第2回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ (議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

令和4年2月9日(水)
19:00~20:00

場所

主婦会館プラザエフ クラルテ

議事

下記のとおり
2022-2-9 第2回救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ
 
○大村専門官 ただいまから、第2回「救急・災害医療提供体制等に関するワーキンググループ」を開催させていただきます。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして誠にありがとうございます。
議事に入ります前に、本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿及び座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
さて、今回のワーキンググループにつきましては、今般の新型コロナウイルス感染拡大防止の観点を踏まえて、公開の検討会としての実施、従前どおり資料や議事録については厚労省ホームページで公開、ただし傍聴については事前に御希望があったマスコミの方については、体調不良がないことをあらかじめ御申告いただいた場合に認め、それ以外の一般の傍聴者はなしという形での開催とさせていただくこととしております。構成員の皆様におかれては、あらかじめこの点について御了承ください。
また、今回は会場にお越しいただいた構成員の方と、ウェブで参加される構成員の方がいらっしゃいます。会場には遠藤座長が参加されており、その他の構成員の方にはウェブで御参加いただいております。
また、参考人として日本DMAT事務局の小井土事務局長、オブザーバーとして総務省消防庁救急企画室救急専門官の小塩専門官に御出席をいただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。ウェブ参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタン、または参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてからマイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにし、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いします。
「手を挙げる」ボタンがない場合は、代わりに画面に向かって手を挙げていただくなどでの御表明をお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1から2、参考資料1から3をお配りしております。不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
(報道カメラ撮り終了)
○大村専門官 それでは、遠藤座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○遠藤座長 皆様、こんばんは。本日は、若干遅い時間からの開催でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の議題は、「令和3年救命救急センターの充実段階評価について」、2番目が「日本DMAT活動要領の改正(報告)」の2つでございます。
それでは、早速、議題の1に入りたいと思います。議題の1に関連します資料が資料1でございますので、資料1「令和3年救命救急センターの充実段階評価について」、事務局から説明をお願いします。
○大村専門官 救急医療対策専門官の大村と申します。よろしくお願いいたします。
資料1の表紙をおめくりいただき、1ページ目を御覧ください。
救命救急センターの充実段階評価は、個々の救命救急センターの機能の強化、質の向上を促し、全国の救急医療体制の強化を図ることを目的としております。
下の点線の四角にございますように、評価区分ごとに補助金や診療報酬に反映されております。
続きまして、2ページ目を御覧ください。
上の四角からです。令和2年の救命救急センター充実段階評価においては、新型コロナが大きく影響を及ぼしていたことが予想され、例年と同様の評価を行うことが困難であると考えられました。
新型コロナが充実段階評価に及ぼす影響については実態調査を行い、影響を受けたと考えられた評価項目があった場合にはその項目を除外する方針としました。
中央の四角に移りまして、救急医学会が「新型コロナウイルス感染症の影響があると予想された10項目」と「是正を要する20項目」についてアンケートを行った結果、16項目において新型コロナの影響があると示唆されました。
このアンケート結果を受けまして、新型コロナの影響があると示唆された16項目全てを除外して評価を行い、前年よりも評価区分が低下した施設について個別に状況をヒアリングすることとしました。
結果的に下の四角にありますように、S評価が28施設増加し、評価区分が低下した施設はございませんでした。
3ページ目を御覧ください。
