- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会 >
- 第7回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(議事録)
第7回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会(議事録)
1 日時
令和4年1月14日(金)10時00分~12時04分
2 場所
三田共用会議所 講堂
(東京都港区三田2-1-8)
(東京都港区三田2-1-8)
3 出席委員
- 公益代表委員
-
- 東京医科大学公衆衛生学分野講師 小田切優子
- 筑波大学ビジネスサイエンス系教授 川田琢之
- 東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授 寺田一薫
- 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授 藤村博之
- 慶應義塾大学法務研究科教授 両角道代
- 労働者代表委員
-
- 日本私鉄労働組合総連合会中央副執行委員長 池之谷潤
- 全国交通運輸労働組合総連合軌道・バス部会事務局長 鎌田佳伸
- 全国交通運輸労働組合総連合トラック部会事務局長 貫正和
- 日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長 久松勇治
- 全国自動車交通労働組合連合会書記長 松永次央
- 全日本運輸産業労働組合連合会中央副執行委員長 世永正伸
- 使用者代表委員
-
- 東武バスウエスト株式会社取締役社長 金井応季
- 京成バス株式会社代表取締役社長 齋藤隆
- 西新井相互自動車株式会社代表取締役社長 清水始
- 昭栄自動車株式会社代表取締役 武居利春
- 公益社団法人全日本トラック協会副会長、松浦通運株式会社代表取締役 馬渡雅敏
4 議題
(1)自動車運転者の労働時間等に係る調査結果のご報告について
(2)改善基準告示の見直しについて
(3)その他
(2)改善基準告示の見直しについて
(3)その他
5 議事
- 議事内容
- ○中央労働基準監察監督官 定刻になりましたので、ただいまから、第7回自動車運転者労働時間等専門委員会を開催します。本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則として報道関係者のみの傍聴とさせていただいており、更に傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、会場備え付けの消毒液の御利用を始め、マスクの御着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願い申し上げます。なお、換気のために常時扉を開けさせていただきますので、あらかじめ御承知置きください。
本日の委員の出欠状況ですが、1月4日付けで赤間委員が退任され、日本通運株式会社執行役員の加藤委員が就任されました。本日は御欠席となりますので、御承知おきください。また、首藤委員も御欠席となりますが、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。国土交通省からオブザーバーとして、自動車局安全政策課の谷合課長に御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
続きまして、お配りした資料の確認をさせていただきます。資料1、資料2、資料3、資料4、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4を確認いただきますようお願いいたします。
それでは、カメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。これ以降の進行は藤村委員長にお願いします。よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 皆さん、おはようございます。委員長の藤村でございます。年が改まりまして、いよいよ改善基準告示の見直しを詰めていくという時期になってきております。本日も、労使双方から真摯な御意見を頂きまして、議論をしていきたいと思います。
まず、議題1、自動車運転者の労働時間等に係る調査結果の報告についてです。事務局から資料1,資料2の御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 資料1を御覧ください。「令和3年度のトラック実態調査について」です。改善基準告示の見直しを行うに当たって、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う物流の変化を考慮した上で検討したいということで、令和3年度にトラックの実態調査を追加で実施いたしました。
また、令和2年度調査で回答いただいた257の事業者と自動車運転者の追跡調査も併せて実施いたしまして、令和2年度と令和3年度の拘束時間等の変化について、参考資料1の青い冊子に報告書として取りまとめております。この冊子の第2章が、令和3年度の調査全体、第3章が、令和2年度調査と令和3年度調査の追加調査という形でまとめられております。
令和3年度の実態調査の実施時期は10月で、対象期間は令和3年3月から令和3年9月までとしています。
1ページの下に参考ということで表がありますが、昨年度は705事業場に対して調査をいたしました。令和3年度は、その倍の1,410事業場に対して調査をしております。回答率としては、事業者調査は30.3%、自動車運転者は20.2%ということで、ほぼ令和2年度と同じぐらいの率になっております。
3ページを御覧ください。ここからが令和2年度と令和3年度の比較です。回答数の関係から、追加のみなく、令和2年度のトラック調査全体と、令和3年度のトラック調査全体の比較とさせていただいておりますので、御留意いただきたいと思います。
まず、1年の拘束時間について、「3,300時間以上」と回答した事業者の割合は、令和2年度の調査と比べて全体としては減少しております。「3,516時間超」と回答した事業者の割合も減少しております。規模別、地域別、発荷主別等がありますが、規模別では、3,516時間超の割合は「車両20台以下」、「車両51台以上」で増加しております。地域別では、「3,516時間超」の割合は、北海道、関東、近畿で増加しております。4ページです。発荷別で見ると、「3,516時間超」の割合は元請の運送事業者、紙・パルプ、飲料・食料品の製造業の関係で増加しています。車種別では、「3,516時間超」の割合は小型トラック、中型トラック、トレーラーで増加しているという状況です。
5ページを御覧ください。1か月の拘束時間の状況です。繁忙期の1か月の拘束時間について調査したものです。「275時間以上」、つまり3,300時間を単純に12で割った数ですが、「275時間以上」と回答した事業者の割合は、令和2年度調査と比べて全体として減少しております。現在の基準である「293時間超」と回答した事業者の割合も減少しております。規模別、地域別等、それぞれ個別には増えた所もございますが、ここでは割愛させていただきます。
7ページを御覧ください。法定休日労働の回数についてです。これも繁忙期の状況について取ったものです。1か月の法定休日労働の回数について、「1回以上」と回答した事業者の割合は、令和2年度調査に比べて、全体として減少しております。「3回以上」の割合も減少しております。
9ページを御覧ください。繁忙期の1日の拘束時間です。現在、原則「13時間超」、最大「16時間超」ということになっております。「13時間超」と回答した事業者の割合は、令和2年度調査に比べて減少しております。「16時間超」と回答した事業者の割合も減少しております。
11ページを御覧ください。ここは自動車運転者に確認した事項で、1日の休息時間についてです。現在、1日の休息期間というのは継続8時間以上です。「8時間以下」と回答した自動車運転者の割合は、令和2年度調査に比べて全体としては減少しています。逆に、「10時間超~11時間以下」、「11時間超」の割合は、いずれも増加となっております。このページの下に、令和3年度調査と令和2年度調査の休息期間と睡眠時間の関係の表を載せておりますが、いずれも休息期間が短くなればなるほど、睡眠時間が減っていくという傾向は概ね同じとなっております。
12ページを御覧ください。運転時間についてです。繁忙期ですが、1日の運転時間について「8時間超」と回答した事業者の割合は、令和2年度調査に比べて、全体としては減少しております。「9時間超」と回答した事業者の割合も減少しております。
14ページを御覧ください。連続の運転時間についてです。現在、4時間以内が原則となっております。繁忙期の連続運転時間について、「3時間超」と回答した事業者の割合は、令和2年度調査に比べて全体としては減少しております。「4時間超」と回答した割合も減少となっております。特に、地域別では、「3時間超」、「4時間超」の割合が、四国は増加している状況です。
16ページを御覧ください。特例の関係です。「休息期間分割特例」、「隔日勤務の特例」、「2人乗務の特例」、「フェリー乗船の特例」というものが、バスとトラックにはございます。いずれも令和2年度に比べて、令和3年度の率が減っております。以上です。
続いて、資料2について御説明いたします。こちらは委託業者の日立物流様に説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○日立物流 自動車運転者の疲労度の医学的な調査に関する事業について、御報告いたします。日立物流の秋山でございます。よろしくお願いいたします。
本調査事業の背景と目的については、上段に記載のとおりです。昨年度に引き続き、本調査事業を実施いたしました。被験者の人数と平均年齢については、下記に記載のとおりです。タクシー、トラック、バスの各業態から、合計10事業所、36人の自動車運転者を対象に実施いたしました。また、各業態の中でも、運行方法によって拘束時間や運転実態も異なりますので、内訳として、タクシー事業者2事業所、トラック事業者では事業所を出発し、2泊3日や3泊4日といった宿泊を伴う運行を行った後に事業所へ戻る長距離運行の事業所を2事業所、また、事業所を出発した後、当日中に事業所へ戻るルート配送の事業所を2事業所、バスでは乗合バスと貸切バスで、それぞれ2事業所ずつを対象といたしました。
