2022年1月14日 第171回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和4年1月14日(金) 15:00~17:00

場所

労働委員会会館 講堂(東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館7階)

出席者

公益代表委員
 荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、佐藤(厚)委員、藤村委員、水島委員、両角委員
労働者代表委員
 梅田委員、川野委員、北野委員、櫻田委員、東矢委員、冨髙委員、八野委員、世永委員
使用者代表委員
 池田委員、佐久間委員、鬼村委員、鈴木委員、鳥澤委員、兵藤委員、山内委員
事務局
 吉永労働基準局長、青山審議官(労働条件政策、賃金担当)、石垣総務課長、松原労働条件政策課長、尾田監督課長、田村労働関係法課長、長澤労働条件企画専門官
オブザーバー
 天利復興庁統括官付参事官

議題

研究者等に対する無期転換ルールについて

議事

議事内容
○荒木分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第171回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
本日の分科会も、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で実施いたします。
オンラインで御参加いただいている委員の皆様、こちらの音声や映像は届いておりますでしょうか。何か不具合がございましたら、いつでもチャットのほうで御連絡いただければと思います。
本日の委員の出欠状況ですが、使用者代表の佐藤晴子委員が御欠席と承っております。
議事に入ります前に、定足数の報告と本日の議事運営について、事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件企画専門官 労働基準局労働条件政策課の長澤と申します。
私から初めに、定足数についてでございます。
労働政策審議会令の規定によりまして、委員全体の3分の2以上の出席、または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされてございますが、本日の分科会の定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
次に、本日の議事運営について申し上げます。
まず、本日の分科会につきましても、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、会場参加とオンライン参加、双方による開催方式とさせていただいております。
また、会場の皆様におかれましては、会場備付けの消毒液の御利用や、マスクの着用に御配慮いただきますようお願い申し上げます。
事務局からは以上でございます。
○荒木分科会長 カメラ撮りはここまでということでお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○荒木分科会長 それでは、本日の議題に入ります。
本日の議題は、「研究者等に対する無期転換ルールについて」です。
初めに、労働政策審議会運営規程第4条に、分科会長が必要と認めるときは、委員でない者の説明または意見を聴くことができるという規定がございます。
本分科会における議論の内容が復興庁の所管する事項に関係することでございますので、本日は、復興庁統括官付参事官の天利和紀様に、オブザーバーとして御出席をいただいています。
それでは、本議題につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○労働関係法課長 労働関係法課長の田村でございます。
本日の議題の「研究者等に対する無期転換ルールについて」ですけれども、今回、新たに特例措置の対象として加わる法人につきまして、御説明をさせていただきます。
資料を御覧ください。 資料の2ページですけれども、無期転換ルールの概要をおつけしております。無期転換ルールにつきましては、労働契約法に基づいて、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できるルールでありまして、平成24年の労働契約法の改正により設けられ、平成25年4月から施行されているものでございます。
通算期間のカウントは、平成25年4月以降に開始する有期労働契約が対象となっておりますので、例えば、1年間の有期労働契約のケースでありますと、平成30年4月を超えると通算5年を超えるということで、多くの有期契約労働者につきまして、平成30年4月以降、無期転換申込権が発生しているような状況となっております。
