第30回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局 健康課予防接種室

日時

令和4年2月10日(木) 13:30~15:00

場所

WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)

議事

議事内容
○萩森予防接種室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第30回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会」を開催します。
本日は、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開です。また、前回の分科会と同様、議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
また、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
続きまして、本日の出欠状況について御報告いたします。
全国町村会の伊藤委員、国立病院機構本部の伊藤委員、福島委員から御欠席の連絡を受けております。また、磯部委員から遅れる旨の連絡を受けております。
現在、委員18名のうち14名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
続きまして、資料の確認でございます。
本分科会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイル及びお手元のタブレット端末で閲覧する方式で実施いたします。資料番号01の議事次第及び委員名簿から、07の利益相反関係書類までを用意しております。
資料の不足等、御不明な点がございましたら事務局員にお申し出ください。
では、申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○萩森予防接種室長補佐 それでは、ここからの進行は脇田分科会長にお願いいたします。よろしくお願いします。
○脇田分科会長 皆様、今日もよろしくお願いいたします。皆様の活発な御議論、どうぞよろしくお願いします。
まず、事務局のほうから審議参加に関する遵守事項等に関して御報告をお願いいたします。
○萩森予防接種室長補佐 ありがとうございます。事務局でございます。
審議参加の取扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、薬事承認等の申請資料への関与について申告をいただきました。各委員及び参考人からの申告内容につきましては、資料番号07の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本日は、議事内容に関し、「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する方はいらっしゃいません。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受取について、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
それでは、議事に入ってまいります。議事次第どおり、今日も議題は「新型コロナワクチンの臨時接種について」ということであります。
それで、まず事務局から、新型コロナワクチン接種の現状についての御説明、よろしくお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 よろしくお願いいたします。
それでは、まず「新型コロナワクチン接種の現状」について御説明申し上げます。
お手元の資料ですが、3ページ目から5ページ目に関しましては、国内の感染動向のリバイスですので、説明は省略いたします。
6ページ目を御覧ください。こちらは、国内のワクチン接種の状況であります。2月9日に公表したものでございますが、現在、3回目接種の完了者が約900万人となっているところでございます。
続きまして、7ページ目~9ページ目はリバイスと、8~9ページは供給状況でございますが、特に変わりはございませんので、説明は省略いたします。
ここで説明は一旦以上でございます。座長、続けてよろしいでしょうか
○大坪大臣官房審議官 脇田先生、聞こえていますでしょうか。
では、続けてください。
○九十九予防接種室長補佐 承知いたしました。
続きまして、11ページ目を御覧ください。本日御議論いただきたい事項につきまして、ラインナップを提示してございます。
本日は「小児のコロナワクチンの接種について」の議論の継続、本日は諮問を行います。また「妊娠中の者に対する公的関与の規定の適用について」も御審議いただきます。また、3番「オミクロン株の新型コロナワクチンへの影響について」。また、4番、これは新しい論点でございますが、「初回シリーズ接種後に感染した者の追加接種について」、御議論いただきたいと考えております。
13ページ目を御覧ください。こちらは、前回の分科会における主な御意見をまとめたものでございます。
小児の新型コロナワクチンの接種につきましては、希望する人に対して接種の機会を提供するというところで、おおむね方向性が合意したと認識してございます。
また、デルタ株からオミクロン株への置き換わりが進んでいるが、これまでの変異株に対するワクチンの有効性や、今後新たな変異株が出現する可能性も踏まえ、新型コロナウイルス感染症対策として、やはり小児への接種は必要ではないかという御意見。
また、重症化予防の観点から、基礎疾患のある子供への接種勧奨を行うべきではないかという御意見をいただきました。
この努力義務に関してですが、こちらは様々な御意見をいただきまして、この努力義務については、国民の間で様々な捉え方があるから、その意味について行政から明確に発信するべきではないか、また、これまでの予防接種法の改正経緯を踏まえますと、小児に努力義務を適用した上で、行政から働きかけを行うべきではないか、また、この努力義務を適用しないとすれば、接種する必要性がないように捉えられるのではないかといった御意見がありました。
また、一方で、努力義務を適用することが適当であると言えるだけのエビデンスが出るまで待つべきではないかという御意見もいただいたところでございます。
14ページ目から22ページ目は、前回までに御提示しております科学的知見であったり、諸外国の状況、また、保護者や子供さんのワクチン接種に対する考えになりますので、説明は割愛させていただきたいと思っております。
続きまして、「小児における新型コロナウイルス感染症の動向」についてでございますが、24ページ目を御覧ください。HER-SYSのデータでADBに出している資料ですが、オミクロン株が出現した2022年1月以降も、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者に占める10代以下の割合は、御覧のとおり、25%を超えているような状況でございます。
25ページ目は、鈴木委員の提出資料を再掲したものでございます。こちらは、5~11歳に区切って状況を見たものでございます。
続いて26ページ目は、本日、鈴木委員に提出いただく資料を抜粋したものでございますが、御覧のとおり、後からまた御説明があると思いますが、オミクロン株流行期における小児の新型コロナウイルス感染症に関しては、肺炎などの重篤な症状を呈する症例の割合はデルタ株流行期と比較して少ないものの、肺炎等の重篤な症状を呈する症例数自体は増加傾向であることが示されてございます。
27ページ目は、デルタ株を前提とした、鈴木先生からいただいた推計でございますが、こちらも掲載させていただいております。
続きまして、28ページ目、29ページ目、このあたりは事前に御意見をいただいておりますが、小児の新型コロナワクチン接種に関する周知が重要と御指摘をいただきましたので、このように分かりやすい形でリーフレットにまとめてみたものでございますので、こちらもまた御意見をいただければと思っております。
30ページ目を御覧ください。本日の論点でございます。
前回から、まとめの内容として大きく変更したところはございませんが、1つ目の○、デルタ株からオミクロン株への置き換わりが進んでいるが、これまでの変異株に対するワクチンの有効性や、今後新たな変異株が出現する可能性も踏まえる必要があるという御指摘をいただきましたので、こちらを盛り込んだものでございます。
また、科学的知見のところに関しましては、デルタ株を前提としたものなのか、またオミクロン株を前提としたものなのか、そういったものが分かりやすくなるように記載を修正したものでございます。
これらから、事務局案としまして改めて提示いたしますが、小児(5~11歳)の初回シリーズにおける新型コロナワクチンの接種に関しては、緊急のまん延予防のために実施するという趣旨を踏まえ、今後流行する変異株の状況、ワクチンの有効性・安全性に関する一定程度の知見、また諸外国における小児への接種の対応状況等も勘案しまして総合的に判断して、ファイザー社ワクチンを用いて特例臨時接種に位置づけることとしてはどうかというふうにお諮りしたいと思ってございます。
説明は以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。先ほど少し失礼しました。
鈴木先生の資料2は、いつ説明していただきますか。
○九十九予防接種室長補佐 そうしましたら、このタイミングでよろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 はい。では、まず鈴木先生に資料2について説明をお願いしたいと思います。
○鈴木委員 感染研感染症疫学センターの鈴木です。
それでは、資料2を御覧いただきたいと思います。私のほうから簡潔に、小児における新型コロナの流行状況について紹介させていただきます。
2ページを御覧ください。まず、直近の流行状況を共有させていただきますが、去年の末から始まった第6波ですけれども、流行の拡大とともに、それまでのデルタ株からオミクロン株に置き換わっております。現時点で、ほぼ100%近くがオミクロン株に置き換わった状況です。最初の波の立ち上がりは20~30代が中心だったのですが、少し遅れて20歳以下の発生率が上昇して、1月20日前後で20歳以下が20歳以上を追い抜くというパターンが全国的に見られています。今回の資料では、3つの観点から、20代前半以下の若い世代に注目してまとめています。
まずは、新規感染者の世代ごとの割合について、3ページを御覧ください。ちょっと文字が多いですけれども、こちらは方法についてまとめておりますので、お時間がありましたら御覧いただきたいと思います。
結果、4ページを御覧ください。
まず、下のグラフから。これは人口で割った発生率で、大学生、高校生、中学生、小学生、未就学児相当の5つの世代について色分けして示しています。横軸は週数です。真ん中、左あたりに少し小さい山が見えると思いますが、これが去年の夏の第5波です。第5波では水色の線、これが大学生あるいは新卒世代に相当しますが、一番高く、次が高校生の青い線であったということがお分かりかと思います。
その後、流行が落ち着いていて、年末年始から立ち上がった第6波になると、今度は水色の大学生・新卒世代が一気に増えたのですけれども、その後、若干頭打ちとなっています。一方で、黄色の線は小学生です。小学生が一気に増えて、水色の線を追い抜いています。また、青い線の高校生、オレンジ色の中学生、赤い線の未就学児も、第5波をはるかに超えているところまで来ています。
上のほうのグラフは、今お話したものを割合で分けて色分けしているものです。下のグラフの推移を反映して、年末年始以降、週数で言えば51、52、あるいは年明けの第1週あたりを御覧いただきたいと思いますが、このあたりでは、大学生、新卒世代の水色のところが多くを占めていますが、その後急激に黄色い帯の小学生、そして一番下の赤い帯の未就学児の割合が増えてきているということがお分かりかと思います。
5ページを御覧ください。こちらは2つ目の分析になります。先ほど少し紹介がありましたが、発生届の情報に基づいて、届出時に肺炎よりも重篤な症状が記録されている症例の割合を、年齢別・時期別に算出しております。
6ページを御覧ください。届出時に肺炎以上の重篤な症状を呈する症例の数をプロットしています。0~4歳、5~11歳、ともに既に第5波のピークに迫っている、あるいは5~11歳については、第5波のピークを超えています。流行自体は、直近で少し横ばいから減速傾向にはありますが、今後、一気に収束する可能性は低いことから、小児における重症者の累積は、過去の累積を超えてくるものと予測されます。
