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令和4年2月18日 第76回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第28回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録
日時
令和4年2月18日(金) 13:00~15:00
場所
WEB会議(厚生労働省 専用第21会議室(17階))
議事
○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、第76回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び令和3年度第28回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
御発言される場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、またはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。
現在、副反応検討部会委員9名のうち8名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
なお、全ての委員において、関係企業の役員・職員等でない旨を申告いただいております。また、永井委員より御欠席となる旨の御連絡を、伊藤澄信委員より途中退席となる旨の御連絡をそれぞれいただいております。
また、本日は、議題1の関係で国立感染症研究所感染症疫学センター長の鈴木基参考人にお越しいただいております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。
留意事項に反した場合は、退場していただきます。
また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
本日の座長につきましては、岡安全対策調査会長にお願いしたいと思います。それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○岡座長 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして御報告をお願いします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
本日の議題において、審議される品目は新型コロナワクチンであり、その製造販売業者は、ファイザー株式会社、武田薬品工業株式会社、アストラゼネカ株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については、事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、全ての委員においてファイザー株式会社及びアストラゼネカ株式会社より50万円を超える受け取りはございませんでした。宮川委員が武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、意見を述べることができますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況について各委員より申告いただいておりますので、この場で御報告いたします。
石井委員、宮川委員は第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取り、柿崎委員は塩野義製薬株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○岡座長 それでは、次に事務局から本日の配布資料の確認をお願いします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1~1-9、資料2、鈴木参考人提出資料、参考資料1~13になります。
不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○岡座長 それでは、審議を始めたいと思います。
ふだんは、事務局による副反応疑いの報告状況から資料の説明をお願いしておりますけれども、本日は伊藤澄信委員が途中で退席されますので、まず、伊藤委員にコホート調査の進捗について御報告をお願いしたいと思います。資料説明は一度そこで切らせていただいて、コホート調査に関する質疑を先に行いたいと思います。コホート調査の議論が終わりましたら、改めて事務局から今回の集計対象期間における副反応疑いの報告状況を御説明いただきまして、以降、コホート調査以外の論点について議論を行うという流れにさせていただきますので、委員の先生方、よろしくお願いします。
それでは、まずは、資料1-8、伊藤委員から御説明をお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
本日は、私の個人的な事情に特別なお取り計らいをいただきまして、ありがとうございます。今回は、ファイザー社のコミナティ筋注を昨年3月に2回目接種した医療従事者に、昨年12月1日からファイザー社コミナティ筋注を3回目接種した2826人、及び12月17日から開始しましたモデルナ社のスパイクバックス筋注を接種した773人のうち、1月28日までに収集した日誌や抗体価の結果について御報告させていただきます。
対象者は、コミナティ筋注は、NHOの7病院、JCHOの4病院。スパイクバックス筋注は、NHO7病院、JCHO7病院で実施しているものです。
今回から、有効性として抗スパイクタンパク質抗体価の推移、安全性の情報の順番で説明させていただきます。有効性と安全性という順番になっていますので、前回までと少し違っています。また、コミナティ筋注、スパイクバックス筋注について説明した後で、両者の比較資料について説明させていただきます。
5ページをご覧ください。抗スパイクタンパク質抗体価は、従来株である武漢株(ウーハン株)に対する抗体価です。既感染の指標であります抗ヌクレオカプシドタンパク質抗体が陽性の11人を除いた陰性者で、1か月後までに抗体価が得られた方、前回は252人でしたけれども、今回は396人のデータをまとめています。最終的には500人のデータになろうかと思います。前回は箱ひげ図で提示しておりましたけれども、今回からは母平均の95%信頼区間を示したエラーバーで示しています。また、これらのグラフの数値については、31ページに示しています。
左上のグラフは、接種前と接種後のエラーバーを示しています。縦軸は対数目盛になっています。前回説明させていただいておりますが、年齢が上がるとともに接種前の抗体価が低くなっていますが、右端のほうの幾何平均抗体価倍率をご覧いただきますと分かりますけれども、年齢とともに高くなっていて、結果として抗体価そのものの絶対値には年齢差が出てきませんでした。
なお、性差については、重回帰分析で有意な因子になっておりませんので、分けて提示しておりません。
結果としてご覧いただいて分かるとおりで、接種前の抗体価の絶対値が374だったのが、2万219U/mLで、幾何平均抗体価倍率(GMR)は54.1倍でした。前回50倍近くて49倍ぐらいで御説明させていただいたのとほぼ変わりがないという状況です。
なお、2回目接種と3回目接種の間隔は平均267.3日で、9か月弱でした。ちなみに、接種間隔についても抗体価について有意な因子ではありませんでした。
接種後の抗体価に年齢差がないのに、3回目接種前に年齢差が生じている理由は、よく分かりません。2回目接種後の抗体価に差があった可能性と、年齢が高い人の減衰率が高い可能性と、両方ありますが、2回目接種後の抗体価を測っておりませんので、分かりません。今後、3か月後、6か月後と、同じ人たちの抗体価の推移を追いかけていきますので、また、それについては何らかの示唆ができる報告になるかと思います。
6ページ以降は、発熱などの時系列と年齢・性別の違いを示しておりますが、今回からは、上段に時系列、下段に年齢階層別・性別の棒グラフにしています。また、母平均の95%信頼区間をエラーバーに入れています。
また、7ページは、海外のデータと比較しやすいように、38度以上の発熱については別グラフとして提示しています。
コミナティ筋注3回目接種のグラフについては、前回と同じですので少し省略いたしますが、14ページをご覧いただければと思います。
副反応疑い報告の基準に心筋炎などが加わったことと、3回目の接種では胸痛の日誌記載についても詳細な報告を求めておりましたので、日誌の情報から2例の心筋炎疑いのPMDA報告がされています。両例とも血液検査や心電図検査で確定したものではありませんので、否定できないとして報告されたものです。また、この症状について軽快していることは確認されています。
16ページをご覧いただきますと、解熱鎮痛薬の服用者は12.1%、病休者は8.8%であることが分かります。
17ページからは、モデルナ社のスパイクバックス筋注を3回目接種した773人の医療従事者のデータです。初回コホート調査に参加された医療従事者は、コミナティ筋注を12月初めにばたばたと打ってしまっておりましたので、スパイクバックス筋注接種者のリクルートは手こずりまして、初回コホート調査に参加されていなかった同一医療機関の医療従事者424人も含まれている結果だということを御了解いただければと思います。
18ページが抗スパイクタンパク質抗体の結果です。3回目接種前と接種1か月後の抗体価が得られていて、かつ抗N抗体陽性の4人を除いた陰性者233人のデータです。抗N抗体陽性の方は、接種前の抗体価が少し高いので、同一集団と判断するのは難しいので除いています。
スライドの読み方は5ページと同じですが、接種前抗体価は444U/mLと、少し高くなっています。これは、コミナティ筋注接種者の平均年齢が43.8歳だったのに対して、スパイクバックス筋注接種が41.6歳と、2歳ぐらい若かったことが理由だということが、解析の結果、分かっております。結果としては、接種後は3万164U/mLで、幾何平均抗体価倍率は67.9倍でした。
なお、2回目接種と3回目接種の間隔は、接種開始が遅いので、少し長くなって282.4日、9か月強という状況でした。
ちなみに、「Frontier in immunology」の1月19日号に、モデルナ筋注が100マイクログラムの2回目接種の抗体価は今回と同じロシュの抗S抗体の結果が出ているのですが、その結果の中央値は、グラフから読み解きますと数千でしたので、3回目接種後はそれより抗体価が高くなっているということが予測されます。
グラフをご覧いただいて分かりますが、5ページのグラフとほぼ相似形で、年齢の高い方が接種前抗体価が低かったのですが、接種後の抗体価は年齢ごとの違いがなくて、計算上の幾何平均抗体価倍率は年齢が高くなるにつれて高くなるということが分かります。
発熱などについては19ページから示しておりますが、全体の頻度や年齢階層別の頻度に差がありますが、コミナティとスパイクバックスの基本的なグラフの形は一緒かなと思います。
26ページに示しましたように、PMDA報告とSAE報告はありません。
27ページは、接種1週間後までのAEをMedDRAでコーディングした結果ですが、コミナティ筋注と同様に、リンパ節痛や腫脹、腋窩痛が多いのが分かります。
28ページです。解熱鎮痛薬の服用者は9.8%で、病休者は10.3%でした。
29ページからがコミナティ筋注とスパイクバックス筋注の比較です。
抗体価ですが、両者の比較した線形重回帰分析は年齢・性別・接種間隔で調整した結果です。左上に示しておりますが、統計学的には有意にスパイクバックス筋注の抗体価が高い。また、幾何平均抗体価倍率、GMRも54.1倍と67.9倍という違いがあります。この抗体価は従来株に対するものですから、現在流行中のオミクロン株の中和抗体価を示すものではありませんが、今年の1月18日の雑誌「サイエンス」で、3回目接種はオミクロン株に対しても有効だという海外の論文を多屋先生に教えていただいています。
あと、英国の保健当局が2月3日に公開したサーベイランスレポートでも、追加接種後のVE、ワクチン効果でもファイザーとモデルナ社の比較がされていて、VE、ワクチン効果は、モデルナ社のほうが高いといった報告などを併せて考えますと、スパイクバックス筋注の効果が少しは高いのではないかと推察しております。
抗体価の数字は、30ページに示しています。
発熱を中心とした様々な副反応については、31ページから33ページにかけて示しています。年齢階層別・性別によって違いがありますので、両ワクチンの比較ができるように、母平均の95%信頼区間が重複していない項目は黄色で示しています。差があるところは黄色で示していて、発熱の頻度はほぼ全年齢層にわたってスパイクバックス筋注のほうが高いということは31ページをご覧になると分かりますし、接種部位の疼痛は両者でほぼ変わりはありませんが、全身倦怠感、頭痛については、全体で見るとスパイクバックスのほうが少し高頻度かと思います。
しかしながら、全体として見たときの病休の頻度は、コミナティ筋注が8.8%でスパイクバックスが10.3%で、もちろん統計学的な差はありませんでしたし、ほとんどの人は2日以内に軽快されておりますので、実際は勤務に与えた影響には違いがないように思えました。
個人的にこういったデータを眺めますと、スパイクバックス筋注のほうが抗体価の上昇と副反応の頻度が高いのですが、解熱鎮痛薬の使用や病休の頻度は変わりませんでしたので、どちらのワクチンをお使いになられるかの選択については、効果の期待と副反応のバランスの問題かなと感じております。
まとめは、今、説明させていただいたことを文章にしたのが34ページです。
説明は以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
ただいま、伊藤澄信委員から3回目接種におけるコホート調査の進捗を御報告いただきましたけれども、委員の先生方、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。大変興味深いデータかなと思いますけれども、いかがですか。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 伊藤先生、どうもありがとうございます。
N抗体陽性だった人たちの抗体価というのは、3回目接種前でかなり高かったのでしょうか。あと、3回接種後でN抗体陰性の人と比べて、さらに高いということはあったのでしょうか。
○伊藤(澄)委員 今、提示させていただいたとおり、少なからずの人数の人は抗体が陽性でしたが、カットオフが1ですので、低い人というのは本当に感染したという抗体だったのか、よく分からないところがあります。ちなみに、申告をされた、自分は感染しましたという人の割合ですけれども、それは全体の0.67%で、N抗体陽性の人は2.3%でした。ですから、基本的には差の部分は不顕性感染です。
ですので、その不顕性感染をどうするのかという話になりますけれども、カットオフ1なので、今回はカットオフ1で切りました。その結果、抗N抗体陽性者は統計学的に有意に高くなりました。高い人は、N抗体が160とか、そのぐらいまで上がっていて、その人に感染の既往があったかどうかはチェックしておりません。今回は単純にカットオフを基準にしてN抗体陽性の人を外した結果です。160に上がっている人と1.1の人を同列にして比較するのもどうかなと思ったので、今回は具体的には提示させていただいておりませんが、重回帰分析をかけると差が出ます。
○長谷川委員 よく2回接種後に感染した場合に、次、ワクチンを受けるべきかどうかという質問を受けるので、感染の場合にはばらつきが大き過ぎるので、きちんと抗体価を上げるためには3回目を打ったほうがいいということでよろしいでしょうか。
○伊藤(澄)委員 先ほど実際のスパイクバックスの100マイクログラムの2回接種の値を提示させていただいていますが、そのときはモデルナ社の投与量設計のときは、いわゆる回復者血清の値をめどにして設定されたと認識していますが、スパイクバックス筋注の2回接種後の状態でも回復者血清の抗体よりは高いです。ですので、今回、感染者の抗体価に比べても明らかに高くなりますので、そういう意味では、感染されているか、いないかということを別にして、追加接種されれば抗体価は3万というべら棒な数に上がりますので、接種をお勧めしたほうがいいのではないかと個人的には思います。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○岡座長 伊藤清美委員、お願いします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
貴重なデータをありがとうございます。先ほどの御説明ですと、モデルナの3回目の結果は、1回目・2回目もモデルナの方ということだったと思うのですけれども、そうしますと、今回の解析は3回とも同じワクチンを接種した方同士の比較ということでよろしいでしょうか。
○伊藤(澄)委員 説明が悪くてすみません。1回目・2回目はコミナティ筋注を接種した人が、3回目接種として、コミナティを打ったか、モデルナを打ったかということの比較です。モデルナを2回、大規模接種などで打たれた方については、今後調査させていただきますので、そのときに最終的には4つの群、モデルナを1・2回で打たれた人が、今後、モデルナを打つか、ファイザーを打った結果を、また提示させていただく状況になるのではないかと認識しています。
○伊藤(清)委員 誤解しまして失礼いたしました。ありがとうございます。
今後のことになるかと思うのですけれども、例えば2回目までに副反応が出た方が、3回目も出ているかという個人ごとの解析をされる予定はありますでしょうか。
○伊藤(澄)委員 前回、ファイザーを3回目接種された方についてはそういった提示にさせていただいたと思っています。発熱は、3回目も相当の程度で発熱しておりますが、今回は3回目としてモデルナを接種された方は半分以下しか、前回のコホート調査のデータがありませんので、正確な意味での比較はなかなか難しいなと思っておりますので、提示させていただいておりません。もう少しnの数が固まりましたら、初回コホートと記録がある人を取り出して見ていきたいと思っております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○岡座長 よろしいでしょうか。
では、多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 伊藤先生、いつも本当にありがとうございます。
聞き逃したかもしれないですけれども、資料の20ページですけれども、フェーズというレンジになっていまして、これが接種からの日数ということでよかったのでしょうか。上段の38度以上の発熱なのですが。
○伊藤(澄)委員 おっしゃるとおりです。具体的に申し上げますと、19ページの38度以上の部分だけ切り取って、こういう形で載せております。
○多屋委員 上段の発熱を見ますと、接種から2日目に四十数%の人に発熱があって、その後ずっとなくなって、9日目にまた50%ぐらいとなっています。
○伊藤(澄)委員 9日目は通期なので、8日までに全体として起きた人がこれだけいましたということです。言葉足らずですみません。
○多屋委員 ありがとうございました。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。
私のほうから1点、ちょっと教えていただければと思うのですけれども、3回目を打つと抗体の上昇が著しいというのは分かるのですけれども、専門的に見て、この抗体の臨床的な差というのは何か考えられるのでしょうか。いかがでしょうか。
○伊藤(澄)委員 先ほど説明の中で申し上げましたけれども、海外の論文を見ると差があるというデータがほとんどです。コミナティよりもモデルナのほうが、VEというか、ワクチンによって感染防御の力が高そうだというデータが出ておりますが、出ているもので一番はっきりしていると思うのが、イギリスのヘルス当局が2月3日に出している、COVID-19のワクチンサーベイランスレポートの7ページとか8ページを見ると、3回目接種の結果が出ておりまして、それはオミクロンとデルタについても出ている資料があるのですけれども、そういったものと併せて考えるとそうかなと思ったので、申し述べさせていただきました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、委員の先生方、よろしいですか。
では、どうもありがとうございました。いつも大変参考にさせていただいておりますけれども、貴重なコホートだと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
次に、議題1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況並びに接種後の健康状況に係る調査等」について、まずは資料1-1-1~1-6-2まで、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1-1~1-6-2を用いまして、今回の集計対象期間において、副反応疑い事例の動向などに変更があった点を中心に御説明したいと思います。
まず、資料説明の前に、集計と専門家評価の対象期間の変更から御報告させていただきます。前回の部会以降に委員に御了承いただきましたが、今回から集計と専門家評価の対象期間を変更しております。前回までは、会議の開催日から19日前までに報告された分を原則集計対象として専門家評価の対象としておりましたが、今回からは26日前というふうに集計期間を変更しております。
これまでは迅速に評価することを重視しまして19日前としておりましたが、既に1・2回目接種後の相当数の副反応疑い事例の評価を行っていること。また、3回目につきましても、コホート調査や、前回、副反応疑い事例について一定の評価を行っておることを踏まえまして、今回からは精緻に評価していく観点も考慮しまして、情報の収集と評価のための期間を1週間ほど延ばしておるという状況でございます。
また、併せまして、バキスゼブリアの集計と専門家評価の期間の考え方も今回から見直しを行っております。当初、事例が乏しかったという事情がございまして、バキスゼブリアの死亡事例については、当面、mRNAワクチンよりも1週間、評価期間を延ばして専門家評価を行っておりました。また、TTS疑い事例につきましても、死亡と同じ扱いとしておりました。接種開始からこれまでに半年が経過しまして、副反応疑い事例の情報も収集されてきておりますので、バキスゼブリアについても今回からmRNAワクチンと同じ方針での集計と専門家評価を行っております。
以上を踏まえまして、今回の集計対象期間は1月23日までとなっております。
それでは、資料の説明に移ります。まず、1-1-1の38ページをご覧ください。スパイクバックス3回目接種後に報告された症状の一覧でございます。前回の合同部会におきましては、集計期間中にスパイクバックス3回目接種の実績はないものの、期間後に死亡事例の報告があったということを御報告させていただきました。
今回の集計期間からスパイクバックス3回目接種が実施されておりまして、副反応疑い事例につきましても2件報告がございました。心肺停止の事例につきましては、前回御報告した死亡事例でございます。心膜炎の事例につきましては、今回初めて御報告する事例となります。今後、製造販売業者による調査が終了しまして報告がございましたら、ブライトン分類の評価結果も御報告したいと考えております。
