2021年2月12日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和3年2月12日(金)14:00~

出席者

出席委員(19名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理
 
 他参考人2名
 

欠席委員(4名)五十音順

行政機関出席者
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  河野典厚(医療機器審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  山本晴子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医務管理監)
  •  木下勝美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構執行役員(機器審査等部門担当)) 他

議事

○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長の河野でございます。定刻になりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多用の中御出席くださいまして誠にありがとうございます。
 本日は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、Web会議形式での開催といたします。また、本日の議題の一部は公開案件であることから、Web会議の様子を別室の傍聴席に配信させていただいております。委員の先生方、また傍聴の皆様におかれましては、Web開催に御理解、御協力を頂きましてありがとうございます。
 初めに、本年1月25日の部会委員改選に伴い、今回は改選後初めての当部会開催となりますことから、新たに着任されました委員の先生を御紹介させていただきます。申し訳ございませんが、新任の先生におかれましては一言御挨拶を頂ければと思います。まず、帝京大学医学部整形外科主任教授でいらっしゃいます河野博隆先生です。本日、河野先生は御欠席でございます。大阪大学大学院歯学研究科口腔分子免疫制御学講座予防歯科学分野准教授でいらっしゃいます久保庭雅恵先生です。
○久保庭委員 大阪大学の久保庭と申します。どうぞよろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 千葉大学大学院医学研究院先端応用医学研究部門先端応用医学講座心臓血管外科学教授でいらっしゃいます松宮護郎先生です。
○松宮委員 千葉大学心臓外科の松宮です。よろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 聖マリアンナ医科大学病院画像センターセンター長でいらっしゃいます三村秀文先生です。
○三村委員 聖マリアンナ医大の三村です。
○医療機器審査管理課長 新たに委員となられました先生方におかれましては、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
 続きまして、部会長の選出につきまして御報告いたします。委員の改選に伴いまして、1月25日に行われました薬事分科会におきまして、各部会の部会長の選出が行われております。本部会につきましては、荒井保明先生が改めて部会長として選出されておりますので御報告申し上げます。荒井部会長、一言御挨拶をお願いいたします。
○荒井部会長 荒井と申します。前回に引き続きまして、今回も部会長を務めさせていただきます。今更ですが、この部会は、医薬品以外のもの、要するに体外診断薬、医療機器についての大変重要な判断をする部会です。活発な御意見を頂くとともに、円滑に議事を進めていきたいと思います。御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 よろしくお願いいたします。また、本部会におきまして、新たに部会長代理を選出させていただきたいと思います。部会長代理につきましては、薬事・食品衛生審議会令第7条第5項の規定に基づき、部会に属する委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理するとされております。荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 これまでも部会長代理をお務めいただき、この部会の役割についても深い見識をお持ちの一色委員に、引き続き部会長の代理をお願いしたいと思います。
○医療機器審査管理課長 荒井部会長、どうもありがとうございます。それでは、一色先生に本部会の部会長代理をお願いいたします。一色部会長代理、一言御挨拶をお願い申し上げます。
○一色部会長代理 一色でございます。今回、荒井部会長に御指名を頂きまして、引き続き皆様のサポートをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。
 次に、本日の委員の出欠状況につきまして御報告いたします。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち、17名に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告いたします。今回初めての委員も複数いらっしゃいますので、事務局から本部会の運営方法につきまして、特に御留意いただきたい事項等について御説明させていただきます。
○事務局 事務局でございます。改めまして、本部会への御参加に当たっての留意事項を3点ほど説明させていただきます。第1に、守秘義務についてです。国家公務員法第100条において、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする」と規定されております。本審議会の委員、臨時委員、専門委員は非常勤の国家公務員であり、この規定の適用を受けますので、本部会で知り得た秘密につきまして漏らすことのないようお願いいたします。第2に、薬事に関する企業等との関係です。薬事分科会規程第11条において、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。審議の中立性、公平性を担保する観点からの規定となりますので、これらに該当する場合、また任期中に該当することとなる場合には、速やかに事務局まで御連絡いただきますようお願いいたします。
 続いて、参考資料、薬事分科会における確認事項を提示させていただきます。こちらの表に基づき、表の右側、「部会」「分科会」と書かれております欄に、区分ごとに印が付いております。○印は審議、△印は報告、▲印は文書配布による報告、×印については審議・報告はなしとなっております。基本的には、この表に基づき部会、分科会において御審議をお願いしております。
 続いて、薬事分科会規程第7条において、「部会における決定事項のうち、比較的容易なものとして分科会があらかじめ定める事項に該当するものについては、分科会長の同意を得て、当該部会の議決を持って分科会の議決とする。ただし、当該部会において、特に慎重な審議を必要とする事項であるとの決定がなされた場合にはこの限りではない」と定めております。先ほどの表に記載しております審議事項以外にも、このただし書にありますように、「部会において特に慎重な審議を必要とする事項である」と決定された場合には、分科会において御審議をお願いすることとなります。委員の皆様におかれましては、このような規定を御承知の上、御審議いただきますようお願いいたします。説明は以上となります。
○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長でございます。続きまして、本日の審議に参考人としてお越しいただいている先生を御紹介いたします。議題3につきまして、近畿大学医学部ゲノム生物学教室教授でいらっしゃいます西尾和人先生、議題4及び議題5につきまして、聖隷浜松病院心臓血管外科部長でいらっしゃいます小出昌秋先生に御参加いただいております。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果につきまして御報告させていただきます。薬事分科会規程第11条におきましては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様より、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けいたしますが、引き続き御理解、御協力いただきますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。
○事務局 事務局でございます。次に、本日の議題の公開・非公開の扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1及び2については会議を公開で行い、議題3以降の議題については医療機器の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容が含まれるため非公開といたします。これより議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。御協力のほど、お願いいたします。
 次に、Web会議を開催するに当たり、注意事項を御説明いたします。審議中は、常時カメラオン、マイクミュートでお願いいたします。御発言される際には、画面右下「反応」から「挙手」を押していただき、部会長から指名された後にマイクミュートを解除し、お名前をおっしゃっていただいた後に御発言いただきますようお願いいたします。また、接続トラブルが発生した場合は、コメント欄を御利用いただくか、事前にお送りしました事務局連絡先まで御一報いただければと思います。
 それでは以降の進行について、荒井部会長、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 この部会をWebで行うのは今回初めてです。やりにくいところもあるかもしれませんが、是非円滑に進めたいと思います。よろしくお願いいたします。まず、今の事務局の説明につきまして何か御質問、御意見はよろしいでしょうか。
 よろしければ、これより議題に入らせていただきます。議題1「プログラム医療機器調査会の設置の可否等について」を始めます。事務局から説明をお願いします。
○事務局 議題1「プログラム医療機器調査会の設置の可否等について」、事務局より御説明いたします。事前にお送りしております資料1、参考1-1、参考1-2及び参考1-3をお手元に御準備ください。
 昨今、電子通信等のデジタル技術は急速に発展しており、医療分野においても、その実用化が進んでおります。医療機器についても、この分野の更なる進展が見込まれ、我が国においても承認審査の観点から必要な体制整備を更に進めていく必要があります。このことから、昨年12月23日に開催いたしました当部会において御報告させていただきましたとおり、厚生労働省におきましては、昨年11月24日に「医療機器プログラム実用化促進パッケージ戦略」、通称「DASH for SaMD」を公表いたしました。また、これまで薬事分科会等におきましても、部会の下に調査会を設置するなどして、プログラムの医療機器としての評価・審議ができるような体制を検討すべきとの御意見も頂いております。
