第8回外国人雇用対策の在り方に関する検討会 議事録

日時

令和4年2月4日(金)15:00~17:00

開催方法

オンライン開催

出席者

  • 天瀬 光二
  • 九門大士
  • 是川 夕
  • 酒井 正
  • 佐久間 一浩
  • 杉崎 友則
  • 新田 秀司 
  • 山川 隆一(座長)
  • 山脇義光

議題

  1. (1)外国人雇用状況について
  2. (2)新型コロナウイルス感染症禍における外国人雇用の状況について
  3. (3)外国人の雇用・労働等に係る統計研究会の中間報告について
  4. (4)外国人雇用対策の最近の取組について
  5. (5)その他

議事

議事内容
 
○山川座長 それでは、時間になりましたので、ただいまから、第8回外国人雇用対策の在り方に関する検討会を開催いたします。皆様方には本日、御多忙のところお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。本日の検討会は、こちらの会場とオンラインで開催いたしまして、今回も検討会の様子をYouTubeで配信するということですので、事務局から開催方法について説明をお願いします。

○国際労働力対策企画官 事務局の企画官の安井と申します。よろしくお願いいたします。オンラインで御参加いただいている皆様からの発言についてお願いがあります。オンラインの方は、事前にお送りしております「会議の開催、参加方法について」を御参照ください。座長が、御発言を希望される方を募ります。会場の方は挙手を、オンラインの方は「手を挙げる」機能を使って手を挙げていただきたいと思います。こちらから御発言される方を指名させていただきますので、指名された後に発言を開始してください。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただきまして、可能な限りゆっくり分かりやすくお願いいたします。また、発言後は必ずマイクをミュートにしてくださいますようにお願いいたします。オンライン出席の方で操作などの質問がある場合は、事務局までお知らせください。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。また、事前に登録された方に限り、本検討会をYouTubeで配信しておりますが、会議映像の録画、録音は御遠慮ください。傍聴される皆様におかれましても、御理解、御協力をお願いいたします。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第、それから資料1、資料2、資料3、資料4、資料5となっております。こちらの資料に不備がございましたら、事務局にお申し付けください。事務局からは以上でございます。

○山川座長 ありがとうございました。議事に先立ちまして、まず本検討会の構成員の交代がありましたので御報告させていただきます。資料1を御覧ください。冨高委員が退任されまして、代わりまして、日本労働組合総連合会労働法制局長、山脇委員に御就任いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の委員の出欠状況ですけれども、友原委員が御欠席で、佐久間委員が途中からの御出席と伺っております。それから、オブザーバーとして、出入国在留管理庁政策課から御参加いただいております。カメラの頭撮りがあります場合はここまでとなっております。
 では、議事に入ります。まず関連した話題として、議題1「外国人雇用状況について」及び議題2「新型コロナウイルス感染症禍における外国人の雇用状況について」、この2つの議題について事務局から説明をお願いいたします。

