第7回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和4年1月18日(火) 17:00~19:00

開催方法

WEB開催

議事

議事内容
○がん・疾病対策課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第7回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます、厚生労働省健康局がん・疾病対策課の市村と申します。よろしくお願いいたします。
本日、全ての委員に御出席いただいております。
また、参考人といたしまして、厚生労働省データヘルス改革推進本部プロジェクトチーム技術参与、独立行政法人情報処理推進機構CIO補佐官葛西重雄参考人、日本製薬工業協会副会長上野裕明参考人、一般社団法人日本衛生検査所協会、株式会社エスアールエル研究開発本部長小見和也参考人、ほか厚生労働科学研究班、AMED研究班より研究代表者の先生方に御参加いただいております。
時間の関係で御紹介は割愛させていただきますので、参考資料2「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言時のみ画像をオンにしていただきますようお願い申し上げます。
続いて、資料の確認をさせていただきます。
資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。
議事次第、資料1から4及び参考資料1から11までがございますので、御確認ください。
また、本委員会はYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきください。
なお、本日は検討、発表事項が多数となっておりますので、発言される場合はポイントを絞って手短にお願いいたします。
事務局からは以上でございます。
これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 皆様、よろしくお願いいたします。
では、時間も限られていますので、早速本日の議事に入ります。まず事務局より資料1「全ゲノム解析等に係る検討状況について」の説明をお願いいたします。
○事務局 事務局の湯川でございます。
私のほうから、資料1について簡潔に御説明さしあげます。
まずスライドの2枚目、事業目的についてと、スライドの3枚目、ロードマップ2021の概要については、前回と同様でございます。
スライドの4枚目につきまして、今回、1月の検討事項としまして、AMED研究班の経験等を踏まえ必要な事項について協議を行い、実行計画(第2版)に向けた検討について御議論をいただきたいと考えております。
スライドの5枚目をお願いいたします。
令和4年度のAMED研究班の概要というところで、現在、A班として3班、B班として領域別に6班ございますが、令和4年度につきましては、A班の3班に分担医療機関を追加して、それぞれ600症例、+αを見込んで、最大2,000症例を行う予定としております
次に、スライドの6枚目をお願いいたします。
現在、Aの体制でA班の3医療機関に、シークエンスの後の臨床解析等も自施設で行っていただいているという状況でございますが、令和4年度はAの体制を維持しながら、分担医療機関を追加し、Bの体制の整備に向けた比較検討を行いまして、令和5年度以降はBの体制に一本化していくことを考えてございます。
あとは参考資料です。以上、資料1の説明とさせていただきます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、今の資料1の説明につきまして、御質問、御意見がある方はお願いいたします。よろしいでしょうか。
では、特に手が挙がっておりませんので、また後ほどお気づきの点がありましたら御質問いただければと思います。続きまして、資料2のほうに移らせていただきます。
資料2「全ゲノム解析等に係るAMED研究について」、これはAMEDの小林課長より御説明をお願いいたします。
○AMED AMEDの小林でございます。
資料2に基づきまして、全ゲノム解析等に係るAMED研究について進捗を御報告させていただきます。
次をお願いいたします。
AMEDでは、A班3班、B班6班、C班1班で研究を推進しております。現在のホールゲノムシークエンスとRNAシークエンスの出検数を表にしております。こちらの数字は1月上旬時点のものでございまして、括弧内が11月上旬時点ですので、そのときよりも大幅に進捗していることが御覧いただけるかと思います。ホールゲノムシークエンスのほうはかなり進んできておりまして、既に集計が終了している班がございます。
数字は示すとおりとなっておりまして、本日はC班の解析班のほうから進捗を御報告いただきたいと思っております。
井元先生、よろしくお願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
私のほうから解析について少し紹介させていただきたいと思います。
今、A班のスライドが出ていますけれども、次のスライドをお願いできますか。
こちらはB班の3班です。大体半分以上の検体が出検されていて、南谷先生のところは全ゲノムの方は全て出検されています。
次のスライドもお願いします。
これでC班までのAMEDの研究の状況が示されておりますが、その内容について少し説明させて頂きます。解析班にてシークエンス受託業者から送られたFASTQファイルを受け取っています。現在のところは、1,000検体以上のFASTQファイルを確認中を含め受け取っております。患者還元班A班、B班それぞれがシークエンス受託会社に出検したときのオーダーシートについても患者還元班から私のほうに送っていただいています。そのオーダーシートから、解析班においてIDをピックアップしまして、データベース化しています。そして、送られてきたFASTQファイルのIDと照合し、出検された検体がきちんとデータセンターに納品されているか確認しています。
実際の作業の中で、もちろん想像すれば分かることですけれども、いろいろな問題が分かってきました。一つは、受託会社によってオーダーシートのフォーマットがもちろん違うこと。2つ目は、96プレートを使って出検しますので、オーダーシートには96のIDがエクセルの一つのシートに書かれる事になります。しかしながら、96以上の検体を一度に出検する場合は、オーダーシートが2つのファイルに分かれていたり、一つのファイルの中に複数のシート作られてが分かれて記載されていたりします。これらの違いは、オーダーシートからの検体のデータベース化を自動化することを難しくしており、今は人的に対応しているという状況になっております。これは、来年度へ向けての課題かなと思っています。オーダーシートを共通化するということは受託会社とも調整しなければならないことですので、来年度に向けて取り組まなければならないことかと思っています。
統一パイプラインを用いた解析については、順次進んでいっております。
このスライドの一番下に書かれています私の担当するC班には、倫理申請状況という欄がございません。ですが、おそらく倫理申請状況として一番倫理審査を出しているのは私だと思います。それはなぜかと言いますと、各班からデータを受け取る際に、私のほうで、医科研において倫理審査計画書を審査して頂き承認を得ています。それを各班に対応してそれぞれ作成しまして承認を得ているところです。さらに、それを全て包含し班をまたいだ横断的な解析を可能とするような申請を準備している状況です。これで来年度、横断的な解析ができるようになるように準備を進めているところとなります。
C班の最後にEDCの説明会と書かれていますが、1月20日に国立がん研究センターを中心に準備していただいています。
私からのAMED解析班についての報告は以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料2の説明につきまして、御質問、御意見がある方はお願いいたします。
すみません。間野先生からの御発表があると聞きましたが、大丈夫ですか。お願いします。
○間野参考人 B班の分担研究者の間野でございます。
EDCシステムは一定の期間皆様にプレビューで御覧いただいた後、フィックスしまして、あさって20日の午後3時から説明会があり、その後、EDCの臨床情報入力の倫理が通ったところから順次実際の入力をしていただく予定になっています。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。失礼いたしました。
それでは、今の御発表に関して何か御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
では、天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明ありがとうございました。
質問が1点ございます。資料の中で2ページから4ページで、それぞれの研究班、施設ごとの進捗状況を御報告いただきました。当然それぞれの施設、研究班で御尽力いただいているものと思うのですが、かなり差が出ているようにも見受けられます。もし分かればなのですが、進捗が進んでいる施設はどういった工夫をされているのか。逆に進んでいない施設は何か問題があるのかということについて、分かる範囲で教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 それでは、A班において実際に患者還元のところで何か課題等ありますか。その辺りのことをお聞きしたいと思うのですけれども、まず山本先生はいらっしゃいますか。お願いいたします。
○山本参考人 山本です。よろしくお願いします。
当院は患者さんに前向きのインフォームドコンセントを取り始めたのは12月からです。10月上旬にIC文書のモデル文書を頂いて、それから準備して、厚労省の確認に3週間かかって、11月にIRBに提出、承認が下りて動き出したのが12月末です。
課題は、同意が全員にはいただけないというところです。難しいというお返事があったり、その場ですぐ同意がいただけずに持ち帰ると言われることもあるので、そういったところで苦労しているのですが、いろいろな診療科の協力を得て症例登録のスピードアップをしようと思っております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
続きまして、静岡がんセンターの浦上先生、何か工夫や困った点などはございますでしょうか。
○浦上参考人 静岡がんセンターの浦上です。
出検とかは恐らく予定どおりに進んでいるのだと思います。我々は治験して返ってきたものについて、一部は解析してエキスパートパネルにかけています。今日もこの時間に全ゲノムのエキスパートパネルをやっているのですけれども、10月から毎週火曜日、大体5症例から10症例こなしていまして、今までに50症例ぐらいエキスパートパネルを終了しています。基本的に保険診療のパネルのエキスパートパネルと同じクオリティーでやっていますので、シークエンスレポート、エキスパートパネル用のレポートを作成、その後、いろいろな人たちが関わってエキスパートパネルをやっていくのですけれども、かなり大変な作業です。なので、研究用の全ゲノムのエキスパートパネルというものをどの程度やっていくのか、どうしていけばいいのかなと今思っているところです。
やっていく中でも、患者さんへの返却の仕方とか、最低限その中でもお伝えしなければいけないこと、そして、それをまたカルテ上に記録を残していかなければいけないといったところを具体的にどうしていくのかというのを今検討しているところです。
そういうところも含めて、3施設が主に患者還元に当たっていますけれども、今後、課題とかどうやっていくのかというのは統一していく必要もあるのかなと思っているところです。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
では、がん研の上野先生のところはかなり順調に前向き症例の登録が進んでいるようですが、何か工夫などがありましたらお願いいたします。
○上野(貴)参考人 ありがとうございます。
我々のところは、既に同意という意味では前向きに184名の患者さんからいただいて、出検のほうは110例以上出検しているというような状況になっております。
工夫としましては、まず外科の各科の先生方に、対象がどういう患者さんになるのかということをあらかじめカンファを全部回ってお話しさせていただいて基準の統一をして、全ての先生、特に若手の先生と実務で中心になってやられている先生方に意識を持ってもらうということをやって、その上で、外科の各科の先生方にゲノム診療部のほうに紹介していただいて、ゲノム診療部のほうで詳しくこのプロジェクトについて説明させていただいて同意を取るというシステムをとっております。なので、一括してそういう形で説明ができているということもありまして、比較的順調に予約を入れていただているということがあります。
課題としましては、我々のほうは集計はしているのですけれども、実際にFASTQで井元先生のところに今データがいっているのが前向きでは10例ぐらいということで、これからエキスパートパネル、患者還元という流れになるのですが、その辺、これからまたいろいろ問題が出てくるのだろうなと思っています。
特に現在考えていますのは、例えば大腸がんの肝転移の患者さんなどで既に治療に結びつけなければいけないような患者さん方もいるわけなのですけれども、そういう中で例えば確認検査をどうするか。標準治療が終わっているような場合にはパネル検査で保険診療でできるのですけれども、保険外になっているような患者さんの確認検査をどうするのかというのは恐らく今後課題になってくるだろうと考えております。
もう一点は、出口戦略です。そういう中で見てきた、エキスパートパネルを通して出てきた薬あるいは候補薬に対してどうやって到達するのか。治験をやっていればいいのですが、例えばそういうものが締め切られていたり、あるいは日本でできないなど、いろいろなことがあると思いますので、そういうものも含めてどういうふうに治療につなげていくかというところが課題になってくるかなと考えております。
以上です。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。かなり施設ごとの特徴、進捗があるようですけれども、順調に進んでいるようですし、今後、恐らく想定された症例については登録、出検できるということだと思いました。最後に上野先生が御指摘された確認検査や出口戦略は、A班の中でもある程度議論して共有しながら進めていくのがいいのかなと思いましたので、その辺りも今後の課題かなと思いました。
○天野委員 ありがとうございます。
特に上野先生の御説明で、患者説明の部分、同意取得の部分をゲノム診療部で一括してなさっているというのは非常に印象に残りました。先ほどがんセンターのほうでは同意取得に非常に困難を感じているという御説明がありましたので、現場の先生方が日々の診療に加えてこういったことをやるというのはなかなかしんどい面があるかと思いますので、そういうふうにゲノム診療部等が一括してしっかり説明していただくという体制も今後あるのかなと聞いていて感じました。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかに。
中村委員、お願いいたします。
○中村委員 このプロジェクトのゴールはあくまでもゲノムのシークエンスですので、シークエンスがどの程度進んでいるのかという進捗を次回からはぜひ取り入れていただきたいと思います。
それから、臨床情報の収集に関して、後に出るのかも分かりませんけれども、どのような形で進捗しているのかも併せて、今日は間に合わないので、次回からぜひそのような情報を入れていただきたいと思います。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
ほかに御意見はございますか。
それから、B班に関しては6班ありますが、こちらは出検のほうはかなり順調に進んでいるようですね。今、中村委員が御指摘のシークエンスの状況、進捗に関してもデータとして示せるようにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
B班から何か特別こういう工夫をしているということで、発言はございますでしょうか。よろしいですか。
ほかに委員の先生方から今の資料2の説明について何か御質問、御意見はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、次の議題、続きまして、全ゲノム解析等に係る厚生労働科学研究班から資料3-1の説明をお願いいたします。
