2021年12月2日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年12月2日(木)18:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(2名)五十音順
行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 定刻を過ぎましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。またこの度の医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 本日のWeb会議の委員の出席ですが、小崎委員より御欠席の御連絡を頂いております。そのほか浦野委員、山口委員が遅れて御参加されると認識しております。したがいまして、現在のところ当部会委員数21名中18名の委員がこの部会に御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告をさせていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。委員の皆様には会議開催の都度書面を御持参いただき御負担をおかけしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いします。
○清田部会長 本日の審議に入ります。まず事務局から資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告ください。
○事務局 本日のWeb会議に係る資料の確認をさせていただきます。本日はあらかじめお送りした資料のうち、資料No.1~15-4と製剤写真を用いますので、お手元に御用意ください。このほか資料No.16として、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料No.17として、専門委員リスト、資料No.18として、競合品目・競合企業リストを事前に電子メールにてお送りしております。なお、システムの動作不良などありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。資料No.18の1ページを御覧ください。リフヌア錠ですが、本品目は「難治性の慢性咳嗽」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページ、ビンゼレックス、本品目は「既存の治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページ、リツキサンについては、本品目は「難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページ、オプジーボについては、本品目は「原発不明癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページ、キイトルーダについては、本品目は「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 6ページ、レンビマカプセルについては、本品目は、「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページ、ルマケラス錠については、本品目は「がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 8ページ、ベバシズマブBS点滴静注については、本品目は「治癒、切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」及び「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。それでは本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。それでは委員からの申出状況について御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては次のとおりです。
 議題1 リフヌア、退室委員なし、議決に参加しない委員、松下委員、南委員、横幕委員です。
 議題2 ビンゼレックス、退室委員なし、議決に参加しない委員、亀田委員です。
 議題3 リツキサン、退室委員、議決に参加しない委員共になしです。
 議題4 オプジーボ、退室委員、南委員、山口委員、議決に参加しない委員なしです。
 議題5 キイトルーダ、退室委員、山本委員、議決に参加しない委員、横幕委員です。
 議題6 レンビマ、退室委員、山本委員、議決に参加しない委員、亀田委員、南委員、山口委員です。
 議題7 ルマケラス錠、退室委員、松下委員、山口委員、山本委員、議決に参加しない委員、亀田委員、濱委員、南委員です。
 議題8 ベバシズマブBS、退室委員、松下委員、議決に参加しない委員、大隈委員、亀田委員、川上委員、清田委員、中野委員、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員です。  
 また議題9についても各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上です。
○清田部会長 今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。よろしいですか。よろしければ皆様に御確認いただいたものとします。
 本日は審議事項9議題、報告事項5議題、その他事項1議題となっております。それでは審議事項の議題に移ります。議題1について機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、リフヌア錠45mgの製造販売承認の可否等について機構より御説明します。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、審査報告書の下段に63分の幾つと記載している数字を使用します。
 本剤の有効成分であるゲーファピキサントは、選択的P2X3受容体拮抗薬であり、今般、実施された臨床試験成績等を踏まえ、「難治性又は原因不明の慢性咳嗽」に関する効能・効果で製造販売承認が出されました。本剤が拮抗作用を示すP2X3受容体は、気道壁表層に分布するAδ線維及び気道の粘膜上皮に神経終末を持つC線維に発現するATP依存性イオンチャンネルであり、活性化による咳嗽惹起が示唆されていることから、本剤は咳嗽治療薬として開発が行われました。なお、2021年11月現在、本剤が承認された国又は地域はありません。本申請の専門委員として、資料No.17に記載されている9名の委員を指名いたしました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に説明いたします。
 なお、審査報告書の57ページ、「10.その他」の項に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。有効性について、審査報告書の38ページ、表48に示す難治性の慢性咳嗽患者を対象とした国際共同第III相試験にある027試験の成績より説明いたします。
 審査報告書の39ページ、表49を御覧ください。本試験の主要評価項目である投与12週時の24時間の咳嗽頻度(1時間当たりの回数)について、左から2列目の本剤15mg群では有効性が認められなかったものの、左から3列目の本剤45mg群において、プラセボに対する優越性が検証されております。日本人部分集団の成績は同ページの表50のとおりとなります。
 また、審査報告書の41ページ、表53を御覧ください。こちらは027試験と同様の難治性慢性咳嗽患者を対象とした海外第III相試験である030試験の成績であり、主要評価項目である「投与24週時の咳嗽頻度(1時間当たりの回数)」について、027試験と同様に本剤45mg群において、プラセボ群に対する優越性が検証されております。以上より、機構は本剤の慢性咳嗽に対する有効性は示されていると判断いたしました。
 安全性について、審査報告書の50ページ、表61、並びに審査報告書の51ページ、表62及び表63に本剤の臨床試験における本剤の安全性の概要を示しております。
 本剤の臨床試験において、高い割合に認められた「味覚関連事象」について、審査報告書の52ページ以降の「7.R.3.1味覚関連事象」に基づき御説明します。審査報告書の53ページ、表64を御覧ください。本剤の第III相試験において認められた味覚関連の有害事象の発現頻度は、左から3列目、本剤45mg群において65.4%と高く、事象としては金属味、塩味、苦味等の味覚不全、味覚消失、味覚減退等であり、下から3,4,5段目に示すとおり、味覚関連事象を発現した患者に対する各重症度の割合は、軽度が64.7%、中等度が31.5%、重度が3.8%となっており、転帰については、96.0%が回復している一方、味覚関連事象による投与中止は21.3%でした。機構は、本剤による味覚関連事象の多くは、軽度で回復性が認められているものの、本剤投与の継続に影響し得る事象であることから、添付文書において注意喚起することが適切と判断しました。その他、臨床試験における本剤の安全性は許容可能と考えますが、製造販売後の調査等において引き続き情報を収集し、得られた情報を臨床現場に適宜、情報提供する必要があると判断しました。