令和2年の充実段階評価の後、救命救急センターの現況に関する研究を行い、令和元年と令和2年の充実段階評価における項目ごとの実績値及びスコアを比較して統計学的解析を実施しております。
この研究の結果、令和元年の実績と比較して令和2年の実績が有意に低下していたのは7項目であったことが分かりました。
続きまして、4ページ目を御覧ください。
令和3年においても救命救急センターは新型コロナへの対応を継続していることから、診療に一定程度の影響を受けていると考えられ、令和3年においても救命救急センターの充実段階評価に影響があることが考えられました。
よって、令和3年においても実態を把握するとともに、新型コロナ受入れ等により影響を受ける評価項目について精査を進める必要があると考えられました。
5ページ目を御覧ください。
新型コロナが充実段階評価に与える影響の調査について、日本救急医学会がアンケートを行っております。期間は令和3年10月25日から11月29日、救命救急センター全施設である297施設に対して行われ、56.2%である167施設から回答が得られております。
対象項目は令和2年の調査と同様に、新型コロナの影響があると予想された項目10項目及び是正を要する項目20項目です。
次の6ページ、7ページが「影響があると予想された項目」10項目について、8から12ページが「是正を要する項目」についての結果となっております。表の右側に「令和2年の充実段階評価で除外された項目」並びに「救命救急センターの現況に関する研究で有意であった項目」についてそれぞれ欄が設けてあり、該当するものに丸印がついております。細かい内容については割愛させていただきますが、救命救急センターの現況に関する研究で有意であった7項目においては令和3年も同様に実績の低下が見られております。
続きまして、13ページを御覧ください。まとめのスライドになりますが、「救命救急センター充実段階評価の令和3年の取扱いについて(案)」です。
1つ目のポツです。令和2年の充実段階評価においては、日本救急医学会が行ったアンケートの結果、新型コロナの影響があると示唆された16項目全てを除外して評価する対応を行いました。
2つ目のポツです。しかしながら、令和元年と令和2年における全施設の充実段階評価の結果を比較した「救命救急センターの現況に関する研究」において統計学的に有意な実績の低下を認めたのは、除外対象とした16項目のうち7項目でした。
3つ目のポツです。令和3年においては、日本救急医学会が全施設を対象に令和2年と同じ項目についてアンケートを行った結果、「救命救急センターの現況に関する研究」において有意な低下が見られるとされた7項目については、昨年と同様に実績の低下が確認できました。
4つ目のポツです。充実段階評価の目的は救命救急センターの質を維持することであり、いたずらに多くの項目を除外することは望ましくないと考えております。
しかしながら、評価項目の28番である「脳死判定及び臓器・組織提供のための整備等」においては、ほかの項目と異なり、直近3年間の実績で評価することとなっており、直近2年間がコロナ禍であった令和3年は前年より大きな影響を受けたと考えられます。
このため、令和2年の研究において抽出された7項目に評価項目28番を加えた8項目を除外して評価を行ってはどうか。その上で、令和元年より評価区分が下がってしまったセンターに対しては個別にヒアリングを行い、新型コロナ患者をどの程度受け入れていたかを含めて聴取して評価区分を最終決定することとしてはどうかと提案させていただきます。
私からのプレゼンテーションは以上になります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
このような評価の仕組みについて、事務局が改定の原案を提出されているわけであります。説明がありましたように、救命救急センターの現況に関する調査が行われたと同時に、またアンケート調査も行われたということでございます。最終的に13ページに書かれている内容が事務局の原案でありまして、試算の結果が13ページにも出ているわけでありますけれども、こういうような事務局原案について御意見、御質問等をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
それでは、長島構成員お願いいたします。
○長島構成員 日本医師会の長島でございます。
事務局案に賛成いたします。しっかりと根拠があることで8項目を除外、ただし、この統計から外れるところも当然出てきますので、評価が下がったところはしっかりと丁寧に個別のヒアリングをしていただいて、酌むべき状況があればしっかりとそこを反映していただくということが極めて重要かと思います。
私からは以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
事務局、今の御発言に対して、特に最後には御要望がありましたけれども、評価が下がった施設に対しては丁寧な対応をしてほしいという話だと思いますが、何かコメントはございますか。
○中村救急・周産期医療等対策室長 コメントありがとうございます、中村でございます。
今、長島構成員に御指摘いただいた点については、しっかりとヒアリングで対応させていただきたいと考えております。