先ほど厚労省から説明があったとおり、今回の資料はこれまで厚労科研専門ワーキンググループで専門的事項について方針案を策定し、提示していただいたものの取りまとめとなっております。
専門委員の先生方におかれましては、各専門ワーキンググループの方針案につきまして、AMED研究班の経験等の報告を踏まえ、御協議いただくようお願いいたします。
また、AMED研究班におきましては、本協議結果に基づいた研究の推進をお願いしたいと思います。
まず、患者還元ワーキングループの班長、河野先生、お願いいたします。
○河野参考人 スライド3まで進んでいただけますでしょうか。
こちらが今まで第3回から第6回まで検討してきた内容ですが、色塗りしております1から10番と24番、新しい項目というか新しい内容が増えているわけではありませんけれども、総括して変わった部分だけかいつまんで説明をさせていただきたいと思います。
では、次にスライドの5番をお願いします。
こちらはeコンセントで、特に変更はございません。
その次、スライドの6ですが、こちらで対象の患者さんあるいはデータ、サンプルの取扱いなどが挙がっております。
次をお願いいたします。
対象疾患あるいは保管のルールなどは、こういうような既存の取扱規定に従うというところで変更はございません。
次、スライドの8番目をお願いいたします。
こちらは加筆されているところがございます。
一つは、医療機関の要件として前回まで既に議論は済んでいるところとは思いますが、先ほどがん研の上野先生からも御意見がありましたけれども、全ゲノム解析で検出された遺伝子の変異に基づいた出口戦略というものが必要である。これは前回中村委員からも御指摘があったところであると思います。ですので、やはり具体的には前向きの臨床試験を行うですとか、あるいは薬剤の投与に関しては将来的な産業フォーラムの参加企業などを想定して具体的に取組を始めることが必要なのではないかなと思います
また、24番目、人材育成・遺伝カウンセリングなどですけれども、特に今回同意が難しいというような御意見もありました。やはり補助資料としてのパンフレットや動画、あるいはホームページで国民の御理解をいただくなどの取組が必要かなと考えております。
次、スライドの10番をお願いいたします。
こちらがシークエンスの内容、特にQCの部分となります。一番下、ちょっと見えにくい部分かもしれませんけれども、現在出検が進んでいるところでありまして、これから次年度にかけまして徐々に井元先生の解析・データセンターのほうに元データが集結されると思います。その後、ゲノムのデータをマッピングするのに恐らく数か月かかり、その後、変異のコールということで、次年度はQCがかなり進んでいくと思います。
今回、QC項目というのはある程度設定しておりますけれども、当初からディスカッションにありましたように各受託企業のシークエンスの精度なども把握したい。そういうようなものをこの厚労科研の中で行いたいと思っております。
次に、スライドの12枚目に飛んでいただきたいと思います。
こちら、アカデミアフォーラム、産業フォーラムというところでありますが、赤字になっているところが変更点です。アカデミアフォーラムと言ってもアカデミアでない方も入られることもあるであろうとか、ある程度の幅を持たせております。また、価格については、ゲノミクスイングランドを参考にした価格を出させていただきましたけれども、今後実施に進んでいくに当たって、運用コストをきちんと考えるべきであろうと考えております。
次に、13枚目をお願いします。
こちらはゲノムの元データを実際に使うときの価格のところが赤字になっておりますが、こちらも運用コストを考えるべきと考えております。
次、スライドの14枚目をお願いします。
こちらが、厚労省が掲げております事業実施組織などの体制の将来像ですけれども、この中で事業実施組織を具体的にどういうふうにつくっていったらいいのかというような検討が必要であるということになりまして、厚労省の本中釜班に新たに事業実施組織の在り方を検討するワーキンググループというものを設置したところであります。今後、次年度からこういうものを具体的に検討していくワーキングがスタートすることになります。
次をお願いします。
15枚目は、前回も議論にあったところですが、制限期間を24~30か月というところで、産業フォーラムの中の公表までの制限期間と、公共データベース、公的データベースへの登録の期間というところもそろえた表現としております。こちら辺は継続的な議論が必要なことと考えております。
次の16枚目のスライドをお願いいたします。
こちらも前回指摘があった項目を赤字にしております。変更があるわけでありません。もともと男女両性という表現を、性別の多様性などほかの表現で考えるべきというような御意見を頂戴いたしまして、その後、中釜班で議論させていただきました。一方で、今回研究としてスタートしているこのゲノム解析研究が、いわゆる人を対象とした倫理指針の中にのっとっているというところもありまして、そちらでは審査委員会は男女両性ということで書かれております。ですので、現時点の表現としては、こちらのほうがやはり適切ではなかろうかということで、男女両性という表現を残させていただいております。
以上が患者還元ワーキングからの報告です。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、ここで切りまして、委員の先生方から御意見をお伺いしたいと思います。委員の先生方におかれましては、ビデオをオンにしていただけますでしょうか。手挙げなどが把握しやすいので、お願いいたします。
御質問、御意見はございますか。
では、天野委員、お願いいたします。
○天野委員 御説明ありがとうございました。
1点だけ、細かい指摘で恐縮なのですが、スライドの8ページ目で、一般向けの啓発ビデオ等を作っていただけるということはありがとうございます。ぜひお願いしたいと思うのですが、この際、医療者の方だけもしくは研究者の方だけでこういった資材を作成いたしますと、分かりにくいものになる場合がありますので、可能であれば患者もしくは一般の方々の参画を得てこういったものを検討していただければありがたいと思いました。
以上でございます。
○河野参考人 ありがとうございます。
こちらに関しましては、前回、ICF、インフォームドコンセントのフォームをつくるときにも、実際には横野先生のワーキンググループが患者の方などの御意見も伺って定めておりますので、同様にそういう意見を聞きながら進めたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございます。
ほかに。
森委員、お願いできますか。
○森(正)委員 今の天野委員に関係してなのですが、私どもも手術の説明とかにビデオを導入しようとしていろいろやっているのですけれども、例えば細かいバージョンと概要を示すバージョンと2種類作って、概要を示すのが4~5分程度、少し詳しいのは10分から20分ぐらいということで、患者さんの理解度もかなり違いますので、概要を示すバージョンと少し詳しいバージョンと2つ作っていただくと、要するに、先ほど天野先生がおっしゃったように、誰もが理解できるように、医療従事者ではなくて、患者さん側が十分に理解できるようなことをやっていただけると、ここはある意味非常に重要なステップだろうと思いますので、よろしくお願いできればと思います。
以上です。
○河野参考人 ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
続きまして、中村委員、お願いできますか。
○中村委員 今の説明のビデオですけれども、最近、VRを使ったものとか、あるいは人工知能アバターを使った説明のシステムなど、かなり進んできていますし、内閣府のほうのプロジェクトでもそれをやっていますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
もう一点、患者さんに還元する際に、薬が見つかったときにどうするのかというのはかなり急いで解決しないといけない問題だと思いますので、河野先生も先ほど触れられましたけれども、日々患者さんに還元できるようなデータが生まれてきていると思いますので、それを活用するためのスキームづくりというのはもう少し急いでもらったほうがいいと私は思いますので、よろしくお願いします。
以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
先ほど河野先生から御説明があった出口戦略の中でも、明確に方向性を見据えて議論して体制をつくるという方向かなと思います。
それでは、水澤委員、お願いできますか。
○水澤委員 ありがとうございます。
御説明ありがとうございました。かなりよく分かりました。
14ページをお願いできますでしょうか。
下に書いてある事業実施組織の在り方を検討するということで、いよいよこれが動き出すということで大変喜ばしいと思います。この厚労研究班内にということになりますと、がんの方は十分おられると思うのですけれども、難病関係とか非がんの領域の方々が恐らく少ないかなと思いますので、そちらへの御配慮もお願いしたい。これは希望でございます。
もう一点、13ページを出していただけますか。
前回も質問を申し上げたのですけれども、この仕組みですとアカデミックフォーラムと産業フォーラムが全く同じような形で、同じような規模でというか、並んでいる感じなのです。いわゆるゲノミクスイングランドのほうですと、そのときの御説明にもあったのですけれども、ゲノミクスイングランドシップ(GeCIP)と言うのでしょうか、クリニカルインタープリテーションパートナーシップという形で、本体がそちらであって、それに対して産業界で利用しやすくするものがディスカバリーフォーラムになっているような位置づけと理解しているのですが、その辺が2つ分けていくというやり方で十分なのでしょうか。その点、教えていただきたいなと思います。
○河野参考人 ありがとうございます。
確かにディスカバリーフォーラムという形でゲノミクスイングランドが企業に特化した形で運用されているというのは、私も理解しているところであります。
今回、実際の動かし方とかフォーラムの在り方というのが、まさに実施組織の動き方とも一緒になると理解しておりますので、確かにこの表自身は変更しておりませんけれども、具体的には新しいワーキングの中でそういうものを検討していくということになるかと思います。
○水澤委員 ありがとうございました。
というのは、今日多分メインの議題になります議題4のほうで利活用システムの構築という項目と、事業実施組織によるアカデミア、産業界への支援とオーバーラップするところが分けて書いてありまして、今、先生がお話しくださいましたように、中身としては、私も申し上げたゲノミクスイングランドのほうでやられていることに近いのかなと思ったものですから、この表との違和感を覚えましたので質問させていただきました。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
続きまして、上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 ありがとうございます。
私も今、水澤先生から御指摘あった点です。まずは、今回アカデミアフォーラム並びに産業フォーラムの中身が、まだ案ということではございますけれども、かなり具体的なものが示された。そこに我々製薬企業の考えも反映していただいているということで、まずはその点、お礼を申し上げたいと思います。
これを起点にして、議論がさらに深掘りされ、詳細になっていくというところで、その意味でも14ページの事業実施組織がこういう形で明確に示されたという点についても、我々にとっても非常に喜ばしい、非常に期待しているものです。したがいまして、こういうところの議論にも改めて製薬協からも参画させていただきたいと思います。より早く患者様に、我々は創薬という立場から新しい医薬品を創出できるような体制づくりを実現したいと思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。重要なポイントと思います。
続きまして、葛西参考人、お願いできますか。
○葛西参考人 まさに14ページ目のところなのですが、ちょっと気になっているのは、これは私の意見なのですけれども、解析・データセンターから産業界アカデミアのところに矢印があるのですが、別のことで、データヘルス改革でやっている疫学研究も似たような構造をとっています。ただ、ここは実はゲノムのデータの解析パイプラインと、実際に産業だったり、もちろんリサーチクエスチョンに基づいて学術研究で用いる場合もいろいろな要望があると思うのです。
今、解析・データセンターからはデータソースが提供されていて、産業界アカデミアのほうで実際に臨床情報も含めてのデータパイプラインを別に構築しないと、ただ単にデータソースだけ渡されても、産業界アカデミア側でそれを再度利活用できるようなデータ構造に再編する必要があるのです。そういった人材育成はどちらが担うのかというのは非常に重い課題で、実はここの解析・データセンターから産業界アカデミアの矢印のところで、疫学研究はボトルネックが大きいです。御存じのとおり、臨床情報も項目を含めて大量にあって、かつデータクレンジングのリソースも別に必要になりますから、この解析・データセンターと産業界アカデミアの間のデータ解析の作業はもう少し細かく整理されたほうがいいと思います。これは私の意見です。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
重要なポイントだと思うのですけれども、今の御指摘の点について、まず河野先生、御発言はございますか。
○河野参考人 これは非常に重要なポイントと思っておりまして、単純にデータをお渡しするとかということではないということは、もちろんこれまでも議論させていただいたとおりであると思います。
解析・データセンターのほうでは、ある程度APIを使ったインターフェースでいろいろな利活用の仕組みを考えておりますので、いろいろな産業界の人とかいろいろな業種の方が入ってくれるようなよい仕組みをつくっていけるものと思っております。
○中釜委員長 この点について、井元先生、何か追加で御発言はございますか。
○井元参考人 いえ、私のほうからは特に追加ございません。おっしゃるとおりだと思います。APIやデータベースとしてかなり整理されたものを準備しないと活用いただけないだろうなと感じています。
以上です。
○中釜委員長 恐らくこの点については、これから準備室を立ち上げるとき、かなり本格的に議論を詰めていく必要があるかなと理解しますので、その方向で進めていただきたいと思います。
水澤委員。
○水澤委員 今の点は、まさに恐らく先ほど私が申し上げましたゲノミクスイングランドのCIP、クリニカルインタープリテーションパートナーシップというものが間に入るようなというのでしょうか、それがまずあって、その中から産業界のほうに使いやすい形で扱っていただけるようになっているというような理解を私はしておりまして、ぜひ実施組織の在り方の検討のとき、先ほどの構造でしょうか。ここのアカデミアフォーラム、産業フォーラムの位置関係等についてよく検討していただけたらいいのではないかなと思いました。
以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。重要なポイントだと認識しております。
ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。
続きまして、解析・データセンターワーキンググループ班長の井元先生から説明をお願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。よろしくお願いします。
私のほうから解析・データセンターワーキングの資料について説明させていただきます。
☆がついている11番から20番までの項目それぞれについて、今までの第4回、5回、6回の3回の専門委員会でお示ししました資料をまとめ直したものが今回の資料となります。
以前の資料から改変部分がある項目が赤の☆になっていると思います。
次のスライドをお願いいたします。
11番から順にご説明いたします。ゲノムデータベースの構築に関しては、これまでこの項目だけの記述はありませんでしたが、ゲノムデータベースの構築に関する文言は様々な項目に記載しておりましたので、今回ゲノムデータベースの構築という項目でまとめ直させて頂きました。
赤字の部分が、今回この資料をまとめる際の変更箇所になります。見出しの変更は、説明を加えたと言うことになります。
