第1回介護保険制度における福祉用具貸与・販売のあり方検討会 議事録
日時
令和4年2月17日(木)
場所
オンライン会議
出席者
委員(五十音順)
- 安藤道人(立教大学経済学部 准教授)
- 石田光広(稲城市 副市長)
- 岩元文雄(一般社団法人 全国福祉用具専門相談員協会 理事長)
- 岡田進一(大阪市立大学大学院 生活科学部 教授)
- 小野木孝二(一般社団法人 日本福祉用具供給協会 理事長)
- 久留善武(一般社団法人 シルバーサービス振興会 事務局長)
- 幸野庄司(健康保険組合連合会 理事)
- 五島清国(公益財団法人テクノエイド協会 企画部長)
- 田中紘太(株式会社マロー・サウンズ・カンパニー 代表取締役)
- 野口晴子(早稲田大学政治経済学学術院 教授)
- 花岡徹(一般社団法人 日本福祉用具・生活支援用具協会 会長)
- 濵田和則(一般社団法人 日本介護支援専門員協会 副会長)
- 東畠弘子(国際医療福祉大学大学院 教授)
- 別所俊一郎(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 准教授)
- 渡邉愼一(横浜市総合リハビリテーションセンター 副センター長・一般社団法人日本作業療法士協会 制度対策部福祉用具対策委員長)
議題
1.福祉用具貸与・販売種目のあり方について
2.その他
2.その他
議事
- 第1回介護保険制度における福祉用具貸与・販売のあり方検討会
○高齢者支援課長
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会を開催させていただきたいと思います。
事務局を務めます、厚生労働省老健局高齢者支援課長の須藤でございます。よろしくお願いいたします。
本日に当たりましては、委員の皆様方は御多忙の中、また、新型コロナウイルス感染症に関する対応の中を御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
コロナの感染拡大防止の観点から、従来のいわゆる一般的な審議方式ではなく、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただいております。
また、動画配信システムでのライブ配信によりまして、一般公開をさせていただいております。
初めに、老健局長の土生より御挨拶いたします。なお、土生局長におかれましては、10時40分頃をめどに中座させていただくこととなってございますので、この点、御了承願います。
○老健局長
委員の皆様、おはようございます。
厚生労働省老健局長の土生でございます。
第1回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
本日は、業務御多忙の中、本検討会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。
委員の先生方におかれましては、日頃より当省の施策に関し御指導、御協力をいただいていることに、この場をお借りいたしまして改めて感謝申し上げます。
さて、介護保険制度につきましては、2000年に制度が創設され、既に20年以上が経過し、その間、在宅サービスをはじめとして利用者が大きく増加してきており、厚生労働省といたしましても、介護が必要となっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援が包括的に確保される地域包括ケアシステムの構築に向けた取組を積極的に進めてきております。
その中で、福祉用具の給付は、在宅における高齢者の方々のより自立に向けた日常生活を支援する上で極めて重要な役割を果たしていると思っております。社会保障審議会介護給付費分科会での令和3年度介護報酬改定の審議報告におきましては、福祉用具に関して、現行制度の原則である貸与や福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全性の確保等について、引き続き検討が必要とされているところであります。
このような状況において、今後介護ニーズがますます増大することが見込まれる中、福祉用具について、介護保険制度全体の中での給付の在り方、さらに、将来の在り方について検討が必要な時期に来ていると考えております。つきましては、調査報告や現状を踏まえ、要介護者等が福祉用具をより適切かつ効率的に使用することができるよう、その対応や方策についての御検討をお願いしたいと思います。
本日は第1回目となりますので、今後の福祉用具の給付の在り方について、広く御意見、御議論をいただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○高齢者支援課長
続きまして、本検討会の委員の皆様方の御紹介をさせていただきたいと思います。
恐縮ではございますが、私からお名前等の読み上げで御紹介に代えさせていただきたいと思います。
最初に、立教大学経済学部准教授でいらっしゃいます、安藤委員。
稲城市副市長、石田委員。
一般社団法人全国福祉用具専門相談員協会理事長、岩元委員。
大阪市立大学大学院生活科学部教授、岡田委員。
一般社団法人日本福祉用具供給協会理事長、小野木委員。
一般社団法人シルバーサービス振興会事務局長、久留委員。
健康保険組合連合会理事、幸野委員。
公益財団法人テクノエイド協会企画部長、五島委員。
株式会社マロー・サウンズ・カンパニー代表取締役、田中委員。
早稲田大学政治経済学学術院教授、野口委員。
一般社団法人日本福祉用具・生活支援用具協会会長、花岡委員。
一般社団法人日本介護支援専門員協会副会長、濵田委員。
国際医療福祉大学大学院福祉支援工学分野教授、東畠委員。
東京大学大学院経済学研究科・経済学部准教授、別所委員。
横浜市総合リハビリテーションセンター副センター長、一般社団法人日本作業療法士協会生活環境支援推進室副室長、渡邉委員。
また、本日は、公益社団法人日本医師会常任理事の江澤委員及び国立研究開発法人国立長寿医療研究センター副院長、リハビリテーション科・部部長の近藤委員の2名におかれましては、御欠席でございます。
また、事務局でございますが、ただいま御挨拶をいたしました土生老健局長のほか、堀内審議官、笹子認知症施策・地域介護推進課長、登内課長補佐、そして、高齢者支援課長の私、須藤、及び長倉福祉用具・住宅改修指導官が出席してございます。
それでは、議事に入る前に、お手元の資料の確認とオンライン会議の運営方法の確認をさせていただきます。
○高齢者支援課福祉用具・住宅改修指導官
では、最初に資料の確認をお願いいたします。
本日は、電子媒体でお送りしております資料を御覧いただければと思います。同様の資料をホームページに掲載しております。
まず、議事次第がございます。
資料1-1「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会開催要綱」。
資料1-2「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会構成員名簿」。
資料2「介護保険制度における福祉用具、居宅介護支援について」。
資料3「介護保険制度の福祉用具等における現状と課題」。
参考資料1「令和3年度調査研究事業の速報値等」がございます。
資料の不足等がございましたら、恐縮ですが、ホームページからダウンロードしていただくなどの対応をお願いいたします。
次に、オンライン会議における発言方法等について確認させていただきます。オンラインで御参加の委員の皆様、画面下のアイコンのマイクについては、基本的にミュートにしていただきますが、御発言される際にはZoomのツールバーのリアクションから「手を挙げる」をクリックしていただき、検討会座長の御指名を受けてから、マイクのミュートを解除して御発言いただくようお願いいたします。
御発言が終わりました後は「手を降ろす」をクリックしていただき、あわせて再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
発言希望の御意思が座長に伝わっていないと思われる場合は、オンライン会議システムのチャット機能等で会場へ御意思をお伝えいただくことも可能ですが、原則としては「手を挙げる」機能にて意思表示をお願いいたします。チャット機能等で記載いただいた内容については、オンラインの画面に表示されますので、御承知おきください。
それでは、冒頭のカメラ撮影はここまでとさせていただきます。
本日は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、報道の皆様を含めここで御退席いただくこととなりますので、よろしくお願いいたします。
(報道関係者退室)
○高齢者支援課長
続きまして、本検討会の座長についてでございます。開催要綱におきましては「互選によりこれを定める」とございますが、事前に御推薦等をいただいてございます。社会保障審議会介護保険部会の部会長代理でもいらっしゃいます野口先生にお願いさせていただきたいと思いますが、いかがでございますでしょうか。御賛同等があればZoomのツールバーの「手を挙げる」等をクリックしていただけますと幸いでございます。
(挙手する委員あり)
○高齢者支援課長
ありがとうございます。
それでは、以降の進行につきましては、野口座長にお願いしたいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。
○野口座長
改めまして、皆様、おはようございます。
ただいま座長に任命していただいた早稲田大学の野口と申します。
このたびは、日本の介護施策にとって非常に重要なテーマである福祉用具貸与・販売種目の在り方を検討するに当たって、専門家の皆様とともにこのような議論をさせていただく貴重な機会を頂戴いたしましたこと、心より御礼申し上げます。
福祉用具については、本日議論させていただく個別テーマのみならず、これから介護サービスの質と費用のバランス、また、将来を見据えれば、今、世界から注目を集めている日本の介護ロボットの開発と普及なども当該検討会の視野に入ってくるでしょうし、もしそうとなれば、介護分野の労働確保の課題などについても我々の議論の対象となるかと思います。
いずれにいたしましても、本検討会では専門家の皆さん方の意見を御自由に発言いただいて、介護保険における福祉用具貸与及び購入、販売に対する有意義な検討会となりますように努力してまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事次第に沿って進めさせていただきます。
議題(1)の「福祉用具貸与・販売種目のあり方について」、事務局の方より御説明をよろしくお願いいたします。
○高齢者支援課福祉用具・住宅改修指導官
福祉用具・住宅改修指導官の長倉でございます。
資料説明に入らせていただきます。
まず、資料1-1は、本検討会の開催要綱でございます。
目的及び検討事項でございますが、内容につきましては、資料の中で御説明させていただきます。本検討会はこの要綱に従って開催、運営をさせていただきます。
資料1-2は構成員名簿でございます。
続きまして、資料2を御覧ください。介護保険制度における福祉用具及び居宅介護支援に係る基礎資料について御説明をさせていただきます。
1ページ、2ページ、介護保険の福祉用具の概要です。要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるものについて、保険給付の対象としております。対象種目に関しましては、厚生労働大臣告示において定めておりまして、貸与が13種目、福祉用具の販売が5種目としております。制度の概要としましては、利用者の身体状況や要介護度の変化、福祉用具の機能の向上に応じて、適時・適切な福祉用具を提供できるよう、貸与を原則としておりますが、貸与になじまない性質のものは、福祉用具の購入費を保険給付の対象としております。また、貸与及び購入は、公定価格を定めず、現に要した費用の額により原則9割、所得に応じて8割、7割を給付する仕組みです。
2ページ、福祉貸与の13の対象種目のイメージ一覧となっております。
