第50回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省

健康局 予防接種担当参事官室

日時

令和4年11月8日(火)10:00~12:00

場所

中央合同庁舎5号館専用第21会議室
(東京都千代田区霞ヶ関1-2-2)

議題

(1)組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(9価HPVワクチン)について
(2)その他​

議事

議事内容
○大塚室長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第50回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。本日もよろしくお願いいたします。
本日の議事は公開となります。また、前回と同様に、議事の様子はユーチューブで配信いたします。あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意している以外のカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。関係者の皆様におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意願います。
次に、本日の出欠状況について御報告いたします。磯部委員、中野委員から御欠席の御連絡をいただいております。また、釜萢委員から少し遅れるとの御連絡をいただいております。現在、委員12名のうち9名の先生方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規程により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。
次に、資料の確認をいたします。本部会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルを閲覧する方法で実施いたします。資料番号01から番号10まで用意させていただいております。資料の不足等ありましたら、事務局員にお申し出いただければと思います。
申し訳ありませんが、カメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力をよろしくお願いいたします。
(カメラ退室)
○大塚室長補佐 それでは、ここからの進行は脇田部会長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 委員の皆様、おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。
まず、事務局から審議参加に関する遵守事項についての報告をお願いいたします。
○大塚室長補佐 それでは、審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員の方々から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況及び薬事承認等の申請資料への関与について、申告をいただいております。
各委員からの申告内容につきましては、資料番号10の利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、早速、議題に入ってまいります。今日は、最初は「組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン(9価HPVワクチン)」でございます。前回の基本方針部会に引き続いて議論するというところですけれども、前回の審議会においては、このワクチンを来年度の早期から定期接種化すること。それから、定期接種化においては、現在、定期接種で使用されている、ほかのHPVワクチンと対象年齢を同じにするということ。それから、製造販売承認されている3回接種で定期接種化するということなどについて、皆様に御了承いただいたところであります。今日は、前回の議論を踏まえて、引き続き、検討課題になっていた幾つかの論点、ございますので、それについて御議論いただければと思います。
では、まず、事務局のほうから、今日の資料について説明をお願いいたします。
○井本評価分析専門官 事務局から、資料1、9価HPVワクチンについてという資料を御説明申し上げます。
まず、右下のページ数で2ページ目でございます。本日の流れを記載してございます。最初に、10月の本審議会における議論のまとめを御紹介いたしまして、その後、本日の論点、そして事務局からお諮りしたい点を御提示いたします。その上で、最後に本ワクチンの今後のスケジュールについて御案内する予定でございます。
それでは、右下のページ、4ページ目でございます。前回の議論のまとめになっております。
前回、10月4日の本審議会、基本方針部会におきましては、まず、9価のワクチンを予防接種法上の定期接種の対象とすることについては問題がないということ。
また、対象者につきましては、現在のHPVワクチン2価、4価と同様、すなわち小学校6年生から高校1年生の学年の女の子を対象とし、また薬事承認、製造販売承認されている3回での接種とすること。
そして、現在、使用可能なHPVワクチン、9価も含めて3種類につきましては、9価が定期化後も当面の間は使用可能とすること。これらなどについて御了承いただいたところでございます。
一方で、キャッチアップ接種を今年度から実施しておりますが、キャッチアップ接種における9価ワクチンの使用の是非。また、2価、4価との交互接種の是非。そして、2回接種の検討方法等については、引き続きの検討事項となっておりました。
また、定期化の時期につきましても、前回は来年度早期からという形で御了承いただいておりましたが、具体的な供給の時期についてメーカーと連携するべきという御意見をいただいております。
それらがまとめでございます。
そして、5ページ目からが今回の論点の提示になります。
6ページ目でございますが、まず供給についてで、定期接種の具体的な廃止時期についてのお話でございます。
先ほどのお話のとおり、前回の御議論におきまして、メーカーであるMSD社に確認を行いまして、来年度開始時期からの定期化、そのための供給体制というのは確立できるというお答えでございましたので、これを踏まえまして、赤枠のところでございます。定期接種化について、より具体的なスケジュールとして、来年度の開始時期、4月からの定期化に向けた準備をすることについてお諮りしたいと考えております。
次の論点、7ページ目でございます。こちらは、9価、3回での接種の接種方法、そして標準的な接種期間についてのスライドでございます。前回、10月の議論では、定期接種化の際の対象年齢、そして接種回数、これらの大きな方向性について御議論いただいて御了承いただいたところでございますが、今回、より具体的に予防接種実施規則等に記載される接種のスケジュールについてのお話でございます。
この上段でございますが、添付文書上の記載につきましては、現在、国内で使用可能となっている3種類のワクチンにおきまして、ハイライトしておりますが、4価と9価は同じメーカーでつくっておりますが、記載が全く同じものとなってございます。
