2022年2月9日 第27回中央訓練協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

日時

令和4年2月9日(水) 14:00~16:00

場所

Web開催

議題

(1)ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施状況等の報告について
(2)令和4年度における全国職業訓練実施計画(案)について
(3)令和5年度ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施規模について
(4)協議会関係省庁からの人材育成施策に関する報告について
(3)その他

議事

○平川人材開発統括官付訓練企画室長 時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。藤村座長、よろしくお願いいたします。
○藤村博之教授(法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科) ただいまから、「第27回中央訓練協議会」を開催したいと思います。構成員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日の協議会は、前回に引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、Web会議による開催とします。
 今回から新たに2名の構成員が参加されることになりましたので、御紹介します。新たに御参加いただくことになりました構成員は、日本労働組合総連合会の冨髙裕子総合政策推進局長、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の須摩英樹求職支援訓練部長の2名です。冨髙さんと須摩さん、どうぞよろしくお願いします。
 また、本日は、一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会の森専務理事の代理として、北村副会長に御出席を頂いています。その他、本日お集まりの方々の御紹介については、参考資料1としてお配りをしていますので、その出席名簿で紹介に代えさせていただきたいと思います。
報道の方の頭撮りは、ここまでとさせていただきます。以後の撮影は、御遠慮くださるようお願いをいたします。
 では、議題に入ります前に、本日使用する資料、Web会議の接続不調時の対応、その他注意事項について、事務局より説明があります。どうぞ。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 本協議会の事務局を担当しております厚生労働省訓練企画室長の平川と申します。よろしくお願い申し上げます。事務局から事務連絡をさせていただきます。本日の協議会は、座長から御説明いただきましたとおり、Web会議による開催となります。資料は、事前にお送りさせていただきました資料1~8を使用します。Web会議の接続に問題等が生じましたら、事前に送付させていただいたマニュアルに沿って、事務局宛てにメール又は電話で御連絡をお願いいたします。出席者におかれましては、御発言を希望する際には、Zoomの「手を挙げる」機能により、意思表示をお願いします。「手を挙げる」ボタンを押した上、座長から指名された後に、ビデオ及びマイクをオンにして御発言をお願いします。発言が終了した際には、「以上」と言っていただくなど、その旨申し添えをお願いします。その上でビデオ及びマイクをオフにしていただきますようお願いします。また、音声の乱れにより、ほかの発言者の発言内容が聞き取れなかった場合は、その旨チャット機能でお伝えいただけましたら、再度発言していただくなどの対応を取りたいと思います。以上です。
○藤村博之教授 どうもありがとうございました。皆さんもこういう会議の形式は大分慣れてきておられると思いますので、御協力をお願いしたいと思います。それでは、議題に入ります。今回は、令和4年度の全国職業訓練実施計画(案)と令和5年度の公的職業訓練の実施規模を中心に、意見交換を行うこととしております。まずは議題(1)ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施状況等の報告について、事務局から説明をお願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 資料1を御覧ください。ハロートレーニングの実施状況という資料です。ページが下に打っておりますが、1-3と書いてあります3ページを御覧ください。こちらが足下の受講状況で、令和3年度については、受講者数について、公共職業訓練は15万人、求職者支援訓練は5万人という目標値を掲げて取り組んでおります。4~12月までの実績で見てまいりますと、公共訓練は7万2,473人、求職者支援訓練は2万11人で、前年同期比で、公共訓練は3.7%増、求職者支援訓練は18.2%増となっております。引き続きハローワークでの受講勧奨、積極的な周知広報に取り組んでいきたいと考えております。
 6ページを御覧ください。こちらは公共職業訓練の離職者訓練の就職状況です。就職率は一番右の行にありますが、例年、施設内訓練と委託訓練では、施設内訓練のほうが就職率が高い傾向にあり、令和3年度も同様の傾向です。令和3年度の数字は、施設内訓練については8月末まで、委託訓練は7月末までの数字です。目標値が一番下に書いてあります。施設内訓練80%、委託訓練75%と書いてありますが、それと比較すると、今のところは施設内訓練が目標を上回っており、委託訓練のほうが下回っている状況になっております。
 8ページを見ていただきますと分野別ですが、この表で真ん中の枠が施設内訓練で、右のほうの枠が委託訓練になっております。それぞれ一番左の行に受講者数が書いてありますが、施設内訓練で見ますと、分野別で受講者数が一番多いのは製造、サービスで、委託訓練で見ますと、事務、情報、介護となっております。応募倍率がこの表全体の左から3行目にありますが、情報系は1.42倍で応募超過、介護は0.86倍で応募者が定員を下回っている状況になっております。
 9ページを御覧いただきますと、こちらの長期高度人材育成コースは、受講者数は年々増えており、令和3年度は12月までの数字になりますが、令和2年度を上回っている状況になっております。
 10ページも長期高度人材育成コースですが、こちらは分野別の状況になっています。この長期人材のコースは、平成29年までは介護福祉士と保育士の養成課程に限られておりましたので、介護・保育系が多い状況があり、現在、全体の3分の2を占めております。残りの3分の1は情報系や調理系など、その他の分野が占めており、それらの割合は年々増えてきている状況になっております。
 11ページを見ていただきますと、オンライン訓練の実施状況です。公共訓練については、同時双方向型は令和2年5月から実施を可能としております。この数字ですが、令和2年度の数字は、令和2年度中にオンライン訓練を実施した実績で、令和3年度は12月までに終了したコースの実績ということで、若干取り方が違っておりますが、それでも令和3年度は令和2年度に比べて実績が大きく伸びてきている状況です。オンデマンド型(eラーニングコース)も伸びております。こちらはもともとは子育て中の方や、通所可能な範囲に実施機関がない方が対象でしたが、昨年4月からシフト制労働者などをはじめ、通常の訓練の受講が困難な方も対象にしており、こちらも伸びている状況です。
 資料にはありませんが、eラーニングコースについて、どういった方が利用しているかを、いくつかの労働局に確認してみましたので、御紹介をさせていただきます。例えば、子育て中の方で、保育園や託児所がなかなか見つけられなかったという方とか、あるいは御家族の介護をされていて、デイサービスがない日が週に3日あるので、通常の訓練がなかなか受けづらいという方とか、身体障害をお持ちの方で、在宅勤務を視野に入れて、Webサイトの制作コースを受講しておられる方とか、週2日程度の仕事をされていて、子供さんも2人おられて、通常の訓練を受けるのが難しい方、それから、持病をお持ちの方で、コロナ感染で重症化のリスクがあるので、通学のない訓練を希望された方、といった方たちに受講していただいた事例があることを確認しております。
 12ページを見ていただきますと、こちらの特例措置の実施状況ということで、上にあります介護コースに「うち介護パッケージ」と書いてありますのは、委託費が1万円上乗せになったコースの状況です。短期間・短時間コースで、一番右が受講者数ですが、こちらが4,269人で、同じ時期の委託訓練全体の中の比率で見ますと、6.8%程度になっております。
 13ページが在職者訓練の状況です。令和2年度はコロナ、特に緊急事態宣言の影響で、在職者訓練を活用しようとする事業主が大きく減少しましたが、令和3年度は回復をしてきております。
 14ページは学卒者訓練で、こちらは就職率が一番右にありますが、機構・都道府県とも高水準を維持しているところです。
 15ページは障害者訓練で、障害者の能力開発校、委託訓練とも受講者数は年々少しずつ減っておりますが、こちらは法定雇用率の引き上げ等により障害者雇用が進んで、職業訓練を経なくても就職を実現する方が増えたことも一因ではないかと考えております。特に令和2年度以降は、コロナの影響で中止となったコースがあることも、令和2年度が少なかった原因として考えられるところです。
 16ページからは求職者支援訓練です。この表の⑤が受講者数です。受講者数は制度創設以来ずっと減ってきたわけですが、令和2年度からは増加に転じており、令和3年度も、先ほど申し上げましたように、前年同期同期を上回っている状況です。
 求職者支援訓練の就職状況は18ページです。就職率が一番右にありますが、令和元年度から令和2年度にかけ、就職率は少し下がっております。令和3年度の数字は上がっておりますが、令和3年度の数字は令和3年4月、5月の2か月分だけの数字となっておりますので、そこは留意が必要かと思っております。