○国際労働力対策企画官 それでは、企画官の安井から、画面を共有させていただき、資料2から御説明いたします。
 外国人雇用状況届を事業者の方に提出していただいておりますが、それを年に1回、10月末現在の数字を取りまとめて公表しているものです。昨年10月末の数字としては、172.7万人の外国人の方が現在、日本で働いておられます。
 内訳ですが、まず全体といたしましては0.2%増です。横ばいというところかと思いますが、増加はしておりますので172万7,221人で、過去最高を更新しております。それから、在留資格別にそれぞれ若干詳しく御説明いたします。まず、減っている在留資格としては、技能実習が40万2千人から35万2千人に減少しております。資格外は、主に留学が多いわけですが、こちらは37万人から33万5千人に減少しております。これについて、増加している在留資格もあり、身分系は54万6千人から58万人に増加しております。少し見にくいですが、特定活動は4万6千人から6万6千人に増加しております。専門的・技術的分野は36万人から39万5千人に増加しております。学生だった方が就職される自然増があります。それから身分系の方につきましては、経済状況がよくなかった関係で、従来は働いていなかった方が就職される、いわゆる労働力率が増加していることが寄与しているのではないかと考えております。
 次は、産業別にみた外国人労働者数の推移です。製造業が最も多く、その次にサービス業と、その他というのはこれに分類されないもので、派遣です。それから卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業という順番については変更ありませんが、個々の産業で若干変動がありました。例えば製造業につきましては48万2千人だったものが46万6千人に減少しております。こちらは技能実習の減が大きいのではないかと考えております。また、派遣に関しましては27万7千人だったものが28万2千人ですが、こちらは身分系の労働者が増えていることと関連があると考えております。卸売業、小売業、宿泊業につきましては、ほぼ横ばいですので、インバウンド需要の減少によるものと考えているところです。
 続いて国籍別です。国籍別では、ベトナムが一番多く、次は中国、フィリピンで、順番については変わっておりません。直近の推移を見ますと、増加したのはペルー、フィリピン、ブラジルですので、身分系の労働者が増加していることと一致しているところです。
 続きまして、在留資格と国籍をクロスしたものです。それぞれの国によって特色があります。例えば、ベトナムについては技能実習が44.6%で半分近くあり、なおかつ留学生も26.9%と多いです。インドネシアについては技能実習が56.3%で、圧倒的に大きいです。ネパールについては留学が67.8%で非常に多いという特徴があります。またフィリピン、ブラジル、ペルーにつきましては身分に基づく在留資格で、定住者や日本人の配偶者が多いということです。
 続きまして、産業別の外国人労働者数については、先ほど説明したとおりですが、製造業が27%で、その半分ぐらいが宿泊業、飲食サービス業と、卸売業、小売業があります。派遣に属するものが16.3%です。外国人雇用事業所数につきましては、労働者の延びが0.2%だったところ、事業所の延びは大きく6.7%増です。当然、事業所当たりの平均外国人労働者は少なくなっておりますので、中小零細における雇用が進んでいることを示していると認識しております。
 続きまして、資料3に進みます。こちらは、ハローワークシステムから抽出したデータを分析して毎回御説明しているものです。ハローワークにおける外国人新規求職者数の推移です。縦棒が全体値ですが、最近減少していることを見ていただけるかと思います。青い点線が2019年の同月比ですので、コロナの発生前の状況と比較した数字です。こちらにつきましては8月に説明したときは1.41倍で、まだコロナ前と比べると求職者は多いという御説明をしましたが、その後は減少しており、昨年10月以降はコロナ前の新規求職者数を下回る水準で推移しているところです。この数字を見る限り、コロナの影響はかなり薄れてきていると考えております。
 次は、非自発的離職の割合の推移です。これは主に解雇を示す指標です。当初68.6%まで高まってきておりましたが、その後、青い実線につきましては順調に減少を続けており、直近では40.3%まで減少しているところです。この紫色の点線が、2019年の同月の数字ですので、その数字と比べても昨年10月以降は、2019年の水準を下回ったレベルで推移しております。一方、赤い実線が日本人で、日本人の非自発的離職の割合と比べると、外国人のほうが一貫して高いという構造的な問題については改善されていない状況です。
 続きまして、非自発的離職の割合を在留資格別に細かく分けたものです。まず、身分系ですが、永住者、日本人配偶者や定住者の方については、大体同じトレンドで推移しておりますが、その水準の高さにつきましては違いがあります。定住者が一貫して高い状況です。この状況は現在も変わっておりません。50%の定住者の方が、いまだに非自発的離職をしていることになります。これは、派遣労働などが多いことが影響していると考えております。この水色の実線は、技術・人文知識、国際業務、いわゆる技・人・国と言われる方ですが、こちらも一貫して減少しており、一時は一部の身分系よりも高い水準でしたが、現在は31.5%で、身分系全体と比べても低い水準で推移しております。これを見る限り技・人・国の方々に対する解雇は、コロナ前と比較して、ほぼ治まってきている状況です。
 続きまして、次のページは新しい分析をしたところです。先ほど身分系の労働者がなぜ増えているかが疑問でしたが、在職者を除く新規求職者のうち、無業者であった方、あるいは前職が非雇用という、例えば自営業であった方の割合を示しています。赤の実線が日本人で、緑色の実線が身分系の外国人ですが、ちょうどコロナがあったときには、コロナの緊急事態宣言があった2020年4月ぐらいにはドカンと下がっておりますが、その後は戻ってきております。身分系は、日本人より一貫して高い状態です。より詳しく分類いたしますと、オレンジの「日本人・永住者の配偶者等」の無業者の率は高いわけですので、これらの方の全員が直ちに就職しているわけではありませんが、労働力率が高まる方向でずっと圧力が掛かっていますので、身分系の労働者が増えていることと矛盾しない数字となっていると考えております。
 続きまして就職率です。この青い実線が外国人の就職率です。一番悪いときは、8.1%で、その後はアップダウンしていますが、現在は16%という数字まで改善しております。紫色の点線は、2019年コロナ前のそれぞれの同月の数字ですので、昨年12月にコロナ前の就職率の数字まで、やっと戻った状況です。一方、赤茶色の実線が、日本人の就職率です。こちらにつきましては、常に外国人より15ポイントぐらい高い状況は変わっておりませんので、外国人のほうが、就職率が低いという構造的な状況は何ら変わっていない状況です。
 続きまして、この外国人就職率の推移を、より細かく分けたものです。まず、身分系の在留資格につきましては大体同じようなトレンドですが、やはり定住者がずっと低い状況は変わりません。これは派遣などが多いことによる影響と考えております。一番下にある青い実線は、技・人・国で9.9%ですので、いまだに技・人・国の就職は厳しい状況です。
 次のページからは求人の状況で、ハローワークにおける外国人向けの新規求人です。求人というのは、求人受理時に明示的に外国人向けであると把握した求人ですので、これだけで職業紹介しているわけではありませんが、1つの指標として使えるので御紹介しているものです。棒グラフを見ていただけるとお分かりのように、かなり数字的には延びていますし、赤の点線が2019年当時の同月比ですので、昨年9月以降は2019年同月を上回る水準で推移しておりますので、外国人向け新規求人については、コロナ前の状況に復帰しております。こちらは有効求人ですので、先ほどの数字が平らにならされた形になっております。
 次は、在留資格別の有効求人数の推移です。専門的・技術的分野と、それ以外の2つにしか分けられませんが、左側は専門・技術分野です。一見、増えているようには見えますが、2019年の比を取っているのが、この赤の点線です。一時0.83まで回復した後、またドカンと落ち、現在も0.77ですので、技・人・国など、専門的・技術的分野の求人につきましては、いまだにコロナ前の状況よりも2割程度低い状況で推移しております。右のグラフの専門的・技術的分野以外につきましては、先ほど申し上げた全般的な求人状況と同じような数字となっております。
 こちらの原因の1つとして、外国語使用求人の推移があります。外国語を使用する職場の求人は、数字も延びておりません。赤の点線が2019年同月比ですが、大体0.5の状況から横ばいで推移しており、全く改善の兆しが見られません。いわゆるインバウンド需要が低迷していることによるものと考えておりますが、技・人・国のうちの国際業務については、こういった職種で就職される方が多いので、求人が少ないことになれば就職率もなかなか上がらないことになるかと思いますので、こちらの求人の延びないことが専門技術の求人全体を押し下げて、就職率を押し下げている原因ではないかと考えております。説明は以上です。

○山川座長 それでは、ただいまの事務局からの説明の内容について御質問、御意見がありましたらお願いいたします。御発言の際には、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただければと思います。御質問、御意見等はありますでしょうか。是川委員、どうぞ。

