2021年12月3日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

日時

令和3年12月3日(金)16:00~

出席者

出席委員(18名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 

欠席委員(2名)五十音順
 
日本赤十字社 血液事業本部
 
行政機関出席者
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  渡辺顕一郎(血液対策課長) 他

議事

○渡辺血液対策課長 お待たせいたしました。血液対策課長の渡辺でございます。通信環境の確認のため、少し時間を超過してしまいましたけれども、ただいまから薬事・食品衛生審議会薬事分科会令和3年度第1回血液事業部会を開催させていただきます。私は、11月1日に着任しました血液対策課長の渡辺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。本日の会議は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。マスコミ関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をよろしくお願いいたします。
 本日、大変お忙しい中、御参集いただきました委員の皆様方、誠にありがとうございます。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、本日Webでの審議とさせていただきます。
 これから委員の出欠状況を説明します。脇田委員、佐々木委員から、欠席の御連絡をいただいております。松下委員、矢口委員から遅れて参加するという御連絡をいただいております。本日の部会は、現時点で委員20名中16名の出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますので、薬事・食品衛生審議会令第9条によりまして、本部会が成立しておりますことを御報告申し上げます。
 次に、今般、委員の交代がありました。広島孝委員が新たに就任されました。
 本日は、日本赤十字社血液事業本部から、前野節夫副本部長、皆川信也経営企画部次長、松田由浩経営企画部次長にお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 最後に、事務局に人事異動がありましたので報告します。血液対策課課長補佐の佐野圭吾です。よろしくお願いいたします。
 続きまして、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。また、薬事分科会審議参加規程に基づいて各委員の利益相反の確認を行いましたところ、岡田委員、野村委員、松下委員、宮川委員から、関連企業より一定額の寄附金、契約金などの受取の報告をいただきましたので、御報告いたします。
 議題1に関しましては、岡田委員、松下委員につきましては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員につきましては、対象年度における寄附金、契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はありません。
 議題2に関しましては、松下委員につきましては、500万円を超えた受取との報告をいただいておりますので、議論には御参加いただかないという整理になっております。また、岡田委員、野村委員、宮川委員につきましては、意見を述べていただくことは可能ですが、議決には加わらないこととさせていただきます。他の委員につきましては、対象年度において寄附金・契約金等の受取の実績なし、又は50万円以下の受取であることから、特段の措置はございません。これらの申告についてはホームページで公開させていただきます。
 委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 議事に入る前に、会場にお越しいただいている委員の皆様におかれましては、本日の資料の確認をお願いいたします。タブレット上にマル1議事次第からマル7資料3-2までのPDFファイルが表示されているか御確認ください。ファイルが表示されていない場合や不足がある場合には、お近くの職員にお声掛けください。大丈夫でしょうか。タブレットの使用方法については、お手元の「ペーパーレス審議会タブレット操作説明書」を御覧いただき、御不明な点がございましたら事務局までお声掛けください。
 本日はWebでの審議のため、対面での進行と一部異なる部分がございます。審議の進行方法について説明いたします。審議中に御意見、御質問をされたい委員におかれましては、まず御自身のお名前と、発言したい旨を御発言いただきますようお願いいたします。その後、部会長から順に発言者を御指名いただきます。御発言いただく際は、マイクがミュートになっていないことを御確認の上、御発言ください。また、ノイズを減らすため、御発言が終わりましたら、マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。発言者が多くなり、音声のみでの判別が難しいほど混雑した際には、一度皆様の発言を控えていただき、発言したい委員については、チャットにその旨のメッセージを記入していただくよう、事務局又は部会長からお願いする場合がございます。その場合には、記入されたメッセージに応じて、部会長より発言者を御指名させていただきます。本日のWeb会議に際し、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてマスクを着用させていただく場合がございますので、御了承ください。
 まもなく議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。この後の進行につきましては、半田部会長にお願いいたします。半田先生、よろしくお願いいたします。
○半田部会長 早速、議題に入りたいと思います。議題1は「令和4年度の献血の推進に関する計画(案)について」です。本日は、当該令和4年度の計画(案)について、11月24日付けで厚生労働大臣から諮問がなされておりますので、本部会で審議したいと思います。事務局より、資料の説明をお願いいたします。
○菅原血液対策課長補佐 令和4年度の献血の推進に関する計画(案)についてです。資料1-1を御覧ください。計画案についての概要、諮問が4ページ以降、新旧対照表が15ページ以降です。
 まず、1ページを御覧ください。令和4年度の献血推進に関する計画(案)についての概要です。趣旨としては、安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律、いわゆる血液法ですが、その第10条第1項の規定に基づき、厚生労働大臣は、毎年度、翌年度の献血の推進に関する計画を定めることとされております。今回、来年度(令和4年度)の献血推進計画を定めるということで、今回御審議をお願いしているところです。