 次に、審査報告書の55ページ、「7.R.4臨床的位置付け及び効能・効果について」の項を御覧ください。本剤の臨床試験では、国内外のガイドラインに基づき、治療抵抗性又は原因が説明できないとされた難治性の慢性咳嗽患者が対象とされていたこと及び専門協議での議論を踏まえ、効能・効果は「難治性の慢性咳嗽」とし、審査報告書の58ページ、1.1項に示したとおり、「最新のガイドライン等を参考に、慢性咳嗽の原因となる病歴、職業、環境要因、臨床検査結果等を含めた総括的な診断に基づく十分な治療を行っても咳嗽が継続する場合に使用を考慮する旨」及び「本剤による咳嗽の治療は原因療法ではなく、対症療法であることから、漫然と投与しない旨」を添付文書において注意喚起することとしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しております。
 また渡辺委員より「本剤の適応疾患であるRCC(Refractory Chronic Cough)とUCC(Unexplained Chronic Cough)は、咳の原因除去、他の鎮咳方法に反応しないRefractoryや、原因が特定できないUnexplainedで、かつ8週間以上、「非特異的な原因」で咳嗽が持続するものと理解できるが、生体の防御反応であるはずの咳嗽を抑制することで、例えば、高齢者の原因不明の窒息などが生じる危険はあり得ないのでしょうか。また、対象症例は、男性よりも女性に多いという現象は、どのような理由が考えられているのでしょうか。例えば、男性には喫煙者が多く、COPDが咳嗽の原因とされ、男性の慢性咳嗽は“Explained”になり、UCCに該当しやすいということはないのでしょうか。喫煙者、非喫煙者で分けた場合、本剤による治療候補者の再精査はあるのでしょうか。」との御質問を頂いております。御質問に対する御回答として、まず、生体防御機構である咳嗽の抑制に関して、去痰不十分となる等のリスクは、鎮咳薬一般に想定されると考えられるものの、第II相試験において誤嚥が1件認められている以外に、窒息や誤嚥性肺炎による死亡などは本剤では認められておらず、現時点では生体防御反応としての咳嗽の抑制に起因すると考えられる安全性上の大きな問題は認められておりません。
 次に、本剤の臨床試験に女性が多く組み入れられた点について、難治性の慢性咳嗽を対象とした複数の疫学調査においても、女性が多数を占めるとの結果が報告されております。ただ、咳中枢の感受性が女性の方が高いことを理由に挙げている文献もありますが、正確なところは分かっておりません。また、御質問の男女別の喫煙者の割合ですが、第III相試験である027試験及び030試験では、スクリーニング前12か月以内に喫煙歴がある患者と、時期によらず20pack-yearsを超える喫煙歴のある患者は除外されており、試験参加時点で喫煙中の患者は組み入れられておりませんでした。なお、2試験の併合集団で、除外基準に抵触しない喫煙歴を有する患者の割合は、男女間で大きな違いはありませんでした。御説明は以上です。以上、御審議のほど、よろしくお願いします。
○清田部会長 渡辺先生、ただいまの御回答に対していかがでしょう。
○渡辺委員 御丁寧な御説明をありがとうございました。かなり斬新なというか、余り見たことのないような作用機序なので、防御機構である咳嗽反射をかなり抑え過ぎてしまうということに心配が及んだのですが、一応今の御説明で了解いたしました。
 それから男女差についてです。女性では咳中枢の感受性が高いということが、実際にあるかどうかは分かりませんけれども、男女差についての重要な意味付けをする必要は、余りないのではないかとも思って伺いました。ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、亀田先生から御質問があるようです。
○亀田委員 一つ質問させてください。今お話いただいた有効性に関するものです。表49あるいは表53を見ていると、ベースライン、投与24週というのはざっくり言うと、例えば咳嗽の頻度がプラセボでも45mg群でも半分ぐらいになるということで、余り有効性がはっきりしないと思いました。ただし表58で投与4週、8週、12週、24週というように、もう少し細かいところを見ていくと、例えば投与4週という比較的早い時点だと、45mg群投与では割とスッと下がっていて、プラセボの下がりは遅い。ただ24週になるに従って、プラセボがだんだん伸びてきて、45mg群に追い着いてくるようにも見えます。そうすると、やはり効果の実感というのは早い段階で確かにあるのだろうと思うのですけれども、長期的には余り明確な差ではなく、短期的なところのほうがよりはっきり差があるという状況の中で、この薬をどのように使っていくのか。例えば短期的に使ってやめて、またというようにやるのか。その辺りはどうなのでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 本剤投与の継続をどのように判断していくのかという御質問と理解させていただきました。その点について、咳嗽の負担というのは、患者個々のライフスタイルや価値観が大きく関係すると考えられますので、このような患者個々の状況を確認しながら、治療の必要性を考慮して本剤の投与中止の要否を検討をされるものと、機構としては考えております。添付文書の「重要な基本的注意」にも、本剤は対症療法であるので、漫然と投与しないことという注意喚起をしており、当方としてもそのような漫然とした投与は避けていただきたいというように考えているところです。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○亀田委員 ありがとうございます。
○清田部会長 それでは、松下先生から御質問があるようです。
○松下委員 38ページのこの試験の選択基準を見ていて、どういう患者が入っているのかがよく分からなかったのです。マル2を見ると、慢性咳嗽に大きな影響を与えていると考えられる異常がない方ということなので、肺炎や肺癌の人は原則入ってないということですか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。
○松下委員 RCCとかUCCという病気は、何か診断基準はあるのですか。
○清田部会長 いかがでしょう。機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 今、先生が御覧いただいている審査報告書の38ページの脚注26のような形でガイドライン等に基づいて、UCC又はRCCと診断された患者が対象になると考えております。
○松下委員 分かりました。それと、現在は承認されている国がないというお話だったのですけれども、他国では審査中なのか、あるいは落ちてしまったのか、情報はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 米国○○○○においては現在、審査中と聞いております。
○松下委員 分かりました。
○清田部会長 それでは登美先生、御質問をお願いします。
○登美委員 この薬剤は腎排泄だと思うのですけれども、添付文書の用法・用量に関連する注意で、透析をしない患者には投与量を減らすことというようになっているのです。しかし逆に、透析患者に対しての注意がない。その後の「特定の配慮」の中に、十分なデータが得られていないということが書かれているのですけれども、用法・用量に関して注意しなければいけないことは、ほぼ間違いないと思うので、用法・用量に関連する注意として、透析患者に対する注意を書かなくていいのかというのが一つです。
 もう一つは同じく腎機能の所で、添付文書の16.6に、重症度に応じたAUCとかCmaxが載っているのですけれども、腎機能障害の重症度が載っているのですけれども、具体的にeGFRなどを併せて載せたほうが分かりやすいのではないかと思ったのです。そういうわけにはいかないのかというのが2点目の御質問です。お願いします。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 まず、後半に御質問いただいたeGFRの基準等については、添付文書(案)の表3の下の本文中に書いておりますけれども、今後は御指摘を踏まえ、表現方法等を検討させていただければと考えております。
○登美委員 ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 透析に関してです。本剤は透析により除去されることが分かっているのですけれども、透析のレジメンによりどの程度除去されるのか等の情報がかなり限られているという状況なので、御指摘いただいた用法及び用量に関連する注意の項に、明確な注意喚起ができかねると判断したことから、現在のような記載とさせていただいた経緯があります。
○登美委員 注意が必要なことに変わりがないというか、注意することは書いておいたほうがいいのかと思ったのですが、そういう曖昧なことは、ここには書けないということですか。
○医薬品医療機器総合機構 先生の御理解のとおり、曖昧な状況でそちらの項に記載するのは、なかなか難しいと考えた次第です。
○登美委員 ありがとうございます。
