2021年6月11日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和3年6月11日(金)17:00~

場所

新橋8E会議室(8階)

出席者

出席委員(21名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 
 他参考人1名
 

欠席委員(2名)五十音順

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  河野典厚(医療機器審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 
  •  木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会及びプログラム医療機器調査会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の会議は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議形式を併用して開催いたします。今回は、部会及び調査会両方で審議すべき内容があることから、合同開催とさせていただきます。今回プログラム調査会としては、初めての開催です。はじめにプログラム医療機器調査会委員を、委員名簿に基づいて紹介いたします。13名の調査員のうち、8名の先生に部会委員と兼任いただいておりますので、兼任していただいている先生方におかれましては更に御負担をお掛けいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。プログラム調査会の委員の名簿ですが、お手元のマイプライベートファイルに格納されております。上から6番目にプログラム医療機器調査会委員名簿がありますので、こちらをお開けください。
 新たにプログラム医療機器調査会調査員に就任いただきました5名の先生方を御紹介いたします。先生方におかれましては、おそれ入りますが一言御挨拶いただけますと幸いです。東京大学大学院工学系研究科附属医療福祉工学開発評価研究センターバイオエンジニアリング専攻教授の佐久間一郎先生です。
○佐久間委員 佐久間です。よろしくお願いいたします。専門は医療生体工学と、この関係では機構の科学委員会等で数値解析の専門部会、あるいはAIの専門部会に参加をさせていただきました。また現在評価指標では、行動変容などについても取り組んでおります。この分野は重要だと思いますので、微力ながら協力させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 続いて公益社団法人日本医師会常任理事の橋本省先生です。
○橋本委員 日本医師会の橋本です。昨年まで国立病院機構仙台医療センターの院長をやっておりまして、ずっと臨床の勤務医で通してまいりました。今回、日本医師会という組織の中の代表として出させていただきますが、臨床の経験をいかせればと思っております。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 続いて、東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻教授、松尾豊先生です。本日は御欠席です。香川大学医学部附属病院医療情報部教授部長、臨床研究支援センター長横井英人先生です。
○横井委員 香川大学の横井です。もともとプログラム医療機器の薬事審査を開始するような時期から、このような案件に関わっております。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 続いて、産業技術総合研究所健康医工学研究部門医療機器研究グループ主任研究員、鷲尾利克先生です。
○鷲尾委員 産業技術総合研究所の鷲尾です。微力ですが尽力したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございました。続いて、調査会における座長の選出についてです。マイプライベートファイルの当日配布資料1を御覧ください。本調査会の座長については、プログラム医療機器調査会設置要綱第4条第1項において、調査会に属する委員等の互選により選任するとされており、部会の部会長にも就任されております荒井先生にお願いしたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
 御異議がないようですので、荒井部会長に本調査会座長をお願いいたします。荒井先生、一言お願いします。
○荒井座長 ありがとうございます。プログラム医療機器は、ここでディスカッションをして深めないと、適切な方向性が見いだせない領域だと思います。ですから、プログラム調査会の先生方も交えて、できるだけ協議をしながら御意見を伺いながら、いい方向性を見いだしていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。また本調査会において、新たに座長代理を選出したいと思います。座長代理については、設置要綱同条第3項の規定に基づき、調査員のうちから座長があらかじめ指名する者がその職務を代理するとされております。荒井座長よろしくお願いいたします。
○荒井座長 プログラム医療機器にかかわらず、こういった機器に関する薬事行政、更には一般の医療機器も含めて大変見識をお持ちの、佐久間一郎先生に座長代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○医療機器審査管理課長 どうもありがとうございます。それでは、佐久間先生に本調査会の座長代理をお願いいたします。佐久間座長代理、一言御挨拶をお願いいたします。
○佐久間座長代理 佐久間です。座長代理ということで頑張りたいと思います。荒井先生がおっしゃったように、医療機器の半分ぐらいの機能がソフトウェアで出来上がっているというところで、あと今回は単体ということですので、これまでの経験をいかして是非頑張りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。次に事務局に異動がありましたので、報告いたします。医薬品医療機器総合機構安全管理監に、池田三恵が着任しておりますので、よろしくお願いします。
 続いて、本日の委員の出欠状況について報告いたします。現時点において、医療機器体外診断薬部会委員23名のうち21名、及びプログラム医療機器調査会委員13名のうち11名に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを報告いたします。
 次に、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。部会における議題3、調査会における議題1において、熊本市立熊本市民病院乳腺・内分泌外科がん診療特別顧問の岩瀬弘敬先生に、Webシステムを用いて御参加いただいております。
○岩瀬参考人 熊本の岩瀬です。熊本大学で、乳腺・内分泌外科の教授をしておりました。現在は市民病院で顧問をしております。よろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。続いて、部会及び調査会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告いたします。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、報告させていただきます。委員の先生方におかれましては、会議の開催の都度、書面の御提出に御協力いただき、誠にありがとうございます。
 次に本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、事務局より説明いたします。
○事務局 本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、部会の議題1及び議題2については会議を公開で行い、調査会の議題1及び部会の議題3以降の議題については、医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでといたします。
 続いて配布資料の確認をいたします。本日、部会において公開で行います議題1及び議題2について、資料1及び資料2があります。また非公開で行います議題3~議題5については、資料3~5を各委員にお配りしておりますので、お手元に御用意ください。タブレット等の操作について御不明点等ありましたら、事務局員までお声掛けいただければと思います。
 次にWeb会議で御参加される委員の皆様へ、注意事項を説明いたします。審議中はマイクミュートでお願いいたします。発言される際には、画面右下の顔のマークのアイコンをクリックして、手のマークを押して挙手いただき、部会長から指名された後にマイクミュートを解除し、お名前をおっしゃった後に発言をお願いいたします。また接続トラブルが発生した場合はチャット欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。なお部会委員と併任をされていない調査会委員におかれましては、非公開パートの部会における議題3までそのままお待ちいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。それでは以降の進行について、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 まずはじめに、ここまでの事務局からの説明について、何か御質問等はありますか。よろしいでしょうか。よろしければ、これから議題に入ります。議題1、基本要件等の改正について、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題1について、事務局から説明いたします。本議題では、医療機器の基本要件基準等の改正について御審議いただきます。資料1について説明いたします。「医療機器の基本要件基準」、「体外診断用医薬品の基本要件基準」については、薬機法第41条第3項に基づき、「再製造単回使用医療機器基準」については薬機法第42条第2項に基づき、医療機器の性状、品質、性能等について薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて必要な基準を定めたものであり、添付文書についても要求事項が定められております。
 資料の1ページを御覧ください。こちらは医療機器の基本要件基準の改正の概要をまとめたものです。「1.改正の趣旨」を御覧ください。今般、令和3年8月1日から施行する改正薬機法により、医薬品、医療機器等の添付文書については、一部の製品を除き電子的な提供が求められることとなります。これに伴い、従前の薬機法では、「添付文書記載事項」とされていた用語が、「注意事項等情報」といった用語に変更となります。これを受け、これまで添付文書に記載する事項として要求していた事項について、注意事項等情報として公表する事項とする改正を行いたいという趣旨です。
 今回の基本要件基準等の改正は、この用語の変更に伴い記載整備を行うものとなります。それぞれの基準で定める要求事項についての変更はありません。