 その内容ですが、同じく血液法第10条第2項に基づき、献血推進計画は次に掲げる事項について定めております。第1として、当該年度、今回で言うと令和4年度に献血により確保すべき血液の目標量、第2に、その血液の目標量を確保するために必要な措置に関する事項、第3に、その他献血の推進に関する重要事項、これらについて定めることとなっております。これらの事項について、過去の献血の実施状況等や評価を踏まえて、来年度の献血推進計画を定めるものです。
 なお、令和3年度の献血推進計画からの主な変更点ですが、第2の事項、いわゆる献血に関する普及啓発その他の当該目標量を確保するために必要な措置に関する事項において、献血者の安心のため、新興・再興感染症のまん延下における対策及び情報発信の記載を追加しております。今回、皆様に御審議いただき、もしお認めいただけるのであれば、こちらについては令和4年の2月の下旬に告示させていただき、4月1日付けで適用とさせていただければと存じます。2ページ以降は参考ということで、法律の条文です。
 4ページに諮問書、さらに、計画の案をお示ししております。ただ、こちらの案ですと、前年度とどのように変わっているかを確認できませんので、15ページからの新旧対照表を御覧ください。
 15ページです。第1、令和4年度に献血により確保すべき血液の目標量です。令和4年度に必要と見込まれる輸血用血液製剤の量ですが、赤血球製剤は今年度と同様の51万リットル、血漿製剤が本年度より1万リットル多い26万リットル、血小板製剤は今年度と同等の17万リットルということで、このように必要と見込まれる量が製造される見込みです。さらに、確保すべき原料血漿の量の目標を勘案しますと、令和4年度については、全血採血による133万リットル、及び成分採血による93万リットル、内訳としては、血漿成分採血62万リットル、血小板成分採血31万リットル、合わせて226万リットルの血液を献血により確保する必要がございます。こちらについては、今年度よりも約4万リットル多い状況です。
 続いて、17ページを御覧ください。主な変更点を示しております。2の献血推進のための施策の中で(1)普及啓発活動の実施、その中の(ア)全国的なキャンペーン等の実施です。こちらですが、例年7月の「愛の血液助け合い運動」の主たる行事として開催している献血運動推進全国大会ですが、今年度は本来であれば鹿児島県で開催する予定でしたが、コロナ禍ということで中止になっております。来年度は愛媛県で開催する予定ということをお示ししております。
 次に、19ページを御覧ください。若年層を対象とした普及啓発です。その中の(ア)普及啓発資材の作成です。いわゆる若年層向けの普及啓発資材の製作に当たっては、昨今の学校におけるIT化、生徒にタブレットを1台ずつ配布などといった傾向を踏まえて、学校でのパソコンやタブレット等の利用にも留意した形で作成することとしております。
 続いて、22ページを御覧ください。採血所の環境整備ということで、献血者が安心して献血できる環境の整備についてです。こちらは、先ほど大きな変更点として追加した新興・再興感染症のまん延下の状況であっても、献血者が安心して献血できるよう感染症対策を十分に行うとともに、献血者へ対策についての情報発信を適切に行うことを追記しております。こちらについても、いわゆるコロナ禍の状況を踏まえて、今回付け加えさせていただきました。以上が大きな変更点です。
 続いて、資料1-2を御覧ください。令和4年度の献血の推進に関する計画(案)に対する意見募集結果です。今回、献血推進計画(案)の御審議に当たる前に、先月の4日から18日まで、私どもでパブリックコメントを掛けさせていただきました。10件ほど御意見を頂きまして、その中の4件については、今回の献血推進計画とは直接には関係のない事項でしたので、それ以外の6件について、皆様にお示しさせていただくために、回答をお示ししております。
 まず、2ページを御覧ください。1です。欧州滞在経験者の採血制限は解除していいのではないかということです。これに関しては、クロイツフェルト・ヤコブ病対策として採血制限を設けております。これに関しては、私どもとしては、いわゆる採血制限については、本計画案において、「国は、献血者の健康保護を第一に考慮しつつ、献血の推進及び血液の有効利用の観点から、採血基準の見直しを検討する」こととしております。欧州滞在経験者の採血制限については、先ほど申したとおり、クロイツフェルト・ヤコブ病の対策の一つとして設けているところです。こちらについては、新たな科学的知見が得られた場合には、こちらの採血制限を見直すことも考えております。
 2として、献血した際、採血事業者(日本赤十字社)から通知される血液検査結果通知の内容について拡充をしてほしい、特に尿酸値の通知を追加してほしい、ということがございます。5にも同様の意見がございます。こちらについては、採血に関しては日本赤十字社では、献血者の健康管理に資する検査を行った上で、献血者の希望を確認して、その結果を通知しております。日本赤十字社に尿酸値についての要望を提供し、結果通知については包括的に議論させていただいた上で、今後の施策の検討を行うに当たっての参考とさせていただければと思います。
 同じく2番ですが、いわゆるキャンペーンの実施に関して、パンフレットや記念品についての御意見がございました。こちらについては、6にも似たような御意見を頂きました。普及啓発資材等については、日本赤十字社に御意見を提供させていただくとともに、今後の検討とさせていただければと思います。
 次に、3です。こちらは二つほど意見がございました。一つは、献血ルームについての苦情の窓口を設けるべきではないのかということです。こちらについては、採血所の環境整備の中で、「献血者が安心して献血できる環境の整備」において、献血者等に不快感を与えない、要望を把握するなどの環境整備を記載しております。日本赤十字社では、全ての血液センターのホームページに、「お問い合わせ」用のフォームを設けているほか、献血ルームの電話番号は全て開示しており、いつでも問合せできる体制となっております。そういった形で、いつでも献血者や一般の方がお問合せや御意見を寄せられる体制となっております。
 3の後段ですが、働いている方向けということで、夜まで開設すべきではないかという御意見もございました。こちらについては、同じく献血推進計画の中で、全ての献血者を対象に、地域の実情に応じた献血受入時間帯の設定に積極的に取り組む旨記載しております。以上を含めまして、頂いた御意見は日本赤十字社に提供いたしますし、私どもの今後の検討の参考とさせていただければと思っております。
 4として、「外国人に対する普及啓発」という項目がございました。当然ながら献血については、外国人の方も受け入れております。そういった、頂いた普及啓発についての御意見については、こちらも日本赤十字社に提供するとともに、今後の検討の参考とさせていただければと思います。
 6としては、必要な血液型が足りないということであれば、何かしら広報、告知すべきではないのかという御意見がございました。こちらについて、日本赤十字社では、献血者数及び輸血用血液製剤の在庫量のモニター等を綿密に行っており、その上で、血液センターごとにホームページやSNSなどを活用して、平時から御協力のお願いをしております。また、安定供給に不安が生じる危険性がある場合は、別途、新聞告知、テレビやラジオでの放送を行っています。こちらについても日本赤十字社に情報提供するとともに、私どもの今後の検討の参考にさせていただければと思っております。