○清田部会長 それでは宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今の質問にも重なるのですが、やはり透析のときは透析の終了後から服用してしまうと、次の透析まで48時間後まで蓄積するのだろうと思いますので、そこはしっかり書き込まないとまずいだろうと思います。同様に懸念しております。それが一つです。
 それから、教えていただきたいのは、プラセボに対する相対減少率で統計的な有意差が出ていることを強調したいのはよく分かるのですが、表49のとおりプラセボ群でも頻度維持が半減しているので、これに比べて相対評価で2割減、約-18.5%などと言われても、臨床的な有用性をどのように考えるかということが少し疑問です。
 それから、027試験と030試験です。被験者の同意撤回が15%ぐらいあったようです。これは41ページとか38ページですね。どのような状況だったか、患者の背景によって違いがあったのかどうか、これについて教えていただきたいと思います。以上です。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 まず、該当頻度のプラセボとの相対減少率で-18.5%しか差がないので、臨床的な意義はいかがなものかという御質問に関してですが、審査報告書の46ページ、58ページに記載したその他の指標等を総合的に勘案し、機構としては本剤の臨床的な意義はあるものと判断した次第です。
○宮川委員 ありがとうございます。その他の指標というのは、それほどグレードが高いものなのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床的な意義を考慮した評価項目としては、その他の指標として評価されているLCQ合計スコア及びCSD合計スコアが1.3ポイント以上それぞれ増加又は減少した患者割合が該当いたします。
○宮川委員 どちらの指標のほうがグレードが高いのでしょうか。本来からすると、今言ったような相対評価での2割減というのが、臨床的な有用性を示すところであろうかと考えるのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験の主要評価項目としては、客観的かつ正確な評価が可能という観点から、咳嗽頻度が設定されたという経緯があり、臨床試験における評価のという観点からは、咳嗽頻度の方が厳密な評価ができるだろうと判断しています。ただ、臨床的意義という観点からは、LCQ等の主観的な指標も含めて判断して差し支えないのではないかと考えております。
○宮川委員 分かりました。疑問は疑問ですけれども、先ほども話があったように、漫然と使うということが非常に問題なので、そこに関してはある程度の指標というか、指針があるべきだろうと思っておりますので、その辺も御教示いただければと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。次に御質問いただいた、同意撤回された関係については、背景までまとめたような資料が手元にありませんので、こちらについては御回答しかねるという状況です。申し訳ございません。
○宮川委員 はい、分かりました。
○清田部会長 それでは宗林先生、どうぞ。
○宗林委員 宗林です。1点です。味覚障害に関して4割あるいは6割という数字で、何らかの症状が出るというように書かれています。しかし患者の立場から見ると、患者はそれが出たときに、これとの因果関係が直感的には分からないでしょう。今までの先生方のお話は、臨床的な医師が判断することなので、それでいいと思うのですが、突然味覚がおかしくなったときに患者が混乱しないように。私は、味覚障害がこれだけ出るのであれば、必ず伝えるべきだと思います。この添付文書を渡すわけではないので、患者への所に何か書かれているのでしょうか。4割、6割出るのであれば、必ず伝えていただきたいと思います。
○清田部会長 機構、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。先生も御指摘のとおり、味覚障害については本剤の投与継続に関わる重要な有害事象と考えておりますので、資材等を通じて患者に御説明されるように、申請者に申し伝えたいと考えております。
○宗林委員 患者の方は別の疾病ではないかと思ってそういうことが出るかもしれないということを、必ずお伝えいただけるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは南先生、どうぞ。
○南委員 私も味覚障害に関してです。添付文書案を見ますと、最初のページの9.2の腎機能障害患者の所で、「味覚異常は、用量依存的に増加する傾向が認められている」という記載があります。理論的に味覚異常は腎機能障害だけでなく、腎機能が正常な方にも用量依存的に増加することが想像されますし、報告書の53ページの表64でも、15mgを使うことはないのでしょうけれども、15mg、45mgと用量依存的に上がっています。したがって、これをもう少し一般的な問題として記載したらいかがでしょう。具体的には「その他の副作用」に味覚不全ということが書いてありますから、この部分に「用量依存的」という表現を入れたらどうでしょうか。もちろん腎障害患者では減量することと書いてありますので、用量を変えるとすれば腎障害時なのでしょう。しかし例えば今後、いろいろな情報が上がってきて薬物相互作用が分かってきたとか、何かのときのことも考えて、味覚異常というのは一般論として、副作用の所に書いたほうがユーザーフレンドリーで良いと思いますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘の点ですけれども、9.2項にこの旨を書かせていただいた背景を御説明いたします。腎機能による用量調節はありますが、本剤は基本的に1回45mgという1用量の設定となっており、血中の曝露量が上がる可能性があるというところで、腎機能障害患者の方にこの旨を記載させていただいたということです。
○南委員 恐らくそうなのだろうと思うのですが、これだけの頻度で味覚不全が見られて、今後、現場で使用され色々な知見が明らかとなって血中濃度が上昇するような状況が、研究で明らかになってくる場合もあるかと思います。治験データ以外で明らかになってくる場合もあると思いますので、これはやはり副作用の所で用量依存性について記載いただいたほうがいいのではないかと思いますが、やはりそうはいかないのでしょうか。一応それをサポートするデータとして、15と45のデータはサポートしていると思いますし、どうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘、ありがとうございます。添付文書への記載の他に、例えば資材等で十分に情報提供をするという方法もあろうかと思いますので、御指摘を踏まえ、必要な情報が記載されるように検討させていただきたいと考えております。
○南委員 よろしくお願いします。腎機能が正常な患者については、9.2項は見ないと思いますので、御検討いただければと思います。
○清田部会長 ほかに御質問はありますか。よろしいでしょうか。
○宮川委員 何度もすみません。宮川です。宗林委員や南委員がおっしゃったとおり、味覚障害に関しては是非ともしっかりと書き込みをしていただきたいと思います。今の御時世だと、COVID-19で味覚障害が出ることがありますので、現場が混乱するということもありますし、患者自身が混乱します。先ほど南委員がおっしゃったように、そういう意味ではフレンドリーな書き方をしていただいたほうがよりよろしいのではないかと。投与前の患者への説明が重要だろうと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○医薬品医療機器総合機構 御意見検討させていただきます。
○清田部会長 ほかにはよろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。松下委員、南委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようなので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて議題2に移ります。議題2について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、ビンゼレックス皮下注160mgシリンジ他の製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に60分の幾つで記載しております数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるビメキズマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-17A及びインターロイキン-17Fに対するヒト化IgG1モノクローナル抗体であり、今般、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿胞性乾癬及び乾癬性紅皮症に関する効能・効果で製造販売承認申請がなされております。なお、海外では、本年8月に欧州で乾癬に対して承認されております。
