第4回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会(議事録)

1 日時

令和3年11月24日(水)14時59分~16時20分

2 場所

労働委員会会館 612会議室
(東京都港区芝公園1-5-32 6階)

3 出席委員

公益代表委員
  • 東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授 寺田一薫
  • 慶應義塾大学法務研究科教授 両角道代
労働者代表委員
  • 日本私鉄労働組合総連合会社会保障対策局長 久松勇治
  • 全国自動車交通労働組合連合会書記長 松永次央
使用者代表委員
  • 西新井相互自動車株式会社代表取締役社長 清水始
  • 昭栄自動車株式会社代表取締役 武居利春

4 議題

  1. (1)改善基準告示の見直しについて
  2. (2)その他

5 議事

議事内容
○中央労働基準監察監督官 定刻より少し早いですが、皆様おそろいですので、ただいまから第4回「自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会」を開催します。委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただき、誠にありがとうございます。
本日の議事運営に当たり、新型コロナウイルス感染症対策として、原則として報道関係者のみの傍聴とさせていただいており、さらに、傍聴席の間隔を広げるなどの措置を講じた上で運営させていただきます。会場の皆様におかれましては、会場備え付けの消毒液の御利用をはじめ、マスクの御着用や咳エチケットに御配慮いただきますようお願い申し上げます。なお、換気のために常時扉を開けさせていただきますので、あらかじめ御承知おきください。
まず、本日御出席の委員について、御欠席の委員の方はおられませんので、定足数は満たされておりますことを御報告申し上げます。また、国土交通省からオブザーバーとして御出席いただいております。よろしくお願いいたします。
続きまして、お配りした資料の確認をさせていただきます。資料1、参考資料1、参考資料2、参考資料3です。
それでは、カメラ撮りについては、ここまでとさせていただきます。以降の進行は、両角部会長にお願いいたします。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○両角部会長 部会長の両角です。それでは、早速議題に入ります。まずは議題1、「改善基準告示の見直しについて」です。事務局から御説明をお願いいたします。
○過重労働特別支援室長 事務局でございます。よろしくお願いします。資料1のほかに参考資料1、2、3とあります。資料1は、前回の議論を踏まえた告示の改正案等を記載したものでこちらを中心に説明させていただきますが、その前に参考資料1の中に、新しい資料が入っておりますので、先に御紹介させていただきます。まず、16ページです。「拘束時間等について」ということで、拘束時間と休息期間の関係、それから拘束時間は運転時間や手待ち時間を含んだ労働時間と休憩時間で構成されているという基本的なものです。
次のページです。今回はハイヤー・タクシー作業部会ですので、車庫待ちの議論があろうかと思います。現在の「車庫待ち等の自動車運転者」の考え方を示しております。
次に20ページ、労働基準法の改正の関係です。大企業には既に適用されておりますが、御承知のとおり令和5年4月から、中小企業においても、時間外労働が60時間を超える場合割増率が50%となることについて書いております。
最後21ページです。累進歩合制度の通達の内容について記載しております。
参考資料2は、前回10月8日に議論いただいた資料です。
参考資料3は、いつもお配りしておりますA3の告示全体を示した資料です。
それでは、資料1に戻っていただき説明に入ります。まず1ページ「拘束時間について」です。1か月の拘束時間を緑色で書いておりますが、1ヶ月288時間ということで、前回と同じ案を提示させていただきます。この案について、労側からは、288時間は時間外・休日が月80時間を超えるので受け入れ難いが、年拘束のキャップを設けるのであれば検討の余地がある等の御意見をいただいた一方で、使側からは、年960時間の上限規制に休日労働を加味したものであり、1ヶ月11時間の短縮、年間にすると132時間の短縮であれば、ぎりぎり妥協できる数字ではないかという御意見をいただいております。
次に2ページ「拘束時間、休息期間について」です。「案」と「追加案」と2種類ありますが、左の案は、前回提示したものと同じです。そして今回は、前回の労使の意見を踏まえ、もう1つ追加案ということで両論併記の形で提示をしたいと思います。変わったのが日勤です。休息期間については、9時間以上、さらに11時間以上とするよう努めることということ。裏表の関係にある1日の拘束時間については、13時間(最大15時間)。さらに2日以上連続して14時間を超えてはならないという案です。上に追加案と書いてありますが、両論併記ということで、御議論いただきたいと考えております。
次のページは「車庫待ち等について」です。車庫待ちについては、前回の案と同じで、日勤の拘束時間、隔勤の時間について緑の数字ように若干減らしております。ただし、主な御意見として、労働者代表から車庫待ち等の制度を残すのなら、定義を明確にしていただけないかという御意見がありました。これについては、労使の皆様の御意見も頂きながら、できれば次回以降提示したいと考えております。
4ページ「ハイヤーについて」です。ハイヤーにつきましては、労働者代表、使用者代表とも、休息期間を確保することは必要だが、実態を踏まえると具体的な数字についてまで言及しないほうが良いという御意見がありました。そのようなことから、数字を入れない形で、「自動車運転者の疲労回復を図る観点から、一定の睡眠時間を確保できるよう、必要な休息期間を確保すること。」という文言を告示の中に入れてはどうかという修正案を提示させていただきます。
最後5ページ「その他について」です。これも前回の皆様の御意見を踏まえて、文言を整理して修正案を提示させていただきます。
まず、「予期しえない事象」ですが、前回は、事故等で一定の遅延が生じた場合にはやむを得ないということで、休息期間は短縮するとしておりましたが、労使双方から休息期間はきっちり確保するという御意見がありましたので、「休息期間の確保は必要」と変更しております。また、前回11月24日の専門委員会の中で、公益の先生から、予期しえない事象で、拘束時間に含めないことができる時間があったとしても、一定の上限が必要ではないかという御意見をいただきましたので、「拘束時間に含めないことができる時間の上限を設けることとする」という追加案を記載しております。
また、具体的な事象の例として、4つ記載しておりますが、この部分はあまり広がらないように限定的に具体的に示すということと、人為的なものは含めないということを念頭にこの4つを提示させていただきました。また、適用除外業務について、現在トラックのみに適用されている「緊急輸送」「緊急通行車両」の適用除外にバス、タクシーを含めるとの案は前回と同じです。事務局からは以上でございます。