そして、中段、定期接種法における接種スケジュールの記載、こちらは定期接種実施規則でお示ししておりますが、こちらは現在、定期接種となっている2価と4価について、それぞれ記載がございます。9価に関しては、こちらに記載が追加される予定になっております。
この赤枠のところですが、9価、4価は、添付文書上の用法・用量等の記載が同一であるということから、予防接種法上の定期接種における接種スケジュールについても、4価ワクチンと同様としてよいかどうかについてお諮りしたいと考えております。
そして、次、8ページ目からでございます。ここからが本日メインの論点の一つでございます、2価、そして4価と9価ワクチンの交互接種についてでございます。このスライドでは、現状の取扱い、そして現時点での交互接種を行っている可能性のあるキャッチアップ接種における考え方をお示ししております。
まず、上段、添付文書上は、互換性に関するデータはない。これは、各ワクチンの添付文書上にも記載がございます。そして、中段、定期接種実施要領につきましては、原則、同一のワクチンを使用することとしております。
一方で、下段ですが、キャッチアップ接種につきましては、これは本年1月の本審議会におきまして先生方に御議論いただいたところでございますが、エビデンスを整理した上で、交互接種につきまして、これは2価と4価でございますが、限定的ではありますが、認めているというところでございます。
次の9ページ目でございます。こちらは、今回、事務局のほうで整理いたしました、9価ワクチンを含む交互接種のエビデンスのまとめでございます。この資料の一番最後のほうに、参考資料で、今年の1月に御議論いただいた際の、これは2価と4価でございますが、交互接種のエビデンスをまとめておりますが、今回、同様の形で9価のワクチンのエビデンスを整理させていただいております。
エビデンスとしては少ないものではございますが、こちら、おまとめしているように、入手可能な範囲のエビデンスにおきましては、9価を含めた交互接種については、一定の免疫原性と安全性が示されているというものになります。
10ページ目と11ページ目は、WHOも含めた海外、国外、また国際的な整理をお示ししております。
10ページ目が世界保健機関、WHOの互換性、交互接種に関する見解でございます。こちら、WHOがHPVワクチンに関するポジションペーパーというものを出しておりまして、ここに記載しておりますけれども、この下線部のところでございます。互換性については、基本的には同じワクチンで接種するように努力するべきであると。ただ、1回目の接種の種類が不明であったり、入手不能である場合は、ほかのワクチンで完了することは可能であるとしております。
11ページ目は、国外における交互接種についての取扱いを、幾つかの国からまとめてございます。これらの国々でも、もちろん前提条件があったり、なかったりいたしますが、基本的には完了するのは9価でという想定でございますが、接種、計3回、2回といろいろある中で、9価ワクチンで接種を完了することは可能であるとしております。
このような整理に基づきまして、12ページ目でございます。
上の枠は、先ほどお話ししたもののまとめとなってございますが、下の赤枠でございます。基本的には同じ種類のHPVワクチンで接種を完了することは原則としつつも、交互接種における安全性と免疫原性が一定程度明らかになっているということもあり、2価または4価のワクチンを完了していない方が、9価が定期化後に希望される場合には、接種されるドクター、医師とよく相談の上で、接種することも可能としてはどうかという形でお諮りしたいと考えております。
次、13ページ目からは、今度はキャッチアップ接種における9価ワクチンの取扱いについてでございます。こちらも、基本的には過去に2価もしくは4価を接種した方が、キャッチアップ接種として9価を使用することの是非のお話でございますので、先ほどの交互接種と同じ整理になります。ただ、このキャッチアップにおける違いというのが、接種間隔が長期間空いてから9価を接種するという場合を想定する必要がございます。
このスライドに記載のとおり、添付文書は先ほどの再掲になりますけれども、こちらで何をお示ししているかといいますと、接種の間隔、先ほど申し上げた長期間空いた場合にどう考えるかという観点で見ますと、基本的には添付文書、実施要領におきましては、最低の間隔は示されている。ただ、長期間空いた場合のどこまでという考えは示されていないというのが、まず現状の取扱いでございます。
14ページ目でございます。こちらはキャッチアップにおける交互接種、長期間空いた場合の取扱いという形で、1月の基本方針部会におきまして整理いただいたものになります。キャッチアップに関しては、添付文書、また実施要領に記載の接種間隔を大幅に超えて、長期間の間隔になった場合でも、接種を初回からやり直すことなく、規定の回数の接種を完了させることと整理いただいたところでございます。
15ページ目でございます。こちらも1月にお示しした資料を少し改変しておりますが、ほぼ同じでございます。先ほどもお示しした海外の状況という形でまとめておりますが、諸外国においても同様の対応でございます。接種間隔の上限は基本的には設けておらず、残りの回数の接種を完了させるというような整理になってございます。
これを踏まえて、16ページ目でございます。
上の枠、今、お話しした内容を含んでおりますが、1点、上から2番目にエビデンスと書いてあるところがございますが、このエビデンスをどこに示しているかと申しますと、先ほど交互接種でお示しした9ページ目の最初のポツのエビデンス、これ1つにはなりますが、4価のワクチンを1回接種してから3から8年後の話でございますので、こちらを参考にという形で記載してございます。
16ページにお戻りいただきまして、今回の御提案、お諮りしたい内容は、この赤枠の中でございます。交互接種と同じではございますが、原則としては同じ種類のHPVワクチンで接種を完了することとしつつ、9価でのキャッチアップでの完了を希望される方に関しては、接種するお医者さんとよく相談の上で完了するということ。
そして、2ポツ目に関しましては、1月のキャッチアップの接種で御議論いただいたものと全く同じでございます。これは何を申し上げているかといいますと、1回接種した方が、残り2回目、3回目をキャッチアップで接種する場合、これは9価で接種する場合についても、現状と同じ取扱いでございます。標準的な接種間隔である3か月以上を空けて接種すること。こちらを併せてお諮りしたいと考えております。
そして、論点、最後でございますが、17ページ目でございます。2回の接種についてでございます。前回、先生方からいろいろと御意見をいただいておりまして、その後、メーカーのほうに確認を取りまして、9価の2回接種に関しましては、現在、製造販売承認に向けた申請中であるということでございました。
このことを受けまして、御提案としては、この赤枠内でございます。2回接種に関しましては、すごくニーズが大きいというところがございますので、製造販売承認された後、速やかにこの審議会において、定期接種の導入に向けた議論を行うこととしたい。こちらをお諮りしたいと考えております。
