第5回がんとの共生のあり方に関する検討会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年12月23日(木)16:00-18:00

場所

オンライン開催

議題

  1. (1)座長の選出について
  2. (2)「ライフステージに応じたがん対策」について
  3. (3)その他

議事

議事内容
○がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回「がんとの共生のあり方に関する検討会」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局を務めさせていただきます健康局がん・疾病対策課の岩佐です。よろしくお願いいたします。
なお、本部会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきいただければと思います。
また、会議の最中、構成員の皆様方には画面をオンにしていただきまして、御発言等ございましたら挙手もしくは挙手ボタンを押していただきまして、事務局等から指名がありましたら御発言するようにお願いいたします。
構成員につきましては、参考資料1の裏面に構成員名簿を掲載させていただいておりますので、御参照いただければと思います。限られた時間でございますので、構成員の皆様方の御紹介につきましては割愛させていただければと思います。
本日は、11名の構成員に御出席いただくことになっております。森内構成員が御欠席、また、羽鳥構成員が若干遅れての御出席と伺っております。
また、本日、参考人といたしまして、独立行政法人国立病院機構九州がんセンター院長の藤也寸志先生に御参加いただいておりますので、御承知おきいただければと思います。
続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は、厚生労働省のWebサイトにも掲載してございますが、議事次第、資料1~2、参考資料が1~3がございますので御確認いただければと思います。
なお、参考資料2につきましては、公開資料となっております。参考資料3につきましては、第3期がん対策推進基本計画の一部抜粋となっております。時間の都合上、御説明は割愛させていただきますが、議論に際しまして適宜御参照いただければと思います。
それでは、議題(1)「座長の選出について」に移りたいと思います。参考資料1を御覧いただければと思います。本検討会の開催要綱となっております。「3.その他」の(2)におきまして「構成員の互選により座長をおき、検討会を統括する」とされております。こちらにつきまして、事前に高山構成員から座長として西田俊朗構成員にお願いしてはどうかと御推薦をいただきまして、構成員の皆様方に事前に御意見を頂戴したところ、ぜひ西田構成員にという御意見でございました。そのため西田構成員に座長をお願いしたいと思いますが、何か御意見・異議等ございますか。
(発言者なし)
○がん対策推進官 特にございませんようでしたら、西田構成員に座長をお願いし、以降の進行につきましては西田座長にお願いしたいと思います。
それでは、一言御挨拶をいただきまして、その後進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○西田座長 御指名いただきまして、ありがとうございます。西田俊朗と申します。
この会は第5回になるのですけれども、これまで4回行われてきましたが、ほぼ2年前までこの会が開かれていたのですけれども、そのときには自己紹介で言いますと国立がん研究センターの中央病院に勤務しておりました。コロナのさなかに人事異動がありまして、現在は大阪駅から少し行ったところにあるJCHO大阪病院に勤務しております。同時に、がんセンターもまだ併任しておりまして、いろいろながん対策に対してやっておりますので、ぜひ皆さん方とがんとの共生で、いい検討あるいは方向性を見つけられればいいかなと思います。
今日は無理を申しまして、藤先生に参加いただいています。私から無理を申しあげました。この会は、拠点病院を中心にがん医療をやっていかなければいけないのですけれども、拠点病院がどう動いてくれるか現実的なところをコメントいただくのがインプレメンテ-ション(実装)というところでは非常に重要かなということが一つ。それから、緩和ケア等が共生の主なテーマなのですが、同時にがんの患者さんは1つだけではないです。治療といったことがございます。そちらの座長をやられていますので、情報共有しておくことは非常に大切なのではないかと思って、参考人として出席いただいて、場合によっては御意見をぜひいただきたいと思っています。
新しく4人の方も加わりました。それから、先ほど申し上げましたように最後の会をやったのが、ほぼ1年と11か月前ですので、私も前の資料を見てきたのですけれども、新しい方は当然詳しいことは御存じないと思いますし、前回から参加している先生方も頭をもう一回リフレッシュし、復習しておいたほうがいいと思います。まず、これまでの議論に対してもう一度整理をさせていただきたいと思います。
それでは、事務局から御説明をお願いしてよろしいでしょうか。
○事務局 事務局でございます。資料1を御参照ください。こちらは2020年1月に開催されました第4回本検討会の議論の整理となっております。
2ページを御覧ください。緩和ケアに関する実地調査パイロットについて御議論いただきました。課題といたしましては、調査の目的についてピアレビューとの違いを理解し、すみ分けを行う必要があるのではないか。
調査方法として、病院と都道府県の負担が大きく、実施方法の検討が必要である。評価者の均一化が必要である。対象施設は、都道府県が決定することとしてはどうかと御意見をいただきました。
3ページを御覧ください。がん患者の自殺の実態調査と専門的ケアにつなぐ体制について議論いただきました。身体的状況やライフステージがハイリクスの要因になるのではないか。がん告知後や治療の変更などが注意するポイントになるのではないか。周囲の人たちが参加するシステム構築が必要など御意見をいただきました。
4ページを御覧ください。がんの緩和ケアに係る部会を設置した経緯となります。第3回の本検討会において構成員より、がんと診断されたときからの緩和ケアの推進について、別途議論の場を設ける必要があると御意見をいただきました。第4回の本検討会で承認をいただきました。
次に、5ページを御覧ください。がんの緩和ケアに係る部会の概要となります。2021年7月に部会を設置いたしました。検討事項といたしましては、がんと診断されたときからの緩和ケアの普及と充実について。がんの緩和ケアの実施体制、質の向上についてなどを挙げております。
6ページを御覧ください。がんの緩和ケアに係る部会におけるこれまでの議論となります。第1回目を7月2日に開催し、以降第3回まで開催しております。
7ページ以降については、がんの緩和ケアに係る部会における今後の議題の案となっております。
以上となります。
○西田座長 まとめていただきまして、ありがとうございます。
まず、これまでの4回に関して、構成員の皆様方から何か御意見ございますか。
羽鳥構成員、お願いします。
○羽鳥構成員 日本医師会の羽鳥です。
がん患者の自殺のことでお伺いしたいと思います。がん患者さんの自殺が多いというのは大変憂慮すべきことだと思います。診断治療の初期の診断を受けての治療などの状況で自分の命を絶ってしまうことが多いのか、それともいわゆるステージ4やあるいはどうも予後がよくなさそうだと、終末期が自分でも想像できるようになった、そういうことを悲観して自殺することがあるのか、その辺の検討をされておりましたら一度教えていただけたらと思います。
以上です。
○西田座長 推進官、お願いします。
○がん対策推進官 厚生労働省として全国がん登録データの中で、がんの進展度ごとに自殺でお亡くなりになった方を調べたものがございますが、がん患者さんの自殺のリスクが一般人口の大体2.68倍と高くなっておりますが、その中で進展度が限局、比較的ステージが低い方については1.98倍、領域浸潤の方は2.93倍、遠隔転移の場合は4.19倍という形で、がんが進行するほどリスクは高いという状況です。
一方で、まだ診断が確定していない段階なのかどうかについては、このデータからは分からないところではありますが、進展度ごとですとそのような状況でございます。
○西田座長 よろしいでしょうか。ほかに御質問ありますか。
牧野構成員、お願いします。
○牧野構成員 日本介護支援専門員協会副会長の牧野と申します。よろしくお願いいたします。
先ほど御提示いただきました資料1の7ページの終末期の課題のマル4に「がん患者の介護保険の利用と、ケアマネジャーに対する教育について」とございますが、ここをもう少し詳しくお聞きしたく思うのですが、よろしいでしょうか。
○西田座長 推進官からよろしいですか。
○がん対策推進官 ここで御紹介させていただいた内容につきましては、今後がんの緩和ケアに係る部会において、緩和ケアに特化した形で議論をさせていただこうと思っている内容をお示ししております。こちらもまだ予定ということでございますので、方向性は変わっていくのかと思いますけれども、在宅での緩和ケアを終末期を前提に考えていった場合に、介護保険をどう利活用していくのか、それらをケアマネジャー等々を通じて、どのようにさまざまな制度を組み合わせてうまく活用していくのかを、この緩和ケアに係る部会の中でも議論していただく必要性があると思っておりますので、中身はまだ細かくは決まっていないですけれども、そういった内容の論点があるのではないかとされております。
○西田座長 ちょうど参加されている木澤構成員や羽鳥構成員、前田構成員がいらっしゃいますけれども、何か追加がありましたら。よろしいですか。
先ほどの自殺の件は、がんセンターではまだ完全にフィックスしたデータではなかったと思いますが、たしか告知の後に非常に高くなっていたと記憶しています。どういう時期に自殺の可能性がある人の前兆を捉えるか、ゲートキーパーという表現をされていますけれども、ゲートキーパーがいかにシグナルを捉えるかがまだ完全にできていないというのが大きな問題かなという議論になったと思います。
木澤構成員どうぞ。
○木澤構成員 同じことを発言しようと思っていました。がんセンターで調査が行われて、診断から6か月以内がピークになっているということが既に分かっているので、それは注意して対応しないといけないのではないかと考えています。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。そのシグナルをどう捉えるか、ハイリスク患者をどう見つけるかというのが多分今までの一番大きな課題かなと私自身は理解しています。
