第1回効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング・グループ議事録(2022年1月25日)

日時

令和4年1月25日(火)14:00~16:00

場所

Web会議
日比谷国際ビルコンフェレンススクエア(8階)
東京都千代田区内幸町2-2-3

議題

  1. 1.特定保健指導のモデル実施について
  2. 2.ご議論いただきたい主な論点について
  3. 3.その他

議事

議事内容
○後藤保健事業推進専門官 「第1回第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会、効率的・効果的な実施方法等に関するワーキング」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、ご多忙の折ご参加いただき、ありがとうございます。主査選任までの間、進行を務めさせていただきます、保険局医療介護連携政策課、医療費適正化対策推進室の後藤と申します。よろしくお願いいたします。
 議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方のご紹介と、事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席図の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
 なお第1回検討会時点から、構成員の交代がございました。国民健康保険中央会の内田構成員に代わりまして、三好構成員にご就任いただいております。
 本日の出欠状況ですが、鈴木構成員、古井構成員からは欠席のご連絡をいただいております。鈴木構成員の代理として、日本栄養士会常務理事、阿部様にご出席をいただいております。また本日は構成員からの推薦として、新潟大学大学院生活習慣病予防・健診医学講座特任教授の加藤参考人にご出席をいただいております。
 本日は新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただいております。
 まずはじめに、発言のしかたなどを説明させていただきます。会議中ご発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、主査の指名を受けてから、マイクのミュートを解除してご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただくよう、お願いいたします。また議題に対してご賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる異議なしの旨を確認させていただきます。
 なお本日は新型コロナウイルス感染防止対策のため、傍聴者は報道関係者のみとさせていただいておりますので、ご承知おきください。
 それではまず事務局を代表いたしまして、厚生労働省保険局医療介護連携政策課長の水谷よりご挨拶申し上げます。
○水谷医療介護連携政策課長 厚生労働省保険局医療介護連携政策課長の水谷でございます。本日はお忙しいところ、ご参加いただきまして、どうもありがとうございます。また日頃から、特定健診、特定保健指導の円滑な運営にご協力をいただいております関係者の皆様に、改めて感謝申し上げたいと思います。
 特定健診・保健指導につきましては、令和6年度から始まる第4期の実施計画策定に向けて、昨年12月に第4期特定健診・特定保健指導の見直しに関する検討会、こうした検討会を新たに立ち上げ、議論を開始したところでございます。このワーキング・グループは、この検討会の検討事項のうち、特定健診・特定保健指導の効率的、効果的な実施方法について、実務的な課題を整理して検討を進めるために設置されたものでございます。昨年12月の検討会では、個人の受診者の行動変容につながり成果が出たことを評価する方向、アウトカム評価の導入、ICTを活用した取り組みなどで検討してはどうかといった論点に基づいて議論が行われ、その実務的な課題の整理がこのワーキング・グループに委ねられている、そうした構造になるわけでございます。
 本日は、特定保健指導等の実施体制等、いわゆるストラクチャー、それから実施する特定保健指導等の内容等、いわゆるプロセス、それから特定保健指導の対象者の身体状態の改善等、いわゆるアウトカム、こうした切り口で論点を提示させていただき、ご議論をいただきたいと考えてございます。委員の皆様には活発なご議論をお願い申し上げたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○後藤保健事業推進専門官 ありがとうございました。次に資料の確認をお願いいたします。議事次第、座席表、資料1、2、3、4、5、参考資料1になります。過不足等ございましたら、マイクもしくはコメントでお申し出ください。
 それではまず、今回初回になりますので、本ワーキング・グループの主査についてお諮りをしたいと思います。資料1をご覧ください。資料1の開催要綱、2.構成の(3)におきまして、「主査は構成員の互選により選出する」とされております。皆様からご推薦がございましたら、よろしくお願いいたします。田口構成員、お願いいたします。
○田口構成員 この領域に長年貢献されております、津下構成員を推薦させていただきたいと思います。
○後藤保健事業推進専門官 ただいま津下構成員へのご推薦がございました。津下構成員に主査をお願いすることにつきまして、皆様いかがでしょうか。
 うなずいていただいたようですので、それでは津下構成員に主査をお願いしたいと思います。以下の進行を、津下先生、よろしくお願いいたします。
○津下主査 皆様こんにちは。ただいま主査に選任いただきました津下と申します。皆様のお声をしっかりと汲み上げ、そして実りのある第4期に向けて議論を進められたらいいかなと思っております。どうぞご協力のほど、よろしくお願いいたします。
 それでは開催要綱2の(4)に基づきまして、本ワーキングの主査代理を指名させていただきます。主査代理には古井構成員にお願いしたいと思いますけれども、本日はご欠席のため事務局で調整をよろしくお願いいたします。
 それでは早速議事に入っていきたいと思います。お手元の議事次第をご確認ください。議事の1としまして、「特定保健指導のモデル実施について」とございます。資料の2から4に基づきまして、ご説明いただいた後、議論の時間を持ちたいと思います。まず資料の2、「特定保健指導のモデル実施について」。事務局で資料を準備しておりますので、ご説明をお願いいたします。
○田邉医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。では資料の2、「特定保健指導のモデル実施の実施状況について」という資料をご覧ください。1ページおめくりいただきまして、第3期2018年度から実施させていただいております特定保健指導の中のモデル実施というものについて、ご説明させていただきます。
 従来の保健指導でございますけれども、180ポイントということを達成することによって保健指導が終了するということを判断していたのですけれども、モデル的に、3ヶ月後に腹囲2cm以上、かつ体重2kg以上の改善によって保健指導を終了とみなすことができる、いわゆるアウトカム評価的なものをモデル的に実施させていただいております。ポイント数には縛りがございませんので、介入の内容としては保険者様のほうで少し工夫をいただきまして、そこに書いてありますようなジムの活用だとか、アプリ等の活用等々、さまざまな工夫をしていただいて実施をしていただくというものでございます。
 次のページをおめくりいただきまして、実際の実施状況ですけれども、これまで3年分のデータについて集計したデータがこちらでございます。保険者様といたしましては、全国健康保険協会及び健保組合様で大体9割を占めておりまして、実際に括弧でモデル実施の実施人数のほうも書かせていただいておりますが、ほぼ同じような割合で実施されているという現状でございます。一方右側の表でございますが、モデル実施の保健指導を実施していただいている実施方法の内訳ですが、委託が大体8割弱というふうな数字になっております。
 次のページをおめくりいただきまして、次に対象者ですけれども、左側に対象者を選定等について書かせていただいております。まず1番目といたしましては、積極的支援対象者全員に実施していただいているパターンがございます。それからその対象者の状態、リピーターであるとか無関心層であるとか、そういう状況に応じて保険者様のほうで選定して実施していただいているパターン。それから3番目としまして、希望される対象者の方に実施をするという、この3つのパターンに大きく分かれているかと思います。
 実施する方法ですけれども、数字としては電話であるとかアプリケーションのところがやや数字が大きい傾向がありますが、まんべんなくいろいろな方法を使っていただいて、実施をしていただいているというような状況でございます。
 次に5ページ目を見ていただきまして、実際の介入例なのですけれども、さまざまな媒体を活用いただいておりまして、まず具体例としましては、スポーツクラブが運営する健康生活体験セミナー等を活用いただいて、運動を実践していただくような介入であるとか、2つ目としましては先ほどありましたアプリの活用でございまして、記録用アプリを活用して、ご自身で体重や腹囲を記録して、それを用いて保健指導等を実施していただくようなパターン。さらにそれにインセンティブとして何かを付加するというような、そういう介入方法等がございました。
 実際にこれらを実施していただいた保険者様のコメントなのですが、よい例としては、やはり体重2kg、且つ腹囲2cmといった明確な目標があるということで、対象者にとっても目標を設定するので管理ができやすかったのではないか。またリピーターの方で、保健指導の参加をお願いしても辞退を申し出られていたのですけれども、2cm2kgという明確な目標設定をお示ししたところ、参加していただいて目標を達成できたであるとか。こういうような好事例等々があります。一方で、逆に2cm2kgという明確な数字がございますので、なかなか達成が難しくなってきたりすると、どうしても脱落をしやすいような、という問題点というか課題というものがあると。また3ヶ月後に2cm2kgというものを評価しておりますので、その翌年の特定健診までは少し時間が空いてしまうということで、その後の生活習慣の定着が難しいのではないかと。この例はアプリとかを使っていないケースでしたので、そういうものについては、アプリ等を活用することで改善することができるのではないかなという印象がございました。
 次のページを見ていただきまして、実際のモデル実施者の達成状況でございます。3ヶ月後に体重2kgかつ腹囲2cm達成した割合は、全体で見ますと大体2割強となっております。残りの方々に関しては、180ポイントに移行して終わった方が約7割ということで、全体で80%以上がいわゆる保健指導は完遂したというような数字になっております。その右側のグリーンの値が、2cm2kgが達成できなくて、180ポイントに移行したけれども、やはりそれも達成できずに保健指導が完遂しなかったという方が全体で言うと2割弱というような数字になっております。
