第44回保険者による健診・保健指導等に関する検討会議事録(2022年1月19日)

日時

令和4年1月19日(木)13:00~14:20

場所

Web会議
全国都市会館 第1会議室(3階)
東京都千代田区平河町2-4-2

議題

  1. 1.(加減算について)加算基準・総合評価の数値基準の見直し
  2. 2.(加減算について)受診勧奨対象者の医療機関受診率の定義
  3. 3.協会けんぽにおけるインセンティブ制度の見直し

議事

議事内容
○吉井保険課長補佐 事務局でございます。何名かの構成員の方々はまだ入室が確認できておりませんけれども、定刻を過ぎましたので、ただいまより「第44回保険者による健診・保健指導等に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様におかれましては、御多忙の折、御参加いただきましてありがとうございます。
議事に入るまでの間、進行を務めさせていただきます保険局保険課の吉井と申します。よろしくお願いいたします。
議事に入ります前に、構成員の出欠状況について申し上げます。本日は、全国後期高齢者医療広域連合協議会の太田構成員、全国市長会の岡﨑構成員、全国知事会の長崎構成員、国民健康保険中央会の中野構成員からは、欠席の御連絡をいただいております。また、長崎構成員にかわりまして砂田様に、中野構成員にかわりまして三好様に御参加いただいております。
続いて、本日の検討会は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催としておりますので、発言の仕方などを御説明させていただきます。会議中、御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、座長の指名を受けてからマイクのミュートを解除して御発言をお願いします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。議題に対して御賛同いただく際には、カメラに向かってうなずいていただくことで、いわゆる「異議なし」の旨を確認させていただきます。
なお、新型コロナウイルス感染防止対策のため、傍聴は報道関係者のみとさせていただいております。
次に、資料の確認をお願いいたします。議事次第、座席表、資料1、資料2になります。不足等あれば、お申し出ください。
それでは、以降の進行を座長にお願いいたします。
会議冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。
○津下座長 座長の津下と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
早速議事に入りたいと思います。本日の議題は、加減算、または協会けんぽにおけるインセンティブなど、保険者インセンティブに関する話題となっております。活発な御議論をよろしくお願いいたします。
まず議事1、加算基準・総合評価の数値基準の見直し、そして議事2、受診勧奨対象者の医療機関受診率の定義について、事務局より御説明をお願いいたします。
○吉井保険課長補佐 議事1、加算基準・総合評価の数値基準の見直し、議事2、受診勧奨対象者の医療機関受診率の定義について、続けて御説明させていただきます。
資料1、後期高齢者支援金加算・減算制度の見直しについて をご用意ください。
初めに、資料の御説明に入ります前に、本検討会における加算・減算制度の議論は約1年ぶりとなるため、本制度の趣旨とこれまで経緯について、簡単に触れさせていただきます。
後期高齢者支援機の加算・減算制度は、平成18年の医療保険制度改正において創設された制度であり、各保険者の特定健診の実施率等により、当該保険者の後期高齢者支援金の額について、一定程度加算または減算を行うものです。その後、平成27年には、「日本再興戦略2015」において、「被保険者の健康の保持・増進や医療費適正化等に向けた保険者の努力を促すよう、特定健診・特定保健指導の実施状況や後発医薬品の使用状況等を積極的に評価をするメリハリの効いたスキームとすべく検討を行う」とされたことを受けまして、加算・減算率の法定上限を10%とする第3期加算・減算制度が平成30年度より始まりました。
第3期加算・減算制度の最初の対象実績である2017年度実績の前年の2016年実績から直近の2019年度実績までの変化を見ますと、第3期前半の3年間を通じて、保険者の皆様の御尽力により、特定健診・保健指導の平均実施率が伸びてまいりました。特定健診の平均実施率については、健保組合で申しますと、2016年の75.2%から、2019年には79.0%に、共済組合では76.7%から79.5%に上昇いたしました。特定保健指導の平均実施率については、健保組合で19.2%から27.4%に、共済組合では23.2%から30.7%に伸びました。
こうした状況の中、第3期の中間年度でありました昨年度、第3期後半の加算・減算制度の中間見直しを行い、約1年前の本検討会において、その内容を諮り、御了承をいただいたところでございます。
本日は、その中間見直しにおいてペンディングとしておりました論点2つを資料1でお諮りしたいと存じます。
それでは、資料1、2ページをごらんください。まず最初に振り返りでございますけれども、今申し上げましたとおり、昨年度、中間見直しをさせていただいた際には、真ん中にございます成長戦略フォローアップの内容を踏まえて、検討を行っておりました。しかしながら、赤字で書かせていただいております「配分基準のメリハリを強化する等の見直しを行う」という点に関して、当時の実績等から、そのメリハリの強化ができていなかった、加算対象の拡大ができていなかったということから、加算対象の上限に関しては、2021年度に再度検討するということとさせていただいておりました。
3ページをごらんください。こちらは、約1年ほど前の本検討会の資料の抜粋でございますけれども、左下の赤枠で囲ってある部分でございますが、2022年度実績における加算対象の上限、すなわち中間見直しの最終年度である、この表で申し上げますと一番右側の列になりますけれども、その加算対象の上限については、2019年度実績をもとに、2021年度中に設定をするということとさせていただいておりました。
4ページをごらんください。昨年度、中間見直しの際に、どのような考え方で加算対象の上限に関する設定をさせていただいたかを、再度、こちらも抜粋をさせていただいております。上の枠囲みの2ポツをごらんいただければと思いますが、基本的には、2つの条件、そのいずれかをクリアできている場合には加算には当たらないという考え方で、加算対象の上限を設定させていただきました。2つの条件というのは、1つは、全保険者目標を達成できていること、もう1つは、保険者種別に見て、保険者種別毎の実施率の平均値を大きく下回っていないこと、その2つの条件でございました。特にその2つ目の条件を数値の定義に置き直したものが、「保険者種別毎の実施率の平均値-1標準偏差」ということでお諮りをさせていただきました。