○遠藤座長 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、続きまして坂本構成員お願いいたします。
○坂本構成員 日本救急医学会の坂本でございます。
今回、厚労省のほうからの依頼を受けまして、全国の救命救急センターにこの影響についてのアンケート調査を令和2年度に続いてさせていただき、今日その結果を引用していただきました。先ほど示された統計的な解析等から、統計的に見れば今回の7項目に加えて過去3年間の実績を問う脳死に関する項目の8項目、これをまず選ぶということに関しては妥当な選択かと思います。
ただ、一方で、令和2年に比べて令和3年は第3波、4波、5波と令和2年よりもより重症患者の多く発生したコロナの直撃を受けて、救命救急センターは非常にその重症患者の受入れということで人手とベッドを取られたということも事実でございます。
これについては、例えば東京都におきましては、東京都から全ての救命救急センターを有する医療機関は人工呼吸患者が診られるベッドを12床ずつ均等に割り当てられて、それを受け入れるということを求められておりますし、また、地域によっては救命救急センターごとに役割を分担して、主にコロナを受ける救命救急センターと、非コロナを受ける救命救急センターの役割分担をされているところもございました。
そういうようなことから、この統計的な8項目ということ以外に、やはり個別の救命救急センターでの影響等の事情というのは大きく異なってまいりますので、令和元年との比較で評価が落ちたという場合には、その落ちた原因が何であるかということを十分ヒアリングで酌み取っていただいて判断をしていただきたいと考えております。
やはりコロナによって今、非常に救命救急センターは最前線で疲弊しているという状況になっております。その中で、さらにこれが追い打ちをかけることがないようにしていただければと思います。
以上です。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
基本的に先ほどと同じ御意見だと思います。令和元年度よりも大きく試算で下がるようなところもあるかと思いますけれども、そういうところについては丁寧にヒアリングをしてほしいという御意見だったと思います。ありがとうございます。
それでは、続きまして加納構成員お願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
長島構成員、坂本構成員のおっしゃるとおりだと私も思っております。今回のコロナ禍での救命救急センターの活躍は、本当に特筆するものがあるかと思っております。ぜひともこの1ページ目に書いてあるようにS評価では1,500点でしたか、加算が多くなるような状況にすべきだと私自身も思っておりますので、この件に関しては大賛成でございます。
ただ、まだアフターコロナのことを考えるのはちょっと早いかと思うのですが、それはそれで普段と違った形での評価ということで今回は認めるということに異議はございませんので、ぜひとも提示された内容で進めていただけたらと思っております。よろしくお願いします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
それでは、お待たせしました。溝端構成員、お願いいたします。
○溝端構成員 よろしくお願いします。
8項目を除外していただくということ、これには全く同意いたします。ヒアリングで詳しく聞いていただけるということですけれども、やはり令和3年で令和元年に比べてB評価が14施設増えてしまうというのが気になりまして、それが8項目の除外だけでいいのかどうかということが大変気になっております。
そういう中で、ヒアリングをするとはっきりと分かるかとは思うのですけれども、今の段階でこの14施設が増えてしまう、その大きな要因というものがもし分かっておりましたら教えていただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○遠藤座長 事務局、お答えできますか。Bが7施設から21施設になってしまうということについての御見解を求めておられますが、何かあればお願いします。
○中村救急・周産期医療等対策室長 こちらの試算の数値は、令和2年の実績を基にして除外の計算をしているものでございまして、そのため、令和2年は令和元年と比較してコロナの最初のときだったので、やはり影響がかなりあった。そのため、8項目を除外してもまだ令和元年のところまでは至らないような成績の数値が出てしまっているというところと考えております。
それで、今回令和3年の実績を基にした試算というものはまだできていませんので、そういう意味でこちらの数値は昨年と同じ、令和3年が令和2年と同じだったと仮定したものですので、実際に令和3年の1年間の実績を見てみないとどのぐらいの結果になるかはまだ分からないというところでございます。
○遠藤座長 ありがとうございます。
溝端構成員、ここの試算というのはそういう意味合いだということでありました。何かございますでしょうか。
○溝端構成員 分かりました。令和3年の実績を見て、またほかの委員もおっしゃっておられますようにヒアリングをしっかりと行っていただけたらと思います。
○遠藤座長 ありがとうございました。それでは、事務局よろしくお願いいたします。