次に、41ページでございます。3回目接種における報告状況をまとめた表でございまして、一番下の表のところに年齢階級別の接種者数をまとめております。表の一番下に高齢者の接種者数を掲載しております。これによりますと、今回の集計期間におけるコミナティの被接種者に占める高齢者の割合が約20%、スパイクバックスが約65%となっておりますので、両ワクチン間で被接種者の背景情報に差がございますので、後々の説明の前提としまして、まず接種状況の差について御報告させていただきました。
なお、参考としまして、1・2回目接種における高齢者の割合のほうですが、コミナティが約4割、スパイクバックスが約6%で1割弱でしたので、初回免疫と3回目接種でも両ワクチンの背景に差があるという状況でございます。
その他、副反応疑い事例の報告状況につきましては、初回免疫後の事例やコミナティの3回目接種、ロット別の報告件数など、3ワクチンとも顕著な報告状況の変化はございませんでしたので、1-1-1と1-2-1の説明は以上とさせていただきます。
続きまして、1-3-1をご覧ください。1-3-1、コミナティの死亡事例でございます。
1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の集計対象期間以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、新たに11件、うち3回目接種後の事例が1件ございまして、23日までに報告された事例につきましては計1382件、うち3回目接種後の事例は2件となっております。
2つ目の○のところでございます。なお、上記に加えまして、1月24日から2月4日までに報告された事例が20件、うち3回目接種後の事例が11件でございました。
3回目接種後の各死亡事例の概要につきましては、3ページ目以降でお示ししておりますが、委員の皆様には事前に資料を送付しておりますので、本日の説明は省略したいと思います。
続きまして、「2.専門家の評価」の部分でございます。1月23日までに報告されました1382例を対象に因果関係評価を実施しておりまして、結果を表としてお示ししております。
続きまして、資料1-3-2でございます。スパイクバックスの死亡事例について御報告いたします。
1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の集計期間以降、スパイクバックス筋注の副反応疑い報告におきまして報告された事例が新たに1件ございまして、1月23日までに報告された事例は計67件、うち3回目接種後の事例は前回御報告した1件でございます。
なお、集計対象期間でございますが、上記に加えまして、1月24日から2月4日までに報告された事例が4件、いずれも3回目接種後の事例でございました。
各事例の概要につきましては、こちらも3ページ目以降におつけしておりますが、本日、各事例の詳細な説明については省略したいと思います。
「2.専門家の評価」の部分でございまして、67事例を対象にしまして実施しました因果関係評価の結果につきまして表としてお示ししております。
次は、バキスゼブリアでございますが、先ほど御説明させていただきましたが、今回から専門家評価対象期間の変更を行っておりますけれども、いずれにしましても新規の死亡事例の報告はございませんでしたので、説明は省略したいと思います。
続きまして、資料はアナフィラキシー疑い事例のほうになりますが、大きな動向の変更があるわけではございませんでしたので、資料の説明は省略したいと思います。
TTSにつきましても、大きな動向の変化はございませんので、説明は省略いたしますが、バキスゼブリアについては、先ほど御説明しましたように、mRNAワクチン同様、製造販売業者からの報告に基づきまして、今回からブライトン分類評価を行うこととしておりますが、こちらも新規の症例の報告はありませんでしたので、資料の説明は省略いたします。
続きまして、1-6-1でございます。コミナティの心筋炎・心膜炎疑い事例の報告状況でございます。
「1.報告状況」の部分でございます。前回の集計対象期間以降、心筋炎疑いとして報告された事例が新たに15件、うち3回目接種後の事例が1件。また、心膜炎疑い事例として報告された事例は新たに4件、うち3回目接種後の事例は1件ございまして、1月23日までに報告された心筋炎疑い事例は計67件、うち3回目接種後の事例が1件。心膜炎疑い事例は計19件、3回目接種後の事例はうち1件となっております。
3回目接種後の事例のブライトン分類評価の結果につきましては、心筋炎の1事例につきましては、3ページ目のマル3、3回目接種の表でお示ししておりますが、レベル4でございました。
心膜炎の1事例につきましては、4ページ目のマル3、3回目接種の部分でお示ししておりますが、レベル2と評価されております。
6ページ目にブライトン分類1~3の頻度をお示ししております。また、そのすぐ下の参考というところに、ブライトン分類レベル1~5の報告頻度の推移をお示ししております。心筋炎や心膜炎の場合は報告基準に追加され、ブライトン分類評価を開始したのがほぼ初回免疫が終了しておりました12月時点でしたので、ブライトン分類の推移は3回目接種でお示しするとしておりますが、これまでの接種回数別の頻度の推移が分かるようにということで、参考としてレベル1~5の頻度の推移もおつけしております。
8ページ目、9ページ目の部分でございますが、こちら、年齢階級別・性別でブライトン分類1~3を集計しております。前回の御議論を踏まえまして、今回から括弧の中に、接種から症状の発生までが7日以内であった者の件数も内数としてお示しするようにしております。
最後、スパイクバックスでございますが、動向に大きな変化はございませんでしたので、資料の説明は省略したいと思いますが、先ほど1-1-1の中で御説明させていただきましたが、3回目接種後の心膜炎の事例につきましては、製造販売業者からの報告がございましたら、ブライトン分類の評価結果とともに、こちらの1-6-2の中でお示ししたいと考えております。
バキスゼブリアは、現時点におきまして心筋炎・心膜炎の事例はございませんので、省略いたします。
資料の説明は以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
引き続き、資料1-7について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
それでは、資料1-7をご覧ください。
まず、2ページ目でございますけれども、資料構成につきましては、前回と同様の構成となっておりまして、「副反応疑い報告全体の概要」「死亡として報告された事例」「心筋炎又は心膜炎疑いとして報告された事例」についてお示しした上で、「論点のまとめ」「参考資料」となってございます。
4ページ目をご覧ください。4ページ目は、副反応疑い報告の概要で、資料1-1-1及び資料1-2-1をまとめたものでございます。こちら、1月23日のデータロック時点のものをまとめておりまして、現在進んでおります3回目接種につきましては、ファイザー社ワクチンについては約253万回。また、武田/モデルナ社ワクチンについては約8万6000回の推定接種回数のうち、医療機関報告における副反応疑い報告としては、青のところにお示ししておりますファイザー社は、3回目については427件、オレンジ色のモデルナについては2件。
また、製造販売業者報告における副反応疑い報告としては、青のところのファイザー社において60件、モデルナにおいては1件となってございまして、1・2回目接種と比較して特段頻度が増えていないことが見てとれるかと存じます。
続きまして、6ページ目をご覧ください。新型コロナワクチン接種後に「死亡として報告された事例」の概要をお示ししております。
ファイザー社ワクチンにおきましては1382件の御報告があり、うち3回目接種後の事例は2件でございました。
武田/モデルナ社ワクチンにおいては67件であり、うち3回目接種後の事例は1件でございました。
なお、先ほども御紹介ございましたけれども、現在、3回目接種については、医療従事者等に加えて、高齢者の方の接種が進んでいる状況でございまして、データロック外に3回目接種後に死亡として報告された事例として、ファイザー社ワクチンにおいては11件、モデルナ社ワクチンにおいては4件ございましたが、そのほとんどが御高齢の方という状況でございます。
症例の詳細につきましては、資料1-3-1あるいは1-3-2にございますので、御参照いただけますと幸いでございます。
続きまして、7ページ目以降をご覧ください。こちらからは「心筋炎又は心膜炎疑いとして報告された事例」でございますけれども、8ページ目におきましては、製造販売業者から心筋炎又は心膜炎疑いとして報告された事例の概要をまとめております。資料の説明につきましては、先ほども御紹介いたしましたので、割愛させていただきます。
また、9ページ目、10ページ目をご覧ください。こちらは、国内の報告状況につきまして、ブライトン分類4、5のものも含めまして、全ての製造販売業者報告における件数を計上してございます。
本邦の状況につきましては、上段2段目のところに1月23日時点のものをまとめておりまして、現時点で3回目接種につきましては、ファイザー社ワクチンについては心筋炎・心膜炎がそれぞれ1件、報告頻度としましては100万回接種当たり、それぞれ0.4件となってございます。
また、10ページ目におきましては、同様にモデルナ社ワクチンにおいての心筋炎・心膜炎疑いとして報告された事例についてまとめておりまして、1月23日時点では、それぞれ3回目接種については、心筋炎・心膜炎ともにゼロ件となってございます。
続きまして、12ページ、13ページ、14ページ目をご覧ください。こちらは、心筋炎・心膜炎に係る海外情報を更新してございます。更新された要点等につきまして簡単に御紹介申し上げます。
まず、12ページ目の3段落目、こちらはCDCからの1月6日の更新情報でございますけれども、3回目接種後に係る情報といたしまして、前回、多屋先生からもコメントを頂戴いたしておりますけれども、3行目、イスラエルの暫定データによると、ファイザー社ワクチン追加接種後の心筋炎のリスクは、2回目接種後よりも低いという情報が載せられてございます。
また、3回目接種後の心筋炎に係る海外情報につきましては、2月11日にCDCより報告された情報がございますので、後ほど3回目接種後に係る海外情報のスライドでも御紹介したいと思います。
続きまして、13ページ目をご覧ください。こちらは、英国MHRAからの2月10日の更新情報でございます。以前、国立国際医療センターを中心にお取り組みいただいているCOVID-19レジストリにおきまして、COVID-19を発症した入院患者100万人当たり、約100~900人程度の心筋炎関連事象が発生しており、また、米国での情報も踏まえまして、COVID-19感染症後に心筋炎関連事象を発症する確率は、ワクチン接種後と比較して高いという情報をお示ししておりました。
こちらの情報に関連しまして、下から2行目におきまして、英国におきましても心筋炎はCOVID-19感染に関連するとして、100万人の患者当たり約1500件の心筋炎があるという紹介がされておりまして、これまでの本部会における情報をサポートするものと考えてございます。
続きまして、15ページ目以降、まとめのスライドでございます。
まず、16ページ目でございますけれども、上段の青囲みのところ、最新の死亡例の報告状況の整理につきましては割愛させていただきますけれども、死亡例の論点のまとめといたしましては、現時点においては、個々の死亡事例について新型コロナワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた事例は認められない。
引き続き、3回目接種後の事例についても、情報を収集し、丁寧に評価を行っていく。
また、死亡の報告に関しては、現時点においては、3回目接種後の事例も含め、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで御審議いただきたいと考えてございます。
また、死亡例に関する考え方を御議論いただくに当たりましては、後ほど感染研の鈴木基先生より、超過死亡という観点で御解説を賜る予定としてございます。
17ページは、心筋炎及び心膜炎に関する考え方ということで論点スライドをお載せしてございますので、こちらの内容で御審議いただきたいと考えてございます。
また、18ページ目でございます。こちらは、3回目接種についての情報を青囲みにまとめてございます。
また、3回目接種に関する論点のまとめといたしましては、国内の3回接種後に係る副反応疑い報告状況については、現時点では重大な懸念は認められない。
国内外の3回目接種後に係る副反応疑いの報告状況については、今後も引き続き注視していくということで、まとめとさせていただいております。
また、先ほど、3回目接種についてというところで、参考資料の25ページ目をご覧ください。こちらは、3回目接種について御議論いただくに当たりまして、海外情報を載せております。
上段の米国CDCで公表されておりますMMWRとして、2月11日、Early Releaseとして公開された内容を記載しております。こちらのレポートの趣旨としましては、2行目をご覧ください。同種のmRNAワクチンの追加接種をした場合は、1週間以内の局所反応及び全身反応は、2回目よりも頻度が低かったということが趣旨としてまとめられてございます。
また、追加の情報といたしまして、初回シリーズに受けたワクチンとは関係なく、追加接種にモデルナを接種した者については全身反応が多かった。一方で、追加接種後の心筋炎については、18~24歳の男性で報告が多い傾向にあったが、2回目接種と比較すると報告頻度は低かったという情報がございました。こうした情報も踏まえまして、3回目接種について御議論いただきたいと考えてございます。
ページをお戻りいただきまして、18ページ目の最後、全体のまとめでございますけれども、主な検討項目といたしまして、死亡、アナフィラキシー、TTS、心筋炎・心膜炎、3回目接種、及び健康状況に関する調査の状況も踏まえまして、現時点において、引き続き、ワクチンの接種を継続していくこととしてよいかということで御審議いただきたいと考えてございます。
資料1-7についての説明は以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
続いて、資料1-9について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
資料1-9をご覧ください。こちらは「新型コロナワクチン接種後健康状況調査」、いわゆるオンライン調査でございます。
今回、対象者といたしましては、初回シリーズについて調査に御協力いただいた方となっております。今回の対象者数につきましては、8ページ目をご覧ください。接種当日にエントリーのありました3721人のうち、有効回答者数3196人が対象となっております。
また、10ページ目をご覧ください。ワクチンの種別につきましては、3196回答のうち2880回答ということで、約9割がファイザーのものとなってございます。
なお、3回目接種を対象としました調査につきましては、引き続き、準備中となってございます。
続きまして、ページが戻りまして恐縮でございますけれども、6ページ目をご覧ください。こちらは、前回の審議会におきまして、本資料の掲載データを閲覧・解釈等をするに当たっての留意点につきまして委員の先生方から御指導いただきました。その内容を踏まえまして、6ページ目に本調査の特性や留意点を掲載させていただいております。
まず、本調査の特性としましては、被接種者のうち、参加に同意いただいた者が任意で回答したものについて集計・公表しているものを記載させていただきました。
次に、留意点といたしまして、本調査の参加者については、調査の実施時期あるいは実施の形態による影響によって、参加者の年齢や属性等に偏りが生じている可能性について留意が必要ということも記載してございます。
また、「症状が出なかった」ことについても回答を求めてはおりますが、症状が出た方が回答しやすいバイアスが入っていることを明記した上で、症状の発現頻度の算出に当たっては、回答が得られた者のうち、症状が出た者を発現頻度としていることから、結果として、発現頻度が高く算出される傾向を踏まえて御利用いただきたいことを記載してございます。
続きまして、資料、飛びまして、70ページ及び71ページ目をご覧ください。こちらのページにおきましては、前回、多屋委員よりいただきました御指導の内容を踏まえまして、各症状における接種後の日数別の症状出現頻度について一望できるグラフを準備させていただきましたので、御参照いただけますと幸いでございます。
なお、こちらのデータにつきましては、グラフ内の分母数を統一するため、接種後1週目と2週目の両者の回答があった者のみについて集計の上、頻度を算出しており、上段の接種1回目については945回答、下段の接種2回目については408回答が対象となっており、全ワクチンをまとめた集計となっていることを申し添えさせていただきます。
資料概要でございますけれども、資料1-9について事務局からの説明は以上でございます。
○岡座長 ありがとうございました。
ただいま、これまでの副反応疑い事例の報告状況について御説明いただきましたけれども、まず、今回以降の合同部会における資料の集計期間の考え方についても御説明をいただいております。
この場の議論としては、効率的に議論を進めるために、死亡事例や発生動向や評価方法などに変化があった副反応疑い事例に焦点を絞って議論を行っていくこととしております。そのような観点から、本日の新型コロナワクチンの安全性評価につきましては、1番として「3回目接種について」、2番として「死亡事例について」、3番として「心筋炎などのその他の論点について」の順番で議論をさせていただければと思います。
まず、「3回目接種について」でございますけれども、3回目接種については、資料1-7の19ページにおいて事務局から論点が上げられておりますので、御参照ください。今回の集計対象期間から、心筋炎関連事象についても、3回目接種後の副反応疑い事例の報告がございました。この3回目接種に関して、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございました。
非常にトレースがうまくいっているということが分かって、勉強になりました。
ちょっと教えていただきたいのですけれども、資料1-7の25ページ目で米国の報告についての御紹介があったと思います。これは、追加接種後の心筋炎について、3回目が2回目よりも報告頻度が、モデルナの場合ですけれども、低かったということでした。これは、モデルナの用量が低いことと関係があるのかどうかという考察があったのでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。どうぞ、お願いします。
○事務局 事務局でございます。先生、御指摘ありがとうございます。
こちら、MMWRの報告の範囲については、その原因等についての記載はございませんでした。
○佐藤委員 では、特にディスカッションのような項目はないということですね。
○事務局 事務局でございます。
こちら、当局レポートであり、考察のような項目の記載はございませんでした。
○佐藤委員 分かりました。引き続きウオッチしたいと思います。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、3回目接種についてということで、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。副反応全体の出現の仕方として、大きな変化はなさそうだという御報告かと思いますけれども、よろしいでしょうか。
そうしましたら、2番目の論点、「死亡事例について」に移りたいと思います。本日は、先ほど来御紹介いただきました鈴木基参考人に御参加いただいております。当部会でも、これまで、これまで接種後に亡くなった方については、個々の疾患については人口動態統計等との比較も行ってきたわけですけれども、今回、鈴木参考人の研究班では、新型コロナ感染症の流行時における超過死亡の研究を行って御発表いただいておりますけれども、本日は死亡事例等の議論を行うための参考として、2021年の全死亡超過死亡の発生と新型コロナワクチンの接種数との関係について研究班に分析をお願いさせていただきました。
それでは、鈴木参考人から、提出資料について御説明をお願いします。
○鈴木参考人 御紹介ありがとうございます。国立感染症研究所感染症疫学センターの鈴木です。
それでは、資料、1枚目をご覧ください。最初に、本資料の背景について少し解説申し上げます。
厚生労働省研究班、私たち、通称サーベイランス研究班と呼んでおりますが、この研究班の分担研究課題として、新型コロナの影響による超過死亡について研究を行っています。その分析結果等については、専用のウェブサイト、厚生労働省アドバイザリーボード等で公開してきたところです。今回は、先ほど紹介ありましたように、副反応検討部会からの要望に応じまして、昨年、2021年における全ての死因を含む死亡、つまり全死亡の超過死亡数と新型コロナワクチン接種数の間の時間的な関係について整理を行ったものです。
資料、中段あたりに書いておりますが、超過死亡について改めて解説したいと思います。超過死亡というのは、ある時点の実際の死亡数が例年の同時期よりもどれだけ多いのかというのを表した数です。もう少し正確に言いますと、まず最初に、過去5年間の週ごとの死亡者数のデータを使って、直近の死亡者数を予測します。これぐらいの死亡者数が発生するだろうという予測をします。ただ、実際の予測にはばらつきがあるので、予測値の幅というものを計算します。そして、実際に現れた死亡者数が予測値の幅の上限よりも多いときに、これを超過死亡と定義いたします。
この計算方法は、従来、毎年発生するインフルエンザの超過死亡数を計算するために国際的に使われてきたもので、米国のCDCもこの方法を使っております。今回の分析では、超過死亡に対する比較対照として、週ごとのワクチン接種数と新型コロナの陽性者数を並べております。
資料、2枚目、結果をご覧いただきたいと思います。こちらは、65歳以上に限ってまとめたものです。グラフがちょっと多いですが、縦に3つのグラフが並んでおります。一番上の段のグラフが週ごとのワクチン接種数、2段目のグラフが週ごとの超過死亡数、3段目が週ごとの陽性者数となっております。
一番左側が大阪のデータです。まず最初に、上から3段目、つまり、一番左下にある陽性者数のグラフをご覧いただきたいと思います。大きな波が2つ見えると思います。横軸は2021年1月から10月までとなっております。左側の低いほうの波が去年の4月から5月に発生した、いわゆる第4波に相当します。目をそのまま上の段に移していただきますと、これが超過死亡数です。青い点線がゼロで、これより上が超過死亡ということになります。上下、見比べますと、第4波の陽性者数が増えるのに、2週間ぐらい遅れて超過死亡が発生していることがお分かりかと思います。この2週間程度の遅れというのは、新型コロナ陽性と診断されてから重症化してお亡くなりになるまでの期間に相当するとお考えください。
さて、その上で一番上の段のワクチン接種者数と見比べていただきたいと思います。赤い線が1回目接種者数、緑の線が2回目接種者数です。超過死亡のグラフと比べると、超過死亡の波から1か月遅れてワクチン接種者数のピークが来ていることがお分かりかと思います。