 本申請の専門委員として、資料No.17に記載されております10名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書56ページ、「10.その他」に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性につきまして、尋常性乾癬に関して、日本人を含む乾癬患者を対象とした国際共同第III相試験であるPS0009試験成績に基づき説明いたします。審査報告書29ページの表33を御覧ください。本試験では、中等症から重症の局面型皮疹を有する乾癬患者において、投与16週時での、全身の皮膚症状をスコア化したPASIスコアが、ベースライン値より90%以上減少した患者の割合である「PASI90達成率」及び医師による全般的評価による乾癬病変が「なし」又は「軽微」とされた患者の割合である「IGA(0/1)達成率」がco-primary endpointとされました。表33の左から2列目のプラセボ群との差の行に示しますとおり、いずれの評価項目についても、本剤320mgQ4W群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤320mgQ4W群の優越性が検証されております。また、日本人部分集団の成績につきましては、同じ表33の右半分に示しております。
 次に、膿胞性乾癬(以降、GPPと略す)及び乾癬性紅皮症(以降、EPと略す)に関しまして、審査報告書37ページの表46を御覧ください。両病型は患者数が非常に限られていることに加えて、欧米では局面型皮疹を有する乾癬に対する治療薬がGPP、EP患者に使用されている実態があることを考慮し、対照群を設定した国際共同試験による有効性の検証は困難とされ、長期投与試験であるPS0014試験の別コホートにおいて評価されております。表46の右側のGPP、EPの列に示しますとおり、複数の評価項目において改善傾向が認められており、GPP及びEPと同様の皮膚症状を主症状とする尋常性乾癬の局面型皮疹に対する本剤の有効性が検証されていることを勘案いたしますと、膿胞性乾癬及び乾癬性紅皮症に対しても、本剤による一定の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性につきまして、審査報告書40及び41ページの表50及び表51に、本剤の臨床試験における安全性の概要を、審査報告書42ページの表52には、本剤の臨床試験において認められた主な有害事象を示しております。また、本剤の薬理作用等から懸念される有害事象についても検討いたしました結果、審査報告書42ページ以降に記載しておりますとおり、乾癬患者において安全性上の重大な懸念は示されていないことから、既承認の生物製剤と同様の安全対策を講じることで、本剤の安全性は許容可能と考えております。
 効能・効果につきまして、臨床試験成績及び本剤は乾癬に対して使用される既承認の生物製剤と同様の位置付けの薬剤となることを踏まえ、効能・効果は申請のとおり、「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿胞性乾癬、乾癬性紅皮症」と設定することが適切と判断いたしました。
 用法・用量につきましては、審査報告書50ページ以降の「7.R.3 用法・用量について」に記載いたしましたとおり、プラセボ群に対する本剤320mgQ4W群の優越性が検証されていることから、投与16週までの用法・用量は、320mgの4週間隔投与が適切であると判断いたしました。投与16週以降につきましては、審査報告書51ページ、表60のとおり、320mgの4週間隔投与を継続した場合と、320mgの8週間隔投与へ変更した場合で、有効性に明らかな違いは認められなかったことから、投与16週以降の通常用法・用量は320mgの8週間隔投与が適切と判断いたしました。
 一方、体重区分別の部分集団解析を行った同ページの表61では、体重100kgを超える患者において8週間隔投与への変更により有効性が低下する傾向が認められ、その他、8週間隔投与に変更後、効果不十分となった患者において、再度4週間隔投与を行うことにより症状の改善が認められた事例が体重区分に依らず存在することも踏まえますと、患者の背景や症状等の状態に応じて4週間隔投与を選択可能とすることが適切と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、事前に渡辺委員より、「7.R.4.1 既承認の生物製剤に対する本剤の位置付けについて」の項で、「PS0009試験、PS0008試験の臨床試験成績を挙げ、「本剤は乾癬に対する生物製剤の第一選択になり得ると考えている」とあるが、PS0009試験はウステキヌマブとの比較、PS0008試験はアダリムマブとの比較であり、資料2の1.7、同種同効品一覧表に挙げられているセクキヌマブ、イキセキズマブ、ブロダルマブとは比較されておらず、本剤は乾癬に対する生物製剤の第一選択となり得ると考えているという一文は不適切ではないでしょうか」との御指摘を頂いております。審査報告書における御指摘の箇所は、臨床開発の結果に基づく申請者の主張であり、機構としましては、次の段落に記載しておりますとおり、「本剤は、乾癬に対する既承認の生物製剤と同様の位置付けの医薬品である」と考えておりますので、御理解のほどお願い申し上げます。頂きました御指摘につきましては、申請者に申し伝えさせていただきます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 渡辺先生いかがですか。
○渡辺委員 申請者がこういうように言いたい気持ちはよく分かりますけれども、これを審査する立場というか、読む立場でいくと、ほぼ同じ時期に同種同効薬が幾つか承認されているわけですから、ここは例えば、本剤は乾癬に対する生物製剤の第一選択の一つになり得るというように機構の側で少し添削してでもいいのではないかと思うわけです。ですから、その結論に至るまでに、このように同種同効薬があるのに何でこれが第一なのかということまで考えるのに、大分時間が掛かってしまったので質問させていただきました。
○医薬品医療機器総合機構 記載ぶりにつきましては、今後、より分かりやすい記載となるよう気を付けたいと思います。御指摘いただきまして、どうもありがとうございます。
○清田部会長 では、よろしくお願いします。亀田先生、いかがでしょうか。
○亀田委員 今の質問とも関連してしまうのですが、適応に関する質問です。これまでのIL-17阻害薬の三つは、みんなここに挙がっているものに加えて、関節症性乾癬(乾癬性関節炎)というものが含まれていたと思うのですけれども、これだけはそれが含まれていません。そのことはほかの3剤と比べて、むしろ不利になる可能性すらあると思うのですけれども、これはどういう事情だったのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本剤につきましても、関節症性乾癬に対する開発は行われております。ただし、今回、申請となっております用法・用量と異なる用法・用量で臨床試験が実施されていることから、臨床試験が完了し期待どおりの成績が得られれば、別途、申請となるのではないかと予測しております。
○亀田委員 ありがとうございます。
○清田部会長 それでは宮川先生、お願いします。
○宮川委員 今のに重なってしまって、本当に申し訳ないのですが、やはり渡辺委員、亀田委員がおっしゃったように、これがノーシグナルの伝達を阻害するという形になりますと、IL-17Aという形で、今までの代表的な3剤、ここでは直接比較試験はないわけですけれども、ルミセフみたいなそういうイメージで言ってしまって申し訳ないのですが、使い分けは非常に難しいのではないでしょうか。表現としては、先ほど言ったようなことは機構の方から申請者に対して、こういう文面で載せるべきではないと、ここで文章で表現される前に少し指導があってもよかろうと思います。これは使い分けをどのように臨床の場面でするのかということに対しての、何か機構側からのご示唆はあるのでしょうか。
○清田部会長 機構からどうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきまして、ありがとうございます。報告書の記載につきましては、次回以降、注意していきたいと思います。
 使い分けにつきましては、先述のとおり、既承認の生物製剤と同様の位置付けと我々としては考えておりまして、複数ある生物製剤における選択肢の一つと考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいですか。ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移ります。議題3につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3、リツキサン点滴静注100mg、同点滴静注500mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以降の審査報告書のページ数は、各ページの下段に30分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるリツキシマブ(遺伝子組換え)は、抗CD20モノクローナル抗体です。本邦では、2001年にCD20陽性の低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫に係る効能・効果で承認されて以降、慢性リンパ性白血病や顕微鏡的多発血管炎、ネフローゼ症候群、全身性強皮症などに係る効能・効果で承認されており、今般、難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。