7ページ、8ページは、各年代における肺炎以上の割合の推移を示したものです。こちらはスキップします。
9ページを御覧ください。先ほど少し紹介があったものです。デルタ株流行期である昨年の31~47週、それからオミクロン株流行期である今年の第1週以降について、肺炎以上の割合を示しています。
その比を取ったものが一番右側です。届出時の肺炎以上の割合は、デルタ株流行期に0~4歳で0.23%であったものが、オミクロン株流行後には0.07%と、0.31倍になっています。5~11歳では0.2%から0.08%と、0.4倍になっています。それより上の世代についても、ワクチン接種歴別に見ていますが、ワクチン接種の有無に関わらず、0.1から0.3倍程度に低下しているということが分かります。
10ページ、3つ目の分析です。こちらは、学校の欠席者の状況です。これは、学校保健会が運営している学校等欠席者・感染症情報システムのデータを分析したものになります。ただ、このシステムの加入はあくまで任意ですので、全ての学校・保育園等が加入しているわけではないという点は御留意ください。
11ページは解説ですので、スキップいたします。
12ページのグラフを御覧ください。こちらは、東京都における登録児童1万人当たりの欠席者数です。昨年夏の第5波はちょうど夏休みだったので、直接比較することはできませんけれども、直近の第6波で過去にない数の欠席率となっていることがお分かりかと思います。
欠席理由の内訳が色分けして示されています。例えば、上段の0~5歳、赤いところ、つまり新型コロナが直接の理由で欠席している子供が多いことが分かります。しかし、中段の小学生を見ると、赤い新型コロナと診断されたというのが理由である以外にも、濃い青の濃厚接種、薄い緑の家族がかぜ、薄い紫の接触者となったことが主要な欠席理由となっており、本人が感染したという以外の理由で欠席になっている者の割合のほうが、むしろ多いということがお分かりかと思います。
次の13ページ、大阪ですが、こちらも同様のパターンになっています。
14ページを御覧ください。こちらは、都道府県別に世代別の欠席率を色分けしてプロットしています。都道府県名が小さくて分かりにくいですけれども、全都道府県、例外なく、直近に向かって色が濃くなっている。過去にない欠席率となっているということが一目瞭然かと思います。
この傾向は、各世代、14ページ、15ページ、16ページ、同様であることがお分かりかと思います。
最後のページ、まとめです。
1つ目ですが、去年12月以降の流行拡大に伴って、24歳以下のいずれの世代においても、第5波の発生率を大きく上回っています。特に、小学生以下の世代の症例数の増加が著しいです。
2つ目、届出時に肺炎よりも重篤な症状を呈する症例の割合は、小児を含む全世代において、デルタ株流行期に比較してオミクロン株流行期では低下しています。ただ、流行拡大によって、その数自体は増加していて、0~4歳、5~11歳においては、第5波のピーク時の値に迫ってきています。
3つ目、流行の拡大に伴って、高校生以下の全ての年代で学校等での欠席率の上昇が見られます。欠席理由の内訳は、新型コロナウイルス感染症以外の家族のかぜ症状、濃厚接触等の理由が多く認められています。
このように、新型コロナは、子供においては、確かにほかの世代よりも重症化するリスクは低く、オミクロン株に置き換わったことで、そのリスクはさらに低下しています。ただ、それでも一定数は重症になります。直近の流行の拡大は、教育を含めた社会的なインパクト、健康へのインパクトは、かつてない規模になっているということを理解しておく必要があります。
私から以上です。
○脇田分科会長 鈴木先生、どうもありがとうございました。
ただいま、小児における新型コロナウイルス感染症の流行状況と、それによるインパクト。個人の重症化のリスク等は下がっているものの、オミクロン株の感染力が高いということから、そのインパクトはかなり影響が出てきているといった御説明だったと思います。
それでは、資料1に戻っていただきまして、30ページの論点のところで事務局案がございます。これまでの分科会でも議論してきたところでありますが、5歳~11歳の小児に対する接種の機会を提供するということで、前回の分科会で新たに承認されたファイザー社のワクチンを用いた接種を進めるという方向性については、おおむね皆様に了解していただいたところであります。
今日は、ただいまの事務局の説明、それから今の鈴木先生の御説明も併せて、5歳~11歳の小児に対して、ファイザー社のワクチンを用いて特例臨時接種に位置づけるということの確認を事務局から求められているというところになります。後ほど、これも議論を続けております公的関与、接種勧奨であったり、努力義務についても、また議論させていただきますので、まずは、ファイザー社ワクチンを用いた特例臨時接種に位置づけるというところを議論していただければと思いますので、よろしくお願いします。もちろん、それに関連することがあれば、意見を言っていただくということで構いませんので、よろしくお願いいたします。
御意見あれば、挙手していただいて、こちらから指名させていただきますが、いかがでしょうか。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 ただいまの説明から、特例臨時接種に位置づけるということに関して異議はございません。位置づけるべきだと考えております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
続けて、釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 釜萢です。
私も、5歳~11歳までに対して、新型コロナウイルスワクチンをこのような形で位置づけることについて賛成申し上げます。
それの関連でちょっと発言させていただきますが、まず1つは、今日の資料の、鈴木先生の出典と書いてありますけれども、26ページ、5歳~11歳における肺炎の届出の数を見ますと、全体の率からすれば、オミクロンの場合にはデルタよりも低いと出ているけれども、実際の発生届出として、肺炎以上の方の数はオミクロンのほうが147と95で、多いわけですね。ですから、一定数の重症者が感染に伴って出てくるということがあります。
そして、これまでに議論してきた資料が今日もずっと出ていますけれども、結論としては、この年代の方にこのワクチンの接種をすることの有効性はしっかり評価できるものだろうと思いますし、副反応についても、上の年齢に比べて特に多いということはなく、むしろ少ないということでありまして、効果と安全性については、申請前の治験の段階で十分確認できていると認識いたします。
国会の議論などを見ると、このワクチン、小児に対して有効でないという御指摘をされた議員の方もおられるようですけれども、今、得られている現時点までの知見を総合しますと、しっかり有効なワクチンであるということが確認できているので、先ほど申し上げたような重症化の数が増えるということも踏まえると、接種が適当であると考えます。
以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
そのほかにいかがでしょうか。今、お二人の委員からは、特例臨時接種に位置づけるのに賛同という御意見でありますけれども、そのほか、いかがですか。
鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 私も、この新型コロナワクチンを5~11歳に対して特例臨時接種に位置づけるということに関しては、安全性・有効性、それから社会的な必要性という観点から賛成したいと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。さらに追加の御意見があればと思います。
これまでも議論してきたように、小児のコロナウイルス感染症流行の状況、それから、それが与えるインパクトですね。重症率はオミクロン株によって下がってきているのだけれども、感染者数が増えれば、掛け算をすれば、当然重症者数も増えてきている。それから、学校等への影響もかなり出てきているということであります。
信澤委員、お願いします。
○信澤委員 ありがとうございます。
私も、今回の小児への特例臨時接種に位置づけることに賛成いたします。小児だけではなくて、大人の場合も、これまでの接種後のいろいろな情報というのは、もちろん蓄積されているのだと思いますけれども、大人に比べると、世界的にも小児での例というのは少ないので、接種後の情報というのも速やかに還元していただけたらと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
森尾委員、お願いします。
○森尾委員 鈴木委員への質問でもよろしいでしょうか。
○脇田分科会長 どうぞ、お願いします。
○森尾委員 26ページ目を拝見しますと、12歳~64歳、ワクチン2回以上接種なしの方の、発生届時の肺炎以上割合が1.88で、5歳~11歳が0.20です。これは、デルタ株の流行期だったのですけれども、オミクロン株の流行期になりますと、12歳~64歳が0.25で、5歳~11歳が0.08。比較すると、子供のほうが肺炎になっている率が多くなっているように見えるのです。逆の言い方で、12歳~64歳が少なくなったのかもしれないですけれども、この辺は何か解釈があるのでしょうか。
○脇田分科会長 鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 すみません、今、御指摘いただいたのは、12~64歳のワクチン接種あり、なしのところでしょうか。
○森尾委員 なしの方の発生届時の肺炎以上割合が1.88で、5歳~11歳が0.20。これはデルタ株ですけれども、オミクロン株になると、12歳~64歳の接種なしの方の比率はかなり減っていて、5歳~11歳は0.08ということで、割り算していいのかどうか分からないのですけれども、その辺が気になりましたので、何かコメントがあればということの質問でございます。
○鈴木委員 まず、同世代でワクチンあり、なしで比べれば、ワクチンがあるほうがデルタ株のときには肺炎の割合が低い。これがオミクロン株に置き換わったところで、例えば12~64歳のところでありとなしを比べたときに、その差が小さくなってきているということはたしかです。
これは2つ要因があると考えていて、この世代においてワクチンの接種がなされたのが、大半が既に半年以上前であるということから、ワクチンの有効性が時間経過とともに下がってきているということ。
さらに、オミクロン株に対するワクチンの効果、これは誤解のないようにですけれども、ないわけではないのですが、デルタ株に比べれば、オミクロン株に置き換わったときに減弱しているということから、トータルで12~64歳における、あり、なしの差が小さくなってきていると私は考えているところです。
○脇田分科会長 鈴木先生、森尾先生の御質問の趣旨は、12歳~64歳と5歳~11歳、デルタ株で比べると、子供が9分の1ぐらいの肺炎の割合だったのが、オミクロン株になって3分の1ぐらいになっている。つまり、それを見ると、小児の肺炎のリスクが上がっているように見える。その要因は何だろうかといった趣旨だったと思います。
○鈴木委員 なるほど。失礼いたしました。
とはいえ、今、私はそれに明確に答えられる答えは持っていないので、よろしければ臨床に近い先生方のほうが何か感覚をお持ちかなと思います。すみません、私からはちょっと明確な答えはありません。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
デルタのときに比べると、オミクロン株のほうが小児での肺炎リスクが高いのではないかという御指摘ですけれども、中野先生、手が挙がっていますけれども、その点についてもコメントいただけますか。
○中野委員 私は、その点についてではないのですが、臨床家と鈴木先生もおっしゃっていただいたので、臨床医でございますので、お答えさせていただきます。森尾先生も、もちろん臨床で患者さんを診ておられますけれどもね。
私の印象といたしましては、現場にいて、流行規模とか、かかられる患者さんの年齢とかで、どの範囲の方々に検査をして、どの範囲の方々が報告されるかは、流行状況によってかなり差があるように思っています。特に、鈴木先生が御報告されたように、今、小児科の診療をやっていて、子供さんで陽性の方が本当に増えてきているのは事実だと思います。そのように、森尾先生が御指摘いただいた肺炎の合併頻度が、本当にどちらが高いのかというのはとても大切なポイントだと思うのですが、なかなか結論を今の時点でコメントいただくのは難しいなというのが、その点に関してのコメントであれば申し上げさせていただきます。