この真ん中の図は、参考でございますけれども、上が9価の3回で、現在、添付文書、つまり、製造販売承認されている形でのスケジュールとなっております。これは、4価と一緒のスケジュールで、3回を0か月、2か月、6か月に接種する。
下の点線内は、海外における一般的な接種のスケジュールでございます。留意点としましては、2回接種は15歳未満に海外で接種されているものでございますので、もちろん日本におきましては、現在まさに申請されていて審査中でございます。日本における添付文書の記載がどうなるか。というのは、独立した審査の過程で今、審査を行ってございますので、あくまでもこの点線内は参考でございますが、海外では2回を0か月、6か月というふうに、15歳未満で接種しているという形でございます。
以上が論点としてお示ししたものでございます。
最後でございますが、19ページになりますけれども、この9価のHPVワクチン定期化に向けたスケジュールのイメージをお示ししております。本日、11月8日の審議会において議論を行った後に、11月中にワクチン分科会のほうで省令の改正案について諮問いたします。その後、パブリックコメントを1か月間実施して、来年1月頃に公布。そして、4月に施行という流れで考えているところでございます。
事務局からの説明としては以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
9価のHPVワクチンの定期接種化を前回のこの基本方針部会でお認めいただいて、さらに定期接種化を進めるための具体的な論点について、今日、皆様から御意見をいただくというところであります。今、お示ししていただいたように、いつ始めるのかという具体的な時期、それから接種方法と標準的な接種期間、3番目に交互接種、4番目にキャッチアップ接種、最後、2回接種についてという5つの論点を示していただきました。
この論点について順番に議論していこうと思いますので、委員の皆様から御意見あればお願いするのですけれども、時間の都合もありますので、1つずついこうかなと思っています。まず最初に、具体的な開始時期、令和5年4月という時期を示していただきましたけれども、そこと。それから、接種方法と標準的な接種期間について、その2つをまずいきましょうか。御意見があればお願いしたいと思います。ここは、前回もなるべく早い時期ということで4月と。それから、接種方法と接種期間については、4価と同じということですから、そういうメモが示されたところですが、いかがでしょうか。
伊藤先生、お願いします。
○伊藤委員 今、脇田先生から1つずつというお話があったのですけれども、まず、9価のワクチンを製造している会社が、来年4月に供給できるように調整していただいた事務局の努力には敬意を表し、評価を示しますが、海外のように、15歳未満の子供が2回で済むところを、接種勧奨を差し控えていたワクチンをまた3回接種しなければいけないという枠組みを残したままでは、それを基本方針部会として手放しで喜べるものではないのではないかという気がします。
薬事承認の状況をみてからではありますが、2回で済む年齢層に接種対象を引下げることも含めて、検討すべき案件が今後出てくるのではないかなという気がします。3回接種は、ワクチン製造会社しかメリットがないことを考えますと、承認担当部局も含めて、4月に間に合うように一層の迅速化をしていかないといけないのではないかという気はいたします。
それから、後で言うべきなのかもしれませんけれども、ワクチンの種類が増えるということは、国民の方々にとって分かりやすいものではないので、9価ワクチンの導入によって、子宮頸がん以外の予防もHPVワクチンの視野に入ってきている中で、よく分からないままに2価ワクチンの接種をされたという声も聞こえてきますし、4価ワクチンも含めて、定期接種の枠組みについて整理することも必要でしょうし、安全性だけでなく、今回の9価ワクチンの効果について、リーフレットで十分に説明する枠組みをつくっておくべきではないかと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。定期接種を進めることは賛成なのだけれども、今、伊藤先生から様々な御意見ございました。
これは、論点最後のところになりますけれども、4月に間に合うように2回接種できるように承認の過程を何とかするべきじゃないかと。
それから、2価ワクチン、4価ワクチンが定期接種で残っているところで、それをきちんと効果を含めてコミュニケーション、周知していくようなリーフレットなり何なり、どういう方法かということはありますけれども、するべきだといった御意見だったと思います。
坂元先生、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
先ほどの伊藤先生の御意見に賛成いたします。特に3回接種に関しては、接種回数が増えれば、副反応の機会も増えるということが1点と。それから、回数が増えれば、本人の利便性の点で問題があるという点と。回数が増えれば、我々市町村としての不要な出費が増えるという、この3点から、1日も早い2回接種の導入をお願いしたいということです。
それから、交互接種のところの医師に相談してという書きぶりですが、お医者さんに余り責任を押しつけるような書き方は、例えば後で副反応が出たとき、先生がいいと言ったじゃないかとか、こういう書きぶりもちょっと考えないと、お医者さんの中には、データが余りない中で、じゃ、自分に相談してと言われると、非常にためらう人がいるのではないかということです。原則としては同じワクチンで接種するが、ほかの国のように9価で完了することも可能である。そこにおいて、何か不安な点があれば医師に相談してくださいというぐらいにして、医師の判断に任せるという書きぶりにしてしまうと、多分困る先生がいると思いますので、その辺りの書きぶりを工夫していただきたいと思います。
なぜかというと、恐らく川俣委員のところも多分そうかと思うのですけれども、9価、いつ始まるのだという問合せが物すごく来て、非常に9価に期待している方が非常に多いということも踏まえて、医師に最終判断を任せるみたいな、そういう書きぶりは避けていただきたいというお願いでございます。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
川俣委員、お願いします。
○川俣委員 川俣です。
坂元先生がおっしゃるとおり、実は9価のワクチンができているのに、何で承認されないのだと議会でも質問してきた議員がいるぐらいなので、興味を持っている方がたくさんいます。ただ、今回のように、2回にするのか、3回にするのかで、コロナワクチンのほうも期間が5か月から3か月に途中で変わっているので、正直言って、今、そちらでも混乱しています。ですから、4月から最初から2回でオーケーですという判断をしてくれたほうが、本当はいいぐらいなのですが、承認が出ないうちはこちらも動けないので、坂元先生が前回おっしゃっていましたが、できたらその扱いを、厚労省を挙げて対応していただけるとありがたいのかなと思っています。
混乱してしまうのです。9価のワクチンを打って、2回目接種しました。6月ぐらいに承認が2回でいいとなった場合。3回目、打つのかとなりますね。その辺の混乱もあると思うので、してほしいのと。
