2022年1月12日 独立行政法人評価に関する有識者会議 労働WG(第42回) 議事録

日時

令和4年1月12日(水)15:00~17:10

場所

中央労働委員会 労働委員会会館講堂(7階)

出席者

今村主査、大木構成員、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、三宅構成員、宮崎構成員、安井構成員

議事

議事内容

○事務局
 ただ今から、「第42回独立行政法人評価に関する有識者会議労働ワーキンググループ」を開催いたします。1月が明けて12日になりますが、あらためて、新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。私は、本日の労働ワーキンググループの事務局の司会を務めさせていただきます、政策立案・評価担当参事官室室長補佐の工藤と申します。よろしくお願い申し上げます。
 会議に先立ち、本日の出席状況について御報告いたします。本日は、大木構成員、関口構成員、土井構成員、土橋構成員、三宅構成員がオンラインでの御参加、志藤構成員が御都合により御欠席となっております。なお、大木構成員は所用のため15時30分頃からの御参加になります。
 続いて、御説明の前に、事務局に人事異動がありましたので、御報告させていただきます。参事官より一言御挨拶申し上げます。よろしくお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室参事官
 昨年9月に、政策立案・評価担当参事官室に着任いたしました、山田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○事務局
 続いて、本日の議事について説明いたします。本日の資料に関しましては、ペーパーレスでの会議開催となっておりますので、電子データで共有することとなっております。お手元のタブレットの2つのフォルダーに収納させていただいております。議事次第の配布資料の資料1-1~3-2までがフォルダー01、参考資料の1~8に関しましてはフォルダー02に格納しておりますので、御確認いただきたいと思います。
 本日の議事は、「労働政策研究・研修機構の次期中期目標案及び中期計画案」に係る意見聴取を行うこととなっております。本件に関しましては、参考資料1を御覧いただきたいと思いますが、「独立行政法人評価に関する有識者会議開催要綱」の「3.意見聴取の対象」の第4号「その他一から三までに掲げる事項に関し重要な事項」に該当するものとして、本ワーキンググループの意見を賜るものです。
 厚生労働省所管の中期目標管理法人については、厚生労働大臣が中期目標を定め、当概法人は定められた中期目標に基づき中期計画を策定することとされておりますが、法人の中期目標と中期計画は、御意見を頂く上で密接な関係にありますので、本日は、中期目標と中期計画について、同時に御意見をいただきたいと考えております。
 令和4年度からの新たな中期目標及び中期計画の策定に至るまでの流れについて、簡単に御説明いたします。
 参考資料2を御覧ください。一番上の四角い囲みに「令和3年8月 独立行政法人の「業務・組織全般の見直し内容」等を総務省へ提出」とあります。労働政策研究・研修機構の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」については、昨年7月に開催いたしました本ワーキンググループにおいて皆様から御意見を頂き、その意見を踏まえ、参考資料5、6にありますように、厚生労働大臣から総務省独立行政法人評価制度委員会に通知しております。
 中ほどの四角い囲みに「令和3年9~11月 総務省独立行政の法人評価制度委員会の審議・決定」とあります。参考資料7を御覧ください。昨年11月22日に、総務省独立行政法人評価制度委員会が、独立行政法人の「中期目標期間見込評価書」と「業務・組織全般の見直し内容」について審議し、目標策定に向けての考え方などを決定したものです。2ページの2の令和3年度見直し対象法人の次期中(長)期目標の策定に当たっての①~④で、目標策定に当たって目標に盛り込むことについて検討していただきたい視点を整理しております。また、労働政策研究・研修機構に関しては、8ページの下に留意事項が3点示されております。
 この3点について概要を申し上げます。第1に、プロジェクト研究における研究テーマの策定に際し、関係団体との意見交換を行うに当たっては、働き方に関する新しい団体を幅広く対象とし、そこで得た視点を調査研究に取り入れていくことを目標に盛り込んではどうか。第2に、法人が調査研究を通じて取得した1次データをデータ・アーカイブとして公開する取組について、更なる利用促進を図っていくことを目標に盛り込んではどうか。第3に、他の研究機関との共同研究や外部研究者との研究交流、地方公共団体やNPO等に向けた講演等について、積極的に取り組んでいくことを目標に盛り込んではどうか。以上が示されております。
 さらに、参考資料8を御覧ください。令和3年12月24日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、「デジタル庁は、独立行政法人の情報システムの効率化、国、独立行政法人等の相互の連携を確保するための基盤の構築等について、情報システム整備方針に盛り込む」とされており、この情報システム整備方針を踏まえて次期中期目標を策定することとされております。
 これらを踏まえて作成されましたのが、本日御議論いただきます労働政策研究・研修機構の次期中期目標と中期計画の案でございます。
 次期中期目標の策定については、令和3年6月17日に改正いたしました「厚生労働省独立行政法人の目標策定及び評価実施要領」において、参考資料4として添付しておりますが、目標策定のルールを定めておりますので、本日はこの観点からも御議論いただければ幸いに思います。事務局からの説明は以上です。
 それでは、本ワーキンググループの主査であります今村先生に、以後の議事の進行をお願いしたいと思います。
 
○今村主査
 どうもありがとうございます。早速ですが、ただいまの事務局の説明について、どうぞ御自由に御質問いただければと思います。
 
○安井構成員
 日本総合研究所の安井と申します。本日はどうもありがとうございます。幾つかあるのですが、余り話し過ぎてもよくないので、まず1つ申し上げたいと思っています。頂いた資料1-1の中期目標(案)の概要で、一番右側に「行政職員等の研修」というのがあります。これは基本的には厚生労働省の方々を中心にした研修だと思うのですが、ハローワークのキャリアコンサルタント向けにも、職業分布の変化に関する今後の見通しとか、今後増加が予想される職業の内容等について、更新研修を提供することはできないでしょうか。
 なぜこのようなことを申し上げるかと言いますと、私は先日、専門実践教育訓練給付金の指定講座を受講する前に必要となるキャリアコンサルティングを受けてまいりました。そのときに、キャリアコンサルタントにデジタル関連の職業や業界動向について尋ねたところ、「ITについては全く分からない」と返答されました。キャリアコンサルタントの資格を持っていろいろアドバイスをしているものの、コンサルタント御本人も、もし今後、成長しているデジタル分野の職業に関する知識を提供してくれるような研修があったら有り難いと言っていました。
 私は専門実践教育訓練給付金について調べるために試しにキャリアコンサルティングを受けてみたのですが、成長が乏しい部門から成長しているIT部門に移ることを決心して、給付金を得て勉強してみようと思った方が、訓練前キャリアコンサルティングを受けたところ、コンサルタントから「よく分からない」と言われてしまったら、どのような気持ちになるのかということを考えたときに、かなり状況がよくないのではないかと思った次第です。
 したがって、今後の職業や労働市場の動向などを詳細に説明できるのは、JILPTさんしかいないのではないかと思って、キャリアコンサルタントに研修を提供できないのかどうかお伺いする次第です。以上です。
 
○今村主査
 今後の中期目標・中期計画についての前提となる考えということで、貴重な御意見をありがとうございます。事前説明を受けたときに私もお聞きしたのですが、そういう人材が問題ですよね。教える側のスキルの問題について、現状で不足していることは間違いないのですが、それを例えば総務省とか、そういう所から何かサポートを頂けるのかという質問をしたときに、アドバイスはするという情報は頂いていると聞いたのですが、その辺が、総務省、あるいはデジタル庁からこういう指示がいろいろ来ているわけですが、それについて、今言ったような人材の供給というのですか、人材の基盤の増強に対してはどのぐらい期待できるのかは、議論の現状として教えていただければと思います。
 なぜかと言うと、JILPTでやるべきことと、ほかに期待でできることと、少し区別しながらやらないと、全部をJILPTにやらせると、少し負荷が掛かるかと思って、そういう質問をしました。厚労省は、その辺はいかがでしょうか。どなたか。
 
○政策立案・評価担当参事官室参事官
 政策立案・評価担当参事官です。御意見ありがとうございます。本日、労働政策研究・研修機構の中期目標(案)と中期計画(案)について、御意見を頂戴するという貴重な機会です。今、安井構成員からお話があったことは、実際のところ、JILPTというものの関係に限らず、その必要なニーズがある中で、どのようにそれに対応する人材を育成していくかというところであります。事務局といたしましては、本日、この後、まずは次期の中期目標(案)と中期計画(案)について、それぞれ厚生労働省の法人所管室とJILPT様から御説明があるところでありますので、その中でJILPTとして取り組んでいく予定のものについて御説明を頂ければと思います。先ほど主査からお話があったように、それでない部分というところがあると思いますので、その辺りのところは、事務局としても、聞き取ったこと、伺ったことをしっかり今後に生かすように整理をしていきたいと考えております。すみません、具体的なお答えとなっていないところですが、冒頭から本当に必要なものについての具体的な御意見を頂戴して、有り難く思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 大変重要なことをありがとうございました。デジタル社会の実現に向けた重点計画は、12月24日の年末に出てきて、読んでみましたが、本当に膨大な情報が詰まっていて、それを全部咀嚼しながらここで議論というのもなかなか難しいかもしれません。ウォームアップということで、安井構成員の貴重な御提案を受けて、冒頭の事務局からの説明についていかがでしょうか。もしこれ以外に御質問がなければ、具体的に中期目標(案)・中期計画(案)について議論を進めさせていただいてよろしいでしょうか。もし何かもっと基本的なことで御質問があれば、どうぞこの機会にお願いします。
 
○安井構成員
 進め方が分かっていなくて恐縮ですが、これから中期計画(案)について議論されるのですね。
 
○今村主査
 そうです。すごく重要な指摘なので。ありがとうございます。
 
○安井構成員
 ありがとうございました。
 
○今村主査
 よろしいですか、特にオンラインの方、ただいまの事務局の説明について、御意見はいかがでしょうか。これまでとかなり変わっていることは間違いないし、今、私が指摘したようにいろいろな与件として、まだ不確定なところがいっぱいありますので、なかなか議論が難しいところもありますので、是非、これからの中期目標・中期計画の議論について鋭く御指摘を頂ければと思います。
 それでは、「労働政策研究・研修機構の次期中期目標案及び次期中期計画案」について御議論いただきたいと思います。最初に、厚生労働省の法人所管室から次期中期目標案について御説明いただき、その後、法人から次期中期計画案について御説明いただきたいと思います。この2つの説明が終わってから、質疑応答という流れで進めていきたいと思います。それでは、法人所管室から、次期中期目標案について御説明をお願いいたします。
 
