第3回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会(議事録)

  1. 日時 令和4年1月21日(金)10時00分~11時52分
  2. 場所 労働委員会会館 講堂
    (東京都港区芝公園1-5-32 7階)
  3. 出席委員
    (公益代表委員)
    • 立教大学経済学部教授 首藤若菜
    • 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 藤村博之
    (労働者代表委員)
    • 全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
    • 全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
    (使用者代表委員)
    • 日本通運株式会社取締役執行役員 加藤憲治
    • 公益社団法人全日本トラック協会副会長、松浦通運株式会社代表取締役 馬渡雅敏
  4. 議題
    1. (1)改善基告示の見直しについて
    2. (2)その他
  5. 議事
    ○中央労働基準監察監督官 定刻になりましたので、ただいまから「第3回自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会」を開催します。本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則として報道関係者のみの傍聴としており、更に傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、会場備え付けの消毒液の御利用を始めマスクの御着用や咳エチケットに御配慮いただきますよう、お願い申し上げます。なお換気のために常時扉を開けさせていただきますので、あらかじめ御承知おきください。
    本日の委員の出欠状況ですが、1月4日付けで使用者代表の赤間委員が退任され、日本通運株式会社取締役執行役員の加藤委員が就任されました。なお、公益代表の首藤委員、労働者代表の世永委員がオンラインでの御出席となります。本日はオンラインでの参加者がおられますので、皆様御発言の終了後はマイクをオフにしていただきますよう、お願いします。御欠席の委員はおられませんので、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。
    また、国土交通省からオブザーバーとして、自動車局貨物課長瀬課長補佐に御出席いただいています。よろしくお願いします。
    続いてお配りした資料の確認をいたします。資料1、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5です。御確認をお願いします。
    それではカメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。これ以降の進行は藤村部会長にお願いします。どうぞよろしくお願いいたします。
    ○藤村部会長 皆さんおはようございます。ではこれから議事に入ります。まず議題(1)改善基準告示の見直しについて、事務局から説明をお願いします。
    ○過重労働特別対策室長 事務局です。それでは資料1、改善基準告示の見直しに関する御意見について説明いたします。まず、1ページです。1年、1ヶ月の拘束時間についてです。現行1ヶ月の拘束時間は原則293時間、これは98時間の時間外休日労働相当に当たります。これに対して使側からは、293時間を維持すべきという御意見があります。一方、労側からは1ヶ月の拘束時間は275時間とすべきという御意見がありました。
    その下、現在1ヶ月の拘束時間については、労使協定を締結した場合、年3,516時間の範囲で年6回320時間まで延長できるとなっています。320時間は125時間の時間外休日労働相当に当たるということになりますが、これに対して使からは、改正労基法の960時間の上限には休日労働は含まれていないので、拘束時間の見直しは、これを踏まえて行うべきだという御意見がありました。労側からは脳心の認定基準において月80時間、月100時間という一定のラインがあることから、1ヶ月の拘束時間の上限は年3,300時間の範囲内で294時間としたいという御意見がありました。これは、令和3年の実態調査結果等においても、多くの事業者が3,300時間未満で運行できていること、医師の時間外労働の上限規制も時間外・休日労働含めて年960時間であることにも留意すべきであるという根拠からです。
    2ページです。1日の拘束時間、休息期間です。1日の休息期間は現行継続8時間ですが、労側からは睡眠時間を考慮すると、現行の8時間が良いとは言えない。諸外国等を見て休息期間は11時間を中心に、検討を行うべきではないかという御意見がありました。一方使側からは、荷種とか業務の形態別に異なる基準を設けることができないのであれば、現行どおり8時間と言わざるをえないという御意見でした。
    そしてその裏返しになりますが、1日の拘束時間です。現行1日の拘束時間は13時間、最大16時間ということになっていますが、使側からは、これも荷種別など運行実態等を踏まえた見直しとしてほしいという御意見がありました。例えば、宿泊を伴う運行の場合は1日の拘束時間を18時間に見直してはどうか。その場合、休息期間を11時間とするなど、メリハリのある働き方の検討が必要だという御意見です。労側からは限定的な取扱いであっても18時間とするには難がある、認められないという御意見がありました。1日の拘束時間の延長回数、15時間超えが週2回までということについては、労使とも、これまで発言がありません。
    3ページ運転時間です。労側からは運転時間は現行どおりが妥当という御意見が、そして使側からは業務簡素化の観点から、運転時間管理は不要と考えるという御意見がありました。次に、連続運転時間は現行4時間です。そして4時間以内又は4時間経過直後に30分以上の「運転の中断」が必要、この場合1回につき10分以上、分割可となっています。これについて労側からは、連続運転時間は現行どおりが妥当だけれども、サービスエリア等が満車で駐車できない等の場合、一定の例外的な取扱いは検討の余地があるという御意見が、また、事業者によっては、休憩を取らせず「運転の中断」だけ遵守させている場合もあるので、労基法の休憩の考え方を併せて示すべきではないかという御意見がありました。
    また使側からは、連続運転時間は4時間から5時間に延長する。そして「運転の中断」は10分から5分に短縮するなど、荷種とか道路の混雑状況に伴って柔軟に対応できるよう、見直してもらいたいという御意見がありました。
    最後4ページ、特例、その他ですが、分割休息特例と2人乗務の特例、フェリーの特例、休日労働、その他とあります。
    分割休息特例については、現在分割した場合、全勤務回数の2分の1を限度として、1日において、継続4時間以上、合計10時間以上とすることができることとなっています。労側からは分割休息特例は、バスと同様に見直すべきだという御意見がありました。使側からは分割された休息は継続2時間に短縮できないだろうかという御意見がありました。
    次に2人乗務の特例です。現行は、1日の最大拘束時間を20時間まで延長することができ、休息期間を4時間まで短縮することができるとなっていますが、使側からは2人乗務は車内ベッドで眠る時間を全部休息期間と取り扱ってもらいたいという御意見がありました。フェリーの特例については、労使ともこれまで御意見はありません。
    そして休日労働については、2週間に1回という現行ですが、これは現行どおりで妥当というのが労使の御意見です。
    その他です。使側からは、事故、天候に加えて、荷主都合による遅延も例外的な取扱いを認めてもらいたいという御意見がありました。荷主においては改善基準告示の認知度が低い状況にあり、特に、着荷主について厚労省にも何かしら指導してもらいたいという御意見です。一方、労側からは荷主による遅延を例外的取扱いの対象とすると、規制が骨抜きになってしまうという御意見がありました。資料1は以上です。
    参考資料1に移りたいと思います。前半部分は前回の専門委員会で説明したものが入っていますので、具体的には24ページ以降を簡単に御説明します。厚生労働省が行っている「自動車運転者の労働時間改善に向けた荷主等への対策事業」です。
    赤枠の中ですが、平成27年に「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」というものを、厚労省、国土交通省、学識経験者、荷主、トラック運送事業者により構成して実施しています。そして、平成28年~29年にかけて、全都道府県でパイロット事業を実施しています。そこで得られた知見を元にガイドラインを作成し、平成30年度以降荷主の対策事業を実施しているという状況です。
    次のページですが、平成30年度からの取組です。30年度は、ガイドラインの内容に対応した改善ハンドブックを作ったり、荷主向けパンフレットなど周知用コンテンツを作成したりしています。令和元年度は、そのガイドラインの内容を周知するセミナーを実施しています。そして自動車運転者向けの労働時間改善に向けたポータルサイトも開設しています。
    令和2年度に入り、荷主向けの周知用アニメを発荷主向け、着荷主向けそれぞれ作成して、ポータルサイトも更に拡充しています。また荷主企業同士が意見交換を行うオンラインミーティングも開催しています。