 このような状況を踏まえ、今般、本部会の下にプログラム医療機器に関する専門調査会を設置することにつき、お諮りいたします。調査会の設置につきましては、薬事分科会規程第4条において、「部会長は、必要に応じて、分科会長の同意を得て当該部会に調査会を置くことができる」とされており、具体的な手続といたしましては、当該部会において設置の可否に係る審議を行い、さらに分科会において報告をすることとなっております。
 お手元の資料1、プログラム医療機器調査会の設置要綱案を御覧ください。第一条には、プログラム医療機器調査会は本部会の下に設置されるものであることを記載しております。第二条には、当該調査会において審議する事項について書いており、これまで本部会の審議事項としてきたもののうち、プログラム医療機器に関する事項は、プログラム医療機器調査会にて審議することとしております。第三条は、調査会の委員に関する事項です。調査会は15名程度の調査員の先生方をもって構成することとしており、必要に応じて部会長の判断により他の委員又は参考人に御出席を求めることができるとしております。調査会の調査員については、薬事分科会規程上、分科会長が指名することとなります。本部会において調査会設置の御了承を頂けましたら、部会長及び分科会長と相談の上、プログラム関係の専門家を中心とした先生方にお願いをしてまいります。第五条第二項におきまして、審議の重複を避ける観点から、調査会の審議事項については調査会における議決をもって部会の議決とすることができるとしております。調査会の議決を部会の議決とした場合、調査会の審議結果は事後的に部会に報告することとなります。そのほか、調査会の事務は医薬・生活衛生局医療機器審査管理課が行うこととしております。
 参考1-1は、薬事・食品衛生審議会の組織図改訂案です。また、参考1-2は、「薬事分科会における確認事項」の改訂案であり、先に御説明いたしました調査会における審議事項の部会、分科会における取扱いを記載しております。また参考1-3は、医療機器プログラム実用化促進パッケージ戦略の概要です。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。今説明していただきましたプログラム医療機器の調査会を新たに設置するという案につきまして、御意見を伺いたいと思います。まず、委員の方々から御意見、御質問等いかがでしょうか。先ほど御指示いただきましたが、皆さんのお顔はこちらから見えておりますので、手を挙げていただいても結構です。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 日本医師会の宮川です。いつもありがとうございます。原則的には全く問題ないと思いますが、このプログラム医療機器は、そのものが単独に存在するだけでなく、それ以外の機器との組合せという医療機器が今後、益々多く出てくるのではないかと想定されます。そのようなものを本調査会の対象にするのか、これまでどおり部会審議とするのか、切り分けがすごく難しいことが想定されます。その際には、審議の対象を整理して考えていく配慮が必要であろうと思いますがいかがでしょうか。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。御質問というよりは、恐らく皆さんが感じておられる切り分けのところについての御指摘だと思います。コメントを河野課長からお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長でございます。大変貴重な意見を頂きまして、本当にありがとうございます。まず、現時点における基本的な考え方といたしましては、プログラム単体で申請があって審議が必要な場合については、これは調査会で審議をしていただくという考え方になるかと思います。そのほかにも、プログラムと組み合わせて医療機器を併せて審議するケースがあると思っております。例えば、BNCTのように放射線を放出する機械とそれを制御するプログラムといった組合せの場合もあるかと思います。その場合は、それぞれが新規の品目であった場合、例えば部会と調査会と合同で審議をする等、いろいろな検討のパターンがあるのだと思います。今後、申請される医療機器に応じて、その辺については部会長とも御相談させていただきながら、適切な審議をこの部会、調査会でお願いできればと思っております。
○荒井部会長 ありがとうございます。宮川委員、よろしいでしょうか。
○宮川委員 ありがとうございました。
○荒井部会長 今の御指摘はとても大切なところです。船出してみないと分からないところがたくさんある訳ですが、あくまでこの部会の下という位置づけですので、調査会が勝手に独り歩きしない体制で臨んでいきたいと考えております。委員の皆様、そのほか何か御意見、御質問はいかがでしょうか。今回新しい委員の方々も参加していただいておりますが、失礼ですが仮に何か説明の内容で意味不明などがありましたら、遠慮なくお聞きいただければと思います。この部会はそういうふうに運営しております。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、ほかに特に御意見がないようですので、議決を行わせていただきます。ただいま事務局から説明のありましたとおり、「プログラム医療機器調査会」を新設して差し支えないものとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。よろしければ、議題2に進みたいと思います。
○事務局 議題2「一般用検査薬の導入に関する一般原則について」、事務局より説明をいたします。資料2の1ページ目の1ポツ、今回この議題を設定した経緯を御説明します。平成26年の本部会において、体外診断用医薬品の一般用検査薬への転用、いわゆるOTC化を行うに当たっての一般原則の見直しについて議論をして、平成3年のものの変更について取りまとめて通知で公表をいたしました。その中で、血液検体を用いる体外診断薬のOTC化については以下のような課題があり、その時点では難しい状況にあると指摘されていたところです。一般原則につきましては、参考資料として本資料の5ページ目から通知を付けており、具体的な血液検体の課題につきましては、13ページ目の「現状の課題」の所に文章としてあります。分類すると、1つ目は技術的な課題として検査に適した量や質の検体の採取、感染症の防止、服用歴などによる止血困難への対処。また、販売時の課題として、情報提供、生活者向けの文書、販売者への研修などについて指摘がありました。
 1ページ目に戻ります。昨年の7月に閣議決定された規制改革の実施計画におきまして、「検査薬のうち、低侵襲であるもの、定量の数値で判定されるもの、血液検体を用いたもののOTC化の可否も含めた一般原則の見直しについて検討する」となされました。閣議決定の文書につきましては、本資料の最後、25ページに添付しています。1ページ目の下の参考にも記載しましたが、検体測定事業における検査においては、平成26年のガイドラインの注意事項を踏まえた上で、利用者自らが血液検体を採取することが可能になっており、規制改革推進会議では、これとの整合に関しても指摘があったところです。
 続いて2ページ目です。規制改革実施計画に基づいて検討を行うために、本要望元である関係団体(日本臨床検査薬協会、日本OTC医薬品協会)から、現状の一般原則で指摘がある各課題への対応について意見を聴取しました。以下は業界団体からの意見です。
 1つ目の技術的課題については、検体採取の方法について、穿刺器具に針刺し事故防止などの安全機構の付いた単回使用の自動ランセットを用いること。こちらは穿刺時以外は針は露出せず、再使用ができない、また、使用後は本体ごとの廃棄が可能であるとのことです。また、針の長さや太さについて一定範囲内のものを選ぶことが可能です。
 2つ目の感染症防止のための衛生管理、廃棄までの安全管理ですが、器具の適切な保管、使用時の洗浄や消毒、使用後の適切な廃棄などを使用者に行なっていただくよう注意喚起を行うことで可能とのことです。
 3つ目の服用歴による止血困難につきましては、検体測定室の取組を参考に、販売時のセルフチェックシートの運用によって、リスクを確認した上で販売する仕組みとするとのことです。さらに、それでも止血困難が生じた場合の適切な対応について、添付文書で情報提供をします。
 3ページ目です。2つ目の販売時の課題につきましては、技術的課題で述べたような注意事項が使用者の方に適切に伝わるように販売時の情報提供を行う、一般の方にも分かりやすい添付文書や情報提供資材を作成する、販売者への研修を行っていくとのことです。
 ここまでが、平成26年の一般原則で指摘された血液検体の使用に関する課題への対応に関する業界団体の意見です。留意点としては、これらは全般的な血液検体の使用に伴う課題への対応であって、個別の検査項目において、検査の目的や検査結果に応じた適切な受診勧奨のあり方などがありますが、これらは検査項目ごとに別途検討をする必要があります。このほか、定量的な検査についても、製品間の精度の差や検査結果の理解などに関して、一般原則で課題として指摘がされていたところ、規制改革の中で検討することとされており、議論が必要となっています。
 以上、一般用検査薬の一般原則につきまして、主に血液検体の使用に関して、本部会で議題を設定した経緯と関係団体による現時点の意見の概要を説明しました。今回は初回の議論ですので、まずは本議題に関する全般的な御意見を委員の皆様から頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございました。内容は御理解いただけたかと思います。血液が対象になると思いますが、これまでの一般の検査薬と比べますと、一線を越えたというか、かなり先に進んだ内容かと思います。ここではまず、この考え方につきましての御質問や忌憚のない御意見を頂ければと思います。委員の方々、いかがでしょうか。小西委員、お願いいたします。
○小西委員 小西でございます。恐らく幾つかの重要な点があると思うのですが、差し迫ったニーズ、需要というのは、一体何があってこういう話題になっているのかということをお聞かせいただきたいということと、多分いろいろな問題が出ているのではないかと思うのですが、諸外国の状況についてもお教えいただきたい、この2点です。
○荒井部会長 ありがとうございます。差し迫ったニーズと海外の状況ですね。お願いします。
○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長でございます。御質問をありがとうございます。これまで、規制改革会議の医療・介護ワーキング・グループで業界からのヒアリングがなされており、そこに私どもも同席させていただいて業界の御意見を聞いているところです。差し迫った課題という言い方が適切かどうかは分かりませんが、血液検体を用いることによって、よりいろいろなニーズに応えることができるのではないかという思いがあるということと、諸外国においても、そういった一般用の検査薬として広まっているといった状況があるといったようなことが、企業団体のほうから説明があったと理解しております。また、その辺の詳しい事情については、必要があれば業界などからの御意見としてお話を直接聞くことも可能ではないかと考えております。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。小西委員、概要についてただいま課長から説明をいただきましたが、いかがでしょうか。