この傾向、つまり第4波の超過死亡から遅れてワクチン接種者数が増えるという傾向は、その1つ右の兵庫県、さらにその隣の東京都でも同様です。一番右側は、全国を全部合わせたものです。全国データで計算すると超過死亡の値が少し変わってくるのですが、それでも超過死亡の観察から遅れてワクチン接種数がピークを迎えているということには変わりありません。
次のページ、3枚目をご覧ください。こちらは、65歳未満について、同じ分析を行っております。65歳以上と比べると、ワクチン接種のピークの期間が長いですけれども、第4波の超過死亡から遅れてワクチン接種者数が増えているということがお分かりかと思います。
最後に、資料、1枚目にお戻りください。下の段に考察と注意点を記しております。詳細はお読みいただきたいですが、まとめますと、この分析はあくまで超過死亡の推移とワクチン接種者数の推移を並べただけで、複雑な統計解析を行ったというものではございません。ただ、この単純なグラフから言えますことは、第4波の超過死亡は、ワクチン接種数の増加よりも先に発生し、そしてピークを迎えたということ。そして、ワクチン接種数がピークを迎えたときには、既に超過死亡はほとんど観察されていなかったということです。原因は結果に先行するという原則から言いますと、ワクチン接種の増加が超過死亡の増加につながったという説明は成り立たないと考えております。
私から以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
ただいま鈴木参考人から御説明いただきましたけれども、何か委員の先生から御質問、御意見等ございますでしょうか。
柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 貴重な解析ありがとうございます。
コロナの第4波で超過死亡が増えて、その後、ワクチンを接種して、第5波のときには超過死亡が増えなかったということは、時系列で考えると、ワクチンの効果で超過死亡が減ったということ、また、若年者と高齢者を比べると、より高齢者のほうでワクチンが超過死亡を減らしたと解釈してもよろしいのでしょうか。難しいとは思いますが。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。
今、御質問いただいたこと、全くそのとおりであるように考えております。ただし、注意は必要です。あくまで、今、見ているグラフは、2つのグラフを並べて時間的な関係を見ているだけであるということに注意は必要ですが、確かに第4波のときに発生した超過死亡が、陽性者数の波の大きさだけで言えば第5波のほうが大きいにもかかわらず、第5波では超過死亡は第4波ほどは認められなかったということに関しては、このグラフを見るだけでもワクチンの接種が行き渡ったことであろうということは推察されます。
これを裏打ちするデータとして、今日はお示ししておりませんが、いわゆる症例致死率あるいは致命率、ケース・フェイタリティ・リスクというものを私たちは分析してアドバイザリーボードの資料で出しております。そちらの結果では、第4波当時の致死率と第5波当時の致死率では、明らかに第5波において下がっております。これは、ワクチンの接種が行き渡ったことであるということを支持する結果ですので、そのデータと併せて考えれば、第5波において陽性率・陽性者数が多いにもかかわらず、超過死亡が第4波ほど認められなかったのは、ワクチンが行き渡った結果であると推測しております。
以上です。
○柿崎委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
非常に長期的にデータを集めておられるということが分かったのですけれども、先ほどの2枚目、3つのグラフが3掛け4で並んでいるページがあったかと思うのですけれども、一番上がワクチン接種数で、2番目が超過死亡で、3番目がコロナの陽性者数ということなのですけれども、先ほど、この真ん中のグラフは過去5年間という御説明がありました。コロナの流行というか、始まったのが19年からということになると思うのですけれども、こちらはコロナ発生前と発生後と全部合わせた5年間なのですか。具体的に何年から何年までの5年間かということと。一方で、コロナの発生前と発生後というデータがあるのかというところをちょっとお伺いしたかったのですが。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。
超過死亡の説明のときに5年前という言葉を使いました。少し混乱があったかもしれません。まず、ご覧いただいている2枚目、3枚目のグラフの真ん中の段ですが、この超過死亡の横軸は上下と全く同じです。左側は2021年1月から右側は2021年10月となっております。この超過死亡数を計算するときに、その時点よりも前の5年間のデータを使って、その前5年間のデータに基づけば、この週はこれぐらいの死亡数が発生するだろう。それよりも多い数を超過死亡としております。
ですから、例えばご覧いただいているグラフの一番左側、2011年1月の時点の推定死亡数というのは、マイナス5ですから、2016年以降の5年間のデータを使って2011年1月にこれぐらいの死亡数が発生するだろう。では、実際の死亡数はどれぐらいだったのかというのを引き算した数字が示されているグラフということになります。言葉だけだと分かりにくいかもしれませんが。
○佐藤委員 2016年。
○鈴木参考人 16年からの5年間ということになります。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○岡座長 佐藤委員、よろしいでしょうか。
次、山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 鈴木先生、どうもありがとうございます。山縣と言います。
今回のことで、ワクチンの接種による超過死亡は、基本的にはどうもなさそうだということが分かったのですが、先生方が研究班で出されているダッシュボードで、2020年の超過死亡のデータと2021年のものが既に示されていると思うのですが、2020年のほうは、どちらかというと、予測値よりも低い過少死亡傾向にあり、そして21年になると予測値よりも高い、超過死亡が増えているようなグラフに見えるのですが、この原因というのはどういうふうに考えればいいのかということ。今回と直接は関係ないのですけれども、先生、教えていただけますでしょうか。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。大変に重要なポイントだと考えております。
まず、御指摘いただいたように、新型コロナが始まった2020年においては、分析しますと、実は超過死亡というよりは過少死亡、例年よりも少ない死亡者数が観察されています。この原因についてですが、あくまで総合的に推論して解釈しているものですけれども、新型コロナの流行が始まって、これに対して、例年以上に強い感染対策、健康管理が実施されています。市民の健康意識、衛生観念というものも非常に強くなってきております。これが影響した可能性があると考えております。
実際、新型コロナの流行後、例えばインフルエンザの流行のレベルが非常に低くなったこと。インフルエンザ以外の感染症、例えば肺炎球菌感染症なども、特に高齢者の死亡に関わるような、こうした感染症の流行レベルが大きく低下したということが分かっています。これらの要因が超過死亡を減らす要因になったと考えています。
一方で、2021年以降、グラフでもご覧いただけるように、現時点で分析できている10月までのデータでは、特に4月~6月にかけて超過死亡が観察されています。これは、いわゆる第4波と同時期で、直接的な新型コロナの死亡者数が増えたという以外にも、間接的な死亡も大きく寄与していると考えています。この間接的な死亡というのは、直接の新型コロナとは別の要因による死亡ということになります。
これは、第4波で新型コロナの患者がこれまでになく増えて、当時、報道でもありましたが、いわゆる医療逼迫ですね。医療システムが逼迫して、新型コロナ以外の患者さんでも、救急医療や高度医療にアクセスしづらくなったといったことがございました。こうしたものが超過死亡の発生の要因に1つなったと考えております。ただ、この傾向も都道府県によってばらつきがありますので、一概にこれだけが要因であると特定するのは難しいというのが実情です。
以上です。
○山縣委員 どうもありがとうございました。
本当に大変興味深いところで、こういった対策と、さらに今、先生が言われたみたいな医療逼迫による死亡などの間接的な死亡に対しての対策が非常に重要なのだということが分かりました。どうもありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございました。
続いて、石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
詳細なデータ、ありがとうございました。ワクチンの有効性ということで、こういったデータがあると、私たちは、非常に安心できると思いました。実際これは2回目の接種後のデータで、現在3回目がなされていると思います。先ほどの伊藤委員の御発表から3回目は抗体価がぐんと上がってきていて、それが重症化につながらないとか、感染を予防できるといったことがあると、さらに超過死亡というものがなくなってくると考えてしまいますが、そんなことがリンクできるようなものなのでしょうか。大変難しいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
まず、超過死亡というのは、あくまで例年よりもどれだけ死亡者数が多いのかというものを表した数字ですので、では、なぜそれが増えているのかということに関しては、統計そのものは何も語ってくれず、総合的に我々が解釈していくしかございません。これまでのところ、先ほど申し上げたように、2020年は比較的少なく、2021年は多かった。多かった要因は、実際の新型コロナの患者数が増えたということに加えて、医療逼迫が影響しただろうということが総論的には言えるかと思います。
これ以降、2回接種、さらにブースター接種が進んだときに、どれだけ超過死亡に影響するかですが、少なくとも今、流行しているオミクロン株以上の重症化する変異株が流行しなければ、3回目の接種が進むことにより、いわゆる致死率というのはより低下し、超過死亡は発生しにくくなるだろうと推測はできます。ただ、繰り返しですが、そのほかの要因で、余りに患者数が増えた場合には、いかに致死率が低くても医療逼迫が発生し、それによって超過死亡が発生するということも否定はできませんので、そこのところははっきり言うのはなかなか難しいというのが実情です。
○石井委員 ありがとうございます。よく理解できました。
○岡座長 それでは、伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 解析の結果をどうもありがとうございます。
2枚目と3枚目、両方ともなのですけれども、東京だけがワクチン接種よりも少し遅れたところにピークがあるようにも見えるのですけれども、着目するほどの増大ではないと考えていいのでしょうか。あるいは、何か理由が考えられるのでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
大変重要なポイントで、私も説明を省略してしまっておりました。おっしゃるとおりで、大阪、兵庫においては、第4波において大きく超過死亡が認められた一方、第5波では、わずかに認められますが、第4波ほどではありません。一方で、東京においては、むしろ第4波は大阪ほどではないにもかかわらず、第5波において第4波と同程度の超過死亡が認められております。
この要因ですが、現場レベルの情報も加味しての解釈になりますが、第4波の医療逼迫の程度は、関西、大阪、兵庫において大変大きく、それが第4波の大阪、兵庫における大きな超過死亡につながった。一方で、第4波を踏まえた備えがあったために、大阪、兵庫においては第5波の医療逼迫を比較的免れることができたということが分かっています。
一方で、東京においては、第4波における超過死亡は確かにありますが、そこまで大きく医療逼迫が発生しなかった一方で、第5波において大きく医療逼迫が発生したということは、報道でも大きく取り上げられていたかと思います。こうした医療逼迫の程度というものが、関東、関西で第4波、第5波において影響のレベルが違ったというのが、この超過死亡の数の違いにつながっているというふうに解釈しております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
そうしますと、東京はワクチン接種してから少し遅れてと読めてしまうのですが、むしろ第5波の影響というふうに解釈されているということでしょうか。
○鈴木参考人 そのとおりです。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川でございます。大変すばらしい説明、ありがとうございました。
この感染者数、陽性者数ですけれども、今のお話の中で、重症者数とのリンクはどうなのか。つまり、医療逼迫の原因になるのは、あくまでも重症者のベッドがどのぐらいだったのかということが非常にリンクしてくるだろうと思いますが、それの何かサゼスチョンというか、示唆を与えるようなグラフというか、そういうものはございますでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
今、お示ししております下の3段目は、あくまで陽性者数、感染者数ということになります。御指摘のように、いわゆる医療逼迫というのは、入院が必要となるような重症者というものが大きく影響するわけです。重症者数に関しては、厚生労働省のウェブサイトなどでも公表されておりますので、私たちもそのデータを使いながら分析しているところです。
あくまで大まかな傾向だけ申し上げますと、第4波においては、確かに重症者数も陽性者数とパラレルに重症し、下がっていきました。一方で、第5波においても症例数が一気に増えると重症者数も増えたのですが、第4波のときと同様にパラレルに上昇したというわけではありません。その要因については、私たちとしては、ワクチンの接種が行き渡ったことで重症化率が減ったためであろうと解釈しております。
○宮川委員 ありがとうございました。
○岡座長 それでは、森尾委員、お願いいたします。
○森尾委員 鈴木先生、ありがとうございました。
2つ、確認のような質問になりますが、1点目が先生のスライドの1枚目の背景、方法で、超過死亡数が認められた例として、大阪と兵庫と東京を挙げていらっしゃいますけれども、丸めるのも難しいと思いますが、この3都市だけだったのか、大都市が中心だったのかというのが1点目でございます。先ほどもちょっとメンションがあったと思います。
2点目が、おまとめいただきました考察の2ポチ目で、ワクチンと超過死亡の関係という部分でございます。表現はこういう形でいいのかということで、ちょっとお伺いしたいのですけれども、今回のデータからは、超過死亡と新型コロナワクチンの因果関係はないと示唆されると言えるのかということ、あるいは超過死亡と新型コロナワクチンの因果関係は明らかではないと言えることなのか、平易な言い方にするとどういう形になるかという点を御示唆いただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
まず、1点目、今回、大阪、兵庫、東京を取り上げた理由は、先ほど申し上げましたように、第4波で特に大阪、兵庫において医療逼迫が発生し、超過死亡が大きく発生したということ。そして、東京も同じ理由であり、かつ、人口が最も多い都市であるということから、この3つの都市を取り上げております。
それ以外の地域ですけれども、まとめて言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、この3都市に比べれば超過死亡の発生数は極めて少ないです。例えば、北海道、沖縄は流行のパターンが本土と少し違いますので、超過死亡が発生するタイミングが少しずれてはいますが、トータルとしては、人口規模の違いもありますので、超過死亡の発生数はこの3都市に比べると少ないということがございます。ということで、今回取り上げておりますのは、あくまでこの3都市ということにはなりますが、おおむねこの3都市が日本全体の超過死亡の傾向に大きく影響を与えたものであると私たちは考えているところです。
2点目の結果の解釈についての御質問だと思います。研究班、あくまで研究者ですので、非常に慎重な物の言い方になります。まず最初に申し上げましたけれども、こちらの資料自体、あくまでも本日の検討部会からの要請を受けて研究班として作成したものです。因果関係を実証するために分析を行ったものではないという点は、ぜひ御理解いただきたいと思います。ただ、その上でも、超過死亡はワクチンの接種に先立って発生して、そして減少したという事実を明確に示していると考えております。また、研究班で検討していますが、海外においてワクチン接種によって超過死亡が発生したという報告は確認されていません。
以上から、総合的に考えて、私、参考人の立場として、ワクチン接種が超過死亡の発生の原因であるという考えは合理的でなはいと考えているということを申し上げたいと思います。
以上です。
○森尾委員 どうもありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、次、倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 先生、ありがとうございます。非常によく分かりました。
このスタディは、今年、22年、あるいはその後も恐らくお続けになるだろうと思うのですけれども、22年のことを考えるとすると、既に21年の超過死亡といいますか、ピークのデータが含まれたものが前5年になるわけですけれども、そういう影響で22年、あるいはその後の23年というものの結果の解釈が難しくなるということはないのでしょうか。今日はあくまでも21年のお話なのですけれどもね。
○鈴木参考人 倉根先生、ありがとうございます。
大変に重要な御指摘で、まさに我々研究班だけではなく、世界的に研究者が取り組んでいるところです。従来、この超過死亡というのは、御承知のように、インフルエンザで毎年、毎冬発生する死亡が例年よりどれぐらい多いのかということを評価するために使われてきた手法であり、評価指標です。それが、今回、新型コロナの流行以降、実際の新型コロナの死亡を必ずしも全て把握できていないので、その代替として超過死亡が使われているというのが実態です。
ですが、今後、2年3年と新型コロナの流行が続いたときに、これまでと同じように毎冬に着目して超過死亡を見るのではなく、夏場でも超過死亡が発生する。これを季節変動を考慮して、例年よりどれぐらい多いのかというのを測ったときに、それが本当に新型コロナによって発生する疾病負荷の指標として適切なのかどうかということについては、まさに研究者の間で検討しなくてはいけない課題であると議論されているところです。ということで、今、明確にお答えできませんが、まさに重要な課題であると認識しているということを申し上げたいと思います。
○倉根委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしますと、先ほど森尾委員の御質問にもお答えいただいたように、今日、御提示いただきました2021年の超過死亡のトレンドを拝見しますと、ワクチン接種と超過死亡が何らかの因果関係があると考えるのは、余り合理的ではないということをお示しいただいたのかと思います。約1億人の方がこの予防接種を受けられているわけで、そうした懸念も一部の方にはあるかと思いますけれども、今日頂いたデータで、そのあたりはお示しいただけたのかなと思います。
先生、本当に分かりやすく御説明いただきまして、ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。
それでは、ただいまの御説明も含め、そして、これまでの資料の説明を踏まえて、死亡事例について委員の先生方に議論をお願いしたいと思います。資料1-7の16ページに事務局から論点が挙げられておりますけれども、いかがでしょうか。何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、死亡事例の議論は以上にしたいと思います。鈴木参考人におかれましては、本日、貴重な知見を我々の依頼に基づいて御提示いただきまして、本当にありがとうございました。これ以降の議論につきましては、先生に御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席されても差し支えはございません。
本日はどうもありがとうございました。
○鈴木参考人 ありがとうございました。
○岡座長 最後に「その他の論点」ということで、今回の集計期間ではコミナティ3回目接種後の心筋炎関連事象の報告もございました。これまでの論点以外の観点から、新型コロナワクチンの安全性に関して何か御意見、御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
論点が違ってきて申し訳ないのですけれども、コミナティ、ファイザーを使って、これで1年たつわけですが、使用する当初、mRNAワクチンは疾病増強を起こすかもしれないという危惧があったわけです。それを使用してからの市販後調査や副反応部会などで見ていこうということになっていたと思っております。これは、モデルナのスパイクバックスも同様で、疾病増強というものが起きているか。これは、世界的にも十分に見ていると思うのですけれども、結論とすれば多分起きていないと考えていいでしょう。
最近、ブレークスルー感染というものがよく起きているわけですが、このブレークスルー感染でより重症化が起きていれば、疾病増強と考えていいのか。むしろ、最近のデータからすると、ブレークスルー感染では重症化は抑えられているというデータが多いと思いますので、今すぐ出す必要はないですけれども、使用されて1年たっているということから、この疾病増強に関するコメントを、我々で考えてもいいでしょうし、事務局のほうで何か検討いただければと思っております。これを審査して承認するときの条件と言いますか、この辺も見ていこうということになっていたと思います。今日結論を出す必要はもちろんないのですけれども、今後のためによろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
確かに、使用開始のときの一つの観点として、この疾病増強のことがほかのワクチンでも指摘されていて懸念されていたことだと思いますけれども、何か事務局のほうで御意見、あるいはほかの委員の先生方からコメント等ございますか。ブレークスルー感染の患者さんの動向、先ほど委員がおっしゃったように、恐らく大丈夫なのかなという感触はお持ちだと思いますけれども、何かそれについてまとめて。
事務局、お願いいたします。
○事務局 今、この場で詳細な議論というのは難しい部分がございますが、疾病増強に関しまして、当初議論があったというのはもちろんでございます。副反応が疑われる事象につきましては、そういった疾病増強も含めまして、国内外の知見や規制当局の発表というものを踏まえ、これまで事務局、あるいはこの場で議論いただいておりますけれども、現時点で何か特段の懸念があるという状況ではないかなと考えております。
○岡座長 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 大変重要な御指摘だろうと思います。実はそのことを考えなければいけないのですが、ウイルスそのものの性格というものが刻々と変わってしまうと、その前提条件が非常に狂ってくるというか、そういうことを考えなければいけないので、分析というのは非常に難しいのかなと思いますけれども、その前提の中でしっかりと考えていくことが必要だろうと私も考えております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