○労働経済特別研究官
 厚生労働省政策統括官(総合政策担当)に労働経済特別研究官という役職がこの9月に設置されまして、JILPTを所掌しています。中期目標は厚生労働大臣が策定をし、これを独法にお示しした上で、JILPTにおいて中期計画を作るという流れになっているものです。私からは、まず厚生労働省としてJILPTにどのような事務、事業をやっていただきたいかということについてご説明いたします。
 まず全体像として、資料1-1です。中期目標(案)の概要という2ページの資料ですが、こちらに書いてありますように、JILPTで行う事業、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、これに該当するものとして大きく4本の柱を立てています。
 まず、「労働政策研究」という柱の中で、その事業を実施する上での考え方として、労働政策の企画立案・推進に貢献する質の高い調査研究に一層重点化をしていくこととしています。この際、他の研究機関との研究交流等を促進して、研究実施体制を強化していくこと。この考え方のもとで、中段において、具体的事項として「プロジェクト研究」、「課題研究」、「緊急調査」を実施していただくこととしています。
 「プロジェクト研究」については、令和4年度からの5年間の中期目標期間の中でしっかりと取り組んでいただくというもので、その考え方として4つの視点を出していますが、これは後ほどまた具体的な説明の中で御紹介させていただきたいと思います。「課題研究」、これは年度ごとの政策ニーズを踏まえて課題設定をして、JILPTで研究していただくというものです。「緊急調査」については、おおむね四半期に一度、厚生労働省からのニーズを踏まえ、必要な緊急的調査をやっていただくというものです。大きくこうした3つの枠組みを柱として、労働政策研究を進めていただくということになっています。評価指標については、また後ほどの説明の際に御紹介申し上げます。
 2つ目の柱は、「情報の収集・整理」です。この事業の目的は、政策担当者や労使関係者等の実態把握、効果検証に資するエビデンスを提供することです。さらに、ここ最近の国際化の中で、国際的な共通課題への対応をしていくことが求められており、そのための情報収集・整理が必要であるということです。さらに、JILPTで行う調査について広く国民各層が利用できるようなオープンデータを推進していくということも記載しています。こうした考え方のもとで、具体的事項として、国内外の労働事情、統計データ等の収集・整理、また誰もが活用しやすいような情報の整理や、国際比較が可能なデータを中心とした海外の調査・情報収集といった事項を実施していただくということにしています。
 3つ目の柱は、「成果・提言の普及」です。この事業の目的は、国民各層における政策課題についての関心・理解を深め、その上で、それぞれの課題について提言・論議の活性化を図ることです。具体的には、ホームページ等を通じた情報発信を推進、更に広報機能を強化していくこととしています。また後ほど申し上げますが、JILPTが研究者・政策担当者・労使関係者等を幅広く参集いただいて労働政策フォーラムを開催していますが、これをしっかりと活用していただくことといったものです。
 最後に、先ほど安井委員から御提言がありましたが、「行政職員等の研修」です。こちらについて、実際に研修で得た知識・技能等をハローワーク、監督署等の現場において最大限活用して、円滑な労働行政の推進に貢献できるようにすることが使命です。また同時に、研究所と労働大学校が同じ組織の中にありますので、研究と研修の連携によるシナジー効果を発揮するということが、それぞれの機能を高めていくために必要であるという考え方を取った上で、中段の具体的事項として、行政ニーズに対応した研修課目の設定、事例研究等の現場力強化に資する研修の実施、また、このコロナ禍ということで対面による研修がなかなか実施できないという中で、今年度は非常に難しい業務運営をせざるを得なかったわけですが、来年度以降、オンラインと集合研修、この双方のメリットを最大限に活用できるような研修のあり様というものを、よくよく検討し実施に移していただきたいということです。さらに、先ほどシナジー効果ということも申し上げましたが、研究員の研修への積極的な参画といったことも、具体的に示させていただいているところです。
 次のページです。業務運営の効率化に関する事項/財務内容の改善に関する事項ということで盛り込まれている事項について並べています。業務運営の効率化としては内部統制、また組織運営・人事管理、さらに情報システムについて記載しています。情報システムは、先ほどのデジタル庁の情報システム整備方針についても含めた話です。さらに経費の節減といったことについて目標として定めています。また財務内容の改善についても、予算、運営費交付金の適切な執行、さらに自己収入の確保といったことについても、目標の上に定めているということです。今申し上げたものが中期目標の全体像というものです。
 次に資料3-1を御覧ください。中期目標(案)の新旧対照表があります。こちらで今期第4期と第5期の変更点にアンダーラインを付けていますので、アンダーラインの所を中心に御紹介申し上げたいと思います。
 まず第1の所です。「政策体系における法人の位置付け及び役割」というタイトル自体は変わっていませんが、前期第4期の中期目標においては少し全体として大まかな書き方をしていたものを改めて、これは総務省の方針にのっとった形になりますが、1の法人の使命、2の現状と課題、さらに3の法人を取り巻く環境の変化といったことをそれぞれ記載した上で、そうした状況を踏まえて何をなすべきかということをしっかりと記載をさせていただいています。
 まず1の法人の使命ですが、こちらの線を引いている所の4行目辺りですが、「我が国の労働政策の立案及びその効果的かつ効率的な推進に寄与し、もって労働者の福祉の増進と経済の発展に資することを目的としている」、これはJILPT法の条文ですが、その目的のために、労働政策の企画立案及びその効果的かつ効率的な推進に資する客観的かつ質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修が確実に実施されることが不可欠であるということを、まず冒頭に書き込んだ上で、それぞれ労働政策研究と研修についてのあり様というものを、これは第4期と同様に記載をしています。
 2の現状と課題については、最初のパラグラフは現状の業務の進め方で、次のページの「他方」という所からのパラグラフですが、近年、グローバル化、AI、ICT化等新技術の進展が著しく、産業・社会構造が劇的に変化する中、労働者の雇用のあり方、働き方も大きな影響を受け、また、少子高齢化の進行等により人口構造の変化の中で、社会保障制度、公的サービス、雇用制度も変容していかざるを得ないという状況の中で、新たにAI、ICT、医療等の理系分野、社会保障、税制等に明るい研究人材との連携を一層拡げることが課題であるということ、また、新型コロナウイルス感染症の拡大という突発的な課題が生じた場合に機動的な対応を図ることも課題であるということを記載させていただいています。
 3の法人を取り巻く環境の変化ですが、1つ目のパラグラフの最後の行の所で、様々な労働市場を取り巻く環境が変化する中で、我が国の労働法制も大きく変化をしているということを記載しています。また、グローバル経済の進展によって、各国が抱える課題の共通化が進んでいるところですが、その解決に向けては、国・地域ごとの諸事情を踏まえて理解する必要が生じているという認識を持っています。また新型コロナウイルス感染症の関係のような、当初想定していなかった緊急の課題にも直面することとなったということを記載しています。
 労働行政職員研修については、先ほど申し上げたオンライン研修の長所を生かしていくことの検討が必要であるということを書いています。
 最後のパラグラフで、「これらを踏まえ」ということで、第5期中期目標期間においては、環境の変化等を見据えた重要課題についてのエビデンス等を得る観点から、プロジェクト研究を中心に、業務の質の確保を図りつつ、労働政策の企画立案及び推進に資する労働政策研究及び労働行政担当職員研修を効果的かつ効率的に実施するものとするということで、まず基本的な考え方、何をJILPTにお願いをするのかということを記載させていただいています。
 第2として、「中期目標の期間」ですが、先ほども申し上げましたが、この令和4年の4月から令和9年3月の5年ということにしています。
 第3として、実際に行う業務です。まず1の労働政策研究が1番目の柱です。これは労働政策研究全体として重要度を「高」と位置付けています。先ほど労働政策の企画立案に貢献する研究の重点化ということを申し上げましたが、これについては基本的な考え方は今期と次期で変わりはないということで、次のページの文章に続きますが、さらに質の高い調査研究に一層重点化をすること、引き続き労働政策の基礎となる研究を体系的・継続的に推進することといったことで、今期と変わらない記述となっています。
 イとして、「プロジェクト研究」です。プロジェクト研究における4つの視点ということで、先ほど割愛させていただきましたが、①~④までお示ししています。①については、働き方の多様化が進展したことによる影響を把握する視点ということで、今期の一億総活躍、働き方改革を実現する視点というものを更に一歩進めた形での視点として修正をしています。②~④は、②具体的には20年先の働き方を見据え、新しい労働政策を構築する視点、③労働政策の基礎となる研究を体系的・継続的に推進していく視点、④実施された施策の効果を検証し、より効果的かつ効率的な労働政策のための知見を得る視点、これらについては引き続きこうした視点のもとでプロジェクト研究を実施していただきたいというものです。
 次のページです。ロの「課題研究」です。先ほど冒頭でも申し上げたとおり、年度ごとの政策ニーズを整理して、厚生労働省に研究成果を提供いただきたいということです。また、ハの「緊急調査」についても、四半期ごとに政策ニーズを把握し、速やかに成果を出して厚生労働省に提供していただきたいということです。
 (2)研究の実施体制等の強化については、先ほど分野の幅が広がっているといったことも申し上げましたが、そのために、関連する他の研究機関との研究交流や、他分野の専門家等と協力・連携して研究を行う取組を進めていくことによって、外部研究機関等との知見の共有にも留意しつつ、研究の実施体制の強化を図ることと記載しています。新型コロナウイルス感染症への対応についても、ここで改めて記載しています。
 (3)国際研究交流の実施については、少し書き方を前回と変えているだけです。中身としては、4行目辺りからですが、各国の研究者、研究機関と一層の交流・研究を図るとともに、各国の抱える諸課題への対応について、知見の共有を図り、研究調査の向上を図ること、また、各国共通の労働分野の課題に関するものを中心に、研究成果等の普及や国際セミナー等を実施するとともに、国際会議・国際学会等に積極的に参加し研究成果等の発信を図るといったことを書いています。これらの取組を進めていくことで、研究者の人材育成を推進していくとともに、国際的プレゼンスを更に高めていくことと記載をしています。
 次に、(4)適切な指標の設定及び研究ニーズの多様化等への機動的な対応については、今期と変わっていませんが、全ての労働政策研究について、外部の有識者からなる外部評価機関を活用して、その達成度を含めて厳格に評価を行うことを求めています。また、研究ニーズの把握に当たっては、先に総務省の独法評価制度委員会の御意見にもありましたとおり、働き方の多様化が進展していることを踏まえて、働き方の多様化に関する新しい団体等との意見交換等を幅広く実施することという記載を追加しています。
 (5)評価における指標ですが、5点あります。まず1点目は、前回と変わっていません。リサーチ・アドバイザー部会等の評価において、平均点2.0以上の評価を得るということとしています。2点目も変わっていません。ただ、政策貢献が期待できるとするサブテーマを、テーマ総数の90%以上確保するということで、第4期が実績100%でしたので、80%を上回る90%という数字にしています。3点目は、法令・指針・ガイドラインの制定等々につながった研究成果を、成果総数の85%以上得ること、これは同様です。4点目として、有識者を対象としたアンケートによる評価、これは今回2.0以上としているものを、2.2以上ということで高めていますが、第4期の実績が2.4であることを踏まえたものです。5点目として、内外の関連する他の研究機関との研究交流等を促進するとともに、国際会議等において積極的に発表を行うこと、また幅広く海外の研究機関との連携体制を構築すること等々、おおむね今期と変わらないものになっています。
 また、今期から参考指標ということで、目標としての設定はしませんが、業務の実績として一定の評価に値するであろうということで、関連する指標を幾つか並べています。これについては個別に御紹介申し上げませんが、例えば2つ目のマルの民間等との連携実績については、この3つ目のポツの他の研究機関との共同研究・外部研究機関との研究交流実績、4つ目のポツの労使団体・地方公共団体・NPO等に向けた講演回数、これについては総務省の独法評価制度委員会からの意見にも記載されたものについて、一定の配意をしていただきたいということです。
 目標の設定及び水準の考え方については、おおむね今期と基本的には変わっていませんので御紹介は割愛しますが、一番下の所にありますように、全ての事業に関して第4期の目標水準以上の水準を設定するということを基本としているものです。
 次のページに重要度を「高」とした考え方を記載しています。人口減少社会の進行、多様な働き方の拡大、また技術革新に伴う産業構造の変化など、大きく環境が変化している中で、これらの課題に的確に対応した労働政策を適切に企画立案及び推進していくために、客観的かつ質の高い労働政策研究に基づくエビデンスが重要であるためということで、重要度は「高」とさせていただいています。
 2番目の柱は「労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理」です。まず情報の収集・整理に関する取組については、今期と基本的には同じですが、国内外の情報を分かりやすく整理し、実態把握、効果検証に資するエビデンスを提供することを目的として、内外の労働事情、各種の統計データ等を継続的に収集・整理することとしています。次のページで下線を引いていますが、国際化の進展により共通した課題に直面する国も多くなっていることを踏まえて、国際比較が可能なデータを中心に海外の調査・情報収集を諸々実施する。この最後のパラグラフですが、さらに、オープンデータを推進し、社会全体の研究活動の活性化・効率化を促進する観点から、機構が調査研究を通じて取得したデータ等の利用促進を図ることとしています。
 評価における指標については、1つ目、2つ目は今期と変わっていません。3つ目、4つ目、5つ目については、有識者を対象としたアンケート調査を実施して、ホームページの国内労働事情や海外労働事情、また統計情報を利用したことのある者からそれぞれ2.0以上の評価を得るということを新たに評価指標として設定をしています。次のページの6つ目で、数値目標はありませんが、データ・アーカイブとして整理し公開する取組について、さらなる利用促進を図るということを定性的な目標として記載しています。
 次の(参考指標)は割愛をさせていただきます。
 目標の設定及び水準の考え方ですが、先ほど申し上げたところもありますので、ここも説明を割愛しますが、第4期の類似実績を踏まえて適切な水準を設定することとしています。
 次の3番目の柱、「労働政策研究等の成果及び政策提言の普及」ですが、これは基本的に今期と変わっていませんが、国民各層における政策課題についての関心・理解を深めることを目的として、ホームページ等の多様な媒体を有機的に連携させた情報発信を推進し、調査研究成果、情報の発信方法を再検討して、インターネットの更なる活用などにより、広報機能の更なる強化に努めることを新たに記載しています。また、先ほども申し上げた労働政策フォーラムの開催や政策提言に係るレポートの作成といったものを、今期に引き続き記載をしています。
 評価に関する指標については、メールマガジンの週2回の発行、メールマガジンの有意義度評価についても同様です。労働政策フォーラムの開催回数については、26回以上と同じですが、コロナ禍が続いているという中で、また地方の方々も参加できるということから、各年度3回以上はオンライン開催にするということにしています。そうしたオンライン開催の場合において、平均430人以上の参加者を確保するとともに、2.2以上の評価を得るというものを新たに記載しているところです。
 次のページです。目標の設定及び水準の考え方は同様ですので、割愛をさせていただきます。