次のページを御覧ください。測定項目及び測定機器です。各種測定は、運行業務前後、運行中、そして、調査期間中の常時測定する項目があり、業務前後では自律神経を測定し、客観疲労度のほかに、タブレットを用いたアンケート、問診による主観疲労度を測定いたしました。また、運行中は心拍センサーを用いて、運行前後と同様に客観疲労度を測定いたしました。
疲労度の評価方法について御説明いたします。本調査では、被験者の負担が少なく何度も測定できることから、客観値である自律神経機能指標(TP偏差値・LF/HF値)と、主観指標(元気度)を測定し、疲労度を評価いたしました。
次のページにお移りください。今、お話しましたTP偏差値・LF/HF値、元気度について御説明いたします。TP偏差値は、疲労蓄積の指標で、値が低いほうが疲労の蓄積が増加していることを示しております。また、LF/HF値は急性疲労の指標で、値が高いほうが急性疲労が増加していることを示しております。元気度は主観疲労の指標で、値が低いほうが主観疲労が増加していることを示しています。以降、統計解析結果について御説明いたします。
はじめに、トラックについて、1運行の拘束時間に関してです。下段のグラフにあるように、1運行の拘束時間が長くなると急性疲労の増加傾向が見られ、1運行の拘束時間が長くなると疲労が強まる可能性があることが観察されました。
次のページを御覧ください。業務間の休息時間と急性疲労については、負の関係が見られ、業務間の休息時間の長さと疲労の関連が見られます。運転時間については、連続運転時間が長くなると疲労蓄積の増加傾向、急性疲労の増加傾向が見られ、連続運転時間が長くなると疲労が強まる可能性があることが観察されました。運転時間については、運転時間が長くなると疲労蓄積の増加傾向が見られ、運転時間が長くなると疲労が強まる可能性があることが示唆されました。
次にバスについてです。1運行の拘束時間に関してです。1運行の拘束時間が長くなると、主観疲労の増加が見られ、1運行の拘束時間が長くなると疲労が強まる可能性があることが示唆されました。業務間の休息時間の長さと疲労蓄積、急性疲労については負の関係が見られ、業務間の休息時間の長さと疲労の関連が見られることが観察されました。連続運転時間については、トラックと同様に、連続運転時間が長くなると疲労蓄積の増加傾向、急性疲労の増加傾向が見られ、連続運転時間が長くなると疲労が強まる可能性があることが観察されました。運転時間については、運転時間が長くなると主観疲労の蓄積の増加傾向が見られ、運転時間が長くなると疲労感が強まる可能性があることが示唆されました。
タクシーについてです。日勤のみに絞りますと、1運行の拘束時間が長くなると急性疲労の増加傾向が見られ、1運行の拘束時間が長くなると疲労が強まる可能性があることが見られました。日勤、隔勤に対象を広げると、1運行の拘束時間が長くなると主観疲労の増加傾向が見られ、1運行の拘束時間が長くなると疲労が強まる可能性があることが示唆されました。報告は以上です。
○藤村委員長 ありがとうございました。ただいま事務局からあった説明について、御質問、御意見があればお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、次の議題に移ります。議題2、改善基準告示の見直しについてです。事務局から御説明をお願いいたします。
○過重労働特別対策室長 資料3「業態別作業部会の検討状況について」を御用意ください。まず、ハイヤーから説明いたします。
ハイヤー・タクシー作業部会では、10月8日に事務局案を提出し、10月29日の専門委員会、11月24日の作業部会で御議論していただきました。現在の状況を説明させていただきます。
まず、1ページ拘束時間についてです。案として事務局が提示したものは、日勤は1か月の拘束時間が288時間、現行は299時間ですので、月に11時間短縮した案です。隔勤は1か月の拘束時間は262時間、地域的事情等がある場合、労使協定を締結し、年6回270時間まで延長できる。これは現行どおりとしております。その下の欄が労使の御意見です。
日勤については、使側から、「1か月の拘束時間288時間」については、「1か月当たり11時間、年でいくと132時間の短縮となっており、過労死防止を踏まえた見直しと考えている」という御意見がありました。また、労側から、「288時間という提案は単独で見ると過労死防止のメッセージは低いけれども、1日の休息時間と拘束時間を併せて考えた場合、総合的にはこれでいいのではないか」という御意見でした。また、隔勤については、労側からは、「現行、もともと262時間と短い勤務となっているので、現行どおりで受け入れられる」という御意見がありました。
次に、2ページ拘束時間と休息時間です。案と追加案がございます。青色の字と赤色の字が混在しておりますが、青色の字は、一番最初に私どもが案として提示させていただいた部分です。赤色は、その後の御議論を踏まえて変更した部分です。「追加案」という記載もありますが、これは、御議論を踏まえて、案のほかにもう一つ案を追加しまして、両論併記とさせていただいた上で御議論をお願いしたという意味です。4ページには「修正案」というものがありますが、これは両論併記ではなくて、御議論を踏まえて最初の事務局案を修正したということで考えていただければ結構です。
2ページに戻って、拘束時間と休息期間について説明いたします。最初の事務局案は、日勤の休息期間は11時間、週3回まで9時間というものです。また、1日の拘束時間は13時間、週3回まで15時間というものです。そして、隔勤については現行どおりという案です。一方、追加案ということで示させていただいたものは、日勤の休息期間は9時間以上、11時間以上とするよう努めること。1日の拘束時間については13時間で最大15時間。ただし、2日以上連続して14時間を超えてはならない。というものです。なお、隔勤については現行どおりとしております。
これに対する労使の御意見です。日勤については、労側からは、「休息期間は11時間を前提に議論すべき。努力義務にする考え方は受け入れられない」という御意見がありました。使側からは、「休息期間は3業態でそろえたい。事業者も総拘束時間を短縮するので、必然的に1日の休息期間は9時間もしくは11時間に近い数字となる。休息期間の9時間は妥当な数字と考える」という御意見があり、さらに「拘束期間の連続禁止というのは運用しづらいので外すべきではないか」という御意見もありました。
次に、隔勤については、労側から、「隔勤は体への負担が大きいので、休息期間を24時間に見直したい」という御意見がありました。使側からは、「隔勤の休息期間が現状維持であれば、拘束時間も現行どおりで変わらずに考えればいいのではないか」という御意見がありました。
3ページを御覧ください。車庫待ち等です。ここは最初の案から変更はありません。日勤について、車庫待ちは、1か月の拘束時間288時間、現行は299時間ですので11時間の短縮です。そして、労使協定を締結した場合には300時間。現行は322時間ですので22時間の短縮です。300時間は、時間外・休日労働が105時間になると想定されますが、もともと車庫待ち等は過重性が薄い形態なので、この水準で問題ないだろうということです。そして、隔勤の車庫待ちは、現行、一定の条件を満たせば20時間を超えて時間を延長できるという規定になっておりますが、これを10時間に見直すという案を提示しております。それ以外については、変更はありません。
これに対する労使の御意見です。労側からは、「車庫待ち等の時間は、事務局案のとおりで問題ない。ただし、車庫待ち等の定義が判然としないので、定義を考えていただきたい」という御意見がありました。使側からは、「車庫待ち等は制度としては残す。時間は事務局案のとおりで問題ない」という御意見がありました。定義については、次回の作業部会でお示ししたいと考えております。
次にハイヤーです。ハイヤーについては、現行、黒い字で書いてある時間外労働の基準のみがハイヤーの基準となっています。事務局の修正案については、労働基準法の時間外労働の上限規制が定まりましたので、まず、それをしっかりと告示に入れていくということで、月45時間、年360時間、臨時的な事情がある場合には960時間を遵守しましょうとして、更に、労働基準法の改正に伴い、36協定の指針も変わりましたので、その趣旨を加えるということで、時間外・休日労働を短くするよう努める必要がある。とさせていただいております。また、御議論を踏まえて、休息期間について触れるということで、自動車運転者の疲労回復を図る観点から、一定の睡眠時間を確保できるよう、必要な休息期間を確保することとさせていただいております。
これについて、公労使の御意見がございます。労側からは、「ハイヤーについては、お客様の要望に応じた対応が必要である。休息期間の時間を具体的に定めると、運用面で難しさがあるので、事務局案が妥当ではないか」との御意見がありました。使側も同様に、「事務局案についてはハイヤーの特殊性を踏まえた見直しになっているので、これで評価したい」という御意見でした。また、公益委員からは、「ハイヤーも令和6年4月以降、年950時間の上限規制がかかる。特殊な業務形態であることは理解するけれども、労働時間は適正に把握いただくよう御留意いただきたい」という御意見がありました。
5ページを御覧ください。「その他について」です。修正案です。休日労働については2週間に1回ということで、現行どおりとしています。新たな考え方として、「予期しえない事象」ということを盛り込んでおります。事故、故障、災害等、走行しているときに、その発生を予測することができない事象に遭遇した場合には、場合によっては一定の遅延が生じてしまう。その場合は客観的な記録が認められる場合に限って、その対応に要した時間を拘束時間に含めないことができるという提案をさせていただいております。さらにこの場合、拘束時間に含めないことができる時間の上限を設けることとする。このような案を提示させていただいております。
具体的な事象の例ですが、あくまでも限定列挙ということを考えており、人為によらない天災のようなものを想定しております。運転中の故障、運転中のフェリーの欠航、運転中の災害や事故の発生に伴う道路の封鎖、道路の渋滞、運転中に発生した異常気象で停車しなくてはいけない場合。このような場合です。更に、現在、トラックについては大規模災害に伴う緊急輸送、緊急通行車両等について、一定の条件を付して告示を適用除外としておりますが、これにバスとタクシーも含めるということも考えております。