○是川委員 国立社会保障・人口問題研究所の是川です。本日は、資料の御説明をありがとうございました。私からは2点あります。1点目は、雇用状況届に関することです。新型コロナ禍の影響が2年に及ぶ中、2021年の外国人労働者数が微増したことは、非常に驚きでした。一方で、技能実習生が大きく減少したり、留学生の資格が格差を大きく減少したにもかかわらず、留学生の就職を中心とした技・人・国の増加や、身分系の外国の方の労働力率の上昇によって全体として労働者数が微増したことは、彼らが日本の労働市場、ひいては日本社会に必要不可欠であり、深く定着していることが改めて示されたのかなと感じております。
 2点目ですが、労働市場の動向について、ハローワークのデータを掲示的に見ていくという試みは本検討会で始めて示されたわけですが、1年近くを通して見ていく中で、趨勢が分かるようになったことの意義は大変大きいと感じました。一方で、継続して見えてきていることとして、外国の方は事業主都合で解雇されやすく、就職率が低いことで雇用されにくいという状況は構造的にあることも明らかになったわけですが、一方でコロナによる雇用情勢の悪化から回復の過程を継続的に追えるようになったことの意義は大変大きいのではないかと考えています。以上です。

○山川座長 ほかにありますでしょうか。山脇委員、どうぞ。

○山脇委員 連合の山脇です。このたび、冨高に代わりまして参画させていただくことになりました。外国人労働者、あるいは外国人求職者の保護の観点から積極的に参画してまいりたいと思います。御指導をよろしくお願いいたします。私からは、資料3の外国人雇用の状況について、1点発言させていただきたいと思います。
 ただ今、是川先生からもありましたとおり、ハローワークのデータを基に分析されたことは意義のあることだと思います。ただ、特に技・人・国などの専門職種の求人などは、ハローワーク以外の手段で求人募集されることが多いのではないかと推察しております。先日、閣議決定されました職安法改正法案では、求人サイトなど、募集情報等提供事業者を法の適用対象とし、官民連携の主体と位置付けることになると承知しております。今後は、募集情報等提供事業者を含めた外国人労働者に対する求人全般について分析していくことで、より適正に状況を把握していくことを検討していく必要があるのではないかと考えております。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等はありますでしょうか。事務局から御発言はありますか。

○外国人雇用対策課長 是川委員、山脇委員、コメントをありがとうございました。今、山脇委員からありましたハローワークの制約という点について簡単にコメントをさせていただきたいと思います。御指摘のとおり、こちらに載っている就職率などは、ハローワークのデータです。外国の方がハローワーク以外の経路で就職していることは当然あり得ることです。ハローワークの特性として、例えば、身分系の方にマッチした仕事はたくさん提供できるものの、技・人・国にマッチした仕事はなかなか御用意できないというのは、これから出てまいりますツールなどで一生懸命やっていきたいと思いますので、引き続き御指導いただきたいと思います。
 また経路ということで申し上げますと、外国人の方が実際に、どのように労働市場を利用しているのかという点については、この後の資料で、新たな統計の整備について御紹介したいと思います。統計の設計などに、頂いた御意見を反映させることができればと思っております。以上です。

○山川座長 ただいまの点に関連いたしまして別の点でも結構ですけれども、ほかに何かありますでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、特段ないようですので、議題3「外国人の雇用・労働にかかる統計研究会の中間報告について」及び、議題4「外国人雇用対策の最近の取組について」の2つの議題について、事務局から説明をお願いします。