 天疱瘡は、皮膚や粘膜に病変が認められる自己免疫性水疱性疾患で、口腔粘膜及び皮膚のびらん、潰瘍を特徴とする尋常性天疱瘡、口腔粘膜の病変はほとんど認められず主に脂漏部位の皮膚の水疱、びらん、紅斑を特徴とする落葉状天疱瘡、及びその他の三つに大別され、病型別割合は、尋常性天疱瘡が65%と最も多く、次いで、23%が落葉状天疱瘡と報告されております。また、平成26年の厚生労働省告示第393号にて指定難病とされ、令和2年3月に開催されました当部会で御審議いただき、本薬は「難治性の下記疾患 尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡」を予定とされる効能・効果として、希少疾病用医薬品に指定されております。
 本申請の専門委員として、資料No.17に記載されております5名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容につきまして、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書25ページの「10その他」に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性につきまして、審査報告書11ページの表7を御覧ください。この表は、プレドニゾロン換算で60~120mg/kg又は1~1.5mg/kgの経口ステロイドの投与を必要とする、中等症から重症の尋常性天疱瘡患者を対象とした海外試験の成績をお示ししております。海外では、経口ステロイドで効果不十分な天疱瘡患者に対する治療薬としてミコフェノール酸モフェチル(以降、MMFと略す)が推奨されておりますことから、MMFを対照薬とした比較試験が実施され、本試験の主要評価項目とされた投与52週までの完全寛解持続達成率について、MMFとの対比較において本剤の統計学的に有意な差が認められ、MMFに対する本剤の優越性が検証されております。
 次に、審査報告書13ページの表11を御覧ください。この表は、再燃のため経口ステロイドの投与量を、天疱瘡治療の維持用量目標であるプレドニゾロン10mg/日以下へ減量することが困難な難治性の天疱瘡患者を対象とした国内単群試験の成績をお示ししております。本試験の主要評価項目である投与24週時の寛解率は75%であり、試験の対象である経口ステロイド漸減中に再燃が認められる天疱瘡患者では、自然寛解が期待できないと考えられること等に基づき事前に規定された閾値寛解率5%と比較して、統計学的に有意に高い結果が示されております。
 次に、審査報告書17ページの表13、続いて19ページの表16を御覧ください。これらの表は海外試験及び国内試験における副次評価項目や、その他の有効性評価項目の成績をお示ししております。天疱瘡の病勢評価に有用とされているPDAIスコアや、臨床症状等を評価するいずれの評価指標においても、海外試験ではMMFを上回る傾向が、また、国内試験ではベースライン時と比較して改善する傾向が認められております。以上より、本剤の天疱瘡に対する有効性は示されており、有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性につきまして、審査報告書21ページの表18を御覧ください。この表は、海外試験、国内試験で認められた主な有害事象と、既承認効能・効果である全身性強皮症及び難治性ネフローゼの患者を対象とした臨床試験の安全性の概要をお示ししております。希少な疾患である天疱瘡患者の検討例数は限られているものの、既承認の効能・効果における安全性プロファイルと比較して、明らかに異なる傾向は認められていないことから、既承認効能・効果と同様な安全対策を講じることが適切と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本薬は、本申請に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しています。 御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。
○南委員 南ですが、今回の承認用量は1,000mgと、既存の他疾患と比べて量が多いと思うのですが、例えば悪性リンパ腫のように腫瘍量が多い疾患で投与を開始しますとインフュージョンリアクションで、なかなか投与量が上がらずに、投与時間が24時間以上掛かってしまうようなことも初回の場合はあり得るのですが、今回は、要するに外来で投与できるようなレベルかどうか、その点、インフュージョンリアクションにより投与量を上げられなかった例など、データはあるのでしょうか。あったら教えてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。国内試験ではインフュージョンリアクションの発現を予防するために、本剤投与約30分前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等が投与されています。本剤の投与に当たり、インフュージョンリアクションの問題により投与を中止した症例が、既承認効能・効果と比較して、明らかに多いという報告は現時点で受けておりません。
○清田部会長 南先生、よろしいでしょうか。
○南委員 多くはないと思うのですが、むしろ軽いとは思うのですけれども、要するに、初回は入院しようというつもりで投与を準備したほうがいいのか、外来で投与開始してしまって、夕方までに終わらなくて、慌てて入院の手続を取るとかというようなことが必要にならないかどうか、その可能性が低ければ、特にアラートを出す必要はないかと思いますが、どうなのでしょうか。承認は全然問題ないと思いますので、情報を適切に現場に伝えていただくように御指導いただければよろしいかと思いますので、是非お願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 どうもありがとうございます。資材等を含めて、申請者に適切に情報提供するよう指示したいと思います。
○南委員 お願いします。
○島田委員 島田ですが、皮膚科なので一言申し上げますけれども、この抗CD20抗体ですが、これは尋常性天疱瘡という非常に難治の病気で、ステロイド投与で、うまくいかない重症の症例ですので、基本は入院されていると思います。外来で使うのは考えにくいのかというぐらいです。ということで、今の御懸念は余りないかと思いますけれども。
○南委員 分かりました。入院で使うというのであれば、それで結構です。
○清田部会長 島田先生、ありがとうございます。
○島田委員 はい。
○清田部会長 それでは、議決に入りたいと思います。よろしいでしょうか。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題4に移ります。南委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題4の審議の間、会議から御退室して御待機いただくことといたします。また、山口委員におかれましては、利益相反の申出に基づきまして、議題4の審議の間、会議から御退室して御待機いただくものといたします。南委員、山口委員は御退室をお願いいたします。
── 南委員、山口委員 退室  ──
○清田部会長 それでは、議題4につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御説明いたします。議題4、資料No.4、医薬品オプジーボ点滴静注20mg他の製造販売承認事項一部変更承認可否等について、機構より御説明いたします。以降の審査報告書のページ数は、各ページの30分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤は、programmed cell death-1に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。現在、本剤は悪性黒色腫、非小細胞肺癌等に係る効能・効果で承認されております。
 今般、本剤は「原発不明癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は令和3年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年8月時点において、原発不明癌に係る効能・効果で承認されている国又は地域はございません。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料17にありますとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験であるNivoCup試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書8ページの表2を御覧ください。主要の局在・組織型等に基づいて推奨される治療法のない原発不明癌患者を対象としたNivoCupにおいて、主要評価項目とされたRECIST ver.1.1に基づく中央判定による奏効率は22.2%であり、他に推奨される治療法のない原発不明癌患者において、臨床的に意義のある結果であったこと等を考慮すると、当該患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書12ページの「7.R.2安全性について」の項を御覧ください。本剤の使用時において注意すべき有害事象は、既承認の効能・効果に対する審査時等に注意が必要と判断された事象と同様であり、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察と、過度の免疫反応による副作用を考慮した鑑別診断や管理等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。
