2021年11月4日 第14回高齢者医薬品適正使用検討会議事録

医薬・生活衛生局

日時

令和3年11月4日(木) 10:00~12:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター ホール14A(オンライン会議会場)
東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング

議題

  1. (1)今年度の中間報告について
  2. (2)高齢者事業における今後の取組みについて
  3. (3)その他

議事

議事内容
○医薬安全対策課長 少し遅れましたけれども、第14回高齢者医薬品適正使用検討会を開会いたします。本日御出席の先生方におかれましては、御多用のところ御出席いただきまして、どうもありがとうございます。本日は、構成員19名中16名の出席をもって検討会を開催させていただきます。本日の検討会は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Web開催としております。一般傍聴は制限させていただき、報道関係者の皆様に限り傍聴を可としておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。議事録については、後日、厚生労働省Webサイトに掲載いたします。
本日はWeb開催のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、議事に先立ち、進行方法について事務局より説明いたします。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問を賜る際にはミュートを解除し、はじめにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なったりした場合には、座長から順に発言者を御指名いただきます。
会議中、マイクの調子が悪くなった場合等は、メッセージに御意見をお願いする場合があります。その他、システムの動作不良等がありましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。また、もし事務局のサーバーがダウンする等のトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールにて御連絡申し上げる場合がありますので、その際は御確認をお願いいたします。御不便等をお掛けする場合があるかもしれませんが、何とぞ御理解のほど、よろしくお願いいたします。
それでは、これ以降は議事に入ります。以降の進行については、座長の印南構成員にお願いいたします。印南先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○印南座長 印南です。座長を務めさせていただきますので、皆様には円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。今回もオンライン開催ということで、事務局から説明がありましたが、これまでの説明について御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。私から1つお願いですが、複数の手が同時に挙がった場合は私から指名することになっていますけれども、私の画面を見てもどなたが手を挙げているか、よく分かりません。ですので、画面は幸い委員の方は全部見えていますので、御発言を求めるときはこのように手を挙げていただくと一番分かりやすいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入る前に、構成員に交代があったとのことですので、事務局より紹介してください。
○事務局 それでは、御紹介申し上げます。熊谷構成員が退任され、新たに公益社団法人日本看護協会の井本寛子先生が就任されております。井本寛子先生、どうぞよろしくお願いいたします。
○井本構成員 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。また、本日は議題(1)として、今年度事業の中間報告がありますので、各採択医療機関の先生方にも御参加いただいておりますことを御案内申し上げます。以上です。
○印南座長 それでは、議事を進めてまいります。はじめに、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料を確認いたします。資料については、あらかじめメールにてお送りさせていただいております。順に確認させていただきます。まず、議事次第と配布資料一覧、開催要綱、資料1-1から1-4まで、資料2、参考資料が1から3まで、以上です。不足等がありましたらお知らせください。
○印南座長 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。議題(1)は、「今年度事業の中間報告」です。まずは、事務局から本議題の進め方等について説明をお願いいたします。
○事務局 よろしくお願いいたします。資料1-1に基づき、御説明いたします。資料の2ページを御覧ください。令和元年度に実施したアンケート調査により、ポリファーマシー対策における現状の把握と課題の抽出を行ったところ、ポリファーマシーに関する理解は一定程度進んでいる一方で、ポリファーマシー対策が十分に進んでいない、好事例施設のような先進的な取組をそのまま実施施設へ展開することは難しい面もあるといった実態が分かりました。これらの課題を解決するためのツールとして、令和2年度にポリファーマシー対策の取組を始める際や、業務運用体制を体系的に構築、運営する際に役立てていただくための業務手順書、様式事例集である「病院における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」を取りまとめました。今年度は、この業務手順書等を実際にモデル医療機関で運用し、業務手順書等の有効性と課題を確認するとともに、モデル医療機関での取組結果を、学会発表等を通じて周知することにより普及啓発を行うこととしております。
資料の3ページを御覧ください。現在、公募により、3つのモデル医療機関で事業を実施しております。本日は、これら3つのモデル医療機関それぞれに、取組状況の中間報告をしていただきます。3つのモデル医療機関は、藤田医科大学病院、国立がん研究センター中央病院、三豊総合病院であり、藤田医科大学病院と国立がん研究センター中央病院は、ポリファーマシー対策を新たに導入した施設、三豊総合病院は、既にポリファーマシー対策を実施している施設です。
資料の4ページを御覧ください。本議題である中間報告の進め方については、1医療機関当たり15分程度で御説明いただき、その後、質疑応答を10分ほど行います。なお、御説明で13分経過したらベルを1回、15分経過したらベルを2回鳴らしてお伝えいたします。3医療機関の報告が終わりましたら、取組を通して見えた業務手順書等の実用性と課題の確認、各モデル医療機関が取り組むべき内容及び必要な事項等の確認について、意見交換を10分ほど行います。説明は以上です。
○印南座長 それでは、まず藤田医科大学病院から、波多野先生より説明をお願いいたします。
○波多野先生(藤田医科大学病院) 藤田医科大学病院の波多野と申します。画面を共有させていただきます。画面、共有できていますか。
○事務局 大丈夫です。
○波多野先生 ありがとうございます。では、進めさせていただきますが、よろしいでしょうか。
○事務局 お願いいたします。
○波多野先生 改めまして、藤田医科大学病院の波多野と申します。本日は、よろしくお願いいたします。中間報告について報告させていただきます。はじめに、当院の概要についてお伝えいたします。当院は、許可病床数1,376床、標榜科はこちらにお示しするとおり25科、病棟数47病棟の大病院です。新規入院患者数が月に2,600人ほど、日換算にしますと約100人毎日入院してくるというような状況で、平均在院日数も13.4日で、短期入院が大多数を占めますので、実質的に1週間以内程度で退院していく患者さんが大多数を占めるというような状況です。
当薬剤部の概要ですが、薬剤師も相当数所属しております。全部で128人です。だが、うち病棟に携わる薬剤師は、その半数の63人です。専従として病棟に従事している薬剤師はごく少数で、多くは1日3時間程度の病棟時間が与えられているのみです。薬剤管理指導件数としては、年間で約4万件、月当たりにしますと3,000ちょっとという件数ですが、先にお話ししたとおり入院患者数が非常に多いため、業務の大部分を入院時の持参薬チェックに取られているというような状況で、一部の抗がん剤などのハイリスク薬の対応を除いては、ほとんど、入院中の経過を薬剤師が十分にフォローするというのがなかなか難しい状況にあります。
そのような中で、今回のポリファーマシー業務実施方針ですが、ポリファーマシーに関しては、病院全体での組織的な活動というのはこれまで実施されていません。薬剤総合評価調整加算に関しては、2019年度より算定を開始しておりますが、担当薬剤師個別の裁量に任せられており、年間で2020年度は46件です。内訳を御覧いただくと分かりますように、腎臓内科31件、精神科14件と、特定の診療科、病棟薬剤師に限定されているという状況です。
本業務実施前に、病棟薬剤師全員にアンケートを取った結果です。これまでに薬剤総合評価調整加算を実施したことがあるかという問いに対し、「はい」と回答した者は2割程度にとどまっております。
その障壁となっている事柄については、算定経験なし36人の中で最も多いのは、人員不足であったり時間的制約といったところが最も多く挙げられております。一方で、算定経験ありの10人に関してはそういったものではなく、実際にやってみて医師が自科以外の処方薬を調整しにくいとか、病態全体をとらえることが難しいという知識的な面を障壁として挙げるケースが多いという印象です。
そこで今回、業務手順書における課題の確認と、それに対応して挙げた実施事項6項目についてお伝えしていきます。
作業計画、スケジュールです。まず1つ目、持参薬評価報告書の改訂です。従来、こちらでお示ししていますとおりの内容を評価報告書に記載しておりましたが、今回、薬剤総合評価に関わるスクリーニング基準、65歳以上、内服6種類以上、推定入院期間2週間以上というものを定量的なものとして、更にそこからこちら6項目に該当するようなものを担当薬剤師が総合的に判断し、処方の見直しの必要性がありとした場合にカンファレンスを実施するという体制を構築いたしました。
続いて、薬剤部ポリファーマシー対策チーム設立と病棟薬剤師の連携についてです。先ほどお示ししました持参薬評価報告書に基づき、薬剤師が初回面談をした際に患者スクリーニングを行います。こちらで上がってきた患者さんに対し、薬剤部内のポリファーマシー対策チームにてカンファレンスを実施いたしました。週に1回30分程度です。こちらで検討された内容については、病棟薬剤師にフィードバックをして、各病棟において多職種での協議・患者さんの意向を確認して処方見直しにつなげるといった流れです。さらに、この処方見直しの過程で何らかの有害事象が発生した場合は、ポリファーマシー対策チームにも情報が共有され適宜検討を行っていきます。最後に、退院指導において処方変更の内容と共に、お薬手帳の有用性をしっかり患者さんに説明するというような流れを計画しています。
こちらが薬剤部ポリファーマシー対策チームの概要です。主に薬剤総合評価調整加算の算定実績のある薬剤師、腎臓内科と精神科の薬剤師を主軸として、今回新たに算定実績の全くない整形外科の薬剤師を追加として加えました。また、ほとんどの病棟は主担当、副担当という形で2人体制になっている所が多いのですが、主担当だけでなく若手の副担当をこのカンファレンスに交えることで屋根瓦式の教育体制を確立するというのももう1つの目的として挙げております。
3つ目、医療専門チームと病棟薬剤師の連携です。院内の緩和ケアチーム及び認知症ケアチームとの連携を検討しています。こちらはそれぞれ週に2回のカンファレンスを行っておりますが、この際に処方見直しの対象となる患者について協議された場合は、担当する病棟薬剤師に院内メールにて情報をフィードバックし、その薬剤師から主治医と処方見直しを検討していただき、処方見直しにつなげるというような流れになります。