3ページ、介護保険制度における福祉用具の範囲の考え方をお示ししております。
4ページを御覧ください。介護保険制度は、制度創設以来20年を経過し、その対象者及び利用者の増加を示しております。65歳以上の被保険者数が1.7倍、認定者は3.1倍、サービス利用者数は3.4倍に増加しております。
5ページになります。要介護者別認定者数の推移ですが、グラフの右端を御覧いただきますと、この20年間では、要支援・要介護1の認定者数の増加が大きくなっております。
6ページを御覧ください。介護費用と保険料の推移をお示ししたものになります。
7ページ、令和2年度の介護保険給付に係る総費用等における提供サービスの内訳ですが、介護給付費等実態統計で見ますと、福祉用具貸与は約3326億円で、全体の約3%の給付費となっております。
8ページを御覧ください。介護予防・居宅介護サービス別の受給者数ですが、福祉用具貸与は居宅介護支援に次いで多く、令和3年4月分では約240万人となっております。
9ページを御覧ください。こちらは福祉用具貸与の受給者数ですが、この13年の推移を見ましても、要支援2、要介護1の占める割合が増加しております。
10ページを御覧ください。貸与の費用額ですが、対前年度比が約4%増となっておりまして、こちらも平成21年からの10年余りの比較でも3倍以上の数字となっております。また、要介護度別では、要介護2以下の方が給付件数の約6割を占めております。
11ページを御覧ください。種目ごとの利用者の要介護度となっております。原則、要介護度に関係なく支給される手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえの4種目に関しましては、ほかの種目と比較すると明らかに要支援・要介護1の利用が多くなっております。
12ページを御覧ください。福祉用具貸与の種目別の請求額と件数の状況となっております。特殊寝台、手すり、車椅子で全体の約65%を占めております。
13ページを御覧ください。これらの4種目の給付件数と1件当たりの費用額の推移です。給付件数はどれも伸びてはいますが、特に手すりの伸び率が大きくなっております。一方、種目の1件当たりの費用額は減少しています。
14ページを御覧ください。特定福祉用具購入費の状況ですが、令和元年度で約132億円となっておりまして、近年は横ばいの数値となっております。
15ページ、16ページは、要支援・要介護1の方に対する福祉用具貸与についての判断基準をお示ししたものです。
17ページに参ります。福祉用具の貸与価格の上限設定の考え方をお示ししております。福祉用具の貸与価格は自由価格であることから、同一商品が地域によって価格に差が見られたことを受け、平成30年10月より国が貸与価格の上限を示し、上限を超えた場合は給付の対象外としたところです。
続きまして、18ページです。福祉用具専門相談員につきましては、専門的知識に基づく福祉用具を選定し、自立支援の観点から、使用方法等を含めて適合・助言を行う専門職となっております。ほとんどの福祉用具専門相談員は、指定講習を受けた方となっております。
19ページを御覧ください。こちらは福祉用具貸与・販売の流れとなっております。福祉用具専門相談員は、福祉用具貸与・販売計画書を利用者及びケアマネに交付することとしております。
20ページを御覧ください。福祉用具貸与におけるモニタリングとメンテナンスの具体的な例を示しております。
21ページを御覧ください。福祉用具専門相談員の指定講習カリキュラムを示しておりまして、内容を見直し、平成27年度より10時間を加えて50時間となっております。
続きまして、22ページから25ページは、住宅改修の制度についての資料となっております。自宅に手すりを取り付ける、段差の解消等、簡単な工事を行う場合、支給限度基準額の20万円以内で給付されることとなっております。
飛びまして、25ページをお願いします。住宅改修に係る給付費は、年間380億円程度となっておりまして、平成25年度をピークに若干減少傾向にある状況です。
続きまして、26ページ以降でございますけれども、居宅介護支援、介護支援専門員についての説明となります。
27ページを御覧ください。ケアマネジメントの流れでございます。利用者への説明、同意を得て、ケアプラン決定後、サービスの提供となり、給付管理やモニタリング評価が実施されております。
28ページです。居宅介護支援・介護予防支援の報酬として、令和3年度報酬改定の内容が反映されております。利用者の要介護度や取扱件数に応じた基本サービス費をお示ししております。
29ページを御覧ください。介護支援専門員の1人当たりの担当利用者数について、令和元年度の状況でございます。介護支援専門員1人当たり、要介護者25人、要支援については約6人という状況にあります。
30ページ、31ページは、居宅介護支援・介護予防支援の受給者数で、要介護1、要介護2、要支援2の割合が多くなっております。
32ページは、介護支援専門員の概要でございます。右下に資格取得・更新の流れがございますけれども、試験を受けていただいて、合格後、研修修了、資格登録いただき、専門員証を交付の上、従事していただくことになっております。なお、5年に1回更新することとなっております。
33ページを御覧ください。介護支援専門員試験の合格者数及び合格率の資料でございます。合格数の累計は約71万人ですが、34ページの実働での実数の部分ですが、約19万人に従事していただいております。
35ページをお願いします。介護支援専門員の保有資格ですが、介護福祉士、介護職員初任者研修をお持ちの方が多い状況でございます。
36ページは、主任介護支援専門員の概要を参考につけさせていただいております。
37ページ以降は、介護支援専門員の研修の概要でございます。最初に受けていただく実務研修、5年に1度受けていただく更新研修、さらにステップアップしていただくための主任ケアマネ研修のカリキュラムの時間数等を示させていただいております。
38ページから40ページは、ケアマネジャーの研修制度について記載しております。直近では平成28年度に研修体系が改められており、39ページは更新研修のカリキュラムですが、赤枠で囲っているところ、「リハビリテーション及び福祉用具の活用に関する事例」について、各研修の中に組み入れるよう指摘があり、明示的に組み込んでいるところでございます。
資料2については以上となります。
続きまして、資料3「介護保険制度の福祉用具等における現状と課題」につきまして、参考資料1と併せて御説明させていただきます。
1ページ、2ページですが、資料2で御説明させていただきました介護保険制度の福祉用具給付等について、概要を再度整理させていただいております。特に3段落目ですが、福祉用具貸与に関する給付はケアマネジャー等によって給付額が管理された上で、生活状況全般のことはケアマネジャー、福祉用具に関することは福祉用具専門相談員が中心となって行うなど、連携して実施されているところであり、一方、居宅介護福祉用具購入費については、既にケアプランが作成されている場合は、特定福祉用具販売もケアプランに位置づけることとしておりますが、居宅介護支援の対象外となっているところです。
3ページから9ページでは、介護保険制度の福祉用具等に対する審議会等における議論について御説明させていただきます。
3ページでございますが、昨年の給付費分科会の令和3年度介護報酬改定に関する審議報告に、福祉用具貸与や販売種目における在り方に関しまして、赤枠で囲いましたところですが、「利用実態を把握しながら、現行制度の貸与原則の在り方や福祉用具の適時・適切な利用、利用者の安全性の確保、保険給付の適正化等の観点から、どのような対応が考えられるのか、今後検討していくべきである」と示されたところです。
続きまして、この背景について、順に御説明をさせていただきます。
4ページを御覧ください。こちらは令和2年12月の財政審議会の資料となっておりまして、福祉用具貸与につきまして、貸与に係る給付費に加え、毎月のケアプラン作成等のケアマネジメントに給付費がかかることから、購入する場合に比して多額の費用を要していること。福祉用具貸与のみを内容とするケアプランが約6%を占め、その内容として歩行補助つえなど廉価な品目が約7割を占めていること。そこで、歩行補助つえなどの廉価な福祉用具については、保険給付による貸与から販売に変えることで毎月のケアプラン作成等のケアマネジメントの費用を不要とすることや、要介護度に関係なく給付対象としている品目について、貸与ではなく販売とすべきと意見をいただいております。
以上のことを踏まえ、5ページですが、令和2年11月の財政制度等審議会の令和3年度予算の編成に関する建議において、福祉用具貸与の見直しとして、指摘のような適正化は、介護保険制度の支え手にとって、総費用・保険料負担の抑制につながるものであると示されております。
6ページですが、最初の4ページに示しております財政制度等審議会の指摘について、直後の第192回介護給付費分科会においても議論され、御意見をいただいた内容です。利用者の負担増にもつながり現行のままでよいや慎重な検討が必要とされる一方で、種目によっては購入したほうが合理性があることも考えられるので、購入の選択肢についても検討に入れてはどうかなどの御意見があったところです。
7ページをお願いします。こちらは令和3年4月の財政審議会におきまして、ケアマネジメントの在り方の見直しの指摘においても、3つ目の○ですが、福祉用具の貸与のみを行うケースにつきましては報酬の引下げを行うなど、サービスの内容に応じた報酬体系とすることも必要と指摘されているところです。
8ページ、令和3年5月の財政制度等審議会の財政健全化に向けた建議において、「ケアマネジメントの在り方の見直し」のところにおきまして、報酬等の見直しなどについては、令和6年度の報酬改定において実現すべきであると示されております。
9ページをお願いします。令和3年12月の経済財政諮問会議の改革工程表においても、2020年度の関係審議会における指摘を踏まえて、福祉用具貸与の在り方について、引き続き必要な対応を検討していくことと示されているところです。
10ページを御覧ください。これを受けまして、令和3年度は利用実態を把握するため、福祉用具専門相談員のモニタリングの実態、長期利用者の状態やケアマネジャーの支援状況等に関する調査研究を実施しております。主な速報値について御説明させていただきます。
福祉用具を継続している理由ですが、利用者の要介護度が低い場合は被介護者のADLの維持・向上や生活範囲の維持・拡大のために貸与継続を希望する傾向にあり、対して、利用者の要介護度が高い場合は介護負担軽減や介護者の希望により貸与を継続する傾向となっております。こちらは参考資料1の2ページに記載されております。
福祉用具を3年以上利用している方について見た場合、福祉用具1種のみを利用している方は、要支援から要介護1の割合が多く、また、その場合の要介護度の変化を見てみますと、半数の対象者のADLが維持されているということが分かりました。こちらは参考資料1の4ページにデータが載っております。
福祉用具専門相談員のモニタリングでは、6割から7割程度が定期的なモニタリングであり、前回実施日から6か月から9か月未満の期間で実施されております。また、利用者や家族等の要請に基づき実施する不定期な訪問についても1割弱ございました。こちらについては参考資料の8ページ、10ページにデータが記載されております。
福祉用具専門相談員が福祉用具の使用状況を確認した結果、前回訪問から変化があった方は2割から3割、使用方法の指導を行った方は3割から4割となっております。こちらは参考資料の11ページに記載がございます。
介護支援専門員が福祉用具サービスのみを判断する要因として、サービスの開始時及び継続時に、共に利用者の状態を踏まえ他の介護サービスを利用する必要はないと判断している場合が最も多く、次いで開始時においては利用者の要望による場合、継続時においては介助者の要望による場合が挙げられております。こちらに関しましては参考資料の5ページにございます。