 4番目の柱の「労働行政担当職員その他の関係者に対する研修」ですが、まず(1)研修ニーズへの的確な対応及び研修の効果的な実施について記載しています。今期と文章は同じですが、5行目の所で引き続き新たな行政ニーズに迅速・的確に対応した研修コース・科目の設定やその円滑な運営、また事例研究や演習、経験交流等、現場力の強化に資する真に必要な研修について、下線を引いています。これは厚生労働省研修担当部局としっかりと連携を図って、大学校だけではなかなか新たな知見等も導けないというときに、実際に政策立案、政策企画を実施している部局の担当者と連携することによって、よりよい科目設定なり、研修内容にしていくということが可能になるということから、こうした一文を加えているものです。
 次のページです。「さらに」ということで、研修実施に当たっては、労働行政機関の研修に対する要望の把握、分析、さらに非対面の研修と集合研修の双方のメリットを最大限活用した方式によって、研修が効果的に実施できるような研修環境の整備を図ることとしています。
 (2)研究と研修の連携によるシナジー効果ということで、ほとんど変わっていませんが、今期のイブニングセッションの実施というものが抜けていまして、その代わりに労働行政職員に対する公開講座、オンライン公開講座というものを今企画し、実際にすでに試験的に実施していると聞いています。イブニングセッションは、実際に対面の研修を日中に行った上で、夕方にその研修に関連する内容について、研究所の研究員が現場に出向いて講義を行うというものですが、対面での講演がそもそも難しいという中で、事前にオンラインで講座を録画した上で、それを研修の前に研修生に事前に見ていただいて、研修効果をより良いものにしていくということから、こうしたことについて新たに記載をしています。
 次に評価における指標ですが、項目が4つあります。研修生に対する事後調査における評価、現在85%以上としているところ、実績を踏まえ90%以上に、研修生の上司に対する事後調査についても、85%以上を90%以上と上げています。さらに先ほど申し上げましたオンライン公開講座、令和4年度から始めるものについては今年度中に開発していますので、それをさらに毎年度3件以上の開発・改善をするというものです。さらにオンライン公開講座のアンケート調査において、80%以上の者から評価を得るということを新たに加えています。
 これらが業務上の柱についての具体的な中期目標の説明です。
 第4「業務運営の効率化に関する事項」です。1の内部統制の適切な実施については、今期と文言は変わっていませんが、規程類の適時適切な見直し、各種研修の実施、さらに有効に機能しているかの点検・検証といったことをしっかりと行っていただきたいということです。2の組織運営・人事管理については、引き続き人材の確保・育成、効率的かつ効果的な組織運営を図るために、次のページで、(1)人材の確保・育成、(2)組織運営について、今期と同様の記載をしています。3の情報システムの整備及び管理の所については、少し書きぶりは、デジタル庁が発足をしたということを踏まえて、PMO等の設置等の体制整備を行うといったことを記載した上で、サイバーセキュリティ対策のための取組を強化していただくといったことを記載しています。
 次のページで、4の業務運営の効率化に伴う経費節減等ですが、業務運営の効率化については、現状、今期の設定と大分変わっていまして、令和4年度予算水準を維持することとしていますが、今後、財務省との調整等を踏まえて、ここは一定の整理がされる可能性があるということで、現時点での表現であるということです。
 次の、適正な給与水準の検証・公表、適正な調達の実施、保有資産の見直しは同様で、電子化の推進については新たに文言を立ててペーパーレス化等、業務の電子化を推進することとしています。
 最後に、第5の「財務内容の改善に関する事項」については、今期については自己収入を第3期、前の目標期間と同程度の水準を達成することとしていますが、あえて目標水準は定めずに、「自己収入の確保に努めること」としています。これについては、現在、紙媒体で発行している『ビジネス・レーバー・トレンド』等の雑誌について、今後、紙媒体での発行を取り止めて無償かつWebで閲覧できるようにすることを検討していると承知していますので、今期の目標については目標水準を設定しないということとさせていただいています。なお、プロジェクト研究テーマについても、お示しをしていますが、この説明については本日割愛をさせていただきたいと思います。中期目標(案)の概要については以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございました。続いて、法人から「次期中期計画案」について説明をお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 労働政策研究・研修機構の総務部長です。当機構の次期中期計画(案)についてご説明申し上げます。中期計画については主務大臣より指示を受ける中期目標に基づき作成するものとなりますので、そのフレーム、あるいは評価における指標については、今ほど厚生労働省から御説明があった中期目標(案)により決まることになるところです。労働市場を取り巻く環境が変化する中で、厚生労働省としっかり連携を図り、労働政策を適切に企画立案、推進していくための質の高い労働政策研究及び労働行政職員研修の確実な実施に取り組んでいくこととしております。以下、主に資料1-2が中期計画の概要資料になっており、資料3-2が中期計画の新旧対照表になっておりますが、主に資料1-2の概要資料を用いまして、補足的に資料3-2の新旧対照表のほうも御参照いただきながら、御説明いたします。
 まず、第1「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置」です。1.の「労働政策研究」です。この項目については、様々な環境変化の中、厚生労働省が諸課題に的確に対応した労働政策を適切に企画立案、推進していくために、客観的かつ質の高い労働政策研究に基づくエビデンスが重要との考え方により、中期目標(案)において「重要度が高いもの」とされているものです。当機構の事業の核をなすもので、第4期、現在の中期目標期間においては、中長期的な労働政策の課題に対応した7つのテーマでのプロジェクト研究に加えて、例えば同一労働同一賃金の対応状況といった、厚生労働省の要請に基づく調査・研究に取り組み、とりわけ新型コロナウイルス感染症による雇用・就業への影響等の分析については、理事長の指揮の下、積極的に取り組み、政策論議に貢献をしてきたところです。
 第5期においては、まず「プロジェクト研究」として、中期目標(案)で示されております「働き方の多様化が進展したことによる影響を把握する視点」等の4つの視点のもと、①~⑥の6つのテーマで実施をしていくことにしているところです。
 それぞれのテーマの内容については、資料3-2の新旧のほうで申し上げると、16ページの下の別紙1以降の部分で記載をしています。①労働市場とセーフティネットに関する研究で、新型コロナウイルス感染症の影響が、様々な格差など我が国の労働市場が抱える課題を改めて顕在化をさせたところであり、働く人がウェル・ビーイングを高めつつ安心して活躍できる労働市場の構築について、雇用・労働の質の向上や格差是正、セーフティネットのあり方の検討に資する政策的インプリケーションを提示しようとするものです。
 ②職業構造・キャリア形成支援に関する研究として、生産活動期間の長期化や産業・職業構造の変化の中で、生涯にわたる主体的なキャリア形成支援のあり方、効果的なマッチングやカウンセリング、それからデジタル化時代に対応した職業情報の整備や支援ツールの開発等、効果的なキャリア形成支援・職業相談手法を提示しようとするものです。
 ③技術革新と人材開発に関する研究は、技術革新等の進展や産業構造等の変化の中で、職業教育訓練の体系的な再整備が求められており、職業能力の高度化に向けた多様なニーズを把握・分析し、職業能力開発インフラのあり方や新しい産業領域における人材育成について、政策的インプリケーションを提示しようとするものです。
 ④多様な人材と活躍に関する研究として、少子高齢化・人口減少が進み、高齢者、若者、女性、外国人労働者など多様な人材が活躍できる仕組みが求められており、課題を抽出・分析の上、政策的インプリケーションを提示しようとするものです。
 ⑤多様な働き方と処遇に関する研究。企業行動が変容し、個人も柔軟な働き方を選択する動きが広がるなど就業意識が多様化しており、労働時間、賃金、仕事と育児・介護の両立という従来取り組んできたテーマに、テレワークや兼業・副業といった視点を加えて、ワークライフバランスの実現や長時間労働の削減等に資するインプリケーションを提示しようというものです。
 ⑥多様な働き方とルールに関する研究は、デジタル技術を駆使した雇用にとらわれない柔軟な就業形態が拡大し、現行の法制度では保護されない労働者への対応が課題となっており、労働者概念や労使関係の変容について、国際比較を含めて実態を把握し、課題を摘出するとともに、新しい時代に相応しい政策的インプリケーションを提示しようというものです。以上、プロジェクト研究の各テーマについての御説明です。
 資料1-2に戻ります。このプロジェクト研究に加えて、先ほども御説明がありましたけれども、年度ごと、四半期ごとの厚生労働省からの要請に基づき、新たな政策課題や緊急の政策ニーズに対応する「課題研究」、「緊急調査」を、政策的重要度が高く労働政策の企画立案に活用される可能性が高いものを厳選して実施をすることにしているところです。加えて、労働政策の研究において考慮すべき領域が広がっていることから、冒頭御説明もありましたけれども、参考資料7に独立行政法人評価制度委員会からの指摘もあったところですが、資料3-2の2ページの下の(2)にアンダーラインが引いてある、働き方の多様化に関する新しい団体等との幅広い意見交換等を行うとともに、他の研究機関との研究交流等、他分野の専門家等と協力・連携し、新たな視点を取り入れながら研究を行う取組を進めていくこととしております。さらに、海外の研究者、研究機関との国際研究交流を推進し、機構の国際的プレゼンスの更なる向上を図っていくこととしております。英語での積極的な情報発信にも努め、機構の生み出す成果が国外でも活用されるように意を用いてまいりたいと考えております。
 評価における指標については、これ以降の項目も含めて中期目標(案)に記載のとおりですので、詳細の説明は割愛いたします。この項目についても多くの指標において達成すべき数値が引き上げられているところですが、学識者、厚生労働省、労使を含めたその他有識者等からの、高い評価が得られるように努めてまいりたいと考えております。
 続いて、2.の「労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理」です。第4期においても、例えば諸課題への労使の対応や技術革新等の雇用労働への影響、新型コロナへの対応を含めた主要国の政策に関する情報、統計データ等、幅広く情報を収集・整理してきたところです。第5期においても、政策担当者や労使関係者が労働事情等に関する実態を把握したり、労働政策の効果の検証を行う際のエビデンスを提供するため、国内・海外の労働事情や各種の統計データ等を継続的に収集・整理してまいります。また、喫緊の政策課題等に対応した情報の収集と整理も行い、厚生労働省に提供するほか、国民各層に向け提供を図っていきます。
 評価における指標については、先ほど厚生労働省から御説明があったとおりです。また、これも言及がありましたけれども、機構が調査研究を通じて取得したデータ等をデータ・アーカイブとして整備・公開する取組については、このワーキンググループの会合でも様々御議論がありましたし、また独立行政法人評価制度委員会から受けております指摘も踏まえて、さらなる利用促進を図っていくことにしております。
 3.の「労働政策研究等の成果及び政策提言の普及」です。当機構が行う調査研究成果等の広報については、メールマガジンやホームページによる情報発信を行ってきておりますが、国民により広く知っていただき、政策論議の活性化を図るためにも、様々な工夫をしながら強化を図っていくことが必要と考えております。また、労働政策研究等の成果を踏まえて開催している労働政策フォーラムについては、従前は会場に集まっていただいての開催を行ってきたところですけれども、コロナ禍でそれが難しくなったことも踏まえて、概要資料にも写真を掲載しておりますが、昨年度からオンラインを活用して第1部の研究報告、事例報告を事前にオンデマンド配信した上で、第2部のパネル討論をライブ配信するというような形式を採用したところです。結果、都合のよい時間に地方からでも視聴でき、繰り返し見られることで内容の理解が深まるといった形で、時間と空間の制約が少ない形での当事業へのアクセスが可能となり、参加者にも非常に好評であったところです。これを踏まえて、中期計画においても、フォーラムの効果をより高めるために積極的にオンラインを活用していくことを明記しております。資料3-2の新旧対照表では、9~10ページの線を引いた部分ですが、評価における指標については、中期目標どおりですので省略いたします。
 4.は「労働行政職員等研修」です。ハローワークや労働基準監督署をはじめ、第一線で労働行政を支える職員が、行政ニーズに応じた現場力の強化につながる研修を受講できるよう、厚生労働省の研修担当部局と密接に連携・協働し取り組んでまいります。この労働大学校において行っている研修については、コロナ禍にあって集合による研修を実施することが困難となり、その代替措置としてこれまでの教授手法とは大きく異なるオンラインでの研修手法の確立に試行錯誤をしながら取り組んできたところです。第5期においては、これまでのオンラインでの取組を活かす一方で、オンラインではその習得が困難な内容もあることから、オンラインと集合研修の双方のメリットを活用しながら、最大限の効果が上がるような研修の実施を図っていくということで、中期目標(案)と同様の記載をさせていただいております。また、先ほどの御説明にもありましたけれども、集合研修の最終日の午後等を活用して、イブニングセッションと称して、研究員が研修生に対して講義を行うとともに、研修生とのやり取りを通じて第一線の現場の課題等を吸い上げて、研究と研修の連携を図る取組を行ってきたところです。このイブニングセッションの取組についても、コロナ禍での集合研修の中止に伴って実施が困難となったところですが、その代替措置として、研究員が研究成果を踏まえた動画を作成して提供する取組を開始したところです。この動画講座については、研修の受講生のみならず、要はその研修を受講しているかどうかにかかわらず、全ての第一線の労働行政職員等が受講できる形式で提供するということにしたところで、研究員に対して、より幅広い範囲の職員からのフィードバックが可能な仕組みとなったところです。第5期においては、この動画講座の取組を労働行政職員オンライン公開講座として更に進めていくなど、研究と研修の連携を図っていくこととしたいと考えております。
 評価における指標については、先ほど御説明のあったとおりですけれども、研究と研修の連携の観点からは、労働行政職員オンライン公開講座に着目をしたものとなっているところです。
 続いて第2「業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置」です。これについては内部統制の適切な実施を図るほか、組織運営・人事管理については優秀な人材の登用、研修の充実、外部人材の活用、関係機関との連携等に努めてまいります。業務運営の効率化に伴う経費節減等として、労働保険特別会計の厳しい財政状況に鑑み、一層の業務運営の効率化を図るほか、適切な調達の実施、それからこれも中期目標(案)と同様ですが、ペーパーレス会議、Web会議の更なる活用など、業務の電子化を推進していくことにしております。
 最後に、第3「財務内容の改善に関する事項」です。今後、期間中の予算、収支計画、資金計画を整理するほか、予算事情を踏まえ、販売する出版物等について見直しを図る予定にしておりますが、自己収入の確保に努めてまいりたいと考えております。なお、厳しい財政状況を踏まえ、施設整備計画に基づく工事等は予定をしていないところです。
 中期計画(案)に関するご説明は以上です。よろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 ありがとうございました。それでは、今、それぞれ中期目標、中期計画を発表いただきましたが、それについて御自由に御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。オンラインで御参加の構成員、是非、積極的に御発言をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
 
