2022年2月22日 令和3年度第3回医薬品の成分本質に関するワーキンググループ議事概要

医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課

日時

令和4年2月22日(火)14時00分~17時00分

場所

厚生労働省 仮設第1会議室(仮設会議室棟1階)

出席者

○構成員(敬称略・五十音順)
 伊藤 美千穂 (京都大学大学院薬学研究科准教授)
 内山 奈穂子 (国立医薬品食品衛生研究所生薬部第2室室長)
 梅垣 敬三 (昭和女子大学食健康科学部食安全マネジメント学科教授)
 小川 久美子 (国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター病理部長)
 小関 良宏 (東京農工大学大学院工学研究院教授)
 合田 幸広 (国立医薬品食品衛生研究所所長)
 関野 祐子 (東京大学大学院薬学系研究科ヒト細胞創薬学寄付講座特任教授)
 西川 秋佳 (国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター病理部客員研究員)
 袴塚 高志 (国立医薬品食品衛生研究所生薬部長)


○監視指導・麻薬対策課
 佐藤 大作(監視指導・麻薬対策課長)
 荻原 和宏(監視指導室長)
 山本 剛(課長補佐)
 三宅 晴子(危害情報管理専門官)
 小林 奉文(薬事監視第一係長)
 福永 雅樹(薬事監視第一係員)


 

議題

(1)新規成分本質(原材料)の審議について
(2)その他
 

議事

 
昭和46年6月1日付け薬発第476号厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」の別紙「医薬品の範囲に関する基準」の別添1の「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いについて」(以下、「判断基準」という。(注))に基づき審議した。
 
(1)新規成分本質(原材料)の審議について
○コイケマ(塊根)
 国内外で医薬品としての使用実態はなく、食経験が韓国において十分であり、また、海外でサプリメントとして販売されているが、特段の健康被害情報は報告されておらず、毒性も低いことから、「医薬品的効能効果を標榜しない限り専ら医薬品と判断しない成分本質」とすることが妥当とされた。

○D-β-ヒドロキシ酪酸
 国内外で医薬品としての使用実態はなく、食経験は牛乳やレバーなどに一定量含まれており、国外ではサプリメントとして流通しているが、特段の健康被害情報は報告されておらず、毒性も低いことから、「医薬品的効能効果を標榜しない限り専ら医薬品と判断しない成分本質」とすることが妥当とされた。また、他名等には(R)-3-Hydroxybutanoic acidと記載することが適切とされた。

○ヒドロキシカルボデナフィル
 国内外で医薬品として承認されている勃起不全改善薬シルデナフィルと類似の化学構造を持ち、シルデナフィルと同様にPDE5 阻害活性を有することから「専ら医薬品として使用される成分本質」とすることが妥当された。
 
(2)その他
○ハクトウスギ(樹皮・葉・心材)
 イチイ科Pseudotaxus 属のPseudotaxus chienii であり、イチイ科イチイ属のウンナンコウトウスギ(Taxus yunnanensis)とは属の異なる別の植物であるため、部位毎の区分は現行のまま(樹皮・葉は「専ら医薬品として使用される成分本質」、心材は「医薬品的効能効果を標榜しない限り専ら医薬品と判断しない成分本質」)、ハクトウスギはウンナンコウトウスギと別品目として食薬区分リストに収載することが妥当された。また他名等にPseudotaxus chienii と記載することが適切とされた。

○コウトウスギ(ウンナンコウトウスギ)(樹皮・葉・心材)
 国内外で食経験もなく、含有成分であるpaclitaxel は医薬品として使用されている化合物であり、極めて強い毒性を有するため、樹皮・葉・心材を「専ら医薬品として使用される成分本質」とすることが妥当された。また、コウトウスギ(Taxus wallichiana)とウンナンコウトウスギ(Taxus yunnanensis)はSynonym とすることが主流であること、コウトウスギは伝統医学あるいは現代の天然物医薬品として汎用されており、分類学上はコウトウスギの学名のほうがより受け入れられているため、コウトウスギとウンナンコウトウスギは同一品目として食薬区分リストに収載し、名称にコウトウスギ、他名等にウンナンコウトウスギ/Taxus wallichiana/Taxus yunnanensis と記載することが適切とされた。


(注)「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」の考え方
(1)専ら医薬品としての使用実態のある物
解熱鎮痛消炎剤、ホルモン、抗生物質、消化酵素等専ら医薬品として使用される物
 
(2)(1)以外の動植物由来物(抽出物を含む。)、化学的合成品等であって、次のいずれかに該当する物。ただし、一般に食品として飲食に供されている物を除く。
➀毒性の強いアルカロイド、毒性タンパク等、その他毒劇薬指定成分に相当する成分を含む物(ただし、食品衛生法で規制される食品等に起因して中毒を起こす植物性自然毒、動物性自然毒等を除く)
➁麻薬、向精神薬及び覚せい剤様作用がある物(当該成分及びその構造類似物(当該成分と同様の作用が合理的に予測される物に限る)並びにこれらの原料植物)
➂処方せん医薬品に相当する成分を含む物であって、保健衛生上の観点から医薬品として規制する必要性がある物
 

照会先

厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課

03-5253-1111(内線2770)