 また4ページ以降、資料1-2でお示ししている「体外診断用医薬品の基本要件基準」、7ページ以降、資料1-3でお示ししている「再製造単回使用医療機器基準」についても、同様の改正となります。基本要件基準等の個別の改正内容については、資料の5ページ以降、また8ページ以降に記載しておりますが、改正内容は先ほど説明いたしましたので、詳細な説明は割愛いたします。事務局からの説明は以上です。御審議をお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの説明の内容について、何か御質問、御異議等はありますか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見がなければ、議決に入ります。ただいまの事務局からの説明のとおり、基本要件等の改正について部会として差し支えないものという判断を下してよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決いたします。
 続いて議題2、次世代医療機器評価指標についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 議題2、次世代評価指標(案)について報告いたします。資料2を御覧ください。厚生労働省では医療ニーズが高く最先端の技術を使った医療機器の開発促進を目的として、平成17年より次世代医療機器評価指標検討会を設置し、毎年2から4テーマを選定してワーキンググループを立ち上げ、早期に開発が見込まれる医療機器や再生医療等製品に着目して、それらを承認審査する場合に評価すべき点を検討し、これまでに37評価指標を公表してまいりました。開発者と規制側が同じ指標を共有することで、治験相談等での議論が容易になることに加え、開発者の申請資料作成効率化に資すことができ、承認前例のない品目であっても規制側にスムーズな審査をもたらすものと期待されます。
 今回報告する評価指標は、クローズドループ制御システムを有する医療支援装置に関する評価指標(案)です。令和元年度に委員によって実施された調査の報告を基に、令和2年度にワーキンググループにおいて評価指標(案)を検討策定後、本年4月から5月にかけて募集したパブリックコメントに従って微修正を加えたものが、お手元の資料となります。本評価指標策定に至った背景ですが、クローズドループ制御システムは既に人工膵臓や心臓再同期療法において実用化されているところ、短時間作動型の薬物の開発や、血中薬物濃度測定の簡便化、より精度の高いモニタリングシステムや外部制御可能なシリンジポンプなどの技術的進歩があいまって、より複雑な医療支援装置の開発が進むと予想されたためです。
 2ページを御覧ください。本評価指標では、クローズドループ医療支援装置に用いられる用語の定義付けを行い明確化するとともに、3ページ下段では装置の非臨床評価に必要な事項や、6ページからは臨床評価方法などについて記載しております。本支援装置に特徴的なものの一つとして、3ページ上段(10)にて定義されておりますFallbackモードが挙げられます。自動制御システムにおいては、何かしらの障害が発生した場合には、手動制御やオープンループ制御に切り替える必要があります。5ページ中段(オ)固有のリスクマネジメントにおいて許容不能なリスクが起こり得る場合には、Fallbackモードに入ると同時に使用者へアラートを発すること、手動で対処できる仕様を備えること、障害復旧時の再起動方法を明示するよう求めております。
 8ページ以降では、麻酔支援装置を例に臨床評価の考え方を別添として示しております。説明は以上です。なお本評価指標(案)は、通知として近日中に公表の予定としております。
○荒井部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について、御意見、御質問はいかがでしょうか。
○宮川委員 宮川です。お尋ねします。クローズドループ制御システムを有する医療支援装置に関する評価指標という名称ですけれども、参考事例として麻酔のことが書いてあります。今後、疾患領域や手技のいろいろな特有な案件が入ってくるはずなので、そうなると新規技術が出てきたタイミングで、その臨床評価における考え方が改めて部会に出てくるというような解釈でよろしいのでしょうか。ここだけの設定という考え方だけで出ているのか、それとも新規のものが入ってきたときには、その都度部会に提示されるという解釈でよろしいのかどうかをお願いします。
○事務局 御質問ありがとうございます。今回麻酔領域というものは、クローズドループ制御システムを用いた医療支援装置の一例としてお示ししたものです。したがって、その他の領域に展開された際に、今回お示ししました指標(案)で対応できないような変更が起こったという場合には、再度こちらの評価指標策定事業において再検討することも可能となっており、そのような必要がある場合にはそのように対応させていただきたいと考えております。
○宮川委員 ありがとうございました。もう一つよろしいでしょうか。
○荒井部会長 どうぞ。
○宮川委員 このFallbackモードに入るときというのは自動的に入るという解釈ですけれども、その場合即座に自動的に入ってしまうのか、あるいはアラートが出てから入っていくのか、どのような形になっているのかお教えください。
○事務局 当然、内部でエラーが発生した場合にそのまま作動し続けるのは危険ですので、自動的にFallbackモードに入りますが使用者にそれを伝達する必要があります。また、麻酔支援装置でも特に麻酔専門外の医師に使わせることを想定しているわけではなく、使用者の側がおかしいと思った際には緊急停止であったり、手動モードに切り替えるといったような対応ができるよう求めております。
○宮川委員 分かりました。この中に例としていろいろな指標が書いてありますが、呼吸ガスも含めてガスの分析などが入っていないのですが、そういうものが入る予定は想定の中に入っているのでしょうか。酸素、二酸化炭素含めて、そのような指標が、麻酔の場合ですといろいろなアラートが入ってきますが、実例として入っていなかったのでお聞きしたかったのです。
○事務局 ありがとうございます。今回評価指標の考え方として例としてお示ししたもので、当然個別品目の審査に当たってはそういったことも検討されなければなりませんが、今回の例示としてはそこまで細かいことは記載しておりません。
○宮川委員 この案件の例として出されたということですね。ありがとうございました。
○荒井部会長 そのほかよろしいでしょうか。今の宮川委員の御指摘は大変重要で、これはあくまで基本的な考え方を例に挙げたものという御指摘です。いわゆる前例主義になってしまいますと、次に出てきたものが大分様相が違った場合にもこれに固執して判断されてしまうと具合が悪いので、そういった場合にはその都度改めてここで提示していただくという形でお返事を頂きましたので、大変よいかと思います。よろしいでしょうか。特に御意見がないようでしたら、議題2を終了いたします。
 ここまでが公開案件です。ここから先は非公開になりますので、傍聴の皆様がおられれば御退席をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 お待たせいたしました。準備が整いましたので、部会及び調査会を再開いたします。調査会委員の先生方、大変お待たせいたしました。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 続いて、本部会の利益相反について御報告いたします。資料7、競合品目・競合企業リスト等一覧をお開きください。まず、1ページにオンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムについて、2ページ、体外型補助人工心臓EVADについて、そのほか、一般的名称に係る影響企業のリストが3ページにありますので、必要に応じて御覧ください。本日の審議事項に関する競合企業として、資料7に示す企業について、委員の皆様から寄付金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、薬事分科会参加規程第13条により、議題4に関し、議決に御参加できない委員は一色委員です。以上御報告いたします。以降の進行についても、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ただいま事務局からの説明についてはよろしいですか。特に御意見はありませんか。よろしければ、議題3を始めさせていただきます。議題3、オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラムの高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定の要否、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否並びに使用成績評価の要否、これが議題です。
 本議題については、先ほど御紹介いただいた岩瀬弘敬先生に御出席いただいております。それでは、事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題3について事務局より御説明いたします。資料3のファイルをお開きください。本議題では、「医療機器オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定の要否、特定保守管理医療機器の指定の要否、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否並びに使用成績評価の指定の要否について御審議をお願いします。
 まず、ファイル1ページを御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器に対しては、部会の御意見を聞いて、新たに一般的名称を新設することになります。今回、「オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」に対応して新設を予定する一般的名称は、「腫瘍悪性度判定支援プログラム」です。定義は、「生体由来の試料から得られた遺伝子発現情報等を基に、腫瘍の悪性度の判定を支援するために使用される医療機器プログラムをいう。当該プログラムを記録した記録媒体等を含む場合もある。」となっております。
 本品は、クラスIII、高度管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要はない医療機器であり、指定は不要と考えております。一般的名称の新設に関する説明は以上です。審議品目及び審査の概要については、機構より説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より説明いたします。本審査に当たり、熊本市立熊本市民病院、乳腺内分泌外科特別顧問の岩瀬弘敬先生、公益財団法人がん研究会有明病院乳腺内科部長の高野利実先生、国立大学法人広島大学病院広島臨床研究開発支援センター教授の平田泰三先生、以上、3名の専門委員の御意見を頂きました。以降の説明は、審査報告書に基づいて御説明いたします。会議室にお越しの委員の皆様は資料3-3、緑字で示している通し番号3ページ、リモートで御参加の委員の皆様は、議題3の事前配布資料の緑色のタグを開いていただくと、審査報告書がありますので、そちらを御覧ください。
 はじめに、本品の概要を御説明します。通し番号9ページ、審査報告書7ページ上段、1.審議品目の概要を御覧ください。本品は、ホルモン受容体陽性、かつ、ヒト上皮成長因子受容体2、HER2陰性の早期浸潤性乳癌患者の腫瘍組織における21の遺伝子のRNA発現量に基づき、再発スコア等を出力する解析プログラムです。以降の説明では、本品が出力する再発スコアをRSと呼びます。ホルモン受容体陽性の早期浸潤性乳癌患者は、腫瘍摘出術後に内分泌療法を5年以上行います。その患者の一部では、化学療法を受けることによって再発や死亡のリスクを更に減少させることが期待されるため、化学療法が上乗せされます。ただ、化学療法による上乗せ効果が得られるか否かは個人差が大きく不確実なため、医師は効果が得られない患者にも化学療法を行っている現状があります。