○安井構成員
 先ほどは失礼いたしました。安井でございます。1. 労働政策研究【重要度:高】という所で感じたところをお話させていただければと思います。プロジェクト研究は①~⑥までございますが、その中にこういった研究をやってほしいといったことは、ここで申し上げてもよろしいものなのでしょうか。それとも、そういった個別の話はしないほうがよろしいのでしょうか。
 
○今村主査
 アドバイスとして、これは重要だよということは大いに期待したいと思います。
 
○安井構成員
 分かりました。アドバイスというほどではないのですが、この⑤多様な働き方と処遇に関する研究の所で、是非、やっていただきたいなと思うのが、霞ヶ関国家公務員の働き方のあり方についてぜひ研究をしていただきたいなと思っています。先ほど労働時間とか賃金に関して分析をされて、ワークライフバランスや長時間労働の削減を提言されていくということでした。「半径5メートル」の範囲で恐縮ですけれども、私と一緒に働いていた霞が関の友人が何人も辞めていまして、それが新たな経験をして自分のキャリアアップを実現するという前向きな目的ならいいのですが、インフォーマルに聞いてみますと、それだけではなくて、長時間労働で家庭との両立が難しいとか、国会対応で身体がもたないという意見もかなり聞いているところです。こういった研究というのは、学者の方とか私ども民間シンクタンクも含めて、それほど積極的にやろうとは思わないものだと思います。ただ、このまま放置し国家公務員の優秀な人材がどんどん霞ヶ関から離れていってしまうことは長期的には大きなマイナスになるので、多くの市民は結構気にしているところだと思います。そこを省庁内部にいろいろなアンケートを取ったり、内部データを使ったりして分析できるであろうJILPTさんにやっていただき、諸外国の国家公務員との比較などもして、より良い国家公務員の働き方とは何なのかというものを提言していただけると、有り難いです。以上です。
 