 これは全体の数字なのですが、少し保険者様ごとに細かく見たものが次のページになっておりまして、当然参加していただいているモデル実施の実施人数がバラバラですので、一概に目標達成率が高い低いということを論じるのは難しいのですが、平均すると2割から3割の方が達成をしているというような保険者様が多かったという印象でございます。ただその上の「3割から5割」あたりもそれなりに数字はございますので、対象の方の選定であるとか、介入の方法等によっては、この数字は少し動くかなと思います。
 詳細なデータについては、青いほうのところが保険者様の数です。何保険者様がいくらかということで、括弧は保健指導を実施した方の人数ですので、例えば左側で50%~60%で700人というところを見ますと、700人のうち5割ですので、350人から400人の方が2cm2kgを達成したというようなデータになっております。
 資料2については以上でございます。
○津下主査 ありがとうございました。次に資料3です。「モデル実施のプログラム例について」について、河原構成員より資料提供がございますので、ご説明をお願いいたします。
○河原構成員 河原です。それでは資料の説明をさせていただきます。
 次のページをお願いできますでしょうか。今回は、先ほどご説明のありました、委託をされた側、いわゆる保健指導のサービス事業者の事例として、7つの例をご紹介させていただこうと思っております。では1つ目からご紹介をさせていただきます。次のスライドをお願いします。
 まず例の1番目は、低糖質・低カロリー弁当の利用ということで、低糖質・低カロリーの冷凍弁当7食分を対象者の方に送付しまして、食事の実践指導につなげるというものでございます。これは獲得ポイントが110ポイント、実施人数は440名で、目標達成率、つまり3ヶ月後に2kg2cmを達成した方が40.8%となってございます。コースの流れは、初回面談をした後、お弁当をご自宅に送付しまして、その中で継続支援を行って終了ということになっております。指導の中では、低糖質ということで、糖質を制限してくださいではなく、カロリーを抑えるために、糖質が高いものはカロリーが高い傾向がありますから、そういった形で、いわゆる糖質ダイエットというような形でやっているものではございません。具体的に面談では、例えば一口の量を減らして、よくかんで食べましょうとか、副菜から食べましょうとか、味わって食べましょうとか、そういった食品の選び方、量、食べる順番、また食べる時間等々を、テーブルの上で指導をするだけではなくて実際に体を通して体験していただくということで指導しているプログラムで ございます。
 次のページをお願いします。例の2は希望に応じたグッズによるサポートということで、初回面談時に3つのグッズから1つを選んでいただいて指導に役立てるものでございます。具体的には時計型の活動量計、あるいは体重計とバランスボールのセット、それから今紹介した低糖質のお弁当の3つのコースから選んでいただいて指導を行うものでございます。これは対象者の方のご要望に合わせてた形でのサポートを実現するということで、グッズの選択肢を広げたというものでございます。
この選択の割合なのですが、希望を取ったところ、活動量計が51%、体重計が36%、低糖質のお弁当が13%となっております。これは3ヶ月後の目標達成値は55.1%ですから、過半数を超える方が2kg2cmを達成されたということになってございます。
例の3つ目をお願いします。これはインセンティブを活用したものでございまして、具体的に対象者の方の健康行動に対してポイントを付与します。体重の計測ですとか、実践状況の入力、また体重の減量状況からポイントを最大5,000ポイントまで付与するというもので、獲得したポイントは商品と交換できるというものでございます。これは110ポイントで、目標達成率が41.5%というような形になってございます。
事例の4つ目は、自分で目標設定をした後、3ヶ月後に、達成しなかった方についてヘルシー食事体験、あるいは運動支援という支援を行うものでございます。最初の3ヶ月は、アプリ等で実践の記録等をやっていただきます。これで3ヶ月後に2kg2cmが達成された方は卒業しますが、達成しなかった方については、目標を設定しコースを2つから選んでいただきます。ヘルシー弁当6日間体験コースと運動支援コースということで取り組んでいただいて、180ポイントで達成をしていただくということでございます。対象者としては、主に被扶養者を対象としておりまして、3ヶ月後の目標達成率が38.8%となっております。
次のスライドをお願いします。これは「おすすめ目標活用による行動目標の設定」ということで、初回面談前に専用アプリをインストールし、事前に生活習慣のアンケートを実施していただきまして、アンケート結果と健診結果をもとに選定した、おすすめの目標、それと将来なりたい姿等を提示して、取り組みたい項目をご自身で選択していただくものでございます。モデル実施の獲得ポイントは120から135で、目標達成率は35.4%となっております。これで特筆すべきは目標達成率が35.4%なのですが、達成した対象者に関して言えば、体重減少率が4.3%と、非常に高い数値を得ているということです。
続きまして例の6番目、次のスライドをお願いします。これはモデル実施専用ツールを使って、「わかる」「できる」「やってみた」をコンセプトにしたツールを使って減量をめざすということでございます。これを実施した事業者がかなり数多くやっておりまして、実施人数は他のコースと比較して非常に多い、8,000名となっております。特に専用のツールを使ってモデル実施に取り組んだということでございまして、目標達成率は25%ということになってございます。
次のスライドをお願いします。最後に自主的に取り組みを選択できる支援コースということで、記録用アプリで体重・腹囲・行動目標の達成状況を記録して、途中でキャンペーン期間を設けて、期間中は記録・グッズ・ゲームなどでポイントを取得して、抽選で賞品プレゼントに応募できるというものでございます。初回面談をやったときに、2つのコース、WEBで週1回記録コースと、毎日記録コースとに分けて終了するというものでございます。対象としてリピーターの方向けでやっていくというのが特徴的でございます。目標達成率については、上のコースで21.2%、毎日記録コースが73.5%ということで、達成率に関して、毎日記録コースのほうはかなり高い数値を得ているということになってございます。
報告は以上になります。
○津下主査 ありがとうございました。具体的なプログラムのモデル実施の様子をお聞かせいただきまして、皆さん、イメージができたのではないかなというふうに思います。ありがとうございました。
 それでは次に資料4、「第3期特定保健指導『モデル実施』の到達点」ということで加藤参考人より資料提供がございますので、よろしくお願いいたします。
○加藤参考人 加藤です。よろしくお願いします。第3期の特定保健指導モデルについて説明したいと思います。次のスライドをお願いします。
 この論文の目的は、新しいモデル実施の方法として、「新潟モデル」を開発できないか考えました。それに先立ちまして、どれぐらいのポイント数が最低限必要なのかを確認し、そこに新たな試みを上乗せすることが良いと考えました。最低限のポイント数とは、つまり180ポイントにほぼ匹敵するようなデータが出るポイント数となります。ここに予想図を書いていますが、0ポイント、20ポイント、100ポイント、180ポイントの4グループを作った研究ですので、大体100ポイントぐらいのところで180ポイントと同じような効果が得られて、そこにプラスα何かを加えて、新潟モデルができるという予想のもとに、まずはポイント数に指導効果を確認するために行った研究です。次のスライドお願いします。
これは前向きランダム化試験です。保健指導対象者を年齢、性別、腹囲、体重の4因子を用いて、層別法を用いて無作為化法を行いました。ここには述べておりませんが、実際には企業2つしか参加しておりませんので、企業別に層別化しており、企業による影響がないように考慮しております。
 初回面接時に、保健師よりインフォームドコンセントを行いまして、A群は0ポイントですので、初回面接をしたそのままで、3ヶ月後の評価まで何もしません。これで2cm2kgに達していなければ追加の180ポイントの追加指導があります。B群は20ポイントですので、電話を2回するだけで、効果を検討します。C群は100ポイントです。B群の指導に加えて、1ヶ月後に1回、個別の面接指導を行うものです。D群は180ポイントです。これは従来の保健指導のやり方ですので、2cm2kgに達成しても達成していなくても、それでも一応指導は終わりですので、追加の指導はありません。次のスライドをお願いします。
この研究の対象者は、トータルで231名です。割り付けを行いまして、初回面談日に迎えたわけですが、欠席者、インフォームドコンセントを取ったら拒否された方もいらっしゃいますので、同意された数は231名から202名となっております。当協会の保健師も頑張ってくれまして、途中の脱落者はいなかったので、一応3ヶ月間で2cm2kg痩せなかった場合の追加の指導まで含めて、脱落せずにすべて終わっております。翌年の健診結果も必要であるのでフォローアップしており、異動等で経過を終えなかった方がいますので、ここに書いてあるとおり翌年は94%から98%の方が、再度受けられていることになります。
 達成者の定義は2cm2kgを達成した人です。あとは体重や腹囲に0.024をかけた値、これは厚労省のモデル実施の定義と全く同じであります。次のスライドをお願いします。
 細かくて恐縮なのですが、とにかく、4グループ間に試験開始前の数値において、全く差がなかった事を強調したいと思います。過去の保健指導歴に関しては、0回というのはたった15%、最高は9回という人がいまして、この情報は研究開始前にはわからなかったため、過去の指導歴を使っての割付はできませんでした。結果的に後で調べたところ、表の赤枠で示したように全体の平均は2.9回で、A群からD群まで2.6回から3.1回で、幸い、この保健指導回数についても4グループ間に差がありませんでした。
 次のスライドが大事な結果になりますが、最初にイントロダクションでお示ししたような、ポイント数に依存して達成率が高くなるわけではなく、D群が一番低い結果でした。B群はたった20ポイント、2回電話しただけでしたが、達成率が非常に高いという結果でした。これはカイ二乗検定で、繰り返しの検定ですので、有意差は0.0083以下という非常に厳しい有意水準を求めた結果でもあります。次のスライドお願いします。
これちょっと見えづらくて申し訳ないですが、オレンジ色は達成者です。達成者はA群11人、B群18人、C群14人、D群6人で、先ほど言ったようにB群の達成率が36%で一番多かったです。翌年を見てみますと、例えば青のA群43人(非達成者)は、追加で180ポイント指導を受けているので、翌年に、2cm2kgを達成できた方は19%ということで、なかなか3ヶ月後に達成できなかった人は、1年後に追加の指導しても、2cm2kgの達成は難しいという状況でした。一方、このA群の達成者11人、20%ですけれども、きちんと達成した方は、80%の方が翌年も2cm2kgを維持しておりますので、達成した方はかなり意識が高いという状況であります。B群です。達成していなかった人で翌年達成した人は25%。達成した18人、36%の人たちは、翌年88.9%の人たちがやはり達成しております。これはC群、D群とすべてを見ても、3ヶ月後に達成した方は8割から、場合によってはD群は100%翌年も達成を維持されておりますが、3ヶ月後に達成できなかった人は、翌年追加の指導をしたとしてもなかなか達成率は上がらずに、達成者は20%前後というデータです。3ヶ月後の達成者ではB群とD群は確かに有意差つきましたが、翌年の有意差に関して言いますと、達成者、追加の指導をした方を含めての達成者全員(一番右側の紫で囲んだ部分)の解析では、A群が16人、B群が24人、C群22人、D群17人が、残念ながらここには有意差が出ませんでした。次のスライドをお願いします。