○国際労働力対策企画官 それでは、資料4について説明いたします。こちらについては前回の検討会でも報告いたしましたが、外国人の雇用・労働にかかる統計整備について専門家の研究会を開催しておりますので、そちらの開催状況について説明いたします。まず外国人の雇用・労働にかかる統計整備に関する研究会ですが、労働政策研究研修機構の理事長の樋口先生を座長にお迎えし、外国人の統計に様々な形で取り組んでこられた専門家の方々にお集まりいただいて検討しているところです。こちらの検討状況の中間的な取りまとめについて説明いたします。
 まず、背景としては、こちらの検討会で取りまとめていただいた中間取りまとめにありますように、関係諸機関が連携して、日本人と外国人が比較可能な統計を新たに整備することを含めて検討し、エビデンスに基づく外国人雇用対策の立案と基盤整備を目指すべきだという提言に対応するものです。
 新たな統計の整備の方向性として、現在の既存統計の調査項目を統合した外国人を対象とした新たな公的統計を新設すべきだという御意見が出ております。この既存統計というのは、雇用動向調査、就業構造基本調査、労働力調査などの質問内容をコピーして、全く同じ質問を、外国人だけを対象にした公的統計において調べるというやり方です。こちらで何ができるかということですが、既存統計の雇用状況と、外国人の雇用労働状況を比較できるということですので、ほとんどが日本人であるようなオールジャパンの数字と外国人の雇用状況が比較できるようになります。また、統計ですので、職種別、産業別、在留資格別に詳しい分析をすることにより、外国人労働者の労働条件などの把握・分析が可能になるということです。
 もう一つ、やり方としては、賃金センサスに行っておりますように、既存の個別の統計に在留資格を追加するという方法もあります。先ほど説明しましたように、外国人労働者は172万人で、日本全体の雇用労働者が大体6,000万人少々おりますので、全体としては2%後半ぐらいの数字しかいないわけです。これを更に、在留資格などで小分けをしていくことになると、余程サンプルサイズがないと有意な数字が出ないということで、全ての統計について在留資格などを追加していくことはなかなか現実的ではないということで、先ほど申し上げたように新しい外国人専用の統計をつくることを提言いただいているところです。
 それから、新たな統計調査の対象としては、事業所調査と世帯調査というものがあります。厚生労働省が実施しております雇用労働統計については、事業所でなければ答えられない事項も多いということですので、事業所に調査を行って必要に応じてそちらの従業員の方にも調査をするという形でやっています。この形は、先ほど説明しました外国人雇用状況届けのデータベースを用いることにより、外国人を雇用する事業者を把握することは比較的容易です。もう一つは世帯調査ですが、こちらは労働力調査あるいは生活状況関係の統計で行われているもので、例えば失業率を計算する場合には非労働力人口も必要ですので、こういった統計を取られているわけです。この場合、非労働力人口を含む在留外国人を包括的に把握するデータベースが必要ということです。厚生労働省で把握しているデータベースではなかなか実施が難しいということですので、新たな外国人統計は当面事業所を対象とした調査として、世帯を対象とした調査については引き続き検討するということを提言いただいているところです。
 続いて、新たな統計の内容です。まず属性事項というものがあります。こちらについては、外国人特有のもの、在留資格や国籍など、当然これは調べるとして、それ以外に、在留期間あるいは出生地も、例えば先進国で生まれたのか開発途上国で生まれたのかは大分違いますし、例えば最終学歴の取得も、先進国で大学を出たのか開発途上国で大学を出たのかによっても違います。あるいは、母語が英語なのか、そうではないのか、また日本語能力がどうなのかということが、当然のことながら雇用労働条件に大きく影響する可能性がありますので、そういった属性を調べることで、それによる雇用・労働の状況への影響を調べることができるようになります。それから当然、日本人と同様に、性別、年齢、最終学歴といったものの属性情報も調べるということです。
 調査の集計項目ですが、先ほど説明しましたように既存の統計の調査項目に合わせるということです。先ほど、3つの統計を上げておりますけれども、その3つの統計を念頭においているわけです。まず、就業構造基本調査を念頭において、就業上の地位、雇用形態、就業日数、職種、収入、勤続年数、訓練・自己啓発などを調べます。また、先ほどもありましたが、どのような経路で入職して、どのような経路で転職していくのかということについては、雇用動向調査があります。こちらについては入職経路、外国人の場合は外国から来るという場合もありますので、国内外の入職経路と前職情報についても調べると。それから外国人については、お子さんの状況などもありますので、子供がどれぐらいおられて、きちんと学校に行っているのか、あるいは外国人特有の問題として仕送りをどれぐらいしているのかといった問題については、外国人の場合は既存統計等の比較ができないわけです。こういったものについても調べるということで御議論を頂いております。
 また、回収率を高める工夫としては当然、多言語対応、あるいはオンライン回答なども組み合わせるということですし、また質問数が多くなりすぎると回答率は下がる傾向があるということですので、特に労働者の方に対する調査についてはできるだけ質問項目を減らすと。スケジュールについては、令和4年度に調査計画等を作成した上で、総務省の審査を頂いた上で、令和5年度から実施するというスケジュールを考えています。こちらの資料は以上です。
 続いて、資料5を説明いたします。こちらについては中間取りまとめで提言いただいた内容について、フォローアップをしているところですが、前回説明したときから動きのあった項目に絞って説明いたします。
 まず、文化ギャップということで、「できることリスト」というものを作るということを前回説明いたしましたが、これを改訂する予定です。「できることリスト」というのは、とにかく外国人がどういった場面において、どれぐらいのことができるかということを客観的にレベル別に定めて、求人をするときに、我が社ではこれぐらいのレベルの方がいないと困りますというものを、聞き取りと職業紹介の場では、この方についてはこれぐらいのレベルであるので、両者のレベルが一致するところでマッチングをするといった形で就職率のアップを目指すという趣旨のものです。
 内容については幾つか改善しております。1つは、円滑な職業紹介・求人開拓を行うための具体的な就業事例をかなり詳しく定めております。「レベル1」は、顧客とのやり取りがなく、上司・同僚から簡単な指示を受けて行う単独業務ですので、いわゆる製造のラインの仕事や、農産物の収穫といったものがあります。「レベル2」は、顧客や上司・同僚との限定的定型的なやり取りで実施可能な業務ということで、機械オペレーターやベッドメイクなどの顧客が少ない場所で行う業務です。「レベル3」は、顧客等とのやり取りで、不明なことがあった場合、上司や同僚が助けてくれれば実施可能な業務です。例えば、レジ打ちやオーダーのようなもので、何かトラブルがあれば、そばにいる日本人に助けてもらうことを前提の上でするというような業務です。また、その下に書いてあるのは4技能別になっています。「聞く、話す」はできるのですが、「字を書けない」という方もおります。そういった者も「聞く、話す」ができれば、レベル3の就職ができる場合もあるということが、注意書きとして入っております。
 こちらは「できることリスト」の本体の部分です。まず、「できること」が言語4技能別で、「聞く、話す、読む、書く」に分かれております。例えば「聞く、話す」ではレベル1は、日常的に接する相手とゆっくりと気を付けて発音されれば簡単なやり取りができると。レベル2では、日常の話題であればコミュニケーションをとることができる。レベル3は、職場内で上司や同僚が助けてくれるならば、説明や相談もできるといったレベル別のものになっております。また、厚生労働省では、「令和4年度外国人就労・定着支援事業」として、日本語の研修も行っておりますので、この「できることリスト」は、それぞれのレベルについての学習到達目標としても用いる予定で、そのための標準のモデルカリキュラム、あるいは講習の手引も併せて開発しており、これを来年度以降に実施していく予定です。
