第11回多様化する労働契約のルールに関する検討会(議事録)

日時

令和4年1月24日(月)10:00~12:00

場所

労働委員会会館612号室
(東京都港区芝公園1-5-32 労働委員会会館6階)

出席者(五十音順)

  • (あん)(どう)(むね)(とも) 日本大学経済学部教授
  • (えび)(すの)(すみ)() 立正大学経済学部教授
  • (くわ)(むら)()()() 東北大学大学院法学研究科教授
  • (さか)(づめ)(ひろ)() 法政大学キャリアデザイン学部教授
  • (たけ)(うち)(おく)()寿(ひさし) 早稲田大学法学学術院教授
  • (もろ)(ずみ)(みち)()  慶應義塾大学大学院法務研究科教授
  • (やま)(かわ)(りゅう)(いち) 東京大学大学院法学政治学研究科教授

議題

無期転換ルール及び多様な正社員の雇用ルール等に関する論点について

議事

議事内容
 
○山川座長 おはようございます。
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第11回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」を開催いたします。
 委員の皆様方、本日も御多忙のところ御参加いただきまして、大変ありがとうございます。
 本日の検討会も、新型コロナウイルス感染症予防の観点も踏まえて、対面、Zoomによるオンライン参加を組み合わせた開催になります。
 オンライン参加の委員の皆様、こちらの音声や画像は届いておりますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○山川座長 ありがとうございます。
 本日は、全員に御出席いただいています。
 議題に入ります前に、まず、事務局からオンライン操作方法の説明と資料の確認をお願いいたします。
○竹中課長補佐 それでは、事務局より操作方法の御説明をいたします。
 御発言の際には、Zoomのリアクションから「手を挙げる」という機能を使用して御発言の意思をお伝えいただき、座長の許可がございましたら御発言ください。
 御発言以外は、マイクをミュートにしていただき、御発言の際にミュートを解除の上、御質問等をいただきますようよろしくお願いいたします。
 不安定な状態が続く場合には、座長の御判断により、会議を進めさせていただく場合がございますので、御了承ください。
 続きまして、資料の御確認をお願いいたします。
 資料1は、多様な正社員の雇用ルール等。
 資料2は「無期転換ルールに関する論点について」でございます。
 参考資料は1~3までございます。
 不備などがございましたら、事務局までお申しつけください。
以上です。
 ○山川座長 ありがとうございました。
 カメラ撮りがありましたら、ここまでとさせていただきます。
 では、本日の議題に入ります。
 本日は、最初に、事務局から資料についての説明をいただきまして、その後、まず「多様な正社員の雇用ルール等に関する論点について」御議論いただきます。その後、無期転換ルールに関する論点につきまして御議論いただく予定です。
 では、資料1と資料2になりますが、御覧いただきまして、事務局から説明をお願いします。
○竹中課長補佐 それでは、まず、資料1について御説明いたします。
 まず「論点一覧」につきましては割愛いたしまして「総論」の6ページ目を御覧いただきたいと思います。
 今回については、「総論」でこれまでお示ししてきたデータ関係を文字にしておりまして、後ほどこのデータに関連するスライドをおつけしております。
 7ページ目を御覧いただきたいと思います。
 12月の御議論を踏まえまして、論点に対する考え方について、下線部分を加筆修正しています。
 1つ目のところは、具体的には、労使双方に対して、多様な正社員という働き方が労使それぞれにとってどのような有効性や留意点があるのかを明確に伝えていくことが重要ではないかと前回御意見いただいたほか、最後のポツでありますが「雇用ルールの明確化」について精緻な検討を進めつつも、最終的にはシンプルな考え方やルールを示すようにすべきではないかということで御意見いただいたところです。
 今回の資料につきましては、前回の議論を踏まえまして、かなり複雑なスライドも追加しておりますが、検討段階では精緻に進めつつも、最終的にはシンプルな考え方やルールが示されるようにというところで、貴重な御示唆をいただいたところであります。
 続いて、追加の論点、オレンジのところでございます。
 雇用ルールの明確化については、多様な正社員やいわゆる正社員のみならず、有期契約労働者等も含めた労働者全般を検討対象とするということでよいかと追加で入れております。
 8ページ目を御覧いただきたいと思いますが、先ほど下線で追加の議論があったところを紹介しましたが、そこに関連しまして、多様な正社員の有効性とか留意点をまとめたものでございます。
 9ページ目でございますが、先ほどの7ページ目の追加論点に関連しておつけしております。
 基本的に、これまでも御紹介してきたものを9ページ目に入れておりますが、これまでの雇用ルールの明確化の議論は、平成5年の議論の報告書の中の「労働契約関係の明確化」と同義と考えていただくと、そのときの労働条件の明示の議論は、正社員に限らず議論されてきたところであります。
 10ページ目を御覧いただきたいと思います。
 関連するデータということで、青枠内でありますが、この検討会で特にフォーカスを当ててきました限定社員と同じく、個別の労働条件を設定している労働者ということでは、パートタイマーなどの非正規従業員の方々が多くいらっしゃいます。
 また、11ページ目を御覧いただきますと、青枠内でございますが、こちらも限定社員と同様に、パートタイマーの配置転換の状況を見てきたところであります。こういったことも踏まえまして、7ページの追加論点を御議論いただければと思います。12~17ページ目につきましては、これまで御紹介してきたスライドでございますので、割愛させていただきまして、続いて、各論の「(2)雇用ルールの明確化」でございます。
 19ページ目を御覧いただきますと、これもデータ関係をまとめておりまして、後ろに関連スライドをつけております。
 20ページ目を御覧いただきたいと思いますが「論点ア」ということでございまして「労働契約締結時の労働条件の確認」でございます。
 これまでの議論を踏まえ、1つ目のポツのように、予見可能性の向上と紛争の未然防止、労働者の権利意識の向上のほか、労使双方にとって望ましい形で多様な正社員の普及・促進を図る観点から、労働基準法15条の明示対象に、勤務地等の範囲を追加するべきではないかとしています。
 3ポツ目を御覧いただきますと、では、具体的にどういったものを明示していくのがよいのかということで言えば、議論の結果としては、変更の範囲のパターンが適切ではないかということでありましたし、そういった変更の範囲を明示するのであれば、最後のポツでありますが、明示すべき事項としては、勤務地・職務のみとするのが適当ではないかということで議論いただいてきたところであります。
 また、21ページ目を御覧いただきますと、一番下に規制改革実施計画の閣議決定の文章を入れておりますが、これにも関連しまして、もともとの閣議決定の中で、転勤の場合の条件についても、労働基準法の法体系で考えるということもありましたが、ここでは、御議論としましては、労働基準法15条で対応するのではなく、労働契約法の問題ではないかとか、労働基準法89条の就業規則の記載事項につきましても閣議決定文にございましたが、それらについては慎重に検討するべきではないかということでありました。 労働契約法4条についても、1つ前のページのとおり、15条の労働条件明示で対応すれば足りるのではないかと御議論いただいてきたところであります。
 また、4ポツ目につきましては、労働条件明示という観点とは少し違いますが、多様な正社員が今後のキャリアをどのように展開していくことができるのかという将来的な側面も労働者が理解できるようにする必要があるというところで御議論いただいたところであります。
 22ページ目、23ページ目は割愛しまして、24ページ目を御覧いただきたいと思います。
 「論点イ」ということでございまして「労働条件が変更された際の労働条件の確認」でございます。
 1つ目のポツのように、契約範囲外への異動等も一定見られる中で、特に個別契約による変更がなされた場合に、確実に書面で示されることが担保されていないほか、20ページ目のとおり、仮に変更範囲の明示を行う場合に、変更後の労働条件を明示しなければ、誤解したままとなるリスクがあることから、労働条件を変更された際も、労基法15条の対象とするべきではないかということでございます。
 その下の点線の部分については、前回お示しした変更のパターンでございます。
 このうち、①と②の個別契約によって労働条件を変更するときには、変更後の明示が必要ではないかと御議論いただきましたし、④や⑤のように、規定されている変更の範囲内で労働条件が変更された場合については、明示不要ではないかという御議論でありましたが、③の就業規則の変更によるケースについては、前回、御意見が分かれていたところでございます。
 また、下から4つ目のポツでございますが、労働協約とか法令で変更されるケースも検討すべきではないかと御意見いただいたほか、下から3つ目でありますが、書面明示の対象としては、労基法15条の書面明示事項全体か、それとも職務・場所の変更にとどめておくべきかというところが残っております。
 下から2つ目のところで、電子的な方法についても言及いただいたほか、就業規則の実質的な周知についても検討すべきではないかと御意見いただいたところであります。
 25ページ目については、このスライドに関連しまして、先ほど議論が分かれていたと申し上げましたが、就業規則の変更によるケースについての御意見をまとめたものでございます。
 26ページ目を御覧いただきたいと思いますが、論点イで追加で議論いただきたい点を整理しております。
 大きく3つに分けていまして、1つ目の隅括弧ですが「変更後の労働条件の明示を必要とする場面」に関連しまして、前回、場合分けして考えるべきではないかと御指摘がありましたので、次のページのとおりまとめております。
 2行目ですが「労働条件が変更された際の労働条件の確認」は、どの場面で必要と考えるかということでございまして、特に就業規則の場合をどう考えるかでございます。
 (2)でありますが、就業規則の変更に当たり、個別合意を得るケースについてどう考えるかということでありまして、特に(1)の論点で個別契約と就業規則で別の取扱いをするのが妥当ではないかとした場合に、意味のある議論が(2)でございます。
