2021年11月4日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年11月4日(木)18:00~

出席者

出席委員(21名)五十音順

 (注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  中井清人(医薬安全対策課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきまして誠にありがとうございます。この度の医薬品部会についても、新型コロナウイルス感染防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 まず、本日の出席状況についてです。本日は、委員全員から出席との御連絡を頂いております。ただ、浦野委員、川上部会長代理からは遅れて参加との御連絡を頂いております。南委員におかれましては、今のところまだ会議に参加いただけておりませんが、後ほど御参加いただくというように認識しております。したがって、本日は現在のところ、当部会委員数21名のうち18名の委員に、このWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 続いて、事務局に人事異動がありましたので御報告させていただきます。医薬品医療機器総合機構の執行役員(再生医療製品・ワクチン等審査等部門担当)の伯野春彦が着任しております。よろしくお願いいたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告をさせていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合は、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告をさせていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますけれども、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際しましても、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただきますので、御了承いただければと思います。それでは、清田部会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 清田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。今の事務局からの御説明に特段の御意見はありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 本日は、あらかじめお送りした資料のうち、資料No.1~No.17-4を用いますので、お手元に御用意いただけますか。このほかに、資料No.18として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資料No.19として「専門委員リスト」、資料No.20として「競合品目・競合企業リスト」、資料No.21として「ロナプリーブの発症抑制に係る投与に関する日本感染症学会ガイドライン案」を、事前にメールにてお送りしております。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので、事務局までお申し付けください。
 続いて、本日のWeb会議に係る審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料No.20を御覧ください。
 まずは「ハーセプチン」です。本品目は、「HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページを御覧ください。「ハイヤスタ錠」です。本品目は、「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページを御覧ください。「バレメトスタットトシル酸塩」です。本品目は「再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページを御覧ください。「オラパリブ」です。本品目は「BRCA遺伝子変異陽性の乳癌に用いる術後薬物療法」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 5ページを御覧ください。「バリシチニブ」です。本品目は「I型インターフェロン関連自己炎症性疾患」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 6ページは飛ばして、7ページを御覧ください。「ロナプリーブ点滴静注」です。本品目は「SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今の事務局からの御説明に、特段の御意見はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについては、皆様の御了解を頂いたものといたします。
 では、委員からの申出状況について、御報告をお願いします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりです。
 議題1の「ハーセプチン」ですが、退出委員は南委員、議決に参加しない委員は亀田委員、濱委員、山本委員です。
 議題2の「ハイヤスタ」ですが、退出委員は南委員、山口委員、議決に参加しない委員は亀田委員、川上部会長代理、松下委員、宮川委員です。
 議題3の「バレメトスタットトシル酸塩」ですが、退室委員は山口委員、議決に参加しない委員は大隈委員、亀田委員、川上部会長代理、清田委員、中野委員、南委員、宮川委員です。
 議題4の「オラパリブ」ですが、退室委員、議決に参加しない委員はともになしです。
 議題5の「バリシチニブ」ですが、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、南委員です。
 議題7の「ロナプリーブ」ですが、退室委員は大曲委員、松下委員、議決に参加しない委員は亀田委員、濱委員、南委員、山本委員です。
 また、議題6についても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は、薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。
 なお、薬事分科会審議参加規程第5条において、「申請資料作成関与者である委員等は、審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する」とされておりますが、同条のただし書において、「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる」となっております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。今回、議題7の審議に関しては、SARS-CoV-2による感染症に関する治験の実施経験がある大曲委員の意見を参考にするのがよろしいかと思われます。当部会としては、大曲委員に御出席いただき、御意見を述べていただいてはどうかと考えておりますが、皆様、いかがでしょうか。御異議はありませんか。ありがとうございます。御異議がないようですので、御了解いただいたものとし、大曲先生には御出席して御意見を頂くことといたします。
 今の事務局からの説明に特段の御意見等はありますか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものとします。
 本日は、審議事項7議題、報告事項9議題、その他事項1議題となっております。それでは、審議事項の議題に移ります。南委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題1及び議題2の審議の間、会議から御退室して待機いただくものとします。南委員は御退室をお願いいたします。
── 南委員退室 ──
○清田部会長 議題1について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、資料No.1、医薬品ハーセプチン注射用60他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの25分の○と記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるトラスツズマブ(遺伝子組換え)は、HER2に対するヒト化モノクローナル抗体であり、HER2に結合し、抗体依存性細胞傷害作用等を惹起することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は、HER2過剰発現が確認された乳癌及びHER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃癌に係る効能・効果で承認されております。今般、本剤は、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の唾液腺癌を効能・効果として承認申請されました。
 なお、本剤は、令和3年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年7月時点において、唾液腺癌に係る効能・効果にて本剤が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.19にあるとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験であるHUON-003試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書の6ページの表2を御覧ください。HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌患者を対象としたHUON-003試験において、主要評価項目とされたRECIST ver1.1に基づく中央判定による奏効率は60%でした。奏効率の95%信頼区間の下限値(32.3%)が事前に設定された閾値(25%)を上回ったこと、得られた奏効率は臨床的に意義のある結果であったことなどを考慮すると、HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌患者に対する本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性について、審査報告書の8ページの「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時に特に注意すべき有害事象として、心障害、infusion reaction、間質性肺炎・肺障害、血液毒性、肝不全・肝障害、腎障害、昏睡・脳血管障害・脳浮腫、感染症、腫瘍崩壊症候群及び羊水過少を挙げております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理、本剤の休薬などの適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人の唾液腺癌患者における検討症例は限られており、製造販売後には使用成績調査の実施が必要であると判断しております。