○小西委員 ちょっとよく分かりませんでしたが、ひとまずこれぐらいにしておきます。
○荒井部会長 恐らく、具体的にどういうものの測定を行うのか、何に使うのかと、あるいは小西委員から御指摘いただいたように、差し迫ったものがあるのかないのかなど、多分まだ十分な情報がないというのが現状ではないかと思われます。ただ、今後こういった領域のものが必ず出てくるであろうことも事実で、まずは枠組み、箱を用意しておき、対応できる体制を準備しておく必要があろうという点は、海外の状況等を見ても方向性としては適切ではないかと、私は認識しております。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 平成26年の本部会で、血液検体を用いる体外診断薬はOTC化には適さないという一つの結論を得ていることを覆すわけですから、何が問題なのかということをしっかりと議論していかなければいけないのだろうと思います。実際にそれほどの環境の変化があり対応を迫られているか、そのような議論を行うための材料として、それほど差し迫ったことがあるのかということが、非常に疑問だろうと思います。血液検体に関しては、一般原則にあるとおり、侵襲性の問題をはじめ、医療機関での厳格な取扱いをしております。血液自体に危険性を伴うことがさまざまあります。血液検体をどのように取り扱うのかというのは慎重に考えていかなければいけないのだろうと思います。特に、今般の規制改革会議というのは、いろいろなものを規制改革すればよいのだということで、原理・原則をどんどん覆しています。侵襲性と判定法というような中での非常に表面的な議論だけで終始しようとしています。本質的には、血液を含む感染性検体を扱うことが公衆衛生上のリスクであって、感染防止の観点が理解されていないという根本的な問題があるということを、是非理解していかなければいけないと思います。これは、体外診断薬の使用目的も、OTC化の可否の判断において極めて重要な話になるのだろうと思います。
 実際には、医療機関の受診というのを妨げたり、診断の齟齬、重篤化の防止を妨げる、そういうリスクがあってはならないはずです。それを放置していくことを許してしまうようなことはあってはならないはずなのです。本部会の審議にかけたということで、許された、あるいは免罪符を与えたという形になってしまってはいけないのだろうと思います。部会としては、懸念をしているのかどうか、そういうこともしっかり考えていかなければいけないのかなと思っている次第です。
○荒井部会長 宮川委員、ありがとうございます。今の御意見に対してではなくとも、同じような懸念を感じておられる委員の方々もおられると思われます。もし御意見があれば一緒にお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。Webでないと、この部会ではもう少し意見が出るのですが、今日は少し勝手が違いますね。今の宮川委員の御指摘は、「規制改革会議の方から出たから、すぐにこの部会で認めてしまいました」ということにするべきではないという趣旨の御意見だったと思います。この点について、まず課長から一言コメントを頂いたほうがいいかと。
○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長でございます。貴重な御意見を本当にありがとうございます。冒頭の事務局からの説明でもあったとおり、まず今日はキックオフということで、現状と業界の意見を整理して御報告をさせていただきました。今後も引き続きの議論が重要だと思っておりますので、例えば、業界の方に直接ヒアリングするということも一つの選択肢としてあるかもしれません。今後、また事務局のほうで整理をして、この部会でまた御議論いただけるようお願いできればと思っています。
○荒井部会長 ありがとうございます。髙松委員、どうぞ。
○髙松委員 日本薬剤師会の髙松です。今お話がありましたように、これから議論を進めるに当たって、やはりこれをどういう観点で私たちが判断をするのかですが、恐らく国民が自分たちの健康を守るという意識で、そういうふうに取組をしたいというニーズがあるのであれば、やはり応える義務はあると思うのですが、そこら辺のところもまだよく見えない状況にあります。私たちは、やはり健康寿命の延伸というところでは、何か役立てるのであればサポートしたいと思っておりますので、これからいろいろな議論を進めていただいて、その上で判断していただければよいと思います。よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。そのほかの委員の方々はよろしいでしょうか。宮川委員、もう一度どうぞ。
○宮川委員 再度お話させていただいて申し訳ないのですが、これはレスポンスビリティの問題であろうと思います。そういうことがあったときに責任が負えるのかというところで、問題を曖昧にしてはいけないと思います。もしそのような行為を行った人がいたらば、それは本当に責任を負ってもらわなければならないと思います。プロフェッショナルであれば、当然責任を負っていただき、業界団体としても考えていかなければいけないのだろうと思います。
 少し付け加えますが、今般、新型コロナウイルスの感染症のための抗原検査キットが市販されております。それも、研究用のものが出回っていたりします。これは非常に問題だろうと思います。こういうことから始まってさまざまなところで、なし崩し的に行われているということが、私たちの現状を取り巻いているところだろうと思うわけです。実際に、国民の中で検査数をはじめとした検査体制というものに不満があることは承知しております。誰にも知られずに検査を受けたいという利用者がいて、業者も制限なくキットを売り続けて、そして誰が検査してどのような結果が得られたかも分からない環境というものは非常に問題です。検査キットが感染症を特定するという公衆衛生上の大事な問題に寄与していないということになるわけです。
 こういうことから始まって、同じような形で体外診断用の医薬品をOTC化というのは非常に問題があります。責任感を持ってやっていただくということがなければ、これはプロフェッショナルとして恥だと思いますので、付け加えさせていただきました。以上です。
○荒井部会長 宮川委員、ありがとうございます。そのほかの委員はよろしいですか。この議題につきましては、ここで議決するという類ではなく、一般原則としての説明と今後議論を深めていきたいというお話を部会として伺ったということでよいかと思います。少なくともこの段階で、「もう聞く耳持たない」、「この部会では取り扱わない」ということではない。しかし、内容については、もう少し具体的な事例として、どういう職種、業界団体も含め、あるいは一般の方も含めて、どういうニーズがあって、それがどのように必要性があるのか、そして繰り返しになりますが、血液に伴う様々なリスクも踏まえどういう形で対応をしていけばよいのかを吟味する必要があり、今後この部会で議論する場合には、このあたりの情報をきちっと持ってきてくださいということだと思います。もちろん、宮川委員に御意見頂きましたように、そこでは部会として責任を持つ形できちんと判断をしていきます、というのが今日の部会の回答という形になるかと思います。課長、部会としてはそういう回答でよろしいのですよね。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。
○荒井部会長 そういう形で議事録も含めてまとめさせていただければと思います。委員の方々はよろしいでしょうか。宮川委員、今の形でしたらよろしいですか。ありがとうございます。そのほか御意見がなければ、これで議題2は終了とさせていただきます。
 ここまでは公開議題なのですけれども、この先は非公開となりますので、傍聴の皆様にはここからはお引取りいただくことになると思います。どうぞ御協力をお願いいたします。準備が整いましたら、非公開案件の議題を始めさせていただきます。少しお待ちください。
○医療機器審査管理課長 準備が整いましたので、医療機器・体外診断薬部会を再開したいと思います。よろしくお願いします。
○事務局 続いて、本部会の利益相反について御報告します。資料8、競合品目・競合企業リスト等一覧を御覧ください。まず1ページ目に「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」について、2ページ目に「コアバルブ Evolut R」について、3ページ目に「エドワーズ サピエン3」についての資料があります。その他、一般的名称に係る競合企業のリストが4ページ、5ページにありますので、必要に応じて御覧ください。
 本日の審議事項に関する競合企業として、資料8にお示しします企業について、委員の皆様から寄付金、契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条より、議題3に関し議決に御参加できない委員は小西委員です。議題4及び5に関し議決に御参加できない委員は松宮委員です。また、議題3の参考人として御参加いただく西尾先生におかれましては、関連企業からの受取が500万円以下であると御報告を頂いています。
 以上、御報告します。以降の進行につきましても、荒井部会長、よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局からの説明について、何か御意見はありますでしょうか。よろしいですか。
 それでは、議題3を始めます。議題3「医療機器「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の指定の要否について」を始めます。今お話がありましたように、本議題については参考人として西尾和人先生に御出席いただいています。それでは機構から御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明します。本審査に当たり、近畿大学医学部ゲノム生物学教室教授の西尾和人先生と、国立大学法人九州大学大学院医学研究院社会環境医学講座連携社会医学分野教授の馬場英司先生、以上2名の専門委員の御意見を頂きました。以降は審査報告書に基づいて説明します。
 議題3の事前配布資料の審査報告書と書かれたタブを開いていただくと、審査報告書がありますので、そちらを御覧ください。初めに本品の概要を説明します。審査報告書の7ページ上段、1.審議品目の概要を御覧ください。本品は、固形がん患者から得られた全血中の循環腫瘍DNAにおける324のがん関連遺伝子の包括的なゲノムプロファイルに基づき、治療方針の策定及び医薬品の適応判定の補助に資する遺伝子変異情報を出力する解析プログラムです。以降の説明では、循環腫瘍DNAをctDNAと呼びます。