4つ目に、院内在宅訪問薬剤師と薬剤部ポリファーマシー対策チームの連携ですが、原則的に在宅訪問薬剤師は独立して動いておりますので、通常は直接主治医と処方の見直しについて協議をしておりますけれども、必要に応じてポリファーマシー対策チームのカンファレンスに上げていただき、検討を行うというような体制にしております。
5つ目、病棟薬剤師のスキルアップについてです。算定実績からも分かるように、当院ではポリファーマシーに対する知識や経験が全般的に不足しておりますので、病棟薬剤師全体のスキルアップを目的にポリファーマシーに関する研修会の開催であったり、院外の研修会への参加を促進することを目的としています。
6つ目のポリファーマシー対策に関する資料の取り揃えですが、こちらにお示ししております「高齢者の医薬品適正使用の指針」や、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を薬剤部内のネットワークで閲覧可能にするほか、「特に慎重な投与を要する薬物リスト」については、院内イントラネットを利用してカルテ端末から閲覧可能とするように準備中です。作業体制はこちらにお示しするとおりです。時間の関係上、割愛させていただきます。
作業スケジュールです。おおむね全体的に後ろ倒しになっておりますが、前段的には進んでおります。細かな進捗については次に御説明させていただきます。1つ目の持参薬評価報告書の改訂の進捗です。6月の時点で計画どおりの報告書の改訂は済んでおります。また、7月時点で電子カルテ上に正式リリースしており、その評価報告書に基づいて薬剤部ポリファーマシー対策チームにてカンファレンスを実施しております。今後、使用感については適宜情報収集中です。また、これは当院の安全管理との検討中になるのですが、転倒・転落防止のためにベンゾジアゼピン系薬剤の服用有無について、を追記したらどうかという意見が上がっておりますので、こちらについては検討中になっております。
2つ目のポリファーマシー対策チームと病棟薬剤師の連携ですが、こちらも予定どおりカンファレンスは開始しております。対象診療科を全診療科にしてしまうととても収拾がつかないので、今年度は腎臓内科・整形外科・精神科に限定して試行しております。7月から9月のカンファレンスで9回実施し、計88症例に対して検討しております。こちらの業務内容については、当院の倫理指針において承認を得られておりますので、学会発表で報告させていただく予定です。
今回のポリファーマシー対策チーム介入前後のアウトカム評価です。薬剤総合評価調整加算の算定件数は、昨年度の同時期に比べ7件から20件と増加傾向にあります。特に、整形外科に関しては、昨年度0件からの11件ですので、対策チームの介入効果はあるのではないかと考えております。また、対策チーム介入による加算算定率26.3%、4人に1人は加算につながっております。トライアルですので、これが多いのか少ないのかはまだ分かりかねているところですが、どうしても急性期病院という所では、検討したはいいがなかなかそこまでつなげられていない事例も一定数あるというのは事実です。また、御参考までに、今回は高齢者の事業ですが、若年者を含めても9件から39件と大幅に増加しておりますので、実際に若年者に対してカンファレンスをしているわけではないのですけれども、うまい具合に相乗効果が得られているのではないかと考えています。
今後の方針としては、引き続きカンファレンスを継続してデータを収集いたします。今回は3診療科に絞っておりますが、それ以外における患者スクリーニングの状況を調査する予定です。また、算定件数以外にも経済性の評価についても今後、算出していく予定です。
3つ目、医療専門チームとの連携ですが、これはちょっとイレギュラーな事態が結構あって、8月から一応、連携業務開始ということで計画していたのですけれども、緩和ケアチーム、認知症ケアチームそれぞれで薬剤師の退職・休職に伴って担当者変更があった点と、コロナ禍によって、そもそもラウンド業務自体が縮小してしまったため、現状ではなかなか連携業務が進んでおらず、緩和ケアチームと精神科病棟で連携した1症例があるのみになっております。不測の事態ですので、現状ではこの連携業務を継続する方針になっております。
4つ目の院内在宅訪問薬剤師との連携についても、これもなぜか主担当をしていた薬剤師が退職してしまい、それに伴って新体制を構築しなければならないということで、薬剤部の方針として原則新規患者は受け入れない方針となってしまったため、来年度より本格稼働というような方針になっております。今後としては、一応、現行患者を対象として連携業務は継続いたしますが、来年度に向けて院外の調剤薬局さんを対象に啓発活動、勉強会の開催などを検討しております。
5つ目、病棟薬剤師のスキルアップです。現時点でキックオフ研修会として、国立長寿医療研究センターの溝神先生にWeb講演会をお願いして、10月30日まで配信をしておりました。また、院外研修会として、日本老年薬学会への参加を計画していたのですが、契約期間外ということで事務局から認められませんでしたので、代わりに医療薬学会への参加で代替しております。また、院外関連施設との合同Web研修会を、まず1回目として、9月中旬に当臨床薬剤科の水野より、入門講義を院外の調剤薬局さんと若手薬剤師を対象に実施しております。こちらに関しては2回目として、私から「精神科領域におけるポリファーマシー対策について」を11月中旬に開催する予定です。最後に、クローズド研修会(事例報告等)を取りまとめて発表する予定になっております。
ポリファーマシー対策に関する資料の取り揃えですが、指針とガイドラインに関しては、ネットワークで閲覧可能になっております。薬物リストについては、院内イントラネットを利用することに関しては許可をもらっておりますが、院内用にフォーマット調整が必要と言われておりますので、そちらの整備中になっております。
5つ目の普及啓発活動予定です。業務手順書等の学会報告については、アジア臨床薬学カンファレンス、国際学会ですが、こちらで薬剤部ポリファーマシー対策チームの有用性全体のものと、さらに整形外科に関して細かく見たものの2演題を発表する予定になっております。また、ポリファーマシー症例に関するプレアボイド報告も、成果物として報告する予定です。
最後に、現時点での業務手順書の有効性と課題についてです。実際に今回、業務手順書を基に計画を立てて進めていきましたが、スタートアップツールとして、はじめの所にも書いてありますけれども、業務の大枠を構築するためにとてもやりやすかったという印象を持っています。といいますのも、今回この事業のお話を受けてから準備するまでに約1週間しかなかったのですが、その中でできることを進めていく上で、例えば院内の現状を把握するためにアンケートを実施したりとか、担当者を決めて小規模というところで、まずは病院全体でやるのが理想なのですけれども、薬剤部内に対策チームを設立してやってみようとか、スクリーニングを明確にするために評価報告書を改訂するなどというところを業務手順書に沿ってやっていくと、ある程度の大枠は作れるのではないかなと感じています。
今後の課題ですが、特に急性期病院だからかもしれませんが、根本的な人員不足というのは、当然ですけれども手順書で対応するのは難しいなと思っており、今回こういった事業のお話を頂いていますので、補助員をポリファーマシー対策のために特別雇用したりとか、スクリーニング機能を併せ持つ何らかの薬剤情報管理システムの導入等を今後検討しております。以上です。ありがとうございました。
○印南座長 どうもありがとうございました。内容について、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。お三方の3医療機関のプレゼン全体が終わった後に時間を設けておりますので、そのときにでも構いません。ただいまのプレゼンに対しまして、何か御意見、御質問がありましたらお願いします。
○秋下構成員 よろしいでしょうか。秋下ですが。
○印南座長 はい、お願いします。
○秋下構成員 秋下と申します。発表をありがとうございました。聞こえておりますでしょうか。業務手順書、特にスタートアップツールを有効に活用していただいて、迅速に立ち上げていただいたのは大変うれしく思っております。私が気になったのは、薬剤部以外の関与というのがよく見えなかった点です。これは、最初なのでできていないのかどうか、特に医師、看護師などの院内多職種が関与することがこの手順書でも求められている点ですし、昨年度改定されました薬剤総合評価調整加算では、多職種によるカンファレンスを行うことが要件です。藤田医科大では、今のお話を聞く限りは、薬剤部だけでカンファレンスをされているようにお見受けしたので、ちょっと気になったのですが、その点はいかがでしょうか。
○波多野先生 ありがとうございます。おっしゃるとおり、カンファレンス自体を多職種でやるということはもちろん理想で、それを目指すべきところとして今後の課題として検討はしております。ただ、今回、余りにも時間がなかったものですから、病院全体で取り組むということがなかなか準備期間を設けることができませんでしたので、まずは薬剤部内で患者スクリーニングとカンファレンスをして、そこで情報をしっかり精査をして、その情報を病棟薬剤師にお伝えすることで、要はポリファーマシー対策チームが病棟薬剤師のバックアップ体制という形になりますが、実際の多職種協議に関しましては、病棟薬剤師が病棟で医師と看護師と、必要に応じてほかのコメディカルの方と協議をして、処方の見直しにつなげるという流れで、今回はやむを得ずと言えばやむを得ずなのですが、そういう体制で計画を立てた次第になります。
○秋下構成員 分かりました。では、各病棟で病棟薬剤師を中心にミニ多職種カンファレンスをされているという位置付けで、その記録をしっかり取っておいていただいて、さらにそれを薬剤部にきちんと上げていただくことも分析には必要かと思いますので、その点もお願いできればと思います。
○波多野先生 ありがとうございます。
○印南座長 ほかの先生方、御質問、御意見等いかがでしょうか。
○池端構成員 池端です。よろしいでしょうか。
○印南座長 お願いします。
○池端構成員 日本慢性期医療協会の池端です。御発表ありがとうございました。特に平均在院数が7日間程度ということで、非常に短い入院の中での、このポリファーマシー対策は非常に難しかったのではないかという気もしておりますので、御発表ありがとうございました。2点お伺いしたいと思います。まず1点は、逆に言うと、大学病院等の非常に診療科が多い所では、いわゆる複数診療科を受診されていて、それがポリファーマシーの要因になっていることが結構多いのではないかと思いますが、それは逆に地域の医療機関から見ると、急性期病院等の複数科のポリファーマシーに対しては、なかなかこちらも手を出せないところもあり、その辺は逆に、そういう入院をチャンスに対策していただけると非常に有り難いと思いますが、今回、3つの診療科ということですから、複数にまたがった外来患者さん等に対する対応のケースがあったかどうか、もしあればお伺いしたいと思います。
もう一点は、手順書は非常に有用だったとのことですが、ガイドライン等も一応御参考にされたと思います。そのガイドライン等について、何か、ここをもう少し詰めるといいとか、感想等がありましたらお聞かせいただけると有り難いです。以上です。
○波多野先生 まず1つ目の複数診療科につきまして、確かに御指摘のとおり、大学病院内で複数診療科に受診しているケースも多々見受けられます。これも今後の課題にはなってしまうのですが、やはり診療科同士のマスコンタクトという言葉が適切かどうか分かりませんが、なかなかこちらでうまく提案ができなかったというのもありますが、他科の薬なのでちょっと今回はやめておきますといったお返事もそれなりに多く見受けられました。逆に大学病院の急性期の治療ですので、治療上、もうこれは減らさないとしょうがないというケースもありますので、そういう状況下であれば複数科にまたがっていても、以外とすんなり減らせるケースもあったのは事実になります。