先ほど坂元先生がおっしゃったように、担当のお医者さんのほうの負担が大きくなると、受け入れてくれる開業医の先生が減ってしまうので、その辺の書きぶりは、認めていますということをきちんと言っていただいて、相談はもちろんありますが、国として認めていますという言葉を入れていかないと、今回、小児のワクチンを打ちたくないという先生がコロナでも出ていますので、その辺の配慮をお願いしたいなと思います。よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。3回というスケジュールで2回打ってというのが、2か月間隔で打って2回というのが、2回のスケジュールと違うので、またさらに混乱するというところかもしれません。
釜萢委員、お願いします。
○釜萢委員 接種の回数を減らしても効果が十分期待できるということについては、なるべくそれを早く実現させるべきだろうと思いますが、一方で、薬事承認の手続というのは尊重しなければならないことだと私は思っておりますので、薬事承認の手続は独自性を持って、国民に対して安全な薬を提供するという点から、厳正に行われてしかるべきだろうと思います。ですから、薬事承認に対して、早く早くと言うことは、私はちょっと控えたいなと思っています。
2回接種が可能になるということは、大変歓迎すべきことであると思います。
それから、今後、対象年齢に達して、このHPVワクチンの接種を新たに受ける方と、既に積極的な接種勧奨を差し控えていた時期になかなか受けられなかった方に、キャッチアップ等で早くやるという対象とは、少し分けて考える必要があるだろうと思いますので、新たに対象になる方に対しては、今、申し上げたとおりなのですけれども、キャッチアップ接種の対象者に対しては、9価のワクチンの効果もしっかりお示しした上で選んでいただくということは、ぜひ必要だろうと思います。
また一方で、HPVワクチンの接種率は、対象の国民の年齢からすると、まだ決してそんなに高くはなっていないのです。上がってはきていますけれども、まだ受けておられない方が多いという現実を踏まえると、産婦人科学会あるいは医会からの指摘もあるように、接種できるワクチンをなるべく早く受けていただくということが極めて重要なので、これまで受けたワクチンと同様のワクチンでも大丈夫だから、早く受けるということも、この際、しっかりお伝えすべき内容だろうと思います。ですから、9価のワクチンの効果もさることながら、HPVワクチンのどのワクチンでも、対象者はなるべく早く受けていただく。特に、キャッチアップのチャンスというのは今年の4月から3年間しかないわけですから、そういう意味でしっかりやっていただくということが大事だろうと思います。
医師に説明をみんな求めるのは、現場の負担が大きいという坂元先生からの御指摘も大変心強く存じますが、相談を受けたときに説明できるように、接種担当医はしっかり準備してやらなければならないと私は思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
白井委員、お願いします。
○白井委員 枚方市の白井です。よろしくお願いします。
2価ワクチンと4価ワクチンが今、定期接種で、9価ワクチンをどうするかということになるのですけれども、年度内は2価と4価になるので、これも待たないで、今のうちに本当は打ってほしいなと思っているのですね。というのは、前の部会資料だと思うのですが、参考資料28ページに、HPVの16、18型というのは4価と2価に含まれていますけれども、2価は尖圭コンジローマが入っていないので、私は余りお勧めしたいとは思っていませんが、若い女性の前がん状態のHPVについては、16型と18型が主になっていますので、これが子宮頸がん予防としては子宮頸部切除や子宮摘出を避ける効果があるということをもっと言っていくべきではないかなと思いました。
9価になると、52とか58の型も入っていますが、これはどちらかというと、高齢とは言いませんけれども、年齢がいった方の日本の女性の子宮頸がんの死亡率に関係しているということも、産婦人科の先生などはお分かりだと思うのですけれども、ワクチンをできるだけ早く打つということについて、先ほどの釜萢先生のご意見に同意します。
あと、9価については、多くの先生と一緒ですけれども、3回ではなく、2回が標準になっていくように、私たちの意見としては出すべきだと思いますし、それは薬事、早くというような言い方になるかどうかですけれども、この部会としては、ちゃんと2回で定期にすべきという意見を出していいのではないかなと思っています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
川俣委員、どうぞ。
○川俣委員 9価の3回接種と2回接種の中で、3回やる場合は2か月後に打ちますね。その後にもう一度、6か月後に打つということで3回になっているので、4月に打ち始めた場合に2か月後ということは、6月ぐらいに2回を打つわけですね。承認されてきて、次に6か月後に打つという場合には、もしかしたら2回になっている場合があるのかなという感じもするのですが、そういう場合は、もう既に2回打っていたらオーケーということになるのですか。改めて3回打たなくてもいいことになるのか、分かればその辺を教えていただけるとありがたいかなと思います。お願いします。
○脇田部会長 ありがとうございます。
取りあえず、よろしいですか。最初、2つの論点ということで御意見をお願いしましたけれども、今、幅広く御意見いただいて、その中で、皆様からは2回接種をなるべく早くできるように取り組んでいただきたいということだけれども、一方で、薬事承認はしっかり独立してやっていただくべきだというお話がありました。
それから、2価ワクチン、4価ワクチンですね。まだ、9価が定期接種化になっていないので、打てる人はなるべく早く打ってほしいということもしっかり周知していくべきという御意見が多かったと思います。
それから、交互接種の医師と相談というところで、書きぶりを、医師の判断だけに頼ってしまうのはどうかという御意見もありました。大体、そういうところですかね。
川俣委員から御質問があったので、そこは事務局にお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。先生方、いろいろと御意見いただきまして、誠にありがとうございます。一個一個、お答えしたいと考えております。
まず、釜萢先生からもいただきましたが、2回接種についてでございます。本日の資料では、17ページを御覧いただきたいと存じます。まず、前回の部会との違いは、今、薬事承認に向けた申請中であるという情報をお出ししたところでございます。釜萢先生の御指摘ございましたが、こちらに関しては、添付文書がどうなるのかも含めて、あくまでも独立した審査を行っております。日本の承認プロセスというものは、厳格にやっているというところもございまして、これを拙速にというのはなかなか難しいと。
ただ、この審議会において御意見をいただくのは、全く問題ないかと考えております。というのも、2回をなぜ、今回、赤枠の中で御提案しているかといいますと、通常は承認されてからワクチン小委員会でファクトシートをつくって議論するという流れでございます。その後にこの基本方針部会という流れになるのが一般的です。ただ、今回は、ワクチン小委員会で既にファクトシートで2回接種が書かれております。そして、小委員会において、これは神谷先生、池田先生にもご参加いただき、御議論いただきましたが、既に議論は終わっていて、取りまとめもされているところです。そういうのもありまして、2回に関して承認されたら、すぐにこの部会で定期接種化について議論できるという流れはつくれると考えております。
