第23回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会 議事概要

審議開始日

令和4年3月22日(火)

議決日

令和4年3月22日(火)
(持ち回り審議による)

議題

  1. (1)じん肺部会長の選任について
  2. (2)令和2年度じん肺健康管理実施状況について(報告)
  3. (3)ずい道等建設労働者健康情報管理システムについて(報告)
  4. (4)じん肺総合対策普及啓発事業について(報告)
  5. (5)じん肺ハンドブックの改訂に向けた検討状況について(報告)

議事概要

第23回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会は、持ち回り審議により開催されました。
同部会では、城内委員がじん肺部会長として選任されました。
また、城内部会長の指名により、山口委員が部会長代理に就任しました。
 
なお、各議題について委員から提出された御質問・御意見(○)と、御質問に対する事務局の回答・見解(●)は以下のとおりです。
 
(2)令和2年度じん肺健康管理実施状況について(報告)関係
〇 粉じん作業に従事する労働者数のうち、実際にじん肺健康診断を受けている労働者数が半数程度とのことだが、粉じん作業に従事する労働者の健康診断は適切に行われているのか。周知や実態把握含め、従事している方が確実に受診できるようしっかり行っていただきたい。
● 常時粉じん作業に従事する労働者のうち、じん肺管理区分が2以上でない方については、事業者がじん肺健康診断を実施する頻度が3年に1回以上となっており、これが原因の一つと考えられます。いずれにしても、粉じん作業に従事する労働者への健康診断の実施を含めて、第9次粉じん障害防止総合対策等をもとに、引き続き必要な周知・指導を行ってまいります。
〇 令和元年までは適用事業場数が増加し、健康診断実施事業場数も、実施労働者数も増加しているが、令和2年はこれまでの傾向とは違った数値となっている。これは、新型コロナウイルス感染症の流行の影響によるものか。
● 令和2年の各項目の数値が令和元年に比べ減少している原因については、御指摘のとおり、令和2年春頃から新型コロナウイルス感染症が流行し、社会経済活動へも影響があったことも一因と考えられますが、現時点で不明な点が多い所、引き続き数値の推移を注視してまいります。
 
(3)ずい道等建設労働者健康情報管理システムについて(報告)関係
〇 ずい道等建設労働者健康情報管理システムの登録状況について、工事現場が概ね300か所で、登録されたずい道事業場数が387件、労働者数が1,497人とあるが、これは全体のうちどの程度にあたるのか。
〇 労働者健康情報管理システムは、まだ新しい仕組みだと思うが、事業所を転々とする労働者の利益となるものであるため、今後も順調に登録者が増えることを願う。
● 管理システムの登録は、粉じん作業のうちトンネル工事業に係る労災保険適用事業場で粉じん作業に従事する労働者を対象としていますが、全ての対象事業場・全ての対象労働者の登録を目指しています。
現時点で対象となる事業場は約300件であり、登録開始後3年間のうちに延べ387件が管理システムに登録されましたが、これは対象事業場の約8~9割となっています。一方、当該粉じん作業への従事労働者数は3,000人以上と考えられ、現在登録されている方は1,497人と半数程度です。今後とも、所轄労働基準監督署から管理システム登録を勧奨する等により、引き続き周知を図ってまいります。
 
(4)じん肺総合対策普及啓発事業について(報告)関係
〇 令和4年度末で、第9次粉じん障害防止総合対策が終了することから、今後、第10次に向けての検討も開始されることとなる。新たな総合対策に向け、特に改訂の方向性については、策定前の早い段階から部会で検討していただきたい。
● 次期粉じん障害防止総合対策については、御意見を踏まえ、本部会からも御意見をいただきながら、策定を行ってまいりたいと考えております。
 
(5)じん肺ハンドブックの改訂に向けた検討状況について(報告)関係
〇 じん肺ハンドブック改訂の委託研究者等班の選考基準について教えていただきたい。研究班の選考に当たっては、従前の取扱いを踏まえて、公正に判断し改定ができる研究者が選考されるよう、配慮をお願いしたい。
● 厚生労働省では、労災疾病臨床研究が必要とされるテーマを設定し、テーマに沿った研究課題を広く募集しており、研究者から応募された研究課題については、外部有識者で構成される評価委員会における議論を踏まえて、採否を決定しており、引き続き、公正な補助対象の決定に努めてまいります。
 
(6)その他の御意見
〇 3月23日(水)第146回安全衛生分科会にて、「職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会」報告書を踏まえた「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱等」が諮問されるが、同案には粉じん障害防止規則(以下「粉じん則」という。)の改正が含まれる。粉じん則の改正に当たっては、じん肺に関して専門的知見を有するじん肺部会に対し、事前に意見を聞くべきである。また、こうした制度改正に関する情報は、現場で働く者には、いち早く伝わってこないことが多い。
このため、今後は、粉じん則に係る諮問・報告事項は、施行前後の情報を含めて都度ごとに部会に報告するとともに、具体的な検討が必要な場合には、あらためて部会を開催し、議論されたい。
● 御指摘の諮問事項については、改正内容が粉じん則にとどまらず広く化学物質等の管理のあり方に関わるものであること、じん肺部会の委員のうち、複数の方が安全衛生分科会の委員を兼任されており、御議論の場に出席されること等を総合的に勘案し、当分科会において御議論いただく形にいたしました。
御承知のとおり、じん肺部会はじん肺に関する予防、健康管理その他の重要事項について調査及び審議を行うために設置されております。今後も引き続き、今回頂いた御意見を踏まえつつ、改正の内容等を勘案し、適切に対応してまいります。