2021年9月1日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和3年9月1日(水)18:00~

場所

厚生労働省 仮設第二会議室

出席者

出席委員(20名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 
 他参考人2名
 

欠席委員(3名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  河野典厚(医療機器審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  高橋未明(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用の中、本日も御出席いただき、誠にありがとうございます。本会議は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点からWeb会議形式を併用して開催いたします。
 本日の委員の出席状況について御報告いたします。現時点で医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち20名の委員の先生に御出席いただいており、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。
 次に、本日の審議に参考人としてお越しいただく先生を御紹介いたします。議題1及び2について、東邦大学医療センター大橋病院循環器内科教授の中村正人先生にWebで御参加いただく予定です。また、議題3について東京都リハビリテーション病院診療部泌尿器科副院長の鈴木康之先生にお越しいただく予定です。
 続いて、部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について御報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、委員、臨時委員または専門委員は、在任中薬事に関する企業の役員、職員または当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならないと規定されております。今回、全ての委員の先生方より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので御報告いたします。委員の先生方におかれましては会議開催の都度書面を御提出いただき、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御協力を賜わりますようよろしくお願いいたします。
 次に、本日の議題の公開・非公開の取扱い等について、事務局より御説明いたします。
○事務局 事務局です。本日の議題の公開・非公開の取扱い等について御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、本日の全ての議題について医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。
 続いて、配布資料の確認をいたします。議題1~6については資料1~6及び当日配布資料1を各委員にお配りしておりますのでお手元に御用意ください。次に、Web会議で御参加される委員の皆様へ注意事項を御説明いたします。審議中はマイクミュートでお願いいたします。御発言される際には、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックし、手のマークを押して挙手していただき、部会長から指名された後、マイクミュートを解除し、お名前を名乗られた後に御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、チャット欄を御利用いただくか、事前にお送りした事務局連絡先まで御一報いただければと思います。また、会場の皆様におかれましては、御発言の際は設置されておりますマイクに向かって御発言いただきますよう御協力のほど何とぞよろしくお願いいたします。
 続いて、本部会の利益相反について御報告します。資料8「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。まず1ページの「EluNIR 薬剤溶出ステント」について、2ページに「ジェットストリーム アテレクトミー システム」について、3ページに「セルーション セルセラピーキット SUI」について、4ページに「NeuRx 横隔膜ペーシングシステム」について、その他、一般的名称に係る影響企業のリストが4ページ以降にありますので必要に応じて御覧ください。
 本日の審議事項に関する競合企業として、資料8に示す企業について委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の「審議不参加の基準」に基づき、審議に参加できない委員はいらっしゃいませんでした。また、薬事分科会審議参加規程第13条の「議決不参加の基準」に基づき、議決に参加できない委員は、議題1において松宮委員が該当しております。また、議題1及び議題2の参考人として御参加いただいております中村先生におかれましては、関連企業からの受取が500万円以下であることを御報告いただいております。以上、御報告いたします。
 それでは、以降の進行について荒井部会長よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ここまでの事務局からの説明について、何か御意見、御質問等はありますか。いかがでしょう。よろしいですか。よろしければ、これから議題に入りたいと思います。
 議題1です。医療機器「EluNIR 薬剤溶出ステント」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否並びに使用成績評価の要否を始めます。本議題については、先ほどお話がありましたように、参考人として中村正人先生に御出席いただいております。それでは、機構から御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料1で緑色の通し番号1/1366ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、福岡記念病院の上野高史先生、近畿大学病院の中澤学先生、東邦大学医療センター大橋病院の中村正人先生、計3名の専門委員から御意見を頂きました。以降の説明は緑色の通し番号3/1366ページ、審査報告書に基づいて御説明いたします。以降ページ番号は黒色で記載しております審査報告書のページ番号で御説明いたします。
 はじめに、本品の概要を御説明いたします。審査報告書6ページ、冒頭、1.審議品目の概要を御覧ください。本品「EluNIR 薬剤溶出ステント」は、冠動脈の狭窄病変に使用される医療機器です。本品は経皮的冠動脈ステント留置術を実施するに際し、血管内腔の確保を目的に病変部に留置されるステントと、ステントを病変部に送達させるデリバリーカテーテルから構成されます。ステント表面にはステント内での再狭窄の原因と考えられる新生内膜の過形成を局所的に抑制する目的で、リダホロリムスという薬剤がコーティングされています。
 次に、開発の経緯を御説明いたします。7ページ中段、(1)開発の経緯の2段落目を御覧ください。本品のように薬剤を搭載したステントは、ドラッグ・エルーティング・ステント(DES)と呼ばれております。現在、DESに搭載されている薬剤のほとんどは、リムス系薬剤と呼ばれるシロリムスやその類縁体であるエベロリムス、ゾタロリムス及びバイオリムスA9であり、本品に用いられているリダホロリムスもこのリムス系薬剤に属します。なお、リダホロリムスの作用機序についても他のリムス系薬剤と同様であり、細胞増殖を抑制します。シロリムス等については、世界的に抗がん剤や免疫抑制剤として承認されていますが、このリダホロリムスは肉腫の治療薬として国内外で臨床試験が実施された経緯があります。しかし、安全性プロファイルは他のリムス系薬剤と同様とされたものの、肉腫の治療薬としての有効性を十分に示すことができず、開発は中止となり、世界的に医薬品としての承認を有していません。
 続いて、外国における使用状況を御説明いたします。審査報告書8ページ中段、(2)外国における使用状況を御覧ください。現在、本品は欧米をはじめとする外国において承認を取得しており、本年7月時点で合計約○○○本の販売実績があります。また、同ページ下段の表3に示しますように不具合及び有害事象の発生率は低く、リダホロリムスに起因する事象も報告されていません。
 続いて、本品の非臨床試験については、特段の問題は認められませんでしたが、リダホロリムスの安全性など、一部の非臨床試験の成績については臨床試験成績と併せて御説明いたします。つきましては、臨床試験成績について審査報告書22ページの下段を御覧ください。表7に示しますように、本品の主な臨床試験成績として海外で実施されたピボタル試験であるBIONICS試験、海外で実施された本品留置時のリダホロリムスに関する薬物動態試験であるBIONICS-PK試験、及び本邦への外挿を確認する目的で国内で実施されたJNIR試験の試験成績が提出されました。
 まず、ピボタル試験であるBIONICS試験の概要について御説明いたします。23ページを御覧ください。BIONICS試験は、米国、カナダ、欧州及びイスラエルの76施設で実施され、一般的な経皮的冠動脈インターベンション、PCIの適応疾患を有する患者が対象とされました。本試験は本邦既承認のゾタロリムス溶出型のDESを対照群として、本品の非劣性を検証することを目的とした多施設共同無作為化単盲検比較試験です。症例数としては、本品群958例、対照群961例が登録されました。
 続いて、BIONICS試験の主要評価項目の結果について御説明いたします。審査報告書26ページを御覧ください。主要評価項目は1年間の標的病変不全の発生率と設定されました。以降、標的病変不全について「TLF」と呼びます。TLFは心臓死、標的血管に関連した心筋梗塞、標的病変における再血行再建術の複合項目とされました。試験の結果、TLF発生率は本品群5.4%、対照群5.4%であり、対照群に対する本品群の非劣性が検証されました。
 次に、国内外挿試験であるJNIR試験の概要について御説明いたします。審査報告書30ページを御覧ください。JNIR試験は、本品の国内における臨床成績を検証した多施設共同単群非盲検試験です。国内の10施設において104例が登録され、BIONICS試験の結果を本邦へ外挿することで妥当性を確認する試験として、BIONICS試験とほぼ同様のプロトコルで実施されました。対照群については傾向スコアマッチングにより、BIONICS試験の本品群の中から、JNIR試験の被験者と同様な患者背景を有する被験者を抽出し、JNIR試験群と対照群の比を1対4として比較検証されました。
 続いて、JNIR試験の主要評価項目の結果について御説明いたします。同ページ下段の「主要評価項目は」から始まる段落を御覧ください。主要評価項目はBIONICS試験と同じく1年間のTLFの発生率と設定されました。試験の結果、JNIR試験群1.9%、対照群5.3%であり、BIONICS試験の本品群に対してJNIR試験群の非劣性が検証されました。
 以上の臨床成績を踏まえ、機構における審査の概要について御説明いたします。審査報告書32ページ下段、(1)本品の有効性及び安全性についての項を御覧ください。本品の臨床的位置付けは既承認の冠動脈用DESと同じく、経皮的冠動脈インターベンション、PCIの適応を有する患者に対する治療に使用されるものです。一方で、本品に搭載されるリダホロリムスに関しては、医薬品及び冠動脈用DESとして本邦での承認実績がないため、本品の有効性及び安全性が既承認の冠動脈用DESと同等以上であることを確認する必要があると考えました。
 33ページ冒頭、マル1有効性の項を御覧ください。有効性について機構はBIONICS試験は本邦既承認のDESのピボタル試験をほぼ踏襲したデザインとなっており、DESとしての本品の有効性は、本邦既承認品に対する無作為化比較臨床試験により非劣性が検証され、本邦外挿性についてもJNIR試験によって統計学的に検証されたものと考えます。
 続いて、同ページ下段、マル2安全性の項を御覧ください。BIONICS試験の被験者のうち、一部の被験者で実施したサブ試験結果より、血管内腔径損失及び新生内膜過形成率に関して、対照群に対する本品の統計学的非劣性が示されました。また、BIONICS試験及びJNIR試験で発生した有害事象に本品群と対照群で大きな差は見られなかったこと。並びに、副次評価項目についても大きな差を認めていないことから、本品の安全性は本邦既承認の対照群と同等と考えます。
 一方で、リダホロリムスは非臨床毒性試験で毒性が確認されているため、機構は本品の薬物動態試験であるBIONICS-PK試験の結果も踏まえて、本品使用時のリダホロリムスによる全身性の作用について申請者に説明を求めました。申請者は、リダホロリムスの毒性が他のリムス系薬剤で報告されているものと同様であること、本品のリダホロリムス搭載量が既承認品の薬剤搭載量と同等であること、本品の薬物動態試験における最大血中濃度Cmaxがリダホロリムスの臨床試験における最低用量群のCmaxに対し、1/100程度と極めて低値であることから、本品使用時のリダホロリムスが全身性の作用を与える可能性は既承認品と同様に極めて低いと説明しました。