 既承認の包括的なゲノムプロファイルを取得する検査では、腫瘍組織由来のDNAを解析対象としており、組織検体を調整する必要がありますが、本品においてはctDNAを解析対象としていることから、採血すれば使用できる点に新規性があります。以降の説明では、包括的なゲノムプロファイルを取得する検査をCGP検査と呼びます。
 次に、本品を使用した検査全体の流れを説明します。同じページの図1を御覧ください。本邦の医療施設において採取された全血検体が、登録衛生検査所を通じて米国の検査施設であるFMIに送付されます。FMIでは血漿分離、血中遊離DNAの抽出等の前処理、DNAシークエンサーによる塩基配列の解析が行われます。次に、変異解析工程により得られたデータから臨床的意義があると考えられる塩基置換、挿入/欠失及び遺伝子再編成の検出が行われます。続いて、データレビュー工程では、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○が確認され、これらの遺伝子変異情報をまとめたXMLファイルが作成されます。このXMLファイルは、解析の中間報告として、申請者である中外製薬の専用Webページ上で検査依頼医師に提示されます。
 検査依頼医師は、XMLファイルのデータを確認後、これを入力情報として最終的な解析結果を出力するように指示することで、本品の出力結果が提示されます。出力結果には、コンパニオン診断の結果とその他治療方針の策定の参考となり得る遺伝子変異の解析結果が提示されます。なお、解析結果レポートには、承認の範囲外の付加情報としての取扱いではありますが、検出された変異に関する科学的知見、当該変異に関連する医薬品の情報、国内外で実施中の臨床試験に関する情報等を含むレポートも提供されます。以上が本品による検査の概要となります。
 また、本品はコンパニオン診断の用途としても使用できますが、いずれも先発のコンパニオン診断薬等が存在する検査項目であるため、本審議においてはCGP検査として使用した場合の審査を中心に説明します。以降の説明においては、本品を使用した検査システム全体を本システムと呼びます。
 次に、開発の経緯について御説明します。審査報告書の8ページ中段、(1)開発の経緯を御覧ください。本システムは、FMIが2016年に商業的提供を開始したリキッドバイオプシーによる血液検体を用いた自家調製検査であるFoundationACTに対して、検出遺伝子数を追加したFoundationOne Liquidをベースに開発されました。本システムは、更に検査項目を追加し、組織検体を用いる既承認品であるFoundationONE CDx がんゲノムプロファイルと同一の324遺伝子を解析対象とした製品です。申請者は、本システムは既承認品と比べ検体採取に係る侵襲性が低いことから高い医療ニーズがあると考え、本申請に至りました。
 同じページの下段、(2)外国における使用状況を御覧ください。本システムは、米国において、コンパニオン診断に関連する遺伝子変異等が異なりますが、本邦と同様の使用目的で2020年8月に承認され、2020年12月31日までに約○○○○件の使用実績があります。
 次に、性能に関する評価について御説明します。10ページ中段、(3)性能に関する資料の提出された資料の概要を御覧ください。本品の性能に関する資料として、1)解析対象遺伝子の選択、2)シークエンス解析、3)解析レポートの作成、4)分析性能及びコンパニオン診断薬等としての性能に関する試験成績書が提出されました。11ページ下段、4)分析性能及びコンパニオン診断薬等としての性能を御覧ください。本システムの分析性能の評価として、真度、精度、特異性等のこちらに記載した試験成績が提出されました。
 以上の提出資料に基づき、本審査の概要について御説明します。なお、以降の説明では、血漿検体を用いたCGP検査を血漿CGP検査、組織検体を用いたCGP検査を組織CGP検査と呼びます。
 19ページ中段、総合機構における審査の概要を御覧ください。本システムについては、検体種が異なりますが、組織CGP検査として使用される既承認品と同様に、固形がん患者の包括的なゲノムプロファイルを取得するために使用されます。したがって、医師による治療方針の策定等に利用可能な検査結果を提供可能であるかという観点から、解析対象遺伝子の妥当性など、こちらに記載した3点を中心に本システムの評価を行いました。なお、1点目の解析対象遺伝子並びに3点目の結果レポートの作成工程及び提示内容については、既承認品のFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルとおおむね同等であり、特段の問題がなかったことから、説明を省略します。
 20ページ中段、マル2解析対象変異に対する検出性能の妥当性を御覧ください。本システムを使用するに当たり、がん組織から血液へのctDNAの滲出量も考慮した上でゲノムプロファイルを取得できる適切な検出性能が確保されているかが、重要な審査上の論点であると考えました。また、一般にctDNAのアレル頻度は組織由来のDNAを用いる場合と比較して低いことが想定されることから、特に最小検出感度の評価が重要となります。
 申請者の提示した分析性能の評価パッケージは、既承認品とおおむね同様であり、真度の評価を除き特段の問題はないと判断しました。真度試験は、本システムによる試験結果と対照法による試験結果を比較することで、本システムが正しい結果を出力できることを評価するものです。申請時においては、本システムの検査項目にコピー数異常、マイクロサテライト不安定性の判定、腫瘍遺伝子変異量及び腫瘍割合が含まれていました。しかしながら、これらの検査項目については対照法が存在しないなどの理由により、適切な真度試験が実施されませんでした。真度試験を実施しなくても臨床上の有用性が確保される理由について申請者に説明を求めましたが、いずれの説明も本システムの真度が適切であることを説明するに至りませんでした。コピー数異常等の出力結果の正しさが不明である以上、当該検査項目を臨床的意義が確立した項目として使用することは困難であると考え、本品の承認範囲の検査項目からコピー数異常等を除外することとしました。 
 続いて、最小検出感度に関する審査を説明します。22ページ上段の表10を御覧ください。別目的で実施した組織検体を用いた対照法と本システムによる同等性試験において判定結果が不一致となった原因として、ctDNAの滲出量が不十分であったことが示唆されました。そのため、本システムがctDNAを検出する上で十分な最小検出感度を有しているか疑義が生じました。
 しかしながら、総合機構は、以下の理由により本システムは臨床上求められる最小検出感度を有していると判断しました。まず、血漿検体を用いる既承認の体外診断用医薬品との高い判定一致率が示されており、少なくとも既存の血漿検体を用いた検査と同等の最小検出感度を有していると考えられます。この比較試験は、EGFR遺伝子のみを対象としたものですが、最小検出感度、真度、特異性等の分析性能を総合的に判断することにより、その他の遺伝子に対しても同様の有用性が期待されると考えられます。また、前世代品であるFoundationACT及びFoundationOne Liquidにおいて、血漿検体から変異が全く検出されなかった割合が○%であったことを踏まえると、本システムにおいても同様の検出性能が期待されると考えられます。以上より、本システムは十分な検出性能を有していると判断しました。
 一方で、検査を受ける患者側の要因でctDNAの量が低下することも報告されていることから、本システムの性能によらず偽陰性を生じることが懸念されます。したがって、検査を受ける患者の状態、がん種等を考慮し、本システムのような血漿CGP検査か組織CGP検査かを適切に使い分ける必要があると考えました。
 23ページ下段、3)本システムの位置づけについてを御覧ください。組織CGP検査と血漿CGP検査との使い分けについて、現時点においてはctDNAの量が低下する要因に関する情報が限られていることから、組織CGP検査を優先することが妥当であると考えます。血漿CGP検査の適正な使用に向け、日本臨床腫瘍学会、日本癌治療学会、及び日本癌学会の3学会合同ゲノム医療推進タスクフォースにより「血中循環腫瘍DNAを用いたがんゲノムプロファイリング検査の適正使用に関する政策提言」が、今年の1月20日付けで公開されました。政策提言においても組織CGP検査を優先することが合理的とされ、機構の考えを支持するものでした。また、政策提言においては、血漿CGP検査を優先する具体的な事例等も公開されており、これらの最新の知見を考慮した上で本システムを使用することが適切であると考えます。
 24ページ上段、4)本システムにかかる実施体制についてを御覧ください。以上の説明のとおり、本システムは組織CGP検査と同様の目的で使用され、エキスパートパネルによる検討を経て治療方針を策定する必要があると考えます。したがって、現時点では、がんゲノム医療中核拠点病院等で使用することが適切であると考え、実施施設、実施体制等に関する承認条件を付すことが適切であると判断しました。
 続いて、本品の使用成績評価の要否について御説明します。26ページ中段、ト項の総合機構における審査の概要を御覧ください。既承認の組織CGP検査が保険償還される条件の1つとして、検査結果や臨床情報をがんゲノム情報管理センターに収集することとされています。申請者とがんゲノム情報管理センターが適切に連携、協力することは必要ですが、本システムにより得られた検査結果等も同様にがんゲノム情報管理センターにより集積、評価されることが妥当であると考えます。したがって、これとは別に使用成績評価を実施する意義はないと考え、使用成績評価は不要と判断しました。
 最後にその他の論点について御説明します。同じページの中段、4.総合評価の(1)分析性能についてを御覧ください。先ほども説明したとおり、コピー数異常の検出等については適切な真度の評価がなされていなかったことから、承認の範囲から除外しています。しかしながら、がんゲノム医療において当該検査項目を出力するニーズがあることは理解できます。本システムによる検査結果はエキスパートパネルの検討に用いられることを踏まえると、審査報告書に記載しました通知に基づき、医師の求めに応じてこれらの検査結果を出力することは差し支えないと判断しました。ただし、十分に分析性能が評価された検査項目であるとの誤解を生じる懸念があるため、承認された検査項目ではないこと、適切な真度の評価がなされていないこと、及び実施された分析性能の評価内容、以上の3点を使用者に適切に情報提供する必要があると考えます。
 27ページ中段、(3)個人情報及びサイバーセキュリティの取扱いを御覧ください。本システムによる検査では、既承認のFoundationOne CDx がんゲノムプロファイルと同様に、解析結果等を海外の検査施設との間で送受信することになります。そのため、個人情報の取扱い及び不法なアクセスの防止には、より一層の配慮が必要であると考えました。国内における製造販売業者の責任をより明確にするため、個人情報の保護及びサイバーセキュリティについて適切に対応するよう、承認条件を付すことが適切と判断しました。
