れるのであれば、利用者や被保険者、都市、自治体の負担が軽減されるよう、必要な施策も併せて御検討いただき、実施していただきたいと考えております。
また、本年10月から新たな加算が創設されるわけですが、処遇改善加算全体がさらに複雑化いたします。ここで改めて処遇改善加算全体の見直し、整理を行っていただきまして、制度の簡素化を図った上で、介護職員全体の処遇改善につきましてさらなる議論を進めていただきたいと思っております。
以上でございます。
○田中分科会長 制度の簡素化を図るべきだと。今日は御意見として承ればよろしいですね。
○宮城参考人 お願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
河本委員、どうぞ。
○河本委員 ありがとうございます。
前回の持ち回り開催のときの意見調書でも申し上げておりますけれども、処遇改善を介護報酬で対応していくということは当然に利用者負担や保険料負担の増加につながるわけでございまして、支え手である現役世代の負担が限界にきている中で、これに対応していくためには、より一層の効率化、適正化が不可欠だと考えております。
本来、処遇改善の検討に当たっては、今後の財源の在り方も含めて、給付と負担の在り方、あるいは介護給付費の適正化、介護現場の生産性向上といったことについて十分な検討、議論をすべきだと考えます。今回の臨時改定に当たっても、処遇改善と同時に、介護報酬の効率化、適正化についても議論を行っていただいて、できる限り利用者負担や保険料負担の増加を抑えるべきだと考えております。
また、今回、補助金の要件・仕組みを基本的に引き継ぐという案が示されておりますけれども、要件・仕組みについては、事務負担等の問題も考慮すれば致し方ないと考えておりますが、何人かの委員の方もおっしゃっておりましたけれども、実効性の効果検証をしっかりと行っていただきたいと思います。
それから、最後に質問でございますが、今回の処遇改善案は改定率に換算すると何%ぐらいになるのか。また、財政影響について令和4年度、5年度に介護費用や介護給付費がどのぐらい増加するのか。利用者負担や1号、2号の保険料の負担増加額がどのぐらいになるのかといったこともお示しいただきたいと思います。これは質問でございます。
以上です。
○田中分科会長 ほかの委員からもありましたが、効果検証を行うのは当然のことでしょうね。
では、質問にお答えください。
○古元老人保健課長 御質問ありがとうございます。
今回の臨時改定につきましては、経済対策を踏まえまして、収入を3%程度引き上げるというための措置を講ずるものとして、臨時の報酬改定を行うものとしたことでありますので、通常の改定時のように特定の改定率をもって決定したものではございません。ただ、今回の臨時改定を伴う給付増分の影響につきまして、報酬全体の給付額を母数といたしまして単純に計算をした場合、1.13%となるということでございます。
また、65歳以上の1号保険料につきましては計画期間中の保険料改定は行わず、保険者ごとに準備基金の取り崩しや、都道府県ごとに設置されている財政安定化基金による貸付けを活用することが基本となると考えてございます。
一方、40歳から64歳の2号保険料については、毎年度の予算上の給付費見込額を踏まえて算出するため、今回の改定による給付増分が年度ごとの保険料に反映されるものと想定してございます。
以上でございます。
○田中分科会長 河本委員、よろしゅうございますか。
○河本委員 2号の保険料の負担増加額というのはどのぐらいになると想定されていますか。
○古元老人保健課長 これは2号保険料への影響額というものを機械的に計算しておりますので、本日時点の数字としておおむね御理解いただければと思いますけれども、1人1月当たり70円程度になるものと考えてございます。
○日野介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。
先ほど古元課長のほうから申し上げた70円という数字は、1号の保険料が大体月額6,000円程度なので、それの1.13%とすると大体月額でいうと70円ぐらいという計算となります。2号の保険料については、明示的に幾ら上がるというのは計算していないのですけれども、概算としては改定率とほぼ同じぐらいのパラレルで引き上げるという形になるかなと思っております。
○河本委員 分かりました。ありがとうございました。
○鎌田委員 次に鎌田委員、お願いします。
○鎌田委員 ありがとうございます。認知症の人と家族の会の鎌田です。