 (3)については、労働協約とか法令の改正の場合を挙げています。(4)は、前回も入れていましたが、引き続き労働条件の変更の有効性とは関係なく、書面による確認が行われる措置を考えるということでいいかということであります。
 次は「明示事項その他」ということで、(5)であります。
 こちらについては、A業務・場所が変更された場合を対象とするか、それとも書面明示事項が変更された場合を対象とするかということで書いています。
 (6)でございますが、こういった変更された労働条件を確認するための措置を導入する場合に、既に雇用されている労働者への対応など、円滑な実施のため、どのような対応が必要と考えられるかと書いております。
 (7)でありますが、論点イの措置の確認内容について、変更内容のみ明示すればいいか、それとも変更後の労働条件全体がいいかということであります。
 続いて「就業規則の周知方法」ということで、(8)でございます。
 現状として「申し出があったときにだけ見せている」などの状況がありますが、就業規則の周知の徹底をするために、どのような対応が考えられるかということで記載しています。
 次のページ以降は、(1)~(8)の追加論点に関連したスライドをおつけしているところであります。
 まず、27ページ目を御覧いただきますと、こちらは、前回の御議論を踏まえまして「論点イのうち範囲外に変更された場合の整理表」ということでまとめております。
 一番左側の「就業規則」にひもづけて、(a)とコメントをつけております。
 字が小さくて恐縮でありますが、(a)をご覧下さい。就業規則の変更により労働条件が変更された際に、現行の明示と同様に、その内容を個々の労働者に書面等により明示することも理論上あり得るところですが、労使双方がその内容を確認できるようにするという観点からは、就業規則は労基法106条により、労働者への周知義務があることを踏まえると、変更手段が就業規則による場合には、就業規則の規定により確認が可能であることから、使用者の負担も鑑み、労働条件明示までは不要とすることができるのではないかということで記載しています。
 また、※の記載でありますが、労働条件の不利益変更であれば、労契法10条で周知が必要とされているほか、不十分な周知であれば、周知したこととはならないとされている例があるということで、周知は既に一定担保されていると考えられるのではないかと書いています。
 こういった関連する記載を※に書いていまして、次に、上の表を見ていただきますと、また別の話ですが「就業規則」の横に「不変更合意無し」とか「有り」ということで記載しておりまして、前回の御議論の中で、不変更の合意はないものの、就業規則よりも有利な内容の合意がある場合に、就業規則が変われば就業規則等に変更されるわけですが、労働者としては、不変更の合意があると考えている可能性もあるということで、そういった場合に紛争があり得る。そういったことを考えて、こういったケースについては、変更後の明示は必要と考え得るという話もございました。
 こういったことに関連しまして、点線で上のほうに(b)とつけておりますが、不変更の合意の有無などについては、民事上決まるものでありまして、これらの性質によって取締法規上の取扱いを変えることは適切と言えるかどうかということで書いております。
 次に、下のほうを見ていただきますと、変更の手段が「労働協約」とか「法令」による場合についてですが、これは後ほど32ページ目で御確認いただければと思います。
 続いて、この表全体として、横軸で変更の対象が何かということで記載しているのですが、前回の御議論の中で、変更手段だけでなくて、変更対象で切り分けるという考え方も御提示いただいて、こういった形で書いております。
 これについては(d)と記載していますが、就業規則や労働協約、法令のいずれを変更する場合にしても、最終的には、個々の労働契約が変わったかどうかが問題になるため、個別契約を変更対象とする場合と同様の対応を想定するということでよいかと記載しております。
 28ページ目でございますが、今見ていただいた議論に関連しまして、変更における手続のデータは、これまでもお示ししたものと同じですが、就業規則を変更するケースが多いところであります。
 29ページ目を御覧いただきますと、先ほど「不変更の合意」という言葉も言いましたが、その解説をしているほか、就業規則の周知に関連する通達・裁判例を入れております。
 ここまでが追加論点(1)の関連でございまして、29ページ目の下のほうの(2)の追加論点に関連しまして、山梨県民信用組合事件を入れておりますが、要は、就業規則の変更に当たりまして、個別合意をしたということで、裁判例としておつけしているところでございます。
 30ページ目を御覧いただきたいと思いますが、これに関連しまして、追加論点(2)は、就業規則の変更に当たって、個別合意を得るケースをどう考えるかということでございます。
 ここについては、案1と案2を入れておりますが、案1といいますのは、個別合意を取っていることを踏まえまして、①と同様に考えることが考えられるか、それとも、就業規則の変更をしていることを踏まえまして、就業規則変更時と同様と考えるかということでございます。
 こちらについて、※でも記載しておりますが「就業規則の定めによる」とされている場合に、変更後明示しても「就業規則の定めによる」と明示されることをどう考えるかということも書いています。
 31ページ目は、また別の追加論点でありまして、(3)の関係でございます。
 労働協約もしくは法令の関係でございまして、この関係性が入り組んでおりますので、その関係性を図式化したものでございます。
 この中でも、赤い太い矢印は「直律補充効」があるということで書いています。
 これを踏まえて、32ページ目を御覧いただきたいと思いますが、具体例で見てまいりますと、④の労働協約の変更の場合でございます。
 もともと個別契約の中でも、所定労働日数が250日とされていたところが、労働協約の変更によって、直律補充効によって所定労働日数が235日となることも想定されるところです。
 また、⑤でありますが、最賃もしくは労基法の変更によるケースということで、ここの具体例で見ていますのは最賃のケースでありますが、時間給が950円だったところを最賃の変更によって1,000円になったケースもございます。こちらも直律補充効があるということで書いています。
 また、直律補充効のないその他の法令でも、強行法規性があるケースはございまして、もともと定年制あり、55歳とされていたところが、高年法の改正によって定年が60歳に引き上げられることになりますと、これに対して特に定めを会社で変えなかった場合には、定年制の定めのない状態になるケースもあります。こうしたケースについて、変更後の労働条件を明示すべきと考えるかどうか、御議論いただければと思います。
 33ページ目は、また別の論点ということで、追加論点(5)でございます。
 要は、業務・場所だけ考えるか、それともそれ以外の書面明示事項も考えるかということでありますが、33ページ目は職務限定の場合ということで整理したものでありまして、こちらについても、場所の場合と同様に、変更後明示が必要という考え方でいいかどうかであります。
 34ページ目につきましては、一番上にも書いていますが、有期契約労働者のケースということで、かつ更新基準が変わるケースということでございます。
 35ページ目を御覧いただきたいと思いますが、賃金が変わるケースということで、2つのケースを入れていますが、上が「有期契約労働者のケース」でありまして、こういった場合に、就業規則の中でも賃金額は個別契約によることもあり得ますが、そのときにもともと賃金が20万円だったところが、個別契約の変更によって25万円に変わることもあるでしょうし、逆に、ここには書いていないのですが、下がることも想定されますが、同様に明示が必要と考えるかどうかでございます。
 下は「完全無限定型」と書いておりますが、こういったケースだと、ありそうなケースとしては、就業規則の規定として、賃金額は別表によるとされることもあるかと思います。
 そのときに、仮に賃金でも変更後の労働条件の明示が必要としましても、前回の議論を踏まえますと、就業規則の別表の中で、例えば2年目から3年目に上がって、20万円から22万円に変わることは変更の範囲内なので、明示は不要と解されそうですが、※1の別表から※2の別表に変わるような場合にどう考えるかということでございます。
 36ページ目を御覧いただきますと、前回の資料でもおつけしていたものと大体同じですが、前回の議論の中で、15条明示と就業規則で記載する事項が一定異なることもあるというコメントもございましたので、それに関連して、3号の賃金のところで、一定違いが分かるようなところを記載しているところであります。
 37ページ目を御覧いただきますと、ほかの法令でも変更後の労働条件等を示すことがありますが、その中でも、業務や場所以外にも、船員法のように給料とか労働時間といったことも明示することがあるということで書いているものであります。
 38ページ目を御覧いただきますと、次はまた別の論点でありまして、仮に例えば「X年」で変更範囲の明示義務と変更後の労働条件明示義務を入れる場合を想定しますと「X年」よりも後に労働契約を締結する「ケースⅠ」については、労働契約を締結するタイミングで変更範囲は明示されますので、その後に②と書いていますが「変更範囲の変更」があったとしましても、変更後の労働条件の明示のときには、最初の①の契約締結時に明示されたところからどう変わったかというのを示していけば足りそうでありますが、「ケースⅡ」のように「X年」よりも前に労働契約の締結をしていた場合には、その変更範囲の明示がないことも想定されますので、そうすると、労働条件の前後における相違点が②のタイミングでは把握しづらいことはあり得るかと思います。
 そこで、ここの矢印に書いていますが、労契法4条の趣旨を踏まえまして、例えば1つ目のポツのように「X年」以降、労働者から求めがあれば、求めがあった時点における論点イの措置の対象労働条件を説明することや、もしくは2つ目のポツで、変更後の労働条件明示の際に、相違点が分かるように説明することなど、こういった措置を講ずることが望ましいと言えるのではないかと書いております。
 39ページ目でありますが、また別の追加論点(7)でありまして、変更内容のみ明示する場合の例としては、この点線囲みのようなことが考えられるかと思いますが、変更後の労働条件全体を明示する場合としましては、ここでは例えばということで、モデル労働条件通知書を入れていますが、こういった形で明示することも考えられます。