続きまして、3ページを御覧ください。
無期転換ルールに関しまして、大学や研究開発法人の研究者等について特例が設けられております。具体的には、「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(科技イノベ活性化法)」の中で、大学、研究開発法人等の研究者等について、無期転換の申込みができるまでの通算期間を10年とする特例が定められています。
この法律は、もともと研究開発力強化法という名称で、議員立法で制定されたものですけれども、平成25年の改正でこの特例が設けられたという経緯がございます。その後の改正で法律名が科技イノベ活性化法に改正されるとともに、令和2年6月の改正では、研究開発法人に3法人が追加されるなどの改正が行われておりまして、その際、本分科会においても御報告をさせていただいたところです。
この特例が設けられた趣旨ですけれども、研究者等のキャリアパスにつきましては、一般的に、複数の有期雇用を繰り返しながら、その過程で多様な教育研究経験を積み重ねていくことで能力の向上を図り、テニュアポストなどの安定的な職に就いていくという傾向がございますけれども、研究開発法人や大学における有期のプロジェクトの中には5年を超えるものも存在する中で、研究者等がプロジェクトへの長期的な参画によりまとまった業績を上げられるようにすることなどから、研究者等からの要望を受け、設けられることとなったものでございます。
対象となる法人等につきましては、3ページ目の下のほうに記載がございますけれども、<大学等>は大学と資料記載の大学共同利用機関です。それから、<研究開発法人>は、全て独立行政法人でありまして、独法の中からこの法律の別表で36法人が定められているところです。なお、<試験研究機関等>につきましては、全て国の機関となっております。
特例措置の具体的な対象者につきまして、資料記載の①~④までになります。①は研究者等であって、研究開発法人等と有期労働契約を締結した者、②は研究開発等に係る企画立案、資金の確保等の運営管理業務の従事者であって、研究開発法人等と有期労働契約を締結した者、いわゆる研究支援者とかリサーチ・アドミニストレーターといった方々が該当いたします。③は研究開発法人等と共同で行う研究開発等に専ら従事する研究者等であって、民間事業者等と有期労働契約を締結した者。④は共同研究開発等の運営管理業務に専ら従事する者であって、民間事業者等と有期労働契約を締結している者となっております。
この研究者等に関しましては、科技イノベ活性化法におきまして国が若年者である研究者の能力の活用の促進とか雇用の安定等に資するために必要な施策を講ずることとされております。また、特例を設けた法改正の際の附帯決議等も踏まえ、これまでも文部科学省などにおいて、テニュアトラック制の普及とか、人材育成のコンソーシアムの構築、研究人材データベースの運用などの支援が行われてきていると承知しているところです。
資料の4ページ目を御覧下さい。4ページ目では、こうした取組の1つとして、令和2年12月に文部科学省の審議会で策定されました「ポストドクター等の雇用・育成に関するガイドライン」を御紹介しております。このガイドラインにおけるポストドクターは、博士号を取得した後に、大学や研究機関等で任期付で雇用されている方々を対象としているところです。
ガイドラインの策定の趣旨としましては、ポストドクターの雇用・受入環境の改善や、研究者としての能力開発、キャリア開発支援等に関する各大学・研究機関の取組の充実を図り、ポストドクターが研究に専念できる環境を確保するとともに、一定の期間を経て、次のポストにステップアップできる環境の実現を図るというものでございます。
主な内容の中で、特に雇用の安定等に関わる措置としまして、第1章では、「ポストドクターの適切な待遇の確保」として、3年から5年程度の任期の確保、それから、高度な業務に見合った適正な水準の給与の確保について求めているところです。この章の中では、労働関係法令に則った適切な雇用関係に対する対応も求められているところです。
また、第3章では、研究者としての能力開発機会の提供、そして、計画的なキャリア支援の実施として、ポストドクターは2か所程度までとし、3年から7年程度で次のステップに進める環境の整備。具体的な方針の策定と、計画的な育成の推進を、大学や研究機関等に強く求めるとされているところです。
本ガイドラインにつきましては、文部科学省から、大学や公的研究機関に対して周知が行われておりまして、各機関において、現在、ガイドラインを踏まえた取組の検討や必要な整備等を行っているところと承知しております。
以上、研究者等に対する無期転換ルールの特例と、研究者の雇用に関する取組の状況について御説明しましたけれども、次に、今回、この特例の対象に新たに加える法律について御説明いたします。資料6ページを御覧ください。
