2021年9月6日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録

日時

令和3年9月6日(月)18:00~

出席者

出席委員(20名)五十音順
(注)◎部会長 ○部会長代理
 
欠席委員(1名)

行政機関出席者
  •  鎌田光明(医薬・生活衛生局長)
  •  山本史(大臣官房審議官)
  •  吉田易範(医薬品審査管理課長)
  •  新井洋由(独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事・審査センター長事務取扱)
  •  池田三恵(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監) 他

議事

○医薬品審査管理課長 定刻になりましたので、ただいまから、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会のWeb会議を開催させていただきます。本日は、お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。この度の医薬品部会についても、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、Webでの審議とさせていただきます。
 本日のWeb会議における委員の出席状況ですが、小崎委員より御欠席との御連絡をいただいております。本日ですが、そのほか、浦野委員からも遅れて御参加との御連絡をいただいておりますので、現在のところ、当部会委員数21名のうち、19名の委員がこのWeb会議に御出席いただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。
 部会を開始する前に、事務局より所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告させていただきます。薬事分科会規程第11条においては、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には、辞任しなければならない」と規定されております。今回、全ての委員の皆様から、薬事分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、御報告させていただきます。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいており、御負担をお掛けしておりますが、引き続き御理解、御協力を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。
 また、本日のWeb会議に際しても、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、説明者においてはマスクを着用したまま説明させていただきますので、御了承いただければと思います。
 続きまして、本日の議題の公開、非公開の取扱いについて御説明いたします。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1については会議を公開で行い、議題2以降の議題については医療用医薬品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれているため、非公開といたします。
 これより議事に入りますので、カメラ撮り等ございましたら、ここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願いいたします。
 審議事項の議題1は、資料No.1を用いますので、お手元に御用意をお願いします。なお、システムの動作不良などがありましたら、会議の途中でも結構ですので事務局までお申し付けください。
 それでは、清田部会長、以後の進行をお願いいたします。
○清田部会長 部会長の清田でございます。皆様、こんばんは。本日もよろしくお願いいたします。今の事務局からの御説明に特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、審議事項、議題1に入ります。議題1について、事務局から概要を御説明いただきます。よろしくお願いいたします。
○事務局 事務局です。審議事項、議題1、生物学的製剤基準の一部変更について、御説明させていただきます。
 資料No.1の1ページを御覧ください。この度の生物学的製剤基準の一部変更は、各種血液製剤に規定されております異常毒性否定試験を削除するものです。異常毒性否定試験ですが、生物学的製剤基準の一般試験法に定められている試験法で、モルモットの腹腔内に投与して、体重減少やその他の異常がないことを確認する試験です。歴史的に、ワクチンや血液製剤等の、いわゆる生物学的製剤に対して実施されてきた試験ですが、近年は、生物学的製剤の製造管理や品質管理方法の向上に伴いまして、こういった試験を行わずとも、製品の品質を確保することが可能になってきている状況です。それに加えて、動物愛護の観点等もありまして、世界的にもこういった動物試験は廃止の流れとなっています。
 既に、血液製剤に対する国家検定においては、2005年に異常毒性否定試験を検定項目から廃止しております。さらに、それ以降、各製造メーカーが実施している異常毒性否定試験の自家試験の成績、これを国立感染症研究所において精査した結果、血液製剤については、今後、異常毒性否定試験を実施しなくても製剤の品質には問題はないと判断されたことから、この度、生物学的製剤基準の全ての血液製剤から異常毒性否定試験を削除することとなっております。
 その報告書が国立感染症研究所から提出されておりまして、その報告書の3ページ、別紙1に、今回、異常毒性否定試験を削除する血液製剤の一覧を示しております。
 本議題については、2名の委員から事前のコメントを頂いております。御紹介させていただきます。渡辺委員からは、「血液製剤における異常毒性否定試験の生物学的製剤基準からの削除は非常に合理的である」とのコメントを頂いております。
 また、石井委員からは、「異常毒性否定試験の削除が血液製剤に限定されており、今回、ワクチンが対象に含まれていないのは、理由は何か」との御質問を頂いております。こちらについては、ワクチンに対する異常毒性否定試験についても、現在、国立感染症研究所において詳細な検討が進められております。今回、血液製剤について先に検討結果が得られたことから、まずは血液製剤に対する異常毒性否定試験の削除について御審議をお願いしておりますが、ワクチンについても、国立感染症研究所における検討結果が得られ次第、御審議をお願いしたいと考えております。以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、まず、御質問いただいた石井先生、いかがですか。
○石井委員 ありがとうございます。今の御説明で理解いたしました。ワクチンについても検討いただけているということで、引き続き、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、ございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、以後の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席くださいますようお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議等を開始いたします。
 それでは、準備が整いましたので、医薬品第二部会を再開いたします。事務局から資料の確認と、審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告をお願いいたします。
○事務局 本日の非公開案件に係る資料の確認をさせていただきます。あらかじめお送りさせていただいた資料のうち、資料No.2~資料No.17-2と製剤写真を用いますので、お手元に御用意いただけますでしょうか。このほか資料No.18として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」を、資料No.19として「専門委員リスト」、資料No.20として「競合品目・競合企業リスト」を事前に電子メールにてお送りさせていただいております。
 続きまして、本日のWeb会議における審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告させていただきます。資料No.20の1ページを御覧ください。まず「サイバインコ錠50mg他2規格」ですが、本品目は「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 2ページを御覧ください。「サフネロー点滴静注300mg」ですが、本品目は「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 3ページを御覧ください。「リツキサン点滴静注100mg他1規格」ですが、本品目は「全身性強皮症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 4ページを御覧ください。「タブネオスカプセル10mg」ですが、本品目は「顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 5ページを御覧ください。「ライアットⅯIBG-I131静注」ですが、本品目は「MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマ」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 6ページを御覧ください。「オプジーボ点滴静注20mg他3規格」ですが、本品目は「再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 7ページを御覧ください。「パドセブ点滴静注用30mg」ですが、本品目は「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 8ページを御覧ください。「メグルダーゼ静注用1000」ですが、本品目は「メトトレキサート・ロイコボリン救援療法によるメトトレキサート排泄遅延時の解毒」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから、競合品目はなしとしております。
 9ページを御覧ください。「エミシズマブ(遺伝子組換え)」ですが、本品目は「後天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 10ページを御覧ください。「イスラトラビル水和物」ですが、本品目は「HIV-1感染症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。
 以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの説明に、特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。それでは、本Web会議の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては、皆様の御了解をいただいたものといたします。
 それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいたします。
○事務局 薬事分科会審議参加規程第11条に基づく各委員からの申出状況及び第5条に基づく取扱いについては、次のとおりでございます。議題2「サイバインコ」、退室委員なし、議決に参加しない委員、亀田委員、川上部会長代理、中野委員、南委員です。議題3「サフネロー」、退室委員は亀田委員、議決に参加しない委員はなしです。議題4「リツキサン」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員です。議題5「タブネオスカプセル」、退室委員、議決に参加しない委員はともになしです。議題6「ライアットMIBG-I131静注」、退室委員なし、議決に参加しない委員は南委員です。議題7「オプジーボ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は川上部会長代理、松下委員、南委員、宮川委員です。議題8「パドセブ」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、中野委員、南委員です。議題9「メグルダーゼ」、退室委員、議決に参加しない委員はともになしです。議題10「エミシズマブ」、退室委員は松下委員、議決に参加しない委員は亀田委員、川上部会長代理、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員です。議題11「イスラトラビル」、退室委員なし、議決に参加しない委員は亀田委員、横幕委員です。また、議題12についても、各委員より寄附金・契約金等の受取りの申告を頂いておりますが、本議題は薬事分科会審議参加規程第18条の「個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議以外の審議」に該当しますので、部会後に厚生労働省のホームページ上で申告書を公開することをもって、審議及び議決に加わることができるものとなっております。以上でございます。
○清田部会長 今の事務局からの御説明で、特段の御意見はございますか。よろしいでしょうか。よろしければ、皆様に御確認いただいたものといたします。
 本日は、審議事項12議題、報告事項3議題、その他事項2議題となっております。それでは、審議事項の議題に移ります。議題2につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 御説明します。議題2、資料No.2、サイバインコ錠50mg、同錠100mg、同錠200mgの製造販売承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、各ページの下段に90分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるアブロシチニブは、ヤヌスキナーゼ(以降、JAKと略します)の阻害剤であり、今般、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に関する効能・効果で製造販売承認申請がなされました。本申請の専門委員として、資料No.19に記載しております10名の委員を指名いたしております。
 主な審査内容につきまして、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書の82ページ、「10 その他」に、有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。有効性につきまして、審査報告書48ページの表52を御覧ください。この表は、ステロイド外用剤などの外用剤治療で効果不十分な成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした、国際共同第III相試験の成績を示しております。本試験の主要評価項目は、投与12週時における、皮疹に関する医師の全般的評価が「病変なし」若しくは「ほとんどなし」を達成した患者の割合であるIGA0/1達成率、及び全身の皮膚状態をスコア化したEASIスコアが、ベースラインから75%以上減少した患者の割合でありますEASI75達成率、これをCo-primary Endpointとして設定しております。上から2行目、4行目にお示ししておりますとおり、IGA0/1達成率及びEASI75達成率のいずれも本剤100mgと200mgの各用量群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する優越性が検証されております。また、日本人部分集団における有効性の結果は、同じ表52の下半分のとおりとなります。