 これに対して機構は、申請者の説明に加え、リダホロリムスの薬物動態等も他のリムス系薬剤と同様であること、既承認品において全身性の作用は確認されていないこと、本品の薬物動態試験におけるリダホロリムスの血中濃度は留置直後をピークとして急峻に低下することを踏まえると、本品使用時のリダホロリムスが全身性に作用を与える可能性は既承認品と同様に極めて低いと判断しました。
 次に、本品留置後の抗血小板療法について御説明いたします。審査報告書34ページ下段、(2)本品留置後の抗血小板療法についてを御覧ください。冠動脈ステント留置後の患者には、ステントが十分に血管内膜に被覆されるまでの間、ステントへの異物反応による血栓形成を防ぐ目的で、一定期間の抗血小板薬2剤併用療法が実施されます。以降、抗血小板薬2剤併用療法について「DAPT」と呼びます。
 2020年3月に改訂された本邦の最新ガイドラインでは、患者背景によってはDAPT実施期間1~3か月の短期間DAPTが推奨されています。一方、本品の臨床試験におけるDAPT実施期間は、試験実施当時のガイドラインに基づき、BIONICS試験では「少なくとも6か月、推奨12か月」、JNIR試験では「少なくとも12か月」と設定されていたため、本品を短期間DAPTで使用した際の臨床試験成績はありません。しかしながら、本品は当該ガイドラインの対象とされている既承認品に対する比較臨床試験で非劣性を示したこと、動物試験において本品留置後30日時点でステントへの十分な内膜被覆が形成され問題を認めなかったこと、本品の海外市販後において、本邦ガイドラインと同様の海外ガイドラインに基づき、短期間DAPTで問題なく使用されていることを踏まえると、本邦においても短期間DAPTによりステント血栓症リスクが高まるとは考え難いと判断しました。
 以上より機構は、専門協議での議論を踏まえ、本品を本邦ガイドラインに基づき使用することに特段の問題はないと判断し、臨床試験におけるDAPT実施期間等の情報については注意事項等情報に記載することとしました。
 最後に、本品の使用成績調査の要否について御説明いたします。審査報告書35ページ下段「総合機構は」から始まる段落を御覧ください。世界及び本邦で初めて承認された冠動脈用DESである「Cypherステント」では、2004年の承認時、日本人の臨床試験データが極めて少なく、民族差の影響が十分に評価されていなかったことや、冠動脈にリムス系薬剤を使用した際の安全性データが十分に得られていなかったことから、2,000例を5年間フォローアップする使用成績調査が課されました。
 また、Cypherステントの市販後において、薬剤が搭載されていないベアメタルステント(BMS)では見られなかった遅発性及び超遅発性ステント血栓症が確認され、以降、冠動脈用ステントへの使用実績がない薬剤を搭載する冠動脈用DESには、ステント血栓症を十分に評価すべく、2,000例を5年間フォローアップする使用成績調査が課されてきました。しかしながら、新たな薬剤が搭載された冠動脈用DESは、2011年に「ノボリ」が承認されて以降、本品までに他に申請はなく、その間に冠動脈用DESの使用成績調査をはじめとする臨床経験やエビデンスは数多く蓄積され、欧米と日本で使用方法及び臨床成績にほとんど差がなく、現在使用されている冠動脈用DESの臨床試験成績は薬剤が異なってもおおむね同等であり、ステント血栓症発生率についても、それぞれほぼ同等です。また、本品のBIONICS試験では、複雑病変とされた病変が本品群で57.5%と多く含まれ、本品群を約1,000例として5年次までの良好な長期成績が得られており、手技後5年までのステント血栓症発生率は対照群0.9%に対して本品群1.0%と同等でした。
 以上より機構は、これまでの冠動脈用DESにおける臨床成績の国内外差及び長期成績を考慮の上、本品については臨床試験成績等から特段の懸念がないと判断しており、そのため、本品に新たに使用成績調査を課した際に、重大な傾向が検出される可能性は極めて低いと考えます。したがって、国内試験であるJNIR試験の5年間フォローアップ成績の確認、及び通常の市販後不具合報告制度により、新たな使用成績調査を実施せずとも、本品の本邦における市販後の安全性は担保可能と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は審査報告書38ページ中段に記載している使用目的において、先ほど御説明した国内試験における長期予後の経年報告を承認条件と課すことで、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、また使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、初めに参考人として御参加いただいている中村先生から御発言いただけますか。
○中村参考人 東邦大学の中村です。今、機構から説明がありましたが、いろいろな薬剤溶出ステントが日本でも使われていますが、この新しいドラッグ・エルーティング・ステントは、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ということで、ステントの柔軟性が向上することを想定して作られています。今、説明がありましたように、薬剤はリムス系で、既に使用経験のある安定性のあるポリマーが使われていますので、ステントとしては、今日用いられている第2世代のドラッグ・エルーティング・ステントとほぼ同等と考えることができます。また実際、その示された臨床成績は、BIONICSでは承認済の第2世代ドラッグ・エルーティング・ステントと同等、日本における治験においては海外よりも日本の成績が良好でした。このことは、このステントの有効性が高い、また安定性が高いことを示唆していると考えております。
 今、機構からお話がありましたが、今まで過去、ドラッグ・エルーティング・ステントの市販後調査はたくさん行われておりますが、その成績を用いて海外との差が全くないことが示されており、今回、既に日本において承認されているドラッグ・エルーティング・ステントと差がないことが示されたことから、市販後調査等の必要性はないという考え方は、私も妥当ではないかと考えております。以上です。
○荒井部会長 中村先生、ありがとうございます。それでは、委員の方々から御意見、御質問はいかがでしょうか。小西先生、お願いします。
○小西委員 機構の話では、何か新しいところが、従来のものに比べていいところがあったのかどうか分からなかったのですが、先ほど中村先生のお話で、柔軟性が向上したことが示されたので、よかったかと思うのですが、実際その柔軟性が役立つことが、診療の中であるのかどうか、その辺をお聞きしたいと思いました。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。内容的には多分、参考人の中村先生への御質問かと伺いましたが、中村先生、いかがでしょうか。
○中村参考人 ありがとうございます。東邦大学の中村です。今、御質問がありましたように、柔軟性が向上するということが、臨床成績にどのぐらい寄与するかということですが、一般的な単純性の病変は恐らく差がなかろうと思いますが、血管が屈曲している病変又は枝別れして、分岐部病変といったような複雑病変と言われる病変に対しては、有効性が高くなるのではないかということが想定されます。
○荒井部会長 小西先生、よろしいでしょうか。
○小西委員 よく分かりました。ありがとうございました。
○荒井部会長 ありがとうございます。その他の委員の方々から、御質問御意見はいかがですか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。これはリムス系の薬剤ということで、以前のものとは若干異なり、それはリムス系であるけれども新規薬剤という位置づけなのでしょうか。そういう意味での違いがあるということで、審議に上がってきたのだろうと思うのです。例えば、医薬品なら、何番目であっても、そういう意味では市販後の調査はされるはずです。それから、バイオシミラーのは原則として製造販売後の調査が必要とされているはずです。
 なぜそれが、薬剤が少し違うと、リムス系であるにもかかわらず、それは類薬であると、規定されるのでしょうか。新規であるということであれば、それはある程度国内の臨床試験で104例あるので、5年間にわたる2,000例近い使用後の調査は不要という論拠、それは理解はできるのですが、そういう意味では、そこまでやらなくていいけれども、市販後の調査は、然るべきあってだろうと考えるのですが、それが不要だという、断言できる、そういう根拠は何なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。機構から回答させていただきます。まず、本品は医療機器ということもあり、特にあくまでも医療機器としてPMSを課す必要があるかという観点で検討させていただきました。有効性の観点に関しては、局所の影響であり、本品の臨床試験による5年次の長期成績まで担保されております。
 また、安全性の観点では、局所と全身性の影響について検討いたしましたが、局所の安全性は本品の動物試験や臨床試験から担保されており、全身性の安全性に関しては、リダホロリムスの毒性や薬物動態について十分な検証がなされた上で、そもそも本品への搭載量を踏まえると、全身性の薬理作用というのは考え難いと考えています。
 実際、臨床試験や海外市販後にリダホロリムスに起因したと考えられる有害事象も発生しておらず、以上のこととか、先ほどの審査報告書の説明の中でも話したようなDESの因子、エビデンスの蓄積等から総合的に検討して、PMS不要という判断をさせていただいたのです。また、加えて104例の国内試験の長期フォローアップに関しては、承認条件の中で経年報告を頂くというところで、しっかりそこも確認していくと。そういった、総合的に考えて、今回、医療機器としてPMSを課す際、何か重大なものが検出される可能性は考え難いという観点から、不要という判断をしております。
○宮川委員 ステントの構造が違うということは、先ほどあったように、それは新規性というよりは、例えばそういう意味では発展系みたいな形でよいのでしょうが、そうすると、これから部会として、ステントのものとしては、少し進化系のものがあっても、それは類似性という形であってもいいのでしょうが、それに対して使用される薬剤が違うということに関して、これはそのまま市販後の調査をしなくていいのかどうか疑問です。
 これは今後のある程度のパターンとして決めていかないと、その都度類似性があるからそれでいいのだということになってくると、これはものすごく問題があるのではないでしょうか。例えば、コンタクトレンズに薬剤使用されていて、では、それはコンタクトレンズという概念は同じで、それがハードからソフトになって、でも薬剤は同じ系列であるから、それは審議としてそういう意味では議論しなくてもいいのだみたいな話になってくると、機器あるいは薬剤としての審議というか、区別の議論は必要と考えます。ここである程度、原理原則は決めていかなくてはいけないのではないかと思うので、部会で一定の線引きを出していったほうがいいのではないかと思うのですが、部会長、いかがなのでしょうか。
○荒井部会長 宮川委員、ありがとうございます。大変重要なポイントだと思います。まず、全ての御参加頂いている方々がある程度認識を共有しておられると思いますが、基本的に機器に関しては、同等性、類似性が大きい場合には、余りにがちがちに峻別して扱うことはしておらず、これまでの審議品目の中にも同様の事例はあったかと思います。
 今回のようにそこに薬剤が絡んでくる場合、あまり薬剤と機器を相対峙する形で話をしたくはないのですが、薬剤に引っ張られる形で、機器の場合にも審査やフォローアップなどについて厳しく対応するべきかについては、先ほどの機構からの説明にもありましたように、実際に使用されている量についての捉え方が大切ではないかと感じております。医薬品においては、環状構造や糖鎖が変われば確かに劇的な変化が生じる場合もあるため、神経質というと言い過ぎかもしれませんが、別個のものとして厳しく扱わざるを得ない訳ですが、機器へのコーティングのように影響が局所に限定しており量も少ない場合に、全く新しいものとして扱う必要があるのかは慎重に判断すべきではないかと思われます。もちろん、最終的には個々の品目により判断は異なるでしょうが、もしそれまでに蓄積されたデータ等から判断される場合には、機器として、すなわちこれまでの機器に準じた考え方で判断していってもいいのではないかと、個人的には考えています。御意見があれば是非お伺いしたいと思いますが、まず機構は、その辺についての考え方はどうですか。
○医療機器審査第一部長 宮川委員、御意見ありがとうございます。審査した私たちも、今回PMSを課すかどうかは、かなり慎重に議論させていただきました。また、専門委員の先生からも、貴重な御意見を頂きました。初めてDESが承認されてもう10数年たったということで、これまで多くのいろいろなDES製品についてPMSが行われてきました。そこで、同じリムス系の薬剤が搭載されたステントでのPMSの結果も出てきており、その点を考慮すべき、PMSを課すかどうかということを考慮すべき一つの論点ではないかと思いました。
 では今後、新しい薬剤が塗布されても、PMSを求めないのかどうかという点は、それは今日のようにいろいろな情報がそろって、個別に判断されていくものではないかと思っています。ですので、今後もこの部会でPMS実施の要否を御審議頂くことになろうかと思います。一律線引きをして、今後は求める、求めないと決めるのではなく、個別にここで審議をしていただきたいと思っております。以上です。