11ページ、福祉用具貸与と居宅介護支援のみの利用者や、同一商品の利用期間、希望小売価格について確認しましたところ、平成30年10月より現在も同一商品を利用している方の福祉用具の貸与期間の中央値をお示ししております。歩行補助つえが11か月、手すりが12か月、歩行器が9か月、スロープが6か月となっております。一方、2年以上使用している方も25~30%あり、過去の調査に比べるとその割合は上昇しております。
令和3年4月サービス提供分のうち、福祉用具貸与と居宅介護支援のみの方は10%、介護予防福祉用具貸与と介護予防支援のみの方は34.8%でした。こちらは参考資料の14ページに記載されております。
公益財団法人テクノエイド協会が運営している「福祉用具情報システム」により、令和4年1月6日時点で登録されている商品の希望小売価格について抽出・分析したものもお示ししております。
12ページをお願いします。以上、基本資料及び本年度の実態調査を踏まえまして、検討すべき基本視点としまして、まとめさせていただいております。介護保険制度創設時と比較して、サービス利用者数や要支援者や要介護1の認定者が増加していることや、令和3年度介護報酬改定の審議報告等を踏まえ、貸与と販売の在り方について改めて検討する必要があること。また、福祉用具貸与の種目別給付費の伸びなどに着目した上での各種適正化の取組の在り方も検討する必要性があること。そして、介護保険サービスのうち福祉用具貸与のみを利用している場合においても、介護支援専門員の役割等が重要であるため、検討に際しては、ケアマネジメントも留意する必要があることと考えているところです。
このようなことから、御意見をいただきたい点としまして、1点目、要介護者等の居宅での自立した生活の支援と介護保険制度の持続可能性の確保の両方を考慮して、福祉用具貸与と特定福祉用具販売の整理について、介護保険法施行時と現在の状況の差異を踏まえ、どのように考えるべきか。また、福祉用具貸与を利用している方に対するケアマネジメントについて、どのように考えるべきか。2点目は、福祉用具貸与等における販売制度導入を含めた適正化方策について、これまでの取組も踏まえつつ、どのような取組が考えられるかとしました。
13ページを御覧ください。福祉用具貸与等におけるこれまでの適正化について取り組んだ内容について、改めて記載させていただいております。
14ページを御覧ください。さらに、福祉用具サービスについては、在宅高齢者が安全に有効に福祉用具を利用するためには、安全担保のための取組が重要となります。また、介護保険制度の福祉用具給付においては、福祉用具専門相談員を中心とした福祉用具貸与(販売)事業所による適切な支援を担保するため、これまでもサービスの質の向上に資する取組を随時実施してきたところです。
以上のことも視点として考えながら、15ページを御覧ください。令和3年度介護報酬改定の審議報告にも示されているとおり、関係者間における情報提供や情報共有を強化するなど、さらなる効果的な取組を検討する必要があることや、サービスの質の向上については、継続的に取り組んでいくとともに、実施されるサービスについても適正な評価などによりPDCAサイクルを担保する必要があることを踏まえまして、御検討いただきたい点としまして、3点目、福祉用具貸与等における安全な利用の促進、サービスの質の向上について、どのように取り組んでいくか。特に、事故発生情報の活用や福祉用具貸与事業所等における連携、福祉用具専門相談員の質の向上、事業所におけるサービスの質の向上に向けた取組について、どのようなことが考えられるかとさせていただきました。
最後にあります16ページから19ページに関しましては、参考としまして、過去、平成19年から23年にも在り方検討会を開催し、議論をされています。議論を行った際の議論の整理を一部抜粋して記載しております。
駆け足で長くなりましたが、御説明は以上となります。
○野口座長
膨大な資料の御説明、大変要領よくやっていただいて、どうもありがとうございました。
まず、有効な議論をするために、皆様から今の事務局様による資料の説明に対して、御意見は後ほどお聞きすることにしたいので、御質問があればぜひいただきたいのですが、いかがでしょうか。リアクションの手挙げのアイコンを使っていただいて、手を挙げていただければと思います。
もし御意見と御質問と絡めて御一緒に発言されたいということであれば、もう議論に入りたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
東畠先生、よろしくお願いいたします。
○東畠委員
東畠です。
1点質問させてください。資料3の特に議論いただきたい点の2のところなのですけれども、「福祉用具貸与等における販売制度導入を含めた」の「販売制度導入」というのは、現状、特定福祉用具販売という指定基準というのがあるかと思いますけれども、そのことを指しておられるのでしょうか。そこだけ確認のために事務局から教えていただきたいと思いました。
以上です。
○野口座長
ありがとうございました。
事務局の方、いかがでしょうか。
○高齢者支援課福祉用具・住宅改修指導官
事務局でございます。
もちろん現在の制度も含めてなのですが、多様な運用の仕方も含めての御議論をいただけたらと思っております。
以上です。
○東畠委員
分かりました。ありがとうございます。
○野口座長
ありがとうございました。
ほかにこの時点で何かございますでしょうか。
それでは、時間ももったいないので、議論に入らせていただきたいと思います。
先ほどの資料3に基づいて議論していただければと思いますが、3点、事務局様から論点を挙げていただきました。福祉用具についての貸与あるいは販売あるいは購入に対する整理、この辺りをどう考えるか。また、それに伴うといいますか、それに関連してケアマネジメントに対するコストをどう考えるかが第1点。2点目は、福祉用具貸与における販売制度導入、今、東畠先生も御質問された点ですけれども、それを含めた適正化についてどのように考えればよいか。3点目の論点としては、福祉用具利用における安全・安心の促進とサービスの質に対する確保についてどう考えればいいかということだと思います。この3点以外でも議論していただければと思いますが、皆さんの御意見を伺いたいと思います。
なお、今回は何か結論を出すという趣旨ではありませんので、皆様から自由にこのような考え方もできるのではないかとか、さらにこういうことを調査する必要があるのではないかということを議論していただければと思います。
それでは、お手を挙げていただければと思います。よろしくお願いします。
濵田先生、よろしくお願いします。
○濵田委員
ありがとうございます。
本検討会は福祉用具等の在り方に関するものでございますが、12ページの議論の1にケアマネジメントに関する内容も含まれておりますので、意見を述べさせていただければと存じます。
まず、本日の資料3の4ページ、財政制度等審議会(令和2年11月2日)における指摘に関して、3行目に、福祉用具貸与のみを内容とするケアプランが約6%を占めているとなっておりますけれども、これはあくまでもケアプランにある各種フォーマル、インフォーマルサービスや社会資源の中で介護保険サービスのみを抽出したものと見られまして、実際のケアマネジメントである居宅介護支援や介護予防支援においては、必ずしも単独のサービスとなっているわけではないと考えます。
既に御承知のとおりでございますけれども、ケアマネジメントは利用者の生活全般をアセスメントして、必要な支援を行っておりますので、介護保険サービスは福祉用具貸与のみとなっていても、基礎疾患があり、医療機関との連携や医療保険による訪問看護やリハビリテーション等が必要な事例、また、食事支援や移動支援はもちろんのこと、さらに令和2年度の老人保健等健康増進事業の調査研究事業の保険外サービス活用推進に関する調査研究事業報告書では、行政機関や金融機関における手続の支援、入退院時の支援や緊急時の駆けつけ訪問や通院の付添い等が95%程度の介護支援専門員が支援した結果も示されておりまして、介護予防のためのいわゆる通いの場への活動参加支援などを行う場合もございまして、これらのことから、介護保険サービスとしては福祉用具貸与のみの内容であっても、実際のケアプラン、特に第2表自体は、複数、複雑なケアマネジメントによる支援を必要としている場合があることが分かっていただけるかと存じます。
また、同じく資料3、7ページの財政制度等審議会(令和3年4月15日)における指摘に関しまして、中段に「法人・上司からの圧力により、自法人のサービス利用を求められた」という経験を見聞きしたケアマネジャーが約4割いるなど、サービス提供に公正中立性の問題が存在との記載がございますけれども、こちらも調査研究事業、改定検証事業の居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査研究事業報告書、平成30年度でございますが、及び、居宅介護支援及び介護予防支援における平成30年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業報告書、こちらは令和元年度の老人保健健康増進等事業の調査研究報告書でございますけれども、これによれば、自法人の系列サービスの利用を必要性を超えて推奨したことの有無については、92.9%がないと回答されておりまして、単に見聞きしたレベルの調査では公正中立に関する実情を示すのは無理があると考えております。
その上で、資料3の12ページ、特に議論いただきたい点1に関して、福祉用具貸与を利用している方へのケアマネジメントについて、特に近年ではケアマネジメントの結果、例えばコロナウイルス感染予防のため、対人接触を避ける目的で一時的に訪問系サービスや通所系サービスを中断して、感染状況が収まるまでは福祉用具貸与のみとしている事例や、自立支援、介護予防や重度化防止の結果、福祉用具貸与のみとなった事例もございます。福祉用具貸与を利用している場合であっても、居宅介護支援・介護予防支援によるケアマネジメントによる介入は必要不可欠と考えます。さらに、アセスメントからモニタリングに至るケアマネジメントプロセスにつきましては、これに関する専門的知識、技能、価値、倫理に関する評価を受け、養成が行われた専門職が実施すべきであると考えます。
以上でございます。
○野口座長
どうもありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
小野木委員、よろしくお願いいたします。
○小野木委員
福祉用具供給協会の小野木でございます。
福祉用具の部分で、特に今回軽度の方々に対しての部分が問題になっていくと思うのですけれども、まずお考えいただきたいのは、貸与が原則になっているということであり、貸与であるからこそ適切な用具を変更することができる、それが結果として利用者にとって大きな利益となっている部分はとても大事な部分かと思います。もしもこの福祉用具を御利用者様自身が購入されるという形になりますと、その福祉用具は御利用者さんの状態像が変化する中で、ケアマネジャーさんからこれはもう合わないからこちらに変えたほうがいいですよというお話をされても、御利用者さん本人のものであるから私はこれを使い続けるという形になる可能性もあります。結果として、その人に合っていない福祉用具を使い続けることによって、転倒のリスクや状態像が悪化する可能性も出てくるかと。レンタルだからこそその状態像に合ったものに変えることができているという部分は、福祉用具のレンタルの大きな効果かと思います。
最後に、単品ケアプランのお話が出ていましたけれども、福祉用具だけを使うことによって何とかその人の状態を維持できている、そして、ヘルパーさんとかそちらのほうの人的サービスを使わなくてもいいという形で、そこの部分で状態を維持できているということは、かえって私は介護保険の費用を抑えるという部分では、大変福祉用具は大きな効果を果たしているのではないかと思っております。その意味では、この単品ケアプランという部分に何か問題があるというよりも、そこの部分の大きなメリットといいますか、それによってその人の状態像を何とか維持できているという部分はプラスに考えることもできるのではないかと思っております。
