「社会保障教育モデル授業等に関する検討会(第4回)」議事録

政策統括官(総合政策担当)付政策統括室

日時

令和4年3月4日(金)10:00~10:50

場所

オンライン開催

出席者

構成員(五十音順)
事務局

議題

  1. (1)社会保障教育モデル授業指導者用マニュアル(案)等について
  2. (2)意見交換
  3. (3)その他

議事録

議事内容

○丸山主査
定刻になりましたので、ただいまから社会保障教育モデル授業等に関する検討会の第4回を開催いたします。構成員の皆様におかれましては、本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。冒頭は、丸山が司会を務めさせていただきます。よろしくお願いします。本日は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、オンライン会議システムを活用しての実施とさせていただきました。なお、本会議は議事録の作成のため、録音させていただきますのでご承知おきください。また、オンライン会議における発言方法については前回同様とさせていただきます。会議の進行中に通信トラブルにより接続が途切れてしまったり、音声が聞こえなくなった等、トラブルがございましたら、ご案内しております電話番号までご連絡ください。
また、第3回の検討会後に事務局に人事異動がありましたのでご挨拶を申し上げます。

○横幕審議官
審議官の横幕と申します。よろしくお願いいたします。

○丸山主査
それでは議題に移らせていただきます。この後の議事進行は小野座長にお願いいたします。

○小野座長
おはようございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは早速ですが「議題(1)社会保障教育モデル授業指導者用マニュアル(案)等について」、事務局からご説明をお願いします。