 次に、審査報告書51ページの表56を御覧ください。こちらの試験は、ステロイド外用剤などの外用剤治療で効果不十分な青少年のアトピー性皮膚炎患者を対象とした国際共同第III相試験となります。前の試験と同じくCo-primary Endpointである、投与12週時におけるIGA0/1達成率とEASI75達成率について、上から2行目、4行目にお示ししておりますとおり、いずれも本剤100mgと200mgの各用量群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボに対する優越性が検証されております。また、日本人部分集団における有効性の結果は、同じ表56の下半分のとおりとなります。なお、いずれの試験においても、本剤100mgと200mgでは、200mgの有効性が高い傾向が示唆されております。以上より、本剤のアトピー性皮膚炎に対する有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性につきましては、国内外の臨床試験において認められた安全性の概要を審査報告書61ページの表66に、主な有害事象を62ページの表67にお示ししており、また、本剤の薬理作用などから懸念される有害事象の発現状況を65ページの表71、66ページの表72にお示ししております。主な有害事象としては感染症等が認められており、表71の帯状疱疹、単純ヘルペスなどで用量依存的な発現傾向が示唆されておりますが、安全性上の重大な懸念は認められておりません。
 以上より、12歳以上の既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に対する本剤の有効性及び安全性が確認できたことから、効能・効果は「既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎」と設定することが適当と考えました。また、用法・用量は、100mgでも有効性が検証され、帯状疱疹、単純ヘルペス等の有害事象は用量依存的に増加する傾向が認められていることも踏まえまして、基本の用法・用量は100mg1日1回投与とした上で、患者の症状や状態に応じて200mg1日1回も投与できると設定することが適当と判断いたしました。なお、本剤投与時の安全性管理につきましては、アトピー性皮膚炎患者に対して使用されている既承認のJAK阻害剤と同様に、本剤に関する十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験を持つ医師のもとで使用されることなどの安全対策が必要と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、事前に渡辺委員より御質問を頂いておりますので、この場で御回答を申し上げます。渡辺委員からは、「重症のアトピー性皮膚炎に対して有用性の高い薬剤である。本剤の作用機序である免疫抑制作用から、確かに悪性腫瘍の発現は懸念されるところではあるが、審査報告書の65ページの表71には、悪性腫瘍の発症は3,128例中3例とあり、発現率は極めて低い。また、審査報告書の71ページでは、前立腺癌2例、胃腺癌1例となっており、特段の高発生率ではない。添付文書の警告欄には「本剤との因果関係は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている」との記載があり、過剰の警告である。正しくは、「本剤の投与を受けた3,128例中、前立腺癌2例、胃腺癌1例が報告されており、いずれも高齢者であった」とするべきである。Up To Dateにも類似の警告が記載されているが、具体的なリスク比が記載されており、読者がリスクを評価できるような記載になっている。悪性腫瘍のより正確な発生率は、市販後臨床試験でデータを蓄積していけばいいでしょう。」とのコメントを頂いております。
 悪性腫瘍のリスクに関しましては、審査報告書の71、72ページに記載しておりますとおり、現時点では、本剤投与群において明らかに悪性腫瘍の発現リスクが上回る傾向は示唆されてはいないものの、本剤の薬理作用から悪性腫瘍の発現リスクが上昇する可能性は否定できず、また、既承認のJAK阻害剤と同程度の悪性腫瘍の発現率が本剤投与群において認められていることから、既承認のJAK阻害薬と同様の注意喚起を行っております。御指摘の具体的な悪性腫瘍の発現状況につきましては、添付文書の15.1項に投与量別の発現割合、100人年当たりの発現状況を情報提供しておりますが、医療現場への情報提供資材などでも、臨床試験における発現状況を適切に情報提供するように申請者に申し伝えさせていただきたいと思います。以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。まず、渡辺先生、いかがですか。
○渡辺委員 分かりやすい御説明ありがとうございます。私が申し上げたいのは、添付文書の最初の所の全部赤字の警告の所で、かなり悪性腫瘍について書かれているのですが、そこから、先ほどの添付文書のほかの部分で、具体的な発生率というように書いてあるのだったら、そこをすぐに見るようにという矢印でも付けておく必要があるのではないかと思います。添付文書の警告の所だけを読むと、ものすごく危険な薬剤であるというような、まるで脅しか、恐喝のような印象を受けるので、具体的に何%ということがすぐ分かるような案内をしていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○清田部会長 機構、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。警告の御指摘の1.1項の最後に、15.1項参照という参照先を記載させていただいております。
○渡辺委員 普通の感性を持っている人だったら、そこをきちんと見るというようなことになっているわけですね。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘、ありがとうございます。警告欄の参照先がかなりの数列挙されている形で少し分かりづらいかと思いますが、添付文書の記載上の現状の記載ルールからいくと、15.1項を参照することというのは書いております。ただ、先ほど御説明させていただいたように、申請者にも、きちんとした情報が伝わるような形での情報提供資材等での対応を促すようにしたいと思いますので、御理解いただければと思います。
○渡辺委員 分かりました。了解いたしました。よろしくお願いします。
○清田部会長 それでは、宗林先生から御質問があるようです。
○宗林委員 宗林です。質問させてください。デュピクセントは注射だと思いますが、2週間間隔で打っていくというようなことですが、表52、48/90ページの先ほど御説明のあった所で見ると、デュピクセントとほぼ同じくらいの効果があるというような形で読ませていただきましたが、それでよろしいでしょうか。また、12週までということですが、デュピクセントの場合、非常に高いお薬だと思いますが、調子が良ければずっと継続して使っていくのが一般的なのかもしれませんが、これはそれ以上ずっと使っていくということが前提になっているのでしょうか。用法・用量の所で見ると、100mg、200mg、それから、ほかのものと併用して使ってくださいということだけで、後はお医者さんとの御相談ですが、一般的には、その後もずっと1日1回服用していくというようなものになっているのでしょうか。よろしくお願いします。
○清田部会長 機構、いかがですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず、デュピクセントとの有効性の比較ですけれども、表52にお示しいたしました試験成績において、全体集団では100mgでデュピクセントと同程度、200mgでデュピクセントを上回る傾向が示唆されております。
 御質問の2点目、投与の継続につきましては、添付文書の7.3項に、「投与12週までに治療反応が得られない場合は、投与中止を考慮すること」と情報提供しております。通常であれば12週までに治療効果が得られることから、12週までに治療反応が得られない場合は、投与の中止も含めて判断されることとなります。
○宗林委員 私が聞きたかったのは、デュピクセントの場合は、多分、調子が良くなったといっても、ずっと2週間に一度注射を打ち続けて使っていかれるのかと思ったので、これも12週で効果が出たら、その後ずっと服用し続けるというようなものですかという質問です。
○医薬品医療機器総合機構 その理解で問題はございません。
○宗林委員 分かりました。先ほどのところで、100mgと200mgのちょうど間ぐらいということで、デュピクセントと同じくらいの効果がある、片方は注射だけど、片方は毎日服用で済むという飲み方の違い、服用の違いということで出されているということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そのとおりでございます。ただ、デュピクセントとの比較に関しましては、統計学的な検証ではなく、大体同じような結果であったということになります。また、長期投与試験などでも、92週以降まで使用するような形での試験が行われていて、継続的に使用して、ある程度の安全性が確認されているというような状況でございます。
○宗林委員 ということは、調子が良くなったら、そのまま飲んでいくというお薬ということでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、継続して使用されていくものと考えております。やめた場合には、やはりぶり返してくるという場合もデュピクセントなどで知られておりますので、調子が良くなったから、その場ですぐやめるような薬ではないと理解しております。
○宗林委員 分かりました。ありがとうございました。
○島田委員 ちょっと待ってください。よろしいですか、島田ですが。
○清田部会長 島田先生どうぞ。
○島田委員 こういう薬は、やはり経過を見て、ある程度良くなったら本当は中止したい薬ですよね。ですから、これは経過を見て、やはりある程度良くなってきた場合は、この薬も中止を試みるのは当たり前だと思いますけれども。
○医薬品医療機器総合機構 島田先生の御指摘のとおりで、無理やり継続してくださいということではないと思います。ただ、直ちに継続を禁止するということではなくて、ある程度患者さんの状態などを見ながら継続していく、若しくは途中で様子を見るといったような使われ方をするものと考えております。
○島田委員 それと、表56で少し問題だと思うのは、表52の方はデュピクセントと同じだと思います。一部のデータで高い効果が全体集団で見えているだけで、日本人だとほとんど一緒ですし、ただ、表56では全体集団はプラセボ群と比較しているので、ある程度良くは見えるのですけれども、日本人部分集団になると、急に何かプラセボよりも悪いという結果が出ていたり、これはちょっと何か臨床試験がうまくいっていないのではないかと思われるのですけれども、何でわざわざこういうのを出されたのかというのがよく分かりません。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。表56にお示ししたB7451036試験における日本人部分集団ですが、まず、EASI-75の達成率につきましては、全体集団と同様にプラセボを上回る傾向が認められております。また、IGA(0/1)達成率につきましては、本剤群と比較してプラセボ群の方が高い傾向が認められておりますけれども、日本人集団の被験者数が非常に限られていたということに加えまして、ベースライン時の中等症患者(IGAスコアが3の患者)の割合が全体集団と比べまして日本人部分集団で高く、また、部分集団解析において、重症患者(IGAスコアが4の患者)と比較して、中等症患者(IGAスコアが3の患者)でIGA(0/1)の達成率が高い傾向が認められていたことから、日本人のプラセボ群で高いIGA(0/1)達成率が得られた可能性があるというように考えております。
○島田委員 そういうことはどこかに書いてあるのかもしれませんけれども、これは表だけ見たら、どう見たってそれほど良くないですよ、EASIだってそうですよね。200mg投与群では、多少はいいようにも見えるかもしれませんけれども。ですから、要するに、整合性がずれているということですよ、ほかの、もう一つ前の試験と。ですから、こういうのは、症例数が少なすぎるということであれば、数を増やした試験をきちんと示してもらったほうがいいと思います。中途半端なものを示してああだこうだと、部分解析とかそういうややこしい解析をしてやっと分かるみたいなことは余りよくないのではないかと私は思いますけれども。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。宗林先生、まず、継続投与の件につきましては御理解いただけますでしょうか。
○宗林委員 はい、分かりました。デュピクセントの場合は、使っていらっしゃる方がやめるとリバウンドが結構くるので、やはり使い続けるという感じになっていくのかというのが心配でしたし、取扱い説明、添付文書の方に、それについて注意などが何もなかったので、お聞きしました。承知いたしました。以上です。
○清田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はございますか。
○濱委員 濱です。添付文書の記載ですが、添付文書を見ると、12歳以下の小児に投与ができるのかできないのかがはっきりしないのですが、この点についてはいかがでしょうか。
 もう一つは、100mgで200mgまで増量が可ということは分かるのですが、適宜増減の記載がないので、例えば副作用などで、50mg減量したい、あるいは200mgから100mgに減量したいといったときに、この記載だと、明確ではないような気がするのですが、いかがでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず、御質問の1点目の12歳未満の小児につきましては、本申請においては12歳以上の小児及び成人に対して承認可能と判断しております。
○濱委員 それはわかります。それが添付文書からは読みにくくて、適応、用法のところに、12歳以下は投与してはいけないという記載がなく、小児の項には、臨床試験は実施していないということだけで、定型文書である、有効性うんぬんという記載もそうですが、特に投与してはいけないという記載がないのですが、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 添付文書の6項の用法・用量の欄を御覧いただけますでしょうか。こちらが承認用法・用量になっておりまして、通常、成人及び12歳以上の小児には100mg、と記載しております。こちらでよろしいでしょうか。
○濱委員 そうなのですけれども、12歳以下の小児に対する記載がありません。記載がないので投与してはいけないという理解でしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 12歳未満には当該承認用法・用量は当てはまらないこととなります。