これは、どれだけ体重と腹囲がよくなったかというデータなのですが、左側が体重で右側が腹囲です。腹囲と体重はだいたい同じような動きをしますので、例えば体重だけ見ても結構なのですが、3ヶ月後の実績評価時の全体では、0.31kg減りました。これは平均値です。たいしたことないように見えます。ところが達成した方は平均でマイナス4.52kg達成しています。当然、非達成者は1.04kgで、ほとんど低下は見られておりません。そして、翌年ですが、全体でマイナス0.77kg、達成者は先ほど言いましたように頻度も8割から9割維持されていますし、体重低下の状態もマイナス4.90と、維持されてます。一方、体重ですが、非達成者は平均1.04kg増えていまして、翌年も0.55増えているということで、3ヶ月の方が翌年より体重低下が得られております。
ちなみに、過去の指導歴が0回の人を取り出して、解析もしてみました。というのは、津下先生の初期のころの論文によりますと、最初2008年のころのデータですと、かなり特定健診が効いていて、指導受けた人全体で体重減少は1.8から3.5kgです。今回の結果では、全体ではマイナス0.31kgと、少し効果が低かったものですから、きっとこの原因には、リピーターの問題もあるのかなと思った次第です。そこで、過去の指導歴が0回の人だけを取り上げていくと、やっぱり体重低下がマイナス1.3と、わずかではありますが、指導を受けた人全体の平均値で下がっていて、やはり0回の人をみれば、新潟県労働衛生医学協会が行った特定健診は、それなりの効果が担保されていると思います。次のスライドをお願いします。
モデル実施がなぜ有効だったのかということですが、2cm2kgという、明確な目標があったことではないかと思います。さらに、ここに加えて、指導者と指導を受ける人の間に強固な約束もあったと思います。もちろん、例えば3kg痩せましょうという約束は、従来の特定健診でも行っています。しかし、2cm2kg痩せないと追加の指導がありますと言ったときに、もうちょっと強固な約束の形になったのではないかと推論しています。この2cm2kgの効果を、ナッジ理論で考えますと、だめだったら追加があること、つまり、自分の時間がなくなり、保健指導に参加しなくてはいけないという不利益を被る事が、モデル実施の効果に結びついていたと考えます。ナッジ理論では、利益よりも損失のほうが2倍から2.5倍強く感じると書いてあります。
 新潟モデルに関しては、誰でも使える汎用性の高い方法をと考えていまして、今のB群に採用した20ポイントにプラス、一方通行の手紙を加えて約束を忘れないようにします。また、約束をもう少し強化して「行動契約」の考え方を取り入れようと考えてます。いわゆる禁煙治療にも使っている方法ですが、2cm2kg痩せる事を約束してもらい、それをカードにサインしてもらう事も考えてます。次のスライドをお願いします。
最後に、本研究は過去の受診歴、健診データにおいて、4群間に研究参加者における差異がなく、しかも前向きランダム化試験で行った研究で、比較的エビデンスデータが高い研究であったと思います。ただ、参加人数は少なく、パイロットスタディ的なところはあります。また、本研究のモデル実施においては、下記にあるようなプラスアルファはない実施プロトコールですので、事業主との連携とかスポーツジム等の活用、アプリ等の活用があれば、もっと、モデル実施の効果が得られたのではないかと思います。3ヶ月後の実績評価において、2cm2kgの達成者は、B群が36%、従来の方法であるD群というのは180ポイント、そこに比べて有意差が認められました。そして、その達成者は翌年まではその体重低下を維持できたということであります。つまり保健指導の効果には、ポイント数に依存するような関係は存在せず、有効な下限閾値のようなものは存在しませんでした。2cm2kgの達成者は、ポイント数ではなくて、やはり非達成者に対する追加支援の存在がかなり効いていたと感じてます。わかりやすい明確な目標と、追加の支援が回避したいという気持ちは、より強固な約束にも結びついていたのではないかと思います。
○津下主査 ありがとうございました。モデル実施に対する前向きのRCT研究をされたということで、大変ご苦労があったと思いますけれども、ご説明ありがとうございました。
 それではここでディスカッションの時間を取りたいと思います。今、事務局、河原構成員、加藤参考人からのご説明がありました。国全体での集計した数字をご報告いただいた厚生労働省のお話、それから委託事業で行ったところが76%ということで、今回モデル実施は委託が多かったようでございます。その状況について、具体的なプログラムをお話しいただいたということ。あと加藤参考人のお話は、プラスアルファはなく回数を変えたという方向でのご研究だったというふうに思いますけれども、この3つについて、構成員の皆様からご質問やご意見等、お願いしたいと思います。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。
 はい、阿部構成員、お願いします。
○阿部構成員代理 日本栄養士会の阿部です。鈴木構成員の代理で出席させていただいております。
 国のモデル事業の実施状況のご説明、3ページなのですが、保険者の推移で、モデル事業を実施した保険者が国保組合が2年間ゼロとあるのですが、これは国保組合がモデル事業を実施できなかったというふうな、何か背景というか、もしくは理由とかあれば教えていただきたいのですけれども。よろしくお願いします。
○津下主査 事務局、お願いいたします。
○後藤保健事業推進専門官 事務局でございます。保険者数の推移ですけれども、今回のモデル実施ですが、見ていただきますと、ほとんどが協会けんぽ、健保組合ということで、被用者保険の取り組みが多くなっております。ご質問いただいた国保組合だけでなく、市町村国保もやはりちょっと少ないというところで、我々もまだ、実はこれがどうして少ないのかというところを把握しきれていない部分もございますので、市町村の取り組みの実際についてご存じの先生方いらっしゃいましたら、ぜひご意見頂戴できればと思っております。
○津下主査 よろしいでしょうか。この数字で合わせて見えることとしては、協会けんぽさんが48,000人ということでかなり多くやっていらっしゃるということと、それから健保組合の数が合わせて200程度ということで実施されているので、今の阿部さんの質問の逆なのですけれども、全国協会健保さんと健保組合さんがどのように取り組まれたかというお話をお伺いするということでもよろしいですか。
 構成員の中で、小松原構成員、この健保組合の中でモデル実施について、200ぐらいのところに取り組んでいただいている、そのことに関して、何かコメントとかございますでしょうか。
○小松原構成員 はい、津下先生、ありがとうございます。健保連の小松原です。
 このモデル実施、第3期の見直しを検討する際に健保連が強く要望して、モデルとして導入いただいた経緯があり、感謝しています。しかし当初は健保組合にもモデル実施に対するアレルギーがありました。アレルギーというのは、事業者との単価交渉において、ポイント数に応じた契約単価を設定されることが多かったのですが、180ポイント未満の契約となると、契約単価が下がるというイメージで、なかなか契約をしてくれない実態が当初はありました。そういった背景のもと、加藤先生にも研究をお願いしたところですが、この契約単価の設定においては、ポイント数ではなく、2cm2kgを達成したか否かによって単価設定ができるような仕組みを考えていかなければいけないと思い、健保連よりそういったアナウンスも含め周知を図ることで、一定程度の組合が参加に至ったという状態になっています。最近では事業者においても、契約設定時ポイントにとらわれない、効果に対してのフィーを払うというようなところも出てきております。
○津下主査 ありがとうございます。もう1つ、安田構成員のほうから、協会けんぽさんの状況について、お知らせいただけますでしょうか。
(安田構成員) 協会けんぽでは、逆に、直営でやっているものばかりになります。基本的に直営でやるものについてはすべて、ポイント検証モデルを適用するということでやっておりました。実際には、ポイント検証モデルを実施した34,228人のうち、8,880人がモデル要件で終了したという結果でございます。よろしいでしょうか。
○津下主査 ありがとうございます。委託ではなく直営の実施の中で、今回は取り組まれたというふうに伺いました。阿部構成員、ということで、健保組合さん、協会けんぽさん、それぞれかなりプッシュしたりとか、手元でグリップしたりとか、そういうことをされながら上がってきたということで、その辺がちょっと国保組合さんとは状況が違っていたのかもしれないなというふうには思いました。
○阿部構成員代理 ありがとうございます。
○津下主査 ほかにいかがでしょうか。ご質問等ございますでしょうか。
○河原構成員 津下先生、河原です。今のお話で、受託者側、事業者側でも国保さんと市町村国保さんがモデル実施が少ない点は、実感をしているところです。これはそもそも、先ほどモデル実施が、アウトソーシングが8割ぐらいというお話がありましたが、その場合は、仕様が設定され、入札案件になり、業者が応札する形になりますが、特に市町村国保さんは、あまりモデル実施を仕様としては出されない傾向があると思います。何ポイントという従量制のものをお出しになる傾向が強いと思っております。モデル実施の場合は、かなりの部分でフリ―演技になりますので、例えばアプリを使うとか、デバイスを使う場合などもかなり未知数になりまして、そもそもそういった外注の事業者に依頼をする際の精度管理みたいなものが、厳しいところもあるのかなというのは実感しております。入札の案件としては、モデル実施形式というのは極端に少ないかなと。健保さん等のほうが多いという実感はしております。以上です。
○津下主査 ありがとうございます。契約という、1つの契約とか入札とか、そういうことがひとつハードルになって、進んでいない状況というのもわかりました。私から河原構成員に伺いたいのは、いくつかのモデルが提示されたと思うのですけれども、これは保険者さんとの話し合いの中で生まれてきたものなのか、事業者さんがいくつか用意して、その契約で選んでもらった形なのか、どんな形でプログラムは発展したのでしょうか。
○河原構成員 今回紹介させていただいた、7つの例につきましても、非常にコースとして実施の数が多い8000件ぐらいのものですとか、300件、400件ぐらいのものがございますので、構成員の方々にご覧いただくと、どうしてその差があるのかというのは思われるところかと思います。これは、民間事業者の大手の5社がやっているものをまとめたものでございまして、実はその業者というのは10万件ぐらいやっているところもあれば、かなり数が少ないところもございますので、そういったいわゆる市場に対するアプローチの仕方だとか、プログラムの見せ方なども影響しているところがあるかとは思っております。