それでは、お待たせをいたしました。大友構成員、お願いいたします。
○大友構成員 よろしくお願いいたします。
事務局の案に賛成いたします。あとは、令和元年から評価が下がった施設に関しては丁寧なヒアリングをお願いしたい。
これは私も同じですけれども、質問はS評価のところにちょっと注目しておりまして、令和元年が76施設、令和2年が104、それから令和3年がまた73に下がって、Sに関しては元に戻るような、Bは確かに増えていますけれども、そういうことなのですけれども、これは16項目を除外した結果、76が104に増えた。それを真に影響のある8項目にまた絞ったらほぼ令和元年と同じ数字になった。そういうことだとすると、16項目のうちのこの8に入っていない、もしくは7に入っていない項目というのはむしろプラスに作用して、影響がないのにプラスに作用した結果、令和2年は増えたという認識でよろしいでしょうか。
○遠藤座長 事務局いかがでしょうか。
○中村救急・周産期医療等対策室長 先生の御認識のとおりでございます。有意な差というものは研究の結果、認めておりませんでしたけれども、そちらを除外したことによってその評価が高くなった施設が多くあったということでございます。
○大友構成員 分かりました。より公正な方法に変わったということ、ただ、Bのところはなぜ増えたのかに関しては検証、もしくはSもそれぞれ令和元年がSだったのに評価が下がったところに関しては丁寧なヒアリングをぜひお願いいたします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。事務局もよろしくお願いいたします。
それでは、お待たせいたしました。野木構成員、どうぞ。
○野木構成員 ありがとうございます。
ちょっとお聞きしたいのですけれども、皆さんの意見と一緒なのですが、ヒアリングの内容ですよね。新型コロナ患者をどの程度受け入れたかというような話にはなっていますけれども、そのヒアリングを聞いた場合、具体的にはどういう場合にどういう形で、どういうふうな救済をするのかというお考えがあったらお示しいただければありがたいです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
ヒアリングが重要だという御指摘は各構成員の先生方おっしゃっておられますので、もう少し具体的にどういうことかということの御質問だと思いますが、何か今の段階で決まっていることがあればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中村救急・周産期医療等対策室長 こちらに関しましては、先ほど坂本構成員もお話がありましたとおり、それぞれの地域によってコロナ対策においての役割分担であるとか、それぞれ個別の事情があると考えております。ですから、それぞれの施設の中でコロナ対策に対してどこが特別だったのかということを丁寧にヒアリングした上で、それがいかにこの充実段階評価の結果に影響したかというものを一つ一つの機関ごとに判断するというふうな方法が最もいいのかなと考えておりまして、今の段階でその評価項目をどれで見ていくというようなことを決定しているわけではございません。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
いかがでしょうか。
○野木構成員 ありがとうございます。
ただ、基本的にはやはり客観性があるものでしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、お待たせをいたしました。本多構成員、どうぞ。
○本多構成員 ありがとうございます。埼玉県の本多でございます。
基本的には、皆様の御意見と同じでございます。今回、とりあえず7項目プラス1項目ということでやってみるということについては賛成です。また、皆様からお話があるように、個別に事情はきちんと聞いて丁寧な対応をするということが前提条件かと思います。
また、確かにコロナ禍によってどのような影響があったかというところがやはり大事なポイントだと思います。とりあえず、今の除外項目の評価については明らかにコロナの影響があったものを中心に除外項目にしていくという考え方でよろしいと思いますけれども、除外項目を変えて評価した結果、どのような原因でどのような影響が出たかという辺りについては、可能な範囲でということにはなるかと思いますけれども、評価を行った後できちんと分析の試みをなるべくしていただくことが重要ではないかと感じております。
以上でございます。ありがとうございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
コロナの影響と一言で言っても、どういうことが実際には起きていたのかということも浮き彫りにしてほしいという御要望で、それはもっともなお話だと思います。事務局、よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。それでは、今までの御発言を承りますと、事務局の提案された原案につきましてはお認めいただける。