    さらに令和3年度、本年度ですが、物流の問題について、国民も含めて意見交換をする「アイデアソン」を開催しています。また荷主間の協力についての連載方式の動画を公開しています。これはYouTubeで見られるようになっています。ポータルサイトのコンテンツも更に拡充しています。また荷主企業同士が意見交換を行うオンラインミーティングの開催も行っています。
    令和4年度の予定です。まだ中身は確定していませんが、令和4年度以降はトラック運送事業者と荷主向けの相談センターの設置や、訪問コンサルティングの実施をしたいと考えています。またトラック運送事業者の長時間労働改善についての荷主向け協力要請のリーフレットの改訂版を作成して周知していくこと。そして長時間労働改善の好事例をまとめたハンドブックの作成等を検討しています。
    26ページですが、ガイドラインの内容です。対応例として13例ぐらい載せて、こうすれば長時間労働が改善できますという内容を具体的に掲載しています。27ページは、荷主のための物流改善パンフレットで、これを様々な場面で周知をしているところです。28ページが荷主と運送業者のためのトラック運転者の労働時間短縮セミナーの実施状況ですが、全都道府県で実施しています。その次のページがそのセミナーの感想です。有用だったというのが全体の半分ぐらいを占めています。荷主も870人出席しております。
    次の30ページがポータルサイトの内容ですが、イベント情報ですとか企業向けであるとか国民向けに、さまざまなトラック運転手の長時間労働を取り巻く状況について説明する、そういったポータルサイトを開設しています。
    31ページですが、荷主とトラック運転事業者、一般の方に向けたイラストコンテンツ「始めてみよう改善活動」ということで、このようなポータルサイト上の取組も行っています。32ページは周知用動画です。発荷主向けの動画、着荷主向け動画、こういうものを令和2年、3年2月に公開しています。
    33ページですが、荷主企業どうしが意見交換を行うオンラインミーティングの開催ということで、令和2年度、令和3年度と継続してこれを実施しているということです。
    また34ページ、アイデアソンですが、これは国民と荷主と運送事業者が集まって、3チームに分かれて意見交換をするという取組ですが、令和3年9月から10月まで実施しております。テーマとしてはここに書いてありますように、卸売市場における待ち時間を解消したいとか、荷卸しにおける危険作業を改善したいとか、積込時間を短縮したいとか、こういったものをテーマにしています。参考資料1は以上です。
    続いて参考資料2、国土交通省様から説明をいただきます。よろしくお願いします。
    ○国土交通省オブザーバー みなさんおはようございます。国土交通省貨物課で総括課長補佐をしております長瀬と申します。どうぞ今日はよろしくお願いいたします。私自身着任してから1年半ほど経ちましたけれども、今回この作業部会に参加するのは初めてで、これまで議論を続けていただいていたことに感謝申し上げます。
    また今日は、この1年半の間、私自身もいろいろ問題意識を持って取り組んできたものが、少しずつ形になったことというのもお話させていただける機会をいただけたということで、大変に感謝を申し上げます。
    今日簡単にこの資料を使ってお話差し上げる内容については、いずれも最終的に、トラックの労使の皆さんの働く環境が良くなることにつながるように取り組んできたことです。そうしましたら、資料の説明に入ります。
    今回この資料の中に、荷主さんに対して行っていること、また荷主さんと一緒に行っていること、この両方について記載させていただきました。
    まず、1ページです。どちらかというとソフトな路線のお話ですけれども、「ホワイト物流」推進運動というのを進めています。これは、荷主さんと運送事業者の方々が一緒になって連携して、「よりホワイト」な職場づくりを目指していこうという取組を後押しするといったものです。
    荷主さんとトラック事業者のイメージが書いてありますけれども、荷主さんとトラック事業者がお互いに自主行動宣言というものを出していただいて、その取組を外部の目からも見ていただくというものにしています。
    2ページは、その自主行動宣言で、運送事業者と荷主企業に提出いただく内容で同様のものを提出していただいています。3ページです。この取組はSDGsという、国連の取組にもつながっていくものとして、この「ホワイト物流」を御説明しています。
    企業のCSRなど、企業にとっても外部からこのような社会問題解決に取り組んでいるということが、企業のブランディングにつながるであろうとか、またそれを見て、実際に一緒になって物流の効率化に取り組みませんかという声掛けをしたということも聞いており、新たなビジネスチャンスにもつながっているのかなと考えています。
    4ページ、この「ホワイト物流」の中では具体的にポータルサイトの運営や、最後に記載していますが、セミナーを毎月1回の頻度で開催していて、10月から今度の3月まで計6回の開催を予定しています。これまでこのセミナーには、荷主企業の方で延べ1,130名の方が御参加いただき、運送事業者の方の御参加681名に対して結構荷主さんも関心を持ってこのセミナーに参加していただいていると思って、大変ありがたく思っています。
    5ページ、こちらは先ほど申し上げた自主行動宣言です。昨年の10月31日時点で1,289社提出していただいています。
    6ページ、更に具体的な取組を後押ししようということで、一部の地域でかなり先進的な取組が行われているというものを、私たちもお話をいろいろな現場の方々にうかがって、ようやく幾つかすごく顕著なものとして見つけてきたものを、これからよりプッシュアップしていこうと考えているところです。
    例1と書いてあります秋田の事例ですが、これは現行の改善基準告示のぎりぎりの時間で物を運んでいる状況で、大体15時間とか16時間ぐらいかけて東京の方に物を運んでいた。これが改善基準告示の拘束時間が少しでも短くなるようなことがあると、労使お互いにということですけれども物が運べなくなってしまって、これは秋田の経済にも非常に深刻な影響を与え得るということで、大変問題意識を持って、県庁を始めトラック協会、JAの皆さんも一緒になってこの取組を育てていくということで、今秋田県で取り組まれているものです。
    こちらの取組は私たちも現地に行き、いろいろなお話を聞いて更に皆さんに取り組んでいただけるように、予算的なことも今後考えていって、後押しできればと考えているものです。
    もう1つはまた更に広域な取組でして、例2と書いてあります方は、九州の福岡と佐賀と長崎と、県をまたいだJAで1つのハブ拠点を作り、広域ストックポイントと呼んでいますけれども、そこから関西であるとか関東の方に、どっと一気に集めた荷物を仕分けをして出していくといった取組です。
    これ以外にも私はこういった取組をようやく見つけられたものだとか、こういった取組を紹介できるような場を探していて、国交省では兵庫県、静岡県、宮城県にも、JAの皆さんにこういった取組事例を紹介しているところです。
    7ページは、中継輸送の取組で、これは日帰り運行をドライバーの方にしていただけるように、自社内で取り組まれているようなものはあるのですけれども、それをもっと他社とも連携して取り組めるような環境整備を今後していけたらということで、国土交通省の方で取り組んでいるものです。
    一応取組事例集というのを出しましたけれども、これは1つの会社の中で閉じて自社の中でやっているというものが多くありましたので、今後はもっとオープンなプラットホームで取り組んでいただけるようなものにしていきたいと考えています。
    8ページ、ここから少しハードめの話が入ってきますけれども、現下の原油価格高騰の状況にかんがみ、これをしっかり運賃に転嫁しなければいけないということを呼び掛けています。その中でこれは荷主さんの理解の醸成を作る。理解醸成の場を設けて御説明差し上げたりとか、先ほど申し上げたJAの皆さんにも御説明差し上げています。
    この中で特に荷主への働き掛けを法的に行っており、まだ情報を集めている最中ですけれども、今後こういった契約関係の情報について、何かしら集められることがあれば法的な措置につなげていきたいということです。
    9ページ、こちらは中小企業庁と公正取引委員会の方々と協力して出しているビラでして、こういったものを使って周知活動に取り組んでいるところです。
    最後10ページです。先ほど申し上げた法的な措置というのは、平成30年に改正された貨物自動車運送事業法に基づいて行っていますけれども、これはホップ・ステップ・ジャンプと表現することが多いですが、最初はやんわりとした働き掛け、そこから要請、最終的には勧告とか会社の名前を公表するというようなことを、法的な措置として行っています。
    こういった情報については、公正取引委員会や、荷主、関係省庁、経済産業省、農林水産省と情報を共有しながら進めているということです。これまでの実績については、下にグラフの掲載がありますけれども、多かったのは長時間の荷待ちで、働き掛けを行ったケースが多かった。
    こういったソフト、ハードの両方の施策を用いて、改善基準告示を始めとした労働基準法を遵守していただけるような環境整備に、今後も引き続き国土交通省としては取り組んでまいりたいと考えています。今日はどうもありがとうございました。
    ○過重労働特別対策室長 ありがとうございました。続いて参考資料3と参考資料4ですが、参考資料3は今年度実施した実態調査の結果です。専門委員会のほうで説明をさせていただきましたので、本日は割愛をさせていただきます。