それよりも個人的に気になったのは、大学病院内というよりは、院外の病院を複数受診されているケースのほうがポリファーマシーになっているのが多い印象ではあります。こちらに関しては、逆に忖度が働かないのか、主治医の先生にお伝えすると、すんなり薬を減らせるケースが多かったように思います。
もう一点のガイドラインに関しましては、本当に申し訳ないのですが、うちの薬剤部に、なかなかポリファーマシーという意識が今年のこの事業が始まるまでは本当に根付いていなくて、実績のとおり、腎臓内科と精神科の担当者ぐらいはこのガイドラインを知っていたというぐらいのものですので、まず、周知させるというところがスタートになっていました。中身としましては、リストに関しては、余りよく分かっていないというのは語弊がありますが、薬剤師に伝えるときに、これを使っては駄目なのではないかと思われがちなのが、ちょっとそこをうまく、絶対に使ってはいけない薬ではないのだということを周知するのが、ちょっと二度手間ではないですが、なかなか伝わりにくかった印象は受けています。以上です。
○池端構成員 ありがとうございました。
○印南座長 よろしいですか。ほかの先生方、いかがでしょうか。
○平井構成員 すみません。平井ですが、よろしいでしょうか。
○印南座長 お願いします。
○平井構成員 よろしいですか。御発表ありがとうございます。こういう大学病院で、院内在宅訪問薬剤師というのは珍しいのではないかと思うのですが、例えば、この方の主治医はやはり大学病院の先生が主治医ということですか。
○波多野先生 在宅訪問も2年ほど前から立ち上げた事業で、ある程度、軌道に乗ったところで担当者が辞められたところがあるのですが、基本的にはうちで薬を出している患者さんのみが対象になりますので、どなたか主治医が院内にいて、それ以外にクリニックにもかかられている方がほとんどです。
○平井構成員 ということは、超急性期の病院なので、退院後のフォロー的な役割ということですね。
○波多野先生 退院後のフォローから地域の在宅をされている調剤薬局さんへの橋渡しが主目的になります。
○平井構成員 それはすごくこれから必要なことではないかと思うので、是非、進めていただければと。また、いろいろ教えていただきたいと思います。ありがとうございます。
○波多野先生 ありがとうございます。
○印南座長 ほかに。
○橋場構成員 橋場ですが、よろしいでしょうか。カンファレンスなのですが、大体、1回に10症例ぐらい検討されているのかと見ているのですが、こちらを30分でやるということの感想というか、この程度でいいのか、もっと時間が欲しいのかというところの御感想を頂ければと思いました。よろしくお願いします。
○波多野先生 御質問ありがとうございます。個人的な正直なところを申しますと、なかなか時間的には厳しいです。おっしゃるとおり、平均すると7、8人ぐらいになるとは思うのですが、それを30分で、先週までの振返り等も含めますと、実質10人以上は検討をしておりますので、掛けられる患者さんは、その挙げられた中でも、すぐ終わるものと時間を掛けないといけないものとの見極めがなかなか難しくて、ただ、回数を重ねるごとに、症例を挙げてくる担当者の中で、ある程度こうしますという方針ができてからのカンファレンスになっていくことが多いので、最初の頃は時間いっぱいというか超過することも多かったのですが、ここ最近は、カンファレンスの準備のスキルが上がったのか、スムーズにいくようにはなってきています。ただ、それでも、もう少し時間が欲しいのは正直なところです。
○橋場構成員 ありがとうございました。
○城守構成員 城守ですが、よろしいでしょうか。
○印南座長 お願いします。
○波多野先生 お願いします。
○城守構成員 よろしいですか。今回のこの事業なのですが、ポリファーマシー対策を進めるということで、スタートアップツールを各医療機関で使って、その効果、検証をするということだろうと思うのですが、冒頭の秋下先生の御質問にもありましたが、そもそも、お薬の処方をするのはドクターですし、一番この事業で大事なのは、この資料の8ページにありますように算定の障壁になっている、この算定もこれは薬剤師の方から見られた算定の障壁ということですが、本来は、この加算は処方する医師が意識をして算定をする立付けになっているはずですから、そういう意味においては、この算定の障壁になっているという分析が何よりも大事ということになろうかと思うのです。それで、このファクターを、事前にこちら側で決めていて、それに基づいて○を付けた形のアンケートにしたのか、それとも自由記載にして、そのファクターをこうしたのかというのを少しお聞きしたいのですが、まあ、それは小さなことでよろしいのですが。これに関わるのは薬剤師さんとともにやはり医師ですね。ですので、今回はお時間がなかったということですから、薬剤部から見た分析という形になっていますが、病院全体でこのポリファーマシーの対策を進めるということを考えますと、やはり、医師をターゲットにして、なぜそれができないのか。まずはポリファーマシーということを知っているのかとか、そういうところから調査をされないと、具体的にこのポリファーマシー対策が進むということはなかなか難しいのだろうと思います。池端先生が御質問されました複数科の問題に関しても、やはりこれは医師独特の問題でもありますので、その辺り、今後改めて病院全体で、このようなアンケートというか対策に関しての調査をされる御予定があるのかどうかをお聞きしたいと思います。もう、それだけでいいです。
○波多野先生 ありがとうございます。一応、今年度の業務の実績をもって病院全体に拡大できるか、また、とはいえ、いきなり全診療科というのはなかなか難しいので、ごく一部の診療科に限定しているとは思いますが、本当の意味で、多職種でポリファーマシー対策ができるように、今回の実績のもとに上に挙げていく予定で考えております。以上です。
○印南座長 よろしいでしょうか。ほかの先生、いかがでしょうか。
○秋下構成員 もう一度、秋下ですが、よろしいでしょうか。
○印南座長 はい。お願いします。
○秋下構成員 とにかく、やはり医師が絡まなくてはどうしようもない問題でありますし、今、城守先生から御発言があったとおりなのですが、そして、最終的には病院全体にこのポリファーマシー対策が必要であることをきちんと普及していただくことも役割だと思っていますので、年度内に少なくとも院内の勉強会はやっていただきたいと思います。勉強会というのは、薬剤部がこういうことをやっているよとか、これまでのデータ、今日お示しになったようなデータを、こういうことをやればうまくいくのだということを、病院長名で、関係する診療科から必ず医師が1名は出るようにとか、それも病棟の責任者のような立場、あるいはその代理の方が、それぐらいの強制力を持ってきちんと研修会をやっていただいて、まず、どんなものなのか、こういう問題があるよということを、まず知っていただきたいと思いますので、是非よろしくお願いします。コメントになります。以上です。
○波多野先生 ありがとうございます。
○美原構成員 よろしいですか。
○印南座長 はい、お願いします。
○美原構成員 全日病の美原です。今、お話がありましたが、これは大学病院ですよね。当院は研修医を協力型として受け入れているのですが、こちらは短期間だけ来るのですが、若い先生でポリファーマシーという言葉を知っている先生はほとんどおりません。こちらの病院に来て、ポリファーマシーのことを考えてよねとお話をするのですが、やはり教育病院、大学病院を始め、研修機関たる病院で、しっかり若い先生から、このことに関して意識付けをされることがとても重要だろうと思いました。まず今、藤田のほうでは薬剤師の若い方々にそういう意識を高めているのだと思いますが、先ほど城守先生が話をしておられるように、お医者さんがやはりしっかりしないといけないので、それは若いうちからだと、とても思います。是非、研修医の先生の段階からポリファーマシーのことについて、知識というか理解を深めるような体制を作っていくことが重要かと思いました。以上です。
○波多野先生 ありがとうございます。
○印南座長 ほかによろしいでしょうか。それでは、後にまた時間もございますので、取りあえずは、波多野先生、どうもありがとうございました。
○波多野先生 ありがとうございました。
○印南座長 続きまして、国立がん研究センター中央病院から、橋本先生より説明をお願いします。
○橋本先生(国立がん研究センター中央病院) よろしくお願いします。聞こえておりますでしょうか。国立がん研究センター中央病院の薬剤師の橋本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。当院は初めてポリファーマシーを対策する医療機関として始めておりまして、後ほど御説明させていただきますが、チームカンファレンス、本来は業務のスケジュール上は8月頃を見込んでおりましたが、ちょっと遅れておりまして、10月から今はカンファレンスを再開させていただいております。
本日の進捗中間報告の発表につきましては、実際にポリファーマシー対策チームのリーダーをやっております当院の委員の渡部より説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
○渡部先生(国立がん研究センター中央病院) よろしくお願いいたします。現在ポリファーマシー業務を担当しております渡部と申します。私より発表させていただきます。今、スライドを共有させていただきます。少々お待ちください。
今、共有できていますでしょうか。
○印南座長 はい。
○渡部先生 では、早速始めさせていただきます。まず資料23ページのスライドを御用意しておりますので、こちらを御確認いただきながらと思いますが、本日は目次に示していますとおり、1から6の内容に沿ってお話させていただきます。
では、早速ですけれども、まず当院の概要を説明させていただきます。当院、国立がん研究センターとしましては、1962年に国立高度専門医療研究センターとして設立しています。国立がん研究センターとしましては、3つの組織に分かれておりまして、当院は東京都中央区にございます中央病院としまして診療をつかさどる部門ということになります。2010年に独立行政法人化しまして、2015年に国立研究開発法人に、そして2015年に臨床研究中核病院に、そして2018年には、がんゲノム中核拠点病院に指定されております。
中央病院の病床数は578床、医師の在籍人数は現在250名、看護師は670名という組織になります。当院は、日本のがん医療の旗艦病院として、いわゆるがん専門病院として高度な医療を提供を行っていくハイボリュームセンターということになります。
こちらが当院の組織体制になります。薬剤部は共通部門の1部門に位置付けられております。そして診療部門になりますと、こちらの34診療科が実際にございますが、全ての臓器がんにおいて高度な医療を提供すべく、臓器別に、かつ外科、内科に細分化された診療科を有しております。このような診療体制となる当院において、我々は、ポリファーマシー事業を新たに展開していくことになります。我々の使命としましては、総合病院ではなく専門病院において、いかにポリファーマシー対策を遂行できるようにしていくかといった観点で業務展開を進めているところです。
こちら、薬剤部の概要です。薬剤部では、医薬品の適正で安全な使用を常に心がけ、業務を行っております。スライドの下部に、処方箋枚数を始めとする業務件数を掲載しております。薬剤部員は、出向者も含めての人数になりますが、実際に現時点で薬剤部内での業務をしている者が69名になります。当院ががん専門病院という特色がありますので、がん専門薬剤師、あるいはがん指導薬剤師等々、がん専門病院の認定資格を有している者を多く配置しているという強みがございます。
そして、薬剤部内の業務の構成を紹介させていただきます。当院は副薬剤部長3名体制の中で、それぞれ薬剤師が各部門に配置されております。一部兼務者がおりますが、各部門ともに専任のスタイルを敷いております。今回、ポリファーマシー業務で関わりますのは対人業務ということになりますので、青色で示しております薬歴管理室、こちらの部署が主に本事業を展開するということを決めて行っております。
