第143回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和3年12月22日(水)15:00~17:00

場所

オンラインにより開催
(労働委員会会館講堂(7階))
(東京都港区芝公園1-5-32)

出席者

公益代表委員
砂金伸治、熊﨑美枝子、城内博(分科会長)、原俊之、水島郁子、山口直人
労働者代表委員
小菅元生、勝野圭司、袈裟丸暢子、中村恭士、門崎正樹
使用者代表委員
天沼陽介、鈴木重也、出口和則、及川勝、中村節雄、増田将史
(五十音順、敬称略)
事務局
武田康久(安全衛生部長)、小宅栄作(計画課長)、安達栄(安全課長)、髙倉俊二(労働衛生課長)、木口昌子(化学物質対策課長)、中村宇一(安全課長補佐)

議題

建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について

議事

議事内容

○城内分科会長 定刻になりましたので、ただいまから第143回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は、公益代表委員の髙田委員、労働者代表委員の佐々木委員、佐藤委員、及び使用者代表委員の矢内委員が欠席しております。また、公益代表委員の砂金委員より、所用のため15時40分頃に退席されるとの連絡を頂いております。
本日は、感染症の防止対策として、オンラインにより開催するとともに、報道関係者以外の方は別室にて傍聴いただくこととしていますので、御承知おきください。カメラ撮影等についてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。まず、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いします。
○小宅計画課長 御説明させていただきます。本日は、ハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクをオフに設定をお願いいたします。また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込み、分科会長から指名されましたら、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから御発言するようお願いいたします。このほかに、進行中に通信トラブルなどの不具合がありましたら、チャットに書き込み、又は事務局へメールにて御連絡をお願いいたします。以上です。
○城内分科会長 それでは、議事に入ります。議題「建設アスベスト訴訟に関する最高裁判決等を踏まえた対応について」に関して、事務局から説明をお願いします。
○小宅計画課長 御説明します。資料の2ページ目に、前回の御意見をまとめています。項目別に御紹介しますと、家族就業者について、個人事業者と家族就業者との関係が、下請事業者とその労働者の関係に近いということであるならば、個人事業者が家族就業者に適切に措置することが重要であることも何らかの形で示せないかということがありました。それから、配慮について、他の手段もあるので配慮義務との理解であるけれども、一人親方等についても労働者と同等の保護水準を確保する趣旨は変わらない旨を分かりやすく示してほしい、配慮義務は安衛法第22条に基づかない努力義務にしてはどうか、何をやれば配慮義務を果たしたことになるのかを具体的に示し、どれか1つでも履行していれば法違反とはならないようにしてほしいという御意見がありました。
次に、周知義務について、周知して終わり、例えば「看板を掛けて終わり」ということではなく、きちんと保護具を着けていることの確認を求めるべきではないか、作業計画・作業方法は周知対象から除外してはどうかという御意見がありました。立入禁止等措置義務対象拡大については、立入禁止は掲示でよいこととしてほしいという御意見がありました。掲示について、掲示すべき内容を明確に示してほしいという御意見がありました。
それから、総論的な問題として、様々な事業者が入り乱れている建設現場では、今回の改正は、措置義務が輻輳し混乱するおそれがあるのではないか。例えば、警備会社なども建設現場にはいらっしゃって、誰が誰に対して措置義務を負うのかが不明確になるおそれがないか。また、請負以外に委任契約、委託契約、売買契約など、いろいろな形でその場所に来られる方がいらっしゃるということですので、それらの整理も必要ではないか。それから、石綿に係る掲示、表示について、まず改正すべきではないかという御意見がありました。
こういった御意見を踏まえ、もう一度整理をしたものです。4ページです。基本的には、前回の資料に追記して赤字などで分かりやすくしております。まず、先ほどの御意見の中には挙げておりませんでしたけれども、前回、労働者の定義について厳密性に少し欠けるのではないかということがありましたので、「家族就業者」については、今回は、一人親方が同居の親族のみを使用して作業を行う場合を想定しているということを付記させていただいています。