 そういうことで言うと、これらのプログラムが同じ条件で、同じ形で選んでいただいたということではなくて、それぞれの事業者の、平たく言えば営業基盤だとか広がりとかということはあるかと思います。ただ、モデル実施自体はかなり増えていると思います。価格形態で言うと、だいたい7つのサービスというのは3万円から4万円のラインです。8000件を実施しているケースについては、2万円から3万円ぐらいになります。それと、実施例の中で、3ヶ月たって達成しない場合、食事コース、運動コースに分かれるというものがあったかと思うのですが、このコースは3ヶ月で達成した場合は1万円から2万円。それ以降、追加が出た場合は3万円から4万円ということで、その辺の価格差は多少ある状況がございます。ただ、これは同じ条件で研究事業のようにまとめたデータではありませんので、市場の中での営業施策や商品戦略といったことも絡んでいる実情はあるかと思います。
○津下主査 より具体的なお話、ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。田中構成員、お願いいたします。
○田中構成員 ありがとうございます。長野県の健康増進課の田中と申します。今、市町村国保のお話が出てきていますので、少し現況をお話しさせていただきたいと思います。
 まず市町村の皆さんが、住民の方に対して、継続的に個人のフォローをしながらやっている現状の中で、モデル実施は行政の中で、根拠ですとか継続性がどうかというところで、そういったものをうまく取り込めない状況になっています。今回のモデルの内容も見させていただきまして、やはり被用者保険の取り組みと市町村の取り組みですので産業保険ですとか地域保健の取り組みの方策というか、介入方法が違うのではないかと考えていまして、多くの市町村の場合ですと本当に、先ほども申しましたが、個人のデータを見て訪問などしながら、介入していくという手法が多いです、こういったモデルは、すごく大勢の行動変容をさせるという中では合うと思うのですが、なかなか地域のあちこちにいらっしゃる住民の方に対しては、非常に難しいなということを感じております。産業保険から地域保健、市町村に入られた保健師さんともお話ししておるのですけれども、やはり産業保険の中だと業務として保健指導できる部分があるのですが、市町村の住民の方というのは全くゼロの状態で、まず保健指導をどう受け入れてもらうかというところが非常に重要であるというところで、ここらへんにも皆さん、努力されています。行動変容という言葉もあるのですけれども、やっぱり自分のからだを大切にしてほしいという狙いを定めながら、皆さんに受け入れてもらえるようなことを大事にしているという、そういう働きかけをしていますので、市町村ですとなかなかこういったモデルは取り組めないかなという現状はありますが、逆に被用者保険のほうでこういった取り組みで、ぜひ保健指導が進まないところを進めていただければよいかなと思っております。以上です。
○津下主査 ありがとうございます。今、市町村国保がちょっとモデル実施進みにくいというお話の理由について、お話しいただきました。ほかにいかがでしょうか。安田構成員、お願いいたします。
○安田構成員 すみません、安田です。加藤先生の発表の7ページ、2018年度特定保健指導のモデル実施で効果があったというところで、2019年度の特定健診において、例えばA群ですと11名の方が、翌年は8名の方に効果があったということなのですけれども、これは2018年度の2kg2cmを受けてさらに効果を上げたというふうに解釈してよろしいのかどうか。お聞かせいただきたいと思います。
○津下主査 加藤参考人、お願いします。
○加藤参考人 ありがとうございます。このスライドでは、達成率だけを出してはいますが、次のスライドでは、3ヶ月目と翌年の平均の体重を出しています。確かに例えば全体で見ますと、マイナス0.31、翌年マイナス0.77。腹囲に関してはマイナス0.57が翌年マイナス0.95と、ちょっとよくなっているイメージがあるのですが有意差はありません。それぞれのモデルの人数50人程度しかいなくて、全体で200人程度の研究だったので、なかなか有意差はでません。達成者だけを解析した場合(黄色で囲った数値)ですが、特定保健指導の効果は多分3ヶ月後でマックスだと思います。3ヶ月後のマイナス4.52からの翌年マイナス4.90、腹囲もマイナス4.32がマイナス4.67と、痩せた方々はそこで維持するのが精一杯で、翌年、それ以上に効果が出ている印象はありません。つまり、3ヶ月後の効果が翌年に増強する事はなかったと思います。
○津下主査 安田構成員、よろしいでしょうか。
○安田構成員 ありがとうございます。私の質問の趣旨としては、生活習慣をやっぱり変えるということが、保健指導の1つの目的だと思うのですけれども、今のお話でいうと、その体重を維持するというか、維持できるということであれば、それは生活習慣がそう変わったというふうに見てよいと感じましたけれども、よろしいでしょうか。
○加藤参考人 ありがとうございます。やはりそこで維持できていることは、何か取り組んだことが、継続してできていることと思います。
 あともう1つ僕が強調したのは、保健指導回数により、かなり効果にばらつきがあることです。保健指導回数がやはり何回も受けている人たちは、もうすでに何回も指導を受けていても、生活改善ができないような人です。そういう人たちはやっぱり難しいとは思います。
うまく2cm2kgを達成できた方は、それをきちんと1年間維持できてました。これは津下先生がまとめられた全体の保健指導の結果でも同じように報告されてます。従来の特定保健指導でも、1年後、2年後には、その指導効果は維持されておりました。つまり、同程度の効果はモデル実施でも認められていたと思います。だから保健指導のポイント数よりも、やはり2cm2kg痩せましょうという目標が非常によかったという印象は持っています。
○津下主査 ありがとうございます。このモデル実施を導入するときに、2cm2kgという目標を掲げることの、マイナス面を1つ心配していることとして、その期間は頑張るけれども、その後リバウンドするのではないかと。で、リバウンドしないように維持をしていただく、それ以上体重を落とす必要はないかもしれないけれども、それが維持できるかどうかというのが、関心事だったように記憶しておりますが、維持可能であるというふうにうかがいました。加藤参考人とか河原構成員の結果からは、リバウンドの心配は、実際にはしつつ、かなり意識して評価のときに「維持してね」とおっしゃったのかもしれないですけれども、リバウンドしなかった要因とか、何かありますでしょうか。
○加藤参考人 今回のモデル実施の研究では、リバンドをしないように指導はしていたと思いますが、きちんとデータ化はしておりませんし、解析もしていません。僕も驚いたのは、本当に3ヶ月で達成した人たちが、8割から9割もずっと維持できていることです。これからわかることは、やはり何か気づきがうまくできれば、その気づきを維持できるという事です。これは、人間のある意味いい面が表に出てきたのでしょう。2cm2kgだけを短期的に頑張ろうというのではなくて、2cm2kgを達成して追加の指導がなかったので、うまくいったという成功体験はわりに続くものと思います。だからこそ、最初の導入がうまくできればよいと思います。非常に楽天的な解釈ですが、この結果を見てそう思います。
○津下主査 ありがとうございます。田口構成員、お願いします。
○田口構成員 加藤先生ご研究に関連してお尋ねしたいのですけれども、結果の解釈によると、180ポイントに依存しなかったという結果は、そこに意味がなかったようにも読めるのですけれども、どう解釈したらいいかという点をお尋ねしたいと思います。また、初回の関わりがよかったとおっしゃるのですけれども、初回をどのように工夫されたかについてもお尋ねしたいです。
○加藤参考人 ありがとうございます。それは、当協会の保健師もショックを受けたみたいです。この発表をするときに必ず言われるのが、「では180ポイントには意味がないんですか」と言われてしまい、僕もそこの説明に実は困っています。やっぱり最初が大事だということは、皆さん感じているのは間違いないと思います。しかし、A群のOポイントは、最初の導入の面談しかしていません。ここはA群の効果は弱いと思ってます。有意差はないのですが達成率は低いです。加えて、従来の指導であるD群が低すぎるイメージがあります。いずれにしても、A群が低いというのは大事なことで、途中できちんと気づきを入れてあげないと、うまくいかないということも事実だと思います。その点、B群やC群が少しよかったのは、途中に電話や面談による指導していますので、そこは大事だと思います。B群がちょっと高すぎたと思っています。これはやっぱり50人というデータですので、D群の効果が低い事には、あまりがっかりしなくてもいいのとも思ってます。
○田口構成員 サンプルサイズを増やせば、D群が上がる兆しがあるということでしょうか。
○加藤参考人 そうですね、そう思います。180ポイントと20ポイントには差がないというのが本当のところではないかと思います。差がないということで、保健師の皆様が、がっかりする必要もないと思います。今回の研究では、D群(180ポイント)が悪すぎました。本当はトントンぐらいの効果ではないかと思います。きちんと目標を提示できれば、少ないポイント数でも受診者の心に響くことができるということと思います。保健師の皆様はがっかりする必要はなく、むしろこの成果を活用して頂き、もう少し保健指導を省エネ的に出来るのはないかと考えていただいても良いと思います。
○田口構成員 初回に動機付けできたということでしたので、工夫されたことをお聞きしたいと思いました。
○加藤参考人 基本的には指導の仕方を、群間で何も変えるなとお願いしています。変えるなという意味は、モデル実施の群に対しても、普通の特定保健指導のとおりにやってほしいとお願いしました。とはいっても、偽薬を使うような臨床検討ではなく、指導する側はA群、B群、C群、D群の内容がわかっていますから、完全に同じような指導をすることは無理だとも思います。先ほど言ったように2cm2kg痩せましょうという明確な目標と、そこには明確な約束がどうしても生まれますので、同じように指導しても、そこは差が出ると思います。でも田口先生がお伺いされている質問への答えとしては、基本は同じように指導するようには保健師にはお願いしてました。
○津下主査 この議題、もうあと少しの時間なので、ご質問、手短にお願いします、中西構成員からお願いします。
 声が聞こえない状況です。それではちょっと声を調整していただいている間に、阿部構成員、河原構成員にお願いします。
○阿部構成員代理 すみません。質問というよりは、非常に興味深い結果で、やっぱりこの結果ですごく大事だなと思ったのは、私、翌年度継続されている方がいるということだと思うのです。その方はやっぱり今加藤先生がおっしゃったように、本当に明確な目標があったからこそそうなったということで、最初の目標は2cm2kgかもしれないですけれども、本当の要因というのは食生活か運動かという、そういう部分があるのかなと思ったりもした。継続されたということを、やっぱりもうちょっと長期的な視点から見て、これをどういうふうに、さらにその方たちの保健指導が終わった後も、継続してその体重維持ができるかというところに、ぜひこの研究結果をつなげていただけるといいのかなというふうに思って、聞かせていただきましたので、よろしくお願いいたします。