 本品が出力するRSは0~100で表示されます。このRS結果に加え、RSが低値である場合は遠隔再発リスクは低く、化学療法の上乗せ効果が低い。逆に、RSが高値である場合は遠隔再発リスクが高く、化学療法の上乗せ効果が高いなどについて、補助資料として提示されます。
 本品を使用した検査全体の流れを説明します。同じページの図1を御覧ください。本邦の医療施設において採取されたFFPE乳腺腫瘍組織検体が、登録衛生研究所を通じて米国の検査施設であるGenomic Health Inc.に送付されます。Genomic Health Inc.は、腫瘍組織からRNAを抽出し、相補的DNA(以下「cDNA」と呼ぶ)への逆転写を行います。黄色の矢羽で示す定量PCR工程、緑の矢羽で示すデータ解析、品質チェックを終えた遺伝子増幅曲線データは、解析の中間報告として、申請者であるエグザクトサイエンス株式会社の専用ウェブページである日本ポータル上で、検査依頼医師に提示されます。本品は、この検査フローのうち赤枠で囲むプログラム医療機器であり、検査依頼医師は、遺伝子増幅曲線データを確認後、これを入力情報として最終的な解析結果を出力するよう、日本ポータル上で指示することで、青色、紫色の矢羽で示す工程が進み、本品の出力結果が提示されます。
 次に、解析対象遺伝子とRS算出式について御説明します。通し番号10ページ、審査報告書の8ページの表1を御覧ください。本システムでは、乳腺腫瘍組織から作成されたcDNAを鋳型として、表1に示す21の解析対象遺伝子それぞれの特異的プライマーを用いた定量的PCRが行われ、その発現量を基にRSが算出されます。解析対象遺伝子は、早期浸潤性乳癌患者の腫瘍関連遺伝子として、増殖・浸潤・HER2、エストロゲン・その他に分類された計16遺伝子、また、参照遺伝子として、生物学的状態を通じて、均一かつ高発現する5遺伝子です。検体調整の軽微な違いによる腫瘍遺伝子発現量のばらつきは、参照遺伝子の発現量を基に正規化されます。
 次ページの図2を御覧ください。16の腫瘍関連遺伝子それぞれの遺伝子発現スコアは、1、2、3、4に示す式にて、群スコアが算出された後、※で示すRSu式にて計算され、四角囲みで示す規則のもとでRSが算出されます。以上が、本品による検査の概要となります。以降の説明においては、本品を使用した検査システム全体を「本システム」と呼びます。
 次に、開発の経緯を御説明します。通し番号13ページ、審査報告書の11ページ1行目、3)本品の現状を御覧ください。現在、全世界的に自家調整検査として使用されているオンコタイプDX乳がん再発スコア検査について御説明します。以降、「本検査」と呼びます。本検査は、早期乳癌患者の中で、化学療法による上乗せ効果が得られる患者か否かを特定するのに役立つRSを提供するために開発されました。RSの算出式や解析対象遺伝子は先ほど御説明したとおりです。本検査は、2004年に米国において実臨床に導入され、その後、ラボプロセスと検査レポートに幾つか変更が加えられたものの、RS算出式自体は変更せずに現在に至ります。2020年8月31日までに、90か国以上において総検査数は100万件を超えており、毎年○○○件以上の検査が実施されています。本邦においては、本検査が2007年より自家調整検査として、臨床検査技師等に関する法律の下で行われております。本検査の2007年から2021年2月までの総検査数は○○○○○○件であり、2019年から2020年に本検査を使用した施設は、大学病院からクリニックまで様々な規模の○○○○施設です。また、日本乳癌学会が作成する乳癌診療ガイドラインにおいても、本検査について、「ホルモン受容体陽性、HER2陰性乳癌で、リンパ節陰性であればオンコタイプDXのRSが25以下の場合には、術後化学療法を省略することは強く勧められる。」と記載されており、本検査の使用を強く推奨しています。
 申請者は現行の本検査フローのうち、プログラム医療機器に該当する部分を薬事申請するために、データ解析工程からレポート作成工程を担う計算分析ソフトウェアの改修及び検査依頼や検査出力等に使用する日本ポータルの新設を行い本申請に至りました。
 なお、本品の有効性及び安全性を担保するためには、本品だけでなく、本システム全体の性能の評価が必要であることから、機構は、本システム全体の性能及び本品が提示するRSの臨床的有用性について、薬事における承認審査を行っております。
 まず、性能に関する評価について御説明します。通し番号14ページ、審査報告書12ページ下段、「(3)、性能に関する資料」の提出された資料の概要を御覧ください。本システムの分析性能を裏付けるための試験として、真度試験、精度試験、LOD試験、直線性試験、LOQ試験、分析特異性試験及びエンドツーエンド・バリゲーション試験の結果が提出されました。
 検査結果に特段の問題はなく、また、本検査がGenomic Health Inc.の1検査施設において、長年にわたり不具合なく実施されていることからも、本システムの性能は担保されていると判断しました。
 本品が算出するRSの臨床的意義、有用性について評価の概要を御説明します。通し番号18ページ、審査報告書16ページ上段、「ヘ項」の提出された資料の概略を御覧ください。開発の経緯で御説明したとおり、本検査は世界中で行われています。また、同ページの中段、表2にお示しするように、本検査について、本邦のみならず、米国、欧州を含む多くの国々のガイドラインや勧告に記載されております。このような状況に鑑み、RSの妥当性や臨床上の有用性に関しては、公表文献等を取りまとめた臨床評価報告書が提出されました。
 次のページ下段(1)、「臨床評価報告書に用いた公表文献と選定方法」を御覧ください。文献検索は、データベースとしてMEDLINEを用い、本検査の開発・臨床妥当性検証試験の第一報が2004年12月であったため、2004年1月1日から2020年8月31日を対象として行われました。次のページ冒頭の表3に示す検索方法により文献検索が行われ、その結果、234報の文献が抽出されました。その中で、同ページ中段の表4に示す三つのカテゴリー、1.臨床的有用性を示す試験、2.臨床的有用性を補助する試験、3.日本人で行われた試験について文献を抽出分類し、文献内容の説明と考察が行われました。
 次のページ上段「(2)臨床的有用性を示す論文の概要」を御覧ください。カテゴリー1.臨床的有用性を示す試験に該当する文献18報を表5に示しております。NSABP B-20試験(文献2及び3)、SWOG8814試験(文献5)及びTAILORx試験(文献9~12)がエビデンスレベル1の「ランダム化比較試験」であり、内分泌療法単独群対内分泌療法に化学療法を追加した群の比較試験の結果により、リンパ節転移の個数によりますが、RSが低値であれば化学療法の上乗せ効果は得られないことが報告されました。
 次に、通し番号22ページ、審査報告書20ページ中段、「本検査の対象患者は」の所を御覧ください。本検査の対象患者は、冒頭に御説明した早期浸潤性乳癌患者のうち、ホルモン受容体陽性HER2陰性の患者です。その中で、リンパ節転移の有無や個数により、RSの解釈が異なるため、検査レポートは3タイプ、マル1リンパ節転移陰性の患者用、マル2微小転移患者及びリンパ節転移1~3個の患者用、マル3リンパ節転移4個以上の患者用に分かれます。そのため、各タイプの患者において、RSの臨床的意義や有用性について、文献報告に基づき評価されました。各タイプの評価の概要については、後ほど機構の審査の論点をお話する際に御説明します。
 通し番号30ページ、審査報告書28ページ中段の表13を御覧ください。カテゴリー3「日本人で行われた試験」のうち、カテゴリー1「臨床的有用性を示す試験」にも該当する2試験についてまとめたものです。JBCRG-TR003試験は、日本人患者200例を対象に行われたRSのバリデーション試験です。本試験ではRSの低・中・高スコア群の分布が、海外でのバリデーション試験であるNSABP B-14試験における分布と同等であること、及び10年遠隔再発率も同様の傾向があることが確認されました。また、本試験では、日本人患者における個別遺伝子及び遺伝子群の発現プロファイルも調査され、NSABP B-14試験の患者のものと非常に類似していることが示されました。以上より、カテゴリー1の「臨床的有用性を示す試験」に分類された海外臨床試験成績を日本人に該当することは可能と説明され、本邦における本検査の実績や乳癌診療ガイドラインでの推奨度もそれを裏付けていると考えられました。
 通し番号32ページ、審査報告書30ページ中段、機構における審査の概要を御覧ください。機構は、(1)~(4)に示す点を中心に審査を行いました。(1)本品の臨床評価を文献で行うことの妥当性については、これまでの御説明を踏まえると、改めて日本人においてRSの臨床的有用性を前向きに検証する治験を行う必要性は低いと考え、本品を本検査に関する文献等により評価することは妥当であると判断しました。(2)本品の臨床的有用性については、次のページ上段、「マル1リンパ節転移陰性患者について」を御覧ください。先ほど御説明したとおり、本検査はリンパ節転移の有無・個数により、RSの解釈は異なるため、臨床的な意義も異なると考えられます。
 リンパ節転移陰性の1万例を超える早期浸潤性乳癌患者を対象としたTAILORx試験により、内分泌療法のみを受けたRS0~10の群では、9年無遠隔再発生存率が96.8%であり、内分泌療法単独で十分な治療効果があることが示されました。また、RS11~25の群では、内分泌療法単独の患者群は、内分泌療法に上乗せして化学療法を受けた患者群に対して非劣性であったことが確認され、更に、RS26~100の群では、統計学的に有意な化学療法の上乗せ効果が確認されました。以上より、リンパ節転移陰性患者に対する化学療法の要否を検討する上で、RSが臨床的意義を持つことが示されていると判断しました。
 また、リンパ節転移陰性患者を対象とした他の臨床研究においても同様にRSの臨床的有用性が示されており、国内外のガイドラインにて本検査が推奨されていることを踏まえ、リンパ節転移陰性の患者に対して本品を使用することは有用であると考えました。
 次にマル2微小転移患者及びリンパ節転移1~3個の患者については、リンパ節転移1~3個の患者を対象としたSWOG8814試験において、RS0から17の患者では化学療法の上乗せ効果は認められませんでしたが、RS31~100の患者では、DFS(無病生存期間)に統計学的に有意な向上が認められました。その結果、日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインにおいては、SWOG8814試験をはじめ、当該患者を対象とした海外での他の臨床研究に言及し、化学療法の上乗せ効果はRSが高い群で見られると説明されています。その他、本邦で実施された本検査のうち、当該患者についての検査が32.7%を占めています。以上のことから、当該患者についても一定の有用性は確認できていると考えました。