○宮川委員 私の言ったのは、薬剤としてどういう性格を持っているかという検討が必要だろうということです。今言ったように、リムス系としてある程度定まったものであればよいと考えるのか、また薬として発展系として、少し性格が変わっていったときには、そこで議論が必要なのではないでしょうか。ある程度のそういう骨格としては作っていかなくてはいけないのでしょう。この部会としての一定の考え方は持っていかないと、整合性が合わなくなってしまうと懸念します。その都度その都度、周囲からのいろいろな意見や圧力でと邪推してはいけないのですが、何らかの一定した考えの審議が必要と思います。部会長のお考えで、私もそれでいいと思うのですが。
○荒井部会長 ありがとうございます。他の委員の方々から、今の議論について御意見はありますか。いかがでしょうか。一色委員、どうぞ。
○一色部会長代理 PCIにおける現行の薬剤溶出ステントの成績は極めて良好で、それと比較して差がないということをもって、非常に有用であることは、言っていいのではないかという印象があります。ただ、先ほどから話題になっている新しい薬剤を使うことによる、万が一での不具合の可能性は、完全には否定できません。それを考えれば今まで行われてきたPMSを無しにするとの御英断については、本当にすごい判断だと思います。PCIについては、今、日本心血管インターベンション治療学会のレジストリーにおいて、参加施設での全例の登録が求められていて、細かいデータは集積されるようになっていると思います。
 そこで、私から中村先生に確認したいのですが、このレジストリーで本ステントの使用状況について調べていくことが可能になりますか。いかがでしょうか。
○中村参考人 東邦大学の中村です。登録事業の中でステントの種類を、特に新しいステントが使われるようになった場合、それを登録する、又は学会としてステント血栓症等のイベントが起きたときは、それを報告することを義務付けることを、ある一定期間実施することは可能であろうと思います。
○一色部会長代理 ありがとうございます。そうしますと、このレジストリー制度を利用することで、PMSのように企業に大きな負担を掛けることなく、不具合等の状況をある程度正確に探し出すことは、システム的に可能ではないかと思いますので、そういう方法もあるのではないかと思いました。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。梅津委員、どうぞ。
○梅津委員 早稲田の梅津です。一般的に医療機器を開発する上においては、FDAを例にとると、プライマリー・インテッティッド・ユースと、プライマリー・モード・オブ・アクションと、そのどちらをまず優先しながら開発するか、これは企業の開発・販売戦略によってみんな違うのです。ですから、こういう部会で、今回のような、コンビネーションデバイスが出てきたときには、どちらを優先して話を進めていくのかということに焦点を当てて、ある程度整理ができれば、先ほどの宮川先生のお話などはうまく説明できるのではないかという気がしました。以上です。
○荒井部会長 その他の委員の方々から御意見を頂けますか。もしありましたら、どうぞ。
○宮川委員 先ほどの一色委員がおっしゃったように、優れた学会というか、そういうバックアップの中でしっかりとしたレジストリーを作って、何かのいろいろな問題があった場合に、その後しっかりとフォローができるというシステムを担保されれば、そういう形でやってもいいだろうと考えます。そうでない場合には、しっかりとした企業に対しての責務をお願いするということになるのかと考えます。そうでなければ、実地で使っている臨床の先生方の中で、しっかりとしたものを育て上げていくという意味であればよいと考えます。それから、不具合があったら、そういうものをしっかりと正していくという学会の在り方が、できるかどうかで決まってくるのだと思います。それは先ほど言ったように、個別で考えていけばいいのですが、部会で大枠をいつも決めながら議論していけば、大きな外れがないのではないかと思います。よろしいでしょうか。
○荒井部会長 ありがとうございます。大変重要なポイントだと思います。逆の言い方をすると、先ほど大英断という言葉が出ましたし、私も結構大胆な判断だと感じましたが、少なくとも、これをこの部会における判断の基準にするわけではなく、今回の品目については、様々な状況、この領域の学会のデータ収集の実力なども踏まえ、あえてPMSを課さない。しかし、今後同様の事例が出てきた場合に、これを前例として踏襲するというこの部会の基準にしようとするものではない、ということだと思われます。今後、このような議論が積み重ねられていく過程で、この部会としての一定のラインが構築されればいいかと思います。
 先ほどの一色部会長代理の御意見にもありましたように、これを一つの型にしてしまおうというのではなく、今回のデバイスに関しては、その成績、これまでの歴史、もしかしたらドラッグ・エルーティング・デバイスに関しては、最初はかなり厳しいものを課していたかもしれないなど、そういった背景も踏まえて、今回に関してはこの条件でいいのではないかというところで、今日のところは、部会としての考え方をまとめたいと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。そのほか、本件について御意見はいかがでしょうか。それでは、よろしければ議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、医療機器「EluNIR 薬剤溶出ステント」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品並びに特定生物由来製品として指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績評価は不要としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は、分科会にて報告を行う予定としています。それでは、これで議題1を終了します。
 続いて、議題2に入ります。議題2、医療機器「ジェットストリーム アテレクトミー システム」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否を始めます。本議題も、議題1に続いて中村正人先生に参考人として御参加いただいています。それでは、機構から説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、3名の専門委員から御意見を頂きました。それでは、資料2、審査報告書を用いて御説明させていただきます。以降、黒色の審査報告書のページ番号でお伝えいたします。また、事前に配布いたしました審査報告書4ページに日付の記載漏れがありましたので、修正した資料に差し替えさせていただきました。本件おわび申し上げます。
 まず、品目の概要について説明いたします。6ページの図1を御覧ください。本品が経皮的に太もも付近にあります浅大腿動脈及び膝窩動脈、以降「大腿膝窩動脈」と言いますが、大腿膝窩動脈へ挿入し、重度石灰化病変等に由来する固いアテローム塊や狭窄病変を除去するアテレクトミーデバイスです。本品は、薬剤を塗布したバルーンカテーテル、以降「DCB」と言いますが、DCB治療を補助する目的で使用されます。通常、DCB治療を行う前に、薬剤を塗布していないバルーンカテーテルで狭窄病変の拡張を行いますが、固いアテローム塊等によりカテーテルの通過等が困難な場合があります。そのような場合に、本品のカテーテル先端に配置されたカッターの回転により、病変を機械的に切削及び破砕し、吸引ポートから切削片の吸引を行うことで、バルーンカテーテルの通過や病変の拡張を補助します。
 次に、開発の経緯を御説明いたします。7ページ中段の(1)開発の経緯を御覧ください。末梢動脈疾患は、動脈硬化による閉塞性の疾患です。治療方法として、軽症の患者には薬物治療、それらの治療が奏功しない患者には、外科的なバイパス手術やDCBなどを用いた狭窄部を拡張する血管内治療が行われています。DCB治療は、異物を体内に残さず、薬剤により良好な血管開存性が期待できますが、重度石灰化病変については、バルーン単独での拡張が困難であることから、DCB治療に不適として本邦のDCB適正使用指針における対象から除外されており、十分な血管内腔の確保を可能とするデバイスの開発が望まれておりました。申請者は上述の背景を踏まえ、重度石灰化病変を有し、DCB治療が困難な狭窄病変に使用する目的で本品を開発しました。
 外国における使用状況について御説明いたします。9ページの表3を御覧ください。本品の開発に至るまで複数の改良が行われており、第4世代品である本品は、米国では2013年4月に510(k)を取得しております。また、欧州では2013年9月にCEマークを取得しております。2021年6月時点でカテーテルが約○○○○○○本、コンソールが○○○台の販売実績があります。
 本品の非臨床試験については特段の大きな問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。18ページ表7のJ-SUPREMEII試験の概要を御覧ください。J-SUPREMEII試験は、大腿膝窩動脈の症候性閉塞性動脈硬化病変を有する患者31例を対象に、本邦で実施された前向き多施設共同単群試験です。本治験の対象患者として、DCB治療前に病変の前拡張を行うために使用するバルーンカテーテルの不通過、又はバルーン拡張後、残存狭窄率が50%以上となった被験者が登録され、主要評価項目として治験手技時の病変成功率が設定されました。
 なお、病変成功はDCBによる拡張後に三つの事項を満たすことと定義され、一つ目として残存狭窄率が30%以下であること、二つ目として、血流に影響を及ぼすような解離及び穿孔が発生していないこと、三つ目として、リコイル等の血管閉塞性の合併症が発生していないことと定義されました。
 本治験の結果について御説明いたします。22ページ中段、マル2主要評価項目を御覧ください。主要評価項目である治験手技時の病変成功率は78.6%であり、事前に設定した性能目標を満たすとともに、手技後6か月間における重大な有害事象は発生しませんでした。
 次に、機構における審査の概要を御説明いたします。本品の審査における主な論点は四つあります。一つ目の論点は、本品の有効性についてです。31ページの上段、1)有効性についてを御覧ください。本治験における主要有効性に関する成績は、事前に設定された性能目標を達成し、第三者判定による本品の使用前後での血管の狭窄率は、約80%から約47%に減少しておりました。また、本品による治療後の血管開存性についても、血管エコー評価における狭窄が認められず、再治療等がない症例の割合である手技後6か月の一時開存率は96.7%であり、患者背景等が異なりますが、重度石灰化病変以外の通常病変を対象とした既承認DCBを用いた臨床試験成績と比較しても大きな乖離はありませんでした。以上を踏まえ、機構は従来DCB不適とされてきた重度石灰化病変を有する患者に対して、本品の有効性は示されたと判断しました。
 二つ目の論点は、本品の安全性についてです。31ページの中段、2)安全性評価についてを御覧ください。機構は、本品の病変切削に伴い発生が想定される血管損傷及び遠位塞栓を中心に審査を行いました。血管損傷リスクについて、同じページの下段、マル1血管損傷のリスクについてを御覧ください。申請者は、本治験に先行して実施した国内臨床試験、第○世代品を用いた海外臨床試験及び約○○本に及ぶ海外における本品の使用実績において、本品との関連ありと報告された解離や穿孔は認められたが、臨床的に問題となる穿孔や解離の発生は認められず、その他血管損傷に関連する手技時合併症も認められていないことから、本品の切削による重大な血管損傷の発生を示唆するものではないと説明しております。
 32ページ中段、「総合機構は」から始まる段落を御覧ください。機構は、発生した事象の詳細等を踏まえ、申請者の説明は妥当と判断しました。一方、先行して実施された本品の臨床試験成績等を踏まえると、石灰化病変のない血管内での切削や、血管壁に過剰に接触する使用方法は血管損症のリスクとなり得ることから、本治験でのトレーニングや使用方法を参考に、後述する製品トレーニングでの情報提供を含めたリスク低減措置を適切に行うことが重要と考えました。
 次に、遠位塞栓のリスクについてです。同じページの下段、マル2遠位塞栓の発生リスクについてを御覧ください。本治験で発生した遠位塞栓は、手技時9.7%であり、そのうち追加の治療を要する遠位塞栓は6.5%でした。35ページ上段を御覧ください。本品は石灰化病変を機械的に切削するデバイスであるため、切削片による遠位塞栓は本品特有のリスクではありますが、本品の対象はこれまでDCB治療が不適とされた病変であり、その臨床的ニーズも高いことを踏まえると、次の2点の理由から本治験で発生した遠位塞栓については、臨床上、許容可能と判断しました。1点目として、本治験及び海外で報告された遠位塞栓は、本品に推奨された使用方法やカテーテルの操作方法から逸脱したことが主な要因の一つと分析されており、本品の国内導入に当たっては、本品の使用方法やカテーテル操作について、後述するとおりトレーニングやプロクター制度により周知徹底することで、リスク低減が可能と考えられることです。
 2点目として、本治験で発生した遠位塞栓3例が全て非重篤であり、実臨床で一般的に行われている血栓吸引等で対応可能であったことを踏まえ、血管内治療等の迅速な対応措置が遠位塞栓による臨床的不利益の最小化には重要であることから、施設基準、実施医基準等を定め、遠位塞栓が発生した場合の対処が可能な医師や医療機関で本品を使用することにより、遠位塞栓による重症化リスクを低減可能と考えられることです。