○津下主査 貴重な観点ですよね。何がその体重を減らした要因だったのか、どこが変わったかという、そのあたりの分析はされていましたでしょうか。
○加藤参考人 そこまでは、解析をしておりません。例えば終わった方にアンケートをとり、どういう印象だったかということを聞くとわかるかもしれません。少しその観点も大事だと思いますので、次の研究では考えてみたいと思います。
○津下主査 はい。例えば健診の質問票の項目で、各群で何が変わったかとか、達成した人と達成していない人で何が変わったかとか、違いがあるかとか、質問票をちょっと見ていただくといいかなと思います。
○加藤参考人 はい、ありがとうございます。
○津下主査 では、河原構成員。
○河原構成員 貴重な発表ありがとうございます。2kg2cmというのは非常にわかりやすいというようなお話もあったのですけれども、その説得力を増すために、これは加藤先生というより厚労省さんのほうのお話かもしれません。2kg2cmを達成した方が、翌年の健診結果でどれぐらい保健指導対象者から外れているのかというあたりが明確になると、対象者に話したときに2kg2cmを単に落としてほしいという話ではなくて、2kg2cmを落としたことによって、あなたはメタボをどのぐらいの確率で卒業できるのですよとか、そういう説得力の高いお話ができるのではないかというふうに思っておりまして、ぜひその2kg2cm達成者が翌年どれぐらい対象から外れることができたのか、を明確にしていただきたいということでございます。
○津下主査 ありがとうございます。保健指導機関だと、翌年必ずしも委託されるわけではないので、追跡が難しいということがありますね。なので翌年も確実にデータが取れる、例えば保険者さんのデータとか、国のデータなどで見ていくという必要性ですね。ありがとうございました。中西構成員、つながりますか。
(中西構成員) 聞こえますでしょうか。
○津下主査 大丈夫です。
○中西構成員 聖隷保健事業部の中西です。よろしくお願いいたします。
 すみません。モデル実施の評価の方法なのですが、2kg2cmが非常にわかりやすいということで、評価の基準になっているようなのですが、すみません、本当に現場を見ておりますと、BMI25から遠い人と近い人とでは、この2kg2cmの持つ意味が大きく違ってくるかなと思うのですが、このまま引き続き2kg2cmで行くのでしょうか。
○津下主査 この点については、次の論点にもかかわってきますので、次の議題に移ってディスカッションしたいと思います。
 では次に資料5。ご議論いただきたい主な論点について、事務局より資料ご準備されておりますので、ご説明をお願いいたします。
○田邉医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。まず先ほどの点ですけれども、ちょっと戻っていただいて、資料2の2ページのほうに書いているのですが、2cm2kgに加えて、2.4%の体重減少及び腹囲でもいいというふうにしておりますので、おっしゃるとおりBMIによって値は変わってきますので、2cm2kgまたは2.4%の体重及び腹囲の減少でも、同じように取り扱うとなっておりますので、その点は大丈夫だと考えております。
○津下主査 すみません、田邉室長、大変失礼しました。今、構成員とか参考人からご発表があったり、質疑があったりしたのですけれども、それに対して厚生労働省さん、事務局からのコメントとかは何かございましたでしょうか。
○田邉医療費適正化対策推進室長 1点ご質問いただきましたので、翌年度の保健指導にどれぐらいなっているかというところなのですが、それについて分析できるものがございましたら、次回以降でお出しできるよう、少し探してみようと思いますので、お時間をいただければと思います。
○津下主査 ありがとうございます。
○田邉医療費適正化対策推進室長 では資料5のほうに行かせていただいてもよろしいでしょうか。
○津下主査 はい、よろしくお願いいたします。
○田邉医療費適正化対策推進室長 では資料5、「ご議論いただきたい主な論点について」というものをご覧ください。1ページおめくりいただきまして、まず特定保健指導の質の評価に関する基本的な考え方ということで書かせていただいております。いわゆる質の評価ということで、ドナベディアンモデルに基づいて、ストラクチャー、プロセス、アウトカムという観点で、まず現状がどうかというものを書かせていただいております。ストラクチャーですけれども、まず特定保健指導の実施体制等に関する部分がストラクチャーというふうに言えると考えておりまして、現状では直営であるとか委託であるとか、さまざまな組み合わせで保健指導の実施をされているということでございます。モデル実施に関して言うと、8割の保険者の方が委託となっておりました。また昨今の新型コロナの影響等踏まえまして、ICTを活用した遠隔面接等を実施ということで、厚労省でもICTを活用した面談について、いろいろな緩和等をさせていただいておりまして、こういうものも活用した体制で保健指導を実施していただけると理解しております。
 続きましてプロセスですけれども、プロセスという観点で言うと、実施する特定保健指導の内容についての評価ですが、現在は指導時間、それをポイントに換算して180ポイントというのが基本になっておりますので、指導時間をポイントで評価するという評価方法を中心に、プロセスに関しては評価をしているという現状でございます。
 アウトカムに関しましては、いわゆる保健指導対象の方の身体状態の改善というものを評価する、いわゆる成功報酬的なものなのですが、これに関しては、さまざまなご発表等いただきましたモデル実施ですが、こちらのほうで2cm2kgというものを改善のアウトカムとして評価するというものを、第3期から実施しているという現状でございます。
 3ページです。このような現状を踏まえまして、ご議論いただきたい論点ということを書かせていただいております。12月の第1回検討会で見直しの方向性等について、個人の受診者の行動変容につながり、成果が出たことを評価する方向、例えばアウトカムの導入であるとか、ICTを活用した取り組みだとか、そういうものについて検討してはどうかということを、方向性を出していただきましたので、これに基づきまして、先ほどのストラクチャー、プロセス、アウトカムという、それぞれのポイントについてご議論いただきたいことをまとめさせていただきました。
 まず1点目ですけれども、ストラクチャーについてでございます。特定保健指導の実施体制等ということで、まず保健指導の実施体制というのは、モデル実施では委託のケースが多かったのですけれども、ご議論いただきましたように、委託や直営の体制によらずに、効果的・効率的な保健指導を実施する体制について、どう考えるかということを、まず1点目で書かせていただいております。
 2点目は、ICTを活用した遠隔面接等の保健指導のニーズの高まりや、またその普及状況等を踏まえまして、ICTを活用した遠隔面接等が有効な事例の普及、これに向けた課題ということで、事務負担であるとか、ICTのリテラシーの問題であるとか、そういうことについて、どう考えていくかということを書かせていただきました。
 次のページをおめくりいただきまして、次は実施する特定保健指導の内容、プロセスについてご議論をいただきたいことでございます。2点ございまして、1点目としてはICTを活用した加入者への働きかけの方法についてということで、モデル実施では生活習慣の改善ということに関しまして、ご自身で健康状態を記録していただいて、それを活用するようなアプリを用いた事例が多くあったのですが、行動変容を促し、生活習慣改善に資するような、そういう効果的なアプリの機能や活用方法について、どう考えるかというものを、まず1点目で書かせていただいております。
 2点目ですけれども、プロセスの見える化という点でございます。現在は180ポイントということで、ご報告をいただいているのですが、実際の保健指導の指導内容、どういう介入を行ったであるとか、またそれによって対象者の方がどういう行動変容を起こしたか。そういう情報について収集を行って、見える化を推進するということで、まず保険者様に情報が集まりますので、保険者様で、どういう取り組みが効果的であるかということが把握できるようになるということについて、どう考えるかと。さらにこうした情報を分析してエビデンスを構築して、より質の高い保健指導を、対象者個々人に還元する仕組みについてどうか考えるかというのを書かせていただきました。
 2点目は、関連するのですけれども、見える化を推進するにあたり、どういう項目を収集していくのか。現場の負担もございますので、収集項目の記録だとかデータ化、収集方法等について、現場の負担も考慮した上で、どういうことが考えられるかということを書かせていただいております。
 3点目ですけれども、モデル実施の介入の対象者なのですが、全員に対してやっていただける場合であるとか、リピーターさん等々、対象を限定してという場合がございましたので、「見える化」を推進することによってエビデンスを構築して、対象者の特性に応じた保健指導を実施するということについて、どう考えるかということで書かせていただきました。
 続きましておめくりいただきまして3点目でございます。特定保健指導対象者の身体状態の改善、いわゆるアウトカムについてでございます。まず1点目としてアウトカム評価の導入ですけれども、現在は2cm2kgということで、モデル実施という形でやっているのですが、対象者の身体状態の改善を評価する指標をもって、保健指導の実施を評価することについて、そもそもどう考えるか。また、もし導入するのであれば、現在のように2cmかつ2kgという目標を設定しているのですが、未達成者の180ポイント終了の仕方等の状況を踏まえて、実際に妥当なアウトカムの指標というものについて、どう考えるかということを書かせていただきました。
 4点目ですけれども、前項のようなことを踏まえまして、プロセス、アウトカム、ストラクチャーも含めまして、特定保健指導全体の評価の方法について、どのような評価体系が考えられるかということについて、先生方にご議論いただければと考えております。
 また、次回以降ですけれども、何点か宿題をいただきましたので、前回の検討会でのことも含めまして、第3期で特定健診・特定保健指導の見直しの項目、分割実施であるとか、そういうことについての現状を改めて集計した上で、次回以降のワーキングでお示しできればと考えております。またICTを活用した特定保健指導の実施については、また別途調査研究等を行っておりますので、それについても次回以降でご報告させていただこうと考えております。
 資料5については以上でございます。
○津下主査 ありがとうございました。それではただいまの事務局からのご説明に対しまして、ご意見、またご質問をいただきたいと思っております。どなたからでも結構ですけれども、ストラクチャー、プロセス、そしてアウトカムについて、それぞれの視点でのご意見をいただきたいということでございますので、どれに関するご意見かということをお話しいただきつつ、ご発言いただければと思いますが。いかがでしょうか。どなたからでも結構ですけれども。