 一方、マル3リンパ節転移4個以上の患者については、RSを提示する意義が確認できていないと判断しました。その理由として、リンパ節転移4個以上の患者に対する化学療法の上乗せ効果を定量化できる臨床データが存在しないこと。リンパ節転移4個以上の患者に対する検査レポートについては、化学療法の上乗せ効果に関する情報が記載されず、患者の臨床転帰を改善するための情報が得られないこと。日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインにおいて、リンパ節転移4個以上の患者に対する有用性に言及されていないこと。リンパ節転移4個以上の患者の再発リスクは一般的に高く、本検査に寄らず、化学療法の併用が判断されると考えられることなどがあげられます。以上のことから、リンパ節転移4個以上の患者については、本システムの検査対象外とすることが適切と考え、使用目的に検査対象はリンパ節転移陰性、微小転移又はリンパ節転移1~3個の患者とするを追記することとしました。
 次に、検査体制等について御説明します。通し番号36ページ、審査報告書34ページ下段、「(4)検査体制等について」を御覧ください。本品は、既に本邦において自家調整検査として実施されてきた検査を、システム改修して薬事申請されたものであり、検査の管理体制としては日本ポータルが追加され、申請者による管理に移管されるのみです。検査実施施設における検査体制は、提出資料に基づき適切と判断いたしました。また、検査依頼者における検査の適正な使用に関する体制については、これまで本検査の対象患者の選択や、検体調整に関しての十分な理解及び日本乳癌学会の乳癌診療ガイドラインを遵守した結果の解釈が実施されていると考えております。現状として、乳癌の治療を行う医師により、本検査の依頼前に患者に対し、本検査に関する説明と同意確認が行われており、また、検査レポートの説明についても、患者用レポート解説文書を用いることにより、患者及び医師の双方が理解を共有できるようにしております。
 乳癌患者に対する治療方針は、主治医と患者による話し合いが重要であり、実臨床においては副作用等の懸念から、患者が化学療法を不安視しちゅうちょする場合や、逆に化学療法が不必要であっても、患者が積極的に治療を望む場合、また、患者が治療方針を決めかねて時間を要する場合もあります。そのため、本検査はセカンドオピニオン的に使用されることで、患者の納得が得られる情報を与えると考えます。
 これらの点から、本品を含む本システムの適正使用に係る基準等の策定や、使用施設の限定については特段不要と考えました。ただし、適正な使用が継続されるよう、添付文書の警告欄において、本品による検査は知識と経験のある医師により、患者への事前の説明と同意の上で行うこと、及び本邦の関連学会が作成したガイドライン等を遵守することを記載することが必要と考えます。また、本邦及び海外での本検査の運用経験を踏まえた注意喚起も引き続き適切に行う必要があると考えます。製造販売後調査等についても、本検査が十分な使用実績があること、及び審査において評価した文献等から、本品に係る安全性に関する懸念を認めなかったことから実施不要と判断いたしました。
 最後に、その他の論点について御説明します。通し番号38ページ、審査報告書36ページの中段、「(2)個人情報の保護及びサイバーセキュリティの確保」を御覧ください。本システムによる検査では、既承認品の遺伝子パネル検査等と同様に、解析結果等を海外の検査施設との間で送受信することになります。そのため、個人情報保護の取扱いや不法なアクセスの防止にはより一層の配慮が必要であると考えました。国内における製造販売業者の責任をより明確にするため、個人情報の保護及びサイバーセキュリティについて適切に対応するよう承認条件を付すことが適切と判断しました。
 また、検査を行うに当たり、必須である事前入力事項をはじめ、各遺伝子の発現量やRS等の検査結果については、個人情報は匿名化されているものの、検査施設であるGenomic Health Inc.に保管され、本検査の質と安全性を高めることを目的とした品質向上や品質維持のために利用される可能性があります。個人を特定できない形にした本検査に必須の情報及び結果について、Genomic Health Inc.における保管の目的をあらかじめ医師が患者に説明し、患者から検査及びデータ保管に関する同意を得ることとしました。検体から得られる情報の管理については、製造販売業者の責任のもと行う必要があるため、承認条件を付すことが適切と判断しました。
 次に、通し番号39ページ、審査報告書37ページの中段、「(3)入力データの品質の確保」を御覧ください。本システムによりRSを適切に出力するためには、腫瘍組織検体からの遺伝子増幅曲線データの取得及び解析工程における品質担保が重要です。したがって、これらの品質を確保するために必要な事項を規定の上、当該内容を変更する際には、適切な処置を講ずることが必要と考え、承認条件を付すことが適切と判断しました。以上の審査に基づき、同ページ下段の使用目的とし、次のページ上段に示す承認条件を付して、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会及びプログラム医療機器調査会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございました。結構長かったですが、流れるように御説明いただきました。お疲れさまです。
 それでは、まず、参考人として御参加いただいている岩瀬先生から何か意見を頂けますか。岩瀬先生、いかがでしょうか。
○岩瀬参考人 ありがとうございます。今、機構からお話がありましたように、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳癌の術後薬物療法において、ホルモン療法に化学療法を上乗せするか、これは非常に大きな問題です。現在は乳癌が進行している、例えば腫瘍径5cm以上、あるいはリンパ節転移4個以上の場合は、これは必ず行うのですが、先ほどリンパ節陰性あるいは1個から3個の場合には、ER(エストロゲンレセプター)、プロゲステロンレセプターによる増殖能、そういったものを参考にして、現在は決めています。ここに今、御説明のありましたオンコタイプDXのRSというスコアが加わることで、化学療法を上乗せしていいか悪いかというグレーゾーンを狭めることができます。
 これは先ほどガイドラインにもありましたように、日本乳癌学会においても推奨されていますし、あらゆる欧米を中心とした様々な学会、あるいはガイドラインを出しているところも推奨しています。実際のデータもたくさんあります。現時点では日本でかなりの症例が扱われています。私自身の経験からいっても、非常に参考になりました。これは主に化学療法をいかに避けるか、化学療法の上乗せ効果がない症例に行わない、これがメインですのでそういう意味からいいますと、化学療法の使用負担減にもつながるのではないかということで、私自身も期待しています。以上です。
○荒井部会長 岩瀬先生、ありがとうございます。それでは委員の方々から御質問、御意見はいかがでしょうか。
○今野委員 今野ですが、今の御説明にもありましたが、本医療機器が乳癌患者さんの診療に資することは、全く異論はないところです。
 1点、あらかじめいただいた資料でもちょっと気になった点ですが、ただ今、機構からも御説明があった通し番号38ページです。個人情報保護、サイバーセキュリティに関して、個人情報は匿名化されているものの検査施設であるGenomic Heath Inc.に保管され、本検査の質と患者の安全性を高めることを目的とした品質向上や品質維持のために使用、利用されるというちょっと分かりにくい書き方をされています。先ほどその当該患者の同意、説明の話がありましたが、もう少し詳細にこの辺りをお聞かせいただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回、この患者様の御氏名と生年月日等に関しては、国外に情報が出ることはありません。全て匿名化された上で、米国に検体とともに送られていきます。その後、検査結果というのは21の遺伝子の増幅スコアとRSのみになりますが、それに関しては米国の検査施設の方で保管されます。先ほど御説明したとおり、品質の管理、あとは向上のために保管されるというようなお話をしましたが、二次利用というものは全く想定していません。その可能性があると言いますか、研究目的で使うということは、全くなくて本検査を更に改良するというところは全く申請者も意図していない、本検査に関しては確立しているので、ただ品質の向上のために保管しませんというところまでは断言できないというような御説明だったと思いますが、保管はされます。日本にその匿名化されたデータが帰ってきて、日本国内では10年間ぐらい保管されますが、それに関しても法規制に基づいて保管されるというふうに伺っています。
 もう1点、患者との同意に関してですが、Genomic Heath Inc.で匿名化されたデータが保管されるということ。あと、それが行われても本検査を実施しますかということに関して、医師と患者が同意の確認をして、検査の依頼時に医師がチェックボックスをチェックするという形にして、それがチェックされないと検査が依頼できないというような仕組みを日本ポータルに作っているという状況です。
○今野委員 御説明を聞いて、少し安心しましたが、今のこのデータ利活用は年々進歩していますので、いかようにでも利用できるわけです。二次利用というのは範囲が広い言葉で、相当細かい文書でレギュレーションを掛けないとなかなかブロックするのは難しい。そこはもちろん信頼性もありますし、長年の経験もあります。また、日本だけではなく多くの国でガイドラインに入れているので、お互いの信義の問題になってくるかと思いますが、気になりましたので質問させていただきました。ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございました。橋本委員どうぞ。
○橋本委員 日本医師会の橋本です。この類いの審査会に出るのは初めてですので、資料を読んだりしてみましたが、幾つか分からないことがあるので教えていただきたいと思います。
 私自身、長く頭頸部癌の診療をやってきましたので、再発に関して特に最近の化学療法が発達した時代において、その化学療法を避けることができれば患者に対するメリットが大きいということも、よく存じています。その意味では今回のプログラムは、全体的な有用性については疑念を挟む問題はないのかなとは思っています。ただし、幾つかありまして、まずこれは厚労省にお聞きすることになると思いますが、一般的な名称でこれは腫瘍悪性の判定支援プログラムという新しい名前が付いているわけですが、このときのこの腫瘍悪性度というのは今回は恐らくRS、再発スコアということになるのだろうと思いますが、これは一般的名称ですので、この後、類似のプログラムが出てきたときには、やはり別な悪性度をもって判断するというようなことが出てくるのかなと類推しています。そのような場合には、悪性度の指標というのはどういうものを想定しておられるのか。また、出てくるそういうプログラムは、出てくるたびにきっちりと部会審議品目になるのかということについて教えていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○事務局 事務局からお答えします。現時点で今後どういうものが具体的に出てくるかというところは、ちょっと申し上げるのは難しいのですが、この一般的名称の定義で読めるものが出てくれば、それは当然、この一般的名称を付して承認するというような形にはなるかと思います。
○橋本委員 ちょっと聞こえないのですが、もうちょっとはっきり。
○事務局 はい。現時点では、今後、どういった品目が出てくるかというところまで具体的に申し上げるのは難しいのですが、当然、定義に合致するものが出てくれば、この一般的名称を付して承認するということはあるかと思います。
○橋本委員 審議品目にはなると。