前回までの議論に関して、ほかはよろしいでしょうか。新しく加わった構成員の皆様方も、これで一応御理解いただいたということで、皆さん同じステージに立ったという形で本日の「ライフステージに応じたがん対策」について、まずは事務局から御説明いただこうと思いますが、非常に量が多いので3つに分けて、最初の小児からお願いできますか。
○事務局 それでは、資料2「ライフステージに応じたがん対策」について御説明いたします。
2ページを御覧ください。本日の議題です。「1.小児・AYA世代にあるがん患者とその家族への支援体制の整備について」「2.義務教育終了後におけるがん患者の教育支援について」「3.高齢がん患者の支援について」となります。
3ページを御覧ください。小児・AYA世代のがんの特徴といたしましては、小児・AYA世代はほかの世代に比べ患者数が少なく、小児がんは白血病、脳腫瘍、リンパ腫などの希少がんが多く、30代では乳がん、子宮頸がん、大腸がんなどが多くなることを示しております。
4ページを御覧ください。ライフステージに応じた生活課題といたしましては、小児・AYA世代のがん患者は、ライフステージの早い段階で発症し、治療期と心身の成長が重なり、長期にわたる合併症を起こすリスクがございます。また、晩期合併症のため、治療後も長期にわたるフォローアップを要します。年代によっては就学、就労、生殖機能等の状況が異なり、個々の状況に応じた多様なニーズが存在することを示しております。
5ページを御覧ください。小児がん中央機関と拠点病院・連携病院の概要となります。国立成育医療研究センター、国立がん研究センターを1か所ずつ設置し、地域ブロックごとに小児がん拠点病院、小児がん連携病院を設置しております。
6ページを御覧ください。小児がん拠点病院の全国15か所の配置状況を示しております。
7ページを御覧ください。小児がん拠点病院の要件の概要となります。役割といたしましては、地域における小児がん医療及び支援を提供する中心施設として、また、AYA世代にあるがん患者に対しても適切に医療及び支援を提供する施設として役割を担っております。
要件といたしましては、診療機能や医療従事者の配置、相談支援センターの設置、療育環境の整備などがございます。
8ページを御覧ください。小児がん拠点病院施設整備事業といたしまして、御家族の宿泊施設やプレイルームの整備について補助事業を行っている内容となっております。
9ページを御覧ください。小児がん連携病院に求められる要件として3つの類型をお示ししております。地域の小児がん診療を行う連携病院、特定のがん種等について診療を行う連携病院、小児がん患者等の長期の診療体制の強化のための連携病院としております。
10ページを御覧ください。小児・AYA世代にあるがん患者とその家族への支援に関する取組状況をお示ししております。上段が現在、国が行っております施策、下段が厚生労働省の科学研究で行われている取組の内容となっております。
11ページを御覧ください。がん対策推進協議会の中間評価に関する内容となっております。患者体験調査等を用いた指標となっておりますが、治療開始前に教育支援について医療従事者から説明を受けた割合、治療と教育の両立に関する支援を受けた割合、家族の悩みや負担を相談できる支援が十分にあると感じている患者・家族の割合といたしまして、がん対策推進協議会の委員の皆様方からは、更なる推進が必要であると御意見を頂戴いたしております。
12ページを御覧ください。小児・AYA世代にあるがん患者とその家族への支援体制の整備についてです。
13ページを御覧ください。厚生労働省の委託事業であります小児・AYA世代の長期フォローアップ体制整備事業となります。小児がん拠点病院等で長期フォローアップを担当する多職種協働チームを育成するための研修プログラムや教材等を作成し、研修を実施しております。
14ページを御覧ください。厚生労働省の科学研究で作成した患者・家族向けの情報提供の資材の内容となっております。
15ページを御覧ください。AYA世代にあるがん患者のアンメットニーズの内容となっております。15歳以上で発症したAYA世代にあるがん患者への調査となっております。治療中にさまざまな不安や悩み等を持っているが、医療機関で「相談したかったが、できなかった」と回答した人の割合を示しており、「できなかった」と回答した割合が一定数いることをお示ししております。
16ページを御覧ください。治療中の体験についての内容となっております。医療スタッフから年齢に応じた説明や生活上の留意点に関する情報提供について、必ずしも十分な説明がなされているわけではないという状況がございます。
17ページを御覧ください。小児がん経験者長期フォロー支援についての調査内容となっております。小児がん経験者のおよそ2割は健康状態がよくないと回答しており、9割の方が成人後も定期検診、晩期合併症等で通院している状況を示しております。
18ページを御覧ください。本日の論点となります。
検討の視点といたしまして、小児・AYA世代にあるがん患者は、治療期と心身の成長が重なり、多様なニーズに応じた対応が求められております。小児がん経験者は、定期検診や晩期合併症による継続的受診が必要であり、成人の診療を行う医療機関も含め、長期フォローアップができる体制整備が必要ではないか。また、相談に係る課題といたしまして、小児がん患者に関しては小児がん拠点病院が整備されておりますが、AYA世代についてはその対応が明確化されておらず、医療機関で「相談したかったが、できなかった」と回答した患者が一定数おり、相談支援体制の整備が必要ではないかとしております。
検討に当たってのポイントといたしまして、がん患者とその家族が相談・情報にアクセスしやすい環境整備について。拠点病院等におけるニーズの把握と支援体制のため多職種連携、人材育成について。小児がん拠点病院等とがん診療連携拠点病院等の連携体制としております。
事務局からは以上です。
○西田座長 ありがとうございました。非常にコンパクトにまとめていただき、最後で本日ぜひ議論したいところを提案していただいています。確かに、小児・AYAと簡単に一言で言いますけれども、0歳児から40歳近い人まであって、その間の人生の変化はすごく大きいと思います。ニーズも全然違うと思います。ですから、これをひとまとめに議論するのはなかなか難しいのですけれども、今、一番重要なところに関して議論をしたいと思いますので、まず全体を通して、ぜひこれだけは言っておきたいという御意見がございましたら、遠慮なく手を挙げていただければありがたいです。
鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 認定NPO法人マギーズ東京の共同代表理事の鈴木と申します。私自身、24歳のとき、もう14年も前になるのですけれども、乳がんを経験したAYA世代のがん経験者です。
AYA世代についてですけれども、対策や情報は本当にここ数年で増えてきていると思います。ただ、まだまだ相談支援体制は必要で、情報や対策もばらばらに散らばっているので、どこか信頼できるところがまとめる役割をそろそろすべきときだと感じています。
また、診断がついたときに、しっかりと情報提供できる仕組みも必要だと思います。対策は進んでいると感じているのですけれども、必要なタイミングで必要な情報が得られる仕組みがまだまだ整理が必要だなと感じています。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。自分の経験も通して言っていただいたと思うのですけれども、岸田構成員、同じ立場で何かございますか。
○岸田構成員 この議論の中で発言しても大丈夫ですか。
○西田座長 言っていただいて結構です。
○岸田構成員 ありがとうございます。私自身も25歳と27歳でがんを経験しているのですけれども、今がん経験者さんのインタビューをインターネットで発信等々している者でございます。
この議論の中でお伝えしたいことが小児について2つあります。小児の患者さんもそうですが、親御さんと話をしていると、子どものために仕事を辞めたという方も一定数いらっしゃる中で、参考資料2、小児患者体験調査の21ページ「経済的負担」の中で、家族が仕事や働き方を変えたというのが65.5%あるかと思います。そこで、家族への支援や親へのフォロー体制も大事だということを付け加えさせていただきたいのと、長期フォローアップは今後本当に大事になってきます。小児の方、AYA世代も含めて、長期フォローアップが必要になってくると思います。私の場合も東京の病院で治療を受けて、療養のために大阪に戻りました。ただ、大阪に戻ったときに、手術の影響で肺に異常が出た際に、どこの病院などに行けばいいのかが全然分からなかったんです。もちろん、がん診療連携拠点病院が近くにあればいいのですけれども、そうではない場合などでは、地域の医療の資源の明確化や可視化は必要ではないかと思っております。
次にAYA世代について大きくお伝えしたいのは、資料2の15ページのアンメットニーズの部分です。メットを含めても第3位に経済的なことが入っています。がん体験調査でも10人に1人は、ほかの世代に比べて倍の方が費用で治療を変えた、断念したという資料もありますし、私もお金がなくて苦しんだこともありました。今後の緩和ケアの土台でも話になるかもしれませんが、在宅療養をする方がAYA世代、もちろんいろいろな方もいらっしゃると思います。そこで、40歳未満の介護保険の検討についての支援が今抜けていると思いますので、経済的支援がAYA世代としてあると嬉しく思います。
○西田座長 患者として体験した御指摘をありがとうございました。たくさんあるので1ずついきましょう。
まず、多分患者さんにとって、どこに行くかという情報や相談支援が一つキーになるかなと思います。先ほど事務局からも説明がありましたように、小児がんの拠点病院でもそういった体制を整えていただいています。同時に、がんセンターを中心に相談支援員の育成が行われていますので、高山構成員、その辺の進捗は今どうなのか、もし課題を感じられているようであればお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
○高山構成員 今の時点で、私のほうでお伝えできることをお話しさせていただきます。
今、西田座長から御紹介いただきましたように、私は、国立がん研究センターで相談支援の研修等に携わっております。あと、がん情報サービスの情報提供等をさせていただいておりますけれども、ここで書かれている相談支援体制の整備、情報を含めだと思いますが、これは最も大事なところかなと思います。相談支援体制といったときに、皆さん相談支援センターだけを思い浮かべるかもしれませんけれども、それだけではなくて、そこにつながる体制として、医療従事者、特に小児もですがAYA世代も患者さん数が、限られている中では、相談支援センターになかなかつながらないということもありますので、医療者がまずは入り口となってというところが一つあるのかなと思っています。まず、相談支援センターといったときに、相談支援センターだけでない体制を考える。その点で言うと、恐らく研究班等でも課題になっていると思いますが、病院として患者さんをどう捕捉するか、小児やAYAの人たちをどのように確認するのかが非常に大事なのかなと思います。