 以上のような審査の結果、機構は、「原発不明癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようですので、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 事務局から引き続き、御説明があるようでございます。よろしくお願いします。
○事務局 本議題に関連いたしまして、最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので、御説明させていただきます。資料15-1を御覧ください。オプジーボ点滴静注について、原発不明癌に係る最適使用推進ガイドラインの(案)を作成しております。資料3/12ページに効能・効果として「原発不明癌」と記載し、5/12ページ以降に、今回審査された臨床試験の成績として有効性や安全性に関する情報を記載させていただいております。また、10/12ページに、先ほどの審査の内容を踏まえた本剤の投与対象になる患者についての内容を記載しており、11/12ページに投与に際しての留意すべき事項について記載しております。以上でございます。 
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問等がありましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。毎回同じような感じですのでよろしいでしょうか。
 それでは本議題については御確認いただいたものといたします。では、ロビーで待機されています南委員、山口委員をお呼びください。
── 南委員、山口委員 入室  ──
○清田部会長 続きまして、議題5に移ります。山本委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づきまして、議題5から議題7までの審議の間、会議から御退室して御待機いただくものといたします。山本委員は御退室をお願いいたします。
── 山本委員 退室  ──
○清田部会長 議題5及び議題6につきましては関連する議題ですので、まとめて御議論いただきたいと思います。それでは議題5及び議題6につきましては、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5、医薬品キイトルーダ点滴静注100mg及び議題6、資料No.6、医薬品レンビマカプセル4mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.5と資料No.6の審査報告書について、頭紙はそれぞれキイトルーダとレンビマの内容に書き分けており、異なる記載となっておりますが、頭紙以降の別紙は同一であることから、以降、資料No.5の審査報告書に基づいて、説明させていただきます。また、審査報告書のページ数は、各ページの52分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 レンビマカプセルは血管内皮増殖因子受容体等、種々のキナーゼを阻害する低分子化合物であるレンバチニブメシル酸塩(以下、レンバチニブと略す)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、キイトルーダ点滴静注はヒトPDー1に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト化モノクローナル抗体であるペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(以下、ペムブロリズマブと略す)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。現在、レンバチニブは「根治切除不能な甲状腺癌」、「切除不能な肝細胞癌」及び「切除不能な胸腺癌」に係る効能・効果で、またペムブロリズマブは「悪性黒色腫」等の複数の効能・効果で承認されております。
 今般、レンバチニブ及びペムブロリズマブは、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の子宮体癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、いずれの薬剤も、令和3年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年8月時点において、国際共同第III相試験である775試験を主要な試験成績とした切除不能な進行・再発の子宮体癌に対するレンバチニブとペムブロリズマブとの併用投与は、米国のみで承認されています。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料17にあるとおり、4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を御説明いたします。
 今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、775試験が提出されました。有効性については、審査報告書10ページの表2及び12ページの表3を御覧ください。化学療法歴のある切除不能な進行・再発の子宮体癌患者を対象とした775試験において、主要評価項目とされたRECIST ver.1.1に基づく中央判定による無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)のいずれについても、対照群に対する併用投与群の優越性が検証されました。
 安全性については、審査報告書21ページ「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。レンバチニブとペムブロリズマブとの併用投与時に特に注意すべき有害事象を挙げております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、レンバチニブ及びペムブロリズマブの休薬等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」を効能・効果として、レンバチニブ及びペムブロリズマブを承認することは可能と判断いたしました。
 レンバチニブ及びペムブロリズマブは希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ないようでございます。
 まず、議題5の議決に入ります。横幕委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。議題5につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 次に、議題6の議決に入ります。亀田委員、南委員、山口委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。議題6につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 引き続き、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 本議題についても、最適使用推進ガイドラインの案を作成しておりますので、御確認をいただけますでしょうか。資料15-2を御覧ください。キイトルーダについて、子宮体癌に関する最適使用推進ガイドラインの案を作成しております。5/14ページ以降に、今回の審査された臨床成績を記載しております。また、13/14ページに、本剤の投与対象となる患者についての内容、14/14ページに投与に際して留意すべき事項について記載しております。
○清田部会長 委員の先生方から、御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。これも毎度のことだと思いますので、よろしいかと思います。本議題については、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、議題7に移ります。利益相反に関する申出に基づきまして、山口委員におかれましては、議題7の審議の間、また、松下委員におかれましては、議題7及び議題8の審議の間、会議から御退室いただき、待機していただくことにいたします。松下委員、山口委員は御退室をお願いいたします。
── 松下委員、山口委員 退室  ──