    そして参考資料4ですが、これも前回の専門委員会でお話した、3業態がそれぞれの項目ごとに分かるように並べた資料です。これも前回の専門委員会にお出ししていますので、説明は割愛させていただきます。最後に参考資料5は、現在の改善基準告示全体が分かる資料です。以上です。
    ○藤村部会長 どうもありがとうございました。それでは、これから資料1を基に議論をしていきたいと思います。議論に入ります前に、私から一言申し上げておきたいと思います。そもそもなぜ、こういう議論が始まったのかというところです。1つは過労死防止という観点から、長時間労働はまずいと。これを適正な水準に持っていく必要があるという問題意識がありました。
    それからもう1つ、労使双方から出てきた御意見として、若者から選ばれる産業にならないといけないと。今のような長時間労働の状態では、若者が入ってこない。そうすると産業の将来は危ういという御発言が一番最初にあったように思います。そういった問題意識で始まっておりますので、それを踏まえた上で具体的に拘束時間、あるいは休息期間をどのように設定していくのかという議論をしていきたいと思っております。
    資料1の1ページです。まずは「1年1ケ月の拘束時間について」という所から、労使双方に改めて御意見を頂いて、その上で議論をしていきたいと思っております。まずは使用者側からお願いできますでしょうか。
    ○馬渡委員 では、細かい点をお話する前に、私のほうも全体的なお話を少しさせていただきたいのですけれども、令和3年の調査を、アンケート等で労力をもってやっていただきました。ありがとうございました。
    我々もこのコロナというのが、令和3年ぐらいには少し正常化しているのではないかということも考えつつ、平常年のデータも知りたいということで、アンケートを昨年までやっていただいたのですけれども、残念ながらオミクロンの影響も含めて物量が、一時期は3割ぐらい減っておりました。それが平常年の状況になかなか戻っていない時点での調査ということになりましたので、全ての指標においては物量が減れば残業も減るし、休みもきちんと休めるという部分の結果となっております。
    我々も、これから忙しくなってくる実感から言いますと、人手不足も含めて、それに耐えうるような決め方をしていかないと考えています。細かい点では、この改善基準告示が良い面と、それから非常に通常の運行で、なかなか守りにくいようになっている面とがある。特に先ほどお話が出たような、着荷主さんの負う部分を考えると、どうしても私のほうからは着荷主さんを含めての荷主さんたちに対して、厚労省さん、若しくは監督署さんのほうから何らかの働き掛けを頂けると、実態として守れるようになっていくのではないかなと、依然として考えております。そういうことも含めて、今日は細かい話までならないかもしれませんけれども、できるだけ背景を説明しながらお話をしていきたいと思います。
    今回は加藤委員が初めてですので、加藤委員にも少しお話をお願いしたいと思います。
    ○加藤委員 今月から参加させていただきました加藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私は現職に就く前、去年の12月までは長野支店で2年間、それから首都圏で3年9か月、現場の責任者ということで多くのトラックドライバーとも接してきた経験がございます。そうした経験を踏まえながら、全体的なお話をちょっとさせていただきたいと思います。
    まずもって今回の見直しについて、これについては全く賛成でございます。やはり総労働時間の短縮のためには、一定の見直しをする必要があるということに全く異存はございません。ただ、やり方として、いわゆる1年の拘束時間、あるいは1か月の拘束時間について、ある程度多くを決めることについては全く問題ないのですけれども、一方で細かい規制といいますか、取決めを余りにし過ぎてしまうと、逆にその現場サイドで柔軟な運用ができなくなるのではないかといった危惧をちょっと感じています。
    実際の私の経験からすると、例えば連続運転時間の4時間というのがございます。これは労働者側の委員の方からも御指摘がありますけれども、当然現行のサービスエリア、パーキングエリア、高速道路における混雑状況によっては、本来運行計画上、予定していたパーキングエリア、あるいはサービスエリアに入っても駐車ができないというケースが現在発生しています。
    特に私ども特積みの業者の間で、ダブル連結トレーラーを国土交通省様の御指導の下、運行しているのですけれども、特にこの長距離のトレーラー、全長が長いトレーラーにつきましては、非常に駐車場所が限られております。したがいましてNEXCOさんにも要望させていただいているのですが、本来、運行計画上、休憩場所として指定した場所が、普通自動車あるいは一般のトラック等に占拠されて駐車できない。したがって次のパーキングエリア、サービスエリアまで走っていかなければならないというケースも、実は散見されております。
    また一般道におきましても、私がいた長野県など、地方はコンビニエンスストアが非常に少ない。あるいはコンビニエンスストアでも「長時間の駐車は御遠慮ください」ということで、休憩が取れないといったケースがあります。また一方で、私も現場でドライバーの話を聞いたことがございますけれども、4時間を超えた連続運転をして帰ってくるドライバーがいると。「なんで30分休まないんだ」という話をしますと、「いや、僕は早く家に帰りたいんです」と。「家に帰って家族と一緒に食事をしたいので、早く帰ってきました」というような発言をするドライバーも実際いるのは事実であります。そういった意味では総枠を決めて、それを短くしていくことについては賛成ですけれども、余り細かく規制をしてしまうと非常に、運行からいっても逆に運行管理する側の労働時間が増える、手間が増えるということもなりはせんかということで危惧しているということです。
    それから内容は違いますけれども、平成2年、1990年に、いわゆる物流二法が施行されましたけれども、このときは運行管理者も資格を国家資格にする等の安全規制の強化がなされた一方で、営業所ごとの最低保有台数の緩和といったような規制緩和が同時になされております。要するに規制の強化の部分と規制の緩和の部分があったわけですけれども、今回もそういった意味では、総労働時間抑制のために、この告示、見直しをするということであれば、別の意味で緩和する部分があってもしかるべきと思っています。
    これは、昨年の夏だと記憶しておりますけれども、一般社団法人の全国物流ネットワーク協会が、国土交通省の道路局長に対しての要望ということで、高速道路における大型車の、いわゆる制限速度、これを80km/hから100km/hに見直していただきたいという要望を出しております。当然これはそもそも警察庁の所管ではあると思いますけれども、なぜなら国土交通省さんも反応が非常に鈍かったというような報告を受けております。
    先ほどもちょっと資料の説明でありましたけれども、トラック輸送における取引環境労働時間改善協議会、これがちょうど私が長野支店におりましたときに、各県単位に協議会が置かれまして、パイロット事業を含めて非常に盛り上がりました。このときは国土交通省さんの主導ではありましたけれども、それに厚生労働省さん、あるいは農林水産省さんも入って、省庁間の連携を含めて、いろいろな荷主さんの話、それから道路の話、かなり熱の入った議論をさせていただいて、一定の成果は出たと思っています。
    ですからそういった意味では、今回この告示の見直しに合わせて、例えば大型車の制限速度の規制の問題であるとか、そういったものについても、やはり省庁もまたがって、是非御論議を頂ければと思っております。簡単ですが、私からは以上でございます。
    ○藤村部会長 何かありますか。
    ○馬渡委員 細かい部分をお答えしたほうがよければしますし、その間に先生のほうでお話があるのであれば待ちますけれども。
    ○藤村部会長 今、使用者側から全般的な考え方というお話がありましたので、労働側からもそこを伺っておきたいと思います。世永さん、お願いします。
    ○世永委員 ありがとうございます。聞こえていますか。
    ○藤村部会長 はい。
    ○世永委員 この委員会が始まった理由は、先ほど藤村先生のほうから言われたとおりだと思うのです。やはり過労死等の労災補償の状況の実態、これは避けては通れない。この危機対策のほとんどはトラックだということです。したがって、拘束時間は、1年なり、月もですが、大幅な時間の短縮というのが求められるべきと思っています。特にこのことについては、強く申し上げさせていただければと思っております。
    細かい部分の関係は、使用者側が話をしてからということもあるのですけれども、今回2回目の調査ということで、馬渡さんのほうからの意見は、それはそれとしてあるのだろうと思います。あと、我々としましては、去年のいわゆるコロナ禍前の調査、それと今回の調査ということで、公的に集計しているということです。それを踏まえての議論、数字の求め方というのが私は必要なのだろうと思っております。
    加藤委員から言われたSAやPAなり、ダブル連結トラックの問題、それについては共感できるところもあるかなと思っています。高速道路と速度制限の関係もあるかなと思っています。ただ、連続運転時間の関係等々についても、御意見がありましたので、それについてはまた、次の項目の中で話をできればと思っております。以上です。
    ○藤村部会長 どうもありがとうございます。貫さんから何かございますか。
    ○貫委員 ありがとうございます。貫でございます。世永さんともいろいろと打合せをさせていただいておりますけれども、やはり我々とすると、令和2年、令和3年度実態調査の状況がどうであるにしろ、やはり公的な調査を行ったわけですから、このデータをベースとした考えで議論を進めていくべきであろうと、私自身も思っているところでございます。