薬歴管理室の特色としましては、診療科担当制を敷いております。入院・外来ともに、それぞれ薬剤師を診療科ごとに配置し対人業務を行っております。また、ポリファーマシー業務と関わってくる業務としましては病棟薬剤業務があり、当院では、専従部門とはしておりませんで、各部門から時間と人員を捻出しながら行っております。
ここから、当院が本事業として展開している業務スタイルをお話したいと思いますが、まずは事業開始前の体制を御説明いたします。まず、ポリファーマシー対策活動に関する実績は全くございませんでした。したがいまして診療報酬点数等の算定取得も全くございませんし、ポリファーマシー対策チームというものもございませんでした。対人業務の流れですが、病棟薬剤業務担当者が主には「入院時持参薬確認」のみを実施し、薬歴管理室配属者が実際に患者さんに服薬指導等々を含めた薬学的なアプローチを実施するという業務体制を敷いております。薬歴管理室配属者は薬剤管理指導の一環として、処方の見直しをこれまで行っておりましたが、当院の場合は、抗がん薬による副作用マネジメント支援が主となっております。そして、当院で活動実績のある診療科横断的な専門医療チームとしては、緩和ケアチーム、栄養サポートチーム、褥瘡対策チーム、周術期管理チームの4チームとなっております。
そのような現状を踏まえて、業務手順書に従い、ポリファーマシー対策を実践していく課題をピックアップし、課題解消に向け取り組んでまいりました。詳細は、こちらのスライドに示しております。課題項目のうち、現時点で概ね実施済みになっております。ただ、今後は、質的な改善を行っていく必要があるかと思います。現在抱えている課題を具体的にあげますと、患者から理解を得る方法という点でして、この点を現在調整中となります。
実施済みになりました内容について、この後、御説明させていただきます。まず、ポリファーマシー対策チームを、実際に設置いたしましたが、ゼロからのスタート、基礎的土台を作り上げていく必要があると考え、最初から全患者さんを対象にするのはハードルが高いということもありましたので、まずはモデル病棟において業務展開することとしました。モデル病棟において、チームとしての実績を積んでいきながら、今後の業務展開を考えて方針といたしました。
当院には、16棟の一般病棟があり、モデル病棟として、16B病棟を選定しました。16B病棟の編成ですが、病床数が42床あり、肝胆膵外科、肝胆膵内科、胃外科の混合病棟になります。
16B病棟をモデル病棟として展開するポリファーマシー業務の作業体制図になります。まず、管理責任者は薬剤部長といたしました。後ほど説明しますが、ポリファーマシー対策小委員会を設置しまして、薬剤部長は小委員会の委員長なりますので、このような体制図といたしました。具体的なポリファーマシー対策チームは、スライド内ピンク色の背景色で示した部分で、10月よりチーム活動を開始しております。
16B病棟をモデル病棟としましたので、16B病棟において持参薬確認を実施し、かつ薬歴管理室配属となる薬剤師を主に実働の中心としまして、総合内科医師、精神腫瘍科医師、管理栄養士、緩和ケアチーム専従看護師、そして16B病棟看護師長がチームメンバーとして加わっていただいております。16B病棟に病床を有する診療科医師・主治医にもチームカンファレンス開催時に毎回お声掛けして、参加してもらい、処方の見直しを行っていくという体制にしております。
続いて、作業スケジュールについて説明します。当初の計画では、ポリファーマシーカンファレンスの実施時期を8月頃としておりましたが、実際には10月からの開催となりました。その他は、大筋スケジュールどおりに進めてこられたと思います。
チーム体制づくりに取り掛かるにあたり、最初に行ったことは、ポリファーマシーへの取り組みを実践している医療機関での見学です。国立長寿医療研究センターに見学に行かせていただきまして、7月6日になりますけれども、実際にカンファレンスに参加させていただくとともに、チーム編成ならびに病院組織内の位置付け等々について具体的なお話を聞かせていただきました。また、診療報酬点数の算定取得について具体的な運用方法も確認させていただき、国立長寿医療研究センター様の取り組みを参考に業務を展開していくということにいたしました。
続いて、チーム活動実施前の事前調査として、16B病棟においてポリファーマシーに該当する患者がどの程度存在するかを調査した結果をお示しします。調査期間は7月の1か月間としました。調査期間内の入院患者数は91名でした。ポリファーマシーを入院時に常用薬6剤以上の服用と定義した場合、18名の患者がポリファーマシーに該当しておりました。その中で入院期間が10日以上の患者は11名であることがわかりました。仮にカンファレンスを週1回開催とした場合、1か月間で約1割の患者さんがポリファーマシーに関するカンファレンスの対象者になることが想定されました。
事前調査に加えて、ポリファーマシー対策の導入に向けて実施したことを順に説明します。まず、診療報酬点数の算定取得に向けて、医事管理課ならびに医療情報部に相談・連携しまして、電子カルテのカスタマイズに取り掛かりました。電子カルテ内に、薬剤総合評価調整加算、薬剤調整加算のシステム、退院時薬剤情報連携加算の算定システム、ポリファーマシー対策カンファレンス用テンプレートの搭載が完了しております。
具体的な運用・カルテ記載内容等の工夫についてですが、業務の流れとして、厚労省作成の業務手順書に記載されている流れに準じ、入院時に病棟担当薬剤師が行う持参薬確認からスクリーニングを始めまして、ポリファーマシーに該当する患者を対象に毎週1回カンファレンスを行い、退院時に、患者ならびに院外の医療機関・薬局へ処方見直しに関する情報提供を行うという流れにしました。
そして、患者に関する情報の把握に関する具体的な方法としては、国立長寿医療研究センターを中心に6つのナショナルセンター共同研究となる令和3年度国立高度専門医療研究センター横断的研究推進費若手研究助成「ポリファーマシー対策のための持参薬鑑別評価シート開発に関する研究」において、臨床現場で運用するシートとしてコンセンサスが得られた「持参薬鑑別評価シート」を使用することといたしました。
院外の医療機関・薬局への情報提供につきましては、日本病院薬剤師会作成の薬剤管理サマリーを基に、情報提供目的のシート作成しました。具体的な内容をスライドに載せておりますので、ご覧いただけますと幸いです。
そして、ポリファーマシー対策チームの病院の位置付け・人員体制を明確化するため活動内容を説明いたします。当院では、「ポリファーマシー対策小委員会」という名称の委員会を新規に立ち上げ、運営細則を作成いたしました。ポリファーマシー対策小委員会の設置ならびに運営細則に関して、薬事委員会にて審議の上9月に承認を受け、10月からポリファーマシー対策活動開始に至りました。
詳細に説明しますと、薬事委員会を親委員会とし、その下部組織として「ポリファーマシー対策小委員会」を設置し、小委員会の構成を、医師6名、看護部2名、薬剤部4名等々、トータル14名としました。
そして、小委員会の実働部隊として、ポリファーマシー対策チームを設置するという体制にしております。チームメンバーは、総合内科(糖尿病腫瘍科、循環器内科)医師、精神腫瘍科医師、外科系診療科医師、内科系診療科医師に加えて看護部、薬剤部、栄養管理室から人員を各部署から輩出いただいた者の総勢13名となります。
カンファレンスは原則週1回の開催とし、今年度はモデル病棟で活動していくということにしておりますが、将来の構想としては、全病棟を対象にポリファーマシーに該当する患者へ介入していける診療科横断的なチーム体制を目指していきたいと考えています。
10月よりポリファーマシー対策カンファレンスを実際に行っておりますので活動報告をさせていただきます。当院では、毎週木曜日16時に開催することとし、第1回目は10月7日開催でした。10月22日時点では、カンファレンスで議題となった対象者は11名、うち65歳以上9名でした。カンファレンスにおいて処方の見直しについて活発な意見交換ができており、実際に診療報酬算定へ結びつけることができております。具体的な数字はスライドをご覧ください。
普及啓発活動についてご報告いたします。当センターでは、患者満足度の向上及び職員のモチベーション向上を目的に、医療サービス・医療安全、経営改善、研究・情報発信、職場環境の改善といったテーマについて、毎年「QC活動」が実施されていまして、今年度のQC活動として、薬剤部は、啓発活動を目的に「おくすり減らし隊」というチーム名にて、ポリファーマシー対策チームの周知ならびに職員向けに意識調査を行うことといたしました。現在着々とQC活動の進行中でして、ただいまアンケート調査を行っている最中となります。11月末にアンケート調査結果を含め活動報告用ポスター作成の〆切となりますので、この機会を啓発活動に大いに活かせていけたらと考えております。
これまで実施してきたタスクは以上となります。そして、現時点での業務手順書の有効性と課題についてまとめたスライドをお示しします。最後のスライドになりますが、有効性につきましては先ほどお話したとおり、チームを立ち上げるまでの工程において、作業工程の手順が非常に分かりやすく、円滑にここまでチーム体制を作ることができたと思っております。また、様式事例集に具体例が示されておりましたので、運営要領や薬剤管理サマリー等々、実際にポリファーマシー対策チームに必要なツールにつきましても、作成に係る労力・時間の短縮につながったと思っております。課題につきましては、1点目は、診療報酬の算定要件等々、まだまだ我々も勉強不足な部分もありますが、算定の方法については、少し流れが分かりにくいというのが正直な感想でした。2点目は、ポリファーマシー関連の患者向け資材については、HPで自由に入手できるということですが、医療関係者向けの啓発活動に関連する資材はなく、今後、院内で本活動を普及していく上で、医療関係者向けの資材の作成にそれなりの作業時間を費やすことが想定されます。患者向け資材のようなツールが、医療者用にもあると負担軽減につながるかなと思っております。
また、薬剤師主導でチームを立ち上げる際に感じていることになりますが、自医と地域の医師との連携体制の構築が難しいというのが、今、感じている点です。患者が様々な地域から来院されているのが、当院の特色になります。患者さんは全国各地の保険薬局に当院の院外処方箋をもっていくことになり、かかりつけ医やかかりつけ薬局も多様になりますので、密な地域連携の実現は難しいというのが、現時点で感じている課題になります。以上となります。御清聴ありがとうございました。
○印南座長 どうもありがとうございました。ただいまのプレゼンに関しまして、御質問や御意見等ありましたらお願いいたします。
○秋下構成員 秋下ですが、よろしいでしょうか。
○印南座長 お願いします。
○秋下構成員 しっかりした工程を作って、そのとおりに進めていただいていてありがとうございます。きちんとできるのかなと期待いたしました。コメント2点なのですが、まず一点目、今、共有されているスライドの、診療報酬に関する情報は、業務手順書の目的ではございません。厚労省が作成したものなので、こういう診療報酬を取るための手順書ではないということは御理解いただいて、それは貴院の医事課のほうで、しっかりと対応いただければと思います。業務手順書の作成に当たってそこは我々も議論しました。それを入れるためのものではないということです。
それからもう一点は、「おくすり減らし隊」というキャッチフレーズを付けたチームは、院内の啓発目的なのでしょうし、ポリファーマシーが少し分かりにくいから、そういうネーミングを考えられたのかもしれないのですが、逆に反発を招く可能性があるのではないかなと思います。お薬を減らすことが目的ではなくて、お薬の処方内容、特に重複ですとか相互作用の観点等から、あるいはアドヒアランスの観点から見直すことが目的であって、必要に応じて、例えばがんの患者ですから、当然緩和医療に必要な鎮痛薬とかオピオイドなどが逆に追加になったりするケースももちろんあるのだと思うので、どうかなと気になりました。あくまでも私見ですけれども、一言申し上げさせていただきました。以上です。