続いて、先ほどの御意見のところでも御紹介させていただきましたけれども、家族就業者を対象に加えるかどうかということについて、図の上のほうですと、関係請負人(二次下請)と労働者の関係というのがありますが、下の図で言いますと、請負人(一人親方)と家族就業者との関係がこれに近いのではないか、対比できるのではないかと。今回、事業者の責務ということで考えておりますので、この場合、例えば一次下請の関係請負人にどこまでやっていただくかという議論になるわけですが、現行の上の例ですと、関係請負人から二次下請の労働者に対しての直接の指示や指導は、予定されておりませんので、先ほどの対比から言いますと、下の絵にある関係請負人(一次下請)から家族就業者の方への直接の指導や指示というのは、現行と少し齟齬を来してしまうのではないかということです。
その他書いてあるように、全体の体系の見直し、あるいは雇用関係、指揮命令関係に類似したようなことを行ってしまうことによって、雇用関係か否かが不明確になるようなおそれが出てくるということ、3つ目の○ですが、一人親方が周知された情報を基に適切に判断して、家族就業者に対する措置を講じるということが適切ではないかということです。一番下の所に前回の御意見を踏まえて追記しておりますが、前回、下線のような御意見がありましたので、一人親方が家族就業者に対して適切に措置を講じる必要があるということについては、その旨を通達で示す、パンフレットで示すことで、そういった懸念が生じないようにということをやっていってはどうかということを書いております。
続いて、具体的な省令改正のイメージです。7ページ目です。規定事項について4つのグループにジャンル分けして、それぞれ議論してきたわけですが、前回、3つ目の類型に関して禁止、例えば立入りや喫煙の禁止というものについて、請負ですので、発注した事業者がその場に張りついているわけでもない、必ずしもそういうことではないということがありますので、Ⅲ番の類型を2つに分けて考えてはどうかということです。立入禁止や喫煙禁止については、矢印で下のほうの注に書いてありますが、請負ということですので、事業者がその作業場で管理・監督を行っているということではありません、また、雇用関係にありませんので、事業者が直接的に禁止行為を実施させる、あるいは遵守義務を履行することを担保するということについては、限界があるのではないか。このため、立入禁止の手段としては、掲示でも措置義務を果たしたことになることを明確にしてはどうかということです。Ⅲの②については、従前のとおりではどうかということです。※の2つ目については、前々回まで書いてあったところが前回抜けておりましたので赤字になっておりますが、従来から議論いただいてきたところです。
次の8ページです。設備関係につきましては、従前に御議論いただきましたように、設置すること自体については、雇用、非雇用の一人親方などについても効果があるということで改正はいたしませんが、設置した設備を稼働させる等の配慮規定というのは必要だということです。
12ページです。こういうことについて配慮するということをどこまでやればいいのかも明確に示すべきではないかという御意見が前回ありましたので、赤字の部分ですが、以下にあるような内容を通達で明確にしていったらどうかということです。また、2つ目の○ですが、配慮義務について、請負人(一人親方)のみが作業を行う場合でも、労働者と同等の保護水準が確保されることが重要であるということを示していくべきだということが、前回、御意見としてありましたので、そういうことを通達で示す、あるいはパンフレットで分かりやすく周知するという取組を、国のほうでやっていってはどうかということです。
次に13ページですが、前回の御意見の中で、作業計画・作業方法については周知の対象としなくてもいいのではないかというものがありました。これについて※の所ですが、では作業計画で今何を書いていただいているかということですと、具体的に取る作業方法ですとか、労働者の方に実際にやっていただく作業手順など、かなり細かいことを盛り込むことになっております。請負関係ですと、具体的にどういう作業方法を取るかというのは請負人が判断するということですので、この事業者がやる場合にはどういう作業方法・作業手順になるかの情報自体について請負人に周知させるということまでは、必ずしも必要ないのではないかということです。隣でどんな作業をしているかというようなことで、災害が防止できることもありますので、一定程度、必要な情報共有というのが発生いたしますが、そこは安衛法第30条に基づく作業間の連絡・調整など、他の方法で補完できるということが考えられますので、作業計画の周知というのは必要ないのではないかということで、案を変更しております。ただし、※の括弧書きにありますが、安全確保のために必要な情報は共有しなければならないという旨は、通達でお示しをしてはどうかということです。一方で、作業方法については、安全確保のために法令上こういう措置を取ってくださいということで示している、その法定の措置というのがどのようなものなのかということについての周知ですので、こういったものについては引き続き周知が必要という整理をしてはどうかということです。