本当に大事な御指摘だったかと思います。引き続き、その点で何か知見がございましたら、よろしくお願いいたします。
そのほか、いかがでしょうか。
伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
資料1-9の健康状況調査についても、今、御質問してもよろしいでしょうか。
○岡座長 お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
具体的な症状の中で、注射部位の腫れというものの中に、いわゆる遅延性のモデルナアームみたいなものも含まれるのでしょうか。例えば、70ページとか71ページを見ますと、遅延性の症状というものが余り見えてきていないのかなと思ったのですけれども、注射部位の腫れと回答されているのか、あるいは別の選択肢があったのか、教えていただけますでしょうか。
○岡座長 事務局、お願いします。
○事務局 先生、ありがとうございます。
まず、端的な御回答といたしましては、こちらに載せている症状が調査で聞いている症状のすべてでございます。先生御指摘のとおり、この調査の結果の範囲において遅延性のモデルナアームの状況を見るとするならば、注射部位の腫れというところを見るのかと思います。そういった観点で言いますと、例えば伊藤澄信先生の調査のほうでありましたような遅延性の腫れというのはほとんど確認できないのではないかということは見てとれるかと思います。
以上でございます。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
それは、何か理由とかはあるのでしょうか。副反応の発生率というか、発生している割合が、伊藤澄信先生のまとめよりも、何となく全体的に低いような気がするのですけれども、何か比較されたりする予定などはありますでしょうか。あるいは、理由みたいなことは考えられることがありますでしょうか。
○岡座長 事務局、お願いします。
○事務局 伊藤先生、ありがとうございます。
こちら、まず前提として、遅延性の腫れというものはそれほど頻度が多くないと承知してございます。そのようなリミテーションがある中で、この調査の設計上、1週目の症状については7日後に求めておりまして、2週目の症状については14日で求めているというところがございます。その影響もございまして、アラートを立てている期日で少し報告頻度が上がるというバイアスが入ってしまいます。いわゆるモデルナアームのような遅延性のものが大きな割合、例えば半分の方に起きるのであれば、見えるかもしれないですけれども、少ない割合ですと、この調査の設計上、アラートによるバイアスのほうが大きくなり、少ない症状については見えづらくなる可能性はあるかと承知してございます。
以上でございます。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。モデルナアームについては承知いたしました。
すみません、私の質問の仕方がいけなかったのですけれども、ほかの発熱とか倦怠感とか、全体的な副反応につきましても、伊藤澄信先生の解析よりも何となくパーセンテージが低いのかなという印象があるのですけれども、先ほどの御説明ですと高めに出ることがあるということだったのですが、きちんと比較していないのですが、低いような印象がありまして、今後、比較するようなことの検討はされていますでしょうか。
○岡座長 どうぞ、事務局のほうで。
○事務局 伊藤先生、ありがとうございます。
まず、調査設計が大きく違うので、調査間の単純な比較は難しいというのが正直な回答でございます。また、見ることができる点といたしましては、例えば先生御指摘の70ページ目あるいは71ページ目におきましては、頻度よりも、例えば10日目とか11日目に出ているような症状について、あるか、ないかというものが見てとれるかと思います。頻度については、全体に高く出る可能性があると承知しておりますけれども、伊藤先生の調査と違いまして、御回答いただいたものについて集計しておりますので、頻度についてはあくまで参考ということになるかと思います。
調査設計が違いますので、単純な比較は難しいところではありますが、事務局としましては、全体としてそれほど大きな傾向の違いはないのかと認識してございます。
以上でございます。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
割と年齢の若い方が比較的多い気もしましたので、それの割には副反応の頻度が低いのかなとちょっと思いましたので、質問させていただきました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
こちら、事務局に確認ですが、現在、地域でファイザー品とモデルナ品、50%、50%程度で供給されている実情があります。各メディアや自治体のホームページを見ていますと、モデルナの心筋炎や交互接種の情報が少ないという不安もありまして、一因としてファイザー品に偏っている実情は、各市町村のホームページを見ていてもあるのですが、各自治体のホームページには、10歳~20歳では1回目・2回目で心筋炎リスクについて、ファイザー品を選択できるといった情報のみが、そこに併せて掲載されていまして、3回目での安全性について、モデルナを希望されない方もいらっしゃるように思います。今日の伊藤澄信委員のお話もそうですが、総合的に相違がないことを啓発したほうがよいかなと思っています。
ただ、今の実情ですと、そういったものを明確に国内の情報でお知らせするような形は難しいのかと思いますが、現時点では事務局はいかがお考えでしょうか。
○岡座長 いかがでしょうか。そのあたりのメッセージの出し方についてですが。よろしくお願いします。
○事務局 事務局です。
本日も新しいデータとして、伊藤澄信先生のほうからは、交互接種のデータが、抗体価はモデルナのほうが高くなる。副反応については、発熱等の発現頻度はモデルナのほうが高くなるといったデータが今回、明らかになったところでありますけれども、自治体、またこれから接種を受けようという方々にこういった情報をしっかりと発信することが重要だと思っておりますので、これに関しましては、ホームページとかQ&Aといったものを通じながら情報発信を強化していきたいと思っております。
心筋炎に関しましても、本日出した資料の中では、これは海外のデータになりますけれども、3回目の心筋炎の発生頻度は2回目よりも低かったといったデータも出てきておりますので、こういうものも発信していきたいと考えております。
以上です。
○舟越委員 ありがとうございます。
今、3回目接種の予約が各市町村で集中している中で、少しでも一緒に情報で入っていると、被接種者の方々は安心してどちらのワクチンでも選択できるのかなと思います。
ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そうしましたら、多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 多屋です。
詳細なまとめ、ありがとうございました。私もこの健康状況調査についての質問なのですけれども、70ページ、71ページの前回お願いしましたグラフをつくっていただきまして、ありがとうございました。状況がとてもよく分かると思いました。ここで、接種2回目に胸の痛みを訴えていらっしゃる方が、接種翌日をピークに8日目ぐらいまで、1割から1割弱いらっしゃるというのが分かりまして、副反応疑い報告の結果と両方併せると、この頃に起こってくる現象を表しているのかなというのが、この調査から分かりました。
それから、2回目接種後の頻度で、倦怠感とか頭痛を訴えていらっしゃる方がどれぐらいいるかというのは、多分、この調査でないと分かり得なかったのだろうと思うのですけれども、1割ぐらいは1週間から2週間目のところでそういう症状が認められた方がいらっしゃったのだということも、この結果を拝見して初めて分かることができました。大変ありがとうございました。
これが最後なのですけれども、こういう調査は回収率というか、回答をどれだけ入れていただけるかがとても大事になってくると思うのですが、最初のほうのグラフで都道府県別の数が載っていたのですが、神奈川県からの結果がとても多く報告していただいているようで、もし何か工夫をされていることがあるのであれば、その工夫を伝えていただくことで回収率が上がるのかなと、そんなことも思ったりしました。そこは、想像で分かりませんが、以上3点です。大変ありがとうございました。
今後、3回目の接種の状況も接種を進めていく上でとても重要な調査だと思いますので、1回目・2回目がファイザーだったのか、モデルナだったのか、アストラゼネカだったのかということも含めて、ぜひよろしくお願いいたします。
以上、コメントでした。
○岡座長 ありがとうございます。
何か事務局のほうからコメント等ございますか。神奈川県が何で回答率がいいのかとか、分かりますか。また分かりましたら教えてください。ありがとうございました。
そのほか、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、これまで議論された内容をまとめていきたいと思います。
まず、集計期間における副反応疑い報告の傾向についてでございますけれども、マル1として、集計期間における副反応疑い報告の全体的な傾向としては、まず、コミナティ3回目接種後の副反応疑い事例については、医療機関からの報告によれば427件の報告であり、頻度としては0.02%であった。うち、重篤な事例は25件であった。また、報告された症状としては、初回免疫でも報告されている事象であった。
死亡事例について、2件の報告があり、専門家による評価ではいずれもγとされた。
報告基準となっている症状については、製造販売業者からの報告に基づき、ブライトン分類での評価を実施した。その結果、アナフィラキシーについて報告のあった16例のうち1例がブライトン分類1~3に該当するとされた。また、心膜炎においても、報告のあった1件のうち、1件がブライトン分類1~3に該当するとされた。その他の報告基準症状において、ブライトン分類1~3に該当するとされた症例はなかった。
次に、スパイクバックスについては、医療機関からの報告によれば2件報告があり、うち重篤な事例は2件であった。また、報告された症状としては、初回免疫でも報告された事象であった。
死亡事例については1件の報告があり、専門家による評価ではγとされた。
報告基準となっている症状について、製造販売業者から報告された症例はなかった。
3回目接種後の安全性については、副反応疑い事例の報告状況やコホート調査の結果を踏まえると、現時点では重大な懸念は認められないが、引き続き、国内外の報告状況を注視していく必要があると考えられる。
また、1回目・2回目接種に関しては、3ワクチンとも副反応疑い事例全体の報告状況や、ロット別の報告状況、報告基準に定められた副反応の報告状況に、動向の大きな変化はなかったとさせていただきました。
なお、本日、伊藤澄信先生の健康状況調査の報告によれば、これは副反応疑いの報告とは離れますけれども、それぞれのワクチンについて、3回目接種の副反応、抗体の上昇等の御報告をいただきました。そうしたことについての情報発信が必要なのではないかという御意見を委員のほうからはいただきました。
以上のまとめで、まずよろしいでしょうか。
次に、死亡事例の報告状況を整理すると、コミナティについては、前回の集計対象期間から1月23日までに新たに11件の死亡事例の報告があった。専門家による評価では、接種開始以降報告された1382例については、9件がβ、その他の事例はγと評価された。また、1月24日から2月4日までには、さらに20件の報告があった。
スパイクバックスについては、前回の集計対象期間から1月23日までに新たに1件の死亡事例の報告があった。専門家による評価では、接種開始以降報告された67件については、1件がβ、そのほかの事例はγとされた。また、1月24日から2月4日までには、さらに4件の報告があった。
バキスゼブリアについては、対象期間中に新規の事例の報告はなかった。
死亡例の報告に関しては、現時点においては、3回目接種後の事例も含め、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられるとまとめさせていただきました。よろしいでしょうか。
そして、最初に御説明いただきましたけれども、資料の集計期間の考え方についてですが、資料の集計期間や専門家評価の対象期間の考え方についても、これまでに得られた安全性に関する知見に基づき、迅速性に加え、情報の整理や評価に必要な時間を確保して精緻な評価を行っていく観点から、改めて整理を行った。事務局においては、引き続き、今回整理した方針で資料の作成をお願いしたいとさせていただきました。
なお、さっき言い漏らしましたけれども、今日は鈴木参考人のほうから、超過死亡のデータに基づいて、2021年のワクチンの接種と超過死亡の傾向についての提示をいただきまして、ワクチンの接種が超過死亡に関連があるという合理的な説明はされないということをお示しいただいたかと思います。それを付記させていただければと思います。
こういうことでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆様、うなずいておられるかと思いますので、これでお認めいただいたということで進めさせていただきます。
以上、今回報告のあった具体的な事例を踏まえ、3種類の新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見ありますでしょうか。接種の継続ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆さん、うなずいていただいていると思いますので、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
以上で新型コロナワクチンにつきましての審議は終わらせていただいて、次に議題2に移らせていただきます。議題2は「HPVワクチンの情報提供について」ということでございます。それでは、事務局のほうから資料2の御説明をお願いできますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
資料2「HPVワクチンの情報提供について」の資料をお開きください。
おめくりいただきまして、右下のページで言うと1ページ目、HPVワクチンの情報提供についてというところで、昨年11月12日の本部会に御報告申し上げました資料でございますが、真ん中、グレーの枠内です。HPVワクチンの情報提供につきましては、令和2年9月25日の本部会でまとめられました、情報提供の目的や読みやすさ、分かりやすさを重視する視点を踏まえまして、主に本人と保護者向けの概要版・詳細版につきましては、表紙メッセージの更新とか各種データの更新、最新のエビデンスを踏まえたHPVワクチンの効果とリスクの追記・修正。また、情報がアップデートできるものについては、厚労省のホームページとリンクした情報提供。また、積極的勧奨差し控えが終了いたしましたので、そちらに関する記載の見直しなどを行っていくというところ。
また、医療従事者向けのリーフレットにつきましては、医療従事者にとっても読みやすいレイアウトへの変更。保護者・本人向けと同じですけれども、各種データの更新などを行っていくという方針をお示しさせていただいたところです。
こちらの資料でお示しした内容に基づきまして、まずは事務局のほうでできる限りのデータ更新などを行いまして、その上で事前に委員の先生方に見ていただきまして御意見をお伺いしました。そちらの御意見を踏まえたもので改訂案をおつくりしましたので、本日、御報告申し上げます。
右下のページ、2ページ目をご覧ください。リーフレットの主な改訂内容をまとめております。
まずは、本人・保護者向けのリーフレット、ピンクと水色の概要版・詳細版につきましてですけれども、表紙メッセージにつきましては、HPVワクチンについてのリーフレットであるということが分かりやすくなるようにというところで、「HPVワクチンについて知ってください」というメッセージを追記させていただいております。
また、HPVワクチンの効果につきまして、がんそのものの予防効果が示されてきておりますので、「HPVワクチンで、がんになる手前の状態(前がん病変)が減るとともに、がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。」というメッセージをつけ加えております。
また、「積極的勧奨の差し控え」に関する記載を入れておりましたけれども、そちらにつきましては、差し控えが終了しておりますので、削除するという対応を取らせていただいております。
ページをおめくりいただきまして、右下のページ、3ページ目をご覧ください。
水色のリーフレット、詳細版のほうでは、先ほど申し上げた内容に加えまして、まず、日本の接種の状況もきちんとお伝えしたほうがいいのではないかという御意見もいただきました。一方で、日本の接種状況は刻々と変わっているというところもございますので、厚生労働省のホームページを御案内するという形で追記させていただいております。
また、9価についても、このようなワクチンが現在あるというところについて、情報をお伝えすべきではないかという御意見をいただいておりますので、新たに厚生労働省のホームページに9価ワクチンについてというページを立ち上げまして、そちらをリンクする形で情報提供を行えるようにというところで追記させていただいております。
また、概要版のほうと同様ですけれども、「HPVワクチンの効果」についてもきちんと明記するという形を取らせていただきました。
右下のページ、4ページ目をおめくりください。医療従事者向けリーフレットにつきましては、レイアウトも含めて大きく変更させていただいております。実際、接種に携わってくださっている先生方、あとは協力医療機関の先生方などにもヒアリングをしまして、その結果を踏まえまして構成を変えております。
資料のところに番号を振っておりますけれども、まず、マル1としまして、HPVワクチン導入から今日に至るまでの経緯を記載したほうがいいという御意見もございましたので、そちらを追記させていただいております。
マル2の部分は、もともと記載している内容ですけれども、できる限りのデータの更新、また文言の整理をさせていただいております。
また、詳細なエビデンスというところで、こちらの部会で今まで御議論いただいている中で示しておりました論文のまとめなどを、参考資料としてリンクできるようにという形でQRコードを付記させていただいております。
また、マル4、がん予防効果についても、詳細版・概要版と同様に追記・修正をさせていただいております。
右側に行きまして、マル5のHPVワクチンのリスクの部分につきましては、記載内容に大きな変更はございませんけれども、文言の整理などを行っております。
ページをおめくりいただきまして、右下のページ、5ページ目をご覧ください。
マル6のところですけれども、ヒアリングをしている中で、HPVワクチンの実際の対象者であったり、接種間隔、添付文書にも記載のある内容ではございますけれども、そちらもきちんと明記してあったほうが分かりやすいという御意見を複数いただきましたので、こちらを新たに追記させていただいております。
また、9価についても、先ほど申し上げたとおり、厚労省のページを立ち上げましたので、そちらの内容について新規記載をさせていただきました。
また、マル9、この部会で御議論させていただきましたけれども、協力医療機関などによる支援体制のイメージという図を入れさせていただいております。
また、様々、ホームページなどがございますので、右側のマル11のところですけれども、関連資料をすぐご覧いただけるようにというところでリンクをさせていただきました。
このような形で、医療従事者向けのリーフレットにつきましては、内容の記載の見直しと構成のレイアウトなどを大きく変えさせていただいております。
改訂の内容につきましては、以上となります。
最後、右下のページで6ページ目をご覧ください。今後のスケジュールですけれども、HPVワクチン、主に定期接種の対象者に対するリーフレットは4種類ございますけれども、こちらの内容につきましては、自治体の皆様も非常にお待ちですので、できる限り早く公表したいと思っております。
また、事前に御質問もいただいておりましたけれども、キャッチアップ接種についても御議論いただいておりました。こちらにつきましては、今、必要な情報を精査しているところですので、情報提供資材を3月中には公表できるように進めてまいりたいと思います。
7ページ目以降、実際のリーフレットのほうをつけさせていただいておりますけれども、詳細な説明は割愛させていただきます。
事務局からの説明は以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
HPVワクチンのリーフレット改訂につきましては、あらかじめ委員の皆様に御意見を頂戴しております。いろいろ貴重な御意見をいただいて、ありがとうございます。本日、事務局から最終的な形の御報告をいただいたところですけれども、何か追加の御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。委員からいただいた御意見を基に、さらにブラッシュアップされたのではないかと思っております。
失礼しました。どうぞ。
○佐藤委員 内容は非常に精査されており、より正確な情報が伝わるようになりました。ありがとうございました。
後ろに付録というか、実物大のpdfがついています。このリーフレットが何年からこうなっているとか、改訂している、等の情報が分かるようにするかどうかが、今回の資料では分からなかったので。何年版とか何年以降というのがちゃんと明記されるということですね。
○岡座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
概要版のほうで言いますと、今回のリーフレットですと、4ページ目の最後のところに、一番左側、「令和4(2022)年」と記載させていただいております。小さくて恐縮で、もともとのものも同じように、令和2年(2020年版)という形で記載させていただいておりました。もし必要でしたら、こちらを少し大きくするといった工夫をさせていただければ。
○佐藤委員 目立ったほうがいいのではないかと思いました。例えば、医療機関で昔のものが残っていて混ざったり、といったヒューマンエラーを防ぐという観点からも、少し分かりやすくしていただくとよろしいかと思いました。
○事務局 御意見ありがとうございます。
こちらのところは、少し大きくできるように調整してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局におかれましては、4月からの積極的勧奨再開に向けて、適切な情報提供がされるように、改訂されたリーフレットの公表を進めていただければと思います。
そのほか、全体を通じて何か御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の議事は以上となります。
そのほか、事務局から何かございますか。
○事務局 本日は、長時間にわたり、活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡さしあげます。
○岡座長 それでは、本日の会議をこれで終了いたします。活発に御議論いただき、ありがとうございました。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただき、ありがとうございます。
まず、ウェブ会議を開催するに当たり、既にお送りさせていただいておりますが、会議の進め方について御連絡させていただきます。
御発言される場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、座長から御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、ウェブ会議ですので、タイムラグが生じますが、御了承願います。
会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、インスタントメッセージ、またはあらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。
現在、副反応検討部会委員9名のうち8名、安全対策調査会委員6名のうち6名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会及び薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。
なお、全ての委員において、関係企業の役員・職員等でない旨を申告いただいております。また、永井委員より御欠席となる旨の御連絡を、伊藤澄信委員より途中退席となる旨の御連絡をそれぞれいただいております。
また、本日は、議題1の関係で国立感染症研究所感染症疫学センター長の鈴木基参考人にお越しいただいております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○事務局 本日の審議の前に、傍聴に関しまして留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますようお願いいたします。
留意事項に反した場合は、退場していただきます。
また、今回、座長及び事務局職員の指示に従わなかった方や会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので、御留意願います。
本日の座長につきましては、岡安全対策調査会長にお願いしたいと思います。それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。
○岡座長 それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項につきまして御報告をお願いします。
○事務局 審議参加について御報告いたします。
本日御出席をされた委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に申告いただきました。
本日の議題において、審議される品目は新型コロナワクチンであり、その製造販売業者は、ファイザー株式会社、武田薬品工業株式会社、アストラゼネカ株式会社であり、事前に各委員に申告をいただいております。各委員からの申告内容については、事前に配付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の出席委員の寄附金等の受取状況から、全ての委員においてファイザー株式会社及びアストラゼネカ株式会社より50万円を超える受け取りはございませんでした。宮川委員が武田薬品工業株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがあるため、意見を述べることができますが、議決に参加いただけませんことを御報告いたします。
なお、本日の審議対象ワクチンの製造販売業者ではございませんが、現在開発中の新型コロナワクチンも含め、関連する製造販売業者からの寄附金・契約金などの受取状況について各委員より申告いただいておりますので、この場で御報告いたします。
石井委員、宮川委員は第一三共株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取り、柿崎委員は塩野義製薬株式会社から50万円を超えて500万円以下の受け取りがございました。
引き続き、各委員におかれましては、講演料等の受け取りについて、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容を申告いただきますようお願いいたします。
以上でございます。
○岡座長 それでは、次に事務局から本日の配布資料の確認をお願いします。
○事務局 本日の資料としましては、議事次第、委員名簿、座席表、資料一覧、資料1-1-1~1-9、資料2、鈴木参考人提出資料、参考資料1~13になります。
不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
○岡座長 それでは、審議を始めたいと思います。
ふだんは、事務局による副反応疑いの報告状況から資料の説明をお願いしておりますけれども、本日は伊藤澄信委員が途中で退席されますので、まず、伊藤委員にコホート調査の進捗について御報告をお願いしたいと思います。資料説明は一度そこで切らせていただいて、コホート調査に関する質疑を先に行いたいと思います。コホート調査の議論が終わりましたら、改めて事務局から今回の集計対象期間における副反応疑いの報告状況を御説明いただきまして、以降、コホート調査以外の論点について議論を行うという流れにさせていただきますので、委員の先生方、よろしくお願いします。
それでは、まずは、資料1-8、伊藤委員から御説明をお願いいたします。
○伊藤(澄)委員 ありがとうございます。
本日は、私の個人的な事情に特別なお取り計らいをいただきまして、ありがとうございます。今回は、ファイザー社のコミナティ筋注を昨年3月に2回目接種した医療従事者に、昨年12月1日からファイザー社コミナティ筋注を3回目接種した2826人、及び12月17日から開始しましたモデルナ社のスパイクバックス筋注を接種した773人のうち、1月28日までに収集した日誌や抗体価の結果について御報告させていただきます。
対象者は、コミナティ筋注は、NHOの7病院、JCHOの4病院。スパイクバックス筋注は、NHO7病院、JCHO7病院で実施しているものです。
今回から、有効性として抗スパイクタンパク質抗体価の推移、安全性の情報の順番で説明させていただきます。有効性と安全性という順番になっていますので、前回までと少し違っています。また、コミナティ筋注、スパイクバックス筋注について説明した後で、両者の比較資料について説明させていただきます。
5ページをご覧ください。抗スパイクタンパク質抗体価は、従来株である武漢株(ウーハン株)に対する抗体価です。既感染の指標であります抗ヌクレオカプシドタンパク質抗体が陽性の11人を除いた陰性者で、1か月後までに抗体価が得られた方、前回は252人でしたけれども、今回は396人のデータをまとめています。最終的には500人のデータになろうかと思います。前回は箱ひげ図で提示しておりましたけれども、今回からは母平均の95%信頼区間を示したエラーバーで示しています。また、これらのグラフの数値については、31ページに示しています。
左上のグラフは、接種前と接種後のエラーバーを示しています。縦軸は対数目盛になっています。前回説明させていただいておりますが、年齢が上がるとともに接種前の抗体価が低くなっていますが、右端のほうの幾何平均抗体価倍率をご覧いただきますと分かりますけれども、年齢とともに高くなっていて、結果として抗体価そのものの絶対値には年齢差が出てきませんでした。
なお、性差については、重回帰分析で有意な因子になっておりませんので、分けて提示しておりません。
結果としてご覧いただいて分かるとおりで、接種前の抗体価の絶対値が374だったのが、2万219U/mLで、幾何平均抗体価倍率(GMR)は54.1倍でした。前回50倍近くて49倍ぐらいで御説明させていただいたのとほぼ変わりがないという状況です。
なお、2回目接種と3回目接種の間隔は平均267.3日で、9か月弱でした。ちなみに、接種間隔についても抗体価について有意な因子ではありませんでした。
接種後の抗体価に年齢差がないのに、3回目接種前に年齢差が生じている理由は、よく分かりません。2回目接種後の抗体価に差があった可能性と、年齢が高い人の減衰率が高い可能性と、両方ありますが、2回目接種後の抗体価を測っておりませんので、分かりません。今後、3か月後、6か月後と、同じ人たちの抗体価の推移を追いかけていきますので、また、それについては何らかの示唆ができる報告になるかと思います。
6ページ以降は、発熱などの時系列と年齢・性別の違いを示しておりますが、今回からは、上段に時系列、下段に年齢階層別・性別の棒グラフにしています。また、母平均の95%信頼区間をエラーバーに入れています。
また、7ページは、海外のデータと比較しやすいように、38度以上の発熱については別グラフとして提示しています。
コミナティ筋注3回目接種のグラフについては、前回と同じですので少し省略いたしますが、14ページをご覧いただければと思います。
副反応疑い報告の基準に心筋炎などが加わったことと、3回目の接種では胸痛の日誌記載についても詳細な報告を求めておりましたので、日誌の情報から2例の心筋炎疑いのPMDA報告がされています。両例とも血液検査や心電図検査で確定したものではありませんので、否定できないとして報告されたものです。また、この症状について軽快していることは確認されています。
16ページをご覧いただきますと、解熱鎮痛薬の服用者は12.1%、病休者は8.8%であることが分かります。
17ページからは、モデルナ社のスパイクバックス筋注を3回目接種した773人の医療従事者のデータです。初回コホート調査に参加された医療従事者は、コミナティ筋注を12月初めにばたばたと打ってしまっておりましたので、スパイクバックス筋注接種者のリクルートは手こずりまして、初回コホート調査に参加されていなかった同一医療機関の医療従事者424人も含まれている結果だということを御了解いただければと思います。
18ページが抗スパイクタンパク質抗体の結果です。3回目接種前と接種1か月後の抗体価が得られていて、かつ抗N抗体陽性の4人を除いた陰性者233人のデータです。抗N抗体陽性の方は、接種前の抗体価が少し高いので、同一集団と判断するのは難しいので除いています。
スライドの読み方は5ページと同じですが、接種前抗体価は444U/mLと、少し高くなっています。これは、コミナティ筋注接種者の平均年齢が43.8歳だったのに対して、スパイクバックス筋注接種が41.6歳と、2歳ぐらい若かったことが理由だということが、解析の結果、分かっております。結果としては、接種後は3万164U/mLで、幾何平均抗体価倍率は67.9倍でした。
なお、2回目接種と3回目接種の間隔は、接種開始が遅いので、少し長くなって282.4日、9か月強という状況でした。
ちなみに、「Frontier in immunology」の1月19日号に、モデルナ筋注が100マイクログラムの2回目接種の抗体価は今回と同じロシュの抗S抗体の結果が出ているのですが、その結果の中央値は、グラフから読み解きますと数千でしたので、3回目接種後はそれより抗体価が高くなっているということが予測されます。
グラフをご覧いただいて分かりますが、5ページのグラフとほぼ相似形で、年齢の高い方が接種前抗体価が低かったのですが、接種後の抗体価は年齢ごとの違いがなくて、計算上の幾何平均抗体価倍率は年齢が高くなるにつれて高くなるということが分かります。
発熱などについては19ページから示しておりますが、全体の頻度や年齢階層別の頻度に差がありますが、コミナティとスパイクバックスの基本的なグラフの形は一緒かなと思います。
26ページに示しましたように、PMDA報告とSAE報告はありません。
27ページは、接種1週間後までのAEをMedDRAでコーディングした結果ですが、コミナティ筋注と同様に、リンパ節痛や腫脹、腋窩痛が多いのが分かります。
28ページです。解熱鎮痛薬の服用者は9.8%で、病休者は10.3%でした。
29ページからがコミナティ筋注とスパイクバックス筋注の比較です。
抗体価ですが、両者の比較した線形重回帰分析は年齢・性別・接種間隔で調整した結果です。左上に示しておりますが、統計学的には有意にスパイクバックス筋注の抗体価が高い。また、幾何平均抗体価倍率、GMRも54.1倍と67.9倍という違いがあります。この抗体価は従来株に対するものですから、現在流行中のオミクロン株の中和抗体価を示すものではありませんが、今年の1月18日の雑誌「サイエンス」で、3回目接種はオミクロン株に対しても有効だという海外の論文を多屋先生に教えていただいています。
あと、英国の保健当局が2月3日に公開したサーベイランスレポートでも、追加接種後のVE、ワクチン効果でもファイザーとモデルナ社の比較がされていて、VE、ワクチン効果は、モデルナ社のほうが高いといった報告などを併せて考えますと、スパイクバックス筋注の効果が少しは高いのではないかと推察しております。
抗体価の数字は、30ページに示しています。
発熱を中心とした様々な副反応については、31ページから33ページにかけて示しています。年齢階層別・性別によって違いがありますので、両ワクチンの比較ができるように、母平均の95%信頼区間が重複していない項目は黄色で示しています。差があるところは黄色で示していて、発熱の頻度はほぼ全年齢層にわたってスパイクバックス筋注のほうが高いということは31ページをご覧になると分かりますし、接種部位の疼痛は両者でほぼ変わりはありませんが、全身倦怠感、頭痛については、全体で見るとスパイクバックスのほうが少し高頻度かと思います。
しかしながら、全体として見たときの病休の頻度は、コミナティ筋注が8.8%でスパイクバックスが10.3%で、もちろん統計学的な差はありませんでしたし、ほとんどの人は2日以内に軽快されておりますので、実際は勤務に与えた影響には違いがないように思えました。
個人的にこういったデータを眺めますと、スパイクバックス筋注のほうが抗体価の上昇と副反応の頻度が高いのですが、解熱鎮痛薬の使用や病休の頻度は変わりませんでしたので、どちらのワクチンをお使いになられるかの選択については、効果の期待と副反応のバランスの問題かなと感じております。
まとめは、今、説明させていただいたことを文章にしたのが34ページです。
説明は以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
ただいま、伊藤澄信委員から3回目接種におけるコホート調査の進捗を御報告いただきましたけれども、委員の先生方、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。大変興味深いデータかなと思いますけれども、いかがですか。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 伊藤先生、どうもありがとうございます。
N抗体陽性だった人たちの抗体価というのは、3回目接種前でかなり高かったのでしょうか。あと、3回接種後でN抗体陰性の人と比べて、さらに高いということはあったのでしょうか。
○伊藤(澄)委員 今、提示させていただいたとおり、少なからずの人数の人は抗体が陽性でしたが、カットオフが1ですので、低い人というのは本当に感染したという抗体だったのか、よく分からないところがあります。ちなみに、申告をされた、自分は感染しましたという人の割合ですけれども、それは全体の0.67%で、N抗体陽性の人は2.3%でした。ですから、基本的には差の部分は不顕性感染です。
ですので、その不顕性感染をどうするのかという話になりますけれども、カットオフ1なので、今回はカットオフ1で切りました。その結果、抗N抗体陽性者は統計学的に有意に高くなりました。高い人は、N抗体が160とか、そのぐらいまで上がっていて、その人に感染の既往があったかどうかはチェックしておりません。今回は単純にカットオフを基準にしてN抗体陽性の人を外した結果です。160に上がっている人と1.1の人を同列にして比較するのもどうかなと思ったので、今回は具体的には提示させていただいておりませんが、重回帰分析をかけると差が出ます。
○長谷川委員 よく2回接種後に感染した場合に、次、ワクチンを受けるべきかどうかという質問を受けるので、感染の場合にはばらつきが大き過ぎるので、きちんと抗体価を上げるためには3回目を打ったほうがいいということでよろしいでしょうか。
○伊藤(澄)委員 先ほど実際のスパイクバックスの100マイクログラムの2回接種の値を提示させていただいていますが、そのときはモデルナ社の投与量設計のときは、いわゆる回復者血清の値をめどにして設定されたと認識していますが、スパイクバックス筋注の2回接種後の状態でも回復者血清の抗体よりは高いです。ですので、今回、感染者の抗体価に比べても明らかに高くなりますので、そういう意味では、感染されているか、いないかということを別にして、追加接種されれば抗体価は3万というべら棒な数に上がりますので、接種をお勧めしたほうがいいのではないかと個人的には思います。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○岡座長 伊藤清美委員、お願いします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
貴重なデータをありがとうございます。先ほどの御説明ですと、モデルナの3回目の結果は、1回目・2回目もモデルナの方ということだったと思うのですけれども、そうしますと、今回の解析は3回とも同じワクチンを接種した方同士の比較ということでよろしいでしょうか。
○伊藤(澄)委員 説明が悪くてすみません。1回目・2回目はコミナティ筋注を接種した人が、3回目接種として、コミナティを打ったか、モデルナを打ったかということの比較です。モデルナを2回、大規模接種などで打たれた方については、今後調査させていただきますので、そのときに最終的には4つの群、モデルナを1・2回で打たれた人が、今後、モデルナを打つか、ファイザーを打った結果を、また提示させていただく状況になるのではないかと認識しています。
○伊藤(清)委員 誤解しまして失礼いたしました。ありがとうございます。
今後のことになるかと思うのですけれども、例えば2回目までに副反応が出た方が、3回目も出ているかという個人ごとの解析をされる予定はありますでしょうか。
○伊藤(澄)委員 前回、ファイザーを3回目接種された方についてはそういった提示にさせていただいたと思っています。発熱は、3回目も相当の程度で発熱しておりますが、今回は3回目としてモデルナを接種された方は半分以下しか、前回のコホート調査のデータがありませんので、正確な意味での比較はなかなか難しいなと思っておりますので、提示させていただいておりません。もう少しnの数が固まりましたら、初回コホートと記録がある人を取り出して見ていきたいと思っております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○岡座長 よろしいでしょうか。
では、多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 伊藤先生、いつも本当にありがとうございます。
聞き逃したかもしれないですけれども、資料の20ページですけれども、フェーズというレンジになっていまして、これが接種からの日数ということでよかったのでしょうか。上段の38度以上の発熱なのですが。
○伊藤(澄)委員 おっしゃるとおりです。具体的に申し上げますと、19ページの38度以上の部分だけ切り取って、こういう形で載せております。
○多屋委員 上段の発熱を見ますと、接種から2日目に四十数%の人に発熱があって、その後ずっとなくなって、9日目にまた50%ぐらいとなっています。
○伊藤(澄)委員 9日目は通期なので、8日までに全体として起きた人がこれだけいましたということです。言葉足らずですみません。
○多屋委員 ありがとうございました。
○岡座長 そのほか、いかがでしょうか。
私のほうから1点、ちょっと教えていただければと思うのですけれども、3回目を打つと抗体の上昇が著しいというのは分かるのですけれども、専門的に見て、この抗体の臨床的な差というのは何か考えられるのでしょうか。いかがでしょうか。
○伊藤(澄)委員 先ほど説明の中で申し上げましたけれども、海外の論文を見ると差があるというデータがほとんどです。コミナティよりもモデルナのほうが、VEというか、ワクチンによって感染防御の力が高そうだというデータが出ておりますが、出ているもので一番はっきりしていると思うのが、イギリスのヘルス当局が2月3日に出している、COVID-19のワクチンサーベイランスレポートの7ページとか8ページを見ると、3回目接種の結果が出ておりまして、それはオミクロンとデルタについても出ている資料があるのですけれども、そういったものと併せて考えるとそうかなと思ったので、申し述べさせていただきました。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、委員の先生方、よろしいですか。
では、どうもありがとうございました。いつも大変参考にさせていただいておりますけれども、貴重なコホートだと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。
次に、議題1「新型コロナワクチンの接種及び副反応疑い報告の状況並びに接種後の健康状況に係る調査等」について、まずは資料1-1-1~1-6-2まで、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料1-1-1~1-6-2を用いまして、今回の集計対象期間において、副反応疑い事例の動向などに変更があった点を中心に御説明したいと思います。
まず、資料説明の前に、集計と専門家評価の対象期間の変更から御報告させていただきます。前回の部会以降に委員に御了承いただきましたが、今回から集計と専門家評価の対象期間を変更しております。前回までは、会議の開催日から19日前までに報告された分を原則集計対象として専門家評価の対象としておりましたが、今回からは26日前というふうに集計期間を変更しております。
これまでは迅速に評価することを重視しまして19日前としておりましたが、既に1・2回目接種後の相当数の副反応疑い事例の評価を行っていること。また、3回目につきましても、コホート調査や、前回、副反応疑い事例について一定の評価を行っておることを踏まえまして、今回からは精緻に評価していく観点も考慮しまして、情報の収集と評価のための期間を1週間ほど延ばしておるという状況でございます。
また、併せまして、バキスゼブリアの集計と専門家評価の期間の考え方も今回から見直しを行っております。当初、事例が乏しかったという事情がございまして、バキスゼブリアの死亡事例については、当面、mRNAワクチンよりも1週間、評価期間を延ばして専門家評価を行っておりました。また、TTS疑い事例につきましても、死亡と同じ扱いとしておりました。接種開始からこれまでに半年が経過しまして、副反応疑い事例の情報も収集されてきておりますので、バキスゼブリアについても今回からmRNAワクチンと同じ方針での集計と専門家評価を行っております。
以上を踏まえまして、今回の集計対象期間は1月23日までとなっております。
それでは、資料の説明に移ります。まず、1-1-1の38ページをご覧ください。スパイクバックス3回目接種後に報告された症状の一覧でございます。前回の合同部会におきましては、集計期間中にスパイクバックス3回目接種の実績はないものの、期間後に死亡事例の報告があったということを御報告させていただきました。