今回の処遇改善加算については、私たちは関係補助金での対応というところには歓迎しております。しかし、去年4月からの介護保険料の値上げ、8月からの補足給付の基準見直しは私たち利用者の生活費に大打撃を与えています。今回の介護報酬の改定による引上げには認知症の人と家族の会は反対で、見直しをお願いしたいです。介護職員の賃金が上がることは私たち利用者は大歓迎で、これまで処遇改善加算特定、処遇改善加算の介護報酬での対応に応じてきました。
グループホームに入所している私の義母ですけれども、10月ですが、介護サービス利用料は処遇改善I、特定Iの2つの加算を受けておりまして、加算の合計が3,885単位で、介護サービス費の全体の単位が3万1241単位です。介護サービス費に占める割合は1.2割です。お金にしては3,918円支払っております。年金生活者にとってこの額は大変大きいものです。
お世話になっている介護職員さんに笑顔で安心して働いてやりがいを持っていただくために、処遇改善加算はとても重要な要素だと思っていますので、私たちも負担は必要と思います。ですが、これまでは容認してきましたけれども、今回の処遇改善加算で介護報酬単位がどの程度になるのか。先ほど1.13というような数字も出されましたけれども、これ以上の負担は無理な状況です。コロナ禍もあり、大変な状況ではありますが、介護を受ける、介護する暮らしを安心して過ごせるためにも、介護報酬ではない対応というのも検討をお願いしたいと思います。
それと、財政のことですけれども、介護報酬というところもそうなのですが、社会保障全体というところでやはりきちんとした話合いを正面からしていただきたいということを要望いたします。私にとっては、今のような財政社会保障というのはパッチワーク的なものにしか思えません。保険料を引き上げ、補足給付の基準を見直し、利用者負担の割合を1割、2割、3割と引き上げ続け、負担増が加速しています。せっかく全世代型社会保障構築会議もありますので、早急に社会保障の給付と負担の見直しというものを議論していただきたいことを強く要望いたします。
最後に質問です。賃金改善の合計額についてですけれども、資料1ページの参考に、確実に賃金に反映されるように、介護職員処遇改善加算I~IIIを取得している事業所であり、賃金改善の合計額の3分の2以上は基本給、あるいは決まって毎月支払われる手当の引上げをすると記載があります。まず、補助金、介護報酬引上げ分、どちらもなぜ全額でなく3分の2以上という数字になっているのか、理由を教えていただけないでしょうか。また、賃金改善の合計額というのは、補助金に続いて介護報酬から支払われる部分のみを指すのか、それとも介護職員の処遇改善加算、介護職員の特定処遇改善加算も合わせた地域改善を指すのか、御説明をお願いしたいと思います。
以上です。
○田中分科会長 社会保障全体の検討はこの会を越える話ですが、それも必要であると御指摘いただきました。
では、質問にお答えください。
○古元老人保健課長 御質問いただきましてありがとうございます。
今回、論点として提示させていただき、また、案として提示をさせていただいております処遇改善の新たな加算について、賃金改善に係る御提案でございます。賃金改善の合計額の3分の2以上は基本額、または決まって毎月支払われる手当の引上げにより改善を図るということでございまして、これまでの処遇改善加算については、逆を申し上げますとそういった規定というのは設けられておりませんでしたが、今回の改定につきましては、継続的に実効性をもって底上げを図るということで、3分の2以上というルールを新たに御提案申し上げているということでございます。そういった点で御理解をいただければありがたいと考えております。
また、このルールはこれまである処遇改善加算等に適用するものではありませんで、今回新たに設けることを御提案申し上げている加算についての要件と考えてございます。
以上でございます。
○田中分科会長 鎌田委員、いかがでしょうか。
○鎌田委員 ありがとうございます。
私は何で全額でなくて3分の2以上とされたのかという質問をさせていただいたのですけれども、その部分の御回答が不明確だったので、もう一度教えていただけますでしょうか。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。
繰り返しとなりますが、これまで、こういった処遇の改善の方法といたしまして、毎月定期的に支払われるものと、一時金、例えばボーナスのような形で支払われるものが現場ではあるわけでございますけれども、そこは当然通常は雇用主と従業員の方の間で決定されるもの、そういった中でも、今回、御提案としてはその3分の2をベースアップで上げていただくことによりまして賃上げ効果の継続に資する。こうした御提案とさせていただいているところでございます。それを事業者及び職員の方との御関係の中で全額ベースアップに充てていただくということは当然できると御理解いただければと思います。