以上です。
○野口座長
どうもありがとうございました。
花岡先生が拍手をしていらっしゃいます。
岡田委員、よろしくお願いいたします。
○岡田委員
それでは、発言をさせていただきたいと思いますが、この議論をさせていただく前に、ターゲットポピュレーションといいますか、今、ターゲットになっておられる要支援2あるいは要介護1という方々の状態像についても少し議論が必要かと思っております。
まず、この方々は、多くの場合MCI、軽度認知症になっておられる方が非常に多くなりつつあり、かつ後期高齢者も増加しているということで、当初の介護保険が創設された状況とはかなり変わってきて、20年たってかなり後期高齢者が増えてきている状態でございます。そして、後期高齢者が増加してまいりますと、骨粗鬆症の問題等で、この福祉用具の貸与あるいは福祉用具を使うということについて、制度変更がある場合にかなり変化が起こってくる可能性があって、今後も恐らく後期高齢者人口が増えてくるというトレンドは変わらないであろうということを考えると、この辺りは慎重に議論していただく必要があって、利用者の状態像が大きくこの20年間変わってきて、これからもそれが非常に維持されてくるであろうということで、その辺りを踏まえて御議論いただければと思っております。
以上でございます。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、五島委員、東畠委員、花岡委員、田中委員の順番で行きます。
五島委員、よろしくお願いいたします。
○五島委員
どうもありがとうございます。
非常に分かりやすい説明をありがとうございました。まず、財務省の建議を踏まえて議論に発展してきていると思うのですけれども、財務省の指摘の狙いがどこにあるのか正直分からないところがある。財源なのか、それとも給付システムなのかというところがあったのですけれども、今回、今年になって、令和3年度の財政審の新たな建議の中で貸与サービスのみを行うケースについては報酬を引き下げるべきだという追加的な建議を出してきたわけですけれども、福祉用具のサービス、ちょっと話がありましたように、人的サービスが中心の介護保険の中で、用具サービスというのは利用者の自立を支える大変重要なサービスの一つだと思うのです。先ほど長倉指導官のお話もありましたように、全体の介護給付費の中で3%しかない。一方で、居宅介護に続いて福祉用具サービスは利用している人が非常に多いサービスということを考えると、福祉用具が在宅で果たしている役割はすごく大きいのだと思うのです。
今回の調査の中で、福祉用具だけ取り上げていろいろな調査をしておりますけれども、先ほどの参考資料にもありましたように、3年間継続して利用されていらっしゃる方の要介護状態を見てみても、5割以上の人が現状を維持しているという結果が出ております。これは、要は、もともと貸与にした仕組み、高齢者の場合は一般的な障害者の障害が固定した人よりはどんどん身体が衰えていく中において、その状態に応じて使い分けをしながら在宅で自立した生活を維持するという目的をまさに果たしているのだと思うのです。現状維持の介護状態を維持しているという効果は非常に評価すべきではないかと思います。
ですから、一足飛びに販売の在り方を議論するというよりは、もう少しマクロ的な視点で他のサービスにつなげていない福祉用具の役割というところを見ていかないと、福祉用具のところだけ取り上げて、また財務省はケアマネジメントも指摘しているわけですけれども、ケアプランの中で先ほどの説明では生活全般をケアマネジャーが見て、福祉用具については専門相談員が見ているという、介護保険の仕組みはまさにそうなっているわけですが、調査の具体的な結果を見てみると、ケアマネジャーから連絡を受けて、その利用状況でメンテナンスやモニタリングに入るケースが多いわけです。ですから、単品ケアプランが指摘されているのであれば、単品ケアプランの中でのケアマネジメントがどうなされているのかをもう少し深掘りして調査をしていかないと、今回の調査は福祉用具について、審議会の中でそこは指摘が大きく出ていますので仕方ないことではあるのですけれども、ケアマネジメントの中での福祉用具プランというところをもう少し見ていくことも必要ではないかと思ったところでございます。
先ほど濵田委員がおっしゃったように、コロナ禍の中で複数の用具を使って在宅で過ごす機会も本当に増えてきていることもよく踏まえて検討していかないといけないのではないかと思ったところでございます。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、東畠委員、よろしくお願いいたします。
○東畠委員
ありがとうございます。
大きな点では、まず、大枠で言えば、今回の貸与と販売の在り方も言わずもがなで財務省のというところが入ってきておりますけれども、それももちろんそうだとは思うのですが、介護保険制度施行から20年余りたっていることを考えて、さらに近年介護ロボット等々の開発も急激に進んでいるかと思います。そういうことを考えると、1998年に介護保険制度における福祉用具の範囲の考え方、これは資料2の3ページに出ておりますけれども、7つの判断基準というものがあります。この中で幾つかそのとおりだと思う反面、例えば6の「ある程度の経済的負担があり、給付対象となることにより利用促進が図られるもの」、これは逆の見方をすると、それこそ今回財務省の御指摘があるのか、例えば給付対象となったことで十分に手すりの利用が伸びているなどという指摘につながってしまうのかというところがあります。
何が言いたいかというと、こうした対象範囲の特に6についての再検討も必要なのかということ、そして、今回、購入費の福祉用具の考え方、いわゆる特定福祉用具販売ですけれども、「他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの」、これにのっとってポータブルトイレやリフトのつり具が購入になっていますが、先ほど質問させていただいたのは、つまり、販売と貸与の在り方を分けるときに、このもともとの原則の考え方はどうなるのか、そうした考え方の整理がまず前提として必要ではないのかというのが申し上げたかったことの1点目でございます。
2点目としては、利用者の状態像、軽度の方ということで、今回集中的な議論のようになりますけれども、先ほど岡田先生がおっしゃいましたが、例えば軽度の方においても、当然ながら認知症の方、そして、高次脳の方あるいは状態急変が考えられる末期がんの方というような方々は、これは軽度で要介護認定において状態としては軽いほうだけれどもというところで一律には言えないのではないか。この辺りについては、何かを検討するときにも、特に医療職からの判断、評価、情報共有が必要ではないかというのがあります。
最後に3点目になりますけれども、適正化の仕組みで何が考えられるかというところにおいては、提示していただいている福祉用具の状態に対する判断基準というものがございます。これは以前行われていたものですけれども、いわゆる福祉用具の選定の判断基準をもう一回見直すということはあり得るのではないないか、その後に、貸与に追加された福祉用具、購入に追加された福祉用具もありますので、その通称ガイドラインと言っていますけれども、平成16年で、資料13ページにあります。この判断基準の見直しは必要というか、適正化の方策の一つになり得るのではないかと思います。その際も、先ほど申し上げましたように認知症や末期がん、高次脳といった方たちをどのようにというところにおいては、サービス担当者会議や医療者との連携というところを考えたほうがよいのかと。
最後になります。販売ということで、特定福祉用具販売の指定においてはこれまで貸与と一体的にということで、言葉は悪いですけれども、何か貸与に付随するような基準になっていますが、例えば特定福祉用具販売においては修理、交換あるいはメンテナンス、そういうところの基準はどうするかということも検討、検討というのは貸与から販売に移すという意味ではなくて、そもそも販売の指定基準としてそういうことがあっていいのではないかと考えました。
長くなりました。以上です。
○野口座長
どうもありがとうございました。非常に重要な御指摘だと思います。
花岡委員、よろしくお願いいたします。
○花岡委員
日本福祉用具・生活支援用具協会、JASPA会長の花岡でございます。
当協会は福祉用具の製造事業者メーカーを中心に、輸入業者などで構成されている協会でございます。
まず、福祉用具の安全利用の促進についてですが、これには本当に賛同いたします。福祉用具の安全な利用の促進、そのためには新たな体制の構築が必要ではないかと考えております。消費者庁の消費生活製品安全法の福祉用具の重大事故の公表では、2021年8月の時点でJASPAの集計によると事故が210件、そのうち製品に起因する事故は30.5%、非製品に起因、誤使用などの事故は65.5%となっておりました。この状況から、福祉用具の重大な事故を防ぐには、製造事業者が製品の安全性を高めるとともに、使用時のリスク低減が重要と考えられ、製品のハード、使用方法のソフト、両面からの対策が必要ではないかと考えております。
製品対策についてですが、JASPAはこれまで厚生労働省、経済産業省様と協力し、福祉用具のJIS規格の原案策定を行ってまいりました。福祉用具貸与・販売種目の基準づくりに取り組んでおります。もちろんその中には安全に対することも取り組んでおります。厚生労働省様には、JISの内容や認証製品の利用推奨などの情報提供を、福祉用具専門員、ケアマネジャー、利用者、家族にお願いしたいと考えております。
一方、使用時のリスク低減についてですが、使用時のヒヤリ・ハットをいかに抑止するかが重要であると思っております。ヒヤリ・ハットの対策を講じることで、重大事故の発生が抑止できると思っております。それには、ヒヤリ・ハットの情報収集を積極的に行い、それを公表するとともに、ヒヤリ・ハットを予防するための研修を構築し、現場で研修を実践することで重大事故を抑制できると考えております。そのためには、厚生労働省様には、製品対策とヒヤリ・ハット情報を一元管理して公表する仕組みを構築していただき、いつでも誰でも利用できる環境を整備すべきではないでしょうか。その内容の構築には、我々JASPAもぜひ協力をさせていただきたいと思っております。介護ベッドや手動車椅子には、米国やヨーロッパでは医療機器としてモニタリングに規制が定められております。将来を見据えて体制強化が必要ではないでしょうか。
最後に、貸与と販売の在り方についてですが、つえや歩行器、手すり等は、貸与の継続を希望いたします。その理由としては、利用者安全確保のためのモニタリングであり、具体的には2点あります。1点目は身体状況に応じた機種選定です。つえ、歩行器、歩行車は歩行状態により機種の選定が必要ですが、高齢者は短期間で状態が変わり、導入時と導入後の定期的な適合確認が必要です。手すりは身体状況の変化によりコース変更の必要が生じ、手すりの設置変更があります。2点目はリスクアセスメント、メンテナンスです。つえ、歩行器、歩行車は転倒を防ぐためにキャスターなど消耗品の不具合の定期的な点検が必要です。手すりについても安全な設置ができているかどうか定期的な確認が必要になります。
以上でございます。ありがとうございました。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、田中委員、よろしくお願いいたします。
○田中委員
よろしくお願いします。株式会社マロー・サウンズ・カンパニーの田中と申します。
先ほど濵田委員からも御指摘がございましたが、介護給付上は福祉用具のみのサービスでも、実際にはがんの末期の方や神経難病の方ですね。裏では医療系サービスやインフォーマルサービスの調整を行っていることが多々あります。ですから、給付上は6%という数字が出ていましたが、実際にはかなり複数のサービスを使っていると考えます。また、現時点でも住宅改修工事のみや福祉用具の購入のみで介護給付が発生しない方の支援も行っておりまして、平成30年度の介護報酬改定で、みとり期における評価としまして、介護給付が発生しなくてもみとり期においては居宅介護支援費を算定してもよいということになりましたが、これはみとり期に限定されておりまして、実際には無報酬で動いているケースも非常に多く見受けられます。