 以上のような審査の結果、機構は、HER2陽性の根治切除不能な進行・再発の唾液腺癌を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、渡辺委員より事前に2点の御質問を頂いております。
 1点目が、乳癌、胃癌ではHER2タンパク過剰発現(IHC Score3)又はFISH法陽性によるHER2遺伝子増幅陽性をもって治療適用が決定されますが、唾液腺癌の場合、単にHER2陽性となっています。陽性の程度による効果の評価はなされているのでしょうかという御質問です。
 2点目は、トラスツズマブの場合、今回審査対象の唾液腺癌、既承認の乳癌、胃癌とも、体重1kg当たり4mg、8mgでの投与量決定となっています。ベバシズマブ、リツキサンなども体重1kg当たりの投与量決定です。しかし、後に承認されたペルツズマブでは1バイアル量の倍数の投与量(420mg×1、840mg×2)が規定されています。体重当たりとすると、かなりの薬剤量を廃棄しなければいけないし、脂肪量の多寡にもよるでしょうし、150mgあるいは60mgの倍数での投与量の設定は可能なのでしょうか。また、そもそも体重当たりの投与量算定の根拠、体表面積を考慮したほうがまだ妥当なのかなど、この辺りの議論は十分に尽くされているのでしょうかとの御質問です。
 まず、1点目の御質問について、審査報告書12ページ下段の7.R.3.2項を御覧ください。唾液腺癌に対する効能・効果はHER2陽性の唾液腺癌ですが、今回のピボタル試験であるHUON-003試験では、乳癌の病理診断における判定基準を参考に、IHC法3+の患者、IHC法2+かつDISH法によりHER2遺伝子の増幅が確認された患者が対象とされました。結果として、HUON-003試験で登録された患者は全てIHC法3+であったため、御質問いただいたHER2陽性の程度による治療効果について、HUON-003試験の成績に基づき説明することはできません。
 しかしながら、審査報告書11ページの下段~12ページの上段に記載しているように、HUON-003試験と同様の患者を対象とした国内臨床試験において、IHC法2+かつFISH法陽性の唾液腺癌患者5例中4例で奏効が認められたこと、乳癌及び胃癌においてIHC法2+の患者を含めた治療効果が確認されていること、薬剤の作用機序などを考慮して、IHC法2+かつDISH法陽性の患者も含め、本剤とドセタキセルの併用投与は、HER2陽性の唾液腺癌患者に対する治療選択肢として位置付けられると考えております。
 次に、2点目の御質問についてです。乳癌、胃癌及び唾液腺癌のいずれにおいても、主要な臨床試験で設定された本剤の用法・用量は体重換算用量であり、試験の設定に従って用法・用量が設定されております。体重換算用量が設定された経緯については、本剤の初回承認時の審査報告書において、「体重あたりで本剤を投与した方が血清中濃度推移の個体間変動が小さくなることが予想され、本剤のように目標有効血清中濃度が想定されている薬剤では、体重あたりで投与量を調節することにより、有効濃度を下回る患者を減らすことができる」と考えられた旨が説明されております。今回の唾液腺癌患者においても、従前の考えに従って試験の用法・用量が設定されたものと思われます。本日御指摘いただいた点については、申請者に伝達させていただきます。事前に頂いたコメントに対する回答は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。それでは、渡辺先生、ただいまの御回答について、いかがでしょうか。
○渡辺委員 まず1点目です。審査報告書の1/25ページを見ますと、既に承認されている乳癌及び胃癌の場合には「HER2過剰発現が確認された」というように規定されていますが、今回の唾液腺癌の場合には「HER2陽性の」となっています。この使い分けに何か意味があるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。ハーセプチンに関しては、確かに乳癌及び胃癌の効能には過剰発現という表現を用いておりますが、類薬であるパージェタ(ペルツズマブ)の承認の際には、「HER2陽性の」という表現を用いております。その当時のガイドライン等の記載を参考にして、一般的に「HER2陽性の」という表現が多く用いられていたこと等も考慮して、パージェタ以降は「HER2陽性の」という表現を使っておりまして、指す内容は同様です。
○渡辺委員 同じ薬剤で使い方が違うというのは、ちょっとおかしいのではないかと思うのです。時間的な経過で、昔は「HER2過剰発現が確認された」ということだったのが、最近承認されている薬剤では「HER2陽性」となっているということに関しては分からないでもないのですが、トラスツズマブに関して3疾患に対しての適応があるわけですが、その中で表現が違うということについては違和感を感じるのです。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。確かにハーセプチンの効能間で表現が異なっておりますが、今回の審査で既承認の効能・効果は変更できないため、今回新たに設定する唾液腺癌の効能について、現時点で一般的に使用されている表現といたしました。また、例えばハーセプチンとパージェタは併用で使用されますが、そのような表現の違いについて、特に臨床現場で問題になっているということは伺っておりません。したがって、ハーセプチンの効能間の表現の差異が臨床現場において大きく問題になる可能性は低いと考えております。
○渡辺委員 そちら側には届いてないかもしれませんが、例えば現場で若いドクターに指導をする際に違いだとかで、混乱とまではいかないけれども、やはり不一致があるのです。詭弁で切り抜けられたようですけれども、やはりこれは気になります。
 それから、2点目の問題です。確かに体重当たりでという理屈は承りましたけれども、ハーセプチンの場合には、アメリカでは440mgバイアルというのが使用されています。それには多少の防腐剤が入っているということで、日本には導入されなかったわけですが、この440mgバイアルから用いて、体重当たりで使用するという考え方は成り立たないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。確かに海外では440mgバイアルも承認されているようですが、日本では未承認ですので、すぐに日本でも440mgバイアルを採用することは難しいと思います。
○渡辺委員 ちょっと答えになっていませんね。440mgバイアルという大きなボトルの中から、必要分だけ使ってということで、申し上げたいのは、かなり高価な薬剤なのに、これを流しに捨てるということを積極的に推奨しているような感じがするので、いかがなものかと、改善の余地があるのではないかと思うのです。いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構の部長の清原です。先生、御意見ありがとうございます。2点目の製剤の開発については、先生も御存じのように、添加剤が少し違うというところで、日本での開発がすぐに簡単にというわけにもいきませんし、もう既にバイオシミラーが出ているような薬剤ですので、企業としてどこまで新しい規格を開発するのかというのは、やはり大きな課題になるのかと思っております。先生の御意見については、企業の方にお伝えしたいと思っております。
 それから一つ目の表現の件、若い先生方に指導をするときに説明が困るというお話についてです。2013年6月にパージェタが初回承認されたときの審査報告書に、これまでの「過剰発現」については今後、乳癌のガイドラインの表現などを参考にして、投与対象が同一であるにもかかわらず同じようなものは、「陽性」という形にしていくという旨を記載しております。ですから、若い方の御指導のときに「根拠は」と言われた場合には、まずは2013年6月のパージェタの承認時の審査報告書を御参考にしていただければと思います。
○清田部会長 渡辺先生、いかがですか。大丈夫ですか。
○渡辺委員 参考にならないような説明でしたが、引き下がります。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかの委員から御質問はありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、濱委員、山本委員におかれましては利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題2に移ります。山口委員におかれましては、薬事分科会審議参加規程第7条に基づき、議題2及び議題3の審議の間、会議から御退室いただきます。山口委員は御退室をお願いいたします。
── 山口委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題2について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題2、資料No.2、医薬品ハイヤスタ錠10mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下に22分の○で記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるツシジノスタットは、脱アセチル化酵素に対する阻害作用を有する低分子化合物であり、ヒストン等の脱アセチル化を阻害することにより、細胞周期の停止及びアポトーシス誘導を引き起こし、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。現在、本剤は、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫に係る効能・効果で承認されています。