18ページです。前回、一人親方などが情報を周知されたというだけでとどまるのではなくて、きちっと履行できるような状況にもっていくということが必要ではないかという御議論がありました。それを踏まえまして、赤字の部分ですが、国は、請負人が周知された情報に基づいて、確実に保護具を使用するなど、安全確保のために必要な措置を確実に実施することが必要だという旨を、通達ですとかパンフレットで周知するという取組をしていきたいということです。
21ページ、立入禁止、喫煙禁止、待避など、第Ⅲ類型のところですが、先ほど禁止について見直してはどうかということを申し上げました。そこで、具体的な見直しのイメージです。立入禁止ですとか、特定行為の禁止については、事業者がその作業場で管理・監督を行っているとは限りませんので、表示による禁止も可能であるということを明確にしてはどうかというものです。※で書いておりますが、現行でも表示により禁止するということは認められているところです。具体的な改正のイメージの一番上の現行で見ますと、事業者は、○○○の作業には関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならないとなっております。この「かつ」の前の「禁止」の手法として表示は現在でも認められているところですが、かつ表示しなければならないとありますので、表示以外の方法での禁止が求められているかとも誤解を受けかねない部分もあるのではないかという御指摘も聞いております。そこで、具体的にどういうことをしたらいいのかということで、表示も可能なのだということが分かりますように、改正イメージのほうですが、「事業者は、○○○の場所には、当該場所において作業に従事する者以外の者が立ち入ることについて、禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により禁止するとともに、表示以外の方法により禁止したときは、当該場所が立入禁止である旨を見やすい箇所に表示しなければならない」としてはどうかということです。中身としましては現行と変わっていないわけですが、「禁止する旨を見やすい箇所に表示することその他の方法により」という具体的な禁止の方法を書き込んで分かりやすくしているということです。
一方、待避ですとか加圧措置、減圧時の措置、それから人員の点検については、いずれも事業者側で行う、通常、一人親方自身ができる措置ではないということですので、表示ということではなかなか対応できない、直接措置義務対象とする必要があるのではないかということで、こちらについては修正はいたしておりません。なお、一番下の点検につきましては、入退室時に出入りの状況をボードに記載するなどの方法も考えられるということを、通達でお示ししていきたいと思っております。
26ページです。前回の御議論の中で具体的な掲示内容について分かりやすく示していくべきだということがありましたので、赤字の部分ですが、掲示すべき内容について通達で示す、パンフレットで周知するという取組をしていきたいと考えております。なお、現在、周知義務がありますのは、石綿、有機、特化物ですが、鉛以下の物質によりましても、重篤な災害が発生しているということですので、今回これらについても措置するということで、お願いをしているところです。
それから、建設現場でということで御指摘がありましたが、その作業場に入り込んでいる方、作業していらっしゃる方というのが多数おられて、指示が輻輳してしまうおそれがあるのではないかということについて、考え方を改めて整理したものです。例えば一次下請の請負人であれば、直接契約関係のある二次下請の請負人であるとか、あるいは一次下請の方から直接作業を発注している一人親方が対象になる。それから、二次下請の方であるとか三次下請の方、一人親方ということで、1対1で対応していると。一次下請の方が例えば二次下請から発注を受けた一人親方に何か措置するということにはならないということです。なお、※で書いておりますが、遵守の2番目ですが、これについては、周知ですとか設備の稼働についてです。その現場にいる場人の方に対してということになる掲示ですとか待避のことについては、また全員の方にということで、この図とは違っておりますが、その点、御承知おきください。こういったことで関係が輻輳せずにできるのではないかということで、こういったことも十分に周知していきたいと。