○渡部先生 御意見いただきまして、ありがとうございます。院内QC活動では、いろいろな部署がエントリーをする中で、キャッチーなチーム名を付けることがありますので、今回、薬剤部では、そのようなネーミングにいたしました。今後の予定としては、11月末にQC活動報告ポスターの〆切となります。現在行っているアンケート調査では、「ポリファーマシーについて知っていますか?」といった内容を含め問いをいくつか用意して、職員の現状把握に努めたいと考えております。ポスターでは、ポリファーマシーの定義について、しっかり周知していけるような内容にし、減薬ではなく、患者さんにとって適正な処方なのかを見直すことの重要性をアピールしていきたいと思います。ありがとうございます。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
○池端構成員 池端ですが、よろしいでしょうか。
○印南座長 はい、お願いします。
○池端構成員 御報告ありがとうございました。ちゃんと多職種でチームを組んでやっていらっしゃるということで、非常によく理解させていただきました。その上で、2点御質問させていただきたいと思います。まずは今回、医師もちゃんとチームに入っていらっしゃるのですけれども、先ほど藤田医科大学でも話がありましたように、やはりこれは病院全体で最終的には取り組まないと、なかなか今後進めていくことは難しいのだろうと思います。例えば診療科長とか、あるいは更には病院全体の病院長とか、その辺まで、こういうポリファーマシー対策をこれから進めるのだということを、何か情報提供されているのかどうか、その辺の共有ができているかどうかを1点お伺いしたいと思います。この検討会でも、やはりトップが理解しているかしていないかが非常に大事だということが議論されましたので、お伺いしたいと思います。
もう一点は、薬歴管理室が今回は対応されたということで、全国から集まってくる病院だと思いますので、当然いろいろな地域の診療所・病院からの薬歴の管理をして、一括管理をされるのだろうと思いますけれども、そこで明らかなポリファーマシーが見えれば、そこをまた逆紹介みたいな形で情報提供をしていただくということは可能なのかなと思います。今回は病棟ですけれども、外来に対するポリファーマシー対策ということに、何かお取組の可能性があるかどうかということを、御意見でも印象でも結構ですので、あればお伺いしたいと思います。以上です。よろしくお願いします。
○渡部先生 御質問いただきましてありがとうございます。まず1点目になります。病院長を含め、あるいは診療科の科長に対してという点ですが、今回は本事業にモデル医療機関として採択いただきましたが、入札の申し込みさせていただく際に、院長に事前に相談させていただき、また、モデル医療機関に採択いただいた後にも、院長に報告いたしまして、院長から今回の取り組みに関して温かいお言葉を頂いたこと、この上ない励みになっております。
また、その他の医師、あるいは全職員への情報提供につきましては、ポリファーマシー対策小員会の設置ならびに運営細則に関する決裁が完了したことを受け、11月1日になりますが、全職員に対してチームが発足したことをメールにてアナウンスし、今後活動していきますというアピールをいたしました。
また、チームを作るにあたって、患者さんにとって主科・主治医になる診療科として肝胆膵外科、肝胆膵内科、胃外科の各診療科長に相談しまして、チーム活動に参加いただける医師を御推薦いただき、チームメンバーを決めた経緯があります。
今後の業務展開としまして、まずは、入院患者さんを対象に業務展開をしていきますが、モデル病棟で現在展開しているチームが、コアメンバーになるような体制に成熟していくことができたら理想と考えております。将来的には、各病棟・各診療科に配属されている薬剤師とポリファーマシー対策チームとの連携を視野にいれて、業務展開していきたいと考えています。病棟担当の薬剤師は入院時に必ず持参薬確認を行っております。ポリファーマシーに該当するか否かを評価できる立場ですので、ポリファーマシーに該当する患者さんがいた場合には、ポリファーマシー対策チームに紹介し、多職種でのアプローチを行っていくような体制を目指したいと思います。チームのスタイルとしては、いわゆる「コンサルト」型をイメージしております。コンサルトがあった場合には、チームで処方の見直しに関する議論をし、議論された内容を該当患者さんの主科へフィードバックし、主科の中であらためて議論する流れとなる運用方法が現実的だと感じています。このような体制を構築していく上で、現チームの熟成に向けた活動を継続して行っていきたいと考えています。
外来につきましては、現在、外来で一部、研究費を得て研究を行っているグループがありまして、そちらと連動して、外来でもポリファーマシー是正に向けた患者介入を行う機会があるかもしれません。今のところ、ポリファーマシー対策チーム活動は入院患者のみで展開しておりますが、外来患者への介入依頼があった場合には、現在のチームで外来患者さんの処方見直しも検討していけるような運用拡大を考えております。まずは入院からと思っていますが、外来からの依頼があり次第、外来へ業務展開していく意欲でおります。以上になります。
○池端構成員 ありがとうございました。特に医師に対して、きちんと情報提供していますし、チームでということで取組をされていること、本当に理解できました。ありがとうございました。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
○井本構成員 よろしいでしょうか。
○印南座長 はい、お願いします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。御発表ありがとうございました。院内で組織的に、どう進めていけばよいかということが具体的で分かりやすい御発表だったと思っております。1点、スライド23に「課題」として、自院と他施設との連携の課題がかなり詳しく書かれているのですが、この取組をされた中で、院内で苦慮された点は、どのようなことだったのかか、伺いたいと思いました。
また、看護部門等の関わりについて、何か思われるところがあれば、私見でも結構ですのでお教えいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○渡部先生 御質問いただき、ありがとうございます。最初の御質問の課題の部分の院内で苦慮した点ですが、当院はがん専門病院ですので、がん治療が主になります。がん以外の併存疾患については他院でフォローされているケースが大半です。主科では、がん治療へのアプローチのが大前提の中で、併存疾患の治療に関してはあまり手が加えられることは少ないのが印象です。したがいまして、チームカンファレンスで議論される内容において、併存疾患に関する治療薬の見直しが主題になっております。当チームでは、循環器内科医師や糖尿病内科医師がメンバーに加わっていただいているので、この点は当チームの強みだと思っています。しかし、併存疾患に関する治療薬について議論されたとしても、他院での処方の場合、チーム内で上がったコメントを主科へフィードバックしたとしても具体的な処方見直しにつながることは難しく、当院からのコメントをお持ち帰りいただくといった実態をどうしてもぬぐえない印象はあります。当院チームからのコメントを受けて、かかりつけ医が処方を見直すといったアクションがあれば理想的だと思っておりますが、現時点では、入院でのフォーローが主で、外来移行後のフォローがなかなかできていないのが現状です。
当院のチーム活動の中で主になるのは、かかりつけ医が出された処方の見直しになると感じているのですが、その点では、かかりつけ医、他施設との連携強化が重要になると思います。しかしながら、薬剤師の視点で考えると、かかりつけ医とのやり取りはハードルが高いと考えますので、現実的な道筋としては、患者さんのかかりつけ薬局との連携・アプローチを強化していくことだと思います。どのようにかかりつけ薬局との連携を強化していけるのかを、まず検討してみたいと思っております。
2点目のご質問につきまして、当院では看護師さんにもチームに入っていただいております。現場で感じていることですが、緩和ケアチームが介入している患者さんが比較的ポリファーマシーになっていくという特色がありそうです。疼痛など苦痛症状を緩和する目的で処方されたお薬があった場合に、そのお薬の副作用予防・対策で薬が足されることがあり、そのように感じていますが、当院看護部からの推薦で緩和ケア専従の看護師さんをチームメンバーに紹介いただき、入っていただいています。その点では、チーム間での連携、この場合では、ポリファーマシー対策チームと緩和ケアチームとの連携につながるメリットを感じております。
また、モデル病棟のみでチーム活動を展開していることが起因していると思いますが、モデル病棟である16B病棟の看護師さんにメンバーに加わってもらえるように打診したのですが、現メンバーとして16B病棟を統括されている看護師長さんに参加していただいております。カンファレンスの対象になる患者さんの情報を詳しく把握いただいていて、退院の時期も含めて今後のプランを立てる上で貴重な情報をその場で得ることができますし、看護師さんから、今抱えている問題等の情報を頂けるという意味で、看護師さんの介入は非常に大きいといいますか、必須だと感じております。
○印南座長 よろしいでしょうか。ちょっと時間が押していますので、まだ御質問のある場合に最後にまた時間を取りますので、続いて三豊総合病院の篠永先生よりプレゼンをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○篠永先生(三豊総合病院) 三豊総合病院の篠永と申します。よろしくお願いいたします。早速、スライドを共有させていただきます。スライドは共有できていますか。
○印南座長 はい。
○篠永先生 では、早速、報告させていただきたいと思います。本日、スライドは40枚ほどありますので、適宜割愛しながら進めさせていただきたいと思います。
当院の紹介ですが、香川県の西部地域、ちょうど愛媛県との県境にあり、観音寺市、三豊市の組合立の中核拠点病院になります。一般病床は、462床の総合病院、地域医療支援病院になります。薬剤師数は26名ということで、一般病棟に薬剤師は常駐しています。各種チームに所属することで、薬剤師は活動中です。
まず、はじめに本事業実施前のポリファーマシー対策活動状況について、説明させていただきます。事業実施前ですが、当院では令和2年度の診療報酬改定による後押しを受け、2020年度から医師、薬剤師、看護師をはじめとした多職種によるポリファーマシーチームを設置して、週1回のカンファレンス・ラウンドを行っていました。
こちらはチームカンファレンスの風景になりますが、事前に薬剤部にてスクリーニングした対象症例への検討を多職種チームで行っていました。ここでの検討結果については、主治医や病棟担当薬剤師など、関連スタッフにチームからの提言としてフィードバックしていました。
こちらは、事業実施前のスクリーニング基準ですが、チームカンファレンスの対象患者ですが、チームの所属医が主治医の患者、そして常用内服薬剤が6種類以上という患者としていました。また、一部検査値異常や同効薬の重複については、病棟薬剤師が個別に病棟カンファレンスで対応するということで対応していました。また潜在的な不適切処方については、参考情報として活用していました。
こちらは、事業実施前のポリファーマシー対策結果の一部になります。介入患者数及び処方提案薬剤数はスライドに示すとおりです。チームカンファレンスでの介入が多数を占めていました。
こちらは、薬剤ごとの処方提案内容及びその契機についてですが、提案内容については減薬に関する事項が多数を占めていまして、採択率は76%でした。介入の契機については、症状改善が最も多く、次いで検査値異常、副作用という結果になりました。
事業実施前から介入状況については、手順書の様式事例集に記載いただいている薬剤管理サマリー及び介入状況報告書にて、地域と情報連携していました。退院後のポリファーマシー対策状況については現在調査中です。
次に、本事業における実運用調査の内容についてですが、既にある程度ポリファーマシー対策を導入している施設としての事業計画、進捗状況等について説明させていただきます。