 以上の審査に基づき、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・対外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。また、使用成績評価の指定は不要と判断しました。なお、分科会では報告を予定しています。
 総合機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。
○荒井部会長 ありがとうございました。それでは、まず初めに、参考人として御参加いただいております西尾和人先生から、追加の御説明等を頂けますでしょうか。お願いいたします。
○西尾参考人 近畿大学の西尾でございます。それでは、お話をさせていただきます。FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルは、血液検体を用い、腫瘍組織検体を用いませんで実施できる低侵襲な検査であり、1つのオプションとして検査可能になるということが期待されています。腫瘍組織を用いて多数の遺伝子の解析を行うCGP検査が承認されて、我が国で実装されて、1、2年が経過しました。本邦では、現行の組織によるCGP検査では、多くの進行固形がん患者の場合、度重なる標準的な薬物療法の後、初めて検査を受けることが可能という状況にあります。この状況で、腫瘍組織を得るための生検(バイオプシー)は、困難なことが多いということが知られています。
 一方、採血によって検査が可能となりますと、治療法が見つかる可能性が生まれるということは患者にとって朗報ですし、国の進めるがんプレシジョン・メディシンの推進に、より一層寄与すると考えられます。
(音声中断)
○西尾参考人 自己規制として、両CGP検査の長所、短所を示して、血液検査が適切な場合を担当医が判断できるようなガイダンスの発出や政策提言を行っておりまして、適正な使用を促進してまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 西尾先生、どうもありがとうございました。
○西尾参考人 どうもありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 貴重な御意見をありがとうございます。ちょっと音声が途中で途切れてしまったこともありますので、先生の今の御意見と重複するところもあろうかと思いますが、先生からあらかじめお預かりしているメモを、念のためにこちらで読み上げさせていただいてもよろしいでしょうか。
○西尾参考人 どうぞよろしくお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 ありがとうございます。
○事務局 事務局です。西尾先生のコメントを事務局からもう一度紹介させていただきます。
 同診断薬F1リキッドは、血漿検体を用い、腫瘍組織検体を必要とせず、採血のみで実施できる低侵襲の検査であり、1つのオプションとして検査可能になることが期待されます。腫瘍組織を用いて多数の遺伝子の解析を行うがんゲノムプロファイリング、CGP検査が承認、実装されてから、1、2年が経過しました。その間、実施体制も全国的に整えられ、F1リキッドにも対応可能な状況と考えます。
 本邦では、現状の組織によるCGP検査では、多くの進行固形がん患者の場合、度重なる標準的な薬物治療後、初めて検査を受けることが可能です。この状況で腫瘍組織を得るための生検(バイオプシー)は困難な場合が多いことが知られております。採血により検査が可能となり、治療法が見つかる可能性が生じることは患者にとって朗報ですし、国の進めるがんプレシジョン・メディシンの推進に、より一層寄与すると考えられます。
 同診断薬の承認により、組織あるいは血液のいずれかのCGP検査が実施可能になります。がん関連3学会では、自己規制として両CGP検査の長所、短所を示し、血液検査が適切な場合を担当医が考えることができるガイダンスや提言を行っており、適正な使用を推進したいと考えております。
 以上、西尾先生からのコメントを代読させていただきました。
○荒井部会長 西尾先生の御発言、今の事務局からの代読も含めまして、委員の方々には御理解いただけたかと思います。それでは、御質問あるいは御意見等ありましたら。小西委員、どうぞ。
○小西委員 小西でございます。血液検査を用いたパネル検査、リキッドバイオプシーによるがんパネル検査というのは、全てのがんの患者さん、それから、がん治療に携わる現場の医師が待ち望んでいたものでありまして、是非早く使いたいと思っております。
 それで、もしもこれが認められることになりましたら、がんと診断された初診日から使いたいという人ばかりになると思います。それには私もむしろ賛成でありまして、是非使いたいものだという。血液から見付かるということは、予後不良というところも相関しているわけでありまして、再発とか、がん治療が効かなくなった時点だけではなくて、初診時から使用してもいいのではないか。ただ、保険診療が破裂するかも分かりませんが。その点をどのように考えていらっしゃるかをお聞かせいただければ幸いです。
○荒井部会長 ありがとうございます。どうぞ。
○事務局 事務局からお答えしたいと思います。先生が御指摘のように、本機器を利用する時期に関しては、本品の遺伝子解析機器の性能というよりは、臨床現場でどのように使われるのかというところで考えられることだと思っておりまして、承認事項には限定しておらず、承認条件において関連学会の最新ガイドライン等に基づき運用するよう紐付けられております。
 では、そのガイドラインですが、先ほど少し説明がありましたが、このガイドラインは日本癌学会、癌治療学会等の3学会により策定されていまして、標準治療前に利用することが有効かどうかの検証は、今のところなされていません。一方で、現在、先進医療において標準治療前の有効性がどうかということを検討される予定があると聞いております。このような結果をもって、今後、標準治療前に行うかどうかという事が判断されるものと承知しております。以上です。
○荒井部会長 小西委員、よろしいでしょうか。
○小西委員 一番大事なところが途切れていました。
○事務局 恐らく、標準治療前かどうかというところは、3学会で策定されるガイドラインに規定されるもので、このガイドラインの内容に関しては、現在、先進医療で標準治療前が有効かどうかという事が検証される予定であると聞いております。ですので、先進医療等の結果を踏まえて標準治療前でも有効であるかどうかという結果が分かった上で、どういった使われ方ができるかという判断がなされるのではないかと思っています。以上となります。
○小西委員 ありがとうございました。
○荒井部会長 ちょっと電波が悪いときがあるようですけれども、ほかの委員の方々は御意見、御質問等は。北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤と申します。では、1つ質問させていただきます。組織の検査については、1年ちょっとぐらい前ですか、実用化されているのですけれども、大体、今はどのぐらい使われていて、その検査をしたうち、適切な薬剤選択に結び付いている人というのは大体どのぐらいいるのでしょうか。
○荒井部会長 ありがとうございます。ちょっと今、音声が途切れかけましたけれども、北澤委員の御質問は、これまでに既に承認されている組織での検査に関して、どのくらい行われていて、いわゆる臨床的に有効な適正な薬剤の選択に利用されているかといった状況はどうかという御質問です。では、事務局からお願いします。
○事務局 先生、御質問ありがとうございます。がんゲノム医療制度を策定している健康局からの情報となりますが、これまでにC-CATに集積されているデータの総数としては、大体1万件ぐらいと聞いております。その中で、どれぐらいの数の患者さんが実際の治療薬に結び付いたかということに関して、当時、組織検体での検査機器の時は、大体10%前後が薬物治療に結び付いている状況でした。現在、最新の情報でどれぐらい結び付いているかに関しては、健康局で集計中と伺っていますので、その情報が明らかになれば、具体的にどれぐらいの患者さんに治療薬が渡ったかが分かるのではないかと思います。恐らく10数%前後というところではないかなと思っております。以上です。
○荒井部会長 北澤委員。
○北澤委員 ありがとうございます。では、今回、血液の検査が加わることで、できる患者さんの割合というのは、トータルとしては増えるのでしょうか。
○事務局 血漿の使われ方というのは、政策提言の中でどういった患者さんが適切かを決めていただいております。その中で、組織で検査ができない患者さんも位置づけられておりますので、どれぐらいになるかは情報を待たなければいけないですが、数としては増えることになると思います。
○荒井部会長 北澤委員、よろしいでしょうか。聞こえましたか。
○北澤委員 はい、聞こえました。ありがとうございました。
○荒井部会長 部会長として発言するのも憚られますが、私は針を刺して組織を採るという仕事に携わっています。西尾先生からお話がありましたように、治療前ならまだしも、治療が始まって腫瘍が小さくなってから組織を採れと言われても、現実的には難しい、リスクベネフィットを考える採るべきか迷わざるを得ない場面が少なからずあります。最低限そういった状況についてはこのリキッドでカバーされるでしょうから、数としては必ず増える方向に動くであろうと感じております。ほかの委員の方々の御意見、御質問はいかがでしょうか。
○荒井部会長 御意見、御質問はいかがでしょうか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 振り返って、2018年12月13日の部会審議を確認しますと、海外へ検体送付し、データが海外に蓄積されます。その中で、検体の破棄等がうまく監視できるのかということが気になります。確認できるのかということに対して、定期的なQMS調査があります。現地でもあるということなので、必要な書類、ドキュメントを出してもらっているのだろうと思いますが、承認後の2年間の間に実施しているのかどうか、これを確認したいと思います。
○荒井部会長 はい、ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構から回答したいと思います。QMS調査は通常5年おきにやっているものですので、まだ実施していないという状況です。ですので、今後、コロナの状況を見ながら、適切な時期に調査をして確認することになると考えています。
○宮川委員 では、このときの記載は誤りということでよろしいのでしょうか。実際、しておりますということですが、しているのだけれども実際に入手はしていないということでよろしいのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 すみません、PMDAで品質管理を担当している者です。本来であれば、FoundationOneについては承認後もできる限りの実地調査をしたいと考えているのですが、今はコロナの状況下でして、これに限らず海外の実地調査には行けていないという状況でございます。以上です。
○荒井部会長 ありがとうございます。更に事務局のほうから。