それから、参考資料としてですが、現場にいろいろな方が請負に限らず出入りすることについての御指摘がありました。31ページですが、今回は、基本的に設備の稼働などについては、作業を請け負わせている人についての措置だということです。現行の労働安全衛生法でも、請け負うという関係をベースにして、いろいろな措置をお願いしております。その他、民法上あるいは一般的な概念として、委任ですとか委託という関係もあります。例えば資材の運搬、搬入業者さんというのは、必ずしも請負という形ではないわけですが、先ほどのこういった1対1対応というのは請負の場合であって、その他、掲示ですとか待避措置というのは、請負以外いろいろな形で入り込んでいらっしゃる方についても、措置対象になるということです。
こういったことで、前回の御意見を踏まえまして修正した部分がありますので、御議論いただければと思います。その上で、こういった方向でいいのではないかということであれば、パブリックコメントなりに進んではどうかと考えております。御議論、よろしくお願いいたします。
○城内分科会長 本件について意見等のある方は、御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。砂金委員におかれましては途中退席ということですので、早めに御発言をお願いいたします。中村委員、お願いします。
○中村(恭)委員 中村です。よろしくお願いいたします。資料で言うと7ページになります。7ページの下段に※で今回追記された所ですが、事業者が適切に措置した場合において、事業者が結果責任まで追及されるものではないということで、通達でその旨を示すとなっています。適切に措置をした場合に、事業者の結果責任までは追及されないということは理解はするのですが、ただ、労働者の立場から言わせていただきますと、やはり労働者本人の責任であってもならないと。適切な措置がされているならば、労働者の責任にも及ばないと思っています。労働者以外の者に対しても、労働者と同等の保護水準を確保するために、どのような措置が適切な措置であるかということ、その内容を明確にすることが必要だと思いますし、通達等で示していただきたいと思っています。例えば、その下の注意書きの所に、掲示でも措置義務を果たしたことになる旨を明確にするとなっていますが、単に掲示のみで措置義務を果たしたことになるのではなく、請負人に対して立入禁止等の必要性がきちんと伝わることが適切な措置であると考えます。そういったことを具体的に明記するべきだと思っておりますので、発言いたしました。以上です。
○城内分科会長 幾つか質問を受けてから、事務局より御回答をお願いしたいと思います。続きまして、出口委員、お願いいたします。
○出口委員 出口です。よろしくお願いいたします。建設アスベストということで、前回確認、要望をいたしました。ありがとうございました。その点につきまして、今回、資料全般について再度確認、要望をいたします。まず、資料5ページの部分につきましては、「請負人(一人親方)が判断して家族就業者に対する措置を講じる形が適切と考えられる。一人親方が家族就労者に対して適切に措置を講じる必要がある旨を通達で示すとともに、パンフレット等で分かりやすく周知すること」となっております。当然、パンフレットで分かりやすく周知していただくことは大切なことですが、今回の省令改正については、とても重要な内容と考えておりますので、これら個人事業主、一人親方に確実に伝わるように、各団体様の御協力も得て、確実な水平展開、周知をお願いしたいと思います。
7ページにつきまして、こちらのⅢ番の黄色でマーキングされた項目につきましては、※、注釈で記載していただいております。これらについて通達でその旨を示す、注釈も含めて通達にて示していただけるということであれば、これについては異論はありません。
9ページ、10ページ、11ページについては、前回、努力義務という形で要望させていただきました。それらは努力義務とはならないということでしたが、これらについては助言することなどを含めた幅広い配慮の在り方があることを通達で示していただけるということであれば異論はありません。
13ページの作業計画につきましては、下段に※で記載されておりますが、必要な情報等は、法第30条、安衛則で言えば636条について、作業間の連絡・調整を実施しており、周知の義務付けの対象とはしない、ただし、安全確保のために必要な情報は共有する必要がある旨通達で示すということで、異論はありません。作業方法につきましては、こちらも周知という点で請負契約書、また、附属書類について、口頭等、法定の措置を講じる必要がある旨を伝える、これによって法令を遵守したということを通達で明示していただけるということであれば、異論はありません。
14ページ、15ページ等につきましては、19ページの周知方法を明確にした上で、通知等を発出していただけるということであれば、異論はありません。
21ページ立入禁止措置は、建設業団体が要望した部分が反映されておりますので、異論はありません。重ねて建設現場では、複数の事業者が混在して作業するのが一般的ですので、他の業者が必要な場所に既に表示等を行っている際には改めて表示する必要はないことも、通達で示していただくようお願いいたします。