その後に、患者体験調査の中でも触れられていたように、AYA世代の方でも社会との接点にまだ慣れていない世代ということもあるので、医療者にどう相談したらいいのか。相談したけれどもニーズが満たされなかったというのももちろんだと思いますが、そういったまだ社会に適応仕切れていない、大人でも難しいのにAYA世代はもっと難しいと思います。となると、医療者の側がもっと積極的にアプローチするような体制が大事なのかなと思います。とはいえ医療者が全て抱える必要はなくて、そこからさらに深く相談する場合には相談支援センターに紹介するというような役割分担をしながらつないでいくことが必要なのかなと思います。
相談支援センター側はというと、これも本当に大事なところで、研修についてはAYA世代、妊孕性、後半に出てくる高齢者に関する研修も既に始めているところです。ただ、この話題に限らず新たに生じてくる課題が、ゲノムや希少がんも含めてですけれども、新しい話題が全て相談支援センターに負荷がかかってくるということで、かなり頑張ってはいますが、すべてに対応するということでは、非常につらいところだと思います。
研修に戻って言いますと、研修はやっていますけれども、今、整備指針の中で定められているのが「基礎研修(3)を受けること」までは書いていて、その後「継続研修を受けること」とはなっていますが、これは「必ず受けること」となってはいません。もちろん我々、国立がん研究センターが提供した研修だけを受ければいいというわけではないのですけれども、このあたりの研修、要は相談員、相談対応の質の向上になってくると思いますが、これを確実に受けること。「望ましい」ではなかなか受けてもらえない、あるいは受けさせてもらえない。それは拠点病院側で例えばお金を出してもらえないといった課題も聞いておりますので、こういったところを必ず情報の更新、相談スキルの更新ができることというのをもう少し、強制と言ったらあまりよくないかもしれないですが、し得るような形でやっていかないと、必ず受けることにはなっていかない、質が向上していかないということが今、課題になっているかなと思っております。
以上とさせていただきます。
○西田座長 ありがとうございます。成人よりも、より医療者の役割が重要になってくる。特に小児の場合きっとそうなのだと思います。刻々と治療が変わっているし、情報も変わっているから、相談支援をする人のチューンアップ、情報アップをしていかなければいけない。同時に、全てを知ることはできないので、ある程度小児がんを得意にする人をつくっていかないといけないのではないかという指摘かなと思って聞いていたのですけれども、そういう理解でよろしいでしょうか。
○高山構成員 結構です。ありがとうございます。
○西田座長 ほかに相談支援に関して何か御意見、要するに情報に対するアクセスに関して、こうしたほうがいいのではないかという御意見はございますか。AYA世代はまだ自分でアクセスできると思うのですけれども、小児の場合は多分御両親などが中心になってくると思いますが、何か御意見ございますか。
藤先生のところは小児がんは扱われているのですか。
○藤参考人 はい、扱っております。
○西田座長 その辺に関して、九州がんセンターでは相談支援も比較的順調にいっていますか。
○藤参考人 うちはがんセンターですので、総合病院よりもがん相談支援センターは充実していると思いますので、ある程度はいっているのではないかと思います。
今、高山先生のお話を聞いていたのですけれども、成人の拠点病院側ももうちょっとAYA世代や子どもの長期フォローアップについての認識を深めないといけないのかなと聞いておりました。平成30年の指定要件の中にも書いてはあるのですが、両方集めて相談支援センターにつなぐということが書いてあるだけで、そのニーズを拾うところをどうすればいいかの要件が全然なっておりません。
先ほど座長に紹介していただきましたけれども、今度がん診療連携拠点病院の成人の拠点の指定要件の見直しのワーキンググループの座長を仰せつかっておりまして、この会に参加させていただきながら、今度の成人の拠点の中にこのようなテーマをどう盛り込んでいったらいいかと思って聞かせていただいております。このテーマは、小児がん拠点だけで解決することではないと思いますし、小児がん拠点にたどり着かない小児の方やAYA世代の方はたくさんいらっしゃると思いますので、そういうところに対しては全てのがん診療連携拠点病院が、濃淡はあっても何らかのことをしていかないといけないのかなというイメージで聞いておりました。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。特にAYA世代に関しては両方にかぶるので、成人の拠点病院がしっかり相談支援できるようにしないといけないですね。御指摘ありがとうございます。
ほかになければ、もう一つ非常に大きな問題があって、先ほど岸田構成員からも御指摘がありましたように、治療をある小児病院あるいは特定の病院でした後、そのフォローをどうするのかということですよね。これをつなぐことは、特にAYA世代は重要なのではないかと思いますし、晩期合併症をフォローするにはその体制がそろっているかが大事だと思うのですが、この辺に関して構成員の皆さん方から御意見ございますか。
高山構成員、よろしくお願いします。
○高山構成員 相談支援体制の強化では、今日の資料に入っていませんが、藤先生が関わられている拠点病院のワーキンググループの11月30日の資料の1つになっていましたが、拠点病院にされたアンケートの中で、相談支援センターに必ず必要と思う職種の中で、1位、2位は看護師とソーシャルワーカー、社会福祉士。第3位が医師だったんですね。対象となった施設で4割を超えるところが医師と答えられていて、私自身はこれは驚きだったのですが、今、西田座長がおっしゃったように、診療の場面とつなぐことが必要となってくる。小児・AYAでは希少がんやゲノム医療も始まっていますので、医師が医療機関につないでいくというところでは、専従としている必要はないと思いますが、これまで以上に相談支援に関わっていただけるような体制が、相談支援の強化と相談体制の強化につながるのかなと思っております。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。場合によっては小児がんの専門病院から大人の拠点病院につなぐという地域連携みたいなことも要るように思うのですけれども、前田構成員、そのあたり経験がおありになるか分からないですけれども、御意見ございましたら遠慮なくどうぞ。
○前田構成員 高知大学医学部附属病院の地域医療連携室のがん相談支援センターに所属しています、ソーシャルワーカーの前田と申します。
当院は、都道府県がん診療連携拠点病院で小児の協力病院になります。小児がんを診ている病院になりますので、当院の小児科で治療を終えられた方の移行支援に携わりますが、院内連携から大きくつまずきますし、院外なんてとてもとてもというのが実態だと思っています。
中には、開業医の先生で快く受け入れると言ってくださる方もいらっしゃったりしますが、移行支援自体がどこまで各医療機関に浸透しているのか、そういうニーズがあることが理解されているのかと日々感じながらやっています。今、西田座長がおっしゃったように、移行支援を受けられる小児がん経験者の方たちは、移行先の医師が誰でもいいわけではなくて、小児がんの晩期合併症についての理解があるところにつながりたいというお気持ちがあります。少なくともがん診療連携拠点病院等に関しては、そういった相談の受け皿になる体制の検討が必要なのではないかと思っております。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。実は、私自身はキャリーオーバー問題と捉えていて、別にがんだけではなくて、先天性の疾患に関してもそうなのだと理解しています。ですから、いかに大人の診療科と子どもの診療科がバトンをつなぐかというのは、これから解決していかなければいけない重要な課題だと思っています。
羽鳥構成員、よろしくお願いします。
○羽鳥構成員 西田座長がおっしゃったことは、まさにそのとおりだと思います。私は今、循環器病対策で国会超党派議員の会議に出席していますが、いわゆる先天性心疾患の方も今は生命予後がよくなったのはいいのですけれども、40歳近くの方が小児外科でフォローされているのが事実です。成人期になれば糖尿病や高血圧など成人疾患も増えてくるので、うまく連携して成人科につなぎたいのですけれども、なかなかできないということがあります。
また、小児慢性疾患から成人の難病に移行するときにも同じような悩みがあるということで、国としてシステムをつくっていかないと、なかなか難しいだろうなと思います。高知のソーシャルワーカーの方がおっしゃっていたように、院内であっても移行することが難しいというお話を聞くと、一つのやり方でうまくいくのは難しいかもしれないので、みんなでシステムとして考えていかなければいけないと思うので、ここが突破口となってやっていければ大変ありがたいことだと思います。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
○木澤構成員 発言していいですか。これは大変重要な話題で、キャリーオーバーケース、AYA・小児のがん患者さんばかりでなく、先天性疾患、神経難病の子たちの支援というのは非常に重要なことで、これはがん拠点病院だけではなくて、地域の診療所の先生方のリソースも使ってという言い方は悪いですけれども、そこで支えていかなければいけないということであり、この問題を地域連携の中で捉える必要があるということが1つです。
2つ目は、そのお子さんやAYA世代の方々の御兄弟の支援です。親御さんが特に集中して患児のケアに当たられますので、いじめを受けられたり、偏見の目にさらされたりということがあって、かなり大変な思いをされる御兄弟の方がいらっしゃることは事実で、兄弟をどう支えて支援していくかも、がん拠点病院だけではなくて地域・行政がしっかり手を差し伸べなければいけない領域だと認識しています。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。地域も巻き込んでと。最近私の知り合いも、地域で先天性の方などを受けているので、少しずつ厚労省も体制をつくっていっているかなと思っています。