 全体を示せば、当然、明示の都度、労働者としましても、自分の労働条件全体を把握できますが、変更内容のみ明示することで、最低限の目的を達せられると考えられるかどうかということで御議論いただければと思います。
 40ページ目を御覧いただきたいと思いますが、労基法106条の関係でございます。
 追加論点(8)ということで、ここでるる条文などをおつけしていますが、現行も、一番下の通達でもありますが、就業規則等を労働者が必要なときに容易に確認できる状態にあることが「周知させる」ための要件としているところであります。
 41ページ目でありますが、前回、戎野先生からも御指摘いただいたところを再掲していますが、就業規則について「申し出があったときにだけ見せている」とかそういったデータを再掲しています。
 この後、42~45ページ目までは割愛させていただきまして、46ページ目を御覧いただきたいと思います。 
 「論点ウ」の「労働契約関係の明確化を図る場合に派生する諸課題への対応」であります。
 1ポツ目のように、裁判例などの内容をまとめて、考え方を整理して示していくことが考えられるのではないかという話でありました。
 また、最後の○でありますが、前回の議論の中でも、採用時から限定されるか、または途中から限定されるかによって雇用保障への期待が違っていることから、雇用保障の度合いが違うことがあり得るという御意見もありました。
 後ほど、これに関連した裁判例のスライドを53ページ目におつけしています。
 47ページ目を御覧いただきたいと思いますが、ここからは、前回もおつけした裁判例に基づく考え方を随時載せています。
 このスライド自体は前回と変わっていませんので、割愛しまして、48ページ目でありますが、多様な正社員に係る配置転換の関係ということで、東京海上保事件のところだけ記載の仕方を変えているところであります。
 49ページ目でありますが、多様な正社員の整理解雇に関するスライドでありまして、基本は前回資料と同じではありますが、左側は、考え方をより分かりやすくまとめたものに変えておりますほか、この考え方に対応する判事をしている裁判例を右側におつけしているところであります。
 50ページ目、51ページ目も同様の修正をしておりまして、53ページ目を御覧いただきますと、いずれも多様な正社員の例ではないのですが、もともと正社員だった方がパートタイマーに変わったということでありまして、途中で雇用形態を変更した例であります。
 55ページ目を御覧いただきますと「その他」の論点でありまして、こちらは前回意見を踏まえまして、少し追記しているものでございます。
 最後に、諸外国の例ということで、63ページ目を御覧いただきたいと思いますが、一番下にドイツの例ということで、少し法令を追加しているということでございます。
 資料2の御説明を続けてさせていただきたいと思います。
 無期転換ルールに関する論点ということでありまして、第8回の御議論等を踏まえまして、論点に対する考え方をアップデートしております。
 追加論点等に関わる部分以外は、時間の都合上、割愛させていただきたいと思います。
 それでは、まずは12ページ目を御覧いただきたいと思います。
 こちらにつきましては、表題のように「無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保」ということでありまして、2)の「使用者からの通知等」で、これまでの議論ですと、現状とか法制度を踏まえますと、使用者から個々の労働者に対して無期転換申込機会の通知を行うことを義務づけるべきではないかという議論がございました。
 これに関連して、これまでも記載していたのですが、下から2つ目のひげのところ、無期転換後の労働条件が不明確であることで、無期転換申込権の行使を抑制していると考えられると書いておりまして、これに関連するデータを13ページ目におつけしているところであります。
 13ページ目を御覧いただきますと、このデータについては、労働者調査の中で「責任や残業等、負荷が高まりそう」との理由で無期転換を希望しない有期契約労働者が働いている企業にも調査しました。そうすると、青いところですが、43.5%が無期転換後の働き方に変化がない企業だったということであります。
 14ページ目でございます。 
 続いて、同じ転換申込機会の確保でありますが、1つ目のポツのように、無期転換ルールに関する通知の義務づけについては、労働基準法体系の中で措置するのが適当ではないかということで、通知のタイミングとしましては、るる御議論いただきましたが、③の申込権が発生する契約更新ごとのタイミングが適当ではないかということでありましたし、最後の○でありますが、使用者から労働者への無期転換申込機会の通知の際には、無期転換後の労働条件も知らせるべきではないかと議論いただいたところであります。
 これに関連しまして、15ページ目に追加論点を入れておりまして、無期転換後の労働条件の通知については、具体的には労基法施行規則5条1項に掲げられているような事項、この表に書かれているような事項といったものを通知するということでよいか。
 また、通知する無期転換申込機会とか無期転換後の労働条件それぞれについて、書面明示がいいか、それとも口頭明示がいいかということで記載しております。
 19ページ目を御覧いただきたいと思います。
 次は、無期転換前の雇い止め等ということでありまして、1つ目の○であります。
 ここでは、無期転換ルールの趣旨などに照らした考え方をまとめていまして、そういったものを周知していくべきではないかということであります。
 あとは、更新上限の設定につきましては、紛争の未然防止などの観点から、使用者に対しまして、更新上限の有無とかその内容の明示の義務づけですとか、最初の契約締結より後に更新上限を新たに設ける場合、労働者からの求めがあった際に、上限を設定する理由の説明の義務づけを措置することが適当ではないかという御議論がありました。
 2つ目のポツの理由の説明の義務づけに関連しまして、20ページ目に追加論点を入れておりますが、上限を設定する理由の説明の義務づけに関しまして、その説明のタイミングについては検討すべきという意見もあったところですので、再度ここでどうすべきか御意見いただければと思います。
 21ページ目以降は、以前にもお見せしたものと基本的に同じでありますが、23ページ目の⑩のケースにつきまして、その裁判例でドコモ・サポート事件を追加しております。
 この裁判例の詳細を24ページ目におつけしているところでございます。
 25ページ目でございますが、10月の議論の際に、山川先生からも御紹介いただいた裁判例でございます。
 続いて、35ページ目に飛んでいただきたいと思います。
 有期特措法の関係でございます。
 35ページ目の中に「追加で議論いただきたい点」を入れております。こちらは14ページ目の中で無期転換権に関する使用者から労働者への通知という話がございましたが、それに関連しまして、○に書いていますが、有期特措法の第1種の対象者、つまり一定の高度専門職のような方々についても、無期転換権が発生する契約更新ごとのタイミングでその申込機会等の通知が行われるように、必要な措置を検討することでよいかということで書いております。
 具体的には、36ページ目を御覧いただきたいと思います。こちらの中で、第1種の場合のタイミングの例ということで、特例の対象でなければ、5年たったら、その後のタイミングで無期転換に関する通知を行うという御議論があったかと思いますが「プロジェクト7年」の有期特措法1種の特例適用者については、5年経過後ではなくて、7年経過後に通知をしてもらう方向でいいかということでございます。
 39ページ目を御覧いただきたいと思いますが「その他」という論点でございまして、労使コミュニケーションの関係でるる御議論いただいてきましたが、こちらの中で、例えば「追加で議論いただきたい点」ということで入れておりまして、過半数代表者がより適切に。
(音声中断)
○竹中課長補佐 今は聞こえていますでしょうか。
○安藤委員 今は聞こえます。
○竹中課長補佐 ありがとうございます。
○安藤委員 39ページのところから聞こえなくなっていました。
○竹中課長補佐 ありがとうございます。
 そうしましたら、39ページ目は、労使コミュニケーションの関係でるる御議論いただいてきたところでございます。
 こういったことの関連で「追加で議論いただきたい点」と入れておりまして、過半数代表者がより適切に多様な労働者の意思を踏まえることができるよう、使用者等はどのような工夫をすることが考えられるかということで入れております。
 参考までに、派遣元の事業場における意見聴取に関する通達を下に入れております。
 長くなりましたが、私からの説明は以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 会場によって音声が聞こえづらいところがありますが、大丈夫でしょうか。
 それでは、議論に入っていただきたいと思います。
 まず、資料1の多様な正社員の雇用ルール等に関する部分からでありますが、まず「(1)総論」につきまして、何か特段の御意見がありましたら、お願いいたします。
 竹内委員、お願いします。
○竹内委員 特段の意見にはならないかもしれませんが、7ページで追加の論点が掲げられているので、念のため申し上げますと、確かに多様な正社員とかを念頭に置いて議論して、その中でいわゆる正社員も配慮する必要はないという形で議論が進んできていますが、労働条件の確認や理解を図ることは、有期契約等の方々でも違いはないので、これは含めるということでよいと思います。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 これまでの議論の経過も含めて御確認ということになるかと思いますが、ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 この点は、各論的な部分との関わりで、最終的な、言わば仕上げ具合とも関わる点で、また全体的な議論の中で御意見をいただけるのではないかと思います。
 戎野委員、お願いします。
○戎野委員 一言だけ。
 この進め方で結構かと思います。多様な正社員も、いわゆる正社員も、有期契約も同じ職場にいます。これまでのヒアリングなどでも、使用者が労務管理上、そこの難しさを指摘していましたので、ここの議論の中でも、全体像を視野に入れていくのは妥当だと思います。
 使用者としても、全体としての整合性を図るところが非常に大きなポイントになってくるでしょうし、また、労働者にとっても、自分の働き方を理解する上では、周囲の働き方との差異を常に意識しながらというのが現実だと思いますので、労働者全体を検討対象ということは、労使にとって非常に有益かと思う次第です。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 ほかにはいかがでしょうか。