 まず、そのストラクチャーというところでは、今回のモデル実施では、委託のケースが多いとか、被用者保険が多いとかいうことがありましたので、モデル実施は、アプリだけではなくて、例えばスポーツジムだとか、身近な自治体にある健康増進施設とか、そういうところの活用につなげて、それで達成したらというような考え方もあるかもしれないので、さまざまな多様性があると思うのですけれども、自治体において、市町村において、国保において、効果的・効率的な、180ポイントによらない特定保健指導のあり方としてはどんなことがありそうかとか、また今回ICTを活用したことによって、メリット、デメリットがあるかもしれないので、そのあたり。では小松原構成員からお願いいたします。
○小松原構成員 ありがとうございます。まず1つ目のストラクチャーのところですが、例えば企業の社食、食堂とのコラボによる実施の仕方、福利厚生におけるスポーツジムとの契約を活用したモデル実施の導入など、様々な方法が今後考えられます。このモデル実施が標準になってくると、多くの企業、健康経営を実施している企業から、保険者とコラボを図り、特定保健指導に介入してくるのではないかと期待をしております。
 もう1つ、ICTのところですが、コロナ禍においてICT化がかなり進んできました。職域も、テレワークをしている人に対するアプローチは、個々の地域の介入と全く変わらなくなっており、ICTがないと対応できない状況になっていますので、ぜひこれは導入を目指していただきたいと思います。
 2つ目のプロセスの見える化のところですが、今後、効果検証していくには、プロセスの見える化というのは必要になってくるのですが、あまりここに力を注がれてしまうと、保険者にとっては厳しいと思います。実は、プロセスの見える化をするためにポイント制をひいたわけです。ある意味それがあるがために、今ポイント取り合戦になってしまい、効果を求めず180ポイントだけやればいいという保健指導が、一部で横行していることもありますので、見える化によってナンセンスな保健指導にならないように、ぜひ厚労省のほうでも注視いただきたいと思います。
 3点目のアウトカム評価の導入については、180ポイントを目指すよりも明確な約束がある2cm2kgというものが、先程ナッジという話もありましたが、そういうことも含めて、効果があると出ておりますので、ここは2cm2kgがいいかどうかはまた別途議論していただいても構わないと思いますが、アウトカムの評価を導入していただきたいと考えているところです。
○津下主査 ありがとうございました。今回のモデル実施で得た知見を、次、第4期に生かしていく方向でのご発言だったと思います。
1つだけ、私から気になっていることがありまして、180ポイント、ポイント制があるから一定の投入量、実施したということがわかるという制度になっています。アウトカム重視は非常に重要なことではあると思うのですけれども、そもそもポイント制が入ったときに、結果が出なかったら保健指導したことにならないような形になってしまうと、なかなか引き受け手もいないのではないかとか、何度保健指導をしても難しい対象者もいると。そのあたりについては、何かお考えはありますでしょうか。
○小松原構成員 今のモデル実施の仕組みというのは、非常に有効と思っていて、アウトカムが得られなかった方については、180ポイントまで引き続き投入していくことになっています。ただ1点、健保組合より声が上がっているのは、180ポイントの妥当性について、今一度議論をしていただきたいと思っています。本当に180ポイントが適切な投入量なのか、過剰投入量なのか、それは我々もわからない部分がございまして、現場の声を吸い上げると、保健指導途中までうまくいっていたのに、180ポイント達成にこだわるが故に、途中で脱落してしまうという人が散見されるわけです。このような場合、その180ポイントが本当によかったのか疑問に感じるところがあります。制度を作ったときは180ポイントでとりあえずスタートしたと思うのですが、第4期に向けてはこのポイントについても、ご議論いただきたいと思っております。
○津下主査 ありがとうございます。では三好構成員、お願いいたします。
○三好構成員 ありがとうございます。今のご発言に直接かかわらなくてもよろしいですか。アウトカム指標の関係に近いと思うのですが、いずれにしろこの3つの、ストラクチャー、プロセス、アウトカムに関する効果についての議論は、積極的にこの機会に、モデル事業実施の成果なども踏まえて検討を進めていただきたいと思います。
私のところは、地域保険の立場で保険者を支援する団体として、システムなどを通してデータを預かっており、見える化を図る取り組みも進めています。アウトカムをどう見せていくかというのも、大きな課題になっております。
 そこで、国保、それに連続して支援していく後期高齢者などへの対応を考えたときに、国保は他の被用者保険と比べても、平均年齢の層が非常に高いことがございますので、このアウトカムを、2cm2kgというのは評価の平均値とか、何かそういう検証されたものから出ているのかもしれないのですけれども、地域で取り組む市町村の皆様方において、なかなか難しい、ハードルが高いというようなものなのか、どうなのか、少し考慮いただいて検討いただけるとありがたいと思いました。よろしくお願いします。
○津下主査 ありがとうございます。田中構成員、続きましてお願いします。
○田中構成員 今、三好構成員さんのお話にもありましたように、市町村国保というのは、被用者保険で退職されていらっしゃる方が大勢で、被用者保険のほうで重症化して国保にいらっしゃるというのは、よく言われていることです。本当にそれは確かで、状態がよくなくていらっしゃる方も大勢いらっしゃるので、その基準でマイナス2cm2kgというのは、非常に厳しいということは、市町村の保健師さん方、栄養士さん方は言っております。一律にそういった基準を設けてしまうと、もう少し頑張ってもらいたい人たちにも、なかなか頑張ってもらえないといった状況にもなってしまいますし、先ほども言いましたように、市町村の皆さんは、個別に対して丁寧にかかわっていきながら、住民自身が行動変化していく支援をやっています。そして市町村は生活習慣病予防から、重症化予防、さらに今は保健事業と介護予防の一体的実施ということで、後期高齢者になっても、ずっとその住民の方とお付き合いしていくわけです。そうしますとやはり、最初の関わりが一番大事でして、そこでやはり住民の皆さんが自分の体を大事にするという気づきを持っていただきたいということを、保健指導していらっしゃいますので、そのアウトカムの評価の導入のあたりは、非常に繊細な部分かなと感じています。
 あとストラクチャーの部分でも、被用者保険の企業などが委託されていますけれども、市町村はほぼ委託はなく、自前で直営でやっております。長野県内の大きな市でも、ずっと委託でやっていたのですが、なかなか実施率が上がらず、20%程度だったのですが直営にしたのです。スタッフを増やして体制強化して、みんなで学習しながら進めて今、倍くらいに実施率が上がっているというところもありますので、今のお話の中で、被用者保険、企業の皆様方の取り組みと逆行するようなところもあるのですけれども、やはり市町村国保はなかなか皆様方と同じ方向を向けないところもあるというところもご理解いただきたいなと思います。
 あと1点ですが、プロセスのところで、保健指導の質というのは非常に重要かなと思っておりますが、先ほども言いましたように、市町村の皆さん、非常に個別性というか多様性というか、いろいろな方がいらっしゃる中で、その方に合った形でやっていかないとなかなか受け入れしていただけないので、非常にご苦労されながら、対応しておりますので、確かにその質を蓄積していくということは非常に大事だなと思っております。先ほどのような仕組みを変えて実績を上げていく所をどんどん広げていきたいなという気持ちはありますので、蓄積して評価する事をやりたいと私も思っているところでございます。以上でございます。
○津下主査ありがとうございます。年齢層というのはやっぱりありますよね。市町村でも若い世代で、本当に体重2cm2kg落としていただきたい、40~50代自営業の方もいれば、本当に退職層とか、2kg減らしたらサルコペニアになってしまうのではないかという、そこの中で用心しながら。ただ、65歳以上だと積極的支援レベルであっても動機付け支援とするという、痩せるだけを目標にしないという制度だったと思うのですけれども、そういう年齢とか対象者層というのはちょっと意識しなければいけないと思いました。
 ありがとうございます。中西構成員、いかがでしょうか。
○中西構成員 ありがとうございます。まずアウトカム評価なのですが、私ども健診機関ですので、特定健診、特定保健指導の委託機関でございます。この保健指導の評価をする際に、保険者としましては、やはり実施率ということですので、保険者の皆さん、本当に実施率のことで頭がいっぱいというような状況だと伺います。で、本来、では何のために特定保健指導を実施するのかとなると、やはりアウトカムというのは2kg2cmも最もそうだというふうに思うのですが、そこは通過点にしか過ぎなくて、その後の、翌年の特定健診での階層化がどれだけ改善しているのかというところを、しっかりと把握する必要が、これ保険者にはあるのではないかなというふうに思っています。私ども、数多くの保険者の方と契約を結ばせていただいておりますが、ここに興味・関心のない保険者の方が非常に多い。で、私どもがそういった数値を出して保険者の皆様にご提供するというところが、もうずっと続いておりますので、やはり実施者である保険者の皆様にも、階層化がどのように翌年変化したのか、こういったところをひとつ評価に加えてもいいのではないかなというふうに思っております。
 あともう1点、ICTの受診についてですが、このコロナ禍におきまして、私どももだいぶ実施が進んでおります。現在800人ほどの、ICTによる特定保健指導を実施させていただいておりますが、思ったよりも非常にスムーズで、私どもも往復の時間がなかったりとかするものですから、これ環境、物、物品ですとか、そういったものが整えば、非常に伸びていくのだろうなという、そんな印象を持っております。以上です。
○津下主査 ありがとうございます。ICTについては、そういうことで今まで対象にできないような遠隔地の方も対象にできたり、利便性もあるのですけれども、ICT導入をするときとか面談をするときに、何か留意されている点とかはありますか。
○中西構成員 はい、最初の頃は、やはりしっかりと通信状況が、環境が整っているかどうかというのを事前にチェックをいたします。これをしないと、今日の私の音声がつながらなかったように、事前のチェックをしても、やはり何かトラブルということはあり得ますので、事前のチェックをするということが一番かというふうに思います。
○津下主査 ありがとうございます。それでは田口構成員、お願いいたします。
○田口構成員 まずはストラクチャーについては、ヒアリングを市町村や企業の方にさせて頂いたところ、健診結果がご本人に行くのが遅いため、動機付けが難しいという問題点、さらに健診結果から階層化までの期間が長いので、そこでまた、忘れたころに保健指導の案内が行くため、ご本人は忘れてしまっているというような話を聞きました。こういう健診結果や階層化の通知が遅いという仕組みを改善することについて、この検討会で議論にあげてよいのかというところをお尋ねしたいと思います。もし検討できれば検討した方がよいという意見です。