昨年時点での数値の計算結果が、4ページの下の表にございます。例えば単一健保の特定健診のところをごらんいただきますと、①実施率の平均値81.4%から②標準偏差の8.5を引きまして、①-②で72.9%という数字がございます。これと特定健診の全保険者目標の70%を比較して、より低いほうを加算対象の上限とするということで、単一健保の特定健診の加算対象の上限値に関しては70%という形で設定をさせていただきました。
他方で、特定保健指導に関しては、少し右側を見ていただければと思いますが、同様の計算をした結果、①-②が9.1%ということで、現行の加算対象の上限10%よりも低い値となってしまっていたということから、加算対象の上限を引き下げるということではなく、加算対象の上限を据え置くということを御提案させていただき、御了承いただいたところでございます。
したがいまして、この9.1という数字に関して、昨年度時点では2018年度の実績を用いて計算したものでございますが、今年度、もう一度2019年度の実績を用いて計算をし直すということで、昨年度、ペンディングにさせていただいておりました。
5ページをごらんいただければと思います。もう1点文脈を補足させていただきますと、昨年度お諮りをさせていただいた際に、もう1つ、特定保健指導の実施方法の見直しについてということでとお諮りをさせていただきました。コロナ禍の中でも、特定保健指導を着実に推進していただくという観点から、2点、特にICTの活用という観点から実施方法の緩和について、お認めをいただいております。
1つが、初回面接における「グループ支援」でのICT機器を用いた初回面接の実施をお認めいただいております。
もう1点が、継続支援におきまして、ICT機器を用いたポイントに関して従来より高い点数を配点するということについても、お認めをいただいております。
このような文脈の中で、今年度、本検討会にお諮りをする前に、この本検討会の下にございます加減算ワーキングのほうで、保険者の皆様、それから学識の皆様に御参加をいただきまして、検討をさせていただきました。そのワーキングにおける検討結果を本日お諮りするものでございますけれども、本ワーキングにおいて、どのような御意見、議論があったのかということを簡単に御紹介させていただきます。
ワーキングでの意見としては、今後も感染症拡大の懸念はあり、そのようなことに鑑み、機械的に引き上げるのではなく、据え置きを要望したい。
また、2022年度の状況がどうなるかまだ見えないけれども、2021年度の足元の個別の状況としては、①緊急事態宣言で健診そのものやデータ処理のおくれが生じている、②ICTを活用した遠隔面談も思うように進んでいない、③被扶養者の足が遠のいている、④健診当日の特定保健指導初回面談を辞退して帰宅する方もいる、という声も出ているというような御意見もいただいておりました。
また、こうした声を踏まえ、今の計算式を使うのであれば、現状を定量的に把握するべきである。仮に加算対象の上限を引き上げるとしても、2023年度以外の年は、いずれも最も低い加算率が1%未満に設定されており、2023年度も、そのように設定することが妥当ではないかといった御意見をいただいておりました。
こうしたワーキングでの御意見、議論を踏まえまして、まず事務局のほうとしては、6ページ、7ページにございますデータを御提示させていただきました。こちらのデータに関しては、速報値、何かしら議論に資するようにということで、完全ではないという理解のもとではございますけれども、現在の状況をお示しするためにデータを御提示させていただいております。
具体的には、右下のほうに少し小さな字で書かれておりますけれども、日本保健指導協会に御協力をいただきまして、複数の民間事業者の方々から御提出いただいたデータをもとに、データを記載しております。したがいまして、保険者さんから民間事業者さんに委託をされた件数としても全数ではないということ、加えまして保険者さんの雇用されている保健師の方々が行った保健指導に関してはカウントをされていないといったデータの制約がございますことに、御留意をいただければと思います。
6ページのグラフでございますが、左側は2019年度から2021年度の月次での特定保健指導初回支援の実施件数、右側に関しては、同じ月次の件数を年度単位で累計したものでございます。青色がコロナ前の2019年度、赤色が2020年度、緑色が2021年度となっております。これをごらんいただきますと、赤い2022年度は、当然ではありますが、4月、5月と大きく数字が落ち込んでいるというところが見て取れるかと思います。一方で、2020年度も、その後は御努力をいただきまして、年度末までにはおおむねコロナ前の2019年度に近い数字の実施件数となっております。さらに、今年度、2021年度に関しては、8月までのデータとなっておりますけれども、青いコロナ前と比較をしても、約3割程度上回る実績で特定保健指導の実施を推進していただいております。このように、コロナ禍の状況ではございますけれども、着実に保健指導を実施してきていただいているというところが、1つの状況でございます。
また、そのような特定保健指導の実施件数が延びている背景としては、昨年度お諮りをいたしましたICTによる実施の緩和というものをお認めいただいたことが、1つの要因となっていると感じております。
7ページをごらんいただければと思います。グラフが3つございますけれども、一番右側のグラフをごらんください。こちらは、毎月行われた初回面談の中で、ICTを用いて行われた件数の割合を記載しております。この中の青いグラフに関しては、平均で3%未満であったということに対して、緑色の今年度に関しては、約4割ということで、こうしたICT機器を用いた保健指導の推進というものが、全体の数字の押し上げにつながっているものと考えております。
こうした足元の状況も踏まえまして、8ページをごらんいただければと思いますけれども、昨年度の中間見直しで御提示をさせていただきました考え方に沿って、直近の2019年度の実績を用いて再度計算をさせていただいた結果というものが、下の表となっております。単一健保に関しては、右側の赤い数字でございますが、11.4%ということで、現行の加算対象の上限の10%と比較をして、より高い数字が出ております。同様に、共済組合に関しても13.5%ということで、現行の上限11.7%よりも高い数字となっております。したがいまして、単一と共済組合に関しては、この11.4、13.5を新たな加算対象の上限としてはどうかと思っております。
一方で、総合組合に関しては、一番右側の数字3.9%ということで、2018年度実績を用いた数字の3.1%よりは上昇しておりますけれども、引き続き現行の加算対象の上限5%よりも低い値となっておりますことから、総合組合に関しては、加算対象の上限を据え置いてはどうかと思っております。