○両角部会長 どうもありがとうございました。前回の作業部会等での議論を踏まえ、ただいまのように事務局から修正案や追加案の提案がありました。ハイヤー・タクシーの作業部会においては、年度末までに見直し案を取りまとめる予定でおります。委員の皆様におかれましては、本日取りまとめに向けた御議論をいただくようにお願いいたします。それでは、前回と同じように、項目ごとに議論をしていただこうと思います。まずは、先ほどの資料の1ページ、日勤の1か月の拘束時間について取り上げたいと思います。日勤の1か月の拘束時間については、事務局より前回、10月8日と同じ内容の提案がありました。この点について御意見はいかがでしょうか。お願いいたします。
○久松委員 両角部会長、申し訳ありません。1か月の拘束時間と1日の拘束時間、休息期間は、やはり相関関係があると思いますので、併せて意見とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○両角部会長 承知いたしました。
○久松委員 申し遅れました。久松です。よろしくお願いいたします。日勤について本日出てきました事務局の修正案については、今回の改善基準告示の見直しの趣旨から申しますと、メッセージ的には非常に弱いものになるのではないかと感じています。しかしながら、1日の休息期間、拘束時間と月の拘束時間を合わせて考えた場合、実務的には現行より確実に拘束時間の短縮が図られると思っておりますので、労側としては十分に検討ができるものだと考えているところです。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はありますか。お願いいたします。
○武居委員 拘束時間については、もともと労働基準法の960時間というのがあり、それを基にアクションプランを作った経緯があります。1年前までに960時間以内に残業を収めるというアクションプランを、全タクとしては出している次第です。その範囲の中で、いかにして実務に合った拘束時間を短くできるかということです。私どもは、もともと960時間というのは休日労働が入っていないという前提の下に考えますと、拘束時間については休日労働が入っているのです。ですから、当然、所定労働時間と休日労働を入れた範囲の中で288時間というのを御提案させてもらっているわけでして、そういう意味でも十分に960時間という労働基準法の改正はクリアできるのだろうと思っております。もともとこれは上限ですので、全員がそこまでやるという意味ではありませんから、是非その辺は御理解いただきたいと思っております。
それと、久松さんからお話がありましたとおり、拘束時間には休息期間との兼ね合いがあるということが当然です。もともと休息期間から最大拘束時間というものが組合から御提示されていると私どもは理解しております。そういう意味で実態と現状の中で、休息期間というのは延ばしてもこの程度ですという意見を何回も出させていただきました。その中で、今回、9時間以上ということと11時間以上とするよう努めるということが入っておりますので、これについては、ある意味ではやむを得ないのかなと理解しております。と同時に、問題は9時間以上ということになっておりますから、当然9時間以上で考えると、通常の拘束時間13、16というものが1時間短縮ということになるので、13、15ということです。15時間というのが現実的には都心部では問題ないのですが、全国の実態はどうなのかなと思っております。
急遽、厚労省ではなくて国土交通省で、コロナ前の時間外労働の実態を調査してほしいということがあって、実はコロナ前に私どもが調査した全国の実態、100時間を超える超えないという問題があったのですが、その実態調査結果を私どもは持っており、国土交通省に報告しております。実態として、正直申し上げて2019年度、100時間を超えるのが全国で21%あったのです。これは全部の調査ですので、そういう実態があったという中で、今回の改善基準の中でどうやって時間短縮をしていこうかということがありました。もちろん、アンケートという実態もありますので、私どもはそれを無視するわけではないですが、実際の全国の労働時間を調査した限り、組合とかそういうことではなくて、各地域の各協会で調べた調査結果というのが出ているのですけれども、それにおいては、2019年度においては100時間超えというのが21%あったという中で、私どもは実態と離れているのだと。ですから、徐々にやらせてくださいという中でこういう数字を提示させていただいたという経緯がありますので、是非その辺は御理解いただきたいということです。以上です。
○両角部会長 武居委員、ありがとうございました。日勤の1か月の拘束時間の問題と、日勤の1日の拘束時間の問題と休息期間は切り離すことができないということで、労使ともにその3つを含めて意見をいただいていますが、ほかにいかがでしょうか。松永委員、お願いいたします。
○松永委員 今の関連性の問題で、いつも休息期間の問題を申し上げているのですが、厚労省の追加案というのは、私たち労働側としては素直に理解できません。前回の11時間というものに、週3回9時間が入っているというものについても、まだまだ私たちには受け入れられないと申し上げたとおりなのです。この追加案の意味合いをもう少し、どういう流れからこういう考え方になったのかというのを説明していただくとともに、私どもは前回の案を受け入れていないので、そこを踏まえた上でもう少し議論させていただきたいと思います。
○両角部会長 ありがとうございます。それでは、追加案について、もう少し事務局からお話いただけますか。
○監督課長 事務局です。前回、10月8日に左側の案で休則期間を原則11時間、週3回まで9時間、拘束時間については13時間、週3回まで15時間という御提案をさせていただいたところ、労側の委員の皆様からは御評価いただいた一方で、使用者側の委員の皆様からは、やはり実態からしてなかなか難しいという御意見を頂きました。そうした御意見を踏まえた上で、かつ、前回は休息、拘束と並べましたが、現行の改善基準が拘束時間を中心として運用しているということも踏まえた形で、新たな追加提案として拘束時間を13時間、最大15時間、ただし、連続して14時間を超えてはいけないというルールをベースにした上で、休息期間についても下限として9時間以上、ただし、努力規定として11時間以上とすると、こういうセットで御提案したところです。前回、11時間を基軸に据えておりましたので、それと比べるとメッセージ性が弱いという御指摘のとおりだと思いますが、努力規定とはいえ11時間という数字を残した上で、こういった形で前回の議論を踏まえて追加提案させていただいたという経緯です。
○両角部会長 確認ですが、追加案というのは、先ほど両論併記とおっしゃったように前の案がなくなったわけではなくて、前の案と今回の追加案が両方あることを前提に御議論いただきたいという趣旨です。松永委員、何かおありですか。