また、ケアマネジャーのモニタリングについても、頻度はおおむね月に1回、自宅訪問、本人面接を行っておりますが、実際のモニタリング場面以外にも、裏で細かな連絡調整を行っていたり、入退院等が発生した場合には病院との情報連携等、迅速に対応しております。ですから、モニタリングだけを切り取るのではなくて、1か月単位で利用者がどのような体調の変化があるか、変化があった場合には随時迅速に対応できるように準備をしております。したがって、福祉用具貸与のみだからといって、ケアマネジメントに係る業務負担が一概に少ないとは言えないのではないかと考えております。さらに、毎月のモニタリングを通じて、常に利用者の状態を最新の情報にアップデートしていることで有事の際にも迅速に対応できると考えております。また、アセスメントから課題分析の結果、本人、家族の意向も踏まえて、その結果、福祉用具のみのプランになることもあって当然でありまして、それが福祉用具のみの単品プランはよくないと捉えられる資料のつくり方にもなっているのではないかと思っております。
2点目としまして、利用者の歩行状態に合わせて、つえ、歩行器、手すり、また、車椅子など、常に福祉用具の品目は変化していると考えておりますので、購入にはそもそも適さないのではないかと思っております。特に手すりに関しましては、住宅改修工事による手すりの取り付けに関して、退院時、住宅改修工事が間に合わないことなどで暫定的に手すりの貸与を行うこともあります。また、住宅改修工事に移行できる工事の部分は実は限定的でして、賃貸物件などで工事ができない住居などもありますので、その場合はどうしても貸与での手すりを活用することも多く見られますので、どうしても手すりの給付が増えてしまうのではないかとも考えられます。
以上でございます。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、岩元委員、よろしくお願いいたします。
○岩元委員
ありがとうございます。
論点1につきまして、現場の福祉用具専門相談員の立場から御意見を申し上げさせていただきます。まず、ケアマネジメントについては濵田委員、そして、今の田中委員を含め御発言がありました。全く私も同意見でございまして、そもそも適切なケアマネジメントの下で、結果として1種のみの福祉用具が貸与されたと。最適化された結果、半数が介護度が維持されるという結果、これは評価すべき結果であると思います。福祉用具を1つ使えば同じ結果が得られるわけでは決してないことは、私からも申し上げたいと思います。
また、論点1の貸与と販売の整理、特に田中委員からも御発言がありました手すりについて問題視されているように思いますけれども、そもそもこの手すりをなぜこれだけたくさん御利用いただいているかをぜひ考えていただきたいと思います。住環境整備という点では、住宅改修と並んで非常に重要なものがこの手すりであろうと考えます。例えば住宅改修で20万円を使い切ってしまって、さらに必要だからレンタルの手すりを使うケース、これは多々ございます。現場感覚としては、例えば和式便器を様式に取り替えてアクセスのドアを取り替える、これでもう20万円を使い切ってしまうと、あと手すりが住宅改修でどうにもならないケースは多々ございます。また、住宅改修を検討する際に、試行としてレンタルの手すりを使うことも現場では多く見られます。田中委員もおっしゃいましたけれども、賃貸物件等で住宅改修に制約がある場合、これも多くございます。また、特に同居の御家族がいらっしゃると、御家族の意向というのでしょうか、住宅改修に御理解を得られないケースもございますし、また、退院、退所、終末期等々、住宅改修では手続的にどうにも間に合わないという急ぐケース、逆に入居待機中ですぐに要らなくなるのは分かっているのだけれどもといったケース等々、手すりをレンタルだから活用いただけているという現場の実態はたくさんございます。
そもそもこういったことが起こった背景は、レンタルに適した手すりが多数開発されて、それによって利便性が向上していることの裏返しなのだろうと思います。平成18年の改正のときに、ベッドからの立ち上がりを目的に特殊寝台と特殊寝台附属品が使われているという指摘がありました。介護保険がスタートした頃には、今のような実用的な手すりが多数開発されるという状況ではありませんでしたけれども、この頃から各メーカーにこぞって非常に実用性のある手すりを開発していただきまして、結果として手すりの利用が伸びたというものだと私は理解しております。そうでありますから、手すりについて特出ししてこの10年で給付費が8倍になっていることについては、ぜひ肯定的に捉えていただきたいと考えます。
私からは以上です。ありがとうございました。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、幸野委員、よろしくお願いいたします。
○幸野委員
ありがとうございます。
私は健保連の理事をやっておりますので、いわゆる第2号被保険者を抱える立場、支払い側の立場、拠出側の立場から御意見を申し上げますので、今までの先生方の御意見とちょっと異なる、ファイナンスも重視しなければいけないということも含めて意見を言わせていただきたいと思います。
まず、各論に入る前に、介護保険制度の現状という話なのですが、資料2でも御説明いただいたのですけれども、今後、要介護認定者やサービス利用者はどんどん増加していくことが見込まれる一方で、介護保険制度の支え手となる現役世代は急激に減少していっている現状があります。保険料、介護納付金の負担も、制度創設時の2000年は1人当たり月額2,075円だったのですが、2021年には3.2倍の6,678円まで上昇しております。医療保険と併せて、既にこの介護保険の負担が被用者保険の財政を圧迫しているという要因は事実であります。今後、介護保険制度の持続可能性も含めながら議論していくことは必要なのではないかと思います。そういった状況をぜひこの場で、各委員の方にはファイナンスの面も共有した上で議論を進めていただきたいと思います。
こういった状況の中で、今回の検討会では福祉用具等の在り方を検討していくわけなのですが、もちろん利用者の福祉用具の適時・適切な利用、それから、安全性の確保は大前提なのですが、介護給付の効率化や適正化という観点も大変重要であって、給付と負担の在り方について十分に検討していく必要があると思っています。福祉用具の在り方についても、福祉用具の範囲や原則貸与という考え方、それから、福祉用具購入費の対象範囲の考え方が2000年の制度創設当初と現在とで実態に即したものになっているのかという観点も含めながら、適正化の観点からどのような対策、方策が可能かどうか、しっかりこの場で検討していくべきだと思います。
そういった状況を踏まえた上で各論に入っていくのですが、まず、12ページの論点、貸与と販売の整理、ケアマネジメントに対する給付、販売制度の導入を含めた適正化対策についてなのですが、私としては資料3の財政審の建議にある廉価な品目、例えば歩行補助つえ、歩行器、手すり、スロープ等は貸与ではなく販売とすべきという指摘については、利用者の実態や安全性を踏まえていかなければいけないのですが、メンテナンスの必要性の低い品目あるいは要介護度に関係なく給付対象となっている廉価な品目は、財政審の指摘どおり販売に移行すべきということを考える必要があるのではないかと思います。もちろん販売、購入した場合の定期的なモニタリングやメンテナンス等も重要だと思うのですが、利用者の意向や負担の状況等を踏まえて、貸与と販売を選択制にすることも検討の余地があるのではないかと思います。
同じ5ページにあるのですけれども、お隣の韓国ではこれが販売制度になっているというところについても、これはどういう実態になっているのか見極めていく必要があると思っていまして、貸与・販売の仕組みによってどんな問題が発生しているのか、それとも発生していないのか、これは冷静に見ていく必要があるのではないかと思います。もしこの実態等が分かる先生方あるいは事務局で、この実態等について今後議論するに当たって資料を御用意していただければ幸いだと思います。
7ページ、財政審で貸与に伴い発生するケアマネジメントへの給付の費用が購入よりも多額の費用になっていることが指摘されております。この検討会の範疇を超える話かもしれないのですが、介護給付費の適正化の観点からは、貸与品の費用だけではなくてケアマネジメントの費用についても利用者負担を考えていく時期が来ているのではないかと思います。
それから、先ほどから出ています福祉用具貸与のみのケアプランが6%程度存在するといっても、いろいろなサービスをやっているのだという御意見もございましたが、これについては他のサービスと介護報酬上で差をつけるべきなのかどうかということも検討が必要であって、福祉用具貸与のみの場合にアセスメントやプランの作成、モニタリングや給付管理等、ケアマネの業務がどのようになっているのか、その辺の実態も我々は分からないところがありますので、差が大きくあるのかないのか、この6%程度という数字が本当に妥当なのか、そういったことも示していただければと思います。
びっくりしたのは、同じ7ページで指摘されているのですが、ケアマネの方が外部からの圧力によってサービスの利用を求められたケースが約4割、必要のない福祉用具等によってプランを作成したケースが約15%あるという指摘も出ているのですが、もしこれが事実でこの状態が放置されている状況であれば、これは看過できるものではないので、一体これがどういう状況にあるのか、こういったところにチェック機能はないのか、そういったところもしっかりと議論していく必要があるのではないかと思います。この辺も事務局あるいは先生方から実態をぜひお教えいただければと思います。
論点の1と2については以上でございます。
最後の15ページの論点3のサービスの質向上に向けた取組については、これはケアプラン、福祉用具貸与計画、サービス提供、モニタリング、メンテナンス、提供されるサービスのチェック、適切な評価といったPDCAを担保する具体的な仕組みの導入、義務づけが必要なのではないかと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○野口座長
どうもありがとうございました。非常に重要な御指摘をいただき、また、実態調査についての御提案もいただきました。
久留委員、お願いします。
○久留委員
ありがとうございます。
皆様の御意見を拝聴しながら、今日は最初だということでございますので、3つ論点が示されておりますけれども、まず冒頭、土生老健局長の御挨拶にございましたように、介護保険が創設されて、今日、福祉用具貸与が在宅で非常に重要な位置を占めているということと、地域包括ケアにおいても非常に重要だという御発言がございました。介護保険創設時のことを考えますと、措置時代には、所得の多寡や利用者の困窮度等によって利用が限定的なサービスでしたが、社会保険方式に変わって、多様な福祉用具の中から利用者の選択に基づき利用できるようになりました。今日、我が国で介護保険が定着してきたことは非常に喜ばしいことだと思います。当然、定着してきたわけですから、財政的には給付額が伸びていく。これを喜ぶべきと取るのか、国民負担という考えで幸野委員がおっしゃったような御指摘も当然あるわけでございますので、「給付と負担の問題」は当然議論の俎上に上ることだろうと思っております。