労使の意見です。まず使側ですが、「予期しない事象の中に、お客様による都合を含めてもらいたい。道路運送法で運送の引受義務が定められているからだ」という御意見がありました。労側からは、「予期しえない事象は事務局案が妥当だ。乗客の都合等、曖昧な理由は例外に含めるべきではない」という御意見がありました。
次に、バス作業部会の状況をご説明します。こちらについては、10月8日に事務局案を提示させていただき、29日の専門委員会、12月9日のバス作業部会で議論を重ねてきました。その状況を説明いたします。
一番大きいのは、バスの拘束時間については、今まで4週平均1週の拘束時間という考え方をとっていたのですが、使側から、労務管理との整合性を考えて、1か月の拘束時間を新たに取り入れたいという要望があり、1か月の拘束時間の案を事務局案として提示しています。しかしながら、このまま4週平均で管理したいという会社も一定程度存在する可能性があるので、それも残していただきたいということで、4週平均で管理する場合の案も提示しています。
5ページです。まず、1か月の拘束時間ですが、年3,300時間を超えない範囲で281時間、貸切バス・高速バス・乗合バスについては、労使協定を締結し、年3,400時間を超えない範囲で、年6回294時間まで延長できるとしています。294時間というのは、時間外・休日労働が99時間というラインです。
4週平均については、年3,300時間を超えない範囲で65時間、これは月換算すると281時間相当です。65時間というのは、現在の基準と同じなわけですが、年間換算すると3,380時間に相当するわけであり、それを年間で3,300時間に抑えようというような考え方です。また、貸切バス・高速バス・乗合バスについては、労使協定を締結して、年3,400時間を超えない範囲で、年52週のうち26週まで4週平均1週67時間まで延長できるとしています。現在は、4週平均1週71.5時間まで延長できることになっていますが、ここは短くしております。また、労使協定を締結した場合の年換算は、今現在で3,484時間ですので、3,400時間というのは84時間減少させるということです。
公労使の御意見です。使側からは、「事務局案の1か月の拘束時間は理解する。ただし、4週平均1週の拘束時間は、52週のうち24週まで、1週平均68時間15分と見直したほうが実用的ではないか。それから、年6回の連続性は規制すべきでなく、労使が協定して決める事項ではないか」という御意見がありました。労側からは、「事務局案を評価する。ただし、一定程度、連続する回数は制限したほうが良いのではないか」という御意見がありました。公益委員からは、「過重労働防止の観点から、特例の年6回や52週のうち26週について、上限まで連続することのないよう、何かしらの制限が必要ではないか」という御意見がありました。
7ページです。1日の拘束時間と休息期間については、タクシーと同じ案と追加案ですので、説明は割愛させていただきまして、労使の御意見のみを説明させていただきます。
労側から、「追加案では、休息期間11時間が義務づけられておらず、運転者の疲労が十分に回復するのか心配だ。EUと同様に、休息期間は原則11時間、例えば週3回9時間と見直せばいいのではないか」という御意見がありました。使側からは、「休息期間を11時間に見直された場合、交通需要に対応できない。追加案は、一定程度理解できるけれども、11時間以上とするよう努めることではなく、11時間確保するよう努めることとしていただきたい。また、2日以上連続して14時間を超えてはならないという規制は、実務には向かない」という御意見がありました。
続いて、8ページ運転時間、連続運転時間です。これはバスとトラックのみにある規定です。バスについての修正案です。運転時間は2日平均9時間、4週平均1週40時間は、現在と変わらずです。また、現在は、貸切バス・高速バスについては、労使協定があるときは、運転時間が52週について2,080時間を超えない範囲で、16週、4週平均1週44時間まで延長可ということですが、これに乗合バスも加えました。次に、連続運転時間ですが、これは4時間で、現在と変更なしです。ただし、高速バスと貸切バスの高速道路における連続運転時間は、概ね2時間までとするよう努めることという規定を新たに加える案としています。
公労使の意見です。公益委員からは、国交省の規定の、「バスの交替運転者の配置基準で連続運転時間が概ね2時間と定められている以上、改善基準告示の連続運転時間が4時間で良いのか改めて検討が必要ではないか」という御意見がありました。使側からは、「労務管理の負担軽減の観点から、拘束時間管理と運転時間の管理は単位を統一してはどうか。運転時間にも4週平均ではなく、1か月単位の規制が必要と考える。その場合は、1か月は177時間、延長特例は193時間。また、修正案では、交替運転者の配置基準の内容を改善基準告示に記載することとしているが、告示と性質が異なるので改善基準に記載すべきではないし、案は交替運転手の配置基準より厳しい内容になっている」という御意見がありました。労側からは、「修正案の内容で整理できると考えるけれども、使用者側が交替運転者の配置の内容をそのまま記載すべきということであれば、記載する方向で見直してはどうか」という御意見がありました。
9ページを御覧ください。特例についてです。分割休息、2人乗務、隔日勤務、フェリー、休日労働です。分割休息特例の案は、勤務終了後の休息について、今は8時間ですが「9時間以上の休息を与えることが困難な場合には」と変更しております。また、9時間にした関係から、分割された場合の休息は、1日において継続4時間30分以上、合計11時間以上とすることとしています。2人乗務特例の案ですが、車両内で身体を伸ばして休息することができる設備がある場合、1日の最大拘束時間、現在は20時間ですが、19時間まで延長することができる。休息期間については、現在は4時間ですが、5時間までとするというものです。隔日勤務の特例は現行どおりとしています。フェリー特例については、フェリー乗船時間のうち2時間まで拘束期間としておりましたが、これをトラックと同様に原則として全部休息期間として取り扱うというものです。
労使の意見です。使側からは、「分割休息特例は現行どおりとしていただきたい。2人乗務特例は、改めて数字を検討したいけれども、例えば、貸切バスでは、甲子園出場の学生の輸送など、お客様の都合で到着・出発の時間を調整しなければならないので、現行どおりのほうが妥当だ」という御意見がありました。労側からは、「分割休息特例は、休息期間が原則9時間であると誤解しないよう、書き方を工夫していただきたい」という御意見がありました。さらに「修正案の5時間でも、妥当かは疑問で、十分に休むことができない。むしろ現行ではリクライニング方式の座席が認められているけれども、お客様が周りにいては十分に体を休めることができないので、こちらも見直すべきだ」という御意見がありました。
10ページを御覧ください。その他についてです。予期しえない事象は先ほどのタクシーと同じですので、割愛させていただきます。3番目の適用除外業務も割愛させていただきます。真ん中に「軽微な移動」というものがございます。これは、バスが停車したときに、何らかの都合で少し動かなければいけないような場合の適用除外の考え方で、新たに加えたものです。交通上の理由から、運行計画上予定していた駐車を変更して、軽微な移動を行う必要がある場合には、記録が認められる場合に限り、連続運転4時間当たり30分を限度として、連続運転時間に含めないことができる。このような案としています。
公労使の意見です。使側からは、「予期しえない事象の異常気象について、細かい基準だと判断が困難なので、判断しやすい基準に見直していただきたい。」、「拘束時間の上限は不要だ」という御意見がありました。さらに、「代行輸送、振替輸送、帰宅困難者への対応等も、何かしら例外的な取扱いに含めていただきたい」という御意見もありました。公益委員からは、「予期しえない事象の拘束時間の上限は、一定程度必要と考える。引き続き検討が必要だ」という御意見がありました。労側からは、「振替輸送、代行輸送の社会的な要請まで例外的な取扱いの対象とすると、長時間労働が常態化しないか心配だ。議論が必要ではないか」という御意見がありました。以上です。
次にトラックについてです。11ページをご覧ください。トラックについてはまだ事務局案を提示していませんので、これまでの議論うち主な御意見を載せております。まず、拘束時間について、使側から、「そもそも拘束時間については、年960時間の上限に休日労働は含まれていない。そのため、拘束時間の見直しは、これを踏まえて行うべきだ」という御意見がありました。さらに、「改善基準告示を現行よりも厳しい基準にするのであれば、荷主都合による時間の延長は例外的な取扱いとすることも検討してもらいたい」、「荷主都合のやむをえない遅延について例外的な取扱いができないということであれば、ハイヤーのように大枠だけ決めて、改善基準告示の内容は努力義務とすることも視野に議論したい」という御意見がありました。労側からは、「1か月の拘束時間は275時間、年3,300時間の範囲内で294時間まで延長することを考えている」という御意見がありました。
次は、1日の拘束時間と休息期間です。労側からは、「睡眠時間を考えると、今の休息期間の8時間は良いとは言えない。諸外国の状況も含めて11時間だ」という御意見がありました。使側からは、「荷種や業務の形態別に異なる基準を設けられないのであれば、現行どおり8時間と言わざるを得ない」という御意見がありました。公益委員からは、「荷によって、延長を認めるとか認めないという議論を始めると規制が骨抜きになるのではないか」という御意見がありました。
運転時間、連続運転時間についてです。労側からは、「連続運転時間は、運転離脱について定めているに過ぎず、荷役作業をすることも可能だ。改善基準告示においても、労基法上の休憩の考え方をしっかりと示すべきではないか」という御意見がありました。また、使側からは、「連続運転時間は、4時間から5時間に延長、運転離脱は10分から5分に短縮する等、使いやすくしてもらいたい」という御意見がありました。