その上限を踏まえまして、再度、加算率の設定をしたテーブルをお示ししたものが9ページでございます。9ページは、まず左側から2番目の列でございます共済組合について申し上げますと、昨年時点での上限11.7%だったところに対して、11.7から13.5の箱をつけ加えております。これに対して、11.7から13.5の箱に関しては、ある意味で、共済組合における保健指導推進の努力の結果、引き上がった数字ということもございますので、またワーキングでの御意見も踏まえまして、最終年度の加算率については1.0%ということではなく、一番右下の数字になりますが、0.5%という数字を設定してはどうかと考えております。
1つ左側の単一健保に関しては、共済組合でこのように2段階の設定になっているということを踏まえまして、10から11の箱、それから11から11.4の箱をそれぞれつくりまして、加算率の設定を行っております。
以上が、加算における特定保健指導の実施率に関する数値基準の御説明でございます。
続きまして、10ページでございますけれども、同様に特定保健指導の実施率に関しては、減算の評価指標でも使われておりますので、その点についても御説明をさせていただきます。10ページの赤枠で囲ってある中の赤字で書かれているところでございますが、単一健保、共済では30%、総合健保については15%というものが、減算対象になる上での1つの基準値として設定をされております。この30%、15%という数値に関しては、各保険者種別毎の実施率のおおむね平均値ということで、このような数字を設定しております。この数値に関しても、2019年度の実績を用いて再度平均値を計算しておりますけれども、こちらに関しては、大きな変化はなく、かつおおよそ平均値という設定を行っていたこともございまして、こちらに関しては基準値を変更せず、据え置くこととしてはどうかと考えております。
議題1の御説明は以上となります。
議題2の御説明も続けてさせていただきます。議題2は、受診勧奨対象者の医療機関受診率の定義ということでございます。
12ページをごらんいただければと思いますが、赤枠で囲ってあるところ、受診勧奨対象者における医療機関受診率というものを、昨年の中間見直しの中で総合評価項目の新たな指標の1つということで加えさせていただいております。この指標の定義について、昨年度お諮りした時点では、詳細な定義をつけておりませんでした。それに対しまして、保険課のほうからQ&Aという形で実務上は健保組合にはお示しをしておりますけれども、改めて本検討会についても、定義など統制をお諮りしたいということで、本日お時間をいただいております。
受診率の数値の定義をするに当たり、分母、分子を分けて記載しております。
分母に関しては、その真ん中の箱になりますけれども、標準的な健診・保健指導プログラムの別添資料(フィードバック文例集)において、すぐに医療機関の受診が必要とされている基準、これに従いまして(1)から(6)の検査項目及びその基準値を用いて判定してはどうかと考えております。
それから、分子に関しては、その下の箱になります。①、②、2つのいずれかに該当するものに関しては、医療機関を受診したというふうにカウントしてはどうかという案でございます。①に関しては、特定健診の質問票を用いまして、血圧、血糖、脂質に関する薬の服用をしているかという質問に対して、「はい」と回答している方に関しては、医療機関を受診をしているというふうにカウントしてはどうかと思っております。
しかしながら、それだけですと、人によっては医療機関を受診していても薬を服用していないということも考えられますので、②におきまして、レセプトにおいしても確認をしてはどうかということで、②のほうも御提示をさせていただいております。②に関しては、以下の記号が羅列されておりますけれども、以下のICD-10コードに分類される疾病、そのような疾病がレセプトに記載をされている場合に、血圧、血糖、脂質に関する疾病で受診したというふうにみなしてはどうかと考えております。
12ページの記号の羅列に関しては、これだけではわかりづらいと思いますので、13ページのほうで、どのような考え方でこの設定を御提案しているのかということを記載させていただいております。13ページをごらんください。本検討をするに当たりまして2つの先行事例がございますので、その2つの事例を突き合わせて検討させていただいております。一番上の枠囲みのところに書いてありますが、1つの材料としては、本検討会のワーキングの1つでございます効果検証ワーキングにおける取りまとめでございます。効果検証するに当たり、血糖、血圧、脂質に関する疾病、これを定義しております。それが1つ目の材料でございます。もう1つが、協会けんぽのインセンティブ制度でも、この指標と似たような指標での評価を行っておりまして、そこにおける疾病の定義、これを材料の2つ目として検討させていただきました。
結論としては、その2つの材料を突き合わせまして、最も広く取る場合を取って分子にカウントしてはどうかと考えております。その詳細を記したものが下の表になります。
まず、①のところでございますが、当然ではありますが、その2つの材料で共通する部分のコードが大部分でございました。具体的には、1個右側の真ん中の列になりますけれども、高血圧症、脂質異常症、糖尿病に関するコードが並んでございます。こういったコードに関しては、当然ながら、医療機関を受診したという分子に含めてはどうかと考えております。
それから、②でございますが、こちらは協会けんぽの基準にはございますが、効果検証ワーキングの要件になかったものということで、具体的には、限局性脂肪症、肥満(症)、その他のコードが並んでおります。こちらに関して、効果検証ワーキングでは、3疾患にかかる効果検証を目的としていたために、こちらに並んでいるようなコードに関しては、疾患にあたるか疑いのあるものに関してはあえて除外をしていたということかと思いますけれども、加減算の総合評価項目では、あくまでも医療機関の受診の有無を確認するということが目的になりますので、こういったコードも含めるということを御提案しております。
それから、③でございますが、逆に効果検証ワーキングの要件にはありますが協会けんぽの基準にないものということで、具体的には、右側にあります診断名の記載がない血液検査の異常という3つのコードがございます。こちらに関しても、健診で異常値が出てしまった方に関しても、何らかの理由で、その後、医療機関を受診するまでには正常値に戻っているということも考えられまして、そういった場合に、こうした診断名の記載がない血液検査の異常というコードがつくことも可能性としてございますし、事実そういったレセプトもあるということから、こうしたレセプトも実際に医療機関を受診したということで、分子にカウントしてはどうかと思っております。
最後に④ですが、効果検証ワーキングのほうでは、生活習慣以外の原因による疾患、真ん中に書いてありますが、例えば遺伝性の疾患である1型糖尿病などのようなものに関しては、効果検証という観点、生活習慣病の予防という観点では、遺伝性の疾病に関しては除外をして効果検証を行ったということがございますけれども、先ほどと同様になりますが、本検討の中ではあくまで医療機関を受診しているかどうかその確認をするということが目的でございますので、こういった除外はしないということを御提案させていただいております。