21ページ喫煙の禁止についても、同様に、我々建設業団体の意見が反映されておりますので、異論はありません。
22ページにつきましては、※に記載されております、「人員の点検については、入退室時に出入りの状況をボードに記載する等の方法も含めた点検の方法についての解釈を通達で示す」ということであれば、建設業団体の要望は通っておりますので、異論はありません。
26ページは、記載していただいております、特定化学物質の鉛など、それぞれこれらの物質について掲示すべき内容を改めて整理して通達などで示すとともに、パンフレット等で分かりやすく周知していただけるということであれば、異論はありません。有機溶剤等のように市販の掲示板等が普及しておりますので、うまく活用して掲示、周知を行っていきたいと考えています。
30ページですが、重層下請における措置義務者と対象者の整理です。こちらにつきましては、これまでの説明によれば、今回の改正の対象は、直接、危険有害作業に従事する者に対する措置、当該作業を請け負わせる請負人を措置対象に加える、危険有害作業が行われている作業場にいる者に対する措置、当該作業場で何らかの作業に従事する全ての者を措置対象に加えるというものでした。これは、措置義務の対象は事業者の責任範囲に大きく影響することから、通達でも明確に明示するように要望いたします。措置義務者とその対象者が請負関係で結ばれた1対1の関係に限定されるということは、事業者にとって非常に重要な事項であることから、通達で明確に示していただき、更に、作業場の区画の解釈につきましても、20ページに一応記載がありますが、基準については不明瞭な点があります。建築中の建物全体ではなく、あくまでも有害作業が行われている作業場所の区画に限定されるという点が非常に重要であると考えておりますので、措置対象の範囲が拡大しないような明確な解釈を通達で示していただくよう、要望いたします。私からは以上です。
○城内分科会長 続いて、袈裟丸委員、お願いいたします。
○袈裟丸委員 今、出口委員からもありました周知について、要望を申し上げたいと思います。先ほども出口委員からありましたとおり、周知とは、一人親方を含む請負人に対して周知すべき内容が確実に伝わること、そして、請負人自らが労働者と同水準の安全確保措置を講じることができること、こういったことが大事だと受け止めておりますので、しっかり通達等で示していただきたいということを、労働側からも重ねて要望いたします。また、労働災害を防ぐということで言えば、周知された情報に基づいた必要な保護具を着用していない請負人がいた場合には、労働者であるか否かにかかわらず、安全のための声掛け、こういったことを行っていくことも重要だと考えています。この声掛けというのは、現状でも多くの現場で行われていると受け止めておりますので、こういった内容も含めてパンフレット等で示していただければと思います。以上です。
○城内分科会長 続いて、中村委員、お願いいたします。
○中村(節)委員 商工会議所の中村です。私からも、本件の改正内用に関する周知について意見と要望を申し上げます。前回の分科会において、「誰が誰に対して、どのように措置義務を行うのか不明確となり、現場の混乱を来す懸念がある」との御指摘があったことを受け、今回、通達やパンフレットを使って周知に取り組むことが示されています。しかしながら、建設現場の多様な実態を踏まえると、書面による周知のみでは不十分と感じます。
今回の改正内容については、建設をはじめ、本措置の対象となる物質を取り扱う業界団体に対して、丁寧に説明し、理解いただくことが必要です。また、そうした業界団体の協力を仰ぎながら、現場実態を踏まえ、「具体的に何をしなければならないのか」を分かりやすく周知していただきますよう、お願いします。そして、業界団体との連携を密にしていただき、従来以上にきめ細やかな周知に取り組んでいただくことが必要と思います。以上です。
○城内分科会長 ここまでの御発言に対して、事務局から御発言をお願いいたします。
○小宅計画課長 事務局です。しっかりと周知するといったことについて各委員からお話がありましたので、適切に対応していきたいと思っております。また、出口委員から、表示について何枚も貼らなくても済むようにというようなこともありましたので、協力し合って1枚貼ればということは、今までもそうだったと思いますし、そういった方向で分かりやすくしていきたいと思います。御指摘を踏まえて対応していきたいと思います。
○城内分科会長 続いて、勝野委員、お願いいたします。
○勝野委員 何点か発言させていただきたいと思います。1つは、7ページの下段の※の中で、先ほど労働側の中村(恭)委員からも発言がありましたが、「事業者が結果責任まで追及されるものではない」という部分になるわけですけれども、ここの書き方だけを見ますと、例えば事業の現場での責任は全て下請事業者にあるというように理解されるおそれがあると考えております。元請事業者としての責任と申しましょうか、免責になってしまうような懸念がありますので、その点をお聞きしたいと思います。