○鎌田委員 一回基本給を上げると、そこからもしこの処遇改善加算だけがなくなると不安だというような施設長さんのお話も聞いたことがありますので、なかなかベースアップにはいかない。手当類でというのも聞いたことがあるので、その辺りの実情は申し添えておきます。
御丁寧な回答をありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございました。
水町参考人、お願いします。
○水町参考人 ありがとうございます。
意見、要望を申し上げたいと思います。
12月8日及び24日の分科会で、黒岩委員から令和4年2月から9月までの介護職員処遇改善の交付金に係る事業者や都道府県の事務負担の軽減について要望いたしました。厚生労働省様におかれましては、この要望を受け止めていただき、一定程度軽減が図られたこと感謝を申し上げます。現在も具体的な事務手続について調整が続いており、後ほど申し上げます点についてさらに御検討願いたいと思います。
まず、本日の議題となっている10月以降の新加算ですが、事業者や指定権者の事務負担軽減に配慮していただくよう要望します。具体的には、本日の資料2ページの下段、申請・交付スケジュールでは、事業所は処遇改善計画書を8月に指定権者に提出するということになっています。しかし、月額平均9,000円相当の処遇改善が9月までの支援事業と10月からの新加算で変わらないのであれば、8月に提出する処遇改善計画書の内容は4月に提出する計画書と同じになると思われます。事業者には4月と8月の2回の計画書作成、指定権者には新加算の審査・承認などの事務が生じ、いずれも大きな負担になります。この事務負担軽減の観点から、4月に処遇改善支援事業の計画書を都道府県に提出した場合には、8月の新加算の計画書は提出を省略可能とするよう要望します。また、既存の処遇改善に係る実績報告書と統合するよう要望します。
次に、関連して、9月までの処遇改善支援事業の事務負担のさらなる軽減について申し上げます。支援事業が事業者に対する補助金なのか、交付金なのかがまだはっきりしていない状況ですが、補助金だと都道府県には交付決定や額の確定、精算といった事務負担が生じます。平成21年度のときと同様に交付金とするよう要望いたします。
さらに、事業者は賃上げ開始月である2月または3月に都道府県に対し開始したことを報告する様式を提出することになっていますが、2月または3月に提出を求める明確な理由がないのであれば、4月に提出する計画書に添付する扱いとすることを合わせて要望します。
以上です。
○田中分科会長 一連の御要望がありました。ありがとうございます。
次に田中委員、お願いします。
○田中委員 ありがとうございます。日本慢性期医療協会の田中でございます。
私のほうからは、こういったことができないのであろうかというような提案ベースの質問でございます。
今回の介護報酬改定に係る処遇改善の案、プリントの2を御覧いただきますと、今回は取得条件としまして処遇改善加算I~IIIのいずれかを取得している事業所に対して交付されると書かれております。
次に、新加算のイメージ案という4番目のスライドを御覧いただきますと、イメージのシェーマがございますけれども、こちらには水色で書かれました加算I、II、IIIという階段の上に今回の新加算の月額0.9万円相当というものが載っております。この金額につきましては、3に書かれております介護報酬処遇改善加算率の案に応じて、それぞれの事業主体に伴って加算率があらかじめ決められて処遇改善の加算が出されるものと理解しております。ということであれば、月額の予定額を一々都道府県のほうに提示しなくても、加算I、II、IIIを取っている事業所においては、あらかじめおおむね決められた金額になろうかと思われるこの新加算について、自動的に配分していただけるような事務手続が機械上でできるのではないかという提案でございます。
こうすることによって、マンパワーの削減をしながら、機械に頼った活動というものに変えられて、幾分でも都道府県さんや各現場の事業者の事務員の負担が軽減できるのではないかというような提案でございます。こういった時代でございますので、ぜひデジタルトランスフォーメーションを検討いただけないでしょうかということでございます。
もう一点は、とは言いながらも、ここには課題が若干見え隠れしておりまして、この新加算は事業所ごとに加算率が決められておりますので、職員を多く配置している、過剰に配置している事業所ほど手厚さが落ちるというような側面もございますことをみんなで共有していただければと思います。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 前者については御質問なのですね。