資料6ページに関して、福島の復興につきましては、「福島復興再生特別措置法」に基づいて、福島における産業集積の取組などが推進されてきたところですけれども、この取組をさらに発展させるために、研究開発と人材育成の中核となる国際教育研究拠点を新設することが決定されております。その法人形態等が検討されてきたところ、昨年11月の「復興推進会議」におきまして、こちら6ページの資料のとおり決定されたものでございます。
この新法人の機能ですけれども、(1)から(3)までございます。1点目として、研究開発機能として①から⑤まで、ロボット、農林水産業、エネルギー、放射線科学・創薬医療、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信、この5分野を基本として、福島の中長期の課題であり、ひいては世界の課題の解決にも資する研究開発を実施するとされております。そのほか、産業化機能とか、人材育成の機能を持つものとされているところでございます。
なお、法人の形態等につきまして、新法人は、法律に基づき設立される特別の法人とするということで、いわゆる特殊法人とすることとされております。この新法人は、研究開発を行う独立行政法人と同様の性質を有する面もございますけれども、新法人は、自ら研究開発を行うのみならず、既存施設の取組に横串を刺す調整機能、司令塔機能を持つことですとか、新法人の業務運営に対する地元自治体の関与などの特徴を持っているものでございます。こうしたことから、特殊法人として設立することとされているところです。
この新法人の規模についてですけれども、右側の○に記載がございますとおり、新法人の活動が本格的に軌道に乗った時点において、数百名規模の国内外の優秀な研究者等が新拠点における研究開発等の活動に参画することを目指すとされております。なお、新法人設立当初は、大学や他の研究開発法人への委託等による研究事業を行うことが中心となるとのことで、出向等を活用しながら確保をしていくということを想定していると伺っているところです。
今後の予定につきましては、一番下に記載がございますけれども、新法人の設立法案について、これから開催されます次期通常国会への提出を図ることとされ、その後、新拠点に整備する施設の具体的な検討を進めていくことになっております。
資料7ページを御覧ください。
資料7ページは、この新法人の設立などが盛り込まれることとされております福島復興再生特別措置法の一部改正法案の現時点での概要となっております。復興庁が所管されておりますけれども、現在、提出に向けた調整をされているところですので、一部(仮称)と表記をしております。
概要ですけれども、(1)で、内閣総理大臣は、研究開発基本計画を作成することとし、この計画は先ほど御説明しました新法人、ここでは、「国際教育研究拠点」と記載しておりますけれども、この拠点の中核的な役割を担うよう定めることとされております。
また、(2)で、国際教育研究拠点の設立について、①で研究開発、研究開発成果の産業化、これらを担う人材の育成等の業務を行うことが規定されております。それから、②で主務大臣は中長期目標を定め、③で国際教育研究拠点は、中長期目標に基づき中長期計画を作成し、主務大臣の認可を受けること、④で主務大臣は、毎事業年度の終了後、業務の実績について評価を行うこととされています。この②から④までは、独立行政法人と同様の枠組みとなっております。
国際教育研究拠点の特徴としまして、⑤で主務大臣が目標策定に当たり、総合科学技術イノベーション会議や福島県知事等の意見を聴かなければならないことや、⑥で国際教育研究拠点は、研究開発等の実施に係る協議を行うため、福島県や地元自治体等で構成する協議会を組織することとされているところです。
資料の8ページを御覧ください。
8ページは、この新法人の研究者等に対する無期転換ルールの特例についてです。新法人におきましても、科技イノベ活性化法に規定する研究開発法人と同様の研究開発を行う公的研究機関であることから、この研究者等につきまして、同様の特例措置の対象とすることとしております。
なお、新法人は特殊法人として設立することから、科技イノベ活性化法の研究開発法人への追加ではなく、新法人の設置を規定しております福島復興再生特別措置法におきまして、同様の特例規定を設けることとしているところです。
具体的には、無期転換の申込みができるまでの期間を通算10年とすることでありまして、この対象者につきましては、科技イノベ活性化法と同様、①から④の類型を規定しております。①、②につきましては、新法人の雇用する研究者等、または、運営管理業務の従事者、それから、③、④につきましては、新法人と共同研究開発を行う事業者等が雇用する研究者等、または運営管理業務の従事者を規定しているところです。