3ポツ目の年間1万症例程度の全ゲノムシークエンスデータの一次解析ができ、さらに結果を保存できる体制・基盤を構築すること、ということがゲノムデータベースの肝となると考えています。
次をお願いいたします。
12番、統一パイプラインについてになります。まず、ツールについてです。黒字の部分は今までにお示ししているところです。赤の下から2つのポツについては、今回新たに記載いたしました。
まず、図について少し説明したいと思います。青の破線で囲んでいる部分が統一パイプラインと考えて下さい。最初に、アライメントツールで標準ゲノム配列にシークエンスデータをアライメントいたします。その後に変異検出の様々なプログラムが走るということになります。
この統一パイプラインにつきましては、「ツールについて」の最初のポツで説明されていますが、多くの研究者が行う最大公約数的な解析を中央で一括して行うことが目標になっていますので、統一パイプラインには様々なツールが最初からそろっているわけではございません。
図の統一パイプラインの下に書いています黄色の四角の部分には、下流解析プログラムと書いています。例えば、見出された変異をさらに解釈するプログラムなどの高次解析のプログラムであると思っていただければ結構かと思います。また、変異検出のプログラムも相当に技術革新が早い研究分野ですので、新たな変異検出プログラムが公開された際には、患者還元班と協力しながらその評価を行い、そのツールが多くの研究班に対してメリットがあると考えられる際には、統一パイプラインに組み入れるという手続きを踏もうと思っています。
言い換えるならば、この統一パイプラインは、一回フィックスするとそれでおしまいというものではございません。大体、半年に1回ぐらいは見直しの会議を行わなければならないのかと考えております。また、使用しているツールのバージョンアップ時、もしくは新しいツールが出てきたタイミングでも見直しについては行う必要があると考えています。統一パイプラインに組み込む判断基準については、最後のポツに書いてあるとおり、多くの研究者の需要を満たすと考えられ、多数の検体で安定的な計算が可能である場合には統一パイプラインに組み込むことを検討するとさせていただきました。
次のスライドをお願いします。
「ゲノム解析について」というまとめにしております。赤字で書いている劣性は、第4回の資料で漢字の間違いがございましたので修正させていただきました。失礼しました。また、報告のところは、以前は「公表」と書かれていましたが、公表でなく報告でしょうということで書き直させていただきました。
次のスライドをお願いします。
現在は、オンプレミスのサーバーでゲノム解析を行っていますが、それをクラウドに発展的に展開するための技術仕様書案になります。これは以前にもお示ししていることになります。複数のベンダーのクラウドにおいて、統一パイプラインを実際に構築し、性能評価を行って、実際に使うクラウドのシステムを決めるという流れになっています。
次のスライドをお願いします。
次のスライドも技術仕様書案の続きになります。
次のスライドをお願いします。
13番はゲノム解析で、高度な横断的解析(AI活用を含む)でございます。変更しましたのは、「検討・構築を行う」の部分です。以前は「検証を行う」と書かれていました。検証を行うというと、既にあるもの検証するとなりますのが、もちろん構築しなければいけませんので、検討して構築すると書き直させていただきました。中身については今までお示ししている資料と同一でございます。
次のスライドをお願いします。
14番の臨床情報データベースの構築に関しては、今までお示ししている資料と同一でございます。
次のスライドをお願いいたします。
15番のレポート作成システムにつきましても、第5回の専門委員会にてお示ししたスライドと同一になります。レポート作成につきましては、APIの整備を行い、単一の企業によるロックインを防ぎつつ、レポート作成のシステムをつくることということと、レポートに含まれる情報として治験の情報が最後の項目にまとめられております。
次のスライドをお願いします。
16番は研究支援システムになります。これも以前お示ししたスライドの内容と共通です。オープンAPIによるゲノムデータベース、臨床情報データベースの利活用促進という項目は、研究支援システムとしての役割と、レポート作成を行う企業がゲノム医療という分野に参入する障壁を下げるものと考えていますので、こういうオープンAPIを解析・データセンターで開発し、それを用いてゲノム情報、臨床情報をレポート作成する企業が抽出し、企業もしくは組織が有している独自の技術を使ったレポート作成によってビジネスが展開できる仕組みが必要と考えています。
次をお願いします。
17番のスライドは今回初めて作成したスライドになります。ゲノムデータと臨床情報に関しましては、これまで資料の中で多岐にわたって検討してきたところとなります。この集中管理システムにおいては、最初のポツのところに書かれている検体情報が追加となります。すなわち、ゲノムデータを取得した元となっている検体が、いつ採取されて、それがどのような種類で、どこに保存されているのか。さらに、残量はどうか。そのような検体に関する情報も一括して解析・データセンターの中で管理する必要があります。例えば、先ほどから話に出ていますフォーラムにおいて、新しくデータを取得する必要が出てきた際に、その検体がどこに保存されていて、例えば、ゲノムシークエンスを行う残量はあるのか、ということがワンストップで分かるようなシステムをつくるというところになっております。
2ポツ目はIDの話ですが、IDも集中管理システムの中で管理することが適切と考えまして、ここに記載させていただきました。
3ポツ目に関しては、フォーラムで活用するデータについては、起始ポイント到達後、速やかにフォーラムのメンバーに共有するという形になります。起始ポイントとは、一番下に説明が書いてありますが、以前も河野先生のスライドの中であったかと思いますが、100症例程度のデータが登録された時点を起始ポイントと定義されます。そこから24か月もしくは30か月は超えない期間が制限期間と今まで議論されております。このシステムの中で制限期限を管理し、フォーラムに提供することができる仕組みになっていることが望ましいと考えています。
あとは、下から4ポツ目です。検体の取り違えというミスを防止するという観点から、ゲノム情報、臨床情報のデータベースのひもづけが可能となる仕組みをつくりますということが書かれています。
下から3ポツ目は、同意情報に関するものです。同意撤回があった場合のデータの削除等のトレーサビリティーを確保するためには、このような集中管理システムが必要となると考えています。それを具体化することと記載しました。
下から2ポツ目は、これから得られる新規の患者さんからの検体については、既存の施設を用いて一括管理することが可能な仕組みを構築することと書かせていただきました。これは第2回専門委員会の資料の全ゲノム解析等実行計画ロードマップ2021中で、「新規の患者の検体については、既存の施設を用いて一括管理することが可能な仕組みを構築する。」と書かれていることと対応いたします。
最後は、既に説明してしまったように思いますが、保存検体を使った新しい研究テーマが申請された際には、その研究が実施可能かどうかワンストップで分かるようなシステムとして、残検体・余剰検体の状況を一括管理するシステムにすること、と書いています。
これが集中管理システムで今回初めて出させていただいた資料となります。
次のスライドをお願いいたします。
18番目は情報管理で、過去にご説明しているもの同じ資料となります。
次をお願いします。
セキュリティー要件につきましては、1点、前回の専門委員会でのご指摘を受けて追加しました。下から2ポツ目になります。利用者がコンピューターウイルスに感染した場合などのペナルティーや監査について、具体的なプロセスを徹底すること、と書かせていただきました。もちろん、セキュリティーに関しましては解析・データセンターにおいて細心の注意を払うことは必須ですが、利用者につきましても一定のルールを守ってくださいということになります。
次のスライドをお願いいたします。
19番はシステム開発・環境開発ですが、ここは変更ございません。
次のスライドをお願いします。
20番の「人材育成 バイオインフォマティシャン等について」についてです。本項目は、人材育成だけではなく、人材の確保にも広がっていっている重要な項目になります。解析・データセンターにおいては、実際には人が最重要だと考えています。この人材育成につきましては、学生さんなどの若手に加えて、マネジメントをする方、様々な方が対象となります。そのために、赤で書かれた2つのポツの最初のほう、人材育成の知識体系の整理が必要だと考えます。様々な役割に応じた知識体系が整理されることが望ましいと考えています。技術者だけでなく、管理者についても同様だと考えています。
赤の下のほうです。人事戦略、ヒューマンリソース戦略の明確化が必要だということで、前回、葛西参与からデジタル庁の話をお伺いしました。私の方でも幾つかの企業に対して、どうすれば解析・データセンターに人材を出したいと思うのかとヒアリングしながら、ここの部分は考えているところとなります。この項目の中で、受託ではなく企業から人を任用することが大切だということを書かせていただいていますが、要は企業が解析・データセンターに人を送るということで、企業にメリットがある。解析・データセンターで働く方にもメリットがある。それで、解析・データセンターも業務が進むということが大切だと考えています。
このスライドが、解析・データセンターの最後のスライドとなります。
以上で私の説明を終わります。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、解析・データセンターからの御発表につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
では、森委員、お願いいたします。
○森(正)委員 大変ありがとうございます。とてもインプレッシブで非常にすばらしいと思います。
28ページだったでしょうか。集中管理のシステムでまずお聞きしたいのですけれども、試料、サンプルも含めてデータを一元的に管理するということ、それから、余ったものがどれぐらいあるか、どこにあるかというのをきちんと把握してやる。これは具体的にはどんなふうなことでどういうふうにしようと考えておられるのでしょうか。
○井元参考人 臨床情報のシステムと同様に検体情報の項目を設けまして、そこで情報を管理しようと考えています。
○森(正)委員 たくさんのサンプルがあるときに、それを整理したりするのは、例えば機械がやるのか、人がやるのかというところはどうなのでしょう。
○井元参考人 できるだけ機械でやりたいと考えています。すでに施設に保存されているものは、それぞれのフォーマットで整理されているかと思いますが、新規のものについては、共通のフォーマットで情報を集める事ができると思います。新規のものについては、自動的に収集できるシステムにしたいと考えています。
○森(正)委員 オートメーション的にできるような、要するにAmazonとかがやっている欲しいものが欲しいときに出てくるというようなものが構築できるような話も聞いたことがあるのですけれども、その辺の情報というのはお持ちでしょうか。
○井元参考人 いえ、そこまで今お示しできるものはございません。
○森(正)委員 人がやるとなると、人材確保も含めて難しい点もあろうかと思いますので、すぐにできるものかどうか分かりませんけれども、できるだけオートメーション化というか、スイッチを入れれば何番の何がどう出てくるというようなことが分かる、手にとれるようなシステムも開発できれば大変ありがたいと思います。
○井元参考人 ありがとうございます。
○森(正)委員 まだほかにもありますけれども、差し当たってこれで終わりたいと思います。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の御指摘は非常に重要で、人的なミスを極力なくすためにも、可能な限り自動化を取り入れることについても検討の必要があるのではないかというご指摘でした。ただ、財源や規模感の問題も考慮しながら検討していただきたいと思います。
それでは、栗原委員、お願いできますか。
○栗原委員 ありがとうございます。
大変詳細な検討をいただきまして、ありがとうございます。
今後の実施主体がやることがかなり含まれているのではないかと思います。一つは28ページの集中管理システムについて、新たなデータを取得する必要のある研究テーマが新設された場合の記述がありますが、これは研究自体をこの組織がやっていくのか、それとも、データを提供した先であるアカデミアや産業が行っていくことを支援するのか、どのように考えたらよいのでしょうか。
それから、32ページの解析・データセンターの人材について、企業から人材を集めるとありますが、そういった人材がここのセンターを希望するような組織作りということをおっしゃっているのだと思いますが、実際に企業が解析センターに人を派遣するといったことがありますと、様々な利用者から中立的な立場の人が信頼性あるデータを提供する事ですとか、企業秘密の維持に疑問が生じないようにする必要がありますので、どのように考えられますでしょうか。
○井元参考人 ありがとうございます。
第1点目ですけれども、まずは解析・データセンターの役割としまして、データを提供する側と考えることができると思います。ただし、人材育成のところでも、前回か前々回に申し上げましたけれども、良い方が解析・データセンターに来ていただくためには、研究者という面では、魅力ある研究が解析・データセンターでできるということが非常に大切と思っています。従いまして、解析・データセンターも自ら最先端の研究を行うことがあり得ると思っております。
2点目の業務委託ではなく企業のほうから任用するというところに対してのセキュリティーやクオリティーというご懸念は、もっともなことと感じました。そのルールづくりにつきまして、今後進めていかなければならないと思っております。
以上です。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。研究への利活用は、恐らくデータだけの利活用か、あるいは検体が戻ったときの解析に関する研究か、その辺りのすみ分けとルールづくりに関しても明確にしていく必要があると思います。かつ、解析のところで企業さんからの参画なども促進できれば、全体としての利活用が活性化されるのではないかという御発言だと理解します。
よろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、AMED研究班の南谷先生から手が挙がっていますが、何か御質問はありますか。
○南谷参考人 私も28ページの集中管理システムの件についてお伺いしたいと思います。
私もイメージとして検体そのものをどこで管理するのかというところが少し分からなかった点がありまして、検体の情報を集中管理システムで管理し、検体そのものは下から2つ目のポツにあるように既存の施設を用いて管理するというような理解でよろしいのでしょうか。といいますのは、私どもも2万検体ぐらい造血器腫瘍の検体を集めておりまして、大きな臨床研究施設より今後検体の管理を任せてもいいかというようなお話もいただいておりまして、そのような場合、検体をどこか既存のところで管理をし、情報だけを集中管理システムのほうに上げるのか、それとも、集中管理システムも既存の施設で管理し、集中監視システムと情報のリンクをするというようなイメージなのか、この辺りのイメージが私の中では明確にならなかったもので、どのようにお考えなのかということをお教えいただきたいと思います。
○中釜委員長 では、この点について、井元先生から答えられる範囲でお願いいたします。
○井元参考人 私からお答えできるのは、まず既存の検体をわざわざ別の施設に移して管理するということではございません。既存検体については、情報をリンクするということになります。
今後、新たな患者さんから検体提供があったときに、どこの施設で検体を管理するかについて、共通の施設にて保存することができるという以前の専門委員会の資料にある方針に沿ったものになります。その新規検体に関する情報の管理は、集中管理システムで行うという意味合いでここに書かせていただいています。