○和田政策企画官
政策企画官の和田でございます。4月からの高等学校新学習指導要領の「公共」の授業の開始に合わせまして、これまで1年間皆様にご議論いただきまして、本日この社会保障モデル授業についてご検討いただくことになっております。皆様のご協力に感謝申し上げます。
いただいたご意見を踏まえまして、4つのモデル授業を収録いたしました指導者用マニュアル案、また4つのうち2つのモデル授業を活用した授業映像の映像資料案を作成しております。
このモデル授業の作成に当たっては、梶ヶ谷構成員及び現役の高校の公民科の先生5名による開発チームにご協力いただきました。また現役の高校生や大学生からもご意見をいただきました。特に、開発チームの教員の先生におかれましては、検討過程で実際にモデル授業案を活用した検証授業を実施いただきまして、映像資料用の授業映像の撮影にもご協力いただきました。特に、新型コロナウイルス感染症の感染予防で大変なご苦労のなかご協力いただいたことに伏して感謝申し上げます。
検証授業では、1つのモデル授業について1校1クラスにご協力いただきまして、「現代社会」の通常授業のなかで、ワークシートや副教材の案も使いながら指導案の案にそって2時間の授業を実施していただいております。授業の最後には、生徒さんと授業を実施いただいた先生にアンケートを行いまして、その結果も踏まえてさらにモデル授業案を修正いたしました。このアンケートの結果については本日参考資料として配布をしてございます。また、公的医療保険②のモデル授業につきまして新型コロナウイルス感染症対応の影響等がございまして、実証授業を行うことができなかったこともご報告させていただきます。
それでは資料1の社会保障教育モデル授業指導者用マニュアル(案)をご覧ください。この指導者用マニュアルにおきましては、モデル授業を実施するための指導案、回答例入りワークシート、副教材等のツールや、国立教育政策研究所が公表している内容のまとまりごとの評価規準例等を収録しています。モデル授業は、主に公的年金保険を題材としている授業2つ、主に公的医療保険を題材としている授業2つの計4種類です。それぞれ2時間分の公共の授業にお使いいただけるほか、全体の授業の流れや生徒の関心等に応じて一部を抜き出してご活用いただくこともできるようになっています。これらの指導案、ワークシート、副教材については、編集可能な形でも厚生労働省のウェブページで公表できればと考えております。
マニュアルの全体像についてご説明させていただきます。標題は、「人生100年時代の社会保障を考える 「主体的・対話的で深い学び」実現のための高校生向け社会保障教育指導者用マニュアル」としております。今回開発したモデル授業は、高校生が社会保障の意義や仕組みを理解し、必要な制度を活用できるようにするとともに、変化する社会における社会保障について当事者意識をもてるようにすることを目指しております。この趣旨を端的に伝え、新学習指導要領に基づく授業においてご活用いただけるように、この標題としております。
次のページは「はじめに」のところです。これまで検討会でいただいたご意見も踏まえつつ、統括官の大島の方から学校現場へのメッセージを書いております。
次のページから内容になっています。マニュアルの特徴と活用方法、そして、授業において社会保障制度を取り扱う場合の留意事項を記載しています。実際の授業の現場におきまして、生徒の皆様の家庭環境、またそれぞれの人生に対する考え方などは多様化していると思います。社会保障は人生に起こり得る一定のリスクを想定いたしまして、それについて備えていくという制度ですけれども、それぞれよくあることを取り上げている一方で、ステレオタイプとして捉えられかねない恐れもあると思います。こういった制度について、授業という観点で作りますので分かり易く一定のケースを取り上げて授業化しておりますけれども、一部の生徒にとって負担となってしまう恐れもありますので、そういったことには留意した上で是非学校の先生の裁量において教えていただきたいというふうに考えているところです。他方抽象的な議論にし過ぎますとなかなか授業として意味が分からないものになる恐れもありますので、その点についてまさにこの一年間ずっと議論しながら、より良いバランスということで作り上げまして提供させていただいております。是非それを更に教える場面においては各種の補足や配慮をいただきたいということを注釈で入れさせていただいております。
次のページですけれども、目的別利用ガイドといたしまして、4つのモデル授業をどのように使い分ければよいか、また時間に制約がある場合の活用方法について記載しています。限られた時間の中でも、できるだけ社会保障全体について取り扱う時間も確保いただきたいと考えており、この検討会においても随時そのご意見をいただいているところです。また学習内容によって、家庭科でも活用できる旨を補足してございます。
4つのモデル授業の指導案、ワークシート、副教材でございます。このモデル授業も活用した社会保障に関する単元の問いと、各モデル授業の問いを設定しており、その考え方については5ページに簡単に記載しています。各指導案の冒頭には、7ページのように、巻末に引用した評価規準例を踏まえた授業の目標を記載しています。
13ページです。各指導案には、モデル授業に盛り込みきれなかったその他活用可能な教材等の授業づくりのヒントや、14ページのような制度の詳細について生徒への説明にも使えるように簡単にまとめたコラム、授業準備の際にもう少し詳しく制度を知りたい場合の参考となるウェブページなどを掲載しています。参考資料におきましては、105ページ以下にも年金エッセイ等の資料を掲載しています。109ページ以下では、公表されている学習指導要領や評価規準例の対応する部分を参考として引用しています。最後から2番目のページには、ご協力いただいた方々のお名前を掲載させていただいており、また資料のインターネット掲載先のURLを掲載しているところです。
資料2-1及び2-2の映像資料補助資料(案)についてです。映像資料は、モデル授業のうち、公的年金保険①と公的医療保険①につきまして、モデル授業を活用しようとする教員等の社会保障教育の指導者を対象といたしまして、実際に高等学校の通常授業でモデル授業を行っていただいている映像を中心に作成しています。この映像資料は、あくまで教員による授業準備に資することを目的としておりまして、まさに先生と生徒の間のやり取りを収録していること、授業映像の中には生徒の授業中の映像が含まれているということですので、ホームページ等に掲載して誰でも視聴できるようにすることを目的としているのではなく、あくまで授業準備に資することを目的としているというふうに考えています。映像資料につきましては、高等学校、教育委員会にのみDVDで配布することとしております。ただ、資料2-1、資料2-2の映像資料に使用しているスライドについては、指導案を簡略化したものとして、映像資料を視聴する際の補助資料としても活用可能ですので、これらについては全てホームページに掲載いたします。映像資料は2つあわせて1時間弱の長さでございまして、時間の都合上構成員の皆様方にはそれぞれ個別にご視聴いただいておりまして、現在ご意見を踏まえて最終的な修正の作業に入っているところです。授業映像の中では、教員の方々が、社会保障制度についてご自分の言葉でかみ砕いて説明し、生徒の学びを促している場面が多々あります。若手の教員や、これから社会保障教育に取り組もうとする方々の参考になるものであると考えております。他方、厚生労働省がやるような、厳密な制度の説明よりも、分かりやすさを優先している部分がございます。社会保障制度の入口としての授業ですので、そういった意義があるのではないかと考え、そのまま採用していることについてもご了解いただければというふうに思います。映像資料の最後の部分、資料2-1で32ページ、資料2-2で27ページの部分に、授業を実施していただいた先生からのコメントもいただいているところです。
今後については、指導者用マニュアルの冊子と映像資料のDVDにつきまして、今月中に、全国の高等学校に冊子3部とDVD1枚、各都道府県・政令指定都市教育委員会に冊子1部とDVD1枚を、厚生労働省から発送することとしております。映像資料以外につきましては先程申し上げましたとおり厚生労働省のウェブページで公表することとしております。文部科学省と連携した周知につきましても、現在文部科学省とご相談しているところです。本日最終的にはご議論いただきまして最後の修正に入ってまいりますし、出来上がれば、全国に対する周知について全力で取り組んでまいりたいと考えております。以上でございます。