    加藤委員が言われました細かな部分、SAやPAの部分だとか、その辺については我々としても数年来にわたって、政策要請等も行ってきておりますので、一定の改善は見えているのではないかと思っておりますが、まだまだダブル連結トラックの部分については難しいかなと、私どもとしても認識はしております。
    ただ、それを今の現状で考えていってしまうと、今後の議論、これからの議論、この先10年後の労働改善基準告示の在り方にのっとると、それはちょっと危険ではないかと思っています。
    やはりこの先、藤村先生に言っていただきましたとおりに、若者がいかにこの業界に入ってきていただけるような環境にするのかというような部分、ですので細かな部分というのは別の議論ではないかと、この議論の中に混ぜてしまうと議論が進まなくなってしまう、現状から何も脱することができなくなってしまうという考えを持っておりますので、それはやはり「取引環境・労働時間改善中央協議会」なり、地方で行われている部分なり、そういったような所で議論を進めていくべきではないかというように私自身は思っております。
    せっかく47都道府県で行われたパイロット事業、これは非常に効果があったものではないかと思っております。ですが、これがやはり水平展開されていないという部分、できていないという部分、ここについては我々労働側としても、国土交通省にも御意見させていただいておりますので、それは今後は行政、事業者団体、我々も含めた中で、いかにパイロット事業として得た知見だとか成果の部分を水平展開、我々からすると加盟組合等を通じながら全国に波及させていくという必要性があって、労働環境を変えていくということが必要なのではないかと思っております。ですので、この場でそれと同じ議論をするというのは、ちょっと危険な議論になっていくのではないかなと思っております。以上でございます。
    ○藤村部会長 公益委員の首藤さん、最初に御発言ございますでしょうか。
    ○首藤委員 ありがとうございます。本日は、オンラインでの参加ということで申し訳ございません。よろしくお願いします。全体の大枠としても、議論の立て方としましては冒頭で部会長がおっしゃっていたように、やはり過労死をどうやって減らしていくのかという点と、あとは若者を含めた人手不足にどうやって対応していくのかという、この2つが大きな論点になってきたと私も認識しておりますので、それが改善していくような形で、やはり改善基準告示を直していかないといけないのだと私は考えております。
    それと同時に、社会全体としての動きの、例えばトラック業界だけが別というわけには到底いかないわけですから、社会全体としては、やはり働き方改革は進んでいっているというような面であるとか、あとはバスやタクシー等の動きにとって、それにどのような足並みをそろえていけるのかというようなところを、重視していきたいなと私は考えております。
    その上で、もちろんこの背景もいろいろありますし、先ほどお話があったサービスエリアの混雑状況の話ですとか、いろいろな課題や問題があることは確かだと思っておりまして、そこは私どもも共感しておりますが、それとこういった過労者や長時間労働というものを削減していくのは、どのようにして実現できるのかというような前向きな建設的な議論をしていきたいなと思っております。以上です。
    ○藤村部会長 どうもありがとうございました。では、個別の点について、ここから議論したいと思います。では、使用者側からお願いします。
    ○馬渡委員 では、私のほうからお話をさせていただきます。1年間の拘束時間について、当初から労働基準法どおりに、休日労働を含まない形で議論をしてほしいというようなことを再々申し上げておりますが、なかなかここの隔たりが埋められないなと感じております。ただ、先ほど加藤委員からもお話がありましたように、我々も総量規制をしていくのは必要だと思いますし、一般の労働者の方々の720時間というものに近付けていくべきだと、これも賛成です。
    ただ、常にこのようにお話をしておりますけれども、我々経営者だけで決められることだけでしたら、そういった話に乗れると思いますが、なかなか発荷主さん、それから特に着荷主の皆さんに時間という概念を、御理解をまだまだいただいていない。休みにしてもメーカーさんとか大企業の方々は、「週休3日にしようや」というようなお話があるやに聞いておりますが、「自分の所は休みにするけれども、あなたたちは当然月曜から土曜まで働くよね」と言われているのが、まだまだ現状でございますので、そういった形は休日労働込みで年3,300時間というのは、到底実情に合っていないなと考えております。
    ただ、総量で休日労働込みで、どうしてもやっていこうというようなお話があるのであれば、我々としても月に休日労働が1回、万一やむをを得ずあったという想定をすると、年3,408時間というのは一定の総量規制ではないですけれども、全体の労働時間を目標として減らしていこうという話はできるのかなというお話をしております。
    反面、毎月とか年6回の最大値は、現行どおりに293時間、それから年6回、320時間というのは、この720時間の議論があるまではこのまま、総量は減らすけれども、月とか最大値は現行どおりにさせていただきたいなと思っております。今、年と1か月の話までですかね。
    ○藤村部会長 そうですね。では労働側、どうぞ。
    ○世永委員 年間の考えにつきましては3,300時間、休日を含むということについては、先ほど若干申し上げましたけれども、調査結果では2年の、最初の2019年かな、そのまとめを見ても、かなりの事業者でクリアされていると書いていますので、ここの主張については、今までどおりの主張ということで、お話をさせていただければなと思っております。
    あと、1か月の拘束時間につきましては275時間ということと、最大限延ばす場合については、294時間までというほうについても、今まで発言してきたとおりであります。ただ、細かい部分で、馬渡さんが言われたことについては、労側としても検証していきたいなと思っています。以上です。
    ○藤村部会長 貫さんから何かありますか。馬渡さんのお話を伺っていると、盛んに着荷主が時間を守らないので、結局労働時間全体を減らすと非常に困ったことが起こるというお話ですね。実はこの議論をきっかけにして、商慣行を変えるという考え方もあっていいように思います。例えば大事な商談に30分遅れてきたらどうなるかというと、多分その商談はなくなると思いませんか。でも着荷主の場合、平気で2時間3時間待たせるという、そういったこと自体、何かそれを許していること自体がおかしいのではないかというように思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。
    ○馬渡委員 我々は決して許していないのですけれども、運転手がその場で文句を言うと必ずトラブルになります。ですから、どこの発荷主さんもおっしゃると思うのですが、「相手先でトラブルを起こすのはやめてくれ」と言うのは、厳として我々も言われますし、我々も運転手さんには、その場でそういうことがあっても、まず帰ってきて報告しなさいと。それから国交省さんの記録、30分以上、荷役に時間が掛かる、それから待機時間があるというのは、30分を超えた場合には、ちゃんと「どこどこの荷主さんで、何時何分に入って、何時何分まで待ちました」と、今は既に書くようになっていますから、そういったものも含めると、必ずしもその場でこれも申し上げるという話にはならないのかなと。
    反対に言うと、やはりそういった形で、先ほど言ったような1日の最大拘束時間、それから年間の最大拘束時間が960時間を超えると、罰則は否応なしに法律で我々トラック会社のほうに来ますので、そうなった時点のときに実際にこのペーパーが残っていますから、この荷主さんに対して一言、監督署さんから確認をすると、要は本当にこういうことが起こってこうなのですか、それとも運送業者が嘘を言って全部書いているのか、そういったことを一段階入れていただくと、随分商慣行というのは変わってくると思います。
    確認をしていただくだけでいいのです。乗り込んでいってどうこうということでもなくて、「お電話で確認をしたいんですけど」と言っていただくだけで、荷主さんのほうとしては「ありゃ、監督署さんに来られると困るな」と思っていただく中で、荷主さんたちが行動を改めていかれると、そういう効果も含めて、何らかの働き掛けはできませんかというのをお願いしているのですけれども、そういったものがないと多分改められないと思います。面倒くさいことをあなたが言うのであれば、次の会社に頼むだけというのは日常茶飯事ですから、それでは根本的な解決にならないと思いますし、先ほど「720時間の議論の中で」と言ったのは、基本いろいろな方々が同じような土俵の上でやってきた場合に、「いや、我々にこんなことすると、あんたの所も同じなんですよ」というように、今は取りあえずは言えない部分もありますので、そういうやんわりとした部分、国交省さんからも言っていただけるのですけれども、監督署さんから我々は罰則で営業停止ですとか、960時間違反です、という話がある前に、一言やはり確認をしていただくと、我々としては助かるなと、少しは行動を改めていただける部分が出るのかなと考えているところです。
    ○藤村部会長 着荷主の何割ぐらいが、そういう時間を守らないのですか。
