33回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

令和4年1月14日(金)9:30~11:30

場所

WEB会議

議題

(1) 雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について (諮問)
(2) 企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けて
(3) 令和4年度予算案の概要について
(4) その他

議事

議事内容

○武石会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから「第33回労働政策審議会人材開発分科会」を開催いたします。本分科会は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、労働政策審議会運営規程第3条第1項に基づき、オンラインの会議とさせていただきます。本日の出欠状況ですが、労働者代表の小倉委員、篠原委員、使用者代表の渡邉委員が御欠席となります。
 それでは議事に入ります。議題1、「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について(諮問)」です。それでは資料1について、人材開発政策担当参事官より説明をお願いいたします。
○宇野参事官 人材開発政策担当参事官の宇野と申します。おはようございます。私のほうから資料1の「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」について、御説明させていただきます。これは全体の法律案要綱になっておりますが、人材開発分科会の所掌分のみを御説明させていただきます。人材開発分科会の所掌分といたしましては、資料1の15ページの後ろから2行目を御覧ください。こちらのほうで「第三 職業能力開発促進法の一部改正」とあります。まず、「一 キャリアコンサルティングの機会の確保」ということで、1、事業主が、その雇用する労働者の職業生活設計に即した自発的な職業能力の開発及び向上を促進するため必要に応じ講ずる措置として行うキャリアコンサルティングの機会の確保について、職業能力の開発及び向上の促進に係る段階並びに労働者の求めに応じて行うこととし、また、キャリアコンサルタントを有効に活用するように配慮するものとすること、となっております。
 また2で、国と都道府県に対してですが、国及び都道府県が行うように努めなければならない事業主等及び労働者に対する援助について、キャリアコンサルティングの機会の確保に係るものを含むことを明確化すること、となっております。
 続いて、同じページですけれども、「協議会に関する規定の新設」です。まず1で、都道府県の区域において職業訓練に関する事務及び事業を行う国及び都道府県の機関、これは「関係機関」というように、この1番では定義していますけれども、地域の実情に応じた職業能力の開発及び向上の促進のための取組が適切かつ効果的に実施されるようにするため、関係機関、職業訓練等を実施する者、労働者団体、事業主団体、職業紹介事業者又は特定募集情報等提供事業者、学識経験者等により構成される協議会を組織することができるものとすること、となっております。
 2番目で、協議会の事務に従事する者又は従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないものとすること、と規定しております。なお、この規定につきましては、少し飛びますけれども、「四 その他」の1番で、二の2に違反して秘密を漏らした者について、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処するものとすること、というような規定を設けております。
 戻りまして「三 国、都道府県及び市町村による配慮規定の追加」です。国、都道府県及び市町村は、職業訓練の実施に当たり、労働者がその生活との調和を保ちつつ、職業能力の開発及び向上を図ることができるように、職業訓練の期間及び時間等について十分配慮するものとすること、と規定されています。
 職業能力開発促進法の規定は以上でございますが、これらにつきましての施行期日については20ページに規定しています。20ページの「一 施行期日」に、この法律は、令和四年四月一日から施行すること、ということで、4月1日からの施行となっております。ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行すること、ということで、職業能力開発促進法関係では、次の21ページの3、第三(一及び三を除く)とあります。要は第三の二と四です。具体的には協議会部分ですけれども、この施行期日は令和四年十月一日になっております。これは準備期間というのが1つの理由であり、また、もう1つの理由といたしましては、今回の協議会の構成メンバーの中に、特定募集情報等提供事業者が入っておりますけれども、これは同じ法律の職業安定法で新たに規定される考え方、特定募集情報等提供事業者というものです。これ自体の施行が10月1日だということも併せまして、施行期日を10月1日にしているところです。