ただ、大きく点数が下がっているようなところについてはきちんとヒアリングをしていただきたい。これは皆様、共通した御要望でありますので、それをしていただくということで事務局原案をお認めいただいたというふうに私は受け止めましたけれども、よろしゅうございますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、事務局よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。
それでは、議題の2に移りたいと思います。議題2は「日本DMAT活動要領の改正」についてでございます。まずは小井土参考人より、コロナ禍におけるDMATの活動について御報告をお願いいたしたいと思います。
小井土参考人、参考資料1について御説明をよろしくお願いいたします。
○小井土参考人 DMAT事務局の小井土です。「新型コロナウイルス感染症に対するDMATの活動」を御説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
1枚おめくりください。
ダイヤモンド・プリンセス号への対応は、以前、救急災害の在り方検討会でも御説明しましたが、ワーキンググループに変わりましたので、ここから簡単に御説明をさせていただきます。
コロナへの対応は、ダイヤモンド・プリンセス号の前の令和2年1月30日、武漢からの法人帰還から始まります。当時の安倍首相が武漢からのチャーター便で帰国する方々への対応に関して、DMATの仕組みを活用し対応せよと発言され、急遽、DMATが武漢から帰国する方々の隔離と健康管理を行うことになりました。
さらに、皆様御承知のように、2月に横浜港に寄港したダイヤモンド・プリンセス号における感染拡大に際してもDMATが派遣され、緊急対応を行ったことになります。
1枚おめくりください。
当初、感染症対応でなぜDMATという意見もありましたが、DMATが行った活動はまさに災害医療マネジメントであるCSCATTTでありました。船内に入った様々な行政機関や、全国から参集する医療チームの指揮命令系統の確立、県庁や各省庁との連携調整、連絡調整、本部と船内外の施設と情報伝達共有といったCSCAのマネジメントの部分、そして患者の重症度評価、診療、患者の搬送調整、広域搬送といったTTTの部分、まさにDMATが自然災害時に行う災害医療活動そのものであったということになります。
4ページ目を御覧ください。
これらの対応により、乗客乗員3,700人が狭い閉鎖空間での環境の中、濃厚接触者が爆発的に増加し、連日70名を超えるPCR陽性患者が発生し、しかも高齢者が大半であり、基礎疾患を持ち常用薬を飲んでいる人が2,000人と、最悪の条件がそろっていた状況下で、死亡率を2.3%に抑えるという奇跡的な結果ということになりました。
1枚おめくりください。
ダイヤモンド・プリンセス号の経験と教訓はその後の市中感染、クラスター感染に生かされたことになります。具体的には、全体を俯瞰する司令塔の必要性、クラスターにおいて現場対応と後方搬送調整が必要であり、DMATによる病院・施設支援と都道府県レベルの搬送調整が必要なこと、受入施設確保に関しては患者の層別化と、それに対応した医療機関の役割分担が重要であり、重点医療機関を指定すること。
大量の軽症に対応するための宿泊療養を準備すること、感染拡大阻止のためのPCRセンターの設置、そして何をおいてもPPEの確保ということが生かされた点となります。
次のページ、6ページ目を御覧ください。
これらのダイヤモンド・プリンセス号の経験を生かし、4月以降はDMAT事務局員が厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策推進本部の参与として厚労省本部地域支援班で活動しました。
地域支援班、DMATの活動としての実績は17都道府県、326施設、うち医療機関が79、社会福祉施設が244となります。
また、各都道府県のコロナ対策本部でDMAT関係者が本部機能の支援を実施しております。本部支援以外でも、現場活動として宿泊療養施設の準備、対応、そしてクラスター発生施設の対応を行っております。
1枚おめくりください。
表は、クラスター発生施設での支援内容を列記していますが、これらのどの支援が欠けても施設がうまく回らないことになります。感染症の対応といえども、クラスター対応に関して災害時にDMATが従来行ってきた業務とほとんど相違ないということになります。
クラスター対応では、感染管理の専門的な点だけ支援したところで状況改善は期待できず、様々な観点から総合的に評価し、施設の困り事に傾聴し、寄り添う支援が必要だったということになります。
1枚おめくりください。
クラスター対応は、通常災害よりも困難な点もあります。自然災害の場合は、人、物、ライフライン、職員ケアなどの全てのものが不足し、全てにおいて支援を要することが多いですが、クラスター対応では施設によって必要とする支援が全く違ってきます。
例えば、感染症の知識はあるけれども人手が足りなくてうまくいっていない施設、人手は足りているけれども個人防護が足りなくてうまくいっていない施設等、状況が様々です。よって、自然災害のとき以上に需給バランスを評価して、何の支援を必要としているのかを判断する作業が難しいポイントということになります。