○南谷参考人 よく分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 実施機関の中では患者還元を見据えた前向きの検体採取のところは恐らく集中管理システムをイメージしていると思いますので、集中管理システムにおいて患者さんに還元できるための検体の全体を管理する仕組みが重要だろうと思います。そのときに、実施施設で管理できるところはすぐ、ただ、できない施設に関しては管理する場所を設ける必要があるのかなと思います。そういうことをイメージした書きぶりだと理解しています。
その説明でよろしいでしょうか。
○南谷参考人 ありがとうございます。承知いたしました。
○中釜委員長 それでは、天野委員、お願いできますか。
○天野委員 詳細な御説明をいただきましてありがとうございました。
今の南谷先生の御質問にも関連するところで、全く同じところです。28ページ目のスライドの「新規の患者からの検体については、既存の施設を用いて一括管理することが可能な仕組みを構築する」の部分に関連してございます。
今も御指摘があったように、検体の管理は非常に大切で、一括管理をしていただくということはよく分かったのですが、患者の立場から1点お願いしたいのが、患者さんが例えば進行がんであるとか、場合によってはがんが進行して治療の選択肢がなくなった場合、治験に参加するということも当然あり得るわけですが、そういった場合、この検体の情報等が非常に重要になってきまして、そのような場合、患者さんからの求めがあればそういったものを共有できるような仕組みがもし可能であれば、ぜひ御検討いただきたいと考えております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
この点について、井元先生、何か御発言はございますか。
○井元参考人 ありがとうございます。検討いたします。
○中釜委員長 では、上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 ありがとうございます。
最後の人材育成のところは、井元先生もおっしゃられたように、我々もここはすごくキーポイントだと思っております。ただ、この辺はいわゆるDXやバイオインフォマティシャンなどいろいろな切り口があって、まず、どういうケーパビリティーの人材が必要なのかというところで、例えば製薬企業側からどういう協力ができるのかとか、一方で、IT企業からもやはりそういう人材というのは必要になってくると思いますので、この辺り、どういうことが可能なのか、どういう仕組みが必要なのかという点についても、今後ぜひ議論させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございます。
実施機関をつくる際には、製薬企業の方々あるいはその他のいろいろな情報系の方々にも意見を共有、交換しながら、よりよい体制を整えていきたいと考えているところですので、よろしくお願いします。
中村委員、お願いできますか。
○中村委員 本当にしっかりとまとめていただいて、感謝申し上げます。
集中管理システム、皆さんから質問が出ていると思いますけれども、現実的にはデータだけ管理していると、病院の中でどう管理していいか情報が集まらないので、プラクティカルにはインフラの整備だけでもかなり大変なので、これは実施組織の中でサンプルを集めて情報も集めるという形にしない限り、各施設で管理すると、疫学研究などでよくあるのですが、例えば責任者が変わった途端にどこに何があるか分からないようなことが起こりますし、検体を管理しているクオリティーも課題です。例えば電源ロスとか液体窒素がなくなるなどいろいろな問題があるので、そこはここで3行でまとめておられるほど簡単ではないので、かなりインフラの整備をしないとできないと思います。
それから、人材育成ですけれども、リアルワールドのデータを扱うほうが、やっている人もすごくモチベーションが上がるので、先生がおっしゃったように、人を集めて管理しながら人材を育成していくというのはこれから非常に重要だと思うのですが、誰がどんなデータを扱ったかちゃんとログを残しておかないと、やはりプライバシーの問題もありますので、人材はかなり難しい問題が出てきますので、そこまで含めて検討していただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘2点だと思います。その辺りもぜひセキュリティーの環境、なおかつインフラの整備は検体を採取する期間においても、まず検体をきちんと流す仕組みが必要かなと思いますので、その辺りも含めて検討いただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
では、森委員、お願いできますか。
○森(正)委員 ありがとうございます。
今の中村先生のお話に関係しますけれども、32ページの人材育成のところ、これは本当にすばらしいと思うのですが、例えばがんセンターを中心に、今、研究を始めているところを中心にそれぞれやっていかれるとは思うのですけれども、具体的に例えば1施設に何名ぐらいで全国で何名ぐらい必要だというようなことを想定しているのでしょうか。
○中釜委員長 では、井元先生、御質問についてお願いいたします。
○井元参考人 中核拠点病院、拠点病院、連携病院とございますけれども、中核拠点病院、拠点病院についてはバイオインフォマティシャンが1名以上いることという要件になっていると思います。その働き方は非常に過酷になっていると様々な方からの声が聞かれるところです。その方々が各施設で2人、3人になる必要があると考えています。今の中間拠点病院と拠点病院の数から言うと、150ぐらいの数の方々がこういうプログラムで養成されていくことがまずは大切なのかなと考えています。ただ、その数の方々を養成するというのは並大抵の努力では成し遂げられないとも認識しているところです。
○森(正)委員 ありがとうございます。
そうすると、具体的に例えば最初は年間何人ぐらい受け入れて、それを150人にするために何年ぐらいの計画でというか、皮算用かもしれませんけれども、おおよその見込みというか計画を教えてもらえればと思います。
○井元参考人 それに関しましては、また別の研究になるのですけれども、厚生労働科研費のほうでがんゲノムデータ解析だけのところなのですが、人材育成のプログラムを今年度行いました。基礎編と応用編と二本立てにしまして、基礎編は1回当たり4時間ぐらいのプログラムになっています。応用編はハンズオンをやりまして、6時間ぐらいのプログラムになっております。基礎編は1回30人、応用編は1回20人で、基礎編のほうは2回実施、応用編のほうは4回実施しました。
この人材育成プログラムに対して、実際に受講を希望された方は、基礎編60人定員に対して800人の応募がございました。応用編についても、80人の定員に対しまして300人近い応募がございました。希望する方というのは比較的多くいらっしゃると思っております。
実際に受け入れることができる人数ですが、入門編は座学ですけれども、1回30人、結構な人数でした。ただ、座学はできるだろうなと思います。応用編はハンズオンで1回20人、これを4回オンラインで実施しましたが、はっきり言えば20人で精いっぱいなところです。オンサイトでのハンズオンでは1回50人ぐらいでやった経験も何度もあるのですが、オンラインだと20名弱が望ましい数になるかなと思っています。
しかるに、1年間で養成できる人数というのは20~30ぐらいがいいところかなとも思います。私のこれまでの経験から言いまして、大体そのような人数かと思っているところです。
以上です。
○森(正) ありがとうございました。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、最後ですが、ELSIのワーキングループの田代先生、説明をお願いいたします。
○田代参考人 ELSIワーキンググループですけれども、班長の横野先生が欠席のため、代理でグループのメンバーである田代から報告させていただきます。
ELSIワーキングループに関しては、基本的にはIC関係とPPIのことで、これまでのスライドとほぼ似た内容が入っておりますので、追加をしたところを中心にお話しさせていただきます。
事前にお伝えしておきますと、一番最後の差別等の社会的な不利益への対応・法律等の整備の必要性といったところがスライドとしては一つ大きく作ったところになります。これは、前回もPPIのところでPPIがなぜ必要かということで入れ込んでおったものを少し拡充した形になっておりますが、それ以外はこれまでのものを整理したものになっております。
次をお願いします。
ICFの作成方針に関しましては、これは以前の専門委員会で示した内容と同じになっております。ここの内容に関しては、このスライドで示した方針、共通事項に基づいてICF挿入用のモデル文書を作成しておりまして、今後、AMED各研究班のフィードバックを得て、中長期的にはモデル文案の拡充を進めたいと考えております。
また、ICF以外にも本事業についての周知・広報が必要だろうと考えておりまして、この点については先ほど河野先生からのお話にもあったとおりかと思います。
次をお願いいたします。
これも既にデータ共有ルールの箇所で紹介したとおりですけれども、データ共有方針を整理しまして、この内容をICFの共通事項としてモデル文案に記載しております。
次をお願いいたします。
こちらもデータ共有ルールを表にまとめたものですので、詳細についての説明は省略させていただきます。
次をお願いいたします。
PPIの推進に関しては、前回いろいろと御意見もいただきまして、おおむね提案した内容に関して、今回、次の実行計画に書き込まれれば具体的な中身を詰めていくという作業に入っていくと理解しております。
次をお願いいたします。
これは前回特に議論していただいたところですけれども、実行計画、ロードマップで示された方針に基づいて取組を具体化していくということをワーキングでは考えておりました。
次をお願いいたします。
ここは前回議論していただきまして、お示ししたものを再度整理したものですけれども、本事業の性格を考えれば、PPIを取り入れたガバナンスの仕組みを充実することが必要であるということで、下半分のところに書いておりますけれども、ELSIの構成要素の一つとしてではなくて、単独で部門をつくり、しっかりと管理していくことが必要であろうということで、赤字のところですが、事業実施組織に独立の部門を設けて、専門性を持って関連業務に従事できる人材の配置・育成が必要であるということを今回追記させていただいております。
次をお願いいたします。
これも前回示したものですけれども、Genomics England を参考にどのような形でPPIを進めるかということで、最初から全てフルセットでやるというのはなかなか厳しいだろうということで、前回順位づけとして1の参加者パネルと2のパブリック・エンゲージメントの2つに関しては必須であるという提案をさせていただきました。この2つを中心に必要な予算、人材を措置して確実に行うということを前回提案させていただきまして、こういったことが実際に実行計画に反映されたところで具体的な戦略を考えていくということになるかと思います。
次をお願いいたします。
差別等の社会的な不利益への対応・法律等の整備ということについては、前回もスライドの中に入れておりましたけれども、議論の中でも非常に重要な点だという御指摘がありましたので、今回、横野先生のほうで、特にシンガポールとイギリスの取組を中心に少し調査をされましたので、その結果をここで紹介させていただきます。
スライド上にありますように、歴史的にも遺伝に関わる理由に基づいて個人や集団に対する差別的取扱いが時に行われてきたことを踏まえて、ゲノム研究・ゲノム医療が社会における差別や分断を助長したり、新たに生み出すことにつながらないような社会環境の整備が必要であろうということは、この専門委員会でももちろんそうですし、ELSIのワーキンググループの中でもしばしば指摘されてまいりました。
結論としては、前回も議論になりましたが、基本的な理念は法律等の形で明確化されることが望ましいということで、これについては幾つかの動きがありますけれども、それとは別個に非常に具体的な問題としては、やはり生命保険等におけるゲノム情報の取扱いが特に現場でも課題だということで、研究者の先生方からもこの点は何とかならないかといった発言はしばしばありました。現状では、生命保険等におけるゲノム情報の取扱いが明確化されておらず、不利益のリスクの具体的評価や研究参加時の情報提供が困難になり、不利益を説明するときにはっきりとしたことが答えられないだとか、そういったこともあるかと思います。
英国・シンガポールの取組ということで、とりわけ去年シンガポールで、以下にありますように、保健省と生命保険協会で遺伝学的検査と保険に関するモラトリアムというものが策定されております。これは横野先生のほうでいろいろと調べられて、シンガポールで始められていたNational Precision Medicine、NPMという国家プロジェクトの開始に伴って、それを安心して進めていくために、こうしたモラトリアムを保健省で設定しているという動きがあり、本事業とも比較可能な国家プロジェクトなのではないかと考えています。こういったことを少し参考にしながら、厚労省にもぜひ尽力していただきたいと思っております。
ですので、個別具体的には、もちろん理念法のようなものができるということとプラスアルファ、やはり生命保険という個別具体的な問題に関して、また別の形でもし問題解決が可能であれば、そちらの方策も検討するといったことが必要かと思います。
この点に関しては、引き続きELSIワーキンググループでも議論を進めていきたいと思いますけれども、今回このような形で1枚、非常に重要な点ということでスライドを追加させていただきました。
以上です。
○中釜委員長 説明ありがとうございました。
それでは、今のELSIワーキンググループの御発表につきまして、御質問、御意見がありましたら。
まず天野委員、お願いいたします。
○天野委員 詳細な御説明ありがとうございました。
1点、最後の42スライド目、差別等の社会的な不利益への対応・法律等の整備で、基本的な理念は法律等の形で明確化されることが望ましいということを御指摘いただきまして、本当にありがとうございます。
まさにこのとおりだと私も感じておりまして、前回も指摘しましたが、国会においては適切な遺伝医療を推進するための社会的環境の整備を目指す議員連盟、いわゆるゲノム理念が超党派で法律案を検討しているとは承知しておりますが、現時点で目立った進捗はないということがございますので、これはぜひ早期に一日も早く検討し、法律案を策定していただきたいと思っておりますし、厚生労働省におかれましては、前回、立法府に対して言及の立場にないと御回答をいただいたのですが、厚生労働省のほうでも可能な範囲で御尽力いただきたいと思っております。
後で御説明があるかもしれないのですが、本日お示しいただいている参考資料11の中でも、7スライド目の一般の方に対するアンケート調査で、不安に感じていることはということで一番多かったのはゲノム情報による差別であるということが、6割の方が不安であると感じられていると回答されているということもございますので、ぜひこの部分については推進をお願いしたいと思っております。
また、研究者の方々、現在、日本医学会のほうで「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」の改訂案が検討されているとも聞いておりますし、この改訂案に付随する形で遺伝情報、ゲノム情報による差別や不利益の防止についての共同声明についても御検討いただいていると聞いておりますので、ぜひ研究者の方々からも声を上げていただきたいと願っております。
私からは以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。ワーキンググループの中でも引き続きこの問題に関しては検討を続けていくということでお願いしたいと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、宮野委員、お願いできますか。
○宮野委員 宮野です。
繰り返しになるかと思うのですが、本事業を進めるに当たって、患者、市民の視点というものを本事業の一番中心に置いて、国民に見える形で事業を推進することが私は肝要だと思っております。
アメリカのNIHのAll of USというものは、まさに市民参加型、いろいろな方がインプルーブしてあなたのヘルスケアに貢献するのですという視点でやっているわけで、まずこの事業を進めるに当たって、ELSIのワーキンググループの活動というものが一番前面に出てきていて、そして、それに支えられて事業が推進されるのだというメッセージを最終的に作っていただけたらと思っております。