○松永委員 今の説明も含めてなのですが、この会議をこういう形でスタートするに当たって、まず、働き方改革の問題から時間外の問題も含めてどう改善しなくてはいけないかという議論だったはずです。その中で、是非2019年度のアンケート調査を前提に、ある程度その中の答えも含めた中でしっかり作っていかなくてはいけない問題だと思っております。また、前回、前々回も申し上げたとおり、世界的な基準の中で法人タクシーという大変すばらしい日本のタクシーの組織があるわけですから、その中で世界の基準以上にしっかりしたものを作るべきだとお話させていただいたと思っているのです。そういった意味では労働者を休ませる、しっかり労働時間に頑張って仕事をする、そういった観点から最初のときに申し上げたとおり、一体、睡眠時間は何時間必要なのだ、食事を取る時間は必要なのか、風呂はどうするのだという中で、まず通勤時間を含めたら11時間というのが適切な数字ではないかと申し上げた後に、アンケート結果もそれに準ずる答えが出てきているわけですから、是非とも11時間という休息期間は前提で議論させていただきたいというのが労働側の主張です。
その中で前回、週3回9時間という提案を私どもがどうかみ締めていくのかということを労働側も少しずつ議論してきています。そういった意味では、今回の追加案の9時間以上11時間以上とするよう努めるというメッセージは、労働側としては受け入れられないと思っておりますので、もう少しこういった議論の時間を取らせていただく必要があるのかなと思います。よろしくお願いいたします。
○両角部会長 ありがとうございます。これらの点は、労使の御意見がいちばん異なる所で、今日最も重要な論点ではないかと思いますので、活発に御議論いただければと思いますが、いかがでしょうか。久松委員、お願いいたします。
○久松委員 久松です。先ほど武居委員から御報告のありました20%程度の事業者が100時間の時間外労働が実際にあるということでしたが、同じような感覚を私どもも持っています。車庫待ち営業の実態のあるところは、丸々使っているかどうかは別として、やはり、1日の拘束などが長くなっているような実態がありますので、恐らく20%の事業者というのは、車庫待ち営業かそれに近い営業形態での事業所ではないのかなと想像いたします。したがって、また後ほど議題になってきますが、車庫待ち営業のところでの議論も含めて、そういった点を踏まえての議論をしていけばいいのかなとも思っています。
○両角部会長 ありがとうございます。武井委員、お願いいたします。。
○武居委員 問題は、11時間というのは過労防止という問題と同時に、労災認定という問題が入ってきたことを現実論として、それを基に11時間という数字が出てきたというように理解しています。当初は、11時間というよりはILOを含めて10時間という論議からスタートしたように理解していたのですが、急遽、厚労省で現実論として11時間というのが労災認定の中で考慮すべきであるということが出たために、11時間という問題が大きくクローズアップされたのかなと思っています。現在は8時間以上ですし、厚労省としては御存じのとおり、1時間延ばすことによって補助金まで出すという実態があります。つまり、今は現実、一般産業的には8時間というのが現実論としてあるわけでして、それをタクシーだけが急遽11時間までしなければいけないというのは、どうしても私どもとしては理解できません。一般産業が8時間以上であって、タクシーは11時間以上やらなければ過労防止にならないのですかと思います。
労災といっても、交通事故はあっても、過労で労災認定を受けたというのは、タクシーに関してはほとんど厚労省から発表がないのです。ですから、正直申し上げて休息期間と過労防止、労災という問題がリンクしているのかどうかというのが若干私どもとしては理解しづらいといいますか、そことリンクするのはいかがなものかと思っているわけです。ですから、先般の部会でもお話したとおり、10時間という平均の部分の中で8時間という限定的なものができないかという論議をさせていただいたのです。つまり、私どもは実態的に休息期間を毎日11時間確保するということになりますと、都市部においても11時間を確保できない日が出てきています。つまり、13時間拘束が最大限ですので、お客様の都合とか、そういったところで30分ぐらい遅れるとかといったら確実に11時間取れないということになりますので、それは実態的に都市部といえども11時間を原則論とするのは難しいということで言わせていただいたわけです。
9時間というのがなぜ妥当かというと、一般産業では9時間に対して補助金まで出しているという現状の中で妥当だという事、なぜタクシーだけが急遽、11時間という論議にならなければいけないのかと。タクシー産業というのは、確かに一般産業よりも長時間と言われているかもしれませんが、あくまでも最大拘束時間というのは全員がではなくて、ごく一部の人がこれだけの時間まで限度でやっているということであって、ほとんど所定労働時間というのは実態として288時間以内に収めているのです。それはアンケートでも出ています。ですから、その中での拘束を含めて288時間ですよ、都心部では拘束時間13時間でやっているところがありますから、休息期間11時間では何かあったときにとてもではないけれども仕事的に無理ですよねということの中で、10時間は受け入れられないと。特に、8時間という問題については、地方から8時間は残してほしいという声があるという中で、何とか8時間を週のうち何回か認めるような形を取っていただけませんか。というのは、全国の声としてそういう声があったということで御紹介させていただいたわけです。
ですから、私どもは実態的に休息期間9時間というのはそれでいいのだろうと思っています。というのは、この資料にもありましたとおり、令和5年4月から60時間以上5割増しになるのです。つまり、拘束時間を短くしない限り、同じ労働時間を働かせますと賃率と言われる賃金が一気に上がってしまうのです。そうなると多分、現実問題として残業時間を非常に抑えるような状態に全国ともなるだろうと。そうなってくると、先ほども言いましたように、当然、上限ですから、最大拘束時間を抑えていけば、休息期間も必然的に9時間以上若しくは11時間に近い数字で各会社が拘束時間を抑えていかざるを得なくなるだろうと。とてもではないけれども、5割増しで払うほど採算が出てくるかというのは、ちょっと今の状態では疑問なので、ここがやはり非常に大きな部分になるだろうと。ただ、それは予測であって実態でそうなるかどうかは分からないので、そういうことを考えた上で、やはり9時間というのがある意味では妥当かなと言わせていただいたということです。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。久松委員、どうぞ。
○久松委員 久松です。武居委員、しかしながら、そもそも自動車運転者に改善基準告示というものがなぜあるかということを考えたほうがいいのではないのかということがあると思います。一般産業よりそもそも改善基準告示は厳しい、拘束時間、休息期間も含めた厳しい基準が告示となっています。それはなぜかというと、私たち自動車運転者については、過労運転を原因として事故が起こった際、利用客や他の交通に対して危険を及ぼすという、そういった大きな問題があるからこそ、一般産業よりも厳しい改善基準告示というものが定められていると理解しています。なおかつ、一般産業については、時間外労働の罰則付きの上限規制については、一般則45時間の360、例外的には720ということでありますが、なぜか年間の総労働時間として960時間と、ここで緩和されているというところが、そもそも疑問があるのですけど、その上で改善基準告示でしっかり安全に対してキャップをはめていけばいいと。
