第335回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2022年(令和4年)1月13日(木) 10時00分~

場所

東京都港区芝公園1-5-32
労働委員会会館 講堂(7階)

出席者

(公益代表委員)
  • 原 昌登
  • 松浦 民恵
  • 山川 隆一(部会長)
(労働者代表委員)
  • 相羽 迅人
  • 冨髙 裕子
  • 永井 幸子
  • 奈良 統一
(使用者代表委員)
  • 佐久間 一浩
  • 佐藤 英毅
  • 田尻 久美子
  • 平田 充

議題

  1. (1)雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について(公開)

議事

議事内容

○山川部会長 おはようございます。それでは、ただいまから第335回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会を開催いたします。委員の皆様方、御参集いただきまして、大変ありがとうございます。
 本日は、公益代表の小野委員が所用により御欠席とのことです。原委員、松浦委員、相羽委員、永井委員、奈良委員、田尻委員はオンラインで御参加いただいております。
 本日は、雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について御議論いただきます。本件に関しましては、資料にありますように、雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱と、他にいろいろな法律が含まれておりますが、職業安定法に係る部分につきまして事務局から御説明いただいた後に、御議論いただきたいと思います。
 では、議事に入りますので、カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。それでは、議題(1)雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について、事務局から説明をお願いします。