 では、よろしければ、次の「(2)雇用ルールの明確化」のうち、論点イですが、26ページに追加して御議論をいただきたいものが幾つか示されております。
 「雇用ルールの明確化」につきましては、本日はこちらが中心的な部分になるかと思いますが、追加して御議論いただきたい点につきまして御意見をお願いしたいと思います。
いかがでしょうか。
 竹内委員、お願いします。
○竹内委員 ありがとうございます。
 26ページにつきましては、(1)~(8)とたくさんありますが、特に一番重要なのは(1)で、あと(8)も関連しているかと思いますが、特に重要な点ではないかと思います。
 (1)なのですが、27ページのように整理できるのではないかと、その整理の仕方については特に異論はございませんが、問題となるのは、就業規則の変更の場合にどのような対応をするか。これは今お示しいただいている(a)の論点にも係ってくるところではないかと思います。
 変更時の労働条件を明示等することについてここまで議論をしているのは、現在の労働条件がどのようなものであるか。それは、締結してあれば、締結時に形成される労働条件がどのようなものであるか、変更時であれば、変更された後の労働条件がどのようなものになっているかについて、理想的には使用者と労働者の双方がということですが、労働者が確認して、理解できるようにする。そのことによって、労働条件の理解の欠如から生じる紛争を防ぐという観点で議論をしてきたのではないかと認識しております。
 そのような観点、つまり、現在の労働条件がどのようなものであるかについて確認して、理解を深める、それによって紛争を防止するということであれば、変更の手段が何であるかによって規制を変えるという利用ではなくて、契約の締結時に労働条件を形成して決定する場合と同じく、変更の場合についても明示の対象としていくというのが一貫していると思います。
 単純に申し上げますと、就業規則の場合であっても、前回申し上げましたが、変更時について、15条の明示の規制を同様に及ぼしていく方向性で前回議論していたかと思いますが、それと同じように考えて、就業規則による場合であっても、労働条件を変更する場合という捉え方をして、明示の対象としていくのが一貫して言えると考えます。
 明示と周知は趣旨が同じということが27ページの(a)でも関連して述べられていますが、法令で用語が使い分けられていることからも示されるとおり、要求されている義務内容は異なっているのではないかと。
 ここは、私が現時点で理解している限りのものですが、周知は、労働者が知ろうと思えば知れる状態にすれば足りる。明示は、より積極的に使用者が労働者に対して労働条件を書面ないし一部については口頭で示すことで、労働条件の確認とか理解に向けての使用者側からの働きかけの程度は違うところがあるのではないかと思います。
 そのような意味では、基本的には明示という形で検討すべきではないかと思われますし、あと、これは26ページの(8)とも関連しますが、仮に就業規則で変更する場合について、周知の方法によることでよいと考える場合であっても、周知によって、知ろうと思えば知れるということにすることで、労働条件について確認と理解が十分に図られるかを慎重に検討する必要があるのではないかと思います。
 端的に申しますと、周知として要求されるものの中身を可能な限り明示に近づけることが、周知でよいとする場合であっても検討する必要があるのではないかと思います。
 そのような形で、幾つかにわたってしまいましたが、26ページの(1)と27ページの(a)、26ページの(8)はそれぞれ関連するかと思いましたので、まとめて申し上げましたが、基本的には、就業規則による変更の場合であっても、明示という方向を目指すべきではないかと私は考えております。
 そのほかについてもいろいろとありますが、多分、長くなりますので、一旦ここで切りたいと思います。
 ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。
 取りあえず、明示を必要とする場面と就業規則の周知の事項を中心に御意見をいただきました。
 ほかにいかがでしょうか。
 桑村委員、お願いします。
○桑村委員 今、竹内先生がおっしゃった点で、就業規則による労働条件変更の際に、個別通知が必要かという論点について意見を申し上げます。
 前回、竹内先生より、労働契約の締結時には、就業規則による場合も個別通知が必要になっていることとの整合性をどう考えるかについて、理論的にそこを区別することはできないのではないかという指摘をいただきました。
 理論的な一貫性という点でいえば、確かに区別する理由はないと思うのですが、私は、実質的な観点から、メリット、デメリットを踏まえて考えると、就業規則による労働条件の変更の場合には、個別通知までは必要ないと考えています。
 労働契約の締結時については、就業規則による規律の場合は、就業規則の第何条によるという形での明示が許容されております。それを前提とすると、労働条件を就業規則で変更する場合は、同じく第何条によるという形での通知になるであろうと思います。そうすると、そのような 新たな義務を課すことによる情報量は変わらず、労働者にとってより分かりやすいものになるかというと、そうとは言えないと思います。
 その一方で、労働条件を変更する場面は、一般的に就業規則の場合も含めて、罰則つきの義務を課すことになると、かなり煩雑なことになって、使用者にとっては負担が重いと思います。
 こういう実質的な観点から、メリットに比してデメリットのほうが大きいのではないかということで、労働条件の変更を就業規則で行う場合については、労基法106条の周知のみでよいと考えます。
 それと少し関連するのですが、前回、変更の手段で切り分けるか、対象で切り分けるかという問題提起をしました。
 私は、就業規則による変更の場合については、106条の周知だけでよいと考えておりますが、先ほど、不変更の合意について御説明いただきました。不変更の合意がある場合については、就業規則で変更できないものなので、通知は当然しないほうがいいし、すると紛争をさらに呼んでしまうので、それは不要だと思うのですが、不変更の合意が認められない場合、そういうものがないケースで、労働者が個別契約による条件は就業規則で変更できないと考えていた場合については、紛争が生じ得ると思います。
 就業規則によって個別労働条件を変更できる場合については、別途通知が必要なのかどうかという問題意識で前回指摘しましたが、ここに書かれているとおり、不変更の合意があるかどうかは、契約上の解釈の問題で、契約法の問題なので、それによって罰則つきの個別通知の要否を決めるのは適切でない。それはそうだと思いましたので、結局、就業規則による変更の場合については、不要だという考えで一貫してよいのではないかと思います。
 あとは、山梨県民のような事案を念頭に置いた、就業規則によって変更して、さらに個別の合意を得るパターンの場合は、変更の手段としては、個別契約の類型に入ってくると思いまして、これをどう扱うかということが、私自身も問題意識としてありました。実質的には就業規則と同じ内容で個別契約を取っていくパターンになるので、これは就業規則の変更の場合と同視して、個別通知は不要であると考えてよいのではないかと思います。
 法令と労働協約についても意見はありますが、長くなりましたので、ここで終了といたします。
○山川座長 ありがとうございました。
 両角委員、お願いします。
○両角委員 ありがとうございます。
 まず、就業規則による変更の場合ですが、私は基本的に桑村先生と同じ考えです。
 就業規則による変更の場合は、労基法106条に基づく周知義務がありますので、それで足りるということでよろしいのではないかと思います。
 ただし、竹内先生がおっしゃるように、現行法上の周知義務の内容は十分ではないので、労働者が就業規則のどこがどう変更されたのかをいつでも実際に知りうるように、義務を強化することは非常に重要な点だと思います。
 それから、今の論点とは異なるのですが、どのような労働条件について明示義務を課すのかという点について、一言申し上げたいと思います。この研究会の出発点が多様な正社員の雇用関係の明確化にあり、この問題についてヒアリング等も行ってきたことや、雇用関係の当事者にとっての分かりやすさを考えると勤務地と職務内容、あとは労働時間も入るかもしれませんが、今回はそういう労働条件に限定することもあり得るのではないかと考えています。
 明示すべき範囲を賃金などに広げていくこともあり得ますが、そうすると、就業規則との関係などが複雑になってくるのではないかとも思われます。その辺りをどう考えるかについて、議論が必要ではないかと思っているところです。
 ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。
 今の御指摘は、最終的な仕上がりを考える上においても重要なことだと私も思っておりまして、これまで26ページの(1)~(4)を中心的に御議論いただいてきましたが、今の両角委員の御指摘は(5)のお話でありまして、両者は非常に関連していて、Aの業務・場所は、多分、担当している業務、法律の用語だと従事すべき業務ということで、非常に個別的な問題だと思いますが、Aに限って対象とするとしますと、それを就業規則で変更することは、それほどないのではないか。個別合意で定めるのが通常のパターンになりますので、(1)~(4)でいろいろと御議論いただいてきた中で生ずる複雑な問題は、実際上、あまり生じないことになるのではないかと思います。
 これに対して、賃金とかですと、例えば賃金規程も就業規則であると一般に解されていますが、それを少しいじった場合に、個別の書面明示が一回一回必要になるかというと、論点としてもかなり複雑になりますし、フィージビリティー的にも結構大変かなという感じがします。
 余談ですが、私の所属先では、少なくとも年何回かは就業規則を変更していますので、書面明示事項に限ってですが、個別通知となると、メールで通知すれば足りるといえばそうなのですが、ちょっと大変かなという感じがしたところです。
ということで、(1)~(4)と(5)の関連性のようなこともここでは御議論いただきたいと思います。
 それから、(5)の追加で、桑村先生からも不変更合意の御指摘がありましたが、多分、変更された場合は、変更の範囲をもし労基則5条の明示事項に加えるとしたら、変更の範囲が変更された場合も含めている趣旨かなと、Aの表現の解釈の問題として思ったところです。これは追加になります。
 すみません。私のコメントをつけてしまいましたが、ほかに御意見はいかがでしょうか。
