令和3年12月8日 第204回 社会保障審議会介護給付費分科会(議事録)

日時

令和3年12月8日(水) 15:00~17:00

場所

WEB会議
赤坂インターシティコンファレンス 301

出席者

委員 ※五十音順

議題

  1. 1.介護現場で働く方々の収入の引上げ(「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」・令和3年度補正予算等)について(報告)
  2. 2.その他

議事録

議事内容
○古元老人保健課長 お待たせいたしました。これより、第204回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開会させていただきます。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 今般の新型コロナウイルス感染症に関する様々な対応につきましては、各自治体や関係団体の皆様には、各方面において多大な御尽力をいただいておりまして、感謝を申し上げます。
 本日は、これまでと同様、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきます。また、傍聴席などは設けず、動画配信システムでのライブ配信により一般公開する形としております。
 ここで、会の開催に当たりまして、委員の交代がございましたので御報告いたします。
 まず、伊藤委員、藤野委員が御退任されておりますので、御報告いたします。
 また、新任の委員を御紹介申し上げます。
 公益社団法人日本介護福祉士会会長の及川ゆりこ委員でございます。
 続きまして、日本労働組合総連合会総合政策推進局生活福祉局局長の小林司委員でございます。
 本日の委員の出席状況でございますが、亀井委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 また、長内繁樹委員に代わりまして、甲斐智典参考人に御出席いただいております。
 なお、黒岩委員、堀田委員につきましては、遅れて御出席いただく旨を御連絡いただいております。
 以上により、本日は23名の委員に御出席いただいております。社会保障審議会介護給付費分科会として成立することを御報告申し上げます。
 次に、事務局に異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 私、今、司会進行をさせていただいておりますが、老人保健課長の古元重和と申します。11月に着任いたしました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認とオンライン会議の方法につきまして確認させていただきます。
 まず、資料の確認を行います。
 本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただきたいと思います。同様の資料をホームページにも掲載してございます。
 まず、議事次第と委員名簿がございます。
 資料1、介護現場で働く方々の収入の引上げなどについて、「報告」と記載した資料でございます。
 資料2,福祉用具・住宅改修評価検討会の結果について。
 参考資料1、第2回公的価格評価検討委員会の資料2でございます。
 参考資料2といたしまして、検討を要する福祉用具の種目について掲載してございます。
 資料の不足等がございましたら、恐縮ではございますが、ホームページからダウンロードをいただくなどの御対応をお願いできますと幸いです。
 最後に、オンライン会議における発言方法等について確認させていただきます。
 御発言いただく際には、通常の会議のように挙手をお願いいたします。オンライン画面で田中分科会長に御確認いただき、指名していただきますので、指名に基づき御発言いただくようにお願いいたします。
 挙手をしているにもかかわらず発言希望の御意思が会場に伝わっていないと思われる場合におきましては、オンライン会議システムのチャット機能などで会場へ意思をお伝えいただくことも可能でございますが、原則としては挙手にて意思表示をお願いいたします。なお、チャット機能等で記載いただいた内容についてはオンラインの画面に表示されますので、御承知おきいただきたいと思います。
 それでは、冒頭のカメラ撮影につきましてはここまでとさせていただきます。本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様を含めまして、ここで御退出をいただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○古元老人保健課長 ありがとうございます。
 それでは、以降の進行につきましては、田中分科会長にお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 委員の皆さん、こんにちは。お久しぶりです。
 早速、議事次第に沿って進めてまいります。
 本日は、「介護現場で働く方々の収入の引上げ(「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」・令和3年度補正予算等)について」、事務局から報告を伺います。
 「その他」として、福祉用具・住宅改修評価検討会の結果について、同じく事務局から報告をお聞きします。
 毎度のことですが、事務局においては資料説明を簡潔に行っていただくとともに、委員の皆様も御発言を論点に沿って簡潔に行っていただくよう御協力をお願いいたします。
 なお、本日の進め方ですが、議題1について報告を行った後、質疑を行い、その後、その他として事務局から2番目の報告を求めることといたします。御承知おきください。
 早速、議題1の「介護現場で働く方々の収入の引上げについて(報告)」を事務局から説明をお願いします。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。資料1に従いまして御説明を申し上げたいと思います。
 委員の皆様、報道などでも御承知いただいておりますとおり、介護現場で働く方々の収入の引上げにつきまして政府内で検討などが行われております。今日は、その現状について御報告を申し上げたいという趣旨でございます。
 1ページをおめくりいただきまして、右下に1と書いてある資料でございます。「全世代型社会保障構築会議・公的価格評価検討委員会について」ということで、各委員会の委員名簿などが記載されております。
 まず、上半分の全世代型社会保障構築会議でございますが、これは全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築する観点から、社会保障全般の総合的な検討を行うことを目的に開催されるものでございまして、本年11月9日に第1回が開催されたものでございます。
 その下、公的価格評価検討委員会でございます。こちらは、この上の会議の下に、公的価格の在り方を検討するための委員会ということで設けられたものでございます。同じく11月9日に第1回の会議が行われております。
 なお、公的価格評価検討委員会につきましては、第2回の会議が12月3日に開催されております。いずれにつきましても、内閣官房のホームページにその資料などについては掲載されております。
 続きまして、2ページは、今御説明申し上げました会議並びに委員会の合同会議におきまして岸田総理が発言された内容でございます。
 誰もが安心できる、全世代型の社会保障を構築していくことは、私の掲げる分配戦略の大きな柱です。
 中でも、看護・介護・保育・幼稚園などの現場で働く方々の収入の引上げは、最優先の課題です。その第一歩として、民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて、今回の経済対策において、必要な措置を行い、前倒しで引上げを実施いたします。
 公的価格評価検討委員会においては、その後の更なる引上げに向けて、各制度における公的価格の制度の比較、処遇改善につながる制度の見直し、処遇改善目標などを議論し、安定財源の確保と併せた道筋を考えていただき、年末までに中間整理を取りまとめていただきますようお願い申し上げます。
 こうした趣旨の御発言でございます。