 以上です。御審議のほど、お願いいたします。
○半田部会長 当該、献血推進の計画(案)に関しては、大きな変更点というのは、献血血液の目標量が変更になったということです。あと一つは、若年者への啓発活動において、ICTを利用しようということです。3番目としては、現在のパンデミックの状況下で、新興・再興感染症に関しては、採血事業者においては、それに対してきちんと準備をするようにという内容だと思います。それから、パブリックコメントに関する返答の案をお示しいたしました。委員の皆さん方、御意見あるいは御質問をお願いいたします。
○濱口部会長代理 今、おっしゃった新興・再興感染症の記載についてです。ここにあるのは、「献血者が安心して献血できるよう」ということがあるのですが、実際にコロナが起こったときに、もう一つ重要な課題として、採血に携わる人たちの安全というのも一緒に議論したかなと思います。そこの部分というのは、この「採血事業者は」という所の中に全部入ってしまうのか、それとも、採血事業者はそれをやる責任の母体であって、採血に関わる人の安全についても、別途記載したほうがいいのか、その辺りについて、教えていただければと思います。
○半田部会長 これに関しては、日本赤十字社から御意見などはおありでしょうか。
○日本赤十字社前野副本部長 日本赤十字社の前野でございます。新型コロナウイルス感染対策につきましては、各献血受入会場にポスター掲示をさせていただいております。その中で、職員と会場内の取組ということで、職員のマスク着用、体温測定、手指消毒の徹底、換気と消毒・清掃の徹底、手指消毒液の設置というものも行っておりまして、献血者の保護も含めて、取り組んでいるところです。
○半田部会長 濱口委員、いかがでしょうか。今のポイントは非常に大切なところだと思うのですが、ここの文面の中に、採取に関わる方々の対策を入れる必要があるかどうか。これは基本的なことなのですが、それはどうでしょうか。この文面の中に入れておいたほうがいいとお考えでしょうか。
○濱口部会長代理 日本赤十字社の方で、十分に対策をとっているという意図であればよろしいのですが、実際にコロナのときには、採血をする方が安全に採血に従事できるかどうかということが重要な課題になったのかなと思います。もちろん、献血者が採血所でコロナに感染しないような対策をとるということもですが、もう一方で、従事する方の安全についても、細心の注意が必要かなと思いましたので、発言いたしました。
○半田部会長 事務局はいかがでしょうか。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。濱口先生、御意見ありがとうございます。こちらについては、24ページの新旧対照表の昨年度の献血推進計画を御覧ください。「災害時等における献血の確保」の3ポツ目ですが、「採血事業は、医療体制の維持に不可欠なものであることを踏まえ、採血事業者は、新興・再興感染症のまん延下の状況であっても、医療需要に応じた血液製剤の安定供給を図るため、安心・安全な献血環境の保持と献血者への感染防止を図るとともに、様々な広報手段を用いて、献血への協力を呼びかける。また、国、都道府県及び市町村は、採血事業者の取組を支援する。」とございます。当然ながら採血の環境ということで、採血に従事される方々が感染するというのはよろしくない話ですので、こちらで取り上げるものというように考えている次第です。
○濱口部会長代理 承知しました。
○半田部会長 今の項目について、ほかの委員の方から御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、文面上は、新しい文面を入れるということではなく、この状態でそのまま案としてよろしいということにさせていただきたいと思います。
 ほかの点に関して、委員の方々から御意見、あるいは御質問はございますでしょうか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。欧州に滞在歴を有する人からの献血制限について、解除してもいいのではないかという御意見が出されておりましたが、確かに、2012年以降、vCJDの発生件数は激減しておりまして、FDAは去年の8月のリコメンデーションで、大分緩和しているのです。それで、我が国においては、スイスなど、いまだに滞在歴が加算されているような国もありますので、ここでもう一度評価をして、もう安全は確保されているのではないかという国に関しては、献血制限は解除していい時期ではないかと思いますので、安全技術調査会等で検討することをお願いします。
○半田部会長 今の御意見に対して、事務局から特に何かございますか。これから調査会の方で検討する事項の一つではないかと考えております。
○佐野血液対策課長補佐 そのように考えております。
○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。パブリックコメントに対する対応等も含めて、何かほかに御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 ないようですので、それでは、当該献血推進計画(案)について、適当だと認める旨を議決したいと思います。当該計画案をお認めいただけますでしょうか。
(異議なし)
○半田部会長 ありがとうございました。それでは、本件については、薬事分科会における確認事項に基づき、当部会の議決をもって令和4年度の献血の推進に関する計画(案)について適当であると認め、薬事分科会に報告することといたします。
 なお、その他の取扱いについては、私に御一任いただくということで、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○半田部会長 ありがとうございました。
 また、パブリックコメントに寄せられた意見の回答についても、本日の御意見を踏まえて、事務局は対応をよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
── 松下委員退室 ──
 それでは、議題2に入りたいと思います。「令和4年度の血液製剤の安定供給に関する計画(案)について」です。本日は、令和2年度の需給計画の実施状況の報告を聴取した上で、令和4年度の需給計画(案)について、御意見を頂きたいと思います。本日頂いた御意見に基づいて、それ以外に加えることを幾つか加えて、次回の部会において議決するという流れになっております。事務局から資料の説明をお願いします。
○若林需給専門官 議題2「令和4年度の血液製剤の安定供給に関する計画の策定について」御説明します。資料2を御覧ください。1ページ、令和4年度の需給計画案についての概要です。1.趣旨ですが、血液法第26条第1項において、厚生労働大臣は、毎年度、翌年度の需給計画を定めるものとされております。今般、令和4年度の計画を定めるものです。