 三つ目の論点は、本品の臨床的位置付けと使用目的についてです。35ページ下段、(3)本品の臨床的位置付けと使用目的についてを御覧ください。機構は、論点1及び2で述べたとおり、本治験においてDCB不適とされてきた重度石灰化病変を有する患者に対する有効性及び安全性が確認されたことから、本品をDCB治療の前拡張バルーンの通過及び拡張を補助するアテレクトミーデバイスと位置付けることが適切と判断しました。なお、次ページで述べておりますとおり、ステント治療については本治験の対象よりも広範囲に及ぶ等のより重篤な石灰化病変が対象と想定され、本治験成績からステント治療が行われる病変における本品の有効性及び安全性を評価することは困難であることから、専門協議での議論も踏まえ、現時点では本品の対象には含めないことが適切であると判断しました。以上を踏まえ、本品の使用目的において、36ページに示すとおり、DCB治療前の前拡張補助に使用することを明確化しました。
 四つ目の論点は、本品の適正使用を含めた製造販売後安全対策についてです。37ページ上段、「総合機構は」から始まる段落を御覧ください。機構は、本治験成績及び海外での不適切な使用に伴う不具合等の発生状況を踏まえると、適切な患者選択及び本品の適正使用の徹底が重要と考えております。申請者が提示した計画は、本治験実施施設を中心に使用を開始した上で、製品トレーニング及びプロクター制度の活用を通して経験を積んだ医師から徐々に本品の使用を拡大する計画であることから、適切と判断しました。また、本品を安全かつ適正に使用するためには、本品の対象となる末梢閉塞性動脈疾患及び治療法に精通し、本品に関連する合併症に対して外科手術を含めた緊急対応が可能な医師及び医療機関で使用されることが肝要であるため、医師、施設要件及び適正使用指針の遵守に関する承認条件を付すことが妥当と判断しました。
 最後に、使用成績評価について御説明いたします。38ページ上段、機構における審査の概要を御覧ください。機構は、次に述べる3点から使用成績調査を実施する必要があると判断しました。1点目は、ステント内再狭窄への適応を有するエキシマレーザを用いた既承認品はあるものの、本品は初の機械式の下肢治療用のアテレクトミーデバイスであることです。2点目は、本治験の症例数は限定的であるため、本品使用時の遠位塞栓や血管解離などの合併症及びその対応状況を確認し、必要に応じてリスク低減措置を追加する必要があることです。3点目は、本品の導入により、これまでDCBを適応されなかった患者にDCBが使用可能となるため、日本人ではパクリタキセル塗布型デバイス使用後の遠隔期死亡率の大きな懸念はないと報告されていますが、遠隔期死亡率に報告との乖離がないか慎重に確認する必要があることです。同じページの表30の使用成績調査案としては、最も発現率の低い遠位塞栓の発生を評価できるよう症例数を150例とし、調査期間は観察期間2年を含む計4年とすることが妥当と判断しました。
 なお、今後実施予定の使用成績調査や市販後安全情報を分析した上で、当該リスク低減措置の充足性や妥当性については、継続的に検討することが必要であると考えております。
 以上の審査を踏まえ、機構は40ページに記載している使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、引き続き参考人として御参加いただいている中村先生から御意見を伺いたいと思います。中村先生、お願いいたします。
○中村参考人 東邦大学の中村です。今、機構から説明がありましたが、末梢動脈疾患に対する血管内治療は治療法の一つとして確立されています。そういった治療の中で最も大きな障害になるのは、血栓性の病変と石灰化病変にあるということが分かっています。今日、こういった大腿動脈に対する治療としての選択肢として、今、機構がお話ししましたが、drug coated balloonが約半数症例で使用されています。すなわち、現在この治療における主役を担っているわけです。DCBの有効性が発揮できない病変として石灰化病変があり、その石灰化病変に対する治療手段というものが本邦においても求められていたということです。
 現在、日本において石灰化病変に対する治療戦略はなく、通常のバルーンのみでしたので、今回審議いただきますジェットストリームという治療戦略は、新しい治療戦略として大きな期待があるというところです。実際、本邦で行われた試験において有効性が示されたわけですが、その有効性というのはDCBとの併用において、通常の治療以上の成績が得られたというものでした。しかしながら、検討した症例は50症例に限られていますので、治験で行われた成績が実臨床でも安全性とともに証明できるか、示されるかということに関しては、やはり市販後調査で検討する必要があろうかと考えております。以上です。
○荒井部会長 中村先生、ありがとうございます。それでは、委員の方々から御質問、御意見はいかがでしょうか。一色委員、どうぞ。
○一色部会長代理 こういうデバイスでは遠位塞栓が最も懸念されると思います。膝窩動脈ではロータブレーターによる遠位塞栓のリスクが問題とされているのですが、こちらのデバイスは吸引システムが付いているということで、削ったものをできるだけ先に飛ばさない工夫をされている点が新しい試みかと思います。しかしながら報告書を見ると本デバイスによっても遠位塞栓が起こっています。先ほどの御説明では不適切な手技が海外で行われたせいではないかということだったと思うのですが、不適切な手技というのは何だったかということについて、もう少し詳しい説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。まず、遠位塞栓の発生リスクで挙げられていた使用方法としては、使用方法として1秒当たり1mmの速度で進めるということが規定されていたのですが、それよりも速く進めて積極的な切削をしてしまうと、吸引ポートで吸える量を超えた切削片が発生してしまって遠位塞栓につながるということが一つリスクとして挙げられております。あとは、本品を積極的に進めてしまうことでキンクが発生してしまい、そもそも吸引がうまくできないというような事象も認められておりましたので、やはり適切な使用の遵守というのが遠位塞栓防止のためには重要と考えております。
○一色部会長代理 分かりました。ありがとうございました。中村先生、今のお話なのですが、技術的には石灰化した中を進めていくのはいろいろポイントがありそうな気がするのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○中村参考人 一色先生、どうもありがとうございます。ロータブレーターの経験においても、やはりロータブレーターを進めるスピードとか回転数とか、ガイドワイヤーバイアスとか幾つかの点が切削に対する影響を与えることがよく分かっていますので、ジェットストリームにおいても進めるスピードとか、病変性状であるとか、そういったものが複雑に寄与するのであろうと思います。しかし、そういったものがどの程度寄与するかということは分かっていません。このため、日本における臨床経験は積み重ねていく必要があると思います。やはりPMSでもって、主として一色先生が御指摘になった末梢塞栓などの合併症を中心としたイベントを評価していき、中間中間でそういったデータを公表していくということが有効ではないかと考えています。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。
○一色部会長代理 実は、遠位塞栓に関しては心臓の方が小さいものが少し飛んでも余り大きなイベントにはならないこともあるのですが、足についてはデブリーが飛ぶと潰瘍を形成して足切断というミゼラブルな結果につながることにもなりますので、プロクター制度を用いて慎重に広めていくということは、非常に重要と思いました。
○荒井部会長 ありがとうございます。小西先生、お願いいたします。
○小西委員 小西です。結構、画期的な治療法でリスクもありそうなので、海外で死亡例とかはなかったのでしょうか。血管を傷付けて出血するようなことはなかったかどうかということと、機構の説明の中で、緊急事態には外科的な処置をするということで、ダブルセットアップで外科を準備してやるのかどうかということについても教えていただければ有り難いです。以上です。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。まず、1点目の海外での死亡例の発生について御説明いたします。配布資料の添付資料を御覧いただきたいのですが、ページ数が139ページの表1.4.2.1-1です。
○荒井部会長 では、説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 こちらに海外における健康被害の発現が載っているのですが、死亡は本品の使用によっては認められていないです。
○医療機器審査第一部長 委員の方々、当日配布資料1、ジェットストリームアテレクトミーシステム適正使用指針(案)を御覧いただくことは可能でしょうか。当日配布資料1です。
○医薬品医療機器総合機構 プライベートファイルの一番上にあります。今、御覧いただいております当日配布資料1の2ページの4ポツの施設要件を御覧いただければと思います。こちらに記載しておりますとおり、3ポツ目にアテレクトミー、バルーン拡張術に伴う合併症に対する緊急時の体制が整っている医療機関であることというように規定する予定でして、外科も含めた緊急時に対応いただける施設で使っていただく予定になっております。
○荒井部会長 小西先生、よろしいでしょうか。
○小西委員 分かりました。了解です。
○荒井部会長 もうお一人、松宮先生も手を挙げていらっしゃるということで、松宮先生、いかがでしょうか。
○松宮委員 松宮です。よろしくお願いいたします。これで、アテレクトミーをした後にDCBを使うということが前提での治療ということで、DCBを使った後に遠隔成績として、むしろ遠隔期に死亡率が上がったという報告があると。その対象が何かはちょっとよく分からないのですが、それで欧米では、ディスカッションはまだオンゴーイングで結論が出ていないと。ただ、日本ではDCBの市販後調査の成績を解析すると、これも何年観察かちょっとよく分からないのですが差がなかったと、そういう理解でよろしいのでしょうか。
 だとすると、DCB自体の遠隔期に及ぼす影響というのは、まだ問題ないとまでは言えないとすると、そういう適切な情報提供がなされているのか。あと、DCBの市販後調査はまだもちろんオンゴーイングだとは思うのですが、その解析が引き続きやられるのか。それから、遠隔成績というのは2年でいいのかということで、懸念としては多分、免疫抑制剤とか抗がん剤に使われるようなものだから、遠隔期に悪性腫瘍が増えたりしないかとか、そういうことの方が懸念なのではないかと思うのです。もし、そういう懸念が合っているとすると、もう少し長く成績を追わないと、そういう懸念は払拭されないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明いたします。パクリタキセル使用デバイスにおける死亡率が向上するのではないかという懸念については、今回、参考人で出席されている中村先生に研究をしていただいて、国内での成績を基に大きな懸念はないだろうということを報告させていただいております。その研究内容や今後の対策、患者さんへの説明も含めて注意喚起をするようにということは、厚労省からも発表されています。研究内容について中村先生、簡単に御説明いただけると助かります。
○中村参考人 中村です。本邦で行われた承認試験並びに本邦で行われた市販後調査の成績というものを、個人レベルでメタ解析した結果になります。全部で2,500例程度になり、コントロールアームが通常のベアメタルステント又は通常のバルーン拡張術になります。それに対するパクリタキセル関連デバイスというのは、今お話がありましたDCBとドラッグ・エルーティング・ステントが該当します。患者背景をマッチングさせた後に5年予後を調査すると、全く同率、差がないというのが本邦の成績でした。その後、海外から大規模な比較検討試験のサブ解析が報告されていますが、いずれにおいてもパクリタキセル関連デバイスと全く生命予後において差がないというものでした。今日、海外におけるリミテーションというのもほとんど取れた状態になっていると聞いています。
○荒井部会長 ありがとうございます。松宮先生、よろしいですか。
○松宮委員 この辺の成績に問題がないということでよろしいのですね。
○中村参考人 そのとおりです。
○医薬品医療機器総合機構 松宮先生からの質問にもう一点、2年でいいのかという御質問については、2年たちますと死亡率に傾向が出る場合はサインが出てきますので、もし今の時点で、先ほどの中村先生の研究ですと5年を見ても差がないという研究ですが、もし2年のところでそのシグナルが見えたということが仮に起こった場合には、使用成績評価の期間を延長することも含めて今後検討して、サーベイしながら検討していきたいと思います。
○松宮委員 もう一点だけよろしいですか。本日配られた施設要件とかの適正使用指針で、施設要件にCVIT、IVR専門医修練施設、心臓血管外科認定施設の三つが書いてあるのですが、これは三つとも満たさないと施設として認められないということですか。外科はマストというのは先ほども出てきたと思うのですが、CVITは主に内科の先生だし、IVRというのは放射線科の先生なのですが、三つともそろっていないと認められないという理解でよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明いたします。いずれか一つで大丈夫です。
○松宮委員 いずれかというのは、この三つのうちいずれかということですね。
○医薬品医療機器総合機構 この三つのうちの一つの施設に該当すれば。
○松宮委員 ということは、外科がいなくてもできるということになりますか。