 22ページを御覧いただきますと、分野別の認定・開講状況です。表が横になって若干見づらいのですが、上下に分かれており、下から2番目の行が受講者数になっております。上のほうに分野が横に並んでおり、受講者数が多い分野で見ますと、上の段の営業・販売・事務で最も受講者数が多く、定員充足率で見ますと、その一番下の行になりますが、下の段のデザイン分野の定員充足率が84.8%、上の段のITの充足率が78.7%ということで、人気がある分野となっております。
 23ページは就職状況です。表の右から2行目、⑤/④と書いてある所が就職率ですが、こちらは分野別で見ますと、介護福祉や医療事務で就職率が高くなっております。
 25ページがオンライン訓練です。求職者支援訓練については、昨年2月から同時双方向型を可能としております。12月までに1,400人以上の方が受講をされております。eラーニングコースについては、昨年10月から設定可能にしておりますが、これまでのところ1コースが認定を受けたと聞いております。
 最後が26ページで、特例措置の状況です。短期間・短時間コースが3,516人ということで、こちらは同じ時期の求職者支援訓練の受講者全体の17.6%を占めております。
 資料1の説明は以上ですが、続いて資料2を御覧ください。こちらは令和4年度の予算案についてです。前回9月の協議会では概算要求についてということで、これと同じような形の表で説明をしております。訓練規模そのものは、そのときとほとんど変わっておりませんが、1点、在職者訓練の人数について、生産性向上支援訓練の対象者数が概算要求時より1,000人増えましたので、前回お示ししたものよりは0.1万人増えております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○藤村博之教授 どうもありがとうございました。では、ただいまの説明について、御質問、御意見をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。関口さん、お手が挙がっております。どうぞ。その後、京都府の河島さんです。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長(全国専修学校各種学校総連合会) ありがとうございます。まず、専門実践教育訓練の給付金については、労政審で、今年の3月で終わりのところを3年延長ということにしていただきました。私どもの全専各連も、また日本看護学校協議会等々でもお願い申し上げていたところですが、延長していただきましてありがとうございました。それで、私から2点、資料1-9、資料1-10の長期高度人材育成コースについてと、それから、オンラインの所について少しお伺いしたいと思っております。
 長期高度人材育成コースについては、今、お礼を申し上げました専門実践教育訓練と共に、専門学校の正規課程というものの機能を十分いかしていただけるという点で大変有り難いし、また期待をしているところです。一方で、長期高度人材育成コースの実施状況については、資料1-10のほうを御覧いただくと、御説明にもありましたように、もともとありました介護・保育の数字、令和2年の話ですが、これが合わせて3,423人になるのですが、全体の5,269から引くと1,846人が新たに長期高度を設け講座の指定をしていただいたところからの実質的な受講者数ということです。当初は、3年か4年前には目標2万人ということでしたが、現状は全体の数字としても5,000人ぐらいでとどまっています。確かに少しずつは増えてきてはいるのですが、やはり、私どもの機能をいかしていただくという我々の側の感じからいくと、この辺の数字についての評価は、実際のところどのようにお考えなのかを承りたいというのが1点です。
 もう1つ、オンデマンドについては、資料1-11です。オンライン訓練の実施状況の所でいろいろ数字が出ているのですが、お伺いしたいのは、オンライン訓練の授業の質の担保はどうなっておられるのかなと。通常の対面の授業において質の担保、保証と言いますか、保証、向上は当然ガイドライン等々もありますから一定の見解がおありだと思うのですが、オンライン、特にこれは対面と対応して、それにある程度準拠しつつ質の担保が考えられると思うのです。一方で、特別なケースだと思いますが、これは私どものほうでも大学でもオンデマンドは非常に多様な活用が今後見込まれています。こちらの授業の評価とか管理については、今後どのようにお考えなのか。
 その辺のオンライン、特にオンデマンドにおける教育の質の担保について、何かお考えがあればお聞きしたいと思います。
○藤村博之教授 あとお二人お手が挙がっておりますので、そのお二人の御質問を伺ってからまとめてお答えいただきたいと思います。では、京都府の河島さん、お願いします。
○河島幸一企画調整理事兼副部長(京都府商工労働観光部) ありがとうございます。京都府の河島です。私からは2点、意見と中身を確認させていただきたいと思います。まず、先ほどもお話がありましたオンライン訓練の部分です。御紹介の中でも育児、あるいは介護などで制限されている方に対して、オンライン訓練は非常に有効に活用されている事例が紹介されていました。今、現実、自治体で聞いているのは、オミクロンの急拡大によって、非常に多くの方々が濃厚接触等になっておられて、そもそも、訓練に出ていくことに対しての不安感、こういったことを訴えられる受講生の方も少なからずいらっしゃいます。こういった方々に対して、オンラインの受講要件というものを更に柔軟に緩和をしていただくことも、今後考えていただけると有り難いなという形で、これは意見です。
 それから、これはコロナの中で非正規の方々、あるいは雇用保険を受給されていない方々の雇用状況、あるいは再就職の状況が大変厳しい中で、私は求職者支援訓練は非常に有効なものであるかなと。ただ、惜しむらくは、なかなかここは十分浸透していないというか利用が伸びていないかなとは思っているところです。先ほどの御説明の中で、受講生などは増えてきているといったお話がありました。これも大変喜ばしいと思うのですが、ここで質問です。
 受講生が増える一方で、18ページを見ますと、就職率などが逆に落ちてきているといったところの要因。それから、23ページを見ますと、求職者支援訓練を受けられた方々の就職率というところで、また後ほどお話が出るかもしれませんが、人づくりという部分でDXが非常に注目をされています。DXとITは厳密には違うのだと思うのですが、求職者訓練のIT分野における就職率というのが、ほかの医療事務であったりとか介護福祉の部分からすると比較的低い数字が出ているのですが、この辺の要因が何かということを御教示いただければ幸いだと思います。以上です。
○藤村博之教授 分かりました。ありがとうございます。では、日本商工会議所の杉崎さん、どうぞ。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長(日本商工会議所) ありがとうございます。成長と分配の好循環を実現していくために、人材育成や能力開発など、他の先進国と比べて低い水準にある企業の人的投資や公的な職業訓練の支出額、すなわち、官民における人への投資を強化していくことで、デジタルや脱炭素関連など、今後の成長が期待される産業分野への円滑な労働移動を促し、日本経済全体の競争力や個々の企業の生産性を向上させていくことが重要です。こうした認識は官民で一致・共有しているかと思います。そうした考えの下で、人への投資を強化する、3年間で4,000億円規模の施策パッケージが打ち出されたこともありまして、企業における人材育成への関心も高まっている状況にあるかと思います。中小企業では即戦力人材のニーズが高いことから、日商では、公共職業訓練や求職者支援訓練の強化・拡充を要望しておりますが、受講者数の内訳を見ますと、情報系やIT系の応募倍率が高くなっております。このこと自体は望ましいことだと思いますが、求人意欲が旺盛な建設、製造、介護といった分野に関する訓練の応募倍率はほかと比べて低く、定員充足率も低い状況となっております。したがいまして、求人意欲が旺盛な産業分野の訓練については、周知を強化するなどの方策を、また、応募倍率が高い情報系やIT系の分野については、訓練の実施数を増やすといった対応が求められると思います。
 次に、就職状況についてです。経済・雇用情勢がコロナ禍からの回復途上にある中で、公共職業訓練や求職者支援訓練の重要性はますます高まっておりますが、令和3年度の就職状況を見ますと、公共職業訓練、離職者訓練においては、施設内訓練は86%ですが、委託訓練は69.9%にとどまっております。また、求職者支援訓練については、基礎コースが55.2%、実践コースが62.7%にとどまっている状況です。一方で、コロナ禍で一時緩和した人手不足感が再び戻っている状況にありますので、厚生労働省におかれましては、ハローワークの現場において、求人企業と求職者とのきめ細やかなマッチングを実施するなど、就職率の向上に向けた取組を強化していただきたいと思います。
 次に、在職者訓練についてです。最近、複数の中小企業の皆さんに対して、人材育成や能力開発に関するヒアリングを行ってみたのですが、在職者訓練をうまく活用し、人材育成につなげている企業もありました。中小企業にとって、人材育成や能力開発は、人材のスキルアップのみならず、エンゲージメントの向上にもつながることから、学びの好循環を実現していくことは極めて重要だと思います。一方で、中小企業は、マンパワーとかノウハウの面で単体での訓練が難しいというのが現状ですので、在職者訓練は非常に重要だと思っております。しかしながら、これまで12万人程度で推移していた在職者訓練の受講者数が、令和2年度、3年度は7万人とか8万人程度に大幅に減少しております。これは、恐らくコロナ禍の影響だと思いますが、減少している要因と、それに伴う今後の対策について、事務局から是非、コメントを頂ければと思います。以上です。