その際には、休息期間であったり、1日や1か月の拘束時間を定めていった上で過労運転を防止して、利用者や他の交通への安全を担保していけばいいと考えておりますので、なぜ一般則より厳しい基準を作らなければならないかということを言うと、そもそもから議論がおかしくなってくるのではないかと感じています。以上です。
○武居委員 いや、私は決して一般則より厳しくしてはいけないということは言っていなくて、ドライバーですから当然お客様をお乗せしているわけですし、あって然るべきだと思っています。ただ、一般では休息期間についてはほとんど論議されていないのです。ブラック企業と言われているような企業もいまだにありますが、そこにおける休息期間というのは問題視されない。実は残業時間はある意味では非常に問題ということでテレビでも出ますけれども、休息期間というのはなかなか出てこないという実態があるのです。今申し上げたとおり、改善基準というのは、休息期間というよりは1日の拘束時間を基本に行政の指導というのが今まではあったのです。ですから、そこに伴って休息期間がそこから出てきているという発想ですので、休息期間から拘束時間を決めていくのではなくて、拘束時間から休息期間というのを決めていくというのが改善基準の在り方だと思っています。
正直申し上げて、私どもは決して現状がいいとは思っていません。久松さんがおっしゃるように、我々も720時間という部分に向かってこれからやっていかなければいけないということに対しては認識しているつもりです。ただ、当初から運輸業については、960時間で特例としてスタートしましょうと今言っているわけでして、スタートしましょうというのに720時間に向かって改善基準だけをそれに合わせていきましょうという論議でどんどん進むというのは、ちょっとおかしいですよね。私どもは960時間やって、それでまた大きな問題が起きてきてはいけないのですが、少なくとも720時間に向かって何年後かには論議していかなければいけないと思っているのです。そのときに、やはり改善基準も720時間に向かった改善基準に向かっていくべきであって、今から一気に一般よりも3時間も長い休息期間を取らなければいけないのだというのは、ちょっと急激すぎるのではないかというところが私どもの意見です。それは、全国の意見として御理解いただきたいと思っています。
今日は担当2人ですが、私どもは東京の事業者なので、東京の事業者のことを話してしまうと全く進まなくなってしまうので、そこら辺は是非御理解いただきたいと思っております。
○両角部会長 ありがとうございます。松永委員、どうぞ。
○松永委員 松永です。最初に武居委員に言っていただいた100時間以上の、地方全体で20%あるというのは、先ほど久松委員からも出ましたが、議論するなら車庫待ちも一体で議論する必要が出てきてしまいます。ですから、私もこの数箇月で40社ぐらいの車庫待ちをやっている会社、事業者、労働側といろいろ話をしました。300時間を超えることは、今はないのだと。特例を使っているところはほぼなくなって、299時間までに必ず抑えているという言い方でした。ですから、この100時間のアンケートのパーセント議論をするのであれば、東京のように大きな、流しもきくような市場と、地方の車庫待ち待機が圧倒的に多い地域の見比べをしなくては、アンケートの答えというのは正式に出ません。
ですから、ある程度960時間という1つの定義の中で、一般則よりも長く時間外で働ける環境の中でそれを何とか抑えていかなくてはいけないという議論なので、もしそういう幅広い議論をするのなら、是非とも車庫待ちというのを私は残してくれと言った立場ですが、かえってなくしてしまったほうが議論になるのかなと思います。
本気になって皆で議論するのに全国の状況が違うというのは、武居委員と私も全く同意見なので、全国の状況は、タクシー業は違いますが、1つの結果を出すに当たって1つの数字を明確に決めていくという必要性を私たちはお伝えしているので、休息期間という在り方がどれだけ必要かというのをしっかり訴えさせていただいていると思っています。私どもは、1か月の拘束時間を275時間という要望をずっと出してまいりました。年間3,300時間、それを先ほど久松委員が冒頭に言ったように、事業者が出した288時間の、厚生労働省からも案が出てきた中で、1つの考え方として労働側もタクシー部門はこれを受け入れるのであれば、休息期間をしっかり決めたいという考え方でおります。是非、私どもとしては11時間というものを前提に考えたいというのはずっと申し上げていて、この主張は今も変わりませんので、1つその議論をよろしくお願いいたします。
○両角部会長 ありがとうございます。清水委員、どうぞ。
○清水委員 清水です。働き方改革の中で、柔軟性を持たせて一生懸命働ける環境を作りましょうということで始まっていますが、仮にこの拘束時間が13時間、休息期間が11時間ということになると、合わせて24時間です。それこそ柔軟性を持たすことのできないシフトになってしまって、運用する上では大変難しいことになります。8時間から、なぜ11時間にいきなり3時間も急激に延ばす必要があるのか、そこが私は分かっていません。今言ったように、13時間に11時間を足してしまえば24時間なので、それこそ地方はシフトをどうやって組むのかと。例えば、お客さんがいるので明日30分早く来てくださいといったときには、それができないわけです。あまりここで窮屈に規則で縛ってしまうのもどうかと思っております。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。まだ御意見はあると思うのですが、ちょっと整理させていただきたいと思います。まず、労働側は、今回出された追加案ではなく、先に出された案についてはどのような御意見でしょうか。
○久松委員 私と松永さんとで主張が少し離れてしまっております。私も冒頭で言いましたとおり、追加案はメッセージ的に弱いということを感じていて、今回、改善基準告示の見直しの結論を出しますと、恐らく次の改善基準告示の見直しは、自動車運転者も一般則の月45時間、年間360時間、特例で720時間、一般則のほうに合わすときだろうと思いますが、一体それは何年先なのだろうと。2024年の次、何年先なのだろうと思いますと、松永委員がおっしゃるとおり、私もこれまで主張してきましたが、この11時間には脳・心の問題も含めてこだわりたいと思っているところです。しかしながら、少なくともいつまでもそういった主張をしていて結論に至らないのであれば、実務的な部分で検討していく必要もあるのかなと感じているというところで、よろしくお願いしたいと思います。
○両角部会長 ありがとうございます。休息期間は11時間が望ましいけれども、現実的な観点から検討も必要かもしれないということですね。使用者側は、追加案であれば前向きに検討できるという御意見でしょうか。
○武居委員 休息期間について、追加案についてはこれならば譲歩できるのではないかと理解しています。ただ、拘束時間の問題で13時間から16時間というのが、当然9時間以上ということになれば1時間短くなるわけですが、2日以上連続して14時間を超えてはならないと。これは意味がない話であって要らないのではないかと思っています。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。少々議論を整理させていただきました。それでは、引き続き御意見を頂きたいと思います。ほかに何かございますか。よろしいですか。