    ○馬渡委員 今、48%以上の方が待機時間違反というか、そういう時間待機で御指摘をされている部分がありますので、半数の荷主さんが何らかの形では守っていない。若しくはこれは国交省さんのほうで働き掛けというか、「あなたの所、ひどいですよ」とおっしゃっていただいた比率なので、我々の実感としては50%ではなくて、もっとたくさんの荷主さんで似たようなことが起こっているなと。ただ繰り返し反復しても、いつもいつもという荷主さんたちが、国交省さんのほうに通報があって、働き掛けをしていただいたというのが48%以上、約半数の荷主さんが、そういう理由で怒られているというか、そういう実態なのですけれども。
    ○藤村部会長 労働側は、その辺りをどのようにお考えですか。
    ○貫委員 着荷主の部分については、これはやはり、なかなか我々も発荷主さんの指示に従ってドライバーの方々は運行されているというような部分があります。もう1つは、我々が荷主サイドというか、我々はどうしても労働組合ですので、荷主の労働組合が集まっているような労働組合、産別等に対して話をするのは、着時間の指定をするのであれば、きちんと細かな着時間指定をお願いしたいと依頼しております。
    結局8時に入りなさいと、8時に持っていきなさいと言われて、8時に入って10時まで待たされて、「2時間待たされました」というのであれば、「着荷主の責任ですね」となるかもしれませんけれども、午前中に持っていきなさいと言われたりするパターンもやはりあるわけですよね。そうしたときに、8時に入ったら、やはり順番待ちになってしまったということで、ドライバーはどうしても早く降ろしたいという意識がありますから、8時よりも前に行って、6時ぐらいから並んで、結局はそこで2、3時間の着時間待機が発生してしまうと。これが荷主都合になってしまうのか、いわばドライバーサイドのことになってしまうのか、そこが恐らくここの焦点になってくるのかなと思いますけれども、やはり着時間というものをきちんと細かく設定していただければ、この課題というものは解決してくるのかなと思います。
    もう1つは、待機場所がないということで、近くの路上駐車などで近隣に迷惑を掛けて、苦情等も受けているというのは聞いております。そういった全般的な改善が必要になってくると思っています。ただ、この取引環境の改善の協議会も、既に5、6年ずっとやってきているわけですから、そこが進まないというのは少し中央協議会のやり方も変えていくなどにより、改善をもっと求めていくという必要性があるのではないかと思います。
    ○藤村部会長 どうぞ、加藤さん。
    ○加藤委員 先ほどお話もありましたけれども、やはり長年の商慣習になっておりますから、なかなかそれを変えるには努力が要るというか力が要るわけで、本来であればやはり罰則をもった強制力が必要だと思います。ただ残念ながら、我々運送事業者と着荷主の間には雇用関係があるわけではなく、実際には契約関係も発荷主としかなくて、着荷主と全く契約関係もないわけですから、そこになかなか踏み込むのは難しいかもしれません。
    先ほど馬渡委員からもお話があったように、いわゆる事業者が改善基準告示違反をしたということの反面調査という名目で、監督署から連絡を入れていただければ牽制にはなると私は思っています。それぐらいの強制力というか、半強制力だと思いますが、チェック機能を入れていかないと、この長年染み付いた商慣行は、そう簡単には直らないと思います。以上です。
    ○藤村部会長 ありがとうございます。今日は何かここでまとめるという場ではなくて、労使双方の考え方を出していただいて、今後の改善などで少しずつ詰めていくという場ですので、もっとこういう御発言を頂ければと思っております。
    今の着荷主の関係で言うと、例えばヨーロッパの場合、何が起こるかというと、ドライバーたちがそういう会社の荷物は運ばない、労働組合が横に連携して、「そういう会社の荷物は、もう俺たちは運ばないよ」と言う。こうすると荷主側も何か対応せざるを得ない。ただ、日本は労働組合がそこまで強くないので、その辺は監督官庁への期待が経営側から表明されるというのはよく分かります。
    では次の、「1日の拘束時間、休息時間について」というところへ行きたいと思います。使用者側、いかがでしょうか。
    ○馬渡委員 1日の休息期間は、一つの案としてお話をさせていただいているように、メリハリを付けられないかと。休息期間は最大公約数の8時間にさせていただきたいなと。この理由は先ほど申し上げたとおりです。基本的にいろいろな要素が絡んでおりますので、今のところ、最大公約数の中で、1日の休息期間というのは8時間のままとさせていただこうと思います。
    ただ、後ほど申し上げますけれども、1日の最大拘束時間を18時間に見直してはどうかと。これはいろいろな事由を踏まえた上で、これも最大公約数になるのですが、大体これぐらいの時間で終わっていると。
    ただし、そのままでは休息期間が取れないということになるので、泊を伴う運行で拘束時間を18時間に見直すとしたら、休息期間は11時間ほど取らせてあげたほうが、体の回復ができるのではないかと。そういったメリハリの利いた話をしたいと思っております。基本的な拘束時間は現行どおりの13時間にさせていただきたいのですが、そういうメリハリを付けないと、いろいろな変数が多すぎて、最大公約数ですると18時間という時間の設定も必要なのではないかと。ただし、これは総量で計算をしますから、1か月の拘束時間が、当然1日が18時間というのがあれば減っていくわけですが、それは会社の都合で減らされる場合もあれば、荷主からこの日、万一やむを得ず、やってちょうだいと言われた日は、18時間があったとしても、次の日は昼から出てくるとか、そういった対応をしながら、全体の1か月、年間の先ほど申し上げた拘束時間というのは守っていこうと。これは、それぞれの会社の配車に自由度を与えていただければなと思っています。
    「荷種とか、短距離、中距離、長距離で何とか分けていただけませんか」という話も最初からさせていただきましたけれども、なかなかそういう議論にはならないのかなと思います。それから、厚労省としても、現場の監督官が、この場合はこうだ、この場合はこうだということが余りにも細かにあると、なかなか難しい部分があるのかなと思いますので、我々としては、本日の議論の始めとしては、基本的に1日の拘束時間は13時間なのですが、最大で、泊を伴う場合は18時間というのも視野に入れさせてほしいと。その場合は休息期間を長めに取らせてあげようということを決めておけば、不測の事態があっても対応できるのではないかと考えております。加藤さんから何かありますか。
    ○加藤委員 先ほどの議論の繰り返しになりますが、特に泊を伴う長距離運行ということでいくと、ほとんどの場合が高速道路を利用した運転になるわけですが、これも先ほどのお話ですが、最高速度の問題です。同じ大型自動車であっても、バスについては既に100km/hになっているわけです。なぜトラックだけが80km/hなのか。あと三輪車もありますが、三輪車というのは現実的にないので、実質的にはトラック、あるいは牽引車を狙い打ちではないけれども、そこだけがなぜ80km/hのままなのか。
    更に言わせていただければ、今のトラックの安全装備については、自家用車とほとんど同じぐらいの先進的な装備が付いているわけです。そういった意味では、大型トラックの危険度は普通自動車と比べて格段に高いのかと言うと、そんなことは全くないわけです。逆に、これもドライバーの話を聞くと、新東名でいくと、トラックの80km/h、それに対して一般の乗用車が120km/hということで、40km/hの差がございます。逆に彼らは、危ないから新東名は走りたくないと申しています。
    そういった意味では、省庁間の連携も必要だと思いますし、これは総務省の所管かもしれませんが、そういった総括的な議論をしていかないと、この問題はなかなか解決できないのかなというように思っています。
    ○藤村部会長 ありがとうございます。労働側、どうぞ。
    ○貫委員 1日の拘束時間、休息期間についてです。休息期間と拘束時間というのは裏と表の関係だと思いますので、休息期間については、前回からも調査していただいているとおりに、11時間を中心に考えるべきではないかと。特に自動車運転者という立ち位置からするならば、バス・ハイヤー・タクシーと同じ3モード、休息期間については同様にするべきではないかと思っております。
    特に過労防止という観点からすると、睡眠時間との関係、疲労回復の面といったようなところからも、休息期間、また睡眠時間の重要性というものが出てくるのではないかと思っております。
    先ほど使用者側から発言のあった、泊を伴う拘束時間を18時間に延ばすということについては、今よりも緩和するということになってしまいます。これは、今回の目的である過労防止の観点からすると、我々とすると受け入れるわけにはいかないと思っております。
    ですので、この休息期間は11時間という部分については、参考資料の中にもあるとおりに、ILOの勧告、EUのレギュレーションなど、他国においてもこのような部分が中心的にあるということを考えると、人としての過労防止という観点、疲労回復という観点からすると、このような時間が設定されているのではないかと推測しております。
    あと、過労防止という観点からいくと、脳・心臓疾患が10数年来、トラック運転者が第1位となっています。なぜそうなっているのかという細かなデータを、できれば厚生労働省さんには提出していただけないものかなと思います。ここを改善していかなければならないと思っておりますので、どういった運行形態の人たちが、脳・心臓疾患による労災認定を受けているのか。これが日勤が中心の方なのか、それとも長距離の運転者の方々が多いのか、それによって、この拘束時間、休息期間の考え方というのは変わってくるのではないかと思います。
    そうしたときに、馬渡委員がおっしゃったように、少し自由度のある休息期間については議論の余地が出てくるのではないかと考えております。