こちらは業務実施方針一覧ですが、業務手順書の該当部分、当院での活動を踏まえた課題・考察、実施方法、作業No.になります。こちらの内容について詳細を説明させていただきます。
緑でお示しする部分が業務手順書の該当部分になります。中央部分が当院での活動を踏まえた考察、黄色の部分が実施方法になります。まず、スクリーニングツールが十分に活用できていない、非効率的であるという課題に対してですが、当院では電子カルテからデータ抽出が可能な部分を把握し、エクセルベースのスクリーニングシステムを構築しました。こちらは持参薬鑑別時のデータをそのまま活用できるような様式にしています。同時に薬剤部門システムのバージョンアップを含めたスクリーニングシステムの検討も行いました。一度に複数の項目に対してスクリーニングを行うことで効率化を図り、抽出漏れやマンパワー不足を解消したいと考えて対策を行いました。
次に、スクリーニングをした後のカンファレンス資料作成に時間を要しているという課題についてですが、こちらはスクリーニング後のデータをそのまま活用したカンファレンス資料、「ポリファーマシー評価表」を簡便に作成するということで対策を行いました。
次に薬剤管理サマリーによる情報提供を行った薬局で、ポリファーマシー対策が実施されていないような事例が見られるということの対応ですが、こちらについては手順書に記載されている薬剤管理サマリー及び介入状況報告書の改定を行い、漏れのない対応を依頼する対策を行うこととしています。
ポリファーマシーチームにかかる負担軽減のための対策ですが、チームがスクリーニングした患者に対して、担当薬剤師を含めた多職種が病棟での処方見直しを積極的に行えるという仕組みを検討しています。現在、担当薬剤師が能動的にカンファレンスを実施していますので、これによりタスクシェアリングでチームの一部担当者への負担を軽減しています。
次に、対象患者がチーム所属医の患者のみに限定されているということ、かかりつけ医や他科の処方の調整が難しいという意見があることに対してですが、介入対象やカンファレンス形式等を見直しました。まず、介入対象を全ての患者へと拡大するために、当院の医局会及び地域の医師会に対して啓発活動を行いました。地域の開業医に対しては、アンケート調査及びポリファーマシー対応への同意取得も行いました。その後、先ほどと重複する部分ではありますが、病棟でのカンファレンスを拡大して対象患者への対応を実施しています。
カンファレンス内容をかかりつけ薬局のみならず、かかりつけ医へフィードバックする体制が十分に整っていなかったという課題に対してですが、カンファレンス資料である「ポリファーマシー評価表」を兼報告書として活用して、薬剤管理サマリーとともに医師の診療情報提供書に添付するということを開始しています。
医師、薬剤師以外の多職種からのポリファーマシーに関する症例相談件数が少ないという課題に対してですが、こちらに対してはチームごとの研修会を個別に実施して、各職種の理解度などを確認するアンケート調査等も実施しています。
実施事項に関して最後のスライドになりますが、ポリファーマシーの判断が難しいことに対してはオンライン研修会等での研鑽を追記してはどうか。病態全体を捉えることが難しいことに対しては、ポリファーマシーチームへの相談・依頼が随時可能な仕組みなども、現在検討しています。
作業体制についてはスライドに示すとおりです。
こちらは作業体制の役割分担ですが、それぞれの担当者が現在まで問題なく役割を遂行しています。
こちらは作業計画書になります。現時点がスライド中央部分の中間報告になりますが、この後のスライドで詳細な説明をさせていただきます。
こちらは作業スケジュールです。項目が多岐にわたっていますので、この1-20までに関して、進捗状況についてこの後のスライドで説明させていただきます。
作業No.の1-9までの進捗状況ですが、おおむね作業自体は完了しています。現在、No3、4-2、6については運用を行いながら改善を図っている状況であります。
次に10-20までですが、No.14の多職種へのアンケート調査等については終了しています。
○事務局 すみません、声が小さいようで、マイクに近付いていただけますか。申し訳ありません。
○篠永先生 申し訳ありません。これで大丈夫でしょうか。
○事務局 大丈夫です。ありがとうございます。
○篠永先生 失礼しました。No.10-No.13及びNo.15、No.16については、現在定期的にデータを集計しています。この後、中間結果を報告させていただきます。
こちらは、事業実施前後の薬剤総合評価調整加算算定件数の推移になります。本事業を開始したのが本年の6月からになりますが、算定件数が大幅に増加しているということが分かります。
次にこちらが実際に作成した現在活用中のスクリーニングシートになります。事業実施前の抽出基準と比較しますと、抽出項目が大幅に増えました。ADL等に関する項目が大幅に増えて、多角的な介入を同時に検討できるようになったと考えています。また、本シートは事務職員による作成が可能な仕組みとしています。薬剤師の事前準備の負担が大幅に軽減しています。
次に様式事例集に掲載いただいている当院の薬剤管理サマリーについてですが、現在、スライドに示すようなポリファーマシーの介入があったということがより分かりやすいような内容を検討しているところです。同様に介入状況報告書についても、現在検討中です。
カンファレンス用のポリファーマシー評価表ですが、様式事例集を参考に作成させていただきました。こちらですが、スクリーニングシートのデータをそのまま活用して、簡便に作成できるような形式としています。定期的なカンファレンス進行以外にも、こちらを情報提供用紙として提供するということで、現在運用をしています。
地域の開業医に対するアンケート調査を行った結果ですが、当地域51施設、53名の医師から回答が得られました。回答率は60%でした。結果、8割から9割の開業医の先生方は、多剤服用中の患者を担当されているということ、また、ポリファーマシーを意識して診療されているということが分かりました。アンケートに御回答いただけた全ての医師から、当院入院中のポリファーマシー対策について承認を頂くことができました。ポリファーマシー対策を拡充していく際に重要だと思われる点についてお聞きしたところ、薬剤の情報共有、薬剤師とのコミュニケーション、かかりつけ医の理解が上位ということになりました。認識のある指針案、ガイドラインについてお聞きしたところ、高齢者の医薬品適正使用の指針や高齢者の安全な薬物療法ガイドラインに関してが上位でしたが、43%の医師が指針等に関する情報を得られていないということも分かりました。
こちらは事業実施前後のカンファレンス状況になりますが、介入患者数、また処方提案薬剤数ともに倍増しています。また、チームカンファレンス以外の病棟でのカンファレンスの件数も大幅に増加していました。
事業実施前後の処方提案した内容についての変化ですが、こちらについては事業実施前後で大きな変化は見られていません。採択率も大きな変更はありませんでした。
次に事業実施前後での処方提案をするに至った契機を比較したスライドになりますが、スクリーニングシートを作成、活用することで、なぜポリファーマシーに至ったのかという契機がより分かりやすくなりました。
次に地域の薬剤師、また当院を含めた多職種へのアンケート調査の結果ですが、多職種で「ポリファーマシー」を意識した経験は30%、薬剤の副作用を疑ったことがある多職種は60%ほどいるということが分かりました。
また、多職種で「ポリファーマシー」を意識した業務を行いたいといった割合が、95%と非常に高い結果を得ることができました。重要だと思う項目についてですが、薬剤の情報共有や多職種とのコミュニケーションは、薬剤師、多職種ともに共通だったのですが、薬剤師ではかかりつけ医の理解や退院後の地域連携、多職種では薬剤師とのコミュニケーション、定期的な研修会や参考資料が必要であるという御意見を頂きました。指針やガイドラインに関しては、多職種では余り情報を得られていないというような状況も分かりました。
こちらは普及啓発活動の状況です。現在、この赤で示します日本老年薬学会に加え、10月の日本老年薬学会でシンポジウム及び学会発表等を行っています。
最後になりますが、業務手順書の有効性について、施設ごとの異なるニーズに対応できる様式であるということを改めて確認できました。また、当初、当施設は「進め方」の部分を中心に実運用調査予定でしたが、「始め方」の部分でも非常に参考になる部分が多く、全体を通して自施設での取組を見直すことができたかなと考えています。課題についてですが、項目ごとに若干、解説内容や量にばらつきがあるのかなという部分、入院患者への対応部分についてポリファーマシーチームのカンファレンスと病棟での処方見直し、カンファレンスというところをより分かりやすく区別化すると、もう少し進めやすいのかなと個人的に感じた次第です。また、地域の医師会へのアプローチ、これが非常に難しい部分かなと思いますが、当地域ではそれぞれの開業医にアンケート調査や同意取得を実施したことで、地域の先生方から直接いろいろ御意見を頂けたということが非常によかったと実感している次第です。以上です。御清聴ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。ただいまの御報告に関して、御質問や御意見がありましたらお願いします。美原先生、お願いいたします。
○美原構成員 教えてほしいのですが、スライド37番の多職種の所で、多職種の方というのは、PT、OT、ST、うんぬんかんぬんと書いてあるのですが、そのパーセンテージというのは、それぞれ意識したことがあるPT、27%というのは、どうした部分かよく分からないので、教えていただきたいのですが。
○篠永先生 御質問ありがとうございます。こちら意識したことがあるが、27%。
○美原構成員 PTで意識した人が100人いたら27人なのか、そうではなくて意識した人の中の27%ということで、では、意識していない人はどのくらいいるのか。そこが知りたいのですが。
○篠永先生 すみません、ちょっと見づらいスライドで申し訳ありません。多職種で意識したことがあるのが3%、まあまああるのが27%、そして余りないというのが47%、ないというのが22%になっています。こちらの数字なのですが、それぞれの職種ごとで分けたものではなくて、全ての御回答いただいた意見をそのままパーセンテージで割ったものになります。ですので、多職種全体で「意識したことがある」と「まあまあある」を引っくるめて30%ぐらいの方が、多職種でポリファーマシーを意識しているということになります。
○美原構成員 分かりました。どうもありがとうございます。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
○伴構成員 日本プライマリ・ケア連合学会の伴ですが、よろしいでしょうか。
○印南座長 お願いいたします。
○伴構成員 御発表ありがとうございました。私が印象深く拝見したのは、カンファレンスに複数の研修医が参加されていることです。これは当初からそのように企画されているのか、あるいは途中から何か契機があってそのようにされたのかというのが1点。研修医が参加することによる何て言うのでしょうか、啓発効果と言いますか、そのようなものも何か感じられていますか。その2点を教えていただければと思います。
○篠永先生 御質問ありがとうございます。まず研修医を参加させることに関してなのですが、当院のポリファーマシーチームのリーダーを当院の総合内科医が務めています。当初どういうカンファレンスの仕方をするかということを相談したときに、やはりこれからの若い先生方、研修医の先生方にこの意識を持ってもらうことが非常に重要だろうという話になりまして、前期の研修医の先生方が中心になるのですが、基本的に参加していただくということで、皆さんには声掛けをして学んでいただいているということになります。
それに対する啓発効果についてですが、やはり毎週カンファレンスに参加してもらっていますので、若い先生方の中ではこういうポリファーマシーということを常に考えないといけないという認識が芽生えてくれていると期待しているところではあります。実際の数字として何かデータを取っているというわけではありません。