 続いて、就職率のアップのためですが、外国人雇用事業所データベースの整備による求人開拓・マッチングの強化です。雇用状況届の情報には、どこの事業場に、何人ぐらいの方が、どういう資格の方がいるというデータがあります。それと、ハローワークの求人職業紹介等の情報を、事業所番号を使って紐付けして整備したものです。これによって、求人開拓やマッチングが図れるということです。やり方は、例えば在留資格や都道府県、産業分類を入力すれば、それに応じた数字の上位25位が順番に出てくるという形です。
 具体的には、例えば製造業で、ある都道府県でやってみると、こういう数字が出るわけです。今年の数字と去年の数字があって、それを引き算して、今年はどれだけ増えたのかということが出ますので、その増えた順から並んでおります。例えば専門技術系の方の求職を受け付けた場合、専門技術系の方が就職している会社はどこかなということで、多いのは、例えばEやFは人数が多いということが分かるわけです。また、Eは過去に求人がほとんど出ていないので、こういった所を求人開拓しましょうとか、身分系で求職があった場合、Cはかなり身分系で採用されていますが、過去5年間ハローワークに求人が全く出ていないので、こういった所に求人開拓をしようかなと。また、マッチングするときも、例えばFという事業所は、51件紹介して18人が就職しておりますが、Gという所は、33人紹介していますけれども全く成立していないということです。こういった就職率も考えながら、マッチングサービスや紹介をすることもできるということで、求人開拓とマッチングの両方に使えるシステムとしてハローワークの職員に、このデータを昨年12月に配布しているところです。
 続いて、こちらもハローワークの職業紹介の効率を上げるための取組です。前回も説明いたしましたが、ハローワーク窓口における求人票の英語への自動翻訳です。ハローワークに行かれないと求人票はなかなか御覧にならないと思いますが、非常に詳細な情報が記載されているものです。例えば、日本人の場合は、所内にある自己検索機を使って、自分で働きたい場所や職種、賃金といったものを調べた上で、これがいいかなというものを幾つか選んで、窓口に行って職業紹介の相談をすることになります。外国人の場合は、これを読めないということですので、通訳を介して徒手空拳で議論すると、かなり窓口も負担がかかってきます。それを若干でも改善するために、求人票を英語に翻訳するという仕組みをとったわけです。こちらは機械翻訳ですので、必ずしも美しい英語になっているわけではありませんが、読んで意味が分かる程度のレベルにはなっておりますので、これを相談員とやり取りをしながら相談員が希望の職種を聞き取ったり、幾つかを選んで印刷して、それを見せて、その中から求職者がいいものを選ぶといった、口頭でのやり取りだけでなくて書面を見ながら詳細な情報を踏まえながら紹介ができるようになることを目指しているというシステムです。こちらについては今年の3月から運用を開始する予定です。
 続いて留学生の関係です。留学生に対する支援は、従来から外国人雇用サービスセンターにおいて様々な取組を行っているわけですが、コロナの関係で大分制約はありましたが、その合間を縫って、こういった合同就職面接会やオンラインのWeb用説明会を開催して、相当な人数、例えば合同面接会では336人といった人数に参加していただいております。そのほかにミニ面接会、あるいはモデルカリキュラムを用いた就職支援セミナーなどを行っています。
 留学生については、前回も説明しておりますが、連携協定を結んで、1年生から継続的に支援するという仕組み、それから具体的な内容としてモデルカリキュラムを作り、1年生から日本の就職活動の進め方などの準備をしていただくというカリキュラムを作成しております。こういったものを踏まえて、全国に5校、上智大学、名城大学、立命館大学、西南学院大学、福岡大学と、現在は協定を結んでおります。2021年上半期の実績としては、就職ガイダンスの開催やインターンシップ情報の提供、あるいはハローワークの求職登録や個別相談などを着々とやっています。一方で、下半期については、主にモデルカリキュラムを用いたセミナーなどを中心に、引き続き支援を行っていく予定にしております。
 続いて、NPOや外部団体との連携です。前回はNPOとの連携を説明いたしましたが、今回は行政書士会や、使用者団体である商工会議所との連携について、説明いたします。まず、子供に対する支援ですが、都立南葛飾高校は、在京外国人生徒を対象にした入試で、面接や作文で受験できることをやっている都立高校8校のうちの1つですが、そちらの先生方を対象に、在留資格によって様々な制約があることや、いわゆる正規就職するための条件といったものを御理解いただくためのセミナーを開いたところです。こういった中で現在進めているのが、「外国につながるためのキャリアシート」です。こちらを先に説明いたします。子供は「いつ来日したのか」、例えば小学校で来日すると定住者になれます。中学ですと定住者になれませんが、特定活動にいくことができます。一方で、高校で来た方については、N2を合格しないと特定活動になれないとかの様々な条件があります。また、いずれのケースにおいても、高校を卒業しないと正規職員で働くことが難しいという状況があります。こういったことを踏まえて、キャリアシートというものを作っております。キャリアシートでは、そもそもお父さんお母さん方はどういった在留資格でいるのか、日本にいつ来たのかということをきちんと把握した上で、先ほどの在留資格の流れに沿って、あなたはN2を取らないといけないので、このように勉強していきましょうということを指導するキャリアガイダンスのシートを現在、神奈川県行政書士会と協力しながら作っております。
 もう一点は、定住者の方について、定住者の子供は定住者ということで就職上の制限はないのですが、両親が派遣であると子供も派遣になる傾向が強いということですので、こういった者については、日本の雇用慣行などをよく説明して、初任給は派遣のほうが高いけれども長期的にみれば正規雇用のほうが高くなるといった内容を理解いただくような話も行っているところです。
 続いて、商工会議所とハローワークが連携した取組です。こちらについては千歳商工会議所と宮城にある専門学校は、従来から連携して面接会などを行っています。ハローワーク千歳が、相談コーナーなどを設置して協力をしているということです。また、千歳商工会議所と連携して、千歳商工会議所の傘下で既に外国人を雇っておられる3社をお呼びしてセミナーを行ったということです。こちらについては、千歳商工会議所は必ずしも大きい所ではありませんが、約50人に参加していただくなど、非常に高い関心が示されたところです。また、同じような取組を、川口商工会議所とハローワーク川口においても行う予定です。こういった内容を進めているわけですが、ここで浮き彫りになった課題としては、大都市圏の専門学校には求職がたくさんあるけれども求人がないということです。地方においては、求人はあるけれども求職がないというミスマッチが地域的にありますので、それを乗りこえる広域職業紹介を今後どのように進めていくのかという課題が顕在化したところです。
 最後に、専門人材の育成ということで、第一線のハローワークの職員を対象に、先ほど説明したツールが十分に使いこなせるように、2月の中旬に研修を行う予定です。また、キャリアコンサルタント向けのオンライン教育研修なども行われておりますので、そういったものの受講も推将しており、こういった形で第一線のハローワークの職員の専門性の維持と拡充について努力をしているところです。説明は以上です。