○今村主査
 これは計画のほうかと思いますが、いかがでしょうか。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 今、安井様が言われたことはいろいろな所から実はお話を伺って、気持ちとしては一国民として全くそのとおりであるというふうに思うところですが、国家公務員の場合、そもそも労働基準法が適用されていない。形の上では人事院の所管ということになりますが、先ほどお話もあったように我々は独立行政法人労働政策研究・研修機構法に基づいておりまして、基本的には厚生労働省所管の独立行政法人であり、ここはある意味、線引きになっていて、例えば過労死等事案分析の研究では厚生労働省の労働基準局で労災のデータがありますので、我々はそういったものを使って研究するわけですが、そこにも入ってこない。ここはどう考えるかというのは、正直申し上げて、今の我々はその壁を超えることはなかなか難しくなります。もっと大きなレベルのところでそういうお話が下りてくることがあれば、そういうことはあろうかと思いますが、問題状況としては、恐らく民間で働いている方々と基本的に同じような問題がある。あるいは、更にもっと大きい問題があるだろうなと思います。
 そこの手法としても多分、共通のものがあるのだろうと思いますが、独立行政法人が、どのような枠の中で研究をやるべきかということについては国会が法律で定めています。それに基づいて厚生労働省のほうがこういうことだというふうに、残念ながらその枠の中に入っていませんので、ここで我々が、分かりました、やらせていただきますというふうにお答えするのはなかなか難しい。ただ、問題意識としては実は共感するところがございますし、いろいろな所から同じような御意見を頂くところもございますので、そういう問題意識があるということは我々としても認識をしたいと思います。ストレートなお答えにならなくて誠に申し訳ございませんが、そんな状況でございます。
 
○今村主査
 ありがとうございます。この件について法人所管室のほうから何か御発言いただければ、JILPTさんはあのようにおっしゃっていますけれども、法人所管室としてはどうお考えかということ。
 
○労働経済特別研究官
 今、研究所長がおっしゃったことは全く法律の範囲の御説明であり、厚生労働省の所掌事務で、国が直接行う必要がないものについて独法に行っていただくという立て付けになっていますので、本来、それが人事院なり内閣人事局が行うべき事務事業であるならば、そこで実施していただくということです。場合によって国家公務員の働き方も少し触れるよという可能性はありますが、そこを前面に押し出して研究するということになると、雇用勘定なり労災勘定なりで研究費を出していますので、それはそれぞれの保険料をご負担いただいている皆様からご指摘を受けることになるため、応えられないということにならざるを得ないのかなと思います。
 
○今村主査
 この件はちょっと置いておきまして、ほかに御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構研究所副所長
 今の安井構成員の御質問にちょっと付加させていただきますけれども、国際比較の視点ではあり得るのかなというふうに思っています。海外の国家公務員を含めて、働き方がどうなっているのか。かなり各国、公務員と言いましても例えば北欧の公務員の働き方と、日本を含めたアジアの公務員の働き方はかなり違うと聞いていますので、国際比較の視点では情報収集を進めていきたいと考えています。
 
○今村主査
 ありがとうございます。安井構成員、まだほかにも御質問はありますか。
 
○安井構成員
 ご回答いただきましてありがとうございます。追加の質問はございません。
 
○今村主査
 いかがでしょう。どうぞ。

○宮崎構成員
 御説明ありがとうございました。公認会計士の宮崎と申します。よろしくお願いいたします。3点ほどあるのですが、1点目が研究のテーマ、課題に関してです。私、民間で働いている身として感じるところが、コロナ禍でリモートワークとか在宅勤務というのが増えていまして、その結果、自宅に籠もって一人で作業する環境が増えているのかなと思っています。その結果、私の認識ではメンタルに不調を来す労働者が増えているように思っていて、労働政策の1つだとは思いますが、例えば同じ所管の労働安全衛生研究所とか労災病院などでメンタル不調のデータがどうなっているのか、発生率がどうなっているのかというテーマでも研究いただいて、その結果、何かそういった在宅ワーク、リモートワークに関しての働き方の留意事項とか提言というのは、是非、何か研究に取り組んでいただければということが要望として1点目にございます。
 2点目が、業務の効率化というところの話になりますので、本来の研究テーマに付随した論点になるかと思いますが、業務の電子化を進めるという書きぶりの中で、中期目標、中期計画ともに、Web会議等で研修資料や会議資料のペーパーレス化に取り組むということを記載いただいていますけれども、実務を見ていますと、公印とか押印を省略するということをもう少し進めないと、どうしても紙の資料が多いというのが実情かと思っていますので、ここは要望ですが、もう一歩踏み込んでいただいて、例えば稟議決裁書類とか所内の押印資料を減らすことも少し意識していただいた上で、電子化を進めることに何か一言触れられると、よりいいのではないかと思いますので、こちらも御検討いただければと思います。
 最後に3点目です。ほかの独立行政法人なども見ていますが、施設を持って稼働している法人というのは、こちらもコロナ禍の影響で、どうしても最近の流れとしてオンライン研修とか電子化が進んでいる関係で、現実にある施設の稼働率が低下してきている現状、課題があると思っています。これについて現状の中期目標、中期計画において、オンライン研修と集合研修の双方のメリットを生かして、有効活用していきますという記載がありつつも、他方で、その下の財務の所にいきますと、保有資産の見直しという所で持っている資産を有効活用しますと書いていますが、これは厚生労働省の側で、オンライン研修と集合研修の比率であったり割合であったり、次の中期目標期間でどのような活用の仕方を想定されているかということをもう少し触れていただいたり、考え方を整理していかないと、労働大学校の稼働率が落ちているという現実に関して、どのように考えているのかというところの言及が何かないと、単純にコロナで一時的な要因ということでなく、コロナ後も、出張したりして集まらなくても、時間的・物理的な空間を超えられるという利便性があると、コロナ後もオンラインが中心になっていく可能性がありますので、そういった中で、では施設の稼働率として何か違う講座を増やしていくのか、あるいはディスカッションで対面が必要となる研修の中身を増やしていくのかなど、もう一歩何か踏み込んだ記載をしないと、オンラインを増やしていきますという記載とともに、保有資産も見直しますという、両方の目標を掲げたままですと、両者の関係がどうなっているかというのが読み取れない状況になっていますので、その点に関して少し配慮が必要ではないかと思っています。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございました。施設整備に関しては、先ほど、こういう財政緊縮の状態なので今年度は施設設備については計画を特に掲げないという説明がありました。計画のほうにうかがってよろしいですか。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 1つ目の話ですが、リモートワーク、在宅勤務拡大ということで、資料1-2の右上に本が3つ並んでいます。ちょっと小さい字ですが、一番右は『テレワーク』と書いています。これは、コロナが始まってから我々でテレワークの問題についていろいろ調査しまして、それを1冊のブックレットにまとめたものです。この中にいろいろテレワークをする上での悩みとか問題点みたいなことも出てきますが、メンタルの問題というのはマスコミなどではいろいろ議論されていますが、それほど大きな形では、我々の調査の段階ではそこまでは今のところ出てきていないかなと。ただ、非常に重要な問題だと思っています。
 一方、今、御指摘のありましたメンタル不調というのは労働の観点から非常に重要な問題です。先ほども申し上げましたが過労死等の労災事案分析を今期の研究としてずっと続けてきています。テレワークもメンタル不調も、これまでもそうですし、これからも我々の非常に重要な研究のテーマと思っていますので、宮崎構成員の言われたことをしっかりと脳裏に刻み付けながら研究に努めていきたいと思っています。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 理事長の樋口でございます。今、所長の濱口のほうからこれまでの研究について言及があったわけですが、今、考えていることということで少しお話させていただきます。
 正にコロナ禍における在宅ワークのメンタルと言いますか、心理的な影響というものについて、3か月ごとに、同一の個人をずっと追跡するというパネル調査をやっていまして、その中で、在宅就労を行った人、行っていない人について、心理的にどういう違いがあるか、心理学のほうでは最近、K6という指標で心理状態を捉えるということが行われていますが、そういったものを調査票に入れられたのが昨年からということで、昨年からの分についてどういう変化が起こっているかということを、今、やっているところです。
 同時に、社会心理学会で、こういった問題に非常に関心を持つ研究報告が出てきていますが、この徳島大学の先生方とコラボレーションで、2月にオンラインでその先生方の発表を聞く予定です。4月以降は、そういった研究も進めていくことを計画しているということで、宮崎構成員のおっしゃることを実行に移していくことを考えているということです。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 2点目、3点目についてです。まず2点目で、業務の電子化等に関するお尋ねですが、今、構成員から御指摘がございました押印の省略につきましては、国のほうでもかなり徹底的にやっていた時期がございまして、その際に私ども独法のほうにも御指示を頂きました。私どもとしても見直せるものは徹底して見直し、その際に押印の省略については見直しをしたところです。
 2点目で電子決裁の例もございましたが、電子決裁につきましては、これもコロナが一つのきっかけだったわけですけれども、それをきっかけにして電子決裁のシステムを新たに私どものほうで導入させていただき、いわば出勤しないと決裁ができないということがないような形で整理したところです。そうした意味で、これまで御指摘いただいた点についてはかなり取り組んできていると思っているところです。
 3点目で、労働大学校における研修ということですが、法人の立場からということで申し上げますと、コロナ禍がある中で、オンラインでどうやって効果的な研修をしていくかということで、かなり試行錯誤しながらこれまで取り組んできたところです。そうした経験も踏まえて、ポストコロナも見据えながら、どういったものはオンラインで引き続きやったほうが利便性が高く効果的にできるのか、あるいは、対面でないとできないものはどうしたらいいか。さらにバランス問題についても、今後、コロナ禍が回復するに従って見定めていかなければいけないことになろうかと思っています。そうしたことで、現段階で何対何ぐらいになるというのはなかなか難しいのかなと私どもとしては思っています。オンラインと集合のメリットを生かすためには、どういったものをどっちでやったほうがいいのかという辺りを、何とか繰り返し試行錯誤をしながら見定めていった上で、そういったところは出てくるのかなと、法人の立場からすると考えるところです。以上です。
 