 今般、本剤は、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は、平成27年11月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年7月時点において、本剤は、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫(以下「PTCL」という)に係る効能・効果で、1か国で承認されております。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.19にありますとおり4名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第IIb相試験である203試験が提出されました。有効性については、審査報告書6ページの表2を御覧ください。再発又は難治性のPTCL患者を対象とした203試験において、主要評価項目とされた奏効率は45.7%であり、事前に設定された閾値奏効率を上回ったこと等から、本剤の一定の有効性は示されたと判断しました。
 安全性については、審査報告書8ページの7.R.3、安全性についての項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象は、既承認の効能・効果と同様であり、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって有害事象の観察や管理、本剤の休薬・減量・投与中止等の適切な対応により忍容可能と判断いたしました。
 ただし、日本人における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、PTCLに係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されていることから、今回追加する効能・効果に対して、再審査期間は10年とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問等がありましたらお願いいたします。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 教えていただきたいことがあるのですが、203試験で登録から除外された被験者の中に、そもそも組入れの基準を満たさない患者さんがおられたようですけれども、74例の中でちょっと多いような気がするのですが、その中で日本人と韓国人との割合がどうだったのかということについて教えていただきたいことと、どういう経緯でこのような状態が発生したのか、特段の何か事情があったのかどうか、その組入れがされない、満たさない患者さんの数というものはどのように影響していくのかということについて教えていただきたいと思います。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、御指摘いただきましてありがとうございます。御指摘の点ですが、詳細なデータを確認させていただければと思いますので、大変申し訳ございませんが、少々お時間を頂けますでしょうか。宮川先生の御指摘の点としては、審査報告書の5/22ページ、登録が74例で、注釈の2番で書かせていただいておりますけれども、16例が基準を満たさずということで、ここの内訳という御質問、御指摘という理解でよろしかったでしょうか。
○宮川委員 それでいいと思います。ですから、16例出ていたということは、治験の実施医がそのことを基準に関してよく理解していなかったのか、それとも、治験を依頼するような企業に問題があったのか、何かの形でそのような16例が抜けるということなのだと思うのですが、ちょっと数が多かったものですからお聞きしたいと思いました。
○清田部会長 今、分かりそうですか。
○医薬品医療機器総合機構 お待たせいたしました。この試験の登録の仕方に少し原因があるかと存じます。通常だと、組入れ基準を満たした患者さんを登録して、そこから進めるのですけれども、まず登録をして、そこから組入れ基準に合致する患者さんを本登録という形にしていたので、今回こういった組入れ基準に合致しなかった患者さんの数が多かったというのが原因の一つかと考えております。以上です。
○宮川委員 普通ですと登録というのは、そういう意味で言葉の使い方がおかしいと思うので、それを許してしまったというわけではないのですけれども、このように審査報告書の中に入ってきてしまったということがおかしいのかと思うので、今後そういうことがないように、ちゃんとはっきりした理由がそこであるのかどうかということで、3例は「同意撤回のため」ということは分かったのですが、16例が最初から満たさないということだったということでは企業の問題かと思いますので、是非その辺は改善していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。以後、気を付けたいと思います。
○宮川委員 もう一つ教えていただきたいことなのですが、再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫と書いてあります。添付文書の臨床成績の所を見ると、いろいろな血液疾患がたくさん並んでいます。私は専門家ではないので教えていただきたいのですが、こういう所に、効能又は効果に関連すべき注意という所の疾患という所に、具体的な疾患をもともと書くべきなのか、このように再発又は難治性ということで、まとめてしまって書くのが本当なのかどうか、そこについて教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。効能・効果に付けております末梢性T細胞リンパ腫に関しては、御指摘いただいたように、臨床成績に書いてある病型など、たくさんの病型がありまして、総称的な形で記載しています。ですので、効能・効果で、いわゆるPTCLというように書かせていただきました。ただ、先ほど申し上げたように、たくさんの病型がありますので、実際どういった病型があったか、どういう結果であったかということを臨床成績の項で情報提供するという形としております。
○宮川委員 はい、了解しました。もう一つ教えていただきたいのですけれども、審査報告書の12/22ですが、ALK陽性は治験で除外されたものの市販後は対象としてよいという判断をしているが、陰性で効果が見られなかったことがその理由となるのかについて御説明いただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。ALK陽性のALCLの御指摘かと思いますけれども、12ページの所で記載させていただいておりますが、御指摘のように、実際その組入れ症例というものはありませんでした。ただ、今回、HDAC阻害という作用機序を有しておりまして、作用機序の観点からは効果が期待はできるであろうということですとか、そういった病型ごとに見ていくと希少ということがありますので、あえて効能・効果から除外するという必要性は乏しいというところも考えまして、今回は投与対象に入ってくると考えております。
○宮川委員 その増殖抑制作用というのは、そういう意味では可能性を言っているだけで、実際にはないということなのでしょうか。その辺のところを、可能性だけでこういうことを、規定としてきちんと表現しなければいけないのに、そういうぼかしたような言い方で許してしまっていいのかどうか。最初からそういう規定をしているわけですから、増殖抑制作用というのは可能性という形で言っているはずなので、そこのところをどうなのかということをお示しください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。確かに、おっしゃるように、これは可能性、期待というところになってしまうのですが、実際に、ALK陽性ALCL患者さんを対象とした臨床試験ということを考えますと、患者数が少ないということがあって、現実的な問題として臨床試験を組むことがなかなか難しいというところがあります。ですので、ここは確かにデータは乏しい部分ではあるのですが、作用機序の観点からは少なくとも効果が期待できるだろうということですとか、ALK陽性、陰性にかかわらず、複数の他の病型でも一定の有効性は認められていますので、この病型だけ特別効かないということも想定しにくいということがあり、その辺りを総合的に考えまして、投与対象には含めていいだろうというところで判断いたしました。以上です。
○宮川委員 それは機構が判断したのか、誰が判断したのかということでお示しいただければと思います。でなければ、書かないか、欄外でそういうことをきちんとしたコメントとして言及するかどうか、その辺のところはしっかりと書き込みをしたほうがよろしいのではないかと思いますが。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。最終的な判断につきましては機構の方で行っております。ただ、この対応につきましては、PTCLの他の既承認の薬剤でも、同様の考え方に基づいてこれまで判断してきているという状況もあります。PTCLについては複数の組織型の集合という状況で、かつ、PTCLとして考えても非常に希少な疾患ということもありまして、なかなか各組織型ごとで臨床試験はできないという状況も考えて、明らかに有効性が期待できないとか、安全性上問題があるだろうと、そういうことが類推される組織型については推奨しないという対応を取っているのですが、そうではないものにつきましては、基本的には治療体系とかも変わらないという状況もありますので、少なくとも臨床試験の組入れ対象になった集団については許容するという方針で考えております。以上でございます。
○宮川委員 はい。では、大きくPTCLというような形で、全部大きく範囲を考えるという形でよろしいという、そういうお考えですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい、そのとおりでございます。この考え方につきましては、専門協議の中で専門家の先生にも御意見を伺っておりまして、特段反対する意見はありませんでしたので、最終的には先ほど申し上げたような判断をしているところです。以上です。
○宮川委員 私は非専門ですので、そこだけはしっかりと学ばせていただきました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかの委員の先生方から御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上部会長代理、松下委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されています南委員をお呼びください。
── 南委員入室 ──
○清田部会長 それでは、議題3につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題3、資料No.3、バレメトスタットトシル酸塩を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。