○医薬品医療機器総合機構 外科は必ず必要になります。外科が必ずいた上で、いずれかの施設を満たせばよい。かつ。
○松宮委員 CVITかIVR専門医のいずれかがということですね。プラス外科と。
○医薬品医療機器総合機構 そうです。施設要件としては、IVR専門医若しくはCVIT認定医である必要がありますが、施設要件としては、いずれかの施設要件を満たせばよいと。ただし、外科との連携は必須という内容になっています。
○松宮委員 修練施設でなくても外科医がいればいいということですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○松宮委員 そういうことですか。
○荒井部会長 修練施設でないとまずいでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 修練施設でなければ駄目です。申し訳ありません。修練施設でないと使えないという状況になっています。
○宮川委員 宮川ですが、どこが必須で、どこが兼ねるのかということをちゃんと書いておかないといけないと思うのです。でないと意味が分かりません。医師要件と施設要件が非常にダブっているというところがあるので、その整理をきちんとしておかないといけないのだと思います。ですから、そういう意味では2年と書いてあっても、そこで何か問題があればというような形ですが、そういうのはちゃんと要件がそろっていなければ、そういうようなことも認められないということなので、それの書きぶりはしっかりと整理してください。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。
○医療機器審査管理課長 4ポツの一番最初のポツがandなのかorなのかというところが、多分、分からない根源になっていると思います。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そこを分かるように。
○荒井部会長 ここはまだ修正がききますよね。皆、混乱しやすいところなので、今の説明にありましたように、やる人の所属している学会、術者要件の中の三つの学会の修練施設であることがまず絶対条件で、なおかつ外科が連携できる施設というのが必要条件になるわけですよね。そこのところは多分、今日の議論に参加していただいている方は正しく理解できると思いますが、誰が読んでも正しく理解できるように文言の修正をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。
○荒井部会長 そのほか御意見はいかがでしょうか。
○宮川委員 よろしいですか。
○荒井部会長 どうぞ。
○宮川委員 宮川ですが、先ほど一色委員がおっしゃったように、すごく意欲的にやられてしまうと困るところがあります。そういう意味では非常に慎重にやって、これだけの第1世代から第4世代までこうやって育ってきたものですから、そこをしっかりと見ていかないといけません。ですから、施設要件から医師要件、それから、先ほどもろもろの付随したものというのをしっかりと定めていかなければいけないと考えます。それで、この貴重なものが正しく使われて、患者さんに対してのそういう恩恵がしっかりと出るような仕組みを作っていかないといけないのだろうと考えます。この部会というのは、そういうものをしっかりと見定め育てていくところではなかろうかなと思いますので、是非ともきちんとした書き込みとフォローをしていただきたいと思います。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。それでは、その他の委員の方々から御発言、御質問はよろしいでしょうか。それでは、御意見はないようですので、議決に入らせていただきたいと思います。医療機器「ジェットストリーム アテレクトミー システム」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品並びに特定生物由来製品としては指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績評価は必要としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件も分科会にて報告を予定しております。それでは、これで議題2を終了いたしますので、参考人の中村先生、どうもありがとうございました。
○中村参考人 失礼いたします。
○荒井部会長 それでは、議題3を始めます。医療機器「セルーション セルセラピーキット SUI」の生物由来製品並びに特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用評価の要否を始めます。本議題につきましては、参考人として鈴木康之先生にお越しいただいております。先生、よろしくお願いいたします。
○鈴木参考人 よろしくお願いします。
○荒井部会長 それでは、機構から説明を始めてください。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。まず、資料3、本品目の専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂きました。それでは、資料3、審査報告書を用いて、審査概要を御説明いたします。以降、前の案件と同様に、黒色で記載の審査報告書のページ番号で御説明いたします。はじめに、本品の概要を御説明いたします。審査報告書5ページ、また6ページの図1及び図2を併せて御覧ください。本品は脂肪組織を遠心分離にかけるためのキット製品で、男性腹圧性尿失禁の治療に用いられます。
 6ページの図1にあるように、本品は遠心分離処理容器、チューブ、脂肪組織収集容器等から構成されます。また、図2にあるように、脂肪組織は患者自身の腹部等から採取され、本品を用いて得られた間葉系幹細胞を患者の尿道に注入します。これにより尿道の抵抗が増し、腹圧性尿失禁の改善が期待されます。本治療の様子及び注入物の投与量は7ページの図3に掲載しているとおりです。
 次に、本品の開発の経緯について御説明いたします。8ページ(1)開発の経緯を御覧ください。腹圧性尿失禁とは、運動時や咳、くしゃみなど腹圧が上昇したときに意図せずに尿が漏れてしまう症状のことで、主に女性に多く見られます。男性の場合は前立腺癌等の術後、合併症として報告されることがあります。残念ながら男性では、女性の腹圧性尿失禁に比べて臨床情報が少なく、適切な治療方法の選択肢も多くありません。さらに前立腺癌の術後1年以上腹圧性尿失禁が継続する場合、その後改善する可能性はほとんどありません。現在、本邦における男性腹圧性尿失禁の治療としては、主に行動療法、薬物療法及び外科的療法がありますが、前立腺に対する手術により生じた腹圧性尿失禁においては、行動療法や薬物療法が奏功しない場合があり、その場合は外科的療法である人工尿道括約筋埋め込み術が考慮されます。しかし、人工尿道括約筋埋め込み術は複数の部品を体内に永久埋植するといった侵襲性が高い手技であり、重度の尿失禁患者を対象とすることが多いとされています。このような状況から、行動療法及び薬物療法が奏功せず、かつ人工尿道括約筋を使用しないような軽度から中等度の患者は、治療法の選択肢がなく常に尿パッドを使用し、日常動作中に不随意に尿が漏れる状態で生活せざるを得ず、行動制限やQOL低下に悩まされている現状があります。
 9ページ冒頭にあるように、本品は、このような男性腹圧性尿失禁の治療の現状に鑑みて、行動療法及び薬物療法が奏功しない男性腹圧性尿失禁患者のうち、症状が軽度から中等度の患者を対象に臨床応用が検討されました。本品は、患者自身の皮下脂肪組織を約250から300ml吸引し、そこから分離・調整した間葉系幹細胞及び脂肪組織を尿道に注入することで、男性腹圧性尿失禁の改善に寄与することを目的としています。なお、本治療においては細胞培養工程を必要とせず、短時間で実施可能です。また、本治療における脂肪組織の採取は、形成外科で一般的に行われる脂肪吸引術により実施可能です。
 次に、本品の海外における使用状況について御説明いたします。10ページ冒頭に記載のとおり、本品の販売実績はありますが、諸外国において本治療の目的である男性腹圧性尿失禁を適応とした許認可は取得していません。
 次に、本申請に添付された試験成績について御説明いたします。非臨床試験の概略は、11ページから16ページにかけて記載しておりますが、特段問題はありませんでした。そのため、16ページ中段から記載のある臨床試験成績のうちピボタル試験について御説明いたします。ピボタル試験は男性腹圧性尿失禁患者を対象に、日本国内の4施設で行われた多施設共同非盲検非対照試験です。前立腺に対する手術後1年以上、腹圧性尿失禁が継続し、行動療法及び薬物療法が奏功しない患者43例がピボタル試験に参加しました。まず、有効性の結果について御説明いたします。17ページ中段、1)有効性評価を御覧ください。有効性の主要評価項目として、52週後の尿失禁量レスポンダーの割合が評価されました。尿失禁量レスポンダーとは、治療後の尿失禁量がベースラインから50%以上減少した患者のことを言い、尿失禁の評価において一般的に用いられる指標です。本治験において、尿失禁量レスポンダーの割合は○○○○%という結果が得られ、主要評価項目を達成しました。
 次に、安全性の結果について御説明いたします。18ページから19ページにかけて記載のある、2)安全性評価を御覧ください。重篤な有害事象として血栓塞栓症が1例1件生じましたが、薬剤投与により回復が確認されました。塞栓症は注入物、手技、本品との関連性が否定されました。また、19ページに記載のある注入物や手技との因果関係が否定できない事象については、複数の有害事象が発現しましたが、全て軽快や回復が確認されています。さらに、本品との因果関係が否定できない有害事象はありませんでした。
 次に、機構における審査の概要について御説明いたします。審査における主な論点は二つあります。一つ目の論点として、20ページから記載のある(1)有効性及び安全性について御説明いたします。20ページ1)有効性についてを御覧ください。ピボタル試験で治療後52週後の尿失禁量レスポンダーの割合が評価され、○○○○%という値が得られたことについて機構は現状、他に治療選択肢のない男性腹圧性尿失禁治療に対して、本品は一定の有効性を有し、アンメットメディカルニーズを満たす製品であると判断しました。
 一方、効果が見られない患者もいることから、機構は申請者に、本品の有効性に影響を与え得る因子について説明を求めました。申請者はあらゆる関連性を検証したものの、有効性に影響する明らかな要因を特定することはできませんでした。しかしながら、本治療が奏功しない可能性が示唆される点として、20ページの末尾から21ページに記載のあるように、治療前に尿道狭窄を有する症例。切迫性、溢流性、機能性又は反射性尿失禁のような腹圧性尿失禁以外の失禁症状を有する症例。高齢者の症例について提示されました。機構は、これらの症例を本治療の対象としないとする申請者の説明について同意し、適応対象の情報を臨床現場に周知することにより、適切に患者選択を行うことが可能であると考えました。
 次に、21ページ中段から下段2)安全性について御説明いたします。先ほど御説明したとおり、本治療と因果関係がある有害事象については全て回復又は軽快が確認されていることから、安全性について、おおむね問題ないと考えます。しかしながら、本品との直接の因果関係が否定されている血栓塞栓症については、安全対策を講ずる必要があると考えました。22ページ上段に記載のとおり、申請者は血栓の発生は脂肪吸引の手技に時間を要したことが原因であると考察し、脂肪組織採取時に必要とされる補助的な処置を行うことなどを、臨床現場に情報提供することとしました。機構は、対策の内容について適切であると判断しました。審査概要のうち、二つ目の論点である(2)製造販売後の安全対策について御説明いたします。22ページ中段から23ページにかけて御覧ください。
 本品を用いた治療は類似の治療が存在せず、本治療においては泌尿器科だけでなく、脂肪吸引について形成外科との協力が必要となり、適切な一連の操作が必要となります。このため機構は、23ページ上段に記載のとおり、関連学会とも連携し、症例選択基準、実施医及び施設要件などを含めた適正使用指針を策定した上で、製造販売後トレーニング等による本品の適正な使用を徹底する必要があると判断いたしました。なお、本品の使用に当たっては、適正使用指針の遵守を促すため、承認条件を付すことが妥当であると判断いたしました。
 最後に、本品の使用成績評価について御説明いたします。23ページの表8を御覧ください。本品は新規の治療法であることから、本邦における製造販売後の有効性及び安全性を確認する必要があると判断いたしました。使用成績評価として、実施例の全例に対して調査を行うこととし、最低数を120例と設定しました。ピボタル試験のフォローアップ期間を踏まえ、追跡調査期間は12か月とした上で、準備期間6か月、登録期間36か月、解析期間6か月を含めた計5年が妥当と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの報告は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、まず参考人として御参加いただいております鈴木先生から、追加の御発言を頂きたいと思います。
○鈴木参考人 東京都リハビリテーション病院泌尿器科の鈴木です。まず、このセルーションセルセラピーキットの重要性について、お話を申し上げます。皆さん御存じのように、前立腺癌というのは男性のがんの第1位の罹患率で、本邦においては年間9万例の発生があります。その中で手術をされるのは、昨年度、DPC病院の中では2万3,364件というように、非常に多い数になっております。その中で、合併症として出てくるものとして有名なのが、主なものとして二つあります。一つがED、いわゆる性機能障害(Erectile Dysfunction)で、もう一つが尿失禁です。