○小野座長
ありがとうございました。それでは議題(2)の意見交換のほうに移らせていただきます。構成員の皆さまに今、説明いただきました点について、ご希望やご意見などをひととおりお伺いできればと思います。毎回のことでございますけれども、議事進行を円滑に行うため猪熊構成員から、五十音順にお願いできればと思います。また梶ヶ谷構成員におかれましては、他の構成員からのご意見に対するコメントがあれば併せてお願いできればと思います。ですので、猪熊構成員、玉木構成員、藤村構成員、梶ヶ谷構成員の順番でお願いをしたいと思っております。では、猪熊構成員からお願いいたします。

○猪熊構成員
ありがとうございます。事務局、大変、ご苦労さまでした。教材に関しては、私はいい教材になったと思います。というのは、一つは厚生労働省らしさといいますか、社会保障の理念がきちんと出せたことと、図表も含め説明が非常にシンプルで、分かりやすく、しかし正しくというような、非常に難しいところを頑張ってやっていただいたと思います。マクロ経済スライドの説明や図にしても、シンプルで分かりやすくなりました。社会保障全体を通して、社会保障の理念や、人生一生丸ごとで私たちの生活に関係するということ、財源も含めて教材を作っていただけたらという要望を随分取り入れていただいて、ありがたく思っています。
あと、いまさらなんですけれども一つ思ったのは、公的年金保険②の副教材のところで、「高齢者1人を支える現役世代の人数」という図表が入っております。分母が20歳から64歳人口、分子が65歳以上人口で、現役世代何人で1人の高齢者を支えるかということを示した図なのですけれども、最近、高齢者も働く人が増えています。年齢ではなくて、実際に働いている人で何人を支えているかということをみれば、少子高齢化が進んで肩車型になっても、それほど心配したり絶望したりするようなことはないということもよく言われています。今からもし可能であればそういう記述を入れるとか、授業で先生にそういうコメントを加えていただくのが良いのではないかと思いました。
動画に関しましては、先日見せていただいたときに、沈黙のところが気になるということを申し上げたのですけれども、ナレーションなどを入れて、なるべく「はじめに」のところで、社会保障の目的とか社会保障の理念、また、社会保障は雇用も創出するし、経済にも大きく関係するといったことを動画のほうでも入れていただくと、さらに良いかなと思いました。以上です。