それから、赤字の部分ではないのですが、19ページです。周知については各委員からいろいろ御発言いただいて、私もそのとおりだと思うのですけれども、周知する中身、内容について、警告表示の中身について発言させていただきたいと思っています。周知の中身として、これまで、例えば「取扱い中は必要に応じ防じんマスクを着用してください」と、こういったような表示があったと理解しております。ただ、今言ったような記載内容からしますと、防じんマスクを着用する必要性が高いということを労働者等が認識することは、困難だと思っています。そうした点で、警告表示の内容については、対象物が健康障害をもたらすおそれがあるという危険性をはっきりと指摘した上で、防じんマスクを着用する必要性が高いということが十分理解できる、そういう警告表示の中身にしていただきたいと考えております。
もう1つ、最後の30ページの所で、重層下請における全体の表を示していただいています。実態として、例えば建設業でも重層下請構造があるということについては認識しているわけですけれども、こうした重層構造をなくしていこうと、こういうことが業界の中でも全体の共通認識になっており、日建連さんなども提言という形で、例えば建築は二次まで、土木は三次まで、こういったようなことを提言されているということもあります。この表だけを見ますと、一人親方を含めて第四次までの重層下請の実態と申しましょうか、表が示されていますので、厚生労働省の表と申しましょうか、文書として、こうした第四次まで存在するような表については、ちょっといかがなものかなと思っております。以上です。
○城内分科会長 続いて、及川委員、お願いいたします。
○及川委員 及川です。中小、小規模事業者から見ますと、建設あるいはものづくりの現場で混乱のないように周知していただくというのが極めて大事だと考えております。資料の5ページ、12ページ、18ページ、26ページ、それぞれで「パンフレット等で分かりやすく周知することとする」と書いていただいてはいるのですが、例えば、パンフレット作成に際して、現場の声を反映したものにしていただくとか、業界団体と一緒になってパンフレットを作っていただくとか、パンフレット等で分かりやすく周知するということの4か所の意味について、それぞれ工夫を是非していただければと思っております。どのようにパンフレット等で分かりやすく周知しようとされているのか、もしお考えがあれば、お聞かせいただければ幸いです。以上です。
○城内分科会長 熊﨑委員、お願いいたします。
○熊﨑委員 御説明ありがとうございました。12ページの「配慮しなければならない」という箇所についてですが、これは稼働させるという権限を非雇用の方にも与えていることになるかと思います。その際には、組織外の方に対する情報共有について適切に御指導いただきたいということがあります。例えば、設備の点検や修理作業をしているときに設備を稼働させれば、点検、修理に携わっている人に危険を及ぼすことがあります。このように、情報共有されないまま権限が分散するとシステムや手順が思わぬところで崩れてしまって、危険な状況になる可能性があります。多数の請負業者が入っている現場には、既に情報共有の措置があると考えられますが、改めてお願いしたいというところです。以上です。
○城内分科会長 では、ここまでの御発言に対して、事務局からお願いいたします。
○小宅計画課長 事務局です。勝野委員から、結果責任というところの問題について、安易な免責にならないようにというようなお話がありました。また、元請責任ということもあったかと思いますが、元請責任というのは、現行法令上、規定されております。それに従ってやっていただくことは、従前と変わりがないと思っております。今回は、あくまで第22条の事業者を主語とした第22条の中での議論ということですが、元請の責任というのは全く変わらないと思っております。
また、周知について、単にマスクが必要だというだけではなくて、今やっている作業はマスクを着ける必要があるかどうか、危険性が十分に伝わるようにというような御指摘がありました。資料の26ページにありますように、例えば有機溶剤であれば、今、危険性とか人体への影響ということについて掲示するということになっておりますので、こういったことと併せて、作業の危険性、その危険性に応じてちゃんと保護具を着けなければいけないと、そこもセットで伝わるようにしていきたいと思っております。
30ページの表については、あくまで議論が分かりやすいようにということで作ったものですが、御指摘を踏まえて、誤解のないようにしていきたいと思っております。また、パンフレットの作り方や周知の仕方について、皆様、また及川委員から、業界団体と十分に連携してということでしたので、もちろん従前から業界団体にお力をお借りして周知しているところですが、今回のそういった御指摘を踏まえて、業界団体と十分に連携して、周知に当たっての留意点等についてお知恵を頂きながらやっていきたいと思っております。