 では、尿失禁がどうして起こるかということです。この要因は、術者の手技には余り関わりません。一番は患者側のもともとの筋性機能が悪いということと、もう一つは切除範囲によります。今、前立腺癌というのは多くの場合、早期に診断されるわけですけれども、ある程度進行してから診断されるものもあって、それに手術をやるとなると、切除範囲を広くしないといけなくなってきます。そうすると、ここまで切ったら将来的に尿失禁が起こると分かっていても、切らざるを得ないということがあります。そういう要因がありますので、今後ともロボット手術が普及した後でも、尿失禁が全くなくならないということになってきます。
 もちろん手術後の早期に、尿失禁があっても経過とともに治ってくる方がかなり多いわけです。それが半年、1年と続くと、もう一生治らないということになってきます。前立腺癌の特徴として、前立腺癌の治療方法はすごくあるわけです。さらにその効果はどれも非常にいいわけで、前立腺癌の5年生存率というのは、もう2011年の段階で99%、恐らく今の前立腺癌の患者は、ほとんど100%に近いのです。ということは、前立腺癌が治った後の余命が非常に長いのです。前立腺癌の方が前立腺癌で亡くなることはほとんどできなくて、実際には脳卒中や糖尿病で亡くなるということになってきます。
 もちろん術後の再発も問題になってきますけれども、術後のQOLが非常に問題になってきます。そのQOLを一番障害するのが尿失禁です。尿失禁のない人間には分からないのですが、尿失禁になったら、もう自分は駄目だと思ってしまうということがありますので、前立腺癌患者のQOLを上げるためにも、これは非常に重要です。この治療として先ほど機構から説明があったように、軽症例においては薬や骨盤底筋訓練などもありますけれども、現実にはほとんど効きません。また、重症においては人工尿道括約筋という手術がありますけれども、重症例において行われる場合には、やはり異物を挿入するということで、単に侵襲的であるだけでなく、異物が残ってしまうので多々問題になってきます。
 そうすると、中等症に対しては何をするかというと、やはりセルーションセルセラピーキットを用いなければならないということになってきます。以前はコラーゲンがありましたけれども、今、我々は使えないので非常に困っております。実は先月も、私は外来で術後の尿失禁の患者さんに、散々文句を言われました。そういうように臨床の場では大変に困っている状況ですので、是非とも御検討いただけたらと思います。以上です。どうも御清聴、ありがとうございました。
○荒井部会長 鈴木先生、ありがとうございます。それでは委員の方々から御意見、御質問はいかがでしょうか。永井先生、どうぞ。
○永井委員 臨床試験関係で二つあります。一つは、主要エンドポイントが24時間の尿パッドという点です。これはどの程度、安定的に評価できるのですか。明日は評価だから、今日は水分を我慢しておこうということがあり得、エンドポイントとしての安定性がどうなのかということです。
 もう一つは、52週間という観察期間についてです。これについては、一旦注入すると、注入した細胞が徐々にシュリンクして、効果が減弱する可能性が考えられます。そもそも○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○特に対象となる患者は予後が長いですから、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○可能性があります。臨床研究としては結構前からやっているので、データはあるはずです。この2点について教えていただけたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。機構より回答させていただきます。1点目の御質問の有効性の主要評価項目の確認の仕方ですけれども、24時間尿パッドのテストは、特定の1日だけで行うのではなく、7日間を通して24時間パッドテストを行い、その平均値を取ったもので評価をしております。ベースラインでも同様に7日間取って、それを平均値で評価しておりますので、日差変動はなるべく抑えられるような形で評価できているのではないかと思います。
○永井委員 分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 もう1点のピボタル試験の主要評価項目の達成基準は、52週後となっていますが、おっしゃったとおりこのデータは結構昔からやられている研究でもあり、実は5年の成績が文献レベルで提出されております。5年の成績というのは、ピボタルのものをそのまま5年追ったわけではなく、その前にやられていたフィージビリティ試験の群を5年、そのままフォローアップしたものが提出されているのです。しかし、それだと5年後のレスポンダーの割合が○○%という結果が出ており、ピボタル試験と同様の結果が、5年後も長期にわたっての有効性が確認されておりますので、本品の有効性は長期にわたってあると考えております。お答えになっておりますか。
○永井委員 先行研究とは多分、適格基準が違うと思うのです。要は先行研究でも1年後と5年後で目立った効果の減弱は見られなかったということでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。1年後だと大体半分ぐらいだったところが、○○○○%ぐらいになったというのがフィージビリティの結果だったので、少しだけ低下しているのです。
○永井委員 そうなりますと数年後には、やはり更に10数パーセントは落ちるわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 ただ、5年後でもそれぐらいの有効性の割合はあったかと思いますので、長期に維持される結果が得られていると考えます。
○永井委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 5年後に10何パーセント落ちるというところで、長期のものが担保できているかどうかというのは、また微妙なところがあるかとは思います。永井先生が懸念されていた、1年はいいけれども、後で急速に落ちてしまうというわけではないということでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 落ちるものではないと考えております。
○荒井部会長 その他に。では北澤先生、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。よろしくお願いします。私も臨床試験に関する質問です。先ほどの先生のお話で、QOLが落ちて困っていらっしゃる患者がたくさんいて、医師としても何か治療法があったほうがいいというお話はよく分かりました。一方で審査報告書の18ページの表6を拝見しますと、レスポンダーの割合が書いてあります。その次の平均尿失禁量の所を見ると、ベースラインが○○○○で、治療26週後が○○○○、52週後が○○○○ということで減ってはいるのですけれども、この10gぐらいの差が実際にこれをやられている患者にとってどうかというのが、私としては今一つよく分からないというか、これが本当に効いていると感じられるのかどうかがよく分からないので、御質問したいと思います。
 さらに尿パッドの枚数を見ても、ベースラインで3.6枚だったものが、治療26週後で3枚です。これは平均で見ているからなのでしょうけれども、3.6枚が3枚になったことがどのぐらいの効果といえるのか。本当に効果があったな、やって良かったなと思えるぐらいの効果なのか。私は素人なのでよく分からないところもあるのですけれども、本当に効果がある治療と言えるのか、その辺りを説明していただきたいと思います。これは多分、レスポンダーとレスポンスしなかった人で結構違いがあるのかなと、これを見ながら想像していたのです。レスポンダーにはとてもよく効くけれども、レスポンスしなかった人は全然効かないということなのか、その辺りも教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 今おっしゃった18ページの表6は、正に平均値を取っているので、それぞれの患者が皆10gしか減らなかったというわけではなく、効いた患者は非常に効いているという状態でレスポンダーになっています。ただ、残念ながら余り効果がなかった方の結果もありますので、それで平均されてこのような結果になっているのかというところです。
 確かに尿パッドの枚数についても平均値なので、皆さんがこういう値だったというわけではないのです。ただ、鈴木先生、後で補足いただけると有り難いのですが、尿パッドの交換の枚数というのは、例えばお手洗いに行くタイミングで交換したりというように、日常生活の中で交換するタイミングが決まっている場合が多いと思います。ですから、尿失禁の量で交換のタイミングが変わると言うよりは、日頃の交換のタイミングでやられているのではないかと思います。今回の治療は、自分自身の尿失禁量がかつての量から半分に減るという患者が、一定割合いるというところに価値があると考えておりますので、そういった意味では有効性のある治療ではないかと考えます。補足があればお願いできますか。
○鈴木参考人 ちょっと付け足しでお話をさせていただきます。人工括約筋をするとなると、非常に大げさなものになります。一方で注入療法というのは非常にシンプルで、泌尿器科の医者であれば、内視鏡をやったことのある人間が全員で、誰でもできます。非常にシンプルな方法で侵襲性もほとんどないので、侵襲性がなくてこれだけ効果があるというのは、やはり価値が非常にあると考えます。もし、これで効果がなかった場合に、次に人工括約筋に行くというのも、一つの治療手段と考えます。
○北澤委員 審査報告書を読む側からお願いしたいのは、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ということを、審査報告書に書いてもらいたいと思います。そうでないと、医師から「この療法をやってみませんか」と言われたときに、患者が判断するのが難しくなるのではないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおりで、資料としては情報が不足していた点があったかと思います。ただ後半でおっしゃったような、患者自身がこの治療を選択するかどうかというところは、審査の中でも非常に大きな論点になっております。先ほど説明したときに、適正使用指針を策定するというお話をさせていただきましたが、その中で各施設でインフォームドコンセントを徹底して行うように、その雛形を適正使用指針の方に紐付ける形にして、この治験の成績をはっきりと、このぐらいの割合の患者には効いた、一方でこのぐらいの割合の患者はレスポンダーではなかったというところを、正確にしっかりと説明した上で、それでも本治療にチャレンジしてみたいという患者に、適切に使用できるような形で対策を取っておりますので、臨床現場での情報提供はしっかりと行っていく予定です。
○荒井部会長 北澤委員の御指摘は、大変重要なところです。○○○○○○○○○○○○という判断をしているわけですが、そういう方たちは○○○いなくて○○%。けれども、効いた人たちの場合は、かなり効いていたということですよね。そうでないと、この数字は出てこないはずですから。やはりデータを見せていただきたいですね。資料の作成に関して、この点は配慮していただければと思いますが、北澤委員、よろしいでしょうか。
○北澤委員 要するに○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ということがはっきり分かるようにしてもらいたいということです。
○荒井部会長 ありがとうございます。もう1人、河野委員、御発言はいかがでしょうか。
○河野委員 帝京大学の整形外科の河野と申します。よろしくお願いいたします。今のお話を伺っていて、男性に最も多いのが前立腺癌で、しかも予後が長く、腹圧性の尿失禁の治療法が確立すれば、かなり多くの患者の福音となると感じました。これが本当に実効的な治療であることを願いつつ、疑問点が幾つかありますので、御質問させていただきたいと思います。1点は、この臨床試験です。基本的には脂肪から採った間葉系幹細胞を用いるという、再生医療に準じた治療をやっているのですが、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というのが、まず1点です。
 それから今回、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○今回の話を聞いていて極めて疑問に感じました。
 私はこれを否定したいわけではなくて、この治療法が有効であるということが望ましいということを感じつつ、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というこの2点と、更にかなり○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○非常に疑問を持ちます。この3点についてお答えいただきたいと思います。
○荒井部会長 では、どうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 まず1点目の間葉系幹細胞を注入したことで、本当に効果が生じているのかということです。審査報告書の7ページに、本品の注入の様子を絵で掲載させていただいております。今回注入する物質というのが、ADRCsというのが間葉系幹細胞を指します。この間葉系幹細胞に加えて、自己脂肪組織16mLというのがあると思います。右側の大きなシリンジの絵です。これを混ぜたものを尿道に注入します。これによって下にどんどん尿道が閉じていくような絵が描かれていると思います。この脂肪組織を注入することによって抵抗が増し、尿失禁の改善に寄与すると考えられます。