 26ページの追加で御議論いただきたい点について、全般的で結構です。
 坂爪委員、お願いします。
○坂爪委員 ありがとうございます。
 就業規則の変更の場合、労働条件をどうするかについて、個人的には、本当は今後、労働者側も自分がどういう条件で働いているのかを知ることは非常に大事になってくることを考えるならば、理想としては明示や通知が必要となっているものについては通知する、明示することは大事かなと思いますが、企業がそこまではできないだろうという意味では、先ほど桑村先生がおっしゃったような形が現実的かと思います。
 一方で、(5)についてなのですが、先ほど最初のところで多様な正社員、いわゆる正社員、有期雇用全部含めて議論するというお話があったかと思いますが、そことの観点で、議論(5)は随分意味合いが変わってくるのかなと思っておりまして、先ほどの議論だと、要は有期雇用からいわゆる正社員まで含めてやるとなったときには、業務・場所の変更だけにとどまらない話になってくるかと思うのです。
 そうすると、15条の書面明示を対象とせざるを得ないのかなと感じておりまして、そこは最初に御確認されたように、有期雇用からいわゆる正社員まで全部含めた議論とするのかどうかというところと(5)については、すごく関わってくるかと思っております。
 そういう意味で、先ほど発言しようか迷ったのですが、基本的には全部含めて議論するという前提で、(5)については検討するということでよろしいですかという確認をまずさせていただければ幸いです。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 以上の点は、むしろ御議論していただきたいところかと思います。
 最初の総論の部分にも関わるところですが、総論で多様な正社員以外も扱うことの、それこそ意味合いをどう考えるかというところと関係してくるかと思います。理由づけのところで、そもそも多様な正社員とは何かということ自体、はっきりしないという理由づけもあったところです。
 それから、例えば賃金規程で、出張の際の手当の取扱いとかも就業規則になるのですが、それも変更した場合は書面明示が必要だということになるのでしょうか。
 賃金規程の内規が就業規則としての性格を持つ場合、あと評価基準などもです。
 事務局からどうぞ。
○竹中課長補佐 これまでの御議論の流れからすると、資料1の35ページ目の中の例で言えば、例えば左下の※1の別表が※2の別表に変わるときと大体同じような話かと思います。他方、出張手当がもともと定められている変更の範囲の中で変わっていくということであれば、これまでの場所のときの御議論の中では、24ページ目に飛んでいただいて、点線囲みされているところでいえば、④とか⑤と同じように、もともと規定されている変更の範囲内で労働条件が変更されたところと共通しているところはあるかと思います。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 両角委員、お願いします。
○両角委員 ありがとうございます。
 さっきの坂爪委員の御指摘はもっともだと思います。
 ただ、勤務地や職務の変更に係る労働条件の明示は、「多様な正社員」で一番問題になると思われますが、例えばパートタイマーとか契約社員にもあり得ることですし、無期転換に際して、勤務地や職務が限定されていたのが変更されることもあると思います。つまり、勤務地や職種の問題は、多様な正社員を中心に労働者全体に関わることなので、対象を全労働者に広げたから必然的に労基法15条の事項を全部含めなくてはいけないということはないと私は思っております。
 今の私の個人的な考えとしては、さきほど山川先生が御指摘されたように、理論的にも、実務的にも大分すっきりとするので、まずは勤務場所と職務内容に限定して考えてみる。
 もちろん、理想的にはもっと広い範囲で明示することが望ましいので、どうしたらそれができるかを次にまた考えていくのはどうかと思っております。
○山川座長 ありがとうございました。
 さらに私の個人的な意見を追加で言えば、今、両角先生が挙げられた無期転換の点は、これまでの議論ですと、契約社員の場合は、比較的職務とか勤務地が限定されているのではないかという前提でいろいろと議論がなされているのですが、統計調査などですと、そもそもそこがあまりはっきりしていないということで、パートの勤務時間ははっきりしていると思いますが、契約社員等の勤務地ないし職務の限定をはっきりするという意味は、今回の検討会としても結構あるのかなと思った次第です。
 竹内委員からお手が挙がっていたでしょうか。
○竹内委員 ありがとうございます。
 今、両角委員がおっしゃったことに関して、やや感覚めいているかもしれませんが、申し上げたいのですが、前々回だったと思いますが、両角委員が議論はちゃんとしなければいけないけれども、出来上がるルールは、労使双方にとって分かりやすく、シンプルにすべきではないかと非常に重要な御指摘があったと思います。
 先ほどの御意見も、そのような観点が基本的にはあるのではないかと思ったところではありますが、業務とか場所に限定するという考え方は、少なくとも理論的な観点で見た場合に、それがシンプルなのかというと、必ずしもそうではないかなと。全部と言ったほうが、むしろ理想的にはシンプルだという考え方もあるかと思います。その意味では、(5)について、Aにするか、Bにするかに関して、Aにするのがシンプルだという観点から基礎づけられることはないのではないかと思います。
 あえて考えるならば、そこはシンプルというよりかは、使用者の実務上の負担という観点かと思いますが、その観点で理論的にシンプルということであればBという案もあるけれども、Aにするかとか、そのような考え方になるかと思います。
 何が言いたいかといいますと、シンプルという観点を、理論的な点で(5)のAに結びつけることには必ずしもならないのではないかということだけは申し上げたいと思った次第です。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 安藤委員、どうぞ。
○安藤委員 ありがとうございます。
 今のAとBの議論なのですが、シンプルと言ったときに、使用者側の手間を考えるだけでなく、受け取る側の労働者側の認知を考える必要があるのかなと、お話を聞いていて感じました。
 先ほど座長から就業規則が1年間に何回も変わるというお話がありましたが、私の職場でもそういうことがありまして、就業規則は、一応会議でお知らせは来るわけですが、では、誰が見ているのかというと、ほとんどの人は多分見ていないのです。
 恐らく、一部の、それこそ私も含め、労働問題にうるさそうな人が、何か問題があったら言ってくれるだろうという形で、一部の人が見ていてくれれば、全員が細かく見ることは実際上、手間暇も考えて現実的ではないということで、数多く細かな情報提供をするよりも、重要なもののみ選択的に伝えたほうが、結果的に、これはちゃんと見ないといけないものだと認識されて、届く分量が増える可能性もあるのです。
 なので、手間暇といったときに、情報を出す側の使用者側の手間だけでなく、受け取る側のことも考えた上で、シンプルということが(音声中断)。
○山川座長 今、私からは聞こえているでしょうか。
○安藤委員 今、切り替えましたが、聞こえますか。
○山川座長 ちょっと飛び飛びでして、最初に…。
○安藤委員 聞こえますか。
○山川座長 今は聞こえますが、ちょっと飛び飛びなのです。
○安藤委員 両角先生には聞こえていると。
 今、マイクを新しい別のものに切り替えましたので、もう一度簡単にお話しします。
○山川座長 お願いします。
 先ほどは、「細か」と言われたところまでは聞こえていました。
○安藤委員 お話ししたい論点は、AとBのどの部分を教えるかといったときに、シンプルというものをどう考えるかというお話で、情報を提供する側の使用者の立場だけでなく、労働者側が情報を受け取ることができるのかという観点からも、単純であること、分かりやすいことが求められるということが申し上げたかったポイントです。
 先ほど座長から就業規則が1年間に何回か変わるというお話がございましたが、そういうことがあったときに、労働者側には全ての就業規則が、例えば私の職場では提示されるわけですが、みんなが全部読んでいるかといったら、見ていないということで、一部の人が見てくれれば大丈夫だろうといって、ある種フリーライドするところもあったりもするわけです。
 労働者に対して提示される情報量が増えれば増えるほど、ちゃんと見ないことにもつながりかねないので、本当に重要な情報だけが厳選されて送り出される、労働者の手元に届くほうが全てをきっちり見てもらえるということで、実質的に伝わる分量も多いのではないかという観点から、シンプルであることは、使用者側だけでなく、労働者側にとっても重要なことかなと感じましたというお話でした。
 ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございます。
 どうもお手数をおかけしました。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。
 戎野委員、お願いします。
○戎野委員 ありがとうございます。
 ここのページの(7)にも「労働者の分かりやすさ、使用者の負担等」を踏まえるべきだと記載していただいていますが、私もこの点がとても大事だと思います。
 今、安藤委員からもありましたように、普通の人は、労働に関して詳しくない人がほとんどの中で、書面なりの明示があって、それをどう理解できるのかが非常に重要かと思うのです。それは、最終的には紛争を回避していくことへの重要な要素かと思います。
 そのときに、伝え方ですが、いわゆる一般の人から見たときには、私は今、どういう状態にいて、それがどう変わるのかということは重要だと思います。また、一つの条件の変化が他の条件とリンクしているかどうかも重要だと思います。例えば職務が変わりますと言われたときに、では、職務が変わったら、賃金体系は変わるのかとか、例えば業務が営業に特化されるようになると、出来高給、あるいは成果主義賃金の割合が高まるのかとか。あるいは今、20万円でその後も変わりませんよと言われても、それはずっと変わらないことなのか、あるいは賃金は20万円だから特に何も言われなかったけれども、実は賃金体系が変わっているため、3年後、5年後には変化するかもしれないのか等々です。そのため、そういった言葉からだけでは自分の労働条件を100%把握することが、難しい人もいると思います。先ほど無期転換になるのに躊躇する理由で、見えにくさが御説明にあったと思うのですが、なるべくそのような問題を除去しておく必要があるかなと思います。