議論は尽きないと思いますが、6ページの小児がんの拠点病院の中には、小児の病院だけではなくて大学病院のような大人も一緒に診る病院がございますので、まずそういったところでベストプラクティスと申し上げたらおかしいですけれども、どうつなぐか、つなぐときにどういう課題があるかということから少しずつ解明していって、違う病院でもつなげるようにする、あるいは地域ともつなげるようにすることを考えていかなければいけないかなと考えます。一気に解決するのは結構ハードルが高そうだなと今、お話を聞きながら思いました。
ほかに御意見ございますか。もう一つ、先ほど御指摘のありました家族の支援やAYA世代特有の課題があります。名古屋医療センターからの報告があったと思いますけれども、AYA世代の特有のアンメットニーズがあるということに対して、何が拠点病院あるいは小児がん拠点病院でできるかに関して、しなければいけないという部分もあるかと思いますけれども、御意見はございますか。
まず、患者の立場から鈴木さんか岸田さんか、どちらかいかがでしょうか。
○岸田構成員 ありがとうございます。岸田からお伝えさせていただきます。
ここの支援といったところで、まず病院自体がAYA世代に関して、今、高山先生が研修などもしてくださっているとは思うのですけれども、病院に行くというところは集約化されていって、そのほかで治療を受けたいとなったときに、どうしてもつながりがないとか、同じような患者さんがどうなっているのですかというのはよく聞くのですけれども、では、ここを紹介しますねという紹介先の情報がまだ伝わっていないのかなということはあったりします。そういった情報のリソースが、もっと集約化されていけばいいのではないかと思っています。
○西田座長 ありがとうございます。ほかはいかがでしょうか。15ページを見ていただくと分かるのですけれども、これは堀部先生が調査されたもので、20代前であれば将来どうなるのだろうという不安が非常に大きいですし、治療に関してもそうですし、人生観みたいなことも書いてありますよね。生き方や家族の将来、この辺は非常に考える世代かなと思いますが、この辺に関していかがでしょうか。
鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 私たちは、がんに影響を受けた全ての人が無料で相談していただけるセンターをNPOとして運営しているのですけれども、AYA世代のがん患者さんは特に、がんの治療そのものについてはもちろんですが、がんに影響を受けた人生の相談が多くて、恋愛や結婚・出産、仕事や学業、それを病院内のがん相談支援センター等で相談していいのだということさえも知らない。例えば、地方から来た方に、あなたの病院にもちゃんとがん相談支援センターがありますよと言うと、それで初めて知る方があまりに多いというのを日々感じておりまして、診断したタイミングで医師から直接、がんに影響を受けた人生そのものの悩みも相談していいのですよと伝えてあげないと、病院内施設だと治療のこと、病気のことだけしか相談できない、それ以外のことは相談できる場所がないと思っている方がまだまだ多いと感じています。実際は、その後生きていく中で、人生自体がんによる影響を受けているので、経済的なことも含めてその部分を相談するニーズがとてもあると感じていて、そういうことを相談していい場所が病院内外にあるということを周知していくこともすごく大事なことだと考えています。
○西田座長 ありがとうございます。先ほど相談支援センターでの相談と、もう一つは、鈴木さんがやられているような病院外での相談というのも両方大事かなと思いますので、ぜひ鈴木さんが活動されているようなことをファシリテートしていけるようになれば一番いいかなと思います。
岸田構成員どうぞ。
○岸田構成員 まさに今、西田座長がおっしゃったことですけれども、鈴木構成員がおっしゃったように院内にも相談できるところ、また院外でも必要になってくるかもしれないと。そういったところでのピアサポートの重要性。清水班の研究でも、ロールモデルとしてそういった人たちの声を聞くというのは重要であるという声明もされています。ほかの研修はいろいろあると思いますけれども、もっともっとピアサポートを活用してもらえるような仕組みも必要かなと思います。AYA世代の人たちは仕事も子育ても恋愛・結婚もかなり忙しい時期と思います。そのような状況もあり、ピアサポーターに関してはそこまで多く育っていない印象もありますので、ピアサポートできるような相談支援体制も必要になってくるかなと思っております。
○西田座長 ありがとうございます。病院と患者の皆さん方と一緒にサポートしていくと良いですね。病院で相談できなくてもそちらで拾っていただいて、そちらに相談できないことは病院で拾うという体制ができるといいと思います。
先ほど御指摘がありましたけれども、経済的な問題や家族の支援というのは結構大事だと思います。特に、AYA世代は経済的な問題が絡んでくるみたいですけれども、近藤構成員、何かその辺に関して感じられていることはございますか。
○近藤構成員 ありがとうございます。社会保険労務士の近藤と申します。私自身17年くらい前になりますが、30代前半で乳がんの経験をしておりまして、その後、社会保険労務士として拠点病院等で仕事とお金の相談を受けている者でございます。よろしくお願いいたします。
先ほどスライド10で、就労支援ということでいろいろな支援事業が行われているということだったと思うのですが、その事業の一環で私も病院等で相談を受けていますが、基本的に職歴がある方を前提とした支援が中心になっていて、AYA世代はほぼ御相談にいらっしゃっていないのが現状としてあります。その原因として、恐らく情報としてAYA世代の方々が私たちに相談できるのかどうかを御存じないことや、実際に支援者側、私どもは社労士として携わっていますが、AYA世代特有の悩みやシェア方法が私たちの勉強もまだ不足している、研修機関がないということもあるかと思います。
もう一点、先ほど岸田構成員がおっしゃっていたように、小児の親の皆さんの就労問題についても、相談場所がないというのも一つあるのかなと感じています。実際、御家族向けの相談事業でもあるにもかかわらず、本来は小児の方々の親御さんの御相談があってもおかしくないのに、つながっていないという現状があるので、そのあたり拠点病院等でやっているがん患者さん・御家族の就労相談に、小児の親御さんの相談をつなげるような取組はなされているのかお伺いできればと思うのですが、いかがでしょうか。
○西田座長 これはなかなか答えにくいですけれども、藤先生、何かありますか。
○藤参考人 これは病院によって随分差があるのだと思います。九州がんセンターには社労士の方が毎日常駐しています。ハローワークの方も来られますし、そのときには相談したい方はどうぞという形で院内放送しています。社労士の方は福岡県が九州がんセンターに配置しており、その社労士の人は福岡県内の拠点病院を回ったりされています。それだけでも随分違うのかもしれませんけれども、就労支援だけではないですが、都道府県の行政のあり方によって随分違いますので、今は一つ一つニーズを出しながら広げていくしかないのかなと思っています。
ただ、社労士さんにつなぐ前の相談員たちが、どれだけつなぎ先を持っているかも非常に大切ですので、まずはその辺をレベルアップしていかないといけないのかなと思って聞いておりました。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。議論はなかなか尽きないと思いますけれども、今日御指摘を受けた中では、特に医師が、まず最初に相談支援センターやピアに必ずつなぐのが一つ大きなキーかなと思いました。また、相談支援センターの中でMSWだけではなくて、ナース、そこにさらにお医者さんが今回の場合は加わらないと、なかなか難しいという御指摘を受けたと思います。小児がん拠点と成人のがん拠点を結ぶのは、いきなりはなかなかハードルが高そうなので、両方の診療科があるところからまず制度ややり方をつくっていくのが原則的なアプローチかなとお聞きしながら思いました。
ほかにもいろいろ考えなければいけないことがあると思うのですけれども、やっていたら今日一日終わらないと思いますので、特にぜひ言いたいことがあれば言っていただいて、次の教育の議題も非常に重要な議題ですので移りたいと思いますけれども、よろしいですか。
構成員の先生方の御了解をいただいたので、次の話題にまいります。義務教育を終えた後、特に高校でのAYA世代の人の教育支援をどうやっていくかに関して、まず事務局からレビューをお願いできますか。
○事務局 資料2の19ページから「2.義務教育終了後におけるがん患者の教育支援について」御説明いたします。
20ページを御覧ください。第3期がん対策推進基本計画の抜粋となりますが、教育については特に高校教育の段階において取組が遅れていると指摘されております。
取り組むべき施策といたしまして、情報技術(ICT)を活用した高等学校段階における遠隔教育など、療養中においても適切な教育を受ける環境の整備等の充実が記載されております。
21ページを御覧ください。小児がん拠点病院等の整備に関する指針となります。小児がん拠点病院においては、義務教育段階における教育支援の整備が進められておりますが、義務教育以降の支援体制については必須としておりません。また、具体的な支援方法等については特に定められておりません。
22ページを御覧ください。がん患者等の教育支援に係る主な施策の経緯です。近年ですと文部科学省での事業になりますが、令和元年度から2年度において、高等学校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業を行っております。また、令和3年度よりICTを活用した障害のある児童・生徒等に対する指導の充実として事業が進められております。
23ページを御覧ください。高等学校段階における入院生徒に対する教育保障体制整備事業となります。長期入院または入退院を繰り返す生徒に対し、教育機会の確保、復学支援について調査・研究を実施しております。
24ページを御覧ください。こちらは教育保障体制整備事業の成果となっております。特に医教連携コーディネーターの配置により、医療機関・学校等とのスムーズな連携をサポートできるなどの報告がございます。
25ページを御覧ください。令和3年度から行っておりますICTを活用した障害のある児童・生徒に対する指導の充実のメニューの1つでございますが、高等学校段階の病気療養中等の生徒に対するICTを活用した遠隔教育の調査・研究事業の内容となっております。
26ページを御覧ください。高等学校段階の病気療養中等の生徒に対する遠隔教育の要件緩和の内容となっております。病気療養中等の生徒の教育機会を確保する観点から、上限を超える単位取得等を認めております。また、受信側の教室等に当該高等学校の教員を配置することは必ずしも要しないというところで緩和されております。