今回の集計期間からスパイクバックス3回目接種が実施されておりまして、副反応疑い事例につきましても2件報告がございました。心肺停止の事例につきましては、前回御報告した死亡事例でございます。心膜炎の事例につきましては、今回初めて御報告する事例となります。今後、製造販売業者による調査が終了しまして報告がございましたら、ブライトン分類の評価結果も御報告したいと考えております。
次に、41ページでございます。3回目接種における報告状況をまとめた表でございまして、一番下の表のところに年齢階級別の接種者数をまとめております。表の一番下に高齢者の接種者数を掲載しております。これによりますと、今回の集計期間におけるコミナティの被接種者に占める高齢者の割合が約20%、スパイクバックスが約65%となっておりますので、両ワクチン間で被接種者の背景情報に差がございますので、後々の説明の前提としまして、まず接種状況の差について御報告させていただきました。
なお、参考としまして、1・2回目接種における高齢者の割合のほうですが、コミナティが約4割、スパイクバックスが約6%で1割弱でしたので、初回免疫と3回目接種でも両ワクチンの背景に差があるという状況でございます。
その他、副反応疑い事例の報告状況につきましては、初回免疫後の事例やコミナティの3回目接種、ロット別の報告件数など、3ワクチンとも顕著な報告状況の変化はございませんでしたので、1-1-1と1-2-1の説明は以上とさせていただきます。
続きまして、1-3-1をご覧ください。1-3-1、コミナティの死亡事例でございます。
1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の集計対象期間以降、コミナティ筋注の副反応疑い報告におきまして、新たに11件、うち3回目接種後の事例が1件ございまして、23日までに報告された事例につきましては計1382件、うち3回目接種後の事例は2件となっております。
2つ目の○のところでございます。なお、上記に加えまして、1月24日から2月4日までに報告された事例が20件、うち3回目接種後の事例が11件でございました。
3回目接種後の各死亡事例の概要につきましては、3ページ目以降でお示ししておりますが、委員の皆様には事前に資料を送付しておりますので、本日の説明は省略したいと思います。
続きまして、「2.専門家の評価」の部分でございます。1月23日までに報告されました1382例を対象に因果関係評価を実施しておりまして、結果を表としてお示ししております。
続きまして、資料1-3-2でございます。スパイクバックスの死亡事例について御報告いたします。
1ページ目、「1.報告状況」でございます。前回の集計期間以降、スパイクバックス筋注の副反応疑い報告におきまして報告された事例が新たに1件ございまして、1月23日までに報告された事例は計67件、うち3回目接種後の事例は前回御報告した1件でございます。
なお、集計対象期間でございますが、上記に加えまして、1月24日から2月4日までに報告された事例が4件、いずれも3回目接種後の事例でございました。
各事例の概要につきましては、こちらも3ページ目以降におつけしておりますが、本日、各事例の詳細な説明については省略したいと思います。
「2.専門家の評価」の部分でございまして、67事例を対象にしまして実施しました因果関係評価の結果につきまして表としてお示ししております。
次は、バキスゼブリアでございますが、先ほど御説明させていただきましたが、今回から専門家評価対象期間の変更を行っておりますけれども、いずれにしましても新規の死亡事例の報告はございませんでしたので、説明は省略したいと思います。
続きまして、資料はアナフィラキシー疑い事例のほうになりますが、大きな動向の変更があるわけではございませんでしたので、資料の説明は省略したいと思います。
TTSにつきましても、大きな動向の変化はございませんので、説明は省略いたしますが、バキスゼブリアについては、先ほど御説明しましたように、mRNAワクチン同様、製造販売業者からの報告に基づきまして、今回からブライトン分類評価を行うこととしておりますが、こちらも新規の症例の報告はありませんでしたので、資料の説明は省略いたします。
続きまして、1-6-1でございます。コミナティの心筋炎・心膜炎疑い事例の報告状況でございます。
「1.報告状況」の部分でございます。前回の集計対象期間以降、心筋炎疑いとして報告された事例が新たに15件、うち3回目接種後の事例が1件。また、心膜炎疑い事例として報告された事例は新たに4件、うち3回目接種後の事例は1件ございまして、1月23日までに報告された心筋炎疑い事例は計67件、うち3回目接種後の事例が1件。心膜炎疑い事例は計19件、3回目接種後の事例はうち1件となっております。
3回目接種後の事例のブライトン分類評価の結果につきましては、心筋炎の1事例につきましては、3ページ目のマル3、3回目接種の表でお示ししておりますが、レベル4でございました。
心膜炎の1事例につきましては、4ページ目のマル3、3回目接種の部分でお示ししておりますが、レベル2と評価されております。
6ページ目にブライトン分類1~3の頻度をお示ししております。また、そのすぐ下の参考というところに、ブライトン分類レベル1~5の報告頻度の推移をお示ししております。心筋炎や心膜炎の場合は報告基準に追加され、ブライトン分類評価を開始したのがほぼ初回免疫が終了しておりました12月時点でしたので、ブライトン分類の推移は3回目接種でお示しするとしておりますが、これまでの接種回数別の頻度の推移が分かるようにということで、参考としてレベル1~5の頻度の推移もおつけしております。
8ページ目、9ページ目の部分でございますが、こちら、年齢階級別・性別でブライトン分類1~3を集計しております。前回の御議論を踏まえまして、今回から括弧の中に、接種から症状の発生までが7日以内であった者の件数も内数としてお示しするようにしております。
最後、スパイクバックスでございますが、動向に大きな変化はございませんでしたので、資料の説明は省略したいと思いますが、先ほど1-1-1の中で御説明させていただきましたが、3回目接種後の心膜炎の事例につきましては、製造販売業者からの報告がございましたら、ブライトン分類の評価結果とともに、こちらの1-6-2の中でお示ししたいと考えております。
バキスゼブリアは、現時点におきまして心筋炎・心膜炎の事例はございませんので、省略いたします。
資料の説明は以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
引き続き、資料1-7について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
それでは、資料1-7をご覧ください。
まず、2ページ目でございますけれども、資料構成につきましては、前回と同様の構成となっておりまして、「副反応疑い報告全体の概要」「死亡として報告された事例」「心筋炎又は心膜炎疑いとして報告された事例」についてお示しした上で、「論点のまとめ」「参考資料」となってございます。
4ページ目をご覧ください。4ページ目は、副反応疑い報告の概要で、資料1-1-1及び資料1-2-1をまとめたものでございます。こちら、1月23日のデータロック時点のものをまとめておりまして、現在進んでおります3回目接種につきましては、ファイザー社ワクチンについては約253万回。また、武田/モデルナ社ワクチンについては約8万6000回の推定接種回数のうち、医療機関報告における副反応疑い報告としては、青のところにお示ししておりますファイザー社は、3回目については427件、オレンジ色のモデルナについては2件。
また、製造販売業者報告における副反応疑い報告としては、青のところのファイザー社において60件、モデルナにおいては1件となってございまして、1・2回目接種と比較して特段頻度が増えていないことが見てとれるかと存じます。
続きまして、6ページ目をご覧ください。新型コロナワクチン接種後に「死亡として報告された事例」の概要をお示ししております。
ファイザー社ワクチンにおきましては1382件の御報告があり、うち3回目接種後の事例は2件でございました。
武田/モデルナ社ワクチンにおいては67件であり、うち3回目接種後の事例は1件でございました。
なお、先ほども御紹介ございましたけれども、現在、3回目接種については、医療従事者等に加えて、高齢者の方の接種が進んでいる状況でございまして、データロック外に3回目接種後に死亡として報告された事例として、ファイザー社ワクチンにおいては11件、モデルナ社ワクチンにおいては4件ございましたが、そのほとんどが御高齢の方という状況でございます。
症例の詳細につきましては、資料1-3-1あるいは1-3-2にございますので、御参照いただけますと幸いでございます。
続きまして、7ページ目以降をご覧ください。こちらからは「心筋炎又は心膜炎疑いとして報告された事例」でございますけれども、8ページ目におきましては、製造販売業者から心筋炎又は心膜炎疑いとして報告された事例の概要をまとめております。資料の説明につきましては、先ほども御紹介いたしましたので、割愛させていただきます。
また、9ページ目、10ページ目をご覧ください。こちらは、国内の報告状況につきまして、ブライトン分類4、5のものも含めまして、全ての製造販売業者報告における件数を計上してございます。
本邦の状況につきましては、上段2段目のところに1月23日時点のものをまとめておりまして、現時点で3回目接種につきましては、ファイザー社ワクチンについては心筋炎・心膜炎がそれぞれ1件、報告頻度としましては100万回接種当たり、それぞれ0.4件となってございます。
また、10ページ目におきましては、同様にモデルナ社ワクチンにおいての心筋炎・心膜炎疑いとして報告された事例についてまとめておりまして、1月23日時点では、それぞれ3回目接種については、心筋炎・心膜炎ともにゼロ件となってございます。
続きまして、12ページ、13ページ、14ページ目をご覧ください。こちらは、心筋炎・心膜炎に係る海外情報を更新してございます。更新された要点等につきまして簡単に御紹介申し上げます。
まず、12ページ目の3段落目、こちらはCDCからの1月6日の更新情報でございますけれども、3回目接種後に係る情報といたしまして、前回、多屋先生からもコメントを頂戴いたしておりますけれども、3行目、イスラエルの暫定データによると、ファイザー社ワクチン追加接種後の心筋炎のリスクは、2回目接種後よりも低いという情報が載せられてございます。
また、3回目接種後の心筋炎に係る海外情報につきましては、2月11日にCDCより報告された情報がございますので、後ほど3回目接種後に係る海外情報のスライドでも御紹介したいと思います。
続きまして、13ページ目をご覧ください。こちらは、英国MHRAからの2月10日の更新情報でございます。以前、国立国際医療センターを中心にお取り組みいただいているCOVID-19レジストリにおきまして、COVID-19を発症した入院患者100万人当たり、約100~900人程度の心筋炎関連事象が発生しており、また、米国での情報も踏まえまして、COVID-19感染症後に心筋炎関連事象を発症する確率は、ワクチン接種後と比較して高いという情報をお示ししておりました。
こちらの情報に関連しまして、下から2行目におきまして、英国におきましても心筋炎はCOVID-19感染に関連するとして、100万人の患者当たり約1500件の心筋炎があるという紹介がされておりまして、これまでの本部会における情報をサポートするものと考えてございます。
続きまして、15ページ目以降、まとめのスライドでございます。
まず、16ページ目でございますけれども、上段の青囲みのところ、最新の死亡例の報告状況の整理につきましては割愛させていただきますけれども、死亡例の論点のまとめといたしましては、現時点においては、個々の死亡事例について新型コロナワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた事例は認められない。
引き続き、3回目接種後の事例についても、情報を収集し、丁寧に評価を行っていく。
また、死亡の報告に関しては、現時点においては、3回目接種後の事例も含め、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないとしてよいかということで御審議いただきたいと考えてございます。
また、死亡例に関する考え方を御議論いただくに当たりましては、後ほど感染研の鈴木基先生より、超過死亡という観点で御解説を賜る予定としてございます。
17ページは、心筋炎及び心膜炎に関する考え方ということで論点スライドをお載せしてございますので、こちらの内容で御審議いただきたいと考えてございます。
また、18ページ目でございます。こちらは、3回目接種についての情報を青囲みにまとめてございます。
また、3回目接種に関する論点のまとめといたしましては、国内の3回接種後に係る副反応疑い報告状況については、現時点では重大な懸念は認められない。
国内外の3回目接種後に係る副反応疑いの報告状況については、今後も引き続き注視していくということで、まとめとさせていただいております。
また、先ほど、3回目接種についてというところで、参考資料の25ページ目をご覧ください。こちらは、3回目接種について御議論いただくに当たりまして、海外情報を載せております。
上段の米国CDCで公表されておりますMMWRとして、2月11日、Early Releaseとして公開された内容を記載しております。こちらのレポートの趣旨としましては、2行目をご覧ください。同種のmRNAワクチンの追加接種をした場合は、1週間以内の局所反応及び全身反応は、2回目よりも頻度が低かったということが趣旨としてまとめられてございます。
また、追加の情報といたしまして、初回シリーズに受けたワクチンとは関係なく、追加接種にモデルナを接種した者については全身反応が多かった。一方で、追加接種後の心筋炎については、18~24歳の男性で報告が多い傾向にあったが、2回目接種と比較すると報告頻度は低かったという情報がございました。こうした情報も踏まえまして、3回目接種について御議論いただきたいと考えてございます。
ページをお戻りいただきまして、18ページ目の最後、全体のまとめでございますけれども、主な検討項目といたしまして、死亡、アナフィラキシー、TTS、心筋炎・心膜炎、3回目接種、及び健康状況に関する調査の状況も踏まえまして、現時点において、引き続き、ワクチンの接種を継続していくこととしてよいかということで御審議いただきたいと考えてございます。
資料1-7についての説明は以上でございます。
○岡座長 ありがとうございます。
続いて、資料1-9について事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。
資料1-9をご覧ください。こちらは「新型コロナワクチン接種後健康状況調査」、いわゆるオンライン調査でございます。
今回、対象者といたしましては、初回シリーズについて調査に御協力いただいた方となっております。今回の対象者数につきましては、8ページ目をご覧ください。接種当日にエントリーのありました3721人のうち、有効回答者数3196人が対象となっております。
また、10ページ目をご覧ください。ワクチンの種別につきましては、3196回答のうち2880回答ということで、約9割がファイザーのものとなってございます。
なお、3回目接種を対象としました調査につきましては、引き続き、準備中となってございます。
続きまして、ページが戻りまして恐縮でございますけれども、6ページ目をご覧ください。こちらは、前回の審議会におきまして、本資料の掲載データを閲覧・解釈等をするに当たっての留意点につきまして委員の先生方から御指導いただきました。その内容を踏まえまして、6ページ目に本調査の特性や留意点を掲載させていただいております。
まず、本調査の特性としましては、被接種者のうち、参加に同意いただいた者が任意で回答したものについて集計・公表しているものを記載させていただきました。
次に、留意点といたしまして、本調査の参加者については、調査の実施時期あるいは実施の形態による影響によって、参加者の年齢や属性等に偏りが生じている可能性について留意が必要ということも記載してございます。
また、「症状が出なかった」ことについても回答を求めてはおりますが、症状が出た方が回答しやすいバイアスが入っていることを明記した上で、症状の発現頻度の算出に当たっては、回答が得られた者のうち、症状が出た者を発現頻度としていることから、結果として、発現頻度が高く算出される傾向を踏まえて御利用いただきたいことを記載してございます。
続きまして、資料、飛びまして、70ページ及び71ページ目をご覧ください。こちらのページにおきましては、前回、多屋委員よりいただきました御指導の内容を踏まえまして、各症状における接種後の日数別の症状出現頻度について一望できるグラフを準備させていただきましたので、御参照いただけますと幸いでございます。
なお、こちらのデータにつきましては、グラフ内の分母数を統一するため、接種後1週目と2週目の両者の回答があった者のみについて集計の上、頻度を算出しており、上段の接種1回目については945回答、下段の接種2回目については408回答が対象となっており、全ワクチンをまとめた集計となっていることを申し添えさせていただきます。
資料概要でございますけれども、資料1-9について事務局からの説明は以上でございます。
○岡座長 ありがとうございました。
ただいま、これまでの副反応疑い事例の報告状況について御説明いただきましたけれども、まず、今回以降の合同部会における資料の集計期間の考え方についても御説明をいただいております。
この場の議論としては、効率的に議論を進めるために、死亡事例や発生動向や評価方法などに変化があった副反応疑い事例に焦点を絞って議論を行っていくこととしております。そのような観点から、本日の新型コロナワクチンの安全性評価につきましては、1番として「3回目接種について」、2番として「死亡事例について」、3番として「心筋炎などのその他の論点について」の順番で議論をさせていただければと思います。
まず、「3回目接種について」でございますけれども、3回目接種については、資料1-7の19ページにおいて事務局から論点が上げられておりますので、御参照ください。今回の集計対象期間から、心筋炎関連事象についても、3回目接種後の副反応疑い事例の報告がございました。この3回目接種に関して、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございました。
非常にトレースがうまくいっているということが分かって、勉強になりました。
ちょっと教えていただきたいのですけれども、資料1-7の25ページ目で米国の報告についての御紹介があったと思います。これは、追加接種後の心筋炎について、3回目が2回目よりも報告頻度が、モデルナの場合ですけれども、低かったということでした。これは、モデルナの用量が低いことと関係があるのかどうかという考察があったのでしょうか。
○岡座長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。どうぞ、お願いします。
○事務局 事務局でございます。先生、御指摘ありがとうございます。
こちら、MMWRの報告の範囲については、その原因等についての記載はございませんでした。
○佐藤委員 では、特にディスカッションのような項目はないということですね。
○事務局 事務局でございます。
こちら、当局レポートであり、考察のような項目の記載はございませんでした。
○佐藤委員 分かりました。引き続きウオッチしたいと思います。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、3回目接種についてということで、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。副反応全体の出現の仕方として、大きな変化はなさそうだという御報告かと思いますけれども、よろしいでしょうか。
そうしましたら、2番目の論点、「死亡事例について」に移りたいと思います。本日は、先ほど来御紹介いただきました鈴木基参考人に御参加いただいております。当部会でも、これまで、これまで接種後に亡くなった方については、個々の疾患については人口動態統計等との比較も行ってきたわけですけれども、今回、鈴木参考人の研究班では、新型コロナ感染症の流行時における超過死亡の研究を行って御発表いただいておりますけれども、本日は死亡事例等の議論を行うための参考として、2021年の全死亡超過死亡の発生と新型コロナワクチンの接種数との関係について研究班に分析をお願いさせていただきました。
それでは、鈴木参考人から、提出資料について御説明をお願いします。
○鈴木参考人 御紹介ありがとうございます。国立感染症研究所感染症疫学センターの鈴木です。
それでは、資料、1枚目をご覧ください。最初に、本資料の背景について少し解説申し上げます。
厚生労働省研究班、私たち、通称サーベイランス研究班と呼んでおりますが、この研究班の分担研究課題として、新型コロナの影響による超過死亡について研究を行っています。その分析結果等については、専用のウェブサイト、厚生労働省アドバイザリーボード等で公開してきたところです。今回は、先ほど紹介ありましたように、副反応検討部会からの要望に応じまして、昨年、2021年における全ての死因を含む死亡、つまり全死亡の超過死亡数と新型コロナワクチン接種数の間の時間的な関係について整理を行ったものです。
資料、中段あたりに書いておりますが、超過死亡について改めて解説したいと思います。超過死亡というのは、ある時点の実際の死亡数が例年の同時期よりもどれだけ多いのかというのを表した数です。もう少し正確に言いますと、まず最初に、過去5年間の週ごとの死亡者数のデータを使って、直近の死亡者数を予測します。これぐらいの死亡者数が発生するだろうという予測をします。ただ、実際の予測にはばらつきがあるので、予測値の幅というものを計算します。そして、実際に現れた死亡者数が予測値の幅の上限よりも多いときに、これを超過死亡と定義いたします。
この計算方法は、従来、毎年発生するインフルエンザの超過死亡数を計算するために国際的に使われてきたもので、米国のCDCもこの方法を使っております。今回の分析では、超過死亡に対する比較対照として、週ごとのワクチン接種数と新型コロナの陽性者数を並べております。
資料、2枚目、結果をご覧いただきたいと思います。こちらは、65歳以上に限ってまとめたものです。グラフがちょっと多いですが、縦に3つのグラフが並んでおります。一番上の段のグラフが週ごとのワクチン接種数、2段目のグラフが週ごとの超過死亡数、3段目が週ごとの陽性者数となっております。
一番左側が大阪のデータです。まず最初に、上から3段目、つまり、一番左下にある陽性者数のグラフをご覧いただきたいと思います。大きな波が2つ見えると思います。横軸は2021年1月から10月までとなっております。左側の低いほうの波が去年の4月から5月に発生した、いわゆる第4波に相当します。目をそのまま上の段に移していただきますと、これが超過死亡数です。青い点線がゼロで、これより上が超過死亡ということになります。上下、見比べますと、第4波の陽性者数が増えるのに、2週間ぐらい遅れて超過死亡が発生していることがお分かりかと思います。この2週間程度の遅れというのは、新型コロナ陽性と診断されてから重症化してお亡くなりになるまでの期間に相当するとお考えください。