 以上ですけれども、関連する項目といたしまして、大分飛びますが雇用保険法の部分を御説明したいと思います。戻りますが、同じ資料の2ページを御覧ください。「三 能力開発事業の改正」です。雇用保険二事業のうちの能力開発事業の中で、確保が能力開発事業として掲げられていますけれども、その確保の1つとして、そこにありますとおり、職業能力開発促進法第十条の三第一項第一号の規定によりキャリアコンサルティングの機会を確保する事業主に対して必要な援助を行うこと及び労働者に対してキャリアコンサルティングの機会の確保を行うことができることとすること、ということを能力開発事業に明記する改正を雇用保険法で併せて付記しているところです。資料1の説明は以上でございます。
○武石会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対して御質問・御意見がございましたらZoom機能の「リアクション」から「手を挙げる」マークを押していただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。滝澤委員、お願いいたします。
○滝澤委員 御指名ありがとうございます。滝澤でございます。ただいまの改正の概要については承知いたしました。これから実際の改正法の条文が出てくるのだということになろうかと思いますけれども、漢数字一のキャリアコンサルティングの機会の確保について、必要に応じてという趣旨が十分に事業者に伝わるよう条文の改正を進めていただくようお願いいたします。以上です。
○武石会長 ありがとうございました。御要望ということで承りたいと思います。それでは冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。今、御説明いただきました法律案要綱について、適当な内容と考えております。キャリアコンサルタントや協議会の規定の新設などが明記されますが、いずれも非常に重要であり、今後いかに実効性を高めるかが課題となります。非正規で働く方を含む全ての労働者がしっかりと自ら学ぶことを選択できることにつながる形で取組を進めることが重要と思いますので、意見として申し上げておきます。以上でございます。
○武石会長 ありがとうございました。では平田委員、お願いいたします。
○平田委員 平田です。御説明ありがとうございました。先般、この分科会で取りまとめた報告書の内容が、法律案要綱に適切に反映されていると考えておりますので、内容としては妥当ではないかと考えております。以上でございます。
○武石会長 ありがとうございます。労使の委員の皆様から妥当だという御意見、それから今後の実効性の確保等についての御要望があったと思いますが、早川委員から手が挙がっていますので、早川委員、お願いいたします。
○早川委員 御指名ありがとうございます。資料1の中の協議会での守秘義務についてですが、正当な理由なく協議会の事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないという条文で、それには罰則も付いております。ただ一方で、協議会の議事録等については積極的な公表をしていただいて、この協議会そのものがブラックボックスにならないようにしていただく必要もあろうと思われます。そこで協議会参加者の間でしっかり情報を共有しつつ、例えば個人情報とか、そういうものが秘密に該当するのかと思うのですけれども、その秘密にすべき部分と、そうでない公表すべき内容との区別が付きますよう、法律そのものではなくとも、規則等である程度明確化されたほうがいいのかと思いました。よろしくお願いします。
○武石会長 ありがとうございました。法律そのものというよりは今後の運用であったり、細かい規定等についての御意見が幾つか出てきていますけれども、ほかに御意見ありますでしょうか。特にないでしょうか。もし事務局のほうから何かあればお願いしたいと思います。
○宇野参事官 ありがとうございます。今回いろいろ報告書の取りまとめからこの辺りまで、本当にありがとうございました。運用に関しては、今も様々な御意見を頂きましたので、実際に施行に当たっては、ただいま頂いた御意見を踏まえながらやっていきたいと思いますが、まずは、我々としては法律案の条文をまとめまして、きちんと国会に提出させていただいて御審議いただいてということだと思っておりますので、また引き続き御指導いただければと思います。ありがとうございます。
○武石会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいですか。
 特にないようであれば議論はここまでとさせていただきます。議題1の「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱について(諮問)」は、本分科会として「おおむね妥当」と認める旨を労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思います。この点に関して御意見はございますでしょうか。
(異議なし)
○武石会長 特に御異議がないようであれば、事務局から報告文(案)の配布をお願いしたいと思います。