そして、厚労省内でしっかりと早期の承認、定期化に向けたという御意見をいただいておりますが、もちろん承認に関しては先ほど申したとおりで、承認された後の定期化のプロセスというところにつきましては、これは我々のほうでちゃんとした議論をした上で、定期化できるようにしたいと考えております。この承認のプロセスは省内の別の部署になりますが、そことの連携等も含めてしっかりとやる。あとは、もちろん申請になりますので、企業のほうにも承認に向けた手続を踏まえてもらえるようにお願いしたり、そういう連携を取っていくことをしっかりとやっていきたいと考えております。
そして、最後の川俣先生の御質問ですが、まさに17ページの資料、点線内はあくまでも海外の参考であるとお伝えしておりますが、上と比べていただきますと、釜萢先生がおっしゃるとおりでございます。0、2、6で、今回、(2)の論点でお認めいただければ、4価と同じスケジュールになる予定でございます。
そして、下の9価2回を、海外では0、2、6でやっているというところでございますので、あくまでもイメージといたしましては、この2回目の2か月分の接種が要らなくなる可能性があるというところでございます。ただ、承認の時期がいつになるか分からないというところがございます。もちろん理想的には、先生方から御指摘いただいたように、4月の時点で9価が3回、定期接種になった時点で2回になる。これが一番理想の形。これは、我々としても十分認識しております。ですので、承認の時期に左右されますが、なるべく現場、特に対象者、そして自治体の皆様に混乱が生じないように、どうあるべきかというのをしっかりと整理してまいりたいと思っております。2回に関しては、取りあえず、そのような形で事務局のお答えとさせていただきたいと思っております。
脇田先生、まず、2回接種についてのお答えで一旦とめたいと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今、事務局のほうからお答えいただきました。それで、2回接種について、薬事承認の話になりますので、事務局からいつやれるようになれますということは、もちろん言えないところだと思いますけれども、事務局のほうからのお答えは、なるべく混乱が生じないようにやっていきたいというお話もありましたので、そこはこの基本方針部会の先生方の意見としてまとまれば、なるべく定期接種化に向けて、その2回接種というものを取り入れられるように努力してほしいといった意見でまとまるように思いますが、最後にまとめるところでそこはまとめたいと思います。
さらに、交互接種、キャッチアップは似たような論点にはなりますが、そこは対象者が違うということがありますから、別々に議論するわけですけれども、接種はなるべく同じワクチンで終了させるべきだという原則があるというところですけれども、2回目、3回目に最初と違うワクチンを使うことはできる。そこは、医師としっかり相談していただくといったところかと思います。
それから、2回接種について、今、かなり意見がありましたけれども、さらに残り3つの論点、交互接種、キャッチアップ、2回接種、もし、さらに委員の先生方から御意見があればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
宮入委員からお願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
こちらの交互接種、キャッチアップ接種、原則として同じものでやっていくという話を伺っておりますが、1点は、先ほど坂元先生から御指摘があったように、医師の責任にならないということが重要かなと思っております。
あと、原則として同じものでやっていくという話であれば、こちらについては、2価、4価のワクチンの供給状況がどうなっているのかということの確認と。
あとは、キャッチアップや交互接種に関してのエビデンスは少ないということですので、そこに関するモニタリングの在り方はどう考えていらっしゃるかということと。
あとは、2回接種になった場合に、例えば4価、9価の2回でも、それは満たすのかということについて、また教えていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。4価1回、9価1回で大丈夫かということだと思います。さっきのエビデンスのところにあったかなという気はしますが。
中山先生、お願いします。
○中山委員 ありがとうございます。
種類の問題なのですけれども、WHOの見解を見ていると、全て同じワクチンで接種するよう、あらゆる努力がなされるべきであると書いてあって、すごく厳しく読めるのですけれども、例えば自分の子供に打たせるほうの立場からすると、なるべく幅広く効く9価が選べるのだったら9価を望むという保護者が多いのではないかと思うのですね。だから、このWHOの見解というのは2017年ですから、もう結構古いので、今、見直しがされているのかどうか分かりませんけれども、こんなに強く言うべきなのかなという違和感を持ったので、その辺が何か分かることがあったら教えていただきたいことと。
種類もそうですけれども、回数も保護者としてはすごく気になるところだと思うので、子供の対象年齢がどこかによって、待たすのかどうするのか、多分すごく悩まれると思うので、本当に分かりやすいパンフレットとかを用意しないとなかなか難しいのではないかなと思います。とにかく早く打ったほうがいいというのであれば、とにかく今、打てるものを打つということを強く言わなければいけないし、もう少し待っても、幅広く効くものを打ったほうがいいというのだったら、そういうふうに持っていくべきでしょうし、その辺は決めて、保護者が安心して、これを打とうと決定できるような分かりやすいパンフレットをぜひつくっていただきたいと思いました。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 白井です。よろしくお願いします。
4価と9価について、先ほども言ったのですけれども、キャッチアップが交互でいいということになっても、例えば2回でいいということになったら、キャッチアップも要らないという人も出てくるのではないかと思うのです。その場合は、海外ではもう2価でも4価でも2回で済むという方法も取っています。
もちろん、年齢の低い段階で接種した方になると思うのですが、4価と9価の違いというのは、先ほどもちょっと申し上げたのですが、追加して言うと、できるだけ早く若い人に打ってほしいというのは、前がん状態の場合には、子宮の頸部を切除しないといけない。そうなると、妊孕性とか妊娠に関わるということが一番問題だと思うのですね。
9価になると死亡率は下がると思うのですが、それ以前に子供を持つということを考えて、子宮を切除しなくてもいいということを考えると、できるだけ早く若い人に打ってほしい。そういう意味で、4価はできるうちに打ってほしい。それで、4価で2回済んだ若い人については、もうキャッチアップは要らないと言ってもいいのではないかなと思っています。その辺は、医学的にというか、データも提示していただきたいなと思っておりますけれどもね。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。大体よろしいですか。