○事務局 審議品目になるかどうかは、既承認の品目と比較したときに新規性があるかどうかということを考慮しまして、新医療機器に該当するということであれば、部会審議に。
○橋本委員 改良であればしない、改良型であれば審議に付することはないかもしれないということですか。
○事務局 そうです。新規性を見て、部会で御審議いただくかどうかというところの判断をしています。
○橋本委員 分かりました。もう一つ、私としては非常に不思議なのですが、こういう品目は厚生労働大臣が承認する品目になります。そうすると、例えば早期に承認してほしいというような要望を出すのは、厚労省に出すはずなのに、どうして機構に出ているのかなということが非常に不思議で、機構は恐らく厚労省から委託を受けてこれを審査する立場にあるわけで、そうしますと承認するのは厚労省ですから早く承認してくれと言うのだったら、厚労省に出すべきなのになぜ機構に出ているのか。機構の審査結果の中に、これは乳癌学会から早期承認要望書が機構宛てに出ているということが、わざわざ書いているということは、何か審査にこの意向が影響を与えていると考えてよろしいのか。そういうところも疑念を抱かせることになるのではないかなと思います。ですから、こういう製品として非常にいいものにもかかわらず、承認のときに何か他者に疑念を抱かせるようなことがあるというのは、非常にまずいことなのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○荒井部会長 はい、では医療機器審査管理課長。
○医療機器審査管理課長 御質問ありがとうございます。要望書の内容そのものについてもう少し精査は必要かもしれませんが、承認のプロセスにおいて、当然、機構の審査の過程もあると思います。その審査が遅くなってしまうと、承認までの期間が当然延びてしまうということもあると思いますので、その審査の過程を早くしてほしいという主旨で機構の方に早期承認という名前の下に要望書が出るということは、これ以外にもあるのではないか、そこまで承認か審査かというところを厳密に書き分けて要望書が書いてあるかどうかというところもあると思いますので、主旨としてはそういうことではないかなというふうに理解しています。
○橋本委員 やはり審査する所に直接要望書がいくということは、余り好ましくないことだと思いますので、以降、ちょっと気を付けていただきたいと思います。
 それから、これは日本で○○以上の症例があるわけです。ところが、日本人に関する外挿性として倫理面で問題があるというようなことが書いてありますが、少なくとも日本で○○ものデータがあるのであれば、そのデータも付けて出すというのが乳癌学会としては妥当なのではないか、またそうあるべきではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。もちろんこういうものが有用だということは、ほとんど分かり切っていることだとすれば、RCTというのは倫理面で非常に問題があると思いますが、使用成績の概要だけでもきっちりと出していただいたほうが日本で使うということには、より納得が得られるのではないか。ただでさえ日本の乳癌というのは、その分類がUICCとちょっとずれがあるということも指摘されていると私は伺っていますので、そういう意味でもやはりきっちりとした日本のデータというのは出していただきたいなと思いますが、いかがでしょう。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回、文献としては日本人を症例に含めたものというものが出てきましたが、学会主導として、本邦で検査を受けた全ての全例に対するまとめというようなものがまだ作成されていないという現状で、今回の申請には付けられていなかったというところです。
○橋本委員 全例をまとめろとは言いませんが、○○のうち初期の○○○○、○○○○ぐらいなど、そのような十分な数のデータというのは、やはり必要なのではないかと思いますが。
 座長、もう少しよろしいですか。
○荒井部会長 どうぞ。
○橋本委員 先ほどセキュリティについての御質問がありましたが、このセキュリティというのは非常に問題で、特に今回のように検体を外国に出してしまったときに、その後それをどうするかということというのは、極めて重要な問題ではないかなと思います。例えば本人が同意をしたなど、そういうことを言っても、本人は通常は同意するしかないのです。この方式を使えば、あなたは非常にいいデータが得られますよと言われれば、駄目という人はまずほとんどいないでしょうし、そういう意味で患者の同意というものが免罪符のようには決してならない。日本医師会内で聞いた話ですが、過去にこのFoundation OneやハートフローFFRctというようなものでも、同じような方式が取られて非常に問題になったということも聞かされましたので、やはり海外に出したときの事業者の監視、監督というものが果たして日本からできるのか、できなければどのようなことを承認条件とするのかということについて、十分に検討する必要があるのではないかなと思っていますが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回の情報と言いますか、検体に関しても必要最低限のスライド15枚ということで、その残余検体に関しては90日以上2年以内に廃棄という規則が決まっています。それも確認をしています。また、今回、得られる検査データに関しても、個人を特定するようなゲノム情報ではなく、患者さんの発現量ということで他に利用する余地がないというか、活用するようなものが取るに取れないというふうに感じています。
 海外での取扱いなど、そういうものに関しては、今回の製造販売業者の監視、監督の責任を取るということで承認条件を付しています。それはこれまでのハートフローやFoundation Oneと同じようなものを付けていまして、それらの品目においても適切に現在運用されていると思いますので、同じ承認条件を付けています。
○橋本委員 セキュリティに関しては、先ほどの御質問にもありましたが、くれぐれもきっちりとした条件を付けていただきたいなと思います。
○荒井部会長 今の3点目については、Foundation Oneなどについても当然ここで議論をしていますが、それが結果として何か問題になっているというふうなことではないものですから、そこは今までのものが何かトラブルが起きているというふうなもし御理解があるとすれば、それはちょっと誤解かと思いますが。
○橋本委員 そういう誤解はありませんので、大丈夫です。ただ、問題になったということだけ。
 それから、最後に実臨床家としてちょっと疑問に思ったのですが、術後の腫瘍検体を出す、ホルマリンで固定して出したものというのは、恐らく十分な組織のいいところが取れているでしょうし、これは問題ないのですが、針生検は自分でやってもかなり難しいときがあります。ちゃんと病巣にヒットしているのか、そういうことが分からないことがあるのですが、この方式は針生検も可能と言っていますが、その点は大丈夫なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。針生検に関しても、検査の条件である浸潤径が2mm以上など幾つか条件があれば、腫瘍組織と同じようにできるとのことです。また、現在、動いている本検査においても、針生検検体を使った検査が○○○%あるということで、術時検体だけではなく、そのような対応もして特段の問題は起きていないと聞いています。
○橋本委員 分かりました。どうもありがとうございました。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。すみません、今、Webの方で小西委員から御質問を頂いています。小西委員、よろしいでしょうか。
○小西委員 このキットのこれまでのデータをもとに、その化学療法を追加するかしないかを決めるというふうに解釈してよろしいのでしょうか。その化学療法を追加するかしないかを決定した後の結果と言いますか、長期なり、長期の方というのは後々どうなっていくのでしょうか。あとで紹介されるのか。その辺がちょっと分からない。
○荒井部会長 小西委員、申し訳ありません。こちらの問題ですが、ちょっと音声が会場全体に届かなかったので、もう一度、御発言いただけますか。
○小西委員 申し訳ありません。今、聞こえていますか。
○荒井部会長 はい、聞こえています。
○小西委員 このキットの結果をもとに、化学療法をするかしないかを決めるのですよね。その決めた結果が患者の予後がどうなったかというのは、どなたかがずっと見ていくのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本検査を受けて、その後、化学療法をされなかった患者さん、された患者さんもいますが、その術後の確認というのはそのまま医師がやっていくものと思います。
 先生の御質問がちょっと酌み取れていないかもしれませんが、本検査を実施して、リンパ節転移陰性の患者様ですと、その結果、化学療法を止めましたという患者さんが大体3割ぐらいいらっしゃいます。リンパ節転移が1~3個の患者様においては、6割ぐらいの患者さんが化学療法をやらなくて済んだというような効果の文献も、本邦のものですが、カテゴリー3の方で説明はされています。お答えになっていますか。
○荒井部会長 小西委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○小西委員 この医療機器を使って判定していた患者さんの転帰は調べていくのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます、
○医療機器審査第一部長 本品は、スコアを表示するものであり、その結果、これまで数割の患者さんたちが化学療法を回避できたということなのですが、その患者さんたちがホルモン療法のみで5年間経過後、再発していないかどうかというような、プロスペクティブな調査結果は実のところ、まだ私たちも把握していません。ただ、本部会の審議の中でこういう意見が出たということを、要望された日本乳癌学会の方に、レジストリなどにより調査ができないのかどうかということを含め、今日いただいた意見をお戻しすることは可能だと思います。
 一方で、術後補助療法のホルモン療法、あるいは追加される化学療法薬は、様々な種類があり、個々の患者さんによってその効きめというものも様々ですので、フォローアップの長さもあってなかなか難しいところもあるのではないかというふうに思っています。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。小西委員、よろしいでしょうか。
○小西委員 分かりました。
○荒井部会長 永井委員からも、手を挙げていらっしゃると伺いました。永井委員、聞こえていますか。
○永井委員 はい。今の小西先生のコメントと関連するのですが、これまで余り変化がなかった治療法にしても、時代とともに今後変化していく可能性があるので、やはり長期的に学会としてレジストリを構築して、今の判定基準が合理的かどうかをフォローしていくべきではないかと思いました。