 評価報告書1ページの中段を御覧ください。申請者は第一三共株式会社、予定される効能・効果は再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫です。まず、1ページの対象者数についてですが、再発又は難治性の成人T細胞白血病リンパ腫(以下「ATLL」という)は、平成29年の調査によると、総患者数は約2,000人と報告されており、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性についてですが、再発又は難治性のATLLに対する治療として、モガムリズマブ(遺伝子組換え)、レナリドミド水和物等の投与が行われているものの、標準的な治療は確立されておらず、いずれの治療法においても根治に至らず、予後不良でございます。以上より、再発又は難治性のATLLに対する新たな治療薬の開発が望まれていることから、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について、再発又は難治性のATLL患者を対象に、本剤の有効性及び安全性を検討することを目的とした非盲検非対照国内第II相試験が実施され、得られた結果からも本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質問はございますでしょうか。大丈夫ですか。
 ないようですので、議決に入りたいと思います。大隈委員、亀田委員、川上部会長代理、私、中野委員、南委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されています山口委員をお呼びください。
── 山口委員入室 ──
○清田部会長 続きまして、議題4に移ります。議題4につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題4、資料No.4、オラパリブを希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。
 報告書1ページの中段を御覧ください。申請者はアストラゼネカ株式会社、予定される効能・効果はBRCA遺伝子変異陽性の乳癌における術後薬物療法です。まず、1ページの対象者数について、本邦におけるBRCA遺伝子変異陽性の乳癌患者は、多くても約3万7,000人と推測されることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、医療上の必要性について、I~III期の乳癌に対する標準的な治療としては、BRCA遺伝子変異の有無にかかわらず、外科的切除及び周術期化学療法が行われています。また、それらの治療を実施した場合でも、30~40%に再発が認められ、再発した場合の予後は不良であることから、新たな治療が望まれており、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について、現在、周術期化学療法歴のある再発のリスクの高いBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の乳癌の術後患者を対象に、プラセボを対照とした本剤の有効性及び安全性を比較することを目的とした国際共同第III相試験が実施され、浸潤性疾患のない生存期間について、プラセボ群と比較して本剤群で有意な延長が認められたことから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしているものと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の先生方からの御質問、御意見がございましたら伺いますが、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入りたいと思います。本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題5に移ります。議題5につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題5、資料No.5、バリシチニブを先駆的医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。資料5の事前評価報告書を御覧ください。先駆的医薬品指定制度は、世界に先駆けて日本で早期開発・申請する医薬品を指定し、審査期間の目標を6か月とするなどの制度でございまして、昨年の9月から法改正により導入されているものでございます。
 報告書の1ページの中段を御覧ください。申請者は日本イーライリリー株式会社、予定される効能・効果は、I型インターフェロン関連自己炎症性疾患です。1ページの指定要件1、治療薬の画期性についてですが、本剤はヤヌスキナーゼ阻害剤であり、関節リウマチ等に対して承認を受けている医薬品ですが、今回の疾患に関しては現在承認されている薬剤はないことから、要件を満たしているものと考えております。
 次に、指定要件2、対象疾患の重篤性についてですが、本疾患は、原疾患によって幾つかの病型に分かれますが、いずれも慢性的な炎症によって進行する臓器障害は不可逆的であり、患者の生命を脅かすことから、要件を満たしているものと考えております。
 続いて、指定要件3、対象疾患に係る極めて高い有効性についてですが、報告書3ページの上部に記載のとおり、海外で実施された非盲検非対照試験におきまして、一定の改善が認められているといった結果が得られておりますので、既承認薬が存在しないことも踏まえ、要件を満たしているものと考えております。
 最後に、指定要件4、世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制についてですが、本剤は、現時点では、世界に先駆けて又は同時に本邦で承認申請を行う予定とされていることから要件を満たすと考えております。したがいまして、先駆的医薬品の指定の4要件を満たしていると考えております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方からの御質問、御意見がございましたら承ります。いかがですか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入ります。亀田委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題6に移ります。議題6につきまして、事務局からの概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 事務局より御説明させていただきます。審議事項議題6、生物学的製剤基準の一部変更についてです。資料No.6の1ページを御覧ください。この度の一部変更ですけれども、医薬品各条の組換え沈降B型肝炎ワクチン(酵母由来)の力価試験に係る規定と、もう一点、ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリンの抗HBs抗体測定法の規定を改正するものになります。
 一つ目のB型肝炎ワクチンの力価試験については、現在はマウスにB型肝炎ワクチンを接種して、産生される抗HBs抗体を測定する方法で力価を測定するというマウスの力価試験が規定されておりますが、このようなin vivoの力価試験に代わりまして、ワクチンに含まれるHBs抗原の量を直接測定するin vitroの力価試験も実施可能になるように試験方法を追加するものです。
 次に、抗HBsグロブリンにおける抗HBs抗体測定法については、現在、放射免疫測定法と酵素免疫測定法の二つがそれぞれ規定されておりますけれども、今般ほかの、いわゆる免疫測定法が実際に実用化されてきているということで、具体的には化学発光免疫測定法や電気化学発光免疫測定法といったものも利用可能となるように、従来の測定法とそれらの新しい測定法、原理としては免疫測定ですので、それを包含する形で、網羅する形で、一つの試験法として記載を整備したということです。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がございましたら承ります。石井先生、どうぞ。
○石井委員 試験法の変更は適切だと思いました。ポリエチレングリコール処理抗HBs人免疫グロブリンの規格が、200単位以上から200国際単位以上に変更されているのですけれども、こちらはもともと単位が国際単位に整合していたもので、表記を合わせたという理解でよろしいでしょうか。それとも、実質的に変更になるのでしょうか。
○事務局 事務局でございます。先生がおっしゃるとおり、もともと200国際単位ということでやっておりましたものを、記載整備するということでございます。
○石井委員 分かりました。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、議決に入ります。本議題につきまして、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題7に移ります。松下委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議題7の間は会議から御退出して御待機いただくことにいたします。松下委員は御退室をお願いいたします。
── 松下委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題7につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料No.7、医薬品ロナプリーブ点滴静注セット300及び同点滴静注セット1332の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明いたします。資料No.7の星印の付いている特例承認に係る報告書のファイルをお開きください。
 新型コロナウイルス感染症はSARS-CoV-2による感染症であり、SARS-CoV-2のスパイクたんぱく質が宿主細胞のアンジオテンシン変換酵素2(以下「ACE2」という)に結合することで、宿主細胞に侵入し、感染に至るとされています。ロナプリーブ点滴静注セット300及び同点滴静注セット1332(以下「本剤」という)は、スパイクタンパク質上の受容体結合ドメインの異なるエピトープを認識する2種類の遺伝子組換えヒトIgG1モノクローナル抗体を含有しており、スパイクタンパク質とACE2の結合を阻害し、宿主細胞へのSARS-CoV-2の侵入を阻害すると考えられています。
 本邦において、本剤は、SARS-CoV-2による感染症を効能・効果として、本年7月に特例承認されています。今般、米国FDAによるEmergency Use Authorizationが得られていることを踏まえ、濃厚接触者を対象とした海外第III相試験(COV-2069試験)の成績等に基づき、SARS-CoV-2による感染症の予防及び皮下注射に関する特例承認に係る承認申請が行われました。