それでは、今、宮入先生、中山先生、白井先生から御意見がありました。
供給の問題ですね。2価、4価を進めていくのであれば、供給はどうか。これは厚労省にお伺いするというところと。
あと、モニタリングについても、交互接種の副反応のモニタリングを、どのような取組をするのかというところでしたね。
あと、4価、9価を1回ずつで2回接種となるかといったところ。
それから、中山先生のWHOの件で、「あらゆる努力」の「あらゆる」とはどういったものなのかというところですね。
また、繰返しの論点、これは中山先生、白井先生から、できるだけ早く打ったほうがよいというところなのか、中山先生は、9価のほうが効果が広いなら待っていたほうがよいのか。これは、白井先生から御意見があったとおりのところかもしれませんが。
というところで、特に追加の御意見なければ、事務局のほうからレスポンスいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。また、いろいろと御意見ありがとうございます。
大変重要な御意見いただいておりまして、まず、宮入先生の御質問でございます。2価、4価の供給状況に関しては、今年度からキャッチアップが始まっております。そして、積極勧奨が再開しているという中で、供給が困っているという情報は厚労省として把握してございません。そして、4価に関しては、昨年末だったと思いますが、メーカーのMSDからは、今年はもう400万本確保しているという形でいただいておりますので、2価、4価に関しましては、供給は潤沢にあるという理解でおります。
あと、モニタリングの在り方はすごく重要だと考えております。このような今回の御提案の交互接種、キャッチアップでの使用というものを認めるに当たっては、まさしく安全性がどうなのかというところがすごく重要だと思います。これは後ほど申し上げようと思っていたのですが、事務局としては、この9価を交互接種でもキャッチアップでも優先して、ぜひとも打ってくださいというのがなかなか言いにくい。その理由としては、WHOの見解にも絡みますが、十分なデータがないというのが一番の理由でございます。互換性に関するデータがない。これは、添付文書でも記載がございますし、もちろんWHOも言っている。海外でも、そこについて諸手を挙げて進めているところもないというところがございます。
その中で、今回のエビデンスを整理した中で、入手可能なエビデンスということでお示ししたものになっております。ですので、十分かと言われると、まだどうしても十分とは言えないという状況の中で、これは情報提供が重要だと思います。
また話が少しごっちゃになってしまいますが、リーフレットは副反応検討部会のほうで、HPVワクチンはこれまでかなりいろいろと御議論いただいてつくってきたものがございますので、9価に関しても副反応検討部会の場で先生方に御意見いただいて、これから9価の記載をどうするかというものをつくってまいります。この中で、交互接種、そしてキャッチアップでの使用の安全性の評価も、副反応検討部会での議論の論点に恐らくなると思われますし、情報提供の在り方、これは医師向け、医療機関向けのリーフレットをつくってございますので、そういったところで、今日の御議論の結論も含めて、どういった情報提供があるかということをしっかりと記載したいと考えております。
そして、医師の負担にならないようにと。まさにおっしゃるとおりでございます。まず、厚労省、そして自治体のリーフレットになりますが、こちらの情報に関しては、エビデンスが限られている中で、このような整理をする。原則は同じワクチン。ただ、希望があれば、接種はすることができる。ただ、接種するに当たっては、こうした安全性とか有効性についてのエビデンスが限られているという情報も含めて、現場で被接種者に情報が行くと、これが一番重要かなと思っています。その上でどうするのかというのを決めていただく。そこには、恐らく接種されるドクターの個人的な見解がもちろんあると思います。ですので、そういったところも含めて御判断いただくというのが、今回の整理を踏まえた今後のお願いになるかなと思っております。
2価と4価で2回がどうかというお話。そして、4価で打って9価で終わらせられるのかというお話がございましたが、実は2価と4価に関しては、2回接種で製造販売承認されておりません。ですので、恐らくキャッチアップも含めてですが、基本的には3回でというお話になるかなと思っております。9価に関しては、2回、今、審査中でございます。順調にいって承認されれば、9価に関しては2回で接種可能という形になりますが、2価と4価に関しては、なかなか難しいかなと思っております。もしやるとしたら、今回のようにエビデンスの整理。今回のエビデンスにも、4価を1回打って、9価を1回打つというエビデンスがございますが、それも限られてしまっておりますし、多分、そう数はないと考えておりますので、なかなか難しいのかなという気はいたします。
いただいた御質問、一応、一通りお答えしているつもりでございます。
○脇田部会長 分かりました。ありがとうございます。今、事務局のほうからいろいろとレスポンスをいただきました。ありがとうございます。
それでは、この9価のHPVワクチンの定期接種化に向けての議論ということで、今、議論していますけれども、5つの論点。さらに、そのほかのところでも、もし意見があれば、ここでいただいてと思いますが、いかがですか。
川俣委員、お願いします。
○川俣委員 すみません、その他なのですけれども、このワクチンは男性にも効果があると出ているじゃないですか。後々は男性のほうの承認も出てくるのでしょうか。大体、男性からうつる病気だと言われているのに、男性ではなく女性の受け身のほうが打つということ自体が、私の中では理解がかなり薄いのです。ですから、本当だったら菌を持っているほうを持たないようにしてもらうほうが正しいような気がするのですが、いかがなのか。そっちはもう進んでいるのかをちょっとお聞きしたいと思います。
○脇田部会長 川俣先生、どうもありがとうございます。その点について、委員の皆さんからさらに御意見ありますか。
坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
川俣委員、おっしゃるとおりだと思います。海外では男性にも接種しているということと、日本でも尖圭コンジローマを防ぐという意味で、男の子にも打たせている保護者が最近増えているということも聞いておりますので、こういうものの感染を抑えるためには、両方の性というものに対して将来的には考えていくというのは、私は妥当なお考えだと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございます。
白井委員、お願いします。
○白井委員 男性へのHPVワクチンの接種というのは、私も進めてほしいと思っているのですが、供給がどうなるかということの優先順位からすると、子宮を取ったり、死亡率に関わる女性のほうの発病を予防するということが優先されるのではないかなと思って、それは今、そういう立場になっているのかなと思います。