 もう1点ですが、審査報告書の31ページ、マル1リンパ節陰性の患者についてのコメントでちょっと気になる所があったのですが、これは先ほどから出ていますように、いかに手術後、ケモをしなくていい人も同定するかということが目的だと思いますが、この報告書の他の記載だとRS11から25の患者さんは上乗せして化学療法を受けた患者群に対して非劣性であったということが、余り意味をなしていないような気がして、むしろ内分泌療法だけ、ケモをしなかった人に比べて非劣性だったかどうかというところがポイントではないかと思い、いわゆる添付文書にどう反映されるか分かりませんが、少々御注意いただいたほうがいいかなと思いました。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。今の後段の所は、ちょっと御検討ください。私もさっき読んで、ちょっと文書として変かなと感じました。岩瀬先生が学会を代表してお答えいただく立場ではないかと思いますが、せっかく今日、参加していただいています。今、御指摘いただいたこの判断基準でやった場合に、実際のところ臨床現場はどうなのでしょう。臨床現場では重要な課題かと思いますが、この辺はこれから学会等で時間が掛かるでしょうが、データを集めていくといった方向性なのでしょうか。どうでしょうか、岩瀬先生。
○岩瀬参考人 これは2007年から実は実臨床として行われている検査なのです。海外のデータも2004年からもう十分データはあります。ですから、レジストレーションを全例してそれを確認するという作業は、かなり学会としては無駄になるというふうな判断になるかもしれません。これは私の個人的な意見です。実は十分な欧米、あるいは日本でも○○例のデータがあるという前提でお話させていただいています。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○橋本委員 よろしいですか。今のように分かり切っていることだというのであれば、それをデータでちゃんと出していただきたいというのが、先ほどの私の要望でもあります。
○荒井部会長 はい、ありがとうございます。
○岩瀬参考人 その症例数をたくさん持っている施設、そこが今、論文にはしているというふうには思っていますので、もう少しお待ちいただくと具体的なデータがそろうのではないかと思います。
○荒井部会長 はい、ありがとうございます。
○永井委員 永井です。今までのことはそうだと思うのですが、今後、いろいろな治療が出てきたときに、また変わる可能性があります。ついては、もちろん全例でなくていいのですが、何かの形で継続的にフォローしていくことが必要ではないかという気がします。以上です。
○岩瀬参考人 学会の中で何か組織を作って、そういったことを検討していただくように私からも働き掛けます。
○永井委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 ありがとうございます。大隈委員、どうぞ。
○大隈委員 関西医科大学の大隈ですが、承認に対しては特に異論はありませんが、三つ質問をさせてください。一つ目は、本システムの解析の流れについてです。これは確認ですが、検体を検査会社に送って検査されるわけですが、一応、対象とされるのはホルモン受容体が陽性でHER2が陰性の方ですね。実際は検体を送られたら、定量PCRが始まるので、そこで結果が出てくるわけですが、対象解析遺伝子の中にHER2などが入っています。ですので、この時点でもしHER2が陽性だとすると、これは本品による解析に進まないということでよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。対象外というふうな形でレポートが出てくるというように聞いています。
○大隈委員 分かりました。
 2点目ですが、添付文書の名称が変わるという話もありましたが、1ページの概要の所です。最後の1、2文の所です。この再発スコアの結果は、この判断を補助するリスクと効果を提供すると記載があります。少し違和感がありまして、何と言いますか、リスクと効果を提供するとあるので、その下の主たる機能の所に書いてありますが、その効果の大きさを提供するなど、予測を提供するなど、データを提供するなどの方がもっと分かりやすいのではないかと思いました。
 もう一つ、最後ですが、RSについては、結果については、他の文書にも書いてありましたが、一応25以下が低リスク、26以上が高リスクというような記載があるように思いましたが、こういったRSの基準と言いますか、判定の基準のようなものはこの添付文書の中に記載されなくても大丈夫なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回、この本品に関してはRSのスコアは0~100というスコアを出すというところが本品の主目的で、そのRSが例えば25以下で23だったら、こういうふうなリスクがありますなどどこで切るか、17以下や30以上などいろいろあるのですが、その細かいところに関しては、補助資料としてRSを解釈するための補助情報としてレポートには出てきます。ですので、本品の承認範囲としてはRSのスコアというところまでですので、添付文書においてはRSに関してのみが書いてあるというような状況です。
○大隈委員 分かりました。では、特に臨床的にと言いますか、そういう数値の細かい基準のようなものはいらないということで、よろしいですね。承知しました。
○荒井部会長 よろしいですか。ありがとうございます。大隈委員から今いただいた2番目の所は、ちょっと言葉選びのところがありますが、御検討ください。確かに誤解を招くといけませんので。その他に御意見はいかがでしょうか。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。基本的なことで、少し教えてください。この検査は、世界の90か国以上ですか、随分たくさんの数が行われていて、日本でも○○例ですか、行われているということなのですが、その割に今のところ薬事承認を受けている国はないと書いてあって、これがなぜなのかということがよく分からないので、教えてもらいたいということが一つです。
 また、審査の結果、これがプログラムとして仮に承認されたとしたら、今までと何がどう変わるのかということについても教えてもらいたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本検査に関しては、自家調整検査として、現在行われています。また海外においても、そのような形で行われています。今回、申請者の方で薬事承認を希望されたため、プログラム医療機器に該当する部分に日本ポータルを追加してソフトウェアの部分だけを切り出して、薬事申請をされたというような状況です。
 今後、どこが変わるかということに関しては、日本ポータルというWebサイトが1個追加されますので、そこにおいて遺伝子増幅曲線の中間解析結果というものを医師が途中で確認をして、その結果、RSというスコアを出すというようなステップが増えます。後は、安全性に関しては本邦においてきちんと確認をするような制度になると。
○荒井部会長 御質問の特に前段のところは、多分、保険制度ともかなり密接に関係していると思われます。課長から御説明いただけますか。
○医療機器審査管理課長 御質問ありがとうございます。今、部会長からおっしゃっていただいたとおりで、今まで自由診療の中で行われた検査ではありますが、今回、薬事を目指すということは、恐らく承認を仮にお認めいただければ、その先の保険診療というところを申請者は目指しているというふうに理解しています。
○北澤委員 ありがとうございます。そこのところを聞きたかったのです。
○荒井部会長 そうですね。ここはやはり海外と日本の薬機の承認と保険との関係が相当異なるという背景に大きく影響しているように思われます。そのほか御質問、御意見いかがでしょうか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間座長代理 佐久間です。先ほどのサイバーセキュリティの議論を伺っていまして、議論の論点がややぶれているように感じました。ソフトウェアの技術的な安全基準ということから言えば、サイバーセキュリティということで議論しているのは、データが同一性が担保されてちゃんと届くか、それからデータが改ざんされないか。このような問題を防ぐ技術的対策が取られているのかということ、すなわちセキュリティを確保する技術的な措置が適切に取られているのかということです。先ほどの議論は、どちらかと言うと、個人情報を扱うことの是非についての議論であり、医療機器の性能評価という観点とは異なる論点が少し混在しているかなと思いました。今回議論すべき点、この書類で言っている点は、すなわち暗号化など、技術的な対応が適切になされており、サイバーセキュリティハザードが起きないようにすることに関する性能の妥当性を見ている。そういうふうに理解したのですが、よろしかったでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○佐久間座長代理 日本でサイバーセキュリティというと何かそこで個人情報漏洩など悪いことが起きるから、そのような個人情報を扱うことそのものの是非の議論になってしまいがちなのですが、少なくとも国際規格などからいくと、それを防ぐための方策がちゃんと取られているかどうか、そこを見るということが医療機器評価の議論の中心です。扱われる情報がどのように取り扱われるべきだという点は、論点が違う話だと思うので、その辺りは少し整理をするといいのかなということを思いました。決して個人情報が扱われることをいい加減にすることを申し上げているわけではありません。そこはちゃんとやるところなのですが、その医療機器評価に関わる議論の整理という視点からはこのように考えるべきだと思いました。
 それから、もう一つ、これは前半の議論もそのとおりですが、ちょっと細かな話となりますが、ソフトウェア特有の話として、今回のものは既存のアルゴリズムをやるものは基本的に向こう側の海外側のサーバーにあって、この製品が行っていることはそこのサーバーから出てきたものを確実に医師に出すか、それからそこのデータがしっかり医師に出るかどうかということを、着実に実行するということが求められる機能であるというふうに理解しています。
 そうしたときに、今回それで不思議と思ったのは、先ほどの添付文書、これは文書が変わるのかもしれませんが、使用方法の所で、専用Webサイトの条件、これ実は専用Webサイトの方を直すという観点ではよいのですが、実はInternet Explorer11など書いてあるのですが、これはすぐにサポートがなくなるなど、この条件が成り立たなくなる可能性があります。この辺りが、ソフトウェア製品のやっかいなところで、製造業者がちゃんとやるということ、製品のライフサイクルマネジメントを適切に実行するということを確認すること、これは多分適切になされていると思うのですが、そういうことを確認すべきなので、この書き方も少し工夫されるといいのかなと思いました。以上です。
○荒井部会長 佐久間先生、非常に貴重な御意見、ありがとうございます。そのセキュリティの話になりますと、いわゆるソフトウェアの部分と倫理上の問題など、こちらの方もごちゃ混ぜにしてしまうところがありましたので、御指摘いただきありがとうございます。何か機構、あるいは厚労省から、今の御意見に対しての説明なり、意見なりはありますか。伺うだけでよいですか。貴重な御意見、ありがとうございます。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 海外の事業者のところの説明で、品質の向上というようなことがありましたけれども、その品質の向上というのは何を指すのでしょうか。二次利用としか言えないような表現ですが、品質の向上というものの目的は、二次利用ではないのかどうか。海外の事業者に対する監督、監視の対象として、それを永続的にできるのかどうか。本来の行為を逸脱しているのかどうかの検討など、担保できていないような気がしますけれども、いかがなのでしょうか。
○佐久間座長代理 関連してよろしいですか。
○荒井部会長 どうぞ。