なので、何が今、自分の状態で、それがどう変わるのか。今、例えば何々支店に勤めているけれども、それはどういう条件の中で、たまたま今、何々支店にいるのか、そして今度はどのような限定になって、どこの支店になるのか、つまり何が限定されたのかを理解するためには、今の条件が何で、どう変わったかが伝わってほしいのと思います。先ほどの業務が変わったことによって賃金体系が変わる可能性がある場合もあるかと思いますので、何は変わらないのかというところも、例えば退職金は変わらないのだとか、そういったことが分かるといいのではないかと思います。
 要するに、今は何で、次は何に変わるのかということと、この点は変わりませんよという点も何らかの形で明示されると、使用者側も全部を示す必要はないので、負担もある程度軽減されますし、労働者も分かりやすいかなと思いました。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 ただいまの点は、(7)とも関係があるかと思いますし、変更の前後は、恐らく、労契法4条の説明義務の問題との関連性が高いのかなと。変更の理由とかそういうことになると、あるいは他の制度の関わりということですと、恐らく説明義務的な発想がかなり入ってくるということかなと伺って感じました。
 ほかの御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 取りあえず、いろいろとお考えを伺いました。
 (5)については、A、Bと分かれていましたが、先ほど私が追加してしまいましたように、変更の範囲の変更のようなものもここに含まれるだろうということで、どう区分けするかは、仮にA的な考え方を取るとしても、さらに問題は生じるかと思います。その場合でも、あまり複雑にならないようなということはいろいろな意味で出てくるかと思います。
 (8)について、先ほど竹内委員からも問題提起があったところで、今のお話は、例えば戎野先生のお話の賃金体系の変更などですと、恐らく個別の契約の問題というよりも、就業規則の変更という形態を取ることが多いと思いますので、(8)にも関わってくるかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
 竹内委員、お手が挙がっていますね。お願いします。
○竹内委員 ありがとうございます。
 既に(8)に関連して発言させていただいておりますが、一つだけ追加で、先ほど申し上げたとおり、106条の周知で労働条件内容の理解等の手段とする方向性でいく場合であっても、周知の中身については考え直すべきではないかと先ほど申し上げました。
 そのことに関して、一つだけ具体的な点を申し上げますと、26ページの(8)にも書かれているとおり「特に周知していない」のは、そもそも周知をおよそ欠いていますので、これは周知しましょうということになると思いますし「申し出があったときにだけ見せている」という点ですが、なるべく明示に近づけるという観点からいいますと、明示の場合だと、積極的に使用者が労働者に伝えるところがあろうかと思いますが、ともかく、労働者としては、労働条件が自力で把握できる状態になっているということではないかと思います。
 周知の場合も、基本的な理解として、学説や判例等で述べられているのは、労働者が知ろうと思えば知れる状態にあるということかと思います。
 もちろん、何をもって知ろうと思えば知れる状態にあるかは、さらに議論の余地があるかと思いますが、基本的には、明示に近づけていくということであれば、労働者が自力でその規定等にたどり着けるということではないかと思います。
 そうすると、改めて使用者等に申出をして初めて見られる状態になるのは、そもそも周知と考えることにはならないのではないかと思われます。その意味では、少なくとも「申し出があったときにだけ見せている」状態は、もはや周知がなされているとは言えないという形で理解を進めていくべきではないかと思います。
 その点は、特に具体的な問題ある対応として気になるところでありますので、申し上げさせていただく次第です。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 今の点は(8)についてですが、ほかに御意見はありますでしょうか。
 桑村委員、お願いします。
○桑村委員 労基法106条の周知について見直しが必要であるという竹内先生の御指摘に賛成いたします。
 現在の労基法施行規則52条の2では、常時各作業場の見やすい場所に掲示するとか、磁気テープ等で常時確認できる機器を設置することと挙げられております。
 職場において、見やすい場所に置いておくことが義務づけられている以上は、使用者に何か求めないと見られない状態にあるのは、現行法上も要件を満たさないことになるのではないかと思っております。
 さらに見直しが必要な点はあるかと考えると、見やすい場所に掲示するとか磁気テープ等を常時その場に設置することでも、そこにあるのを労働者が知らないと分からないことだと思いますので、単純に客観的に見て、物理的にそこに設置しておくということではなくて、そこにある、そこに行けば見られる状態にあることを確実に労働者に伝えるまでが必要になるということを明確にすることは、新たにできることだと思います。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 桑村委員、今のお話の前に、後でおっしゃると思われているものが何かあったような記憶がありますが。
○桑村委員 法令や労働協約で変更する場合はどうかという論点でした。
○山川座長 では、それもおっしゃっていただけますか。
○桑村委員 ありがとうございます。
 法令や労働協約による労働条件変更の場合ですが、私は、必要な情報は、労働者が取れる状態にあるのであれば、労働者自身が獲得していくのが原則ではないかと思います。その意味で、法令に関する情報は、労働局のホームページなどにも載っていますし、それ以外の法的な状況についても、その人自身が十分に情報を得る努力が必要であろうと思っております。
 それから、労働協約に関してですが、組合員に適用されるのが原則であって、労働組合自身が、労働条件の内容とか変更の内容を組合員に対して周知していくのが原則ではないかと思っておりまして、法令や労働協約による変更の場合は、使用者に罰則つきの義務、個別通知という形でする必要性は、日本ではないのではないかという気がしております。
 この点で、ドイツの法制度について、63ページに紹介があります。ドイツは、証明書法3条の第2文で、労働協約で変更する場合については、通知は必要ないと書かれている一方で、労働協約法8条で、使用者が労働協約そのものを周知する義務を負っています。
 ただ、ドイツの場合は、事業所内で1つの労働協約しか適用にならないことになっていて、組合員ではなくても、労働協約を個別契約で広く援用して統一的に適用していく現状があり、労働協約が事業所内の統一的な規範として機能している前提がありますので、使用者に事業所内の規範についての周知義務を課すことが法制度としても理解できます。しかし、日本はそのような状況になっておらず、組合員にのみ労働協約が適用になるという原則の下で、労働組合自身が十分な周知を行えばそれで足りる。それ以上に使用者に個別通知という形で義務づけるのは、過重かなという気がしております。
 ですから、私は個別契約で労働条件を変更していくパターンのみに個別通知を課すということで、狭く考えております。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございました。
 全般にわたってで結構ですが、ほかに何か御意見は。
 (8)について、御意見を幾つかいただきました。
 何らかの形で周知をより実効的なものにしていくという御意見が多かったのではないかと思います。
 その方法もいろいろとあるかと思います。解釈を明確化する方法、労働基準法施行規則52条の2自体を改正する方法。
 5条と申しましたが、就業規則がどこにあるかも明示の対象にすることと勘違いしていました。
 それから、ドラスチックなのは、法律自体を改正することがあります。
 あとは、それ以外の形で何らかのメッセージを発するには、多分、周知義務に関する監督をより厳格に行うみたいなことも含まれているかもしれません。これは運用レベルのお話であります。
ということで、いろいろな対応は考えられるのではないかと思います。
 (8)についての個人的な補足は以上です。
 (6)についてはいかがでしょうか。
 この点は、まだ特段のコメントはいただいていなかったかと思いますが。
 竹内委員、お願いします。
○竹内委員 あまり考え抜かれていないかもしれませんが、(6)に関しては、既に雇用されている労働者についても、変更があったときに変更後の労働条件を明示させる。
 変更時に関して今議論しているのは、基本的には変更後の労働条件を明示させるか、あるいは明示に相当するような周知をするとか、そのような議論かと思いますので、変更があったときに明示するということで、特に問題はないのではないかと思っております。
 これから法改正の後に採用される労働者の場合も、変更のケースであれば、将来、変更が発生したときに初めて問題となるということで、状況は変わらないのではないかと。もしかしたら何か勘違いしているのかもしれませんが、(6)については理解しております。
 恐らくは、法改正がなされた時点で、現在の労働条件がどうかということの確認が図られないのが、既に雇用されている労働者に関して、(6)で問題として念頭に置いている点ではないかと思うのですが、ここまでの議論の流れからいうと、採用して、新たに労働条件を形成するときに、労働条件の理解とかに関してどうするか、それと似たような形で、変更時にどうするかという形で議論してくれることとの関係では、法改正の後の現在時点で、労働条件がどうかということについての確認は、ある意味対象事項としては外れているところにあるのではないかと思っております。
 もう一つは、もしかしたら(6)は、変更の前後での差異がどうかということがあまり分からないのではないかという形で問題にしているのかもしれません。
 先ほどの戎野委員の御発言の中でも、変更の前後の際に関しての理解に関しての御意見があったかと思いますが、少し前に、この論点に関するいろいろな議論状況を整理した中で、変更後の現時点での労働条件がどうなっているかという問題と、変更時にどのように変わっているか。