○今村主査
 どうぞ。
 
○労働経済特別研究官
 法人所管部局の立場から、労働大学校の施設のあり方に関して、今、総務部長から御説明がありましたとおり、対面でやるのか非対面でやるのかについて、想定としてはほとんどのコースで、一部非対面でできるのではないかと思いますが、実際のボリュームとしてどの程度対面が必要なのかについては、やってみなければ分からないところが大きくありますとともに、先ほど中期計画のところで機構からも御説明がございましたとおり、現状、非常に労働保険特別会計の財政が厳しい中で、施設そのものをどうするかというと、建て替えるのか廃止するのかということになるわけですが、その財源がないということも現実的にはあります。とはいえ、どのような研修に持っていくのかということについて、少なくとも3年程度は試行錯誤しながら形を見据えていった中で、3年後、4年後について、今の施設をどうしていくのかを議論した上で、一定の政策決定を行い、それを次々期の中期目標に書き込むのが、現状、考えているスケジュール感かなと思っています。今回、次期の中期目標において一定の書き込みをするという段階ではまだないということを、御理解いただきたいと思います。
 
○今村主査
 ありがとうございます。今、オンラインからお二人、手を挙げていらっしゃいます。土井構成員と土橋構成員ですが、まず土井構成員、御発言をお願いいたします。
 
○土井構成員
 御説明ありがとうございます。リモートからでは中期目標の御説明はほとんど途切れていて聞き取ることができませんでした。そういう状況ですけれども、2点ほど御質問をさせていただきたいと思います。1点目は、「プロジェクト研究」ということで6つのテーマを取り上げていらっしゃるのですが、この中で技術革新とか多様な人材という新しい観点が入ってきたことはいいと思います。ただ、日本は生産性が低いということで問題になっていますが、そういう生産性の観点は、この6つのプロジェクト研究の中でどのように扱われるのかというところを教えていただけないでしょうか。これが1点目です。
 2点目は、指標に関するお話ですけれども、資料3-2の5ページの所で評価における指標と書いていて、⑤の所で、内外の関連する他の研究機関との研究交流等を促進するということで、参加人数とか会議の開催数をカウントするようになっていますが、実際にフォローするときには、このような絶対的な数値をお示しいただいても、それが従来に関してどのように上がったのか、変わっていないのかというのが分からないので、是非、報告のときにはそういう時系列での差分なども教えていただければと思います。
 あと、ここの所でちょっと気になったのは、「英語での情報発信を図る」というふうにわざわざ書いていますが、参考指標の所には、それをどういうふうに計測するのかというのは何も書かれていません。これはあえてそうされているとすると、どういう理由があって英語での情報発信の指標が測れないと思われているのか。それを教えていただきたいというのが2点目です。以上です。よろしくお願いします。
 
○今村主査
 よろしくお願いします。まず生産性のことからですね。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 ありがとうございます。生産性につきましては、今までも技術革新に伴う雇用・労働の今後のあり方に関する研究の中で入っています。ただ、6つの大きな柱に掲げるレベルで生産性という言葉が出てこないというだけで、もう少しブレークダウンしていただくと入っています。どうしても生産性自体になると経済政策、産業政策がメインで、当然のことながらこれと労働政策というのは密接不可分ですが、労働政策のほうから見るとなれば人材開発という観点と密接不可分ということです。ただ、中身としては、生産性の向上という共通の問題意識がございますので、その問題はこれまでも入っていますし、これからも同じように入っているということです。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 2つ目の御質問についてです。まず、参考指標等につきましては、先ほど御指摘がございましたように、評価いただく際にはできる限り時系列でお示しできるように整理をしていきたいと思っています。それから、英語での情報発信についてですが、これにつきましては参考指標の中で入れたものはないところですけれども、これまでも評価書の中で、例えば報告書等の概要の英訳・ホームページで提供している件数とか、そういった幾つかのものをお示ししているところです。こちらもなかなか件数で測りづらいと言いますか、中身で見ていただかないといけない部分もあるのかもしれませんけれども、こういった海外への情報発信につきましても、御議論いただけるような材料について、今後ともは工夫していきたいと考えています。以上です。
 
○土井構成員
 生産性を高めるということで、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 
○今村主査
 ありがとうございます。JILPTの守備範囲でできることは、もしかしたら限られているかもしれません。産業政策とかも関わってくるし、そもそもイノベーションをどうやって起こすかという話になると、多分、守備範囲がかなり難しいと思いますが、是非、そこをうまく切り取って研究をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構研究所長
 話は全部つながっているということで決して権限がそこで線引きされているということではございません。ただ、どちらかというと、主として持っているのは経済産業省になるのかもしれませんが、厚生労働省あるいはJILPTにとっても非常に重要な分野であることは当然ですので、技術革新や人材開発という観点から生産性の問題に取り組んでいくということでございます。
 それから、1点、海外情報の話につきまして、エピソード的ですが、我々、いろいろな研究成果を英語にして載せています。あるとき急にアメリカの研究者の方から電話が掛かってきまして、JILPTのホームページに載っているのを見たと、これについて聞きたいということもございまして、ちゃんと載せていれば見る方はちゃんと御覧いただいて、そういうコミュニケーションもあるということです。一つ一つは小さいものですが、そういう形で取組は続けていきたいなと思っています。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。そのためにもDX-CTLといったデジタル化の努力というのが非常に効果的に効くと思います。また時間があれば議論したいと思いますが、よろしくお願いいたします。次、土橋構成員にお待ちいただいていますので、よろしくお願いいたします。
 
○土橋構成員
 土橋でございます。説明、特に前半がほとんど聞き取れなかったので、単純に聞き逃がしただけかもしれませんが、資料3-1の5ページ、右側の(2)のアンダーラインを引いている所の最後の所に「民間との連携等」とあって、民間との連携は非常に重要だと思いますが、取りあえず左側にはなくなってしまったようです。この辺、重要な課題だと思いますので、どのようになっているかをお聞かせくださいという単純な質問です。以上です。
 
○今村主査
 法人所管室のほうからお願いいたします。
 
○労働経済特別研究官
 私から御説明申し上げます。「外部研究員の活用や民間との連携等」というのを削除しているというのは、やらないということで削除したというものでなく、8ページの参考指標で他の研究機関とか外部研究機関との研究交流実績等を記載していまして、これらはしっかりと。
 
○土橋構成員
 かなり聞こえにくい、マイクを変えてみてくれますか。
 
○労働経済特別研究官
 聞こえますでしょうか。
 
○土橋構成員
 かなり聞きやすくなりました。
 
○労働経済特別研究官
 できる限りはっきりと喋るようにしたいと思います。民間との連携等を今後はやらないということではなくて、今回、総務省独法評価委員会の意見を踏まえ、少し表現ぶりを変更したものです。民間等との連携については、資料3-1の8ページにもありますとおり、これら他の研究機関との共同研究・外部研究機関との研究交流等についても引き続き取り組んでいただくということにしているものです。
 
○土橋構成員
 了解しました。なくなったということではなくて別の所に書いてあると。多分、現場のことを知るためには民間との連携、活用というのは重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
 
○今村主査
 よろしいでしょうか。今、お待ちいただいているのは三宅構成員ですが、三宅構成員、御発言をお願いいたします。
 
○三宅構成員
 ありがとうございます。リモートのほうから失礼します。三宅です。特に新旧対照表をいろいろ拝見すると、アンダーラインの所はあるのですが、第4期に比べて著しく変わっている点というのがあまり見つけられなかったのです。私が見落としているのかもしれませんが、ということは、第4期と第5期は基本的な考え方は大きく変わらないということでいいのでしょうか。それが1つ目です。というのは、この5年間で社会情勢というのは相当に変化していると思います。それにつれて、もちろんコロナもありますけれども、人口減少は歯止めが掛かっていないわけで、これから働き方の、量だけでなく質が変わってくるように思いますが、この辺りで、特に記載にそれほど変化が見受けられなかったところについてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
 2点目としまして、それにも関連してきますが、例えばプロジェクト研究のところで4つの視点というのがあったと思います。この中で、4つの視点のうちの2つ目に、20年先の働き方を見据えて新しい労働政策を構築するということが、第4期と同じように第5期にも同じ表現で書かれています。この5年間で相当に状況が変わったことに関して、第4期、すなわち5年前に描いていた20年先というのと、今現在考えている20年先というのは、どのように違っているものなのかを少しイメージとして教えていただければと思います。これは質問です。よろしくお願いします。2点です。
 
○今村主査
 法人所管室からお願いいたします。
 
○労働経済特別研究官
 御説明申し上げます。中期目標の枠組み、考え方について、構成についてそれほど大きな変更がないのは御覧いただいたとおりですけれども、中身として先ほども御指摘いただいたプロジェクト研究の4つの視点のうち、①については、昨今の5年間の動きを踏まえて働き方の多様化が進展したことによる影響を把握する視点といったことで、更に一歩進んだ視点で今後、調査研究をしていただきたいということです。文言についてだけ言えば、20年というのは別に今から20年後というがっちりとした数字があるわけでなく、中長期的な視点を持って、更にその先の将来の変化といったものを見据えながら研究を進めていただきたいということであり、5年前の20年後と今の20年後は何がどう変わっているのかを、明確に意識した表現ぶりではないというものです。
 そのほか変わっているところと言えば、様々な関連分野と関係性が深まってきている中で、今まで全く関係がないと思われていたような医学や工学等の理系学問であるとか、様々な関係の関連学会との関係についても更に深めて、より良い成果を出していただきたいということを散りばめているつもりです。これらについての認識はJILPTとも一にした上で、今回の中期目標、中期計画を策定していると考えています。
 
○三宅構成員
 ありがとうございます。20年先というところは私の説明が悪かったと思いますが、少なくともこの5年間というのは、その前の5年間に比べて第4期の期中で相当に大きな変化があったように思います。その大きな変化の前と後で、描いている将来像も大きな括りとしては変わらないという御認識ですか。あるいは、変化があったとしても少なくとも中期目標、中期計画を策定するときには考え方は変わらないと、そういう理解でよろしいでしょうか。
 