○清田部会長 議題7について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料No.7、医薬品ルマケラス錠120mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以降の審査報告書のページ数は各ページの65分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるソトラシブは、KRASの12番目のグリシンがシステインに置換された変異、以下、G12C変異と略します。G12C変異を有するKRASに対する阻害作用を有する低分子化合物です。本剤は、G12C変異を有するKRASに結合することで、KRASの活性化を阻害し、下流のシグナル伝達を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は「KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、令和3年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年8月時点において、本剤は2か国で承認されています。
 本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料17にありますとおり、8名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第I/II相試験である543試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書の34ページの表22を御覧ください。化学療法歴のあるKRAS G12C変異陽性の進行・再発の固形がん患者等を対象とした543試験の第II相パートにおける非小細胞肺癌患者集団について、主要評価項目とされた盲検下独立中央判定による奏効率は37.4%でした。奏効率の95%信頼区間の下限値が事前に設定された閾値を上回ったこと、得られた奏効率は臨床的に意義のある結果であったこと等を考慮すると、がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書の37ページの「7.R.3安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意すべき有害事象として、肝機能障害及び間質性肺疾患が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。亀田委員、濱委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくものといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 ロビーで御待機されています山口委員、山本委員をお呼びください。
── 山口委員、山本委員 入室  ──
○清田部会長 続きまして、議題8に移ります。審議事項議題8及び報告事項議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 審議事項の議題8と報告事項の議題1について、説明いたします。資料No.8を御覧ください。まず、審議事項の議題8、医薬品ベバシズマブBS点滴静注100mg「日医工」及び同点滴静注400mg「日医工」の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について、御説明いたします。資料No.8の別紙(3)の毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ、別紙(4)の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定資料のまとめを適宜御覧ください。
 本剤は、抗VEGFヒト化モノクローナル抗体であるベバシズマブ(遺伝子組換え)[ベバシズマブ後続3]を有効成分とする製剤であり、アバスチンを先行バイオ医薬品とするバイオ後続品として、日医工株式会社により、製造販売承認申請がなされました。先行バイオ医薬品のアバスチンは原体・製剤ともに「劇薬」に指定されていることから、アバスチンと同等/同質である本剤についても、原体・製剤ともに「劇薬」とすることが適当と考えております。また、本剤はチャイニーズハムスター由来の細胞を用いて製造されることから、生物由来製品とすることが適当と考えております。
 審議事項の議題8、本剤の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、並びに毒薬又は劇薬の指定の要否につきまして、御審議のほどよろしくお願いします。
 同一品目に係る報告事項の議題1についても、併せて御説明いたします。機構における審査の結果、本剤とアバスチンの同等性/同質性が確認されたことから、本剤をアバスチンのバイオ後続品として承認して差し支えないと判断いたしました。以上になります。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 皆さんに知っていただきたいことがあります。今までのバイオ後続品で、販売開始後に十分に供給できなかった例が多々あります。今回も、このような中で、こういう薬が出てきているわけですけれども、製造体制と患者のための品質確保がしっかりとできるよう、そういうような申出はここからできるわけではないのですが、そういうことを皆さんと一緒に考えていきたいというように思います。皆さんに知っていただきたいことで、意見ということではございません。
○清田部会長 了解しました。ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入ります。大隈委員、亀田委員、川上委員、中野委員、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員、私、清田も含まれますが、以上の委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、劇薬及び生物由来製品の指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。また、報告事項の議題1につきましても、御確認いただいたものといたします。
 ロビーで御待機されている松下委員をお呼びください。
── 松下委員 入室  ──
○清田部会長 議題9に移ります。議題9について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項の議題9、生物学的製剤基準の一部変更について、御説明申し上げます。資料No.9の1ページを御覧ください。この度の生物学的製剤基準の一部変更は、医薬品各条の「不活化ポリオワクチン(ソークワクチン)」のマイコプラズマ否定試験に係る規定を改正するものです。
 2ページを御覧ください。不活化ポリオワクチンに対するマイコプラズマ否定試験につきましては、現在のところ、培養法による試験方法が具体的に記載されている状況です。この度、この不活化ポリオワクチンの一変申請が行われておりまして、その中で、マイコプラズマ否定試験に関して核酸増幅法による試験方法を追加するということが行われています。これに対応するために、今般、一般試験法に規定された核酸増幅法による試験も実施可能となるよう、試験方法を追記するというところです。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。いかがでしょうか。中野先生はいかがですか。
○中野委員 一般的なこととしてお伺いしたいのですが、当然、そのような培養法から遺伝子増幅法にというのは、微生物検査法の全体的な流れだと思うのですが、これは恐らくソークワクチンに限ったことではないような気がするのですが、他のワクチンの生物学的製剤基準の一部改正等というのも平行して行われているのでしょうか。参考までにお教えください。
○事務局 もともと生物学的製剤基準の一般試験法の中には、マイコプラズマ否定試験というのが入っています。その中には、培養法と遺伝子増幅法、もう一つの方法があって、三つ入っているのですが、そのどれかを使えるような形にはそもそもなっています。
 多くのワクチンに関しては、マイコプラズマ否定試験に関しては一般試験法によるという規定になっておりますので、各社はやり方に応じて、それぞれの方法でできるという形には実はなっております。
 今回、改正する不活化ポリオワクチン(ソークワクチン)ですが、こういった、いわゆる外国で作られているワクチンに関しては、もともとEPといった、海外の規制当局で規定されている方法で、マイコプラズマ否定試験が実施されておりまして、その細かい試験方法が日本のものと合致していないという状況があります。
 その中で、日本の生物学的製剤基準に規定された試験法をそのまま準用することができないので、こういった形で具体的に試験方法を記載している状況なのですが、これに関して、今、感染研と協議をしておりまして、海外のEPとかUSPに規定されたマイコプラズマ否定試験と、生物学的製剤基準に規定されているマイコプラズマ否定試験を、国際的な整合性を取って、どれも採用できるようにするといった形で改正していこうということで、作業は水面下で進めているところでございます。説明になっておりますでしょうか。
○中野委員 畏まりました。おおむね理解できました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかにはよろしいでしょうか。