また、自然災害のときは人手が足りなければDMATを送る、診られない患者がいれば近隣の災害拠点病院や被災地外の病院に送ることが比較的容易にできますが、コロナの場合はそれが非常に難しくなります。慢性的な人手不足、病床の逼迫の中では、どうしても今いる施設にいる職員さんに申し訳ないけれども頑張ってくださいと言わざるを得ません。ですから、自然災害時以上に職員の心が折れないようにメンタルケアをすることが非常に重要となります。
次をおめくりください。
実績を幾つか示します。これは第3波までのDMAT対応施設の対応結果ですけれども、DMATが早期に支援に介入したクラスター発生施設では、そうでない施設と比較して、入居者の死亡率や職員の陽性率に差が生まれています。全体の死亡率が11.7%に対して、DMATが早期に入ったものに関しては5.3%と著明な効果がありました。
次をおめくりください。10ページ目になります。
この表は札幌第3波の実績ですけれども、DMATがクラスター施設支援に入り、施設内で継続診療を可能にしたことによって、本来しなければならない入院調整が必要でなくなり、現場の約6割の入院搬送調整業務の負担減につながったというものです。
災害医療の手法を用いてクラスター発生施設の支援をするということは、施設だけでなく、その地域の病床逼迫や入院調整業務の軽減につながりました。
次をおめくりください。
実績をまとめますと、統計学的な処理はこれからですけれども、クラスター支援は感染の拡大を阻止し、病院・施設での死亡の低減に寄与し、地域の病床逼迫や入院調整業務の軽減、そして職員のメンタルケアにも寄与する可能性があると考えます。
次をおめくりください。
最後に、コロナ対応における災害医療の成果と意義をまとめます。
個人の安全確保、感染拡大防止のための防護服供給体制を確立することができました。
入院調整、搬送調整体制を確立しました。
クラスター発生施設を支援することにより、死亡を低減できた可能性があります。
また、サージへの対応は酸素ステーション、往診システムを構築することにより、患者を医療管理下に置くことができました。
DMATが行った指揮系統の整備、安全管理、系統的だった状況分析と関係機関との情報共有は、まさにDMATが培ってきたノウハウがコロナ対応でも有用性が証明されたと考えます。
最後のページをおめくりください。
しかしながら、今回のDMATにおける感染症対応は、そもそもDMATの業務として明確な位置づけがなかったために、事前の研修や訓練、装備がない状況での活動となりました。現在も活動中ですけれども、今後も感染症対応をDMATがするのであれば、DMAT活動要領を改正する必要があると思います。
また、感染症対応に関わる研修、訓練、装備をするためのDMAT体制整備事業の拡充が必要と思います。
以上です。ご清聴ありがとうございました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
DMATの新型コロナ対応についての御説明をいただきまして、最後のところでDMATが感染症に対応するためのことについてお話をされたわけですけれども、それと関連をいたしまして事務局から次の資料2を説明していただくことになると思います。
では、事務局どうぞ。
○西補佐 医政局地域医療計画課の西と申します。
災害担当からは2点ございまして、いずれも報告事項です。1点目はDMAT活動要領の改正、2点目はDMAT体制整備事業の拡充です。
資料2を御覧ください。1枚目です。こちらは「改正の経緯」、そして「主要な改正事項」を記載しております。
かつてDMATは、地震の災害を主な活動の場としてきました。しかし、近年は豪雨災害の支援など、徐々に活動の場を広げてきた一方で、都道府県の被害の性質や組織の立ち上げ方などにも違いがあり、被災地で求められる活動が必ずしも活動要領の記載にそぐわない場面も見られ、令和元年度に活動要領の改正を行う予定でありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等を受けて延期となっていました。
この間、新型コロナウイルスの発生から拡大においてDMATの活動は各所で評価されておりまして、今後も災害時だけでなく新興感染症の蔓延時にもDMATの災害医療の知見をより有効に活用していくことを目的として改正を行いました。
「主要な改正事項」です。1から4につきましては自然災害、5は感染症です。
1は、保健医療調整本部と都道府県DMAT調整本部の関係の明確化。
2、搬送調整業務における災害医療コーディネーターとDMATの役割の明確化。
3、災害発生時のDMAT自動待機及び解除基準の見直し。
4、都道府県DMAT調整本部立ち上げの目安の明確化。
5、新興感染症に係るDMATの活動の位置づけ。
これらを追記し、改正しております。
おめくりいただきまして、2ページ目、3ページ目はこれら個別に改正の背景、改正の内容を記載させていただいております。御確認いただければと思います。
続きまして、4ページ目です。
「災害派遣医療チーム(DMAT)体制整備事業」の拡充についてです。
令和4年度予算案において増額して計上した目的は、「事業目的」の2つ目の○です。こちらは、新興感染症等の感染拡大時に対応可能な隊員の養成に向けた感染症に係る研修等を新たに実施してまいります。