 3ページ目でございます。こうした大きな経済対策といった流れの中で、11月19日に閣議決定されました「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」でございます。この中に、公的部門における分配機能の強化等、マル1看護、介護、保育、幼児教育など現場で働く方々の収入の引上げ等についての記載がございます。
 下線部を読み上げますと、「民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置を、来年2月から前倒しで実施する」、こういった方針の経済対策が閣議決定をされているということを御報告申し上げます。
 4ページでございます。これは、第2回公的価格評価検討委員会に提出された資料でございます。この中で大きく3点、上から「処遇改善の方向性」、さらには「処遇改善に向けた政策手法」、そして一番下、「安定財源の確保と併せた道筋」ということで記載をされております。
 1つ目の方向性につきましては、職種間の均衡をどのように考慮するか、労働時間や経験年数等の要素を考慮すべきかといった論点がございます。また、様々な職種についての記載がございます。
 2つ目の処遇改善に向けた政策手法といたしまして、処遇改善の実効性の担保、経験・技能のある職員への重点化など、現行の介護・障害・保育の制度について、どのように評価するのか、今後、見直すべき点はないか。また、利用者負担、保険料負担など、こうしたものについてどのように考えるのか等の論点が示された資料となっております。
 最後、5ページ目でございます。こうした閣議決定などを踏まえまして、現在、政府が策定しております令和3年度補正予算案についての御報告でございます。「介護現場で働く方々の収入の引上げ」ということです。
 概要を御覧ください。対象期間としては、令和4年2月~9月の賃上げ分。
 補助金額といたしましては、対象介護事業所の介護職員(常勤換算)1人当たり月額平均9,000円の賃上げに相当する額でございます。
 取得要件といたしましては、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している事業所を想定してございます。
 対象となる職種は、介護職員。ただし、事業所の判断によりまして、他の職員の方の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう、柔軟な運用を認める方針でございます。
 最後に、交付方法といたしましては、対象の事業所は都道府県に対して申請を行いまして、対象事業所に対して補助金を支払うということ。国費10分の10、予算規模といたしましては約1000億円として要求をさせていただいているところでございます。
 資料1の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○田中分科会長 説明をありがとうございました。
 では、ただいま報告を伺った事項について、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。どなたからでもどうぞ。
 小林委員、及川委員。
○小林委員 御指名ありがとうございました。
 報告事項ということですが、意見表明をしたいと存じます。
 介護現場で働く方々の収入を引き上げていこうという政府の方針は評価します。将来にわたって質の高い介護保険サービスを利用できるようにするには、それを担う人材の確保が不可欠です。この間、前任の委員であった伊藤を含め、連合としてさらなる処遇改善を継続的に行うよう、様々な場で繰り返し訴えてまいりました。
 今年度の介護報酬改定では、残念ながらさらなる処遇改善策が盛り込まれませんでしたが、今回の岸田首相の御発言及び経済対策に書かれているように、現場で働く方々の収入を引き上げることが全ての事業所で実行され、それぞれの働く方々の手元に確実に行き渡るようにすることが欠かせません。
 過去、保育士の処遇改善のことではありますが、会計検査院の指摘で加算額が賃金改善に充てられなかったことが明らかになりました。介護でこのようなことが発生してはなりません。そのためにも、実際にどのような賃上げが実行されたのか、財源が全て介護労働者に行き渡ったのか、これらが明確に分かるよう、事業者からの報告を義務づけることが不可欠です。
 その上で、資料1のスライドの5枚目にある補正予算案に書かれた項目に関連して、大きくは2つ意見と1つ質問がございます。
 まず、賃金の引上げを一時的なものではなく、全産業平均の水準に達するまでの継続的なものにする必要があります。介護労働者の賃金は全産業平均に比べて月収で約7万円、年収で約120万円低い実態にあります。仮に月額9,000円の賃上げがなされたとしても、今の全産業平均に追いつくには8年を要します。この取組だけではまだまだ不十分と言わざるを得ません。これまで以上に介護分野に人材が集まり、他産業よりも介護が選ばれるという状況になるよう、今こそ強力に推し進めていくことが必要です。
 次に、賃金引上げの対象についてです。資料には、他の職員にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認めると書かれていますが、介護分野全体の底上げを図るためにも、ケアマネジャー、訪問介護、福祉用具専門相談員、事務員など、介護現場で働く全ての労働者を対象とすべきです。また、その配分に当たっては、労働者に丁寧に説明し、合意形成を図ることが不可欠です。
 最後に1つ質問です。このスライドの取得要件には、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得している事業所と書かれています。処遇改善加算のⅣとⅤは経過措置も今年度で廃止され、事業者数も少ないと聞いておりますが、全ての事業者で賃金の引上げが実施されなければなりません。
 この間、取得促進支援事業として上位の区分の加算取得に向けた支援が行われていますが、昨年11月の分科会では、加算Ⅳの算定事業者が321、加算Ⅴが449という数字を昨年6月のサービス提供分として報告いただいていましたが、その後、どのような進捗があったのか、取組状況と併せて教えていただきたく存じます。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 Ⅳ、Ⅴについて御質問がありましたのでお答えください。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。老人保健課長でございます。
 まず、処遇改善加算の取得促進事業の状況について御説明申し上げます。処遇改善加算Ⅳ、Ⅴを算定する事業者や加算未算定の事業所を対象といたしまして、介護職員処遇改善加算等取得促進支援事業を行ってまいりました。すなわち、加算の仕組みや取得方法についての研修会、さらには専門家の派遣などによる個別相談、こうしたことを様々行ってまいりました。
 本事業によりまして、平成30年度から令和元年度まで個別相談件数は1,551件、このうち加算Ⅲ以上を取得いたしましたのは予定も含めまして782件という状況でございます。
 今年度も、自治体による個別相談に加えまして、国の委託事業により専門家を派遣する個別相談を実施しております。引き続き、処遇改善加算等の取得促進を図ってまいりたいと思います。
 また、Ⅳ、Ⅴの施設につきましては、まず、令和元年度の取得状況を申し上げますと、事業所に対する割合は加算Ⅳが0.3%、加算Ⅴが0.5%であったところ、令和3年3月サービス提供分におきましては、加算Ⅳが0.2%、Ⅴが0.3%でございます。いずれも算定している施設の割合は減少をしている。逆に、加算Ⅰを取得している施設などが増加しているということを御報告申し上げます。
 以上でございます。
○田中分科会長 及川委員、井上委員の順でお願いいたします。
○及川委員 ありがとうございます。
 初めに、今回の介護・障害福祉職員に着眼しての本措置につきまして、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
 この件につきましては、岸田総理からの発言の後、各団体で種々意見が出されていると承知しております。当日本介護士会でも、ホームページにおきまして10月15日に意見表明をさせていただき、さらに公的価格評価検討委員会宛てに意見書も提出させていただきました。