最後の9ページを御覧いただきたいと思いますけれども、9ページ目で、具体的な条文(案)を科技イノベ活性化法の特例規定と並べて記載をしているところです。
右側が科技イノベ活性化法15条の2の特例規定、左が今回の福島復興再生特別措置法に設ける新法人に対する特例規定となっております。
一号から四号までにつきましては、先ほど概要でお示しした①から④の内容を規定しているものでございます。第二号につきましては、科技イノベ活性化法にもございますが、大学在学中に、いわゆるリサーチアシスタントなどとして研究機関等と有期労働契約を締結する場合がありますけれども、その期間は通算契約期間に算入しないこととされているところです。
それから、第三項につきましては、福島復興特措法で新たに設けられている規定ですが、これは科技イノベ活性化法におきましても、研究開発法人は適切な処遇その他必要な措置を講ずるよう努めることとされておりますので、こうした趣旨も踏まえつつ、新法人は適切な処遇の確保、労働条件の改善、その他雇用の安定を図るための必要な措置を講ずるよう努めなければならない旨規定するものでございます。
最後に、改正法案の附則におきまして、政府は、法律施行後8年をめどとして、福島の復興及び再生の状況、国際教育研究拠点における研究開発の実施状況、当該研究開発に従事する研究者等の雇用の状況、その他国際教育研究拠点の業務の実施状況等を勘案して、この法律による改正後の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするという検討規定が置かれているものでございます。
私からの説明は、以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
オンラインで参加いただいている委員の皆様、こちらの音声、映像等、届いておりますか。大丈夫ですか。
(首肯する委員あり)
○荒木分科会長 ありがとうございます。
それでは、ただいまの事務局の説明について、御質問、御意見があれば、お願いいたします。
なお、オンライン参加委員の皆様におかれましては、発言の希望がある場合には、チャットのほうに「発言希望」というように入力ください。手を挙げる機能は使わずにチャットのほうで書き込んでお知らせください。
どうぞ、何か御意見がありましたら、お願いいたします。
北野委員、お願いいたします。
○北野委員 ありがとうございます。労働者代表の北野です。幾つか質問と確認をさせていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
今回、福島復興再生特別措置法に基づいて、この国際教育研究拠点を地方に設立され、そこに雇用される有期契約の研究者等については、特例の対象とするということだと思うのですが、この特例の対象となる研究者等の人数について、どの程度を想定されているのでしょうか。
それと、対象は研究者等ということですが、昨年の12月、東京地裁のほうでこの特例の対象をめぐる裁判があって、違憲判決があったと記憶はしております。この事例で言うと、研究者の範囲をめぐって、大学側だったと思うのですが、非常勤講師を研究者の対象としていたということです。その研究者から、5年の無期転換を申し入れたけれども、拒まれたということで、地裁としては違法だという判決だったという認識をしておりますが、いずれにしても、この対象者の範囲を明確にすべきだと考えます。この「研究者等」の「等」には誰が含まれるのかということをまずお伺いしておきたいと思っていますし、対象となる有期契約の研究者等に対する特例の対象であることに対するきちんとした説明をされることが必要ではないかと思っております。
それから、もう一点確認でございますが、復興庁の設置期限が10年間延長されて、2031年3月末となっていると思っておりますが、例えば、復興庁が廃止されたとしても、引き続き、この国際教育研究機構の財源を確保して、研究を継続していくという理解でいいのかどうか。この点もお願い申し上げたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 それでは、復興庁のほうからお願いします。
○復興庁統括官付参事官 御質問いただきまして、ありがとうございます。復興庁参事官の天利でございます。私のほうから、4点、確認と御質問をいただきましたので、お答えをさせていただきたいと思います。
まず、今回、特例の対象となります有期雇用の研究者の人数の想定ということでございます。国際教育研究拠点における研究者等の規模につきましては、先ほど資料6ページでも御説明させていただきましたとおり、現時点では、新法人の活動が本格的に軌道に乗った時点において、数百名規模の研究者等が研究開発等の活動に参画することを目指すということにしておりまして、この具体的な人数につきましては、こうした研究開発、どのような研究開発を進めていくのかというものを具体化していく中で、これに必要な研究者の数、あるいはそれを支えるスタッフの数が決まってくるものでありますので、現時点で、具体的に何人というような形でお示しすることは困難であるということを御理解いただければと思います。