○小野座長
ありがとうございます。それでは玉木構成員、お願いいたします。

○玉木構成員
私も猪熊構成員と同様、今回のプロジェクトに関します皆さまのご努力に対しては、大変強い敬意を表したいと思います。またもう一つ、めったにない経験、つまりビデオで現役の高校の先生の授業を見ることができまして、さすがだなと、ティーチングスキルの高さといったものについて、かなり感銘を受けたところでございまして、駆け出しの教員として、肝に銘ずるところがあるわけでございます。このように、大変良い教育が行われているわけですが、これをさらに発展させるという観点から、いくつか申し上げたいと思います。
まず一つは、どうしても賦課方式、積立方式という言葉が出てくるわけです。そういう言葉だけ教えて、中間テスト、期末テストの穴埋め問題に使うというのが一番安易なやり方で、これはいけないと思います。他方で、どうやったら賦課とか積立とかいう言葉が高校生の心に残るだろうかということなのですけれども、一つ感じたのは、政府というものの役割の説明ができるかもしれないということです。将来年金なんてもらえないかもねということがどちらかの先生の動画で話題になっていました。そういうときに、将来年金がもらえないということは、将来若い人が年金保険料を払わないということでもあるということに、生徒の目を向けさせることができればと思います。どうしてもネガティブな面、もらえないというところだけが取り上げられがちですけれども、賦課方式というものにおいては、政府は真ん中にいる仲立ち人であって、片方がなかったら片方がない、片方があれば必ず片方もあるのです。貯めとくか貯めとかないかということが、どうしても賦課方式、積立方式の説明のときに焦点が当たりがちなのですけれども、賦課方式の政府の役割というところをはっきりさせることはできます。この点は医療も介護も同じです。社会保障というのは、このように賦課方式が取られているのです。あと保険という要素が入ってきますが、政府がやるから、たくさんの人が入るから社会保険になるわけです。政府がやるということの意味をもう少し分かりやすく伝えるような工夫というもの、これはあり得るところかなということでございます。これが一つ目のコメントでございます。
もう一つ申し上げると、今回の二つの高校、生徒さんに応じた、教え方の使い分けが素晴らしいなと思ったところなのですけれども、もっと学力の高い生徒、あるいは理科系の生徒で、数学的なターミノロジーが使える場合があると思うのです。典型的には確率とか期待値という概念を使える場合に、社会保障が再分配になっていることを教えられる可能性があると思います。年金においては、特に報酬比例部分は再分配の要素はないですけれども、医療が典型で、保険料は大体収入に比例していますが、実際に病気になる確率というのは、これは収入とはあまり関係ないわけです。そうすると、月給〇〇万円の人が病気になる確率とそれに要する医療費の掛け算でもって、医療保険制度が負う月給〇〇万円の人についての負担というのは、期待値としてでてくる。それよりも、たくさんの保険料を払う人もいれば、大小関係が逆の人もいる。こういうふうな説明をしようと思ったら、どうしても確率、期待値という概念が必要になるのですけれども、これが分かる子もいるはずです。ですから、そういった子には、社会保険というのは年金も医療も介護も、再分配の仕組みになっている、世の中の格差を何とかする方向に機能しているのだといったところも伝えることができれば、素晴らしいなと思うところでございます。
あと最後のポイントは、先ほど猪熊先生からも少し言及があったところなのですけれども、肩車型になる図がありましたよね、下のほうの人数が何人とかという図です。あとよくある社人研の人口ピラミッドのやつがあります。あの社人研の人口ピラミッドとか、あとさっき見せていただいた図を使って高齢化が進むとこうなるのだということを見せるということには、実は暗黙の前提があって、それは何かというと、労働生産性の上昇率がゼロであり続けるということです。人数が支える力を表すのであれば、労働生産性上昇率はゼロという、今までなかった現象が起きるという前提をおいていることになります。これがどこまで正しいかは今後の議論としてあり得るところでありまして、社人研の人口ピラミッドのデータの、例えば2065年の下すぼみのやつがありますよね。あれの真ん中の生産年齢人口を15から64じゃなくて、20から75ぐらいにし、横方向に生産性上昇率20パーセントなら1.2倍にするとか、今後四十何年間の間に1.5倍になるのだったら、横に1.5倍にする、そういうことを見せてもいいのだろうと思いますね。何か人数に応じた支える力しかないのだというメッセージを与えることは、少し危険であって、そこは生産性という割り算の概念が入ってくると、高校の現場ではかなりしんどいと思うのですけれども、もしそういうところが可能な生徒さんが相手であれば、そういったことも可能となる。この辺は、私のような短大の教員が本来先にトライすべきところかもしれないと思っておりまして、人口ピラミッドのこの青い部分ですね、青い部分を横方向に1.何倍にする、年率を1.5パーセント伸ばしていけばこうなるのだよ、ということをアニメーションでやってみるという手もあります。あるいは上のほうの茶色の部分を、給付の実質的価値を0.5パーセントぐらい増やしていく、それで若い人たちの生産性が1パーセント伸びていく、そしたら2065年のこの頭でっかちのやつが少し真っすぐになってくるはずです。そうすることでもって、社会保障という世代間の移転の制度の持続可能性といったものが改善し得るのだというふうになれば、これはある程度の学力が高い子だったらできるのではないかなという感じもしたもので、今後の社会保障を高校生のレベルで伝えるという取組みの高度化の一つの道として、私は考えているところではございます。以上です。