○藤村博之教授 分かりました。では、事務局から回答をお願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 まず、関口委員から御意見を頂きまして、ありがとうございます。長期人材の関係です。6、7万人ほどの既卒の方が専修学校、専門学校に入られていて、長期人材のほうは数千人ということですが、この数の評価というお話でした。長期人材のコースは、雇用保険の受給ができる方を主に対象にしたコースですので、専門学校に既卒で入られる方全てということではないのだとは思いますが、ただ、長期人材のコースはどのぐらいの潜在的なニーズがあるか、どれぐらいを目指していけばいいのかというのは、具体的な数字はなかなか難しいのですが、当然、これで十分ということではありませんで、予算のほうも、実態に合わせて若干、増減なりはしておりますが、これは是非、伸ばしていきたいと考えております。特にデジタル、IT分野については、ちゃんと1、2年訓練を受けていただいて、資格を取って、人材として育てていくということで、長期人材コースが一番しっくりくると言いますか、デジタル人材の育成に非常に効果的なコースだと感じておりますので、是非、引き続き進めていきたいと思っております。
それから、オンラインの関係です。同時双方向型のほうは、むしろコロナ対応で、対面でやっているものはテレビ画面でやっていくという形で、本当に急速に、この会議もそうですが、普通の会議と同じような形でできるようになってきております。そちらは、引き続き普通の訓練と同じような質の担保に取り組んでいきたいと思います。一方、オンデマンド訓練については、大分普通の訓練と違っております。現行の委託訓練も、確認テストなどを頻繁にやるようにしておりますが、求職者支援訓練については、昨年の10月から開始しておりますが、更に厳しめの要件を掛けておりまして、確認テストで複数回、一定の点数を下回ると、もう訓練はやめていただくという形の要件まで掛けているところです。ただ、どちらにしても、始めたばかりの取組でもありますので、引き続き就職率や訓練効果を見ながら、質の担保のための必要な検討はしていきたいと思っております。
 それから、河島委員からもオンラインのお話を頂きまして、ありがとうございます。先ほど申し上げましたように、いろいろな事情をお持ちの方がオンライン訓練を活用されて、通常の訓練であれば受けられなかった方でも訓練を受けていただくようになっておりますので、引き続き実態なども見ながら、必要な方に訓練が行きわたるような要件について考えていきたいと思っております。それから、求職者支援訓練の就職率の関係で、特に情報系、IT分野の就職率が低いというお話がありました。こちらもきちんと分析してみないといけないとは思っております。もともとのIT分野での就職率というのがそれぞれハローワークの中でもありますので、手元にないのですが、恐らくIT系の就職率は、それほどほかの分野と比べて高かったわけではないように記憶しておりますので、そことも比較をして要因は見ていきたいと思っております。
 それから、日商の杉崎委員から、離職者訓練について、ハローワークでのマッチングなどを強化してやってほしいということでしたので、そこは引き続き、肝に銘じてやっていきたいと思っております。在職者訓練については、令和2年度はコロナの影響で、事業主から、在職者訓練の申込みが少なかったということで大きく減ったところです。令和3年度のこの数字は1年分の数字ではなくて12月までの数字で、年度で見るともう少し伸びてくるかとは思いますが、回復の途上にあるということです。とにかく、在職者訓練についても、特にデジタル関係、製造の中でもDXの関係ですとか、ニーズが非常に高いところですので、中小企業の皆様に御活用いただけるように、生産性向上人材育成支援センターなどでも訓練をコーディネートしておりまして、在職者訓練を御提案しているところですので、是非、進めていきたいと思っております。以上です。
○藤村博之教授 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明でよろしいでしょうか。では、関口委員、どうぞ。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 御説明ありがとうございました。長期高度については、都道府県の状況とか課題について、私どももつぶさに状況を確認して、連絡を密にして進展を図りたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
○藤村博之教授 経団連の平田委員からも手が挙がっています。どうぞ。
○平田充労働政策本部統括主幹(一般社団法人日本経済団体連合会) ありがとうございます。御説明を大変興味深く拝聴しました。オンライン訓練について1つ感想を申し上げます。始まったばかりで、実績が出て始めていると理解します。当然、オンラインでできないような訓練もありますし、オンラインのほうが効率的にできるものもあると思います。予算も限られている中、効率的・効果的な訓練の在り方を、コロナ禍に関わらず、検討していくことが大事なのかなと思いましたので、感想として申し上げておきます。以上です。
○藤村博之教授 どうもありがとうございました。この第1番目の議題はよろしいでしょうか。
 では、続いて、2つ目の議題に入りたいと思います。令和4年度における全国職業訓練実施計画(案)についてです。事務局から説明をお願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 全国職業訓練実施計画(案)です。こちらは毎年度、厚生労働大臣が定めることになっており、本協議会で御議論いただいているところです。前回の協議会では、令和3年度との比較表の形で一旦御議論いただいておりましたけれども、それ以降は人材開発の関係で政府としてもいろいろ動きがありましたので、それも含めて本文に盛り込んだものを本日確認いただければと思っております。
 資料3-1と3-2がありますが、赤字で見え消しにしております3-2で説明申し上げます。まず、計画のねらい、1ページ目の上から3行目です。こちらは「転職に当たっての円滑な再就職に資するよう能力開発を行う必要がある」とありましたが、離転職だけではなくて、例えば非正規雇用労働者のステップアップなども読めるようにということで、「転職に当たって」という部分は削除をしております。
 2ページの上から5行目ですが、前の書きぶりですと少子高齢化が進展する中での課題が諸々列記してありましたけれども、論点を明確にするために能力開発に絞った書きぶりにしております。具体的には、少子化による労働供給制約がある中で持続的な経済成長を実現するためには、多様な人材が活躍できる環境整備を進めて労働生産性を高めることが不可欠で、そのために能力開発への投資を推進していくことが重要という書きぶりにしております。
 それから、同じページの真ん中より少し下ですが、こちらは人材ニーズを踏まえた能力開発の重要性について記載した部分です。ここでDXの加速化などの社会変化、それからコロナの影響で非正規雇用労働者に大きな影響が出ている中で、地域ニーズに合った人材育成の推進のために訓練の在り方を不断に見直し、離職者訓練、在職者訓練など多様な能力開発の機会を提供することが重要という書きぶりに変えております。
 下から2行目に段落を1つ追加しております。こちらは政府としてデジタル田園都市国家構想の実現に向けて取り組んでいるところですが、昨年12月の実現会議において若宮担当大臣から、公的職業訓練と教育訓練給付の2024年度の受講者数について、7万人を確保するということが示されておりますので、その旨記載させていただいたのと、IT分野の委託費の上乗せなどを活用して、全ての都道府県でデジタル訓練を推進する旨を記載しております。真ん中に就職氷河期世代の段落が1つありますが、もともと2ページにあったものをこちらに移してきたものになりますので、内容は特段変更はしておりません。
 3ページの一番下の行から4ページにかけては、ものづくり分野に関する記述です。4ページの3行目からDXの加速化を踏まえた訓練の充実などということで、記載を加えております。
 5ページの中ほどです。5ページは計画期間中の公的職業訓練の対象者数という項目で、真ん中の部分は全体にかかる係る前書きになります。オンライン訓練についてもともと記載がありましたけれども、昨年10月から求職者支援訓練のeラーニングコースを始めておりますので、その旨を記載しております。その下に、「加えて」ということで段落が1つあります。育児や介護等の多様な事情を抱える求職者が生活との調和を保ちつつ訓練を受講できるように、短期間・短時間訓練、土日・夜間のコース、オンライン訓練、eラーニングコースなどを推進していく旨を記載しております。託児サービス付コースの設定推進については、もともと別の所に記載がありましたけれども、こちらに移してきております。
6ページの一番下の行からは、離職者訓練の内容の項目です。DXの加速化などに対応するためにということで、7ページの上ですが、デジタル分野の人材を育成する訓練、社会人として標準的に求められるIT理解・活用力を習得する訓練を推進する旨を記載しております。
 8ページは、在職者訓練の項目です。令和4年度は生産性向上人材育成支援センターにDX人材育成推進員を新たに配置することにしております。それから、DX対応の訓練コースを拡充することとしておりますので、その旨を記載しております。
 9ページの中ほどより下からは障害者の訓練になります。訓練期間の柔軟化や、職場実習機会を付与した場合の追加支給等といった記載があります。こちらは実践能力習得訓練コースについて、訓練期間を上限3か月であるものを1か月延長可能にする、それから知識・技能習得訓練コースについて職場実習を実施した場合に、委託費を1人当たり1万円上乗せするといった見直しを行うこととしておりますので、その旨を記載しております。