そういう中で、論点1に書いてあります事務局の記載でずっと引っかかっているところが、「介護保険施行時と現在の状況等の差異を踏まえ」という表現があるのですけれども、要は、何が変わって何が変わっていないのかということでございます。当然資料にございますように利用者数は増えております。給付額も増えてきておりますので、これは大きく変わった点だろうと思いますが、一方におきまして、介護保険制度が基本理念としております高齢者の自立支援、利用者自身の選択、予防重視、在宅重視という基本的な理念については、何ら変わることはないのだろうと思っております。ただ、社会保険方式でございますので、当然社会保障制度としては公平と機会均等は担保されなければならない非常に重要な原則でございます。したがいまして、貸与か販売かとか、要介護度によって切り分けるとかということについては、こういった論点も一つ重要な論点になってこようかと思います。何が公平なのかということです。
例えば介護保険でいいますと、特別養護老人ホームについては、既に要介護3以上の方しか入れないことになっていますけれども、これについては、サービスの内容と利用者の状態像の問題においてこれが容認されてきた経緯がございますが、介護保険制度における福祉用具の活用ということを考えますと、介護保険創設時の、利用者は高齢者であって状態が変化し得る、そして、加齢に伴って徐々に状態が悪化していく、衰えていくということがあるので、少なくとも適時・適切にそのときの状況に応じて福祉用具を活用すること、住宅改修を行うことによって居住環境を整備し、利用者の自立支援を促しながら残存能力を活用していく、この考え方も変わっていないのだろうと思っております。したがいまして、介護給付において、いかに高齢者の自立をそのまま残存能力を活用し続けて、マンパワーや施設入居や介護医療院などのお金が非常にかかるようなサービスに行かないように、水際できちんと状態が悪化しないように、維持されるようにということを行うためのサービスとしては、資料2の7ページ、8ページにもありましたように、3%の給付費で227万人の方が利用されていることについては、相当それに寄与しているのだろうということはデータからも言えるのではないかという気がいたします。
もう一つ変わっている点といたしましては、介護保険の創設時と比べまして、非常にメーカーの方に頑張っていただきまして、花岡委員もいらっしゃいますけれども、多様な福祉用具が量的にもそろってきている。こういう中にあって、実は介護保険創設時には量が十分でなかった、種類も十分でなかった時代でしたので、種目で対象を決めております。しかし、一方において、今日、評価検討会で対象とする福祉用具を選定する検討をしておりますが、この種目の中にどこまでが入ってどこまでが入らないのかということの議論は非常に難しくなってきている。今回のテーマでございますけれども、種目のありようについてもきちんと範疇を明確化していかないと、どんどん種目が広がっていくことにもなりかねない。これはかえって幸野委員がおっしゃったように、保険給付の増大にもつながるということがありますので、何を保険給付の対象にするのかについては、相当きちんとした精査をして商品を選ぶという形の取組をされておりますけれども、そういう議論が必要かという気はいたしております。
論点2でございますが、適正化方策につきまして、ケアマネジメントのことが書かれております。まず、ケアマネジメントはなぜ必要かということで言いますと、利用者のアセスメント、プランニング、モニタリング、計画見直しというPDCAサイクルをきちんと回していくのだということ、これはもう介護保険では変わらないことでございます。問題は、その中にあって、その仕組みの中でケアマネジャーや福祉用具専門相談員が機能しているということなりますから、いきなりケアマネジメントが必要ないということではないのだろうと思います。しかしながら、1本のつえを選ぶのにケアマネジャーが必要かという議論が書かれているのですけれども、私は必要だろうと思います。ただ、問題は、福祉用具が状態像に合っていない方に給付されてしまうと、状態の悪化を招く。このことが非常に重要なことでございまして、目的は利用者の自立支援でございますから、その方が福祉用具を活用して自立支援につながることが大前提でございますので、そのために必要なアセスメントがきちんとなされているのか、選定相談が適切か、適合確認がきちんと合ったものになっているか、そして、モニタリングが適切にされていて管理されているのか、ここが適正かどうかというところの問題意識はあろうかと思います。適正化方策はまさにそこで議論されるべきではないかと。
ただ、論点の中で、販売制度導入イコール適正化方策という書き方になっているのですけれども、これは少し行き過ぎたかという気がいたしております。必ずしも販売が適正化ということにはならないと思いますので、ここは十分検証される必要があろうかと思います。
最後ですが、福祉用具貸与の3つ目の論点の安全、これについては花岡委員もおっしゃいましたように賛成でございます。ただ、福祉用具については、現在消費者庁や経済産業省、JASPAさん、また、厚労省も通じて、様々に事故情報が提供される仕組みはできておりますが、本当の意味で末端の福祉用具貸与事業者や福祉用具専門相談員にまで情報が行き渡り、そして、それがリスクアセスメントとして機能しているかということについて、十分ではないと私は認識しておりますので、事故防止、安全利用のための情報の提供体制は十分に検討されるべきであろうと。初回でございますので、問題提起でございました。
以上でございます。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、渡邉委員、よろしくお願いいたします。
○渡邉委員
横浜市総合リハビリテーションセンター、渡邉です。よろしくお願いします。
リハビリテーションの視点から申し上げたいと思います。リハの分野では、利用者の心身機能の向上を図るとともに、生活動作の自立度を向上させ、社会参加をすることを目標にしています。作業療法、理学療法等では、日常生活の自立を支援する方法として、もちろん機能訓練を行いますし、福祉用具、住環境整備というのは、物すごく効果を発揮する手段として利用しています。自立を支援するときに最も重要なことは、利用者がこうしたい、こうなりたいという意欲を持たないと一歩も前に進まないということです。福祉用具は道具です。日常で我々が使っている道具と同じで、人が道具を使うときには目的があって、使おうという意欲がないと使用しません。ですから、この点からいって、福祉用具を給付されて利用者が使っていること自体で自立支援に効果を発揮していると推測できます。
本検討会の議題である貸与と販売の在り方については、資料3の12ページの1ポツ目の4行目にありますように、1つ目は福祉用具の保険給付の目的である居宅での自立した日常生活に向けた支援と、2つ目の介護保険制度の持続可能性の確保の必要性の両方を考慮して議論することとなっています。皆さんのいろいろなご意見は同意するものですが、2つを考慮することが大切だと思います。1つ目の居宅での自立した日常生活に向けた支援については、参考資料1の4ページにありますように、要介護度の変化を見た調査結果が示してありますが、平成29年度に日本福祉用具供給協会での老健事業での福祉用具サービス利用者の比較的長期間の要介護度の変化等に関する調査があります。平成29年度の介護給付費等実態調査の概況調査から平成29年の5月の審査分と翌30年4月審査分における1年後の要介護度の変化、保険給付全体の受給者の変化を軽度化、維持、重度化に分けて示しています。老健事業の調査研究では、同時期の福祉用具貸与サービス利用者1,236件を比較し、介護給付サービス受給者全体よりも福祉用具継続利用者のほうが、要介護度が軽度化している割合が高いという結果を得ています。今回の資料では維持している割合が高いという報告でしたが、明らかに軽度化している割合が高かった。特に要支援2から要介護4では有意な差が見られているのです。ということで、福祉用具貸与サービスの効果はある程度確認されていると考えております。
その上で、2つ目の介護保険制度の持続可能性の確保では、現状の貸与で効果が見られている中、貸与から販売に移行してケアマネジメントやモニタリングが行われない場合に、要介護度の軽度化するといった貸与サービスと同等の効果が得られるのにはどうすればいいのかが課題になるかと思います。また、現状よりもより効果的な保険給付のプロセスはあるのか、それはどのようなものなのか、が重要で、とくにリハビリテーション専門職の給付プロセスの関与についても検討する必要があると思っております。
私からは以上です。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、安藤先生、よろしくお願いいたします。
○安藤委員
よろしくお願いします。
私からは2点あります。1点目は昨年度の財政審の建議における「貸与から販売」という議論について、2点目は今年度の財政審の指摘に出てきた「貸与のみのケースにおける介護報酬引下げ」の話についてです。
まず1点目ですが、介護保険を考えるときは、「介護ニーズに応じて発生する介護費用に対する保険」という視点も重要だと考えております。つまり、金銭的・経済的なリスクに対する公的保険でもあるという視点です。その観点からすると、貸与から販売になることによって、要介護者あるいは家族の経済的な負担がどのぐらい変わるのか、どのぐらい重くなり得るのかということに関しての議論や、その議論のベースとなる情報が必要だと考えます。今の時点では、このような議論や情報があまりありません。ケアマネへのアンケートなどはありますが、実際の世帯の金銭的・経済的負担がどうなり得るのかがわかりません。そもそも、貸与から販売をどういう形で行うかという具体的議論はまだ行われていないこともありますが、この金銭的・経済的負担に関しての情報がないとなかなか議論がしづらいと思います。
なぜこういう議論が重要かというと、例えば、もし貸与から販売になることによって自己負担増となる世帯が増えた場合、低所得世帯や、自己負担割合のボーダーを少し超えたあたりの、所得に対して相対的に自己負担が高い世帯などの福祉用具利用の抑制が懸念されるからです。また、ある程度所得がある世帯にしても、年金生活者でそこまで所得が高くない中で、介護のためのいろいろな追加支出が必要となっている世帯もあります。したがって、たとえ福祉用具を購入できる場合でも、それが高額な場合は、他の消費を減らす形で生活を切り詰める可能性もあります。この場合、たとえ結果的に福祉用具に適切にアクセスできた場合でも、それはそれで介護保険の一つの目的である金銭的・経済的リスクへの対応という側面が弱まっていることになります。この辺りをきちんと検証する必要があると思います。
先ほど健保連の幸野さんが給付と負担ということをおっしゃっていましたし、私も財政学の研究者としてそういう議論はよく分かります。一方で、現実の負担というのは介護保険の中だけで完結するものではありません。例えば負担が被保険者から要介護者世帯に移るという形になる可能性もあるわけです。仮に販売に移行することによって要介護者世帯の自己負担が重くなった場合、介護保険の給付や税・保険料としては抑制が可能になったとしても、その代わり、要介護者世帯の自己負担が高くなることになります。また、福祉用具でそういう可能性があるかはわかりませんが、例えば福祉用具に対応した民間介護保険が出てきて、その市場が拡大し、世帯としては民間保険料をより払うようになる可能性もあります。これらの場合、社会全体で見れば負担水準はあまり変わらないということになる可能性もあります。このように、公的介護保険だけでなく、社会全体を含めて給付と負担を考えていく必要もあると思います。
次に2点目ですが、福祉用具だけの場合に報酬を引き下げるというアイデアはあり得るとも思うのですが、一つ考えられるのは、「福祉用具ではなく居宅サービスにしよう」とか「福祉用具だけではなくて居宅サービスもつけよう」という形のインセンティブが、利用者のニーズとは関係ないところで生じる可能性があることです。それが利用者にとってよいかどうかはともかく、介護報酬による誘導が働いてしまう可能性があります。そして、そういうことが起こると、数年後に財政審にそれを指摘され、また変更を検討しなければならない、みたいな話になってしまう可能性もあります。介護報酬の段差をつけるという話はもちろんありうると思いますが、目先の介護報酬引下げで財政負担を下げようとする場合も、それが利用者さんやケアマネさんや介護事業所による全体のケアパッケージづくりにどういう影響を与えるか、意図せざる結果を生まないかということも重要な論点ではないかと思いました。
