地方課

都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組みの実施状況等の評価について(令和2年度)

 厚生労働省大臣官房地方課地方支分部局法令遵守室は、令和2年度の都道府県労働局における法令遵守の徹底に係る取組の実施状況等について、次のとおり評価を行いましたので、公表します。
 なお、当該評価結果については、令和4年3月に、外部有識者を委員とする地方支分部局法令遵守委員会の各委員に報告し、その際の意見とともに、令和4年3月22日付けで都道府県労働局長宛て通知しました。
 
 令和2年度に各労働局において実施した内部点検等の結果に基づき、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組みの実施状況等について、以下のとおり総括的に評価する。

1 定期的な内部点検結果について

 「法令遵守チェックリスト」を用いて、局長自ら点検と検証を実施し、当課に報告させたところである。
 その報告をみると、都道府県労働局法令遵守要綱(平成23年5月31日改定)及び厚生労働省法令遵守マニュアル(令和2年11月26日改正)に基づき、各労働局における実情に合わせ概ね適正に取り組んでいるが、依然として、是正措置等を講じた事例がみられる。
 
【是正措置等を講じた事例】
● 出勤簿の取扱いに不備があった。
● 恒常的に超過勤務の多い部署があるほか、新型コロナウイルス感染症関係の対応が必要な部署では超過勤務が多くなってしまった。
● 兼業の申請漏れがあった。
● 研修講師による謝金を受領した際に、贈与等報告書を提出していなかった
● 公務出張時において、旅行命令や復命の処理が不適切だった。
● 政府調達に係る落札者について、決定後、72日以内に官報公示していなかった。
● 予定価格調書を作成していなかった。
● 重要物品について、管理に関する計画を作成していなかった。
● 各種計算証明書を証明期間経過後30日以内に会計検査院へ提出がなされていなかった。
● 公務員倫理や服務規律の遵守、綱紀粛正、内部通報制度の周知が不足していた。

2 会計事務監査指導結果について

 大臣官房会計課監査指導室における一般監査指導は、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ、7労働局に対して書面監査にて実施されたところ、是正等を要するものとして指摘された件数は、5局で10件(令和元年度は26労働局、96件)であり、以下の指摘が行われた。
 
【指摘事項】
● 非常用備蓄品の購入契約において、契約を締結する決裁の起案日で支出負担行為をしている案件があった。
● 自局の入力誤りによる振込不能件数が、令和元年度において複数回発生した。
● 片道 100 キロメートル以上の宿泊を伴う出張において、パック商品等の利用がなかった場合に理由書を徴取していない案件があった。
● 旅行命令簿の旅行期間に誤りがあるものがあった。
● 低入札価格調査対象とならない事案において、低入札価格調査対象としている案件があった。
● 特段の理由がないにもかかわらず、公告期間が開庁日で10日間以上確保されていない案件があった。
● 予定価格調書を作成していない案件があった。
● 物品増減及び現在額報告書について、減ずる品目の金額を誤って計上しているものがあった。

3 管理事務及び企画調整事務に係る中央監察結果について

 労働局の管理事務及び企画調整事務に係る中央監察は、新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ、管理事務については、23労働局に対して資料提出をもって実施された。その結果、以下の指摘が行われた。
 
【指摘事項】
● 外部電磁的記録媒体の管理に係る様式変更について、様式変更が行われていなかった。

4 総括的な評価等について

  上記1から3を踏まえ、当課においては、各労働局における法令遵守の徹底に係る取組について、次のように総括的に評価等を行うこととする。
 
(1)総括的な評価について
 各労働局における法令遵守の徹底に係る取組は、新型コロナウイルス感染拡大防止に留意しつつ、新たな取組を行う局も見受けられ、おおむね適正に実施されているものと総括的に評価できる。しかしながら、各労働局単位でみると、依然として、担当者の認識誤りや決裁時の確認漏れ、法令等に定められた手続漏れ等の取扱いの誤りが認められたところであり、法令・通達に基づく取扱いの徹底、会計法令に関する知識習得と引継ぎ、超過勤務時間管理の適正化など、引き続き取り組むべき課題がみられた。
 
(2)具体的な取組指示について
 ア 職員に対して、服務規律等の遵守に係る意識の向上及び法令・通達に基づく必要な手続きの実施に係る必要な措置を講ずること。【公務員倫理の徹底と綱紀保持】
 イ 会計法令等に関する知識の習得や浸透、予算の計画的な執行のために必要な措置を講ずること。【適正な会計経理事務等の徹底】
 ウ 職員や相談員等の勤務時間管理にあたり、規則等に基づく管理と適正な手続き及び長時間勤務の縮減等を徹底すること。【勤務時間管理の適正化】
 エ 会計事務監査指導や中央監察において、是正等を要するものとして指摘された事項は、その後の監査指導等で同様の指摘を受けることのないよう、また、局の内部監査においても、是正等を要するものとして指摘した事項が、その後の内部監査で同一部署がくり返し指摘されることが生じないよう指導を徹底すること。
 

地方支分部局法令遵守委員会委員の主な意見(令和2年度)

○ 労働局・厚生局ともに、コロナ禍という状況下において、法令遵守徹底に係る取組みをおおむね適正に実施されているという評価に異論はない。
 
○ 内部点検については、自局の状況を振り返るためのいい機会であるため、引き続き、適正に取り組んでいただきたい。しかしながら、内部点検結果が実態を反映しているか、事後確認により担保する必要がある。
 
○ 不正防止や再発防止の対策として、複数人でチェックする等を実施されているところであるが、コロナ禍における自主点検結果を担保するための方策を検討してほしい。
 
○ 職員の理解不足等から軽微な誤りが引き続き発生しているかと思料される。省内の電子掲示板などの共有可能な箇所へ、電子マニュアルやFAQなどを掲載し、迷ったときの確認先を構築することで改善が見込まれると考える。
 
○ 担当する業務、公務員倫理等における研修等におかれては、公務の公正さが重要であるということを意識して、実施していただきたい。
 
○ 内部通報制度について、内部窓口及び外部窓口の存在のみならず、通報・相談した際の流れについても、引き続き、周知するよう取り組む必要がある。
 
○ 内部通報制度がより有効に機能するよう、職員への周知状況等について、調査の実施を検討するとよい。
 
○ 一般論として、ストレスが原因で非違行為等につながることもあるので、悩みがある場合や超過勤務が続く職員がいる場合は、早期に相談できるよう、健康管理医などの相談体制の周知をしてはどうか。

厚生労働本省の地方支分部局の職員等からの法令違反行為に関する通報受付件数等の運用状況(令和2年度)

 厚生労働本省の地方支分部局(都道府県労働局(労働基準監督署・公共職業安定所を含む。)及び地方厚生(支)局)の職員等からの法令違反行為に関する通報受付件数等の運用状況について、令和2年度は以下のとおりでした。
   通報又は入手した情報  
調査(事実確認)に着手したもの  
事実関係が確認され、是正等措置を講じたもの
 件数
37
30
   
内部窓口 
30
23
外部窓口 
※ 通報又は入手した情報について、法令違反行為に関する内容であって、具体的なものについては、全件、調査(事実確認)を行っています。

(厚生労働省大臣官房地方課 03-5253-1111(内線7273))