27ページを御覧ください。教育委員会を対象とした、がんを抱える高校生等の教育支援に関する調査となっております。がんで入院した高校生の把握といたしましては、在籍校から相談があった場合、入院した高校生・保護者から相談があった場合などに把握している状況がございます。
また、入院した患者の教育の場といたしましては、在籍校の教員が病院へ訪問して授業支援を実施しているという回答は一定数ございます。また、支援状況といたしましては、教員の派遣や遠隔教育を実施している回答も一定数あることを示しております。
28ページを御覧ください。本日の論点となります。
検討の視点といたしまして、がん患者の教育支援は、特に高校教育の段階で取組が遅れていると指摘されております。また、高等学校の段階の病気療養中等の生徒に対する遠隔教育の要件緩和は一定程度進められてきておりますが、更なる充実に向けどのような取組が可能であるか。また、義務教育終了後の教育支援については、小児がん拠点病院のみならず、がん診療連携拠点病院等においても支援が必要ではないかとしております。
検討に当たってのポイントといたしまして、入院時から患者・家族への関わりについて。治療と教育の両立に関する情報提供・相談支援の更なる提供体制について。入院中においても教育機会の確保ができる院内環境整備について。小児がん拠点病院、小児がん連携病院、がん診療連携拠点病院等との連携体制についてとしております。
事務局からの説明は以上となります。
○西田座長 ありがとうございます。高等学校を中心に特にAYA世代、がんになっても教育を受ける機会をいかにつくるか、あるいはその後、大学に行く、大学で授業を受けることをスムーズにできるシステムをつくらなければいけないと思います。非常に重要なことだと思います。幸か不幸かコロナで結構ICT化が進んで、文科省も非常に熱心にやっていただいたので、少し基盤はできているのではないかと思います。一方で、私自身Webで講義や授業を受けながら、Webのいいところとそうではないところが見えてきたかなと思っています。
それでは、本日の論点に関して、特に高校生あるいはそれ以後の教育に関して、ぜひこういうことは考えてほしいというのがあれば、前田構成員どうぞ。
○前田構成員 先ほど西田座長がおっしゃったように、学校側ではコロナによってオンラインの対応がかなり進んでいて、中学校や高校に関しても1人1台PC端末を持ってオンライン授業ができる体制が整ってきています。また、おうちでネット環境のない子に対してWi-Fiルーターを貸し出す事業もやっていらっしゃるので、教育側はオンラインに対して、あとは病院が受け入れすればできるような状況になっていらっしゃると思います。
では、病院側の課題は何があるかといいますと、Wi-Fi環境を病室に持ち込むことの是非に関しては結論が出ていないことがあります。子どもさんがロビーや待合室など外に出れば問題はないのだけれども、病床から出られないお子さんに関しては病棟内の使用が制限されるために、ネット環境でのオンライン授業を受けられない状況もあると聞いています。そこはなかなか一朝一夕に解決しないと思いますが、少なくとも各病院、各拠点病院がどういう状況にあるのかという情報収集さえもできていないと思うので、実態の把握が必要ではないかということが1つ。
もう一点、就労支援に関しては、両立支援コーディネーターが企業側、病院側に配置されていますが、教育に関するコーディネートに関しては学校側だけで、医療機関にはまだ配置・研修等もそれほど十分にされていないと思います。子どもさんたち、特に高校生ぐらいのお子さんたちに関して、自分の病気をどこまで学校や同級生に伝えるのか。就労支援で当たり前に行われるような支援もまだ不十分だと思いますので、この点に関しても議論が必要だと考えております。
以上です。
○西田座長 いい御指摘を受けたと思います。私どものところでも、コロナで皆さんWebで面会するようになったら、途端にWi-Fiが混乱してしまってブチブチ切れるようになって慌てて回線を増やしたという経験がございます。病院側の施設整備状況というのは非常に重要なことで、これが今がん拠点でどれだけできているかを一度ちゃんと確認したほうがいいのではないかという御指摘であったと思います。
岸田構成員どうぞ。
○岸田構成員 前田構成員に質問させていただきたいのですけれども、個室から出られない子たちのWi-Fiの使用がNGとおっしゃっていたと思いますが、それは病院が個室はNGとされているということですか。機材にWi-Fiが干渉するからという理由ではなくて、どういう意味でNGとされているのかが分かれば、早くそれを是正できるかなと思います。
○前田構成員 ありがとうございます。以前、教育支援のことは抜きに、患者サービスで院内にWi-Fi環境をどこまで整えるかと院内で議論したことがございました。いわゆる有線であれば問題ないのですが、無線に関しては医療機器の干渉について100%問題がないというエビデンスがないから、そこのリスクを思うと認めないという意見があります。一方で、実際に事故が起こったことがあるのかを考えて、病院内で広くフリーWi-Fiを飛ばして患者サービスに努めているところもあったりしますので、各機関で結構でこぼこがある状況だと思います。仮にリスクがないのであれば、当然認めてあげるにこしたことはないわけですので、その辺の検討・検証が必要かなと考えています。そういうことで発言させていただきました。
○岸田構成員 ありがとうございます。事務局にも確認したいのですが、Wi-Fiは機器に影響はないみたいなことは、どこかで出されていませんでしたか。基本そこまで影響はないという私の認識ではあるのですが、それが間違って伝わっているという形であれば、何か通達みたいなものも必要かなと思った次第です。
○西田座長 ここでいいかげんなことを言うとまずいので確認してもらいます。また次回ということにしてください。確かに御指摘のように、病院によって大分対応が違うというのは事実だと思います。
ほかに御意見ございますか。今日は文科省の人も来られているので。
鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 今まで前田構成員がおっしゃったように、院内において教育の機会が確保できるようなインターネット整備は絶対に必要だという前提の上で、今のままだと在籍校での対応に頼ってしまっていて、在籍校によっての対応の差が結構出てしまっているのではないかと察します。これは、この検討会で議論できるような話ではないかもしれませんけれども、在籍校が対応できない場合向けに、そういった生徒向けに一気に授業をするといったことは考えられる可能性はあるのでしょうか。
○西田座長 何かありますか。
○文部科学省 文部科学省特別支援教育課でございます。病気療養中の児童生徒に対する教育機会の保障等も担当してございます。
今いただいた御意見につきましては、一斉にどこかで授業をやって、それを受信・勉強できるようにしてはどうかということだと思いますけれども、そういう考え方もある一方で、それは、がんのお子さんだけにやる話なのかという教育行政全体に波及する話でもございますので、基本的には本人様の御希望、例えば、在籍校の授業を受けたいというお子さんもいらっしゃれば、院内学級がある場合は院内学級で勉強したいというお子さんもいらっしゃるので、まずはそこに丁寧に寄り添って考えていきたいと考えております。
○西田座長 ありがとうございます。なかなか難しいところですね。大学なども完全にWebでやっているところがありますけれども、しかも、講義をストックしておいて自分でずっと学習して、後でテストを受けるというやり方をやっているところもありますが、それを高校生にどこまでやるかというのは、本来の教育とは一体何だろうという問題が最終的には起こってくるかなと思います。
ほかに御意見ございますか。高山構成員どうぞ。
○高山構成員 特別支援学校の関係者の方と相談支援センターの連携ということでは、2014年ごろから我々もさせていただいているところです。文科省の方がずっと詳しいと思いますけれども、高校になると専門性が加わってくる。普通科だったらまだいいのですが、商業科や工学科となるとそれに特化した、また単位がちゃんと取れるかどうかが恐らく難しくなってくるのかなというのをそのときに聞いていた記憶があります。
本日の資料の24ページに、文科省でされているモデル事業になるのでしょうか。医療連携コーディネーターによるコーディネートは、先ほど前田構成員からもありましたように、就労支援のコーディネーターのように教育のコーディネーターを誰のところで育成するかや研修するかのといったことにも参考になるので、もうちょっと教えていただければと思うのですが、1つは、どういう形でやられているのかを教えていただければと思います。
あと、これは今はモデル事業の形なのか、これが全国的に進んでいる状況なのか、そのあたりをぜひ教えていただければと思います。
○西田座長 文科省からお願いできますか。
○文部科学省 医教連携コーディネーターについて御意見をいただきました。こちらの事業につきましては、現時点ではまだモデル的に実施しているものでございまして、24ページの事業の中で、必ず医教連携コーディネーターを置いてくださいという要件を課して行ったものではございませんので、実際に委託した先の自治体の中で幾つかやっていただいたということでございます。こちらの医教連携コーディネーターにつきましては、まだそういう段階でございますので、具体的にどういう方が適しているのか、あるいはどういう方にどういう教育をして養成していけばいいのかは、まだ検討が始まっていない状況でございまして、今後考えていかなければならないのかなと考えてございます。
実際モデル事業で取り組んでいただきました事例を見ていますと、高等学校等で教頭先生や学校長、そういう経験者の方が非常勤として雇用されて学校と医療機関とをつなぐ役割を担っているという報告を幾つかいただいておりまして、実際モデル事業をやっているところだけではなくて、独自に県で取り組んでおられるところもあるやに聞いております。○西田座長 ありがとうございました。
では、牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 こちらで今日ポイントとして挙っておりますが、高等教育で要件緩和が一定程度なされたことはとても重要だと感じております。母親の立場で考えますと、がんにかかっている子どもがいたとして、高等教育がどのように行われるかというのは着目すべき点だと思っています。意識調査のようなもので、受け手の患者である高等教育を受けている者が、緩和された学びの中でどのように巣立っていかれているか、その先どのように明るい道があったのかという報告などは、これからなされていくという状況でしょうか。