○脇田分科会長 中野先生、無茶振りですみません。取りあえず、そこのところはありがとうございました。
森尾先生、よろしいですか。
○森尾委員 ありがとうございます。
○脇田分科会長 これはHER-SYSのデータだと思いますので、肺炎の合併頻度については、さらなるデータが必要かなと私も思います。
それでは、中野先生、お願いいたします。
○中野委員 中野でございます。
私も5~11歳の方への接種を特例臨時接種の対象として設定することに賛成でございます。
お伺いしたかったのは、例えば成人に接種を始めたとき、3社のワクチン、それぞれ医療従事者に対して安全性のモニタリングのデータ、伊藤先生をはじめとして国立病院機構、その他の施設でモニタリングされた結果が御報告されたと思います。小児の保護者の方々とお話しをしていて、有効性のことももちろんなのですが、子供さんに打つということで、安全性のことを御心配されている保護者の方々も多いかなという印象を受けております。現在、接種が始まったときの安全性のモニタリングとして、何か計画しておられることがあるのかどうか、ちょっとお考えをお聞かせいただければと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
これまで、主には医療系の委員の先生方から、主には賛同という御意見をいただきましたけれども、それ以外の委員の先生も、もし御意見があればお願いしたいと思いますけれども、今、中野先生から、小児の接種が始まった後ということだと思うのですけれども、副反応のモニタリング、何か計画があるかということについて、事務局にはまずそこをお伺いして、その間にもし御意見があれば言っていただくという形にしたいと思います。事務局のほう、いかがでしょうか。今の中野先生の御指摘です。
○鶴田予防接種室長 事務局です。
今、小児、5歳~11歳の方の予防接種が始まった後の情報収集について御質問いただきました。成人におきましては、コホート調査ということでデータの収集を行っているところでありますけれども、子供についても何らかの形で情報収集できるようにしていきたいと考えておりますので、今、まさに検討している最中でありますので、その結果については、また御報告させていただきたいと考えております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。ぜひ、この点、よろしくお願いいたします。
さて、いかがですか。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。
現場でというか、保健所で見ていても、重症になる方は多くないのですけれども、心配なのは基礎疾患や障害を持ったお子さんたちがいらっしゃいますので、その方々にはワクチンを使っていただきたいなと思っています。そういう意味では、承認していただくことに異議ありませんので、できるだけその方々の命を守るような形での供給ができればいいと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
白井先生とほぼ同じでした。ワクチンの接種が確実にメリットのあるお子さんがいらっしゃるということが、鈴木先生の資料からも拝見できました。臨時接種に位置づけることに賛同いたしますので、必要な方に確実に届くような形になるとよいと思います。
以上です。ありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、大体よろしいでしょうか。
それでは、小児、5歳~11歳について、これまで議論してまいりましたけれども、新型コロナウイルス感染症の動向であったり、知見あるいは既に論文等のデータも出てまいりましたので、ワクチンの有効性・安全性に関する知見等を踏まえて、特例臨時接種の対象とすることとしたいと考えますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田分科会長 ありがとうございました。
それでは、そのようにしていただくように、この分科会の結論としたいと思います。
続きまして、論点1の「(3)小児の5歳~11歳に対する公的関与の適用」について事務局から資料について御説明をよろしくお願いいたします。
○佐藤予防接種室長補佐 事務局でございます。よろしくお願いいたします。
前回の分科会で御議論いただきましたように、公的関与の規定の適用につきましては、新型コロナワクチン接種が臨時接種と同じ趣旨で実施されるものでありますことから、接種勧奨や努力義務の規定が原則的には適用されるものであります。ただ、そこのところで、まん延の状況、あるいは予防接種の有効性・安全性に関する情報その他の情報という2つのメルクマールを踏まえて適用除外することができると法律上されているということでございます。
32ページの表でございますけれども、基本的には前回お示ししたものと同じでございます。エビデンスを整理しておりますが、前回から若干のアップデートを行ってお示ししております。
Iでございますが、先ほど事務局から説明があったように、足元の新規感染者数の4分の1以上が10代以下であることを追記しておりますことと、下段のIIにつきましては、小児の重症化に関するエビデンスが確認されていないこと。あるいは、I、II、いずれにつきましても、ワクチンの治験というものはオミクロン株出現以前であるということをお示ししてございます。
おめくりいただきまして、33ページでございます。前回の分科会の後、委員の先生方から御意見いただいたことにつきまして、誠にありがとうございました。
そもそもオミクロン株に関する知見の考え方、あるいは小児の感染状況、エビデンスの捉え方、数理モデル、あるいは努力義務に関する国民の皆様の捉え方などにつきまして、積極的なコメント、あるいは御懸念といった様々な角度から御意見をいただきました。ありがとうございました。
34ページにありますけれども、以上の御意見や御議論を踏まえまして、事務局案でございます。
1ポツのところは、これまで申し上げてきました法律上の原則論でございまして、原則としては、接種勧奨・努力義務については適用されるものである。
2ポツのところ、こうした予防接種法の規定の趣旨、あるいは海外でも広く接種が進められていることも踏まえまして、まずは、接種勧奨についてでございますけれども、これは小児についても適用することとしてはいかがかと考えております。
3ポツ目、努力義務に関してでございますけれども、従前申し上げております2つのメルクマールの観点に基づいて、ポツを2つ設けております。
まず、オミクロン株の感染状況がいまだ増加傾向の途上であり、確定的でないこと。
あるいは、2つ目でございますが、オミクロン株については、小児における発症予防効果・重症化予防効果に関するエビデンスが、いまだ必ずしも十分ではない。
こうしたことも踏まえまして、努力義務の規定は小児について適用しないこととして、今後、オミクロン株を含めた新型コロナウイルスに関する知見を踏まえて、改めて御議論することとしてはいかがでしょうかと考えております。努力義務の御議論の中で、様々な御指摘をいただきました。接種することの必要性というものも十分あろうかと思いますので、こうしたことも鑑みて、今回、小児を特例臨時接種の対象に位置づけて接種を行っていただくということの趣旨を十分に踏まえた上で、ワクチンの有効性・安全性に関する情報を国民に対して丁寧に御説明していくこととしてはいかがでしょうかと考えております。
以上、お諮りいたします。
35ページ、関係条文を引用させていただきました。必要に応じて御参照ください。最後に、マイクが割れまして誠に申し訳ありませんでした。
○脇田分科会長 ありがとうございました。マイクが変わって、よく聞こえるようになりました。
ただいま事務局の説明がございました。予防接種法の規定の趣旨も踏まえまして、小児について接種勧奨の規定を適用することとしてはどうか。一方で、努力義務の規定を、小児については適用しないということにして、今後、オミクロン株も含む新型コロナウイルス感染症に関する最新の科学的知見を踏まえて、改めて議論することとしてはどうかという事務局の御提案でございます。
これまでも議論してまいりまして、33ページに委員の皆様の、特に努力義務に関しては、賛成の意見、それから適用除外すべきだという御意見がございます。それで、現時点の考え方として、オミクロン株の感染状況であったり、ワクチンの効果、特に有効性に関するデータが必ずしも十分ではないということから、努力義務は外すということではどうかということであります。ただ、先ほども議論にありましたけれども、このワクチンの有効性、オミクロン株以前のものに対しては、十分に有効性が示されているという状況もあるということもあります。ですので、こういった状況も踏まえ、それから委員の皆様の意見も踏まえていただいて御意見いただければと思います。
その際に、接種勧奨は適用していいのではないかということ。それから、努力義務は外すということですので、その両方について、賛成あるいは反対のことを言っていただけると、意見の取りまとめも助かりますので、よろしくお願いいたします。それでは、御意見があればお願いしたいと思います。
中山委員、お願いします。
○中山委員 ありがとうございます。
私は、今回の事務局の案に賛成です。つまり、勧奨はする。現段階では努力義務は課さない。有効性・安全性について、さらに調査して、それが認められれば努力義務を課すという方向でいいのではないかと思います。現実に、妊婦さんにはそういうやり方をしてきたわけですから、そういうことでよろしいのではないかと思いました。
1つ質問なのですけれども、先ほどのどなたかの質問にも重なるかもしれないのですが、多分、お子さんのオミクロン株に対する有効性・安全性の海外のデータが先に出ると思うのですが、国内でも当然これはデータとして集めていく。多分、海外のデータが先行して、国内のものが後になるのですけれども、それをどういうふうに取りまとめて、どの段階で努力義務を課すか、課さないかというのを、そのスケジュール感というか、時間軸をちょっと教えていただきたいなと思いました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
質問に関しては、後ほど事務局に確認することにしたいと思います。まず、意見を伺ってまいります。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
努力義務をつける、つけない。この問題は非常に微妙な問題であるということは私も承知しております。ただ、現実に自治体で予防接種業務をやっていて、努力義務という議論がこのように大きくなったというのは、予防接種の担当者から責任者を、20年以上やっているのですけれども、初めての経験というということで、これが議論されたことは余りないということです。この点に関して苦情とか、市民の方から、それは強制かという問合せがあったという経験は、少なくとも私はないと思います。
むしろ、どちらかというと問題になるのは勧奨接種のほうで、これは法律の8条を読むと、勧奨接種をするということは、字義から言えば、市民の方にいいことだからワクチンを打ちなさいということを行政機関が積極的に促すという操作が勧奨接種であって、それに従って行政機関は全ての対象市民の方に接種券とか予診票を送るという業務をやっております。これは、しばしば苦情が来ます。何でこんなものを送ってくるのだとか、こんなものを送ってきたら圧力じゃないかとか、つまり強制するのかという苦情は過去に何度もあります。現在も、コロナワクチンに関してもございます。
という形で、努力義務ということに議論が行ってしまっているのですが、実際に市民の方が圧力を感じるのは、むしろ接種券を送りつけられてくるというものであって、そっちのほうなのですよという現実を知っていただきたいということです。だから、努力義務というのは、別に行政機関が過去に市民に強制した覚えもないし、どの行政機関も受けていない方に受けなさいと言った覚えもないと思います。それから、努力義務があることによっていじめに遭ったとか、周りから法律文を開いて、あなた、努力義務があるのだと文句を言われたことも経験したこともないということも、1つの事実実だと思います。