では、お答えください。
○古元老人保健課長 田中委員、ありがとうございます。
御質問についてお答え申し上げたいと思います。
御提案いただきましてありがとうございます。御指摘いただきましたとおり、今回新たに設けたいと御提案申し上げている加算につきましては、処遇改善加算I、IIもしくはIII、いずれかを算定しているという要件がございます。それ以外の要件が同様であれば、いただいたような御提案は可能と考えてございますけれども、今回は補助額の3分の2以上を介護職員等のベースアップ等の引上げに使用するということを新たな要件としており、これはこれまでにない要件としてございますので、その点につきましては、やはり一定の確認をするプロセスが必要なのではないかということでございます。
もちろん、事業所様並びに都道府県などの関係者の方々の負担ができるだけ多くならないように御意見をいただきながら進めてまいりたいと思いますが、要件が一部異なるということで、その点は御理解をいただければありがたいと思っております。
ありがとうございます。
○田中分科会長 田中委員、よろしゅうございますか。
○田中委員 その点については重々理解しているつもりでございますので、実績報告書については提出はやむを得ないかなと考えております。少なくとも請求については一手間が外せるのではないかというような提案でございます。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 ありがとうございました。
小玉委員、お願いします。
○小玉委員 田中分科会長、ありがとうございます。日本歯科医師会の小玉でございます。
介護職員の皆様の処遇改善につきましては、令和4年10月以降は介護報酬に引き継がれるということで、評価したいと思います。
そういった中で、今、日本の就労されている方の非正規の職員が男性では2割から3割、女性では5割を超えるというような状況になっております。介護に携わる皆様がこれから今の岸田内閣の成長と分配の好循環に係る政策の方針に沿って分厚い労働層として経済を支える形になっていただきたいと思いますし、そのためには、やはり正規職員の皆さんを増やすというような工夫も一つ大事なことかなと思っているところでございます。
また、そのためには、企業の場合は生産性の向上を一つの指標としてあげていますけれども、やはり医療・介護の分野ではサービスの質の向上でありますとか省力化というところの評価を国民の皆様に分かるようにお示ししていただけるということが持続的な処遇改善につながるかなと思いますので、よろしくお願いいたします。以上意見です。
○田中分科会長 御意見ありがとうございました。
続いて、田母神委員、お願いします。
○田母神委員 ありがとうございます。日本看護協会の田母神でございます。
介護領域で働く看護職員の処遇改善について、一部繰り返しになりますが、意見を申し上げたいと思います。
公的価格評価検討委員会の中間整理におきましては、看護職員の処遇改善について、全ての職場における看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の在り方について検討すべきと明記されております。厚生労働省においては、介護事業所における看護職員の配置や賃金の実態について、厚労省の調査などを基に具体的にお示しいただいた上で、ぜひ介護領域で働く看護職員の賃金引上げ等の処遇改善について別途検討の機会を設けていただきたいと考えております。
また、訪問看護につきましては、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクの高い高齢者の方や入院待機を余儀なくされた方々の在宅療養を支えています。また、第6波におきましては、コロナ感染者の在宅療養を支援する役割も国から期待されておりますが、今回、資料3ページにございますが、訪問看護サービス自体が対象外となっております。この点からも、新たな方策の検討が必要であると考えておりますので、ぜひ御検討いただきたいと考えております。
以上でございます。
○田中分科会長 訪問看護についての御要望でした。
次に濵田委員、お願いします。
○濵田委員 ありがとうございます。
それでは、今般の介護人材の処遇改善につきまして意見を述べさせていただきます。
追加的な事務対応につきましては、極力発生しないようにとのことで、改めて御配慮いただければと存じます。