○西田座長 いかがでしょうか。
○文部科学省 実際、私どものほうで、対象となっている方に実際に教育を受けてどうでしたか、受けられていると思っていますかというデータを現時点では持っていない状況でございます。
一方で、がんのお子さんだけに限らずの話ですけれども、病気療養の方で教育がきちんと受けられていないお子さんの実態を、直近では平成30年に1回調査をやっているのですけれども、その段階から例えば、ICT機器の教育現場での活用等状況が変わってきておりますので、来年度以降、実態調査を改めて実施することによって、少しでも病気療養児の教育環境の充実について進めていきたいと考えております。
○牧野構成員 もう一つよろしいでしょうか。お時間を取って申し訳ございません。
患者自身が、自分にこの先どのような方法論があるのかを知ることも重要だと思いますし、それをしっかりと支えてくださる家族の存在がとても重要なので、本人と家族がどのような支援策をもって進んでいけるのかを広く広報したり、お示ししたりする方法があるとよいのではないかと思いました。
以上です。ありがとうございました。
○西田座長 ありがとうございます。いろいろな意見をいただきました。特に気になるのは、先ほどAYA世代も含めて小児のがん患者さんが病院に入ったときに、誰が把握し、誰が連絡して、どう学校につなぐかがなかなか難しいことかなと思いました。がん拠点としては、そこをまず改善しないといけないと私自身は見ながら思いました。もちろん文科省もお願いしないといけないのですけれども、まずはがん拠点で、いかに学校につなぐかを見直し改善していかなければいけないかなというのが第1点。
もう一つ皆さん方に意見を聞きたいのは、今は多分、藤先生もそうだと思うのですけれども、入院期間が非常に短くなっています。結構在宅なんです。つまり、学校に行けるほどではないけれども、家で養生しておいてねというのが結構あります。入院期間が短くて病院ではなくて在宅で療養する。その間の教育をどうフォローするかというのも、私自身はもう一つの問題ではないかと考えています。これは地域の問題なのかもしれませんけれども、この辺に関して構成員の皆さん方、御意見ございますか。
特に、高山先生いかがですか。どうつなぐか、つまり、がん患者さんがこの病院に入りましたよと学校にどうつないでいくのが一番いいと思われますか。
○高山構成員 今、西田座長がおっしゃたように、まず早くキャッチするところがすごく大事だと思います。教育は来年度のことも考えて動くみたいなことがあって、しかも、親御さんは忙しくてそれどころではないということで、医療者が早く捕捉する、見つける。その後に、これまでもいろいろお話を伺っていて、教育のことは医療者にとってはすごく難しいというハードルがきっとあると思います。ということで、見つけてその後は相談支援センターが何回か連携する、さらに成人の拠点病院は、もっとたけている小児の拠点病院の相談委員につなぐとか地域でつながることが大事だと思います。もう一つは、特別支援学校が県に1つないところもあったと思いますが、特別支援学校の病弱を持っているところが地域連携として、そこの学校でなくても多分コーディネートで今でも動いていただいている体制があるのではないかと記憶しています。そのあたりは文科省さんのほうが詳しいと思いますが、医療者側は相談支援センターで見つけるノウハウを蓄積していって、かつ教育側は特別支援学校が中心となってつながっていくことなのかなということで2014年ぐらいから動いてきたところがあるのですが、それぞれの役割分担がうまくできることと、そこがちゃんとつながっていく、あとは早く見つけるというところがあるのかなと思っています。つながっていくのがすごくまた難しいのかもしれないんですが、今そのように考えています。
○西田座長 多分、小児がん拠点はつながるのだと思います。ちゃんと体制がある程度できている。結局、大人のがん拠点が相談支援からつなげるかどうかが一つ大きなポイントかなと思います。
藤先生、何かこの辺に関してお考えはありますか。
○藤参考人 相談支援につなぐことが前提になると思います。例えば、小児科などを経ないで直接小児科以外の診療科に受診するAYA世代の方はかなりいらっしゃると思います。その人たちの教育のことまで担当の医療者たちが認識を持つかどうかが非常に大切で、認識を持って初めて相談支援センターにつないで、相談支援センターがどこかにつなぐ体制は整えておくのが大切になると思います。拠点病院としては大変なのかもしれませんけれども、AYA世代の患者さんが入ったら、それをスクリーニングするというか、そういう体制を整えるという形がスタートにならないと、もしくは全医療者がAYAの認識を高めるのが前提でしょうけれども、そう簡単ではないと思いますので、何らかのスクリーニング、ピックアップできるような体制を整える必要があるのかなと思います。どの程度できるかは分からないですが、考え方としては相談支援センターがつなぐ前の問題があるのではないかと思って聞いておりました。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。ほかはございますか。
岸田構成員どうぞ。
○岸田構成員 本当に在宅のときの勉強の支援は大事だなと思いました。その中で、私もそうだったのですが、公立の高校だけではなく私学に行く方もたくさんいらっしゃると思うんです。調査するときは、そういったところも入れていただければ、より実態が把握できるのではないかということと、皆さんもそうだったと思うのですけれども、受験がより関わってくると思います。高校だけではなく、中学校もそうではあるのですけれども。受験へのサポートも今後考えていく必要があるのではないかと思っております。病気になったから大学受験を諦めたということがないように、諦めなくてもいいような療養環境を病院、そして地域、高校とつくっていく必要があると思います。
○西田座長 ありがとうございます。文科省の方に確認なんですけれども、今、中学校、小学校はiPadとかそういうものは貸し出しているのですけれども、高校生はいけるのでしょうか。さっきの質問とちょっと関係するのですが。
○文部科学省 1人1台端末につきましては、小中学校ではほぼ準備が整ったと担当課からは聞いてございます。高等学校につきましては1人1台を国費で見るという形でやっておりませんので、そこはまだ十分に整っていない部分もあるのかもしれませんけれども、それとは別に、高等学校に国として何もしていないわけではありませんで、例えばの話ですが、1人1台の整備に係る経費の3分の1について地方財政措置によって補助しているところでございます。
また、昨年度から、主に経済的に困難な家庭の高校生に対して、公立であれば市町村や都道府県になるわけですけれども、学校の設置者が御家庭に貸すための端末を整備してございます。一応そういう条件にはなっているのですけれども、実際に学校の現場としましては、例えば、病気療養児がパソコンを使用したい、タブレットを病院の中で教育のために使いたいということであれば、学校に相談していただければ基本的にはタブレット等を貸与することが可能です。
プラスしまして、中にはWi-Fiの環境が整っていない医療機関がまだあるということも聞いているのですけれども、そういう医療機関に入院されているお子さんにつきましては、同様に学校に相談していただければ、モバイルWi-Fiを貸し出すことも私どもとしては取り組んでいるところでございます。
○西田座長 ありがとうございます。文科省は大変前向きに取り組んでいただいているので、拠点病院としては、入院したときにその人を見つけて学校につなぐというのが一番大きな問題ですね。2番目は、先ほど前田構成員からも御指摘されたように、ICTがちゃんと使えるような環境にしてあるかどうかも、場合によっては1回調査しておいたほうがいいかもしれませんね。そういうことも考えていかなければいけないかなと思いました。コロナで比較的この辺がグッと進んだところですので、ぜひ、ここで取り遅れないようにしたいなと思います。
私が中央病院にいたときに、高校のときに手術をして1年間遅くなってしまったけれども、しっかり勉強して目指していた東大に入った女の子がいました。ぜひ、みんながそうなるように持っていきたいなと思いますので、皆さん、また建設的な御意見をいただければ幸いです。
時間が大分迫ってきましたので、3つ目の話題の高齢者のがん患者の支援。最近ガイドラインが幾つか出てきましたので、ガイドライン的には比較的整備されてきたかと思います。ここに関して事務局から御説明いただいて議論に入りたいと思います。
では、事務局、よろしくお願いします。
○事務局 資料2の29ページから「3.高齢がん患者の支援について」の説明をさせていただきます。
30ページを御覧ください。第3期がん対策推進基本計画の抜粋となりますが、取り組むべき施策といたしまして、国は認知症等を合併したがん患者や看取り期における高齢がん患者の意思決定を支援するための方策について検討を行う。医療機関・介護施設等の医師、医療従事者及び介護従事者が連携し、患者とその家族の意思決定に沿った形で患者の療養生活を支えるための方策を検討するとしております。
31ページを御覧ください。高齢がん患者の状況といたしまして、年齢階級別罹患数の割合では、7割以上は65歳以上であることをお示ししております。
32ページを御覧ください。看取りに関わる状況といたしまして、自宅等における死亡が減少し、医療機関における死亡割合が微増する傾向がございました。また近年、医療機関以外の場所における死亡が微増する傾向がございます。
33ページを御覧ください。高齢患者の特徴といたしまして、認知機能低下により身体症状や意思決定能力、治療のアドヒアランス、有害事象の管理などに影響を及ぼし、日常生活における支援が必要となる可能性をお示ししております。
34ページを御覧ください。高齢者(65歳以上)へのアドヒアランス不良の原因について、薬剤師・看護師を対象とした調査の内容となっております。経験したアドヒアランス不良の要因について、患者に関連した要因が9割程度と回答しており、そのうち認知機能の低下については8割、疾患等治療についての知識が5割程度の回答状況でございます。また、医療者側の問題と考えた経験といたしまして、多職種や多施設との連携の不足について3割の回答がございました。
35ページを御覧ください。高齢者とがん治療の経過についてお示ししておりますが、各場面において、認知症への配慮が求められております。特に、意思決定については認知機能、意思決定能力の低下により、不適切な意思決定がなされている危険性等があることをお示ししております。
36ページを御覧ください。国の意思決定支援の現状といたしまして、それぞれのガイドライン等が作成されている内容をお示ししております。