 11ページは、求職者支援訓練の認定規模の項目です。訓練認定規模について、基礎コースと実践コースの割合が今は1対1、50%、50%であるところを、基礎コース40%、実践コース60%に見直したいということで、こちらは前回の協議会で一旦御議論いただいた内容になっております。その下が前回御議論いただいていない内容になります。実践コースについて介護、医療事務、情報の3分野について、それぞれ認定規模に占める下限の目安ということでパーセンテージを定めておりますが、今般この情報系についてデジタル系ということにして、現行の10%を20%に引き上げたいと考えております。なお、このもともとの情報系というのはプログラマーやネットワーク技術者等といったIT技術者の訓練コースを想定しておりますが、ここで言うデジタル系というのは、それらに加えてWebデザインなども含むことを想定しております。
 最後に12ページは、関係機関の連携です。関係機関が連携する趣旨として明記をしたのが、DXの加速化など社会変化に対応するためには、ニーズを踏まえた効果的な訓練を実施する必要があり、そのためには幅広い関係者の理解・協力の下に改善のための不断の取組が必要である旨を記載しております。
 それから、後ほどの議題で説明申し上げますが、令和4年度においては地域における協議会について、新たな仕組みを創設することとしておりますので、現行の仕組み、地域訓練協議会やワーキングチームという文言がありますが、そちらは修正をしております。以上です。
○藤村博之教授 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、御意見、御質問をお願いいたします。「手を挙げる」ボタンをお使いいただければと思います。全国中央会、佐久間さんどうぞ。
○佐久間一浩事務局次長・労働政策部長(全国中小企業団体中央会) 平川室長、御説明ありがとうございました。全体にこの職業訓練実施計画は、国がデジタル化を推進し、生産性を上げる。そして、そこにはDX人材を育成してしていく必要があるという方向付けはこのとおりだと思います。「DX」という言葉がこの計画書の中にも7回ほど出てきていると思うのですが、“これから進めていかなくてはならない”という方向付けが出ているのではないかと思います。
 その中で、資料4の令和3年度地域訓練協議会(第1回実施分)で出された意見を拝見させていただいたのですが、DX人材というのはどういう分野の方を、どのように育てていくか。職業訓練の関係になると、技術者の養成が中心となり、デジタル化やシステム化の実装やインフラの構築をする方を養成するだけでは、なかなかDX化を推進することはできないような気がします。そこには、サービスや業務の人材を把握して、ビジネス系のスキル、例えば経営の関係も入ってきたり、AIが不得意な部分の業務を理解しなければいけない方、それからDXを企画、推進してその工程を管理し、調整していく方も必要になってくるのではないかと思っています。ですから、技術者と工程の管理、そしてサービス、業務の将来像がこれからどうなっていくのか、また、経営面に関わる方も、マネジメントを行う観点も必要になってくると思います。この計画では、技術者を養成することに重点が置かれるのですが、そういう方たちも訓練をしていかないと、全体の組織としては回っていかないのかなと考える次第です。
 これから具体的に実施方法や科目(カリキュラム)等を設定していただき、生産性向上の支援訓練などもうまく利用していただいて、企業のDX推進に役立つ人材を是非とも育てていただきたいと考えているところです。以上です。
○藤村博之教授 分かりました。あと4人手が挙がっておりますので、御質問、御意見を伺ってから事務局にお答えいただきたいと思います。続いて、京都府の河島さんどうぞ。
○河島幸一企画調整理事兼副部長 今、佐久間様がおっしゃった1点は、DXの関係です。最近非常にDXという言葉が流行っておりますけれども、よくよく中身をしっかりと分析をしながら、どういうデジタル人材が必要なのかを想定した上で、施策の実現をしていかなければいけないと。これは、先ほど佐久間様がおっしゃっていたことです。私が聞きたかったのは、もう一点、12ページに地域訓練協議会の関係が修正されています。先ほどの御説明の中でも、新たな仕組みを考えているといった御説明だったと思うのですけれども、少し中身を詳しく御説明いただければ幸いです。以上です。
○藤村博之教授 分かりました。続いて、連合の冨髙さんどうぞ。
○冨髙裕子総合政策推進局長(日本労働組合連合会) 1点はデジタル人材の件です。計画案全体にDXに対応する人材育成の方向性が記載されており、方向性は重要だと思いますが、DX対応するための人材像や求められるスキルなどを明確化し、対応していくことも重要です。また先ほど報告いただいた実態等を見ると、計画案に記載されたほど受講者は伸びておりませんので、実態を踏まえた上で効果的な施策をお願いしたいと思います。
 もう一点は、障害者に対する施策です。記載されている内容については問題はありませんが、障害者を含めて、コロナ禍で広く働きづらさを感じている求職者、在職者が多いとと思いますので、そういったニーズに対応できる公的な職業訓練の実施がこれまで以上に必要ではないかと思っております。進めるに当たっては、その視点を持っていただければと思っております。
 もう一点は、就職氷河期に関する内容が全体に記載されておりますが、今、政府で就職氷河期世代への3年間の集中支援プログラムを推進しており、こちらの進み具合もまだまだと聞いております。そういった状況も踏まえて、今後もしっかりと当事者の希望を踏まえた長期的・安定的な就労の実現に向けた内容を、是非職業訓練の充実を図っていただきたいと思います。以上です。
○藤村博之教授 分かりました。ありがとうございます。では、北村さんどうぞ。
○北村俊幸副会長(一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会) 森の代理で出席しております、全国産業人能力開発団体連合会の北村です。どうぞよろしくお願い申し上げます。まず、資料の11ページですが、当然今まで縷々御説明いただいておりますデジタル化については、比率が上がると。ただ、今回コロナ禍でもありますし、世の中でエッセンシャルワークという形でかなりの評価を得ており、そこの人材不足は皆様御案内のとおり少ない、足りていないのが現状です。その比率を変えるところはやむを得ないと思っておりますが、これからDX化もありますし、様々なAI化という形で生産性の向上を図るという意味では、比率は若干下がっても、その部分ではこなしていこうと思っている次第です。
それから、最後の地域訓練協議会についてですが、私どもは全国で様々な各支部や関係者が参加させていただいております。是非、地域の特性に合わせてフィールド感を入れてそこに反映させていきたいと思っております。引き続き新たな仕組みの御説明を頂きながらそこに参画していきたいと思っている次第ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。以上です。
○藤村博之教授 分かりました。ありがとうございます。では、日本商工会議所の杉崎さんどうぞ。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長 見え消し版の5ページ目に記載されておりますが、オンラインによる訓練ですとか育児、介護など多様な事情を抱える求職者の皆様が訓練を受けやすい環境づくりが非常に重要だと思いますので、こういったことについて前向き、具体的に推進していただきたいと思います。
 2点目は8ページ目に記載されているのですが、生産性向上人材育成支援センターが実施している訓練についてです。中小企業のDX対応に係る人材育成支援は非常に重要かつ時宜を得た施策だと思っています。この生産性向上人材育成支援センターが実施している訓練はニーズが非常に高いと伺っておりますので、予算面や支援体制の拡充といったこと、それから中小企業に対する幅広い周知、利用勧奨を是非ともお願いしたいと思っております。
 3点目は、地域訓練協議会に関してです。資料4にいろいろな意見も書かれているのですが、非常に納得感のある意見が多いなと感じております。今般の改正法案の中に、地域のニーズに対応した職業訓練の推進等として、関係者による都道府県単位の協議会の仕組みを設けるということが盛り込まれましたが、地方に設けられる協議会が形式的な内容や形式的な議論にとどまらず、いかにワークしていくかが重要だと思います。この協議会が主体となって地域の課題解決に資する取組をいかに展開していけるかということも大事ですので、いかに実効性を確保できるかが重要だと思います。そうした意味では、地域経済を支える一員として、各地の商工会議所が果たすべき役割もあるのではないかと思っておりますが、是非地域ごとに実効性のある活動が展開されますよう期待しておりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○藤村博之教授 ありがとうございました。では、事務局お願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 まず、中央会の佐久間委員、ありがとうございます。DXは今回かなり重要ということで、大分記載をさせていただいております。DX人材の定義が曖昧だということは認識としてあります。こちらの計画の7ページの上のほうに、デジタル関係で、デジタル分野における人材と、社会人として標準的に習得を求められるIT理解・活用力の訓練と書かせていただいております。DXの推進については、技術者、いわゆるベンダー側だけではなくて、ユーザー企業側での人材育成、発注する側や工程管理やデジタルをサービスに活かしていくことをやっていく方たちも非常に重要だと思っておりますので、そちらも引き続き取り組んでいきたいと思います。通常の訓練コースの中にそういった要素を組み込んでいく、あるいは生産性向上支援訓練なども活用しながら、そちらの観点からも進めていきたいと思っております。
 それから、河島委員からもDXの中身の分析を是非とのことでした。後ほどお時間がありましたら、別の資料できちんと説明をさせていただきたいと思いますが、地域における中小企業のDXに必要な人材はどういった人たちなのかというのは、協議会の中でもいろいろ御意見も伺いながらニーズを把握していきたいと考えております。