(事務局より報告文(案)を資料共有)
○武石会長 今、共有いただいていますが、この報告文(案)により、労働政策審議会会長宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○武石会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただくこととして、この議題についてはここまでといたします。どうもありがとうございました。
○宇野参事官 ありがとうございました。
○武石会長 ここで人材開発統括官より御挨拶があります。小林統括官、お願いいたします。
○小林人材開発統括官 小林です。ありがとうございます。委員の皆様には、12月の建議の取りまとめに引き続き、本日この法律案要綱の御審議を賜りました。ただいま御答申いただきましたこと、誠にありがとうございます。これまでの御審議を踏まえまして、今後の法案化作業を進めていきたいと思います。また、国会で改正法が成立しました暁には、施行作業にしっかりと活かしていきたいと思いますので、今後とも御指導のほど、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○武石会長 ありがとうございます。それでは今後、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
 では、次に議題(2)「企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けて」です。それでは資料2について、政策企画室長より説明をお願いいたします。
○黒田室長 おはようございます。政策企画室長の黒田です。私からは議題(2)、「企業内の学び・学び直しを促進するためのガイドラインの策定に向けて」について、資料2を用いて御説明申し上げます。今後、企業内の学び・学び直しを促進するための「ガイドライン」の策定に向けた検討を、本分科会において行っていただきたいと考えております。その際には企業の実情に即し、労使が協働した学び・学び直しが促進されるような、有用性の高いものにしていく必要があると考えております。
 そのような観点から考えますと、資料2の1~3に掲げた点について、まずは事務局において把握・整理することが効果的と考えております。具体的には「1.企業の実態に即した『基本的な考え方』や『労使が取り組むべき事項』の深掘り」ということで、ガイドラインに盛り込む「基本的な考え方」や「労使が取り組むべき事項」について、企業の実情に即し、労使が協働した学び・学び直しが促進されるものとなるよう、企業ヒアリングの結果概要を秋の分科会で御説明しましたが、それに加えて学び・学び直しの必要性、関係者の役割、プロセス、中小企業における好事例や中小企業特有の課題、その他必要な要素や具体的な内容について把握・整理する必要があると考えております。
 また、「2.企業内におけるキャリアコンサルティングについて」ということで、その実施状況やキャリアコンサルタントの活用実態等について、企業内における経営層・現場管理職・人事部門とキャリアコンサルタントとの関わり、又は中小企業におけるキャリアコンサルタントの活用や外部機関との連携を含め、把握・整理する必要があると考えております。その上で一番下の「3.国等の施策の整理」として、他省庁のものを含む国等の支援策について1、2において把握した内容を踏まえ、労使の取組の場面に即した形で整理するというプロセスで、まずは事務局において少しお時間を頂きながら、丁寧に作業を行いつつ、整理させていただきたいと考えているところです。本日は、この進め方について御意見があれば伺えればと考えます。もし、ほかに事務局が行う必要がある作業等がありましたら、併せて御意見を頂ければと考えております。説明は以上です。よろしくお願いいたします。
○武石会長 ありがとうございました。これまでのガイドラインについては、委員の皆様から建設的な御意見を頂きました。それらを踏まえて今後、まずは事務局で整理すべき課題について、ポイントを挙げて御説明いただいたということになります。ただいまの御説明に対して御質問、御意見がありましたら、Zoom機能の「リアクション」から「手を挙げる」マークを押していただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。かなり中小企業を意識していただいた内容になってきたかと思います。中小企業は深刻な人手不足なので、経営資源で最も重要なものは人材だというように認識しております。人材育成や学び直しに対する支援は、非常に重要であると考えております。
 一方、厚生労働省様の調査では、能力開発や人材育成に関して問題がある事業所が7割にも達しているとの御報告がありました。具体的な問題についても、指導する人材が不足している、人材育成を行う時間がない、人材を育成しても辞めてしまうなど、中小企業は多岐にわたっております。特に中小企業では、社員の人材開発がOJTが中心であるため、社員のoff-JTを後押ししていくことは重要ですが、そこまでの余裕のある中小企業は多くないと思われます。中小企業は雇用の7割を占めておりますが、能力開発や人材育成に関する課題は、業種ごとや企業ごとで多種多様であると思われます。