○医薬品医療機器総合機構 総合機構から、1点補足させていただきます。承認する際にはQMS調査をやっていますので、適切に運用できるかどうかということも含めて見ています。中外製薬と検査会社であるFMIとの間で取り決められた取決め書も、内容を確認しておりまして、それについて特に問題ないと考えています。
○宮川委員 宮川です。了解しました。
○荒井部会長 よろしいでしょうか。承認時にはやっていて、その後は5年後ということですので、コロナの影響もありまだ動いていない。小西委員が手を挙げていらっしゃいますので、お願いいたします。
○小西委員 一応、確認ですけれども、ゲノム検査ですので、いつも確認させていただいているのですが、遺伝性乳がん、卵巣がん等のいわゆる二次的所見が得られる可能性がありまして、検査前のカウンセリング等のほうの状況はどのようになっていきますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○事務局 この検査に用いる二次的所見などの遺伝性の情報、家族性のものも含めまして、その点の情報の扱い方に関しては、この検査を行う前のインフォームド・コンセントできちんと説明した上で検査を実施できる体制になっております。というような回答でよろしいでしょうか、先生。
○小西委員 ありがとうございます。その二次的所見が分かった後のルートというものも、一応、各機関で決まっていますよね。大丈夫ですよね。以上です。
○事務局 その二次的所見が分かった後の対応というのも、各がんゲノム病院間で標準化されておりますので、そういった形で運用されているものと承知しております。
○荒井部会長 それでは、ほかの委員の方々から御意見、御質問、そのほかはよろしいでしょうか。参考人の西尾先生、こういった形で議論、質疑が進んでおりますが、音声が悪くて申し訳ないのですが、何か追加の御発言はありますか。
○西尾参考人 特にございませんが、先ほどの小西委員の御質問で、二次的所見については、組織のところでもゲノムのガイダンス等で運用されておりまして、リキッドのほうでも、より患者さんに、あるいは御家族にケアするような方針で進めておりますので、どうぞ御安心いただければと思います。
○荒井部会長 はい、ありがとうございます。それでは、ほかの委員の方々はよろしいでしょうか。ほかに御意見がないようですので、それでは、議決に入らせていただきます。医療機器「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定は不要としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。また、使用成績評価も不要としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて報告をさせていただくことになっております。
 それでは、これで議題3を終了いたします。西尾先生、大変失礼いたしました。ありがとうございました。
○西尾参考人 失礼します。
○荒井部会長 それでは、引き続きまして議題4、議題5に進めさせていただきます。議題4は、「医療機器「コアバルブEvolut R」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について」、議題5は、「医療機器「エドワーズ サピエン3」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について」です。この両議題については、一括して審議をさせていただきますとともに、参考人として小出昌秋先生に御参加いただいております。それでは、機構から説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。本審査に当たり、聖隷浜松病院の小出昌秋先生、上尾中央総合病院の手取屋岳夫先生、榊原記念病院の七里守先生の3名の専門委員から、御意見を頂戴いたしました。また、事前に配布いたしました審査報告書に修正がありました。先日、別途、新旧対照表を送付させていただきました。直前の修正となったことをおわび申し上げます。申し訳ございませんでした。
 それでは、品目の概要について御説明いたします。コアバルブEvolut R及びエドワーズ サピエン3は、経カテーテル大動脈弁留置術に使用する医療機器として、症候性の重度大動脈弁狭窄を有し、かつ、外科的手術を施行することができず、本品による治療が当該患者にとって最善であると判断された患者、以降、外科的手術が施行できない患者と呼ばせていただきますが、当該患者に対して承認を取得しております。
 今般、両品目ともに外科的手術が施行可能な患者への適応を追加するため、一部変更承認申請がなされました。このため、両品目で重複する箇所がありますので、以降の説明は、主にコアバルブEvolut Rの審査報告書を用いて説明いたします。また、コアバルブEvolut Rをコアバルブ、エドワーズ サピエン3をサピエン、経カテーテル大動脈弁留置術をTAVRと呼ばせていただきます。
 初めに、品目の概要について御説明いたします。コアバルブEvolut Rの審査報告書の8ページ下段から9ページ上段にかけての図1を御覧ください。本品は、自己拡張型の生体弁、デリバリーカテーテルシステム、装填システムから構成される機器となります。サピエンも同様に、生体弁、デリバリーシステムから構成され、加えてイントロデューサーシースセットと拡張用バルーンカテーテルから構成されます。コアバルブが自己拡張型の生体弁であるのに対し、サピエンの生体弁はバルーンカテーテルを用いたバルーン拡張型となります。また、両品目の主要なアクセスルートは経大腿動脈となりますが、サピエンでは心尖部からアクセスできる点が異なります。
 審査報告書9ページの中段、イ.開発の経緯及び外国における使用状況等に関する資料を御覧ください。本邦においては、高齢者の増加に伴い、症候性重度大動脈弁狭窄症の患者数と、症候性重度大動脈弁狭窄症に対する外科的大動脈弁置換術の施行数が増加しています。以降、症候性重度大動脈弁狭窄症をAS、外科的大動脈弁置換術をSAVRと呼びます。SAVRはAS患者に対する標準治療ですが、手術リスクが高い患者には適応となりません。そこで、SAVRが施行できないAS患者に対する治療法として、侵襲性の低いTAVRが開発され、本邦においても、今般審議される2品目等が承認されています。
 TAVRは侵襲性の低い治療法でありますが、TAVRの導入初期においては、SAVRに比べて脳卒中や血管合併症等の発現率が高かったため、SAVRが施行できない患者のみがTAVRの対象でした。しかし、現在、デバイスの改良及び臨床成績の蓄積を経て、TAVRの成績は改善傾向にあります。このような背景から、SAVRが施行可能な患者に対しても、TAVRを治療選択肢として提供することに臨床的意義があると考え、本適応に至りました。
 審査報告書10ページの中段、表1欧米での適応を御覧ください。コアバルブは、本申請と同様の適応を米国にて2019年8月に承認されており、サピエンについても2019年8月に承認されております。
 審査報告書13ページの下段、ロ.設計及び開発に関する資料を御覧ください。非臨床試験成績については、本申請に当たり仕様及び構成品の変更はなく、使用環境も変わらないため、本申請における物理的・化学的特性や生物学的安全性等については省略されております。
 審査報告書の16ページ、臨床試験成績に関する資料を御覧ください。本申請では、大動脈弁置換術を必要とするASを有し、かつ、手術リスクの低い患者を対象とした前向き多施設共同無作為化比較国際共同治験である「Low Risk試験」の成績が提出されました。サピエンについても、同様の比較試験である「PARTNER3試験」の成績が提出されました。Low Risk試験及びPARTNER3試験はともに日本人症例を含みますが、PARTNER3試験のグローバル無作為化コホートに登録された日本人症例は、日本の医療機関で治療された6例のみであったため、日本人の試験者登録を継続するために、日本無作為化コホートが実施されました。Low Risk試験の患者選択基準及び除外基準は表5のとおりであり、観察期間は手技後10年と設定されました。
 Low Risk試験の結果を御説明いたします。審査報告書の21ページの中段、表9を御覧ください。Low Risk試験の主要評価項目として、2年までの全死因死亡又は障害を来す脳卒中が設定されました。発現率はTAVR群4.4%、SAVR群6.6%であり、非劣性マージン6%を下回ったことから、TAVR群の非劣性が示されました。PARTNER3試験の主要評価項目は、手技後1年の死亡、脳卒中及び再入院から成る複合事象で、発現率はTAVR群8.5%、SAVR群15.1%であり、非劣性マージン6%を下回ったことから、TAVR群の非劣性が示されております。
 コアバルブの話に戻り、安全性について説明いたします。コアバルブEvolut Rの審査報告書の24ページの中段、表15CEC判定に基づく有害事象発現率を御覧ください。TAVR群の有害事象は、そのほとんどがSAVR群と同等の結果でしたが、新規永久ペースメーカ留置の発生率、以下、PPIと呼びますが、このPPIがTAVR群で22.5%であり、SAVR群の8%より有意に高いことが報告されました。なお、サピエンにおいては、コアバルブほどPPIに大きな差は見られませんでした。
 審査における主な論点について、まず、両品目で提出された臨床成績から評価することの妥当性について説明いたします。審査報告書の27ページの上段、臨床成績から評価することの妥当性を御覧ください。2013年のTAVR導入後の治験成績から、日本では小さな体格の患者が比較的多いため、一般的に成績が悪くなることが知られております。しかし、そのほかの医療環境や本品の対象となる患者背景に大きな差違はなく、全体としての治験成績に日米で大きな違いは確認されておりません。
 一方で、海外に比べて国内SAVR成績が良好な傾向にあるとの報告もありますので、Low Risk試験から本邦の患者を評価することの妥当性について確認いたしました。審査報告書の29ページの上段、表21Low Risk試験成績と国内のSAVR成績の比較を御覧ください。Low Risk試験のSAVR群と申請者が示した国内文献、また、国内文献の中でもLow Risk試験と患者背景が類似した文献との比較の結果、手技後1年の死亡及び脳卒中の発現率は同等であることが確認されました。そのため、Low Risk試験の結果から評価することは可能と判断しました。サピエンについても、比較文献のデータ元であるCURRENT ASレジストリのデータを用いて比較されており、同様に成績の同等性が確認されたことから、提出された臨床成績から評価することは可能と判断しました。
 2つ目の論点は、手技後長期成績も踏まえた本品の有効性及び安全性についてです。両品目の安全性評価について、主に弁周囲逆流及びPPIの高さが共通して確認されました。これらは潜在的なリスクですが、手技後2年、3年と限定的であるものの予後に影響しないことが確認されていることから、一定の有効性及び安全性は担保されていると判断しました。