○久松委員 はい。
○両角部会長 日勤の1か月の拘束時間、1日の拘束時間と休息期間については、双方とも御意見を十分に頂いたということでよろしいでしょうか。
それでは、続いて今度は隔勤の問題に移りたいと思います。こちらも3つの論点を切り離さない方が良いかもしれませんね。隔勤の1か月の拘束時間については、前回と同じ提案となっており、隔勤は1日の拘束時間、休息期間についても前回と同様の内容で提案が事務局よりなされております。この点について御意見はいかがでしょうか。お願いいたします。
○久松委員 久松です。隔日勤務についてはこれまで何度も繰り返し主張させていただいておりますが、現行の拘束時間、2暦日の休息期間と拘束時間、全てが現行では到底受け入れられないと思っています。繰り返しになりますが、隔勤という身体的にも精神的にも負担の大きい勤務については、少なくとも休息期間は24時間確保すべきだと思っています。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。他に隔勤について御意見はありますでしょうか。清水委員どうぞ。
○清水委員 清水でございます。隔勤についてはこの数字でいって、時間外が月60時間以内に収まるということでございますので、是非この現行どおりをお願いしたいと思います。
○両角部会長 ほかに御意見はありますでしょうか。松永委員どうぞ。
○松永委員 松永です。前回事業者側から隔勤の拘束時間というのは22時間というのも検討してもらいたいという声があったのですが、今の清水委員の話ですと、この隔勤の内容で要請したいということでいいんですかね、議論としては。
○武居委員 休息期間について現状維持という話になったので、じゃあ22時間を出すわけにはいかないと、こういうことです。本来は週に1回、拘束時間の範囲内で、曜日によっては、例えば拘束時間はこんなにいらないので、早帰りして、金曜日ですとかそういうときに長くしたいという本音はあります。ただ、休息期間の論議は、24時間とか長くしてくれという論議になっているときに、1日の拘束時間を延ばそうという論議はなかなか言いづらいよね、という感じです。現状維持でもしょうがないかと黙っているところです。本来は22時間。週に1回ぐらいはやらせたいという本音は持っています。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。隔勤について、ほかにはよろしいですか。
○松永委員 久松委員が言ったように、労働側は休息については24時間というものを主張させていただいているとおり、何も変わりはありませんので、是非私どもの考え方については、そこでよろしくお願いします。
○両角部会長 久松委員、お願いします。
○久松委員 久松です。このところちょっと隔勤の勤務について、現場のドライバーたちともよく議論はしているのですが、やはり先ほども申しましたように、今回改善基準告示の見直しがあったら、次は一体いつになるんだというところで見たときに、なぜ隔勤は現行どおりなんだと。働き方改革、時間外労働の見直しをされている中で、なぜ隔勤はこれまでどおりなんだという声は、やはりたくさん聞いているところです。私自身も隔日勤務でタクシー乗務をしていた経験者なのですが、昼夜通しての勤務で、家に帰ってきて体は疲れているのです。布団に入って寝ようとするのですが、頭が冴えて冴えて、2時間も3時間も夜が明けるまで本当に寝られないような状態で、精神的な高ぶりというか、疲労というか、そういうところからなかなか寝付けません。そういう話も最近よく仲間としているところです。そのように本当に特殊な勤務形態であり、過酷な勤務でありますので、今回の改善基準告示の見直しの趣旨から申しますと、現行どおりで、このまま放置するということは到底許せないと思っています。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。隔勤について、ほかに御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは続きまして、先ほどからのお話でも言及されているところですが、車庫待ちについて、続いて御議論いただきたいと思います。車庫待ちについて事務局からは、定義は課題として別途検討して示すことを前提として、前回10月8日の案と同じ提案がなされております。この点について御意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。松永委員どうぞ。
○松永委員 松永です。先ほど少し申し上げたとおり、この車庫待ち案というのは正しく地方の案なのです。ですから、本当にこの322時間を300時間までに延長できるという是正をすることは、地方部としては、今は本当に人手不足で大変厳しい状況の中で、こういう長時間の拘束をする人もいないという状況にあるので、この300時間までの延長に下げることはこれでいいのではないかという考えを大変多く頂いています。
ただ、今、申し上げたとおり、先ほどの1日の拘束時間、休息期間の議論と一体論で、やはりどちらかといったら都会型と地方型のあり方がここにあるのだと思っていますので、この車庫待ちについては、私たちはこれでいいと思っていたのですが、ただ、前半の議論が前進をしないのであれば、やはりこの車庫待ちの地方部、都市部という部分での分け方の中では、前半をきちっと決めていかないと私たちはこの車庫待ち定義については、地方部としてはこれでいいと判断をしているのですが、先ほど言った1日の拘束時間、休息期間の前提の前のところを、やはりしっかり決めていくことがここにつながるのだと思っているので、そこを是非よろしくお願いします。
○両角部会長 ありがとうございます。車庫待ちについて、ほかに御意見はありますか。
○久松委員 私からは、以前より車庫待ちの時間についてはこれでいいと、松永委員がおっしゃったとおりで、この事務局案でいいと思っているのですが、定義の部分です。定義については、先ほどの参考資料1の17ページの所に記載されているのですが、1つ目の○の中、その下の1つ目の黒ポツですが、「営業区域が広く、一旦出庫すると途中帰庫の機会がなく、勤務時間のほとんどについて『流し』営業を行っている実態でないこと」とされています。国土交通省で「流し」営業が実際にある地域か、地域ではないかというところは、人口30万人のところで線引きがされているのですが、これについて明確に事業所又は車庫の所在地が人口30万人未満の自治体にあることと定義を明確にしてもらいたいと考えています。国土交通省が定める営業区域の単位で判断しますと、実情にそぐわないというような実例が出てきます。例えばですが、神奈川県の京浜交通圏というところがあるのですが、横浜市、川崎市、横須賀市、三浦市が事業区域になります。横浜市370万人、川崎市150万人、横須賀市40万人、三浦市は4万人というところで、京急の駅が2つあるだけなのですが、そこは乗車頻度が非常に少ないということがあるので、丸々車庫待ちというような営業になっていますから、国交省が定める営業区域単位での判断ではなくて、先ほど申しました事業所又は車庫の所在地が、人口30万人未満の自治体にあることというように定義を定めていただきたい。そうすると、全国でほぼ実態に合うと考えています。以上です。