特例、その他についてです。労側からは、「事故、天候等についてはやむをえない。ただし、使側が主張するように、荷主、荷種等を含めると、規制が骨抜きになるのではないか」という御意見がありました。使側からは逆に、「荷種や荷主の影響というのは避けられない要因なので、これは例外にしていただきたい」という御意見がありました。更に、「分割休息特例については、2時間とか3時間に短縮できないだろうか」という御意見がありました。公益委員からは、「今回の見直しの目的は過労死防止である。規制を荷主とか商慣行に合わせるのではなく、商慣行を変えていくべきだ」という御意見がありました。資料3は以上です。
続いて、資料4「今後のスケジュール」です。あくまでも予定ですが、令和3年度、令和4年度とあり、ハイヤー・タクシー・バスについては、3月頃に取りまとめを行って、専門委員会に報告をするという段取りで、今のところ考えております。トラックについては、これから見直しの議論が始まりますので、令和4年度に入って、7月頃の取りまとめを考えており、その後、専門委員会に報告し、さらに、3業態まとめて労働条件分科会に報告し、年内を目途に改正の告示を公布する。施行は令和6年4月1日を考えております。
続いて、参考資料2「改善基準告示の見直しについて」です。前回も類似のものを出させていただきましたが、追加した資料がございますので、それのみ簡単に説明させていただきます。24ページをお開きください。拘束時間等についての考え方です。拘束時間は、労働時間、休憩時間その他の使用者に拘束されている時間をいいます。休息期間は、終業から始業までの時間をいいます。
その裏を御覧ください。隔日勤務の拘束時間については、今は2暦日の拘束時間の上限は21時間、休息期間は20時間以上です。朝の8時から始業という例を記載しておりますが、8時からスタートすると、翌朝の5時に終業で、ちょうど21時間です。次の朝8時にスタートしようとすると、休息期間は実質27時間になりますので、隔日勤務の休息期間は20時間以上ですので、これだと告示の基準をクリアしているということになります。
26ページは休憩時間についての考え方を示しています。27ページは、特例について、トラック、バスの分割休息特例の考え方を示しています。28ページは2人乗務特例の考え方を示しています。29ページは、隔日勤務特例の考え方を示しています。30ページは、フェリー特例の考え方を示しています。34ページは、タクシ-の関係ですが、累進歩合制度の廃止の考え方と現在の指導の状況を示しております。
35ページは、旅客自動車運送事業者の運送引受義務について、道路運送法の該当条文を示しています。38ページは交替運転者の配置基準に係る処分基準について示しています。39ページは、令和5年4月から施行されますが、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金についての概要を示しています。
参考資料3は(一覧表)と書いていますが、タクシー、バス、トラックの3業態の現在の改正案を拘束時間や運転時間など項目ごとに一覧で示したものです。これからの議論の参考にしていただきたいと思います。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。それぞれの業態で労使の意見が一致しているところ、あるいは隔たりがあるところ、今、黒部さんから整理をしていただきました。これからの議論ですが、参考資料3を使いまして、それぞれの項目について、ハイヤー、タクシー、バス、トラックという順で改めて御意見を伺いたいと思います。トラックの場合はまだ事務局案が出ていないということですので、現状、どのように考えていらっしゃるかというのを表明いただければと思います。まず使用者の御意見を伺って、その後で労働側の意見という順番でいきたいと思います。では、参考資料3の表紙の裏側、「1年、1か月の拘束時間について」の所で、まずはタクシーの使用者側から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ、武居さん。
○武居委員 タクシー部会はもう何回か開いておりまして、ある程度の意見は言わせていただきました。事務局からは案と、修正案が示されたわけですが、これについては、ある意味ではやむを得ないという部分が大変強くて、何とかこの修正案ならば全国でも説得できるかなということを現状としては考えている次第です。今のところ、使用者側としては以上です。よろしくお願いします。
○藤村委員長 分かりました。では、労働側、いかがでしょうか。どうぞ、久松さん。
○久松委員 久松です。よろしくお願いします。1か月の拘束時間について、タクシーの場合、1か月の拘束時間の288時間は、単月で80時間を超える時間外労働ができてしまうということでは、過重労働を防止する観点として問題があるというのは、これまでどおり思っているところです。しかしながら、年間では、時間外労働で960時間という上限もありますし、使用者の主張でありました休日労働を加味できるような余地が必要であることも考えていきますと、一定、事務局案でも了解としてもよいかなと考えているところです。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、バスの使用者側、いかがでしょうか。お願いします。
○齋藤委員 日本バス協会の齋藤です。6ページの4週平均1週の拘束時間について、幾つか意見、要望等を言わせていただきます。4週の拘束時間ですが、年間の考え方は、これは4週単位ですので、年ではなく52週として運転時間等合わせていただきたいと考えております。それから、4週の延長時間ですが、資料では68時間15分と載っているのですが、まず26週を24週にして、その心は、4週×6回という意味です。24週にして、2週間削減した上で、延長時間ですが、1か月管理と同じく、約5%延長させ、68時間、67ではなく68時間としていただきたいと要望します。それから、連続性の議論がなされているのですが、今回の案では、年4回から6回延長回数が増えていることに鑑みまして、連続性については、連続4回までとしてはどうかと思います。拘束時間については以上です。
○齋藤委員 今、参考資料の6ページ目についての御意見を申し上げました。
○藤村委員長 分かりました。資料3ですね。齋藤さんは、資料3のページ数で、御発言をされました。では、労働側の御意見をお願いします。どうぞ。
○池之谷委員 池之谷です。よろしくお願いします。拘束時間については、事務局案でおおむね了解と考えています。ただ、連続性について、かねてから言っていますが、連続をして延長することに関しては、やはり疲労度が増すことがありますから、連続性はあまり歓迎をしていません。今、使用者側からの4回という話もありましたが、基本的には、私の考え方としては、もう2回が限度かなとは思っています。その辺のすり合わせが必要だと思っていますし、当然ですが、季節性を考えたときに、一定程度の連続性は必要になってくるとは思いますが、4回の、過半数を超えるというのは、少し歓迎はできないと思っていますから、その連続性は議論というか、削減をする方向で検討していきたいと思います。4週平均1週の拘束時間については、今ほど、4週平均で1週68時間ということの使用者側の意見もありましたから、それについては了承していきたいなとは思っています。
○藤村委員長 ありがとうございます。この点については、労使それぞれに御意見があって、まだ合意に達する状況まではいっていないということが分かりました。では、トラックですが、馬渡委員からお願いします。
○馬渡委員 ここは現行だけ書いてあるように、令和3年度のアンケートの結果を今日いただきましたので、それも踏まえてやりたいと思います。現状を申し上げますと、コロナの最中に我々はずっと、働き続けているわけですが、ますます何か労働条件を厳しく荷主さんから言われて、無理にこのように運びなさいとか、もっと安くしてくださいと。標準的な運賃のお話を持って行くと、大概、下げてくださいという話に変わってしまう状況でもありますので、その辺も踏まえながら、今度の21日の作業部会の折に細かい数字はお話したいと思います。
一例だけ言いますと、1年の拘束時間が、休日労働を基本的には含まないで年3,300時間、休日労働を含むと、月に2回休日労働をすると年3,516になってしまうということです。これも、事業者のほうで決められる休日労働の割合が少ない。荷主さんから、この休日、荷主さんの休日に運んでくれということが多いものですから、自分で決められない分、休日労働の余地も残してほしいという意見もきています。ですから、年3,516時間から年3,300時間の間をどう取っていくか。それから、休日労働を含むか含まないかというのは、まだ労使の隔たりは残ったままかなと考えております。あと、1か月の拘束時間ですが、全体が決まった中で、現行の293時間、年6回の320時間という部分は残してほしいという意見が多数でした。以上です。
○藤村委員長 では、労働側、いかがでしょうか。
○世永委員 世永です。ありがとうございます。労働側としては、この間、主張してきた、年間、1か月の拘束時間、それぞれ年3,300時間、休日を含むということと、1か月については275時間ということです。そもそも、今回の見直しは、特にトラックがほとんどですが、過労死防止ということですので、商慣行を変えていくことからも必要だろうと思っています。それと、第1回、2回の調査結果を見ても、我々の主張は大方通るのではないのかなと思っています。21日にまた細かい内容については御報告をしていきたいと思っています。以上です。
○藤村委員長 分かりました。ありがとうございます。この1年、1か月の拘束時間について、今、労使双方からお話を伺いましたが、公益の方から何か御意見ございますか。よろしいですか、この点について。どうぞ、小田切委員。
○小田切委員 先ほど、バスのほうで少し議論になりましたが、バスの数値を挙げさせていただきますと、年4回まで延長できる件を年6回と延ばしたこともありますので、やはり延長をした場合に連続をしないような配慮というのは重要だと思っております。改善基準告示の中でどこまで踏み込んで書けるかというのはいろいろ議論があると思いますが、通達のレベルになるかもしれませんが、やはり連続性の排除というのは残していただきたいと、過労防止の観点からは思います。
○藤村委員長 ありがとうございました。1年、1か月の拘束時間について、先ほど御発言いただきましたが、もう少し言っておきたいということがあればお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか、労使それぞれに。よろしいですか。
では、次の件に行きたいと思います。1日の拘束時間、休息期間についての所です。では、まずは、タクシーの使用者側からお願いします。