 審査報告書の30ページの中段、3)手技後長期成績も踏まえた本品の有効性及び安全性についてを御覧ください。コアバルブでは、特にPPIが高値でありましたので、臨床上、許容可能と考える根拠及びリスク低減措置について、申請者に説明を求めました。申請者は、PPIの原因分析が進み、植込み深度の理解や手技の経験が蓄積された結果、PPI率は減少傾向にあるため、今後も手技のトレーニングによって低減が期待できると説明いたしました。総合機構は、PPIが更に減少することを示す臨床データがないことが懸念と考えますが、添付文書による注意喚起をすることで許容可能と判断いたしました。
 次に、本品の臨床的位置づけについてです。審査報告書の34ページの中段、(2)本品の臨床的位置づけについてを御覧ください。ASに対するSAVR成績は、機械弁置換術の人工弁関連死回避率及び再手術回避率が20年で90%近くと報告されております。一方、生体弁を用いたSAVRの人工弁構造劣化は、若年であるほどリスクが高いとされており、長期成績が乏しいため、耐久性の観点から若年者にまでTAVRの適応を広げるべきではないとの意見もあります。
 総合機構は、外科的手術が施行可能な患者への本品の使用について、マル1長期臨床成績が限られていること、マル2外科的手術が施行できない患者と施行可能な患者では、患者背景等が異なること、マル3留置したTAVR弁が劣化した際の外科的手術リスクは高くなること等が想定され、再治療を含めた総合的な治療選択を見据え、慎重に判断する必要があると考えました。したがって、専門協議での議論も踏まえ、外科的手術が施行できない患者と同様に、医療チームにより慎重に検討し、患者にとって最善の治療方法を選択することが重要と判断いたしました。また、引き続き、関連学会が設定する実施施設基準を満たした医療機関においての実施医認定基準を満たした医師による本品の使用が重要と考えます。さらに、若年者への使用が広がる可能性から、長期耐久性を考慮した患者選択が重要となるため、関連学会から発出される適正使用に関するステートメントを遵守するよう周知することが必要と判断いたしました。
 使用成績調査について御説明いたします。審査報告書の36ページの上段、ト項を御覧ください。本適応拡大については、マル1対象患者のリスク因子は低くなることが想定されること、マル2両品目において、TAVRのSAVRに対する非劣性が示されたこと、マル3国内外でのTAVRの成績に差がなく、日本特有の有害事象などもないことから、製造販売後調査により確認すべき事項はないと考えました。また、両品目の申請者は、本品留置後の長期成績について、臨床試験のフォローアップを手技後10年まで継続評価し、その成績を総合機構へ経年報告するとともに、主要な結果を医療現場へ情報提供する予定であること、市販後の臨床データを、臨床研究等を実施して収集することを説明しております。したがって、両品目ともに、臨床試験フォローアップ成績の総合機構への経年報告に係る承認条件を付すことにより、本適応拡大に伴う製造販売後調査は不要と判断いたしました。
 ここから、サピエンの論点である経大腿動脈以外のアクセスについて説明いたします。品目の概要でも御紹介したとおり、両品目の主要なアクセスルートは経大腿動脈となりますが、サピエンでは心尖部からアクセスできる点が異なります。エドワーズ サピエン3の審査報告書の35ページ、表27を御覧ください。経心尖・経大動脈アクセスについて、PARTNER3試験代替アクセスレジストリの結果から評価されました。症例数は限定的ですが、手技後1年まで死亡した症例はなく、経大腿アクセスが適さない患者への臨床的意義はあると判断しました。
 続いて、外科的手術が施行可能な慢性透析患者に対する本品の有効性及び安全性について、説明いたします。エドワーズ サピエン3の審査報告書の35ページの下段、5)外科的手術が施行可能な慢性透析患者に対する本品の有効性及び安全性を御覧ください。サピエンは、外科的手術が施行できない慢性透析患者への適応を、本年1月に取得しております。本一変申請において、外科的手術が施行可能な慢性透析患者に対する臨床成績は提出されておらず、また、TVTレジストリには、外科的手術が施行可能な慢性透析患者が非常に少ない割合で含まれてはいますが、予後等の詳細情報が不明なため、有効性及び安全性を評価することは困難と考えます。
 総合機構は、長期的に透析を受ける患者が多い本邦においては、外科的手術が施行可能な慢性透析患者が適用対象となることが予想される一方、マル1慢性透析患者では生体弁の劣化が早いことが一般的であること、マル2慢性透析患者の背景や医療環境は、海外と日本で異なること、マル3本邦における外科的手術が施行できない慢性透析患者の臨床データが不十分であることを踏まえると、慢性透析患者に対する成績は、臨床試験成績等により確認する必要があると考えます。専門協議での議論も踏まえ、本一変申請の「使用目的又は効果」から除くことが妥当と判断し、申請者もこれに同意いたしました。
 以上の審査を踏まえ、総合機構は、本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。コアバルブは原材料としてブタ心のう膜が、サピエンはウシ心のう膜が用いられているため、生物由来製品に該当いたします。なお、薬事分科会では報告を予定しております。総合機構からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ありがとうございました。まず初めに、参考人として御出席いただいています小出先生から、何か追加の御意見等はございますでしょうか。お願いいたします。
○小出参考人 聖隷浜松病院心臓血管外科の小出と申します。私のコメントを述べさせていただきます。よろしくお願いします。大動脈弁の石灰化を伴う大動脈弁狭窄症は、高齢者に多い心臓弁膜症であり、一旦症状が出現すれば、心不全等の症状が進行し、本来の寿命前に心不全で寝たきりになられるか亡くなるかという重篤な心疾患です。人工弁による大動脈弁の置換術が唯一の治療法ですが、開胸による大動脈弁置換術は、胸部の正中にある大きな骨を縦断して心臓に到達し、人工心肺を装着して植え付けるという大きな手術になります。体力のある若い方であっても非常に大きな侵襲が加わることになり、術後の回復には時間を要します。ましてや高齢の患者さんにとっては大きな負担となり、心臓の治療ができても体力を大きく落としてしまい、術後に元の生活に戻ることができないことが少なくありません。それら高齢者の大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術、私の方はTAVIと呼ばせていただきますが、TAVIの導入は非常に画期的であり、術前の体力そのままで心不全症状が改善されることで、患者さんの生命予後のみならず、生活の質の向上につながっていることが実感されています。
 現在、日本国内では、TAVIの適応とする目安の年齢はおおむね80歳以上となっております。これを低リスク患者に適応を拡げた場合に、基本的には生体弁による弁置換が適応になる75歳以上辺りが対象になると思われます。機械弁による弁置換が適応となるより若い年齢層は、TAVIの適応にはなりません。70歳台の患者さんであれば、よほどの併存疾患がない限り開胸手術も十分可能ではありますが、やはり負担は大きく、術後、急性期の合併症で苦しんだり、体力が大きく低下してリハビリに時間を要したりするケースが散見されます。
 これら低リスク患者に対する大規模無作為比較試験で、1~2年の成績が開胸手術に対して非劣性であることが証明されたことを受け、低侵襲なTAVIを低リスク患者の治療の選択肢に含めることは理にかなっていると考えます。実際、術前から活動性の高い患者さんほど低侵襲なTAVIによる効果が大きく、術後は術前より更に活発に活動できるようになることが経験されています。比較的若年の低リスクの患者におけるこの治療のメリットは、超高齢者に対するそれより更に大きくなると考えられます。より多くの患者さんに低侵襲で安全な治療であるTAVIを提供することができれば、健康寿命の延長につながる循環器領域の大きな進歩となると考えます。
 以前から指摘されているTAVIの弱点である術後のペースメーカ植込み率、弁周囲逆流残存率に関しては、デバイスの改良が進み、バルーン拡張型デバイスでは外科的弁置換とほぼ同等の成績が得られるようになってきており、自己拡張型デバイスにおいても、最近では留置手技等の改善により成績向上が得られています。それらペースメーカ植込みや有意な弁周囲逆流が長期成績に及ぼす影響は不明ですが、少なくとも現段階では悪いという結果は出ておりません。今後さらなるデバイスの改良や手技の改善により、これらの弱点は克服されていくものと思われます。
 TAVIで使用される生体弁の耐久性に関しては、現段階で、外科的手術の生体弁と比較して劣るというデータはございません。少なくとも数年~10年程度までの耐久性には問題ないという報告が増えてきております。更に長期の耐久性に関しましては、無作為比較試験のフォローアップデータにより明らかにされていくものと思われます。
 今回、バルーン拡張型デバイスである「エドワーズ サピエン3」と自己拡張型「コアバルブEvolut R」が同時に適応拡大の申請となっております。これらのデバイスはそれぞれ特徴があり、患者さんの病態に合わせて使い分けがされており、実際はバルーン拡張型のサピエンが○○○○○○○○○○○○○○おります。この2つのデバイスが選択できることにより、多様な病態に対して治療の選択の幅が確保され、患者さんごとに最適化した手術を行うことができております。バルーン拡張型デバイスは、留置の際の安定性に優れている一方、大動脈弁輪の石灰化が高度な症例では、弁輪破裂といった重篤な合併症のリスクが危惧されます。自己拡張型デバイスは、現段階ではペースメーカ植込み率が高いという弱点はありますが、より大きな弁口面積が得られるという大きなメリットがあることから、長期的に見た心機能の面では優位である可能性があります。これ以外にもそれぞれデバイスには特性がありまして、患者さんの状態に合わせた選択の幅として、両方のデバイスを同時に適応拡大することに大きな意味があると考えます。私からのコメントは以上です。ありがとうございました。
○荒井部会長 小出先生ありがとうございました。それでは、委員の方々から御質問、御意見等いかがでしょうか。松宮委員、どうぞ。
○松宮委員 ありがとうございます。本治療を、特に高齢の方を中心に、高齢であっても手術するリスクはそれほど高くないという方々に広げる意義は、小出先生が説明されたように非常に大きいと思うのですが、若年者に広がっていくと、耐久性の限界がきたときに再手術が必要になるということが問題となります。このTAVI弁を入れたときの再手術のリスクがどの程度のものなのか、よく分かっていません。ただ、去年辺りから、TAVI弁を手術で入れ替えるというのはかなりリスクが高いという報告が、ぼちぼち大きなデータベースを使ったものも含めて出てきていまして、特に自己拡張型弁などは、中から広い範囲で圧着させるので、それを手術時に取るのが非常に難しいということが指摘されています。また、TAVI弁の中にまたTAVI弁を入れるというのが、耐久性が限界になったときには、もちろん選択肢にはなるのですが、必ずしも全例できるわけではないし、どれぐらいの症例数で可能かというのも、はっきりしたデータは出ていなくて、実際には冠動脈をocclusionするような危険性も指摘されています。ですので、耐久性の限界を迎えたときの治療にどの程度リスクがあるのかが明らかでないというのが、更に大きな問題ではないかと思っています。その点について何か御議論はありましたでしょうか。