 2.内容です。血液法第26条第2項において定める五つの事項について来年度の計画を定めるものです。第1は当該年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量、第2は当該年度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標、第3は当該年度に確保されるべき原料血漿の種類及び量の目標、第4は当該年度に原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標、第5はその他原料血漿の有効利用に関する重要事項です。
 3.根拠法令は、2、3ページに参考として載せておりますので、適宜御覧いただければと存じます。
 今後の予定については、半田部会長からも御案内がありましたとおり、本日の令和4年度の需給計画案についての御意見を踏まえて、次回第2回血液事業部会に再度お諮りして、御了承いただきましたら、4.告示日等に記載したとおり、来年3月下旬に官報に告示し、来年4月1日からの適用を予定しております。
 4ページを御覧ください。血液法第27条第4項の規定に基づき、令和2年度の需給計画実施状況について報告いたします。製剤ごとの細かい需給の状況については、資料6ページの別表を御覧ください。
 別表は、製造・輸入量の欄のマル1に合計を、そのうち国産原料から製造された量をマル2の欄に、供給量をマル3の欄に記載しております。各欄の下段が需給計画で定めた量、上段が実績、実績の右側括弧内に計画に対する達成率を表示しております。
 4ページに戻り、1.令和2年度に製造又は輸入された血液製剤の種類及び目標量と製造量の実績については、血液凝固第VIII因子、人免疫グロブリンなど9製剤でほぼ目標を達成又は目標量を上回って製造・輸入されております。
 2.令和2年度に国産原料から製造された血液製剤の種類及び目標量と製造量の実績です。11製剤のうち、人免疫グロブリンなど4製剤で目標を達成又はほぼ目標どおりに製造されており、ほかは目標を少し下回っております。
 3.令和2年度に必要と見込んだ血液製剤の種類及び見込量と供給量の実績についてです。18製剤のうち3製剤が見込量を上回り、血液凝固第VIII因子など8製剤でほぼ目標どおりに供給されました。血液製剤の需給の状況については、全体を通して令和2年度は、一部の製剤では製造や供給などで目標を下回った製剤もありますが、医療需要に応じて安定供給されており、供給に特段の問題は生じておりませんでした。
 5ページを御覧ください。4.原料血漿の確保目標量と実績です。目標120万リットルに対して、125.2万リットルの確保となっております。これは日本赤十字社において目標を上回る確保をしていただきました。
 5.令和2年度の原料血漿の配分計画量と実績についてです。こちらについては、各社に対して計画どおりの配分となりました。配分総量は122万リットルです。
 7ページを御覧ください。令和3年度需給計画の上半期、今年の4月から9月の実施状況の報告です。9ページに各製剤ごとの細かい需給の状況について記載しております。細かい説明は省きますが、こちらについても、一部の製剤で目標量を下回っている製剤もありますが、市場欠品等は生じておらず、医療需要に応じて安定供給されており、供給に問題は生じておりません。
 8ページです。4.原料血漿の確保実績については、目標122.3万リットルに対し、上半期で63万リットルを確保しており、これまでのところ順調に確保ができているものと考えております。
 5.原料血漿の配分については、9月末までの原料血漿の確保状況から、今年度も計画どおり配分できるものと見込んでおります。
 10ページを御覧ください。血漿分画製剤の自給率の推移(供給量ベース)については、主な血漿分画製剤の自給率の推移を表しております。血液凝固第VIII因子製剤の国内自給率は、遺伝子組換え製剤を除き、平成6年以降の国内自給率は100%を達成しております。グロブリン製剤の国内自給率は、令和2年度86.8%で、国内自給率は少し低下しております。こちらについては令和元年度に輸入目標量を増やした影響と思われます。アルブミン製剤の国内自給率は、令和2年度は64.3%でした。アルブミン製剤については、平成19年度をピークに低下から横ばいの状況が続いております。次ページ以降に主要3製剤の供給量の推移を載せております。
 11ページを御覧ください。アルブミン製剤の供給量の推移です。供給量の数値は、令和2年度までは実績値、令和3年度は上半期供給実績を事務局で1年分に換算した数値です。単純に上半期実績を2倍にしております。令和4年度は各社の供給見込みを集計した数値です。以降のページの供給量についても同様に記載しております。アルブミン製剤については、年々供給量が減少しておりましたが、近年は横ばいの状況です。
 12ページは、グロブリン製剤の供給量の推移です。グロブリン製剤に関しては、近年供給量が増加傾向にあります。令和2年度は令和元年度と比べて若干減少しております。こちらについては、新型コロナウイルス感染症対策の影響で、一部感染症、特に川崎病と聞いておりますが、需要が減ったことなどの影響ではないかと考えております。
 13ページです。血液凝固第VIII因子製剤の供給量の推移については、平成30年度をピークに令和元年度以降は減少傾向に転じております。こちらについては、昨年度や一昨年度の部会でも話題に挙がりましたが、次ページの抗体医薬品への需要のシフトの影響も大きいのではないかという意見がありました。
 15ページを御覧ください。令和4年度の需給計画案についてです。令和3年度の計画からの主な変更点は、原料血漿の確保・配分量や供給見込量などの数値の部分になっております。
 16ページは、血液法の第26条第1項に規定されている本計画で定めることとされている事項について、第1から順に記載しております。第1の令和4年度に必要と見込まれる血液製剤の種類及び量については、19ページの別表の需要見込み(ア)の欄に記載しております。16ページの第2の令和4年度に国内において製造され、又は輸入されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、19ページの製造・輸入目標量(イ)の欄に記載しております。第4の令和4年度に国内原料血漿から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標は、19ページの国内血漿由来(ウ)の欄に記載しております。
 参考として、令和3年度末の在庫見込量の報告も記載しております。こちらの在庫見込量と(イ)の欄の製造・輸入目標量を足したものが供給可能量になっております。この供給可能量が(ア)需要見込量よりも大きければ安定供給が可能になるということです。供給可能量と(ア)需要見込みを比較したところ、全ての製品において供給可能量が需要見込みを上回っている、あるいは同量となっておりますので、令和4年度において、供給に支障は生じないものと考えております。
 16ページに戻ります。第3の令和4年度に確保されるべき原料血漿の量の目標です。125.3万リットルを目標量としております。この目標量の算出の考え方については、20ページで触れさせていただきます。