○濱委員 適宜増減の記載がないことについては、どうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 「適宜増減」という文字ではありませんけれども、通常100mg1日1回、患者の状態に応じて200mgも投与することができるとしておりまして、通常の用法・用量としては100mg、患者の状態に応じて200mgも可能ということで、100mg若しくは200mgを患者の状態に応じて適宜使い分けていただく、医師の判断で適切な用量を投与いただくということを承認用法・用量と考えております。
○濱委員 そうすると、50mgの規格は、あくまでもCYPの阻害が強いようなものとの相互作用があるときのみ投与ということになるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 さらに、中等度とか、腎機能障害を有する患者さんにおいて投与される薬剤と考えております。
○濱委員 それは、適宜増減、100mgをベースとしたときの50mg減量することを認めていることとは違うのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。
○清田部会長 濱先生よろしいでしょうか、ここら辺で。
○濱委員 分かりました。
○清田部会長 ありがとうございます。
○医薬品医療機器総合機構 どうもありがとうございました。
○清田部会長 それでは、ほかに御質問ございますか。宮川委員どうぞ。
○宮川委員 宮川でございます。これは既存の治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に使用することで、既存の抗体薬のデュピクセントと遜色ない効果という形なのですが、同じJAK阻害剤のオルミエントやリンヴォックとの使い分けはどのように考えていったらいいのかは、何か記載としてはあるのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。明確な使い分けというのはございません。医師の判断で適切なものを使い分けていただければと考えております。
○宮川委員 はい、了解しました。少し細かいところですが、青少年の骨折の発生状況についてお伺いしたいと思います。76/90の所で、デンマークのデータベースで確認したということなのですが、これは論文化された研究結果なのか、企業なのかどうか、そのことを確認したいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 この骨折の発現状況を比較したデータというのは、企業の報告書からの引用になります。
○宮川委員 分かりました。つまり、それは論文化された発表ではなくて、企業がそのデータベースからコメントを出したということでよろしいのですね。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。
○宮川委員 そうすると、成長期における使用についての何か研究論文、あるいは学会等の報告を含めてですが、今後、提供されるという流れはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今、御紹介できる具体的な予定というのはありませんけれども、今後、製造販売後の調査などを踏まえて得られたデータについては、適切にまとめて医療現場に提供するよう申請者には指示しております。その中で出てくるものと期待しております。
○宮川委員 ありがとうございます。
○清田部会長 それでは、ほかに御質問はないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上部会長代理、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 事務局から引き続き御説明をお願いします。
○事務局 審議事項の議題2に関連して、本剤について、その他事項として、最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので、御説明させていただきます。資料No.17-1を御覧ください。これまでのアトピー性皮膚炎についても承認されているデュピクセント、オルミエント、リンヴォックなどと同様に、本剤についても最適使用推進ガイドラインの案を作成しております。まず、18分の3ページ中ほどですが、今回のガイドラインは、機構のほか、日本皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本小児アレルギー学会、日本小児科学会及び日本臨床皮膚科医会の皆さまに御協力いただいて作成しております。
 続きまして、4ページから本剤の特徴や作用機序、5ページからは本剤の臨床成績の概要を記載しております。
 続いて、18分の14ページを御覧ください。こちらは施設の要件を記載しており、中ほどに医師の要件を記載しておりますが、成人のアトピー性皮膚炎患者に投与する場合のほか、小児の場合の要件として、この(イ)のとおり、例えば3年以上の小児科診療の臨床研修を行っていることなどを要件としております。
 続いて、18分の16ページは患者要件について記載しております。患者選択の要件については、アトピー性皮膚炎の確定診断がなされていること、既存治療による治療では効果不十分であることなど、これまでと同様の要件を記載しております。またその下に、投与の継続にあたってとして、投与継続の取扱いについて記載しております。投与開始後12週間までに治療反応が得られない場合は、本剤の投与を中止すること、投与中は定期的に効果を確認し、投与継続、減量及び中止を検討すること、他の外用剤との併用により一定期間寛解の維持が得られた場合には、併用薬が適切に使用されていることを確認した上で、本剤投与の一時中止等を検討することとしております。
 最後に17ページには、投与に際して留意すべき事項として、取りまとめております。御説明は以上です。
○清田部会長 委員の先生方から御質問ございますか。よろしいでしょうか。それでは、サイバインコ錠50mg、同錠100mg及び同錠200mgの最適使用推進ガイドラインにつきましては、御確認いただいたものといたします。
 議題3に移る前に、退室委員の修正がございます。
○事務局 先ほど退室委員につきまして御紹介いたしましたが、事務局からの説明に誤りがありましたので、修正させていただきます。議題6のライアットと、議題7のオプジーボですが、いずれも山口委員が退室委員となっております。大変失礼いたしました。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 続きまして、議題3に移ります。亀田委員におかれましては、薬事分科会参加規程第5条に基づきまして、議題3の審議の間、会議から御退室いただいて、御待機いただくことといたします。亀田委員は退室をお願いいたします。
── 亀田委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題3につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題3、資料No.3、サフネロー点滴静注300mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以後の審査報告書のページ数は各ページの下段に64分の幾つで記載しております数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるアニフロルマブ(遺伝子組換え)は、I型インターフェロン受容体に対するヒトIgG1モノクローナル抗体であり、今般、全身性エリテマトーデスに係る効能・効果で製造販売承認申請がなされました。なお、海外では、本年7月に米国で全身性エリテマトーデス(以後、SLEと略します)に対する適応で承認されております。本申請の専門委員として、資料No.19に記載されております9名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書56ページ、「10.その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜、御参照ください。有効性につきまして、日本人を含む標準治療で効果不十分なSLE患者を対象とした国際共同第III相試験である04試験成績より説明いたします。審査報告書31ページ、表28を御覧ください。本試験では、投与52週時におけるSLEの疾患活動性に関する複合評価項目である「BICLA達成率」が主要評価項目とされ、全体集団のプラセボ群との差の行に示しますとおり、プラセボ群と300mg群との対比較において統計学的に有意な差が認められ、プラセボ群に対する本剤300mg群の優越性が検証されております。また、日本人部分集団の成績につきましては、同じ表28の下半分に示しております。なお、審査報告書38ページ以降の7.R.2.1項に記載しておりますとおり、本試験では、試験実施中に併用制限薬の規定及び主要評価項目の変更が行われましたが、これらの変更は盲検下で実施されていたこと、より臨床的に適切な併用制限薬の規定への変更と考えられること、変更前の主要評価項目である「SRI(4)達成率」、変更後の主要評価項目である「BICLA達成率」のいずれもSLEの疾患活動性評価が可能な複合評価項目であることから、これらの変更は許容可能と考えております。加えて、変更前の併用薬の規定によるSRI(4)達成率においても有意差が認められていたことを踏まえますと、御説明した有効性に係る結果より、本剤のSLEに対する有効性は期待し得ると判断しました。
 安全性につきまして、審査報告書47ページ及び48ページの表39及び表40に本剤の臨床試験成績における安全性の概要を、審査報告書49ページ、表41及び表42には本剤の臨床試験成績において認められた有害事象を示しております。また、本剤の薬理作用等から懸念される有害事象につきましても検討した結果、審査報告書50ページ以降に記載しておりますとおり、SLE患者において安全性上の重大な懸念は示されていないことから、SLE治療に精通した医師のもとで使用する等の適切な安全対策を実施することにより、本剤の安全性は許容可能と考えております。
 以上の結果より、効能・効果は「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」、用法・用量は「通常、成人にはアニフロルマブ(遺伝子組換え)として、300mgを4週間ごとに30分以上かけて点滴静注する。」と設定することが適切と判断しました。なお、日本人SLE患者に対する本剤の投与経験は限られていることから、製造販売後には、本剤投与患者全例を対象とした特定使用成績調査を実施することにより、本剤の安全性プロファイルを早期に把握することが必要と判断いたしました。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、事前に渡辺委員より、「SLE治療として、I型インターフェロン受容体に結合し、インターフェロンシグナルを阻害することにより免疫抑制するという作用機序のため、抗悪性腫瘍免疫をも抑制することが懸念され、本剤の有害事象として、悪性腫瘍が挙げられている。添付文書案の赤字警告欄には、「本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている」という記載となっている。悪性腫瘍発生に関して、やや疑心暗鬼的な警告が発せられているように感じる。それならば具体的な対応として、「月1回のPET-CTを行い、悪性腫瘍の発症を監視すること」とでもしたらどうでしょうか。あるいは、「作用機序を鑑み、悪性腫瘍の発生には適切な注意を払うこと」というのはどうでしょうか」との御質問を頂いております。
 悪性腫瘍の発現に関して、本剤の作用機序等から潜在的なリスクが示唆され、臨床試験において発現リスク上昇を示唆する明確な成績は示されていないものの、悪性腫瘍の発現が認められていることや、他の免疫抑制作用を有する生物製剤における注意喚起等を踏まえ、同様の注意喚起を行っております。また、具体的な悪性腫瘍の発現状況につきましては、添付文書の15.1項に記載しており、医師向け資材等でも臨床試験における悪性腫瘍の発現状況を適切に情報提供するよう、申請者に申し伝えさせていただきます。
 御質問に対する御説明は以上となりますが、御理解のほどよろしくお願い申し上げます。御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。まず、渡辺先生、いかがでしょうか。
○渡辺委員 この警告の所をもう一回読むと、「治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、本剤の有効性及び安全性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療を開始すること」と書いてあります。これはもっともなことかもしれませんが、たまたま先週から当院に外科の研修医が1人来ておりまして、それから当院の看護師3名とこの件について具体的なことを述べずに話したところ、そこから具体的に、「PET-CTでもやればいいのですか」という話が出たわけです。ですから、患者に説明して理解してもらうにはどのようにしたらいいのかをこの警告に基づいて真剣に考えると、具体策を提示しなければいけないということで、それでPET-CTでもやるのですかという話になったわけです。だから菅首相みたいなもので、何を言っているのか分からないような、責任逃れみたいな感じがどうしてもしてしまうのです。ですから、そこのところを、我々医療者は当然その患者さんに説明をして十分理解してもらうというのが当たり前のことなので、いっそのことここは削除したほうがいいのではないかと。警告の中で、悪性腫瘍の可能性があるとか、そういうことは書いてもいいかもしれませんけれども、「十分説明し、患者が理解したことを確認した上で」というのは、ここに書いてもしょうがないことだし、大きなお世話だし、具体性がないと思います。これは削除するつもりはないでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 こちらの警告の記載につきましては、免疫抑制作用を有するような生物製剤で、一般的にしているところで、なかなかこの限られた臨床試験の中では、この悪性腫瘍の発現というところまで完全に検討することは難しい状況は理解しております。今回の場合は、それに加えて、非臨床でのデータなどもございまして、患者さんにも理解していただいた上で、投与を開始していただくことが必要と考え、この警告に記載させていただいた次第でございます。
○渡辺委員 そんなことは百も承知で、患者さんに理解してもらってということは我々の基本的な根源的な義務でありますから、こんなことをいちいち書いても、今まで慣例としてやってきたと言っても、今までやってきた慣例が役に立っているのですか、意味を持っているのですか。お答えください。
○医薬品医療機器総合機構 ご指摘、ありがとうございます。慣例的と言われてしまいますと、一部それも否めないところもあるのかもしれませんが、これまで同様の薬剤の添付文書における注意喚起等を踏まえて、本剤も記載したところです。今、ご指摘の具体的な説明内容に関して、申請者であるアストラゼネカに、類似品目の経験等から、もう少し、先生方や患者さんへの説明に、例示的なものがないかは、少し考えさせていただきたいと思います。
○渡辺委員 この赤字の警告欄に書くほどのことではないように思うのです。以上です。
○清田部会長 渡辺先生のおっしゃることもごもっともなのですが、過去に同じような表現をしているお薬を御報告して、どのようなレスポンスがあったのかとか、そういうのも一度報告していただきたいというのが私からの提案です。それでよろしいでしょうか。