○小野座長
ありがとうございました。それでは続きまして藤村構成員のほうからお願いいたします。

○藤村構成員
よろしくお願いします。いろいろとありがとうございました。特に今年度も休校等あった中で、映像の収録など大変なご苦労があったと思います。私自身参加させていただき、大変勉強になりました。ありがとうございました。
家庭科の立場からコメントさせていただきましたが、それらについてかなり反映していただきありがたく思います。例えば1ページの「留意事項」のところに、「特定のライフコースのみを推奨する趣旨ではない」「多様性への配慮」ということも書いてくださり、家庭科の考え方を反映してくださったのかなと思っています。もし今から可能であれば、先日いただいた資料までは載っていた「はじめに」のところで、家庭科について言及していただけたらと思います。今回初めてそこの部分が消えてしまっていましたので、お願いできればありがたいです。
先日も指摘させていただいたこととして、あと三つ、可能であれば検討をお願いします。
34ページの資料のところに、結婚を起点としたライフコースの図があるのですけれども、最新のデータとして2009年のものが掲載されています。家庭科の教科書では、一般的には出生を起点とした図を使っています。結婚を起点したライフコースの図を使うことによって、ここで伝えたいことの1つ「高齢期が長くなった」ということが伝わりにくいと思います。もし可能であれば出生を起点とした最新の資料に差し替えていただけたら、より良いのかなと思います。
あとは、さらにより良いものに、と考えたときに、先日指摘させていただいた映像の編集の検討をお願いできたらと思います。授業担当の先生のお考えが強く反映され過ぎてしまっていると思われるところと、簡潔に説明した結果少し誇張されていると思われるところを何箇所か指摘させていただいたのですが、そこの検討をお願いできたらと思います。
あとは細かいのですけれども、指導者用マニュアルの表記、例えばページの「p」の表記が小文字だったり大文字だったりというばらつき、括弧の重なり、更にはカラーバリアフリーではない色使いなど、最後に細かいところを修正していただけると、さらにより良い資料になるのではないかと思っています。以上です。ありがとうございます。

○小野座長
ありがとうございました。では梶ヶ谷構成員、お待たせしました。よろしくお願いいたします。

○梶ヶ谷構成員
梶ヶ谷です。よろしくお願いいたします。昨年の1月にこの開発チームが発足して、ここで1年2カ月がたちます。やっと学習指導案と映像資料が、そして副教材等ができましたので、開発チームの一員として安心しています。本来であればこれまで開発チームが集まって、対面でいろいろ内容等についても細かく意見を出し合って検討し、教材を作成したかったのですけども、ほとんどがオンラインの打ち合わせが多かったので、その点は少し残念だったと思います。
ただ開発チームの先生方、結構、皆さんお忙しくてお手数をお掛けしたのですけれども、積極的に作業に参加していただき、また特にモデル授業については、快くご自分の授業風景を映像に撮らせていただいたことは、ありがたく思っています。チームとしては、これらの教材が今後多くの先生方に活用されるように、全国の公民の先生はじめ現場の先生方に極力周知徹底をしていただきたいと思います。また教材の作成については、開発チームが基本的に作成作業をさせていただきましたが、事務局の皆様には多大なサポートをしていただいて、本当に感謝しています。
少し各論の内容になりますけれども、今回の教材作成のスタートラインでのポイントの一つに、「保険」の理念をなるべく強調したいという思いがありましたので、映像でも、そして学習指導案の方でも、単に「年金」と表すのではなく、例えば「年金保険」というように、年金が単に貯蓄ではなく「保険」であるということを高校生が把握・理解できるような形で表記をさせていただきました。さらに今、藤村先生がおっしゃったように、公民科の教員にはないような家庭科の先生の視点も極力反映させていただきました。あらためて、この教材を一人でも多くの現場の先生に見ていただき、授業の参考に、そして活用していただければと思います。