繰り返しになりましたが、以上のような感想を持っておりますので、御検討いただければと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
田代先生、何かございますか。
○田代参考人 大変重要な指摘をありがとうございました。
我々としてもそのような形で進めたいと思っておりまして、これまでELSIの一部というような形で扱われていたかと思いますけれども、今回はっきりと別個に、患者・市民参画というのがある意味ではこの事業のコアになるような形で、実行計画をしっかり策定していただき、それに沿って十分な資源が割り振られるということが極めて重要かと思っております。
アメリカの例についてもぜひ参考にさせていただきたいと思っております。
ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
そのほか。
神里委員、お願いします。
○神里委員 ありがとうございます。神里です。
2点ほどコメントさせていただきます。
まず、スライドの35枚目に該当しますけれども、その中で各研究班からのフィードバックを得て、中長期的にモデル文案を拡充するという一文がございます。本日、冒頭に山本先生からもインフォームドコンセントに関して現場ではなかなか苦労しているという御指摘もありましたので、それがどのような点なのかということについて定期的に意見聴取をして、早い段階でそこが解消するようにというフィードバックがあるとよいかなと考えております。
また、今回、本当に膨大なことをまとめていただいておりまして、極めて重要な御指摘を幾つもいただいております。これから議論する実行計画の第2版と関係してまいりますけれども、事業実施組織のELSI部門とPPI部門を設置するのであれば、今回御指摘いただきましたいろいろな論点についてのすみ分け、仕事の区分、引継ぎというものがうまくいくように、厚生労働省のほうでも調整をお願いしたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
最初の御指摘の点で、山本先生、何か現状でお伝えすべきことがありましたらお願いします。
○山本参考人 ありがとうございます。
実際に始めてみて、すんなりいくのかなと思ったのですけれども、意外とよく読まれる患者さんは、術後の患者さんやサンプルがある患者さんにまず注力していますので、自分の身にすぐ降りかかるようなイメージができないという返事があったり、文章が長過ぎて今日はすぐ理解ができないので持って帰りたいなど、いろいろなことがありましたので、説明文書のシンプル化であるとか、対象患者さんによりフィットする絞り込みであるというところを考えていかなければいけないと思ったのですが、まず症例数を突破することを先決に考えていきたいと思いますので、それは次の課題にしたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
中村委員、お願いします。
○中村委員 一言、ぜひとも言っておきたいことがありまして、遺伝子で差別を生まないというのは非常に重要なことですけれども、遺伝子が分かったから差別が生まれてくるのではなくて、もともとある差別に遺伝子情報がリンクされるのであって、みんな違っていても平等だという考え方というか教育が非常に重要だと思います。何か法律ができれば終わるのではなくて、根源的に遺伝子の違いは個性であるというような教育をしていかない限り、表面だけふたをしても心の中は変わらないので、ELSIに関わっておられる方々が、やはり教育の問題というのは避けて通れません。何となく遺伝子差別の禁止というと、遺伝子によって差別が生まれるような印象を与えておらえるので、そこはぜひ注意していただきたいと思います。コメントです。
○中釜委員長 ありがとうございます。
そういった意味でも、遺伝ということのリテラシーを深めていくことが非常に重要かなと改めて思いましたので、ぜひELSIワーキンググループでも引き続きこの点についても御検討いただきたいと思います。
ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、今回の専門ワーキンググループの説明に関して、いろいろな委員の先生方から御指摘をいただきました。ただ、大体の点については対応可能かなと委員長として伺いましたので、おおむねは合意いただいたかと思います。
したがいまして、取りまとめに当たっては委員長預かりとさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中釜委員長 ありがとうございます。
ぜひ先生方にいただいた御意見を反映させて修正を行いたいと思います。
続きまして、厚生労働省の健康局難病対策課から資料3-2の説明をお願いしたいと思います。
では、お願いいたします。
○難病対策課長補佐 厚生労働省健康局難病対策課長補佐の江崎と申します。
それでは、資料3-2「難病の全ゲノム開始等の検討状況」という資料を御覧ください。
1枚おめくりください。
こちらが難病に関するゲノム医療推進に当たっての統合研究ということで、厚労科研の研究班で本専門委員会の委員でもいらっしゃいます水澤先生が班長をなさっている研究班の御紹介でございます。
令和2年、令和3年と続けてきまして、それぞれ5回研究班の会議を開催いたしました。それぞれの回では、ここに挙げましたようなテーマについて難病の観点からディスカッションをしてまいりました。
がんと難病共通の部分と、それから、難病であるからこそ特に留意するべき部分がございます。この研究班では、共通の部分もさることながら、特に難病領域で注意するべきところに視点を置いて研究をしていただいておりまして、そのことのエッセンスを私のほうから今日は簡単に御説明さしあげます。
検討事項ということで大きく6つの柱がございます。マル1は協力医療機関についてということです。マル2が同意書について。マル3が臨床情報の検討。マル4がゲノム基盤の運営・管理方法。マル5が医薬品開発の推進に向けたゲノムデータの基盤の在り方。マル6が人材育成等ということで、それぞれ分担研究として各領域の専門家の方に入ってやっていただいております。
詳細につきましては、この研究班をインターネット検索していただくと、議事録であるとか資料が全て出ておりますので、御覧いただきたいと思います。
3ページ目でございます。
資料の右肩に4とか数字が書いてありますが、これが先ほどのマル1からマル6の番号に対応しているということです。
これは国立国際医療研究センターの徳永先生のスライドでございますけれども、難病は全ゲノム実行計画で先行解析して5,500症例進めるということで、実際の解析についてはAMEDの國土班のほうで解析をしております。
その概要図でございますけれども、大きく単一遺伝性の疾患、多因子の疾患、未診断の疾患やオミックスといった領域ごとに全ゲノムの解析を行っております。
NCGMに難病ゲノムデータセンターというものを設置いたしまして、一元的にこちらでデータを管理して、また、NCGMはバイオバンクも併設しておりますので、そういったノウハウもありますので、そこで集中的に管理をしているというところでございます。
これまでに約6,500検体ということでございまして、症例にすると約5,500症例の解析を令和3年度中に行うというところ、おおむねその目標を達成しまして、今はそのシークエンスの後にそれぞれのもともとは診断がなされていた既存検体について全ゲノム解析を行ったものがありますので、答え合わせをしたり、それから、その全ゲノム解析の成果、すなわち全エクソームで分かったものであるとか、既存の遺伝学的検査で分かったもの、また、全ゲノム解析でないと分からなかったものがどの程度あるのかということを今研究していただいているところでございます。
4ページ目をお願いします。
こちらが慶應大学の竹内先生のスライドでございます。がんと難病の大きく違うところは、がんにはパネル検査がございますが、難病には今保険収載されているものがございません。がんのほうにはがんゲノムの拠点病院という医療提供体制がございますけれども、難病には難病診療連携拠点病院というものはあるのですけれども、ゲノムの拠点病院というものはございません。ですので、そういった点で難病はまだまだ検討するべきところが多いというのが実情でございます。
こういったところで、難病ゲノムの医療を提供するようとしてどういう要件が必要なのかということをこの竹内先生の研究ではしていただいております。患者さんが遺伝学的な計算の結果を受けたときに、しっかりとそれを受け止めて、不安とかがないような形、また、病気についてしっかりと理解していただけるような体制が難病ゲノムを担う病院には必要になります。こういったことがちゃんとできるような体制、また、バリアントがあっても、それが遺伝学的に本当に病的な意味があるのかということもしっかりと解釈できるということも大切ですので、こういう要件というものは具体的にどういうことなのかということを御研究いただいております。
5ページ目です。
今あるものとしては、国立高度医療センターの間の拠点病院とか難病診療連携拠点病院、難病情報センターというものがございます。日本の特徴ですけれども、真ん中にありますように、難病に関する研究班や学会等のネットワークというものが強みでございます。こういった今の社会資源をどのように結びつけながら、難病ゲノムの適切な医療が提供されるべきかということを竹内先生には御研究いただいているところでございます。
1枚おめくりください。
それから、がんと難病の違う2点目が臨床情報でございます。ゲノム情報を集めるという観点では非常に共通している部分がございますが、臨床情報は、がんであればがんという一つのカテゴリーの中に入ってきますけれども、難病は指定難病だけでも338疾病あり、さらに世界的にも数例しかないような希少疾病まで含めると星の数ほどたくさんございます。それぞれの疾患で必要な臨床情報というのは異なっております。その点につきましては、全ての疾患で共通して必要な臨床項目、それから、指定難病については臨床調査個人票というものがございますので、そこでとっている臨床情報にプラスアルファでまた創薬とかでも必要になってくる情報がありますので、このような形で各疾患ごとに必要な臨床情報を整理しているということです。この点については、聖マリアンナ医科大学の山野先生に御研究いただいて、今、おおむね形ができてきたというところでございます。
1枚おめくりください。
それから、がんと難病の違いの特徴でもございますが、これは製薬協の林先生に御提出いただいている資料でございます。
難病の場合、診断という目的が診療現場では大きな意味合いを持ってきますが、診断のついていない方についての全ゲノム解析ということのほかに、創薬の視点では既に診断のついている疾患について全ゲノム解析はオミックスデータで解析を行って、それを創薬にいかに結びつけていくのかということも極めて重要な視点になります。こういったところから、診療ではなくて創薬の視点からどういう点が重要になるのかということ。それから、ゲノミクスイングランドと同じものではなくて、さらに一歩二歩進んだものをつくるためにはどういうところが重要なのかという非常に示唆に富む御指摘や研究をいただいているところでございます。
8ページは少し細かい情報になりますので省略しますが、その続きの9ページを御覧いただきますと、同意書のところにリコンタクトというものがございます。先ほども臨床情報は難病は各疾患ごとに非常に多彩であるということをお話ししましたけれども、創薬とか研究という視点でいきますと、当初患者さんが受診したときであるとか、研究計画を立てた段階ではまだよくその重要性が知られていなかった事例で、後々このバイオマーカーがどうなったのかということを知らなければいけない。それが分からないと創薬に結びつかないということもあったりします。また、患者さんの臨床の情報も日々刻々と変わっていくというところもございます。ですので、リコンタクトがちゃんとできる体制をとりわけつくっておくことが重要であるというような御指摘をいただいております。
それから、10ページでございます。
ゲノミクスイングランドがある程度制度の念頭にあるということでございますが、日本とイギリスで医療システムや社会的な背景、インフラも異なってきます。その点については、京都大学の小杉先生に詳しく研究いただいて、諸外国の状況をまとめております。こちらもネットのほうに出ておりますので、また後で御覧いただきたいと思います。
11ページです。
これは日米比較でございますが、遺伝医療専門職、これだけ日本とアメリカで異なるわけです。ですので、当然あるバリアントがあったときにそれがどういう臨床上の意味を持つのか、これは当然医師が診断の過程の中で行う性質のものでございますけれども、それを審議的な目を支えるような遺伝カウンセラーであったり、医師には相談できないけれども、遺伝カウンセラーだからこそ相談しやすいというのも難病患者さん、御家族はあると思いますので、こういった方をどのように増やしていって、そして、冒頭で御説明しました難病ゲノムの医療提供体制のできる医療機関で活躍していただくのかというのが、極めて重要、マストであるということが挙がっております。
1枚おめくりください。
それから、今、指定難病は338ございまして、個別の遺伝学的検査が診断基準に入っているものがございます。これは保険収載されているものが多数ございますけれども、全ゲノム解析を医療現場に実装したときに診断率がどれぐらい向上するのかということも公費を投入する以上、しっかりと明らかにしなければならないというところだと思っております。
これが、つい少し前に『New England Journal of Medicine』に出たものですけれども、4分の1ぐらいの方が、セレクションとかの条件もございますが、全ゲノム解析を10万ゲノムプロジェクトで進めたことによって分かってきたということがございます。
同様のことを、今、國土先生のAMEDの研究班で5,500症例余りの研究を解析したものをもう一度見返してみまして、全ゲノム解析をすることによってどれぐらい診断に結びつくのか、また、診断がついているものについてはどの程度全ゲノム解析を行うことがどういう点で有用なのかということについて研究していただいているということで、またその成果を公開できると考えております。
1枚おめくりください。
それから、特に大切になってきますのが、バリアントがあったからといって必ずしも病気であるとは限りません。臨床の所見とバリアントの情報を見比べて、果たして過去に報告された難病に知られるというようなバリアントとして矛盾しないのかどうかとかといったこともしっかりと考えながら、個別疾病について診断をしていくことが求められます。
ここが難病ゲノムの領域では非常に重要なポイントでございまして、ゲノミクスイングランドであるとか、また、オーストリアも似たようなプロジェクトがございまして、それぞれパネルアップというものでそういった診断の一つに役立てているということがございます。これは人種差もありますし、日本では海外のものも参考にしながら日本独自のものをつくっていくということが診療現場に実装していくためには必須でございますので、こういうことも併せて難病のゲノムの中ではつくっていけたらなと考えております。
最後になりますけれども、やはり診療現場で難病の全ゲノム解析が行われて返すということになった場合、患者さんがどのようにそれを受け止めて、また、御家族に理解していただくのかということが極めて大切になります。
今、このスライドにはございませんでしたけれども、2月にはこの専門委員会の構成員でもいらっしゃいますJPAの森さんにも水澤先生の研究班にいらしていただいて、患者さんの視点から、難病ゲノムであるからこそ特に注意をしたり、あとは受け止めがどうなのかということについて御意見をいただきながら、難病ゲノムの研究を進めていって、また政策に結びつけたいと考えております。
私からポイントを御説明しましたが、もし水澤先生のほうから追加で補足するべきことがございましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
私からは以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
では、水澤委員、何か追加で御発言はございますか。
○水澤委員 今、江崎先生から非常にうまくまとめていただきましたので、一言だけ強調しておきたいのですが、先ほど御紹介のありました國土班での検体を受付て、解析中のものが既に目標の6,500に近づいております。実際に4,000以上の検体の解析が済んで、それぞれの研究者に結果が送付されております。先月でしょうか、班会議がありましたけれども、個々の研究者の方々によってデータがまた再解析をされているという現状でございますので、非常に進捗がよろしいということを御理解いただきたいと思います。