以上、簡単ではありますが、DMAT活動要領改正と、DMAT体制整備事業の活動について御報告させていただきました。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ただいま、新興感染症に対するDMATの活動の内容及びそれに関連して活動要領の改正と補助金の話の説明が事務局からありました。報告事項ではありますけれども、何か御質問、御意見等ございますでしょうか。
野木構成員お願いいたします。
○野木構成員 ありがとうございます。
DMATさんはダイヤモンド・プリンセスでは非常に活躍されて、本当にいろいろなことができて多くの人を救ったというふうに私自身も思っています。私は日精協を代表して出ていますけれども、日精協はDPATを厚労省から受託しているという観点から、我々も新興感染症に対してどういうふうに動いていこうかということを今、一生懸命、考えているわけですが、DMATさんがこういうふうに今回改正されて、すごいなと感心しているところですけれども、実際にダイヤモンド・プリンセスのときもそうだったのですが、DPATとしてはやはり出動をマストで言うわけにはいかない。必ず行けとは言えなかったので、人のやりくりに非常に苦労したというところがありました。
DMATさんは規模が大きいのでそういうことはなかったのかなと思うのですけれども、その辺りでこういうふうに改正されていくということに対して、これはちょっと枠外のところですけれども、内部で不満とか反感はないのでしょうか。大丈夫でしょうかと私が聞くのも変ですけれども、DPATではそこの問題点が今でも議論されているところです。
○遠藤座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか、小井戸参考人。
○小井土参考人 御質問ありがとうございます。
確かにダイヤモンド・プリンセスのときには、要するに手を挙げてくれた人たちが活動してくれたということで本当に感謝していますけれども、ただ、当初は結構、手を挙げてくれたのですが、途中救援者にも感染者が出た後は、なかなか各病院の院長先生もDMATをちょっと出しにくくなったというような状況がありました。
ただ、先生がおっしゃるように、DMATは今1万6000人ぐらいの人たちがいますので、そういうところで有志の人たちに参加していただくことができたということだと思います。
このようにDMATの活動要領が改正されることによって、出動する人たちの身分保障・保険も含めて改善されますので、今後は出動しやすくなるのではないかなということを期待しております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
野木構成員、いかがでしょうか。
○野木構成員 ありがとうございます。非常に参考になりました。
○遠藤座長 どうもありがとうございます。
それでは、田中構成員お待たせいたしました。
○田中構成員 日本病院会の田中でございます。
DMATが感染症に係る研修を行うというのは非常に評価したいと思います。もともと海外では自然災害に伴って感染症が蔓延するということがよくありまして、日本は衛生面では充実しているということで大きな感染症は起きていないんですけれども、やはり今後のことを考えてこういった感染症の研修は必要だろうと考えております。
以上です。
○遠藤座長 ありがとうございます。
それでは、続きまして猪口構成員お願いいたします。
○猪口構成員 全日本病院協会の猪口でございます。
DMATをはじめとして、災害医療に関わる隊員たちが活躍していろいろな局面で助けていただいたのは本当に感謝しているところですし、このような改正を行ったということも非常にDMAT隊員が活動しやすくなったのだろうと思ってはいるところなんですけれども、これまでDMATというのは自然災害を中心とした活躍をなさっていて、それはDMATがお持ちになっている災害医療のいろいろな知見というものを軸としながら、自分たちで考えて自分たちで動けるという部分があるから、かなりそれは単独で動けるというところがあったとは思うんですけれども、今回のこの感染症というのは感染症の専門家と言われる方たちがいらっしゃいます。
それで、この感染症はやはり変異しながら何年間にもわたって動くということも今回分かったわけですね。DMATの方たちが活動するということに何も問題はないのですが、そうした専門家たちとの関係性がここの改正の中には特に表れていないと思うんです。DMATはどういうふうに動いていくのか、専門家のいろいろな知見を取り入れながらどうやって動くかというところが明確にはなっていないような気がするのですけれども、その辺の部分の配慮というのは考えていらっしゃるのでしょうか。
○遠藤座長 ありがとうございます。
小井土構成員、お願いします。
○小井土参考人 猪口先生、御質問ありがとうございます。
まさに、今後DMATが感染症を含めてこの活動要領の中にも書き込まれるというのは非常に大きなことですので、我々はいかに感染症の専門家と連携してやっていくかということが一番大きなテーマだと思っています。
今後、感染症をやるということで事務局の拡充もされますけれども、感染症の専門家の方々にもその事務局の中に常勤、あるいは非常勤というような形で入っていただいて指導をしていただく。そしてまた、研修とか、そういうものをやっていくわけですけれども、そういうものに関しても専門家の御意見を十分に入れながらやっていこうと思っています。