さて、その上で一番上の段のワクチン接種者数と見比べていただきたいと思います。赤い線が1回目接種者数、緑の線が2回目接種者数です。超過死亡のグラフと比べると、超過死亡の波から1か月遅れてワクチン接種者数のピークが来ていることがお分かりかと思います。
この傾向、つまり第4波の超過死亡から遅れてワクチン接種者数が増えるという傾向は、その1つ右の兵庫県、さらにその隣の東京都でも同様です。一番右側は、全国を全部合わせたものです。全国データで計算すると超過死亡の値が少し変わってくるのですが、それでも超過死亡の観察から遅れてワクチン接種数がピークを迎えているということには変わりありません。
次のページ、3枚目をご覧ください。こちらは、65歳未満について、同じ分析を行っております。65歳以上と比べると、ワクチン接種のピークの期間が長いですけれども、第4波の超過死亡から遅れてワクチン接種者数が増えているということがお分かりかと思います。
最後に、資料、1枚目にお戻りください。下の段に考察と注意点を記しております。詳細はお読みいただきたいですが、まとめますと、この分析はあくまで超過死亡の推移とワクチン接種者数の推移を並べただけで、複雑な統計解析を行ったというものではございません。ただ、この単純なグラフから言えますことは、第4波の超過死亡は、ワクチン接種数の増加よりも先に発生し、そしてピークを迎えたということ。そして、ワクチン接種数がピークを迎えたときには、既に超過死亡はほとんど観察されていなかったということです。原因は結果に先行するという原則から言いますと、ワクチン接種の増加が超過死亡の増加につながったという説明は成り立たないと考えております。
私から以上です。
○岡座長 ありがとうございました。
ただいま鈴木参考人から御説明いただきましたけれども、何か委員の先生から御質問、御意見等ございますでしょうか。
柿崎委員、お願いいたします。
○柿崎委員 貴重な解析ありがとうございます。
コロナの第4波で超過死亡が増えて、その後、ワクチンを接種して、第5波のときには超過死亡が増えなかったということは、時系列で考えると、ワクチンの効果で超過死亡が減ったということ、また、若年者と高齢者を比べると、より高齢者のほうでワクチンが超過死亡を減らしたと解釈してもよろしいのでしょうか。難しいとは思いますが。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。
今、御質問いただいたこと、全くそのとおりであるように考えております。ただし、注意は必要です。あくまで、今、見ているグラフは、2つのグラフを並べて時間的な関係を見ているだけであるということに注意は必要ですが、確かに第4波のときに発生した超過死亡が、陽性者数の波の大きさだけで言えば第5波のほうが大きいにもかかわらず、第5波では超過死亡は第4波ほどは認められなかったということに関しては、このグラフを見るだけでもワクチンの接種が行き渡ったことであろうということは推察されます。
これを裏打ちするデータとして、今日はお示ししておりませんが、いわゆる症例致死率あるいは致命率、ケース・フェイタリティ・リスクというものを私たちは分析してアドバイザリーボードの資料で出しております。そちらの結果では、第4波当時の致死率と第5波当時の致死率では、明らかに第5波において下がっております。これは、ワクチンの接種が行き渡ったことであるということを支持する結果ですので、そのデータと併せて考えれば、第5波において陽性率・陽性者数が多いにもかかわらず、超過死亡が第4波ほど認められなかったのは、ワクチンが行き渡った結果であると推測しております。
以上です。
○柿崎委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤委員 ありがとうございます。
非常に長期的にデータを集めておられるということが分かったのですけれども、先ほどの2枚目、3つのグラフが3掛け4で並んでいるページがあったかと思うのですけれども、一番上がワクチン接種数で、2番目が超過死亡で、3番目がコロナの陽性者数ということなのですけれども、先ほど、この真ん中のグラフは過去5年間という御説明がありました。コロナの流行というか、始まったのが19年からということになると思うのですけれども、こちらはコロナ発生前と発生後と全部合わせた5年間なのですか。具体的に何年から何年までの5年間かということと。一方で、コロナの発生前と発生後というデータがあるのかというところをちょっとお伺いしたかったのですが。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。
超過死亡の説明のときに5年前という言葉を使いました。少し混乱があったかもしれません。まず、ご覧いただいている2枚目、3枚目のグラフの真ん中の段ですが、この超過死亡の横軸は上下と全く同じです。左側は2021年1月から右側は2021年10月となっております。この超過死亡数を計算するときに、その時点よりも前の5年間のデータを使って、その前5年間のデータに基づけば、この週はこれぐらいの死亡数が発生するだろう。それよりも多い数を超過死亡としております。
ですから、例えばご覧いただいているグラフの一番左側、2011年1月の時点の推定死亡数というのは、マイナス5ですから、2016年以降の5年間のデータを使って2011年1月にこれぐらいの死亡数が発生するだろう。では、実際の死亡数はどれぐらいだったのかというのを引き算した数字が示されているグラフということになります。言葉だけだと分かりにくいかもしれませんが。
○佐藤委員 2016年。
○鈴木参考人 16年からの5年間ということになります。
○佐藤委員 分かりました。ありがとうございます。
○岡座長 佐藤委員、よろしいでしょうか。
次、山縣委員、お願いいたします。
○山縣委員 鈴木先生、どうもありがとうございます。山縣と言います。
今回のことで、ワクチンの接種による超過死亡は、基本的にはどうもなさそうだということが分かったのですが、先生方が研究班で出されているダッシュボードで、2020年の超過死亡のデータと2021年のものが既に示されていると思うのですが、2020年のほうは、どちらかというと、予測値よりも低い過少死亡傾向にあり、そして21年になると予測値よりも高い、超過死亡が増えているようなグラフに見えるのですが、この原因というのはどういうふうに考えればいいのかということ。今回と直接は関係ないのですけれども、先生、教えていただけますでしょうか。
○鈴木参考人 御質問ありがとうございます。大変に重要なポイントだと考えております。
まず、御指摘いただいたように、新型コロナが始まった2020年においては、分析しますと、実は超過死亡というよりは過少死亡、例年よりも少ない死亡者数が観察されています。この原因についてですが、あくまで総合的に推論して解釈しているものですけれども、新型コロナの流行が始まって、これに対して、例年以上に強い感染対策、健康管理が実施されています。市民の健康意識、衛生観念というものも非常に強くなってきております。これが影響した可能性があると考えております。
実際、新型コロナの流行後、例えばインフルエンザの流行のレベルが非常に低くなったこと。インフルエンザ以外の感染症、例えば肺炎球菌感染症なども、特に高齢者の死亡に関わるような、こうした感染症の流行レベルが大きく低下したということが分かっています。これらの要因が超過死亡を減らす要因になったと考えています。
一方で、2021年以降、グラフでもご覧いただけるように、現時点で分析できている10月までのデータでは、特に4月~6月にかけて超過死亡が観察されています。これは、いわゆる第4波と同時期で、直接的な新型コロナの死亡者数が増えたという以外にも、間接的な死亡も大きく寄与していると考えています。この間接的な死亡というのは、直接の新型コロナとは別の要因による死亡ということになります。
これは、第4波で新型コロナの患者がこれまでになく増えて、当時、報道でもありましたが、いわゆる医療逼迫ですね。医療システムが逼迫して、新型コロナ以外の患者さんでも、救急医療や高度医療にアクセスしづらくなったといったことがございました。こうしたものが超過死亡の発生の要因に1つなったと考えております。ただ、この傾向も都道府県によってばらつきがありますので、一概にこれだけが要因であると特定するのは難しいというのが実情です。
以上です。
○山縣委員 どうもありがとうございました。
本当に大変興味深いところで、こういった対策と、さらに今、先生が言われたみたいな医療逼迫による死亡などの間接的な死亡に対しての対策が非常に重要なのだということが分かりました。どうもありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございました。
続いて、石井委員、お願いいたします。
○石井委員 ありがとうございます。石井でございます。
詳細なデータ、ありがとうございました。ワクチンの有効性ということで、こういったデータがあると、私たちは、非常に安心できると思いました。実際これは2回目の接種後のデータで、現在3回目がなされていると思います。先ほどの伊藤委員の御発表から3回目は抗体価がぐんと上がってきていて、それが重症化につながらないとか、感染を予防できるといったことがあると、さらに超過死亡というものがなくなってくると考えてしまいますが、そんなことがリンクできるようなものなのでしょうか。大変難しいと思いますが、いかがでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
まず、超過死亡というのは、あくまで例年よりもどれだけ死亡者数が多いのかというものを表した数字ですので、では、なぜそれが増えているのかということに関しては、統計そのものは何も語ってくれず、総合的に我々が解釈していくしかございません。これまでのところ、先ほど申し上げたように、2020年は比較的少なく、2021年は多かった。多かった要因は、実際の新型コロナの患者数が増えたということに加えて、医療逼迫が影響しただろうということが総論的には言えるかと思います。
これ以降、2回接種、さらにブースター接種が進んだときに、どれだけ超過死亡に影響するかですが、少なくとも今、流行しているオミクロン株以上の重症化する変異株が流行しなければ、3回目の接種が進むことにより、いわゆる致死率というのはより低下し、超過死亡は発生しにくくなるだろうと推測はできます。ただ、繰り返しですが、そのほかの要因で、余りに患者数が増えた場合には、いかに致死率が低くても医療逼迫が発生し、それによって超過死亡が発生するということも否定はできませんので、そこのところははっきり言うのはなかなか難しいというのが実情です。
○石井委員 ありがとうございます。よく理解できました。
○岡座長 それでは、伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 解析の結果をどうもありがとうございます。
2枚目と3枚目、両方ともなのですけれども、東京だけがワクチン接種よりも少し遅れたところにピークがあるようにも見えるのですけれども、着目するほどの増大ではないと考えていいのでしょうか。あるいは、何か理由が考えられるのでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
大変重要なポイントで、私も説明を省略してしまっておりました。おっしゃるとおりで、大阪、兵庫においては、第4波において大きく超過死亡が認められた一方、第5波では、わずかに認められますが、第4波ほどではありません。一方で、東京においては、むしろ第4波は大阪ほどではないにもかかわらず、第5波において第4波と同程度の超過死亡が認められております。
この要因ですが、現場レベルの情報も加味しての解釈になりますが、第4波の医療逼迫の程度は、関西、大阪、兵庫において大変大きく、それが第4波の大阪、兵庫における大きな超過死亡につながった。一方で、第4波を踏まえた備えがあったために、大阪、兵庫においては第5波の医療逼迫を比較的免れることができたということが分かっています。
一方で、東京においては、第4波における超過死亡は確かにありますが、そこまで大きく医療逼迫が発生しなかった一方で、第5波において大きく医療逼迫が発生したということは、報道でも大きく取り上げられていたかと思います。こうした医療逼迫の程度というものが、関東、関西で第4波、第5波において影響のレベルが違ったというのが、この超過死亡の数の違いにつながっているというふうに解釈しております。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
そうしますと、東京はワクチン接種してから少し遅れてと読めてしまうのですが、むしろ第5波の影響というふうに解釈されているということでしょうか。
○鈴木参考人 そのとおりです。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 宮川でございます。大変すばらしい説明、ありがとうございました。
この感染者数、陽性者数ですけれども、今のお話の中で、重症者数とのリンクはどうなのか。つまり、医療逼迫の原因になるのは、あくまでも重症者のベッドがどのぐらいだったのかということが非常にリンクしてくるだろうと思いますが、それの何かサゼスチョンというか、示唆を与えるようなグラフというか、そういうものはございますでしょうか。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
今、お示ししております下の3段目は、あくまで陽性者数、感染者数ということになります。御指摘のように、いわゆる医療逼迫というのは、入院が必要となるような重症者というものが大きく影響するわけです。重症者数に関しては、厚生労働省のウェブサイトなどでも公表されておりますので、私たちもそのデータを使いながら分析しているところです。
あくまで大まかな傾向だけ申し上げますと、第4波においては、確かに重症者数も陽性者数とパラレルに重症し、下がっていきました。一方で、第5波においても症例数が一気に増えると重症者数も増えたのですが、第4波のときと同様にパラレルに上昇したというわけではありません。その要因については、私たちとしては、ワクチンの接種が行き渡ったことで重症化率が減ったためであろうと解釈しております。
○宮川委員 ありがとうございました。
○岡座長 それでは、森尾委員、お願いいたします。
○森尾委員 鈴木先生、ありがとうございました。
2つ、確認のような質問になりますが、1点目が先生のスライドの1枚目の背景、方法で、超過死亡数が認められた例として、大阪と兵庫と東京を挙げていらっしゃいますけれども、丸めるのも難しいと思いますが、この3都市だけだったのか、大都市が中心だったのかというのが1点目でございます。先ほどもちょっとメンションがあったと思います。
2点目が、おまとめいただきました考察の2ポチ目で、ワクチンと超過死亡の関係という部分でございます。表現はこういう形でいいのかということで、ちょっとお伺いしたいのですけれども、今回のデータからは、超過死亡と新型コロナワクチンの因果関係はないと示唆されると言えるのかということ、あるいは超過死亡と新型コロナワクチンの因果関係は明らかではないと言えることなのか、平易な言い方にするとどういう形になるかという点を御示唆いただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
○鈴木参考人 ありがとうございます。
まず、1点目、今回、大阪、兵庫、東京を取り上げた理由は、先ほど申し上げましたように、第4波で特に大阪、兵庫において医療逼迫が発生し、超過死亡が大きく発生したということ。そして、東京も同じ理由であり、かつ、人口が最も多い都市であるということから、この3つの都市を取り上げております。
それ以外の地域ですけれども、まとめて言うとちょっと語弊があるかもしれませんが、この3都市に比べれば超過死亡の発生数は極めて少ないです。例えば、北海道、沖縄は流行のパターンが本土と少し違いますので、超過死亡が発生するタイミングが少しずれてはいますが、トータルとしては、人口規模の違いもありますので、超過死亡の発生数はこの3都市に比べると少ないということがございます。ということで、今回取り上げておりますのは、あくまでこの3都市ということにはなりますが、おおむねこの3都市が日本全体の超過死亡の傾向に大きく影響を与えたものであると私たちは考えているところです。
2点目の結果の解釈についての御質問だと思います。研究班、あくまで研究者ですので、非常に慎重な物の言い方になります。まず最初に申し上げましたけれども、こちらの資料自体、あくまでも本日の検討部会からの要請を受けて研究班として作成したものです。因果関係を実証するために分析を行ったものではないという点は、ぜひ御理解いただきたいと思います。ただ、その上でも、超過死亡はワクチンの接種に先立って発生して、そして減少したという事実を明確に示していると考えております。また、研究班で検討していますが、海外においてワクチン接種によって超過死亡が発生したという報告は確認されていません。
以上から、総合的に考えて、私、参考人の立場として、ワクチン接種が超過死亡の発生の原因であるという考えは合理的でなはいと考えているということを申し上げたいと思います。
以上です。
○森尾委員 どうもありがとうございました。
○岡座長 ありがとうございます。
それでは、次、倉根委員、お願いいたします。
○倉根委員 先生、ありがとうございます。非常によく分かりました。
このスタディは、今年、22年、あるいはその後も恐らくお続けになるだろうと思うのですけれども、22年のことを考えるとすると、既に21年の超過死亡といいますか、ピークのデータが含まれたものが前5年になるわけですけれども、そういう影響で22年、あるいはその後の23年というものの結果の解釈が難しくなるということはないのでしょうか。今日はあくまでも21年のお話なのですけれどもね。
○鈴木参考人 倉根先生、ありがとうございます。
大変に重要な御指摘で、まさに我々研究班だけではなく、世界的に研究者が取り組んでいるところです。従来、この超過死亡というのは、御承知のように、インフルエンザで毎年、毎冬発生する死亡が例年よりどれぐらい多いのかということを評価するために使われてきた手法であり、評価指標です。それが、今回、新型コロナの流行以降、実際の新型コロナの死亡を必ずしも全て把握できていないので、その代替として超過死亡が使われているというのが実態です。
ですが、今後、2年3年と新型コロナの流行が続いたときに、これまでと同じように毎冬に着目して超過死亡を見るのではなく、夏場でも超過死亡が発生する。これを季節変動を考慮して、例年よりどれぐらい多いのかというのを測ったときに、それが本当に新型コロナによって発生する疾病負荷の指標として適切なのかどうかということについては、まさに研究者の間で検討しなくてはいけない課題であると議論されているところです。ということで、今、明確にお答えできませんが、まさに重要な課題であると認識しているということを申し上げたいと思います。
○倉根委員 ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしますと、先ほど森尾委員の御質問にもお答えいただいたように、今日、御提示いただきました2021年の超過死亡のトレンドを拝見しますと、ワクチン接種と超過死亡が何らかの因果関係があると考えるのは、余り合理的ではないということをお示しいただいたのかと思います。約1億人の方がこの予防接種を受けられているわけで、そうした懸念も一部の方にはあるかと思いますけれども、今日頂いたデータで、そのあたりはお示しいただけたのかなと思います。
先生、本当に分かりやすく御説明いただきまして、ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。
それでは、ただいまの御説明も含め、そして、これまでの資料の説明を踏まえて、死亡事例について委員の先生方に議論をお願いしたいと思います。資料1-7の16ページに事務局から論点が挙げられておりますけれども、いかがでしょうか。何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、死亡事例の議論は以上にしたいと思います。鈴木参考人におかれましては、本日、貴重な知見を我々の依頼に基づいて御提示いただきまして、本当にありがとうございました。これ以降の議論につきましては、先生に御意見を求める予定はございませんので、途中で御退席されても差し支えはございません。
本日はどうもありがとうございました。
○鈴木参考人 ありがとうございました。
○岡座長 最後に「その他の論点」ということで、今回の集計期間ではコミナティ3回目接種後の心筋炎関連事象の報告もございました。これまでの論点以外の観点から、新型コロナワクチンの安全性に関して何か御意見、御質問等ございますでしょうか。いかがでしょうか。
濱田委員、お願いいたします。
○濱田委員 どうもありがとうございます。
論点が違ってきて申し訳ないのですけれども、コミナティ、ファイザーを使って、これで1年たつわけですが、使用する当初、mRNAワクチンは疾病増強を起こすかもしれないという危惧があったわけです。それを使用してからの市販後調査や副反応部会などで見ていこうということになっていたと思っております。これは、モデルナのスパイクバックスも同様で、疾病増強というものが起きているか。これは、世界的にも十分に見ていると思うのですけれども、結論とすれば多分起きていないと考えていいでしょう。
最近、ブレークスルー感染というものがよく起きているわけですが、このブレークスルー感染でより重症化が起きていれば、疾病増強と考えていいのか。むしろ、最近のデータからすると、ブレークスルー感染では重症化は抑えられているというデータが多いと思いますので、今すぐ出す必要はないですけれども、使用されて1年たっているということから、この疾病増強に関するコメントを、我々で考えてもいいでしょうし、事務局のほうで何か検討いただければと思っております。これを審査して承認するときの条件と言いますか、この辺も見ていこうということになっていたと思います。今日結論を出す必要はもちろんないのですけれども、今後のためによろしくお願いいたします。
○岡座長 ありがとうございます。
確かに、使用開始のときの一つの観点として、この疾病増強のことがほかのワクチンでも指摘されていて懸念されていたことだと思いますけれども、何か事務局のほうで御意見、あるいはほかの委員の先生方からコメント等ございますか。ブレークスルー感染の患者さんの動向、先ほど委員がおっしゃったように、恐らく大丈夫なのかなという感触はお持ちだと思いますけれども、何かそれについてまとめて。
事務局、お願いいたします。
○事務局 今、この場で詳細な議論というのは難しい部分がございますが、疾病増強に関しまして、当初議論があったというのはもちろんでございます。副反応が疑われる事象につきましては、そういった疾病増強も含めまして、国内外の知見や規制当局の発表というものを踏まえ、これまで事務局、あるいはこの場で議論いただいておりますけれども、現時点で何か特段の懸念があるという状況ではないかなと考えております。
○岡座長 宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 大変重要な御指摘だろうと思います。実はそのことを考えなければいけないのですが、ウイルスそのものの性格というものが刻々と変わってしまうと、その前提条件が非常に狂ってくるというか、そういうことを考えなければいけないので、分析というのは非常に難しいのかなと思いますけれども、その前提の中でしっかりと考えていくことが必要だろうと私も考えております。
以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