以上の13ページの考え方に基づきまして整理をされたコードが、12ページの分子、下段のところに書かれているコードでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○津下座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの御説明に対して御質問、御意見がございましたら、御発言いただきたいと思います。お1人、2、3分程度での御発言でお願いしたいと考えます。
まず議題1、加減算の数値基準について、御意見、御質問がございましたら挙手等をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。「手を挙げる」のボタンを押していただくということです。
それでは、河本構成員、お願いいたします。
○河本構成員 ありがとうございます。
議題1の加算対象における特定保健指導実施率の上限引き上げについて、意見を申し上げます。先ほど御説明いただいた資料の6ページ、厚生労働省は、特保の実施件数について、2020年の秋以降は2019年度と同水準で推移をし、2021年の春から夏は19年度の同時期と比較しても伸びているので、コロナの影響から既に脱しているというような御説明されております。これは先ほどの御説明にございましたが、このデータは保健事業を主な事業としている大手の事業者8社のデータであること、ここに注意が必要だと思います。この大手8事業者のデータは、特定保健指導実施件数全体の4割程度と伺っております。事業主あるいは中小の健診機関が実施するケースにおいて、大手事業者と同様にICT導入が進んでいるとは限りませんので、このデータだけをもって、コロナの影響から脱しているとは言えないのではないかと考えております。コロナの影響も組合の個々の状況により異なることも想定されますので、、加算猶予申請時においては個々の組合の事情に寄り添った対応を要望します。
また、第4期の制度検討が進むと認識をしており、この第4期に向けての制度検討の中で保健指導の在り方等が検証されますが、加減算制度の在り方そのものについても、財源を含めて検討会の場で検証、検討を行うべきだと考えております。この検討会で議論、検討をするのか、あるいは別の検討会やワーキングで検討するのか、検討の場とスケジュール感をお示しいただきたいと思います。さらに加えて、第4期に向けては、事業主健診との調整などの健診の在り方等々、さまざまな検討項目があると思います。この健診についても、検討の場を、ワーキングも含めて、どこの検討会で、どういった形で検討されるのか全体像と、スケジュール感を示していただきたいと考えております。
○津下座長 ありがとうございました。ただいまの件、非常に重要と思います。コロナの影響が大きかった保険者に対して、一律にということなのかどうか。また、加減算の第4期の検討、このあたりについて、事務局、いかがでしょうか。
○吉井保険課長補佐 ありがとうございます。
第4期に向けてということでございますけれども、まず、当然ながら並行して第4期の特定健診・保健指導に向けた見直しの検討会がございますので、当然ながら加算・減算制度に関しても、その議論の内容に関しても、影響を受けるものというふうに思っております。したがいまして、スケジュールとしては、来年度、第4期に向けた見直しの検討会と並行しながら、その状況を見ながら、議論をしていただくということになろうかと思っております。また、検討の場に関しましては、これまでの枠組みを踏襲いたしまして、本検討会を親会として、その下のワーキングで、保険者の皆様、それから学識の先生方に議論いただいたものを本検討会にお諮りをしたいと考えております。
○津下座長 ありがとうございます。
もう1点、コロナの影響について一律ではないという御発言がありましたけれども、その点への配慮というのはいかがでしょうか。
○吉井保険課長補佐 ありがとうございます。
コロナの影響は、個別の保険者さんの事情に関しましては、従前からも加算の枠組みの中で加算除外という枠組みもございまして、その中で個別の保険者の責めに帰さないような理由で加算対象の水準となってしまった場合には、その緩和をさせていただくというようなスキームがございますので、その中で対応させていただきたいと考えております。
○津下座長 ありがとうございました。
河本構成員、いかがでしょうか。
○河本構成員 ぜひともよろしくお願いいたします。
第4期に関して、どういった検討項目を、どういう場で、どういうスケジュールで検討していくのか、その全体感が見えづらいところがあるので、できるだけ早くお示しいただきたいと思います。
○津下座長 ありがとうございました。
ほかの構成員から、御意見、御質問等がございますでしょうか。
今回の加算・減算評価については、健保組合、また共済組合等が、その対象となるというふうになっておりますけれども、御意見等はございますでしょうか。
今村構成員、お願いします。
○今村構成員 ありがとうございます。
2つ目の受診勧奨対象者のお話でもよろしいのでしょうか。
○津下座長 はい、結構でございます。
○今村構成員 分母、分子のお話で改めてちょっと確認なのですけれども、今回、この「受診勧奨対象者」という言葉で挙げられているのですけれども、これは特定健診の用紙の中にもありますし、その用紙だけの問題ではなく、実際のルールとして、受診勧奨の数値というのは、この12ページの真ん中に書いてある分母にすると言っているものとは、これは違っていますよね。これは、今回フィードバック文例集に書いてあるのは、すぐに医療機関ということなので、ある意味、緊急性とまでは言わなくても、もう明らかに誰が考えても、これは医療をもうすぐに受けたほうがいいというレベルの血圧とか、脂質であるとか、血糖値の数値が挙げられていて、極めて限定的な分母にされているのですよね。もしそういうふうにして限定した形の中の分母で受診勧奨を考えるのであれば、これは「受診勧奨」という言葉を使うと、いわゆる特定健診の中の受診勧奨判定値という数字とずれてしまうので、極めて混乱を招くとか誤解されるのではないかと思っているのですけれども、その辺はいかがなのでしょうかということを確認したかった。
○津下座長 事務局より何かコメントはありますでしょうか。
○吉井保険課長補佐 御指摘どうもありがとうございます。
標準的な健診・保健指導プログラムの資料の中で受診勧奨判定値となっている中が、さらに検査項目によっては2段階に区分され、そのより高い数値がフィードバック文例集の中で、すぐに医療機関の受診が必要とされている基準になっているという点を御指摘いただいているところだというふうに理解をしております。確かに名称に関しては、同じ「受診勧奨対象者」としてしまうと混乱しかねないという点は、御指摘のとおりかと思いますので、名称に関しては再度検討したいと思います。
○津下座長 ありがとうございます。すぐに受診、先ほどの文例集の言葉を活用するとか、そういうことになりますでしょうか。受診を急ぐ対象者におけるなどの形でよろしいでしょうか。