 冨髙委員から、障害者の訓練で、是非ニーズに対応できるような訓練をというお話がありました。障害者の方については雇用率で就職を促進するのも重要なのですが、就職した後に戦力として働いていただけることも非常に重要だと考えております。就労支援だけでなくて訓練も重要だと考えておりますので、引き続き取り組んでいきたいと思っております。氷河期の取組についても、今後是非進めていきたいと思っております。
 全産能連の北村委員から頂いた、DXももちろん大事なのですが、介護などの分野についても当然重要性が下がっているところではなく、人手不足分野であり、かつ非常に必要な分野ですので、そちらの訓練も引き続き進めていきたいと思っております。
 杉崎委員からの、5ページの受講しやすいような取組などは是非進めてまいりますし、生産性向上支援訓練についても予算体制の確保に加えて、周知にも引き続き取り組んでまいりたいと思っております。それから、地域の協議会についてですが、形式的にならないように、実効性のあるようにということで、そこは是非肝に銘じていきたいと思います。幅広い方々に御参加いただいて、ニーズを把握して見直しを進めていくということですので、参加者の皆様から協力が得られるような回し方をしていきたいと考えております。簡単ですが以上です。
○藤村博之教授 御意見、御質問を頂いた委員の方々、よろしいでしょうか。この議題については、皆様方の承認が必要となっております。先ほど頂いた御意見をできるだけ反映した形で、最終的に文章を修正していきたいのですが、その件については座長一任ということでお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。では、私が責任をもって最後に修正されたものを見るということで、この議題について皆さんからの御承認を頂きたいと思います。御異議はありませんか。
                                   (異議なし)
○藤村博之教授 どうもありがとうございます。続いて3つ目の議題、令和5年度ハロートレーニング(公的職業訓練)の実施規模について、及び4つ目の議題、協議会関係省庁からの人材育成施策に関する報告についてです。まず事務局から御説明を頂いた後、続けて関係省庁から報告を頂き、その後それらの説明、報告を踏まえて、令和5年度のハロートレーニングの在り方について全般的な御議論を頂ければと思います。では、まず平川室長お願いします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 資料4を御覧ください。議題3の令和5年度のハロートレーニングの実施規模ですけれども、令和5年度の具体的な実施規模の案というのは、今日の段階では事務局からお示しする資料はございませんので、まず、この資料4について御説明いたしまして、その後、各省庁から御報告を頂いて、その後、御議論を頂きたいと思っております。
 資料4は前回9月の中央協議会が行われた後に、各都道府県で開催された地域訓練協議会で出された主な意見を取りまとめたものです。時間の関係もありますので、かいつまんで説明申し上げます。総論的意見の2番目のポツは、地域の産業構造などに合わせて、訓練の運営機関が連携して訓練を実施していくことが大切という御意見がございました。それから4番目のポツで、今必要なニーズの訓練だけではなくて、これから伸びていくような技術の知識のある人材を育成することも必要というような御意見でした。
 ニーズを踏まえた訓練設定については、2番目のポツで、訓練実施機関には、訓練時間や訓練時期の設定など、訓練受講者のニーズに応じて融通を利かせてほしいということです。一番下のポツで、訓練終了後に、地元企業への就職なのか、あるいは訓練受講が役立ったのかなど、追跡調査を行う必要があるというような御意見です。
 DX人材の育成については、先ほどお話がありましたけれども、定義が曖昧であるということで、何を求めているのかを突き詰めていく必要があるので、中小企業のニーズの把握が必要ということでした。2番目のポツで、中小企業で求められているIT人材は、パッケージやサービスを買ってITを利用できる人材だと思うということ。上から5ポツ目、下から2つ目のポツで、各専門学校でもあらゆる分野でDXに取り組んでいるので、業界の求める人材像を官が把握して、訓練委託先にプレゼンすれば様々な提案があるのではないか。その次のポツで、離職者訓練のカリキュラムの中にITの要素を付加するようなことができればよいというような御意見でした。
 人手不足については、一番上、デジタル分野に関する話題は各企業からあまり上がっていなくて、むしろ製造業の人手不足が話題となっているという御意見もありました。
 3ページの、受講者属性等を踏まえた訓練設定について、上から2つ目のポツで、eラーニングは自分で勉強ができる方にはよいシステムだけれども、そうでない方は途中でうまくいかないという意見もあり、動機付けをしっかりしていく必要がある。次のポツの、60歳を超えた求職者の方はノウハウや資格がないとなかなか難しいということで、そういった方に適した訓練コース設定をお願いしたいというお話がありました。訓練実施機関については、上のポツで、オンライン化が進んでいて、オンラインに対する社会的許容も進んでいるので、今後広げていくことを検討してはどうかということです。
 最後4ページの周知・広報について、2番目のポツの、紙媒体だけではなくてITやスマホ広告などのネット配信に切り替えていくことが有効であると思われる、というような御意見がありました。資料4については以上です。
○藤村博之教授 続けて、文部科学省、農林水産省、経済産業省から御報告を頂きます。まずは文部科学省からお願いいたします。
○文部科学省船木総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室専門官 文部科学省専修学校教育振興室の船木と申します。本来、室長の岡から御説明をさせていただく予定だったのですが、所用のため私から御説明させていただきますこと、御容赦いただけますと幸いです。資料5を御覧ください。資料5の1ページです。「文部科学省におけるリカレント教育等の取組について」と題しておりますが、専門学校の制度等を所管しておりますので、主に専門学校を対象とした事業等について御説明させていただきます。2ページ、リカレント教育に関しては、本日御出席いただいております厚生労働省さん、また経済産業省さんと連携しながら推進させていただいているところです。この資料については、リカレント教育等社会人の学び直しの総合的な充実として、文科省における関係事業を取りまとめたものです。以降、この中から特に専門学校を対象にした事業について触れさせていただきます。
 続きまして、3ページをお願いいたします。DX等成長分野を中心とした就職・転職支援のためのリカレント教育推進事業ですけれども、この事業については、就職者や失業者、非正規雇用労働者等に対して、デジタル・グリーン、イノベーション喚起等の成長分野を中心に、就職・転職といったキャリアアップ、キャリアチェンジに向けた社会のニーズに合ったプログラムを実施するものです。大学や専門学校等が労働局さんや企業、業界団体等、産業界と連携しまして、教育プログラムを提供するとともに、就職・転職等、労働移動の支援も実施するというものです。また、就職に必要なリテラシーレベル、就業者のキャリアアップを目的としたリスキリングに向けたプログラムを実施する予定となっています。右側に実施内容を記載しておりますけれども、ⅠのDX又はⅢの重要分野として、グリーンやイノベーション等、こちらが専門学校も対象としているというものです。
 次の4ページ目の資料をお願いいたします。専修学校リカレント教育総合推進プロジェクトというものです。こちらは人生100年時代にふさわしいリカレント教育の充実を図るためということで、令和2年度から実施しているものです。こちらの中ほどに3つ書いていますが、例えば①分野横断型のリカレント教育プログラムは、下のほうに例示していますけれども、専門学校の分野は8つありまして、そのうちの2つ、例えば美容と介護を融合させたような分野横断型のプログラムですが、こういうものを展開しています。
 続きまして、次のページをお願いいたします。専修学校による地域産業中核的人材養成事業です。専門学校の教育については、地域の多様な産業分野で実践的に活躍できる人材を育成することを特徴としております。社会情勢やニーズを先取りした教育内容を提供することが重要です。本事業では、中ほどにありますとおり、プログラムの開発を3種類行っていますが、特に来年度については、産業界においても今話題にも出ておりますDX、デジタルトランスフォーメーションに対応した人材を養成するための教育カリキュラム開発について、特にこの数理やデータサイエンス、AIの基礎的な素養が身に付けられるようなものも含めて開発していくことを目標にしています。
 次のページをお願いいたします。キャリア形成促進プログラム認定制度です。文部科学省では平成30年度より、社会人の学び直しの推進を目指して、職業に必要な実践的かつ専門的な能力を育成することを目的とした専門学校における2年未満のプログラムを、キャリア形成促進プログラムとして認定しております。このプログラムは令和3年3月現在で18講座ございます。このプログラムに認定された課程のうち、一定の要件を満たすものについては厚生労働大臣に指定いただくことにより、教育訓練給付金の支給対象ともなっているところです。私からの説明は以上です。
○藤村博之教授 どうもありがとうございました。次に、農林水産省からお願いいたします。
○農林水産省平山経営局就農・女性課長 農林水産省の就農・女性課長の平山でございます。よろしくお願いいたします。資料6に基づいて説明させていただきます。資料6の2ページを御覧ください。新規就農者をめぐる状況として、今の現状を簡単に御紹介しております。まず、5年間で、その基幹的農業従事者、これは定義としましては15歳以上の方で、普段仕事として農業をされている方というように御理解いただければと思います。それがこの5年間で23%減っていると。平成27年は176万人だったものが、令和2年には136万人まで減っています。同時に49歳以下、若手の新規就農者も減少傾向で、特に親元の就農者が減っているということです。