○武居委員 私どもは、もともと休息時間については、日勤についていろいろ検討してきたわけですが、休息期間9時間以上、11時間以上するように務めるということ。私どもの意見はある程度理解をしていただいたのかなということで、大変有り難いと考えております。私どもとすると、基本的に最大拘束時間というのがあるわけでして、この拘束時間を守れば基本的には休息時間は確保できると考えております。ただ、現状として、13時間から、日勤の場合16時間という、1日の最大拘束時間があるのですが、ここが最大15時間ということで、当然、休息時間が延びた分、1日の拘束時間が1時間短くなったと、最大限が、ということで、これはやむを得ないと思っているのです。
ただ、ここにあります2日以上連続して14時間を超えてはならないという、これは、私どもタクシーの場合には、現状として曜日によって需要が大変大きく変わってくるものです。と同時に、気候に応じて非常に需要が変わります。ある意味では、曜日というよりは気候に応じて変わることが多いわけです。そういう意味では、月の最大拘束時間の限度が決まるということですから、その範囲内で、連続の業務について14時間を超えてはならないというのは、各事業者側に任せていただきたい。つまり、最大拘束時間の範囲内で、きちっとやらせていただく範囲内で、連続という部分については、休息時間が当然、私どもは9時間以上確保するということですので、これについても、ここは省いていただきたいということを私どもは考えている次第です。あとは、使用者側としてはこの案でやっていきたいと考えている次第です。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。では、タクシーの労働側、お願いします。どうぞ、松永さん。
○松永委員 実は今、使用者側から話があったのですが、私ども労働側としては前回追加案については反対をしてまいりました。私どもが考える休息時間というのは、まず、拘束時間の下の並びも含めて、休息時間を11時間以上とすることを前提にしていただきたい。それを下回る場合には9時間という位置付けにしていただきたい。この9時間以上、11時間以上に努めることではなくて、逆にしていただきたいのが労働側の考え方です。
また、当然、拘束時間の部分についても、2日以上連続して14時間を超えてはならないという記載をしていただきたい。そういう主張でお願いをしたいと思います。よろしくお願いします。
○藤村委員長 ありがとうございます。この点については労使の意見が大分隔たっているという状況です。
○久松委員 隔日勤務のほうで発言をさせていただきます。よろしくお願いします。2歴日の拘束時間、休息時間ということで、事務局案が出ておりますが、隔日勤務という勤務の過酷さを考えますと、1か月の拘束時間、2歴日の拘束時間、休息時間が全て現行のままというのは到底受け入れられないと思っております。
先ほど報告された疲労度調査結果の中でも、隔日勤務については他の調査と比較しても、やはり、疲労度が高いところで高止まりしているということは顕著ですので、一定の見直しは必要だと思っております。労働側としては、休息時間について24時間という主張、24時間というところはまだ作業部会の中で議論する余地はあるのかもしれませんが、少なくとも隔日勤務の休息時間は見直すべきだと考えているところです。以上です。
○藤村委員長 分かりました。バスにいきたいと思います。使用者側から、齋藤さん、どうぞ。
○齋藤委員 休息9時間への変更ですが、これは昭和54年以来の大きな変更であると考えております。したがいまして、バスの運行に少なからず影響があると考えますが、バス運転手さんの過労防止という観点から、これは理解したいと思います。
一方、当初から申し上げているとおり、運行管理者の過労防止にも配慮する必要があるのではないかと考えております。1日の拘束時間又は休息期間における連続性基準あるいは回数制限を管理することは何回か申し上げてはおりますが、運行管理者の負担が大きいと認識をしております。休息期間が9時間になることに鑑みて、是非、これらのことは行わないでいただきたいと要望します。連続性基準あるいは回数制限がなくても、例えば、後ほど出てくる運転時間において、2日平均9時間という制限あるいは4週又は1か月における拘束時間の管理など、改善基準の他の項目において、多重的に管理をされているため、15時間拘束の仕事を過度に連続するような勤務指示は、実質できないと思います。以上です。
○藤村委員長 分かりました。バスの労働側お願いします。
○鎌田委員 先ほどタクシーのほうでもありましたが、休息期間については、相対的にはこれで賛成はしておりますが、表記の仕方ですが、案にあるように、1日の休息期間については、ここで原則11時間と書いておりますが、追加案も踏まえて、休息期間については11時間以上に努めること、ただしそれを下回る場合には9時間以上とするという表記の仕方の上下を変えていただきたいと思います。
1日の拘束時間で連続性の所ですが、使用者側がおっしゃっていることを考えますと、この表記の2日以上連続して14時間を超えてはならないは残しておいて、連続性をどうのこうのとなれば、週何回までという追加の文言を入れたらよろしいのではないかと思います。
○藤村委員長 分かりました。それでは、トラックの馬渡さん、お願いします。
○馬渡委員 1日の拘束時間、休息期間については、トラックの現行が書いてありますが、1日の拘束時間が業種や業態別でいろいろ考えてもらえないかというお話をしておりましたが、長距離運行で宿泊を伴う場合には、13時間ではなくて、今の16時間より長い18時間というのも取れるのではないかと考えております。18時間を取った場合は、反対に休息時間もインターバルも含めて8時間ではなくて11時間にするとか、そういうメリハリを付けていただけないかと思っております。後ほど適用除外とかいろいろな話は出てくると思いますが、いろいろな部分を加味しますと、今のところ、16時間を自分たちの都合ではなくて、超える場合があるという状況を考えますと、宿泊を伴うような運行は18時間まで認めていただきたいと考える意見があります。ただ、その場合はやはり体を休めようということで、休息期間は長めに取ろうという考えも柔軟に考えたいと話をしております。これも細かい数字は21日の作業部会でまた示させていただきたいと思います。
○藤村委員長 ありがとうございます。トラックの労働側お願いします。
○貫委員 1日の拘束時間、休息期間の考えについては、まだ事務局案は出ておりませんので何とも言えませんが、基本的に休息期間の考えについては、自動車運転者ということであれば3モードを合わせるべきではないかと考えております。また、先ほど使用者側の馬渡さんが言われましたが、1日の拘束時間を18時間に延ばしてほしいといったことについては、労働側は一切認められないと思っております。なぜならば、過労死防止というのが最大限の今回の改正の目的である中において、今の基準を緩めるという部分についてはなかなか同意はできないというのが労働側の意見です。
休息期間11時間については、やはり、厚生労働省で提示されている過労死認定基準の中で、11時間というインターバルが出されておりますので、その部分を少し過労の多い産業においては遵守するべき時間ではないかと考えております。以上です。
○藤村委員長 分かりました。公益の方々から何かありますか。よろしいですか。
○清水委員 タクシーの清水です。拘束時間と休息期間双方、1日を大変窮屈に締め付けてしまうと私は感じております。特に働き方改革の中で働き方の選択性、労働者がいろいろなことを選択していいですよ、副業も兼業もやっていいですよということになってきますと、副業、兼業についても両方締め付けてしまいますと、労働者の選択肢がなくなってしまう。そこで今、厚生労働省から出てきた追加案ですが、日勤について拘束時間13時間、休息期間を現行より1時間延長して9時間ということになれば、規則に縛られない自由裁量の時間が設けられるわけで、是非、この線でいっていただきたいと思います。1日の日勤の拘束時間13時間、最大15時間ということで、ここでは休息期間については9時間という線でいっていただきたいと考えております。以上です。
○武居委員 もう一点ですが、先ほど労働者側から隔日勤務の休息時間について、趣旨から考えて現状のままでは少しおかしいのではないかということで、現状は休息、隔日勤務というのは21時間拘束ということで、出勤時間が例えば3時間あったら、次の日まで丸1日休めるわけですから、現実的には27時間あるという計算になるので、労働者側からしますと、休息時間を実務的に延ばしても何か問題あるのですかということをよく言われるのですが、基本的には現状維持ということなので、休息時間をどうのこうのではなくて、隔日勤務については現状維持なのですよということで答えさせていただいたのです。前々から、私どもは気になっているのは、タクシーの中で、今回は特例を認めていただきました。
例えば、事故や台風があったとか、電車が止まってしまった、地震があったというときに、実は国土交通省のほうから急遽タクシーを稼働できないかと。急遽動いて、駅にいるお客様を御自宅まで送ってくれないかということを、実は国土交通省から急に要請されます。当然、特例としてそのときだけは、例えば空港に迎えに行け、成田空港に行けとか、いろいろな指示をさせていただいて、実は28時間も29時間も帰庫するまでにかかってしまうという事例もありました。しかし、これは特例ですのでやむを得ないと思っております。ただ私どもは今一番状況で困っているのは、お客様が途中で道を変えてしまうとか、途中で渋滞にからんでしまう。例えば、急に首都高が事故で通行止めになったとか、動かなくなってしまったということで帰庫時間が1日の拘束時間が21時間というのがあるのですが、それが遅れてしまうという例が実はかなり出てきております。
これは当然今のところ違反扱いということになっておりますので、先ほど労働者側から休息時間について20時間ではおかしいという論議がありました。私どもこれも部会ではある程度話さざるを得ないのかなと、思っております。ある意味では拘束時間の21時間を、月の最大拘束時間の範囲の中で、例えば最大1時間まではやむを得ず延長することができるということを262の間ですから、当然、1時間延ばせば次の出番のときには1時間短くするということになるわけです。そういう柔軟な形の中で拘束時間を何回か回数を設けてもいいのですが、21時間にこだわらずに、例えば30分でも1時間でも延長できるような形は、イレギュラーとしてできたときに、262時間の範囲内で拘束時間を調整できるというフレキシブルな形ができれば、運行管理においても大変やりやすいということです。前々からお願いをしている部分です。ですから、休息時間を延ばすと同時に、拘束時間についても多少柔軟な制度ができないか、是非、お願いしたいということです。以上です。