ワーキングでもこのことを議論した内容をお伝えしますと、例えば受診勧奨判定値で血圧が140の90としますと、健診の一度だけでその数字で、さらに、測り直したときに、その基準に達しないという変動もありますし、まずは生活習慣改善を優先するということもありますので、140、90を分母にしてしまうということに対しては、少し対象者が大きすぎないかというご意見。またLDLコレステロールについても、受診勧奨判定値は140になっているのですけれども、動脈硬化症のガイドラインでも、ほかのリスクとあわせて勘案して治療方針を定めるということで、保険者が特に重点的に受診勧奨する対象者としては少し範囲をせばめたほうがよいのではないかというようなことも、ディスカッションされたというふうに記憶しておりますけれども、いかがでしょうか。
○今村構成員 まさしく津下先生がおっしゃるとおりで、今の血圧に関しても、大体、その外来に来られて緊張してはかるときには、通常の家庭血圧と相当違うという方もそれなりに多いので、それだけですぐに医療を受ける必要があるかどうか。医療機関で生活習慣の指導を受けるということもあるとは思っています。極めて今の特定健診のいわゆる受診勧奨というルールが適切かどうかという部分で、改めてその数値を変えるという議論があっても、私はよろしいのではないかと思うのですけれども。
今回、この「受診勧奨対象者」という言葉で言うと、少なくとも今の制度の中では、血圧が140を受診勧奨としてしまっているので、そうすると、それと違った数値となるものが、同じ言葉を使われること自体は誤解を招きやすいと。そういうことを申し上げましたので、事務局のほうで、そこをちょっと考えるという御返事もいただいたので、少し本当に中身に適切によくわかるようなものにしていただければ、それはそれで結構だと思います。
以上です。
○津下座長 ありがとうございました。
それでは、ほかの御意見ありますでしょうか。伊藤構成員、お願いいたします。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
先ほど河本委員から指摘がありましたが、私どもも加減算制度そのものの在り方をぜひ検討していく機会をつくってほしいと思っております。もともとこの特定健診・保健指導というのは、やることが求められている、また保険者としても保健事業としてやるべきことがもともとあるわけですから、それを加算・減算という仕組みを使うということが適切なのかという問題意識を持っております。
ぜひ検討する際には、この加減算の仕組みが健診・保健指導の実施を促すことを通じて、医療費の適正化に全体としてどれだけ寄与しているのか、研究結果を示していただきたいと思っております。この保険料の移転という仕組みを通じて、全体の医療費の適正化が進むとすれば、そのメカニズムをはっきり見せていただきたいのです。そうすると、やっぱりこの仕組みはより意味があることなのだと、もしかしたら腑に落ちるかもしれませんし、また、そうでなければ見直す必要もあるだろうと思うので、この保険料負担を保険者間で移転することの意味を、医療費適正化の観点から示していただきたいと思います。
以上です。
○津下座長 ありがとうございました。御意見として伺う部分と、事務局より何かコメントはございますでしょうか。
○吉井保険課長補佐 ありがとうございます。
医療費適正化への貢献に関しては、先ほども触れました検討会でも議論がされていることかと思いますけれども、加減算としては、そこで決まった特定健診・保健指導の制度をいかに保険者さんに推進していただくかという観点から、先ほど申し上げましたが、本検討会で議論をしていただきたいと思っております。
○津下座長 ありがとうございます。
ワーキングで出てきた資料を見ますと、特に実施率の低い保険者さんが減ってきたという傾向が見られていまして、一定、加減算というインセンティブが保険者さんには作用しているのだろうなというのは感じ取ることができました。
また、一方で、健康スコアリングなどの結果を見ますと、やはり健診受診率、保健指導実施率というのは加入者の健康状態のスコアとも関係がありそうだということです。因果関係というのはなかなか難しいのですけれども、やはりそういう取り組みを地道に進めていく保険者さんが増えていくといいのかなと思います。保険者さんの応援になるような制度設計をきちんとしていかなければいけないと、そういう御意見でよろしいでしょうか。
それでは、ほかの構成員の皆様から御意見等はございますでしょうか。
先ほどの受診勧奨の判定値のお話についてでも結構でございますが、今村構成員のおっしゃられたように、名称として基準が違うのに同じ言葉を使う混乱を避けたほうがいいかなというのは、御指摘のとおりかなというふうに思いました。
いかがでしょうか。特に御異論とかございませんでしょうか。
議題1に示されましたように、今回は、前回の検討会での積み残しといいますか、数字が固まっておりませんでしたけれども、9ページにございますような、2023年度の加算対象の考え方については、この事務局案で実施するということについて、お認めいただくということでよろしいでしょうか。
御異論ないということでよろしいですか。御了承いただければ、うなずいていただければと思います。
ワーキングでも御議論いただいた中で、これまでの積み上げと、そして足元のデータなどを確認しながら、また、河本構成員がおっしゃるような、コロナ禍で、保険者の責めによらない実施率の低い保険者さんについては配慮するという条件の中で、この方式で実施するということについて、御了承いただいたということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それから、受診勧奨対象者の医療機関の受診率の定義につきましては、こちらに示しましたように、協会けんぽさんでやっている基準もありますが、それから医療費適正化ワーキングで活用したという、それぞれちょっと考え方が違うもので先行するものがございましたが、両者のより幅広に取ってといいますか、より受診したという状況を確実に把握できるようにという考え方で定義をしたいという案になってございますけれども、これもお認めいただくということで、よろしいでしょうか。御異議等はございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、議題1、議題2につきましては、特に御異議がなかったということで、この方向で進めていただくことといたしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、次の議題でございます。協会けんぽにおけるインセンティブ制度の見直しについて、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
○吉井保険課長補佐 資料2、協会けんぽにおけるインセンティブ制度の見直しについてを御用意ください。
まず、表紙のところにございますけれども、真ん中に※書きがございますが、資料の位置づけとしては、こちらの昨年11月26日に協会けんぽの意思決定機関である運営委員会においてお諮りいただき、運営委員会として御了承いただいたものに関しまして、政省令の改正が必要となるものがございますので、今般、改めてこの本検討会にお諮りをさせていただくといった趣旨で、位置づけのものでございます。