 こうした状況を踏まえ、労働者の自立的・自主的・継続的な学び直しやリカレントガイドラインを作成することは時宜を得ておりますので、本ガイドラインの策定を契機にリスキリング、学び直しの重要性を幅広く周知していただいて、国を挙げて機運を高めていただきたいと思います。また資料2に、中小企業における好事例や中小企業特有の課題を更に把握することと書かれております。中小企業の実態に沿った内容で、役に立つガイドラインの策定をお願いしたいと思います。以上です。
○武石会長 ありがとうございます。まず、今手が挙がっている4人の方に御意見を頂戴したいと思います。宮田委員、松浦委員、橋本委員、早川委員の順番です。まず宮田委員、お願いします。
○宮田委員 ANAHDの宮田です。御説明ありがとうございます。このガイドラインの趣旨については、賛同させていただければと思います。少し重なるところではあるのですけれども、「企業の実態に即した」というところでいうと、やはり企業の規模であったり、業態によって置かれている状況や、実際に機能する仕組みなどが違うと思っております。そういう意味では企業の実態に応じて今御意見のあった、例えば中小企業における業態であれば、その弱みも強みも含めて、違うところもあるとは思うのですが、そういうものを細かく見る中で、一律同じような形ではなく、企業の実態に合わせたものが取り入れられるような、そういう意味では好事例、課題の整理というのがすごく重要だと思っております。
 もう1点は、2のキャリアコンサルティングのところです。キャリアコンサルティングに関しての意見というよりも、そもそも企業内における人材開発においては、先ほども様々な観点での課題、御意見がありました。もともと企業の成長のためには、企業における人材がいかに重要であるかという意識があって、こういう平素の考え方と、それを日々見ていく現場の管理職、人事部門、そこにあるキャリアコンサルティングという連携があっての人材開発だと思っております。そういう意味ではキャリアコンサルティングだけではなく、企業としての経営のメッセージであったり、そこに関わる様々な部門とキャリアコンサルティングが関わって、いかに企業内の人材育成を図り、それを企業の成長につなげていくかという辺りの連携を是非、今回見ていっていただければと思っております。私からは以上です。
○松浦委員 UAゼンセンの松浦です。ガイドラインの策定論議に当たり、意見を述べたいと思います。まず1つ目の企業内の学び・学び直しについて、雇用の流動化や労働移動をいたずらに強化することにつながるものではないことを前提とした上で、まずは企業が人材育成のビジョン、方針あるいは求めるスキルを明確にして、労働者が理解・納得して行うことが重要です。また、非正規の雇用で働く労働者も含めた全ての労働者がスキルやキャリアの向上に資する教育機会を受けられる環境整備が必要だと考えます。
 次に、2つ目の企業内のキャリアコンサルティングの取組が重要だと考えます。企業規模や業態、業種により、取組状況がかなり異なることを踏まえて、今後企業へのヒアリング等を行っていただき、実態をきちんと把握して課題を整理し、議論を進めていただきたいと思います。
 最後に、省庁や教育機関は、所管にかかわらず、横断的な連携の下、実効的なガイドライン等をするために、その環境整備や支援策の充実を是非図っていただきたいと思います。以上です。
○橋本委員 企業のヒアリングを、これから更に実態把握をされるに当たり、厚労省の様々な人材開発の助成措置があると思います。これとの関連性を、もうちょっと示していただけると、私にはなお分かりやすいかと思いました。例えば、こういう助成を受けて、こういうプログラムを実施したという例があれば教えていただければと思います。以前、リカレントガイドラインを作るに当たって、この分科会で、厚労省の予算措置とどういうように関わるのかという御質問がありました。そのときの事務局の御回答は、いろいろ全般的に関わるというお答えだったと思います。私などは、人材開発支援助成金ぐらいしか浮かばないのですが、もっとほかにもたくさんいろいろな助成があると思いますので、それとの関わりを示していただくと、これから活用する側、企業にとっても分かりやすい情報になるのではないかと思いました。
 あと、リカレントと言うと、本来は、大学がもう少し役割を果たすべきなのだろうと思っています。有名なスウェーデン・モデルでは、大学に戻って勉強をすることが実務に役立つというように、地域や社会に開かれた大学というのがモデルになっていたと思います。日本の大学では、この取組が遅れているのが問題かと思うのですが、今後、大学が社会に役立つ可能性というか、何をしたらいいのかという点も分かるように、3の他の省庁の施策とも関係すると思うのですが、もし、大学での学び直しが非常に生きた好事例があれば、御紹介いただければ大変助かりますし、有り難く存じます。以上です。