○山川座長 ありがとうございました。統計研究会の中間報告、それから外国人雇用対策の取組についてのフォローアップの御説明を頂きました。それでは、また御質問、御意見等がありましたらお願いいたします。九門委員、どうぞ。

○九門委員 ありがとうございます。亜細亜大学の九門です。御説明ありがとうございました。外国人の雇用労働に係る統計整備というのは、非常に有意義な取組だと思いますので是非進めていただければと思います。
 まずは事業所調査から始められるということなのですが、基本的には就労者を対象としているということで、留学生に関する包括的なデータ等はない状況ですので、今後、世帯調査などを含めて、その辺りのデータを整備することも検討いただければと思いました。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。それでは、酒井委員、お願いいたします。 

○酒井委員 御説明いただきありがとうございました。私からもこの統計整備に関する研究会の検討状況について発言させていただきたいと思います。研究会で十分に議論されていることと思いますので、私から何か申し上げるというのもちょっとおかしな部分があるのですが、やはり既存統計の調査項目を統合した新たな統計の新設ということがメインの柱になるのかなと考えているところで、既存のフレームワークを活用するということは非常によいことだと思っています。新たな統計を作るということになりますと、やはりコストが伴うということになりますので、そのコストに見合うだけのもの、つまり既存の統計では把握できないようなデータが取れるとよいのかなと思っています。
 ここから1点、質問なのですが、この点は私が分かっていなくて恐縮なのですが、先ほどもちょっと留学生という話がありましたが、この統計では在留資格の変化のようなものは捉えられるのでしょうか。そういうことを捉えることも視野に入れているのでしょうかということを、ちょっと伺いたいと思います。やはり、入口というか、入国の経路というものが政策対応ということにもすごく関わってくるのではないかと思いまして、そういった視点が今回あるのかということを伺いたいと思います。あるいは、既に既存の統計でそういうことが把握できるので大丈夫だということであれば、それでも構いませんが、その点を伺いたいと思います。
 また、これは少しコメントになるのですが、先ほどの求人状況、あるいは外国人雇用届状況の照会の中で、外国人労働者の数自体は、このコロナの状況で伸び方が止まったのですが、外国人を雇っている事業所数はものすごいスピードで伸びているというデータの報告があったかと思います。ということは、非常に単純に考えると、一事業所当たりの人数、外国人労働者の人数が減っているというか、非常に少ない人数を雇っている事業所も増えてきているのかなと感じる次第なのですが、そうしますと、このような事業所を対象としたような統計というのは事業所規模に応じたサンプリングといったところも、かなり注意しなければいけないのではないかなと思います。この辺りもその研究会の委員の方には、本当に釈迦に説法かと思いますが、1点コメントをさせていただきます。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。在留資格の変化に関する御質問ですが、いかがですか。

○国際労働力対策企画官 2点、御質問とコメントがあったと思いますが、まずは在留資格の変化についてですが、いわゆる抽出調査ですので、同じ人間をずっと追い駆けるような調査設計にはなっていませんので、同一の人で、どのように在留資格が変化してきたのかというのは追い駆けられない制度になっています。ただ、公的統計ですので、いわゆる個票を開示することが可能ですので、そちらを開示することによって研究者の方に、例えばパネル調査をやっていただくなど、そういった形で追い駆けていくようなものを、発展としては考えられると思いますが、現時点でいきなりそこまではちょっと難しいということですので、現時点においては抽出調査を予定しているというところです。
 それから事業所のサンプリングについては、御指摘のとおり事業所規模別によって大分対応が違うと思いますので、産業別と事業所規模別はいわゆる総括抽出する形にして、それぞれの層別のサンプルが取れるような形で、標本設計はしたいと現在考えているところです。
 それから、九門先生のコメントですが、留学生の包括調査ということですが、こちらについては、まず働いておられる留学生は30万人ぐらいおられて、そういう方は調査対象になりますので、そこの状況は捉えられるということが1点です。あと、働いている方の家族も世帯調査をさせていただきますので、100%ではありませんが、一定の状況というものは見えるのではないかなと考えています。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明に関連してということで、また後ほど追加で御発言いただいても結構だと思いますが、よろしいでしょうか。
 では、杉崎委員、お願いいたします。

○杉崎委員 ありがとうございます。まず資料4に記載の統計整備については、外国人労働者が増加している中で、エビデンスに基づく外国人雇用対策の立案に向けて不可欠なインフラであるかと思います。非常に重要な取組ですので鋭意進めていただきたいと思います。
 また、資料3の各種の分析を見ますと、一時よりは状況が改善・回復しているとはいえ、外国人の方々の就職環境が厳しいことが伺えます。そうした中で、資料5に記載のある「できることリストによる職場のコミュニケーション能力の見える化」や、「外国人雇用事業所データベースの整備による求人開拓・マッチングの強化」、「留学生向け合同会社説明会」などの一連の取組については、非常に有効であると思いますので、厚生労働省がこうした取組を実施している、実施しようとしているということを幅広く周知していただきたいと思います。
 また資料19ページに「商工会議所とハローワークの連携した取組」について記載がありますが、外国人材が貴重な戦力として活躍している中小企業は数多くありますし、コロナ禍においても、中小企業における受入れニーズは衰えていません。ここ数日で、幾つかの各地商工会議所に電話でヒアリングしたのですが、受入れニーズ自体は変わりない状況がうかがえました。したがって、このような連携は非常に重要だと思います。こうした連携が、留学生の多い地域のハローワークにおいて管内の企業にとどまらず、求人意欲の旺盛な地域外の企業と連携するなどの広域連携の取組も考え得るかと思いますし、有効であるかと思います。是非、こういった取組は、今まで以上に進めていただきたいと思います。以上です。 