 この間葉系幹細胞がどれぐらいいい働きをしているかということですが、平滑筋の再生に寄与するであろうというところが、研究の発端であったと思うのです。それについて正直な回答を申し上げますと、○○○○○○○○○○○の確認はできていません。ただ、動物試験のレベルでは筋の再生の確認ができておりますので、期待される効果として考えていいのではないかと思います。物を注入して閉塞させるという技術については、先ほど鈴木先生からもお話をしていただいたとおり、かつてはコラーゲン注入法というのがありました。コラーゲン注入法のお話を、少し鈴木先生からしていただくことは可能ですか。
○鈴木参考人 では、コラーゲン注入法について御説明申し上げます。尿失禁と言うと、かつては女性の腹圧性尿失禁が非常に問題になっておりました。実は、我々は尿道に注入するということを、昭和の終わりからいろいろやってきております。もちろん昭和の終わりにやったものは、ちょっとした物を持ってきて注入するという、かなり荒唐無稽なものでした。その後にコラーゲンが出てきて、頻回に尿道に注入するということをやってきました。ですから、手技的には非常に古いものとお考えいただければいいと思います。
 また、コラーゲン注入においてはかなり治る方が。先ほどちょっとお話に出てきましたが、レスポンダーとノーレスポンダーは、やはりかなり分れてきます。レスポンダーには非常に喜ばれます。かなりの低侵襲な方法で、「コラーゲンを入れて随分良くなった」と言って、非常に明るい顔をなさった方がいらっしゃいます。もちろんその中には、入れても良くならない方がいらっしゃった。それがどう違うのかというのを随分研究したのですが、結局差が出なかった。ただ、注入手技というのは昔からあるという認識としていただけたらと思います。
○医薬品医療機器総合機構 コラーゲン注入法というのは、原材料由来の毒性の問題があって、今は市場に出回っていないのですけれども、本治療であれば自己組織なので、そういった問題はなく、閉塞効果が期待できると思います。これがまず1点目の回答です。
 2点目の御質問が、ピボタル試験のデザインのお話です。確かにこれは単群で行われています。もし何か比較試験を行おうとした場合には、シャム群を設定することになると思うのです。しかし先ほども御説明したとおり、今は本邦で有効な注入手技がありませんので、何か注入物と比較しようとしても、注入の対象物がないということです。また、注入しないようなシャム群、偽手技群を置こうとしても、今回は脂肪組織の吸引が必要になります。脂肪吸引だけを行って、実は注入をしないという方法は少し倫理的に問題があると考えますので、今回は単群試験で行うことで適切と判断しております。
○荒井部会長 部会長の荒井です。多分、河野委員は今の説明では御納得いただけていないかと思います。要するに、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○という話ですよね。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。動物実験のデータは文献であります。
○荒井部会長 それと後段に関しては、河野委員は「前のめり」という表現をされましたが、「前のめり」かどうかは別として、ワンアームの試験しかできなかった、RCTをやるのは難しい状況があったことは分かります。また、レスポンスが高いものではないという点についても、確かにこれは症状緩和の領域なので、がんに対する直接的な治療などのように70%、80%といった高い数値が必要というわけでは必ずしもなくて、幾つかの選択肢があって、30%のものが三つあればどれか当たるかもしれないという考え方も大切なので、37%という数値に余り固執すべきではないとは感じています。
 しかし、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というところが正に河野委員が一番心配されているところです。そんな中で、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○という疑問を委員の方々が共通して感じておられるのだと思います。○○○○○○○○○○その辺を教えてもらえますか。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○はされてないわけですよね。
○医薬品医療機器総合機構 ○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
○鈴木参考人 今ここで文献を出せと言われたら、すぐには出てこないのですけれども、実は女性の腹圧性尿失禁に対して、似たような細胞を注入するという方法は行われております。私も詳しい認可状況等については分かりませんが、それに近いものは行われているということです。ちょっと確定的なお返事にはなりませんけれども、全く日本だけで独自に行われているものではありません。
○医薬品医療機器総合機構 アメリカにおいてはコラーゲンとかビーズとか、承認されているものがありますので、わざわざ本品のようなものを使わなくても注入物があるという現状もあります。
○松宮委員 松宮です。今の点についてよろしいですか。この会社が出している添付資料の5ページに、2001年に○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○それが背景だと思うのです。ですので、私も河野先生と全く同じ意見で、こういう○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○もうちょっと何らかの傍証がないと難しいのではないでしょうか。
 先ほど○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○ほとんどないですよね。だから一時的に血流を良くしたといったことで、効果が説明されているのです。もし、この試験で傍証として前立腺の部分に平滑筋なり血流が増えた、その部分の組織が分厚くなって、それが5年間維持されたということが臨床であるのなら、新しい治療法として有効性があるのではないかという傍証にはなるかもしれません。○○○○○○○○○○○
○荒井部会長 どこか分かりましたか。資料はどこですか。
○事務局 緑の106ページです。
○松宮委員 添付資料の5ページです。
○荒井部会長 106/302ですね。
○松宮委員 表1.2.2-2の上です。そのちょっと上です。そこです。「その他の治療法として」というパラグラフの途中、「2001年に」からです。2001年に○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○は改善したという事実もあるとは思うのです。
○医薬品医療機器総合機構 機構側から説明させていただきます。繰り返しになってしまうのですけれども、尿道への注入療法というのはもともと保険適用である手技で、本邦において注入物質が現在はないという状況になっております。先生が御指摘の皮下脂肪組織の注入に関しては、文献をすぐに出せと言われると出せないのですけれども、形成外科領域においても、乳癌だと乳房に脂肪注入をするものよりも、脂肪注入と間葉系細胞を混ぜたものの方が持続するのではないかという文献があります。なので今回の本品においても、脂肪だけを入れる自家脂肪組織のフランスの臨床試験では、今回は間葉系細胞を混ぜることで長期的な効果を狙っているというものになります。
○松宮委員 もちろん脂肪だけよりも、組織幹細胞を入れるほうがより効果があるということを目的にやっているのはよく分かります。だからといって今回の結果が、○○○○○○○○○○○○○○○とは言えないのではないかということです。
○荒井部会長 松宮委員、ありがとうございます。すでに、委員の方々の認識はほぼ共通しており、大きな誤解はないと思います。松宮委員はこの資料の中から御指摘いただきましたが、要は大きな流れとして、委員の方々が皆さん、いろいろと疑問を感じておられるというのが現状かと思います。
○医療機器審査管理課長 各先生方から、本当に貴重な御意見を頂きましてありがとうございます。今日の御議論の中で一つのポイントとしては、先ほどの106ページで示されている、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○本当に大丈夫なのかといった御心配を頂いているというように理解しました。その辺についてよろしければ再度、機構の方で整理し、改めて先生方にも御報告させていただき、また次の部会になるかもしれませんが、改めて御審議いただくという形で、今回は保留させていただければという御提案をいたします。もし、これ以外にもお気付きの点がありましたら、併せて御指摘いただければ、それについても整理をして御報告させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○宮川委員 18/302ページの中段の部分で、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○も書いてありません。つまり、○○○○○○○○○○○○○がどこまであるのか、そういうことも何も書いてありません。先ほども言ったように、○○○○○○○は理解できます。先ほど松宮先生がおっしゃったとおり。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○が全くよく分からないのです。ですから、そのところはきちんとした分析がなければいけないと考えます。
 脂肪を入れたものと、それに間葉系の幹細胞を更に入れたものとしっかり区別して比較しているのか、入れた量がどのくらいなのか、生きていた量がどのくらいなのか、その持続がどうだったのかという具体的な検討の記載が重要です。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○というのは、松宮先生と同じように、不十分であると言わざるを得ないのではないかと思います。
○荒井部会長 先ほど課長の方からお話がありましたように、1回これを保留とさせていただきます。今の宮川委員の御意見もそうですし、多分御参加いただいている各委員の方々も、この中からここも明らかに。
○事務局 小西委員からコメントが入りました。「MRIなどの画像診断を行えば、レスポンダーでどういう組織が形成されているかが分かるのではないでしょうか」という御意見です。
○荒井部会長 聞こえましたでしょうか。小西委員から、MRIを使ったらもうちょっと状況が分かるのではないかという御意見を頂きました。それでは、ここで私の方から申し上げさせて頂きますが、本件については、今日はこれで一旦保留にさせていただきたいと思います。今日示された資料については、今の宮川委員の御意見もありますし、小西委員からの御意見もありますように、こういうところをもうちょっと明確にしてほしい、あるいは、こういうことを追加してくれたら、説明が付くのではないかなど、様々な意見を頂きました。これらについて、事務局の方から改めて説明を頂き、それを踏まえて改めて検討することとさせていただきたいと思います。
 鈴木先生、今日は御足労いただきながら保留という形で、申し訳ありません。この部会としては、なんでもカチカチに頭ごなしに科学的根拠を求めるわけではなく、臨床現場の御苦労に関しても十分配慮して判断したいと考えていますが、今日のところは今お聞きのような経過ですので、本日は保留として、今後、詰めさせていただきたいと思います。御理解いただければと思います。よろしいでしょうか。
○事務局 Webの方から、またコメントが入りました。森田先生から、なぜ脂肪注入また脂肪注入プラスなのかというところと、永井先生から、表6の二群間比較にSDのデータがないのでばらつきが分からない、次は併記していただきたいという御意見です。
○荒井部会長 森田先生と永井先生ですね。
○事務局 はい。
○荒井部会長 今、Webの方でも御意見を頂いております。今頂いた分に関しては、事務局の方に入っておりますので、その他の委員の方でもお気付きの点がありましたら、事務局に御連絡いただければと思います。その他にも御意見があるかとは思いますが、最終的に議題3のこの案件については保留として次回に検討を持ち越したいと思いますので、御了解いただければと思います。鈴木先生、そういう途中経過になりましたけれども、今日はありがとうございました。
○鈴木参考人 ありがとうございました。
○荒井部会長 それでは、議題3はこれで終わらせていただきます。繰り返しになりますが、今の議論は、打ち切るということではなくて持ち越しですので、委員の方々は今の議題3について御意見があれば、事務局の方に何らかの形でお寄せいただければと思います。私が指名しなかったので、発言の機会がなくなってしまったという理解をなさらないでいただければと思います。
 それでは、議題4に進ませていただきます。医療機器「NeuRx 横隔膜ペーシングシステム」の使用成績調査の期間延長について始めさせていただきます。では、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題4、医療機器「NeuRx 横隔膜ペーシングシステム」の使用成績評価の期間延長について御説明いたします。資料4を御確認ください。1ページを御覧ください。今回御審議頂く品目の概要となっております。申請者はUSCIジャパン株式会社です。本品は横隔膜に植え込んだ電極を介して横隔神経を電気刺激し、横隔膜を収縮させることで患者の呼吸を補助し、人口呼吸器からの一時的な離脱を可能とすることを目的とする横隔神経電気刺激装置です。