 17ページを御覧ください。第5、その他原料血漿の有効利用に関する重要事項です。1.原料血漿の配分の1の原料血漿の標準価格については、次回の部会で諮らせていただきますので、今回は空欄としております。
 2は、令和4年度に採血事業者である日本赤十字社から製造販売業者に配分される原料血漿の種類ごとの配分見込量になっております。最近の需要の動向や在庫状況などを勘案して配分しているため、年度ごとに配分量の変動はありますが、全体として血液製剤の安定供給に必要な量の配分が可能となるよう調整しております。令和4年度は3社を合計しますと、122万リットルの配分を計画しております。
 18ページを御覧ください。第5.その他原料血漿の有効利用に関する重要事項の2の令和4年度に輸出すると見込まれる血液製剤の種類及び量については、各社から報告を頂いておりませんので、19ページの別表では0と記載しております。
 20ページを御覧ください。令和4年度の原料血漿確保目標量(案)です。こちらは125.3万リットルとしております。2.令和4年度の原料血漿配分量でお示ししているとおり、凝固因子製剤用が合計23万リットル、その他の分画製剤用が99万リットルで、合計は122万リットルとなっており、確保目標量が125.3万リットルですので、配分量よりも3.3万リットル多くなっております。こちらについては、今後、原料血漿の需要増加が見込まれる中、日本赤十字社として原料血漿の安定供給に今後支障が生じないように、昨年度の実績も加味して量を増やしていただいており、貯留保管在庫等に充当するものとなると考えております。
 資料2の説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○半田部会長 当該令和4年度の需給計画(案)に関して、御審議をいただきたいと思います。基本的には令和2年度の原料血漿あるいは血漿分画製剤の使用状況、それから令和3年度の上半期の実施状況を説明いただきましたので、それに基づいて今回、当該計画案がなされたということだと思います。それでは、委員の皆様から御意見、御質問をよろしくお願いします。御指摘あるいは御質問はいかがですか。
 私から一つ、令和2年はいわゆるパンデミックが始まった時期に当たります。令和3年も引き続いているわけですが、この影響の概観はどういうふうになっているのですか。特に影響はなかったということですか。例えば、ガンマグロブリンに関しては、川崎病など、感染症が減ったことによるということがありましたが、特にこの影響は今回の当該計画案に勘案されているのですか。
○若林需給専門官 今年度のグロブリン製剤供給量については影響がありましたが、世界的にも免疫グロブリン製剤の需要が伸びているという状況で、令和4年度の計画については、また伸びていくような傾向で考えております。各製剤それぞれ、昨年度の実績等に基づいて、需要量等を見込ませていただいております。
 原料血漿の確保については、欧米では、新型コロナウイルス感染症が最初に流行した際に原料血漿の確保量が大幅に減ったということでした。またその影響が血漿分画製剤は、血漿を採取をしてから製剤として市場に出るまでにリードタイムが長くありますので、2022年の上半期ぐらいまで影響があるのではないかと聞いておりますが、今のところ海外から輸入の血漿分画製剤についても安定供給に支障がない量で、供給見込みを出していただいております。国内の原料血漿の確保については、先ほど報告したとおり、日本赤十字社や献血者の協力によって、従来よりもしっかり確保できている状況です。こちらについても極力支障がないような計画案となっていると考えております。
○半田部会長 委員の皆様、何か御質問等々ありますか。
 私からもう一つ、11ページ、アルブミン製剤の見込量についてですが、ここ最近は大体一定ですが、令和2年、令和3年の上半期を勘案した供給量については、令和4年が少し増えてしまっていますが、これはどういう理由ですか。具体的なことで申し訳ありませんが。アルブミン製剤というのは自給率がなかなか改善しない製剤だと思いますが、令和4年はどうして供給量が上がるのですか。
○若林需給専門官 これは基本的には各社の需要見込みの積み上げで出している数値になっておりますので、令和4年度が少し増えているのは、各社さんが供給に支障が生じない範囲で見込量を積み上げてきていただいた結果なのかと考えております。実績としてどういった形で出てくるかというのは分からない部分もありますが、安定供給に支障が生じない量を供給できると考えております。
○半田部会長 ありがとうございました。非常にクリアになったと思います。委員の皆様方、何か御指摘はありませんか。
○岡田委員 埼玉医大の岡田です。乾燥人フィブリノゲンが産科の出血に対して保険適用になったのですが、実際、保険適用になってから需要は増加しているのですか。また、その増加に見合う供給を来年度は確保できると予想されているのですか。お願いします。
○若林需給専門官 事務局です。乾燥人フィブリノゲン製剤ですが、本年9月に保険適用が拡大されました。9月、10月の実績については、供給事業者から聞いているところでは、需要量について、それほど大きく伸びてはいないということで、今年度の安定供給に問題は生じないものと考えております。
 令和4年度計画での製造量や供給量については、僅かですが減少しておりますが、こちらについても、供給実績に比べて在庫は積み増しされておりますので、安定供給に支障が生じない製造・供給の計画ができているものと考えております。
○岡田委員 ありがとうございました。
○半田部会長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。
○武田委員 血液凝固第VIII因子製剤の供給量のところで、13ページです。令和3年度の見込みがかなり減ってしまって、令和2年度に対して半分ぐらいになっているのですが、これは供給量ということで、在庫があったとかそういったこともあるとは思いますが、かなり減ってきている中で、例えば海外メーカーのものの供給が少し危ないというときに、やはり国内の製剤がきちんとあるということが大事だと思いますので、この辺りは今後どうやっていくのかを議論しなければいけないと思っています。
 アルブミンなどもそうですが、きちんと国内自給をしていくというところで、様々な議論もこれからされていくところと思いますので、きちんと話をしていきたいと思います。以上です。
○半田部会長 武田委員の御質問に対して何か。事務局からいかがですか。
○若林需給専門官 事務局です。御意見、ありがとうございます。血液凝固第VIII因子製剤については、確かに国内献血由来の血漿分画製剤の供給見込みが減ってきている状況です。患者さんの使用量も減っていく中で、企業の判断もいろいろあるかと思いますが、国としては、必要とする患者さんに必要な製剤が安定供給できるように努めていきたいと考えております。
○半田部会長 ほかに御意見等はありますか。よろしいですか。