 下の棒グラフですが、新規就農者を3つに分類しております。一番上の緑の方は新規参入者で、親御さんが農家とは関係なく、新たに一から農業をされる方。それから、真ん中のオレンジは新規雇用就農者で、いわゆる農業法人などに勤められる方です。一番下の青は、下に新規自営農業就農者と書いていますが、いわゆる親元、親御さんが農家でおられて、そこに戻って就農される方です。ここが一貫して減っており、全体の新規就農者が減っているという状況であります。
 やはり農業従事者を増やすためにも、この新規就農者を確保することが必要だということです。3ページを御覧ください。これは来年度の予算で、今、国会で審議中ですが、こういった状況を踏まえまして、新規就農者の育成のための総合対策というものを組んでおります。中にいろいろメニューがありまして、下の所の事業の内容ですが、大きく1~3までございます。1が経営発展への支援で、初期投資のための機械や施設の導入の支援。2が、研修を受けられる方、これから経営を始める方、それから農業法人に勤める方などいろいろなタイプがありますので、これらの方に資金を助成するというのが2です。3はサポート体制の充実・人材の呼込みへの支援です。このうちの②が農業教育で、農業大学校や農業高校などにおける農業教育の高度化を支援するということです。
 これについては概要を資料として添付してあります。4ページが先ほどの総合対策のうち、農業教育の高度化事業についての説明資料です。左側が概要で、大きく分けて全国段階と地域段階のそれぞれの取組があります。全国段階はオールジャパン、全国共通のものについて、例えば、スマート農業など進歩していますけれども、それに関するオンライン講座の提供とか、新しい農業、スマート農業などについて、指導者の方も十分な知識がないところですので、指導者向けの研修。それから学生間の交流などといったことについてのオンライン研修を、全国共通のメニューとして支援しております。
 2についてですが、農業は各地域で様々な取組がありますので、都道府県ごとに、どういう農業教育をしていくかを示した農業教育高度化プランというのをお作りいただいて、それに従って各地にある農業大学校や農業高校などの農業教育機関における高度化を充実するための取組を支援することとしています。事業メニューが下にありますが、これはメニューですので、この中からそれぞれの各地においてやりたいことがあれば組み合わせてやっていただくということです。例えば、教育のカリキュラムの強化、海外での農業研修するということ、リカレント教育の充実。そういったソフト的なものでは足りませんので、研修用の機械、施設の導入。特に最近はLAN環境で、例えば建物、校舎にはLAN環境はあるのですが、圃場にはないということがありますので、LAN環境の整備など、いろいろなメニューを用意して各都道府県の皆様方のやりたいことに合わせて、このメニューの中から選んでやっていただくということを支援したいと思っております。簡単ですが以上でございます。
○藤村博之教授 どうもありがとうございました。続きまして、経済産業省からお願いいたします。
○経済産業省髙田経済産業政策局産業人材課課長補佐 恐れ入ります。経済産業省の髙田と申します。本来であれば課長の島津が御説明させていただくところ、参加がかなわず、私から御説明させていただきます。御容赦いただければ幸いです。お手元の資料について、資料7の1ページを御覧ください。2ページ目です。少し取組をお話する前に前提として、企業の人材投資や個人の社外学習等の国際比較の状況を説明したいと思いますが、グラフに記載されているとおり、日本においてはOJT以外の人材投資の国際比較において、諸外国と比較しても非常に低い状況であり、低下傾向にもあります。一方で、社外学習や自己啓発を行っていない個人の割合も半数近くとなっており、諸外国と比較しても低い状況にあります。
 そうした中で、企業における教育訓練の実態ですが、企業が高等教育機関で就学を認めない理由として、例えばそれが本業に支障を来す、あるいは教育内容が実践的ではなく現在の業務にいかせないといった意見が挙がってきているところです。個人の側に対して、自己啓発、勉強に対するサポートの状況ですが、内閣府の調査によれば、4割強の企業が、自己啓発を行ったとしても、それが処遇に反映されることは十分にはなされていないという結果となっています。また、自己啓発をそもそも支援するような制度がない企業、若しくは、あっても活用されていないような企業が半数近くとなっている状況であるということでした。
 そうした中で、経済産業省の取組を御説明できればと思います。5ページ以降ですが、先ほども佐久間委員はじめ多数の委員の方々から、DX人材なるものをきちんと定義をするべき、あるいは、技術だけ、デジタルだけを分かったところでDX人材というわけではないのではないかという意見がありましたが、正におっしゃるとおりだと思っています。これは厚生労働省さんの御回答の中でも触れていただきましたが、ベンダー側のいわゆるSIerや、SEさんなどプログラマーだけがDX人材ではなく、ユーザー企業側で業務をちゃんと理解して、その上で、業務プロセス等をデジタルに置き換えていくような人材も必要になってくると考えています。経済産業省としては、従前よりITスキル標準(ITSS)を整備しているところなのですが、今般、改めてDX推進人材のスキル標準として、まずは一般のビジネスパーソンにおいて、リテラシーとして是非身に付けていただきたい部分について、新しいスキル標準を策定する取組というものを本年度から開始をしているところです。
 1枚おめくりいただいて、こちらは幅広い皆様方を対象に、正にコロナの関係でなかなか外に出ることができなくなって、家で過ごす時間が増えたという状況がありますので、巣ごもりDXステップ講座情報ナビと称しまして、民間企業等からコンテンツを御提供いただき、自学自習ができるようにということは経産省の中でも進めているところです。参考までにどういった講座があるかというところなのですが、IPAからお役立ちコンテンツが出ていたり、Googleからはデジタルマーケティングの話が出ています。あるいはディープラーニングの基礎講座、AIビジネスの入門講座などが提供されているという状況です。
 資料7の8ページを御覧ください。経済産業省においてはリスキル講座、第四次産業革命スキル習得講座認定制度を設けています。こちらは正にIT・データを中心としたいわゆる第四次産業革命に資するような講座について、社会人が高度な専門性を身に付けてキャリアアップを図るような専門・実践的な教育訓練講座を経済産業省が認定をする制度としてあり、昨年12月1日時点で116講座が認定されています。リスキル講座の認定を経産大臣でしまして、その上で厚労大臣に教育訓練給付金に関して御指定を頂きますと、最大で受講料が50%プラス20%で7割減になる。労使の方々にとっては非常に大きなインセンティブになるものと理解していまして、こちらを引き続き進めていきたいと考えています。
 9ページ目は、認定講座の事例です。ディープラーニングやサイバーセキュリティ、AIエンジニアなど、要件としてはITSSでレベル4相当ということで専門家向けのコースとなっているのですが、少し専門的な内容の講座が認定されているところです。
 先ほどデジダル人材育成の話を少しさせていただいたのですが、今後のお話として令和3年度補正、令和4年度補正において、デジタル人材を育成するためのプラットフォームを経済産業省で構築していくことを検討しています。DX人材の育成に当たっては実践・PBL等が非常に重要であると考えています。このプラットフォームの中では、デジタルスキルの可視化に向けた環境整備やオンライン教育コンテンツの整備、それからオンライン教育コンテンツを整備した上で、擬似的な体験学習を実施して、最後に実際の企業からの課題解決をこの中で実施するというような形を通じて、デジタル人材の育成というものを実現していきたいと考えています。
 次に、シリコンアイランド九州の復活に向けた半導体人材育成の取組として記載しているところです。過日、報道がありましたとおり、半導体受託製造最大手の台湾のTSMCですが、熊本県に子会社を設置しまして、半導体工場を整備するということとされています。他方、半導体人材が現地で必要となるということで、約1,500人の先端技術に通じた人材の雇用が見込めるような中で、こういった人材をどのように育てていくのかということが非常に大きなテーマになっています。こういった分野では、教育機関と産業界の接続をちゃんと考えて、産業界で必要とする人材を教育機関で育成をするということが極めて重要になると思っており、人材ニーズを産業界で整理をして、その上で九州の8高等専門学校で半導体関係のエンジニアやプログラマーを育てるようなカリキュラムを整備していこうとしています。そのためのカリキュラム策定協議会を、来年度を目途に立上げを検討しています。また、熊本大学においては、半導体教育・研究センターを立ち上げる予定で、こちらにおいても企業ニーズと大学のニーズをつなげるようなコーディネート研究人材等を招聘して、分野の研究を推進していく予定です。こうした形で人材育成コンソーシアムを組成し、産業界のニーズを踏まえた教育機関における人材育成という事例を熊本においては行っていく予定であり、これがうまくいったら横展開を進めていきたいと経産省としては考えています。
 もう1枚おめくりいただいて、高等教育機関における共同講座創造支援事業です。こちらも産業界の求める人材というものを、教育機関の中でちゃんと育てていこうということが目的ですが、冒頭のスライドにあったとおり、言ってみれば企業の人材投資の額というものがやや低下傾向にあることを考え、また、いわゆる日本型雇用システムの中では、白紙の人材で新卒の学生さんを採用して企業の中で育てていくということが従前からの在り方だったと考えています。他方で、デジタル人材に代表されるように、なかなか求められる人材の専門性も高くなってきて、ある意味で人材の内製化というのが一般的には難しくなる側面もある中、大学や高等専門学校等の高等教育機関と一緒に人材を育てていこうという趣旨で、大学等で共同講座、共同研究講座を開催して、そこで自社の人間や大学の学生などに受講していただいて、そうした形で自社が求めるような人材を育てていくことができないかということを考えています。こうした補助事業を令和3年度補正において措置をしたところです。実際には東京大学とダイキン工業さんの事例ですが、右側に記載させていただいた産学連携協定を結んで、それから研究開発ラボを設置して、寄附講座、共同講座を作っていくことが始まっており、そういったような取組を是非誘発していければと考えています。