 この賃上げについては、種々不安要素があるのは事実でございます。そのことを踏まえ、ともかく丁寧な議論をお願いいたしたい。その際には、ぜひとも介護・障害福祉現場の意見に耳を傾けていただきますようお願い申し上げます。
 いずれにいたしましても、介護・福祉職の十分な確保とサービスの質の向上を実現するためにも、処遇改善につきましては最大限の御配慮を重ねてお願い申し上げるものでございます。
 意見でございました。ありがとうございました。
○田中分科会長 御意見ありがとうございます。
 お待たせいたしました。井上委員、どうぞ。
○井上委員 ありがとうございます。井上でございます。
 岸田政権では、新しい資本主義のコンセプトとして成長と分配の好循環というものを掲げられております。この成長と分配の好循環につきましては、我々経団連としてもその方向性に賛同をしておりまして、今回の介護現場で働く方々の収入の引上げの必要性については理解をするところでございます。
 先ほど説明がありました資料の中で、9月までは国費10分の10ということでございますけれども、10月以降につきましてはどのように対応するのか。介護報酬で対応するということも可能性としてあるのではないかと考えます。
 その場合には、次のような点を踏まえて検討を行うことが必要かと思います。第1に、御指摘がありましたとおり、今回の処遇改善は、確実に職員に配分をされて、これが経済の好循環につながっていくことが必要かと思います。
 2点目といたしまして、今回の処遇改善、さらには、過去にも各種の処遇改善がありましたので、この効果がどうだったのかという検証も必要だと思います。経済との好循環の関係、あるいは介護職員の人材確保につきまして、どういうふうに効果があったのかということにつきましても検証が必要かと思います。
 第3ですけれども、我々はこれまでも申し上げておるのですが、基本的には処遇改善というのは、本来は事業者、労使間が自律的に決めるべきものだと原則としては考えております。この点に関連しますと、介護現場のサービスの向上、効率性の向上、生産性の向上という課題についても、やはり同時に積極的に取り組む必要があると思います。
 ICTとかセンサーなどの技術の活用とか、経営を大規模化するといったことも促して、さらに継続的な処遇改善につながっていくような仕組みをつくらないと、一時的な今回のようなこういう措置だけでは今後の介護現場の改善にはつながっていかないと考えます。
 最後に、保険料が活用されるということになりますと、保険料自体にどの程度の影響があるのか。逆に言いますと、分配と成長の好循環を回すためには中間層もしっかりと守っていかなければならないということもありますので、その中間層に与えるマイナスの影響も当然出てくる可能性がございます。その辺りにつきましてはしっかり検証が必要ですし、何よりも成長と分配が好循環で回ることが必要でありまして、単に分配して、それが貯蓄に回ってしまっては経済が回らないということでございますので、そのためにも社会保障全体の将来不安を解消していくという非常に重要な機能にもう一度着目した改革を、介護も含めまして進めていただきたいと思います。
 以上でございます。
○田中分科会長 様々な論点、ありがとうございました。
 黒岩委員、鎌田委員の順でお願いします。
 黒岩委員、どうぞ。
○黒岩委員 ありがとうございます。
 このたび補正予算案に盛り込まれました介護職員の賃上げについて、全国知事会を代表して一言申し上げたいと思います。
 介護職員の賃金引上げ自体は、専門性を適切に評価し、モチベーションアップを図る上で必要な措置であると理解しております。しかし、今回の賃上げは都道府県を通じた交付金というスキームになっております。これでは、事業所には申請書類の作成、都道府県には申請書の審査・支払い、こういった事務負担が新たに生じることになります。本県だけでも1万を超える介護サービス事業所がありまして、非常に多くの事務負担と経費が発生することは簡単に想像がつくわけであります。
 平成21年度に同様の形で処遇改善の事業が行われたときは、本県では新たに非常勤職員を20人雇用するとともに、常勤職員5人が対応したわけでありました。各都道府県では、昨年度は介護職員への慰労金、支援金の支給がありましたが、事務負担は非常に大きく、現在も事務処理が続いている状況であります。
 さらに、今年10月から、介護サービス事業所への新型コロナ対応への支援が介護報酬から都道府県を通じての補助金に切り替えられ、現在、その対応に追われているといったところであります。そこへ今回の賃上げに伴う新たな事務負担が加わることになるわけであります。
 このコロナ禍の中、各都道府県では全庁コロナシフトで対応に追われておりまして、人員体制に余裕はありません。職員の人件費や委託費など、国でしっかり事務費を確保いただかないと、到底この事務を担うことはできないといったことであります。
 しかし、そもそも大きな事務費をかけなければいけないようなスキームにすること自体、税金の使い道としていかがなものかという考えもあると思います。同じく今回の補正予算案に盛り込まれました子供への10万円の支給でも、現金一括支給なら約280億円の事務費が、半額の5万円をクーポンにしたら約967億円に跳ね上がるといった報道がありまして、国民から大きな批判の声も上がっているところであります。既存のシステムを最大活用し、簡素な仕組みにして、限られた財源をコロナ禍で苦しんでいる人により多く届けるべきであると考えます。
 そこで提案したいと思います。介護サービス事業所について、既に国民健康保険団体連合会を通じた介護報酬の請求・支払いのシステムがあります。このシステムを活用して、介護報酬と一緒に今回の賃上げ分の請求・支払いができるようにするべきであります。
 今回はスピード重視で介護報酬ではなく交付金にしたとのことでありますけれども、10月以降は介護報酬で対応する予定との報道もあります。だとしますと、いずれ介護報酬の請求システムは改修が必要になるのでありまして、システム改修を前倒しし、今回の賃上げの対応にも使えるようにすれば、事務費の節約につながるのではないかと思います。
 また、介護サービス事業所からの賃上げの計画書や実績報告書についても、既存の処遇改善加算の計画書や実績報告書と統合すべきであります。事業所と都道府県の双方に余計な事務負担と経費を増やすような手法を乱発することはやめて、無駄な経費をかけず、負担が最小限となるよう、今後、事業所や都道府県から意見をしっかりと聞いていただいて、負担のないスキームに見直すよう、全国知事会一致して強く要望したいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。事務処理軽減について強い発言をいただきました。
 鎌田委員、どうぞ。
○鎌田委員 ありがとうございます。認知症の人と家族の会の鎌田です。
 今回の経済対策として、介護の賃上げが前倒しで実施され、公的価格評価検討委員会でも継続的な検討が行われ、賃上げにより介護労働者が増え、安定的に働いてもらえるのであれば、それは大変うれしいことです。
 私たち介護保険のサービスを利用する家族にとっては、介護職員さんの人手不足や給料の低さ、コロナ禍で増えた様々な衛生管理での消毒や、職場外でも行動の規制をせざるを得ない窮状の中で、ぎりぎりの精神状況の中でも笑顔を絶やさずに働いておられる姿に頭が下がっております。
 なじみの関係が認知症の人にとっては居心地のよい環境であり、穏やかに暮らせる場です。そんな環境整備の一つに、このコロナ禍の中で逼迫した財政の中でも介護職員さんの収入増の経済対策が取られることは、私たちは本当にうれしいと思っております。過酷な労働環境の中で働かれている介護職員さんですので、バーンアウトされたことでケアが途切れるのではないかと不安や心配を抱えている中では朗報です。
 そう歓迎をしながらも、懸念することが幾つかあります。そのことを少し御意見として申し上げます。
 まず1つは、事業の継続性と財源の問題です。先ほどからおっしゃっておられる委員さんと同じですけれども、来年10月以降は再検討となっていますが、打ち上げ花火的に終わってしまっては、結局のところ将来性のない職場として、この現場に来られる方々はいなくなると思います。