以上2点です。
○野口座長
どうもありがとうございました。非常に重要なポイントだと思います。
田中先生、五島先生、岩元先生、東畠先生、手を挙げていらっしゃるのですけれども、初めて御発言されるので、石田委員を先にしてよろしいでしょうか。
では、石田委員、よろしくお願いいたします。
○石田委員
ありがとうございます。稲城市の石田と申します。
保険者として、福祉用具が給付費に与える影響や効果について強い関心を持つことは当然だろうと思っております。保険適用の合理性が適切に判断されることは重要なことだとも思っています。資料の基本的な視点の中で記載されていますとおり、被保険者の数の増加、サービス利用者数の増加、軽度者の増加がある中で、給付費抑制の観点から貸与と販売の在り方についてさらに検討を深めることはとても重要なことだと考えています。基本的に給付費の状況を踏まえますと、販売への移行や購入の選択肢について議論すべき時期に来ていると私は思っています。これまでも給付費抑制の観点から給付額の制限、適切な選定、適正化事業、給付種目の制限などが行われてきておりまして、一定の効果を上げてきていると思いますが、さらに福祉用具貸与と特定福祉用具販売の整理を進めることは、保険者における事務負担、つまり、貸与と販売とでは給付費の支払い事務が異なり、販売の事務負担が重いといったことなど、これらについても十分調査、把握した上で、事務の簡素化などにも配慮をお願いしたいと思っております。福祉用具貸与と特定福祉用具販売は保険者から様々な意見があることは承知しておりますので、ぜひヒアリング調査などを行っていただいて、丁寧に進めていただきたいと思っているところでございます。
次に、福祉用具貸与における安全性の促進の問題なのですが、事故等の状況については、保険者においても十分に把握すべき事項だと思っています。安全に使用するための情報、不適切な利用方法などの情報は、市町村関係者へ速やかに提供されることが重要だと思いますので、どのような連携が効果的であるのかについて、さらに調査研究は進めていただきたいと思っているところでございます。
最後に、本日の主要な論点ではありませんけれども、その他、幅広に議論ということですので、発言させていただきます。これまでも私は機会あるごとに発言させていただいておりますが、福祉用具ですね。これらについて、既に採用されている福祉用具などについては、改めて評価検証が行われずに福祉用具から外されないという運用がされているところでございます。限られた財源を活用する観点からも、また、新たな技術に基づく福祉用具の提案が今後期待されるということからも、既存の福祉用具について、一定期間が経過した場合には再評価すべきだろうと思っているところでございます。改めてこうした点についても議論すべき時期に来ているのかと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、お待たせいたしました。田中委員、よろしくお願いいたします。
○田中委員
よろしくお願いいたします。
幸野委員から御指摘がありました、居宅介護支援事業所の9割が併設であり、法人・上司からの圧力により自法人のサービス利用を求められた経験を4割見聞きということで、濵田委員からも御指摘があったとおり、見聞きというレベルではなかなか信憑性に欠ける部分もありますので、ここは詳しく実態調査していただくのがいいのかと思っております。
もう一点、居宅介護支援事業所の経営実態調査では、介護保険サービスの中ではかなり珍しくずっと居宅介護支援事業所は赤字となっておりまして、さらに今回も介護職員の処遇改善加算もつかないこととなっております。この9割が併設ということに関しては、単独での経営が難しいということが考えられます。それは居宅介護支援事業所の基本報酬が低かったり、先ほども言いましたけれども、給付が発生しないと、要は、ケアマネが動いたとしても報酬が発生しないというところにも問題が潜んでいるかと思います。
また、この給付を発生させる目的で不必要なサービスを位置づけるという御指摘については、正直現場の者からすると遺憾であるところではあります。ケアマネジャーの倫理観も問われるようなところもありますので、ここも詳しく調査が必要ではないかと思っております。
また、居宅介護支援の自己負担導入については、ほかの介護サービスと違って利用者に直接何か介護サービスを提供するものではなくて、初期の介護相談、アセスメント、課題分析、プランニングといったところがございますので、利用者負担には適さないものではないかと考えております。
以上です。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、五島委員、よろしくお願いいたします。
○五島委員
ありがとうございます。
2点ほどです。先ほどとほぼ同様のことなのですけれども、今回の11ページの資料で見て、改めて福祉用具や福祉用具のみの予防支援であるとかというところを含めて10%とか、介護支援だと34%に上るということで、ケアプランとその福祉用具の関係ですね。ケアプランの在り方もこれは問われているのだと思うのです。そのあたりをもう少し深掘りをしていかないといけないのではないかと。今回のケアマネジャーのモニタリングについての資料は福祉用具を取り上げた話ではないと思いますので、今後そこを販売にするにしろ、レンタルで継続するにしろ、10%なり34%の比率があるということは留意する必要があるかと思います。
その上で、販売に移行してもよいのではないか、あるいは両方どちらを選択という話があるわけですけれども、11ページにありますように、手すりだと12か月とか、つえだと11か月とか、平均利用期間を考えるとこのぐらいなのです。ですから、財務省が指摘しているような36か月ということではないのだと思うのです。ただ、一方で、2年以上利用されていらっしゃる方も25%から30%あるということも事実としてあるわけで、その辺も含めて、しかしながら、要介護状態を悪化しないように維持しているという部分については他のサービスの費用がかかるところを抑制しているのではないかと、もう少し大きな視点で見られるような調査ができると私はいいのではないかと思いました。
手すりの場合は、先ほど来からも話が出ていますけれども、例えばマンションで住宅改修ができないとか、複数借りるケースがあるのですね。例えば手すりが設置できないケースです。台所だとか、洗面所だとか、洗濯場に設置をしたりということで自立を保つようなケースもありますので、もし仮に購入の議論がこの先発展していくようであれば、費用の在り方も見ていかないといけないと思ったところでございます。そう考えると、先ほど東畠先生もおっしゃったように、16年に厚労省のほうで発出された福祉用具の選定の判断基準の中というのは、基本的には軽度者のものは除くということになっていますので、いま一度ここをもう少ししっかりと軽度者の扱い、とりわけ話題になっている単品ケアプランであるとか、つえや手すりといったものを給付するに当たって、長期の利用なのか、あるいはもう短期なのかをきちんと現場で検討をして、どちらに選択をしていくのかというところも考えていかないといけないのではないかと思ったところでございます。
最後に、論点の3点目なのですけれども、種々御意見が出ていましたが、消費者庁などから重大事故については発出されるわけですけれども、ああいう形で骨折しましたとか、死亡しましたという情報が仮にあったとしても、その原因や背景が分からないだとか、製品が特定しないという問題があって、基本的に事故の内容を大別すると、ハードそのものに起因するもの、ハードが突然何か原因を起こして事故につながるケースと、一方で、その利用者と福祉用具の不適合であったりとか、あるいは現場での操作のミスであったり、メンテナンス不足によりねじが緩んでいたとか、使用環境とその用具のミスマッチとか、そういうこともあるわけですね。そうしたソフトで起きている製品に起因しない事故をどうやって集めていくのか。その情報を上手に集めるのか、事例として発信をしていくのかして、重傷事故であるとか、先ほど話が出ていましたようなリスクアセスメントに生かしていくのか、そういうところをこれは業界を含めて考えていかないといけないのではないかと思っているところでございます。専門相談員だけの話ではないと思います。福祉用具を使って介護をされている介護員や家族の方だとか、そういう方からなどもヒヤリ・ハット情報は提供いただくべきだと思っているところでございます。
以上です。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、岩元委員、お願いいたします。
○岩元委員
ありがとうございます。
先ほど論点1と2について御発言させていただきましたので、論点3について発言させていただきます。貸与における安全な利用の促進、サービスの質の向上、これはいずれも非常に大事な論点であろうと思います。安全な利用の促進については、私どもは製品安全よりも利用場面での安全の確保というところ、それを含めたサービスの質を考えるときに、15ページの視点にも書いてありますけれども、適正な評価を通じてPDCAサイクルを担保することの重要性、特に近年LIFEを意識して私どももPDCAサイクルを回すこと、そういった仕組みを構築することが重要なのだということを強く認識しております。現行では貸与計画、これが義務づけられておりますけれども、この貸与計画書についても充実させる必要がありますし、また、一体的に運用されるべきモニタリングの書式、そして、これらを運用する際の評価項目、評価基準づくり等々、こういったものを一体的に見直して整備していくことの必要性を痛感しているところであります。
その現場を担う福祉用具専門相談員の質の向上に関しましては、古い話になるかもしれませんが、平成25年第45回の介護保険部会において、さらなる専門性向上の観点から人員基準2名のうち1名の福祉用具専門相談員について、より専門的知識及び経験を有する者の配置を促進すべきという御意見をいただいたところでありまして、平成26年、27年、28年、3か年にわたる老健事業でより専門的知識及び経験を有する者の配置に関する調査研究も行われたところであります。福祉用具専門相談員については、新任の50時間指定講習以降、現任者に対しては自己研さんの努力義務にとどまっている現状がありますけれども、制度の知識、商品の知識、さらには事故情報等々アップデートするための現任研修、これを制度化する必要があると私どもは考えております。これをより専門的知識及び経験を有する者の配置として検討していただいてはどうかということを御提案申し上げたいと思います。
ありがとうございました。
○野口座長
どうもありがとうございました。
東畠委員、よろしくお願いいたします。
○東畠委員
先ほど来の委員の先生方に付け足させてください。財務省で介護保険の例のところで韓国の例が書かれておりました。ただし、韓国の介護保険(長期療養保険)は、私が知っている限りではケアマネジメントがないことが1点、2点目はいわゆる健康保険公団による公定価格であるというところ、さらには、福祉用具貸与事業所なり販売事業所がモニタリングをするというようなところがないことがあり、仕組みとしては大枠は同じであっても、中の仕組みは大分違うのかなと。その辺りが貸与と販売で韓国の人が販売を選択する理由なのではないかと思いますが、また詳しくは恐らく事務局のほうでお調べいただくのかと思いました。
2点目です。資料11ページにテクノエイド協会の中のTAISということで小売価格云々が出ておりましたけれども、先ほど久留構成員もおっしゃいましたが、介護保険のスタートから二十数年たって、種目というか種類が確かに今、13種類(種目)になっていますけれども、中の範囲は大分広がっております。例えばスロープというものでも、いわゆる車椅子で使うようなスロープとちょっとした室内の段差を埋める簡易型、携帯型と言われるもの、あるいは手すりも持ち運びのできる手すりではありますけれども、置き型手すりであったり、垂直の突っ張りポールのような手すりがある。これぐらい幅広にどんどんというか、それはメーカーの開発によるものであり、よいものではあるとは思うのですけれども、そうなると、どこまでを13種目なりその種類に入れるのかという点については、1回はどこかで議論がないとどんどん広がっていくことは確かかと。その上で、やはりこれは有用だということがあるならばそれでいいと言うと申し訳ないのですけれども、価値のあるものではないかと思った次第です。