○早川委員 企業内の人材開発、職業能力開発の観点と、キャリアコンサルタントの関わりという点においては、従来からセルフ・キャリアドックの仕組みがあったと思います。このセルフ・キャリアドックのこれまでの実施状況とか、それに対する政策の見直しなども含めて、セルフ・キャリアドックを更に拡大させていくのか、そうであるならばどのように発展させていくのか、または改善していくのかといった視点も入れていただければと思います。あと、企業の中の職業能力開発推進者の選任などの取扱いも、積極的に進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○武石会長 それでは平田委員、お願いいたします。
○平田委員 企業の持続的な成長には、働き手の学び・学び直しへの支援を含めた「人への投資」という視点が非常に重要だと考えております。学び直し等を支援しようとしている企業にとって、活用しやすい内容のガイドラインを取りまとめていただければと思っておりますので、要望として申し上げておきます。
○武石会長 ありがとうございました。手が挙がっている方から、一通り御意見を頂きました。これまで「リカレントガイドライン」という言い方で御議論を頂いて、様々な御意見を一旦集約していただいています。今後の進め方として、やはり多様性に配慮した実態を把握してほしい、助成金やセルフ・キャリアドックといった政策の効果についても、併せて把握してほしいという御要望があったかと思います。今、一連の御意見、御要望がありましたが、事務局から何かリプライがあればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○黒田室長 政策企画室長の黒田です。様々な御意見、ありがとうございます。幾つか意見を頂いたと思いますけれども、大きく分けて、まずは中小企業の業態やいろいろな実態、規模や様々なものがあるので、そこにしっかり対応できるような、そして全体として中小企業に限らず、大企業にも中小企業にも役立つようなガイドラインにするようにということだと思います。そこで、私どもも1に掲げたように、秋の企業ヒアリングだけではまだまだ深掘りできてない部分があります。ヒアリングの形にするかどうかを含め、好事例の収集の形をどうするかというのは、時間も限られていますので、皆様に御相談しながら進めていきたいと考えておりますが、いずれにしても、企業の実態に即したガイドラインになるようにしたいと考えております。そこの把握・整理にお時間を頂きたいと思っております。そうは言いながらも時間は限られているので、是非労使の皆様方にも御相談をさせていただきながら進めたいと思います。是非、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、企業内のキャリアコンサルティングについてご意見をいただきました。これまでの分科会においても、この点については様々な御議論や御意見を頂いてきたところですので、企業内の現場においてキャリアコンサルタントがどのような活動実態にあるのか、キャリアコンサルティングがどのように行われているのかということについて、実際にそこで働いているキャリアコンサルタントの方々にヒアリングなどをしながら、そこを明らかにしていきたいと考えております。その上で、委員の皆様方に御議論いただけるような材料を提供できればと考えております。今後の課題の整理に役立てていただけるような準備をさせていただきたいと考えております。
 3つ目としては、国等の施策の整理についてのご意見をいただきました。当然ながら「関係省庁も」と申し上げているのは、もともとリカレント教育に関しては、既に関係省庁の連絡会議もあり、経済産業省、文部科学省、そして内閣府と私どももやっております。もともと関係を密にしてやっているところですし、橋本委員から社会人教育に関して大学の役割が重要で、どのような事例があるかという趣旨の意見もいただきましたので、そこも含めて、どこまで事例が示せるかというのは文科省等とも相談だと思いますが、できる範囲で考えてみたい、検討させていただきたいと思います。
 あとは予算措置と助成金との関係も含めて、国等の施策をこのガイドラインの中にどう盛り込んでいくか。皆様から頂いたのは企業の現場で使いやすいガイドラインにということだったと思いますので、国等施策をガイドラインにどのようにビルトインしていくのか、それをどういうように書くと現場で見やすくなるのかという点についても、今後の議論で御意見を頂きながら、いいものができるように、また本分科会にお諮りしていきたいと考えております。雑駁ですが、事務局からは以上です。
○武石会長 ありがとうございました。それでは、ほかに御質問、御意見があれば挙手をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。では滝澤委員、堀委員の順番でお願いしたいと思います。
○滝澤委員 もう既に何人かの委員の方々からも、同様の御発言があったかと思いますけれども、ただいまの御説明も受けて申し上げます。正に今回のガイドラインの策定ということでは、今後、デジタルトランスフォーメーションが加速するに連れ、今まで人の手で行っていた様々な業務が自動化・効率化できて、そのような業務に従事していた従業員の学び・学び直しについて、このリカレントガイドラインは、大変役立つものだと期待しております。