○渡辺委員 はい、よく分かりました。
○清田部会長 では、これは置いといて、ほかに御質問はございますか。よろしいですか。
○宮川委員 宮川です。国際共同試験の第III相試験では有効性が示されたので問題ないというように私も考えておりますけれども、海外の第III相試験の04ではよかったのですが、05ではネガティブな結果のようになっています。これをどのように考えたらよいのか、04と05の整合性を教えていただきたいのです。何か差があれば、患者選択や使用方法というものの参考になるのではないかと考えたのですが、その点はいかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問、ありがとうございます。こちらの「05試験」として、33ページの表31において、先ほどお話させていただきました使用制限薬等の変更前の成績を記載しております。併用薬の制限につきましては、変更前の規定は臨床上余り適切ではない規定で、例えば今回の試験は52週の試験で実施されておりますが、投与1日目にNSAIDsを使った場合でも、有効性評価項目の非達成例とするような形ですとか、不適切な取扱いがございました関係で、併用制限薬の規定が改訂されております。審査報告書の42ページ及び43ページ以降に示している表や図の成績は、05試験について全て併用制限薬の規定変更後の事後解析の成績でございます。こちらの成績を確認しますと、プラセボ群に比べて300mg群は上回る傾向が認められており、04試験と比べて逆方向の成績が得られているとか、そういうことは認められておりませんので、総合的に勘案しますと、本剤の有効性は示されていると判断しております。
○宮川委員 きちんとした試験の内容になっていますけれども、そういう後付けの変更されたということも理解するのですが、そのことによって、患者選択や使用方法というようなことにいろいろ関わってくるのではなかろうかと思うので、それに対して何か一定の方向性が出ているのかどうかを教えていただきたいと思いました。
○清田部会長 とても分かりづらいスタディだったと思いますけれども。
○宮川委員 そうなのです。それが分かりづらいのです。機構の方がそのように説明されてきたのですが、それがそうだったとしたら、どのようにそれを今後の患者選択とか使用方法に当てはめていけばいいのかという方向性がこれだと見にくいと思ったので、質問させていただいたわけです。
○清田部会長 機構から何か御意見はございますか。
○医薬品医療機器総合機構 先生、御指摘ありがとうございます。説明が混乱するといいますか、複雑で申し訳ございませんでした。結論から申しますと、審査報告書42ページにあります、表35、表36の所で、04試験と同じ規定に変更した05試験の事後解析の結果を載せておりますが、こちらを見ますと、プラセボ群と300mg群で、04試験、05試験ともに同様な結果が得られておりますので、05試験もきちんとした取扱い等のもとで行っていれば同様の成績が得られたのではないかと判断しております。
○宮川委員 分かりました。05試験の取扱いがそういう意味ではできていなかったということでよろしいのですね。そういう意味では、04試験の日本人の入った集団の中での成績が適切であったと考えると、そのように明確にお答えしていただければよいかと思います。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございました。04試験の成績から有効性が確認できているというように判断しております。
○宮川委員 了解しました。
○清田部会長 やったデータは全て載せないといけないという、そんな感じでしょうかね。
○宮川委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問、よろしいでしょうか。ありがとうございます。議決に入りたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に御報告とさせていただきます。それではロビーで待機されています亀田委員をお呼びください。
── 亀田委員入室 ──
○清田部会長 続いて議題4に移ります。議題4について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題4、資料No.4、リツキサン点滴静注100mg、同点滴静注500mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、資料に添付されている審査報告書に沿って、機構より御説明いたします。審査報告書をお手元に御用意ください。以降の審査報告書のページ数は、各ページの下段に29分の幾つで記載しております数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるリツキシマブ(遺伝子組換え)は、抗CD20モノクローナル抗体です。本邦では、2001年にCD20陽性の低悪性度又はろ胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫に係る効能・効果で承認されて以降、慢性リンパ性白血病、顕微鏡的多発血管炎、ネフローゼ症候群等に対する効能・効果で承認されており、今般、全身性強皮症に係る効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請がなされました。全身性強皮症、以降、SScと略しますが、SScは微小血管異常、自己抗体産生及び線維化異常を特徴とし、皮膚硬化に加え、手指潰瘍や間質性肺疾患、消化管病変等、様々な臨床経過をたどる結合組織疾患であり、厚生労働省の告示第393号にて指定難病とされております。また、令和2年2月に開催されました当部会で御審議いただき、本薬はSScを予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員として、資料No.19に記載されております6名の委員を指名いたしました。
 主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書の24ページの「10 その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 有効性について、審査報告書の8ページの表4を御覧ください。中等度以上の皮膚硬化を有するSSc患者を対象とした国内試験の成績を示しております。主要評価項目には、診療ガイドラインにおいて、SScの内臓病変等と相関し、SScの病理学的な線維性変化を反映する指標と位置付けられていることを踏まえ、皮膚硬化の程度を示すmRSSの投与24週時点におけるベースラインからの変化量を設定しております。下から1行目にお示ししたプラセボ群との差の行にお示ししておりますとおり、プラセボに対する本剤の優越性が示されております。
 次に、SScは、様々な臨床経過をたどることから、審査報告書の12ページ以降に副次評価項目とされた有効性に関する結果を記載しており、12ページの表8に皮膚病理組織の厚さの結果を、15ページの表12に間質性肺疾患合併患者における肺機能の結果を示しております。それぞれについて、評価例数が限られる等、結果解釈には注意が必要ではありますが、プラセボ群を上回る傾向が示唆されております。
 安全性については、審査報告書の19、20ページを御覧ください。表16、17に、国内試験で認められた主な有害事象と、既承認の難治性ネフローゼ患者を対象とした臨床試験、非ホジキンリンパ腫患者等を対象として実施された製造販売後調査における安全性の概要をお示ししております。希少な疾患であるSSc患者の検討例数は限られておりますものの、既承認の効能・効果における安全性プロファイルと比較して、明らかに異なる傾向は認められていないことから、既承認効能・効果と同様の安全対策を講じることが適切と考えております。
 以上より、日本人SSc患者に対する有効性は期待でき、安全性についても許容可能と判断いたしました。ただし、本剤の皮膚硬化以外の臓器病変に対する有効性等の情報は限られておりますことから、本剤の適用対象は、SScに十分な知識・経験を持つ医師のもとで、臨床試験の対象患者等を理解し、個々の患者におけるベネフィットとリスクを十分考慮した上で選択されることが重要であり、その旨を添付文書で注意喚起することが適切と考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤は承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本薬は、本申請に係る効能・効果で希少疾病用医薬品に指定されておりますことから、再審査期間は10年とすることが適当と判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。
 また、事前に渡辺委員より御質問を頂いておりますので御回答申し上げます。渡辺委員から、「本剤は2001年に臨床導入されて以来、diffuse large B-cell lymphomaをはじめ、多くの疾患で使用されており、安全性はある程度確立されております。間質性肺炎の増悪は全身性強皮症患者そのものの症状とも考えられます。市販後のtotal risk- benefit balanceの冷静な評価が必要だと思います」とのコメントを頂いております。
 市販後調査において、間質性肺疾患を合併する患者における本剤投与時の安全性・有効性や間質性肺疾患の新たな発現に関する情報を含めて情報収集を行い、得られた情報については適切に医療現場に情報提供を行うよう、申請者に申し伝えさせていただきます。
 以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございます。まず、渡辺委員いかがですか。
○渡辺委員 適切な御回答をありがとうございます。よろしくお願いします。
○清田部会長 ありがとうございます。そのほかの委員の先生方は御質問ございますか。南委員どうぞ。
○南委員 まず、この有効性の評価ですが、これが果たして適切な指標なのかどうか少し疑問に感じます。これは医師の評価と書いてありますが、皮膚をつまめるかどうかで評価しますので、かなり医師の主観が入ってくると思われます。二重盲検されていますが、リツキシマブを投与しますとB細胞が消失していきますので、採血を1回すれば実薬かどうか分かってしまいます。皮膚がつまめるかどうかだけの判断で有効としていいのかどうか、皮膚以外の病変は皮膚病変と相関すると言いながらも、QOLには全く差はないと書いてあり、果たして、これは有効と判断して承認していいかどうか疑問に感じるのですが、この点はいかがでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず、皮膚硬化の件ですが、主要評価項目であるmRSSにつきましては、現在国内ガイドラインにおいて、内臓病変とも相関する指標であり、SScの各種臨床試験で用いられ、現時点で最も有用な指標として国内ガイドラインでは推奨されている指標とされております。また、皮膚硬化について正確に定量する確立された方法は現時点ではなく、触診による半定量的な評価が一般的とされております。
 先生が御指摘の、B細胞数から盲検性が損なわれる可能性があるのではという御指摘については、事前に各施設で独立のモニタリング担当者を指名しており、その独立したモニタリング担当者のみがCD3の陽性細胞数やCD20陽性細胞数を知り得ることとされており、皮膚硬化を判定する医師はB細胞数については把握できないような対策が取られておりました。
○清田部会長 南委員、いかがですか。
○南委員 B細胞に限らず、例えば、血液検査をすればリンパ球の分画は出てきてしまうので、いかがなものかと思います。全身の臓器の障害と相関するのであれば、QOLでその傾向が示されるとか、もう少しサポーティブな情報が必要なのではないかと思います。確かに、評価項目として難しいのは理解しているのですが、これで本当にPatient Benefitにつながるかどうかという点で、いかがでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。先生御指摘のQOLに関して、確かに、御指摘のとおりQOLに関する差は認められなかったのですが、申請者としては、今回、QOLが比較的保たれた患者が組み入れられたことから、その後の本剤投与群におけるQOLの改善効果が示されにくかった、反映されにくかったという考察をしております。
○南委員 それから、今の点とも関係するのですが、容易に実薬かどうか判断できる上に、1施設からの症例がほとんどだったことを考えると、果たして本当に適切に行われた臨床試験と言えるかどうか。その点についてはいかがでしょうか。
○清田部会長 機構よりお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。CD20陽性細胞数だけではなくリンパ球数についても、臨床検査値の変化については、独立した担当者のみが知り得ることとされており、今回の皮膚の硬化を判定する判定医師は知り得ない状況とされておりました。また、このCD20陽性細胞数等の情報については、独立安全モニタリング担当者が知り得ることとなっており、安全性の観点から必要な事態が生じたときのみ治験責任医師へ報告することと規定されておりましたが、今回は、治験責任医師が検査値を知る必要があるような事態は生じなかったとの報告を受けております。
○南委員 分かりました。そうしたら、皮膚をつまんだ医者は、検査結果にアクセスできないという条件下で行われた臨床試験であれば、いいと思います。
○清田部会長 ありがとうございました。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。
○島田委員 いいですか。
○清田部会長 島田委員どうぞ。
○島田委員 私も皮膚科医なので、この強皮症の硬化というのは評価が極めて難しくて、これでも結構客観的には結果が見られるような試験を行っていると私は思います。ただ、もっと多施設でやっていると私は考えていたのですが、施設が1施設に限られているというのは本当ですか。
○南委員 すみません、聞こえません。
○清田部会長 私たちは聞こえていますが、南委員は聞こえませんか。少し待ってくださいね。南委員が聞こえていないようです。
○島田委員 南委員の御懸念は、要するに、施設がすごく限られているので問題あり、というお話だったと思います。この試験はどれぐらいの施設で行われていますか。私は多施設でやっていると思っていたのですが、抗CD20抗体はかなり効果があるという話は我々も以前から聞いておりましたし、この臨床試験はきちんとした形を整えられていると思います。
 もう1点は、皮膚の硬化を見るのは皮膚をつまんでどうのこうのということなのですが、これは最近かなり客観的に評価できるようになってきており、これも信用できないと言われれば、もう強皮症の臨床試験はできないことになるのですが、これはかなり発展してきていまして、この辺は御信頼いただくしかないと、これ以上の試験はないのです。ですから、これに関しては、効かないものは本当に効かないということで、いろいろなモノクローナル抗体なども試されていますが、negativeな結果も出ていますので、今回の試験に関しては信頼できるデータだと私は思っております。
○南委員 すみません。突然、切れてしまったようで。
○清田部会長 南委員の声が入っています。こちらの声は聞こえますか。
○島田委員 私の意見は聞こえましたか。
○南委員 聞こえていませんでした。
○清田部会長 島田先生からは、評価法としての客観性はある程度保たれているので、御安心くださいということでした。