 本品目の使用成績評価の要否につきましては、平成29年8月の当部会で御審議いただきまして、調査期間は準備期間6か月、症例登録期間2年、追跡調査期間1年及び解析期間6か月の計4年間とし、全症例を調査対象とすることとなっておりました。
 本品は平成29年10月10日に製造販売承認を取得したため、本来であれば令和3年10月9日までが調査の予定でしたが、保険収載まで約1年11か月を要し、調査の準備に相当の時間が掛かったこと、また本品の適用対象である人工呼吸器に依存する頸髄損傷や中枢性換気症候群は希少疾病であることから、十分な患者数の登録ができておらず、今般、調査期間の延長についてお諮りするものでございます。
 資料2ページをお願いいたします。準備期間は実際に要した1年11か月とし、これは当初の予定よりも1年5か月の延長となります。症例登録期間はこれまで登録された症例数や適用対象の希少性、新型コロナウイルス感染症の発生の影響等を考慮し、当初の2年から5年の延長となります。追跡調査期間は当初と変更なく1年、解析期間は当初の6か月から短縮し3か月とし、計4年2か月の延長、合計8年2か月の調査期間とすることといたしたいと思います。
 以上の延長により、当初指定の際に想定された症例登録の見積り10例程度を登録、評価することが可能と考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ただいまの議題4について、委員の方々から御質問、御意見等、いかがでしょうか。
○宮川委員 これは延長することによって、2ページの中段に書いてありますけれども、今までの時点での到達度というか書いてあるのですが、それなりの例数が集まると考えればよいのでしょうか。ここまですれば、コロナ禍であるとかそのような状況を勘案しても、ある程度集まると考えるのでしょうか。将来再延長とかそうなることはないでしょうということで了解してよいのでしょうか。いつもこう思うのですけれど、そういうことがあり過ぎるのは困ります。実際にこういうものをどのように考えているのかをお聞きしたわけです、よろしくお願いいたします。
○事務局 当初は2年間の症例登録見積り10例程度だったというところが、現時点で2年たったところで、2、3例しか登録ができていないところですが、昨今の状況などが少し落ち着けば、もう少し症例登録が進むのではないかと考えると、あと3年行えば当初の目標の10例程度には到達するのではないかと考えております。
○宮川委員 その到達がなくてもきちんとした結果をしっかりと提示する、それ以下であっても報告は出すのが本当なのです。出さないでまたそれを更に時期だけ延長していくというのはまかりならんと思いますので、是非ともそこは、期限を切ったら期限を切って、その例数であったらその例数でしっかり出していただくのが本当であろうということだけは御理解いただければと思います。
○荒井部会長 頭打ちというか、どこまでで年数を区切らなくてはいけないとか、そういう条件はあるのですか。かなりの安全を見込んで期間を長めに設定をしておくという方法もあれば、このくらいならできるだろうといった期待も含めて短めに設定する方法もあるわけで、この点に関してのルール的なものは何かあるのですか。私が知らないので教えていただきたいのですが。
○事務局 そこについては何か決めるときのルールはございませんけれども、やはり事前に、大体何施設でどれぐらいの症例が入ってくるというところから、見積りを取って決めていくというところになります。
○医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。事務局から説明があったとおりで、長めに取ろうとか短めにとかいうようなことを考えて設定しているわけではないということだとは思います。
 実際現場で使い始めたときに、これはいいから使おうと思って使ってくださる先生がいるパターンもあれば、ちょっと他の治療法の方がいいと思って、なかなか使わないような、要するに実際に現場に出て使っていただく段階でのいろいろなその頻度、使用度みたいなところの影響もやはりあると思うので、どうしてもそこは見積りどおりにいかないことがあることは御存じのことだとは思いますけれども。
○宮川委員 課長のいうとおりです。だから何を言いたかったのかというと、有効でもないのにかかわらず、登録の方だけがずっと進んでしまうということは患者さんにとってよくないわけですよね。ですからきちんとした結果を中間報告でもいいのでしっかりと出して、だからこそ延長していきたいとか、有効であるからこそ、このようにしたいのだとかいう具体的な報告無しに、単にいつも延長、延長というようなことが理解できません。登録の例数についての議論が空虚の形での審議があるので、それはちょっといかがかなと思います。そういう意味では患者さんのためにこのような定めがあるわけですから慎重にしていただきたいと考えます。ですから、そこのところの指標は何らかで出していただきたいとは思います。
○医療機器審査管理課長 やはり目標というのは定める必要があるかと思いますので、その範囲でまず頑張るというところは大事だと思いますし、その結果について、適時適切に御報告することは先生の御指摘のとおりだと思います。
○医療機器審査第二部長 調査を行うときに年次報告を頂くことにはなっているのですが、余りにも現状の例数が少な過ぎて解析に値しないということで、まだ不十分の例数しか集まっていないのが現実になります。
○宮川委員 これは人工呼吸に依存する患者さんの呼吸補助に役立つのであれば、2例でも3例でもその実績としてどのようになっているのか現状ではっきり分かるはずなので、臨床現場としては答えを出すべきだろうと思います。
○荒井部会長 臨床試験の登録と同じで、開始の時は読み切れないところがあるし、始めてみたら読みとは違うこともあるかと。多分、宮川委員が一番心配されているのは、今回延長してまた次のときに、やっぱり足りないからという、そういう何を目的にやっているのか明確でないフォローアップの仕方だと思われます。実際にはなかなか難しいところもあるでしょうが、今の御指摘はかなり重要だと思いますので、今後のフォローアップ期間の設定にあたっては、今の御指摘も踏まえ考えていただければと思います。その他に御意見よろしいでしょうか。それでは議決に入らせていただきます。医療機器「NeuRx 横隔膜ペーシングシステム」の使用成績評価は、期間を変更です。8年2か月と延長することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は分科会にて報告させていただきます。これで議題4を終了いたします。
 続いて、議題5、医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定並びに特定保守管理医療機器の指定の要否について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料5を御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見を聞いて、新たに一般的名称を新設することとなります。今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要と考えられるものが3品目ございます。1ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は、「再製造中心循環系血管内超音波カテーテル」です。本名称の定義は、「超音波を用いて中心循環系血管内を診断するカテーテルをいう。カテーテル先端近位部に超音波を受発信するトランスデューサを備える。本品は再製造単回使用医療機器である。」です。本品はクラスIVの高度管理医療機器に指定されるべきものであると考えております。また、本品は保守点検を行う必要がある医療機器ではないため、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。
 次に3ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「コラーゲン使用吸収性腱再生材」です。本名称の定義は、「腱組織の再生を促進させる目的で、被覆等によって患部に適用される吸収性材料で、コラーゲンを含有するものをいう。」です。本品はクラスIVの高度管理医療機器に指定されるべきものであると考えております。また特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。
 続いて、7ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「家庭用鼻腔粘膜保護材」です。本名称の定義は、「抗原等から鼻腔の粘膜を保護する吸収されにくい材料で、長期に使用するものをいう。」です。本品はクラスIIの管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定は不要と考えております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ただいまの三つの品目につきまして、委員の方々から御意見、御質問いかがでしょうか。かなり毛色の違うものばかりですけれども、よろしいですか。御意見、特にないようですので、議決に進ませていただきます。三つございます。再製造心腔内超音波カテーテルを高度管理医療機器と指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 次に行きます。コラーゲン使用吸収性腱再生材を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 最後の一つです。家庭用鼻腔粘膜保護材を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は分科会にて文書報告をさせていただきます。これで議題5を終了いたします。
 続けて、議題6、医療機器の使用成績評価の報告を事務局からお願いします。
○事務局 議題6、医療機器の使用成績評価結果について御報告いたします。資料6を御覧ください。本日の資料ですが、事前に御送付させていただいておりました使用成績評価報告書に加え、資料の1枚目に医療機器使用成績評価確認等結果通知書を追加したものをお配りしております。なお事前にお送りいたしました使用成績評価報告書の内容に変更はございません。それでは内容について御報告いたします。販売名は「Revive SE 血栓除去デバイス」、申請者はジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社です。本品は原則として発症後8時間以内の急性期の脳梗塞において、組織プラスミノーゲンアクチベーター(t-PA)の経静脈投与が適応外、又はt-PAの経静脈投与により、血流再開が得られなかった患者を対象とし、血流の再開通を図るために使用するものであり、平成28年1月5日に承認されました。本品の使用成績評価は臨床使用実態下における不具合事象の状況を把握すること、及び安全性と有効性に影響を与えると考えられる要因を把握し、本品のより適切な使用を図ることを目的として実施されております。調査期間中に234例が登録され、最終的に221例が90日間追跡されました。医療機器の不具合発生、安全性及び有効性について確認したところ、健康被害を伴う不具合は報告されず、国内臨床試験時と比較して重篤な有害事象の発現傾向に大きな差異は認められませんでした。また有効性についても、特段の対応が必要となる問題点は認められませんでした。
 以上より、本品の使用成績評価結果の区分は、薬機法第23条の2の5第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要はないと判断しております。以上御報告いたします。
○荒井部会長 ただいまの事務局からの御説明につきまして、委員の方々から御質問、御意見いかがでしょうか。特に御意見ないようですが。
○梅津委員 細かいことですが、表の題名は一般的には表の上の方に付けるものです。表1の表記はちょっとまずいかなと思いまして。3ページです。
○荒井部会長 本当ですね。
○事務局 修正いたします。
○荒井部会長 そのほか、委員の方々、御意見よろしいでしょうか。ちょっとこの表1はよく分からないな、前のページでも跨がっているので。細かな御指摘ですが、でも、大事なことですので御検討ください。そのほかよろしいでしょうか。これは報告ですので、特に御意見がなければこれで議題6は終了とさせていただきます。
 大変長くなりましたけれども、本日の議題は以上です。事務局から連絡事項ございますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 先生方におかれましては本日も御多忙の中遅い時間まで御参加いただきまして、誠にありがとうございました。次回の部会につきましてはまた後日、事務局より詳細御連絡させていただきたいと思います。連絡事項は以上です。
○荒井部会長 毎回、次回の部会はフェイストゥーフェイスでやりたいとずっと申し上げながら、むしろ段々とWebの方向にきている状況です。次は12月16日ですから3か月先になりますけれども、くどいようですが、私としてはできればこの大事なディスカッションは顔を合わせながらお話できればと願っております。どうぞ皆さまも気を付けていただければと思います。それではこれを持ちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 大原(内線4226)