○山川座長 ありがとうございます。それでは天瀬委員、どうぞ。

○天瀬委員 JILPTの天瀬です。御説明ありがとうございました。私からは2点あります。資料5の15ページで御紹介いただきました「外国につながる子どものキャリア支援の取組」についてです。このテーマについては、海外の事例からもNPOによるサポートが非常に重要ではないかと考えています。NPOの場合、どういったところが利点かと言いますと、非常に細かい部分に目が届くといったことが挙げられるかと思います。一方で、これは全般的に、前回のフェーズでもヒアリングでもありましたが、資金及びリソースが十分ではないといったようなこともあると思います。このようなところを公的な部分で、サポートしていくということが必要になるのではないかと考えております。
 もう1点は、これは最後の「留学生等の中長期的なキャリア形成支援のためのキャリアコンサルタント向けの研修」ということがありましたが、キャリアコンサルタントを外国人及び留学生に活用していくというのは、非常に可能性が高いのではないかと考えています。是非、これはキャリアコンサルタント向けの研修及び教育を進めていただき、その際に是非、対面のツールの研修だけではなく、外国人及び留学生が現在日本において置かれている現状というものを、キャリアコンサルタントにしっかり認識していただくことが必要ではないかと考えています。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。では続きまして、山脇委員、お願いいたします。

○山脇委員 山脇です。何点か発言させていただきたいと思います。まず最初は統計整備の関係です。各先生からも御発言があったとおり、この統計整備に関しては大変意義のある取組であると考えています。是非前進させていただきたいと思っています。
 そうした中で、前回の委員会でも連合から発言させていただいたところですが、特定技能制度の基本方針の中では「生産性向上や国内人材確保のための取組を行った上で、なお、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野に限って行う」ことが確認されているところです。本統計整備において、このことと関連として何らかの分析ができるよう制度設計をお願いできないか改めて申し述べておきたいと思います。
 併せて、これも特定技能等を念頭に、ということになりますが、受入れ産業における賃金動向あるいは生産性の推移などを把握し、当該産業における雇用への影響ということも分析できるように検討いただけないかと考えています。これが統計整備の関係です。
 次に、資料5の関係です。各種取組を前進させていただいていることに敬意を表します。本日は2点に絞ってお話申し上げたいと思います。1つは、「できることリスト」についてです。この取組は、求職者、求人者双方にとって有用な取組であると認識しています。ハローワークでの受付の際、単に企業からの求人情報を受け付けることにとどまらずに、業務に必要なコミュニケーションの程度、あるいは実際の業務内容等を丁寧にヒアリングしていただき、マッチングの精度を高めていくことにつなげるためのツールとしても、使ってもらいたいと思います。求人者が求職者に対して必要以上のスキルを求めていることもあるのではないかと思います。真に求める人材に必要なスキルを理解していただくためのツールとしても是非使っていただきたいと思っているところです。
 もう1点は、資料5の19ページの商工会議所とハローワークが共催した外国人セミナーの関係です。「外国人労働者を雇用するきっかけ」あるいは「外国人労働者の働きぶり」について興味、関心があったということですが、学生に対する取組はもちろん必要ですが、企業のほうが関心を持っていただけるような取組、あるいは何に困っているのか、自分たちにとって必要なのかということを理解していただくため取組が重要だと思いますので、こういった取組を横展開していただくようお願いいたします。私からは以上です。

○山川座長 ありがとうございます。それでは、是川委員、お願いいたします。

○是川委員 はい、ありがとうございます。私のほうからは2点ほどあります。まず私も統計の検討会の委員を務めているところ、酒井先生からも御指摘のあった点につきコメントをいたします。在留資格の変遷については、事務局から回答があったとおりではあるのですが、一方で、過去の在留資格について聞くという聞き方もできるのかなと思いました。その場合はレトロスペクティブになってしまいますが、今は、技・人・国である人が、来日時に最初はどの在留資格であったかというような聞き方や、初職を日本で得たときの在留資格は何であったかなど、そういう形で聞くということはあるのかなと思った次第です。
 2点目が、様々なハローワーク等を通じた外国人の就職につながる取組をされているということについて、お話を伺っていて率直に、非常に面白い取組もたくさんあるなと思いました。もちろん効果があるかということはやってみなければ分からないわけですが、こうした形で様々なチャンネルを通じて、とにかくいろいろ試してみる。その上で、効果があったものについては、ほかの委員からも御指摘があったように横展開を積極的に進めていくといった形で、これからもどんどん進めていっていただければよいのかなと思います。特に雇用状況届の事業所データベースを使った外国人雇用事業所のデータベースの構築という点については、ハローワークの方も、どこにアプローチすれば新しい求人が開拓できるのかということが具体的に分かるので、こうした取組は非常に有効なのではないかなと感じた次第です。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。杉崎委員、どうぞ。 

○杉崎委員 度々すみません。商工会議所とハローワークの連携について御意見を頂きまして有り難く思っています。外国人材の受入れや雇用管理に関して、日商や各地商工会議所においてもセミナーや説明会の取組を実施しています。例えば特定技能であれば、制度自体の紹介や当該外国人の方に対して講ずべき支援の内容、留意点といったようなノウハウの領域に関するところまで、丁寧に説明会などを実施しています。そうした中で、厚生労働省とも連携して、例えば外国人雇用管理指針を中小企業の皆様に紹介するような取組も実施しています。私自身はこの分野に何年か携わっているのですが、外国人雇用管理指針は非常に重要な内容だと思います。外国人材の方々の活躍に向けてという意味でも、企業が適正に雇用管理をする、適正に処遇をするといった意味でも非常に大切な内容が含まれているかと思いますので、是非、厚生労働省におかれましては、外国人雇用管理指針を、より多くの関係者に知っていただくような取組もお願いしたいと思います。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。では佐久間委員、お願いいたします。