○藤村委員長 次の「運転時間、連続運転時間について」にいきたいと思います。これはバスとトラックが関わる分野になります。まず、バスの使用者側委員からお願いします。
○金井委員 日本バス協会の金井です。よろしくお願いします。運転時間の所ですが、拘束時間に1か月管理を導入しますので、運転時間についても1か月管理を導入したいということです。また、延長回数も1か月管理なら6か月、4週管理なら24週と拘束時間に合わせたいと考えております。また、その際、過労防止のために拘束時間と同様に、延長は連続4回までとしたらどうかと思っております。またこれは、今までどおりですが、1か月の運転時間については、31日の月を考慮して、1か月は177時間、延長特例については1か月193時間にしたいというところです。以上です。
○藤村委員長 それではバスの労働側お願いします。
○池之谷委員 よろしくお願いします。運転管理の関係については、事務局案のとおりで構わないと思っておりますが、今、使側から1か月の管理と言ったところも取り入れてほしいという話がありました。それを1か月と考えたときには、単純計算して年間2,080時間を12か月で割って、入れるとしたら173時間で、延長をした場合でも190時間。これが最大の上限になるのではないかと思っております。
事務局案の16週で4週平均というのがありますが、先ほど拘束時間の所で24週という話もありました。その24週を入れるとすれば42時間ということになると思います。これで良しとするならば1か月の併記もよいのではないかとは考えております。
連続運転の関係では、配置基準をしっかり取り入れたほうが分かりやすいと思っておりますので、それについてしっかり書いていただければと考えております。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。トラックについてはどのようにお考えか、まず、馬渡さんどうぞ。
○馬渡委員 トラックのほうも、資料には現行が書いてありますが、我々はいろいろな議論をしている中では、外形的にいろいろな要因で、運転時間から除外をしていただきたいというお話をしている部分もあります。以前、バスの事業者側からも、簡素化の観点から運転時間の項目は廃止してもらいたいという御意見もあったかと思います。我々、今のところ運転時間そのものは、細かい規制は、もう拘束時間と休息時間が細かく決めてあるという前提から言えば必要がないのではないかと思っております。これは運転手さんが休みたいとか、そういうことを思ってやっても結局はお客様の到着時間が決められている中で、休む時間をきちんと取ろうとしますと、結局は長時間労働になる。その時間に合わせて道路の渋滞も、その他の要因も加味して早く出てしまうというような実態もありますので、そもそもいたちごっこみたいになっている部分があります。ですから、この拘束時間と休息時間をきちんと守らせるという前提では、細かい運転時間を決めるというのはもうやめにしてほしいという意見が出ております。
連続運転時間は、これも細かい数字は後ほど21日の部会で述べさせていただきますが、これも荷種とか走る距離とか、高速道路上であるか、下の一般道であるかというのが、本当に種々雑多です。ですから、その最大公約数を取らせていただきたいという意見が多数を占めておりますので、現行の4時間というのは、5時間程度に延ばしていただいた上で、1回の休息時間を10分から5分程度に短めにしてほしいという意見が多いです。ただ、はっきりした数字は21日に出させていただきたいと思っております。
○藤村委員長 分かりました。それでは、トラックの労働側、どうぞ。
○世永委員 ありがとうございます。労働側としては、そこに書いてあるとおり、運転時間については現行のままと思っております。連続運転については、今、馬渡委員が言われたので1点だけ、4時間弱の場合、SA・PAに停まれない場合がありますので、そこは救済が必要ではないかとは思っております。
それと、運転時間の離脱の関係ですが、これも前に労側からお話をさせていただきましたが、運転離脱についても、荷役作業を行うことも可能ということと、実はその件については、やはり、フリーダイヤル等でもかなり多く入っております。労働基準法の休憩を取らせるということについて、改善基準告示でもきちんと整理していく必要があると思っております。以上です。
○藤村委員長 それでは次のテーマにいきたいと思います。特例についてという所です。これはバスとトラックが関係します。まず、バスの使用者側からお願いします。
○齋藤委員 分割休息特例については、様々な意見が出ているのですが、休息期間の下限を9時間とした上で、更に分割休息については、現在最大2か月を認めている一定期間について、労働側からも意見がありましたが、1か月に見直すことは可能であると思います。また、現在、休息を3分割することも認められておりますが、2分割までとした上で、継続4時間半ではなく、4時間以上としたほうが次の勤務まで7時間の休息を確保することができますので、むしろバス運転者の過労防止につながるのではないかと思います。
2人乗務の特例については、甲子園輸送のように、駐車可能時間が、相手方より指定されて、どうしても現在の拘束20時間、休息4時間の規定が必要なケースがありますので、これは現行どおりでお願いしたいと要望いたします。以上です。
○藤村委員長 それではバスの労働側お願いします。
○池之谷委員 分割休息については、この専門委員会が始まってからずっと言っていますが、分割休息の特例があるばかりに拘束時間が異常に長くなっているというのが実態です。それによって、そこで働く人たちの疲労度が増しているという実態は何としても解消していかなければいけないと考えております。
その中で、使側からもありましたが、一定期間というのは1か月という縛りをかけるべきだろうと思っております。その回数の関係では、2分の1という事務局案、修正案がありますが、これは疲労度を極力避けるためには3分の1ということで、回数の制限をしていったほうが分かりやすいと思っております。
継続の関係では、使側からあったのは4時間以上で、合計11時間については、考え方は一緒だなとは思っております。ただ、何度も言いますが、地域の中で分割特例に関しての認識がばらばらということは実態としてあります。地方の運輸局であったり、地方の労働基準監督署であったり、片方では認めていたり、片方では駄目だと言ってみたり、そういうところは絶対にないように、この改善基準告示を見直したときには整理をする必要があると思います。
また、分割特例を与えることが困難な場合というところは、しっかりとらまえていかないといけない。与えられるのに分割をさせているという実態もありますから、それについてもしっかりここを強調して書いていただければと思います。
○鎌田委員 2人乗務の特例ですが、これまでも言ってきましたが、修正案の19時間と休息期間の5時間までというのでも半歩前進、1歩まで行かない。これでも良しとはしていないのですが、使用者側の意見も踏まえてこのままでやっていただきたいと思いますが、結局、運転して車内で休むのにも、長時間運転した後にすぐ寝られるかと言ったら寝られないわけです。体は疲れていても脳がさえていますので、すぐ4時間休めるかと言っても休めない状況なので、もし時間が延ばせないような状況であれば、必ず運転席の後ろの1席は空けていただいて、カーテンで仕切るような、睡眠ができる環境整備を必ず義務付けていただきたいと思います。以上です。
○藤村委員長 齋藤さん、どうぞ。
○齋藤委員 分割休息特例で、先ほど労側から2分の1を3分の1にというお話がありましたが、これは事業者によって様々な活用がありますので、使用者側としては、是非これを維持していただきたい、2分の1にしていただきたいと思います。
○藤村委員長 分かりました。それでは、トラックの馬渡さん、いかがですか。
○馬渡委員 これも現行が書いてありますが、考え方として見直していただきたいという部分はあります。分割休息の特例を、現行は継続4時間以上で、合計10時間以上とすることとなっておりますが、その4時間を、例えば2時間を2回繰り返した4時間にするとか、2時間、3時間の短縮ができないかという話をしておりますので、これも次回の部会の折りにはっきり意見を申し上げさせていただきたいと思います。
2人乗務の特例ですが、少ないのですが、やはり、北海道とかで2人乗務をして、競争馬を乗せて輸送をしたりする場合に、人間の休息の問題より、馬のストレスのほうが多いという事例もありますので、そういう事例も考えて、車内ベッドで連続4時間休息を取れる場合は、休息期間に取り扱ってほしいという意見は出ております。フェリー等もそういった形で認めていただいたりとかしておりますので、荷種とか状況によって認めていただけないかという話が出ております。隔日勤務とフェリーの特例については、現行どおりにやらせていただきたいと考えております。以上です。
○藤村委員長 分かりました。トラックの労働側、どうぞ。
○貫委員 分割休息特例の休息期間等については、バスと同じような形の合計11時間以上になるのがいいのではないかと思っております。また、2人乗務特例について、先ほど馬渡委員から話がありましたが、2人乗務の場合の休息期間の捉え方の部分については、議論するところではないかと思っております。その他については特にはありません。以上です。
○藤村委員長 分かりました。では、次のその他に移ります。幾つかの項目がありますが、まずはタクシーの使用者側からお願いいたします。
○武居委員 休日労働については、これで問題ないと考えております。また、予期しない事象という形でも適用除外業務も入れていただきましたし、これで問題ないだろうというのが今の私どもの考え方です。以上です。
○藤村委員長 では労働側どうぞ。
○松永委員 松永です。その他についての部分で1つ最終的に申し上げておくのは、先ほど武居委員から帰庫が渋滞時で遅くなったりといった場合、ここの具体的な事例として事故があって道路が渋滞した場合の特例も書いてあるので、先ほどの事例は余り参考にならないような気がします。それを一言申し上げておきたいと思います。そして、この予期せぬ事案については、こういう形で入れていただいたことには、私どもとしても理解をしていきたいと思っております。