ただ、努力義務があると1つ便利なのは、努力義務があるのだから、例えば雇用者に対して、保護者の方がお子様のためにお休みを取るとか、そういうときに雇用主は努力しなければいけないですね。その人が受けやすい接種環境を整えるという利便性はあったのかなと思います。ただ、皆様方が努力義務に関して非常に圧力だ、強制だというイメージが強いというものがあれば、私は特に現実的に自治体としては、接種勧奨がついていますし、接種券が個別に送れますので、実質的な業務としては問題ないのかなと思っています。
ただ、努力義務を外すときに、受けたいという方、例えばお子さんを持っている方に雇用主がお休みを認めるとか、そういう配慮です。受けたいという方には、そういう積極的に受けられるような環境を整えるということは、努力義務という言葉とは別に、国とか、自治体とかから改めてアナウンスをしていただきたい。そういう環境整備が整えば、努力義務ということに対して、さほど今はこだわる気持ちはございません。
私からは以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
阿真参考人、お願いします。
○阿真参考人 ありがとうございます。
私からは、努力義務と接種勧奨について、3つほど意見を言いたいなと思うのですけれども、最初にどういうふうに考えているかというと、努力義務も接種勧奨も、今の時点では時期尚早かなと考えています。
その意見を3つ言いたいのですけれども、1つ目は、前回や前々回の分科会でもお話しして、前回も詳しくお話ししたとおりで、接種が始まって親御さんにすぐに打つかどうかというお話しをしたときに、すぐに打つことはない、様子を見たいと言っていた方のお子さんのうち何人かが、この数週間で感染しました。私の住む地域は今、かなり流行していて、学級閉鎖や学年閉鎖が今週、先週と続いております。
そんな中で、熱が1日だけ出て、次の日下がったという軽く済んだお子さんもいれば、重いインフルエンザと重い胃腸炎を足して2で割ったような感じと表現してくれた人もいて、相当つらい、しんどいような状態を子供にさせてしまったということで、打たせてあげたかったと、最初に打つ気はないと言っていた人もそういうふうに変わっているような人もおります。
熱だけの方でも、40度が続いて、こんなに苦しがるとは思わなかったという形で、打ってあげたかった。下の子だけが打っていなくて、下の子だけがつらそうだから、打ってあげたかったという方がいました。また、話が戻ってしまいますけれども、それでも軽く済んだ方は必要ない、子供は軽いという声もあります。
流行の度合いであるとか、子供さんによって症状が余りにも異なるということもあって、努力義務を課すということとか、現時点での一律送付・接種勧奨というのもちょっと難しいかなと私は感じています。親にはちょっと酷な面もあるのですけれども、個々で判断するしかないというのが現状かなと私は思います。
ちょっと長くなります。すみません、2つ目、早くいきます。2つ目は、副反応を心配する人の声がたくさん届いています。私がほかのワクチンと同じように、副反応については副反応検討部会がしっかりと情報を精査しているのではないかと、専門家が取り組んでくださっていると、そこは信頼を持っていますけれども、きちんと精査しているというところが一般の方々には届いていないのかなと危惧しております。
3つ目です。3つ目は2つ目とも通じるのですけれども、東京都のデータとか、鈴木先生もそうですけれども、全国のデータとか、世界中のコロナに感染した人のデータ、それからワクチンを接種している人のデータ。毎日、全て専門家が精査しているわけです。親の意見、私たちの意見を聞いていただくのは、安心感を持って進めるという点ですごく大事だと思うのですけれども、それだけが全てではなくて、今のオミクロン株がどういうふうに変異していくかということなどは、私たちは到底分かることではありません。ですので、株が変わったときとか変異していくときに、今回、ここで決めたから、このままでいいということではなくて、状況を見て判断を変えていくということ、専門家の声をしっかり聞いていくということも大切だなと思っております。
すみません、長くなりました。以上です。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
磯部委員、お願いします。
○磯部委員 慶應大学の磯部です。今日は遅刻して申し訳ありませんでした。
努力義務のところについて、今回の御提案の結論には異論はないのですけれども、先ほど坂元先生がおっしゃられた、接種を受けたい人にとって受けやすい環境をつくるという御指摘は非常に重要だったと思います。そのことも含めて、若干コメントさせていただきたいと思いました。
資料の34ページの最初のところに、特例臨時接種の趣旨から、接種勧奨・努力義務の規定は原則適用だと、法制度上の扱いはそうなっているというのは、ここに書いてあるとおりなのですが、単に制度だからということでは説得力が足りないだろうと思うのです。現行の予防接種法は平成6年改正で、予防接種を受けるかについて個人の意思を尊重するという立場を基本としているわけです。仮に法的拘束力はなくても、努力義務を課すということで接種を強く勧めていることには変わりはない。皆が接種を受けることを前提にしているとも言えるのであって、接種を回避する者に対しては、事実上の強制なり不当な取扱いのおそれがあるということは前回も意見が出ていたわけです。
したがって、努力義務であるからこそ、接種をする、しないに関する個人の意思がしっかり尊重されるということが極めて重要であるということは、強調して申し上げたいと思います。その際、接種をしたいという方、受けたいという方については、坂元先生がおっしゃったように、接種を受けやすい環境を整える、周りの人が協力するということはしっかりなされなければならないし、仮に受けたくないというときでも、法的には、最終的にはそれは本人の意思が尊重されるべきだから、それによって不当な扱いをしてはならないのだということも、また社会は共有すべきことなのではないかと思います。
その上で、すみません、私、前回、十分議論を理解していないでコメントしてしまったかもしれないのですけれども、努力義務について行政側の対応が重要だという御指摘があって、努力義務は、もちろん受ける側、保護者なのですけれども、それに呼応するものとして、接種を勧奨する行政側の対応のレベルが問われるという問題意識、御指摘は極めて重要であったなと思いました。ですので、努力義務を課すかどうかというのは、実は問題としては重要ではなくて、いずれにしても、自治体側が接種勧奨するという法的に位置づけた予防接種を行うということである以上、それができる環境整備、必要な情報をきちんと保障するという、そこが問われるのだろうと思います。
ですので、単に接種券が配布されるということのみならず、様々な副反応等についての情報なども明確にするとか、予防接種の有効性・安全性に関する様々な情報をそろえて、国民に分かりやすく伝えていただく。それによって、個人が初めてインフォームドディシジョンができるという環境をぜひそろえていただきたい。そのことを改めて、努力義務どうこうだけじゃなくて、その奥にある問題として、そこを共有していただきたいというコメントでした。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
努力義務という言葉だけにとらわれるのではなくて、接種を受けたい方にしっかりと環境をつくる、提供するということが重要であると。
釜萢委員、お願いいたします。
○釜萢委員 ありがとうございます。
前にもこの分科会で発言いたしましたけれども、平成6年のときの改正のこともよく覚えておりますが、あれからもう二十数年たっているのですね。それで、平成6年のときの改正は、既にお話が出ているように、これまで義務接種であったものを、そうではなくするというところが非常に大きな変更であって、その象徴として努力義務という言葉に変わったので、当時の認識としては、努力義務というのはこれまでとは全く違って、本人・保護者のしっかりとした判断と納得の下に接種するという象徴の言葉であったと私は理解しているのです。
ですが、大分時間がたったので、また法律の文章を読んでみると、努めなければならないというところも書かれていることなので、それを読まれた方は強制性をかなり強く意識されるのだなということを、今、改めて感じています。時間もたちましたので、多くの方にきちんと御理解いただける形で整理する必要があると思います。
まず、接種勧奨については、これまで得られている知見を総合して判断しますと、私は5歳~11歳の子供たちにぜひ接種を受けてほしいという思いでおりまして、ぜひ接種勧奨はしていただかなければいけないと思っています。一方で、努力義務に関しては、私自身の認識は先ほど申し上げたようなところですけれども、多くの方が私と同じような認識で必ずしもおられないということも分かりましたので、今回は国・事務局から提示されるような形で段階を踏んでいくということについては賛成申し上げます。
一方、成人あるいは高齢者に対するワクチンの認識、特に1回目・2回目の接種に関しては、皆さん、早く受けたいという御希望が強くて、その受けることによる接種部位の腫れだったり、発熱だったりというところがあっても、早く受けたいという思いを強く持った方が多かったように私は認識しています。一方で、この年齢の5歳~11歳の対象者に対する接種については、それに対して、それほど必要ではないのではないか、あるいは副反応をより重視、気になるという御意見が多いということも私はたしかだと思いますので、その点について、しっかり情報をお伝えして、それぞれの現場で、特に接種を受ける方、保護者が適切に判断していただける形の情報提供というのは、さらに努めなければならないなと感じています。
ですから、現実として、まだ十分不安が払拭できていないという前提に立って対応していく必要がある。しかし、専門家で検討してきた者の1人としては、このワクチンの有効性や副反応については、十分許容できる範囲のもので、より多くの方に受けていただきたいという思いを持ちながら、しっかり発信していきたいなと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
まだ御意見あると思うのですけれども、まず、中山委員からの御質問のところ、今後、海外のデータあるいは国内のデータも出てくる。そのときに、この努力義務の再検討のスケジュール感、どのようにお考えかということを事務局のほうから。
九十九さんですか、お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 まず、中山先生からの御指摘でございます。今回、知見を踏まえて、努力義務の適用はしないということでございまして、今後、どういうスケジュールか、また知見をどのように収集するのかといった趣旨の御質問だったかと思っております。
まさに、このオミクロン株に関する知見に関しては、本当に日進月歩で、様々な知見が出ている状況でございまして、我々、この審議会におきましても、委員の皆様にそのような情報をしっかりと提供した上で議論いただく必要があると思っておりますので、後から出てきますが、これは小児の知見ではないですが、随時、この分科会におきまして適切に情報提供を行っていきたいと考えております。後ほど御説明いたします。
また、これまでも専門家の先生方から、そのような知見についてプレゼンテーションいただいたことがありましたし、今後も最新の科学的知見を事務局がしっかり整理した上で、この分科会において審議いただきたいと思っております。
また、国内の知見の収集に関して御指摘いただきました。まさに、随時、鈴木先生のほうからこれまでもプレゼンテーションいただいておりますが、恐らくオミクロン株の流行期における、発症予防効果といった知見も、今後症例数が蓄積されれば出てくるものかと思いますので、そういった知見も踏まえて、適当なタイミングでこの努力義務の議論について、また行って頂きたいと思っております。
また、先ほど磯部先生から、環境整備やしっかりとした情報提供が必要だという御指摘をいただきました。そのような問題意識は事務局も持っておりまして、先ほど御紹介させていただきましたリーフレットに関しましては、事前に委員の先生から、各お立場、各御見識をいただきながら作成したものでございます。また、小児科学会様からもいろいろ意見をいただきまして、このような案となっております。紙面の都合上、全ては書き切れませんが、有効性・安全性といった情報につきましては、このようなリーフレットを用いて、国民の皆様にしっかりと周知していきたいと考えております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