○伴構成員 ありがとうございました。医療安全などでも、研修医が参加するというのは、先ほど美原先生でしたか、若い人に対する教育をということがありましたが、上手にそのようなメンバーに参加してもらうということは、すごく大事だと思います。大変印象深く拝見しました。ありがとうございます。
○篠永先生 ありがとうございます。
○秋下構成員 秋下ですが。
○印南座長 お願いいたします。
○秋下構成員 私も研修医が3名、写真の中に写っていたところは非常に印象深く思いました。先ほどの他院の取組でもそうなのですが、全病院的に本来やるべきものを一部でやらざるを得ないのですが、こうやって研修医がローテートしますと、ある部署で教育をしていただくと次に行った診療科でもそのマインドを持って、その意識を持って必ず診療に当たってくれます。そういう意味で、研修医をポリファーマシーカンファレンスに呼んでおられることの教育的意義というのは、非常に大きいと私は評価します。以上です。
○篠永先生 ありがとうございます。
○池端構成員 池端です。
○印南座長 池端先生、お願いいたします。
○池端構成員 私はかかりつけ医の普及、啓発ということで、医師会を通じてもなかなかうまくいかなったのですが、各診療所の先生方に直接アンケート調査等を行ったということで、すごく興味深く拝聴させていただきました。ここは、各医療機関といってもなかなか難しいと思いますが、病院に連携をしたことがある医療機関を対象にしたアンケート調査をされたのか、それとも地域満遍なく全てに投げ掛けて調査されたのかどうかをお聞きしたいことと、それに対しては協力的な意見がほとんどだったということで、意を強くして医師会としてもしっかり、先生方もそういうことを望んでいるのだなということをすごく感じたので、その辺を医師会としても取り組みたいと思っていますが、その辺の調査の方法等、差し支えない範囲で教えていただけますか。
○篠永先生 御質問ありがとうございます。アンケート調査に関してですが、当院の病院長、そして総合内科医の名前、そして私の名前も入れさせていただいて、地域、当院の場合、三豊市と観音寺市という2市の組合立の病院なのですが、その2市の医師会に対して全ての先生方にアンケート調査をさせていただきました。回答率が60%ということだったのですが、この数字が高い数字なのかどうなのかというところは、まだ判断できていないところではあるのですが、少なくとも御回答いただいた6割の先生方からは、皆さん好意的な、やってくださいという御意見を頂きました。ただ一点、その調査を行ったときに対策を行ったことを、できれば情報のフィードバックというものをきちっとしていただきたいというような御意見も多数いただきましたので、やはり行った後のサマリー等を通じた情報提供というのは非常に大事なのかなと感じています。回答になっているでしょうか。
○池端構成員 ありがとうございました。6割、十分高い数字だと私も思います。非常に参考になりますので、ありがとうございました。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。議題1と言いますか、この中間報告全体、前の2つのプレゼンも含めて、全体を通じての御意見、御質問でも構いません。もしあればお願いいたします。溝神先生、お願いいたします。
○溝神構成員 すみません、溝神です。発表ありがとうございました。全体を通してなのですが、本手順書には患者さんへの説明というものもしっかりと明記されているかと思います。今日、施設の御発表においては、患者への説明というところが御発表になかったかなと思いますので、こういった手順書にも確かパンフレット等を用いて説明するとよいということが書いてあると思いますので、この辺りをどのようにされているのかというところを教えていただきたいと思います。
○印南座長 これは今の御発表者に対する。
○溝神構成員 よろしければ3施設の先生方に。
○印南座長 それでは、波多野先生からお願いいたします。
○波多野先生 御質問ありがとうございます。波多野です。業務の流れとして、先ほどの薬剤ポリファーマシー対策チームと病棟薬剤師との連携の所の、後半の部分の所で処方見直しをするべきか、患者の意向確認と、実際に行われた後は説明、モニタリングという所を一環として挙げています。ただ、現実的に入院期間のことを考えますと、なかなかその後のフォローまで十分できるというケースは、ないわけではないのですが、実際に算定を取ったケースに関しては、当然ですがその後のフォローもやっていますが、減薬につながったケースでもフォローができなかったり、説明が不足していた場合は、算定はしていないというような現状です。以上です。
○印南座長 お願いいたします。
○渡部先生 よろしいですか、渡部です。御質問の点についてお答えしますと、今回の課題に対する実施事項に関するスライドの中で記載しておりますが、まだ調整中ということが正直なところになります。患者向け説明用のパンフレットの作成について、どのようなスタイルでやるかを検討中です。今現在、行っている体制としては、まず入院された際に持参薬確認のタイミングで、ポリファーマシーの有無を評価する目的で持参薬鑑別シートを活用しておりまして、その他、患者さんの日々の体調を評価するシートを用いて老年症候群の有無の評価をしております。シートの内容に沿って、患者さんと面談するわけですが、ポリファーマシーに実際になられている方に関しては、チームの介入と言いますか、処方の見直しを行うことに関する同意の意思を確認しています。現場で感じている印象としましては、ほぼ全員が処方の見直しに同意される印象を持っています。チーム介入後に処方の見直しが行われた場合には、退院業務として薬歴管理室配属者が退院時指導を行いますので、そこで退院時の服薬指導に加え、お薬手帳シールの配布、さらに必要によっては薬剤管理サマリーとして薬局、あるいは医療機関へ情報提供用の資料を作成して、患者さんに十分説明してお渡しするというような流れで、現時点ではやっています。以上です。
○印南座長 篠永先生からはいかがでしょうか。
○篠永先生 当院の場合ですが、入院時に持参薬鑑別を行って、病棟薬剤師が最初に面談する時点でポリファーマシー対策に関する同意を、最初の時点で取得するということを行っています。最初に説明をして、希望を聞いておくということを行っています。実際にこの方を対象として介入しようということになりますと、チームからそれぞれの病棟の担当薬剤師に依頼をして、個別に病棟担当薬剤師が患者さんとお話をして、さらにそこで同意をもう一度取るというような流れで実施しています。
パンフレットに関してですが、現在、病棟の担当には皆さんに配布して、実はカルテからもすぐ印刷できるような仕組みにしています。適宜、使用していただくということで運用しています。以上です。
○印南座長 ほかに全体を通じた御意見等ありますか。
○平井構成員 すみません、よろしいでしょうか。平井です。
○印南座長 平井先生、お願いいたします。
○平井構成員 美原先生のお話だったかと思いますが、研修医の方はポリファーマシーということを全然知らないというのは非常にショッキングで、私も大学でポリファーマシーの講義を3年生の学生さんたちにするのですが、そのとき学生さんたちに聞いたら、できるだけお薬は処方したくないというような回答をする学生さんは多いのです。ですので、学生さんは余り薬の処方をたくさんしないほうがいいというような意識があるのかなと思いますが、それは自分の体験なのですが、今、医学、歯学、薬学のコアカリュラム改訂が始まりつつあるところなので、その中でやはりポリファーマシーの教育が卒前でも重要だというようなことを、何か申し入れるというようなことはできないのかなと思いました。以上です。
○印南座長 これは全体に対する御意見だと思いますので、そのように承っておきます。ほかにありますか。
○秋下構成員 秋下ですが、よろしいでしょうか。1つは今の点に関して。少なくとも医学部医学科で医師になるための教育を受ける医学教育モデルコアカリキュラムの中には、講義も実習もポリファーマシーは入っています。ですので、そこは大学がそれに対応できるかどうか、100%やらなくてはいけないというところまではいっていないので、大学の教育体制にかなり依存していると思います。東大の学生は、うちの科がしつこくそれを教育しているので、知らないなどということはないと思います。試験問題にも常にそういう問題を出しています。
○平井構成員 神戸大でも臨床薬理や高齢者のところで何度も出てくるので、それは定着しているのではないかなと思いますが、コアカリキュラムに入っていたら、それは必ずやらないといけないのではないですか。
○秋下構成員 100%ではないと思います。
○平井構成員 100%ではないのですか。はい、分かりました。薬学のほうでは、かなり定着していると思いますので。ありがとうございます。
○秋下構成員 全体を通じての話で、特に最後の三豊病院の処方提案の契機が、事業開始後かなり変化があったと。それを見ますとADLの低下や認知機能というところが枠としてはこれまでなかったものが増えています。前の2つのスタートアップをされた所で、プレゼンテーションの中にはなかったのですが、処方見直しのプロセス、我々が作りました『高齢者の医薬品適正使用の指針』総論編の中の非常に大切なフローチャートなのですが、そこの第1段階は高齢者を総合的にまず見ましょうということで、生活状況、特にADLや認知機能などを評価するということが入っていて、そこから入るという話なのです。三豊病院にしても、そこはこれまで余りやっておられなくて、今年度の事業開始からそこをしっかりやるようになったので、そういうことが引っ掛かるようになったのでしょうか。まず三豊病院に伺って、それに対してどうされているのかということを藤田医科大と国立がんセンターに簡単にお答えいただければと思いますが。
○印南座長 お願いいたします。
○篠永先生 御質問ありがとうございます。秋下先生がおっしゃるとおりで、事業実施前からそういったADL等は確認しようというような話はしていたのですが、実際に処方の契機としてチェックしていた項目の中では、ほとんど見られなかったというところがありました。やはりスクリーニングを掛ける時点で、こういったものを複数同時に引っ掛けておくということが非常に大事だなということで、今回スクリーニングシートを改善したことで、こういったことも広く認識できるようになったのかなと感じています。以上です。
○秋下構成員 ありがとうございました。
○印南座長 お二方からもお願いいたします。
○波多野先生 藤田医科大学の波多野です。御質問ありがとうございます。当院も最初の患者スクリーニング、カンファレンスのときに、やはりADLの評価は必要というところでいろいろな項目をカンファレンス中に挙げていたのですが、スクリーニングシートを作成する際、膨大に時間が掛かってしまうというところで、逆に減らした結果、現在のスクリーニング項目と、あとは転倒リスクだけを評価しようというところに今、逆行してしまっているところが現状となっています。以上です。
○秋下構成員 がんセンターもお願いします。
○印南座長 お願いいたします。
○渡部先生 報告の際に少し紹介させていただきましたが、当院では、国立長寿医療研究センターを中心に6つのナショナルセンター共同研究となる令和3年度国立高度専門医療研究センター横断的研究推進費若手研究助成「ポリファーマシー対策のための持参薬鑑別評価シート開発に関する研究」を行っている兼ね合いで、持参薬鑑別シート、老年症候群評価シートに加えて、高齢者総合機能評価ツールとして、「G8」を用いて運用することといたしました。現在、モデル病棟に限定して、患者さんの入院時に全例シートを配布し、機能評価しております。G8の指標が、実際にポリファーマシーの介入に有用なのかについては、今後、研究ベースかもしれませんが評価しながら、ポリファーマシー事業を進めていきたいと考えております。G8は、ADLを確認する指標として簡便なツールと評価されており、がん患者を対象にした研究で、G8の評価ががん患者の予後に関連することを報告している論文がありますので、当院では、G8を評価指標として用いることにいたしました。以上です。