 議決に入りたいと思います。本議題につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、報告事項に移ります。報告事項の議題2~議題5までについて、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 まず、報告事項の議題2、資料No.11、医薬品ベージニオ錠50mg他2規格の製造販売承認事項一部変更承認について、御報告いたします。本剤はサイクリン依存性キナーゼ4及び6に対する阻害作用を有するアベマシクリブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌」を効能・効果として承認されております。今般、日本イーライリリー株式会社から、「ホルモン受容体陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」の効能・効果及び用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、報告事項の議題3、資料No.12-1、資料No.12-2、医療用医薬品の承認条件について御報告いたします。まず、資料No.12-1、2ページを御覧ください。アラベル内用剤です。本品目は、平成25年3月25日に「悪性神経膠腫の腫瘍摘出手術中における腫瘍組織の可視化」の効能・効果で承認され、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、ノーベルファーマ株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 続いて、資料No.12-2を御覧ください。プレバイミス錠です。本剤は平成30年3月23日に、「同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」の効能・効果で承認され、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、MSD株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 続きまして、報告事項の議題4につきまして、資料No.13を御覧ください。ぺボネジスタットの先駆的医薬品の指定の取消しについてです。取消しの理由につきまして、本品目について、武田薬品工業株式会社から、国際共同第III相試験において主要評価項目が達成されず、本試験に基づき承認申請を行わない決定がなされたとの届出が出ております。これをもって、本品目の先駆的医薬品としての指定要件を満たさなくなったと考えておりますので、指定の取消しとさせていただければと思います。
 続きまして、議題5、再審査の結果について御報告いたします。資料No.14-1~資料No.14-3までを御覧ください。今回対象となった品目は、レブラミドカプセル、シーブリ吸入用カプセル、ウルティブロ吸入用カプセルの3品目です。これらの品目について、製造販売後調査等に基づいて、再審査申請が行われ、審査の結果、効能・効果、用法・用量等の承認事項について、変更の必要のない「カテゴリー1」と判断されたものです。以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問がございましたら承りたいと思います。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 この中で、評価というわけではないのですが、好感の持てる文章がありました。用法・用量の所で、審査報告書の2ページだったり、6ポツの用法・用量の所なのですが、「ただし」という所で、「術後薬物療法の場合には、投与期間24か月までとする」というような表現があるのですが、こういう丁寧な但し書きがあると、必要な患者さんへの投与というのは非常に的確化されるのではないかと思います。これからもいろいろな丁寧な書き込みがあると、使用する人間としては非常に有り難いということで、感謝しております。ありがとうございます。
○事務局 ありがとうございます。今後も留意させていただければと思います。
○清田部会長 よろしいでしょうか。報告事項の議題2~議題5までについては、御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項に移ります。その他事項の議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他の議題として、資料No.15-3、資料No.15-4について、最適使用推進ガイドラインの選定について、御説明させていただきます。まず、資料No.15-3を御覧ください。オプジーボ点滴静注について、今般、小野薬品工業株式会社より、尿路上皮癌に関する効能・効果の追加に係る申請がなされました。
 また、資料No.15-4ですが、キイトルーダについてです。今般、MSD株式会社より、TMB-Highを有する固形がんに関する効能・効果の追加に関する申請がなされました。これらの品目について、最適使用推進ガイドライン作成対象の医薬品として選定いたしましたので、今後、関係学会等にガイドライン案の検討依頼を行い、対象医薬品の承認について審議等を行う部会において、改めてガイドライン(案)を御説明いたしたく存じます。以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問はございますでしょうか。よろしいですか。それでは、その他事項の議題1については、御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は令和4年2月4日の午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 宗林先生、どうぞ。
○宗林委員 事務局に一つ御質問したいと思います。この前のファイザーのブースターの承認のときに、データは6か月までのものしか、この第二部会では見ていなかったと思うのです。ですがいろいろな所で8か月という数字が出ていますが、横並びでうまくいかないというのはよく分かるのですが、それにしても、根拠がないところまで違う期間が出てくるということについて伺えればと思います。
○清田部会長 中野先生、答えられますか。
○中野委員 議事録に残る、残らないは別にして、私の理解している範囲でお話申し上げます。一般的に、ワクチンで追加接種が必要なワクチンというのは、一定期間後に、それをそこでワクチンとして使用していいかどうかを、有効性と安全性を調べると思うのです。そうしますと、もちろん1年で調べるものもあるかもしれませんが、1年の次に短い期間というと、やはり6か月ということになるのではないかと思います。ですから、薬事承認上は、そのような臨床試験がされているデータに基づいて、薬事承認は6か月として通ったと理解していますが、ほかの6か月以上の間隔を置いて追加接種するワクチンも、mRNAワクチンではございませんけれども、6か月より長くなってしまったら困るということは特にないですし、多数例に、6か月とか8か月に打って、それぞれの安全性は検討はしていないと思いますけれども、通常は6か月で調べれば、少々長くなっても、減衰した免疫をもう一回長く維持するために打つわけですので、それは許容されていると思います。
 そして、私は予防接種ワクチン分科会のメンバーでもございますので、予防接種ワクチン分科会での8か月の議論というのは、これはもう10月ぐらいから議論は始まっていたと理解しておりますが、諸外国が2回目の接種が終わって、何箇月ぐらいから接種が始まっているかという、諸外国の実施状況と、我が国における実際の3回目の追加接種を行うオペレーション上の、どれぐらいになったら準備できるかということと、あと、もちろんワクチンがいつの時期に何本入ってくるというのは、明らかに何月に何本入るということまでは明示はされていませんけれども、そういったものを踏まえた上での追加接種のスケジュールということになるかと思います。
 ですので、全てが一貫してしまえばクリアなのですが、それで、私は正直申し上げれば、6か月でも8か月でも、医学的には余り変わりはなくて、6か月から追加接種できるワクチンとして、薬事承認は取れたのだと。では、それをいつからオペレーションしていくかは、制度の中で決めていく。ただ、オミクロン株がどうという議論も出ておりますので、そこは難しいですけれども、それをまた状況に応じて議論が、あの8か月というのは、オミクロン株がなかったときの議論です。ただ、オミクロン株が追加接種の期間が短いと罹患しやすくて、早めに追加接種をしたら予防できるかというデータも、まだそろってはいません。そういったことを踏まえて、今後検討がされる可能性はあると思いますが、現状では6か月と8か月の2か月の違いというのは、そのような差異であると私は理解しております。いかがでしょうか。
○宗林委員 ありがとうございました。私も内容的には理解はしているのですが、この前のこの部会で、なぜ6か月なのかと、それから、閾値もないのに6か月までしかデータがない中で、6か月。それはほかの予防接種のワクチンが、複数回打つものは6か月と日本では一般的にされているのだという御説明を大分強く受けましたので、ちょっと違和感がございました。ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、よろしいでしょうか。本日はこれでお開きといたします。お疲れ様でした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)