 資料7の13ページを御覧ください。人材版伊藤レポートの公表ということがあります。従前、企業の経営戦略と人材育成が必ずしも連動しないという問題があったとも聞いておりますが、経営環境の変化に対応した人材政策を構築すべきであるという観点から、中長期的な企業価値を向上するような観点でも「人材版伊藤レポート」を検討会の報告書として公表しているところです。こちらにおいては、人材戦略に求められる3つの視点、それから5つの共通要素、それはこちらの中に記載している動的な人材ポートフォリオや、リスキル・学び直し、エンゲージメント、時間や場所にとらわれない働き方など、そういったような要素を提唱、整理をしているものです。こちらについては、本年度においてはその後継となるような検討会を立ち上げていまして、昨年7月から人的資本経営の実現に向けた新たな検討会を開始しています。
 最後になりますが、経済産業省においては、昨年12月に大臣の私的な検討会として未来人材会議を立ち上げたところです。関係省庁さんとの関係では、厚生労働省さんにおいては小林人材統括官にオブザーバーでお越しいただき、文科省さんにおいても高等局長にオブザーバーとして御参加いただいているところです。問題意識としては要するにデジタルである、グリーンである、加速度的な進展であるなど、世界的な潮流が従前の産業構造を大きく変えている中で、これからグローバル企業と戦う日本企業として必要な具体的な人材スキルや能力というものを、ちゃんと彼らは把握し、こういった人材の育成に関して、国一体で行うことができているのかということが大きな問題意識としてあります。そうした中で、2030年、2050年の未来を見据えて産学官が目指すべき人材育成の大きな絵姿について、是非検討していきたいと考えており、幅広い政策課題に関する検討等をこの場において実施したいと考えています。委員としては6名で、座長に東京大学院経済学研究科教授の柳川範之先生にお越しいただいて、産業の観点では日立製作所の東原会長、それからディー・エヌ・エーの南場会長といった方々にお越しいただいています。教育の関係として広尾学園中・高等学校という、最近、医進・サイエンスコースという非常に面白い取組をされている所のキーマンである木村先生といった方々に御参加いただいて、昨年12月から検討しているところです。
 最後のスライドですが、こうした中で未来人材会議における検討のアウトプットとして、未来人材ビジョンといったものを検討しています。デジタル、グリーンといった成長分野の市場規模から2030年、2050年の労働需給や雇用創出効果を推計して、未来において求められるようなスキルと課題を明らかにし、目指すべき姿として公表していきたいと考えています。経済産業省からは以上です。ありがとうございます。
○藤村博之教授 どうもありがとうございました。ただいま説明がありました点について、皆さんから御意見、御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。関口さん、どうぞ。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 ありがとうございます。農林水産省の方にお尋ねしたいのですが、資料6-4の農業教育の高度化という所で、農業大学校等に触れておられるわけですが、農業大学校はかなり専門学校という法人格でやっていらっしゃるところもあります。専門学校は学習成果の高度化ということで、学習成果の達成に向けたPDCAをいかに効率的に回すかという意味での職業教育のマネジメントということでの取組や研究が進んでいるところですが、そういう専門学校の団体や活動の中では、専門学校の8分野の中の第2分野が農業分野になっているにもかかわらず、ほとんど連携がなされていない。バイオテクノロジー系が第2分野の専門学校でほとんどで、農業系は関わりが薄いということなので、この辺の関係性も少しあってもよろしいのではないかということが1つと、それから静岡県の農業大学校は、3年ほど前に立ち上がりましたいわゆる専門職大学、これに静岡の農業大学校はなっていますが、こういう実践的な職業教育を行うということでの専門学校における職業実践専門課程や、その大学版としての専門職大学についての農業大学校としての連携や関わりは、何かお考えがありますか。それを聞きたいと思います。
○藤村博之教授 では、農林水産省平山さん、お願いいたします。
○農林水産省平山経営局就農・女性課長 どうもありがとうございます。2点ありました。1つは農業大学校、中には専門学校に位置付けられているところがありますが、いわゆる連携という意味では、どうしてもそういうところが薄いなと私も着任してから感じています。農大の協会がありますので、そことも少しずつ話をし、成果はこれから出していければと思っています。
 また、お話がありました静岡は専門職大学になったということですが、各地で今、農業大学校が専門職大学になるという検討を進めている所もあるようですが、いろいろお話を聞いていますと、専門職大学になるため、先に進むところがうまくいっていないということもあります。どういうところに課題があるか、どういうところの課題を解消すれば先に進むのかということがありますので、その辺りもいろいろお話をしながら進められるように考えていきたいと思っています。また引き続きいろいろ御指導など頂きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○藤村博之教授 はい、関口さん、よろしいですか。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 はい、またこれを機会によろしくお願いいたします。
○藤村博之教授 分かりました。では、続いて、堀さん、よろしくお願いします。
○堀有喜衣人材育成部門副統括研究員(独立行政法人労働政策研究・研修機構) よろしくお願いいたします。厚労省に資料4についてお尋ねします。地域訓練協議会についての意見の資料がありますが、1ページの一番下に「訓練終了後、地元企業への就職であるのか、訓練受講が就職に役立ったのかなど、追跡調査を行う必要がある。」という御意見がピックアップしてあります。この地域訓練協議会が拡大され充実されるということで、データの蓄積が進んでいくと考えてよろしいのか、教えていただけないでしょうか。以上です。
○藤村博之教授 では、どうぞ。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 今の御質問ですが、地域訓練協議会を見直して新しいものを作るということで、また後ほど御説明しますが、1つ大きなところは、実際に就職された方や就職した方を採用した企業などからヒアリングをさせていただいて、正にここにあります追跡調査などをさせていただくということが、今回の見直しの大きな1点となっています。それを全国でやりますので、そういったものは中央のほうに報告をしてもらいまして、もしできましたら中央協議会でも例えばとりまとめての報告など、そういったことを考えています。
○藤村博之教授 堀さん、よろしいですか。では、続きまして、北村さん、どうぞ。
○北村俊幸副会長 JADの北村です。今の資料4の下段の2つ目の所ですが、前回、出席させていただいたときも、いろいろな訓練コースについては、短期間や短時間というところは本当にやる側にとっても、そして受ける側にとっても稼働率を上げるなど、いい方法だということで、これからも継続していただきたいとお願い申し上げました。さらに、このニーズに応じて、融通を利かせてほしいという文言に対して、今日の御報告の中にもありましたが、既にeラーニングであったり、オンラインという会議の所もありますが、それをさらにミックスしながら様々な形態や実態に応じて、ハイブリッドなその人に合わせていろいろな形で来ることもできるし、それからオンラインでもできるし、Web会議もできるというような形のものと、もう一方ではいろいろな訓練を開くときの教室の稼動率と言いますか、最低人員などそういったところを、もう少し県単位でも結構ですし、また移動時間など、そのところはオンラインでできれば負荷は掛かりませんので、横に連携しながら、同じ項目であれば事業者が違っても連携してできるなど、地域の訓練会議の中でも地域のニーズをどう反映するか御議論いただいて進んでいければと思っています。そのような形で是非、御検討いただければと思います。以上です。
○藤村博之教授 では平川さん、どうぞ。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 御指摘いただいたとおりで、要件緩和やオンラインは、きっかけはコロナということで始めたところですが、実際にコロナ以外でいろいろ受けづらい事情の方がたくさんおられたということで、こういった要件緩和で受けられるようになってきたということがありますので、是非、今後もニーズなどを協議会の場でも把握をして捉えた上で、必要な要件などについて引き続き随時検討していきたいと思います。
○藤村博之教授 分かりました、ありがとうございます。では京都府、河島さん、どうぞ。