 コロナ禍で働く場を失った人たちも介護現場には二の足を踏み、介護現場はクラスター発生などとともに大変な窮状だったと聞いています。利用者が危惧しますのは、平成23年より一般財源で始まった処遇改善加算と同じように、これが介護報酬に組み込まれるのではないかということです。
 私たち利用者の暮らしは、これ以上の負担はできず、利用サービスを減らさざるを得ない現状があります。介護保険料の上昇、年金財源の逼迫による支給額の引下げでの収入減、補足給付基準の見直しで爪に火をともすような暮らしの中で、年金や健康保険だけではもしものときに大変だからとためたことで、多額の負担をせざるを得なくなっています。
 御質問です。今後の財源の見通しはいかがでしょうか。見通しなく始めたわけではないと思います。分かる範囲で、今後のこの制度の仕組みをどういうふうにお考えになっているかお聞かせください。
 もう一つは、人材確保の取組です。今回、こういうふうに人材を安定的にということで制度を始められましたけれども、ロードマップ的なものが何もない状況です。令和2年の終わりぐらいに、人材確保についての課題と対策についてこの給付費分科会の中でも検討がされまして、実施していますけれども、介護現場の人材確保は厳しい現状が続いているという実感があります。
 公的価格の制度について、参考資料の14ページで収入増が行われていることが示されていますが、その効果を得ている実感が家族にはない。それは、給与のことでお辞めになる。寿退社をされる。結婚したら介護現場では働けないということも聞いております。
 これまでの14ページに示されているような給与をずっと、私もうちのしゅうとめが処遇改善加算を払っているわけですけれども、それが介護の人たちの給与に反映されて、その成果が数字的に現れているものがあれば、それをお示ししていただきたいと思っております。
 それと、取得の促進支援事業で取得率は上がっているということでしたけれども、先ほどの御説明では、1,551件の取得促進支援事業を使われて782件の申請があったということですけれども、新聞報道によりますと処遇改善加算の取得率は66%ほどということで、34%の事業所はまだ申請がされていない状況の中で、2万8000ぐらいの事業所がまだ取得されていない状況の中で、この取得促進支援事業を使われた事業所はそのうちの本当にわずかなところで、取得促進支援事業そのものがまだまだ使いづらいものであると思わざるを得ないと思います。
 せっかくつくっていただいた制度ですので、できるだけ申請をしていただいて、職員さんの給料に反映ができるようにと家族は願うばかりですので、なぜ、これがなかなか使われずに申請ができないのかというところの深掘りをされている、課題などが把握されているものがありましたら、御説明のほどお願いいたします。
 以上、3点の御質問と意見です。
○田中分科会長 ありがとうございました。質問が3点ございましたので、お答えください。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。老人保健課でございます。御質問いただきましてありがとうございました。
 まず、1点目でございます。今後の見通しなどにつきまして少し申し上げたいと思います。
 資料でも御説明させていただきました公的価格評価検討委員会におきましては、令和4年2月から実施をする措置後のさらなる引上げに向けて、公的価格の制度の比較、処遇改善につながる制度の見直し、処遇改善目標などを議論いたしまして、本年末までに中間整理を取りまとめることとされております。こうした議論を踏まえながら、介護報酬での対応を含めまして、年末の予算編成過程などにおいて検討が行われるということでございます。本日の時点で明確な方針をご説明することはできませんけれども、そのような中で決定をしていく。こういったことで御説明とさせていただきます。
 2点目につきましては、資料の確認などいたしたく、少しお時間をいただければと思います。3点目につきまして御説明申し上げます。
 今御質問いただきました60数%という加算の取得率のお話でございます。介護職員の方に対します処遇改善の加算というものには2種類ございます。1つ目は、介護職員処遇改善加算というものでございまして、今回の補正予算の対象と見込まれる施設が取得している加算でありますが、これは9割以上の施設が取得をされています。
 それに上乗せをする形で、介護職員等特定処遇改善加算という加算がございます。これは新しい加算でございまして、経験・技能のある介護職員の方を主な対象として様々な要件を基に設定したものでございまして、先ほど御質問にあった60数%の取得率というのはこちらの特定加算ではないかと考えております。
 話を戻しまして、先ほど御説明いたしました加算の取得促進については、前段で申し上げました介護職員処遇改善加算について、そこをまずベースとしてしっかり取得を促進していこうというものでございます。
 加えまして、もう一点だけ補足を申し上げます。処遇改善加算等の取得促進支援事業の対象としましては、後段で申し上げました特定加算の取得についても取得促進に向けた支援も行っているということでございますので、御理解をいただければありがたいです。よろしくお願いいたします。
○田中分科会長 鎌田委員、よろしいですか。
○鎌田委員 ありがとうございました。9割の方のうちのあとの1割でも、事業所数が多いのでかなりの事業所数になるので、引き続き100%になるようにお願いをしていきたいと思います。御説明ありがとうございました。
○田中分科会長 そのとおりですね。
 河本委員、東委員の順でお願いいたします。
○河本委員 ありがとうございます。
 介護職員の処遇改善については、これまでも累次の改善が行われておりますけれども、今回の政府の経済対策、補正予算で対応するということについては、介護職員の人材確保の観点から理解はしております。ただ、当会では、本来は経営努力や労使間の協議、調整で行われるべきものと考えているところでございます。いずれにしても今回の処遇改善が実効性のあるものとなるように、効果検証等も含めてしっかりと検討していただきたいと思います。
 また、来年10月以降の対応、手法や財源がどうなるかはこれからの検討ということでございますけれども、仮に介護報酬で対応することになりますと、利用者負担や保険料負担の増加につながるという問題がございますので、慎重に考えるべきであると考えております。
 医療費の伸びを大きく上回るスピードで介護給付費が増加していく中で、支え手である現役世代の負担は医療も含めて限界に来ていると考えております。限られた財源の中で対応していくためには、より一層の効率化・適正化が不可欠と考えておりまして、給付と負担の在り方、あるいは介護給付費の適正化、介護現場の生産性向上、さらに財政中立を基本とした介護報酬の改定等、こういったことについて十分に検討、議論をすべきだと考えているところでございます。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 東委員、どうぞ。
○東委員 ありがとうございます。全国老人保健施設協会の東でございます。
 それでは、御意見を申し上げます。
 まず、このたびの看護・介護職員等の処遇改善を経済対策として実施していただくことは大変喜ばしいことであります。深く感謝を申し上げたいと思います。
 しかし、現場職員の処遇改善を介護報酬という公的価格の中で手当てをすることには、今や限界があると考えています。現在の介護報酬の中でも、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算と2つの処遇改善の加算が設けられておりますが、この2つの加算につきましても、特定の職員の処遇を上げる加算というものは、本来は介護報酬とは別財源で確保すべきものだと考えております。
 今申し上げたことを大前提としつつも、仮にこの10月から介護報酬で見るということになった場合に、3点の要望をしたいと思います。
 まず1点目は、現場の事務負担の軽減でございます。令和4年2月から9月分の処遇改善を交付金で9,000円、10月以降は報酬上でという方向性が示されておりますが、途中で制度が変更になりますと、先ほど黒岩知事もおっしゃっておりましたけれども、事務負担が大変増大します。10月以降に報酬上新たな加算等を創設された場合でも、新たな事務負担が発生しますので、現場の事務負担を増やすことのないように制度設計を丁寧にお願いしたいと思います。