さて、委員の皆様からさらなる御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがですか。もう事務局のほうに御意見もかなりお伝えしていただいて、それが33ページのほうにもまとまっていますし。
佐藤委員ですか、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。
もうたくさん意見も出ましたし、基本的に皆さんの意見に賛成です。今日の事務局案は、これでよろしいと思います。
前回でしたか、接種勧奨と努力義務が一般の方にそれほどきちんと分離して理解されているとも思わず、そしてまた、努力義務については大変誤解の多いところでもあり、接種勧奨はかけるけれども、努力義務はかけないということの真意が正しく伝わるのかということに大変懸念があることを申し上げました。ですので、そのあたりの説明を丁寧にしていくことが大事だと思います。
もう一つは、今回、努力義務をかけないことについて、オミクロン株についての有効性が限定的である旨が明記されたわけですけれども、大人の3回目の接種のときには、既にオミクロン株が出ていたかと思いますけれども、その時点で3回目の接種勧奨と努力義務を決めており、それとどう違うのかなという疑問は若干あるところです。今日の時点で大人のオミクロン株への効果も出てきているところですし、新しい情報を引き続きアップデートしていただくことが大事だと思います。
以上です。ありがとうございます。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがですか。
九十九さん、何かありますか。
○九十九予防接種室長補佐 結構です。
○脇田分科会長 信澤委員、どうぞ。
○信澤委員 ありがとうございます。
私も、接種勧奨は適用して努力義務は外すという事務局案に賛成です。今、佐藤委員やほかの先生方もおっしゃっていましたけれども、今回、努力義務という言葉自身は、小児へのワクチン接種を推奨する上で余り本質的ではないという言い方が合っているか分かりませんけれども、そこで議論するというのはどうかなという印象もあって、以前、福島委員もおっしゃっていましたけれども、努力義務という言葉の意義を、今すぐは難しくても、現状にもう少し合わせた方向で解釈できるようにしていただけたらと思います。
あと一点、今、佐藤委員から、オミクロンに関しては、3回目ワクチンを大人に接種するときは何も議論がなかったのにというお話でしたけれども、多分、小児の場合はこれが初めてなので、オミクロンだからという以前に、小児の5歳~11歳に対してコロナのワクチンを打つということに対する不安というのが、大人の最初の接種の場合にちょっと似たような感じであるのかなという気はしますので、今後、オミクロン以外の変異株が出てくると思いますので、そういうときにも丁寧な説明をしていただけたらと思いました。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。
それでは、まとめたいと思いますけれども、皆様の意見を伺っていると、論点は大体絞られてくると思いますね。情報をしっかりと提供していく。説明をしっかりすることが重要だという意見に大体集約されるのだと思うのです。受けたい方が受けられる環境をしっかり提供していく。これは重要だということだと思いますね。だけれども、その際に、小児の予防接種ですから、大人、高齢者、我々よりも、よりリスクに敏感である。これは当然のことだと思います。ですから、保護者の方、本人が、様々な情報、有効性・安全性について判断できるような情報をしっかり提供していくこと。それから、新しい変異株が出てきたときに説明をしっかりすることが重要だということだと思います。
それから、努力義務という言葉に関して、その言葉が少し独り歩きするところがありますが、釜萢先生がまとめていただいたように、これは平成6年の法律の改正のときには、むしろ義務的なものではなくて、接種を選択できるという象徴のような言葉だったということがありますが、現在、むしろ、それが少し義務的に解釈される言葉になっているということですので、そこは今後整理が必要だということで、我々としてもそういった意見だろうと思いますので、そこはまた引き続き整理していただきたいと思います。
そういった意見をまとめますと、委員の皆様からは、おおむね事務局案に賛同していただいたということですし、阿真参考人からは、接種勧奨についても懸念の意見がございましたけれども、そこも情報をしっかり提供していくことが重要だという御懸念だったと思いますので、この委員会としては、小児の公的関与の規定については、接種勧奨の規定を適用する一方で、努力義務の規定は適用しないということにして、今後、最新の科学的知見を踏まえて議論を再度していく。それから、事務局には、情報の提供についてしっかりやっていただくというか、これまでもやっていただいていますけれども、さらにしていただきたい。
それから、今までいただいた意見としては、小児の中で、例えば基礎疾患を持っているような人たち、こういったできるだけ打ってほしい人には、しっかりとお知らせをしていただきたいというところでまとめたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、これに関しまして了承していただいたということだと思います。
まだ意見がございますか。白井委員、どうぞ。
○白井委員 すみません、意見というよりも、全体を通してお願いなのですけれども、このような情報提供を国にお願いするということだけではなくて、国から発していただくときに、マスコミというか、メディアの方がかなり先行して情報提供されると思うのですね。そのときの正確さということをお願いしたいなと思います。自治体に文書が来る前にマスコミが先行していることがすごく多くて、そういう意味での国からの情報提供を本当に丁寧にしていただいていると思うのですが、国民の方々へ理解をお願いするときにも、メディアの方の御協力を得たいなと思っています。
よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 白井先生、どうもありがとうございます。
非常に難しいポイントではあると思います。こういった議論がされると、どうしてもそこが取り上げられて、そこだけに注目が集まるということもありがちなところですので、正確な情報というのを、我々もマスコミともコミュニケーションをする必要があると思いますし、国からもぜひそこの点はよろしくお願いしたいと思います。
それでは、議題1については諮問が行われておりますけれども、この後の妊娠中の者に対する公的関与に関する議論が終わった後に、その諮問について説明していただきますので、論点を進めたいと思います。
では、次の論点につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 それでは、よろしくお願いいたします。
37ページ目を御覧ください。小児の「その他」の論点になってございます。2つありまして、1つ目が、1・2回目の最短の接種間隔についてでございます。ファイザー社の5歳~11歳の小児への新型ワクチンにつきましては、1回目と2回目の接種間隔を通常3週間とすることで薬事承認がなされてございます。
一方で、接種現場におきましては、不測の事情によりまして、1回目の接種からちょうど21日後に接種することができない場合もあると考えられますので、それらの全てを直ちに間違い接種とすることは望ましくないと考えております。
12歳以上のファイザー社ワクチンの初回シリーズにおける接種間隔に関しましては、海外の国際共同治験の結果を踏まえて、予防接種実施規則において許容され得る最短間隔を「18日」と規定した上で、手引等において添付文書に記載された内容、具体的には、通常3週間とし、3週間を超えた場合は、できる限り速やかに2回目の接種を実施ということを原則的な接種間隔として記載しているところでございます。
これを踏まえまして、事務局案ですが、12歳以上のファイザー社ワクチンと同様に、実施規則上の接種間隔は最短の接種間隔を規定しながら、手引等において原則的な接種間隔を示すことが適当ではないかと考えておりまして、具体的な考え方としまして、国際共同臨床試験におきまして、1回目接種から18~22日の間隔を置いて2回目接種を行った場合の有効性・安全性が評価されているところでございます。また、国内の添付文書におきましては、記載のとおり「通常、3週間の間隔で筋肉内に接種する」としつつ「1回目の接種から3週間を超えた場合には、できる限り速やかに2回目の接種を実施する」こととされております。
このようなことを踏まえますと、12歳以上用の場合と同様に、実施規則においては許容され得る最短間隔として「18日」を規定しまして、手引等において添付文書に記載された内容を原則的な接種間隔として記載してはどうかと考えておりますので、御議論いただければと思います。
続きまして、2つ目の論点でございますが、38ページ目を御覧ください。1・2回目に年齢をまたいだ場合の対応についてでございます。
これは、諸外国に関しましては、小児用の新型コロナワクチン(5歳~11歳用)を用いて初回接種を行った後に、2回目接種までの間に年齢が12歳になる場合に、小児用ワクチンの接種をするか、12歳以上用のワクチンを接種するかは、国により対応がばらついている状況でございます。
具体的には、一番上の米国でございますが、年齢がまたいだ場合に、2回目は12歳以上用のワクチンを使うべきとしております。一方で、英国におきましては、年齢をまたいだ場合に、2回目も5~11歳用ワクチンを使うべきとしているような状況でございます。
実は、40ページ目の自治体説明会資料では、このようなことを極力避けるために、1回目・2回目のワクチン、同じ11歳のうちに接種を完了するようにといった内容の周知をしているところでございますが、今回の事務局案でございます。
まとめですが、1回目を小児用のワクチンで行った者が、2回目接種までの間に12歳の誕生日を迎えた場合に、2回目接種において小児用のワクチンと12歳以上用のワクチンのいずれを使用するかが問題となってございます。
先ほど申し上げましたように、この対応に関しまして、諸外国の対応方針は様々でございます。
1回目接種を小児用で接種しまして、2回目接種までの間に12歳の誕生日を迎えた者に対しては、例えば12歳以上用のワクチンを接種することとした場合に、12歳以上用のワクチンを取り扱わない医療機関においては、当該小児の2回目接種に対応できず、現場の運用に支障を来す懸念がございます。
また、1回目接種を小児用で接種して、2回目接種を12歳以上用で接種した場合の有効性・安全性は明らかになっていない状況でございます。
このようなことを踏まえまして、事務局案ですが、このような年齢をまたぐ場合におきまして使用するワクチンに関しましては、1回目の接種時の年齢に基づいて判断することとしてはどうかと考えておりますので、この点につき御議論いただければと考えております。
以上でございます。
○脇田分科会長 御説明ありがとうございました。
まず、最初の37ページは、1・2回目の接種間隔を最短の接種間隔「18日」としてはどうかというところですね。
それから、39ページ、2つ目のところ、1回目・2回目で年齢をまたいでしまったときに、2回目接種のワクチンをどうするか。これは御説明があったとおり、小児科で接種を受けるときに、小児用のワクチンというのが現実的なところでありますので、2回目接種も小児のワクチンを使用することとしてはどうかという事務局案であります。アメリカでは、12歳以上用の大人用のワクチンを使うことにされていますけれども、この2つの論点につきまして、委員の先生方から御質問、御意見等ありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 接種間隔に関してはそのとおりでいいのかなと思いますが、用量に関して、自治体での説明会に際して厚生労働省のほうから、仮に間違って打った場合、12歳になったのに11歳の分を打ったとか、その分を市町村として、予防接種法の予防接種として扱っていいかということです。つまり、それをリジェクトしてしまうと、予防接種法の予防接種として認めないということが起きると思います。海外の情報を見ても、国によって、12歳になったら大人用を勧めるところ、反面12歳になっても子供用を使えという国があることから勘案すると、つまり、それをミス扱いにしないということの確約と言ったら変ですが、その辺をしっかりいただきたいということです。私的には厚生労働省のお考えどおりでいいのかなと思います。