○秋下構成員 承知しました。G8を使われているということですね。よく分かりました。
○印南座長 時間が大変押しているのですが、ほかにありましたら、最後ということなのですが、よろしいですか。
それでは、たくさんの御意見、大変ありがとうございました。本日、御参加いただきました採択機関の先生方におかれましては、中間報告をしていただき、大変ありがとうございました。引き続き本日の御意見や議論を踏まえて、取り組んでいただきますようお願いいたします。一応、中間報告に関する議題はこれで終了となりますので、各機関の先生方は御退室いただいても構いません。ありがとうございました。
続きまして、議題2、「高齢者事業における今後の取組について」、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 よろしくお願いいたします。資料2に基づき御説明申し上げます。高齢者事業における今後の取組について御検討いただくに当たり、まずは本検討会におけるこれまでの取組について簡単にまとめさせていただきます。
資料の2ページを御覧ください。こちらは平成29年4月に本検討会が設置されてからの本検討会における検討状況の概要をまとめたものです。次のスライドからは、それぞれについて御説明させていただきます。
資料の3ページを御覧ください。初年度に作成した『高齢者の医薬品適正使用の指針』の総論編は、高齢者の薬物療法の適正化や具体的に薬物有害事象の回避など、高齢者の特徴に配慮したより良い薬物療法を実践するための基本的留意事項をまとめたガイダンスです。主に急性期病院を想定し、ポリファーマシーの概念、処方見直しの基本的な考え方やフローチャートなどをまとめています。
資料の4ページを御覧ください。翌年度には、作成した指針の各論編で患者の病態や生活や環境の移行に伴い留意すべき点が変化していることを念頭に、患者の療養環境ごとに留意事項をまとめています。
資料の5ページを御覧ください。指針としては、急性期病院を手始めに様々な療養環境が網羅されましたので、令和元年度にはポリファーマシー対策に関する実態を把握するためのポリファーマシー対策に関する実態調査と好事例施設の取組状況調査を実施しました。その結果、ポリファーマシーや指針に対する理解は一定程度進んでいる一方で、実際、取組が十分に進んでいない、好事例施設のような先進的な取組をそのまま自施設で展開することは難しい面もあるといったことが判明し、医療機関で活用できるツールが必要ではないかということが示唆されました。
資料の6ページを御覧ください。先ほどの調査結果を踏まえ、令和2年度に業務手順書、様式事例集である「病院における高齢者のポリファーマシーの対策の始め方と進め方」を取りまとめました。始め方では、これからポリファーマシー対策の取組を始める病院のツールとして活用を想定したものであり、進め方に関してはポリファーマシー対策がある程度進んでいる病院が業務手順書を整備し、業務をより効率的に行うための参考資料としての活用を想定しています。資料下段に記載のとおり、この業務手順書等は、指針を活用して取組を進めるためのツールとして作成されたもので、医師、歯科医師、薬剤師のみならず広くポリファーマシー対策に関わる医療関係者も利用対象者として想定されています。病院を対象としたものではあるものの、診療所等においても適用できる内容については活用いただくことが期待されています。この業務手順書等については、先ほど議題1で御検討いただいたとおり、今年度は実際に医療機関で運用いただき、その実用性や課題の確認などを行っているところです。なお、本業務手順書の検討に当たっては、本検討会での電子化の重要性について指摘を頂き、お薬手帳がうまく活用されていないという課題に対し、今後オンライン資格確認等システムや電子版お薬手帳などにより、薬剤情報を電子的、一元的に管理する方法の活用も期待されるとの記載がなされているほか、ポリファーマシー対策の進め方として、ポリファーマシー対策のデジタル化を進めるといった記載があります。このデジタル化に関しては、ちょうど先月20日よりオンライン資格確認の運用が始まっているところであり、その概要について御紹介申し上げるべきところですが、本日、時間の都合もあり割愛させていただくことを御容赦ください。今後の会議で必要に応じて御紹介させていただく時間を取れればと考えています。
続きまして、資料の7ページを御覧ください。先ほど御紹介したとおり、昨年度作成した業務手順書等は病院を対象にしたものですが、診療所等においても活用いただくことが期待されています。このため実際に地域の診療所や薬局などにおいても活用いただく場合、病院と地域で、課題にどのような違いがあり得るのかということを事務局で整理してみました。違いを分かりやすくするために、極端な比較になっている面があるかと思いますが御容赦ください。例えば、病院の入院では院内での連携となる一方で、地域の場合は薬局や複数の病院、診療所など様々な施設にまたがった連携が必要であり、連携体制の構築が比較的複雑であることが想定されます。また、処方見直しの方法として、地域ではトレーシングレポート等での情報提供が主な対応であり、実際に処方変更・継続の検討・決定が行われるまでは次回の来院になることから、見直しの必要性を把握してから実際に対応するまでに病院と比較して時間を要することが想定されます。このように病院でも地域でも課題は類似しているものの、質的に異なる部分も多いのではないかと考えています。
8ページを御覧ください。一部の構成員の御協力の下に地域でのポリファーマシー対策の事例を収集し、事務局でまとめたものになります。地域によって取組は様々ですが、地域の職能団体が連携したり協議会を設置したりしながら、医師、薬剤師等の連携の下にポリファーマシー対策が進められつつあります。
9ページを御覧ください。これまで御説明申し上げた状況を踏まえ、高齢者事業における今後の取組について、事務局案を9ページにまとめさせていただきました。資料の上半分はこれまでの御説明のまとめになりますが、現状と課題を整理しています。これらの現状と課題を踏まえ事務局としては、令和4年度はモデル地域において実際にポリファーマシー対策に取り組んでいただき、地域の取組における課題抽出等を行うこととしてはどうかと考えています。事務局からの説明は以上です。
○印南座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、御意見、御質問等があればお願いいたします。城守先生、お願いいたします。
○城守構成員 次年度の事業なのですが、基本的にこの事務局の提案に異論はないのですが、今年度の事業の報告をお聞きしていても各医療機関によって対応が様々であるということ、このスタートアップツールが今年度の事業に関しては急性期の病院が対象になっていると思いますので、予算の都合もあるかと思いますが、やはり慢性期療養病棟という、その指針の各論編にあるような療養環境の違いでのツールの使いやすさ、使いにくさ等も検討を継続されてもよいかなと思いますが、それは予算的に無理ですか、事務局に。
○印南座長 事務局から何かお答えがありますか。あればお願いしたいと思いますが。
○事務局 予算的には今後の検討材料にはなってしまいますが、今のところ、令和4年度以降の実施対象としては、地域の医師会、薬剤師会等が連携してポリファーマシー対策に取り組む地域であり、今までの急性期以外の病院や診療所、薬局等が連携して取り組むものとして、対象に挙がればと考えています。
○城守構成員 それは分かるのですが、要するに、目的は連携が主になると思うので、やはり各病院においての取組のきっかけと言いますか、その辺りとしての事業の継続はしたほうがよいと思いますので、また御検討ください。以上です。
○事務局 御意見ありがとうございます。
○印南座長 池端先生、お願いいたします。
○池端構成員 私も城守委員と全く同じ意見で、この検討会でも、ずっとこれまでの議論の中にもありましたように、一番ポリファーマシーを対処できるのは、高度急性期よりも、むしろ回復期や慢性期のほうが少し時間的に余裕もあってできるという話がありましたので、事業として是非そこは別でやっていただきたいなということを、私からもお願いしたいと思います。
あと一点質問ですが、地域の医師会、薬剤師会とありますが、これは市、町単位を考えていらっしゃるのか、都道府県単位でもOKなのか、その辺はいかがでしょうか。
○印南座長 事務局、お願いいたします。
○事務局 御意見ありがとうございます。都道府県もそうですが、地域、市区町村も含めて考えています。
○池端構成員 はい、ありがとうございます。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。橋場先生、お願いいたします。
○橋場構成員 ありがとうございます。橋場です。薬剤師会としても、ポリファーマシー対策、医薬品の適正使用の観点から、地域においても行うということはすごく大切なことだと思っています。その際、今回の中間報告にもありましたとおり、周知があって、御理解があって、研修があって実践されていくというサイクルがとても大切だということは、地域においても恐らく同じだろうと思っています。そういう意味では、今回事務局から御提案されている地域の医師会、薬剤師会が連携して、こういった周知、理解、研修、そして実践というような形で取り組んでいくということをまず進めていくということは大切なのかなと思っています。その研修の際も、我々薬剤師としては、地域の医師の先生方がどのような情報を欲しているのかというような研修も必要なのかと思いますので、是非、御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
○印南座長 北澤先生、お願いいたします。
○北澤構成員 北澤です。今日は3つの施設からそれぞれ取組を紹介していただき、それぞれ短期間の間にいろいろ実践を重ねておられて、大変感銘を受けました。来年度の事業についてもこの御提案でよいかと思います。3番目の施設で、医師会に対してアンケートをされていました。6割の回答のうちほとんどの先生がポリファーマシーについててて意識しておられ、病院の取組をとてもポジティブに評価しておられるというデータは、大変心強いというか、現場の先生方もそういう気持ちでおられるということが理解できました。ですので、これから地域の医師会などで取組を進めていただくときに、まず、こういうことをやっているのだということを知らせることも兼ねて、アンケートというのは結構使えるのかなと思いました。
もう1つ、できたら、なのですが、これは薬を減らすのが目的ではなくて、それで患者の状態がよくなるかとか、患者が余計な負担を被らずにすむかというところが問題なので、できればそういうアウトカムの測定について、どのようにやっていけばいいのかということも含めて事業の中で考えていただきたいと思っています。ありがとうございます。
○印南座長 ほかにありませんか。それでは、幾つか御意見が出ました。基本的には事務局の進め方でいいのではないかと思いますが、慢性期や療養病床等に対する配慮や、今ありましたとおり医師会のアンケートなど、できれば、そういう部分についての御意見を組み込むような形で進めていただければと思います。事務局においては、本日の議論を踏まえて準備を進めていただけるようお願い申し上げます。その際、モデル地域ということですので公募要項の作成などが必要になりますが、詳細については座長に一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○印南座長 ありがとうございます。それでは、そのように検討をお願いいたします。以上で議題2を終わりにします。ありがとうございました。
その他、委員の先生から何かありましたらお願いいたします。よろしいですか。それでは事務局から連絡事項があればお願いいたします。
○事務局 本日は活発な御議論を頂きまして、本当にありがとうございました。次回の検討会の日程ですが、後日、日程調整の上、改めて御連絡申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○印南座長 少々オーバーしてしまいましたが、本日の検討会はこれで閉会とします。本日は大変ありがとうございました。

(了)