37ページを御覧ください。高齢がん患者への意思決定支援に関する厚生労働科学研究班で実施しております内容となっております。先ほどの4本のガイドラインをもとに意思決定支援の手引きを作成しております。また、同班において教育プログラムの開発や実践可能な支援用のツールの開発等を行っているところでございます。
38ページを御覧ください。先ほどの研究班で作成した高齢者のがん診療における意思決定支援の手引きとなっております。医療者の基本姿勢や配慮事項、プロセスなどをまとめた内容となっております。
39ページを御覧ください。本日の論点となります。
検討の視点といたしまして、認知症等を合併した高齢がん患者や看取り期における高齢がん患者のどのような課題に対し支援体制を進めるべきか。がん患者の7割が65歳以上で罹患しており、病床だけではなく日常生活や認知機能なども踏まえた支援が必要である。また、看取りの場所として近年、医療機関以外の場所における死亡割合が微増する傾向であり、療養生活の場所を選択するに当たり、医療機関・介護施設等の医師、医療従事者及び介護従事者が連携した支援が必要である。
検討に当たってのポイントといたしまして、高齢がん患者に対する意思決定を支援するに当たり、厚生労働省科学研究等で作成した手引きの活用など、質の向上についてどのように推進すべきか。医療機関・介護施設等の医師、医療従事者及び介護従事者が連携し、患者・家族の療養生活を支えるために地域の実情に応じたネットワーク構築についてどのように推進すべきかとしております。
事務局からの説明は以上になります。
○西田座長 ありがとうございます。比較的簡素に整理していただきました。特に意思決定支援、ガイドラインというのは重要なところだと思いますが、実際にどれくらいうまく支援ができているのか、このあたり木澤構成員から御意見を伺いながら始めたいと思いますけれども、木澤構成員、いかがでしょうか。
○木澤構成員 まず、この資料の前の方に、意思決定支援の現状というガイドラインが幾つも並んだところがあるかと思いますけれども、様々なガイドラインが出ています。人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン、これが一番ベースになるわけですけれども、身寄りがない方のガイドライン、認知症の方のガイドライン、これが3大ガイドラインとよく言われているのですが、基本的にこれらガイドラインについては何回調査をやっても医療従事者の中で知っている人が少ない。医師の中でどれくらいの人がこれを読んだことがあるのかというとちょっと微妙で、私たちの大学病院でも電子カルテ上でこの3つのガイドラインはすぐ参照できるようにしているのですけれども、意思決定に関する相談を頂いてこれらのガイドラインを紹介すると、その存在を知りませんでしたと言われることがよくあります。このガイドラインの普及はまだまだ進んでおりません。したがって、適切な支援をするに至っていない状況かなと思っています。
どうしたらいいのかという問題ですけれども、がん医療だけの問題ではなくて、医療全体の問題ですので、1つはこんなことを言ったら微妙かもしれないですけれども、総合評価加算は大分前からやっていまして、高齢者総合評価を全例にしていくという流れはあるかと思うのですけれども、ここを再度徹底しない限り、なかなかうまくいかない。
もう一つは、医療従事者の教育の中にこの部分をしっかり浸透させていくことが、まだまだ不十分なのではないかと思いますので、ここはどうしたらいいのか。ただ、新しい研修システムをつくるというような話では多分ないと思います。既にたくさんの研修が行われているので、新たな研修をつくって実施するとしたら、かなりいろいろなことと連携しないと、幾つもの研修が乱立してよく分からないことになりますので、多方面と連絡を取りながら、いかに効率よくこの事業を進めるかを考えないといけないだろうと思います。
雑駁な意見になってしまって申し訳ありません。
○西田座長 現状を正しく御指摘されたかなと思っています。私どものところでも、37ページ、38ページにあるようなスキームを、東病院の小川先生と一緒に、うちの病院でパイロットでやろうかという話で今やっているところです。みんななかなか認識していません。ガイドラインがあるらしいぐらいは分かっている人は大分いるのですけれども、中身に至ってはなかなか厳しいかなというのが現状ではないかと思います。
何かそのほか御意見ございますか。ここのテーマは、主には意思決定の問題と地域の中でどう認識をのばしていくかだと思います。ここは羽鳥構成員にも御意見をいただかないといけないかなと考えています。まず、意思決定で御意見ございます。
藤先生、お願いします。
○藤参考人 今、木澤構成員がおっしゃいました総合評価加算ですけれども、加算がついているので、どこでもたくさん加算を取っているかといいますか、実は全国がんセンター協議会というものがございまして、そこで2020年に調査をしてみますと、評価加算を取得しているのは全がん協の中でも40%しかありません。60%近くは加算を取っていないことが分かりました。加算を取っていないから全く何もしていないということではないかもしれませんけれども、十分加算を取れるだけの評価はできていないというのが現実なのだと思います。
実際に意思決定支援が要る人かどうかというのはスクリーニングしないといけないわけですから、G8などを使ったスクリーニングをしていくのがまず第一になるのではないかと思います。そして意思決定の支援が必要なときに、どうやってつなぐかという体制が整えられているかも評価していかないといけないのかなと思っています。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。先ほどの病院は、地方のがんセンターが圧倒的に多くて、拠点病院は結構地方では大学が取っているところが多いんです。ですが、実質的にがんを専門にやっているところでさえ40%しかないというのが藤先生の御指摘でございます。
ほかに御意見ございますか。鈴木構成員どうぞ。
○鈴木構成員 意思決定支援に関しては、本当に家族など日常的に患者さんと関わっている人や地域との連携がとても大事になってくると思います。ガイドラインと手引きは、国は本当にたくさんいいものをつくるのですけれども、つくりっ放しが多いなと感じていて、今回の38ページの手引きも拝見しましたが、すごく充実したいい内容なので、せっかくなのでこういうものを生かして、地域向けのセミナーをやったり、一般向け、患者さんや御家族向けの勉強会や会合などを積極的にやったりしていくのがいいのではないかと思いました。そういった医療機関と地域との連携を勉強会やセミナーを通じてやっていくことで、患者さんについての情報共有の場をつくっていくきっかけにできれば、患者さんはずっと入院しているわけではないと思うので、入院後、再入院まで地域に任せることになると思うので、そういった患者さんの状況も含めてやっていただけたらいいなと思いました。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。みんな読んでいてくれるといいのですけれども、みんな忙しくてそれどころではないというのが多分ほとんどではないかという気がしています。それでもポイントは勉強しておいてほしいよねというのはあると思います。講習会を増やさずにやろうということになると、何かいい手だてはありますか。
高山構成員、いかがですか。
○高山構成員 教育・研修はいろいろな場面で大事、大事と言っているのですけれども、我々も苦労しているのですが、継続するための枠組みがすごく大事で、それにはまた人手もかかりますし、受講管理なども必要になってくるのですけれども、多分知識の更新など緩和医療に関しても十数年前から緩和に関わる医療従事者の研修をということで10万人以上やられていると思いますけれども、10年前の知識そのままで1回受けたからいいのかとなってしまってないか。枠組みがないと更新が難しくて、これだけ情報が早くなっていると、そちらを何とかしないといけないのだろうなと思います。それにはまた労力を使ったりはするのですけれども、ポイントポイントで医療者がちゃんと知識をアップデートする仕組みがまだ不十分なのかなというのは感じております。そのあたり多分大量にやられている緩和の木澤先生のほうが御苦労が多いのかなと思って、何かお伺いできればと思います。
○西田座長 ありがとうございます。緩和ケア講習会、確かに更新が要るよねという議論が少し以前にあったと思います。私もファシリテーターまでやったのですけれども、もうブランクが10年近くあるので、今はとてもじゃないけどできないというので、もう一回勉強し直さないとできないなと思っています。木澤構成員どうでしょう。こういった緩和ケアの更新でここまで入れるとか、そういうことも一つの可能性かなと思いながら聞いていたのですが。
○木澤構成員 今、緩和ケア研修会自体はeラーニングにしており、またどんどん内容が増えてしまっているので、なかなか難しいかなという気はしています。そもそも考えていただきたいのですけれども、医療従事者にとってはこれから40年、50年この状況は続くわけですよね。高齢者の意思決定支援という問題はがん医療にとどまらず、本当に基本的なスキルになるわけですので、本気でやるのだったら、初期研修もしくはアンダーグラジュエートでかなり重く扱っていただく施策を組むことのほうが現実的だと思います。
多分この内容にも書かれていたと思うのですけれども、今2つの問題があると思います。1つは、認知症患者さんだからといって患者の能力をアンダーエスティメートしてしまって、簡単に言うと適切な治療を受けられない認知症患者さんという問題と、もう一つは、オーバーインディケーションで治療してしまうケース。双方あるので、かなりゆゆしき問題です。それは我が国の健康政策の大きなアキレス腱、非常に重大な問題だと思うので、小手先でどうにかなるような問題ではないと私は思っています。
○西田座長 ありがとうございます。と言いながら何もしないわけにもいかないだろうなと思いますけれども、岸田構成員、手を挙げていますが何かございますか。
○岸田構成員 オーバーインディケーションや、そもそも別の角度からにはなるのですけれども、まずは高齢者にとってのがんの適切な医療をしっかりベースとしてやっていく必要があると思っております。適切にできていないケースは患者さんから伺うこともあります。そこに関してはQOLを踏まえてしっかり考えていく必要があると思っていまして、体力がある世代より体力がなくなっていく高齢者のQOLをしっかりしていかないと、認知症も踏まえ意思決定がだんだん困難になってくるときに、まずここはしっかりできているよねというベースラインが必要だと思っています。高齢者に関する適切な医療のデータを含めそういったところは、今、老年医学などを専門にする部門もあると思いますけれども、データは出そろってきていたりするのかな、というのが疑問としてあって、もし、しっかり出ていたら政策につなげていただきたいと思いますし、もし出ていなかったら高齢者の医療、介護とも密接に連携すると思うので、局はまたがってしまいますけれども連携して介護と医療のデータをしっかり取って、政策につなげていく必要があるのかなと思います。