ただ、男性にも開放されたときに、実は男性のほうが優先して打ってしまうことになると、逆にジェンダーの問題がまた起こってくるかなという懸念もありますし、その辺、供給量と普及の仕方ということを丁寧に計画しながらやっていかないと。
あと、女性のほうは、性交渉の相手が変わるごとにHPVがうつるということがありますので、自分を守るといった立場では、今は女性を優先していただければと思っています。
○脇田部会長 ありがとうございます。
この点は御意見、さらにありますか。もしなければ、事務局に伺ってみたいと思いますが、男性への接種、定期化も含めてということだと思いますけれども、この点、今、どんな取組状況でしょうか。
○井本評価分析専門官 ありがとうございます。事務局でございます。
まさに非常に重要な論点でございまして、HPV、幸い1年前からここまで、9価の定期化を含めて、審議会の先生方に大変お世話になって進めてきた中で、今、メディアも、国民の皆様もすごく関心が高いのは男性の接種ということになります。そして、現状、どうしているかということに関しましては、8月のワクチン小委員会におきまして、男性へのHPVワクチンの接種についての議論を開始したところでございます。本日おられる神谷先生にかなり負担をおかけいたしまして、ファクトシートを作成いただいており、これが完成した後、小委員会での議論、論点整理等を含めて本格化していく予定でございます。
ちなみに、この資料の27ページですが、HPVワクチンの諸外国での使用状況をお示ししているのですけれども、よく見ていただくと、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの右の推奨される接種方法を見ていただくと、全て「男女」と書いてあります。ですので、こういった国々では、女児と同じ年齢で定期のプログラムとして男性への接種が行われているということになりますので、我が国でどういった議論になるかはこれからでございますけれども、こういったことも参考にと。
そして、さらに申しますと、まず日本で、前回、小委員会でこの議論が始まったときに、現在、製造販売承認されているのが4価のワクチンで男女でございますが、適用が肛門がんになっております。今、関心が高いのは、特にHPV関連の咽頭がんですが、そちらに関する適用はまだ取れていないのですが、それも含めて広くエビデンスとして整理していただいているという状況がございます。
そして、供給に関してですけれども、すごく重要な観点でおっしゃっていただいたのですが、こちらはWHOがたしか今年、ポジションペーパー、ステートメントを出しているのですが、今、主流になっている4価、9価は1社が製造しているということもありまして、需要が逼迫しているという状況がございます。だんだん解消されているということでしたが、今の段階では、WHOとしては、まず女の子の予防を優先すると。供給の懸念がなくなったところにおいては、男性に対してのしっかりとした接種という形で、今は女性、女の子の接種が優先されているという現状がございます。
ただ、これはあくまで供給の観点でございますので、今後、また解消されていく可能性もございます。以上が、男性接種に関する現状のお話でございます。日本においては、まさに議論が始まったばかりというところでございます。
事務局から以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
今日の論点、男性ということではなかったと思いますが、話題に出ましたので、ちょっと伺いたいと思います。私の理解では、今、事務局がおっしゃったように、例えば経済性、費用対効果の観点を考えると、女性の接種率を上げるほうが男性の接種率を上げるよりも、全体としての疾病の予防とか費用対効果の観点からはよいということで、恐らく優先順位がそのように決められているのだと思います。
ただ、私の理解だと、これは基本的に男性への接種も2回接種ということで議論がされていると理解しています。日本で男性の接種承認のほうは、これは2回になっているのですか。3回になっているのでしょうか。3回だとしたら、そこは男性、2回接種でという方向での検討も必要かと思うのですが、いかがでございましょうか。
○脇田部会長 ありがとうございます。今、承認されているのが4価ですね。そこで、2回か3回かということですね。
神谷先生、どうぞ。
○神谷委員 ありがとうございます。感染研の神谷です。
僕も男性のことの関係ですけれども、結局、3回と2回というのも、薬事のメーカーのほうのスケジュールによって、かなり混乱を来しているということで、恐らく男性のこともすぐそういう話になってくると思われます。今、4価では打てて、2価では打てない。これでキャッチアップも含めて9価が入ってくるとなると、また複雑な状況がずっと続くと思いますので、この混乱が生じないように、できるだけ早く9価の男性に関する薬事承認を進めるように、厚労省のほうからも強く進めていただきたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今、池田先生、神谷先生から御意見ありました。事務局から何かレスポンスございますか。
○井本評価分析専門官 ありがとうございます。
池田先生、おっしゃっていただいた4価でどうかという話ですが、4価も男性に承認されているのは3回接種での承認となっております。そして、神谷先生からお話しいただいた9価、男性も含めてというお話ですが、今、厚労省としてお話しできるのは、たしか2回ぐらい前の小委員会だと思うのですが、MSD社から参考人にお越しいただいて、お話しいただいたときに、男性に関しては、今、開発中であるということですが、治験が2回接種に比べると、まだもう少し時間がかかるという回答ではございました。
ただ、今まさに男性の接種の議論をしておりますし、ニーズもどんどん高まっているという現状もございますので、こちらに関しても、メーカー側と在り方について、しっかりとお話ししていきたいと考えております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今、男性への接種に関する論点で委員の皆様から御意見いただいて、事務局からもレスポンスをいただいたところです。承認申請に当たって治験が必要ということなのですけれども、海外では既に承認されて接種が進んでいるという状況もありますので、そこを簡略化とは言えないのだけれども、なるべく早く進めていただくような取組というのを、ぜひ進めてほしいというのが、多分、委員の皆さんの御意見だったと思いますので、事務局の皆様もぜひよろしくお願いしますというところでございます。
さて、論点に戻りまして、今回の定期接種化に向けての論点で、皆様から大体御意見をいただいたと思いますので、そろそろまとめていきたいと思いますが、さらにここで追加ということがあれば伺いますが、大丈夫ですか。一個一個とまではいかないですけれども、それでは論点について、皆さんに認めていただけるかどうか、お諮りしたいと思います。
まず、9価のHPVワクチンの定期接種の具体的な開始時期は、来年度の開始からメーカーから安定的な供給が可能であるということで、令和5年4月から定期接種を開始することに向けて準備するということでよろしいでしょうかというのが最初のポイントです。ありがとうございます。