○松本委員 もう一つ、血液凝固第VIII因子に関連してですが、14ページの血液凝固第VIII因子機能代替製剤の供給量の推移というのがありますが、どんどん伸びているとお見受けするのですが、この単位として、「本(延べ人数換算(人))」と書いてあるのですが、この単位が今一つはっきりしない。これは何に基づいての単位なのか、全くピンとこない単位です。例えば、これはグラム数にするとか、これはグラム数換算で供給されていると思いますので、これはどういう単位なのか教えていただきたいのですが。
○半田部会長 事務局、よろしくお願いします。
○若林需給専門官 松本委員の御指摘というのは、血液凝固第VIII因子製剤の供給の単位と血液凝固第VIII因子機能代替製剤の供給量の単位が統一できないことに対する御指摘かと思います。こちらについては、今後、検討させていただければと考えております。
○松本委員 これは単位というか、全く血液凝固第VIII因子換算もできませんし、何を単位として表示されているのかよく分からない。実績としてやはりmgとかg、kgでもいいと思いますが、質量で計算しないと駄目だと思うのです。計算というか、グラフ化しないと、何をもってというのが分からないのです。もちろん体重によって子供から大人まで使われているので、何人使っているのか正確な値を割り出すのは不可能かとは思いますが、体重当たりの使用質量数は決まっていますので、これは質量で表示して、正確にどれだけ出荷されたか、供給されたかが分かるようにしていただかないと、82,800というのが何を意味しているのか私にはピンとこないところがありますので、これはやはり表記の方法を見直していただきたいと考えております。以上です。
○半田部会長 貴重な御意見ありがとうございます。それでは、事務局におかれましては、今の御意見を踏まえて、単位についてもう一度、例えば松本委員と検討していただければと思います。以上、ほかに何か御意見等々ありますか。
 それでは、事務局におかれましては、当該、令和4年度の需給計画(案)については、本日の意見を踏まえて、次回は原料血漿の配分価格と合わせて修正案の準備をお願いします。
── 松下委員入室 ──
 次に議題3の「その他」ということで、事務局から「今後の血液事業の在り方について」及び「地方分権改革」について、資料の説明をお願いします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。まず資料3-1を御覧ください。「今後の血液事業の在り方について(議論のたたき台)」です。こちらは9月の下旬に開催した運営委員会の資料です。私どもとしても血液事業の在り方について検討していきたいということで、今回これを提示させていただいております。
 この問題意識としては、やはり従前から言われている血液製剤の需要が増加傾向である一方、いわゆる少子高齢化といった人口構造の変化から、献血血液の将来的な確保に課題があるのではないかということです。その一方、昨今の新型コロナウイルス感染症の流行によって、海外では原料血漿の確保や、国内でも企業や学校等におけるいわゆる集団献血が困難になるといった課題が浮き彫りとなっております。こうした近年の状況変化を踏まえ、今回、血液事業の在り方について、令和5年に改定を行う基本方針の見直しに向けて、現状を整理しつつ、いろいろ議論をしていければと考えております。
 目的や、主な検討項目は記載のとおりです。項目には血液製剤の需給の将来見通しや献血血液の確保策、その中には、当然、献血推進計画のパブコメにあった採血基準の在り方とか、国内自給率の向上、血液製剤産業の持続可能性を高めるための産業構造の見直しや研究開発の推進等々、いろいろと議論していくのかと考えております。今後のスケジュールとしては、部会や調査会、運営委員会などでいろいろ御議論をさせていただいた上で、令和4年度にある程度の対応策を取りまとめた上で、令和5年度の基本方針の改定、さらには必要に応じて血液法の法改正といった形で進めていければと考えております。
 続いて資料3-2の「地方分権改革について(提案募集)」です。地方分権改革については、住民に身近な行政は地方公共団体が自主的かつ総合的に広く見合うようにするとともに、地域住民が自らの判断と責任において地域の諸問題に取り組むことができるようにするための改革ということです。こちらは内閣府のホームページから引かせていただいておりますが、こちらについては、平成5年以降、地方分権改革推進委員会の勧告等に基づき、地方公共団体への事務・権限の移譲、地方に対する義務付け・枠付けの見直し等を進めてきました。平成26年以降、そういった勧告については一通り検討を行ったところですが、引き続き、個性を活かし自立した地方をつくるためには、社会経済情勢の変化に対応して、地方の声を踏まえつつ、地方分権改革を推進していく必要があるということから、地方の発意に根ざした取組を推進することとし、個々の地方公共団体等から地方分権改革に関する提案を広く募集する方式に変わっております。
 今回、なぜこれを取り上げたかと言いますと、令和3年度の地方分権改革提案に、血液法に関する部分が掲載されております。内容としては、血液法第10条第5項の規定に基づき、都道府県において献血推進計画の策定を定めることとしている、いわゆる策定の義務付けと言っておりますが、こちらを廃止してくれと、一部の地方自治体から意見出しがあったものです。
 具体的な支障事例ですけれども、スライドの3枚目を御覧いただければと存じます。主なことを御報告申し上げます。都道府県による献血推進計画については、国計画や献血受入計画を基に作成しているけれども、国が策定する計画において、献血推進の実施体制と都道府県の役割、献血推進のための具体的な施策が示されているため、現状、県計画は形式的なものとなっており、県の施策遂行上、果たして県計画の策定が必要不可欠なものとまでは言えないのではないか。また、県計画を策定しない場合でも、献血に関する普及啓発、目標量を確保するために必要な措置等に関する取組については、血液法や国の計画に従ってこれまでと変わりなく実施できる。あるいは全国的なキャンペーン等の実施などは、厚労省から都道府県宛ての通知があり、それに基づいて県で運動計画を立て、普及啓発を実施している。また、県計画を策定しない場合であっても、例えば都道府県における献血推進協議会は、献血の推進及び血液製剤の適正な使用に関する施策についての重要事項の調査審議に関することが生じた場合は開催し、県内市町村や採血事業者である県血液センターとは常に密に連携を取っていることから、計画策定を廃止しても現状と変わらず、普及啓発が可能である。このような主張です。それによって計画策定に関する事務・人役が減り、行政の効率化につながるという主張でした。
 なぜ、これがかなり大きな話になっているかと申しますと、4枚目のスライドを見ますと、今年度の地方分権改革提案の大きなテーマとして、計画策定の義務付けの廃止を求める提案というのが提案事項となっています。なぜこれを検討の視点としているかと言いますと、計画の策定に当たっては、法令上の内容や手続に関する規定を遵守しなければならず、計画の策定という手法は地方自治体にとって負担の大きい手法である。それにもかかわらず、施策を推進する手法として、計画の策定という手法を採用し、義務付けまで行うのはなぜか。あるいは計画策定以外の手法でも代替可能であるので、義務付けを廃止すべきではないか。こういったものが、私どもの献血推進計画にかかわらず、提案として上がってきたということです。