 審査の概要について、臨床試験成績を中心に説明いたします。有効性について、通し番号22/32の表16を御覧ください。家庭内で最初のSARS-CoV-2感染者と同居するSARS-CoV-2による感染症の症状がない被験者を対象に、カシリビマブ及びイムデビマブを併用で皮下投与した海外第III相試験(COV-2069試験)が実施されました。ベースラインのPCRの結果によるコホートが設定され、陰性の場合はコホートA、陽性の場合はコホートBとされました。その結果、主要評価項目である無作為化後29日目までにSARS-CoV-2による感染症の症状が認められ、かつ、症状発現がPCR陽性となった検体採取日から14日以内である被験者の割合は、PCR陰性のコホートAにおいて、カシリビマブ及びイムデビマブ併用投与群で1.5%、プラセボ群で7.8%、PCR陽性のコホートBにおいて、カシリビマブ及びイムデミマブ併用投与群で29.0%、プラセボ群で42.3%であり、いずれのコホートにおいても、カシリビマブ及びイムデビマブ併用投与群は、プラセボ群との比較において統計学的に有意な差が認められております。各コホートの結果から、SARS-CoV-2による感染症と濃厚接触した未感染者及び無症候性のSARS-CoV-2感染者に対する発症抑制効果が示されたと判断しました。
 また、本試験に日本人は組み入れられていないものの、SARS-CoV-2による感染症の症状や濃厚接触者におけるSARS-CoV-2による感染症の発症率に国内外で大きな違いはないと考えられ、日本人と外国人の間でPKに明らかな差異が認められていないこと、カシリビマブ及びイムデビマブが外来性因子に対する抗体製剤であること等を踏まえると、日本人において一定の有効性は期待できると判断しました。
 変異株の影響について、同じページの最後の段落、「SARS-CoV-2の変異株の影響について」から始まる文章を御覧ください。海外第III相試験(COV-2069試験)の実施時期に実施国で認められた主なSARS-CoV-2は、野性株、アルファ株、イプシロン株でした。また、現在の本邦における主なSARS-CoV-2の流行株であるデルタ株を含めた主な変異株について、in vitroにおける検討において、カシリビマブ及びイムデビマブ併用の中和活性の低下は確認されておりません。変異株に対する有効性については、引き続き情報を収集し、新たな知見が得られた場合には速やかに医療現場に情報提供する必要があると考えます。
 安全性について、次のページ、通し番号23/32の表17を御覧ください。海外第III相試験(COV-2069試験)における安全性の概要を示しております。プラセボ群と比較して、カシリビマブ及びイムデビマブ併用投与群において発現割合が高い傾向は認められず、重篤な有害事象及び死亡に至った有害事象はいずれも治験薬との因果関係は否定されたこと等を踏まえ、カシリビマブ及びイムデビマブ併用皮下投与時の安全性プロファイルは許容可能と判断しました。ただし、日本人に対して本剤を皮下投与した経験は限られていることから、引き続き情報収集し、医療現場に適切に情報提供する必要があると考えます。
 次に、本剤の臨床的位置付けについて、通し番号25/32の下方の「機構は」から始まる段落を御覧ください。本剤は、SARS-CoV-2感染者と濃厚接触した未感染者及び無症候性のSARS-CoV-2感染者の発症抑制における新たな選択肢となると考えます。ただし、感染症の予防はワクチン接種が基本であること、本邦においてSARS-CoV-2による感染症に対するワクチンが複数承認されており、比較的高い予防効果が示されていること、ワクチン接種歴を有する者においてワクチン接種の効果が期待できる場合には、海外第III相試験(COV-2069試験)において得られた有効性の結果が得られるかは不明であることを踏まえると、本剤による発症抑制はワクチンの代替となるものではなく、ワクチン接種歴を有しない者又はワクチン接種歴を有する場合でワクチンの効果が不十分と考えられる者における発症抑制の選択肢となると考えます。したがって、本剤投与の適否については、ワクチン接種歴やワクチンの効果に影響する基礎疾患の有無等により慎重に検討し、個別に判断される必要があると考えます。
 また、申請者は、本剤の流通量が限られていることも勘案すると、投与の必要性が高い者に本剤を遅滞なく投与できる状況とすることなどの観点から、本剤の投与対象を重症化リスク因子を有する者とする旨を説明しており、重症化リスク因子を有する場合では、有しない場合と比較して、入院後に重症化する割合が高い傾向にあるとされていることなどを踏まえると、申請者の考えは理解可能であると考えます。なお、本剤の投与対象については、学会のガイドライン等も活用しつつ、臨床における混乱を避けるための適切な情報提供等の方策が取られる必要があると考えます。
 続きまして、通し番号26/32の7.R.5を御覧ください。本剤の投与経路について御説明いたします。SARS-CoV-2による感染症の発症抑制に係る有効性及び安全性を検討した海外第III相試験(COV-2069試験)の投与経路は皮下投与でしたが、本剤の静脈内投与では、皮下投与よりも血清中薬物濃度が上回ることなどを踏まえ、皮下投与に加えて、静脈内投与を用法とすることは可能と判断しました。また、SARS-CoV-2による感染症に対する投与経路として静脈内投与が承認されておりますが、血清中薬物濃度などの検討を踏まえ、患者の状態等によりやむを得ない場合に皮下投与を行うことは許容可能と判断いたしました。
 最後に、通し番号29/32を御覧ください。以上の審査を踏まえ、機構は、ここに記載した承認条件を付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品目は、新投与経路医薬品及び新効能医薬品としての申請であるものの、既に付与されている再審査期間の残余期間が6年以上であることから、再審査期間は残余期間と設定することが適切と判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
○清田部会長 ありがとうございます。事務局から追加の御説明があるようです。
○事務局 事務局でございます。資料21を御覧ください。今回、本審議事項に関連して、日本感染症学会のガイドライン案という資料を事前に配布しております。今回の審議事項、ロナプリーブの発症抑制については、臨床成績や海外の使用状況等に基づいて効能・効果等、添付文書の記載によって投与対象は明確化しているところです。ただ、添付文書における投与対象のみでは、臨床現場で必ずしも具体的ではないところがあるということと、現時点において本剤の流通量も限られているといったことを勘案して、投与対象の明確化という観点で、日本感染症学会の皆様にガイドラインの案を作成いただいたところです。
 現在の案を、資料21において御紹介しております。まず、四角枠の中です。これは添付文書の記載を抜粋したものですが、1)としては、予防の基本はワクチンであるということと、2)として、添付文書の効能・効果に関連する注意を抜粋して、マル1~マル3に該当する方が投与対象とされているということで、ここまでが添付文書の記載です。
 このうち、マル1の濃厚接触者がどういった方かということと、マル3のワクチン接種歴を有する場合でもその効果が不十分と考えられる方について、ガイドラインの案の中で明確化していただいている状況です。
 まず、濃厚接触者についてですが、3行目の「特に」の所に記載しています。「濃厚接触者としては、同居家族、共同生活者に加え、高齢者施設や医療機関(特に免疫抑制薬を多く使用する診療科)などにおいてクラスターが発生した場合など」において、この「中和抗体薬を投与する意義が大きいと考えられる」という記載ぶりとなっております。
 また、ワクチン接種歴を有する場合でもその効果が不十分と考えられる方については、中和抗体薬の特性に鑑みると、免疫抑制状態、例示として、悪性腫瘍治療中、骨髄又は臓器移植後、原発性免疫不然症候群といった、ここに例示のある方に対して、中和抗体薬を投与する意義が大きいと考えられるといった案になっております。以上でございます。
○清田部会長 それでは、冒頭にも申し上げたように、この開発試験にも関係されている大曲先生から御意見を承りたいと思います。
○大曲委員 御説明いただいたことで、もうほとんど尽くされていると思って伺っておりました。やはりワクチンが先にくるべき話だと私も当然思います。ただ、いろいろな事情があって受けられない、あるいはワクチンを打ったとしても十分な、抗体だけでコロナウイルスに対する免疫が構築されるわけではないのですが、さはさりながら、十分な抗体のマウントができない方はいらっしゃって、それが原因で重症化するリスクがある方がいらっしゃるのは現実であります。
 そういう方々に対する対応ということで、御提示いただいたような形で対象者を決めて投与するということは、現場の実際の感染防止対策上も、現場の患者さん一人一人の対策上も重要だと思っております。以上でございます。
○清田部会長 ありがとうございます。委員の皆様からの御質問を承りたいと思います。宗林先生、どうぞ。
○宗林委員 質問等で2点ほどございます。添付文書もそうですし、最初の所でもそうなのですが、効能又は効果の欄に「SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制」と書いてあるのですが、この意味は感染予防という意味なのでしょうか。内容を見ますと、濃厚接触者はいろいろな要件を満たせば、陽性でなくても使っていいということになっていますが、これは感染予防にも効果があるという意味を含んでいるのでしょうか。そういう意味で、効能又は効果の所の言葉が分かりにくいと思っています。これが1点です。
 もう一つは、約1か月までしか、有効性を裏付けるデータは得られていないということで、7.4の所に注意が書かれていますが、それを過ぎたら、例えば2回目の投与とか、そういうものに対しての有効性はあるのだと思いますが、1か月後のデータを見ると、抗体価は少しありますので、2回目の投与という辺りは想定されているのかいないのか、教えてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 機構です。まず、1点目のSARS-CoV-2による感染症の発症抑制という言葉はどういうことなのかという御質問でしたが、今回の海外の第III相試験においては、感染しやすい状況にある被験者に対して本薬の投与が行われ、その被験者で発症をしたかどうか、PCR陽性かつSARS-CoV-2による感染症の症状が出た被験者の割合がどうであったかということを確認しております。
 今回の投与対象については、濃厚接触者、それから既にSARS-CoV-2が陽性となった方たちを対象に、発症を抑制するということが示されておりますので、そういった意味で、効能又は効果は、「その発症抑制」というように記載させていただいております。