    ○世永委員 貫さんのお話に加えて言いますと、私が把握している中では、長距離運行の労災よりも、朝の出庫です。2時、3時、5時、ここがばらばらの人が、発症しているのだと思っています。どちらかと言うと、長距離よりも日勤で出庫、帰庫がばらばらの方が、どうしてもそういった形になってしまうということです。
    それと、休息期間と睡眠との関係です。これはデータ的に正しい形で出ていないだろうと思っています。全ト協さんでも、過労死防止ワーキンググループをやって、いろいろなデータも出ていると思いますので、そういったデータを併せて、労使で時間を決めていくということも必要なのではないかと思っています。
    ○馬渡委員 今、労働者側の委員の方々から、厚労省さんに客観的な調査をお願いしたいという話がありました。これは私も賛成です。と言うのは、改善基準告示は確かに大事なのですが、それをいろいろな方に守らせようというのが、なかなかテクニカルに難しいと厚労省さんはおっしゃいますので、これは客観的なデータ、脳・心臓疾患が明らかにこうだと。だから、こういうものを決めましたというデータがあった上で、厚労省も堂々と、我々に言われるのは当然いいと思うのですが、ほかの荷主さんたちに対しても、「あなたたちは運転手を殺しているのと一緒です」というように言える部分というのは大事だと思いますので、そこは調べていただいたほうが、我々としては、たとえ厳しい話になったとしても、エビデンスに基づいて、高速道路を通って泊を伴う場合は、疲労度はさほどでもないというような話であれば、そういう話をすればいいと思いますし、あらゆる場合でこうだという話であれば、厚労省さんは自信をもって、全ての事業者をそのように折伏していただきたいという思いがございますので、そういう意味合いでは、是非データに基づいたエビデンスがあって、しかも厚労省さんがきちんとやられているということのほうが、皆も納得しやすいのかなと思います。お客さんも納得しやすいと思いますので、それは我々としても賛成でございます。
    ○藤村部会長 そういうデータについてはいかがですか。
    ○過重労働特別対策室長 労災認定のデータを持っているところは部署が違うのですが、どこまで、どのような形でお出しできるかというのは、今後検討したいと思います。
    ○藤村部会長 ここまでの議論について、首藤先生、いかがですか。
    ○首藤委員 教えていただきたいことがございます。馬渡委員にお伺いします。泊を伴う運行の場合というのが、現状はおよそ18時間ぐらいの時間で運行されているということだと理解してよろしいのでしょうか。
    ○馬渡委員 基本的にはそういう理解です。一番遠い所から、例えば北海道の端から、九州の南の鹿児島の辺りから、一定の距離の中で、18時間以内には、いろいろな不測の事態がなければ届くかなと思います。
    これは実際には途中で寄りながら、例えば3か所で下ろしながらというデータですので、必ずしも18時間以内に終わるという形にはならないのですが、お客様に、例えば今までは2日で運んでいたものは、プラス1日をしてくださいと。農産物に関しても、1日余裕をくださいというお話をして、JAさんたちにも御理解を頂いている場合、先ほど国交省からも御説明がありましたが、ある一定の所、集荷をストックポイントに集めて、そこであらかじめ予冷をすると。冷やした上で一気に運んでいくと、パレット化をした上で高速で運んでいくと、合理的に荷役時間を短くできますし、ストックポイントから現地までの間を、何とか今までの日数で運べると。実際には集荷した日からは1日かかるわけですが、そういったお願いをしながら、JAさんたちもいろいろ努力をしていただいて、予冷をして出したりしています。
    それから、青果市場についての評価などは、予冷をしたほうが品質がよかったとか、いろいろな話もあるようで、だんだん根付いてきているのかなと。そういう観点から言うと、最大限のアドバンスを考えると、18時間というのもありではないかなというお話をしています。実態に即して最大公約数でいくと、そういう話もありなのかなということです。
    実際は高速に乗っていく場合が多いものですから、JAさんたちにも、全線で高速に乗らせてくださいという話もしていますので、徐々にそういった中で納まってくるのかなと。こういうのが根付いてきて、発荷主さん、着荷主さんともに、荷役時間を短くしていただくという前提の中から言うと、これを16時間とか、もっと短くしましょうかという話はできていくのかなと思いますが、今のところ、一歩一歩進んでいる状況ですので、貫さんがおっしゃったように、10年後に耐えられるような形にしようというのも当然分かるのですが、そういう話で決めてしまうと、一定の期間は厳格な基準ではなくて推奨基準とか、努力義務にしてくれないかという泣きを入れなくてはならなくなるような気がします。我々としては、こういった形であれば、最大公約数でやれるのではないかと。ただ、運転手さんたちの疲労度を考えると、今までどおり8時間というわけにはいかないのだろうと考えますので、11時間の休息期間を与えるつもりで、経営者も選択しているというような選択肢があったほうがいいと思っています。
    ○首藤委員 分かりました。ありがとうございます。
    ○藤村部会長 今、お話を聞きながら不思議だったのですが、現行は最大拘束時間は16時間ですよね。それが守られていないということですか。
    ○馬渡委員 言いにくいのですが守れていません。理由は先ほど申し上げたように様々です。集荷時間が遅れて、待機した上で出発しました。なおかつ、市場に着いたら、待たされて時間が延びてしまいました。そういう、いろいろな理由でございますので、我々側も運行計画表は当然持っているのですが、運行計画表どおりにならないのが一番の問題です。
    ○藤村部会長 分かりました。では、次の運転時間、連続運転時間にいきたいと思います。まず、使用者側からどうぞ。
    ○馬渡委員 運転時間については、バスの議論等も見させていただきながらだったのですが、休息期間や拘束時間をきちんと決めていくのであれば、運転時間は廃止してほしいと思っています。
    連続運転時間に関しては、これも最大公約数になるのですが、高速道路等を走ったり、先ほど出てきたサービスエリア、パーキングエリアでスキップしなければいけない事態が出てきたことも考えると、連続運転時間を5時間程度に延ばしていただきたいなと。反面、運転の離脱という観点から言うと、トイレに行って戻ってきて、5分間ぐらいで、運転手さんたちのバイオリズム、ここのサービスエリアはトイレだけ、ここではゆっくり休むというように、メリハリを付けてと。変な話ですが、我が社の社員は、ここではトイレだけだけれども、一番肝心な所に温泉施設があるサービスエリアがあります。そこで長く休もうとか、自分たちで決めていて、配車係もそれを認めている場合がございます。そのほうが運転手たちもフレッシュアップができるというように思っております。運転時間は廃止してほしいと思います。連続運転時間に関しては、5時間というように変えていただければと思います。それから、運転離脱は1回5分以上で、合計で30分以上というようにしていただければと考えています。
    ○藤村部会長 労働側、どうぞ。
    ○貫委員 運転時間等の考えについては、前回の主張どおり、現行どおりで妥当ではないかというのが労働側の意見です。
    連続運転時間については、今の4時間で、30分の運転離脱というようにありますが、馬渡委員、加藤委員がおっしゃったとおりに、夜間の高速道路上のサービスエリア、パーキングエリアについては、なかなか駐車が難しいと。事業者によっては「3時間で止まりなさい」という指導をしていただけている所もあるやに聞いておりますが、それでも難しいという状況を考えてみますと、基本は4時間とした中においても、30分間ぐらいのグレーな時間と言いますか、次のサービスエリア、パーキングエリアまで行ける程度の余地は残していただいてもいいのではないかと思っております。
    ただし、運転離脱の件ですが、これは私が以前からずっと主張させていただいておりますが、長距離運行であれば、それほど大きな問題はなく運転離脱できると思うのですが、日勤勤務者の場合においては、運転離脱の時間を活用して積込み、荷下ろし作業等を行うパターンがあります。そうすると、連続で8時間30分以上、連続して仕事をするという状況が発生しているという報告も受けているところです。全く休憩を取る時間がないという部分がありますので、この運転離脱の荷下ろし作業を認めないというわけではありませんが、改善基準告示の中に労基法にある休憩の概念、これをきちんと明記していただきたい。運転者に対しても、休憩はきちんと与えなさい、与えなければならないということの明記を、是非ともしていただきたいというのが労働側の考えです。
    ○藤村部会長 ありがとうございます。使用者側は、細かいところは決めなくていいのではないかという御意見ですね。ただ、細かいところを決めていないと、何か困ったことは起こりませんか。
    ○馬渡委員 起こった場合は、ほとんどの事業者は真面目に守ろうと思って、却って頭を悩ませている状況なので、それぞれの会社で、範囲内できちんと休息期間、拘束時間を守ってほしいというように思っておりますし、細かいことを決めないで逸脱される会社は、どしどし摘発してほしいなと。それでこそ、改善基準告示というものが意味があるのだというように思っています。