○佐久間座長代理 私の理解ではここの式、いわゆるPCRから出てきた値を算出する式の係数は未来永劫変えないということを言っているのかなと思いました。出力されるスコアの解釈については、別にこれはソフトウェアが解釈しているわけではなくて臨床でのデータの蓄積に基づき適切に変更していくということかと思います。そこで疑問になったのは、品質の向上というのが何を言っているか分からないところです。その辺りが少しはっきりするといいのかなと思いました。多分、アルゴリズムがこれで変わるといったような性格の計算方法の変更を想定しているわけではないと思います。ですから、その点で品質の向上と言ったとき、例えば何かエラーが起きたという事象に対するという技術的な対策、データの同一性のところの問題が生じた場合に適切な技術的改良を加えることであれば、それほど重大ではないと思いますが、先ほどの話で、医療現場から出てきたもので陰性だと思っていたものが陽性になったということがあった場合にどのようにそれを適切な情報としてユーザに提供するのかといった問題に関して、御指摘の二次利用の問題などがあるかと思われ、その辺りを御懸念されているのではないかという気がいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。品質の維持ということに関しては申請者の方から、もう既に確立したRS算出式であり、それを出力するということは常にやっていることなので、日本ポータルを足したとしても同じようにできるということ。今回、試験を出されて、それを維持していくためにデータが残っていくというか、今までもそのようにしていたという説明はありました。その管理の仕方については、今後、QMSで定期的に見ていくことになりますので、おかしな使い方がされていないかに関しては、今後、見ていく仕組みができたのかなというふうに思っています。
○荒井部会長 佐久間委員、よろしいですか。実は横井委員もWebで手を挙げていらっしゃいます。横井委員、聞こえますか。
○横井委員 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○荒井部会長 お願いいたします。
○横井委員 先ほど佐久間委員からありましたように、個人情報の問題とセキュリティの問題は全く別であるというのは御指摘のとおりだと思います。また、今回、プログラム医療機器ということで、これまでの医療機器が有効性、安全性という、患者さんに対してのいわゆる医療的な意味の性能が大きく議論されたわけですが、このプログラム医療機器は更にネットワーク上で運用される機器ということで、おっしゃるようにサイバーセキュリティに対しての安全担保というのも、医療機器として必要な条件であるということで、それも含めて規制対象となるという理解をしていますが、それでよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。その御理解で私どもも考えています。
○横井委員 ありがとうございます。
○荒井部会長 よろしいですか。どうぞ。
○今野委員 品質向上や品質の維持のために利用される、二次利用との質問を最初にさせていただきました。基本、性善説ですよね。信義という言葉を懸念を込めて使いました。私は直接オーディットされるのが最も早いのではないかと思います。海外に貴重なデータを渡すときの二次医療にどのように制限を掛けるかは、オーディットが一番いいのではないかと思います。以上です。
○執行役員 医療機器担当の執行役員の木下と申します。先生方から度々御指摘がございましたが、先ほど審査担当の方から申し上げましたとおり、QMS(Quality Management System)ということで、相手の設計開発をしているような所とか製造工場などについて、ちゃんとした品質管理や製造管理ができているかを正に確認しに行く、オーディットするという制度になっています。それは、QMS調査によって見に行くということを担当の方から御説明させていただいています。以上です。
○今野委員 直接行かれるわけですね。
○執行役員 はい、直接見に行きます。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。そのほか御意見はいかがですか。Webで御参加いただいている先生方、よろしいですか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 先ほど課長が明確にというか、そういうふうにお話いただきましたが、このような形で審査に当たってくるときに、先ほど日本医師会の橋本が申し上げましたが、学会から機構に早期承認の要望が提出されたということは書いてあるわけです。これは実際に方向性としてあるべき姿ではないという認識を持たざるを得ないと考えます。もちろん、きちっとやってくださっていることは分かっていますが、良いものであってもプロセスがしっかりしていないと、疑うわけではないですが形が整わないのではないでしょうか。
 ですから、このような図式にならないように、出すべきところの方向性をしっかりと認識していただければ幸いです。先ほど御説明があったので了解はしていますけれども、そのような形にしていただければと思います。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。ここの部会で今の内容を決めましょうという話ではないのですが、御指摘いただいたように厚生労働省、機構の主要な方々は全員ここにおられます。ですから、そういう懸念というか、そういう見方をされる可能性があるという指摘があったこと、今後もこういった早期の承認要望の品目に対する対応として、そういう御意見があったということを、これは議事録にも残りますし、御記憶いただいて検討いただければと思います。ありがとうございます。他に御意見は、Webの方もよろしいですか。ありがとうございます。それでは、御意見がなければ議決に入らせていただきたいと思います。
 一般的名称「腫瘍悪性度判定支援プログラム」を高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないこととしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、医療機器「オンコタイプDX乳がん再発スコアプログラム」につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品としては指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績評価は不要としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。大変長い時間御検討いただきました。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は分科会にてまた報告をさせていただく予定となっています。
 これで、今日の議題3と調査会の議題1が終了いたしました。プログラム医療機器調査会の先生におかれましては、併任されている先生方はいてください。調査会の先生方につきましては御退席いただいて結構です。もしおられる場合には申し訳ございませんが、この後の議事につきまして発言をお控えいただくようにお願いいたします。よろしいでしょうか。岩瀬先生は途中で時間のために退席されたようですが、貴重な御意見、ありがとうございました。
 引き続きまして、議題4、「体外型補助人工心臓EVAD」の使用成績評価の指定の要否を始めさせていただきます。機構の方から説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 よろしくお願いします。それでは、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料4、審査報告書4ページ下段、「2.審議品目の概要」を御覧ください。本品は、従来の薬物療法や既存の補助循環法の限界を超えた重症心全患者に対して、左心補助による全身循環の維持及び心不全の回復を目的として使用する体外設置式の補助人工心臓(VAD)であり、審査報告書5ページ、図1にお示ししますような構成となっております。
 審査報告書6ページ、「図2 EVAHEARTと本品の装着イメージ」を御覧ください。本品は、左側に示します既承認の植込み型補助人工心臓システムである「植込み型補助人工心臓EVAHEART」をもとに、体外型のVADとして開発されたものであり、本品の構成品は、図3にお示ししますインフローカニューレ、アウトフローカニューレ等の体内外の導管を除き、血液ポンプやコントローラ等、EVAHEARTと同一のものを使用しております。なお、使用環境に関して、EVAHEARTは心臓移植までのブリッジとしての使用を目的に心臓移植適応の重症心不全患者に使用し、植込み後は基本的に在宅管理に移行されますが、本品は従来の体外式VADと同様に、植込み型VAD等の治療へのブリッジ又は心不全の回復を目的に重症心不全患者に使用し、院内管理下で使用されます。
 審査報告書6ページ、下段を御覧ください。本邦において、既承認品の主な体外式VADとしては、「ニプロヘパリンコーティング補助人工心臓セット」及び「ニプロ補助人工心臓セット」(ニプロVAD)があり、現在まで長年にわたって使用されている一方、次に申し上げる4点の課題がございます。
 一つ目は、大型の駆動装置を有すること。二つ目は、最大補助流量が7L/min程度と限定的であること。三つ目は、使用期間の30日を超える場合にはポンプ交換が必要となること。最後に、ポンプ内血栓の形成リスクです。
 以上、4点の背景を踏まえ、本品はEVAHEARTの基本設計を踏襲することにより、最大使用期間は既承認品よりも長い90日と規定していること。本品のインフローカフはEVAHEARTのインフローカニューレであるDCTカニューレと同一であることから、本品の使用患者が植込み型VADへのブリッジとしてEVAHEARTへ移行する際、より低侵襲な治療かつ植込み手技の簡便化が期待されること。また、コントローラ等の周辺機器もEVAHEARTと共通であり、ニプロVADと比較してシステムが小型であるため、EVAHEARTの使用経験がある場合、医療従事者の新たなトレーニングや管理に関する負担が軽減できることを開発コンセプトに、本申請がなされました。
 次に、審査報告書7ページ、中段「3.使用成績評価を指定する根拠について」を御覧ください。本品の臨床評価に関する資料として、EVAHEART及びニプロVADの市販後の臨床使用成績を基に作成した臨床評価報告書が提出されました。本邦の植込み型VADの市販後レジストリであるJ-MACSを使用して、EVAHEARTのPrimary症例、全167例のうち、INTERMACS Profile1又はProfile2に該当する症例98例が、体外式VADと同様の患者背景を有するコホートとして抽出されました。体外式であるニプロVADの臨床データについては、J-MACSから公表されていた最新の定期報告書から引用した89例が評価の対象とされました。
 審査報告書8ページ、上段「(1)本品の有効性及び安全性について」を御覧ください。術後180日までの生存率はEVAHEART群とニプロVAD群で同等でした。また、EVAHEART群の機器不具合の回避率が術後90日時点で86.4%であり、ニプロVAD群の57.0%と比較して高く、致死性の事象も大きくは見受けられませんでした。さらに、主要感染症及び大量出血の回避率について、機構は、本品とEVAHEARTでは植込みの有無やポンプポケットの要否等、構造的差分が大きいためEVAHEARTの感染症発現状況から、本品の感染症リスクを単純に推定することは困難と考えますが、本品とニプロVADの皮膚貫通部のインフローカニューレ及びアウトフローカニューレの外径は同等であり、ポンプポケットを有さない点も同様であることを踏まえ、本品の感染症及び大量出血リスクについてニプロVADと比較し、大きな懸念は見当たらないと判断しました。