ただ、そこをしっか押させておかないと、市町村で駄目と言ってみたり、いいと言ってみたりになるので、口頭ではなく、文書で書けないのかもしれないけれども、そこをしっかり意思統一してほしいというお願いでございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、御意見いかがでしょうか。
中野委員、お願いいたします。
○中野委員 中野でございます。
2回目の最短の接種間隔については、現実的には3週間より延びる子も結構出てくるのではないか。子供は大人に比べてかぜを引く頻度も多いです。他の年齢の方との整合性、実施規則の記載の仕方を考えれば、この形しかないのかなと私は了解いたします。
なお、2回目に年齢をまたいだ場合の対応については、ほかに日本脳炎ワクチンは3歳で接種量が変わります。B型肝炎ワクチンも10歳で接種量が変わります。インフルエンザワクチンも3歳で変わりますね。そのようなワクチンは、あくまで2回目に接種するときの年齢で接種量を決めていると思います。ということは、薬事承認事項とか添付文書の記載に基づいて、正しいことを実施しようということで、現場ではそのように実施していると思っております。
今回の新型コロナに関しては、諸外国の状況とか、あと、こういう言葉が適切かどうか分からないですけれども、こんな小さい子供に大人と同じものを打つのですかという、現場での保護者からの御意見が多いのは承知しておりますので、1回目が11歳で小児の製剤を使った方に小児の製剤を使うというのは、私も認めてあげたいなと思っています。
お伺いしたかったのは、2回目に年齢をまたいだ場合の対応についてというのは、接種実施要領に記載されることなのか、添付文書等とかにも何か追記がなされるのか。現場で間違いがないように徹底したいと思いますので、そのあたりをどうお考えかをお教えいただければと思います。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
中山委員、お願いします。
○中山委員 すみません、ちょっと外れてしまうかもしれないのですが、低い年齢のお子さんについてはほとんど問題が起きてこないと思うのですけれども、11歳のお子さんで接種が始まるときに12歳に近いときに、保護者としては、もう少し待つ。最短期間が18日ですから、18日たてば12歳になるわけじゃないですか。そうしたら、12歳になって、12歳の用量で受けさせたほうがいいのか、それとも、とにかく11歳で早く打ちなさいというのか、多分保護者の感覚としては迷われるところだと思うのです。その辺は、何かお考えというのはあるのでしょうか。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、今、3名の先生に御意見、御質問をいただきましたので、事務局、レスポンスしていただけますか。九十九さん、お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 貴重な御意見、ありがとうございます。
今回、一定の基準を示さないと、どちらだろうということで現場が困ってしまうということもありましたので、このような案を示させていただいているところでございます。
一方で、先ほど申し上げましたような事情であったり、必ずしも間違いにならないのではないかという御指摘を頂いたところでございますが、これはまさにそうだと思っておりまして、どのように示すかというのは検討が必要だと思いますが、例えばQ&Aとか、そういった形で、仮に2回目の接種が1回目と同じものじゃない。つまり、成人用といいますか、12歳以上用のものを打ったとしても、制度上の間違い接種にはならないことをQ&A等で示そうと思っておりますが、どこで示すかというのは少し検討させていただければと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
今、全部答えていただいたのですかね。
中山委員。
○中山委員 12歳を待ってから打ったほうがいいのかというのは、ぜひお聞きしたいなと思います。
○九十九予防接種室長補佐 お答えいたします。
このあたりは、臨床的な視点で答えるべきなのか、行政的な視点で答えるのかというのはあろうかと思います。行政的な視点で申し上げますと、自治体説明会の資料を40ページに記載しておりますとおり、可能な限り、本人及び保護者の混乱を避ける観点から、これは箱の2つ目の接種券のところの3ポツ目ですが、1歳目接種の時点で11歳の者については、可能な限りに12歳に到達する前に2回目接種を完了するよう、余裕を持ってといった記載がございますが、これは臨床的な観点で御意見を先生方からいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○脇田分科会長 今の中山先生のことに御意見があれば。
どうぞ。
○合田委員 臨床的な観点ではないのですけれども、活性とかを我々は分析して見ています。そういう意味で、確かに量を打っているほうが全体的な効果は高いと思います。ただし、常に副作用との兼ね合いですから、その部分をどのように判断されるかという、そこ以外には言いようがないと思います。臨床的なデータというのは、ある一定の時間がたたないと出てきませんから、それを待っていると何も解決しないので、そういう意味で言うと、どちらにするかということは、御家族、御両親、本人の判断に従わざるを得ないかなと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
中野委員、手を挙げておられましたか。
○中野委員 ありがとうございます。
中山委員がおっしゃった、少しでも効果が高いようにしっかり打ちたいから、もちろん、そういう方がいらっしゃるのは事実と私は思っていて。例えば、日本脳炎ワクチンなんか、3歳になってから早いうちに打つのか。0.25cc、量が半量なのです。どちらがいいか、結構御質問を受ける機会も多くて、そういう方々がいらっしゃる一方で、私は新型コロナワクチンの現場にいますと、新型コロナに関しては、発熱のこととか副反応の症状のこと、あるいはまれですけれども、若年成人の心筋炎のことがあって、少ない量でどうですかという御質問のほうが量的には多いと思っているのです。
なので、厚労省が取られた、この選択というのは、より多くの方に対するメッセージとしては非常にいいかなと思っているのですけれども、逆の意味で、先ほど来、複数の委員の方がおっしゃっている、基礎疾患のある方にこそという一言なのですが、基礎疾患のある方は確かに守ってあげたいのですが、ワクチンの副反応だって偶発的なものかもしれませんが、後で体調が悪くなることが多いのですね。また、基礎疾患により重い病気を発症したり、何かが起こることが、たまたまワクチンの後に起こることも多くて、ワクチンが原因でなくても様々な意味で保護者・社会にインパクトを与えることがあり得るわけです。
そのときに、私は今まで、B型肝炎でも日脳でもインフルエンザでも、医師として法令に従わなければいけないと思って、年齢でぴしっと切ってやってきたわけですが、医師の裁量というのが認められるのであれば、目の前の患者さんに一番いいことをしてあげないといけないので、小児の基礎疾患というのは、体重だけではなくて、成熟の度合い、免疫の度合い、いろいろな基礎疾患があって、まさにその子たちには新型コロナにかかってもらったら困るわけですね。
ですから、11歳で始めた方が小児の量でということももちろんなのですけれども、12歳、13歳でも本当に体格の小さい子とか、いろいろな疾患の方がいらっしゃるのです。もし薬事承認とか規則ということではなくて、Q&Aでの対応をお考えいただける余裕があるのであれば、その子たちに少しでも有効で安全なワクチンを希望する方にお届けいただける方策を考えていただけると、1人の臨床医としてはとてもうれしいと思っています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
中山委員、よろしいですか。
○中山委員 ありがとうございました。
○脇田分科会長 続きまして、川俣委員、お願いします。
○川俣委員 臨床的ではないですけれども、行政的に言うと、お誕生日ごとに出すようになるのかと言われると、11歳は難しいのかなと思います。4月になって一斉に発送しまして、11歳の子はすぐに12歳になってしまいます。その辺の変化はあると思うので、先ほど中野先生や皆さんがおっしゃっているように、年齢だけではなく、体格とか成熟度合いで先生方の判断でしていただけるほうが私はいいのかなと思います。難しいのは今年1年だと思うので、来年までこれが続くのかというと、また違うことになると思うのですけれども、今年だけを考えたら、それは上手に緩和していただけると行政のほうは楽かなと思います。打つほうの先生方も、その辺が臨機応変にできることを認めていただけるとありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。
信澤委員、お願いします。
○信澤委員 ありがとうございます。
今の2回目に年齢をまたいだ件についてなのですけれども、ファイザー社で小児ワクチンを申請したときに、1回目と2回目で小児用と大人用に変えた場合と変えなかった場合とか、そういう情報というのはないのですか。
○脇田分科会長 御質問ですね。事務局、その点、いかがでしょうか。
○佐藤予防接種室長補佐 事務局でございます。失礼いたします。
順番が前後しまして、すみません。まず最初に、信澤委員からの御質問でございますけれども、年齢をまたいだ場合の安全性・有効性のデータがないかということに関しましては、これはございません。申し訳ありません。
先ほど九十九補佐からQ&Aに関して言及がございました。Q&A等において取扱いを今後検討してまいりたいと九十九補佐から申し上げた趣旨は、あくまでも年齢をまたぐ場合の取扱いについてということでございます。今、申し上げたとおり、またいだ場合というよりも、小児のワクチンというのは年齢に着目したデータしかございませんので、逆に申し上げると、有効性・安全性に着目して接種を行う場合には、ちょっと難しいところではございますが、全体を考えたときに年齢に着目して省令上も規定せざるを得ないのかなと考えております。
一方で、年齢をまたぐ場合、11歳で1回目を受けた場合、3週間等々が経過した場合をどうするかというところでございますけれども、そこのところをあくまでQ&Aでお示ししていくことになるということでございます。これは、省令の解釈といたしまして、11歳で小児用のワクチンを打ちました。12歳というのが、いわゆる交互接種のような扱いとして、予防接種法に基づく予防接種として認められるという解釈をQ&A等でお示しできるかなというところでございました。
以上でございます。
○脇田分科会長 坂元委員、お願いします。
○坂元委員 全部の自治体がそうかと言われるとそうじゃないのですけれども、現場では5歳~11歳、それから12歳以上の接種券には差がないということなのです。子供用の接種券で送るので、その接種券を見て保護者の方が受ける時点で何歳になっているかとか、実際に受けたときに現場の先生が今、何歳かという判断なので、自治体もいろいろな形でそういうところまで周知するようにしますが、11歳以下と12歳以上と分けた接種券ではないので、その辺を改めて現場の保護者の方、現場の先生方に市町村としてはしっかり伝えていきたいと考えておりますし、国のほうもその辺が保護者の方が見て明確に分かるようなもの、それから現場の先生が見て分かるようなもの、そういうしっかりした情報提供が行えたらと考えております。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
改めて情報提供の話がまた出てまいりました。
さらにいかがですか。大体よろしいですか。
接種間隔のところと、1回目・2回目で年齢をまたいだ場合の取扱いというところで、おおむね事務局案で了解という御意見だったと思いますが、中野委員、川俣委員から医師の裁量のお話がありましたけれども、そこのところは、今、ここで、はい、それでよろしくというところまではなかなか難しいという事務局からの反応だったと思います。
その上で、坂元委員からは、12歳以上と12歳未満の接種券に差がないので、ここはしっかりと現場に周知しないと、混乱、間違いが生ずる可能性があるということですから、ここの情報提供はしっかりしていただくということだと思います。
それでは、さらなる御意見がなければ、ここでまとめていきたいと思いますけれども、おおむね皆さんの御意見を聞くと大きな反対意見はない。さらなる裁量を求めるというところはありましたけれども、そこはすぐには難しいということかと思いました。
それで、12歳以上のファイザー社ワクチンの取扱いと同様に、小児の5歳~11歳のワクチン、1回目・2回目の最短の接種間隔は18日と実施規則で規定して、手引において添付文書に記載された内容を原則的な接種間隔にするということ。