○佐久間委員 ありがとうございます。私も資料4の統計整備についてお話申し上げたいと思います。外国人との共生を図ることの重要性、そして一方では外国人労働者に対する批判的な見解や行為というものもあることは事実だと思います。それは何かというと、やはり外国人の雇用など、そういうものについての実態が分かりにくい。どういう数値や傾向になっているのかということが、つかめないからということも背景の一つではないかと思います。是非、こちらの調査を早急に進めていただきたいと思います。特に、4ページに調査項目がありますが、入職の経路や支送りなど大変興味のある項目があります。どこまで取れるかなということも実際にはあるのですが、労働者調査などの中に入れ込んでいただいて、是非、正確な実態をつかめる結果が出ればいいなと考えています。
 また、どういう費用負担から出るのかということは興味があるところですが、一般的な財源では、国からの一般会計により、この調査を実施するものか、あるいは労災会計や枯渇してしまった雇用保険の二事業で実施するということも考えられると思います。こういう雇用や事業者に係る調査ですから、雇用保険二事業財源ということも考えられると思いますが、余り多額が掛かってしまうと今後困るのですが、もし雇用保険二事業の中で実施するのであれば、ほかの項目から予算を回していただいて、かつ、節約を図っていただいて、調査を実施していただければと考えます。
 もう1点ですが、先ほど商工会議所の杉崎委員のお話もありました。各地域の協議会があると思いますので、是非、先行的な事例として実施していくことが良いのではないでしょうか。各地域には、技・人・国又は永住者など、母国語が話せて、かつ、日本語も話せるということで、求めている人材はかなりいると思います。やはりそのような人材を求めている企業は少なくないものの、私どもの会員である事業協同組合等の中小企業組合では、どうしても技能実習制度に係る監理団体や、それから最近ではまだまだ入国ができていませんが、特定技能の登録支援機関にやはり興味があるのが現状です。個別の企業のほうでは若干賃金が高くても、留学を踏まえた優秀な技・人・国の方々が対象になっていく可能性があるということになると、求めている企業は多いと思いますので、是非、こちらのほうも商工会議所とハローワークが連携した取組を1つのモデルケースとして、どんどん広めていければ、私どもも良いのではないか思います。ありがとうございます。以上です。

○山川座長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はありませんか。よろしいでしょうか。事務局から何かありますか。

○外国人雇用対策課長 たくさんの貴重な御意見、コメントをありがとうございました。大きく分けて統計の関係、ハローワーク自体の取組、ハローワークの外の方々、NPOや事業主団体等との連携、そういった3つがあったと思っています。統計について、今、佐久間委員から背景というお話がありましたが、まず中身をしっかり今年度中に詰めて、また設計と予算要求を来年度以降しっかりやっていきたいと思います。大変力強いお言葉をありがとうございました。無駄にならないように、しっかりとしたものを作りたいということで応援をよろしくお願いいたします。
 また質問項目については、是川委員からもありましたように、まだ、どういった質問項目にするかというのは決まりきっていませんので、先ほど御説明しましたように一人の方を追うことは難しいのですが、効果的な質問ができれば、そうした聞き方というものを工夫したいと思います。また賃金などの労働条件の動向ということについては、既に賃金センサスでやっているものもあります。また、例えば特定の産業で、日本人は減っているけれども外国人は増えているなど、そうしたことがこの統計によって更にしっかりと分析できるようになりますし、当然、在留資格ごとの分析ということもできるようになります。例えば、どの在留資格が減っているのか、増えているのかという視点での分析が可能となるような中身に仕上げていきたいと思っています。
 ハローワーク自体の取組としては、今、いろいろな工夫ということで、この検討会の場を通じて頂いた御意見を、順次、形にしているところです。これは現場でしっかりと回していかなければ、作っても意味のないツールになりますので、現場での研修も含めてしっかりやりたいと思います。
 さらに、その先ですが、NPOとの連携、あるいは事業主団体との連携、また行政書士会のような専門の士業団体との連携について、我々もリソースが非常に限られていますので少しずつ力を貸していただきながら、やっていきたいと思います。また指針については、例年6月に外国人の雇用管理の適正月間というものをやっていますが、そうした場で事業主団体の皆様に力を借りまして、周知しているということも申し添えさせていただきます。以上です。

○山川座長 ありがとうございました。ほかに何かありませんか。委員の方々から何かありますか。よろしいでしょうか。統計については、現在、中間報告的な段階ということで、将来的な課題に関わる御指摘、それから現在具体化させつつある新たな統計に関わる御指摘、いずれも非常に有益な御指摘を頂きましたので、研究会にも適宜つないでいただければと思います。いずれにしても、本検討会としては期待が非常に高いということであったかと思います。これは将来的にずっと続いていくことを考えますと、一層重要になっていくと思いますので、その実現に向けてよろしくお願いしたいと思います。
 ハローワーク等の取組についても、非常に有益な情報提供、あるいは御示唆を頂きまして大変ありがとうございます。個人的な感想ですが、杉崎委員からも御指摘のあったところですが、事務局からも少しお話がありましたが、19ページの千歳商工会議所での集団面接会の対象になったのが仙台の専門学校であると。恐らく、これは地域の労働力需給の様々な姿と言いますか、地域によっていろいろ需給バランスに差があることの反映かと思います。先ほど企画課からも御説明がありました広域的な取組のようなことの重要性も示しているのかなと感想を抱いた次第です。何かございますか。よろしいですか。
 それでは、本日はこの辺りで終了したいと思います。では、その他について事務局からお願いいたします。

○国際労働力対策企画官 本日は御多忙の中、御参加いただき、御議論いただきまして、誠にありがとうございました。次回の検討会の日程については別途、御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○山川座長 それでは、本日はこれで閉会とします。皆様、大変ありがとうございました。