○南委員 これしかないということは私も存じております。存じておりますが、患者さんの本当にベネフィットになるのだろうかというところが、やはり気になりましたので発言しましたが、結構です。皮膚科の先生がこれしかないのだとおっしゃるのであれば仕方ないと思います。
○島田委員 先生、これは絶対ベネフィットになりますので。いろんな臨床試験が行われていますが、その中でもこの試験結果は結構いいのですよ。メカニズムについてなぜかと聞かれると、B細胞を無くしただけでこれだけ皮膚が柔らかくなるのかは分かりません。でも、これは今後の課題でして、抗CD20抗体はいろいろな病気にも効くわけで、これのメカニズムに入ってしまうと、なかなか難しい面はあると思います。しかし実際にこれだけ効果があるので、これは確実にベネフィットになるので、日本の皮膚科はレベルについて、どう思っておられるか分かりませんが、世界に冠たる皮膚科ですから。特にこの強皮症の研究は世界で一番進んでいるのです。そういうことも是非御理解いただいて、先生の知り合いの誰かに聞いたら分かりますから。
○清田部会長 では、島田先生の御墨付きを頂いたということで。
○島田委員 ということであります。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 では、議決に入りたいと思います。
○宮川委員 宮川です、一言だけ。南先生と島田先生のお話でやっと意味が分かったのは、このQOLの取扱いが非常に雑だったというか、そういう意味で軽症のものを入れていたということで、非常に分かりにくく、ほとんど差が出ていないと理解しました。今の島田先生のお話で、よく分かりましたので、疑問の一つが解けました。ありがとうございました。
○清田部会長 それでは、議決に入りたいと思います。よろしいでしょうか。亀田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題5に移ります。議題5について機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題5、資料No.5-1及び資料No.5-2、タブネオスカプセル10mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明いたします。審査報告書を御用意ください。以後の審査報告書のページ数は、62分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるアバコパンは、経口投与可能な選択的な補体C5a受容体の拮抗薬であり、実施された臨床試験成績等を踏まえ、今般、顕微鏡的多発血管炎(MPA)及び多発血管炎性肉芽腫症(GPA)に関する効能・効果で、製造販売承認申請がなされました。MPA及びGPAは、ANⅭAと呼ばれる抗好中球細胞質抗体の産生を特徴とする、主に中型、小型の血管が傷害される全身性の壊死性血管炎です。病態形成にはC5a-C5a受容体のシグナル経路が関与すると考えられており、選択的C5a受容体拮抗薬である本剤の治療効果が期待され、開発が行われました。なお、平成31年1月に開催された当部会で御審議いただき、本薬は希少疾病用医薬品に指定されております。本申請の専門委員として、資料No.19に記載している8名の委員を指名いたしました。主な審査内容について、臨床試験成績を中心に簡潔に御説明いたします。なお、審査報告書の56ページの「10.その他」に有効性の評価方法の詳細を示しておりますので、適宜御参照ください。
 本剤の有効性について、審査報告書の38ページの表41を御覧ください。シクロホスファミド又はリツキシマブによる治療を要するMPA患者又はGPA患者を対象とした、国際共同第III相試験であるCL010_168試験の成績を示しております。本試験の用法・用量は、本剤30mgを1日2回52週間経口投与、又は寛解導入療法の標準的治療である高用量グルココルチコイドとして設定されたプレドニゾンを事前に決められた漸減規定に従い経口投与するとともに、試験期間を通じてシクロホスファミド及びアザチオプリンの順次投与、又はリツキシマブを併用することとされました。本試験の主要評価項目である投与52週後の寛解維持達成率について、本剤群とプレドニゾン群との対比較において、統計学的に有意な差が認められ、プレドニゾンの漸減投与に対する本剤の優越性が検証されました。また、日本人部分集団における成績は、同ページの表42のとおりです。以上より、機構は本剤のMPA及びGPAに対する有効性は示されているものと判断いたしました。
 安全性について、審査報告書48ページの表54に本剤の臨床試験における安全性の概要を示しております。また、審査報告書49ページの表55に、主な有害事象の発現状況を示しております。対象疾患を踏まえて、発現頻度の高い有害事象も幾つかございますが、これらの臨床試験成績からは、本剤投与時にプレドニゾンを明らかに上回るリスクは認められていないと機構は考えております。また、臨床試験成績、本剤の薬理作用等を踏まえると、本剤投与時には感染症及び肝機能障害等の発現に注意する必要があると考えており、これらの事象についての添付文書等による注意喚起を行うとともに、製造販売後の安全性監視活動の適切な実施を指示しております。また、MPA及びGPAの治療に精通している医師のもとで本剤を使用する旨等の注意喚起を行うことも併せ、本剤のリスクは管理可能と判断しております。
 製造販売後の検討事項については、審査報告書の59ページの1.2項を御覧ください。臨床試験における日本人患者での検討が限られていること等を踏まえ、機構は、使用実態下における本剤の安全性及び有効性を検討する製造販売後の調査の実施を指示しております。申請者は、同ページの表60にある特定使用成績調査により、ANCA陰性の患者等、臨床試験で検討されていない患者や、併用薬の影響等の情報も一定以上収集し、本剤の安全性及び有効性を検討すると説明しております。なお、これら収集された情報については、医療関係者等に対して適切かつ速やかに情報提供する必要があると考えております。
 以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本剤は、希少疾病用医薬品に指定されていることから再審査期間は10年、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当せず、原体及び製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断いたしました。薬事分科会では報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。
○清田部会長 委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。特にないようですので、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 それでは、続いて議題6に移ります。議題6に関しては、薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題6と議題7の審議の間、山口委員には御退室いただきたいと思います。山口先生、御退室をお願いいたします。
── 山口委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題6について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題6、資料No.6、医薬品ライアットMIBG-I131静注の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後、審査報告書のページ数は、各ページの47分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤は、ノルアドレナリンに類似した構造を有する3-ヨードベンジルグアニジン、以下、MIBGと略しますが、MIBGのヨウ素原子を放射性同位体である131Iに置換した131I-MIBGを有効成分とする放射性医薬品であり、主にノルアドレナリントランスポータを介した再摂取機構により腫瘍細胞内に取り込まれ、131Iから放出されるβ線により細胞を傷害することで、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は、「3-ヨードベンジルグアニジン(MIBG)シンチグラフィ陽性の難治性褐色細胞腫・パラガングリオーマ」を効能・効果として承認申請されました。131I-MIBGは、平成24年12月に開催された第14回医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議において、医療上の必要性に係る基準に該当すると判断され、翌年1月に厚生労働省から開発企業の募集が行われました。また、本剤は、令和2年12月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年6月時点において、131I-MIBGは、褐色細胞腫・パラガングリオーマに係る効能・効果にて、14か国で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.19にございますとおりの8名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験であるP-1614-21試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書の21ページの表11を御覧ください。MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者を対象としたP-1614-21試験において、主要評価項目とされた尿中カテコールアミン類の奏効率は23.5%でした。131I-MIBGによる内照射療法は、国内外の診療ガイドラインにおいて、MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマに対する第一選択の治療法として推奨されており、当該試験成績に加えて、本邦において先進医療Bの臨床研究として実施された臨床試験を含む国内外における131I-MIBGの使用実績等も考慮すると、MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマ患者に対し、本剤を治療選択肢として提供することには臨床的意義があると判断しました。
 安全性については、審査報告書の28ページの「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象として、骨髄抑制、二次性悪性腫瘍及び甲状腺機能低下症が認められており、これらの有害事象については、がん化学療法及び放射線治療に十分な知識と経験を持つ医師による有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断しました。ただし、日本人における検討症例は限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「MIBG集積陽性の治癒切除不能な褐色細胞腫・パラガングリオーマ」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品であることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、事前に渡辺委員より御質問を頂いておりますので、機構より回答させていただきます。「131Iの半減期は8日程度ですが、治療後の患者隔離、排泄物対策等は、どの程度の対応が必要なのでしょうか」という御質問を頂きました。
 本剤投与後は、排出基準を満たすまで、放射線治療病室への入院が必要になり、国内第II相試験における入院期間の中央値は6日でした。排泄物対策については、他の放射性医薬品でも行われているような対応、例えばトイレの使用後は水を2回流す等の対応が必要になりますので、医療従事者向け資材、患者向け資材等を用いて、情報提供させていただく予定です。事前に頂いた御質問に対する回答は以上になります。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 続きまして、先に議題12について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。この後に御質問を承ります。
○事務局 議題12、放射性医薬品基準の一部改正について、事務局より御説明いたします。資料No.12の1ページを御覧ください。この度の放射性医薬品基準の一部改正は、先ほど説明しました新たな放射性医薬品である3-ヨードベンジルグアニジン(131I)注射液、また、クリプトンジェネレータの効能削除及び塩化インジウム注射液の試験法の一部変更に伴うものです。
 2ページ以降の別紙を御覧ください。具体的な改正内容について御説明いたします。告示第3の一般試験法においては、3-ヨードベンジルグアニジン注射液に係る試薬・試液、標準液の品目の追加及び確認試験の新設を検討しております。また、告示第4の医薬品各条において、クリプトンジェネレータの部分における注射液の記載、溶出液試験に関する記載の削除、また、塩化インジウム注射液の部分に係る確認試験の新設、更には3-ヨードベンジルグアニジン注射液の部分の純度試験に関する記載の変更を検討しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 南先生から御質問があるようです。どうぞ。
○南委員 この薬は必要な薬だと思います。私も現場で早くほしいと思っていた薬ですので、承認して良いと思うのですが、副作用で骨髄抑制、二次性の悪性腫瘍うんぬんと書いてあって、「この薬は、がん化学療法及び放射線治療に十分な知識と経験を持つ医師によって使用される」と書いてあるのですが、がんを普段診ている医者でも、化学療法と放射線治療の両方に十分な知識を持つ医者は多くなくて、しかも、この疾患は普段がんを診ていない内分泌科医が診ていることが多いです。その内分泌科医と核医学の医師が協力して治療することが想定されますので、この「がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師が担当するから大丈夫だ」というのは、ちょっと危険が伴うと思います。安全に使用する体制を構築することが必要だと思います。それで承認できないというわけではないのですが、しっかりとした体制、がん薬物療法、特に骨髄抑制、二次性悪性腫瘍のマネジメントに十分な経験を有する医者と協力して使用する環境を整えてほしいということを、条件として付けていただければと思います。
 それから、悪心、吐き気の程度、頻度を見ると、いわゆる中等度催吐性に分類されると思います。がん薬物療法医であれば、5-HT拮抗薬などを使うと思うのですが、本薬は通常の化学療法剤とは少し違うと思うのですが、この吐き気のメカニズムと、どういう制吐剤を使うといいのか、情報ありますでしょうか。十分に分かっていないかもしれないのですが、治験ではどういう対応が取られていたのか、情報提供をお願いできればと思います。
 それからもう1点、投与間隔について、治験などでは24週という数字があったように思うのですが、添付文書には投与間隔の記載がないのですが、投与間隔について規定しておかなくてもいいのでしょうか。
○清田部会長 失念していたのですが、渡辺先生、先ほどの隔離期間はよろしいですか。
○渡辺委員 はい。大体一般的なものだということで理解しております。
○清田部会長 それでは、南先生の御質問に対して、機構からお答えいただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。1点目の医師の連携については、必要な副作用等の情報に関して資材等を用いて情報提供させていただき、申請者にも頂いた御意見についてはお伝えさせていただいて、しっかりとした連携を取っていただけるような体制を整えていきたいと考えております。