○宗林委員 私は、単純に、「SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制」という意味が、「及び」とつないでいるのですが、「感染症予防及びその発症抑制」という意味なのですかというようにお聞きしたかったのです。この文章を見ますと、全部が「発症抑制」に掛かっているのか分かりにくかったのです。
○医薬品医療機器総合機構 大変分かりづらくて申し訳ないのですが、効能又は効果はSARS-CoV-2による感染症の治療とその発症抑制とするのが分かりやすいのかと思いますが、初回の承認の際に、効能・効果として「SARS-CoV-2による感染症」としておりましたので、今回はそれに発症抑制が追加されたということで、こういった表現になっているところです。
○宗林委員 そうしますと、予防という意味は、濃厚接触者でも陽性か陰性かを確認しなくても使えるようにはなっていますが、感染予防ということですね。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘のとおり、一般的には予防と言われるような概念に該当するものも含まれていると考えておりますが、審査管理課で補足があればお願いします。
○医薬品審査管理課長 宗林先生が御指摘のとおり、今回のものについては、まずは濃厚接触者であって、その中でPCR陰性あるいは陽性の方の発症を抑えていくというのが現実です。ですから、それをどう表現するかということになります。PCRが陰性の人に対して発症を抑制したら、狭い意味では予防だと思います。ただ、正確に言うと、それは曝露後の予防なのでしょうけれども、発症を抑制しているとも言えると。もう一方は、濃厚接触者であってPCRが陽性であった人も、そういった者に対して発症を抑制しているということを表現するとすれば、今回の表現がいいのだろうと。
 更に申し上げれば、家庭内で濃厚接触していない、濃厚接触ではない人に対して、曝露していない人に対しての予防効果があるのかないのかについてはデータが出ておりませんから、そういう意味では、SARS-CoV-2の感染症予防というのを広い意味でうたうのは適切ではないだろうと。そういったようなこともあって、今回のような表現になっていると御理解ください。
 ですから、予防というと、非常に広く捉えられる可能性もありますから、今回使うべき、狭い意味では予防的な使い方の部分はあるのですが、対象患者がどうなのかということについては、今回の添付文書にも書きましたし、更に申し上げれば、学会のガイドラインの方で更に使うべき対象を絞ったということですので、広い意味での予防、ワクチンのような予防といったところまでは示されていないということもあって、このような表現になっています。そのように御理解いただいたほうが分かりやすいかと思います。
○宗林委員 大変よく分かりました。それでは、2点目の2回目投与の安全性の辺りについても教えてください。
○医薬品医療機器総合機構 今回の臨床試験は、濃厚接触者を対象に行われた試験で、おおよそ30日間でその発症抑制効果がどのくらい得られたかということを確認しておりまして、基本的にはそういった状況になったときに投与されるものと思いますので、連続して投与するというところは想定はしておりませんでした。
○宗林委員 添付文書の警告の所に、「本剤はワクチンに置き換わるものではない」というように書いてありますが、例えば30日以降の有効性はないということを警告の所に出したり、使い方がもう少し明確に分かるように、高価なので安易には使えないとは思いますけれども、警告とかいろいろな所で、感染症学会のガイドラインの案も出ていますが、使い方が限定されるという意味では、警告の所にその辺りについて、何日以内、28日とか29日以内とか、2回目というのは想定されていないというようなことを書くほうがいいのかと思ったのでお聞きしたまでです。限定的なところをどれだけ縛るのかということだと思いますが。
○医薬品医療機器総合機構 今回、警告に「ワクチンに置き換わるものではない」というように記載させていただきましたのは、本剤が30日間で臨床試験が実施されたからということではなくて、感染症の予防においてワクチンは抗体産生のみならず、細胞性免疫といったところに対しても機序としてあるので、役割として置き換わるものではないために、警告にこういった記載をさせていただいているところです。
○清田部会長 非常に分かりづらいのですが、家族がコロナにかかって濃厚接触者になった場合、これは打つという、PCRで陰性でも打っても構わないということです。ただ、ワクチンを打っていない場合ですね。
○宗林委員 そうですね。
○清田部会長 それでは、30日たって、本人は予防できたのだけれども、別の家族がコロナになってしまったといった場合、これをもう一回打つのかという話ですね。
○宗林委員 はい。
○清田部会長 それは、30日以後だと、そのときの判断で、またPCRが陰性でも打ってもいいのかというところが、宗林先生の御質問なのではないかと思いました。違いますか。
○宗林委員 そうです。30日までのデータは1回しかないので、2回目以降の確認のデータ全てにおいてこの中には入っていないので、1回しか検証されていないというように思うのですが。
○清田部会長 これはデータ不足でしょうね。ですから、それにお答えできるデータがないのではないかと思っているのですが。
○宗林委員 取りあえず1回打つということがきちんと分かるように書いておいたほうが、良いのではと思いました。
○清田部会長 それは分からないですね。
○宗林委員 そういう意味で疑問に思ったし、現場では分かりやすく書かれたほうがいいかと思っただけです。
○清田部会長 大曲先生、助けてください。
○大曲委員 例えば現場判断でどうするかということを例に申し上げますので、参考にしていただければと思います。我々としては、こういう状況がきたときには、確かにケースバイケースの判断になろうかと思います。ただ、諸々の事情を考慮して最終的に投与したほうがいいとなったときに、それが妨げられないような書きぶりになっていれば大変助かります。
 基本的には投与に関しては、書かれているからといって、30日を超えて曝露したとしてもどんどん投与するというような現場判断には、そうそうはならないと思うのですが、いろいろなことを考慮したときに、投与することに関して妨げられないという書きぶりになっていれば、現場は動くのではなかろうかと思いました。判断の参考になればと思います。
○宗林委員 大曲先生、ありがとうございました。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はございますか。
○宮川委員 教えていただきたいことがあります。9/32ページのADAのことなのですが、抗薬剤抗体ということなのですが、それぞれの成分について数%ぐらいを認めております。抗カシリビマブ抗体に関しては1.8%、17/960例ということで、抗イムデビマブ抗体は2.5%、24/957例と書いてあるわけですが、2剤とも抗体が発現した患者さんは実際には何%いるのかは書いていないのです。そういうものがあるのかどうか、そして、それが何人いて、何%いたのかどうか、また、この患者さんの投与後の経過とか起点について、何か示唆するようなことがあるのかどうか、こういうものが存在していれば、必ずそのようになるのだろうと思うのですが、それについて教えていただきたいと思います。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 データが提出されているかを確認いたしますので、少しお時間を頂いてもよろしいでしょうか。
○清田部会長 分かりました。
○宮川委員 調べている間に別な話なのですが、厚労省にもお聞きしたいのですが、皮下投与の場合の使用方法が添付文書にも書いてあるのですが、実際に4本のシリンジを別々の部位に皮下注していくという場合、皮下の場合には2.5mLのバイアルが使用しやすいというように考えていけばいいのかと思うのですが、静注の場合は、現場では11.1mLのバイアルで2人分というのは非常に無駄になりやすいという根強い意見があって、今後の製剤の追加の予定があるのか、海外では1人分のバイアルでリジェネロンが実際に取り扱っているわけですが、日本の場合にそういう可能性があるのかどうかについて、概略でいいのですが、何かサジェスションがあれば教えていただきたいと思います。
○事務局 ○○○○ということです。
○宮川委員 分かりました。
○医薬品医療機器総合機構 お時間を頂いていまして申し訳ありませんが、すぐには調べられないので、差し支えなければ、部会後に先生に御連絡するという形を取らせていただいてもよろしいでしょうか。
○宮川委員 すみません、お手数をお掛けします。大きな問題ではなく、ちょっと知りたかったものですから、よろしくお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。
○宮川委員 意地悪などではなくて、治療をしたときに、それがどういう転帰を取るのかというのは、そういうのがあるのかどうかということが心配だったものですから、よろしくお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 承知いたしました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。田島先生、どうぞ。
○田島委員 添付文書の投与対象の二つ目に、「原則として、SARS-CoV-2による感染症の重症化リスク因子を有する者」とありますが、この原則に当たらない例外として想定されているのは、どういう場合でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。今回、添付文書上は「原則として」という言葉を付けた理由としては、冒頭に御説明もいたしましたが、臨床試験では重症化リスク因子の有無に限らず、全体集団で有効性が認められているところではありますが、本剤の供給状況等も踏まえて記載したということがありまして、「原則として」という記載をさせていただいております。お答えになっていますでしょうか。
○田島委員 「原則として」と書かれているということは、例外の場合が想定されているということになり、重症化リスク因子を有しない者に対しても打てるという理解をされると思うのですが、そういう趣旨ではないのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の記載としては、御指摘のとおり、重症化リスク因子を有しない者でも投与が可能な記載になっていると考えます。
○田島委員 そうしますと、それがどのような場合かが不明確で、無限定に使われることになるリスクがあると思いますが、ガイドラインで例外の場合を分かりやすく規定しておく必要があるように思うのですけども、いかがでしょうか。