 今後、是非実効性のあるものへと仕上げていきたいというようにお願いするところですが、御説明の中で、特に中小企業についてですね。この資料の中でも、中小企業における好事例や特有の課題の実態を更に把握・整理する、また「中小企業におけるキャリアコンサルタントの活用や外部機関との連携」という文章があるわけです。中小企業においては、例えば外部のキャリアコンサルタントを活用した結果として、従業員が流出してしまったということも、ままあろうかと思います。是非好事例だけでなく、幅広く実態の把握に努めていただけたら有り難いということで、お願い申し上げます。以上です。
○武石会長 ありがとうございました。では堀委員、お願いいたします。
○堀委員 今回のリカレントガイドラインは、日本社会を大きく変え得る可能性を持つ、大変重要な施策だと考えております。その上で、これまでの委員の先生方の御発言に加えて、学びの内容の質の担保についても是非、御検討いただければと思っております。もちろん企業が使いやすいようにすることは、大変重要だとは思っているのですけれども、余り行き当たりばったりにはならず、一定の学びの系統性を重視したり、ある程度は学びの目標の共有なども重要だと考えております。是非学びの内容についても一定のガイドラインを作っていただけるように、お願い申し上げたいと思います。以上です。
○武石会長 ありがとうございました。ほかに御意見はありますか。滝澤委員、堀委員の御意見も今後の御要望ということでしたが、事務局のほうから何かあればお願いいたします。
○黒田室長 御意見、ありがとうございます。政策企画室長の黒田です。中小企業については、私どもも是非、勉強させていただきたいと考えており、いろいろな情報を頂ければと思っております。よろしくお願いします。また、学びの内容の質の担保というのは、非常に重要な視点です。先般おまとめいただいた建議の中でも全体的な基本的な考え方というところで、労働市場全体と企業内の両方に関わる基本的な考え方では、効果的な教育訓練プログラムの開発、設定、提供が非常に重要だという御指摘も頂いております。それも受けながら、ガイドラインでどのように書いていくかということですけれども、そこも含めて今後検討し、御相談させていただきたいと思います。以上です。
○武石会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。御意見がないようであれば、よろしいですか。海老原委員、お願いします。
○海老原委員 今、厚生労働省の方から御発言がございましたように、現場で色々ヒアリングなされるようですがその際に一つお願いがあります。どうか、キャリアカウンセラーだけにヒアリングをとどめないで欲しいのです。現状、キャリアカウンセラーを導入している企業は意識も高くホワイトな環境です。そうした良い事例ばかりが集まってしまいます。一方、キャリアカウンセラーはやはり自分の職域確保意識がありますから、どうしても、「この制度は有意義」という話になります。なので、本当に重要なことが見えない気がしているのです。キャリアカウンセラー制度が広く浸透した暁には、社員のキャリア育成に相反するマネジメントや社内規定がある会社でも、この制度が実施されます。こうした場合、キャリアカウンセラーは、社員に対するアドバイスだけではなく、企業経営者や人事に対して、「キャリアアップに資するよう社内を変えろ」と言う必要が出てきます。こうした辛辣な話がどの程度予測されるか、などを知りたい。労働問題に詳しい社労士の方などに、「キャリア形成に関する問題」「キャリアカウンセラーと経営の間に起きる葛藤」などを聞いてみたらどうかと。
○武石会長 若干音声が聞き取りにくいところがあったのですが、大体分かったかと思います。どうでしょうか。事務局のほうは聞き取れましたか。
○黒田室長 前半のほうが聞きづらかったのですが、恐らく前回の年末の分科会でも海老原委員から御指摘を受けたところに重なると思います。キャリアコンサルタントは、経営側に雇われている立場で、労働者の話を聞いた上で、経営側に強い意見が言えないのではないかという疑義があるということを、年末におっしゃっていたことに重なって、キャリアコンサルタントだけではなく、社労士にもヒアリングをしてみてはどうかという御意見だと受け止めました。まず、それはよろしいでしょうか。そこの確認をした上で。
○海老原委員 そういうことです。今、企業内にいるキャリアカウンセラーに言っても分からないと思うので、それは社労士や弁護士、その他、企業内の内情詳しい人に聞いたほうがいいだろうと思うのです。よろしいですか。
○黒田室長 社労士に直接ヒアリングするかどうかも含めて、検討させていただきますけれども、まずはキャリアコンサルタントで中にいる人に聞いていって、どういう問題が起こっているのか。海老原先生がおっしゃっている問題というのも、恐らく生じているであろうと思っていますので、そこをどう乗り越えていくのかということを、いろいろつまびらかに聞いてみたいと思っています。
○海老原委員 いや、それだけでは私は反対です。今導入している企業というのは、相当ホワイトです。相当いい企業で、相当クリーンな企業の話だけを聞いても、全く参考にならないと思うのです。現状が分かるためには、社労士、弁護士などに聞いたほうがいいと思います。よろしいですか。これは私のお願いです。