もう一点、言葉がなかったのですけれども、実証研究という名前で、実際にどういう動くのかという検証を進めています。私の研究班等でいろいろ検討したことを実証事業という枠内でいろいろなことを試してみるということを実際に行っておりますので、そういう状況の中で、一番最後にあった患者さんの御意見を聞いてそれを反映させていこうとしております。今年最後の班会議になりますけれども、2月にそれを予定しているということでございます。
以上です。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、難病領域の御発表につきまして、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。
中村委員、お願いします。
○中村委員 非常によくまとめていただいたと思いますけれども、皆さん、歴史的な背景を知って、日本がどうしてこんな状況になったのかを理解していただきたいと思います。
20年以上前に遺伝カウンセリング学科というものがある大学でできましたけれども、どうして広がっていかなかったかというと、要するに、遺伝カウンセリングの資格を持っていても、就職先がなかったわけです。病院としては、遺伝カウンセラーを雇うとその分だけ人件費がかさむということで、診療報酬としてちゃんと反映もされていなかったので、どうしても遺伝カウンセラーになっても就職先がないということで広がっていかなかったという実情があります。
臨床遺伝学の専門家は多いですけれども、これは学会で認定して、やはりこれから必要だということでいろいろな資格を、もともとは産婦人科、小児科医の先生が多かったのですが、いろいろな分野で臨床遺伝学の専門医が要るということでちょっと枠を広げて、今、アメリカとあまり遜色のない数がいるわけです。けれども、遺伝カウンセラーの場合には、病院が遺伝カウンセラーを雇って診療報酬として反映されない限り、それは幾ら言っていても広がらないと思います。それは現実的な課題ですので、そこはどうなったかを考える上で、過去の歴史を遡って考えない限り、遺伝カウンセラーは増えてこないと思いますので、そこはぜひ厚労省の方でも配慮していただきたいと思います。
もう一点は、私はゲノムシークエンスをどんどんやるのがいいと思いますけれども、今の話の中で出てこなかったのは、イギリスの例だと、小児でICUに入っておられる方のゲノムシークエンスをすると、治療法が大きく変わったというデータが出ています。やはり原因が分かるというのは患者さんに還元する上で非常に重要だと思います。ただ、がんと同じで、何か見つかったときにその治療薬を誰がどうカバーするのかも考えないと、分かったけれども何もできないというがんと同じような状況も生じますので、患者さんに還元するということを非常に重要視されるのであれば、何か見つかったときに誰がどういう形でその薬剤をカバーするのかをぜひ検討していただきたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の御指摘に関して、水澤先生、何か御発言はございますか。
○水澤委員 ありがとうございました。
経緯については我々の研究班のディスカッションでも議論されていまして、カウンセラーのほうが非常に少ないということで、それを増やしていく必要があります。現在、幸いにも養成のための学校、コースも増えたということですけれども、根本的には先生のおっしゃるとおり、診療報酬等で反映されないと定着していかないかと思いますので、ここは厚労省等に頑張っていただくことになるかなとは思います。
新生児プロジェクトについては、英国とかオーストラリアでも既にやっていって、いい成果が上がりつつあるということで、これも議論をしておりまして、できるとよいと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、森幸子委員、お願いできますか。
○森(幸)委員 どうもありがとうございました。
難病領域の方の進捗状況、いろいろと御報告いただきまして大変ありがたいと思います。
そして、お話がありましたように、水澤先生には研究班のほうでも御意見を聞いていただけるというところで、非常にありがたく設定していただきましたことを御礼申し上げたいと思います。
また、その上で、事前に勉強会をしていただけるということにもなりまして、私ども日本難病・疾病団体協議会(JPA)や難病のこども支援全国ネットワーク等、非常に広い領域、そして、希少な疾病、ウルトラオーファンと言われるような疾病の患者さんたちにも御出席いただきまして、ぜひ活発な意見交換ができるといいなと思っております。
難病の領域ですけれども、日本で難病対策が始まってから既に50年になります。2015年にようやく難病法が成立いたしまして、そのときは今までに難病には光が当たってこなかったというようなことで法律にもなったわけですけれども、本日、ELSIやPPI、今、ようやくこの時期に一斉にいろいろなことが進んでまいりまして、まだまだ難病というと一つの疾病ずつ、本当にことごとくいろいろな特色があって、多彩で、非常に難しいかと思うのですけれども、ぜひ多くの患者さんの、また、様々な経験をした方々の経験から得られた知識をしっかりと生かしていけるような活動になるといいなと思っております。
ぜひこれからもよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
○中釜委員長 貴重な御意見をありがとうございました。
ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして資料4になります。全ゲノム解析等の実行計画(第2版)に向けた検討について、事務局から説明をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
○がん・疾病対策課長補佐 資料4を御覧ください。
1ページ目です。前回の専門委員会で、四角で囲まれた各項目につきまして検討の視点を提示させていただきました。今回はそれぞれの検討の視点についての対応案を提示させていただきます。
それぞれの項目について、ポイントのみ説明をさせていただきたいと思います。
まず、基本的な考え方といたしましては、技術的事項についてはこれまでの会議体で取りまとめた内容とも整合的なものとすることを基本といたします。また、実行計画(第2版)の計画期間は、令和4年度から令和8年度までの5年間としたいと考えております。
対象患者につきましては、がん領域、難病領域ともにこれまでの議論と同様とをさせていただきたいと思います。
2ページ目を御覧ください。
症例数につきましては、がん領域は令和4年度以降はがんゲノム医療中核拠点病院12施設及びがんゲノム医療拠点病院33施設のうち、必要な体制が整備されていると専門委員会が承認した医療機関において当該解析を実施していくこととする。そのため、段階的に年間の症例数を増加させ、令和8年度には年間1万5000症例程度の全ゲノム解析を実施することを目標とし、それに対応できる体制の構築を目指していきたいと考えております。
難病領域につきましては、先行研究の結果を踏まえ、令和4年度において年間約4,000症例程度の解析を見込んでおり、また、令和5年度以降については令和4年度の解析の実績も踏まえて検討するということとしたいと考えております。
患者還元体制につきましては、がん領域では資料1で説明がありましたように、令和5年度以降はB体制に一本化したいと考えております。
難病領域につきましては、3ページ目です。中央一元的に解析レポート作成を行うことで、均一で質の高い情報を患者に還元する。また、難病領域の特性や難病全ゲノム解析等実証事業の結果を踏まえつつ、患者への説明を適切に行うことができる体制を構築するとさせていただきたいと考えております。
患者還元を行う医療機関につきましては、がん領域はこれまでの議論を踏まえて要件を明確化し、毎年1回専門委員会において審査承認を行うこととしたいと考えております。
また、難病領域につきましては、令和4年度以降は先ほどの難病全ゲノム解析等の実証事業において協力する医療機関を段階的に増やすとともに、これまでに行った全ゲノム解析等の結果を踏まえて、難病の全ゲノム解析等を実施する医療機関が備えるべき具体的な要件を検討するとさせていただきたいと考えております。
そして、検体の保管、利活用につきましては、これまでの議論を踏まえまして、4ページ目、既存の施設を用いて追加解析可能な検体の集中管理を行うシステムを令和4年度中に試行的に構築し、令和5年度以降の本格的な運用を目指したいと考えております。
その次、臨床情報システムの構築につきましては、これまでの議論を踏まえまして、令和4年度中に複数の医療機関における臨床情報の標準化及び臨床情報収集システムの検討を行い、令和5年度以降には電子カルテから必要なデータを再度転記入力するなどの方法ではなく、API等を使って解析・データセンターが直接データを取得できる方法を活用した臨床情報収集システムの構築を目指したいと考えております。
利活用システム構築についてです。利活用システム構築につきましては、令和4年度中に共有ルール、利活用ポリシーを策定しまして、事業実施組織内のデータ利活用審査委員会の設置に向けた検討及びデータ利活用のための研究支援システムの検討を行い、また、データ等の利活用につきましては、データ利用者の負担を原則とし、ただし、データ利活用審査委員会においてアカデミアのみの利用と認めた場合については負担を減免するなどの利用者負担制度を検討していきたいと考えております。そして、令和5年度中にデータ共有の開始を目指したいと考えております。
事業実施組織につきましては次のページになります。令和4年度中に事業実施準備室を国立高度専門医療研究センター医療研究連携推進本部内に設置しまして、令和5年度中に事業実施組織を構築していきたいと考えております。
また、次のアカデミアの役割及び産業界の役割についてですが、それぞれが主催するアカデミアフォーラム、産業フォーラムの令和4年度末までの発足を目指したいと考えております。
事業実施組織によるアカデミア、産業界の支援につきましては6ページ目になります。
事業実施組織にアカデミアフォーラムへの運営支援部門を設置し、新規研究の提案や産業フォーラムとの連携、研究者間の連携とのマッチング支援等を行い、産業フォーラムに関しましても、産業フォーラムの運営支援部門を事業実施組織内に設置しまして、データ利活用、知財管理、新規研究の提案やアカデミアフォーラムとの連携、企業間連携等のマッチング支援等を行いたいと考えております。
続きまして、ELSIについては、事業実施組織にELSI部門を設置しまして、ゲノム情報に関連した不利益の防止や情報漏洩、悪用の防止に必要なガイドラインや諸外国の現状等を研究調査し、組織全体として必要な対応を行っていきたいと考えております。
先ほどから議論のありますPPI(患者・市民参画)につきましては、事業実施組織に患者・市民参画部門を設置するとともに、各医療機関においても患者・市民の視点を取り入れるための担当者を配置して、広く国民向けの普及啓発を担わせるとともに、PPIに必要な人材の育成をするための支援を行いまして、患者・市民から意見を広く吸い上げるための体制を構築していきたいと考えております。
最後に、全ゲノム解析等の出口戦略につきましては、大きく3つに分かれると考えております。
1つ目は、全ゲノム解析等を行う中で、適切な使用方法の選択や新たな診断技術としてエビデンスが得られたものにつきましては、順次、先進医療等として実施した上で保険適用を目指す。
もう一つは、全ゲノム解析等に基づく先進的かつ効率的な診断治療等を可能にするとともに、さらなる個別化医療としての新規臨床試験(治験含む)の実施や新薬への創出へとつなげたいと考えております。
そして、最後に、蓄積されたゲノムデータ等を用いた研究創薬等が活性化されるようなアカデミアフォーラムや産業界と連携した取組を推進しまして、全ゲノムの解析の成果を広く患者に還元するということを出口戦略としていきたいと思います。
以上で、対応案についての説明を終わりとさせていただきたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの資料4の説明につきまして、御質問、御意見がありましたらお願いいたします。
まず天野委員、お願いいたします。
○天野委員 詳細な御説明をいただきまして、ありがとうございました。
まず6ページで、患者・市民参画(PPI)について、前回の私の意見を踏まえて今回独立した項目にしていただくとともに、事業実施組織に患者・市民参画部門を設置するということも入れ込んでいただきまして、本当にありがとうございます。
1点質問がございます。
5ページの上のほう、対応案の部分ですが、令和4年度中に事業実施準備室を国立高度専門医療研究センターの医療研究連携推進本部内に設置すると書いていただいているのですが、令和5年度中に事業実施組織を構築すると書かれている点です。この点ですが、この事業実施組織は国立高度専門医療研究センター内に設置されるのか、もしくは別の組織が新しく立ち上がるのか。その辺り、もし分かっていれば教えていただければと思います。
○中釜委員長 では、厚労省のほうからお願いします。
○がん・疾病対策課長補佐 御指摘ありがとうございます。
事業実施組織につきましては、準備組織内においてその立てつけを含めて令和4年度から検討しまして、令和5年度中の構築を目指したいと考えております。
○中釜委員長 今の御説明でよろしいでしょうか。
○天野委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、上野さやか委員、お願いします。
○上野委員 今回の実行計画2版の計画期間は令和4年から8年までの5年ということなのですけれども、それなりに長い期間だと思うのですが、各年度のどの辺りの時期までに各項目についてどういった目標が達成されているといいのかということがこの資料4を拝見しただけですと分かりにくいのかなと。特に令和4年、5年までに何々をするというところは具体的に言及している項目が多いと思うのですが、その後、6年、7年、8年の時点でどういうことが達成されているといいのかということが分かりにくいと思いましたので、スピード感を持って進めるためには、その辺りももう少し明確にして認識を共有したほうがよいのかなと思いました。
内容的にはそういうことなのですが、例えばそういった議論や認識共有のために、今回でいうと資料1の3ページですか。パワーポイントでタイムラインの図表のようなものを作っていただいている資料があると思うのですが、そういったものも作っていただくと議論の助けになるのかなと思いました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
御指摘の点について、厚労省、お願いいたします。
○がん・疾病対策課長補佐 御指摘ありがとうございます。
ぜひ我々としましてもそういった分かりやすいような資料を作ってまいりたいと考えております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
○上野委員 資料というところだけでなくて、内容的にもどの年度に何が達成されていればいいのかということを議論できればと思います。
○がん・疾病対策課長補佐 承知いたしました。
具体的な詳細につきましては実施準備室の中で今後細かく決めていきたいとは思いますけれども、概要的なものにつきましては我々のほうで作成したいと考えております。
○上野委員 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、まず最初にAMED研究班の南谷先生、お願いいたします。
○南谷参考人 詳細な計画をありがとうございました。
まず一点ですけれども、令和8年度に向けて年間1万5000例の全ゲノム計画を行うということで、全ゲノムを行う数の目標設定がされております。ただ、全体を通じまして、研究する側から非常に気になる点がありまして、全ゲノムというのは一次データを取っただけで実用化できる医療の情報はすぐには出てまいりません。ですので、これは全ゲノムでも行う数の目標ではなく、実際に患者さんに役立つ、実用化されたデータの目標といった目標値も必要ではないかと思います。
もう一つは、一次データが出てからが本番の研究となりますが、それを実用化数の目標に結びつけるためにどのような工夫が必要なのか、研究が必要なわけなのですけれども、その重要性についてもう少し強調していただく必要があるのではないかと思いました。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