○荒井部会長 事務局から。
○医薬品医療機器総合機構 御意見ありがとうございます。今、御指摘のあった若年者への適応につきましては、先生も御存じかと思うのですが、ガイドラインにおいて、80歳以上はTAVI、75歳未満はSAVRということが規定されておりまして、今後、本品の適正使用において、TAVR協議会からのステートメントもこれに沿った内容で発行される予定です。なので、今後も従来と同様にハートチームによる適正な患者選択がこのステートメントに沿ってなされれば、現段階においては、耐久性に対する適正使用はなされていくものと考えております。
○松宮委員 耐久性だけではなくて、再手術のリスクというのは少し違った意味がありまして、耐久性が限界にきてもまた簡単にそれを入れ替えることができるのであれば、それは余り大きな問題にはならないと思います。例えばペースメーカとかは入れ替えるのが非常に容易なわけですが、このTAVI弁の場合、再手術のリスクが非常に高い、そうとなると、それはやはり極めて大きな問題になると思うので、その点をもう少し、添付文書等を含めて周知していただいたほうがよろしいかと思いました。
○医薬品医療機器総合機構 松宮先生、ありがとうございます。本当に御指摘のとおりでして、今データもない中で、そういうデータがないこともきちんと添付文書等に記載しまして、患者さんへの説明も十分行ってやっていただくように、こちらもやっていきたいと思います。ありがとうございます。
○荒井部会長 松宮先生、音声は聞こえましたでしょうか。
○松宮委員 はい、聞こえました。
○荒井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。分からないところは分からないという段階でしかないのですが、御指摘の点につきましては、きちんと今後も見ていくということだと思います。
○松宮委員 はい、分かりました。
○荒井部会長 そのほか委員の方々。小西委員、どうぞ。
○小西委員 小西でございます。有害事象といたしまして、コアバルブのほうは不整脈ということでPMIが注目されておりましたけれども、エドワーズのほうは余りコメントがなかったのですけれども、いかがだったのでしょうか。その違いが何かあるのでしょうかということをお聞きしたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 コメントありがとうございます。エドワーズのほうのPMIですけれども、1年で大体TAVR群で7.3%、SAVR群で5.4%ということで、コアバルブよりは低い数値となっております。
○荒井部会長 小西委員、よろしいですか。
○小西委員 両者に違いがあるということなのでしょうか。ちょっとその辺のことを専門の先生にお聞きしたいと思います。
○荒井部会長 小出先生、今の小西委員からの質問につきまして御発言いただけますか。
○小出参考人 御質問ありがとうございます。ペースメーカ植込みについては、確かにバルーン拡張型のほうが大分低くなってきています。当初の成績からしますと、バルーン拡張型も自己拡張型も大分良くなってきているのですが、バルーン拡張型のペースメーカ植込みは、結果から見ても、外科的な弁置換と余り変わらない感じになっています。ただ、自己拡張型はまだそこまではいっていないのですね。ですので、留置の手技を非常に工夫することによって、位置がすごく重要なのですけれども、刺激伝導系という心臓の中の電気の通り道を損傷しないような位置に留置をするという工夫がなされているところがあります。自己拡張型のほうは、そうしたまだ少し発展途上の部分もどうしてもあるものですから、そうしたことを踏まえまして、デバイスの選択をするのですけれども、ただ、自己拡張型は有効弁口面積が大きいという非常に大きなメリットがございますので、それぞれ特徴が、長所、短所がどうしてもある。そうした2つのデバイスの中で、ペースメーカのところはまだ差がございますけれども、そこは今後も更に縮まっていくものと考えています。
○小西委員 よく分かりました。ありがとうございました。
○荒井部会長 そのほかの委員から御質問、御発言はございますか。宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 今までずっとお聞きしまして、やはり適応と耐久性は重要なことだと思うのですが、今も触れておられましたけれども、植込み位置の問題は非常に大きな問題だろうと思います。刺激伝導系も含めて、径が長いと問題を起こしてくるので、そうなると留置する手技など、術者への周知、それからトレーニング、そういうものをきちんと担保するということが非常に重要だと思います。その辺に関しては、どのような形でこの承認の中に盛り込まれるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 コメントありがとうございます。そちらにつきましては承認条件の中で規定しておりまして、十分な知識や経験を持った医師によって適切な施設において本品を使用するということが規定されております。また、トレーニングにつきましても、従来どおりやっていくというようなことで承認条件を付しています。
○宮川委員 例えば適正ガイドラインなど、何かそういうものに対して周知するようなことはないのでしょうか。適正ガイドラインなど、松宮先生、教えていただきたいのですけれど。
○松宮委員 はい、松宮です。これは、関連学会協議会というのが構成されていまして、日本循環器学会や胸部外科学会等、関連した学会で協議会を作って、そこで実施医や実施施設の認定をして、ある様々な要件を満たした方を認定して、その方とその施設だけはこの手技ができるということをやっています。ですので、そこで実施についてはその技術は担保されていることになっています。もちろんその方々の要件の中に、適切なトレーニングを受けたとか、症例数を幾ら経験したこととか、そういうことが入っております。
○宮川委員 宮川です。松宮先生、ありがとうございました。
○荒井部会長 ありがとうございました。そのほか御意見よろしいですか。御意見がなければ議決に入らせていただきます。2つございます。医療機器「コアバルブEvolut R」の承認事項の一部変更につきまして、本部会として承認を与えて差し支えないものとしてよろしいでしょうか。また、使用成績評価は不要として指定することでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。
 次に、医療機器「エドワーズ サピエン3」の承認事項の一部変更については、本部会として承認を与えて差し支えないものとしてよろしいでしょうか。はい。また、使用成績評価は不要として指定することとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は分科会にて報告を行う予定でおります。これで議題4及び議題5を終了いたします。小出先生、どうもありがとうございました。
 引き続きまして、議題6に入ります。「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 資料6を御覧ください。既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般用医療機器への指定及び特定保守管理医療機器に指定するか否かについて、御審議いただいております。今回は、医療機器の承認に際し一般的名称の新設が必要と考えられるものが2品目ございます。
 まず、1ページ目を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「サイズ推定用内視鏡画像診断支援プログラム」です。本名称の定義は、「内視鏡画像中の物体の大きさを計測若しくは推定するために内視鏡画像情報を演算処理し、診断等のために使用する医療機器プログラム。その物体のサイズ等を数値等により表示する機能を有する。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」です。本品は、クラスⅡの管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、本品は保守点検を行う必要のある医療機器ではないため、不要と考えております。
 続いて4ページ目を御覧ください。新設予定の一般的名称は、「子宮口キャップ」です。本名称の定義は、「精液の流出を低減するために子宮口に留置するキャップをいう。一時的使用を意図する場合に限る。本品は未滅菌である。」です。本品は、クラスⅠの一般医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○荒井部会長 ただいま御説明いただきました2品目につきまして、御意見、御質問等はいかがでしょうか。よろしいですか。特に御意見がございませんので、議決をさせていただきます。まず、「サイズ推定用内視鏡画像診断支援プログラム」を、管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないこととしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。次に、「子宮口キャップ」を、一般医療機器として指定し、特定保守管理医療機器としては指定しないということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、このように議決させていただきます。本件は分科会にて文書報告をさせていただきます。これで議題6を終了いたします。
 以上をもちまして、本日予定されていました議題は全て終了いたしました。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 医療機器審査管理課長でございます。本日も長時間にわたりまして御審議いただきましたことを御礼申し上げます。また、Web開催に伴いまして途中音声が途切れるなど、大変お聞き苦しい点もあったかと存じます。おわび申し上げたいと思います。
 次回の部会につきましては4月16日を予定しております。詳細につきましては後日事務局からメール等で御連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
○荒井部会長 医療機器・体外診断薬部会に関して、最後の砦というか一番きちんとした議論をしなくてはいけないこの部会で、途中で音声が途切れるというのは、言語道断です。実はこの部会は、私の意向で他の部会と比べても、これまで現地開催で頑張ってきたのですが、今回は事情が事情でこうしたWeb開催となりました。部会長としては、次回4月16日は是非皆さんに直接お目にかかって議論をしたいと願っております。それでは、これをもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。どうもありがとうございました。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から一部非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 大原(内線4226)