○労働経済特別研究官
 5年前と現在とで、その先の20年先の姿が変わっているかといえば大きく変わっているのだと思います。その変化、足元が変わっているということを踏まえた上で、20年先の中長期的な未来を予測しながら調査研究を進めていただきたいということです。そこは立ち位置が変わっているということで、表現上は同じですけれども、見えている世界の姿は違うのではないかと思っています。
 
○今村主査
 よろしいでしょうか。
 
○三宅構成員
 分かりました。となると、定量的な評価指標でパーセンテージであるとか件数が出てきていますが、そこは項目にしても評価の指標にしても同じようなものが並んでいるのは、ちょっと座りが悪いなという印象を受けました。それから、当然、いろいろな状況が変わってくれば、定量的なものでなくても、クオリティというか定性的な指標でもって比べてみることができる、そういう項目もあるのかなと思ったのですが、そういうものが何かございましたら教えていただきたいのです。
 
○今村主査
 ありがとうございます。それはこれから議論することと引き取らせていただきまして、今までの問題については、理事長からの御発言があるようですので、まずそれをお聞きいただければと思います。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 三宅委員のおっしゃった点でございますが、そのプロジェクト研究の中の1つに、「労働市場とセーフティネット」といった項目がございます。ここで具体的に何をやるのかということですけれども、20年先を見通した、これは労働市場の需給推計といったものを行っております。申し上げるまでもなく国勢調査が5年ごとに実施されておりまして、国勢調査が大体2年くらい遅れて発表になります。それに基づいて国立社会保障・人口問題研究所のほうで人口推計が行われます。人口推計については、高位と中位と低位という形で3つのケースについて20年とか、あるいは、時には長期ということで100年先を見通すような推計ということになっております。この推計された結果を使いまして、JILPTのほうで労働需給見通しということをやり、これを厚生労働省のほうに報告する。実は、これをベースに年金の推計といったのが経済推計で行われていくという手順になっております。ということですので、5年ごとの国勢調査の度にその推計をやり直すということのモデルを作ってということでございます。
 その中で、私どもが今回考えておりますのは、シミュレーションを行って、そのシミュレーションのケースによって労働市場の状況といったものを描いていこうということでございまして、そのシミュレーションの中に、例えば人口の問題、当然少子高齢化の問題というのはこれまでも扱ってきておりますが、今回、国勢調査の結果、従来想定されていたような推計と大分違ったものが現実に、少なくとも2020年には起こっているということもありまして、こういったところについてやり直しをしなければならない。同時に、デジタル化、AIというようなこと、これによって生産性が相当違ってくるだろうと。そして、また働き方も、在宅就労も含めて大きく変わってくるだろうということで、これをシミュレーションの中に入れていく必要があるのではないかというようなことを話しております。
 最も悩ましい問題というのが外国人労働の問題でございまして、これをどのように労働需給推計の中に入れていくのか。これはもちろん政策によって大きく左右されますので、私どもで決めることはもちろんできないわけでありまして、シミュレーションのケースという形でこれを入れた場合に、労働需給がどのように変わっていくのかというようなことを推計していこうと、このようなことを、今、考えているところでございます。
 2020年に行った国勢調査に基づく人口推計というのが2023年に発表になるということでありまして、来年からこれに取り組んでいくという計画を今のところ作っているということになります。その結果、5年前の推計とは大分違ったことになるのではないかと、使っている変数は同じでも、その数値が相当に違ってくるということでの変化ということがあるのではないかと思っております。以上です。
 
○今村主査
 ありがとうございます。JILPTの立案設定というのは、やはりエビデンス・ベースト・ポリシーマネージメント、エビデンスを政策のために提供する。その信頼性のあるサイエンティフィックなきちんとした研究をするというのがまずその基盤ですので、今、理事長の御方針は力強く感じているところであります。
 その一方で、三宅構成員から指摘されたように、新しいところが加わっていないのかということに関しては、これは私のあくまでも私見ですけれども、目標設定の数値目標のストレッチを過去のピーク時の90%にしてみたりとか、つまり、我々が評価するときに、では、目標を達成したらBでいいのだなというような、逆に我々がそう理解できる仕組みをちゃんと工夫して入れてくれてあるということを、先ほどから見ていてそのように読めております。ですから、数値目標自体は少し工夫しながらクオリティの部分を入れて、Webページに関しても、我々がもっと回数だけではなくて、中身についてもということで有識者の評価、これは有識者の評価だけでいいのか、あるいは利用者の評価だけでいいのかというのは、また次の課題かもしれませんけれども、いろいろと工夫していただいているのではないかと思います。
 もう1つは、取組に関しては、今言ったようにエビデンス・ベーストではあるのですが、例えば目標2の労働事情・労働政策に関する情報の収集・整理、これは資料2-1の所に、多様な主体との連携を図りながら情報収集していくと。つまり、理事長のおっしゃった非常にサイエンティフィックな研究と併せて、今、資本主義の危機だとか、DXのリスキリングといろいろ言われているわけですけれども、国家と市場以外に、いろいろな人がいろいろ言っているのです。第3の支柱とか、サードセクターとか、あるいはヘンリー・ミンツバーグに至っては多元セクターなどと言っていますけれども、そういう多様化する存在をいかにしてポリシーのベースに引き上げていくかという努力をこの目標のほうでも設定されているし、JILPTのほうでも受けておられるという印象を受けたのです。したがって、これはどういう言い方をしたらいいか分かりませんが、きちんとして整理された体系として理解すれば、まだ十分変化が読み取れないかもしれないけれども、こうやってボトムアップと言いますか、あくまでも労働政策のアウトカムの対象者は国民、市民、住民でありますので、そういう人たちがちゃんとした生活を送れるような、そういうところの視点は入っているのではないかと、あくまでこれは私の私見でありますけれども、是非こういう形で続けていただければと思います。
 ということで、ここまでで引き取らせていただきます。大事な問題が、つまり、安井委員の冒頭の指摘があるのですけれども、DXのリスキリングで、果たしてJILPTをやっていけるのかと。つまり、全部の講義をJILPTの自前でやっているのではなくて、アウトソーシングで外部から人を呼んでいるわけですけれども、そこのデジタルのスキルというものがどこまで対応できるのか。それから、この目標の中にはPMOとかPJMOとかいろいろ書いてあったり、あるいはCIOというのがこの間議論になったりましたけれども、そうやってJILPTがデジタルにリスキリングに対応していく中で、先ほど財政緊縮でという話が、切実な問題が出ましたけれども、安井委員の問題意識の指摘は、私は実は、これから20年後は変わらないというのはあり得ないわけで、学生には、5年間でDXをはじめとしてどんどん変わっていくからと、「お前らしっかりやらないと、どんどん振り落とされるよ」と。ちょっと言葉は汚いのですけれども、よく出てくる『Bullshit Jobs』というのですか、ああいう本の中にお前たちは追い込まれていくよということを、いろいろ脅かしてはいるのですけれども、それは正にJILPTさんの自家薬籠中のところではあると思うのですが、そういったデジタル化の進展の中でどうやって自分たちの職員というか、メンバーたちのリスキリングをするのか、サービスを提供する側のデジタルスキルと、それから、サービスを受ける側というか、幅広く労働市場に広がっている人たちのリスキリングをどうするかという、2つの問題があると思いますが、これはJILPTさんに直接お伺いしてよろしいでしょうか。安井委員の最初の問題です。
 
○労働政策研究・研修機構総務部長
 十分なお答えができるかどうか分かりませんけれども、中の問題と外の問題で2つあったかと思います。まず、私ども機構の中でDXというものをどのように対応していくかというものが1つあろうかと思います。これまでも組織面でも、例えばほかの法人も同様かと思いますけれども、CIO補佐官が補佐をするという体制をしっかりとったり、あるいは情報ネットワークシステムの運用業務に関してはアドバイザーというものを雇用したりといったことをやりつつ、業務面においても、これまで御説明いたしましたような形でコロナに対応するということで電子決裁も入れましたけれども、テレワークのシステムを導入するといったことですとか、あるいは労働政策フォーラムなどオンラインでやっていくという見直しをしてきたところでございます。
 そういう意味では、やはりDXというと、ものの本によりますと、ビジネスモデルを変えるというようなことがDXだということが書いてあるわけですけれども、ビジネスモデルの革新も一定程度ではありますが、これまで行ってきたのかなと思っております。第5期におきましては、やはり予算の状況も踏まえながら、優先順位も考慮して、デジタル化への対応というものを考えていきたいと思っております。
 もう1つは、言わば外というか、一般の労働市場ということで考えた場合に、私どものミッションといたしましては、やはり労働政策研究をしっかり推進していくということと、あとは労働行政職員に対する研修を、行政がしっかり進むように対応していくことがミッションかと思いますので、直接その外の世界の人たちに対する研修というものをやるというのは、なかなか難しいのかなと考えているところです。
 もとより、労働政策研究につきましては、様々デジタル化も含めた形でそういった社会の中で意識をして進めるということになろうかと思いますので、そういった研究成果という意味ではお役に立つことはあるのかなと思っておりますけれども、なかなか直接に研修を実施する機関としてやっていくというのは、私どもに与えられたミッションからしても難しいのかなと思っているところです。
 その一方で、冒頭の御議論にございましたような専門実践訓練の講座内容について、どのようにDXの意識というものを広げていくかというか、持ってもらうかということについては、必要に応じまして、本省の人材開発担当部局のほうにも伝えさせていただければと考えております。以上です。
 
○安井構成員
 どうもありがとうございます。ハローワークの外部委託先であるキャリアコンサルタントに対してもJILPTが研修を行う責任があるのかどうかという点はちょっとグレーゾーンだと思うのですね。ハローワークがキャリアコンサルタントの会社に外部委託する形で、専門実践教育訓練給付金のプログラムの中に訓練前キャリアカウンセリングが位置付けられておりますが、コンサルタントの方々はハローワークの職員ではない。このため、JILPTが研修を提供する対象かというとはっきりしないのだと思います。ただ、大事な役割を果たすべき人たちであり、デジタルの知識について精通されていないという現状がありますので、そこは運用で研修の提供対象の幅を少し広げていただけると有り難い。キャリアコンサルタントの更新研修のときなどに、もうちょっと労働市場がどう変わっていくかみたいな話、今、デジタルの職はこういうのがありますという話をインプットしていただけるとスムーズではないのかなと思ったところです。
 