1ページをごらんください。今回、協会けんぽにおけるインセンティブ制度の見直しに当たりまして、大きく3つの文脈を踏まえた検討を行っていただいておりました。
1つ目が、1つ目の箱になりますけれども、令和2年の成長戦略フォローアップの記載事項に基づきまして、①成果指標拡大、②配分基準のメリハリの強化等、③予防・健康づくりの取組の一層強化、こういったことが検討事項となっているということを踏まえて、検討を行っていただいております。
それから、2つ目に、1つ下の箱になりますけれども、昨年度、中間見直しを行いました加減算制度における議論の内容も踏まえて検討を行っていただいております。④として記載をさせていただいておりますけれども、加減算において、加算からも減算からも遠い中間層にもインセンティブが十分に効くようにという考え方で検討しておりましたけれども、この件に関しても踏まえて検討を行っていただいております。
それから、一番下の箱になりますけれども、協会けんぽの中の運営委員会、それから47支部の評議会におけるこれまでの主な御意見、こういったものも踏まえて検討を行っていただいております。具体的には、⑤、これは例えばということでいうと、後発医薬品の使用割合などのように、その数値が改善をすると即時的に医療の給付が下がる部分に関しては、インセンティブ制度でも指標として用いると、その部分がダブルカウントになるのではないかという御意見が従前からあったという点でございます。
それから、2つ目に、⑥大規模支部に不利な仕組みとございますけれども、例えば東京などのような大規模な支部に関しては、期中の流出入、加入者の流出入も多くございまして、そういった方々に関しては、期中で流入された方々に関しては、その期中から改めて健診・保健指導の案内から始めなければならないということで、どうしても実施率が伸びづらいといった構造的な原因があるということがございます。
それから、⑦でございますが、協会健保のインセンティブ制度の仕組みとしては、47支部から一律に加算として取ってくるインセンティブ分の保険料率がございまして、それが0.01%になっておりますが、それでは規模としてインパクトが弱いのではないか。こういった御意見を踏まえた検討を行っていただいております。
2ページをごらんください。そのような文脈を踏まえまして、2ページの真ん中にございます①から⑦、今申し上げた7つの点でございますが、こうした基本的な考え方を持って協会けんぽの中で御検討をしていただいておりました。この7つの考え方に沿いまして、結果的に結論として、どの点を今回見直しの対象とするのか、またどの点に関しては、次回以降の検証対象にしたいのかという点に関しては、後ほど整理をさせていただきますけれども、まず3ページほうで、協会けんぽに検討いただいた結論としての見直し案を御説明させていただければと思います。
3ページの左側が現行の評価方法、それから右側が見直し後の評価方法となっております。主に4点ほど変更点がございます。まず1点目でございますが、指標1、指標2と書いてあるところ、その下に小さな字で恐縮ですけれども、評価割合として実施率の対前年度上昇幅、それから実施件数の対前年度上昇率、これがそれぞれ20%というふうに記載をされています。それが右側では25%ということで配点が上がっております。
こちらの考え方といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、1つには予防健康づくりの一層の取り組みの充実ということで、実施率だけ、実施率のそのものの配点が高くなってしまいますと、どうしても既に実施率が高い支部にとっては改善のインセンティブが働きづらいということから、上昇率の配点を拡大するということが1点。
それからもう1つは、実施率そのものに関しては、先ほど申し上げましたとおり、大規模支部にとってはやや不利な仕組みもあるということから、実施件数等の上昇幅の配点を拡大したいと、そういう意図でございます。
2点目が、指標の3でございます。指標3は、特定保健指導対象者の減少率ということで、まさにアウトカム、成果指標となっている指標でございますけれども、この配点に関しまして、左側では、全体250に対する50点ということで2割の配点であったところに対して、見直し後に関しては、全体320点に対する80点ということで25%の配点に高めるというところが意図でございます。
それから、主な変更点の3点目になりますが、3点目は指標4、左側で申し上げますと、医療機関への受診勧奨を受けた要治療者の医療機関受診率という指標でございますが、こちらに関しては、少し字面では説明が難しいところがございますので、8ページをごらんいただければと思います。
8ページの真ん中の図のところで、例として5月1日に健診受診をされた方に関するその後のフローをお示しさせていただいておりますけれども、5月1日に健診を受診された方が仮にいらっしゃった場合に、その後、健診機関から実際にデータが協会けんぽに届き、その後、受診勧奨の対象者を選定をして、実際に受診勧奨するまでにも当然時間がかかるということも考えますと、実際に受診勧奨できるのが11月末になっております。これまでの評価としては、この11月の勧奨後の3カ月間、12月から翌年2月までの受診を評価していたというところでございます。
これに関しては、もちろんその指標によって考え方はいろいろありまして、何がいい、悪いということではないかと思いますけれども、1つのデメリットとしては、その手前のオレンジの矢印のある部分、5月から11月に受診をした方々、すなわちこの方々に関しては、受診勧奨がなくても受診をした方々ということになりますけれども、そういった方々が一切評価の対象にならないというところが1つのデメリットでございました。
それに関して、先ほどの加減算における考え方と平仄を合わせるということにもなりますけれども、受診勧奨を送る前の方々も受診をされていれば、分母、分子を含めて、それも評価の対象とするということを変更案として御提案をいただいております。
3ページに戻ります。その指標の考え方の変更に伴いまして、指標の名前を、右側では医療機関への受診勧奨基準に該当する要治療者の医療機関受診率といった形で、指標の名前を変更しております。
それから、変更点の4点目になりますが、下の赤と水色のグラフの絵をごらんいただければと思いますが、これは、赤い部分に関しては、各支部、全47支部から一律に加算を取ってくる部分という一方で、水色の部分は、その加算を原資として配分する減算ということになっておりますけれども、左側で申し上げますと、水色の部分は全体の半分までかかる。すなわちその上位23支部を減算対象とするということになっておりますけれども、右側に関しては上位15支部、3分の1の支部を減算対象とするという見直し案でございます。こちらの意図といたしましては、成長戦略フォローアップの中で配分基準のメリハリをつけるといったことから、水色の三角形の部分の高さを、よりメリハリをつけるために、2分の1から3分の1に対象を絞るということで、そういった意図での見直し案でございます。