○小野座長
どうもありがとうございました。構成員の皆様方の中で、他の先生方のご発言を聞いて、再度何かご発言をされたいという方、いらっしゃいますでしょうか。

○猪熊構成員
先程言い忘れてしまったのですけれども、梶ヶ谷先生、本当にお疲れさまでした。現場の先生も、動画を撮っていただくのは大変で、非常にご苦労があったと思います。ありがとうございました。
梶ヶ谷先生がおっしゃっていたことですけれども、これをなるべく多くの方に周知して、在りかを知らせることが大事だと思っています。4月に新学習指導要領の「公共」が始まるというタイミングは一つあると思いますけれども、場合によっては半年後などに、実際にこの教材を使われた現場の先生がいらっしゃったら、その様子をレポートさせてもらって、その様子をホームページにあげるというのもあり得るかなと思いました。
それともう一つ、教育関係の先生方に沢山知っていただくことは大事なのですけれども、この教材ですね、指導案にいくつもコラムが入っています。コラムでは、確定拠出年金とか高額療養費制度とか年金の繰り下げ受給とか、説明が短く要領よくされています。社会保障に関心があるけれども、あまり制度をよく知らないという一般の人が読んでも役に立つかなと思うので、一般の方に読んでもらえる機会があるといいなと思いました。今年夏に参院選もありますし、社会保障のあり方がまた議論になってくると思いますので。せっかく作った教材なので、例えば国会の厚労部会の委員に配るとか、日本医師会、日本年金学会はじめ、いろいろなところに配って、なるべく存在を知っていただくというのが大事だと思います。以上です。

○小野座長
ありがとうございます。他の先生で、もう一回ご発言のある方いらっしゃいますでしょうか。では藤村先生、どうぞ。

○藤村構成員
猪熊先生のお話をお聞きし、現場にいる者として、3月末に発送するよりは4月過ぎのほうがいいのだろうなと。というのも、公立高校は教員の異動があるので、年度切り替え時期の到着だと資料が埋もれてしまう心配があります。担当教科の教員が受け取れるよう、4月に入ってからの方が良いと思います。 猪熊先生がおっしゃっていたように使用者のフィードバックを得ることができるような方法があると良いと思います。実際使ってもらうところまで追いかけられたら、と私も思いました。以上です。