 2番目が、介護報酬上での評価の在り方についてでございます。介護報酬上の対応となった場合には、この新たな処遇改善の財源が現時点での介護報酬の総額に上乗せされるわけでございます。したがって、次期以降の介護報酬改定におきましては、処遇改善に係る費用については介護報酬改定率から除外されるような制度設計をお願いしたいと思います。
 3番目に、介護現場における新たな処遇改善財源の分配方法についてでございます。コロナ禍におけるオンライン面会やLIFE対応のために、介護現場では業務効率化のためのICT機器の活用が必須となっておりますが、介護施設等ではまだまだICT化は進んでおりません。それを進めるために現場の担当職員がその業務に追われ、疲弊している状況も明らかとなっております。その職員の労苦に報いるためにも、看護・介護職だけでなく、その他の職員に対しても新たな処遇改善の対象となるよう配慮をお願いいたします。
 最後に、特に介護職員につきましては、人材不足が危機的状況となっております。ぜひ多くの人材が介護現場に集まる魅力的な職場環境の整備、それから現場職員の業務の効率化のためのICT環境整備を国が強力にサポートしていただきたいと思います。
 さらに、介護福祉士をはじめとした介護職の地位向上のためにも、介護助手等の活用についても引き続き推進をしていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○田中分科会長 多岐にわたりありがとうございました。
 田中委員、甲斐参考人、濵田委員の順で行きます。
 まずは、田中委員、どうぞ。
○田中委員 ありがとうございます。
 今回のことにつきましては、介護職員に対しての御配慮をありがとうございます。2点ほど質問がございます。
 まず1点目、常勤換算ということについて、黒岩委員、東先生が御心配されていたのと同様に、事務手続が増えるということがないようにという前提でお願いしたいと思いますが、施設の常勤換算数については、いつ、誰が、どのように、どこに報告し、どう判断する予定なのか、分かっている範囲で教えてください。2月ということで、もう非常に時間のない話でございます。
 2点目も重要なことと考えます。介護職員への支給費を上げることについてですが、先日、中医協でも日本慢性期医療協会の池端先生が、介護施設だけでなく、病院の介護職員へも補助を考えていただけませんかという発言をしてくださいました。今回は介護をする方への手厚い配慮と認識しております。しかしながら、これまでも当分科会でもたびたび議論に上がりながら、当分科会で対応すべき案件ではないというような残念な流れで来ていたのではないかと感じています。
 病院で従事する多くの介護職員についてです。彼らは働く場所こそ病院という医療現場ではありますが、行っている業務内容は施設で働く介護職員とほとんど変わりありません。にもかかわらず、彼らへの公的な資金は一切提供されていません。医療現場でも患者さんの高齢化はますます進み、さらにコロナ禍において医療現場で介護を要するコロナ患者さんも多く携わっていることからも、その功績をたたえ、十分な支援があってしかるべきと考えます。
 介護職への支援であれば、介護給付費分科会の仕事でもあると思います。中医協では、介護ではなく看護助手という立場となり、介護職としての支援を受けられず、また、当分科会では病院にいるからと対象外にされてしまうのでは、第一線で頑張る彼らに対して本当に申し訳ない思いです。
 さらに、現場は、介護施設で働こうと、病院で働こうと、介護をする職員として彼らを高く評価しています。そろそろ現場の実情に対して何らかの配慮をしていただくことはできませんか。局をまたいで相談、検討し、何とか全ての介護職員への国費での対応をしていただくことはできませんでしょうか。
 以上です。
○田中分科会長 質問が2点ございました。病院の介護職員は制度のはざまで、それぞれ意見があるけれども、なかなか実行に移せない。確かにそうですね。2点の質問にお答えください。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。今2点いただきました。老人保健課長でございます。
 まず、常勤換算などの算定のタイミングや判断の事務手続についての御質問をいただきました。こちらにつきましては、先ほど黒岩委員からもございましたが、施設側並びに自治体等の御負担の少ない方法を探るべく鋭意検討しておりまして、申し訳ありませんが、詳細について本日御説明申し上げる内容を持ち合わせませんけれども、できるだけ早いタイミングで案をお示しできるようにしてまいりたいと思います。御意見をいただきましてありがとうございます。
 2つ目、病院の介護職員の方のことでございます。御意見として今日は頂戴いたしまして、その上で、現在の考え方につきまして改めて御説明申し上げたいと思います。
 介護サービス事業所で働く介護職員の方の賃金が多職種に比べて低いなどの状況がある中で、これまで累次にわたりまして人材確保に向けた処遇改善の取組を実施してきているところでございます。このため、現行の処遇改善加算などにつきましては、介護報酬の対象となるサービスのうち、介護職員が基準上配置されているサービスを対象としてきた、こういった経緯がございます。
 今回の補正予算案につきましても、基本的にはこれまで御議論いただいたこういったフレームの中で検討させていただいているところでございますことをまずは御報告申し上げます。
 その上で、本日御意見をいただきましたので、またしっかり今後の検討を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。
○田中分科会長 田中委員、よろしいですか。
 局をまたぐ話なので、しっかりと議論してほしいですね。
 甲斐参考人、どうぞ。
○甲斐参考人 ありがとうございます。
 皆様の意見と重なるところはございますけれども、全国市長会としての意見を述べさせていただきます。
 保険者として様々な工夫をしながら、地域に必要な介護サービスを適切に確保・提供している中、介護人材の確保が特に大きな課題となっていますので、今回の収入の引上げについては人材確保の観点からも歓迎するところでございます。介護現場で働く方々の確実な処遇改善、収入の引上げにつながるよう、今後適切に制度設計を検討していただき、実施してくださいますよう、お願いいたします。
 次に、令和4年10月以降の効果が継続される取組についてでございます。今回の提案については賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度引き上げるための措置を令和4年2月から9月までの実施とされています。令和4年10月以降の効果が継続される取組については、今後さらなる検討がなされるとは思いますが、国においてあらゆる方策を幅広く丁寧に検討し、介護従事者はもちろん、国民にとっても理解が得られる制度としていただきたい。
 また、仮に介護報酬上の評価において実施することになりますと、第8期途中での改定となりますので、今期の保険料設定時には想定していない介護保険財政への影響が発生することとなりますので、保険者はもとより、サービス利用者、被保険者としても想定外の負担が発生しかねないことから、その負担が過重とならないよう、必要な措置を併せて検討し、実施してくださいますようお願いいたします。
 以上2点、意見でした。ありがとうございました。
○田中分科会長 御意見、ありがとうございます。
 濵田委員、小泉委員の順で行きます。
○濵田委員 どうもありがとうございます。
 今回の経済対策における収入の引上げ対象に、介護支援事業所の介護支援専門員や地域包括支援センターで勤務する主任介護支援専門員等が含まれておりませんのは大変残念であります。本件につきましては当会の所掌ではないとのことでございますけれども、公的価格評価検討委員会に要望事項を提出しておりますので、本分科会の場でもこれをお伝えさせていただければと存じます。
 介護支援専門員はケアマネジメント専門職として、利用者の自立支援に資するケアマネジメントの実践、医療・介護連携の促進や、介護保険以外のサービスへの対応、家族介護者の介護離職防止などの世帯全体への支援、災害時の被災者支援など、地域福祉の場面でもその役割は年々大きくなってまいっております。