また、介護職員処遇改善支援補助金の要件・仕組み等を基本的に引き継いでいただきつつも、今般、居宅介護支援事業所や訪問看護ステーション、訪問リハビリステーションと対象外となった事業所が今回の処遇改善対象事業所や施設と併設等で運営を行う場合は、同一法人内や同一敷地内、あるいは同一建物内等で一定のルールの下、例えば対象事業所のその他職員と同様の扱いが可能となるよう、今後御検討いただければと考えております。
これは端的に申し上げますと、介護保険サービスの事業所として区分は別でありましても、職員の方々からしますと同じ場所、同じ職場ということでもありますので、円滑な職場環境の維持継続に資するのではないかという意味での意見でございます。さらに、可能であれば、同事業所単独型あるいは独立型として設置している場合も含めていただければ幸いと存じます。
先ほども御意見がございましたが、これらの事業所はコロナ禍で在宅療養を希望する利用者の皆様への支援にも努めているということもございます。そんなこともございますので、何とぞ御検討いただければと存じますが、どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○田中分科会長 居宅介護支援について検討すべきであると強く言っていただきました。ありがとうございます。
米本委員、お願いします。
○米本委員 全国町村会の米本でございます。
これまで本分科会において申し上げて参りましたが、小規模自治体の多い町村部、特に中山間地域や離島等の条件不利益地域においては、介護人材不足は本当に深刻であり、その確保は重要な課題だと思っております。この度の臨時の介護報酬改定による処遇改善は、人材の確保に有効な施策であり、確実な実施と、今後とも随時、継続的な制度を検討する必要があると思っております。
この制度の安定的な実施のためには、財源問題は最も重要な課題であると思っております。2月から9月までの処遇改善は全額国費ですが、資料2ページで示された10月以降の案では、基礎自治体の財政への影響が発生し、保険者はもとより、被保険者の負担も必要となります。
12月の分科会でも申し上げましたが、その財源については確実な措置をしていただければと思っております。
また、この度の処遇改善に併せまして、国におかれましては、介護従事者の養成や介護人材の広域的確保など、介護人材確保に引き続きお取り組みいただきますようお願いを申し上げたいと思います。
以上でございます。
○田中分科会長 御要望ありがとうございました。
今井委員、お願いします。
○今井委員 民間介護事業推進委員会の今井でございます。
私のほうからは1点だけ質問をさせていただきたいと思っております。
今回の審議内容について特に異論はございませんが、今回の緊急経済対策については介護職員全体の底上げというものが目的だったかなと思っております。その中で、今回、新加算という形で加算算定の方式を取られていますが、加算という方式を取ると、取得する事業所と取得しない事業所が出てきて、事業者間での差異や利用者負担の問題も顕在化すると考えます。そういう中で、今回、基本報酬の繰り入れた引上げではなくて加算算定・取得とした理由についてお聞かせいただきたいという質問でございます。
以上でございます。
○田中分科会長 質問にお答えください。
○古元老人保健課長 御質問いただきましてありがとうございます。
今回、処遇改善のサービス区分ごとの加算率を設ける形の加算という形で提案をさせていただいております。これは、例えば先ほど議論のございました、介護職員の方のベースアップに3分の2は少なくとも使用するなどの要件を設けた上で、それに該当する事業所に対しての報酬ということでございますので、やはり従来のスキームから申し上げますと加算というものがなじむのではないかといった提案でございます。
その他、基本サービス料を見直す場合には、その要件のあり方を含め、今後どのように取り扱っていくのかは介護報酬全体の話にもなると思います。御意見をいただきながら進めていくということだと思いますが、今回の加算についてはそういった趣旨で提案をさせていただいたものでございます。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 今井委員、よろしいですか。
では、次に江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員 ありがとうございます。
今回の介護職員処遇改善支援補助金の趣旨においては、公定価格として賃金が支払われております医療、介護、障害、保育分野を皮切りとして、国民の賃金の上昇を実現するというものと理解しております。したがいまして、人材確保というよりは経済対策の要素に重きが置かれていると考えています。