    もう一点ですが、前に、荷種とか荷主さんの影響は避けようがないから例外的な取扱いをお願いしたいということがあって、例えば宅配、コンビに配送、ゴミの収集など、運転をして作業をしてということを繰り返すような場合も、微妙なところで引っ掛かったり引っ掛からなかったりということがありますので、そういった意味合いも込めて、運転離脱は1回当たり5分にしてほしいと。それと、貫さんが言われたような本当の休憩です。今、宅配だと、きちんと昼間に休憩を取れるようにとだんだん変わってきましたから、それは切り離して考えたほうがいいのかなと。
    ほかの場合、先ほど言った高速道路を運行しているような場合は、休憩がてらトイレに寄って、お茶を買って5分ぐらい休んで、また出発する。自分の休みたいサービスエリアではしっかり休むということを繰り返していますので、普通にやっている会社で、運行計画どおりにやれば、そう違反が起きるということはないと思いますけれども、中には我々の同業の中にも、守らない方もいらっしゃいますので、そういった方はどしどし摘発していただいて、場外に降りていただきたいというのが本音です。守る人で、きちんと守れるようなことをしていきたいなと。
    ○藤村部会長 連続運転で疲労が蓄積して、それが原因で事故になる。そういう実態があると思います。事故になると、御本人だけではなくて、社会に非常に迷惑が掛かります。場合によっては高速道路が通行止めになって、何時間もほかの方々が使えない。その辺のこともあって、こういったルールを決めることが必要だと思うのです。
    業種は違いますが、自動車の生産現場、最終の組立てをやっている所は、90分を超える残業はさせないとしています。生産計画で、いろいろな部品が届かなかったとか遅れることがあるのですが、その日の残業は90分までとしています。なぜかと言うと、90分を超えて残業すると、疲労がその日のうちに回復できないと。疲労が蓄積していくと、結局事故が起こる。事故が起こると、労災です。場合によっては工場が止まります。そういうことを防止するためにも、90分を超えた残業はさせないということです。これは労働組合側の長年の経験から、そのように協定があるわけです。
    目の前のお客さんの要望を満たすことは、これはこれで大事なのだけれども、それを余りにも強調しすぎると、全体の不利益が起こる場合があります。それをどう防止していくかといった観点からも、運転時間と連続運転時間、休息も含めて考えていかなければいけないと思っております。
    ○馬渡委員 藤村先生がおっしゃることはもっともだと思いますし、大多数の遵法精神のある会社においては、そういったことかと思います。
    もう1つは、荷主さんについて、先ほどJAさんのお話をしましたが、だんだん改善していただいてきました。発荷主さんのみならず、着荷主さんのほうも、そういった観点からきちんと守っていただけるということになれば、我々もこんな無理な話を言わないのですが、今の状況で荷主さんの部分を放置したまま、何かを決めようという話になれば、ここは休息期間とか拘束時間をきちんと外形的に決めるわけですから、そうであれば、細かい部分というのは一旦事業者に任せてほしいと。任せた上で不都合が起きるとか、そういう部分については、どしどし摘発してくださいというように申し上げたいと思っています。
    ○藤村部会長 世永さんから何かございますか。
    ○世永委員 1つ前のページの1日の拘束時間、休息期間と、3ページの運転時間と連続運転時間は、連動性があるのだろうと思っています。
    特に運転時間の関係でいくと、平成3年ですが、これは週46時間制に移行したときに、2週間平均で44時間ということが運転時間で出ているということです。
    何を言いたいかと言うと、馬渡さんが言っているような形で、拘束時間を最大に延ばそうとか、あるいは拘束時間と休息期間の管理をきちんとするのであれば、運転時間の管理は不要ということになると、藤村先生が言われたように、20時間を超えた疲労の問題等もあります。
    もう1つは、管理を任せるということであれば、4時間で、きちんと30分を運転の中断ということが必要不可欠になってくるのだろうと思っています。いろいろな意味で、拘束時間イコール運転時間ではないというようなことが、いろいろ出てくるかと思いますので、そこら辺については労働側としても、実態等を見ながら検証していきたい、議論はしていきたいと思っております。
    あと、高速道路のスピードの関係が出ていました。高速道路の関係については、労働組合として、行政に対して要請したこともあります。行政からは、今のトラックの構造的には整備課からは「ちょっと無理だ」ということでした。それと、静岡県警から、新東名高速道路における最高速度110km試行開始時に、大型トラックについては、「貨物の状況によって走行が不安定になる場合がること」「積載量に応じて制動距離が長くなること」から引き上げの対象としないというパンフレットも出ていたと思っています。
    そういったことも踏まえながら、再度議論をしていくのであれば、それは組合としても要請したことでありますので、使用者と連携しながら対応していきたいと考えています。
    ○藤村部会長 よろしいですか。では、最後の「特例、その他について」というところにいきたいと思います。使用者側からまずお願いいたします。
    ○馬渡委員 これも特例をそもそも与える条件というのがあるとは思いますが、最大公約数的なお話をさせていただくと、分割休息の特例、今は1回4時間以上だと言われていますが、2時間とか3時間に緩和をお願いしたいと思っています。合計で10時間以上となっていますが、休息期間と同じ8時間に緩和していただきたいと思っています。
    これは特殊な場合になると思うのですが、そういうのに引っかかるような荷種とか業態があるという意見もありましたので、今日の段階では、分割休息の特例は4時間以上というのは緩和をしていただきたい。それから合計の10時間以上というのも、休息期間に合わせてほしいというようなお願いをしたいと思います。
    2人乗務の特例についてですが、拘束時間が1日20時間まで、休息時間は4時間まで短縮可という現行がありますが、2人乗務のその他の部分は現行どおりでお願いをしたいのですが、特に馬引き輸送の場合に、立派な車内ベッドが必ずあるということです。北海道の場合ですが、是非走行中の車内ベッドで連続4時間、休息が取れている場合は休息期間に入れてほしいという要望があります。これは人間も大事だけれども、競争馬がストレスで暴れてしまうということもありますので、そういった部分を加味すると、立派な後ろのベッドで寝られる時間が4時間以上あれば、休息期間を取ったことにしてほしいなと思います。北海道は広いものですから、特にそういう要望が出ています。
    フェリーの特例も時間を緩和していただいて、非常にスムーズに北海道辺りから関東に持って来られるようになったということですが、実際は今はフェリーを使われる方が増えてしまって、これも早目にフェリー乗り場に行って、そこから乗船まで待って、乗船するときに軽微に移動するということになりますので、そういった時間も休息時間か、休憩時間に入れていただけないかなと。細かい要望はありますが、今日の場合はそういう話ではないと思いますので、今後そういった話も述べさせていただきたいと思います。その他はまた別の話でよろしいですか。
    ○藤村部会長 一緒にその他も。
    ○馬渡委員 その他は何度も申し上げていますが、適用除外にするのに天候、渋滞、故障、荷主都合、要は自らコントロールできない要因というのは、拘束時間、運転時間から除外をしていただきたいと思っています。それから、先ほど言ったフェリー乗船とか、サービスエリア内でどうしても移動させられるという場合がありますので、そういった軽微な移動に関しては、運転時間から除外をしてほしいという要望が出ておりますので、我々としてはこれをお願いしたいなと。
    もう1点は海上コンテナの、例えば東京港の外を見られれば分かりますが、長蛇の列なのですが、ちょっとずつ動いていくのです。これは休みにしろとは言いませんが、これをそのときそのときでカウントされるのはなあというのは、若干思っています。海上コンテナの部会からはそういった話も出ていますので、これも後日、また別の機会に細かい話をさせていただこうとは思っておりますので、是非よろしくお願いいたします。
    ○藤村部会長 それでは労働側お願いします。
    ○貫委員 特例、その他についてですが、分割休息特例については、記載のとおりバスと同様の見直しで行っていただけないかというところです。
    2人乗務の特例、フェリー特例については、特段の考えを持ち合わせているものではないというところです。
    その他についてですが、使用者測の馬渡委員がいつも荷主都合と言っておりますが、我々からするとやはりこの荷主都合というような部分を特例で認めてしまうと、全てが骨抜きになってしまう可能性がありますので、荷主都合の部分の特例については、我々からするとやはりなかなか認められるものではないというように考えております。ただ、事故、異常気象、そういうような場合に、どうにもならないような場合、そういうようなことについては特例として、バス、タクシーと同様な取扱いをするというようなことについては、トラックとしてもよろしいのではないかなと考えているところです。以上でございます。
    ○馬渡委員 特例その他の一番最初の厚労省さんの説明の所に書いてありましたが、事故、天候に加え荷主都合による遅延も、例外的な取扱いを認めてもらいたいと。荷主の違反原因行為のうち48.6%が長時間の荷待ちだということで、荷主における改善契約遅れの認知度が低いということもありますので、骨抜きの規制にするのではなくて、何らかの規制をして指導をしていただくのか、確認、チェックをしていただけるのか、何らかの形で骨抜きにならないような規制をしてほしいというのは、労働組合さんと同じ部分なのかなと。やはり何でもありというのはいけないと我々も思いますので、実際のエビデンスに基づいて日報に書き込みますから、その確認ぐらいはしていただけないかなと。そういった外的な規制がきちっとあって、確かに荷主さんもこういうことがありましたということであれば、その場合は除外をしてください。勝手に運転手さんが書いたようなものまで除外をしてくれという話をしているわけではないというように御理解を頂きたいと思います。