 2点目の制吐剤に関しては、メカニズムは正確には分かっていませんが、臨床試験において、事前に5-HT受容体拮抗剤の投与をすることが推奨されていた旨については、医療従事者向け資材に記載し、適切に情報提供させていただきたいと考えております。
 3点目の投与間隔については、国内第II相試験が単回投与で実施された状況の中で、その他の集積しているデータを踏まえて、単回投与に限定しない形での用法・用量とすることを考えています。
○南委員 回数ではなくて投与間隔なのですが、例えば先週に投与して、来週にもう1回というようなことが起きないように、24週だとか、何箇月間は空けなければいけないのではないかという気はするのですが、どうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 現時点では、どの程度空けたら適切かという明確な基準はないのですが、発現した有害事象等を考慮しながら、患者の状態を見て判断していただくことになると考えております。参考になる情報については、関連学会において適正使用マニュアルが作成されておりまして、その中にも、今得られている情報に関しては盛り込ませていただいて、添付文書では用法・用量に関連する注意の項で、最新のガイドライン等も参考にしながら、投与間隔について選択いただけるような注意喚起をさせていただいております。
○医薬品審査管理課長 先ほどの質問の1番目の御指摘で、がん化学療法に精通した医師、放射線治療に精通した医師がよく連携したような医療施設でしっかりと対応するべきだという先生の御指摘につきましては、機構のお答えにあるとおり、もちろん企業を通じての徹底は当然のこととして、それに加えて、この品目が承認される際には、私ども審査管理課の方から、各都道府県を通じて、医療の現場に通知を出しますので、その際に、こういう体制がしっかりと取れている所で使うようにという旨を盛り込んで、対応させていただきたいと思います。
○南委員 是非、その体制整備をお願いしたいと思います。投与間隔については、ガイドラインには24週という目安が書いてあったと思うのですが、ガイドラインを見なくて、添文だけで治療に当たれるのが本来は望ましいと思うのですが、そこまでは書き込めないのでしょうか。例えば「臨床試験の成績を参考に」と書いて、臨床試験の所には「何週から何週で投与されていた」という書き方も無理なのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 今回、評価資料とされた国内第II相試験は単回投与で実施されておりまして、添付文書の臨床成績の項での情報提供というのも難しい状況がございます。明確な投与間隔の基準もないという状況もあり、今得られている情報については、医療従事者向け資材にも書き込ませていただき、関連学会のマニュアルも参照いただきながら使っていただくというところで、先ほど御説明させていただいた注意喚起を考えております。
○南委員 分かりました。
○清田部会長 ほかにいかがでしょうか。
○渡辺委員 南先生の御指摘もごもっともですけれども、一般的に大学病院などですと、科が細分化されているので、内分泌がん関係の人がこのような内分泌系の悪性腫瘍を扱って、しかも放射線小線源を扱うということは、いくら厚労省から通達を出しても、大学病院では無理だと思うのですが、私がかつて勤務していた国立がんセンター中央病院や、がん研などの専門病院でしたら、そういうファシリティもありますし、内分泌系の疾患の悪性腫瘍というのを扱うような、私もそこに加わっていましたが、そういうグループは十分にあるので、それほど懸念して心配することはないと思いますし、厚労省から上位下達でチームができるというものでもないと思いますので、がん専門病院でしっかりと対応できるのではないかと考えております。もしあれでしたら、国立がん研究センターの山本昇先生の御意見を伺ったらいかがでしょうか。
○清田部会長 ありがとうございます。浦野先生から御質問があるようです。
○浦野委員 1点だけ伺いたいのは、甲状腺への遊離ヨードの集積を防ぐために、ヨウ化カリウムを投与して試験を行っていると思うのですが、今回の添付文書にはそのことが明示的には書いていないのですが、それはよろしいのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。本剤投与前のヨード剤の投与については、添付文書の7.2項の用法・用量に関連する注意の項で、「本剤の投与にあたっては、遊離した放射性ヨードが甲状腺から摂取されることを防止するため、本剤投与前にヨード剤を投与すること」という注意喚起をさせていただいております。
○浦野委員 添文の17.1.1の所に、ヨウ化カリウムを300mg/dayで、本剤投与の1~3日前から投与7日後までという形で書いてあるのですが、これは義務ではなくて、これを参考にしながら実際には使っていきなさいということになるのですか。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりで、臨床成績の項の第II相臨床試験の実施された内容について書かせていただきまして、それを参考にしていただきながら、本剤投与前のヨード剤投与というのは必須で行っていただきたいという注意喚起になります。
○浦野委員 これは必須なのですね。それで、300mgというのを守るということですか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床成績の項に書いている試験での設定を参考にしていただきながら、本剤投与前のヨード剤の投与については必須で行っていただきたいという注意喚起になります。
○浦野委員 ドーズをどの程度にするのかというのは、遊離ヨードがどの程度あるかによって決まってくると思うのですが、それが何も書いていないのですが、私は臨床医ではないので分からないのですが、これでいいのかどうかを伺いたかったのです。これまでもたくさん、こういった事例、βマイナスの治療薬はあると思うので、それはこういう形で、明示的に何mg/dayという形で示さないで、すごく小さくこれまでの臨床試験成績の所に「注3」という形で書かれているこの数字を読み取って、それで実際に決めるというようになっているものなのかどうかを伺いたかったのです。
○医薬品医療機器総合機構 御理解のとおりです。
○浦野委員 分かりました。
○医薬品審査管理課長 審査管理課の吉田でございますが、先ほどの私の発言については、渡辺先生の御指摘もございますので、専門の先生など、現場の状況を確認して、どのように対応するのか、承認までまだ時間はございますので、また御相談させていただきながら対応を考えたいと思います。
○清田部会長 ほかにはよろしいでしょうか。ありがとうございます。
 それでは議決に入りたいと思います。初めに、議題6の議決に入ります。南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきます。議題6について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 次に、議題12の議決に入ります。議題12について、改正を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、改正を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題7に移ります。議題7について、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題7、資料No.7、医薬品オプジーボ点滴静注20mg他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの30分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤は、Programmed cell death-1(PD-1)に対する免疫グロブリンG4サブクラスのヒト型モノクローナル抗体であるニボルマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする抗悪性腫瘍剤です。現在、本剤は、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫等に対して承認され、成人患者に対する用法・用量が設定されております。今般、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫の小児患者に対する本剤の用法・用量が承認申請されました。なお、本剤は、平成28年2月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年5月時点において、古典的ホジキンリンパ腫の小児患者に対する本剤の用法・用量が承認されている国又は地域はありません。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.19にございますとおり3名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第I相試験である1606試験が提出されました。有効性については、審査報告書10ページ中ほどの「7.1.1.1 国内第I相試験」の項を御覧ください。1606試験には難治性のホジキンリンパ腫患者の他、難治性の小児悪性固形腫瘍患者も組み入れ対象とされましたが、組み入れられた古典的ホジキンリンパ腫、以下、cHLと略しますが、cHL患者1例で完全寛解が認められました。当該結果に基づき本剤の有効性を評価することには限界があるものと考えますが、この結果に加えて、小児患者と成人患者との間で、cHLの病態及び診断・治療体系、並びに本剤の薬物動態に明確な差異が認められていないこと等も考慮し、本剤の一定の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書12ページ中ほどの「7.R.2 安全性について」の項を御覧ください。本剤の使用時において注意すべき有害事象は、成人患者と同様に、既承認の効能・効果に対する審査時等に注意が必要と判断された事象と同様であり、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による慎重な観察と、過度の免疫反応による副作用を考慮した鑑別診断や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人の小児患者における検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。以上のような審査の結果、機構は、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫の小児患者に対する、本剤の用法・用量を承認することは可能と判断いたしました。
 本剤は希少疾病用医薬品ではあるものの、再発又は難治性のcHLの成人患者に対して承認を取得し、本邦において一定の使用経験を有すること等を踏まえ、再審査期間は6年1日とすることが適当であると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議をよろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。
○中野委員 中野ですが、よろしいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○中野委員 一つ教えてください。用法・用量で、体重40kg以上の小児には、ニボルマブとして1日240mg、恐らく40kgに子供がなるのは、小学生から中学生に変わる辺りだと思うのですが、これに関して教えていただきたいのが、ここの小児というのは15歳未満でいいのかというのをお教えいただきたいのと、私がちょっと資料の読み込みが不十分なのかもしれませんが、ここで、体重が35kgだと投与量が100mgちょっとなのが、40kgで急に量が増える、この根拠は何か、お教えいただきたいと思います。
○清田部会長 機構からどうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。用法・用量に関して、小児患者全般に対して機構が推奨できると考えている用法・用量は、体重換算で3mg/kgの用量と考えております。ただ、先生から御指摘いただいたように、固定用量については、あくまで選択の余地を残しているという形で考えております。その際に、40kgのところに関しては、もちろん40kg以上の患者さんでも体重換算投与は可能ですし、ただ、状況に応じて固定用量で投与することの選択の余地を残しているものと考えております。
○清田部会長 分かりましたか。
○中野委員 了解いたしました。日本人小児で使用したのは1例なのですね。
○医薬品医療機器総合機構 その御理解で差し支えございません。
○中野委員 了解いたしました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りたいと思います。川上部会長代理、松下委員、南委員、宮川委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加は御遠慮いただくものといたします。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。
 事務局から、引き続き御説明をお願いいたします。
○事務局 審議事項議題7に関連して、オプジーボ点滴静注につきまして、その他事項として、最適使用推進ガイドラインを作成しておりますので、御説明させていただきます。資料No.17-2を御覧ください。先ほどまでと同様に各ページ一番下の通し番号で御説明いたします。
 改正内容は、再発又は難治性の古典的ホジキンリンパ腫の小児適応追加に伴い、3ページにありますように、一般社団法人日本小児血液・がん学会にも本ガイドライン改正に御協力いただいております。同じく3ページ枠内にあるとおり、用法・用量について小児に係る内容を追記しております。
 5ページに、今回審査された国内第I相試験の成績を記載しております。2レジメン以上の治療歴を有し、かつ同種造血幹細胞移植による治療歴のない、1歳以上24歳以下の難治性のホジキンリンパ腫及び難治性の小児悪性固型腫瘍患者を対象として、本剤投与の有効性を検討した結果を記載しております。安全性については、8ページ以降に記載しておりますが、新たに注意すべき事項は認められておりません。
 12ページの「施設について」の項には、網掛け部分の内容を追加しております。また、14ページに「投与対象となる患者」の項として、有効性に関する事項について、先ほど御説明した国内第I相試験の対象患者を追記しております。説明は以上です。
○清田部会長 今、ページが黒字の番号で御説明いただいていたようなので、少し分かりづらかったかもしれません。青字の番号とちょっとずれていたような気が私にはしますが、大丈夫ですか。皆さん理解できましたね。よろしいでしょうか。それでは、オプジーボ点滴静注20mg、同点滴静注100mg、同点滴静注120mg及び同点滴静注240mgの最適使用推進ガイドラインにつきましては、御確認いただいたものといたします。よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 続きまして、議題8に移ります。控え室にいらした山口先生にお戻りいただきたいと思います。
── 山口委員入室 ──