○労働政策研究・研修機構理事
 安井委員のおっしゃられたキャリアコンサルタントのことで、キャリアコンサルタント自体は、数年前に能力開発促進法を改正して位置付けております。また、ある程度国家資格として裾野を広げるということをやっていて、正に今おっしゃったような更新研修とかやはりキャリアコンサルタント自体が、いろいろ職業生活の節目ですとか、あるいはハローワークの職業紹介の中で活躍していっているところはありますけれども、企業内でも活躍していっているところもあって、能力開発促進法上も、いわゆる労働者の地位向上というか、職業生活の中でしっかりとそのプロセスで位置付けて、キャリコン本来の趣旨をしっかり体現していかなければいけないというようなことを法律で書いております。
 そういった中で、確かに心理面だとか、そういういろいろノウハウ面の提示もあるのでしょうけれども、やはりこれからの労働市場の中で労働者がどういったデジタル要素というか、デジタルな就業着目要素というか、そういう生産性も含めたもののリスキリングをしていかなければいけないかということは、やはり本省の人材開発政策当局のキャリアコンサルティング施策の中でしっかり位置付けた上で、そして、それはやはり個別の研修に落としていかないと、やはり現実問題、雇用保険でやっている教育訓練給付制度の指定講座の一つとしても、それは労働者の中長期的なキャリア形成に資するものとしてやってきているわけですから、そういったような観点から、先ほど総務部長から、人材開発といったものも、デジタル問題意識に特化したキャリコン養成の在り方についてもしっかり伝えて、現実の施策に反映していければと考えてはおります。
 
○安井構成員
 関連してですが、簡潔に1点だけ申し上げたいのですけれども、労働移動の促進には職業情報の見える化が必要でして、それに資するよう、日本版O-NETの機能拡充を、所長を中心にかなり進めてくださっているということでした。しかし、日本版O-NETの認知度という点で課題があると思います。先日、某経済団体の経済担当の人と意見交換したのですが、今後、産業構造が変換する中で、成長しうる職業を把握して、そちらに労働力がシフトしていくことが重要だという点でお互い意見が一致しました。そこで、職業情報を見える化する日本版O-NETというのがあるのは御存じですかとその方にお伺いしたところ、ご存知ないとのことでした。このように、日本版O-NETの周知がまだ全然足りていないのだと思います。某経済団体の経済担当の方ですら知らないという現状ですので、そこは日本版O-NETについてもうちょっとYouTubeなどで広告を出すとか、何か周知を図るものを徹底していかないと、作ってもなかなか生かされないということになってしまうかなと。
 もう1点は、他との連携ということですと、賃金情報はどうしても民間が持っているところがあります。人材紹介業をしている所が集めている転職相場の情報がありますので、そういった企業と連携していただいて、そこから賃金情報をいただいてO-NETに掲載するといったこともやっていただけると有り難いなと。今、求人情報の賃金は、ハローワークに届いている求人情報の分しか載っていなくて、どうしても水準がすごく低い状況になっていますので、もうちょっと転職市場の賃金分布を反映できるものにしていただけるといいなと思っています。すみません、長くなりまして。
 
○今村主査
 ありがとうございます。大体予定の時刻になったのですけれども。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 どうもありがとうございます。今の点ですけれども、短く。日本版O-NETについては、どういう活用ができるかということで、いろいろな研究者と今、一緒にやっているところでございまして、ただ、O-NET自身の公開は厚生労働省がやっている。私どもはそこにデータを提供するという役割を担っているということですので、厚生労働省とも協力して、その周知化を図っていくことが必要なのかなと。私も実は、よくO-NETについては分からなかったということがかつてありましたので、その点については全く同感ということであります。
 もう1つは、デジタル化に伴う労働市場のリスキリングのことですけれども、これも非常に難しい問題であるのですが、これに関連して、今、JILPTでやっている事業で、DXに特化しているわけではないのですが労働市場のほかの問題も含めて一流の講師陣をそろえてシリーズでやっている東京労働大学講座というのがございましてその中で、例えば技術革新と労働市場といったような講座を、追加してやっていったらどうかというのが今のアイディアでございます。
 キャリコンとの関連で言いますと、関連する仕事、職種の方ともう少しミーティングを持ったらどうかという助言もありまして、今、考えているのは従来に比べて、従来は政策を実施しますと、例えば商工会議所といった所が仲立ちして、実際の企業経営者の方に伝わっていくということであったわけですが、今は、例えば社労士の方とか、あるいはキャリアコンサルタントの方を通じて企業とか個人に情報が伝達されていくというようなこともあるような時代になってきておりますので、そういった所と少し話合いの機会を設けて、どういったものが私どもの研究として、また情報の提供として、中には講座として、必要なのだろうかということについては御相談させていただければと思っております。
 もう1つは、東京労働大学講座のほかに労働政策フォーラムというのを年6回ほどやっておりまして、その中で技術革新の問題というのを取り入れたらどうかということもあります。
 技術革新は各国共通のテーマになってきておりまして、OECDがプロジェクトを立ち上げて各国に参加を呼び掛け、日本はJILPTが参加して、主にヒアリングを中心に人材開発とDXがどう関連しているのか、国によるあるいは業種による違い、今年度については金融を中心に、DXが金融業界の人材の能力開発とかにどのように取り組んでいるのかを調べることを各国共通にやっています。国際比較も含めたOECDの成果は来年になると思いますがそういうプロジェクトを、今走らせているところです。御指摘を参考に、また考えさせていただければと思います。どうもありがとうございました。
 
○今村主査
 どうもありがとうございました。予定の時間が少し過ぎてしまって、本当に申し訳ありません。本当に聞きたいことがたくさんあって、まだまだオンラインの先生方も皆さん聞きたいことはたくさんあると思います。私も特に濱口所長には、DXでジョブがどう変わっていくのかとか、いろいろなことを是非お伺いしたかったのですけれども、また別の機会に是非教えていただければと、また是非情報発信をしていただければと、そのためにもDXをうまく活用して、JILPTの存在をもっと広めていただければと期待しております。
 一応、ここで議論を打ち切らせていただきまして、それでは取りあえず、今までの議論について、法人所管室及び法人から、それぞれ御発言をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○労働経済特別研究官
 それでは、所管部局として御礼を申し上げます。本日は構成員の皆様から、種々御意見を頂きまして、私の説明の至らないところも多々ありまして、しっかりと御説明できなかった部分もありますが、いずれにしてもJILPTに対する皆様の期待というのは、非常に大きいということを改めて認識いたしました。JILPTに行っていただく調査研究のもとに必要な労働政策を企画、立案していくというのが我々の使命ですので、両者一緒に、正しい道というか、あるべき道、将来の姿に向かって両輪が進んでいけばいいと思っております。また今後とも御指導をよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 それでは、法人からよろしくお願いいたします。
 
○労働政策研究・研修機構理事長
 本日は、長時間にわたり機構の第5期の中期目標・中期計画案について真摯な御審議を頂きまして、誠にありがとうございました。御指摘いただきましたグローバル化とか、あるいはDXの問題、こういった問題というのは非常にやはり社会に大きな影響を及ぼすということもございますし、また、雇用政策の取り巻く環境というのは非常に大きく変わる中において、従来の狭い雇用政策から、非常に雇用に関する、労働に関する政策というように広がりを見せてきております。第5期につきましても、そういった視点から幅広な取組を、研究を行ってまいりたいと思っております。
 次期において、皆様からも御要望がございましたその関連する団体あるいは研究機関等と幅広く連携・協力、調査研究を進めていくということですが、これにつきましては正に私どももそのようにしようと、あるいはそうしなければいけないと思っているところですので、そういったことを促進してまいりたいと思っております。
 また、事業運営につきまして、新型コロナウイルス感染症の影響等も踏まえました、引き続きオンラインを有効に使っていくということで、質の向上、あるいは研究におきましても世界への情報発信ということを図ってまいりたいと考えております。
 御審議いただきました中期目標・中期計画は、機構の第5期の業務運営の重要な指針となるということは申し上げるまでもない点ですが、皆様から頂きました御意見を十分に反映させる、予算に限りがあるということが私どもにとっては最も大きな問題でございますが、これからも役職員一同、雇用政策の研究と研修の向上に向かって、一丸となって最大限の努力を進めてまいりたいと考えております。引き続き先生方におかれましては、御指導、御支援、御鞭撻のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 
○今村主査
 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。それでは以上で、本日の議事を終了いたします。最後に事務局からお願いします。
 
○事務局
 今村主査、長時間お疲れさまでございました。ありがとうございました。また、皆様におかれましても、適切な議事運営に御協力いただきましてありがとうございました。事務局としても感謝申し上げます。
 最後に、今後の流れについての確認になります。会議の冒頭に途中まで御説明しております参考資料2を、もう一度御覧いただければと思います。一番下の四角い囲みに「令和3年12月~令和4年3月、独立行政法人の次期中期目標・次期中期計画の策定」がございます。労働政策研究・研修機構の次期中期目標案につきましては、本日頂きました御意見を踏まえまして、必要な修正等を行い、厚生労働大臣が総務省独立行政法人評価制度委員会へ送付いたすこととしております。その後、同委員会において審議が行われまして、その審議結果に基づいて出される意見を聴いた上で、財務大臣との協議を経て、次期中期目標が確定されることとなります。
 一方、中期計画につきましては、確定いたしました次期中期目標をもとに労働政策研究・研修機構が次期中期計画を作成し、同計画について主務大臣である厚生労働大臣が、内容の精査及び財務大臣との協議を経て、年度内に認可する予定になっております。
 確定しました中期目標と中期計画につきましては、後日、構成員の皆様にもお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。
 また、本日のワーキンググループにつきましても、議事録を取りまとめ、事務局といたしましても厚生労働省内外の関係者と、本日頂きました御発言の情報を共有させていただきたいと考えております。事務局からは以上になります。本日はコロナ禍かつ御多忙、お寒い中御参加いただきまして、誠にありがとうございました。
 
○今村主査
 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。今、東京都のコロナ感染者数が2,000人を超えるかもしれないという事前情報が流れていますが、このような微妙な時期に皆さん御参集いただきまして、熱心な御議論を本当にありがとうございました。どうぞお気をつけて、ご安全とご健康をお祈りいたします。ありがとうございました。

(了)