一方で、既存の国立研究開発法人の事例等を拝見しておりますと、規模が大きなものから小さなものまでありまして、比較的大きなものでは、理研等を例に挙げさせていただきますと、1,000人以上の方がこの特例の対象になっていると伺っておりますし、小さいものでは、対象になる方が100名以下といった法人もあると伺っております。
これを踏まえまして、我々の想定しております国際教育研究拠点につきましては、福島に拠点を置いて研究活動を行うことを想定しておりますので、先ほど例に出させていただきました規模の大きな理研等のように全国各地に拠点を置いて、非常に大規模な形で研究をやっているような国立研究開発法人とは性質が若干異なると考えているところではございます。
さらに、先ほど数百名規模の研究者を目指すという形で御説明させていただきましたけれども、この中にはいわゆる在籍出向やクロスアポイントメントも活用しながら研究者の確保に努めてまいりたいと考えておりますので、そういった意味では、この特例の対象になる方につきましては、その中でも一定程度絞られてくると想定しているところでございます。
続きまして、「研究者等」の範囲につきまして、御質問がございました。この点につきまして、国際教育研究拠点においてこの特例を入れる趣旨が、今ある科技イノベ活性化法の特例と同じものを導入するということで考えておりますので、それと全く同じような性質の方が対象になると考えてございます。法律上は、具体的には、9ページの比較表のところに書かせていただいておりますけれども、一号で申し上げますと、「研究者等」というのが、「研究者等とは、福島における新たな産業の創出及び産業の国際競争力の強化に資する研究開発」、これは国際教育研究拠点で行おうとしている研究開発でございますが、これに従事する研究者及び技術者ということが対象になってくると考えているところでございます。
それから、3点目でございますけれども、特例の対象であることを本人に明示するべきではないかといった御指摘がございました。この点につきまして、私どもとしても、先ほどの繰り返しになりますけれども、今ある科技イノベ活性化法の対象と同じことをこの福島復興再生特別措置法でも行うということを基本として考えておりまして文部科学省のほうで、こうしたような取り扱いをしっかりするようにというような周知がなされていると伺っておりますので、ここは、復興庁としても同様の周知をしっかり図ってまいりたいと考えております。
それから、最後になりますけれども、復興庁の設置期限に関して御質問がありました。福島復興再生特別措置法の法律自体は、復興庁の設置期限後も存在する恒久法でありますので、そういった意味では、復興庁設置期限後も、この拠点が研究開発を実施していくということで考えてございます。所管がどうなるかといったようなところにつきましては、資料9ページの一番下に記載しているとおり、この法律の施行後8年を目途として、検討を行って、所要の措置を講ずるものとするといったところにも関わってきますけれども、こうした中で、政府としてどの省庁が対応していくのかというようなことについては、この時点で検討する必要があると考えておりますが、その後もきちんと長期安定的にこの国際教育研究拠点が研究開発を実施できるように措置をしてまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
八野委員、お願いいたします。
○八野委員 ありがとうございます。私のほうから2点お伺いしたいと思っています。まず、この見直しの検討と、無期転換ルールの通算期間についてお伺いしたいと思っております。
1点目は、福島復興再生特別措置法の附則には検討規定が設けられていますが、科技イノベ法の附則にも検討規定があって、雇用の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じることが規定されているということになります。今も説明がありましたが、福島復興再生特別措置法の検討は、施行後8年をめどに行うということになります。例えば科技イノベ法に基づくその検討が行われ、何らかの見直しが行われたという場合には、それに合わせ、それをベースとして今回の特別措置法においても同様の特例を認めるということなので、福島復興再生特別措置法においても見直すということでよろしいのでしょうか。まず、ここが1点です。
○荒木分科会長 事務局よりお願いします。
○復興庁統括官付参事官 復興庁でございます。