○清田部会長 それでは、議題8につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。
○医薬品医療機器総合機構 議題8、資料No.8、医薬品パドセブ点滴静注用30mgの製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの91分の幾つで記載している数字を使用いたします。
 本剤の有効成分であるエンホルツマブ ベドチン(遺伝子組換え)は、細胞接着分子であるNectin-4に対するヒト型モノクローナル抗体と、微小管重合阻害作用を有するモノメチルアウリスタチンEが共有結合している抗体薬物複合体です。本剤は、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するNectin-4に結合し、細胞内に取り込まれた後に遊離したモノメチルアウリスタチンEがアポトーシスを誘導すること等により、腫瘍の増殖を抑制すると考えられています。今般、本剤は、「癌薬物療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」を効能・効果として承認申請されました。令和3年5月時点において、本剤は、白金系抗悪性腫瘍剤及びPD-1/PD-L1阻害剤による治療歴のある根治切除不能な尿路上皮癌に係る効能・効果で2か国で承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.19にありますとおり9名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国際共同第III相試験であるEV-301試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書41ページの表28及び42ページの図2を御覧ください。白金系抗悪性腫瘍剤及びPD-1/PD-L1阻害剤による治療歴のある根治切除不能な尿路上皮癌患者を対象としたEV-301試験において、主要評価項目とされた全生存期間について、治験担当医師により選択された化学療法群に対する、本剤群の優越性が示されました。以上より、白金系抗悪性腫瘍剤及びPD-1/PD-L1阻害剤による治療歴のある根治切除不能な尿路上皮癌患者に対する本剤の有効性は示されたと判断いたしました。
 安全性については、審査報告書46ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意すべき有害事象として、重度の皮膚障害、高血糖、末梢性ニューロパチー、骨髄抑制、感染症、腎機能障害、間質性肺疾患、infusion reaction及び肝機能障害が認められております。これらの有害事象については、がん化学療法に十分な知識と経験を持つ医師による観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人における検討症例は限られていることから、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「がん化学療法後に増悪した根治切除不能な尿路上皮癌」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とすることが適当であり、生物由来製品に該当し、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方からの御質問を承りたいと思います。御質問はございますか。よろしいでしょうか。
○浦野委員 本薬群の性能は十分分かったのですが、IC群として担当医師によって選択された化学療法に対しての優越性という形で試験をされていると思うのですが、今回のこの薬剤は、抗体部分と抗がん剤部分のハイブリッドになっているので、抗体部分だけでの効果がどの程度出ているのかに関してのデータはあるのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。抗体部分だけの効果というものは確認されておりません。以上です。
○浦野委員 ここの抗Nectin-4抗体というもの自身の抗体医薬ではなく、ここまで先にベドチンですか、を付けたものである理由というか、何かベドチンとの比較というのが、片や、ただの化学療法剤などなのですよね。なので、確かにいいのですが、こういうデータの出し方でいいのかと。これは実際にそのベドチンを付けなくても同じことが起きてしまったらどうするのだろうというのは、基礎的な研究から見ると、そういうコントロールは絶対取るだろうと思ったのですが、マウスの実験でしたら、そういったものもないのですか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 少々お待ちください。大変お待たせいたしました。審査報告書において、非臨床の検討としても、抗体部分の薬理活性等の検討を行ったデータは示しておりません。
○浦野委員 分かりました。これは効くというのは分かったので、ここまで大仰なことをしなくても効いてしまうのではないかと思ったのですが、これ自身はまずいとは思わないので、結構です。ありがとうございました。
○清田部会長 南先生、お願いします。
○南委員 これは、Nectin-4の発現で投与の可否は判断しなくていいのでしょうか。臨床試験は発現に関わらず登録したようですが、91分の70ページの図を見ますと、Nectin-4が発現していない人には全く効いていないように見えるのですが、臨床試験全体で有効性が示せたので、こういう形で承認せざるを得ないのかもしれないのですが、何らかの形でこの情報提供をして、Nectin-4を調べてから使用するという制限は付けなくていいのでしょうか。それがまず第1点です。
 もう1点は、125mgで用量にキャッピングをかけるようなのですが、日本人には余り該当者はいないかもしれないのですが、125mgでキャッピングをかける理由はあるのでしょうか。臨床試験では125mgでキャッピングをかけていたのでしょうか。その2点を教えてください。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。1点目のNctin-4の発現と有効性の関連については、先生から御提示があったように、70ページに発現状況別の成績を載せていただいておりますが、我々の考え方としましては、次の71ページを含めて説明させていただければと思います。70ページで示しているデータはOSの結果になりますが、カットオフ値未満の患者さんに対しての奏効率やPFSの結果を、71ページの箇条書きの部分に記載させていただいております。こちらに示しているとおり、奏効率やPFSにおいては、カットオフ値未満の患者集団でも高い効果が示されていると考えております。また、今回のEV-301試験の対象患者さんにおいては、ほかに治療選択肢がないような状況であることなどを鑑みまして、Nectin-4の発現状況によらず、本剤を治療選択肢として提供することは適切であると判断いたしております。1点目は以上です。
 2点目です。体重が100kgを超える患者さんでキャップをしている理由を審査報告書73ページに記載させていただいております。体重100kgを境にPPK解析に基づく薬物動態の検討を行ったのですが、特に薬物動態に明確な差異は認められていないことや、奏効率も、そこを境にして検討しても変わらなかったという成績が得られておりましたので、125mgを上限とするという判断は適切であると考えております。説明は以上です。
○南委員 前半の部分は理解できたのですが、後半の、特に問題がないのであればキャッピングをかけずに、臨床試験の用法・用量のままでいいのではないかという気がするのですが、キャッピングをかけた理由をもう一度御説明いただけますか。臨床試験でキャッピングはかかっていたのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 お答えいたします。今回提出されている第III相試験では、100kgを超える患者さんは、125mgを上限とする規定で投与されておりました。
○南委員 分かりました。臨床試験でそれが用いられているのであれば、いいと思います。ありがとうございます。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。
○登美委員 よろしいでしょうか。
○清田部会長 登美先生、どうぞ。
○登美委員 この薬物ですが、P-gpの基質であることが分かっている、かなり強い基質かと思ったのですが、これは安全性には特に懸念がないという説明にはなっているのですが、有効性とか、耐性発現とか、個体差とか、そういったところには余り関係しないのでしょうか。
○清田部会長 機構からお答えください。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。直接的な検討を行ったデータはありませんが、今回、非臨床薬物動態の検討においても、今回のMMAEの血中薬物濃度を踏まえて考えますと、P-gpによる影響を受けないというような考察がなされているところです。以上です。
○登美委員 それは、薬物動態学的な話ではなくてですか。質問としては、どちらかといえば有効性というか、腫瘍細胞におけるP-gpの発現などは考えなくていいのかというところですが。
○南委員 南ですが、今の点に関して発言をいいでしょうか。
○清田部会長 どうぞ。
○南委員 MMAEを付けたADCは、今までにも幾つか臨床で使われていて、その耐性化機序の一つとしてP-gpの発現等は言われていますが、投与開始時においてP-gpに関して使用を制限しているようなものもありませんし、今回の臨床試験でも区別していませんので、承認そのものはいいのではないかと思います。耐性獲得の機序の一つとしては考え得ると思います。
○登美委員 ありがとうございます。
○清田部会長 よろしいでしょうか。
○登美委員 分かりました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。ないようですので、議決に入りたいと思います。亀田委員、中野委員、南委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続いて、議題9に移ります。議題9に関して、機構から概要の御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題9、資料No.9、医薬品メグルダーゼ静注用1000の製造販売承認の可否等について、機構より説明いたします。以後の審査報告書のページ数は、各ページの52分の幾つで記載の数字を使用します。
 メトトレキサート、以下、MTXと略しますが、MTX・ロイコボリン救援療法では、大量のMTXの投与により腎機能障害が発現し、MTXの排泄が遅延することにより、重篤なMTX中毒が発現する可能性があります。本剤の有効成分であるグルカルピダーゼ(遺伝子組換え)は、MTXのカルボキシル基末端のグルタミン酸残基を加水分解する遺伝子組換えタンパクであり、MTXを加水分解することにより、血中のMTX濃度を低下させると考えられています。今般、本剤は「メトトレキサート中毒」を効能・効果として承認申請されました。なお、本剤は令和2年7月の当部会における審議を経て、希少疾病用医薬品に指定されております。令和3年5月時点において、本剤はMTX排泄遅延時の解毒に係る効能・効果で米国のみで承認されています。本品目の専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料No.19のとおり9名の委員です。
 以下、臨床試験成績を中心に、審査の概要を説明いたします。今般の承認申請では、主な臨床試験成績として、国内第II相試験であるCPG2-PII試験が提出されました。
 有効性については、審査報告書25ページの下から3行目を御覧ください。MTX・ロイコボリン救援療法の施行によりMTX排泄遅延が認められた成人及び小児患者を対象としたCPG2-PII試験において、主要評価項目とされた本剤投与開始20分後から4日後までの全ての採血時点で中央測定による血漿中MTX濃度が1μmol/L未満となる割合は、76.9%でした。また、審査報告書28ページの「7.R.2.1 臨床的位置付けについて」の項を御覧ください。海外の診療ガイドライン及び教科書において、本剤はMTX排泄遅延患者に対する治療選択肢の一つとして位置付けられている旨が記載されております。CPG2-PII試験等の臨床試験において、血中MTX濃度に対する一定の低減効果が認められたことに加え、海外の診療ガイドライン等における記載状況等も考慮すると、MTX排泄遅延患者に対して本剤の有効性は期待できると判断いたしました。
 安全性については、審査報告書32ページの「7.R.3 安全性について」の項を御覧ください。本剤投与時において特に注意を要する有害事象として、過敏症が認められておりますが、当該有害事象の観察や管理等の適切な対応により、忍容可能と判断いたしました。ただし、日本人に対する本剤の検討症例は限られており、製造販売後には、本剤を使用した全例を対象とした使用成績調査の実施が必要であると判断し、承認条件としております。
 以上のような審査の結果、機構は、「メトトレキサート・ロイコボリン救援療法によるメトトレキサート排泄遅延時の解毒」を効能・効果として、本剤を承認することは可能と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから、再審査期間は10年とすることが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当すると判断いたしました。薬事分科会には報告を予定しております。
 なお、審査報告書7ページの表3において誤記がございましたため、「資料No.9審査報告書差換え」の冒頭の修正表のとおり、修正させていただきます。大変申し訳ございませんでした。なお、本修正による審査結果の変更はございません。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問がございましたら承りたいと思います。いかがでしょう。大丈夫ですか。
○南委員 南ですが、確認させてください。本薬に対する抗体、これは細菌の酵素ですので抗体ができやすいと思いますし、実際、抗体ができて、中和抗体まで形成されているようです。メトトレキサートは繰り返し投与される場合も多いと思います。市販後でのデータで「アナフィラキシーの報告もある」という記載があったように思いますが、この再投与のときの注意喚起は必要ないでしょうか。「アナフィラキシー頻度不明」という記載はあるのですが、抗体はかなりの頻度でできていますので、アナフィラキシーと、あるいは効果が落ちるなどの、もう少し強い注意喚起は必要ないでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構より回答させていただきます。御指摘のように、本薬投与後に抗体の産生が認められております。また、海外の市販後において、本薬の再投与が実施された患者さんでアナフィラキシーが認められた旨が報告されております。ただ、抗体の産生とアナフィラキシーの関連は必ずしも明確ではないという状況でございますので、アナフィラキシーが発現する可能性がある旨は注意喚起はしておりますが、抗体との関連については言及しておりません。
○南委員 添文で、1回投与した後に抗体がかなりの頻度で形成されるということは、書き込むことは無理でしょうか。
○清田部会長 添付文書にですか。
○南委員 添付文書か、あるいはインタビューフォームでもいいと思うのですが。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。添付文書案の「15.1 臨床使用に基づく情報」の項で、頻度は記載しておりませんが、国内での臨床試験で本剤に対する抗体の産生が報告されている旨の注意喚起をしております。