○事務局 事務局でございます。資料No.21で御紹介している日本感染症学会のガイドラインにおいて、「ワクチン接種歴を有する場合でその効果が不十分と考える者」に対する明確化として、免疫抑制状態が例示されております。この免疫抑制状態については、正に重症化リスク因子の一つでもありますので、基本的にはガイドラインに従って、重症化リスク因子のある方、免疫抑制状態の方に対して、本適用については使用されるものと想定しております。
○田島委員 今の御説明の対象者は「重症化リスク因子を有する者」に含まれるということであれば、例外を表すことにはならないと思いますが、いかがでしょうか。
○事務局 資料No.21の四角枠の中のマル1マル2マル3を御覧ください。ここでは、全てを満たす場合が今回の投与対象となっておりますので、マル3を満たさなければ、マル2の例外に当たったとしても投与することはできないという構造にはなっております。
○田島委員 そうしますと、マル2で「原則として」と入れる意味がないと思うのですが。
○清田部会長 確かに。
○事務局 添付文書においては、臨床試験の成績なども踏まえて、「原則として」という言葉が入っておりますが、その上でガイドラインで示された方が、現実には当面の投与対象と想定されまして、そういった方については免疫抑制状態、重症化リスク因子を有する方に限定されるだろうと考えております。
○清田部会長 田島先生、これは日本感染症学会のガイドラインの案ですから、今の御意見を日本感染症学会に投げてもらって、ここの表現を検討していただくということは可能だと思います。いかがでしょうか。
○田島委員 是非そうしていただきたいですし、紛らわしさを回避するためには、「原則として」を外していただくのがよいのではないかと思っております。
○清田部会長 では、厚労省から、四柳先生にそのことをお伝えするように、私からお願いを。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験成績を踏まえますと、必ずしも重症化リスク因子を有する者に限定する必要はないと考えておりますので、必要な場合には重症化リスク因子を有しない者でも使えるような記載として、添付文書上は書かせていただいて、その詳細についてはガイドラインを参照いただくという形を取ることが望ましいと考えているのですが、いかがでしょうか。
○清田部会長 ここら辺はとても曖昧な部分もあるのではないかと私は理解していますが。
○医薬品審査管理課長 田島先生、ありがとうございます。考え方としては、今機構がお話したとおり、添付文書においては、今回のデータからどういった患者さんに投与するべきかということと、かつ将来的な患者さんにも使えるような形で書くべきではないかという考え方で添付文書は作っております。
 一方で、さはさりながら、現在のいろいろな供給等の状況に鑑みますと、今回、感染症学会にガイドラインを作っていただいて、本来必要な方に適切に投与できるような形で縛っていくというような対応をさせていただいております。
 したがって、結果としては不必要な方に投与されないようにするというのは、当面はガイドラインの方で対応する形で、現時点で投与対象患者を縛ることはできていると考えておりますので、そういった形での対応を許容していただければ有り難いかと思っております。
○宮川委員 田島先生、ありがとうございます。私は日本医師会の宮川と申します。いろいろな言葉の使い方を厳格に教えていただきまして大変助かります。
 大曲先生も私も実際にコロナの患者をたくさん診ておりますが、そうしますと、例えば濃厚接触者という言葉も日々刻々と変わっています。どのような患者を実臨床の場で濃厚接触者として見ていくのか。私たちが、コロナの患者を診察し始めた頃と、非常に流行が多くて何千人も出ているというようなとき、それから今のように少し落ち着いているときと、濃厚接触者というものの概念や取扱いも日々変わっているということがあります。
 それから、重症化リスクというものも、これからいろいろな研究が進んでいくと、どのような患者さんを重症化リスクの因子の中に入れ込んで、今後適切な治療を行っていくのかということに関しても、その重症化リスク因子がこれからの知見の中で増えていくか、それから、これはそういう問題ではないだろうから、これは余り考えなくてもよいのではないかというようなことを教えていただければ幸いです。これから知見がどんどん集まってくるという形になるので、これは一つの定まった言葉の範疇ではなくて、実臨床の中で刻々と変わっていく概念が、この濃厚接触者という範囲であるでしょうし、重症化リスク因子というものに入る患者であろうかと思います。大曲先生、それはそのように考えてよろしいでしょうか。
○大曲委員 ありがとうございます。全くそのとおりだと思って伺っておりました。私も具体例があるかと思って考えていました。例えば濃厚接触者で、かつリスクのない方で投与するような機会があるのかと考えていたのですが、私が思い付いたのは、その人が医療機関で欠くべからざる立場にいて、その人しか専門技能を持っていない、その人が欠けてしまうと医療全体が病院自体で回らなくなるという方が濃厚接触をして、休んでもらっても困るという方がいらしたとして、そういう方々に投与するというぐらいは思い付いたのですが、それぐらいかと思いました。ただ、今の現状の医療の状況からすると、そこまでして対応しなければいけないという状況ではないというのが通念なのかと思っています。
 むしろ、今は本当に生命の危険にさらされる方、重症化する方をどうするかということは、社会の在り方としては優先されるべきだと思いますし、そういう方々がどうなのか、具体的にはどういう方々なのかということを、今の状況で定義していくことが優先されるのかと思っています。そういう意味で、学会の定義というものは大事なのかと思います。
 この書きぶりをどうするかという意味ではどうかと思って、要は「原則として」という言葉を外すべきかどうかというのは、私は立場上は言うべきではないのかもしれませんが、ただ、考えていけば、先ほどのような事例が全く想定されないわけではないので、社会情勢が変わったときに必要となる可能性はゼロではないというのが、今、頭の体操をして思いましたので、私個人としては残しておいていただいたほうがいいのではないかと思いました。ただし、今の社会状況、先生に御指摘いただいたように、変化する中で何が求められているのかというところを、そのときどきでちゃんと定義して優先される方を決めているという形であれば運用できるのかと思いました。
○宮川委員 大曲先生、ありがとうございました。
○清田部会長 田島先生、いかがでしょうか。
○田島委員 今の大曲先生の御説明を伺った限りでは、「原則として」というのは外しても支障がないように思いますし、私も濃厚接触者の定義、あるいは重症化リスク因子を有する者の定義が変遷することについては全く異論はございませんので、そこでの対応ができるのであれば、この「原則として」という言葉は必要ないと思っております。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。横幕先生、どうぞ。
○横幕委員 先ほど、資料21の件で感染症学会にお問い合わせいただけるということがありましたのでお尋ねします。適応にSARS-CoV-2による感染症のワクチン接種歴を有しない者又はワクチン接種歴を有する場合でその効果が不十分と考えられる者という中に免疫抑制状態の方があって、その具体例の中にAIDSとあります。AIDSの言葉の定義付けはしていただきたいと、感染症学会にお願いしたいと思います。今COVID-19診断時点でAIDSの状態のみを指すのでしょうか。診療現場では過去に発症した人についてもずっとAIDSの病名は付いてきます。一旦AIDSを発症した方であれば、完全には免疫が戻らないとして適応になるとして、この書き込みをしていただいたのでしょうか。適切に薬剤が使用されるように言葉の定義付けをしっかりとお願いできればと思います。
○清田部会長 分かりました。これは感染症学会のガイドラインに対する御質問ですので、感染症学会に先生の御意見をお伝えするということで。
○横幕委員 定義いただくのはいいのですが、定義いただくのだったら、しっかりやっていただけると、現場の混乱はないと思います。
○清田部会長 了解しました。話がややこしくて、添付文書とガイドラインとが錯綜しているのですが、ガイドラインの方は日本感染症学会の作成したガイドラインでして、ここで審議する参考資料として提出させていただいて、このガイドラインについての可否を問うものではないのです。ですから、ここは感染症学会にその御意見をお伝えして、注釈を付けてもらうなりしたいと思います。
○医薬品審査管理課長 一つの提案として、添付文書については、先ほど大曲先生からもありましたが、将来的ないろいろな状況変化等を考えますと、「原則として」というのは残しておくべきだろうと考えております。一方で、当面、今の状態下で、どういう人が対象なのかを示しているのが学会の作るガイドラインであるという位置付けで考えておりますので、それを感染症学会の御協力が頂けるのであれば、今の資料No.21に示しているような中に、例えば注釈なり何かを付けて、当面は重症化リスク因子を有する者に限定するといったような運用をお願いする。そういったことを明記していただくというやり方があるのではないかというのが、先ほど来の議論の流れかと認識しております。いかがですか。
○田島委員 私もそのように考えております。
○清田部会長 大曲先生、それでよろしいですか。
○大曲委員 よく分かりました。賛成でございます。
○島田委員 島田です。添付文書と感染症学会のガイドラインで、ガイドラインの方にいろいろ詳しく書いていただいて、「効果が不十分と考えられる者」の中に重症な疾患、免疫抑制状態にある患者のことを言っているのですが、効果が不十分になってくるのは、かなり抗体がなくなりつつある、つまり1年ぐらいたってしまった場合、最初のワクチンからはもうすぐそうなるわけです。ワクチン接種はそれでもあるので、そういうような方は、「原則として」というのを入れておいていただかないと、そういう方にも打つべきだと思うし、先ほど大曲先生がおっしゃったような、医療従事者で非常に重要な方とか、その他でもそういうような方には打つべきだと思うので、「原則として」というのは入っていたほうが使いやすいのではないかと思います。全部取ってしまうと、これがないから打てないのではないかという議論が生じやすいので、そういう意味で賢い書き方になるかと思っています。だから、入れるべきだと思っているのです。
○清田部会長 田島先生、この辺りでよろしいでしょうか。
○田島委員 はい、結構です。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はございますか。よろしいですか。