 そしてストラクチャーについてもう1点、ポピュレーションアプローチとの連動が私は大事なのではないかと思っていますので、ポピュレーションアプローチとの連動については、本検討会でどの程度検討できるのかお尋ねしたいと思いました。。
 プロセスについてですが、アウトカム評価も大変重要ですが、プロセス評価も重要だと思っております。その中で特に、ここに書かれている指導内容や対象者の行動変容等の、分析できる変数を拾ってくるというのが難しい点だと思うのです。その変数の決定や収集方法を明確にすることで、よりアウトカムの要因分析が進むと思うので、ぜひこの点は進めて欲しいと思っております。
○津下主査 ありがとうございます。構成員の皆さんからストラクチャーに関すること、例えば今田口構成員が言われたのは、ポピュレーションアプローチと連動をさせて特定保健指導を行う、その地域につなげる、何かにつなげるとか、いろいろあるかと思うのですけれども、そういうものも何か評価の対象に入れたほうがいいのではないかというご意見というふうでよろしいですか。
○田口構成員 ポイントというところまでは、具体的に考えていなかったのですけれども、例えばマニュアルレベルでは、文言としてはそこまで入っていないので、もう少し具体的に示す等があるように思いましたので、ご意見させていただきました。
○津下主査 ありがとうございます。では阿部構成員までご意見いただいて、いったん厚生労働省事務局のほうから、何かコメントや追加の具体的なご質問があるかどうかということを伺いたいと思います。では阿部構成員、お願いいたします。
○阿部構成員代理 先ほど市町村の方から、国保はなかなか難しいということで、直営か委託かという話、これは大事かなと思っています。またそのICTの活用等については、今やはり都道府県単位でアプリの開発が非常に積極的で、それを市町村が自分のところで自らアプリの開発はできないけれども、都道府県と連携してそういうものを活用して、ポイントを取っているようなところもあったりしますので、次回、ICTを活用した特定保健指導の実施状況等、厚労省のほうからご報告があるということなのですが、やっぱり企業さんや何かと違って、市町村国保の場合には、先ほど来、話があるけれども、なかなか自分のところですべてというところは難しい中で、田口構成員がおっしゃってくださいましたけれども、例えば企業に食堂があるのであれば、地域には食環境整備として地域の飲食店であったりお弁当屋さんだったり、そういうものもあったりしますので、これは先々のプログラムの話になるかと思いますけれども、実際には、さっきも申し上げましたけれども、継続していただくという視点では、2kg体重を減らすということが、どういう環境でどういうプログラムにつなげていったら、その地域でできるのかということと、ICTの繰り返しになりますけれども、すべてが民間で行わなくても、各都道府県単位でどういうものがどんなふうに活用されているかということについても、ぜひ参考にしていただきたいなと思います。群馬県でも、市町村が自由に、こういう特定保健指導の中でも使えるようなアプリの開発なども行っていますので、そういうことも含めて、市町村国保への支援というのをちょっとまた検討していただければと。先の話かと思いますけれども、一応、次回からは鈴木構成員に代わるので、今日は自分の意見を述べさせていただきました。よろしくお願いいたします。
○津下主査 ありがとうございます。今は本当にいろいろなアプリが出ていて、特定保健指導専用のアプリというのもあるのですけれども、ずっと継続的に使えるアプリとか、どううまく活用していくかという視点も重要ですし、それから健康な環境につなげていくということ、運動をしていなかった人が運動実施率が上がるということも、これも本当に大きな目で見て、非常に重要な行動変容だと思いますし、一番よく言われたのは、喫煙者が禁煙して体重が増えたら合格できなかったという、問題ですね。禁煙することは健康のアウトカムとしてはいいということなのですけれども、2cm2kgには及ばなくなってしまうという、そんな声も伺ったことがあります。
 今の段階で、これまでの構成員のご意見に対してさらにとか、事務局から何かご質問等やご回答がございましたらお願いいたします。
○田邉医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。かなり宿題をいただいたのですけれども、まず年齢の部分ですが、津下先生からもご指摘いただきましたが、現在の特定保健指導におきまして、モデル実施の対象となりますのは積極的支援となっておりますので、40歳から64歳ということで、年齢は区切っておりますので、2cm2kgというものの対象になった方というのは一応お若い方というか、まだまだこれから頑張っていただく必要ある方に絞っているのではないかと考えております。おっしゃるとおり、フレイル等の問題もございますので、一概に、特に高齢の方に関しては議論がありますので、その辺についても、年齢等についても、どのあたりに絞った方がいいのか、それも含めてまたこの中でご議論いただければと考えております。
 2点目の、健診の結果がなかなかこなくて、保健指導までの時間が、というところは、それについては、第3期の見直しで、分割実施の形で初回面接について健診のときに同時に行うことが可能となるように、制度の若干緩和させていただいてはいるのですけれども、そのあたりについて、どれぐらい実態があるのかということについては、また今後議させていただこうと思います。
 あとポピュレーションアプローチですけれども、例えば保険者さんごとに身体状態の改善というようなアウトカムの評価等々を出すということになりますと、今度はいわゆるクリームスキミングの問題がまた出てきますので、じゃあ改善しそうな人にだけアプローチすることになるのも、またそれはそれで問題があると思っていますので、そのあたりは、どういう評価がいいのかというのは、まさにご議論いただいた中からお答えできればなというような方向で考えてはおります。
 あとアプリについてですけれども、アプリについては、例えば河原構成員の、モデル実施の件ですかね、週に1回記録するコースと毎日のコースで全然達成率が違うという、20%と70%と、こういうデータがかなりインプレッシブであると考えておりまして、やはり毎日記録するというようなことが大事で、そういうことがアプリの機能の要件とかに入ってくるのかなというようなことは考えているぐらいです。そのようなイメージでございます。以上でございます。
○津下主査 ありがとうございます。では安田構成員、お願いいたします。
○安田構成員 今まさに事務局からご説明がございましたストラクチャーですけれども、委託か直営かという二択のような書かれ方をしていまして、委託の中でも、健診機関が健診の後、そのまま保健指導をしていく当日実施については、私どももかなり力を入れているというところもありまして、どのように当日実施を進めるかというのは少し議論が必要だと考えております。ICTにつきましては、使われる方、受けられる方の特性、例えば若い人とお年を召した方、あるいは初回の方、2回目、3回目の方、いろいろなパターンがありますので、そこについては議論が必要ではないかと考えております。
 最後のアウトカム指標につきましては、どのようにして生活改善がなされたか、それを定着させるか、ということについてのアウトカム指標が必要ではないか。生活習慣の改善につながることにより、メタボを解消するということに着眼をしたようなアウトカム指標が必要ではないかというのが協会としての見解でございます。以上です。
○津下主査 ありがとうございます。重要なご指摘をいただきました。当日実施については、やはり分割実施などで初回するところと、継続するところの連携を、保険者がちゃんと調整するというルールになっていたと思うのですけれども、それがどのようにうまくいっているのかとか、課題が何か、どうすればいいのかというのは大きな問題かなと思いますし、アプリについても、どういう人に使っていくのがいいのか、アプリ自体の機能にどんな機能があればいいのか、特定保健指導で活用可能なアプリの要件は何かというのも検討しないといけないのかなと。何でもいいというふうに言ってもいいのかなと思ったりします。それからアウトカムどうやって測っていくのかというのも、重要な論点だということ、ご意見いただきました。ありがとうございました。加藤参考人、お願いいたします。
○加藤参考人 僕もポピュレーションアプローチは非常に大事だと思いますが、なかなか難しい。これだけメタボという言葉がはやり、最初のころは国民健康栄養調査でも若干肥満者が減りました。でも、メタボという言葉にも慣れて、最近は肥満が増えております。今回研究をしてみてわかった事は、9回も指導を受けている人はなかなか指導をしても微動だにしないような人たちが多く、やはり何か新しさが必要だと思います。だからこのモデル実施には新しさがあるので、より積極的に活用することを考えたほうがいいと思います。やはり制度は疲弊しますし、慣れも来ますので、思い切ってアウトカムなどの概念も入れて、達成できなかった人に追加の指導というのが非常に大事だと思います。この制度は意外にいい制度で、指導する側にも余裕が生まれて、できなかった人だけに集中していけば良いことになります。あと、最初の3ヶ月理解できなかった人には、比較的年配者では理解力の問題もあるかもしれません。痩せるための指導には、その一方でフレイルの問題も起きる場合もありますので、「あなたは単純な体重減少でなくてもいいですよと、現在運動はできてますから、それで問題ありません」というような、体重減少に捕らわれない個別の指導も大事と思っています。その様な指導の多様性も認められる指導を取り入れたり、何か変革を考える方向で物事を進めたほうがいいと思います。
 あとアプリは、意外に難しいところがあります。50歳前はたぶんアプリがいいのですが、50歳以降だとアプリにはそんなには期待しないほうがまだいいと思います。アプリの活用を否定しているわけではないのです。使える人にはどんどん使うべきです。でも毎日アプリをのぞいて記録できる人というのは相当な几帳面な方ですので、当然いい効果が出てくると思います。今、スマホはかなり普及して誰でも参加できますし、やはり電話よりビデオ通話の方がいいと思います。電話よりもICTを活用して、やはり顔を見てきちんとしゃべれる環境はすごく大事なので、電話をICTに変えるぐらいの、そんな積極的な方法も考えたほうがいいと思います。やっぱり面と向かって顔を見て、どこが問題点なのか、例えば、体重減りませんねと言ったときの顔つきはやはり大事なものだと思います。指導をする側とされる側の人間関係が大事だと思うので、ICTはどんどん活用する方向で考えてもらいたいとも思います。特定健診、特定保健指導においても、いろいろと新しいアイディアも入れていくと、また話題を呼ぶとも思います。
そういう意味でも、このモデル実施を考えていかれるといいのではないかと思います。
○津下主査 ありがとうございます。確かに、国民健康栄養調査でもいったんBMIが下がる傾向だったのですけれども、最近ちょっと、5年間ぐらいじわじわ高いほうにシフトしていまして、新しいメッセージが必要だと、確かに私もそう実感するところでございます。
 では河原構成員、小松原構成員、お願いいたします。順番にお願いします。