 形だけ聞いて、これで「はい、シャンシャン」というのは、全く役に立たない。私はこの「キャリアカウンセラーの社内導入」という制度に対しても納得いってないから、そこはちゃんと聞いてほしいのです。
○黒田室長 御意見は受け止めます。ありがとうございます。
○武石会長 キャリコンがうまく回っている企業もあるとは思うのですが、何か課題があったり、キャリコンの制度そのものがないような企業の中で、どういうようにこの問題に対応しているかということで言うと、例えば中小企業だと、社労士辺りが実態をよく御存じではないかということではないかと思います。そういうことでよろしいでしょうか。
○海老原委員 そういうことです。加えて、キャリコンへのヒアリングだと自らを裁くような話が本当に出るのかというのが、私は心配なのです。 キャリアコンサルタントは基本、自分の職域確保のためにいい話しかせず、見えないことがたくさんあるから、私はキャリアコンサルタントだけに聞くというのは、余り賛成しません。よろしいですか。
○武石会長 恐らくキャリアコンサルタントにキャリアコンサルタントの実態を聞いても、非常に偏った状況しか分からないので、もう少し第三者的な立場の方に、キャリアコンサルタントの効果だったり現状だったりを聞く必要があるのではないかという御意見であろうと。その1つの例として、社労士という御提案があったかと思います。
○海老原委員 そうです。
○武石会長 社労士かどうかということも含めて、キャリアコンサルタントの実態把握のために、キャリコンだけに聞くのでは不十分でしょという御意見だと受け止めました。
○海老原委員 はい、おっしゃるとおりです。
○黒田室長 事務局です。海老原委員の御意見の趣旨を踏まえたいと思います。社労士という例を挙げていただきましたが、キャリアコンサルタント以外の方、社労士とか弁護士とか、いろいろあり得ると思います。キャリアコンサルタントに限らない形で、中小企業の実態を明らかにすべきというのは、重要な指摘だと思いますので、何らかそういう形でのヒアリングもできないか考えていきたいと思います。ありがとうございます。
○武石会長 海老原委員、今のでよろしいでしょうか。ありがとうございました。ほかに御意見等はありますか。よろしいでしょうか。いろいろと貴重な御意見をありがとうございました。事務局において本日の御意見を踏まえ、ガイドラインの策定に向けた様々な作業をお願いすることになります。公労使の委員の皆様をはじめ、委員の皆様に様々な御協力を頂くこともあるかと思います。どうぞよろしくお願いいたします。また、事務局の一連の情報整理などを踏まえて、皆様からこの分科会でガイドラインについての御審議をいただくことになります。引き続きよろしくお願いしたいと思います。それでは、この議題は以上にさせていただきます。どうもありがとうございました。
 次に議題(3)、「令和4年度予算案の概要について」です。それでは人材開発総務担当参事官より、資料3の説明をお願いいたします。
○黒澤参事官 総務担当参事官の黒澤です。どうぞよろしくお願いいたします。令和4年度人材開発統括官部門予算案の概要について、資料3-1、資料3-2を用いて御説明いたします。まず、資料3-1を御覧ください。こちらが人材開発統括官部門令和4年度予算案の概要です。表紙の次の1、2ページに概要が書かれております。
 1ページ、第1 未来社会を切り拓く人材育成・就職支援。2ページ、第2 多様な人材の活躍促進です。この2ページの内容については、第1の1 「人への投資」の強化という内容以外については昨年10月の当分科会において、私から御報告した内容と同様の内容です。したがいまして、本日は第1の1の部分を中心に御説明いたします。第1の1 民間の知恵を活用して実施する「人への投資」の強化【新規】504億円とあります。これは、その下の説明文に書いてありますが、新たにこの504億円の予算を用いて人材開発支援助成金、企業において従業員の方の職業訓練を実施される場合にその費用を助成するという助成金です。これを活用し、デジタル人材等の育成を図っていこうという取組です。
 今般、このような新たな仕組みを実施したいという経緯に関しては資料3-2を御覧ください。資料3-2は、厚生労働省全体の予算案の概要資料の中からの抜粋ですが、資料3-2、2で民間の知恵を活用して実施する「人への投資」の強化、補正1,024億円、当初1,019億円とあり、(1)~(4)とあります。中ほどに枠囲みで「☆人への投資」とあります。これは、昨年11月19日に閣議決定されました経済対策において「人への投資」を強化するということで、補正予算も含めて3年間で4,000億円規模の施策パッケージを政府として講じていくという方針が取りまとめられております。
 ここに書いてありますように、一定期間、一定の規模で強力に取り組んでいくというものです。これを受け、令和4年度の予算案においては、このページ上半分の(1)~(4)にありますように、厚生労働省としては、(1)は先ほど申し上げ、本日御説明しております人材開発支援助成金を使いました人材育成の強化。(2)は雇用均等分科会になりますが、非正規の方のキャリアアップ助成金も強化をしていく。(3)と(4)は職業安定分科会かと存じますが、教育訓練給付や特定求職者雇用開発助成金で推進していく。このように、合わせて1,019億円の予算を新たに予算案の中に盛り込んでおります。