次に、4ページをごらんいただければと思います。こちらの縦軸が、先ほど申し上げた、今回の見直しに当たっての基本的な考え方①から⑦ということでございまして、その右側に、今回、見直しを行う項目がございます。この内容に関しては、先ほど3ページのほうで御説明をさせていただいた内容と一緒になりますので、説明は割愛をさせていただきます。
その上で、一番右側になりますけれども、今回、見直しは行わず、現行制度の枠組みそのものを見直す中で、改めて検討をしたいとしている項目に関して、御説明をさせていただきます。
まず1つが、一番上の①の成果指標を拡大するというところでございますが、新たな指標として、例えば「『健康経営(コラボヘルス)の推進』に関する評価指標」などに関しても、今回、一部議論の俎上にのぼったということでございますけれども、こちらの導入の是非について改めて検討したいというところが、1点目でございます。
それから、次の④のところでございますが、④と⑦をあわせて御説明をさせていただいたほうがわかりやすいかと思いますので、セットで御説明をさせていただきます。ちょっと図があったほうがわかりやすいかと思いますが、3ページもあわせてごらんいただければと思います。もともとの意図としては、インセンティブ不十分である層、すなわち協会けんぽの仕組みでいいますと、下位層にも効果を及ばせる、それから⑦でインセンティブ分の保険料率のインパクトを強めるということで、もともとのこの2つを考えますと、赤い部分の高さはインパクトを強めるということで少し引き上げた上で、水色の部分の高さも、右側の見直し後のような高さを維持しながら、より下位層にまでインセンティブを効かせるために、水色の幅を広げていくといったことも、1つの検討のオプションだったというふうに聞いておりますけれども、今回、⑦に関して、コロナ禍ということもあるかと思いますけれども、加算の引き上げについてコンセンサスが得られなかったということから、その範囲の中で配分基準のメリハリを強化するために、むしろ水色の部分の横幅に関しては2分の1から3分の1に縮めたという案になっておりますので、今後の検討に関しては、この2点をセットで改めて御検討をしたいという提案でございます。
それから、⑤に関してでございますけれども、先ほど申し上げた考え方では、後発医薬品の使用割合に関する検討を行っていたということでございますが、今回の見直し案としては、その点に関しては、変更は行っていない見直し案となっております。したがいまして、この点に関して引き続き検討を行うということとともに、国のほうでも「後発医薬品の数量シェアに関して、2023年度末までに全都道府県80%以上」とするという新たな目標も掲げておりますので、この点も含めて、踏まえて、今後、再度改めて取り扱いを検討していただくといった提案でございます。
以降のページに関しては、個別の検討の場で出された御意見でございますので、説明のほうは割愛をさせていただきます。
説明は以上となります。
○津下座長 ありがとうございました。ただいま協会けんぽにおけるインセンティブ制度の見直しについて、御説明をいただきました。
ただいまの御説明について、御質問、御意見がございましたら、挙手をよろしくお願いいたします。今村構成員、お願いいたします。
○今村構成員 ありがとうございます。
先ほどのお話にちょっと関係するのですけれども、今回の全体の点数を上げて配点を見直したということについては、まず、これはこれで結構だというふうに思います。
それの上で、4番にございます先ほどの議題2で私が御質問申し上げたことに関係するのですけれども、今回、「受診勧奨基準に該当する」という表現がございますけれども、これは期間の話を言っていることであって、「基準」という言い方をすると、さっきのような数値の基準、先ほど議題2のところで言っている基準というのは、数値のことを言っていて、今回のこの「基準」というのは、期間が前の長期間と幅広にとれるということを言っていると。ですから、なかなかこの言葉だけを聞いて、この中身を見た上で、よくお話を伺えば初めて理解できるのですけれども、まず、この見直し後という表だけでこの言葉を見ると、よくわからないなというのがございます。
それと、改めて標準的な健診・保健指導プログラムが健康局から出ているのを見ると、血圧に限って言えば160を超える、今回の先ほどの受診勧奨という分母にそれを使うというお話なのですが、これは「至急受診しなさい」という言葉になっております。先ほど津下座長がおっしゃったように、140以上については保健指導までやってみてということは書いてあるのですけれども、「3カ月後に医療機関で再検査を受けなさい」という言葉で書かれていると。ですから、医療機関で検査をすれば、これはもう多分診療になるわけですから、医療を受けたということになることで、基本的にはやっぱり140以上も、いわゆる要受診ということになるので、今回、この協会けんぽで書かれている、ページ数で言うと8ページの一番下のところに分母、分子のお話が出ているのですけれども、この分母というのは、さっきおっしゃった新たな「至急医療機関を受診しなさい」という受診勧奨を分母にしてということでよいのかどうかと、これは確認ですけれども、ちょっと事務局から御説明いただければと思います。
○津下座長 ありがとうございます。
事務局さん、説明可能でしょうか。または、協会けんぽさんで御説明可能でしょうか。
○中島構成員 ありがとうございます。協会けんぽの中島です。今村先生、御質問ありがとうございます。
この吉井補佐が的確に御説明いただいた資料2の3ページの指標4のこの「受診勧奨基準に該当する要治療者」というのは、先ほど資料1で御議論いただいたページでいけば、12ページにある数字でございまして、きょうの議論では、いわゆる「至急医療機関にかかられたほうがいいよ」というところの数字でございます。基本的に、協会けんぽとしては、健診・保健指導というものとあわせて、重症化予防という形で健康づくりの柱を1つ立てさせていただいておりまして、その中の取り組みとして、ここにあるような数字においては、別途支部のほうから御案内をして、早く医療機関にかかっていただかなければならないよという御案内を差し上げて、そこの指標ということでございます。
以上です。
○今村構成員 ありがとうございました。ここは明確になっていたので、従来の現行も、同じ判断基準で受診勧奨ということになっているということで、今回はそこが変わったわけではない理解でよろしいのでしょうか。
○中島構成員 発言させていただいてよろしいでしょうか。
○津下座長 はい、お願いします。
○中島構成員 今回のこのインセンティブ制度の見直しについては、そこは見直しておりません。ただ、協会けんぽとしては、この重症化予防施策の充実を期すために、来年度から新たにLDLコレステロールについても着目をして、この数値が180以上という方についても、新たに受診勧奨の対象にするという取り組みをやっていきたいと考えているということでございます。ただ、これはインセンティブ制度の見直しの枠の中でやるのではなくて、別途、協会けんぽのアクションプラン、事業計画の中の健康づくりの充実という柱の1つとしてやらせていただくという方向でございます。来年度からやらせていただきたいと思ってございます。