    ○貫委員 よろしいですか。以前の作業部会のときに私、一度御発言させていただいたと思っておりますが、この荷主都合での荷待ちをさせられる部分について、本当にメーカーサイドの人間が待てと言っているのか、そこに絡んでいる運送事業者が待てと言っているのか、そこら辺が少し分からないなと思っています。今回、国土交通省さんが出していただいた荷主の指導の48.6%、これが本当の真荷主に対してのものなのか、それが運送事業者が荷主となっていて指導されているものなのか、それによってやはり真の荷主に対する言い回しというものが少し変わってくるのではないかと思っています。
    真ん中に運送事業者が取扱事業者と入っていて、加藤さんの所のような日通さんなんかが特に多いと思いますが、なかなかそれは言うことを聞いてもらえないんだという話があるかもしれませんが、でもそこは元請荷主としての責任として、真荷主に対してきちっと発言をしなければいけないと思いますし、取り扱う実務を行っている所に対する配慮というものは、元請運送事業者が行うべきものであるのではないかと。そういうところまで含めて、この改善基準告示の議論にするのは私は反対だということです。
    ○藤村部会長 加藤さんどうぞ。
    ○加藤委員 我々としても利用運送事業として協力会社を使うということもありますが、やはり同じ運送事業者ですので、そこで我々元請けとして、彼らに待てということは基本的にはやらせないと。ただ、やはり真荷主に対しては言わなければいけないということで、当然先ほどから申し上げたとおり、発荷主には相当申し入れをしていますが、逆に発荷主にとっては着荷主はお客様なので言いづらいと。だから浸透しないという面も一面にはあるということだけは御理解いただきたいと思います。
    ○貫委員 とするならば今回国土交通省さんが出していただいている、荷待ちの48.6%、これが発荷主のものなのか、着荷主のものなのか。その辺のデータって何かお持ちというのはありますか。
    ○藤村部会長 その点いかがですか。
    ○国土交通省オブザーバー すみません、今細かい数字を持ち合わせておりませんが、これまで行った働きかけにつきましては、これは発荷主、着荷主、それから場合によっては元請事業者とか、実運送の事業者から頂いた情報を基にして行っているものですので、いずれも含まれているというものです。細かい割合について件数は数十件という規模の話です。これからまた情報を集めてやっていきたいと思います。特に顕著なものについて行っているというところです。
    ○藤村部会長 何かありますか。
    ○貫委員 ありがとうございました。どこの部分が多いのか、どっちの部分が多いのかで、多分、馬渡委員や加藤委員が言われている荷主対策というのが全然変わってくるのかなと思うものですから、それで本当に着荷主ばかりなのか、それとも半分以上は発荷主による積込箇所を何箇所も回されるだとか、そういうような課題があるのかだとか、そういうところでの実態が分からないと、荷主対策としてこれをやるべきなのか、やるべきではないのかというようなところが見えない。荷主に対するところでいけば、その辺がデータとしてはまだ少ないのかなと思います。私の感覚的にはありますが、それは個人の持っている感覚だけですので、きちんとしたデータの話ではないので、個人の感覚を使うというのはこの議論の中では、あまりよろしくないかなと思っているところです。
    ○藤村部会長 加藤さんどうぞ。
    ○加藤委員 確かに数字的なものはここにお示しできてないと思いますが、結局発荷主の場合は、申し上げているように契約しているのは運送事業者と契約の発荷主ですから、そこで荷待ちをさせられる場合については申し入れをすると。当然そういうことも行われています。具体的に何割どうだということも言えませんが、大体パターンとして、着荷主が待たされる例としては、特に問屋さんへの配送に関しましては、問屋から小売りに出すのが午後なので、入荷は午前中と。そこでいろいろな運送事業者が集中して荷下ろしすると。ただし荷受けするほうは例えば倉番というのですが、倉庫の番が1人か2人しかいないので、その人が一生懸命下ろすのを待つ状態、で、結果的に待ち時間が長くなるというケースが非常に多く見受けられるというのが、私の現場でも経験上そういう形が多かったと思っています。
    ○藤村部会長 分かりました。首藤委員、何かございますか。
    ○首藤委員 発言させていただきます。労働側は先ほどの連続運転時間のところもそうですけれども、やはり実態を見て考えるということに、これまでの議論の経過になっていて、2回の実態調査をそのために実施をしていたわけです。例えば休憩期間などは、先ほど馬渡委員がおっしゃっていましたが、ほとんどの事業者さんはいろいろ頭を悩ませながらも守っているという実態も出てきていますので、実態を基にやはり議論を進めていくということは、1つファクトに届く議論になるのではないかと私は考えています。
    あと非常に細かい点ですが2人乗務の休息時間をベッドで眠れる環境を休息期間として扱ってもらいたいというのは、確かに非常に立派なベッドがあって、ゆっくり休めるといった場合にはそういうこともあり得るのかもしれないのですが、ただ休息期間というもの自体は本来の考え方は、労働者が事業者に一切拘束をされない期間であるというような概念だったと私は認識しておりまして、車内ベッドで眠るということが拘束を一切してないというようなことになるのかどうかになります。またそれに基づいて、そんなきちんとしたベッドがない事業者の場合はどうなのかということは気になるなと感じました。以上です。
    ○藤村部会長 ありがとうございます。世永さんから何かございますか。
    ○世永委員 特例、その他のほうですか。
    ○藤村部会長 全体についてでも結構です。
    ○世永委員 分かりました。御議論いただいて本当に感謝申し上げます。労働側としましては、主張は今まで相当しています。意見を出し合い交渉していくということについては必要なのだろうと思っています。
    ○藤村部会長 用意された議題は大体ここまでなのですが、何か最後に一言言っておきたいことはございますか。
    ○馬渡委員 最後にというわけではないのですが、今日が具体的にアンケートが終わって数字を皆さんで見て、スタートラインだというように思いましたので、幅広にいろいろなお話をさせていただきましたし、いろいろな事情から今の時点では、最大公約数的な数字を出させていただいていますというふうにお話をさせていただいています。今後はいろいろな、例えば労働組合さんと厚労省さんがお話を個別にされたりとか、我々全ト協のほうと厚労省さんがいろいろなお話をさせていただいたりとか、そのお話を藤村先生などの公益委員の方とお話をされるという機会においては、前提条件というか、細かい点に関しては、こういう部分はこのような前提でこう考えてますよというものが多いものですから、前提条件が変わった場合は、これはこうしましょうかというような御意見をする場合もあるかと思います。多分これから成案を得るまでの間に、部会、専門委員会が何度かあると思うのですけれども、それ以外にもそういった折に、こういう案が出ましたよということは、是非情報を共有化していただいて、次の部会のときに確認するとか、そういうような形を取りながら、途中でもざっくばらんにいろいろな話ができれば、ある程度の時間でまとめていくことができるのかなと。部会と専門委員会の中で話したこと以外は受け付けませんということがないようにしていただければなと思っています。
    ○世永委員 今、馬渡委員の言われた進め方としてはいいと思います。労働側としましても、全体的な考え方については現状変わらないということです。ただ、1年、1か月の拘束時間の中身については、これは実態と、これからそういったものを、変わっていくものを若い人が受け入れらるかどうかというようなことからも、議論はしていくべきであろうと思っております。令和3年から、かなりいろいろな意味で拘束時間、運転時間等変わってきています。それらと今の自動車等を検討しながら、労働側としても、考え方はまとめていきたいと思っています。その都度、使用者なり公益側の先生方とも話をする考えはありますので、今後ともよろしくお願いしたいと思っております。以上です。
    ○藤村部会長 分かりました。根回しのない会議はあり得ないので、会議の場の外でいろいろなことが決まるのです。その一番いい例が国連です。国連総会は会議場に入る前に、もう事は決まっていると。あの場でみんなで確認するという、そういうものだと思います。ですから馬渡委員がおっしゃったように、今後いろいろな非公式の話合いとかそういうのを重ねていきながら、都度都度この部会、あるいは専門委員会でちゃんと確認をして、最終的に決めていくということにしたいと思います。何かそのほか御発言ございますでしょうか。よろしいですか。では今日の部会は以上にしたいと思いますが、次回の日時、場所につきまして、いかがでしょうか。
    ○中央労働基準監察監督官 次回の日時、場所につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
    ○藤村部会長 分かりました。ではこれを持ちまして、第3回自動車運転者労働時間等専門委員会プラス作業部会を終了いたします。本日はお忙しい中ありがとうございました。お疲れさまでした。