 「人への投資」の枠囲みに戻り、これら4つの施策に関しては、民間からの御意見を踏まえて具体的な支援内容を決めていく。外部有識者の御意見を踏まえるなど適切に実施することを考えております。実際には、人材開発支援助成金の支援内容の詳細などは省令、あるいは支給要領等で定めていくことになりますが、現在、どういった訓練のニーズがあるのか、必要とされているのかといったことに関して広く国民の皆様、企業の皆様から御意見を募った上で、それを具体的な政策の詳細を詰めるに当たり、参考にさせていただきたい、あるいは、この(1)~(4)の更にその範囲外で必要な政策の御提案等を頂戴した場合には、必要に応じて更に令和5年度以降の政策展開も視野に入れながら施策の強化を図ってまいりたい、そのような仕組みです。具体的には、この民間からの御意見は、昨年12月から厚生労働省のホームページ、内閣官房のホームページ、更には首相官邸のホームページにおいて、現在、御意見の募集を実施している途中です。
 以上のような全体の仕組みの中において、この(1)にあります人材開発支援助成金についても新たに504億円を追加計上し、人材育成の強化を図ってまいりたいというところです。以上が、昨年10月の御報告から変わった部分を中心として御説明いたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
○武石会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対して御質問、御意見がございましたら、Zoom機能の「リアクション」から「手を挙げる」マークを押していただき、指名された方はマイクをオンにして御発言をお願いいたします。それでは、平田委員お願いいたします。
○平田委員 2点申し上げます。1点目は「人への投資」を強することの重要性はよく理解しているところですが、主な財源である雇用保険財政は危機的な現状にありますので、限られた財源を効率的に活用していくことが重要だと考えております。
 2点目は、「人への投資」の強化に向けて、御説明がありました通り、民間からアイデアを募集しているところですが、私ども経団連としても、会員企業に対して本件への協力を呼び掛けております。寄せられたアイデアを活用しながら効果的な施策が、今後、展開されていくことを期待しておりますので、よろしくお願いします。以上です。
○武石会長 ありがとうございました。それでは、増田委員お願いいたします。
○増田委員 TOMOE株式会社の増田です。御指名ありがとうございます。この自立的な経済成長に向けた労働生産性の向上やコロナ禍で求められている人手不足の分野や成長分野への円滑な労働移動の実現には、先ほど来テーマに挙がっておりますリスキリングやリカレント教育等の「人への投資」を強化することが重要であるという認識は持っております。政府は「人への投資」を抜本的に強化するために、こちらに記載されていたとおり、3年間で4,000億円の施策パッケージを創設し、令和4年度にはデジタル等の成長分野を支える人材育成の強化で504億円をはじめ、1,000億円を計上しておりますが、こちらも時宜に適った施策であるとは思います。
 施策パッケージには、中小企業やそこで働く労働者が活用できる様々な支援策が盛り込まれているとは思いますが、厚生労働省におかれましては、商工会議所とも連携をいただき、各種支援策の申請先や利用条件等の具体的な内容を利用者目線、中小、特に、小規模事業者目線に立って分かりやすく周知して利用を促進していただきたいと思っております。
 また、中小企業にとっては、特に高校生等の新卒者など若手人材の早期戦力化が重要であり、そのためにはビジネスマナー等の社会人としての基礎的な知識の習得が必要になってきます。こうした面での支援策も是非ともお願いしたいと考えている次第です。よろしくお願いいたします。
○武石会長 ありがとうございました。御意見、御要望でしたが、ほかに御意見はございますでしょうか。御意見、御要望が中心でしたが、厚生労働省の事務局から何かありますか。
○黒澤参事官 総務担当参事官の黒澤です。平田委員、増田委員より御指摘いただき、ありがとうございます。御指摘いただきましたように、利用者目線で分かりやすく、かつ効果的な政策展開が図られますように努めてまいりたいと考えております。また、具体的な御意見、御提案等も企業の皆様、あるいは労働者の皆様からも御提案等を頂戴できれば、大変有り難いと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○武石会長 ありがとうございます。ほかに御質問等、ございますでしょうか。ほかにないようであれば、この案件は以上とさせていただきます。
 それでは、本日の議題は以上となりますが、全体を通して委員の皆様から何かございますでしょうか。特にないようであれば、本日は以上とさせていただきます。次回の開催日程については、決まり次第、事務局から御連絡をさせていただきます。それでは、以上をもちまして第33回労働政策審議会人材開発分科会を終了いたします。皆様、お疲れさまでした。ありがとうございました。