 それは説明とも絡んで、変更の有効性との関係でも議論されているところかと思いますが、一応、変更、ある意味どれだけ落差があるかという話と、変わった後の中身がどうかという話は、一応分けて議論してきたのではないかと思いまして、変わった後の話に限っての議論だという理解で合っていれば、(6)に関しては特に手当てする必要はないのではないかというのが私の考えであります。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 確かに、今のお話は、先ほどの戎野委員のお話とかなり関連しているような気がしまして、どう変わるのか、そもそも現状が何だったのかということとの関連で議論するとすれば、説明義務との結びつきがかなり強くなってくる。
 今、竹内委員がおっしゃったように、契約上の効力を考えるときには、かなり説明が重視されていますが、対象事項にもよるわけですが、明示をもし何らかの形で拡大していくとすると、それについての説明をより促進するようなメッセージを発することは、労働者にとっての分かりやすさという観点では重要になるかなと、私としても思った次第であります。
 ただ、それは明示義務の中身の話とは別次元かなと。そこは竹内委員と同感であったところです。
 すみません。また私のコメントを言ってしまいましたが、ほかに御意見がありましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。
 (8)についても、さらに何か御意見がありましたら、お願いいたします。
 ございませんでしたら、時間の関係で、残りの「雇用ルールの明確化」に関する論点ア・ウ、それから「(3)その他」等がありますが、こちらについて、何か特段の御意見はございますでしょうか。
 なければ、無期転換のほうにつきましても、まだ議論していただきたい点が残っておりますので、資料2「無期転換ルールに関する論点について」御意見、御議論をお願いしたいと思います。
 しばらくぶりの無期転換の議論になるわけですが、15ページ、そのほかも含めてで結構でありますが、いかがでしょうか。
 竹内委員、お願いします。
○竹内委員 何度も恐縮であります。
 先ほどもどなただったかは忘れましたが、1つ目の多様な正社員関連のところに関連させて御意見があったかと思うのですが、無期転換後の労働条件がきちんと分かるようにする、それで無期転換後の労働条件が分かる。つまり、確認できて、理解できることが申込権の行使をちゅうちょさせないために必要であると。そのような形で、この検討会で議論されてきたのではないかと思います。
 そのような意味では、無期転換後の、法的に厳密に言えば、新しい労働契約が結ばれたときにどのような労働条件になっているかをきちんと確認・理解できるようにする必要がある。労働契約が結ばれる場合には、現行法の下だと労基法15条の下で明示等が求められていることになっているわけです。
 もちろん、無期転換前の中での情報提供なので、完全に同じというわけではないかもしれませんが、労働上、契約が結ばれる場合と同じように考えて、それを見越した状況にあると考えて、基本的には現行の労基法15条で求められているような一定の事項については書面明示で、そのほかについては口頭明示という形で15ページの無期転換後の労働条件に係る情報提供といいますか、通知も行うべきではないかと考えます。
 端的に申しますと、現行の労基法15条と同じような規制をここには当てはめていってよいのではないかというのが私の意見であります。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 今、15ページの追加で御議論いただきたい点のところで御意見をいただきました。
 念のための確認ですが、もちろん、15ページの書面交付の明示事項を考える場合に、無期化する場合のお話ですから、①、②は当然除かれるということで、事項によっていろいろと検討する必要があることはありますね。
○竹内委員 性質上必要なものは、そのように別途お考えいただくことになろうかと思います。不規則発言で失礼しました。
○山川座長 あとは、先ほどの御議論との関係では、③などは特に重要になるかもしれないということですね。
 ありがとうございます。
 ほかに御意見はいかがでしょうか。
 先ほどの御議論とも関係しますが、現行法上は、無期転換した場合には、期間の定めを除けば、従前の労働条件と同一の労働条件で、別段の定めを許容する形になっていますので、そこは別段の定めをした事項ということにもなり得るのかなと思いますが、先ほどの竹内委員の御意見は、別段の定めをしていない場合にもということだったのでしょうか。
○竹内委員 発言させていただきます。
 そこまで考え込んだものではなかったのですが、少なくとも別段の定めをしていないのであれば、別段の定めはしていない、要するに変わりませんということは伝える必要はあるのではないかと思います。
 要するに、何か変わって責任が増えるのか、あるいは今のままかということも、恐らく無期転換申込権を行使するか否かに関しては、非常に重要な考慮点となるかと思いますので、その意味で、変わっていなければ変わっていない、別段の定めがなければ、別段の定めがないことが伝わる必要はあろうかと思っております。
○山川座長 ありがとうございました。
 なるほど。同一の労働条件であることも、そういう趣旨が法律に書いてあるだけでなくてということでしたね。
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 ほかの点についても、例えば19ページなどは、追加の下線箇所ということでいろいろと追加がなされていますし、20ページは、関連しますが、上限を設定する場合の理由の説明をもし義務づけるとしたら、その説明のタイミングをどうするかといった点、
 特に追加で御議論いただきたい点として記載しております。
 桑村委員、お願いします。
○桑村委員 ありがとうございます。
 20ページの論点です。上限を設定する説明の義務づけに関して問題提起したことがあります。その際は、一旦、今後も更新されていくという期待が生じた労働者について、新たに上限を入れる場合については、労働者がその説明を求めたときに、説明を義務づけるのが良いというように、期待が生じていることを念頭に考えていたのですが、期待が生じているかどうかは、個々の労働者と使用者との関係性で、明確には分からないことだと思います。
 ここに書いてある問題提起ですと、最初の契約締結時以降に、新たに上限を入れる場合について、その理由について労働者からの求めがあった場合には、一律に説明義務を課すということでいいのではないかと思います。
 この義務をどこに入れるかを議論したかどうか、明確な記憶がないのですが、説明義務となると、どの程度説明すればいいかについてかなり解釈の余地が出てくるので、労働契約法の中にこういう義務を設けると私は考えていますが、その点の議論が必要ではないかと思いました。どこの法律に入れるかということです。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 確かに、この方向で考える場合、労契法にするか、それともほかのものがあるかは、これまであまり具体的に検討していなかったので、事務局のほうで改めて検討していただければと思います。
 今の段階で何かありますか。
○竹中課長補佐 ありがとうございます。
 今時点で、そういった点についても御議論いただければと思いますが、参考までに、今映している20ページの中でいえば、真ん中の「関連規定」で「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」ということで、労働基準法14条にひもづいて出されている告示でありますが、この中でも第2条で(雇止めの理由の明示)がございます。
 有期契約に関しては、そういったものもあることも踏まえまして、また御議論いただければと思います。
○山川座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見はございますか。
 竹内委員、どうぞ。
○竹内委員 何度も恐縮であります。
 今の桑村委員の御指摘を聞いて、ふと気になったのですが、恐らくは、15ページで先ほど私が発言させていただいた論点に関しても、手当てをする場合にどの法令で手当てをするかという問題が同様にあるのではないかと思うに至りました。
 こちらの話は、20ページもそうなのかもしれませんが、無期転換ルールに係る事柄と認識できますので、恐らくは労契法で18条に関連して規定させていくことになるのではないかというのが私の現時点での感触であります。先ほどの発言に触発されたところがありましたので、発言させていただきました。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 今の点は、御議論はあり得るかと思いました。
 無期契約が新たに成立するという観点からは、労基法15条系列も考えられるかと思いました。
 多分、立法のときにどういう議論をしたのか覚えていないのですが、同一の労働条件だからということで、あまりこの辺りは深く検討していなかったというか、明示的に検討していなかったかと思いますが、先ほどの別段の定めが結構重要な問題になってきたことからすると、この辺りは重要な点になってきたかと思います。
 今の点も含めてですが、先ほどの15ページの辺り等について、何か御意見はございますでしょうか。
 こちらについては、理由の説明ですから、これは多分労基法15条には係ってこなくて、労契法か、あるいは雇い止めの基準の問題かなと、今のところ私もあまり深く考えていないので、思ったところです。
 ついでにということになりますが、雇い止めと上限設定の関係でありますが、先ほど竹中課長補佐から説明していただきました上限に関する最高裁判例は、そもそも上限設定による雇用の終了は雇い止めだと言っています。
 そうすると、上限は雇い止めの基準に該当するということなので、今の15ページとはちょっと違いますが、そもそも現行法でも、雇い止めの基準は15条と規則5条で明示することになっていますから、この中で議論されております、締結時においては上限を設定するのであれば、それを明示するのは、この判決を前提にすれば、現行法とかなり整合的なお話になるのかなと思った次第です。
 すみません。ついでにということでありますが、先ほどの15ページに戻っていただいて結構かと思いますが、ほかに何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、時間もだんだん限られてきておりますので、資料2で残っております「追加で議論いただきたい点」につきましては、35ページの有期特措法との関連がございます。
 それから、時間の関係で、40ページに過半数代表者がより適切に多様な労働者の意思を踏まえることができるような工夫という点が追加で御議論していただきたいものとして挙がっております。
 これらにつきまして、御意見はございますでしょうか。
 両角委員、お願いします。