実際にやる活動としては、我々DMATが感染症の治療をするわけではなくて、今までやってきたような感染症の専門家を支援するための本部機能を充実させるというようなことで、むしろ先ほど私のプレゼンの中で話しましたけれども、感染症におけるCSCAの部分をやるために感染症に対する機能を向上させるということで、決して前線に出て感染症の治療をするというわけではないということです。そこは少し勘違いされてしまう方々もいらっしゃるかもしれませんけれども、今までコロナが始まってからここまでDMATがやってきたような本部支援を今後は本来業務の中に入れていくというような形だと思います。
猪口先生、以上です。
○猪口構成員 どうもありがとうございます。さらなる進化を望んでおります。
○遠藤座長 ありがとうございました。
それでは、続いて長島構成員お願いいたします。
○長島構成員 長島です。
今のことに関連してですけれども、このような新興感染症の蔓延は極めて災害的な側面が強いということがはっきりしました。その意味で、DMATが従来持っていた災害における様々な調整機能や機動力というのが本当に有効に発揮されたと思って、そういう意味で大変感謝もしております。
一方、今後の感染症対策ということを考えると、DMAT自体がどのような機能を持つかということだけだと不十分で、猪口先生から御指摘があったように日本全体、あるいは各地域の感染症対策においてDMATの機能をどのような形で役割分担なり連携していくか、あるいはDMATの持っている機能というのを各地域の感染症対策の中に生かしていく。
DMATそのものではなくて、DMATの機能というものをどう活用するかというような視点も重要かと思うので、これはDMAT本体というよりは日本全体、あるいは各地域で感染症対策の中で考えていくべきものかと思っておりますし、日本医師会もJMATを持っておりまして、JMATも今回の感染症対策でかなり活躍していただきましたので、その点も含めて総合的に考えていくべきものかと思っております。
以上でございます。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。貴重な御意見、ありがとうございました。
それでは、本多構成員お待たせいたしました。
○本多構成員 ありがとうございます。本多でございます。
先ほどの長島先生や猪口先生の意見と共通するところが多いのですけれども、実際に例えば埼玉県の現場で見ていますと、感染症管理の認定看護師をはじめ、現場にクラスター対策で派遣されるチームは医師、看護師の混成部隊になります。
その中で、医師に関してはDMATの資格を持っている先生が入ることもありますし、また、持っていない先生が派遣される場合もあって、そのチームにそのときどういう人が入るか、タイミングだとか対象施設によっても異なってくる現実があります。
先ほど長島先生の方からもお話がありましたけれども、やはりDMATの隊員だから入っていただくというよりは、適任だった方がDMAT隊員だったというようなケースも目立ちますし、地域の実情、自治体の実情、調整本部の実情ですとか、あるいはどういう方がその自治体の中に人的資源としていらっしゃるかなどによってもいろいろ違ってくることがございます。
ですので、今回のお話は前向きな話で、その方向でDMATとして積極的に御努力いただいていることについては評価しますし、できることをみんなが協力して前向きにやっていくべきことだとは思いますが、やはり必ずしもDMATだけではなくて、チームのひとつとしてほかの職種や団体とどう協力し連携していくのかとか、そういう視点も含めて考えるべきだと思います。DMATだからここだけやるとか、そういうことではなくて、総合的なチーム編制とか、ここの分野を中心に支援に協力するとか、自治体の状況によっては柔軟な組織の組み方があるとか、そういった視点も御考慮いただけるとありがたいと感じましたので、発言させていただきました。
ありがとうございました。
○遠藤座長 ありがとうございます。
小井土参考人、先ほどの長島構成員や、ただいまの本多構成員の御意見を踏まえて何かコメントございますか。
○小井土参考人 長島先生、本多先生、ありがとうございます。
まさに、これからDMATが感染症を仕事の中に入れていくということに関して、これはDMATだけがいろいろ考えるのではなくて、これからいろいろな機関の人たち、その専門家を含めていろいろな他機関の人たちに意見を聞きつつ、その方向性とか、あるいは内容に関しては十分に吟味をして進めていきたいと私も思っております。
皆さんの御協力なしにはできませんので、ぜひ御協力よろしくお願いいたします。
○遠藤座長 どうもありがとうございました。
ほかにございますか。大体よろしゅうございますか。
ありがとうございました。それでは、本日用意をいたしました案件は全て終了をいたしました。議事はこのぐらいで終了したいと思いますけれども、今後の予定について事務局から何かありますか。
○西補佐 次回のワーキンググループにつきましては、日程が決まり次第、お知らせいたします。
○遠藤座長 それでは、本日はこれぐらいにさせていただければと思います。
どうも夜の開催でありがとうございました。
 

照会先

医政局地域医療計画課

救急・周産期医療等対策室
病院前医療対策専門官 土屋(2597)