 さらに、近年、認知症等に起因する生活課題の顕在化に伴い、入院時のサポートや見守り、介護保険以外の相談支援の機会が増え、介護支援専門員は必要に迫られて対応するケースも増加してございます。このように、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターに勤務する介護支援専門員、主任介護支援専門員の業務が拡張している中で、人材の確保は深刻な状況になっております。
 その一因として、業務量と賃金の不均衡が指摘されているところでございまして、既に賃金につきましては、40歳以下の年齢層では無資格者を含む介護職員のほうが介護支援専門員よりも高いという逆転現象が起きているとする資料もございます。
 居宅介護支援事業所や地域包括支援センターをはじめ、各種の事業所、施設に勤務する介護支援専門員や主任介護支援専門員が社会的な役割に見合った評価を得られる環境づくりが必要と考えます。このため、収入引上げの検討が今後引き続き行われるに当たり、介護支援専門員や主任介護支援専門員も同対象職種に加えていただきますよう要望いたします。
 以上でございます。ありがとうございました。
○田中分科会長 重要な問題意識ですね。私も同感です。
 小泉委員、お願いします。
○小泉委員 ありがとうございます。全国老人福祉施設協議会の小泉でございます。
 まず、公的価格については、介護職員等の地位向上、処遇改善においては大変ありがたいことでございます。しかしながら、介護保険制度がこれ以上複雑化しないように、財源確保からも考慮をいただきたいと考えます。
 また、介護職員だけに対象職種を限定せずに、事業者の裁量に任せていただき、職種間格差がこれ以上増強されるようなことは控えていただきたいと考えます。
 利用者の負担増とならない形で実施をしていただきたい。他の委員からもこういった御意見があったようでありますけれども、また、処遇改善に必要な財源について、介護保険以外の財源から調達することができないでしょうか。職員の処遇改善とサービス提供は別物として評価をしていただきたいと考えます。
 さらには、これを機会に、介護職員処遇改善加算、介護職員等特定処遇改善加算の在り方についても検討をいただきたいと考えます。
 また、2月からの運用と10月からの運用が異なりますと、現場では混乱が起きますので、運用の方法の変更はぜひ回避していただきたいと考えます。
 介護保険制度ではありませんのでこの場での議論は困難かと思われますが、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、ケアハウスについても公的価格の対象となるよう検討、対応していただくことを切に要望したいと考えます。
 以上です。ありがとうございました。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 田母神委員、どうぞ。
○田母神委員 ありがとうございます。日本看護協会の田母神でございます。
 私から、看護職員の賃金について意見を申し述べます。
 参考資料に看護師の給与について示されております。これについて高い印象を持たれるかもしれませんが、全産業で示されている部分には非正規の場合や高校の卒業の場合も含んでいると理解しております。看護師の場合には、高校卒業後3年から4年、専門教育を受けておりまして、また正規職員が多いことを勘案してこれを見ていただく必要がございます。また、全産業を上回るのは比較的若いうちだけでございます。年齢が上がると全産業平均とは逆転をしております。
 また、病院と比較しまして、訪問看護ステーションを含みます介護領域で従事する看護職員の賃金は低い水準にとどまっております。基本給の部分においても、病院と介護施設、訪問看護の賃金には差がございます。
 看護職員が少人数で医療ニーズへの対応や、看取りへの対応等を行い、また、介護領域で働く看護職員の役割が非常に幅広くなっております。介護領域で働く看護職員の処遇改善が図られなければ、人口減少に直面している社会において、質の高い看護人材の確保や定着がますます困難になると考えております。
 そのため、今般の経済対策としまして、資料の3ページに明記をされております公的価格の在り方の抜本的な見直しに向けた検討の際には、介護領域の看護職員の賃金の引上げを実現するための新たな仕組みについて、議論の対象としていただくよう要望いたします。
 また、長寿社会を支えるために、介護領域の職員の収入の抜本的な見直しのためには、令和4年度以降の財源確保が不可欠であると考えますので、この点について併せて要望いたします。
 以上でございます。
○田中分科会長 御要望、ありがとうございました。
 今回は、皆さん、手挙げマークを使っていらっしゃるから、手を挙げた順番に並んでいくので見落とす心配がなくなりました。
 米本委員、石田委員、小玉委員、荻野委員、吉森委員、お願いします。
 米本委員、どうぞ。
○米本委員 ありがとうございます。
 皆さん、同じようなことをずっと繰り返されているような形で聞こえてまいります。意見はもう出尽くしたような形でございますので重複はいたしませんが、私ども町村会といたしましては、中山間地域や離島等で介護人材確保に大変苦労しているところでございます。
 よって、今回の資料1の説明でありました介護現場で働く方々の収入の引上げについては、国が補助率10分の10で対応するとのことでもありますし、大変評価をしております。
 また、処遇改善を含む全体的な議論は今後行われるということでございます。しかしながら、令和4年10月以降の対応については、保険料に影響がないように、安定財源の確保についてはやはり国が責任を持って対応していただければと考えております。
 以上でございます。
○田中分科会長 町村会からの要望でした。
 石田委員、どうぞ。
○石田委員 ありがとうございます。
 私のほうからは3つ意見を述べさせていただきます
 最初に、これを拝見させていただいて、介護の領域における月額9,000円の引上げというのは誰も反対する方はいらっしゃらないかなと思ったのですが、一方、先ほど看護協会の御意見がございましたけれども、この金額と比較して、果たして看護の領域と介護の領域についてうまくいくのかなと思ったものですから、ここに提示された金額の整合性というか、もう少しはっきり、誰もが認める内容でないといけないかなと感じたところです。
 いつもこういうように、処遇改善というときには月額9,000円という数字だけが独り歩きして印象に残ってしまい、全ての人に9,000円が行き渡るというふうに思われてしまうところがあると思います。ここの4ページにも書いてあるように、それぞれの法人によっていろいろなルールもあるし、あとは経験や技能のある方と入職したばかりの方が同じでいいのかという議論も残されています。かつても処遇改善があったということで現場のスタッフに聞いてみると、例えば「介護職の処遇改善で9,000円アップという話があったけれども、給料は9,000円上がったのですか」と聞くと、「いや、そこまで上がっていない」というようなリアクションが案外あったりします。こうした状況についての明確な説明というか、誰もが納得する説明の提示が非常に大事なのではないかと思いました。
 最後に、これまで他の委員からのご意見もありましたけれども、利用者としては、利用者の負担にどのくらい跳ね返ってくるのかという点が一番気にかかるところです。もちろん介護のスタッフの方にしっかり仕事をしていただきたいし、処遇も改善してほしいというのはみんな願っているところですが、結局のところ、それについて利用者負担であったり、保険料が上がったりということがあるわけですので、そこも納得がいく、きちっとした説明を示していただきたいなと。これは利用者側の意見として申し上げたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。説明の大切さですね。
 小玉委員、どうぞ。
○小玉委員 ありがとうございます。
 資料1の5ページの介護現場で働く方々の収入の引上げというところで、補正予算案が令和3年度1000億円となっているのですけれども、これがもっと額が上がったり、それがある程度継続的に手当てされるようになればいいかなと、これは国に対する要望がどこかでできればいいかなと思っています。