○小野座長
ありがとうございます。他の先生方で、ご発言ある方いらっしゃいますでしょうか。

○玉木構成員
これ、少し無いものねだりになるかもしれないのですけれども、高校の社会科の先生方のこの教材に対する食欲を増すという点で、少し考えるところがございます。というのは、年金とか医療とか間口の狭い話だけではないと思うのです。例えば家庭科の先生からすると、生徒たちにライフプランニングについての自覚を高めるという点で、社会保障というものがあるのだよということをまず知ってもらうこと、非常に大事だと思うのです。例えば家庭科あるいは公民の授業担当の先生方、そういうことを生徒に伝えたいという先生方にとっては非常に魅力ある教材になると思うのですね。もう一方で、政治経済という社会科の科目がありますけれども、そっちのほうに関心がある先生の場合も、利用価値は高いと思うのです。社会保障というのは今や財政の半分ぐらい、国の一般会計の一般歳出の半分ぐらいは社会保障ではないでしょうか。あるいは今回の資料にも、社会保障の給付が120兆円ぐらいあって、うちどれだけが税金で、どれだけが保険料かといったような図がありました。保険料収入は多分国税収入より多いのではないでしょうか。それぐらいの話なのです。特に地方に行ったら、年金給付の都道府県別のGDPに占める割合は30パーセントをしばしば超えています。あるいは医療とか介護の支出、地元のケアマネさんとかあるいはヘルパーさんの収入も、介護保険の給付から来ているわけです。こういったことを考えると、地域の経済においてもしかすると半分ぐらい社会保障のお金であるといったこともあり得るわけです。国全体の年金の給付は大体五十何兆ですよね。国中のGDPベースの個人消費は230兆とかですから、スーパーや小売店の売り上げの2割以上は、これは年金給付が元だというのは、これは割と分かりやすい話としてあるわけですね。これぐらい大きな話なのです。
だから政治経済の授業の中で、例えば財政というものについて教える、あるいは税というものについて教える場合に、あるいは政府の大きさといったものを教える場合にも非常につながっていくものだと思うのですね。先ほど猪熊先生から参議院選挙ということがありました。18歳は有権者ですから、先生方の中には、政治に関心を持たせるための工夫に時間を費やした方もたくさんおられたと思うのですけれども、そういったところでも使えるのだなと思いました。保険料は72兆円ですよね。国税収入は景気が良いときでも60兆円ぐらいではないでしょうか。ですので、多分地方税まで入れたら90兆とかになるかもしれませんけれども、それぐらい大きい話だといったことを、インパクトある形で高校の先生に伝えることができれば、いろいろな先生方の食欲が湧いてきて、せっかく作ったものの稼働率も上がっていくのではないかなというふうに思うのです。ここは、年金局の仕事ではないかもしれないのですけれども、また先生方のほうでも考えるべきところも大いにあると思うのですけれども、その辺は年金局としてもサポートをお願いしたいと思うところでございます。以上です。

○小野座長
ではそういうことでありがとうございました。他、先生方よろしいでしょうか。事務局からお願いします。

○和田政策企画官
各種ご指摘ありがとうございました。限られた時間ではありますが、極力全て反映できるように頑張ってまいりたいと思います。また各種資料、例えば先程のライフコースから見た年齢の資料とか、いろいろご指摘をいただきました。今回まさに社会保障教育に資するようにということで、既存の資料をかなり簡素化して、デフォルメする形でいろいろ作らせていただきましたが、どうしても今回、原データに戻るような修正や資料の作成はできておりません。今日も玉木先生からも、いろいろこういう資料があると社会保障教育の推進に資するのではないかというご指摘をいただきました。実はこの社会保障教育の事業は来年も続きますので、そういった中で、今日いただいたご意見も踏まえて、また資料の更新、新しい資料の作成といったことに取り組んでいければというふうに思っているところでございます。ご指摘ありがとうございます。

○小野座長
ありがとうございました。それでは本日、先生方からいただきましたご意見を事務局のほうで整理していただきまして、あと指導者用マニュアル等に対して反映していくということに関しましては、具体的な修正に関しては私のほうで引き取らせていただいて、一任ということで預からせていただければと思うのですが、よろしいでしょうか。

          (異議なしとの声あり。)