それから、2つ目のところで、1回目・2回目の間に年齢をまたぐ場合、2回目接種では小児のワクチンを使用することを我々としても認めることに同意したいと思いますが、それでよろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきます。
次の議題です。「妊娠中の者に対する公的関与の規定の適用」ということで、これも議論を続けておりますが、事務局から、こちらについても説明してください。お願いします。
○佐藤予防接種室長補佐 失礼いたします。
妊娠中の方についてでございます。現在、努力義務の規定が適用除外されていることにつきましてでございます。御案内のとおり、妊娠中の方については被験者数が限られており、胎児への影響は必ずしも明らかでなく、努力義務の規定を適用除外とするということが昨年2月、この分科会で御議論いただいた内容でございます。
妊娠中の方については、前回、またはそれ以前にお示しした資料を、今回のお手元の資料に再掲させていただいております。法律上の規定の考え方、あるいは昨年2月の分科会での御議論、諸外国の状況、そして確認されているエビデンス等々でございます。42ページ~49ページで再掲させていただいております。個別の御説明は省略させていただきます。
50ページをおめくりくださいませ。こちらも前回お示ししたものになりますが、こちらについては、申し訳ございませんが、ちょっと御説明させていただきます。
妊娠中の方につきましては、現在努力義務の規定が適用除外となっておりまして、例の小児のところでも御議論いただいた、法律上の適用除外のメルクマール2点に沿って、知見を表の形、マトリックスの形にして整理したものでございます。
上段のところでございますが、妊娠後期に新型コロナに感染すると早産率が高まる、重症化リスクが高まるというとったことや、国内のデータでも妊娠中の方の中等症から重症の方の割合が高かったという報告がございました。
下段の有効性・安全性その他の情報でございますけれども、ワクチンの効果について、1ポツに記載しております。
2ポツのところでございますけれども、副反応の発生割合は、妊娠されている方とそうでない方の間で同様であったという報告がございます。
昨年2月の議論の中で必ずしも明らかになっていなかった胎児についてでございますけれども、3ポツのところ、妊娠中の方への新型コロナワクチン接種について、早産またはSGA児の発生の増加というものと関連を認めなかったという報告がございます。
次のページ、51ページにただいま申し上げたことを上段の表にまとめさせていただいておりますが、これを踏まえて下段の事務局案でございます。最新の科学的知見を踏まえて、妊娠中の方について、現行の努力義務の適用除外を解除することとしてはいかがでしょうかということをお諮りさせていただきます。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
当初、妊娠中の方に関する有効性・安全性のデータが必ずしも十分ではないというところで、努力義務の規定の除外をしたわけですけれども、今、説明していただいたとおり、データの蓄積があるということで、この規定の除外を解除するということについての事務局案です。これについての委員の先生方からの御意見いただければと思います。いかがでしょうか。データがかなり示されてきたというところですので、明らかなデータに基づいて、この努力義務の適用除外を解除するということですが、こちらで。
沼尾先生、お願いします。
○沼尾委員 ありがとうございます。
基本的なところを教えていただきたいのですけれども、今回、データの蓄積があって、例えば妊娠中の方のほうが中等症とか重症の割合が高かったということも出てきているということですけれども、これについて、オミクロン株の状況でどうなのかというところについての知見というのは、先ほどの子供の場合と同じで、まだ出てきていないのでしょうか。先ほどのデータの蓄積ということをどう判断するかというところにも関わってくるかと思うので、どういうふうに判断したらいいのかを確認したくて、質問させていただきました。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 妊婦に関しては、いわゆる安全性の観点から政令で努力義務を外したということですが、海外の動向とか論文等を見ると、むしろ現在は逆で、妊娠中は重篤化しやすいので、データを示して接種を受けることを勧めている論文等も多く出ておりますので、そういう意味から考えて、適用除外を外すということがデータ的にも適切な段階に来ているのではないかと思っております。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。ありがとうございます。
質問というか、ちょっと疑問なのですけれども、この妊婦さんの努力義務の除外規定を外すことによって、自治体がやることが何か変わりますかということなのです。妊婦さんは努力義務じゃないからといって、自己負担を頂いているわけでもありませんし、その辺の情報提供の仕方を変えないといけないのか。それによって、妊婦さんのほうから何かアクションがあるというか、感覚的に何が違ったと思えるかということなのですけれども、今のところ、妊婦さんに、もちろん副反応もない、効果もあるしということで、それは割と接種している方が多いなという印象は、私たちのところでは受けています。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがですか。
よろしければ、沼尾委員からオミクロンのデータがあるかというところと、白井委員からは、努力義務の適用除外を外すことで何が変わるのかというところですね。ここについて事務局からございますか。
九十九さん、お願いします。
○九十九予防接種室長補佐 まず、私のほうから沼尾委員に対する回答をさしあげます。
まず、オミクロン株を踏まえたワクチンの知見ということでございますが、妊婦の安全性に関しましては、変異株の影響を受けるものではなくて、妊婦に対するワクチンの安全性ということなので、ここは変異株にかかわらず、安全性について一定の知見が出てきたという整理かなと思っております。
また、有効性に関しましては、次のパーツで説明いたしますが、特に妊婦だけを対象とした有効性のものではございませんが、成人におきましては、オミクロン株に対する発症予防効果であったり、入院予防効果であったり、また追加接種の効果といった知見は蓄積されている状況でございます。
以上でございます。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
あと、白井委員から、適用除外を外すことで自治体からの働きかけに何か違いが出てくるかといった御質問がありましたが。
○佐藤予防接種室長補佐 事務局でございます。
直接的に何かということはございません。今までやっていたことに加えてとか、やめていただくといったことはございません。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
そのほか、何かございますか。
それでは、余り多くの委員からは御意見ありませんけれども、どうぞ、沼尾委員、お願いします。
○沼尾委員 すみません、ありがとうございます。
先ほどの5歳~11歳の子供のケースもそうだと思うのですけれども、根拠の示せない先々のことに対して、この場で議論するのがいいのかどうかということは、前回の会合のときにも出てきたかと思うのですけれども、今回、5歳~11歳の子供に対するワクチン接種の話とか、妊婦、つまり胎児に対するワクチンの影響というものがどうなのかということに対する、国民の皆様の漠然とした不安とか疑問というものがどこかにあって、これだけいろいろな御意見が出ているのだろうと思うのですね。
ただ、目の前のコロナウイルス感染を抑制するという観点から、接種勧奨ということをやっていくとか、こういうふうに公的な予防接種の仕組みを入れるということはとても大切だと思うのですけれども、今回、努力義務ということが改めて問われたというのは、漠然とした不安もある中での、努力義務についての疑問なのだろうと思うのです。
そう考えたときに、妊婦の方については、これだけいろいろな検証が上がってきているというところはもちろん説明されていて、その限りにおいて努力義務にするのだという選択肢も1つあり得るとは思うのですけれども、国民の皆さんが思っていらっしゃるような漠とした不安というのでしょうか。つまり、まだ出てきていないのだけれども、この先どうなるのだろうかということに対する不安というものに対して、どのように我々が判断していくのかということが問われたときに、改めて、ここについて努力義務の規定を課しましょうということと、先ほどの5歳~11歳の子供に対しては、努力義務は今回入れないというところを、今のコロナのことについての知見を基準に判断するというところで、すごく難しいなと思ったところがあります。
もちろん、そこは一定の整理の仕方はあると思うのですけれども、そこをどういうふうに国民の皆様に対する理解として求めていくのかというところは、すごく難しいなと思いながら話を聞いていたところがあります。なので、もしここで努力義務をもう一度入れても入れなくても、実態として変わらないということだとすると、そこが今回、どういうふうに判断していけばいいのかなというところが改めて気になりました。すみません。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
阿真参考人、お願いします。
○阿真参考人 昨年、妊婦さんの接種に関して、皆さんと議論したときには、努力義務を課さないというところでよかったと思うのですけれども、その後、妊婦さんは重症化するというお話はかなりあちこちから出てきていて、こちらでも紹介がありましたし、それに関して言うと、今の時点で課さないとしたものを外すというところに関して、これだけ知見が集まってきたので、そこを実行するということに対しては賛成いたします。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
鈴木先生にちょっと。現在の妊婦の疾病負荷といいますか、そういったところで何か知見があれば教えていただけますか。
○鈴木委員 我々、新型コロナウイルス感染症に関しては、HER-SYSという届出ベースのデータ収集を行っております。ただ、妊婦であるのかどうかという入力項目はあるのですけれども、入力率が十分ではなく、実際のところ国内における妊婦の疾病負荷というものは十分に把握できていないというのが実情です。
以上です。
○脇田分科会長 すみません、突然振ってしまって。報道では、こういった妊婦の方の感染というのが大きく取り上げられてしまうという傾向はあるのですね。ですから、そういった実態と、重症度であるとか、妊婦の方が感染した場合に重症化しやすいといった情報が出てくるのですけれども、日本でどの程度の疾病負荷があるのかということに関しては、今後も情報収集していく必要があると感じております。
さらに御意見はございますか。
当初、我々が議論したときに、妊婦に関する努力義務の規定を除外するというところに、データが十分でなかったというところがあります。今回、妊婦に関する重症度やワクチンの有効性・安全性に関する情報が出てきたというところで、努力義務の規定の除外を解除するというのは、前回もこの分科会の中で議論するべきではないかという意見が委員の中からもあり、データも提供していただいて、それに基づいての判断ということですので、一定の情報があるというところで、この努力義務の規定の除外を解除するということに、判断が難しいという御意見はありましたけれども、特段の反対の御意見ということはなかったのかなと思いますが、いかがですか。よろしいですか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆様、首肯していただいたと思います。
それでは、ただいまの事務局の案どおりのことにしたいと考えます。ありがとうございました。
それでは、時間を超過して申し訳ないのですけれども、これに関連しまして、本分科会への諮問が行われていますので、小児に対する新型コロナワクチンの接種方法と努力義務規定の適用除外。それから、その後議論させていただきました妊婦に対する努力義務規定の適用について、政省令の改正案に盛り込まれています。事務局から資料について御説明をお願いいたします。
○佐藤予防接種室長補佐 御説明申し上げます。