本当に大事な御指摘だったかと思います。引き続き、その点で何か知見がございましたら、よろしくお願いいたします。
そのほか、いかがでしょうか。
伊藤清美委員、お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
資料1-9の健康状況調査についても、今、御質問してもよろしいでしょうか。
○岡座長 お願いいたします。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
具体的な症状の中で、注射部位の腫れというものの中に、いわゆる遅延性のモデルナアームみたいなものも含まれるのでしょうか。例えば、70ページとか71ページを見ますと、遅延性の症状というものが余り見えてきていないのかなと思ったのですけれども、注射部位の腫れと回答されているのか、あるいは別の選択肢があったのか、教えていただけますでしょうか。
○岡座長 事務局、お願いします。
○事務局 先生、ありがとうございます。
まず、端的な御回答といたしましては、こちらに載せている症状が調査で聞いている症状のすべてでございます。先生御指摘のとおり、この調査の結果の範囲において遅延性のモデルナアームの状況を見るとするならば、注射部位の腫れというところを見るのかと思います。そういった観点で言いますと、例えば伊藤澄信先生の調査のほうでありましたような遅延性の腫れというのはほとんど確認できないのではないかということは見てとれるかと思います。
以上でございます。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
それは、何か理由とかはあるのでしょうか。副反応の発生率というか、発生している割合が、伊藤澄信先生のまとめよりも、何となく全体的に低いような気がするのですけれども、何か比較されたりする予定などはありますでしょうか。あるいは、理由みたいなことは考えられることがありますでしょうか。
○岡座長 事務局、お願いします。
○事務局 伊藤先生、ありがとうございます。
こちら、まず前提として、遅延性の腫れというものはそれほど頻度が多くないと承知してございます。そのようなリミテーションがある中で、この調査の設計上、1週目の症状については7日後に求めておりまして、2週目の症状については14日で求めているというところがございます。その影響もございまして、アラートを立てている期日で少し報告頻度が上がるというバイアスが入ってしまいます。いわゆるモデルナアームのような遅延性のものが大きな割合、例えば半分の方に起きるのであれば、見えるかもしれないですけれども、少ない割合ですと、この調査の設計上、アラートによるバイアスのほうが大きくなり、少ない症状については見えづらくなる可能性はあるかと承知してございます。
以上でございます。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。モデルナアームについては承知いたしました。
すみません、私の質問の仕方がいけなかったのですけれども、ほかの発熱とか倦怠感とか、全体的な副反応につきましても、伊藤澄信先生の解析よりも何となくパーセンテージが低いのかなという印象があるのですけれども、先ほどの御説明ですと高めに出ることがあるということだったのですが、きちんと比較していないのですが、低いような印象がありまして、今後、比較するようなことの検討はされていますでしょうか。
○岡座長 どうぞ、事務局のほうで。
○事務局 伊藤先生、ありがとうございます。
まず、調査設計が大きく違うので、調査間の単純な比較は難しいというのが正直な回答でございます。また、見ることができる点といたしましては、例えば先生御指摘の70ページ目あるいは71ページ目におきましては、頻度よりも、例えば10日目とか11日目に出ているような症状について、あるか、ないかというものが見てとれるかと思います。頻度については、全体に高く出る可能性があると承知しておりますけれども、伊藤先生の調査と違いまして、御回答いただいたものについて集計しておりますので、頻度についてはあくまで参考ということになるかと思います。
調査設計が違いますので、単純な比較は難しいところではありますが、事務局としましては、全体としてそれほど大きな傾向の違いはないのかと認識してございます。
以上でございます。
○伊藤(清)委員 ありがとうございます。
割と年齢の若い方が比較的多い気もしましたので、それの割には副反応の頻度が低いのかなとちょっと思いましたので、質問させていただきました。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
舟越委員、お願いいたします。
○舟越委員 舟越です。
こちら、事務局に確認ですが、現在、地域でファイザー品とモデルナ品、50%、50%程度で供給されている実情があります。各メディアや自治体のホームページを見ていますと、モデルナの心筋炎や交互接種の情報が少ないという不安もありまして、一因としてファイザー品に偏っている実情は、各市町村のホームページを見ていてもあるのですが、各自治体のホームページには、10歳~20歳では1回目・2回目で心筋炎リスクについて、ファイザー品を選択できるといった情報のみが、そこに併せて掲載されていまして、3回目での安全性について、モデルナを希望されない方もいらっしゃるように思います。今日の伊藤澄信委員のお話もそうですが、総合的に相違がないことを啓発したほうがよいかなと思っています。
ただ、今の実情ですと、そういったものを明確に国内の情報でお知らせするような形は難しいのかと思いますが、現時点では事務局はいかがお考えでしょうか。
○岡座長 いかがでしょうか。そのあたりのメッセージの出し方についてですが。よろしくお願いします。
○事務局 事務局です。
本日も新しいデータとして、伊藤澄信先生のほうからは、交互接種のデータが、抗体価はモデルナのほうが高くなる。副反応については、発熱等の発現頻度はモデルナのほうが高くなるといったデータが今回、明らかになったところでありますけれども、自治体、またこれから接種を受けようという方々にこういった情報をしっかりと発信することが重要だと思っておりますので、これに関しましては、ホームページとかQ&Aといったものを通じながら情報発信を強化していきたいと思っております。
心筋炎に関しましても、本日出した資料の中では、これは海外のデータになりますけれども、3回目の心筋炎の発生頻度は2回目よりも低かったといったデータも出てきておりますので、こういうものも発信していきたいと考えております。
以上です。
○舟越委員 ありがとうございます。
今、3回目接種の予約が各市町村で集中している中で、少しでも一緒に情報で入っていると、被接種者の方々は安心してどちらのワクチンでも選択できるのかなと思います。
ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そうしましたら、多屋委員、お願いいたします。
○多屋委員 多屋です。
詳細なまとめ、ありがとうございました。私もこの健康状況調査についての質問なのですけれども、70ページ、71ページの前回お願いしましたグラフをつくっていただきまして、ありがとうございました。状況がとてもよく分かると思いました。ここで、接種2回目に胸の痛みを訴えていらっしゃる方が、接種翌日をピークに8日目ぐらいまで、1割から1割弱いらっしゃるというのが分かりまして、副反応疑い報告の結果と両方併せると、この頃に起こってくる現象を表しているのかなというのが、この調査から分かりました。
それから、2回目接種後の頻度で、倦怠感とか頭痛を訴えていらっしゃる方がどれぐらいいるかというのは、多分、この調査でないと分かり得なかったのだろうと思うのですけれども、1割ぐらいは1週間から2週間目のところでそういう症状が認められた方がいらっしゃったのだということも、この結果を拝見して初めて分かることができました。大変ありがとうございました。
これが最後なのですけれども、こういう調査は回収率というか、回答をどれだけ入れていただけるかがとても大事になってくると思うのですが、最初のほうのグラフで都道府県別の数が載っていたのですが、神奈川県からの結果がとても多く報告していただいているようで、もし何か工夫をされていることがあるのであれば、その工夫を伝えていただくことで回収率が上がるのかなと、そんなことも思ったりしました。そこは、想像で分かりませんが、以上3点です。大変ありがとうございました。
今後、3回目の接種の状況も接種を進めていく上でとても重要な調査だと思いますので、1回目・2回目がファイザーだったのか、モデルナだったのか、アストラゼネカだったのかということも含めて、ぜひよろしくお願いいたします。
以上、コメントでした。
○岡座長 ありがとうございます。
何か事務局のほうからコメント等ございますか。神奈川県が何で回答率がいいのかとか、分かりますか。また分かりましたら教えてください。ありがとうございました。
そのほか、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、これまで議論された内容をまとめていきたいと思います。
まず、集計期間における副反応疑い報告の傾向についてでございますけれども、マル1として、集計期間における副反応疑い報告の全体的な傾向としては、まず、コミナティ3回目接種後の副反応疑い事例については、医療機関からの報告によれば427件の報告であり、頻度としては0.02%であった。うち、重篤な事例は25件であった。また、報告された症状としては、初回免疫でも報告されている事象であった。
死亡事例について、2件の報告があり、専門家による評価ではいずれもγとされた。
報告基準となっている症状については、製造販売業者からの報告に基づき、ブライトン分類での評価を実施した。その結果、アナフィラキシーについて報告のあった16例のうち1例がブライトン分類1~3に該当するとされた。また、心膜炎においても、報告のあった1件のうち、1件がブライトン分類1~3に該当するとされた。その他の報告基準症状において、ブライトン分類1~3に該当するとされた症例はなかった。
次に、スパイクバックスについては、医療機関からの報告によれば2件報告があり、うち重篤な事例は2件であった。また、報告された症状としては、初回免疫でも報告された事象であった。
死亡事例については1件の報告があり、専門家による評価ではγとされた。
報告基準となっている症状について、製造販売業者から報告された症例はなかった。
3回目接種後の安全性については、副反応疑い事例の報告状況やコホート調査の結果を踏まえると、現時点では重大な懸念は認められないが、引き続き、国内外の報告状況を注視していく必要があると考えられる。
また、1回目・2回目接種に関しては、3ワクチンとも副反応疑い事例全体の報告状況や、ロット別の報告状況、報告基準に定められた副反応の報告状況に、動向の大きな変化はなかったとさせていただきました。
なお、本日、伊藤澄信先生の健康状況調査の報告によれば、これは副反応疑いの報告とは離れますけれども、それぞれのワクチンについて、3回目接種の副反応、抗体の上昇等の御報告をいただきました。そうしたことについての情報発信が必要なのではないかという御意見を委員のほうからはいただきました。
以上のまとめで、まずよろしいでしょうか。
次に、死亡事例の報告状況を整理すると、コミナティについては、前回の集計対象期間から1月23日までに新たに11件の死亡事例の報告があった。専門家による評価では、接種開始以降報告された1382例については、9件がβ、その他の事例はγと評価された。また、1月24日から2月4日までには、さらに20件の報告があった。
スパイクバックスについては、前回の集計対象期間から1月23日までに新たに1件の死亡事例の報告があった。専門家による評価では、接種開始以降報告された67件については、1件がβ、そのほかの事例はγとされた。また、1月24日から2月4日までには、さらに4件の報告があった。
バキスゼブリアについては、対象期間中に新規の事例の報告はなかった。
死亡例の報告に関しては、現時点においては、3回目接種後の事例も含め、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められないと考えられるとまとめさせていただきました。よろしいでしょうか。
そして、最初に御説明いただきましたけれども、資料の集計期間の考え方についてですが、資料の集計期間や専門家評価の対象期間の考え方についても、これまでに得られた安全性に関する知見に基づき、迅速性に加え、情報の整理や評価に必要な時間を確保して精緻な評価を行っていく観点から、改めて整理を行った。事務局においては、引き続き、今回整理した方針で資料の作成をお願いしたいとさせていただきました。
なお、さっき言い漏らしましたけれども、今日は鈴木参考人のほうから、超過死亡のデータに基づいて、2021年のワクチンの接種と超過死亡の傾向についての提示をいただきまして、ワクチンの接種が超過死亡に関連があるという合理的な説明はされないということをお示しいただいたかと思います。それを付記させていただければと思います。
こういうことでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆様、うなずいておられるかと思いますので、これでお認めいただいたということで進めさせていただきます。
以上、今回報告のあった具体的な事例を踏まえ、3種類の新型コロナワクチンについて、現状の取扱いを変更する必要があるかどうか、御意見ありますでしょうか。接種の継続ということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 皆さん、うなずいていただいていると思いますので、御審議いただいたワクチンについては、これまでの副反応報告によって、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○岡座長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
以上で新型コロナワクチンにつきましての審議は終わらせていただいて、次に議題2に移らせていただきます。議題2は「HPVワクチンの情報提供について」ということでございます。それでは、事務局のほうから資料2の御説明をお願いできますでしょうか。
○事務局 事務局でございます。
資料2「HPVワクチンの情報提供について」の資料をお開きください。
おめくりいただきまして、右下のページで言うと1ページ目、HPVワクチンの情報提供についてというところで、昨年11月12日の本部会に御報告申し上げました資料でございますが、真ん中、グレーの枠内です。HPVワクチンの情報提供につきましては、令和2年9月25日の本部会でまとめられました、情報提供の目的や読みやすさ、分かりやすさを重視する視点を踏まえまして、主に本人と保護者向けの概要版・詳細版につきましては、表紙メッセージの更新とか各種データの更新、最新のエビデンスを踏まえたHPVワクチンの効果とリスクの追記・修正。また、情報がアップデートできるものについては、厚労省のホームページとリンクした情報提供。また、積極的勧奨差し控えが終了いたしましたので、そちらに関する記載の見直しなどを行っていくというところ。
また、医療従事者向けのリーフレットにつきましては、医療従事者にとっても読みやすいレイアウトへの変更。保護者・本人向けと同じですけれども、各種データの更新などを行っていくという方針をお示しさせていただいたところです。
こちらの資料でお示しした内容に基づきまして、まずは事務局のほうでできる限りのデータ更新などを行いまして、その上で事前に委員の先生方に見ていただきまして御意見をお伺いしました。そちらの御意見を踏まえたもので改訂案をおつくりしましたので、本日、御報告申し上げます。
右下のページ、2ページ目をご覧ください。リーフレットの主な改訂内容をまとめております。
まずは、本人・保護者向けのリーフレット、ピンクと水色の概要版・詳細版につきましてですけれども、表紙メッセージにつきましては、HPVワクチンについてのリーフレットであるということが分かりやすくなるようにというところで、「HPVワクチンについて知ってください」というメッセージを追記させていただいております。
また、HPVワクチンの効果につきまして、がんそのものの予防効果が示されてきておりますので、「HPVワクチンで、がんになる手前の状態(前がん病変)が減るとともに、がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。」というメッセージをつけ加えております。
また、「積極的勧奨の差し控え」に関する記載を入れておりましたけれども、そちらにつきましては、差し控えが終了しておりますので、削除するという対応を取らせていただいております。
ページをおめくりいただきまして、右下のページ、3ページ目をご覧ください。
水色のリーフレット、詳細版のほうでは、先ほど申し上げた内容に加えまして、まず、日本の接種の状況もきちんとお伝えしたほうがいいのではないかという御意見もいただきました。一方で、日本の接種状況は刻々と変わっているというところもございますので、厚生労働省のホームページを御案内するという形で追記させていただいております。
また、9価についても、このようなワクチンが現在あるというところについて、情報をお伝えすべきではないかという御意見をいただいておりますので、新たに厚生労働省のホームページに9価ワクチンについてというページを立ち上げまして、そちらをリンクする形で情報提供を行えるようにというところで追記させていただいております。
また、概要版のほうと同様ですけれども、「HPVワクチンの効果」についてもきちんと明記するという形を取らせていただきました。
右下のページ、4ページ目をおめくりください。医療従事者向けリーフレットにつきましては、レイアウトも含めて大きく変更させていただいております。実際、接種に携わってくださっている先生方、あとは協力医療機関の先生方などにもヒアリングをしまして、その結果を踏まえまして構成を変えております。
資料のところに番号を振っておりますけれども、まず、マル1としまして、HPVワクチン導入から今日に至るまでの経緯を記載したほうがいいという御意見もございましたので、そちらを追記させていただいております。
マル2の部分は、もともと記載している内容ですけれども、できる限りのデータの更新、また文言の整理をさせていただいております。
また、詳細なエビデンスというところで、こちらの部会で今まで御議論いただいている中で示しておりました論文のまとめなどを、参考資料としてリンクできるようにという形でQRコードを付記させていただいております。
また、マル4、がん予防効果についても、詳細版・概要版と同様に追記・修正をさせていただいております。
右側に行きまして、マル5のHPVワクチンのリスクの部分につきましては、記載内容に大きな変更はございませんけれども、文言の整理などを行っております。
ページをおめくりいただきまして、右下のページ、5ページ目をご覧ください。
マル6のところですけれども、ヒアリングをしている中で、HPVワクチンの実際の対象者であったり、接種間隔、添付文書にも記載のある内容ではございますけれども、そちらもきちんと明記してあったほうが分かりやすいという御意見を複数いただきましたので、こちらを新たに追記させていただいております。
また、9価についても、先ほど申し上げたとおり、厚労省のページを立ち上げましたので、そちらの内容について新規記載をさせていただきました。
また、マル9、この部会で御議論させていただきましたけれども、協力医療機関などによる支援体制のイメージという図を入れさせていただいております。
また、様々、ホームページなどがございますので、右側のマル11のところですけれども、関連資料をすぐご覧いただけるようにというところでリンクをさせていただきました。
このような形で、医療従事者向けのリーフレットにつきましては、内容の記載の見直しと構成のレイアウトなどを大きく変えさせていただいております。
改訂の内容につきましては、以上となります。
最後、右下のページで6ページ目をご覧ください。今後のスケジュールですけれども、HPVワクチン、主に定期接種の対象者に対するリーフレットは4種類ございますけれども、こちらの内容につきましては、自治体の皆様も非常にお待ちですので、できる限り早く公表したいと思っております。
また、事前に御質問もいただいておりましたけれども、キャッチアップ接種についても御議論いただいておりました。こちらにつきましては、今、必要な情報を精査しているところですので、情報提供資材を3月中には公表できるように進めてまいりたいと思います。
7ページ目以降、実際のリーフレットのほうをつけさせていただいておりますけれども、詳細な説明は割愛させていただきます。
事務局からの説明は以上です。
○岡座長 ありがとうございます。
HPVワクチンのリーフレット改訂につきましては、あらかじめ委員の皆様に御意見を頂戴しております。いろいろ貴重な御意見をいただいて、ありがとうございます。本日、事務局から最終的な形の御報告をいただいたところですけれども、何か追加の御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。委員からいただいた御意見を基に、さらにブラッシュアップされたのではないかと思っております。
失礼しました。どうぞ。
○佐藤委員 内容は非常に精査されており、より正確な情報が伝わるようになりました。ありがとうございました。
後ろに付録というか、実物大のpdfがついています。このリーフレットが何年からこうなっているとか、改訂している、等の情報が分かるようにするかどうかが、今回の資料では分からなかったので。何年版とか何年以降というのがちゃんと明記されるということですね。
○岡座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
概要版のほうで言いますと、今回のリーフレットですと、4ページ目の最後のところに、一番左側、「令和4(2022)年」と記載させていただいております。小さくて恐縮で、もともとのものも同じように、令和2年(2020年版)という形で記載させていただいておりました。もし必要でしたら、こちらを少し大きくするといった工夫をさせていただければ。
○佐藤委員 目立ったほうがいいのではないかと思いました。例えば、医療機関で昔のものが残っていて混ざったり、といったヒューマンエラーを防ぐという観点からも、少し分かりやすくしていただくとよろしいかと思いました。
○事務局 御意見ありがとうございます。
こちらのところは、少し大きくできるように調整してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○岡座長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、事務局におかれましては、4月からの積極的勧奨再開に向けて、適切な情報提供がされるように、改訂されたリーフレットの公表を進めていただければと思います。
そのほか、全体を通じて何か御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日の議事は以上となります。
そのほか、事務局から何かございますか。
○事務局 本日は、長時間にわたり、活発に御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡さしあげます。
○岡座長 それでは、本日の会議をこれで終了いたします。活発に御議論いただき、ありがとうございました。