○小野座長
ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただければと思います。ただ、発送のタイミングなど、先程藤村先生から御指摘いただきましたので、その点などについても事務局の方と相談してまいりたいと思います。
最後に私から、感想というかコメントだけさせていただければありがたいと思っております。まず一つ目、先程玉木先生もおっしゃられたように、私自身は高校の現場に、今回の収録された2人の先生と、あともう1人の先生の授業を見させていただきまして、私も教員という立場で大変勉強になったということがございます。私がいつも普段は大学院生で、外国人の学生も多いのですけれども、どのように伝えるかということの難しさみたいなことにつきまして、高校生に、まだ社会に出ていない方々が大多数である子どもたちに、どのように伝えるかというものの難しさというものも、また感じた次第でありまして、どのように話したらいいかということに関して、すごく勉強になったというのがございました。
あと、これ事務局の方にお願いということでいくつかあるのですけれども、一つは先程誰かもおっしゃっていたデータのことですね。時々、厚労省のホームページですとかリンク切れになっていたりだとか、あと検索して言葉で、キーワードで開いても、どのデータが直近のものなのかよく分からなかったりだとか、そういったこともあるかと思いますので、その辺の分かりやすい発信ですとか、あと先程のライフスタイルの話ですとか、推計値などを利用しているもので肝心なもの、すごくキーになっている説明であるにもかかわらず、基礎の数字が古かったりだとか時代に即してないような部分もあると思います。そういったものは、お忙しいとは思うのですけれども、アップデートをお願いできればと思っております。
あと、またもちろん学校で、いろいろな現場で使っていただきたいということがあるのですけれども、そのときに先生方にはご自身の言葉で発信できるように、是非、社会保障について先生方として納得していただくというか、学んでいただいて納得していただきたいなと思っております。こちらの授業例の一番最後のところの年金の授業実施者の先生のコメントがあるのですけれども、お子さんたちも自分事として考えていた姿が印象的であったと。先生がそのように捉えていただくと、多分お子さんにそういうふうに伝わると思いますので、ぜひそれを目指していただきたいなと思っているということですとか、あと周知の関係で言いますと、ぜひ教育関係のメディアにも届くようにお願いをしたいと思います。先生方が普段いろいろ、いわゆる業界紙のような形で見るようなものにも、このことが取り上げられると効果的かなと思います。
もう一点、多くの先生がおっしゃっておられるように、これを使ってのとか、これを使わなくてもこっちのほうが良かっただとかあるかもしれませんが、いわゆる現場の好事例の収集であるだとか、そこの横展開みたいなことだとかを継続していただければと思いますし、あとは国柄が違うので、制度であるだとか教育システムも違う部分はあるかもしれませんけれども他の国の例であるだとか、そういったものも是非研究を深めていただければなと思っております。
以上、私からコメントさせていただきます。ありがとうございます。
それでは本日の議題は以上でございますが、事務局のほうから何かございますでしょうか。

○大島政策統括官
統括官の大島と申します。きょう初めて参加させていただきましたが、大変ありがとうございます。すごくいいものができたと思います。それからモデル授業開発チームの先生方にも大変ノウハウをいただいて、ビデオまで作っていただきまして、これまでにないものができたと思います。社会保障、複雑系なものですからいつも悩みながら、いいのかな、これでどうするのかなということで、結局なかなか本質のところを捉えて説明しづらいというか、特にそれを高校生のまだ素地のない方にこの本質をどうやってお伝えするのかというのは、ものすごく難しいことだと思います。私もビデオを見ましたけれども、大変うまいというか、間合いの取り方とか、子どもたちと一緒に考えていくとか、それで結局なんでこういうのが必要なのかとか、こんな制度があったほうがいいんじゃないかなというぐらいまで高校生のうちに思っていただいて、先程もありました、確かに自分のライフプランというか、そういったことに非常に関わってまいりますので、自分事として考えてもらうというふうになれば、この授業の意味はすごく大きいのではないかなと思います。信なくば立たずというか、役所、国に対する信頼がなくなっている中で、こういう医療とか年金の制度について、信頼を持ってもらうためには、その仕組みそのものというか、それ自体が正しい理論で成り立っているということ知ってもらう必要があると思いますので、最初の一歩ではありますけれど、すごくいい形で始まったと思いますので、是非われわれとしてもなるべくこの社会保障教育が多くの方向で取り上げられていくように取り組んでいきたいと思いますので、ご協力お願いいたします。
それからこの検討会ですが、いったん今日で一区切りとなります。今後どうしていくのかというのは、またわれわれも考えたいと思いまして、またもしご相談させていただくような場があればお願いしたいと思いますので、その際にはよろしくお願いいたします。それから来年度は一応予算を多少取りまして、このモデル事業に周知啓発ですとか必要な見直し、場合によっては海外の取組み例の収集みたいなこともやっていきたいなと思っておりまして、この流れを大切にしていきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願いいたします。今日はありがとうございました。

○小野座長
ありがとうございました。他、事務局の方からご発言はよろしいですか。それでは若干早いですが、ここで締めさせていただきます。本日、先ほど統括官のお話にもありましたが、本日の第4回をもって社会保障教育モデル事業の検討ということは終了させていただきたいと思います。構成員の皆さまにおかれましては、お忙しい中ご協力いただきまして、どうもありがとうございました。では閉会とさせていただきます。お疲れさまでございました。

(以上)