○両角部会長 ありがとうございました。久松委員から、車庫待ちの定義についての御提案を頂きました。ほかに御意見はいかがでしょうか。
○武居委員 車庫待ちの対応地域というのは、厚労省で判断をするというように理解していいのですか。今、言ったように営業区域の問題やそういった中でのエリアの問題という部分があるのでしょうが。
○過重労働特別対策室長 その定義を新しくどうするかということで、事務局から提案はさせていただき、皆様の御意見を頂戴したいと考えております。
○武居委員 分かりました。私よりも定義については、久松さんや松永さんのほうがはるかに実態を知っているので、あまり私は論議したくない。私たちは知らないという話になってしまうので申し訳ないのですが、やはりそこまでは把握していません。
ただ、現実論として、その車庫待ちについては当初なくすという話が、松永さんにも、久松さんにもありました。もう日勤と同じという発想があったのですが、これはやはり全国から、現状として車庫待ちは維持してほしいと全タクのほうにも入ってきています。ある意味では、時間については、300時間は問題ないのではないかという意見もきていますので、できたらこれでお願いをしたいと思っています。ただ、松永さんが言うように、通常の日勤や隔勤など、そちらが決まらないとこちらも決まらないという論議とは、ちょっと違うのではないかなと。これはこれでもういいのではないのかなと、私は考えています。これは実態に合わせている部分なので、現実に288が例えば299にしても、以前と同じで299を上限にしても構わないという論議になったとしても、これは300なので1時間だけ、322は確かに22時間短くなってるわけですが、実態的にはこれは別個に考えていいのかなと考えていますので、これはこれで理解をしています。このとおりでお願いをしたいと思っています。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。車庫待ちについて、松永委員、お願いいたします。
○松永委員 松永です。私が申し上げているのは、この車庫待ち定義を特例として出せば、この300時間は地方部についてはこれが勤務体系になるのです。ですから、前半の部分の1日の拘束時間、休息期間というのは正しく都市部で該当するような位置付けに自然となるのです。ですから、この車庫待ち定義は最初から申し上げているとおり、私は、車庫待ちは残してくださいと言っていた立場なので。ただ、都市部と地方部というタクシーの議論なので、どことどこを分けるという議論では最初からなかったので、休息期間、拘束時間というものをしっかり作って、当然この車庫待ちも数字は322から減っても、ここをしっかり残していく。これで地方部というのはしっかり対応できるという考えでいるということを申し上げているので、よろしくお願いします。
○両角部会長 車庫待ちについて、ほかに御意見はありますか。よろしいでしょうか。
それでは、続いてハイヤーについて御議論いただきたいと思います。ハイヤーについては、資料の4ページを御覧いただくと事務局から修正案が出されています。修正は、赤字のところです。先ほどありましたが、「自動車運転者の疲労回復を図る観点から、一定の睡眠時間を確保できるよう、必要な休息期間を確保すること。」というようになっています。この修正案を踏まえて、御意見を頂きたいと思います。松永委員どうぞ。
○松永委員 松永です。ハイヤーの部分は、このブルーの部分と新たにこの赤のことが入ってきたのですが、今まで休息期間という定義はなかったのですが、それをここに入れていただいたことも、やはり労働者の自覚と事業者の自覚という部分では有り難いと思っていますので、このハイヤー部分の内容については、私個人としてはいいのではないかと思っています。
○両角部会長 ほかにいかがでしょうか。武居委員。
○武居委員 当初、休息期間、努力時間を入れるべきという発想もあったので、実務的にはちょっとそれはきついなと思っていたので、松永さんがおっしゃるように休息期間を設けることという形で譲歩していただいたので、使用者側としては全く問題ありません。よろしくお願いいたします。
○両角部会長 ありがとうございます。ハイヤーについては、労使ともこの修正案でよいのではないかという御意見です。私から修正案についての意見ではないのですが、公益委員として申し上げたい点が一つあります。ハイヤーについては、業務の性質上の特殊な事情があるということは、労使双方とも初めから一貫しておっしゃっており、それはそうなのだろうと理解しています。ただ、年960時間という労基法上の上限規制は、強行法規としてハイヤーにも掛かってくるものです。前に松永委員がおっしゃっていたように、顧客のニーズに合わせて勤務が不規則になったり、自宅で睡眠をとることが難しいような特殊な業態だということですので、ハイヤー運転手についても、是非、労働時間の把握をきちんとしていただきたいと思います。そうでないと年960時間が守られない恐れがあり、それは非常に問題であると公益委員として考えております。
○松永委員 報告としてなのですが、ハイヤーという職業の、大変難しいと申し上げてきた中で、拘束時間以前に上がる場合もあるのです。次の日が早いときには前倒しをする。ですから、仮眠施設が大体ハイヤーの営業所には置いてあるのですが、どうしても次の日が早い仕事のときには、早めに寝て、時間以前に起きるというずれをせざるを得ない。お客様優先という考え方でやっているので、その労働時間が超過される部分というのは今までの歴史でありました。それを是非、是正するためにこういう1行が入ることも、すごくいいことだと思っていますので、どんどん積極的にこのハイヤー部分を私たち労働側から、事業者側にしっかりと声を出していきたいと思いますので、この中身についてはとりあえずスタートとしては大変いいのではないかと思っています。
○両角部会長 ありがとうございます。ハイヤーについては、よろしいですか。
それでは、その他についてです。これについてもたくさん修正がありますので、読み上げませんが、予期しえない事象について事務局から修正の提案がされています。これを踏まえて、御意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。久松委員。
○久松委員 私としては、休息期間の確保が必要ということが明記されたこと、それからまた具体的な事象の例が、より抽象的でなく本当に具体的な例として示されているということで、評価をしていきたいと思っています。これを前提に結論付けていけばいいのではないかと考えています。
○両角部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。清水委員どうぞ。
○清水委員 清水です。具体的な事例の中に、できればお客様の都合によるというものを、是非、加えていただきたい。これが一番、現場としては問題になっている部分で、途中でお断りをすることができない規則になっていますので、その点も御配慮いただければと思います。ここは多分、国土交通省さんとの絡みになると思いますが、運送の引受義務というものがありますので、そこは断れない。断れないことによって、超過をしてしまうことがあるということを御認識いただければと思っています。
○両角部会長 ありがとうございます。この点について、ほかに御意見はありますか。