○高橋補佐 皆様、おはようございます。需給調整事業課の高橋です。資料1を御覧ください。「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」について御準備しております。資料1枚目が、諮問文となっております。内容といたしましては、2枚目以降です。今、部会長からお話がありましたとおり、職業安定法の改正のほか、雇用保険法の一部改正と、職業能力開発促進法の一部改正等を一括して行う法律案要綱となっております。
 職業安定法の部分につきましては、7ページを御覧ください。「第二」という所から始まります。読み上げをもって説明に代えさせていただきたいと思います。
第二 職業安定法の一部改正
一 募集情報等提供の定義の拡大
「募集情報等提供」について、次に掲げる行為をいうものと定義すること。
1 労働者の募集を行う者等(労働者の募集を行う者、募集受託者又は職業紹介事業者その他厚生労働省令で定める者(注5)(以下、この一において「職業紹介事業者等」という。)をいう。4において同じ。)の依頼を受け、労働者の募集に関する情報を労働者になろうとする者又は他の職業紹介事業者等に提供すること。
2 1のほか、労働者の募集に関する情報を、労働者になろうとする者の職業の選択を容易にすることを目的として収集し、労働者になろうとする者又は職業紹介事業者等(3において「労働者になろうとする者等」という。)に提供すること。
3 労働者になろうとする者等の依頼を受け、労働者になろうとする者に関する情報を労働者の募集を行う者、募集受託者又は他の職業紹介事業者等に提供すること。
4 3のほか、労働者になろうとする者に関する情報を、労働者の募集を行う者の必要とする労働力の確保を容易にすることを目的として収集し、労働者の募集を行う者等に提供すること。
(注5)募集情報等提供事業を行う者、特定地方公共団体とする予定〔省令〕。
二 官民の相互協力
雇用情報の充実等に関し、職業安定機関と相互に協力するよう努めなければならない対象に募集情報等提供事業を行う者を加えること。
三 募集情報等の的確な表示
1 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、募集情報等提供事業を行う者並びに労働者供給事業者は、刊行物に掲載する広告、文書の掲出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法(注6)(以下この三において「広告等」という。)により求人若しくは労働者の募集に関する情報又は求職者若しくは労働者になろうとする者に関する情報その他厚生労働省令で定める情報(注7)(3において「求人等に関する情報」という。)を提供するときは、虚偽又は誤解を生じさせる表示をしてはならないものとすること。
(注6)インターネットを利用する方法とする予定〔省令〕。
(注7)事業の実績に関する情報等とする予定〔省令〕。
2 労働者の募集を行う者及び募集受託者は、広告等により労働者の募集に関する情報その他厚生労働省令で定める情報(注7)を提供するときは、正確かつ最新の内容に保たなければならないものとすること。
3 公共職業安定所、特定地方公共団体及び職業紹介事業者、募集情報等提供事業を行う者並びに労働者供給事業者は、広告等により求人等に関する情報を提供するときは、厚生労働省令で定めるところにより(注8)正確かつ最新の内容に保つための措置を講じなければならないものとすること。
(注8)募集情報等の時点を明らかにする等の内容とする予定〔省令〕。
四 個人情報の取扱い
公共職業安定所、特定地方公共団体、職業紹介事業者及び求人者、労働者の募集を行う者及び募集受託者、特定募集情報等提供事業者並びに労働者供給事業者及び労働者供給を受けようとする者は、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより(注9)、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならないものとすること。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りではないものとすること。
(注9)目的の明示については、ホームページに掲載すること等を定める予定〔省令〕。
五 特定募集情報等提供事業の届出等
1 「特定募集情報等提供」について、労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う募集情報等提供をいうものと定義すること。
2 「特定募集情報等提供事業者」について、3の届出をして特定募集情報等提供事業を行う者をいうものと定義すること。
3 特定募集情報等提供事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、氏名又は名称及び住所その他の厚生労働省令で定める事項(注10)を厚生労働大臣に届け出なければならないものとすること。
(注10)連絡先等とする予定〔省令〕。
4 特定募集情報等提供事業者は、3の届け出た事項に変更があったとき又は3の届出に係る特定募集情報等提供事業を廃止したときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならないものとすること。
5 特定募集情報等提供事業者は、厚生労働省令で定めるところにより(注11)、当該事業に係る事業概況報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならないものとすること。
(注11)提出の頻度や、提出する内容として、提供している労働者の募集に関する情報や労働者になろうとする者に関する情報の規模、提供しているサービスの内容、適正な事業運営のために取り組んでいる事項等を定める予定〔省令〕。
六 特定募集情報等提供事業者の報酬受領の禁止
特定募集情報等提供事業者は、その行った募集情報等提供に係る労働者の募集に応じた労働者から、当該募集情報等提供に関し、いかなる名義でも、報酬を受けてはならないものとすること。
七 募集情報等提供事業を行う者の事業情報の公開
募集情報等提供事業を行う者は、厚生労働省令で定めるところにより(注12)、労働者の募集に関する情報の的確な表示に関する事項、苦情の処理に関する事項その他厚生労働省令で定める事項(注13)に関し情報の提供を行うように努めなければならないものとすること。
(注12)インターネットを利用する方法とする予定〔省令〕。
(注13)個人情報を適正に管理するために講じている措置等とする予定〔省令〕。
八 募集情報等提供事業を行う者による苦情の処理
1 募集情報等提供事業を行う者は、労働者になろうとする者、労働者の募集を行う者等から申出を受けた事業に関する苦情を適切かつ迅速に処理しなければならないものとすること。
2 募集情報等提供事業を行う者は、1の目的を達成するために必要な体制を整備しなければならないものとすること。
九 特定募集情報等提供事業者の秘密を守る義務等
1 職業紹介事業者等に加え、特定募集情報等提供事業者及び当該事業者の従業者は、正当な理由なく、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしてはならないものとすること。特定募集情報等提供事業者及び当該事業者の従業者でなくなった後においても、同様とすること。
2 職業紹介事業者等に加え、特定募集情報等提供事業者及び当該事業者の従業者は、その業務に関して知り得た個人情報等を、みだりに他人に知らせてはならないものとすること。特定募集情報等提供事業者及び当該事業者の従業者でなくなった後においても、同様とすること。
十 指針
厚生労働大臣は、三に定める事項に関し、職業紹介事業者、募集情報等提供事業を行う者等が適切に対処するために必要な指針を公表するものとすること。
十一 事業者団体等の責務
1 職業紹介事業者又は募集情報等提供事業を行う者を直接又は間接の構成員とする団体は、職業紹介事業又は募集情報等提供事業の適正な運営の確保及び求職者又は労働者になろうとする者の保護が図られるよう、構成員に対し、必要な助言、協力その他の援助を行うように努めなければならないものとすること。
2 国は、1の団体に対し、職業紹介事業又は募集情報等提供事業の適正な運営の確保及び求職者又は労働者になろうとする者の保護に関し必要な助言及び協力を行うように努めるものとすること。
十二 指導監督
1 厚生労働大臣による改善命令の対象に、募集情報等提供事業を行う者を加えること。
2 厚生労働大臣は、特定募集情報等提供事業者が四の個人情報の取扱い、六の報酬受領の禁止、九の秘密を守る義務等又は1の改善命令に違反したときは、期間を定めて当該特定募集情報等提供事業の全部又は一部の停止を命ずることができるものとすること。
3 厚生労働大臣に対する申告の対象に、募集情報等提供事業を行う者を加えること。
4 行政庁による立入検査の対象に、募集情報等提供事業を行う者を加えること。
5 政府が行う指導監督の対象から、募集情報等提供を行う地方公共団体を除くこと。
十三 その他
1 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で募集情報等提供を行った者又はこれに従事した者について、一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処するものとすること。
2 十二の2の事業の停止の命令に違反した者について、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。
3 六の報酬受領の禁止に違反した者、五の3の届出をしないで特定募集情報等提供事業を行った者又は虚偽の広告をなし、若しくは虚偽の条件を提示して募集情報等提供を行った者若しくはこれらに従事した者について、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処するものとすること。
4 五の3の届出に関し虚偽の届出をした者又は五の4の届出をせず、若しくは虚偽の届出をした者について、三十万円以下の罰金に処するものとすること。
5 職業紹介事業の許可の欠格事由について所要の改正を行うこと。
6 その他所要の改正を行うこと
 内容としては、以上でございます。施行期日が、20ページの「第七」に書いております。法律全体の施行期日は、令和四年四月一日となっておりますが、今申し上げました職業安定法の改正につきましては、3の第二という部分です。一部の規定を除き、原則令和四年十月一日が職業安定法の改正の施行日となってまいります。
 その次の、二 検討の規定としては、4の部分です。「政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律により改正された第一の八及び第二の施行の状況等を勘案し、当該規定に基づく規制の在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。」としております。
 法案要綱の御説明としては、以上でございます。中に注書きとして、省令事項の目出しをしております。これまでの部会の議論や、報告書に御記載いただいた内容を踏まえて記載しておりますが、省令については法案成立後、また改めて、この部会でもご議論いただいて規定してまいりたいと考えております。あくまで、この(注)に記載しておりますのは、法案要綱の理解の促進として、参考として記載したものです。資料の説明としては以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について、御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。佐久間委員、どうぞ。