○南委員 69%とか、40%とか結構な頻度でできているようですので、もし可能であれば、もう少し具体的な数字を何らかの形でユーザーに伝えるようにしたほうがいいように思いますが、どうでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。今御指摘いただいた産生の発現状況については、詳細な情報も含めて、資材の方で情報提供させていただきたいと考えております。
○南委員 了解しました。
○清田部会長 ほかに御質問はございますか。よろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告とさせていただきます。
 続きまして、議題10に移ります。松下委員におかれましては薬事分科会審議参加規程第5条に基づき、議題10の審議の間、会議から御退室いただいて、御待機いただくことにいたします。松下委員は御退室をお願いいたします。
── 松下委員退室 ──
○清田部会長 それでは、議題10について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題10、資料No.10、エミシズマブ(遺伝子組換え)を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。
 希少疾病用医薬品該当性事前評価報告書のファイルをお開きください。資料No.10-2です。報告書の1ページ中段にございますように、申請者は「中外製薬株式会社」、予定される効能・効果は「後天性血液凝固第VIII因子欠乏(後天性血友病A)患者における出血傾向の抑制」です。まず1ページの「対象患者数」についてですが、後天性血友病Aは指定難病の「自己免疫性後天性凝固因子欠乏症」(指定難病288)に含まれる疾患であり、公益財団法人エイズ予防財団の調査によると、本邦における後天性血友病Aの患者は254人と報告されていることから、指定基準を満たしているものと考えております。
 次に、「医療上の必要性について」ですが、後天性血友病Aは、血液凝固第VIII因子に対する自己抗体によって第VIII因子活性が著しく低下し、出血症状を呈する疾患であり、重篤・致死的な出血をきたすこともあります。止血のために現在バイパス製剤が使用されていますが、バイパス製剤に対する効果不十分例も存在することが報告されております。また、バイパス製剤投与後の止血効果のモニタリングの指標は必ずしも十分に確立しているものではなく、凝固因子の過剰投与による血栓塞栓症のリスクも存在しております。こういった状況で、本剤は活性型血液凝固第IX因子と第X因子に結合して、第VIII因子の機能を代替する二重特異性抗体であり、後天性血友病Aの止血治療において、既存のバイパス製剤とは異なる作用機序で止血効果を示すことから、新たな選択肢となることが期待されており、本剤の医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性ですが、現在、日本国内において後天性血友病A患者を対象とした第III相臨床試験を実施中であることから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。したがいまして、希少疾病用医薬品の指定の3要件を満たしていると考えておりますので、本件について御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問を承りたいと思います。御質問はございますか。大丈夫ですか。ありがとうございます。それでは、議決に入りたいと思います。亀田委員、川上部会長代理、濱委員、南委員、宮川委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。それでは、ロビーで待機されている松下委員をお呼びください。
── 松下委員入室 ──
○清田部会長 続きまして、議題11に入ります。議題11について、事務局から概要の御説明をお願いいたします。
○事務局 議題11、資料No.11、イスラトラビル水和物を希少疾病用医薬品として指定することの可否について、御説明いたします。資料No.11のうち、機構の事前評価報告書のファイルをお開きください。まず、報告書の1ページですが、申請者は「MSD株式会社」、予定される効能・効果は「HIV-1感染症」になります。「対象患者数」について御説明いたします。厚生労働省エイズ動向委員会の報告によると、本邦における2020年12月27日までのHIV感染者及び凝固因子製剤による感染例を除いたAIDS患者の累積報告例数は、それぞれ2万2,471例及び9,982例でして、また、5月31日までの凝固因子製剤によるHIV感染者の累積報告例は1,440例でした。以上より、5万人以下という基準を満たしているものと考えております。
 続いて、「医療上の必要性について」ですが、本邦では抗HIV薬として、5種類の作用機序の薬剤が承認されております。ただ、現在の抗HIV療法として一般的な併用レジメンは、アドヒアランスの問題や多剤治療歴を有するHIV-1感染症患者に対する治療選択肢が乏しいといった課題があると考えられます。本薬は、新規の核酸系逆転写酵素トランスロケーション阻害剤であり、非核酸系逆転写酵素阻害剤であるドラビリンとの2剤から成る新規の固定用量配合剤として開発されております。in vitroの結果等から、多数の薬剤が併用されるHIV-1感染者において、抗HIV療法における選択肢の一つとなり得ることが期待されており、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に「開発の可能性について」ですが、抗HIV薬による治療経験がない成人HIV-1感染症患者を対象とした海外第II相試験の結果、主要評価項目を達成した被験者の割合は対照群と同様であり、また安全性も許容可能だったことから、本剤の開発の可能性は高いと考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、委員の先生方から御質問がありましたら承りたいと思います。いかがでしょう。よろしいでしょうか。それでは議決に入ります。亀田委員、横幕委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議がないようですので、指定を可とし、薬事分科会に報告させていただきます。
 続きまして、報告事項に移ります。それでは、報告事項議題1~3及びその他事項議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 まず、報告事項の議題1について御説明いたします。医薬品ノクサフィル錠について、資料No.13を御覧ください。ノクサフィル錠100mg及び同点滴静注300mgは、アゾール系抗真菌薬であるポサコナゾールを含有する錠剤及び注射剤であり、現在は、造血幹細胞移植患者又は好中球減少症が予測される血液悪性腫瘍患者における深在性真菌症の予防、及び深在性真菌症(フサリウム症、ムーコル症、コクシジオイデス症、クロモブラストミコーシス、菌腫)の治療を効能・効果として承認されております。
 今般、MSD株式会社から、侵襲性アスペルギルス症の治療に係る効能・効果を追加する一部変更の申請がなされました。機構における審査の結果、本品目を承認して差し支えないと判断されております。
 続いて、報告事項の議題2です。資料No.14をお開きください。最下部の28分の1の所を御覧ください。この資料、後半に不要な部分が添付されており、大変申し訳ございませんが、前半部分のみを参照していただければと思います。大変失礼いたしました。前半の28分の2ページに、概要を記載しております。ニボルマブを有効成分とする医薬品オプジーボですが、この承認条件が28分の3ページの下線部の「根治切除不能な悪性黒色腫」については、ここに記載のとおり全症例を対象とする調査に関する承認条件が付されております。この度、小野薬品工業株式会社からこの条件に基づき実施された使用成績調査の結果が提出され、機構によって評価されましたので、御報告いたします。
 28分の4ページから、この評価の内容を記載しています。悪性黒色腫の効能・効果に対する治療を目的として本剤を使用した全症例を対象に、平成26年7月4日から調査が実施されており、令和2年10月31日までに本剤の投与が開始された2,069例の情報を基に、調査結果がまとめられました。本調査において、収集された安全性及び有効性は製造販売承認時に検討された臨床試験と比較して新たな懸念事項は認められず、現時点で注意喚起が必要な新たな副反応は認められませんでした。このような内容から、承認条件は適切に対応されたと判断されております。
 続きまして、議題3の、再審査結果について、御報告いたします。資料No.15の1~3までの資料を御覧ください。資料No.15-1については、カンサイダス点滴静注用、資料No.15-2についてはテノゼット錠、資料No.15-3についてはロタテック内用液に関する再審査の結果をまとめております。今回、これらの品目について、企業から製造販売後調査等の結果が提出され、機構における審査の結果、いずれも効能・効果、用法・用量の変更のないカテゴリー1として評価されております。以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、報告事項の議題1~3については御確認いただいたものといたします。
 続きまして、その他事項に移ります。それでは、その他事項議題1について、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 その他事項議題1、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価について、御説明いたします。今回は、令和3年8月4日に開催された第46回の医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において、公知申請を行うことが適当と判断され、本部会に御報告する品目は1品目ございます。その他事項の資料No.16、公知申請事前評価報告書のファイルをお開きください。
 本要望は、乾燥人フィブリノゲンに係る産科危機的出血及び心臓血管外科手術に伴う後天性低フィブリノゲン血症に関する日本産科婦人科学会からの要望です。本要望については、令和2年2月の第40回の検討会議において、医療上の必要性が高いと判断され、開発要請が行われております。本要望の公知該当性について説明いたします。
 本剤の有効性について、19分の11ページの(1)を御覧ください。公表論文においては、フィブリノゲン製剤の投与により、血中フィブリノゲン値が150mg/dL未満の低フィブリノゲン血症患者における血中フィブリノゲン値の上昇が確認されたほか、無作為化比較試験では、輸血を必要とする患者が減少するとの報告もあります。ただし、産科危機的出血及び心臓血管外科手術における出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症患者における予後改善への寄与を示す確証的な情報はございません。一方で、後天性低フィブリノゲン血症に対するフィブリノゲン製剤の投与については、ドイツでの承認があるほか、国際的な教科書及び診療ガイドラインでは投与が推奨又は考慮すべきとされております。また、大量出血時の全身管理において、他の因子に先立ち止血可能域を下回ることが知られているフィブリノゲンを補充することには一定の合理性があること等も考慮し、フィブリノゲン製剤投与によるフィブリノゲン補充の有効性は期待できると判断されました。
 次に、安全性についてですが、11ページ~12ページにかけての(2)の部分を御覧ください。国内外の臨床試験等において、既知の副作用である血栓塞栓症の発現割合が明らかに高くなることは示されておらず、フィブリノゲン製剤の投与において、新たな安全性上の問題が認められる可能性は低いと判断されました。ただし、本剤はヒト血液に由来し、ドナー由来の感染症に対する安全対策によっても感染症伝播リスクを完全に排除することはできないことから、適切な投与対象や投与条件に該当する症例に限って投与することが必要、とされています。以上より、産科危機的出血、心臓血管外科手術における出血に伴う後天性フィブリノゲン血症に係る本要望の内容は医学薬学上公知であると判断されました。なお、検討会議において、効能・効果及び用法・用量は12/19~14/19ページに記載のとおりの内容とすることが適切と判断されました。
 14/19ページを御覧ください。本剤は今ほど御説明したとおり、適切な投与対象や投与条件に該当する症例に限り投与されることが必要と判断されました。そのため、本剤の要望内容に係る使用は、血中フィブリノゲン値の迅速測定が可能であり、また産科危機的出血の管理や人工心肺を用いた心臓血管外科手術に精通する医師が常駐する施設に限定することが適切と判断されています。加えて、要望者や関連学会において、適正使用に係るガイドラインの作成などの周知活動や使用実態の把握を行うことにより、予防的な投与などの本剤乱用の防止等を図ることが必要、とされております。なお、既に、要望者や関連学会において、これらの点の議論が進められているものと承知しております。公知申請事前評価報告書の説明は以上です。
 続きまして、追加でお送りしました「後天性低フィブリノゲン血症における乾燥人フィブリノゲンの使用に関する今後の取扱い」を御覧ください。本日は、今ほど御説明いたしました産科危機的出血及び心臓血管外科手術における出血に伴う後天性低フィブリノゲン血症について事前評価をいただきたいと考えております。一方で、要望者からは、「フィブリノゲン製剤の適応拡大に関する申出書」が提出されており、心臓血管外科手術で実際に使用できるようにするのは、日本心臓血管外科学会が行う適正使用に関する調査の実施後にしてほしいと申し出られております。本調査は、心臓血管外科手術に関するオペレーション上の調査、そういったものと聞いております。なお、フィブリノゲン製剤は人の血液から製造される医薬品であり、製造販売業者による供給量には限界があることも知られており、先天性患者と比べて、後天性低フィブリノゲン血症が発生し得る手術の件数が極めて多いことが、安定供給にどのような影響を与えるか留意する必要があると考えております。そのため、本日、公知申請の事前評価について御確認いただけた場合には、要望者からの申出を踏まえ、まずは産科危機的出血のみ使用可能とするよう取り扱いたいと考えております。その上で引き続き要望者や関連学会とも相談をし、調査の状況、製造の供給量を適切に勘案し、心臓血管外科においても使用可能となるよう、手続を進めさせていただきたいと考えております。説明は以上です。
○清田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問はございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、その他事項議題1について、御確認いただいたものといたします。
 本日の議題は以上ですけれども、事務局から何かございますか。
○事務局 次回の部会は11月4日、木曜日、午後6時から開催させていただく予定です。よろしくお願いいたします。
○清田部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもお疲れ様でした。
( 了 )
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬・生活衛生局

医薬品審査管理課 課長補佐 柳沼(内線2746)