○松永委員 久松委員と全く同じで、この内容が具体化されたことを大変有り難く思っています。ありがとうございました。ただし、今の清水委員の意見は、お客様ありきで何でも逃れられてしまうという中で、やはりしっかりと労使が一体となって、けじめを付けなくてはいけないことは付けなくてはいけないと考えていますので、あまりその文章は労働側としては適さないのではないかと思います。
○両角部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。
○久松委員 私も松永委員と同様で、以前の修正前の案の中では「予期しえない事象による遅延等」ということで、ちょっと曖昧な部分があり、その中で乗客の都合というものの解釈が生じたら嫌だなと思っていたところがありましたので、今回、具体的な事象の例にそういったものが入っていないことが明らかになりましたので、評価をしたいと思っています。以上です。
○清水委員 清水です。その部分については、運輸規則との絡みがあるので、そこの整合性をしっかり取っていただきたいというのが、私のお願いです。
○両角部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。予期しえない事象の具体的な内容についての議論となっていますが。
○監督課長 もともと、これを今回入れたのは、拘束時間等について全体的に見直していく中で、何らか例外的な規定を置けないかということで、ヨーロッパの例を参考にしてこういった規定を置かせていただきました。基本的にはヨーロッパの考え方と同じように、冒頭に書いてあるとおり、事故、故障、災害等、あらかじめその発生を予測することができない外から起こった事象に関して、例外的に認めるという発想でやっています。その1時間の拘束時間、月の拘束時間、まだ議論が尽きていませんが、少なくとも1日については16時間までだったところを15時間までには引き下げるという御提案をさせていただいている中で、これまでもこういうことはあったと思いますが、清水委員から御指摘いただいたような、お客様の都合で、その日、突然延びざるを得ないと、そういうものが新たな見直し後の規定の中で、飲み込めるのか、飲み込めないのかというところもあろうかと思います。今、国交省さんの基準のことに言及いただきましたが、そういったことも踏まえて事務局でも考えさせていただければと思います。
○両角部会長 はい。分かりました。
○監督課長 すみません、ちょっと話が遡って恐縮なのですが、1日の拘束時間、2暦日の拘束時間について、私どもの舌足らずな点があって補足説明をさせていただければと思いますが、参考資料の16ページに今回追加した資料で、「拘束時間等について」という資料を付けています。拘束時間というのは、この自動車運転者の改善基準独特の概念ですが、これは1日の拘束時間については始業からカウントして、そこから24時間以内ということで、その間の拘束時間について、規定を守っているか守っていないかということになります。ですから、こちらの例で申しますと、8時から23時まで拘束時間ですが、翌日の7時から8時までについても、8時から24時間に入りますから、合計して16時間ということがこの日の8時から始まる24時間の拘束時間ということになります。
一方で、休息期間については、勤務が終了して、連続して取得した休息期間をカウントしますので、ここで言いますと23時から7時までという例ですので、8時間ということになります。仮に翌日の始業がこれと違って、9時に逆に延びたという場合は、休息期間は23時から9時までの10時間を取ったという評価になります。それが、今の自動車運転者の改善基準における拘束時間、休息期間の考え方です。
一方で、2暦日の隔日勤務の休息期間、拘束時間について、最初の資料の2ページ目で20時間、21時間と書いてありますが、まず拘束時間ですが、拘束時間は規定上2暦日における拘束時間21時間と規定しています。この場合は2暦日なので、0時から24時の2日間、暦の2日間における拘束時間が21時間というのが現行の規定になります。
一方で、2暦日の休息期間といっていますが、これは先ほどの1日の休息期間と同じ考え方で、勤務が終了してから継続20時間以上を取得しなければいけないという考え方が、今の2暦日の休息、拘束の考え方です。そういうわけで、1日と隔日勤務について、同じように書いてありますが、若干考え方が違うといいますか、隔日勤務のほうは拘束時間を2暦日で考えているということになります。
この休息期間を20時間としている考え方は、今、通達が手元になくて解説書から述べさせていただきますが、隔日勤務に就く自動車運転者については、勤務終了後、継続20時間以上の休息期間、すなわち20時間は次の勤務に就かせてはならない。これは要するに連勤を禁止する趣旨であると。原則的には非番日ということで、24時間以上ということになるが、次の勤務の開始時刻との関係も考慮し、少なくとも継続20時間以上としているものであるというのが、現在の隔日勤務の休息期間の考え方ということになります。資料上、その辺りが舌足らずで恐縮なのですが、こういう考え方を前提に御議論いただければと思います。
○両角部会長 御説明ありがとうございました。遡る形で、拘束時間、休息期間についても日勤・隔勤のそれぞれの考え方について補足的に説明を頂きました。それを踏まえて、また、御意見があれば頂きたいと思います。そのほか、予期せぬ事象についての御意見も、ありましたら伺いたいと思いますがいかがでしょうか。よろしいでしょうか。久松委員、何かありますか。
○久松委員 一応、事務局案の論議は終わったということで、次の点について1つお願いをしたいのですが、専門委員会、または作業部会の中で、私は最初の頃に累進歩合制度について検討をお願いしたいということを申していました。本日の参考資料1の最後の21ページに、参考として累進歩合制度についての資料が添付されています。これにあるとおり、左側の上、いわゆる93号通達において自動者運転者の賃金制度については、歩合給制度のうち累進歩合制度は廃止することとされています。
なおかつ、この右上にあります平成26年、2014年1月24日付けの通達に記載されていますとおり、累進歩合制度については長時間労働やスピード違反を極端に誘発する恐れがあり、交通事故の発生も懸念されることから、廃止すべきこととされています。月例給の累進歩合制度については、これらの通達に基づき監督指導がされているところで、改善が進められているところなのですが、ボーナスや臨時給など1か月を超える期間ごとに支払われる賃金において、累進歩合制度を採用している事業者が多く見られる現状があります。賃金等は労働基準法で、「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものをいう。」と定められていますが、平均賃金の算定では臨時に支払われた賃金及び3か月を超える期間ごとに支払われる賃金が、また、時間外労働、深夜労働の割増しの算定や最低賃金法では、臨時に支払われた賃金及び1か月を超える期間ごとに支払われる賃金が除外されていることは承知しているところです。