御指摘の点は、患者還元班A班あるいはB班の成果を踏まえたA班の患者還元の形をどういう形で議論し、実際に患者に還元できるか、かつ、蓄積されたデータをいかに利活用するかのスキームについてのご指摘だと思いました。現時点で具体的にどの程度現場で役立ったかということに関しては、やはり実績を積む必要があるかなと思いますけれども、その方向に向けた令和8年度の解析数1万5000ということを気にされたということだと理解しました。ある程度の解析数があってこそ患者に還元する機会も増えるという趣旨だと私自身は理解していますので、その辺り、いかに研究にも活用できるかということも含めて、準備室でより詳細な議論を詰めていただくことになるのだと思います。厚労省から何か追加で御発言はございますか。
○がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。
目標値等につきましては、出口戦略というところでしっかりと今後議論していきたいと考えております。
○南谷参考人 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 それでは、栗原委員、お願いできますか。
○栗原委員 ありがとうございます。
幾つか質問です。
先ほど天野さんが質問された事業実施組織を国立高度専門医療研究センターの中の準備室で検討をするということと、実際の事業実施組織自体がこのセンターの中にできるのかという質問に対しての答えを聞き漏らしたので、教えていただけますでしょうか。別組織であることを前提に議論するのか、あるいはそこも含めて選択肢なのか、そこをまず一点確認させてください。
○中釜委員長 厚労省、お願いいたします。
○がん・疾病対策課長補佐 その点につきましては、国立高度専門医療研究センター、長いのでJHと略させていただきますが、JHの中に設置するのか、もしくは外に設置する中というのも含めまして、準備室で適切な事業実施組織の在り方について検討を行うと考えております。
○中釜委員長 今の説明でよろしいですか。
○栗原委員 分かりました。ありがとうございます。
ガバナンスですとか組織基盤については、今のJHが担おうとしている重要な役割とは違う機能が求められているだろうと思いますので、そこを念頭に検討いただきたいと思います。
2点目にアカデミアの役割について、ここも確認なのですが、アカデミアフォーラムという名前にするかどうかは別にして、アカデミアの方々の研究のための組織に入る方は、この書きぶりですと、学術組織をかなり広く捉えているような気がするのですが、一方で、今までの議論ですと、例えば先ほどのELSIのところでもありましたが、アカデミアフォーラムに入る方というのは、今回の実行計画に基づくデータ収集を行う機関、あるいはそこと共同研究をする機関ということで、広くアカデミアといいますか学術組織を指すものではないように理解しているのですけれども、そこはそれでよろしいのでしょうか。
それから、3点目は今後の考え方として、アカデミアフォーラムも産業フォーラムも、実施組織自体が主体になるのではなくて、実施組織はそれを支援する立場であり、その外につくられるということで考えてよろしいのでしょうか。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、2点目、3点目についてお願いいたします
○がん・疾病対策課長補佐 まず、2点目のアカデミアフォーラムへの参加の要件についてですけれども、ゲノミクスイングランドがそうであるように、ゲノミクスイングランドには特に検体提供をしていない日本の研究者も参加できております。ですので、アカデミアフォーラムに参加できるアカデミアの研究者の方は、特にこの事業に直接検体を提供していなくても要件を満たせば参加できると考えております。その詳細な要件については、まさにアカデミアフォーラムを設置する際に決定していくものと考えております。
また、フォーラム自体は事業実施組織の中か外かということなのですが、これは全体の事業概要にもありますように、事業実施組織の外にアカデミア、産業界それぞれが主催するフォーラムをつくっていただきまして、事業実施組織やその運営や相互の連携を支援するという形を考えております。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
○栗原委員 分かりました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
では、水澤委員、お願いできますか。
○水澤委員 今のお答えで私の質問にも答えが出たという感じがするのですけれども、私も最初のほうで御質問したことなのですが、アカデミアフォーラムと産業フォーラム、産業界フォーラムでしょうか、それが組織の外にあって、小さな窓口みたいな感じがしないでもありません。しかし、実際問題として、データを解析したり、解析するデータを準備するといったアカデミックフォーラムのところに書いてあることの大部分が、この事業実施主体が本来やらなければいけない業務になっていると思うのです。
したがいまして、例えば利活用システム構築についてというのは、まさにフォーラムという言葉を使わずに事業実施組織が行うこととして書いてあると思うのですけれども、これが先ほど申し上げたゲノミクスイングランドのほうがそういう組織ではないかということなのですが、そこのところは、名前はいろいろなつけ方があるかと思うのですけれども、よく考えてつくっておく必要があるのではないかなと思います。それがないと、これも最初のほうに議論がありましたけれども、唐突にデータが突然アカデミアフォーラムと産業フォーラムのほうにすぐ流れていくような印象を受けてしまうということもありますので、事業実施主体が本来やるべき仕事、それは研究機関あるいは病院といったものに使われることが圧倒的に多いわけでありまして、そのほかに産業界で使いやすいようにするという仕組みがうまく動くように、ぜひ考えていただきたいと思います。
それがコメントというか、そういうことになりますけれども、私からのお願いです。
以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございました。
厚労省、よろしいですか。
御指摘の点を踏まえて、準備室の中で議論していっていただきたいと思います。
では、葛西参与、お願いできますか。
○葛西参考人 私のほうは事業実施組織についての意見なのですけれども、独法の中でという御意見がこの案ではあるようなのですが、独法はいろいろなタイプがまずあります。非特定独法にするように見られるのですが、基本はより民間的に経営すべきだと思うのです。ゲノミクスイングランドも改めて調べても、御存じのとおり、チェアマンは大臣経験者ですし、CEOはマッキンゼーのコンサルタント、交易コンサルをやっている方です。財務は、KPMGにいたことがあるのですが、KPMGのコンサルタント経験者であり、そこにバイオインフォマティシャンがついたり、それから、当然ですけれどもテクノロジストも置いて、そして、医療的な見解を示す方もいるというふうに経営に関わる資源が全部網羅されている状態なのです。なので、必要となる役割、この事業の経営をする際に、今回、経営をしていかなくてはいけないですから、独法として経営するのがベストかどうかはまだ判断があるのだと思うのですが、経営をする際に必要なリソースを洗い出した上で、それに必要なキャリアパスを持つ方をボードメンバーにしていかないとまずいなと。
一方、医療的解釈、データの医療的な解釈であったり、パイプラインを考えるといういわゆる専門的かつアカデミックな部分というのは切り離してはいないのですが、別立てになっていまして、今回、事業計画案の中でも経営というところとアカデミックに医療解釈をするということは改めて別にきちんと定義をしないと、これだけですと経営をしているのか、研究をしているのか、患者還元に直結しないようになっていくのではないかと非常に不安があります。なので、できるだけゲノミクスイングランドでやっている方々のロールであったり、思った以上に日本よりも幅広い専門性を持つ人材で構成されているということを洗い出していただいた上で、実施組織内のオペレーションの体系をつくっていただきたいなと思います。
私からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
今の御指摘に関して、厚労省のほうからお願いします。
○がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。
事業実施組織がつまずかないような形でできるような体制について、しっかりと準備室で議論して、当然厚労省のほうでもその辺りを注意していろいろと検討してまいりたいと考えております。
○中釜委員長 今の御指摘を踏まえて、そのような方向性が見えるような記載ぶりということも少し検討していただければと思います。
ほかに御意見はございますか。
それでは、製薬協の上野参考人、お願いいたします。
○上野(裕)参考人 ありがとうございます。
私からは1点だけなのですけれども、枠組みというよりは実行内容のところで、今後検討が本格化する中で、特に利活用に向けた検討が本格化すると理解しているのですが、その中で、特に利活用においてはある程度予備的な検証をしながら、今集まっているいろいろな情報が本当にどのように使えるかというのを検証しながらやることによって、その結果をフィードバックしてよりよいものにしていくというようなことが考えられると思うのですけれども、その点、実際の計画の中に盛り込まれているかどうか、確認させていただきたく、もしそういうことでなければ、ぜひそれを検討していただきたいなと思います。
特に、我々はこういったゲノム情報を基に創薬をするという、今、それなりの計画はあるものの、本当に我々が計画しているものが実現できるかどうかというのもぜひ途中段階から検証したい。それがとりもなおさず、利活用の促進にもつながると思いますし、そういうことでもぜひ御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
今の御指摘に関して、厚労省、お答えできますか。
○がん・疾病対策課長補佐 上野参考人の御指摘につきましては、データの広域チェックということをしっかりと行うべきという理解でよろしいでしょうか。
○上野(裕)参考人 クオリティーもそうですし、今ある情報だけで十分なのか、あるいはさらにどういった情報が必要なのか、その辺の粒度も含めていろいろやり取りすることが可能かなと思いますので、そういった点です。
○中釜委員長 恐らく医療的な利活用とともに、それの科学的なエビデンスをきっちり取れるような仕組みで、研究と利活用の連携の仕組みをきちんと構築すべきだという御指摘かなと理解しました。そういう理解でよろしいですか。
○上野(裕)参考人 そういう御理解で結構ですし、それを少し予備的にというか、検証しながらやるということの重要性をお話しさせていただいた次第です。
○中釜委員長 ありがとうございました。ぜひそういうところも準備室あるいはその中で議論して詰めていただければなと思います。
○上野(裕)参考人 よろしくお願いします。
○中釜委員長 それでは、神里委員、手が挙がっていますでしょうか。
○神里委員 ありがとうございます。
私からは、6ページにありますELSIのところについて2点コメントさせていただきます。
対応案の下から2行目にガイドラインという言葉が入っているのですけれども、ここはぜひとも法律を視野に入れた制度設計についての検討ということを入れていただきたいと思います。
また、もう一点は、先ほど中村委員から御指摘ありましたように、教育ということが大切になってまいりますので、ELSIのところ、あるいは場合によっては下のPPIに該当するかと思いますけれども、教育についても計画に入れていただければと思います。
以上です。
○中釜委員長 今の御指摘について、厚労省、お願いいたします。
○がん・疾病対策課長補佐 ありがとうございます。
御指摘の点につきましては適宜反映させていきたいと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
それでは、栗原委員、手が挙がっていますでしょうか。
○栗原委員 2回目の質問、コメントです。
先ほどの実施組織のところで、葛西さんが、この組織のボードメンバーや人材がどういう形がいいのかということを考える必要があるとおっしゃいまして、そのとおりだと思います。
その一方で、この組織を運営するためには、それなりの資金も必要ですし、それから、このデータを誰が保有して管理していくのかといったときに、国がやるのかそうでないのかという根本的な話があると思います。恐らく資金の大半が仮に国から出るとするとその受皿としての法人の在り方も加味する必要があるでしょうし、データの信頼性を確保できる組織で、かつ柔軟性が重要だと考えたときに、どういう組織の在り方、性質がいいのかなと考えます。もう一方で、人材の確保や育成がし易い組織を考えていくことが重要なので、追加でコメントさせていただきます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
まさに重要な御指摘で、これはまた準備室の中でしっかりと議論して、ふさわしい機関をつくっていく使命があると思いました。
厚労省のほうからありますか。
○がん・疾病対策課長補佐 御指摘ありがとうございます。
まさに全ゲノムのデータという個人情報をしっかりと管理するという点と、それをまた柔軟に利活用しなくてはならないという2つの点、うまくしっかりと解決できるような対応、方策を考えていきたいと考えております。
○中釜委員長 よろしいでしょうか。
ほかに御意見はございますか。
ありがとうございます。
それでは、今、説明させていただきました対応案につきまして、様々な御意見をいただきました。より粒度のある記載ぶりであるとか、より具体的な計画の書きぶりなど、その辺りは御指摘の点を踏まえながら修正を図りたいと思いますが、方向性に関してはおおむね合意いただいたのかなと委員長として思いましたが、よろしいですか。もしそこで御異議がなければ委員長預かりとさせていただき、本日いただいた意見を踏まえて、より具体的な書きぶりを可能なところで進めていきたいと思いますので、また先生方の御意見を反映させながら、構築していきたいと思います。その方向でよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○中釜委員長 ありがとうございます。
続きまして、既に予定の時間を超過しましたが、革新的がん医療実用化研究事業研究班の吉田輝彦参考人から参考資料9、それから、柴田参考人より参考資料10について、最後に日本科学未来館の三澤様より参考資料11、これを続けて説明させていただきます。
まず吉田先生、お願いいたします。
○吉田参考人 どうぞよろしくお願いします。
それでは、少しかいつまんで説明させていただきます。参考資料9をご覧ください。
遺伝性腫瘍等については、昨年5月14日、第1回のときに御報告をしましたので、今回成果の概要をまとめて御報告したいと思います。
研究の位置づけとしてはこの3ページ目にあるように、令和元年度の調整費ですが、研究としては令和2年度の単年度で行いました。
それから、4ページ目は飛ばしまして、5ページ目をご覧ください。3,000例の遺伝性腫瘍あるいはそれを疑う集団ということで、若年がんを含めて、このように多機関共同研究体をつくりまして解析を行いました。最終的には、6ページのように目標を少し超える3,247人について全ゲノム解析のシークエンスデータと臨床情報を確保することができました。対象症例としてはこのように遺伝性乳がん、卵巣がんや消化管がんなど、日常の遺伝診療で遭遇するようなものを網羅する形になりました。
それから、7ページ目が調整費単年度の研究の範囲です。3,000例の全ゲノム解析を行うために既存の症例、すなわち既存のICに基づいた同意が得られている症例に対して、臨床情報を収集し、シークエンスデータを収集、それから、統一化解析パイプラインでの生殖細胞系列のバリアント収集とその意味づけのシステムづくりというところと、最後にデータシェアリングとなっております。
8ページ目はその成果の概要です。そのうち、9ページ目がクラウドを活用して構築した統一化解析パイプラインの概容となっております。先ほども出ていましたけれども、クラウド利用のコストの最適化は非常に重要な課題なのですが、3,000人生殖細胞系列の全ゲノム解析が約1,000万円でできるようになったということ。それから、医療情報等のガイドラインに準拠したということ。さらに、データの中身を見なくてもこのパイプラインを回せるようなテレワーク対応のシステムとしたということになります。