○両角委員 どこに分類したらいいかよく分からないのですが。
○山川座長 結構です。どうぞ。
○両角委員 過半数代表の点も含めて、フルタイムの無期転換労働者にはパート有期法が適用されないのですが、関連するところもあるので、それを確認しておく必要があるかと思いました。
 例えばパート有期法7条の2項では、有期雇用労働者に係る事項について、就業規則を作成・変更する場合においては、有期雇用労働者への過半数代表の意見を聞くように努めるとしていますが、無期転換に関する事項は、有期雇用労働者に係る事項に含まれるのだとすれば、同項の意見聴取が求められることになります。
 また、パート有期法を改めて見てみると、例えば16条では、事業主が短時間有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に関し、相談体制を整備しなければならないとしていますが、有期雇用労働者の雇用管理の改善等の中に、無期転換に関する事項が含まれるのかどうか。もし含まれるとすれば、17条、18条辺りも気になってくるところです。
 また、パート有期法の13条は、事業主は、短時間有期雇用労働者の通常の労働者への転換を促進するための措置を講じなくてはならないと言っております。通常の労働者への転換を促進するための措置と無期転換は異なりますが、同条の趣旨からすれば、パートや有期契約社員の処遇を改善していくときに、無期転換者についても検討することが望ましいというようなことが言えるのかどうか、その辺りも確認しておくとよいのではないかと思いました。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 パート有期法7条につきましては、以前、桑村委員からも御質問があったところですが、改めて16条、17条、13条との関わりは、パート有期法に改正したときに、有期の場合を割とシンプルに付け加えるだけの改正になったものですから、具体的にどのようなものになるかについての議論について、私もそれほど把握しておりませんので、これは後で補足していただければと思います。
 今、事務局で何かありますか。
○竹中課長補佐 もろもろの御指摘ありがとうございました。
 パート有期法との関係についても、確認した上で、また次回などの機会でお伝えできればと思います。
○山川座長 ありがとうございます。
 これらの規定を踏まえて、少なくとも望ましい対応みたいなものは、何かメッセージが出せるのかなという感じはしております。
 ほかに何かございますでしょうか。
 先ほどの35ページの有期特措法のお話はいかがでしょうか。
 要するに、ここで御議論いただきたい点として挙げられておりますのは、これまで通常の無期転換について考えられておりますような無期転換の申込機会の通知を、言わば同様に扱うということでよろしいかという点です。
 高齢者のほうは、そもそも無期転換の対象でないということで、期間の特例を定めたⅠ種の方についてということですが、特段問題がなければ、これは特に排除するようなことでもないのかなという御理解でしょうか。
(首肯する委員あり)
○山川座長 ありがとうございます。
 ほかに全般的な事項について、何か追加でありますでしょうか。
 特に何かありますか。よろしいですか。
 では、事務局から少しあります。
○竹中課長補佐 申し訳ございません。
 少し残った時間の中で、資料1に関しまして、もし御意見いただければ大変ありがたいです。26ページ目でございます。
 先ほど(5)の関係でもろもろの御意見をいただきまして、その御意見としましては、多様な正社員で最も問題とされているのは、業務や場所、または広げても時間ではないかというお話でございました。
 他方で、仮にこういった労基法15条の体系で何かしら考えていくとした場合に、言わば議論の出発点は多様な正社員だったとしても、変更後の労働条件を明示する必要性が高いのは、多様な正社員に限らず、総論の中でいわゆる正社員とか有期契約の方も含めてというお話もありました。
 そういう中で、特に業務・場所が変更後の労働条件を明示する必要性が高いと言えるかどうかといったところを説明していけるのであれば、Aとして整理していきやすくなるのかなと思ったところです。
 なお、論点アの関係でいきますと、20ページ目でございますが、当然、こちらも多様な正社員のことを議論の出発点としていたこともありますが、最後の○は、御議論の中で、結局は業務や場所、それ以外とも考えられるけれども、それ以外のところについては、例えば労基則5条2号以降については、就業規則の規定と基本的に合致するとか、契約期間に関しては、一定確定した労働条件と考えられるのではないかといったことで、勤務地とか職務に限定していけるというお話だったかと思います。
 論点アとしてはそういうことだったわけですが、論点イに関して、もし業務とか場所に限って考えていくということであれば、どういった観点から業務・場所に限定して考えていけるかについて、もし御所見ございましたら、御教授いただけますと幸いです。
○山川座長 ありがとうございます。
 今の点は、恐らく法制的にまとめる際の説明の仕方に関わる点で、より基本的な、哲学的な問題でもあるかもしれませんが、竹内委員、いかがでしょうか。
○竹内委員 ありがとうございます。
 先ほど(5)の論点について議論になったときに、ある程度申し上げたかもしれませんが、検討会の議論の流れという点では、業務とか場所を特に多様な正社員に限る必要はないという議論で来ているところは確かなのですが、他方で、主として、あるいは中心的に念頭に置いているのが、多様な正社員と呼ばれる人たちだという点もまた確かだと思います。
 そのような議論の流れからいうとAという考え方はあろうかと思うのですが、理論的な観点からいうと、変更された労働条件についてきちんと理解や確認とかを進めていく観点からは、Aに限る理由は、理論的には見いだし難い、Bになるのかなという気がしております。恐らく、そのような意味では、Aに限ることの説明は、私はなかなか思いつかないのではないかなと。理論的にはBではないかと思うところであります。
 ただ、他方で、本日の検討会の議論の流れからいうと、就業規則でいろいろと変更する場合には、労基法106条の周知という形で対応することでよいのではないかという意見が恐らく大勢ではないかと思っておりますが、その観点でいうと、Bの考え方を取ったとしても、大部分については、就業規則の周知という形で対応できる。個別的な変更については、明示をする形で対応する。そのような形で、理論的にはBの考え方を取ることになって、その上で、義務づけの内容については、今言ったような周知や明示という形で切り分けていく。
 私自身の考え方は、初めに申し上げたとおり、違いますが、本日の議論の流れからいうと、そのような方向性も一つあるのではないかと思った次第です。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 もう時間ではありますが、数分御延長いただいて、重要な点かと思いますので、御議論いただければと思いますが、桑村委員、お願いします。
○桑村委員 ありがとうございます。
 今、竹内委員がおっしゃった見解ですが、(5)について、先ほどの議論のときに、意見を申し上げておりませんでしたが、私もこの点は竹内先生と同意見で、Bが妥当だと思っております。私は、就業規則の場合の個別通知は不要であると考えていまして、個別契約で変更していくのが新たな義務の対象としてふさわしいと思っております。その上で、15条1項後段の書面明示事項に一般的に広げたとしても、実務にそれほど混乱をもたらすことにはならないと思います。
 繰り返しになりますが、個別契約で変更していく場合に個別通知を必要とするという考え方を前提として、(5)の論点についてはB、一般的に広げていくという立場が妥当であると考えます。
 15条1項後段の書面明示事項は、そもそも労働者にとって重要な事項を一般的に挙げているものになりますので、これを業務や場所に限定する理由はないと思います。そういう意味で竹内委員の御意見に賛成したいと思います。
 以上です。
○山川座長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。
 そもそも(5)に係ることではありますが、先ほどの事務局の質問は、もしAのように考える場合は、ということだと思いますが、私の個人的な観点としては、別に多様な正社員、限定正社員に限る理由はないと思いますが、恐らくは個別的に労働条件が決定・変更されることに着目する。
 多分、業務・場所は、政策的に見て、個別的に労働条件が決定されるものとして、政策的に非常に重要なものとして議論されている。もしそういう方向で考える場合には、そのようなことが理由に挙げられるのかなと思った次第です。
 理論的というよりはむしろ、さっきフィージビリティーの話がありましたが、これまでの政策的な流れ、あるいは労働条件決定のトレンドみたいなことが実際上の背景になるのかなと、個人的には思った次第です。
 今の点、ほかの点でも結構ですが、何か御意見はありますでしょうか。
 両角委員、お願いします。
○両角委員 ありがとうございます。
 今の点について、私はAと申し上げていましたが、今、竹内委員と桑村委員のお話を聞いて、もう少し考えてみたいと思います。
 今すぐにまとめることができませんので、時間をいただいて考えたいと思います。
○山川座長 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 先ほど申しましたように、AかBかということではなくて、より中間的と言うと変かもしれませんが、どの事項を対象にするかなども、また別個議論の対象になり得るのかなと思った次第です。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、5分ほど時間を超過しましたので、本日の議論は、ここまでにさせていただきたいと思います。
 それでは、次回の日程について、事務局からお願いします。
○竹中課長補佐 次回の日程につきましては、現在調整中でございます。
 確定次第、開催場所と併せまして連絡いたします。
○山川座長 ありがとうございます。
 それでは、これで第11回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」を終了します。
 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、非常に充実した議論をいただきまして、大変ありがとうございました。
 それでは、終了いたします。

照会先

 

労働基準局労働関係法課

(代表電話) 03(5253)1111 (内線5370)

(直通電話) 03(3502)6734