熊﨑委員から、一人親方に設備の作動をお任せするというようなときには、例えば点検業者が入っていたというときに思わぬ事故を呼んでしまうというような御指摘もありましたので、関係する方との連絡にも十分注意しなければいけないということも、十分にお伝えしていくようにしたいと思っております。以上です。
○城内分科会長 続いて、小菅委員、お願いいたします。
○小菅委員 小菅です。今後の検討課題に関してということで、前回の資料で示された部分に関する発言ですが、今回の検討は一人親方の保護を図ることを目的に、省令改正として可能な範囲でできるところを議論してきたと思っておりますけれども、やはり今回の対応のみでは、一人親方に対して労働者と同様の保護水準を確保するには十分であるとは言えないと思っています。前回の資料において、今後の検討課題として安衛法第22条、第57条以外の各条文もリストアップされているのですが、挙げられている部分以外でも検討するべきものはあるのだろうと思っております。例えば第29条の元方事業者、あるいは第30条の特定元方事業者との関係であったり、第66条の有害な業務に従事する場合の健康診断の対応など、もちろん労働者と同一にはならないとは思いますが、一人親方の安全確保のために何ができるのかという議論は必要だと思っています。
一連の資料の中で、一人親方について、請負人(一人親方)というような表現、表記が何度かされてきていますが、今回の検討対象となる省令の中では、文脈によって請負人に一人親方を含めるような形になっているわけですけれども、現行の安全衛生法上の中では、請負人には一人親方は含まれていないわけです。こういうことも含めて、今後の検討という中では、一人親方とかフリーランスを含む個人事業者を保護するために、安全衛生法上において個人事業者をどう位置付けるのか、こういった議論も必要になるのだろうと思っておりますので、今後の保護の在り方の検討に当たっては、是非、幅広い視点から、専門家の意見も集めながら進めていくようにお願いしたいと思っております。
これに関連して、1つ質問なのですが、この後パブリックコメントを出すという中で、今後の議論をどう進めるか、何が残った課題かというようなことも言及されるのでしょうか。併せて教えていただければと思います。以上です。
○城内分科会長 では、事務局からお願いいたします。
○小宅計画課長 事務局です。今後の検討事項について御意見を頂きました。幅広くということですので、検討していく中においては、そういった御趣旨も含めて検討いただきたいと思っております。それから、パブコメで具体的に今後の検討事項について何か書けるかということですが、パブリックコメントの性質上、具体的にこういう規制を設けるとかということについての御意見を頂くということですので、今後の検討事項については、聞かないということになろうかと思います。以上です。
○城内分科会長 そのほか、御発言はございますか。よろしいでしょうか。御発言の御希望はないようです。最高裁判決等を踏まえた対応については、これまで4回にわたり精力的に御議論いただきました。おおむね議論も収束したと思いますので、判決を踏まえた一人親方等に対する保護措置を早期に実施するためにも、事務局から本日示された改正方針でパブリックコメントの手続を進めていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。
                                   (異議なし)
○城内分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で所要の手続を進めていただくようお願いいたします。事務局から、今後の進め方について補足はありますか。
○小宅計画課長 事務局です。ただいま御議論いただき、こういった方向でということですので、速やかにパブリックコメントの手続に入っていきたいと思います。その結果を踏まえて、次回の分科会においては、省令改正案の諮問ということで進めさせていただければと思います。パブリックコメントにおいては、年内にも掛けていきたいと思っております。また、できればの話ですが、年度内には公布して、一定の経過期間というか準備期間、1年程度の準備期間を取った上で施行ということで進めていければということで、パブリックコメントの手続に進んでいきたいと思っております。以上です。
○城内分科会長 これで、全ての議題を終了いたしました。本日も長時間にわたり熱心に御議論いただき、ありがとうございました。本日の分科会はこれで終了いたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。