先ほども申し上げましたとおり、今回この特例を入れる趣旨としては、科技イノベ法と同じ規定を入れるということで考えておりますので、科技イノベ法のほうで見直しがされるということになりましたら、福島復興再生特別措置法も同様の見直しを検討するということになるかと考えているところでございます。
○八野委員 ありがとうございます。
次は、無期転換ルールの通算期間ということですが、施行後10年が近くなって、この特別措置法に限った話ではないのですが、無期転換ルールの通算期間について質問したいということでございます。有期雇用特別措置法では、認定された特定有期業務に従事することによって、有期労働契約の高度専門職に対して、無期転換の特例が適用されます。
例えば有期特別措置法における高度専門職が、科技イノベ法とか、今回の福島の研究拠点であるとか、研究開発法人等の研究に従事する場合に、その業務内容は当初の特定業務とは異なるということになります。そうすると、無期転換のための期間としては、研究開発法人等の研究に従事する時点で、0年にリセットされるのか、また、今までの業務と通算されるのか、この辺についてまずお伺いしたいと思います。
○労働関係法課長 お答えいたします。
今、御指摘のありました有期雇用特別措置法におきましては、認定を受けたプロジェクトに従事している期間中は、通算期間がそのプロジェクトの期間まで延長されるという中身になっているところですけれども、その有期雇用特別措置法の対象者として雇用されていた方が、途中で研究開発法人等の共同研究に従事された場合にはどうなるかといったような御質問だったかと思います。
もともと有期雇用特別措置法に基づくプロジェクトが例えば7年であれば、無期転換までの期間が7年ということになっていたわけですけれども、そこからこの科技イノベ法に基づく共同研究に従事しますと、今度、その方につきましては、無期転換までの期間が10年ということになります。しかし、これは、新たに10年がカウントされるわけではなく、労働契約法上は同一の使用者との間での有期労働契約が通算して5年、特例の場合には10年といったような規定になっておりますので、当初の有期労働契約が開始された時点から通算して10年ということになります。
○八野委員 ありがとうございます。
続けて、ちょっとよろしいでしょうか。
○荒木分科会長 どうぞ。
○八野委員 有期特措法の高度専門職については、そもそも特例の対象であって、当初の契約から通算して10年を超える時点で無期転換の申込権が発生するということです。民間の研究機関で、特例の対象でない形で働いている有期労働契約の研究者の場合、出向で研究開発等の研究業務に従事することになれば、その時点で5年が通算10年に延びるということで理解していいと思います。先ほど、それぞれの対象労働者にきちんと明示及び説明が行われているということであったのですが、この辺をもう一度その対象となる労働者にトラブル等が起きないように、きちんと明示をしていただいて、説明をしていただきたいと思います。
それと、もう一点は、先ほど言いましたように、そろそろ10年を迎える研究開発機関で働かれている方もいらっしゃると思います。その方たちに無期転換の申込権が発生するということを、もし、そのプロジェクトや研究が延びていけば、その旨をきちんとその対象者に説明をしていただきたいと思いますので、この辺の対応をしっかりお願いしたいということを意見として述べさせていただきたいと思います。
○労働関係法課長 御意見ありがとうございます。
先ほど復興庁のほうからも、対象者への説明というところの説明があったところですけれども、科技イノベ活性化法に基づくこれまでの取組としまして、無期転換ルールの特例の対象者と有期労働契約を締結する場合には、相手方が特例の対象となる旨を書面により明示し、その内容を説明すること等によって、相手方がその旨をあらかじめ適切に了知できるようにするなど、適切に運用する必要があるということを、文部科学省の各法人等に対する通知において定めているところです。当省と連名でリーフレット等を作成しておりますけれども、その中にも明記をして周知をしているところですので、引き続き、きちんとこういったことを周知してまいりたいと考えております。
○荒木分科会長 八野委員、どうぞ。
○八野委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
ただ、10年は長いものですから、最初の契約したときに、今度10年たったら無期転換申込権が発生するということをきちんと説明をしてくださっているということだと思いますが、その期間が近づいてきたときにも、もう一度本人に説明をしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
ほかに、何か御意見等はございますか。
冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 ありがとうございます。