以上です。
○今村構成員 津下先生、よろしいでしょうか。
○津下座長 はい、どうぞ。
○今村構成員 ありがとうございました。今の御説明を聞いて改めてわかったのですけれども、これは協会けんぽとして、各協会けんぽの方たちに、しっかりとした、このことはこういうことなのだという、今のような中島構成員がおっしゃったような御説明をしていただければわかることだというふうには思います。こういう表だけを見て「受診勧奨」と書くと、くどいようですけれども、先ほどのいわゆる特定健診の判定値の話と、それから実際のプログラムの中に、先ほど書かれているように、140以上であっても医療機関を受診するようにという、いわゆる勧奨的なことがしっかり書かれている中で、言葉がひとり歩きしたときに、イメージするものがやっぱりみんな違っていて、至急医療を受けなければいけないというのはすごく大事なことなので、その方たちが確実に医療機関に行ったかどうかという判断をするために、この指標を使って、分母、分子を計算するということはものすごく意味があることだと思っておりますので、ぜひそうしていただければと思います。これは、厚生省にお願いするのか、協会けんぽにお願いするのかわからないですけれども、指標4の医療機関への「受診勧奨基準」という言葉が何を意味するのかというのが少しわかりにくいなということで、今のようなやりとりをさせていただいて初めて理解できるということなので、何かもしわかりやすい表現があれば補足をしていただけるとありがたいかなとちょっと思いました。
以上です。
○津下座長 ありがとうございました。
今村構成員、また中島構成員の御質問と討議の中で内容がよりわかってきたのですけれども、先日、私も協会けんぽさんの受診勧奨についての有識者会議というものに参加させていただいて、そこで協会けんぽさんが本部を中心として全国的に広く行う事業と、さらに二次的に各支部が重点的に行う基準などを設けて、しっかり取り組もうとなされているということを知りました。そういう意味で、今回、この受診勧奨について、インセンティブの対象にされているということは、単に特定健診・保健指導だけではなく、データを見ますと本当に高い検査値のまま何年もそのまま過ごしている方もみえるので、しっかりした受診勧奨というのも保険者の機能として評価されてくるようになってきたのだというふうに、私自身は受けとめております。今村先生がおっしゃったように、これからは、このあたりについて、さらにしっかりと検討していく必要があるかなというふうに、私自身も思いました。
どうもありがとうございました。
それでは、伊藤構成員にお願いしていいですか。
○伊藤構成員 ありがとうございます。
この件については、協会けんぽの運営委員会に私どもからも参画させていただき、議論をしてきました。本部の運営委員会だけではなく、支部の運営評議会にもほとんど出させていただいております。各支部の評議員は、このインセンティブ制度については、大変悩ましい、苦しい立場で、意見反映をしてきました。私たちは、この件について全国から集まってもらって検討しておりますので、それを踏まえて今日発言させていただきます。
令和4年度の実施分については、インセンティブをある程度強化することが求められている中で、4ページに記載のような考え方で改めて検討すべき課題を、引き続き検討しつつ、最小限の見直しをするという、今回の提案については、了承したいと思います。
ただ、やはり全体として減算のほうを減らして、今まで2分の1が加算だったのが、今度は3分の2のところを加算にして、3分の1が減算、もらえるという形に、メリハリをつける形にするわけですけれども、こういったインセンティブ制度による支部間競争の促進は、助け合いの制度である社会保険にとてもなじみにくくて、ましてや被用者保険のセーフティネットである協会けんぽにおいてこの仕組みを使うということに対して、非常に疑問の声が強いです。この点について、ぜひ、今後、丁寧な検討をしていただきたいと思っています。
前の議題でも申し上げましたけれども、この加算される部分の保険料が、どういう意味を持っているのかということをはっきりする必要があると思っています。協会けんぽの場合と健保組合や共済組合の場合とで仕組みが違うのですけれども、この保険料負担の移転により、なぜ減算される支部の保険料を他の支部が負担しないといけないのか、納得して負担できないんですよね。ですので、その負担をした結果としての効果がきちんと見えるようにしていただきたいということが、検討のまず第一歩の条件というか、必要な資料になってくると思っています。今後の検討のために、ぜひ念頭に置いていただきたいと思います。
以上です。
○津下座長 ありがとうございました。本当にお互いに助け合う保険の制度の中で、どうインセンティブを考えていくかという重要な御指摘だったかと思います。ありがとうございました。
ほかに御意見等はございますでしょうか。今回、協会けんぽさんのこの仕組みについて、このように示していただいたのは、私は検討会の中では機会が少なかったのかなというふうに思っておりまして、ほかの保険者さんからも御意見や御質問があるかと思いますけれども、いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
協会けんぽさんは、本当に非常に大きなデータのもとで、制度の検討をなされているということで、全国規模と各支部での状況など、詳細な情報をもとに今後も見直しを丁寧に行っていただければと思いますけれども、この方向で御了承といいますか、御了解いただいたというとこでよろしいでしょうか。
はい。ありがとうございます。
本日は、このいただいた議題、加減算、健保組合または共済の加減算、また協会けんぽのインセンティブ制度の見直しについて御議論いただきましたけれども、全体を通じて何か御意見等がございましたら、御発言がございましたら、挙手等をお願いしたいのですけれども、いかがでしょうか。
きょうの議題の中で、重症化予防というか、受診勧奨についても、これまでは「やっています」という定性的な評価だったのが、定量的な評価に向かっていくというのが、大きな転換点になってきたかなというような気もしております。大きなデータベースのもとに、適切に評価されて、より改善に向けていくという取り組みを続けていく必要があるかというふうに、私自身、感じたところでございます。
本日の議題は以上でございますので、事務局から、次回の日程と連絡事項をお願いいたします。
○吉井保険課長補佐 次回の検討会の日程に関しては、事務局で調整の上、改めて御連絡させていただきます。
○津下座長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しい中、御参集いただき御議論いただきまして、ありがとうございました。
〔了〕