その次に、接種方法と標準的な接種期間なのですけれども、最後の2回接種とも絡むので、この2つを一緒にお諮りしたいと思いますけれども、9価のワクチンの添付文書における記載が4価のワクチンと同様であることから、予防接種法上の定期接種における9価のワクチンの取扱いについては、4価のワクチンと同様とするということですが、これは3回接種で接種期間は0、2、6というのが標準というところですが、2回接種が、今、承認接種が行われていて、それが定期接種においても2回の接種で始めるべきではないかというのが、委員の先生方からの御意見だったと思うのですね。
ですから、今日は当面、4価と同様の取扱いにするのだけれども、定期接種に向けては、その2回の接種を導入することをぜひ努力してほしいというところを申し上げて、ここはこれでよろしいでしょうかという形でございますが、いかがでしょうか。ありがとうございます。
それから、交互接種ですね。2価ワクチン、4価ワクチンと、それから9価ワクチンの交互接種についてです。これは、海外の事例もありました。それで、同じ種類のワクチンで接種を完了することを原則としつつも、2価または4価のHPVワクチンが完了していない者は、医師とよく相談の上で9価のHPVワクチンを接種することができるとしてよいでしょうかということですけれども、先生方の御意見は、医師の判断だけに委ねられないように、医師の負担がなるべく軽減できるよう、そこはリーフレットの書き方等、工夫してほしいという御意見がございましたので、それは事務局で検討していただくということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
キャッチアップにおける9価のワクチンの取扱いですけれども、これも交互接種等と同様に、原則は同じ種類のワクチンで行う。ただ、キャッチアップにおいても、3回のうち、残りの接種が2価または4価のワクチンが未完了の者は、医師とよく相談の上で9価のワクチンを接種することができるということで、こちらも医師の判断だけにということではなく、リーフレット等の書き方をきちんと工夫してくださいという御意見があったというところでお認めいただけますでしょうか。ありがとうございました。
○神谷委員 脇田先生、申し訳ありません。さっき言うタイミングがなくてコメントできなかったので、決まってしまう前に事務局のほうに少し確認しておきたいのですけれども、同じ種類のHPVワクチンで接種を完了するということだったのですけれども、例えばアメリカなんかですと、9価が入った途端に2価の使用が減って、あっという間に撤退してしまっているのですね。なので、打てるようにするとアメリカのレコメンデーションもそう書いてあるのですけれども、実質上、市場に出回っていないという状況があって、その中には全部同じもので終わらせたいという方たちもいると思うのですが、流通が減ってもちゃんと入手できるようになっているとか、その辺は確保できているのでしょうか。
○脇田部会長 ごめんなさい。そこは、先ほど宮入先生からもあったところです。もう一回確認しましょう。
それから、坂元先生、お願いします。
○坂元委員 具体的なことなのですが、市町村として準備等があります。4月から開始というと、4月1日と4月の一番最後の日までの幅があるので、4月開始というのは、接種主体の市町村としては、4月1日開始という具体的な日にち的な解釈でよろしいのか、その1点だけお伺いしたいと思います。
○脇田部会長 ありがとうございます。
それでは、今、神谷委員、坂元委員から御質問がありました。その点、いかがでしょうか。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。
まず、神谷先生の御指摘でございますが、先ほどお話しさせていただいたように、2価、4価、本年度に関しては、供給は潤沢であると。そして、御懸念のとおり、2価は今回、勧奨再開ということと、キャッチアップにおいて、もともと需要は少ないだろうという見込みはありつつも、メーカーはGSK社ですが、GSK社のほうには、必要と思われる供給量を確保していただいているところでございます。
ただ、9価定期化に当たって、どのようにしていくか。すぐに撤退するとか、そういう形は今のところは想定しておりませんが、一般的に定期化のワクチンは、そういった形で供給に混乱がないように、厚労省とメーカーとやり取りするものでございますので、その中でしっかりと連携を取ってまいりたいと考えております。
そして、坂元先生のご質問についてですが、4月1日で考えておりまして、資料の19ページの施行というのが4月1日としております。基本的に、これまでどのワクチンも、4月開始、10月開始、ワクチンによっては定期化の時期がいろいろございましたが、基本的には1日からの開始ということで御認識いただければと思っております。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そうしたら、最後にこれをまとめる前に、もしさらに追加の御意見等があれば。いかがですか。大丈夫でしょうか。
それでは、今日の基本方針部会の結論としましては、9価のHPVワクチンについては、来年度、定期接種化で、開始時期が4月1日というお話が今ありました。
それから、定期接種の接種方法と標準的な接種期間については、4価ワクチンと同様の取扱い。
それから、交互接種、キャッチアップ接種におけるHPVワクチンの使い方は、原則は同じワクチンで3回の接種を完了するとしつつも、被接種者の希望に応じて、9価ワクチンの使用については、医師と相談の上で可能とする。
それから、2回接種については、承認後に速やかにこの審議会で定期接種化に向けた議論を開始することということであります。
さらに、委員の先生方からの御意見については、事務局に御意見として申し上げておくというところだと思います。2回接種を定期接種に向けて導入後、努力してくださいということと、交互接種、キャッチアップを医師の負担にならないようにしてくださいということであります。
それでは、以上については、これを承認いただいたということで、結論としたいと思います。ありがとうございました。
それでは、事務局におかれましては、この結論を踏まえた上で必要な事務手続に入っていただいて、2回接種についてとそのほかの論点については、今後の審議会において論点整理をまたお願いしたいと思っております。
それでは、1番目は以上ですけれども、2番目「その他」ですけれども、これは事務局、何かございますか。
○井本評価分析専門官 事務局でございます。
本日の議題といたしましては、この9価のHPVワクチンのみとなっておりますので、その他、御議論いただく点は想定してございません。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、この会議は以上にさせていただきます。
次回の開催はどうなりますか。
○大塚室長補佐 次回の開催ですけれども、追って御連絡させていただきたいと思います。
以上でございます。
○脇田部会長 それでは、委員の先生方、今日も活発に議論していただきまして、ありがとうございました。
また次回、よろしくお願いします。ありがとうございました。