52ページ、まず政令でございます。赤字のところが改正箇所でございまして、これまで妊娠中の方について、予防接種法第9条、つまり努力義務の規定でございますけれども、これを適用しないこととしておりましたが、妊娠中の方の適用除外を解除するとともに、小児への適用除外をするという所定の改正をいたしたいと考えております。
続いて、53ページ~56ページ、53ページ以降でございますけれども、省令と大臣指示あるいは要領でございます。まず、省令でございますけれども、小児用のファイザー社ワクチンを省令と大臣指示に位置づけて、予防接種法に基づく予防接種とするための改正でございます。さらに、実施要領も所定の改正を行います。読み上げは割愛させていただきます。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に対して、御質問、御意見等ございますか。よろしいですか。ありがとうございました。
それでは、諮問されました原案どおりお認めいただけますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○脇田分科会長 皆様、御首肯いただきました。ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、政省令の交付・発出のための事務手続を進めていただきますようお願いいたします。
次に、「オミクロン株の新型コロナワクチンへの影響について」、事務局から説明をお願いいたします。
坂元委員、ありますか。
○坂元委員 すみません。
先ほどの国の政省令のお話なのですが、1月の終わりに国のほうから各自治体宛てに、2月21日の週までに小児用のワクチンを送付したいという事務連絡がございました。それに従って、川崎市の場合、神奈川県のほうから各市町村に、その配布量についての通知がありました。という形で、タイムスケジュール、つまり政省令はいつ改正されるか。
もう一つは、市町村は、国から御提示いただいていますリーフレットに市町村の名前を入れたりして、保護者の方に同封して接種券と一緒に送るので、いつごろまでにそれが可能か、その辺のタイムスケジュールですが、まだ今、具体的に言えないのかもしれないですけれども、お分かりになる範囲で教えていただければ、多くの市町村は非常に助かるのではないかと思います。
よろしくお願いいたします。
○脇田分科会長 ありがとうございます。
この点について、事務局、いかがでしょうか。
○佐藤予防接種室長補佐 事務局でございます。
スケジュールでございますけれども、これまでも小児への接種につきましては、3月頃に始めていただけるように御準備をお願いしておりましたので、基本的には3月から接種を開始していただきたいと考えております。
今、坂元委員から御指摘ありましたとおり、2月21日の週でございますけれども、ここからワクチンが自治体に届き始めるということでございますので、届き始めたところから接種ができるように、政省令自体は2月21日の施行を目指してまいります。21日になるかどうかというところでございますけれども、届き次第、接種が法制上も可能になるように措置してまいります。つまり、3月1日施行ではないということでございます。
それから、リーフレットでございますけれども、これは可及的速やかに、可能であれば今日のうちにでもお示しできるように作業を進めてまいります。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
それでは、「オミクロン株の新型コロナワクチンへの影響」の説明をお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 よろしくお願いいたします。
時間が押してまいりましたので、少し駆け足で説明いたします。
58ページ目を御覧ください。まず、最近の知見でございます。
これは、JAMAに掲載されました論文でございますが、オミクロン株に対するファイザー社ワクチンを用いた追加接種の発症予防効果に関しましては約65%、またモデルナ社ワクチンを用いた追加接種の発症予防効果は約69%ということが米国の研究から報告されたものでございます。詳細につきましては、資料を御覧いただければと思います。
続きまして、59ページ、同じく発症予防効果で、これは前回お示ししております、英国UKHSAの報告のアップデートでございます。こちらも記載のとおりでございますが、ファイザー社またはモデルナ社ワクチンを2回接種した2~4週間後は65~70%の発症予防効果、25週後までには10%程度まで低下すること。また、一方、追加接種の2~4週後は60~75%と回復すること。しかし、15週以後は25~40%まで低下するような報告がございます。
続きまして、入院予防効果に参ります。これは米国からの報告でございますが、米国のオミクロン株流行期におけるmRNAワクチンの入院予防効果は、ワクチン未接種の場合と比べて、2回目接種後、14~179日で81%、180日以降で57%でございます。これに対して、追加接種を行った場合、追加接種14日以降で入院予防効果が90%となったということでございます。
次、61ページ目のスライドも英国UKHSAの報告のアップデートでございます。こちらは、新型コロナワクチンの2回目接種25週後以降のオミクロン株に対する入院予防効果は44%でありますが、追加接種後2~4週時点で約92%に回復したことが報告されております。括弧で書いておりますが、初回シリーズでファイザー社ワクチン2回接種後にファイザー社またはモデルナ社ワクチンを追加接種した、これはいわゆる交互接種も含みますが、2~4週後に入院予防効果は約90%まで回復したことが示されてございます。
62ページにまとめを記載しておりますので、御覧いただければと思います。
以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございました。
オミクロン株に対するワクチンの接種の効果について、まとめていただきました。1回目・2回目の接種でも発症予防効果、一定程度認められるわけですけれども、時間がたつと低下する。追加接種によって回復するといったところが大事な点かなと思いました。
何か御質問、御意見等ございますか。
よろしければ、時間が押しておりますので、次に進ませていただいてと思います。ありがとうございました。
それでは、最後の議題であります。「初回シリーズ接種後に感染した者の追加接種について」であります。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○九十九予防接種室長補佐 よろしくお願いします。
64ページ目を御覧ください。皆様御承知のとおり、現在、新型コロナワクチンの接種が進む一方で、オミクロン株の感染拡大もありまして、この赤枠で記載のとおり、2回目接種した者の感染者数が増加している状況でございます。
66ページ目を御覧ください。そうした中で、既感染者への新型コロナワクチン接種の時期に関する諸外国の対応状況についてまとめたものが、2ページにわたっておりますが、既感染者に対する追加接種に関して、米国、カナダは、感染後にも追加接種を推奨しております。フランス、ドイツは、感染後3か月以上経過後に追加接種を可能としております。また、米国、イスラエルは、初回シリーズと追加接種の区別は記載上しておりませんが、感染後も接種をし得るとしているところでございます。
68ページ目を御覧ください。ブレイクスルー感染後の抗体価の推移、これはまだ知見が決して多いわけではないと思いますが、「Cell」という雑誌に載りました論文の報告でございますが、新型コロナワクチンの初回接種後にブレイクスルー感染をした者の感染2か月後のオミクロン株に対する中和抗体価は、右の図で示している三角形のマゼンダ色なのですけれども、赤枠で囲っているところです。この抗体価が追加接種10日後の中和抗体価、右側のほうの赤枠で囲っておりますオレンジの○でございますが、これと同程度であったという報告がございます。
69ページ目がまとめでございます。
申し上げましたとおり、ワクチンの接種が進む一方で、オミクロン株の感染拡大もありまして、2回目接種した者の感染数が増加しております。
諸外国を見ますと、米国、カナダは感染後にも追加接種を推奨し、フランス、ドイツは、具体的に感染後3か月以上経過後に追加接種を可能としております。
また、まだ知見は限られますが、デルタ株でのブレイクスルー感染の2か月後のオミクロン株に対する抗体価は、3回目接種後10日後の抗体価と同等であったとの報告もございます。
ここで事務局案でございますが、諸外国の動向、または現時点での科学的知見等を踏まえまして、ブレイクスルー感染後の追加接種までの間隔につきまして、暫定的に3か月を1つの目安としてはどうかと考えております。
ただし、ブレイクスルー感染から回復後に、期間を空けずに追加接種を希望する者につきましては、引き続き接種の機会を提供することと考えております。また、こちらに関しましては、最近の科学的知見を踏まえ、必要に応じて見直しをしていきたいと考えておりまして、その際は、またこの分科会で御議論いただきたいと思っております。
以上でございます。
○脇田分科会長 御説明どうもありがとうございました。
まだ科学的な知見が十分ではないというところですけれども、ブレイクスルー感染を起こした後の追加接種の間隔をどう考えるかというところですね。もちろん、一定の間隔を空けたほうがいいのではないかということは推定されますが、その期間をどう設定するか。諸外国の動向を見ると、3か月と設定しているところもあるところで、暫定的に3か月という間隔でどうかということ。ただし、今後の知見も検討していくということですけれども、いかがでしょうか。御意見、御質問等があれば。
これまでのデータを見れば、感染あるいは接種から一定程度の間隔を置いたほうが、より幅広い抗体が誘導されるということは、既に示されているところではあると思いますが、白井委員、お願いします。
ちょっと声が届いていないのです。まだ聞こえないですね。ごめんなさい。本格的に壊れましたか。
では、そのほか御意見ございましたら、お願いいたします。
中野委員、お願いします。
○中野委員 ありがとうございます。中野です。
事務局案に賛成いたします。脇田分科会長がおっしゃったように、恐らく2回接種後のブレイクスルー感染というのは、2回接種後、一定の期間がたって、ある程度免疫が減衰したところで自然のブースターがかかったから、きっと罹患2か月後も高い中和抗体を維持するという免疫学的反応が起こっているのであると推察いたします。そういたしますと、そこで自然感染をもう起こしているのであれば、短い間隔で追加接種を行わなくても一定期間を空ける。ただ、その期間がどれだけかというエビデンス、知見を集めるのは難しいですけれども、諸外国の状況を見ても、あと、臨床上、患者さんの様子を見ていても、3か月というのはいいところかなと思うので、賛成いたします。
以上でございます。
○脇田分科会長 中野先生、どうもありがとうございます。
ほかに御意見ございますか。
そうましたら、すみません、また振ってしまいますけれども、鈴木先生、何か御意見ございますか。
○鈴木委員 いえ、既に事務局からの説明、それから、今、中野委員からの説明もあったように、確かに現時点でのデータというのは限られていますけれども、まずは今のこの内容には賛成したいと思います。その上で、引き続き、情報収集を行っていくという方針でよろしいかと思います。
以上です。
○脇田分科会長 ありがとうございました。
さらに御意見ありますか。大丈夫ですか。
ただいま、事務局の御説明、それから、中野委員、鈴木委員の御意見もございました。ブレイクスルー感染後の3回目接種までの間隔については、諸外国の動向、現時点で得られている科学的な知見等を踏まえまして、暫定的に3か月を目安として考えるということですけれども、お認めいただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田分科会長 ありがとうございます。
それでは、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえまして、必要な事務手続を進めていただければと思います。
すみません、大分時間が押してしまいましたが、準備した議事は以上となります。
そのほか、事務局から何かございますか。
○萩森予防接種室長補佐 ありがとうございました。
本日は長時間にわたり、活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田分科会長 どうもありがとうございます。
委員の皆様、長時間にわたり、本当にありがとうございました。またよろしくお願いいたします。これで終了いたします。