 これに対する私どもの対応方針は、スライドの5ページです。こちらにあるとおり、県計画の策定は必要であるということです。医療に必要不可欠な血液製剤については有効期限が短く、継続的に確保する必要がある。血液事業の特殊性に鑑み、安定供給の体制を維持するためには、計画的な献血が必要、このため、平成15年に血液法にて都道府県献血推進計画を策定することが規定された。これらの規定に基づいて、都道府県は、地域医療に不可欠な血液の供給に際し、献血についての住民の理解と採血事業者による献血の受入れの円滑な実施のため必要な措置を講じることを義務付けられております。また、都道府県が主体的に計画を策定・明示することによって、採血事業者や医療関係者といった方々や住民からの協力を得やすくなるなど、献血の推進や安定供給につながると考えております。そういったことから、私どもとしては、都道府県においても策定する必要があると考えております。
 しかしながら、私どもとしても、やはり都道府県の事務負担の軽減は検討せざるを得ないということで、何らかの形でいわゆる事務的な負担軽減策を検討していきたいと考えているところです。そして当省と内閣府の方で協議・調整を行って、11月12日に開催した第47回地方分権改革有識者会議・第132回提案募集検討専門部会合同会議で、私どもで調整の結果、都道府県献血推進計画については、薬事・食品衛生審議会における今後の血液事業の在り方の検討の中で、計画の策定義務の廃止や、都道府県がその地域の実情に応じて計画の期間を判断するなどについて検討した上で、令和4年度中に結論を得て、その結果に基づいて、必要な措置を講じていきたいと思います。また、先ほど申した事務的な部分については、今年度中に都道府県に通知するという対応となったものです。以上、こちらについての報告です。よろしくお願いいたします。
○半田部会長 説明、ありがとうございました。「今後の血液事業の在り方について(議論のたたき台)」という資料3-1は、全般的な概要ですね。それから具体的なものとしては、今は義務付けされている都道府県の献血推進計画について、今後どういうように対応するか、いわゆる地方分権改革の中で議論していくということで、その対応案等々を今説明いただきました。それでは委員の皆様方、御意見、御質問等をよろしくお願いします。いかがでしょうか。どなたか御意見はおありでしょうか。
○松下委員 松下です。前から資料を拝見していて、懸念は余り感じていないのです。とは言うものの、地方においては県庁からの指示というのは結構重みがあるので、「何々県が策定した献血推進計画により」という枕詞が入っていると、関係者は反応するという場面も、特に地方によってはあるのではないかと思います。献血推進協議会がちゃんとありますから、そこはうまくやっていきますと確かに資料の中に書いてありますので、心配ないとは思っているものの、そういった議論がこれを作るときにはなかったのでしょうか。
○半田部会長 今の御質問は、そういう議論はあったかどうかということですか。
○松下委員 そうです。
○半田部会長 もう一度御意見を。
○松下委員 これを普通に読むと、各都道府県が計画を策定しなくてもいいでしょうというように読めるのです。それは言ってみれば形式的なものなので、余分なものは省いていいのではないかという議論に基づいて行われているようですが、都道府県によっては、県がちゃんと計画を策定していますということは、県庁の指示として伝わっていくことが普通なのです。そこを考えると、一方で献血推進協議会というのがちゃんとあるから大丈夫ですということも書いてあるのですが、しかし、今後、献血者の増加を推進したい立場としては、少し不安だなという気がいたします。そういった懸念はないのでしょうかという質問をいたします。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。やはり私どもとしても、そういった都道府県、地元に密着した取組は重要と考えております。極論ですけれども、供給不安という話になると、余りよろしくない話ですので、今後とも何かしらの策定は考えております。ただ、今後のいろいろな血液推進の在り方を広く見直していくことからも、今回の提案の話は非常に大きなものかと思いますので、引き続き皆様で御議論いただくような話になると思います。よろしくお願いします。
○半田部会長 松下委員、繰り返し説明いただきありがとうございました。今の件については、やはり規制を緩和する、自治体の意見を尊重するということだと思いますが、ほかに御意見はいかがでしょうか。
○高橋委員 法政大学の高橋です。私は法律家の立場で、以前から地域保健や血液部会にも参加させていただいております。一方において、専門が行政法のため、国や地方の関係でもほかの仕事もしていて、地方分権改革の提案募集検討専門部会の部会長も務めています。この問題は、これまで、血液部会の参加者でもあり、この提案募集を実現する立場で苦しい立場で議論をさせていただきました。今の御指摘のような、計画策定の重要性という点は否定できないと、私自身は思っていますが、その一方において、国、地方全体の関係の中で、どういうように法律で計画を定めなさいということを義務付けていくかについては、厚生労働省だけではなく、国交省や全ての国の機関と都道府県、更には市町村との関係をどう仕分けていくかという大きな流れの中で議論をしなければいけない話であるということも、御理解いただきたいと思います。
 それから、ここにも書いてありますが、長期的なものと短期的なもの、例えば、各年度の採血計画とは住み分けをして、長期的なものは、コロナのようなものがあって緊急是正しなければいけない、修正しなければいけないものは修正するとして、大きくサイクルを回していくものと、毎年度サイクルを回していくものとを整理していただくことによって、策定者の負担を軽減していくことも重要なのではないかという議論もしております。是非、その辺は全体を見渡していただいて、国全体の方向性のバランスの中で、この献血の問題についてバランスのいい結論を採っていただければ有り難いというのが、私のお願いです。以上です。よろしくお願いいたします。
○半田部会長 高橋委員、大変貴重な御意見をありがとうございました。今の委員の御指摘に関して、何か事務局の方からありますか。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。先生、ありがとうございます。私どもとしても、今後の血液事業の在り方の中で、計画策定も含めて、献血推進の在り方という部分も含めて、いろいろ検討していくのかと思っております。そういったことを今後も幅広く部会の皆様や調査会、運営委員会の皆様といろいろと御議論をさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○半田部会長 宮川委員。