公平性の観点から申し上げますと、今回の補助金が全国の介護分野に従事している職員に平等に配分されることが重要であると思っています。令和4年10月以降も介護職員処遇改善加算の算定事業所の介護従事者が対象となる案が示されておりまして、4ページの新加算のイメージも3階建てとなっておりますが、介護職員処遇改善加算を算定していない事業所の介護従事者との格差がますます大きくなることになります。これまでも複数の委員が申し上げていることと同様でございます。
そもそも医療機関の看護補助との処遇改善が甚だしい実態の問題が背景にございますが、例えば介護医療院においては、介護従事者処遇改善加算の算定事業所が今もって8割にとどまっています。ということは、その他の2割の介護医療院の介護従事者においては、今回の恩恵が届かないということにもなります。今回の補助金の趣旨を考慮いたしますと、決して事業所の評価ではなく、個々の現場職員への恩恵であるべきでありますし、全国の介護事業所の職員の配置数に応じて配分がなされるべきとも考えています。例えば令和4年10月の改定に間に合わなければ、令和5年4月からの見直しも検討の余地があると思っています。
論点の3番目に追加的な事務負担が発生との記載もありますが、介護現場で頑張っている職員に恩恵が届くことが主目的であり、今後においてその目的を実現するための事務負担は必要な事務負担とも考えられます。
また、各事業所においては、これまでの手厚い介護職員処遇改善加算と介護職員等特定処遇改善加算の支給方法が確立しています。今回の補助金の補助金額の支給のみでは、社会保険料の等級に変更を来す額ではございませんが、これまでの処遇改善加算について、例えば職員の年単位の手取りが少しでも増えるように、毎月の手当よりも一時金のみの支給で行っている事業所も存在しています。直近の支給実態の状況も踏まえた上で、今後の支給方法も検討する必要があると思っています。
いずれにしましても、期中において、先ほどから出ております1.13%相当の改定率が必要とされておりまして、その財源確保について社会保障の充実に充てる歳出の見直しで確保とされていますけれども、審議会等での十分な議論をお願いしたいと思っています。
最後に、今回の補助金の政策が経済の活性化、並びに介護サービスの質の向上及び地域づくりの基盤強化による地域包括ケアシステムの推進、ひいては地域共生社会の実現に資することを大変期待しております。
以上でございます。
○田中分科会長 大変幅広い項目について的確な御意見を頂戴しました。ありがとうございます。
亀井委員、お願いいたします。
○亀井委員 ありがとうございます。
まず一つが、また申請事務が複雑になってきたなと思っています。加算の関係は補助金申請があって、実績があって、今、新たな加算もまた増えてきたわけです。これも加算と言わずに盛り込んでしまってもいいのではかなとも思っているのですが、またそこらは御検討いただきたいと思います。
それと、これは報酬改定になります。システム改修は国保連が行っていくわけですが、この予算はどちらから出るのかなと思っています。
最後ですが、全世代型の社会保障の議論がこれから始まりますが、政府も人口問題を正面に据えてやっていこうかという体制を整えられたことについては、私は大歓迎であるし、ここをきっちりやっておかなかったら、若い人の支持は得られないと私は思っているので、人口問題を正面に据えてこれから政府がやっていくということについては大歓迎です。
私も今、子ども・子育て、家族支援についての国会議員さんの勉強会であったり、有識者の方の勉強会であったりに呼ばれて意見を述べさせていただいていますけれども、この介護の分野であったり、医療の分野から抜くということはできないわけです。介護なんていうのは不変の制度になっておりますので、全世代型については新たな財源を求めていくしかなかろうと私は思わせていただいておりまして、そんな意見をずっと述べさせていただいているところでございます。
以上です。
○田中分科会長 引き続き強力に御発言ください。ありがとうございます。
ほかにございますか。
一当たり御意見あるいは質問を頂戴して議論が進みました。ありがとうございます。
ほかにないようでしたら、本日の御意見も踏まえて、事務局においては引き続き検討を進めてくださるようお願いします。
本日の審議はここまでとしてよろしゅうございますか。
最後に、次回の分科会の日程等について事務局より説明してください。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。
次回の日程につきましては、事務局から追って御連絡をさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。
お忙しいところ