1つ例外の扱いなのですが、基本的に具体的な例外の取扱いの趣旨から逸脱して使い勝手の悪いものになってしまうという考え方の上で、終業後に休息期間を11時間以上確保するのであれば、私たちは拘束時間の上限という言葉は必要ではないのではないかと考えております。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございます。ではバスはいかがでしょうか。使用者側からお願いします。
○金井委員 日本バス協会の金井です。よろしくお願いします。予期し得ない事象ですけれども、拘束時間に含めないことができる時間の上限を設けることについては、予期し得ない事象は異常気象など不可抗力の事象であって、これは回復するまでの時間も分からないし、事業者では対応のしようがないところですので、1日の拘束時間に上限を設けるのは難しいのではないかと考えています。上限の設定は難しいのですけれども、運転者の過労防止はとても重要なことですので、予期し得ない事象が発生した場合には対応に要する時間をできるだけ短くするように努めることであったり、また勤務終了後に休息期間を確保するよう努めるなど、労働条件に配慮することを努力規定として記載してはどうかと考えております。
もう一つ軽微な移動の所ですけれども、今回の見直しでは過労死防止の観点からの規制が厳しくなる方向で議論がなされており、コロナ前でも全国の7割の事業者が赤字であるバス業界ですので、各社とも経営であったり運行確保の面で、非常に厳しい運営が迫られることになります。そんな中で、この軽微な移動のように日本の道路実態に応じた緩和策は不可欠であると思っています。いろいろ御検討いただいて感謝しているところなのですけれども、是非乗合バスにおいて実際に利活用ができるような制度にしていただきたいと思っています。これはお願いです。以上です。
○藤村委員長 では労働側どうぞ。
○池之谷委員 その他の関係で申し上げますと、予期し得ない事象については使側からありましたとおり、自然災害であったり大きな事故であったりといったところでは予測がつきませんから、この時間の上限を設けることは本来の例外の取扱いの趣旨から少し逸脱をして、逆に使い勝手が悪くなるのだろうなと思っています。ただ過労防止のところでは、帰庫後にきちんと休息期間11時間を与えられる環境を整備することが必要だとは思っています。災害の中で、それこそ何時間も車に閉じ込められるといったことを考えたときには、戻ったときに勤務終了後には、きちんと11時間の休息期間を与えることが必要だと考えています。
また軽微な移動については運行計画上という所があります。運行計画上はしっかり配慮しなければいけないと思っています。どうしても移動しなければいけない場所を、運行計画上そこで中断休憩を取る場所に指定をすること自体が、そもそも考え方が、設定の仕方が少し違うと思っていますので、それに対しては運行計画をしっかり配慮していくと。考え方として事務局の案の中で対応をすればいいと思っていますし、運転の中断の概念については変える必要がないと考えています。以上です。
○藤村委員長 ありがとうございます。ではトラックの馬渡さんどうぞ。
○馬渡委員 この点に関しては、休日労働は2週間に1回ということで現行どおりとお願いをしたいのです。予期し得ない事象や軽微な移動などは、バスと同じような理由で適用除外してほしいと考えております。
もう一つ、自動車運送事業法が改正事業法によって、国交省による荷主への働きかけが行われているのです。その中で一番多いのは、やはり長時間の荷待ちで、これが大体48.6%で半分ぐらいを占めているということで、いまだにその辺りの商慣習というか、黙って待っておきなさいというやり方が改められていないのがはっきりしております。
もう一つ、令和2年の調査になるのですけれども、改善基準告示の認知度が荷主が半分ぐらい知らないとおっしゃっていて、御存じでも知らないと言われている場合もあるのかもしれませんけれども、荷主に周知徹底したり理解をしたりしていただくためには、細かいこのときはOKです、このときは駄目ですみたいな話ではなくて、今は既に国交省でも始まっていますけれども、荷主が30分以上待ち時間を取らされた場合は、自分たちの日報の中に、どこそこでどういう時間に入って30分以上待たされたという部分を記入するようになっています。これを基に国交省もいろいろな統計を取ったり、荷主に対する働きかけをしていただいたりということがありますので、そういう記録をきちんと残しておけば予期し得ない事象の中に是非荷主都合というものも入れていただきたいなと。何でもかんでも入れてくださいという話をしているわけではなくて、商慣習が改まるまではそういった形でやっていただきたいと思っています。厚労省でも雇用関係にはないのですけれども、着荷主たちは間違いなく雇用主よりも強い言葉で運転手たちに「待っておけ」とか「移動させろ」と言われるので、この軽微な移動についてもそこはもう休んでいないじゃないかではなくて、そこを除外していただきたいなというのは変わりません。
業務的にいろいろな業務がありますので、1つ1つについてこの場合はこうしてくださいという話ではなくて、当面960時間という大枠の中できちんと守っていこうという中で、この辺りのところを除外をしていっていただくと。罰則を伴う法改正になっていますから結局は事業主が罰則を受けると。ひいては、労働者の皆さんにも影響が大いにある部分なので、ここはちょっと譲れないかなと思っている部分です。以上です。
○藤村委員長 ではトラックの労働側どうぞ。
○世永委員 世永です。予期しない事情の関係は、馬渡委員はずっと荷主都合ということを申し上げていたのだろうと思います。ただ基本的には、労働側はそれは受け入れられないということを強く反対をしてきました。この間のいろいろな厚労省なり国交省の政策の中で、やはり荷主対策を数年間にわたってやってきておりますので、そこの浸透化が必要だろうということと、告示を決めてから施行までの期間もありますので、労働組合もそうですし行政もそうですし、事業者たちとしても荷主へのアプローチが必要なのだと、ここが最後だと私自身は思っております。基本的には、バスの厚労省の案でいいのかなということです。
ただ、軽微な移動の関係、連続運転の関係等も話をしましたけれども、この辺りのことは配慮が必要かなと思っています。休日労働については現行どおりということで、労組側は思っていますので、よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 分かりました。ありがとうございます。最後のページがその他で、タクシー、ハイヤーの所です。
○清水委員 タクシーの場合は、運送の申込みをされた場合は引き受けなければいけないということで、先ほど資料の35ページで運送引受義務についてという資料を出していただきました。この中の条文、解釈をお聞かせいただけるのであれば、お聞かせいただきたいと思っております。
○藤村委員長 今日オブザーバー参加していただいていますので。
○国土交通省オブザーバー 国土交通省です。先ほどの資料にあるとおりですけれども、参考資料2の35ページに載せていただいています。基本的に、「運送引受を拒絶してはならない」ということになっていますけれども、(4)の所に線が引いてありますけれども、「当該運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき」という規定はありますので、余りにひどい要請があってそれに対しては引受拒絶はできるという規定になっておりますので、ここを根拠に違反であるという解釈をしております。
○藤村委員長 よろしいですか。
○清水委員 ここは大変分かりづらい部分です。話は違いますけれども、例えば定められた時間に運送は終わるなということで引き受けをしたと。ところが、先ほど武居委員からも話がありましたけれども、お客様都合によっていろいろなケースが発生しております。例えば、お客様が深夜早朝にお乗りになったときに寝込んでしまったと。この寝込んだお客様を起こす作業は大変な作業で、大体ドライバーは起こすことができない、触ることができませんので、この場合は警察官を呼んで処理をしていただくということになると、当初は定められた時間で帰れるなと思っていたところが、そこを超過してしまうというような場合も、この特例の中に入れていただけるのかどうか、その辺りの御検討を頂ければと思っております。
乗せたときには、あらかじめそういうことになるだろうという予測はできないし、この第4項に書かれている事案についても乗せたときには分からない、その後に発生するというケースが多々ありますので、その辺りをもう少し特例の中にどの程度入れていただけるのか御検討いただければと思っております。以上です。
○藤村委員長 分かりました。労働側いかがでしょうか。今の点、それから車庫待ち等についても含めて、どうぞ。
○松永委員 私も前にお話したとおり、以前はハイヤーの運転手をしておりました。次の日の仕事を抱えながら、夜遅くお客様をお送りして、ひどいときは窓も扉も全部開けて1時間半ぐらいお客さんを起こすまで付き合ったことがあります。その事案は、今、清水さんが質問されたのは、当然対応としてはお客様を引っぱたいて起こすわけにはいきませんので、ある意味では準特例的に当たると思うのですが、毎日そのお客様の対応は、そのお客様によって違うのは仕方ないことなので、それはしっかり届けられるものは私ども運転手がきちんと会社に電話を入れて、今こういう状況にあるということをきちんと伝えて、会社の指示を仰ぐのが基本的な姿勢だと思うのです。それをどういかしてくれるかというのが今度は行政の問題だと思うので、当然報告義務をしっかりやっていきながらやっていけば、それをどう扱うかというのは、その後の問題として考えていただければいいと思うのです。酔っぱらったどうこうを文章に載せるということではないと思うので、すごく気持ちはよく分かるのですがそういう状況だと思っております。
それから車庫待ちについては、議論していただいた中でこういう案を出していただいたことは有り難いです。今後いろいろな定義があると思うので、そういうものは作業部会前にいろいろ指導していただきながら議論をしていきたいと思いますので、この案の基本については、私どもは理解をしております。
○藤村委員長 使用者側、車庫待ちについてはいかがですか。