先ほど南谷先生もおっしゃっていたように、これらのパイプラインによる解析の結果を今後一例一例について検討し、必要な検証実験などを行っていくことが重要な課題となります。
その解析のイメージとしては、例えばこの10ページの大腸ポリポーシスの原因のAPC遺伝子の大きな欠損を見つけたり、あるいは、この11ページは若年がんのATM遺伝子の例ですけれども、イントロンの深いところにあるバリアントがRNAシークエンスと組み合わせることでスプライシング異常を起こしているのではないかということが分かったということです。スプライシングのコンセンサス配列の変化でしたので、どうしてもRNAシークエンスと組み合わせることが必須であった例となっております。
ということで、もう一つは、これも先ほど出ていましたけれども、そういったバリアントのコールをした後、それの医学的意味づけをすることが非常に重要で、12ページにありますように、大きく二段階に分かれており、自動的なアノテーションと、それを基に専門家集団の合議によって医学的意味づけを行い、患者さん、家族にどのようなアクションを推奨していくのかといったことを議論するエキスパートパネルを多機関共同型で行う。これを仮想パネル解析を想定したテストを6回ほど行いました。
13ページはその多機関共同エキスパートパネルに関する提言ですが少し飛ばしまして、14ページが最後になりますけれども、今後の課題です。本研究は令和2年度の単年度で終了となっておりますが、まだまだ構造バリアントやスプライシングバリアントのパイプラインの確立は今後の課題のところがありますし、RNAシークエンスとの統合あるいは患者さんに返すための検証のための各種解析が必要であります。また、バリアント評価法に関しては先ほどのネットワーク型の多機関共同エキスパートパネルが重要です。特に希少疾患・症例においては、なかなか単施設では必要な多職種の専門家を集めることが難しい場合がありますので、このようにネットワーク型での多機関共同エキスパートパネルを安定して運用するということが必要となります。また、臨床現場に返すためには最先端のゲノム解析の技術や情報を活用するということと同時に、改正医療法等に対応した精度管理も必要ということになります。
これらの課題は、令和3年度以降の体細胞変異主体の研究の中でもデータ解析、患者還元に非常に貢献できるのではないかと思いますので、今後、事業全体の計画の中での課題の取組など、御検討いただければと思います。
少し駆け足でしたけれども、以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
続きまして、柴田先生、参考資料10の説明をお願いします。
○柴田参考人 参考資料10をよろしくお願いします。
本事業は、難治がんや希少がんの試料を用いて、シークエンス解析、ワークフローの評価検討などを行うパイロット研究であります。
次をお願いします。
まず、大腸がんサンプルを用いまして、ゲノムシークエンスの適切なシークエンス深度につきまして評価いたしました。こちらにデータを示していますけれども、正常組織の深度で50Xぐらい。それから、腫瘍組織の深度が100から200Xぐらいで、比較的高精度な検出ができるということが分かりました。今回のプロジェクトでは、正常組織のシークエンス深度がX30強ですので、やや検出感度が下がるのではないかということが今回の解析から明らかになりました。
次をよろしくお願いします。
それから、希少がん、難治がんにつきまして、今回の解析に使用するパイプラインを用いまして、データの評価を行いました。こちらを見ていただくとお分かりのように、肉腫のサンプルにつきまして、PCR重複率が一部のサンプルで上がっていることが分かりました。このPCRの重複といいますのは、同じ断片を複数回読んでしまうということを示しており、このデータは解析するデータから除外することになります。したがって、このPCR重複率が高いと、期待していたよりも使えるデータが少なくなってしまうということがあります。
PCR重複率が高くなる理由といたしましては、例えばホルマリン固定のようにDNAの品質が悪い場合に起こるのですけれども、今回、一部のサンプルで高かった理由につきまして検討したところ、実はDNAの品質ではなく、解析委託会社の違いによってこういうことが起こったということが分かりました。今回、研究期間が限られていたので、2つの委託会社にそれぞれのサンプルを送ってシークエンスを委託したのですけれども、そのうちのある一つの会社につきまして、こういったPCR重複率が高いという結果が得られました。恐らくこれはライブラリーの作成のプロトコルの違いによってこうしたことが起こったのではないかと考えております。
現在のプロジェクトでも複数の会社にシークエンスの委託をしておりますので、今回のように一部のデータで不良が起こる可能性が考えられます。もしこういったPCRの重複が増えまして、データが低くなった場合、もう一度シークエンスする必要があるのですけれども、今回のプロジェクトではデータ量が非常に多いので、こういった品質評価に1週間以上時間がかかってしまいます。そうしますと、ライブラリーの使用期限が1週間となっているので、もう一度DNAから再度解析をする必要があります。特に貴重なサンプルですと非常に問題があることが予想されます。やはり品質の管理の点からも、複数の委託会社に解析をお願いする場合は、データ品質が問題ないかどうかにつきまして、ランダムにサンプルをピックアップするなどして確認するといった検討を行う必要があると思います。この点は先ほど河野先生からも御指摘があったとおりだと思いますけれども、こういった評価が必要だと思います。
それから、ここには出していませんけれども1例サンプルの取り違えが起こりました。こういったヒューマンエラーは当然多数サンプルを扱いますと必ず発生すると思われます。したがいまして、ヒューマンエラーを検出するようなワークフローも中に織り込んでいく必要があると思います。
次をお願いいたします。
これはSarcomaの解析グループの現在の進捗です。これは解析の対象といたしましたサンプルです。これは非常に希少な肉腫を含めて、解析を行ったものであります。
次をお願いします。
これはSarcomaのグループの結果です。遺伝子の名前につきましては出していませんけれども、全ゲノム解析によって幾つか新しい遺伝子の変異ですとか、あるいは構造異常といったものが同定されました。
それから、次をお願いいたします。
これは膵がんのコホートの解析結果でありますけれども、膵がんの解析では、左側にお示ししているように、4例で非常にたくさんのミューテーションが集積するような症例が認められました。この症例はいずれも術後3年を経過していて、いまだに再発がないという非常に予後がよいような症例でありました。ほかのグループからもこういった高度な変異を持つ膵がんは予後が良好であることが報告されています。一方で、チェックポイント阻害剤に対する反応につきましてはまだ症例も少ないこともありまして、十分な議論が得られていないのですが、こういった情報も患者還元の中にうまく使えるのではないかと考えています。
現在、膵がんについて困っている問題があります。といいますのは、現在のパイプラインではこのデータは全て一番新しい参照ゲノムにマッピングをして、それで変異コールをするといったパイプラインの立てつけになっております。得られた変異データの中から統計的に有意なドライバー遺伝子を検出するようなツールが複数あります。ICGC(ICDC国際がんゲノムコンソーシアム)の全ゲノムプロジェクトではこれを7つぐらい併用いたしまして、それで新しいドライバー遺伝子を検出するということを行っていたのですけれども、そこで使われているドライバーを検出するツールの多くは、実は1つ前のバージョンの参照ゲノムデータに対応しておりまして、一番新しい参照ゲノムにマッピングしたデータには現在対応していないことが分かりました。したがって、現在、いただいたデータから、こういった変異データから新しいドライバーを検出することはできないという状況でありまして、我々は仕方がないのでもう一度全データを1個前のバージョンの参照ゲノムにマッピングするという作業を行っているところであります。
今、まさに多数の検体についてシークエンスを行っているわけですけれども、今後、こういった下流解析につきましても問題が生じる可能性があります。この点につきましては解析班の井元先生にもお伝えしておりますけれども、そういったことも注意しながら、解析パイプラインの構築をしていく必要があると思われます。
次をお願いいたします。
これが最後ですけれども、造血器腫瘍に関しましては、経時的なサンプリングによる解析を行っております。こういった治療前後あるいは治療経過を追跡していくような解析が非常に重要でありますし、患者還元につきましてもとても大事なサンプリングだと思います。今回の解析でも全ゲノムによって初めて特徴的なクローンが変わっていくといった現象を検出することができましたので、今後、こういった経時的なサンプルの解析もこのプロジェクトでもとても重要なポイントになると思います。
以上です。
○中釜委員長 少し専門的な説明になりましたが、ありがとうございました。
続きまして、日本科学未来館の三澤和樹様より参考資料11の説明をお願いいたします。
○三澤参考人 御紹介ありがとうございます。
本日はこのような機会をいただき、誠にありがとうございます。
日本科学未来館の科学コミュニケーターの三澤と申します。
未来館では、日頃から新しい技術の利用に関して一般の方から御意見をいただく活動をしております。その一環として、昨年夏にゲノム情報の利活用に関して一般を対象とした意識調査を行いましたので、その結果を御報告いたします。
まず、調査の概要です。51日間という比較的短期間の調査です。調査は弊館のアンケート端末及びウェブを通じて実施しました。全体で272名の方から回答いただきました。そのうち8割以上がウェブからの回答です。
今回、アンケートの周知について日本製薬工業協会様に協力いただき、がんや難病領域などの複数の患者団体に本調査の回答の協力依頼を行いました。
後ほどのデータでも御説明しますが、結果として、患者さんやその家族のように、ゲノム情報の利活用に関して当事者性の高い方からたくさん回答をいただくことができたと考えております。
実際の調査では、全ゲノム情報の活用について御存じかどうか、回答者が期待していることや不安に思うこと、御意見等を伺いました。
初めに、回答者の属性について幾つか御説明します。回答者の性別や年代に関しては、偏りなく得られました。
続いて、回答者の専門性を知るために御職業あるいは専攻を聞きました。また、当事者性を知るために御自身や御家族などが2週間以上の入院をしたことがあるかどうかを伺いました。御覧いただければ分かるように、青色でお示しした専門性は3分の1の方が、当事者性も3分の2の方が「はい」とお答えになりました。これらのことから、このゲノム情報の活用について知識をお持ちであったり、自分に近いこととして回答される方が多かったのではないかと考えております。
こちらは、特に回答者の知識について伺った結果です。左がゲノムや遺伝子について、右側がゲノム情報の利活用について、ご存知だったか、あるいは説明を見て理解できたかを伺いました。青色と水色を合わせるとどちらも9割を超え、非常にリテラシーの高い方が多く回答されていることが分かります。これは1つ前の専門性や当事者性の結果も一致しているように思います。
ここからは、こうした回答者の方々がゲノム情報の活用に対してどのようなお考えをお持ちかについて、その結果をお伝えします。
まず初めに、ゲノム情報の活用に期待を伺った質問です。選択肢式、複数回答のできる質問です。選択肢が自分自身のため、自分の子や孫のため、そして、将来の人のために大きく分かれておりまして、それをグラフでは色を分けております。大きな傾向としては、直接に自分に関わる内容について、いずれも全体の半数以上の回答者の方が役立ててほしいと回答されていました。また、「大学などでの病気の基礎研究」と「製薬会社などでの薬の開発」について大きな差は見られませんでした。「とくに期待することはない、わからない」とお答えになった方が数名しかいらっしゃらなかったことからも、繰り返しになりますが、今回の調査ではゲノムの情報の活用に対して関心が高く、かつ期待をお持ちであることが読み取れます。
次に、期待の一方で、ゲノム情報の医療への応用で不安に思うことがあるかどうかを伺いました。この設問は、不安に感じることを最大3つまで選択肢の中から選んでいただきました。
不安なことを全て足し合わせて集計した結果が左のグラフになります。まず、「特にない」と回答された方が2割程度いらっしゃいました。また、一番多かった回答は「ゲノム情報による差別」で、次いで「情報漏洩とその悪用」が多い結果となりました。この2つはいずれも全体の半数以上の方が不安であるとして回答されています。「なんとなく怖い、イヤだ」と回答された方はごく少数にとどまりました。
こちらが今回結果を御説明します最後の設問になります。お答えいただいた不安なことは、どういう取組があればその不安がやわらぐとお考えでしょうかという質問です。自由記入式の質問で、記述の回答が99件得られました。これらの結果から、代表的なトピックとして4つ、情報の取扱い、差別の対策、教育・理解増進、相談窓口に整理させていただきました。このいずれかに関係あると読み取れる記述の件数をグラフでお示ししています。お一人が2つ以上のトピックについて書かれたものは、重複してそれぞれ1件として集計しています。
情報の取扱いについてですが、その内容が多岐にわたるため、件数としては非常に多くなっております。主なものとしては、取得した情報を安全に管理する体制の整備、また、その管理体制について第三者機関等による定期的な監査など信頼性を担保するための仕組み、そして、情報管理の在り方についての透明性を求める意見などがございました。また、特に患者さんが提供できる情報の内容であったり、研究開発のために使用できるデータの種類について患者さん自身の意見を反映してほしいなどの意見がございました。幾つか代表的なコメントをスライドにてお示ししております。
また、右側のトピックに移りますが、ゲノム情報による差別に対し、あらかじめ対策をしてほしいという旨のコメントもございました。こうしたコメントの中には、コンプライアンス遵守というものから法で差別を禁止するといったものまで、様々なレベルのものがございました。具体的な懸念としては、健康保険や就職、業務内容などがございました。
続いて、教育・理解増進に関して、大きく2つありました。一つはゲノム情報の利活用で可能になることなどを一般向けに広く分かりやすい形で発信してほしいということ。もう一つは、差別防止に対する働きかけなどについてです。
最後に相談窓口であります。相談内容としては、解析結果を受け止めて、医療的な相談窓口と差別や情報漏洩といった社会的な不利益をこうむった場合の相談窓口の2つがございました。
最後に、結果のまとめです。今回の調査では、関心の高い方からの回答が多くいただけました。結果として、期待も高い反面、不安についても具体的なコメントをいただきました。不安を解消するための取組として、大きくこちらに示した4つのトピックがございました。
今回のアンケート結果に関しては、全ての自由記述を含め、日本科学未来館のホームページにて公開しております。ぜひお時間のあるときにお目通しください。
御清聴ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございました。
それでは、全体を通して、本日の発表に関して何か御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
本日は時間をかなり超過してしまいましたが、以上で本日の委員会を終了したいと思います。
また、追加での御意見等がございましたら、適宜事務局までお寄せいただければと思います。
委員の先生方には、時間を超過して誠に恐縮ですが、議事進行に御協力いただき、誠にありがとうございました。
それでは、事務局にお返しいたします。
○がん・疾病対策課長補佐 本日はお忙しい中、ありがとうございました。
本日も予定時間を超過してしまい、誠に申し訳ありませんでした。次回以降、協議内容を精査して、何とか時間以内に終わらせるように調整していきたいと思います。
以上をもちまして、本日の会議を終了したいと思います。
本日は誠にありがとうございました。