○佐久間委員 今回まで、この間の事務局の資料作成、そして御説明等々、ご労苦ありがとうございました。今回の募集情報等提供事業者に係る区分というか、判断基準が明確にされるという点については、基本的に異議はございません。求職者である労働者になろうとする者だけではなく、求人の掲載を職業紹介事業者やネットを活用して依頼する中小企業者にとっても、この募集情報等提供事業者が届出をしていただいて、行政のほうで事業者をしっかりと把握していただくことは、利用させていただく者にとっても、本当に事業者が存在しているのか、また怪しい事業者ではないのかということを把握するためにも必要な措置であると考えております。
 今回、募集情報等提供事業者は、届出制ということになっております。部会の議論でもあったと思うのですが、届出制とするに当たり、届け出る必要項目については、資料の注書きにも載っておりますが、負担のないように項目を絞るなど、改めて省令事項の検討に向けてお願い申し上げたいと思います。
 また、施行されれば、労働局のほうの立入検査に至るまで、事前に「指導」というものもこれから出てくると思います。届出しなければならない事業者も数が多くなったり、これから届出に至るまでの手順というものを指針等に示していくことになると思います。ネットを利用した事業者が、必要項目を提示しているかということについても発見をしたりとか、また、そこで少しおかしいなということがあると思いますが、指導の行き過ぎないように、また反面、逆に発見が遅れて被害や迷惑がかかるようなことというのはやはり困るので、是非、適切な指導を行っていただくようお願い申し上げたいと思います。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかに何かありますか。冨髙委員、どうぞ。

○冨髙委員 御説明いただいた内容について特に異論はございません。今後、詳細について詰めていくところもありますが、是非、求職者保護の観点から、法改正の内容についてしっかりと周知していただきたいと思います。行政として、これから実態把握を行っていく中で、労働市場の健全な発展という視点で、適正な履行確保に努めていただきたいと考えております。
 また、実態を把握する中で、検証や課題整理も適宜、行われていくと思いますが、引き続き望ましい規制の在り方などについても検討していく必要がある考えております。意見として申し述べておきたいと思います。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかにはありますか。平田委員、どうぞ。

○平田委員 御説明をありがとうございました。過日取りまとめた報告書「雇用仲介事業に関する制度の改正について」の内容が適切に反映されており、要綱は適正と考えます。
 省令等で具体的に定める事項も幾つかあるという御説明がありました。かねて申し上げておりますが、現実的に運用可能で、簡便で効果的な制度とするように、法の成立後にこの部会で議論を続けていければと思っておりますので、よろしくお願いします。以上です。

○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御意見等はありますか。よろしいでしょうか。ほかにないようでしたら、省令事項等に関して、今後の運用あるいは周知、実態把握等に関して御意見をいろいろと頂きましたが、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について」という諮問事項については、当部会としては「おおむね妥当」と認めるということで、その旨を職業安定分科会長に報告したいと思いますが、そのようなことでよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○山川部会長 ありがとうございます。それでは、報告文案を事務局から配布をしていただき、また、画面にも表示をお願いいたします。

                            (報告文案を机上に配布)

                         (報告文案をスクリーンに表示)

○山川部会長 画面の表示と御配布いたしました案のとおり、職業安定分科会に報告することとしますが、よろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○山川部会長 ありがとうございます。特段の御異議はありませんので、このように報告をさせていただきます。
 それでは、事務局から発言があります。

○篠崎課長 事務局より一言、御礼の御挨拶を申し上げたいと思います。委員の皆様方には、法律案要綱の御了承を頂きましてありがとうございます。今後、職業安定分科会を経てということでございますが、答申を頂ければ法律案の作成、その後、次期通常国会に法律案の提出をさせていただく予定でございます。法律案が成立いたしましたら、施行に当たっては、これまでも御議論がありましたように、政省令、それから指針事項というものもございます。こういったものの検討に当たりましては、これまで頂いた御議論や御意見、それから事務局のほうでも詰めさせていただいて、この部会でまた御審議いただきたいというように考えておりますので、引き続きの御指導をお願いしたいというように思っております。以上、簡単ではございますが、事務局よりの御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

○山川部会長 ありがとうございました。それでは、本日の審議はここまでとさせていただきます。連絡事項等、事務局から何かありますか。

○笠松補佐 事務局でございます。次回の部会の日程については、追って事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○山川部会長 それでは、以上をもちまして、第335回労働力需給制度部会を終了いたします。皆様方、大変お疲れさまでした。ありがとうございました。