 それでは、議決に入りたいと思います。なお、大曲委員におかれましては、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。亀田委員、濱委員、南委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている松下委員をお呼びください。
── 松下委員入室 ──
○清田部会長 続きまして、報告事項に移ります。報告事項の議題1~議題9及びその他事項の議題1について、事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。順に御説明させていただきます。報告事項の議題1、資料No.8、医薬品ロイコボリン錠5mgの製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤は抗葉酸代謝拮抗剤であるホリナートカルシウムを有効成分とする解毒剤であり、現在はメトトレキサート投与時における用法・用量が承認されております。今般、ファイザー株式会社から、プララトレキサートとの併用投与に関する用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、議題2、資料No.9、医薬品キイトルーダ点滴静注100mgの製造販売承認事項一部変更承認について、それから議題6、資料No.13、医薬品5-FU注の製造販売承認事項一部変更承認についてに関して、両品目を併用して投与されることから併せて御報告いたします。
 キイトルーダはPT-1に対するモノクローナル抗体であるペムブロリズマブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は複数の癌腫に対して承認されております。今般、MSD株式会社から、根治切除不能な進行・再発の食道癌の効能・効果及び用法・用量を追加する一部変更承認の申請がなされました。また、キイトルーダと併用する5-FUにつきましても、協和キリン株式会社から、他の抗悪性腫瘍剤との併用投与における食道癌の効能追加に関する一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、以上の2品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 また、今回の承認と併せまして、キイトルーダの食道癌に係る最適使用推進ガイドラインにつきましても、資料17-1のとおり改正する予定となっておりますので、併せて御報告いたします。
 続きまして、議題3、資料No.10、医薬品オプジーボ点滴静注20mg他の一部変更承認について御報告いたします。本剤はPD-1に対するモノクローナル抗体であるニボルマブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は複数の癌腫に対して承認されております。今般、小野薬品工業株式会社から、化学療法歴のない治癒切除不能な進行・再発の胃癌及び食道癌における術後補助療法の効能追加に関する一部変更承認の申請がなされました。
 機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。また、オプジーボにつきましても、今回の承認と併せまして、胃癌と食道癌に係る最適使用推進ガイドラインについて改正を予定しております。資料No.17-2のとおり改正する予定となっておりますので、併せて御報告をさせていただきます。
 続きまして、議題4、資料No.11、医薬品ローブレナ錠の製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。本剤は未分化リンパ腫キナーゼ、ALKを阻害するロルラチニブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は、ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果として承認されております。今般、ファイザー株式会社から、化学療法歴のないALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を追加する申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 また、資料11の審査報告書の31分の19ページを御確認いただければと思いますが、本剤は、初回承認時に条件付き早期承認制度が適用されており、7.R.6.2に記載の承認条件が、本剤の適正使用に当たって必要な条件として付されておりました。本申請において実施状況等を確認いたしまして、当該条件の下、製造販売後に新たに注意喚起を要する情報は認められていないということ、また、検証的試験の成績が提出され、有効性・安全性に関する情報が医療現場に提供されることを踏まえますと、こちらの条件につきましては対応されたものと判断いたしました。
 続きまして、議題5、資料No.12、医薬品サークリサ点滴静注の一部変更承認について御報告いたします。本剤は、ヒトCD38を標的とするモノクローナル抗体であるイサツキシマブを有効成分とする抗悪性腫瘍剤であり、現在は再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能・効果で、ポマリドミド及びデキサメタゾンとの併用投与に係る用法・用量が承認されております。今般、サノフィ株式会社から、カルフィルゾミブ及びデキサメタゾンとの併用投与、デキサメタゾンとの併用投与及び単独投与に係る用法・用量を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断いたしました。
 続きまして、議題7、資料14-1、医療用医薬品の承認条件について御説明いたします。資料14-1の2ページを御覧ください。カイプロリス点滴静注用は、平成28年7月4日に本剤、レナリドミド水和物及びデキサメタゾン併用投与の用法・用量で製造販売承認され、その後、平成29年5月18日に本剤及びデキサメタゾン併用投与における本剤の週2回投与に係る用法・用量の追加がされております。いずれも再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能・効果で承認され、その際、全例調査に係る承認条件が付されております。この度、小野薬品工業株式会社から、承認条件に基づいて実施された全例調査の報告書が提出され、機構における評価の結果、承認条件は対応されたものと判断しております。
 続きまして、資料14-2を御覧ください。ロナプリーブ点滴静注につきましては、本年7月19日に特例承認されましたが、その際、資料1ページの下部から記載の三つの承認条件が付されております。このうち、三つ目の承認条件につきましては、当時、承認時点では提出が猶予されていた資料について、期限を付して事後的な提出を求める条件となっておりますが、今般、この条件に従って資料が提出され、機構における評価の結果、承認時における評価結果に変更はないということが確認されたものです。併せまして、資料の提出が猶予されていたことによって付されていた二つ目の承認条件につきましても今回解除することが適当と判断しております。
 続きまして、議題8、資料15、優先審査指定品目の審査結果について御説明いたします。資料15の1ページを御覧ください。対象品目はオプジーボ点滴静注及びヤーボイ点滴静注液、申請者は小野薬品工業株式会社及びブリストル・マイヤーズスクイブ株式会社です。これらの品目については、令和3年9月14日に根治切除不能な進行・再発の食道癌に係る効能・効果で承認申請がなされておりますが、その際、優先審査の希望がございました。
 優先審査の該当性について、10分の8ページを御覧ください。適応疾患の重篤性につきましては、適応疾患の全生存期間等から、「生命に重大な影響がある疾患」に該当すると判断されております。
 次に、医療上の有用性について、ニボルマブとイピリムマブの併用投与及びニボルマブと化学療法の併用投与の有効性について、化学療法歴のない根治切除不能な進行・再発の食道癌患者に対して、既存の治療法である化学療法群と比較して、OSの有意な延長が認められ、また、安全性については、現時点で得られている情報を踏まえると忍容可能と判断されております。以上より、ニボルマブ、イピリムマブの医療上の有用性は高く、要件に該当すると判断され、優先審査品目に該当すると判断いたしました。
 続きまして、議題9、資料No.16-1及び16-2、医療用医薬品の再審査結果について御報告いたします。今回、御報告する品目は、資料No.16-1としてヒュミラ皮下注の非感染性の中間部、後部又は汎ぶどう膜炎に係るもの、また、資料No.16-2としてアネメトロ点滴静注液です。これらの品目につきまして、製造販売後調査等に基づいて再審査申請が行われ、機構における審査の結果、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判断いたしました。以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問等がございましたら承ります。よろしいでしょうか。それでは、報告事項の議題1~9及びその他事項の議題1の一部につきましては御確認いただいたものといたします。
 続いて、その他事項に移ります。その他事項議題1につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項としまして、最適使用推進ガイドラインの対象となる医薬品の選定について御報告いたします。資料No.17-3と17-4を御覧ください。資料No.17-3としまして、品目はキイトルーダ点滴静注ですが、効能・効果の下線の引いてある子宮体癌について新たな申請がされておりますので、こちらについて最適使用推進ガイドラインの対象とさせていただければと思っております。
 また、資料No.17-4につきましては、オプジーボ点滴静注に係るものですが、こちらは原発不明癌について申請が行われており、これについて最適使用推進ガイドラインの対象とさせていただければと思っております。以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問等がございましたら承りたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、その他事項議題1につきましては御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告がございますでしょうか。
○事務局 次回の部会は、11月10日水曜日の午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 本日は、これで終了とさせていただきます。お疲れさまでした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)