 それで、対象となる職種は介護職員の方となっていますけれども、様々な職種の方もいらっしゃって、介護職だけではなくて専門職の方もおられると思います。令和3年度の介護報酬の改定でLIFEのことが入ってきまして、口腔とか栄養とかリハという関係の方もいらっしゃって、そういった方たちの報酬もある程度上がっていくということは、施設それぞれの底上げにもなってくると思います。特に平成30年度の処遇改善のときには、かなり事業所の方たちはやる気も出てきたり、新しい参入の方も増えたということも伺っていますので、そういったことが持続的にうまくいくような取組を全体で考えていただきたいと思います。
 参考資料1の公的価格についての職種別平均賃金というのを見ても、かなりばらつきがある部分があります。下のほうの収入が低い部分では、そこを上げていくということは、トレンドとしてずっと続くような仕組みづくりを介護給付費分科会をはじめ、いろいろなところで考えていく必要があるかなと思っていますので、よろしくお願いします。
 以上です。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 荻野委員、どうぞ。
○荻野委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の荻野ございます。
 今回お示しされました5ページ目の介護現場で働く方々の収入の引上げに関する対応につきましては、非常に重要なことと思っておりますので、対応方法等につきましては賛成をさせていただきたいと思います。
 他の委員の御意見と重複することになりますけれども、2点、申し上げさせていただきます。
 今回の対応につきましては、令和4年2月から9月までの対応となっておりますけれども、10月以降の対応につきましては、今後の議論となると思いますが、どのような形、あるいは方法で実施することが適切なのか、この辺りについては改めてこの場でするべきものと考えております。
 また、2月から9月までの対応についての様々な視点からの効果検証を行うことは私どもも必要であると考えておりますので、併せてお願いをさせていただきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 お待たせしました。吉森委員、その後、江澤委員に行きます。どうぞ。
○吉森委員 ありがとうございます。
 今回、令和3年度補正予算事業によっての令和4年2月から9月までの賃上げ分を対象にした今回の報告内容については一定理解するものでありますけれども、10月以降の対応について、別途4年度の予算編成過程において政策手法も含めて検討すると。また、公的価格評価検討委員会では、年末までの中間整理の取りまとめに向けて、処遇改善に必要な安定財源の確保について議論が行われるとされております。
 その議論の過程で、仮に介護報酬で処遇改善の目標分を確保するとした場合に、先ほど来、経団連の井上委員や健保連の河本委員の意見と同調しますので、長くなりますのでこの部分は割愛しますけれども、特に新型コロナ感染症への対応に迫られている現在の経済環境の中での、中小・零細事業所の加入者や事業所の保険料負担や自己負担額の影響等々についての考察は非常に重要な論点であると考えておりますので、この論点をしっかりと踏まえた上で総合的な検討が行われることを、我々加入事業所の約8割が従業員9人以下の中小事業所が占めている被用者保険の保険者として強く要望しておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 以上です。
○田中分科会長 10月以降についての御懸念でした。ありがとうございます。
 江澤委員、お待たせしました。
○江澤委員 ありがとうございます。
 このたびの国の対応でございます、介護現場で働く方々の収入の引上げに対しまして、補正予算の総額1000億円、さらに介護職を中心とした医療分野、あるいは障害福祉サービス、保育サービス、合わせまして8か月分で2600億円の大変な御支援を賜り、現場としては本当にありがたく感謝しているところでございます。
 一方で、今いろいろ意見が出ておりますように、これを一時的な、単発的な措置とすることなく、いかに恒久化するかということが既に課題になっていると思っています。令和4年10月以降、どう続けていくのかということが重要な視点となると思います。
 8か月で1000億円ですから、年額で言うと1500億円、介護現場の介護職員常勤換算138万人に月額9,000円を1年間、12か月分にすると約1500億円になるわけですが、この額はこの4月の介護報酬改定、コロナ分を除くプラス0.65%でしたけれども、ざっくりそれの2倍程度の手当てを要することにもなりますので、大変難しい課題だろうと思っています。
 したがいまして、当然、公費の投入、利用者負担、保険料負担への与える影響もかなり大きいわけでございますので、慎重な検討が必要でありますし、果たして介護報酬で対応が可能なのかどうか。恐らく多くの方はもう限界点に達しているのではないかとも考えていると思っています。
 また、今回のこの収入の引上げは、人材確保の視点ではなく経済対策でありますので、これまでの介護処遇改善加算とは趣が少し異なっています。また、公的価格の範疇となりますと、介護現場の全ての従業者が対象となると考えられます。
 したがいまして、10月以降の対応は、当然国の政策の方向性を見据えてということになりますけれども、当分科会として議論すべきことに関しましては、ぜひ早めに対応して、どういう方向性がいいのか、慎重かつ深い議論が必要ではないかと思っています。
 したがいまして、経済対策と、もちろん人材確保はバックにありますけれども、そういったことも考えながら幅広い視野で、今後、当分科会でも検討の場を持っていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございます。
 10月はすぐ来てしまいますよね。のんびりしていられません。ありがとうございます。
 一わたりよろしゅうございますか。
 お答えになりますか。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。事務局、老人保健課長でございます。
 先ほど鎌田委員より御質問を3点いただきました。そのうち2点目について御回答ができておりませんでしたので、御回答を申し上げたいと思います。
 過去の賃上げ、様々な取組について、その成果が分かる内容がないのかといった御質問でございました。それにつきましては、本日の参考資料1の14ページ、御質問の際にも鎌田委員は14ページを御覧になっていたと思いますが、これは累次行ってまいりました、この給付費分科会でも御議論いただいた、様々な処遇改善の加算の内容でございます。ここで積み上がっております数字はいずれも介護従事者処遇状況等調査によるものでございます。すなわちこれまでの実績を基本的には積み上げた数字と御覧いただければと思います。
 回答としては以上でございます。
○田中分科会長 事務局においては、各委員から出された御意見を今後の検討に生かすようお願いいたします。
 次に移ります。議題2の「その他」として出されている「福祉用具・住宅改修評価検討会の結果について」を事務局から説明してください。
○須藤高齢者支援課長 それでは、私、高齢者支援課長のほうから御説明申し上げたいと思います。資料2を御覧いただければと思います。
 1ページでございます。介護保険適用の福祉用具・住宅改修につきましては、事業者さんから、また様々な方からの提案をいただきながら、それについて第三者的に評価・検討して、しっかりと内容を議論しているというところがございます。
 その評価検討会の概要を改めて簡単に書かせていただいておりますが、通常、新規提案がある場合には、11月以降、内容をしっかり審査しまして、2月、3月に検討会を開くというものでございますが、昨年度以降、評価の検討の継続といういわゆる継続検討の枠組みも設けたところでございます。
 これについては、継続となったものについては翌年度以降しっかりとエビデンスが整理され次第、通年的に評価・検討を行っていくという整理をしてございます。現在、評価検討会の構成員の先生方の表を下のほうに載せてございます。