○宮川委員 今、高橋委員から大変貴重なお話を頂いたのですが、私は直接医療に携わる立場として、関係団体の意見の7行目ぐらいから「現状、県計画は形式的なものとなっており」という所を見た瞬間に、非常に驚いたわけです。確かにそういう臨時的な対応は何なのかといったら、実際には日赤や地方の医療機関が相互に連絡を取って対応しているということで、現状の中で対応しているわけです。それは非常に短期的なものです。しかしながら、長期的なものは献血の計画で、その県の中で特殊性を考え、どうやって献血を推進していくのか、どのような年齢層にいろいろな働きかけをしていくかというのが非常に重要です。
 それには地形の問題、島嶼部や山間部の問題、季節性の問題、例えば積雪やいろいろな気象的な問題があろうと思います。それから、医療機関の偏在もあります。これは一つ一つの県で特殊性が全く変わってきます。国は大きな枠でしなければいけないし、県はその県に応じて、しっかりとした計画をある程度立てていくことが重要です。長期的な視野というのは、私たちに対して保障なのです。こういう計画を立てていますから大丈夫ですよという地域医療への保障なのです。
 しかしながら、県の献血推進協議会というのは臨時で開催され、そこの場面で何か起こったときに活動する形なのです。もともとの策定は、事前に県でしっかりとしたものを作らなければいけないはずです。しかしながら、今まで確かに形骸的な問題があったと推察しますので、国としては、各県に、なるべく簡素化するとか、フォーマットのようなものを用いて、各県の特殊性のみを追加記載するような工夫など、具体的な指示を書いていかないといけないだろうと考えます。
 先ほどもお話があったように、これは薬と違って、有効期間が非常に短いものですから、それをどのように取り扱っていくかというのは非常に重要です。ですから、この議論は長期的な展望と短期的な対応とを様々に分けて考えていかないといけないので、やはり県は県でしっかりとした見方をしていっていただかないと困ります。重要な事項としてここに書いてありますけれども、「重要事項の調査審議に関することが生じた場合」というのは、生じた場合に物事をそれでやればいいということではなく、それに備えていくのは当たり前なのです。そのようなことが起こってしまってはならないわけですから、その意味で平時と、有事として困ったこと臨時の事象とをしっかりと分けてやっていくべきです。そういう意味では、地域特性に鑑み県が行っていくのは平時から献血推進計画をしっかり立てて、若い年代などに関して啓発をどのようにしていくかなど、県独自の具体的な対策を立てていただきたいと思います。以上です。
○半田部会長 ありがとうございます。概要を的確にまとめていただいたと思います。今の御意見に関していかがですか。事務局は大丈夫ですか。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。宮川先生、ありがとうございます。先生のおっしゃるとおり、長期的・短期的という視点を踏まえて、いろいろ今後考えていく必要があると思います。その一方で、今後の血液事業を見直す中で考えていければというように考えている次第です。
○半田部会長 今後の具体的な議論に関しては、この部会が中心ということで、あとはどういう会議体でやられるのですか。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。まずは運営委員会、若しくは各調査会等でいろいろ議論をさせていただいた上で、また部会の方にも御報告させていただき、御議論いただければと考えております。
○半田部会長 ありがとうございました。予定の時間が迫ってきましたが、ほかに委員の皆様方、何か御質問、御意見はいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
○田野﨑委員 慶應大学の田野﨑です。今の所とは少し違いますが、今後の血液事業の在り方についてです。回復者血漿という治療法について、今回、新興・再興感染症が勃発したときのものとして、血液事業の在り方の議論の中に含めていただけないか、あるいは、それについてどこで議論すべきかを検討していただけないか、という御提案をさせていただきたいと思います。
 この「今後の血液事業の在り方について」の「目的」には、安全な血液製剤の供給をいかにするかということではありますが、回復者血漿はこれとは少しニュアンスが違います。皆さんも御存じのとおり、かつて血清療法とか抗体療法と言われている、最速に準備し得る治療法の一つが回復者血漿と言われているもので、現在のカクテル療法のつなぎになるようなものであるわけです。もう既に抗体カクテル療法あるいは抗体療法は出てきているのでいいのですが、こういう感染症が起こったときには、すぐに対応できないと全く意味をなさないわけです。
 例えば米国では2020年4月の時点で、いわゆるIND、新薬の申請の中の拡大アクセスプログラムが導入され、8月の時点ではEUA(Emergent Use Authorization)という立て付けが組み込まれ、1年間に50万人もの患者に回復者血漿が既に投与されています。世界中でこの回復者血漿は一般的に使われている治療にもかかわらず、日本ではこれが全く議論されていなかった。日本ではあまりはやらなかったので、これまで大丈夫だったというのが新型コロナでの教訓でもありますが、今後に向けては、血液事業の在り方の緊急時に対して、安定供給の通常の血液製剤だけではなく、こういうものにも対応できるように、検討課題として、目的の一部に組み入れていただきたいと考えております。以上です。
○半田部会長 ありがとうございました。新しい提案と言いますか、回復者血漿の採取ということで、血液事業の考え方というのがあると思いますが、これに関してどうですか。
○菅原血液対策課長補佐 事務局です。田野﨑先生、ありがとうございます。やはり先生のおっしゃるとおり、回復者血漿、新興・再興感染症のまん延下においては、一つの有力な手段と考えているところです。そこに関しても当然何かしら、例えば危機管理の部分とか、そういうもので議論をしていくのかと考えております。ただ、どこの調査会、運営委員会でやるかということについては、改めて整理させていただければと存じます。よろしくお願いいたします。
○半田部会長 ありがとうございました。時間になりましたので、今伺った御意見を踏まえて、今後も当該血液事業の在り方について、各会議体で議論をしていきたいと存じます。本日のこちらで用意した議題は以上です。委員の皆様、ほかに何かありますか。よろしいでしょうか。それでは、進行を事務局の方にお渡しいたします。
○渡辺血液対策課長 半田部会長、ありがとうございました。それから委員の皆様方、活発な御議論を頂きましてありがとうございました。1点、おわびします。会議の冒頭で私の方で出席者と欠席者の把握が不十分で、大変申し訳ございませんでした。議事録の整理においては正確な記載に努めますので、今回把握が不十分であったことを改めておわびいたします。
 次回の血液事業部会の日程については、別途御連絡し、調整させていただきます。これにて令和3年度第1回血液事業部会を終了させていただきます。どうも長時間にわたり御審議いただき、ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

血液対策課 課長補佐 菅原(2909)