そのときに、15ページの安全な在り方というところで、情報共有は言うまでもないことですけれども、安全な利用の一つとして、利用者の誤使用、誤操作のリスクがどの程度あるのかということは論点の一つになるのではないかと考えます。例えばこれを見ただけでどうやって利用するのというのがあると思うのです。例えば車椅子を見て、その利用者さんがブレーキのかけ忘れとか、介護者さんもありがちですし、路面では滑るだろうというところもあると思いますし、ベッドの挟み込みの事故も現在も起きております。その辺りの誤操作、誤使用の可能性の高いものについては、特に専門相談員のモニタリングが大事ではないか。その辺りは安全な利用と、今後例えば仮に販売への移行を検討するときにも、安全な利用、誤操作、誤使用のリスクをどう考えるのかというのも一つの視点としてあるのではないかと思った次第です。これはメンテナンスとモニタリングの違いであり、メンテナンス、つまり修理、修繕が必要な製品が劣化したとか壊れたというところと、利用者の使用は違うと思います。特に今回高齢の方、認知症の方、認知症ではなくても初めて利用するときにどうしたらいいのというものはあるはずです。そういうものとこれならば使えるわというものはどこがどう違うのかは、給付と負担あるいは貸与と販売を考えるときに検討の中の一つの論点になるのではないかと思って発言させていただきました。
以上です。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、濵田委員、久留委員と行きたいのですけれども、そろそろお時間ですので、できるだけ短くおまとめいただければと思います。
○濵田委員
ありがとうございます。
先ほど田中委員からも御発言がありましたが、私も申し上げましたが、介護支援専門員が自法人の系列のサービスの利用の必要性を超えて推奨したことがないという回答が、平成30年度の改定検証調査事業結果報告書、それから、令和元年度の老健事業報告書等で、92.9%がないという回答になっております。併設と単独という居宅介護支援事業所等の考え方でございますけれども、例えば利用者側からしますと、これだけ介護保険サービスが普及しておりますので、併設されているサービスを利用することを主眼に主訴として併設の居宅介護支援事業所にプランを依頼されて、結果として同一経営主体のサービスを利用されるケースも非常に多くあることはございますので、その一方で、利用者側からの視点として、同じ調査結果で複数の選択肢が示されましたかということで、79.7%、約8割の方が複数の選択肢を示されたという結果が出ております。もちろん利用者側からその併設のサービスを希望されましても、アセスメントの結果、ほかの事業所のサービスをお勧めする場合もございますので、一概に併設されているから公正中立ではないということは、これはないと考えております。
もう一つは、介護予防支援につきましては、本日、石田委員も御出席でございますが、市町村が運営する地域包括支援センターの介護予防支援ですね。あるいは直営の場合、委託の場合もございますが、仮に委託の地域包括支援センター、介護予防支援事業所の場合でありましても、現にこれは厳しく公正中立性が保たれているか様々な評価をもって検証されており、数年ごとに事業者の評価が行われて委託事業者が変更になる場合もある、このような厳しい環境にございます。ですから、少なくともここにつきましては、公正中立を疑う余地はないであろうと。もちろん居宅介護支援につきましても先ほどのような結果でございますので、公正中立な運営が行われているということで追加で補足をさせていただきました。
以上でございます。
○野口座長
どうもありがとうございました。
久留委員、よろしくお願いいたします。
○久留委員
ありがとうございます。
手短に、先ほど石田構成員のお話にございました対象種目の見直しについて、1点、私も補足させていただきたくて、介護予防福祉用具貸与の種目については、本来、資料にあましたように、比較的軽度者の方の利用が増えている中にあってはより重要性が増しているかと思いますが、その対象種目についてきちんと検証すべきであると考えております。
1点は御質問でございます。今日、御回答いただく必要はないのですが、ケアマネジメントの関係でセルフケアプランという概念がありますけれども、利用者が自己決定において十分な知識や情報をお持ちで自ら決定ができるといった場合には、ケアマネジャーを介さずともサービス利用が現行制度下でも可能かと思っておりますが、これについて、後日で構いませんので、現行制度でこれを行う場合にはどのような仕組みになるのかを教えていただければと思います。
以上でございます。
○野口座長
どうもありがとうございました。
そろそろお時間ではございますが、皆さん、本当に多岐にわたる議論をどうもありがとうございました。
介護保険の持続可能性、給付と負担という非常に大きなところから、介護保険制度が持続可能でなくなったらどうしようもなくなるわけで、そこがもう一丁目一番地であることは間違いないのですけれども、その中でもいわゆる介護保険が創設時と現在で違っているところですね。例えば福祉用具の新たな開発、普及、テクノロジーからイノベーションが起こっているであるとか、それに伴って範囲、定義をどうするであるとか、安全性を担保させるためにモニタリングあるいはヒヤリ・ハット等の情報の一元管理、はたまたケアマネジャーあるいは福祉用具専門相談員の就労の実態、利用者の負担、他国での状況、現場での実態把握と。一つ、これはもう本当に研究しなければいけないと思ったのは、福祉用具とほかのサービスが代替的な財、これは経済学で代替財というのですけれども、代替財としての役割をどの程度果たしているのかということなど様々な論点を出していただいて、本当にどうもありがとうございました。まだまだ皆さん御発言になりたいところもあろうかと思いますが、時間になりましたので、本日の第1回目の会議はここ辺りで終了とさせていただきたいと思います。
また、本日、先ほど東畠先生から韓国の状況について補足いただいて、どうもありがとうございました。韓国も含め他国での状況の調査あるいは実態把握ですね。就労の場、利用者あるいは様々なステークホルダーでの実態の把握等々、いただいた宿題がございます。短期間のうちに事務局様のほうでどれだけ実質的な調査ができるか分かりませんけれども、できるだけ委員の皆様の御要望に応えるべく数字ですね。本当に量的な指標をできるだけお示ししながら、科学的エビデンスに基づいた議論にこの検討会の議論を持っていきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
以上でございますが、事務局の方、よろしくお願いいたします。
○認知症施策・地域介護推進課長
老健局推進課長でございます。ケアマネジメントを担当してございます。
委員長、事実関係だけ補足をさせていただいてもよろしいでしょうか。手短に終わらせます。
幾つか御指摘をありがとうございます。制度の持続可能性、こういったものをしっかりと進めていく観点、これは非常に重要かと思っておりますし、福祉用具貸与ではございませんけれども、令和3年度の介護報酬改定でも一定の対応をさせていただいているということでございます。その中で、費用比較のところで財政審の数字が出ておりましたけれども、軽度者、要支援の方が多いということで、参考資料1の16ページにございますように居宅介護支援費、これは1か月約1万円でございますが、軽度者である要支援1、要支援2の方、これは介護予防支援費ということで、4,380円ということで半分以下でございます。事実関係でございます。
さらに、先ほど濵田委員も御説明していただいておりましたけれども、ケアマネジャーに上司の圧力によって自法人のサービスの利用を求められたということを見たり聞いたりしたことがあるというような、そういった資料のつくりに財政審はなってございますけれども、その次の17ページにおいて、そういったことについてのフォローアップの調査もさせていただいているところでございます。
さらに、チェック機能について、これは資料2でございますが、27ページにございますように、ケアマネジメントの流れの中でケアプラン、原案をケアマネジャーが作成したときには、サービス提供事業者のみならず民生委員さんや関係の方々に集まっていただいて、それが適正なのかというサービス提供者の会議で、しっかりと原案をたたいた上でケアプランとして決定するといったプロセスがございます。先ほど石田委員から御説明いただいたように、これも介護保険法に基づいて、市町村適正化事業の中で介護給付の適正化のためにケアプランのチェックなども行っていただいているということでございますし、さらに、これも介護保険法に基づくものでございますけれども、地域ケア会議においてチェックをするといったことも可能になっているところでございます。
田中委員から御説明、御意見がございましたけれども、居宅介護支援の経営状況がなかなか厳しいということを踏まえまして、令和3年度介護報酬改定においては、基本報酬を引き上げるとともに特定事業所加算、こちらは質が高いケアマネジメントを行っていただいている事業所に加算を行うものでございますけれども、こういったものの引上げなども行わせていただいているところでございます。さらに、介護報酬においては、特定の事業所を位置づけた場合の減算という仕組みもございまして、これに福祉用具貸与の事業所などを80%以上位置づけたという場合には毎月200単位減算するといった仕組みもございますので、事実関係及び制度の仕組み、チェック機能を補足させていただきました。
久留委員からセルフケアプランの話がございましたけれども、こちらについては、現行制度上、可能ということでございます。
以上です。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、事務局の方から次の検討会について御連絡いただけますでしょうか。
○高齢者支援課長
本日は先生方から貴重な、また、多種多様な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。
私も担当課長といたしまして、いろいろ伺いながら考えるところもございますが、時間の関係もありますので一言だけ申し上げます。利用者の方々の視点で、この福祉用具サービスの今後の在り方も含めて、いろいろな安全性の観点から、また、質の観点からどう考えるのかという話と、当然、介護保険の中でのサービスですので、その持続可能性を確保するのかという話は決して相反するものではないのではないかと思っております。今日、様々な御意見をいただいて、また次回の検討会に議論の深掘りにつながるような資料を御提示できるように、いろいろ宿題もいただいたところでございますので、その辺もできる限り数値等も含めてしっかりとお示しした上で、委員の皆様方の議論につなげていきたいと思っております。
今後の予定でございますが、第2回につきまして、年度末でございますが、3月31日10時より第2回を開催させていただきたいと考えてございます。御多忙のところかと思いますが、御出席のほど、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。
私のほうは以上でございます。
○野口座長
どうもありがとうございました。
それでは、本日の議論はここで終了させていただきたいと思いますけれども、私自身、大変勉強になりました。先生方、本当にどうもありがとうございました。
それでは、長時間にわたる議論をどうもありがとうございました。また次回、お目にかかるのを楽しみにしております。これで失礼いたします。