 次の資料2ページ目になりますが、今回、評価検討会の評価・検討の結果を御報告申し上げたいと思います。前回、今年の3月9日の開催で御報告申し上げておりました案件の中で、そのときにはエビデンス等が足りずに評価・検討が継続とされたものが5件ございました。その中の一つであります排泄予測支援機器につきまして、3月のときの視点をちゃんと踏まえたエビデンスの追加であったり、対応の追加というものが改めて提案がありましたので、それについて内容を精査した上で、11月19日に今年度の第1回の評価検討会で評価・検討を行ったところでございます。
 11月の継続審査に係る評価におきましては、3月の時点で足りないとされた3点につきまして、それぞれ内容を申しますと、在宅時に近い環境での効果のエビデンスデータの提供、それを通じて、2点目として、利用者像であったり、その利用像に合った使用方法をしっかりと提案すること。3点目として、サービスをやりっ放しではなくて、その後のメーカーによる具体的なサポートの提示。この3点につきまして今回改めて提案があったということを踏まえまして、それについて内容を審議の上、11月19日に開催されました評価検討会におきまして、介護保険の福祉用具販売の新規種目として追加することについて「可」ということをしたところでございます。
 今後の流れといたしましては、給付種目を定めております告示の改正に向けて必要な手続を進めまして、来年4月からの適用を図るとともに、その円滑な施行を図るために様々な留意すべき事項等がございますので、そういったものを整理した通知の発出等を併せて検討してまいりたいとするところでございます。
 この資料の下半分でございますが、11月の検討会で継続審査をいたしました排泄予測支援機器に対する総合的評価を記載してございます。
 提案機器といたしましては排泄予測支援機器ということで、手のひらに収まるぐらいの小さな機器を膀胱の近くの上に設置いたしまして、尿のたまり具合を可視化するとともに、排尿のタイミングを通信でお伝えする。そのことで、自立排泄支援を進めていくという内容でございます。
 これについては、先ほどの繰り返しになりますが、さきの3月の審査の際に足りないとされた以下3点の部分につきまして、しっかりと今回エビデンス等も含めて提案をされたということもありまして、その内容を判断させていただいたというものでございます。
 総合的評価の中で、特に11月の議論の中で、○の3つ目に当たりますが、やはり新規種目となりますので、どういう場合に使ったらよいのというのを分かりやすく、判断に資するような必要事項等を通知することが大事ではないかという御意見を多くいただきましたので、国といたしましてもしっかりと適切な対応ができるような支援をしてまいりたいと考えておるところでございます。
 最後に資料の3ページでございますが、これが令和2年度3月のときに指摘された内容、評価を書かせていただいております。特に3月の時点での排泄予測支援機器の総合的評価ということで下側に載せておりますが、特に○の2つ目の中にポツ書きが3つございまして、これが前回では足りなかったという指摘の部分でございまして、今回そこに対するエビデンス等が十分に提供されたことを踏まえまして、11月の評価検討会で改めて評価・検討の上、販売種目として追加することを「可」とすることを行った次第でございます。このことを今回の分科会のほうに御報告申し上げるという内容でございます。
 簡単でありますが、説明は以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 ただいま報告を伺った事項について、御意見、御質問がおありの方は御発言ください。
 江澤委員、どうぞ。
○江澤委員 ありがとうございます。今回というよりも、今後につきまして介護保険の福祉用具販売の新規種目として認可する場合について、少し意見を申し上げたいと思います。
 いろいろな機種、いろいろな機器がある中で、専門性の高い機器や用具も今後も増えてくると思いますので、専門性の高いものであれば、専門家、場合によっては専門委員会を設置して意見を聞いていくことも、今後の方策としては考えられるのかと思っております。
 既に医療分野においては数年前から、費用対効果の視点を導入しているところでございますので、なかなか難しい部分ではございますが、そういった考え方も今後検討も必要ではないかと思っております。
 一方で、新規種目として追加した後のことでございますが、市場に出た後の有用性とか、あるいは安全性の検証、もちろん介護事故が起きてもいけませんし、いろいろなトラブルがあってもいけませんので、そういった検証についても今後の検討課題と思っております。
 以上でございます。
○田中分科会長 ありがとうございました。
 及川委員、どうぞ。
○及川委員 ありがとうございます。
 排泄というプライベートな生活行為については様々な配慮を行った介護行為が必要となります。同時に、この介護行為はかなり時間を要するものであり、そのことから考えると、今回の機器の使用によって介護施設等での作業の効率化というものは大きく図れると考えられます。期待するところでございます。
 ただ、膀胱内の尿量だけで排泄行為が成り立っているものではなく、例を挙げて申しますと、精神的な不安などから、この機器を使ったときに排泄のタイミングではないと判断があったとしても、そういう行為に結びついてしまうということはございます。特に認知症の方々等によく見られる行動ではないかと考えますが、このようなことからも、利用者の不安や排泄の訴えというものについて、妨げるようなことにならないようにすること、それから、最初に申し上げましたように、プライバシーの配慮ということについて、この機器の使用に留意が必要であると考えます。
 意見でございました。ありがとうございます。
○田中分科会長 現場ならではの声ですね。ありがとうございました。
 ほかによろしゅうございますか。
 小林委員、どうぞ。
○小林委員 一つ確認の意味で質問がございます。
 スライドの2ページ目の総合的評価の欄の2行目に、「得られた効果に懸念を示す意見もある一方」と書かれています。参考資料に幾つか書かれているように思いますが、どのような懸念が指摘されたのか、例で結構ですので教えていただければと思います。
 以上です。
○田中分科会長 課長、お答えください。
○須藤高齢者支援課長 今の小林委員からの点でございますが、福祉用具、これは在宅での利用ということでございますが、そもそも前回3月の段階では、主に特養等でのエビデンスだったものですから、もう少し在宅に近い環境でということで御指摘があって、追加のエビデンスを取ったところであります。
 その中で、在宅そのものでのエビデンスが取れれば最高だと思いますが、先ほど及川先生からもお話がありましたように、プライバシーの問題もありまして、なるべく在宅に限りなく近い環境ということで、今回、認知症のグループホームでのデータを取らせていただいたということもありまして、完全に在宅ではない点に対して御懸念等もあったというところでございます。
 また、これも及川先生からありましたように、この支援機器で全て解決するわけではないと考えております。これは当然でございますので、こういった点について、いついかなるときでも効果を上げるものではないのではないかという観点からも少し御懸念があったところです。
 いずれにいたしましても、今回、より在宅に近い環境でエビデンスとして非常に有効であり、るまた、適切に利用者像、またそれに合った使用方法が示されたということをもって、やはりこれは非常に有効ではないかということが委員の皆様方の大勢の御意見でございまして、それで最終的に「可」という判断になったところでございます。
○田中分科会長 よろしいですか。
 特にないようですので、本日の審議はここまでといたします。御議論ありがとうございました。
 最後に、次回の分科会の日程等について、事務局より説明をお願いします。
○古元老人保健課長 ありがとうございます。
 次回の日程につきましては、事務局から追って御連絡させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきたく存じます。お忙しいところ、ありがとうございました。