御説明ありがとうございました。私のほうから、研究者との雇用の安定について、いくつか意見を申し上げたいと思います。
冒頭で説明いただいたように、大学、研究開発法人等の研究者等に対する無期転換ルールの特例につきましては、基本的な権利、義務に関わる事柄であるにもかかわらず、議員立法による法整備であるということで、当時、労政審で議論が行われなかったという経緯がございまして、そうした進め方に対しては、分科会でも労使双方の委員や座長から「労働関係法令の見直しは、労政審の議論を経た上で対応すべきだ」というような意見が出されました。事務局からも当然そのような認識だということで、その後、先ほども御説明いただきましたけれども、2020年はその3つの点も含めて御説明をいただき、また、今回もそういった経緯の中で報告いただいているものと捉えております。
我々労働側としましては、無期転換ルールは、不安定な立場で、雇い止めに対する不安を抱えながら働く有期契約労働者の雇用の安定を目的とするものであり、当然のことながら、それは研究者も含めて実現されるべきものと考えておりまして、本来であれば、こうした特例を設けること自体適当ではないというのが基本的な考えということは申し上げておきたいと思いますし、特例の対象者の拡大につきましても慎重であるべきと考えているところでございます。
本日、いろいろ説明いただきましたけれども、少なくとも雇用安定に係る法の規定を初め、また、先ほど資料4ページのほうで御説明いただきましたけれども、このようなガイドラインがあることもしっかり周知をしていただくということが重要だと思います。研究者等の雇用環境の改善と雇用の安定につながるキャリア支援の実施は必要不可欠だと考えておりますので、その点につきましては、ぜひ、しっかりと徹底していただくよう、改めてお願いしたいと思っております。
また、科技イノベ活性化法につきましては、先ほどから説明いただいておりますけれども、施行からもうすぐ10年になるということも踏まえまして、この間の研究者の自立、雇用の安定が本当に図られているのか、このような施行状況の調査もしっかり行っていただきまして、附則に基づいて検討を行うべきということにつきましては、改めて申し上げておきたいと思います。
以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
事務局からお願いします。
○労働関係法課長 御意見ありがとうございます。
法案提出時の経緯につきましては、御指摘いただいたとおりでございまして、引き続き、労働関係の法律の制定を行う場合には、しっかりと労政審で委員の皆様方の御意見を伺っていきたいと考えておりますし、こういった労働関係に関わるような事案につきましても、丁寧な説明をさせていただきたいと考えているところです。
また、労働契約法の無期転換制度の特例の対象が拡大していくことは慎重であるべきというような御指摘をいただきました。今回は、対象法人の追加ということになりますけれども、あくまでも法律レベルで判断をした上で対象を加えるということで、そこは安易な拡大につながらないように、しっかりと中身を見て判断をしていくということになろうかと考えているところです。
科技イノベ活性化法に基づく見直し規定につきましては、期限自体はいつまでというふうに区切られているものではございませんが、先ほど来御指摘がありますように、もうすぐ10年を迎えるということになりますので、この10年の雇用の状況等を踏まえて、今後、文部科学省や関係省庁において、見直しが行われていくと考えております。その際には、きちんと施行状況を見ながら御議論をいただくことになるものと考えているところです。我々としましても、今後も雇用の安定等がきちんと図られますように、先ほど御指摘いただいたような点を含めて、しっかりと周知等にも取り組んでまいりたいと考えております。
○荒木分科会長 ほかには、何か御意見等ございませんか。
佐久間委員、お願いいたします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
この案件でございますけれども、5年超で無期転換権が発生すると、その無期転換を回避するためにまた新たに雇い止めが起こったりする可能性もあるため、やむを得ない措置だと私は思います。
その上に立って、質問、確認等をさせていただきますが、今回、福島の案件もありますし、大学、研究法人の無期転換ルールですけれども、こういう研究機関の使用者は、経営者というか、それぞれには予算の確保ということに重点が置かれて、機関の経営というものに対する意識がどこまであるのかという疑問が生じます。ですから、国におきましても、こういうトラブルが起きないように、ぜひ、繰り返しになりますけれども、双方にとっての納得のいく説明に重点を置いて実施をしていただきたいと考えます。