しかしながら、現実はタクシーの事業所において、ボーナスや臨時給などで累進歩合制度が採用されていることによって、例えば年次有給休暇取得の抑制であったり、4か月期間、半年間ですが、長期にわたってのトータルとしての長時間労働が助長されているという現状がありますので、働き方改革の目的を推進するためにも、累進歩合制度の対象にボーナスや臨時給なども含むことを明確にすべきだと考えています。是非、御検討を願いたいと思います。以上です。
○両角部会長 ありがとうございます。これまで御提案はありましたが、議論はしてこなかった点ですね。今、久松委員が提起された点について、ほかに何か御意見はありませんか。武居委員、どうぞ。
○武居委員 累進歩合については、私どもとすると全国で労務連絡会等があるのですが、これについては、今ホワイト経営と言いますか、見える化といってマークをもらってやっているのですが、その中に累進歩合というのは入っています。累進歩合をやっていない会社ということで、マークを頂いている部分があります。
ただ、久松さんが言うように、実態的には、まだまだいっぱいあると。それはある意味では賞与によって累進にしてしまっているというところが問題だということなのですが、これは賃金と賞与の定義の問題なのです。確かに賞与は、適正にある意味では生産性において、例えば賞与に差を付けていると思います。なおかつ事故や勤怠など、そういったものも含めてやっているのだろうと思っていますので、そこを一概に賞与も累進歩合禁止の対象にするというのは、ちょっと賃金的には無理があるのかなと思っています。
私どもは今、少なくとも累進歩合と言われているような賃金、俗に言うある意味では労働者のあおり行為と言ったらおかしいのですが、生産性を上げるような、ある意味ではこれは事故防止という観念において累進歩合というものは廃止されているわけで、ある意味ではそういった部分が、極端に売上げが上がることによって歩合が変わっていくという形なのですが、私どもは全国的には、とにかく累進歩合を止めて積算にしようという形で進めているのが今の実態です。
ただ、問題は賞与との兼ね合いで、俗に言う私どもの言葉で言うとAB賃金と言われているのですが、それについてはやはり正直に申し上げて、各会社の労使協定できめられていることなので、なかなか言えない部分なのかなと思っています。それが実態です。
○両角部会長 ありがとうございます。私がまた実態を分かっていないので恐縮ですが、歩合給の累進歩合というのは理解できるのですが、累進歩合的な賞与というのはどのような制度なのですか。
○久松委員 例えば6か月間の総売上げを合計して、150万以上はボーナスを5%支払いましょう、合計200万円以上だったら10%支払いましょう、250万以上だったら20%支払いましょうということで、ボーナスの支給率、そこも歩合になるのですが、その半年間、一定期間の成果に応じて歩合率が逓増していくというようなものなのですが、結果的に年次有給休暇を取ってしまいますと、年間20日取れるとしても、20日間消化してしまうと、もらえるボーナスが一段階落ちてしまうので、取らないでおこうと心理的に動いてしまうのが現状で、実際、私どもの加盟労組の中などでも労働条件改定の要求書の中に、ボーナス算定の際、義務化された5日間の年次付与、これについては仮想の売上げを加算してほしいなど、そうしないと休めないという要求を出している単組なども多いのです。ですから、やはり実態として臨時給、賞与の累進歩合制度が導入されたところについては、今、申しましたとおり年次有給休暇の取得が抑制されているという実態があるということです。
○両角部会長 なるほど、そうすると、ボーナスの支給率が水揚げに応じて変わること自体が問題というよりは、むしろそのせいで労働者が年休が取らなかったり、長時間労働してしまったりしていることが問題であって、それに対して何らかの手当をすべきだということですか。分かりました。
今の点について、武居委員から御意見いただきましたが、ほかに御意見はありませんか。
○松永委員 前回、久松委員からこの累進歩合についても、議題に載せて議論してほしいということで申し入れたと思っていますので、今後、是非これを1つの問題として議論させていただきたいと思っていますので、今日の久松委員の話はこういう問題があるということを認識した上で、次からこういう課題も一緒に議論させていただければと思っていますので、よろしくお願いします。
○両角部会長 これは改善基準告示の中に入れるのではなく、それと密接に関連する問題として議論するということでしょうか。
○久松委員 通達のところで何らかの反映があればいいと考えています。
○監督課長 改善基準は、経緯からして、もともと通達だったものを一部告示に格上げする形になって、かつ、そのときに通達で残っている部分もあります。基本的に賃金に絡む話というのは、告示ではなく通達で書いているという経緯があります。指導基準ではありますが、改善基準全体一体のものと理解していますので、告示であろうと通達であろうと、体系の中で見直すべきという点があれば、この場で御指摘を頂いて、できれば我々としても労使で合意された内容について、その通達も含めて考えていきたいと思っていますので、この場で最終的な取りまとめの中に、そういった点もあれば、告示に限らず、大きな点については含めていきたいと私どもとしても思っています。
一方で、累進歩合については、久松委員も重々御承知かと思いますが、通常の賃金なのか、賞与なのかというところで、なかなか私どもとしても難しさがありますので、そこは御意見としては受け止めた上で、次回、どのような考え方、資料で御提示できるかというのは、私どもとしてもちょっと考えさせていただければと思います。
○両角部会長 どうもありがとうございました。まだ時間はありますが、今日、予定された議題については、御意見を十分に伺うことができたかと思いますので、本日はここまでとさせていただきたいと思います。今後のスケジュールについて、何かありますか。
○久松委員 すみません、一番重要な点である休息期間と拘束時間のところで、最終的にはまだまだ幅があるのかなと感じています。この幅のままで最終的に結論を付けていくというのもどうかと思いますので、今後のスケジュールですが、年度末にまとめるまでに労使で納得できるような結論が導き出せるように、もう少し、例えば何回かの議論をする機会を設けてほしいと要望します。
○両角部会長 はい、清水委員どうぞ。
○清水委員 我々もやはりそこの休息期間については、しっかり双方で理解できるまでの話合いを重ねていきたいと考えていますので、この後、複数回、是非こういう機会を設けていただきたいと思います。
○両角部会長 ただいま、今後の作業部会の運営について、労使双方から更に十分に議論したいということで、その場を設けるように御提案を受けました。したがいまして、事務局におかれましては、これを踏まえて御検討いただくようにお願いいたします。
それでは、最後に事務局から連絡等があれば、お願いいたします。
○中央労働基準監察監督官 本日の委員の皆様の御意見を踏まえ、次回ハイヤー・タクシー作業部会の日程について、日時、場所について調整の上、追って御連絡させていただきたいと思います。議事録についても、後日御確認いただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○両角部会長 それでは、これをもちまして、第4回自動車運転者労働時間等専門委員会ハイヤー・タクシー作業部会を終了します。本日は、皆様、お忙しい中ありがとうございました。