○河島幸一企画調整理事兼副部長 河島です。すみません、少し勉強不足のところもありまして、文科省さんの資料5-3、リカレント教育の所です。実は京都府においても昨年8月にいわゆる40~50代の方のセカンドライフを考えていくという形の京都府生涯現役クリエイティブセンターというものを立ち上げ、リカレント教育の取組を開始させていただいたところです。今現在は、御承知のとおり京都府内に多くの大学、それから企業群があります。こういった大学、あるいはその企業の方々と一緒になって、プログラムの構築やリカレント教育の提供、さらには単に学ぶだけではなくて、その後、例えばリスキリングにつなげていく、場合によっては転職していく、あるいは地域貢献、様々な出口が、そこまで一貫支援をしていこうという取組をさせていただいているところです。今般、文科省さんのこの御説明を聞かせていただいている中で、事業イメージといったところに正に我々が今、取り組み始めた部分のスキーム図的なものが挙がっていて、そこに自治体の労働局がプロットされています。正直なところ、恥ずかしながら、今の我々の取組では地元の労働局さんとは特に連携がまだできていない、これからというところなのですが、この辺の各府県における今後の展開についてのお考えなり、計画がありましたら御教示いただければ幸いです。以上です。
○藤村博之教授 では文部科学省、船木さん、お願いいたします。
○文部科学省船木総合教育政策局生涯学習推進課専修学校教育振興室専門官 ありがとうございます。こちらのDX部分の事業についての御質問かと理解していますが、御指摘のとおり、こちらについては大学が作る講座に対して支援をしていく、それに対して労働局さんの御支援も頂くということがメインスキームです。今頂いたように各都道府県さんが進めていただくことに対して、どういう形で御支援できるかというところは、私どもは専門学校の担当でありますが、同じ課の中にリカレント教育の担当がおりますので、今頂いた御意見をお伝えしながら、どういう御支援ができるかというところは、また共有していきたいと思います。以上です。
○河島幸一企画調整理事兼副部長 よろしくお願いいたします。
○藤村博之教授 どうもありがとうございます。では日本商工会議所、杉崎さん、どうぞ。
○杉崎友則産業政策第二部担当部長 ありがとうございます。資料4、ニーズを踏まえた訓練設定についてという記載がありますが、非常に重要なことだと思います。訓練の内容や開催する時間、また訓練の受講環境など、多岐にわたることについて是非PDCAを回していただきたいと思っています。そのために公共職業訓練、求職者支援訓練の受講者に対して、例えば全国統一的なアンケートを実施するなど、企業側に対して訓練に対する期待や課題に関するアンケートを実施するということが重要だと思います。また地域訓練協議会でもいろいろな意見が出されているということが、この資料4から読み取れます。地域訓練協議会で出された意見は是非、訓練の運営に反映していくことが重要だと思いますので、PDCAを回していくという点において、是非、注力していただきたいと思います。以上です。
○藤村博之教授 平川さん、いかがでしょうか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 先ほどもヒアリングをするということで申し上げましたが、まずはそういったところで全国で直接お話を伺って、いろいろ蓄積をして、当然、聞き放しではなくて、聞いたものを踏まえて見直しもして、その結果なども中央で集約したいと思っています。全国のアンケートについても、そういった中で必要に応じて検討していきたいと思います。以上です。
○藤村博之教授 はい、そのほか御質問などはありませんか。よろしいですか。平川さん、令和5年度ハロートレーニングの実施規模について、これはどうしますか。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 今日、お話を伺いましたし、各省庁様からも意見を伺いましたので、そういったものも踏まえまして、5年度の在り方、要求内容などを考えていきたいと思います。
○藤村博之教授 分かりました。では、引き続きまして、5つ目の議題、その他にいきたいと思います。令和4年度以降の協議会の在り方を見直すことを予定しているとのことですので、事務局から説明をお願いいたします。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 それでは、資料8を御覧ください。昨年12月に労働政策審議会の人材開発分科会において、今後の人材開発施策についての報告書、建議がまとめられております。この報告書の概要が資料8の図になっておりますが、まず、背景としてDXの加速化などの環境変化の中で、精度の高い職業訓練の実施が求められております。そういった中で、ニーズを踏まえた訓練コースの設定、訓練カリキュラムの検討のために、地域の関係者が協働できる場が必要であることが報告の中で述べられております。この図の左下の四角の部分がその該当部分で、労使、教育訓練機関、行政機関、民間の職業紹介機関等の関係者が参加する協議の場の設置が打ち出されております。
 協議の場での検討内容として、ここに3つのポツで書いてありますけれども、まず、地域の人材ニーズに係る共通認識と、それに適した訓練コースの設定ということで、具体的に申し上げますと、構成員の皆様から地域の人材ニーズについて、それぞれ把握して共有をいたします。現行、その地域で行っております訓練コースなども見える化して、そのニーズ等とのミスマッチの状況なども把握して、ニーズに即した即訓練コースの設定につなげていこうということです。
 2番目のポツで、訓練受講者等の個別の状況を踏まえた検証、見直しということで、先ほど御説明申し上げましたが、訓練を修了して就職された方や、訓練修了者を採用した企業からヒアリングなどを行って、訓練コースの効果・検証を行って、具体的なカリキュラムの改善や開発につなげていこうということです。
 3ポツ目で、訓練受講者に対するキャリアコンサルティングの促進や就職促進ということで、訓練実施機関でキャリアコンサルティングや就職支援をやっていただいておりますが、そういった状況も把握して共有していくことによって、促進していこうということです。
 現行、地域訓練協議会は全国の都道府県労働局で行っておりますけれども、こちらは法律には特段記載はありませんで、運用で開催しております。一方、この新しい協議の場については、法定化を目指しておりまして、現在通常国会に雇用保険法等の一部を改正する法律案が提出されておりますけれども、その中で職業能力開発促進法を改正し、この新しい協議会について法定化をしようと考えております。
 それから、中央訓練協議会ですが、今回法定化の対象にはなっておりませんが、先ほど申し上げたとおり、地域協議会でいろいろ把握したり見直ししたり等をいたしますので、それと連動する形で見直しをやっていきたいと思っております。説明は以上です。
○藤村博之教授 どうもありがとうございました。ただいまの件について、御意見、御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。関口委員どうぞ。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 ありがとうございます。この左下の最初のポツでキャリコンの話があります。そして、右側にガイドラインの策定とあるのですが、ジョブ・カードについては、こういう大きな検討の中では余り議論されていないようですが、位置付けについて何か今後の変更とか見通しとかというのはあるのでしょうか。ちょっとお分かりの範囲で教えていただきたいなと思います。
○藤村教授 はい、どうぞ。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 ジョブ・カードについては、今回の報告の中では特段それほど触れているところではありませんが、キャリアコンサルティングの重要なツールですので、引き続き活用を進めていくことかと思っております。キャリアコンサルティングを進めていく中で必要な見直しがあれば、またやっていくことかと思いますが、今のところの報告書の段階では特段はございません。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 これは特に委員会の再開とか、ジョブ・カードについての協議をする場というのが今後開かれるとか、そういう予定は特にないということでしょうかね。
○平川人材開発統括官付訓練企画室長 ちょっとその会議の辺りは直接担当しておりませんもので。
○関口正雄常任理事総務委員会委員長 はい、分かりましたら教えてください。
○藤村博之教授 ありがとうございます。では、北村さんどうぞ。
○北村俊幸副会長 ありがとうございます。北村でございます。今のお話もありましたキャリアコンサルティングの促進ということで、当然ながら、訓練の受講前・受講後とか、それから各企業の中でもというような形で益々幅を広げてということですが、そこら辺は明確に配置であったり機会が多くなると、1人の方をずっと追いかけていけるとか、それが当然今のジョブ・カードにみたいなものに反映されるとか、そんな仕組みも含めてこの会議体の中で設定していただければと思っていますし、また私ども当協会の中でもそれを促進する団体もございますので、どんどん進めていきたいと思っている次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。以上でございます。
○藤村博之教授 事務局から何かございますか。
○平川人材統括官付訓練企画室長 はい、キャリコンについては、求職をするところから、訓練を受けて、その後までということで、一貫した支援が必要かと思いますので、その辺りの体制の在り方については、今後引き続き検討をして、改善を図っていきたいと思っております。
○藤村博之教授 ありがとうございました。そのほかございますでしょうか。あるいは、ここまで出ていない点について何か御意見、御質問があればお願いしたいと思います。いかがですか。よろしいですかね。本当にたくさんの御意見を頂きまして、ありがとうございました。事務局として用意をいたしました議題は、以上でございます。全体を通じて何か追加で御質問、御意見があれば、お受けをしたいと思います。いかがでしょう。よろしいですかね。
 それでは、本日の中央訓練協議会はこれをもって終了をしたいと思います。次回の開催については、9月頃を予定をしておりますが、別途事務局から御連絡をさせていただきます。本日はどうもお忙しい中、御出席いただきまして、ありがとうございました。