○武居委員 この車庫待ちについては、部会で何回か論議になりました。車庫待ちの仕事実態が実は私どもが理解できていない部分がまだあるということで、この辺りを明記してほしいという論議になりました。ただ拘束時間等については、実態的にそんなに仕事が現状余りないというお話でしたので、これでやむを得ないということで通常の拘束時間の短縮に伴って車庫待ちの総拘束時間も短縮していこうという流れの中で出た数字です。これについては問題ないだろうと考えております。
ハイヤーについては、実態的に現状として労使とも理解をしておりますので、やむを得ないということで現行の案ということで御提案いただいた部分について私どもは理解しているつもりですし、反対はありません。以上です。
○藤村委員長 どうもありがとうございました。参考資料3を基に、今それぞれの項目について労使双方の御意見を伺ってまいりました。小田切委員どうぞ。
○小田切委員 少し前の議論になりますが、考えていることを一言申し上げます。その他の所で、拘束時間に含めないことができる時間の上限を設けることとするという案が出てきたのは、私が少し懸念したところから始まったと思うのです。今お話を伺っていると、労使ともにそれは不要であるけれども、休息時間を確実に取れることを条件にと伺いました。それも含めて1点懸念するのは、ここの記述はタクシーに関しては1日又は2暦日、そしてバスに関しては1日の拘束時間については含めないことができるということなのですが、例えば東日本大震災レベルの非常に大きな災害が起きた場合には、やはり月のレベルでの拘束時間がかなり大きくなるのではないかと思っております。その場合でも、1日働いた後の休息時間が確保さえできていれば、1月当たりの拘束時間がある程度大きくなっても過労という観点で対応が可能なのかどうかを、労使ともに御意見を頂ければと思いました。
○藤村委員長 今の小田切委員の御意見については、使用者側いかがでしょうか。
○武居委員 今、先生がおっしゃるように、東日本レベルの地震があったときの実態をお話しいたします。タクシーの場合には御存じのとおり、高速道路、東北自動車道がかなり通行止めになりました。それと同時に、東北地方についてはタクシー自体が流されて、実はほとんど車がなくなってしまったという実態があります。それで、東京からLPの中古車を100台東北地方に持って行きました。ただドライバーの派遣については、問題があるということで対応できませんでした。実態としては、そのエリアにタクシーがないということと、住人たちの足がないわけで、トラックも実際には物流も含めて下でしか走れないという部分もありましたし、逆に道路が閉鎖してしまったということがあり、市民の足として、ある意味ではガソリンスタンドはかなり影響があったのですが、LPスタンドは東北自動車道で影響が少なかったのでタクシーは相当活躍しました。そのときは正直申し上げて、労働時間管理よりも生活と言ったらおかしいのですが、市民のためにボランティアとしてやれるものは全てやるという形で実態はやったはずですし、地方自治体もタクシーにかなり資金的に応援を頂いたということも聞いておりますので、特例中の特例として考えております。
そういう意味では別枠中の別枠だと考えており、通常においては休息時間を特例的に延長になった部分には確実に確保すれば、この上限は要らないのではないかということについては、私ども使用者側としてもそれならば問題ないと考えております。
○小田切委員 ありがとうございます。東日本大震災はかなり大きいことを申し過ぎたなと思うのですけれども、災害のときに更なる二次災害として労働災害が起きるような過労が起きないということも、ここのその他の中には考えておくべきなのかなと思ったものですから、労側からも御意見を頂ければと思います。
○齋藤委員 基本原則というか、要するに1か月の改善基準の決めがありますので、特にオーバーしても基本は1か月の中で吸収して、その範囲内で行っているのが現状だと捉えております。したがって、だからといって1か月も延ばすというのは、例えば月末にそんなものがあったりというのは、それは別に考えないといけないのでしょうけれども、基本はその範囲内という認識です。
○藤村委員長 労働側いかがですか。
○松永委員 ……東日本大震災の対応に関わりました。本当に寝ずに市民を運ばさせていただいた実例もたくさんあります。そして、国交省には御理解を頂いて特例として、タクシーを自宅まで持ち帰って、ですから自分の疲れをとる努力も車でさせていただいた苦しみを皆味わってまいりました。残念ながら、先ほど武居委員から話がありましたが、タクシーを使って市民を助けるために、会社にあった自分の車は全て流された地域が多くありました。ですから、自分の生活の一部を失ってまでLPスタンドが開いている以上、地域の方たちを助けようという努力を皆してくれました。大型の車よりも、一般道のでこぼこ道の裏通りは全部熟知しているのがタクシーでしたので、東日本大震災、熊本地震もそうですが、本気になって私たちの仲間は人を助けるという使命は果たしたのだと思っています。ただ残念ながら、みんなは本当に真剣にやったので、休憩をどれだけ取れたか取れないかというのは、例外的な異常な状況であったので、みんな毎日ぐったりしていたというのが実情であったと思います。
○藤村委員長 バスの労働側どうぞ。
○池之谷委員 先ほど齋藤委員からあったとおり、例えば予期しない事象のときに改善基準告示に違反になるかどうかという観点から見たときには、拘束時間に含めないことができるということの考え方は入れるべきだと思います。そこで延びたとしても、1か月の最大拘束、年間の最大拘束は超えないのだというところの捉え方をしておけば、これは対応が可能だと思っています。
○小田切委員 ありがとうございました。では、1月あるいは年間で吸収ができる範囲で対応できるということを聞いて、安心しました。
○藤村委員長 そろそろ時間が迫っておりますが、そのほか何かありますか。久松委員どうぞ。
○久松委員 1点だけすみません。参考資料3の中には記載されていないのですけれども、前回の専門委員会でも私からタクシーの累進歩合の件について発言をさせていただいておりました。現在は月々の賃金においては、累進歩合の廃止ということでは明確にされているのですが、臨時給、ボーナス、賞与などにおいてはその対象になっていないという現状があります。累進歩合というのは、長時間労働やスピード違反を誘発し、交通事故の発生が懸念されるという制度であるため廃止するという趣旨から申しますと、賞与などについても対象にしてほしいという趣旨でした。しかしながら、事務局からは賞与というものの性質上、規制が困難なのではないか、あるいは労使の合意を踏み超えることになってしまうのではないかということで、少し難しいという御相談も頂いているところです。
そういったことであれば、例えば累進歩合の廃止の趣旨について、より明確にしてほしいと。また、労働基準法第136条では、年次有給休暇を取得したときに労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないとなっているのですが、賞与において累進歩合制度がある場合には、年次有給休暇を取ると賞与の成績が下がるということで、年次有給休暇を取得しづらい現状が実際にはあります。例えば、年次有給休暇を取得したために消失してしまう売り上げについては、働いていたとして仮の売り上げとして補填するとか、年次有給休暇取得日数に応じて基準の引き下げをするなどの措置ができるように、不利益な取扱いとならない措置を通達などで明確にしていただけないかとも考えているところです。事業者が廃止されるべき累進歩合制度を誤解して運用することのないよう、また改善基準告示見直しに合わせて専用リーフレット等を作成して、その廃止について周知を強力に実施してほしいということについて、意見とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○藤村委員長 そのほかありますか。馬渡さんどうぞ。
○馬渡委員 最初の段階から度々申し上げていますけれども、バスやタクシーと違って、トラックの場合は我々経営者ももちろんですけれども、経営者の次に発荷主がいて、着荷主もいると。一番強いのは着荷主なのです。何にも関係ないと思われている着荷主が一番強い。言うことを聞かないで帰ってくると不着の原因になりますし、荷物を置かないで来ていないということで、発荷主から大目玉をくらうというような事情があります。
今回、健康上の問題を考えれば、当然労使双方で健康に長く働いていただけるようにすべきところではあるのですけれども、そこを全く考えていない荷主たちを野放しにされると、結局は今までどおり守れない改善基準告示になると思います。今回960時間の残業規制が罰則付きで導入をされたわけですから、それを考えると厚労省の告示ですから、発着荷主に対しても改善基準告示にこういうものがあるのだから、あなたが守らせていない行為をすると行く行く大変になりますよみたいな働き掛けはしていただけないのかなと。今は国交省に通報をして国交省からやりますよという話になっていますけれども、残念ながら荷主たちは国交省から言われても、うちとは関係ないと、あなたたちはたまたまサプライチェーンの中で使っているだけだからみたいな話なので、なかなか言うことを真摯に聞いていただけない状況にあります。せっかくの機会ですので、是非厚労省から直接改善基準告示を余りにも守らない荷主に対しては、守らせない部分で働き掛けをできるようにしていただけないかなと考えております。部会のときにも同じような話をさせていただきますけれども、やはりそこが解消されないと罰則も経営者にきますし、会社が営業停止になるというような実態がありますので、その辺りも考えるとバランスをとっていただけたらと思っています。
○藤村委員長 分かりました。時間を守らない荷主の荷物は運ばないとするのが一番いいのではないかと思っておりますが、いろいろ事情もあるようです。12時を少し回りました。今日の議論でそれぞれ出てきた同意できるところ、あるいはまだ少し隔たりがあるところが相当明らかになってきたかと思います。これからは部会でそれぞれの議論を詰めていただいて、最終的に改善基準告示の改正にもっていきたいと思います。
最後に、事務局から連絡等がありましたらお願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 次回の日時、場所については調整の上、追ってお知らせいたします。
○藤村委員長 それでは、これをもちまして第7回自動車運転者労働時間等専門委員会を終了いたします。本日はどうもお疲れさまでした。ありがとうございました。