○河原構成員 ありがとうございます。分割実施のお話が出ておりまして、私どもも実施するに当たって、健診を受けてから保健指導を実施するまでの期間が非常に長いというようなことを実感しております。私ども、健診の代行事業などもやっていて、全国で3000ぐらいの健診機関の代行をやっているのですが、健診結果は、受診してから、1回私どもに来て、それから保険者さんにお返しするのですが、私どものほうで回収するまで4分の1ぐらいが受診日から1ヶ月以内で健診結果をいただけて、2分の1ぐらいが2ヶ月ぐらい、残りの4分の1が3ヶ月ぐらい。だから全部が揃うというのをだいたい3ヶ月ぐらいかかってしまうのが現状であるということがあると思います。
そうすると、その後保険者のほうに返して、対象者に案内をして、保健指導を実施しているということがありますから、やっぱり4ヶ月、5ヶ月ぐらい、今の流れだとどうしてもかかってしまうということがあると思いますので、ここのところの短縮化は、非常に重要なテーマと思っております。分割実施というのは、非常にいい形でできてると思うのですが、分割実施が広がらない状況もあると思っております。大手の健診機関さんだと専門職の方がそこにいて、対応するかと思うのですが、その日に保健指導対象になる方ってそんなに多くなくて、マンパワーをそこに1日ずっと確保して実施をするという健診機関はそれほど多くないのかと思っております。だから例えばICTでどこかと連携するとか、そういったちょっと規制緩和的なことをぜひ今回の議論の中でやっていただいて、先ほど先生もお話しになっておりましたが、保険者がコントロールするというのは非常に大事だと思うのですが、健診を受けて、すぐ健診機関と例えば保健指導機関が連携をするみたいな形というのがとれると、そこのマンパワー不足みたいなものが解消できる道筋が立つのかなというふうに思いました。
 もう1点、2kg2cmの話がずっと出ているかと思います。私のほうもモデル実施をやらせていただいて、2kg2cmというのはとてもわかりやすくて、加藤先生は損失回避というお言葉を言われていましたけれども、2kg2cmできないと卒業できないから落第であと3ヶ月みたいな、そういう動機付けというのは、すごく確かにあると思いました。ただこの2kg2cmというのが、先生方のご議論でもあるように、すべての方についてあてはまるものではなくて、その人によっては例えば受診をすることがいいとか、たばこをやめることがいいとか、そういう、その対象者によっていくつかの、多分カテゴリーがあると思うのですが、それを標準化して見える化すると、その人はすごくやる気になると思うのです。今だと体重の4%削減とか、個別に立てるというのはすごくいいと思うのですが、2kg2cmやると卒業できるみたいな、明確な目標みたいなものが、その方によって何パターンか明確になっていると非常に動機付けがしやすいのかなと思っております。そういった目標の標準化みたいなものを進めていただくということも、ぜひ検討していただけるといいかと思いました。以上です。
○津下主査 ありがとうございます。それでは小松原構成員、お願いします。
○小松原構成員 ありがとうございます。先ほどの加藤参考人のお話と通ずる部分もあるのですが、国の目標の保健指導45%というのがありますが、実際に180ポイントをすべての対象者に投入できるだけのマンパワーが、市町村を含め我々職域にあるかと聞かれたときに、私は少し疑問に思います。目標の45%やメタボを対象とした特定保健指導の仕組みについて否定する気はないのですが、この制度ができて十年経過し、未だに20数%しか保健指導実施率が上がっていないことを鑑みると、なぜ実施率が上がらないのか今一度振り返り検証しないといけないと思います。新たな仕組みの議論よりも、なぜ20数%しか上がらないのか、そこに立ち返りどういう手法を入れていくべきかを議論していかないと、今後も実施率は上がらないと思います。加藤参考人がおっしゃったように、ある意味、制度は疲弊もしてくるので、新たな視点を入れてチャレンジをしていかなければいけないのですが、新たな視点を入れるに当たっては、今まで何が問題だったのかということを今一度厚労省において、効果検証してほしいと思います。保険者の努力不足だけで20数%の低位の保健指導になっているとは考えられないので、そういう視点での検証をお願いしたいと思います。
○津下主査 ありがとうございます。私から1つなのですけれども、例えば受診対象判定値の方で、積極的支援、糖尿病や高血圧で受診を勧奨する人なのですけれども、積極的支援該当の方の場合は、受診してしまうと脱落になるのです。今の制度だと。本来は、そういう方は受診につなげる指導であって、受診につながったアウトカムでプラス評価であるべきが、それがマイナス評価になっているということがあります。また肥満についても、6ヶ月程度頑張って指導しても効果がなければ薬物治療をするとか、そういう生活習慣病のガイドラインがある中で、また肥満についてもBMI35以上だと、最近肥満症の手術などもあって、そちらのほうがアウトカムがよいというエビデンスも出ている。生活習慣改善よりも手術という選択肢もあるという中で、受診勧奨をどう評価していくかというのも、ひとつ考えていかないといけないかなと。しっかり受診につなげること、保健指導期間の間に生活習慣を改善しながらも、医療につなげるということも保健指導の重要なポイントではないかなと思って、その辺、アウトカムにも検討していただくといいのかなと思いました。
 後半の議論について、事務局側からご質問、ご意見がございましたらよろしくお願いいたします。
○田邉医療費適正化対策推進室長 事務局でございます。たくさんの宿題をいただいたのですけれども、まずアウトカムに関する行動変容の評価についてですけれども、おっしゃるとおり、2cm2kgまで行かなくても、食生活とか運動習慣に関して行動変容が起こっていることについて、いわゆる中間指標のような感じで評価するというのは、我々も、そんなことがあればいいのかなというふうに考えておりますので、まずそのあたりは、どういったアウトカム指標がいいのかというところにつなげたいと思いますので、わかりやすい2cm2kgというもの以外については、その前の段階のところでどういう点が評価するのにいいかというところは先生方にご指導いただければと思っております。
 新しいメッセージのところですが、最近はメタボというだけで通じるのですけれども、私が医者になったころは成人病から生活習慣病に変わったころで、メタボリックシンドロームというフルネームを言うようになったのですけれども、略して言われるというのは、社会への浸透かなと思っておりまして、コンビニエンスストア、コンビニというのは皆さん今言いますけれども、最初のころはみんなフルネームで言っていたのが、そういう点ではメタボ健診もある程度の周知・啓発効果があったのではないかなと、私個人的には思っております。そういう点を含めてまた新しいものを出していけばいいなというのは、おっしゃるとおりだと思います。
 あと初回のICTの活用というところですけれども、初回の面接におけるICTの活用というのは徐々に緩和等させていただいておりますので、そのあたりうまくお伝えして、より初回のときもうまくICTを使ったような、いわゆるオンラインでの面談というものを活用していただくことについて、もう少し事務局のほうでもしっかり出していくように努力したいというふうには思っております。
 あと効果検証については、おっしゃるとおりですので引き続き考えていこうと思っております。受診勧奨についてですが、先生おっしゃるとおりで、例えば血圧180とかになると当然降圧剤を飲んだほうがいいということなのですが、プラスやはり塩分制限とか生活習慣の改善というのは当然やったほうがいいですので、その辺りをうまく保健指導完了に入れるかというところは、ご議論いただきたい点ではありますので、医療機関を受診しかつ生活習慣の改善について指導を受けて、というところをどのように評価するかというのもアウトカムの1つかなと思いますので、ご指導をいただけばというふうに考えております。事務局からは以上でございます。
○津下主査 ありがとうございます。
○五十嵐健康局健康課保健指導室長 健康局健康課保健指導室、五十嵐でございます。先生、ご意見たくさんいただきましてありがとうございます。1点だけなのですけれども、先ほど180ポイントの関係で、検証が必要ということでご意見いただいておりまして、180ポイントが導入されて、ある程度、一定程度の受診率の向上というものにはつながっているのかというふうには考えております。それで、その後、効果がどれだけ、思っていたほど、もしかしたら貢献していないかもしれない可能性もあるということで、今まさにモデル実施のような検討が始まっているのかなというふうに考えておりまして、このあたりも少し保健指導の効果と、あと新たな仕組みの中でのICT等々を活用した保健指導の、実際どのぐらい効果があるのかというところも併せて、次回のおそらく検討会になると思いますが、もう少しデータ等々を出させていただくことにはなるかと思いますので、その中で引き続きご議論いただければというふうに思います。
 あとはやはり制度の評価の問題と、やはり個人のいわゆる健康改善をどれぐらいしていくかというところの評価と、おそらく現場のほうではその2つを双方で実施しているかと思いますので、そのあたりの観点でもまたご議論いただければなと感じております。ありがとうございます。
○津下主査 ありがとうございました。そろそろ時間になってきましたけれども、これだけはというご発言はございますでしょうか。特定保健指導、15年になってきますので、新しい切り口とか、これまでの成果を踏まえた次の段階へ進む、また技術的なことや、それから健康経営とか健康なまちづくりということ、国民の意識もずいぶん変わってきたということもありますので、よい方向へ向かっていけばというふうに思います。ただ、今回加藤先生のところで差がなかったというのもあるのですけれども、すべての保健指導機関でやってそうかということも検証が必要かと思いますし、しっかり初回面談がうまくいく状況だったらそうだけれども、初回面接が、どういうポイントがないとうまくいかないかとか、いろいろなこともあろうかと思います。いいデータだけ見て飛びついてしまうと、全国展開すると何か、ああがっかりしちゃう、みたいなこともあるかもしれないので、またそのあたり慎重な議論もしながら、次期に向けて検討していければいいかなと思いました。
 よろしいでしょうか。追加のご意見等は。ありがとうございました。
 それでは本日の議事は以上で終了したいと思います。それでは事務局から、次回の日程等、連絡事項をお願いいたします。
○後藤保健事業推進専門官 それでは次回のワーキングでございますけれども、日程につきましては事務局で調整の上、改めてご連絡をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○津下主査 ありがとうございました。今日は本当に活発なご議論、そして具体的なお話をたくさんいただいたと思っております。また引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
 本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しい中、ご参集いただきましてまことにありがとうございました。
〔了〕