 審査報告書9ページ、表1の下を御覧ください。神経機能障害の回避率については、EVAHEART群でニプロVAD群と比較して低く、術後180日でEVAHEART群60.2%、ニプロVAD群76.0%でした。申請者は、補助人工心臓における神経機能障害の発現リスクとして、インフローカニューレの表面処理の有無や、左室内でのカニューレの位置異常、カニューレ表面の内皮化が完了する前に、カニューレ周囲の血液滞留部分で形成される微細血栓との関連を推察しており、EVAHEARTではインフローカニューレの改良が継続して行われています。
 現在は、審査報告書10ページ、図5、右側に示しております、左室内にカニューレ先端部が飛び出さない構造であるDCTカニューレを使用しており、本品のインフローカフも同一構造であります。
 次に、同ページ下段、「図6 EVAHEART Primary症例の高リスク患者群を除いた神経機能障害全事象の回避率(インフローカニューレ)別の比較」を御覧ください。頭蓋内出血等の神経機能障害全事象の回避率に関して、EVAHEARTのインフローカニューレ別の比較が行われております。これらの解析では、インフローカニューレ間の比較評価のため、患者背景について、神経機能障害が一般的に高リスクと考えられる「左室が狭小な患者」及び「右心不全傾向の患者」を除外しております。DCTカニューレ症例の高リスク患者群を除いた神経機能障害全事象の回避率は、術後90日で81.0%でした。
 また、審査報告書11ページ、「図7 重篤な神経機能障害の回避率(インフローカニューレ別)の比較」を御覧ください。神経機能障害のうち重篤な事象の回避率においては、DCTカニューレは前世代モデルと比較して改善傾向にあることが示されました。
 機構は、申請者から示された臨床データ及び解析結果では、ニプロVADの患者背景の詳細及び神経機能障害の程度や事象詳細は不明であること、ニプロVADの臨床データはポンプ交換時点で打ち切りとなっていること等、引用したデータの性質上詳細な比較は困難であると考えます。加えて、現在EVAHEARTでは、DCTカニューレ症例を対象に使用成績評価を実施中であり、評価可能な症例数も限られていることから、神経機能障害の発現リスクがニプロVADと比較して同等以下であることは確認できないと考えます。一方で、DCTカニューレの導入により、EVAHEARTの重篤な神経機能障害の発現リスクについては改善傾向が示唆されていることは理解でき、本品の臨床ニーズも踏まえると、本品の神経機能障害の発現リスクに関する解析結果や使用状況の情報提供、適切な患者選択に関する注意喚起等、十分な市販後安全対策の実施により一定の安全性を確保しつつ、使用成績を継続的に調査することで、本品の有効性及び安全性を確認していくことが重要と判断しました。
 続きまして、審査報告書11ページ、下から5行目「(2)使用成績評価の必要性について」を御覧ください。EVAHEARTにおいて、本品のインフローカフと同一であるDCTカニューレを使用した症例を対象にした使用成績評価が現在実施中であることから、DCTカニューレの有効性及び安全性については、本品においてもEVAHEARTと同様に引き続き確認する必要があると考えます。加えて、本品の対象患者はEVAHEARTと異なること、及び体外式VADとしての本品の実臨床での使用経験がないことも踏まえ、本品を使用成績評価の対象とすることは妥当と考えます。
 最後に、使用成績調査の計画案を、審査報告書12ページ、表2に示しておりますので、そちらを御覧ください。評価期間については、EVAHEARTで実施中の使用成績評価を基に検討しました。本品の臨床上の安全性の調査を目的として、目標症例数については、本品の患者数は少数と予想されることから、症例登録期間3年に登録される全例としました。また、体外式VADの使用期間は植込み型VADと比較して短期間になることが想定されますが、症例によってはポンプ交換を行いながら長期的に使用する症例も考えられるため、追跡期間については3か月(ただし、ポンプ交換症例については、最終離脱又は解析開始までの期間とする)とし、総調査期間を4年とすることが妥当と判断しました。
 機構からの説明は以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの議題4の人工心臓EVADについてですけれども、御意見、御質問等いかがでしょうか。よろしいでしょうか。梅津先生。
○梅津委員 質問ではなくてコメントです。これを進めていただきたいという基本的な考えでいいと思うのは、最近、プログラム医療機器のようなソフトウェアのことがこの部会でもたくさん出てまいりますが、実は我が国はものづくり立国日本なのです。委員の皆さんに共有していただきたいと思うのは、私はエンジニアだから言うわけですが、こういう一つ一つ改良しながら医療機器の性能を確かめて、それを患者さんがよりいい形で使っていくというプロセスを大事に考えてもらうことが、この先、とても大事なのではないかと考えています。コメントです。ありがとうございました。
○荒井部会長 正に貴重な考え方というかコメントを頂きました。ありがとうございます。その他の委員の方、よろしいでしょうか。それでは、特に御意見がないようですので議決に入らせていただきます。医療機器「体外型補助人工心臓EVAD」の使用成績評価は期間を4年として指定することとして、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですのでそのように議決させていただきます。本件は分科会にて報告させていただきます。これで議題4を終了とします。
 続きまして、議題5に入らせていただきます。「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」を始めさせていただきます。事務局の方からお願いします。
○事務局 皆様、資料5を御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器への指定」、及び「特定保守管理医療機器に指定するか否か」について御審議いただいております。
 今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要と考えられるものが議題3で御審議いただいたものの他に1品目ございます。
 まず、1ページを御覧ください。新設予定の一般的名称は「非能動型展伸・屈伸運動訓練補助器具」です。本名称の定義は「医師等の指導の下、下肢の関節のリハビリテーションを補助するために用いる非能動型器具をいう。本品は対象とする関節の訓練に適した形状をもつ。」です。
 本品は、クラスIの一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、不要と考えております。
 御説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。資料を御覧いただくと大変シンプルなものですけれども、特に御意見等はございませんか。よろしいですか。実は名称もなかなか私にとって読みにくいですが、議決させていただきます。「非能動型展伸・屈伸運動訓練補助器具」を一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。これは分科会で文書報告をさせていただきます。これで議題5を終了いたします。
 本日の議題の「その他」ですが、実は前々回、11月の部会で行われた審議品目につきまして委員の方々に御報告があると伺っていますので、事務局の方からお願いいたします。
○事務局 「その他」事項としまして、当日配布資料2、薬剤含有コンタクトレンズの広告基準につきまして、監視指導・麻薬対策課より御説明させていただきます。
 今、部会長からおっしゃっていただきましたとおり、昨年11月20日の本部会におきまして、単回使用視力補正用薬剤含有コンタクトレンズの一般的名称の新設について御審議いただきました。その際に一般の方向けのCM等の広告につきまして、そういった広告ができてしまうと安易に使用を希望する人が増えてしまうのではないか、きちんと整理をすべきではないかという御意見を頂いております。こちらの御指摘を踏まえた検討の結果につきまして概要を御報告させていただきます。
 当日配布資料2の1ページを御覧ください。こちらは、日本コンタクトレンズ協会が作成しておりますコンタクトレンズの広告自主基準の新旧対照表です。もともと通常の医療機器は、医療関係者以外の一般人向けの広告が原則として制限されていますけれども、コンタクトレンズにつきましては、このコンタクトレンズ広告自主基準の範囲内に行われるものに限って一般人向けの広告が認められています。こちらにつきまして、今回、上の四角囲みの中の第3条、こちらは自主基準の対象となる商品の範囲を定めた規定ですが、こちらの赤字部分のとおり、「ただし、一般的名称に薬剤含有を含む製品は、この自主基準の対象から除く」と追記し、薬剤含有コンタクトレンズはこの自主基準の対象外、つまり、一般向けの広告はできないこととさせていただきました。
 その理由につきましては下の四角囲み、この自主基準の解説部分に同じく赤字で追記していますが、薬剤含有コンタクトレンズは、患者に対して、医師が薬剤使用の適切性を考慮して販売名を指定して指示をするものであるため、患者が自らコンタクトレンズを選択する必要がないことから、一般人向けの広告は制限することとして自主基準の対象外としたものです。
 資料の2ページ以降には、この改正を反映した自主基準の全体版を参考としてお付けしています。こちらの自主基準につきましては既に全国の自治体の薬事担当部署に情報提供していまして、今後はこの基準に従って運用を行っていくこととしています。御説明は以上です。
○荒井部会長 ありがとうございました。ただいまの薬剤含有のコンタクトレンズの件ですけれども、御質問とかよろしいでしょうか。ありがとうございます。よろしければ、これは報告ですのでこれで終了させていただきます。本日の議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○医療機器審査管理課長 本日も長時間にわたりまして御熱心に御議論いただき、本当にありがとうございました。次回の部会につきましては8月4日を予定しております。詳細につきましては後日、メール等で御連絡させていただきます。連絡については以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。本当に今日は長い時間、ありがとうございました。最後に、薬剤のついたコンタクトレンズの話が出ました。今日は冒頭にプログラム医療機器がありましたし、本当にこの部会は扱うものがどんどん増えてきて、ともすれば混乱してしまうのですが、今、梅津委員からも非常に貴重な御意見を頂きましたし、調査会の佐久間委員からも情報のセキュリティの問題で貴重な御意見を頂きました。だんだんと内容が錯綜してきますと議論や判断の軸がぶれる可能性もあるかと思われます。私もぶれないように気を付けますが、その辺、これからもいろいろと御意見を伺いながら基軸がぶれないような議論というか、ディスカッション、審査をしていきたいと思いますので、是非、今後ともよろしく御協力ください。
 それでは、これをもちまして、本日の医療機器体外診断薬部会を閉会させていただきます。長時間ありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 大原(内線4226)