3ページのところで、私はよく分からないものですから教えていただきたいのですが、無期転換ルールの研究についてです。先ほど、他の委員からも意見がありましたけれども、研究者の要件については、研究情報とかそれに関連する業務というのが主になると思うのですけれども、この特例の対象者のところで、例えば②のところで、「資金の確保等の運営管理業務の従事者であって」というのがあります。そうすると、このような業務は、予算書を書いたりとか、管理的な業務に属する者も、研究業務に関わるということで、含まれるのではないかと読めてしまう気がします。運営管理業務について、明確に分かれるものなのか教えていただきたい。
また、この3ページの下のほうに、各種研究機関、開発業務に関わる法人が書かれていますけれども、このうち、現在、どのぐらいの方々が雇い止めの対象となっている可能性があるのか。プロジェクトによっては、任命年数とかもあると思うのですけれども、こういう業務に携わっている方々のうち、雇い止めの対象となった人数がどの程度いらっしゃるのか、もし分かれば、教えていただきたいと思います。
あと、もう一点、6ページの国際教育研究拠点の法人形態ですけれども、こういう法人ができて、現状設置されている福島県内の同じような研究機関とか、国と県とは設置目的が異なっているかもしれませんが、合併とか、業務統合し、一つの機関、組織になったり、そういうことも考えられていらっしゃるのか、その辺についても教えていただきたいと思います。
以上です。
○荒木分科会長 それでは、お尋ねがございましたので、事務局からお願いします。
○労働関係法課長 最初の2点につきまして、私のほうから御説明いたします。
3ページ目の特例の対象者の②の「運営管理業務の従事者」について御質問をいただきました。資金の確保等の運営管理業務ということですけれども、プロジェクトの資金の確保、あるいは、知的財産権の取得、活用など、かなり専門的な知識、能力を必要とする業務が念頭に置かれているところでございます。いわゆる法人の中で事務をやっている方というよりは、プロジェクトごとの研究と一体となって行うような運営管理業務の従事者ということになっております。もちろん、個別、具体には個々の事案ごとに判断されることになりますけれども、基本的には、専門性の高い方々と承知をしているところです。
それから、2点目の御質問の研究開発法人の特例の対象とする人数規模ということですけれども、研究開発法人36法人ございますが、平成29年の文部科学省の調査におきましては、この特例の対象となる人数は約8,500人と聞いているところでございます。
○復興庁統括官付参事官 最後の御質問にありました既存施設との関係でございますけれども、資料6ページにも書いてありますけれども、既存施設の取組に横串を刺す調整機能といったようなものもこの法人が行うこととしているところでございまして、さらにこの概要には引用しておりませんが、昨年11月の復興推進会議決定の中では、司令塔機能の発揮の仕方の1例として、ちょっと読み上げさせていただきますと、「新法人が司令塔機能を最大限発揮する観点から、既存施設については、丁寧な調整の上で、可能な限り統合を目指し、早期に方針を固める。」といったような方針を示しているところでございまして、この方針に沿って、今後の在り方について検討してまいりたいと考えているところでございます。
○佐久間委員 ありがとうございました。
すみません。先ほどの運営管理業務の御担当の方ですけれども、深い知識も必要だということは分かるのですけれども、プロジェクトになると、例えば国に対する報告とか、申請とか、いろいろ事務的な作業が出てくると思うのですけれども、こういう方が研究者として認められているというのも結構いらっしゃるのではないかと思うのですけれども、こういう人数は、基本的にはよく分からないという理解でよろしいでしょうか。
○労働関係法課長 先ほどの8,500人は特例の対象になる方ということで調査をしたものでございまして、詳細な内訳については承知していないところです。
○佐久間委員 ありがとうございました。
○荒木分科会長 ほかには、何か御質問、御意見ございましょうか。
よろしゅうございましょうか。
特に御発言の御希望がないということでございましたら、本日の議題についての議論はここまでとさせていただきたいと存じます。
最後に、次回の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件企画専門官 次回の労働条件分科会の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木分科会長 それでは、以上で第171回「労働条件分科会」は終了とさせていただきます。
本日は、お忙しい中を、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。