○西田座長 ありがとうございます。
羽鳥構成員どうぞ。
○羽鳥構成員 がん検診のあり方委員会などでは、欧米に倣って対策型がん検診においては、70歳以上は検診は行わなくてよいのではないかという議論もあったりするわけですが、現実に地域で行っていると、先ほどの絵にもありましたように、75歳、80歳近くの方が検診を受けにこられて、なおかつそこで新しく胃がんが発見されたり、大腸がんが発見されたり、肺がんが発見されます。そういう人たちで確かに認知症に入りそうな方もおられます。記銘力障害の方が出てきて、最終判断ができなくなって結局、息子さん、娘さんが決めていくこともありますし、最近は孤独の高齢者も数多くおられますので、そういう方が最後の決定ができないということもあります。そういう意味で、問題は多分3つ、4つ大きく複層的に絡んできていることなので、この辺は大変だと思いますけれども、先ほどのガイドラインでも結構ですが、ここでその4つをまとめたような指針みたいなものが出てくるといいかなという気もします。また新たに5つ目のガイドラインをつくるのかという話になってしまうかもしれませんけれども、大きな流れを示していただかないと、なかなか難しいかなと思います。意思決定を逡巡される高齢者の方が非常に多い。家族がいる方だったら息子さん、娘さんの言うことを聞いてくださって、その方向でいくこともあるけれども、自分で決められない方もこれから増えてくるだろうなというのが現実の臨床の場だと思います。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
木澤構成員どうぞ。
○木澤構成員 さっきの何かやらなければいけないというところで1つですけれども、先ほど緩和ケア研修会の中で高齢者総合評価を扱えないかという話は、持ち帰らせていただいてよろしいでしょうか。相談します。施策につなげることができるかもしれないので、実施可能かどうかを検討させてください。
○西田座長 ありがとうございます。
牧野構成員、何かありますか。
○牧野構成員 意思決定に関しましては、引き出し方がとても重要なので、今回資料の中に入っておりました意思決定支援の手引きは役立つものだと思います。しかし、これを読むというところでは理解や習得するのが少し難しいところもあろうかと思いますので、DVDにて短時間で見ることができる等ポイントが示されるような形で、見るものとして提供していただくのも一つかと思いました。
それから、ガイドラインもとても分かりやすく書かれています。できましたら、ガイドラインを中心として活用するのですけれども、ワークシートのようなものが加えてあれば、そのワークシートに書いてあるものを見て漏れずに手順を進めていくということがセットで現場に提供されると少しやりやすい、尻込みしていた人も前に進んでいこうという動きが取れるのではないかと感じました。
そして、高齢者を支援している介護支援専門員の立場で申し上げますと、本人の持つ力や強みも可視化していただく中で、できればエンパワメントを引き出していただくようなプロセスが意思決定の中で行われれば、とてもありがたく思います。
そして、認知症のBPSDの対応などを考えますと、社会資源について在宅において、どのようなところにどのような支援があるか示されているものが少ないということもデータで確認しました。可能であれば社会資源としては若年性を含む認知症の方の支援に、こういうものがあるということを情報提供できるものが作成されていると良いと感じました。
以上です。
○西田座長 御意見ありがとうございます。いろいろな議論があると思います。先ほど緩和ケアに持ち帰っていただくとおっしゃっていただきましたし、いろいろなところで検討しないといけないと思います。例えば、藤先生と私は日本がん治療認定医機構で、がんだけであればそういったところもプログラムに組むという手もないことはない。でも、どこかのシステムの中に入れないと、インプレメンテ-ション(実装)は難しいかなと考えます。本当にちゃんと根付けるような形にするには、システムの中に入れてしまわざるを得ない、と思います。これは木澤構成員のおっしゃるとおりだと思います。ぜひ、いろいろなところで検討していきたいと思います。
もう一つ大事なことがございます。人生の最終場面を過ごす場所も非常に重要な問題でございます。私の父はがんではありませんでしたけれども、最期は家で死にたいと言ったのですが病院になってしまいました。ちょっと後悔はありましたけれども、とても面倒見切れなかったというか、ベンチレーターを付けたまま家に帰って何回かトライしましたけれども駄目でした。それを今後どうやっていくか。最近、医師会も大分御協力いただいて、少しずつ家で過ごせるような環境、地域でやっていけるような環境が整ってきたと思うのですけれども、羽鳥構成員いかがでしょうか。最終の看取り、今、自分の望むところで人生の最期を迎えたいという人にどこまで応えられるようになってきましたか。
○羽鳥構成員 地域によって大分異なると思いますけれども、今、在宅医療を積極的に取り組んでおられる先生も増えてきています。いわゆる循環器を中心に在宅をやられる先生、がんの終末期を診られる先生、認知症を診られる先生とか、得意・不得意もありますし、エリアによってはもともと外科をされていた先生がそういう取組をしているということもありますし、内科系の先生がしている場合もあります。いろいろなパターンがありますけれども、少なくとも在宅医療をされる先生は増えていっています。ただ、それは1人の先生に負荷がかかるような仕組みではないほうがいいと思います。働き方改革もありますけれども、24時間365日、本当にお正月も夏休みもなく、土日もなく、1時間以内に帰れるところでしか講演会も行かないとか、そういう熱心な先生もおられますけれども、そういう先生方に頼っていくと10年、15年たつとバーンアウトして突然辞めてしまうこともあるので、それよりもみんなで緩く診ていけるような仕組みをつくることも大事だろうということです。
そういう意味では、地域によって多少差があるかもしれませんけれども、都会においても終末期を御自宅で過ごせるような環境をつくる努力はしていますし、診療報酬も5倍くらい高い点数がついているので、20人、25人ぐらいの数をきちんと本気で扱っていれば、外来をみなくても十分やっていけるぐらいの厚生労働省のバックアップもあります。
これから必ず増えてくると思いますので、皆さんが御心配されるほど家庭での最期、あるいは施設といっても特別養護老人ホームや高齢者施設での最期という方も十分診られるようになってきているのではないかと思います。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。1人ではなくてチームでやることが一つポイントだという指摘を受けました。もう一方で、地域の先生だけでやっていくといろいろな問題も起きてくると思います。病院とか診療所は施設と一緒にやっていくのも大事なのかなと思います。
○羽鳥構成員 おっしゃるとおりです。病院ときちんと連携が取れて、必要なときに入院できるような仕組みがあるところ、地域医療支援センターみたいなところがあるほうが上手に動いていると思います。
○西田座長 木澤構成員どうぞ。
○木澤構成員 2点あります。1点は、32ページの看取りに関わる状況を見ていただきたいのですけれども、これはがんのデータではないので必ずしも実情は反映していないと思います。まず、がん患者さんの場合は15%緩和ケア病棟で亡くなっていますので、そこはこのグラフには反映されていないと認識しています。それに在宅死と老健、老人ホームなどが入りますので、緩和ケア病棟が非常に大きな役割を果たしているので、それをちゃんと地域包括ケアの中で位置づけて考えていかなければいけないと思います。がん患者の人生の最終段階をどう見るかということをしっかり考えて、全体像を示さないといけないだろうなと思っています。
もう一つは、がんセンターで地域緩和ケア連携調整員研修をしていらっしゃると思うのですけれども、がん医療と地域包括ケアをしっかりつなげていかないといけないだろうと思っています。つまり、今、羽鳥構成員もおっしゃいましたけれども、いわゆる在宅専門の先生に患者さんが集中していくのではなくて、皆さんで支えていく体制をつくるためにも、全国のがん診療拠点病院の緩和ケアの専門家がコンサルテーションを受けて、在宅や施設で亡くなっていくことを支えるような仕組みづくりが必要だと思っていますので、そこにぜひ力を入れ、また、がんセンターの緩和ケア連携調整員の事業もさらに進めていく必要があるのではないかと感じています。
以上です。
○西田座長 御指摘ありがとうございます。
連携調整員に関して高山先生、何かコメントありますか。よろしいですか。ありがとうございます。
これはなかなか難しくて、個々の患者さんによって緩和ケア病棟で過ごさないといけない人と、家に帰りたくてもそうせざるを得ない人もいますし、帰れる人もいますし、様々な状況に応じて判断していかないといけないので、グランドデザインをつくると同時に、個々のニーズをどう抽出していくかが一つ問題かなと思いますが、そのあたり木澤構成員、羽鳥構成員、御意見ございますか。あるいは藤先生でも結構ですが。
藤先生どうぞ。
○藤参考人 九州がんセンターだけかもしれないのですが、実は病院の医療者が在宅のことをあまりにも知らないということがあるのだと思います。在宅につなげるのか、つなげられないのかということで、この人はつなげられないと思ってしまって、ずっと病院に入院させるということがあるのだと思います。九州がんセンターでは訪問看護ステーションをつくってやっているのですけれども、そこで見られる患者さんは限られた地域だけなのですが、在宅に対する理解を病院の医療者、医師と看護師が少しでも高めたいということを目的としてやっています。そうすると、病棟の看護師などが訪問看護についていったときに、バリアフリーとはどんなものかという認識が増えて驚いたとか、学んだという話がありますので、病院の医療者の在宅への知識を高めていくような活動も今後は必要になるのではないかと思っております。
以上です。
○西田座長 非常に適切な御指摘をありがとうございました。
岸田構成員どうぞ。
○岸田構成員 知識と理由、ネットワークも構築していく中での知識や、お互いこういったところがあるよというところは絶対的に必要だと思っています。地域格差というのはまだまだあって、今、在宅で医療を受けている患者さんでも自分のところでは受けられないから、わざわざ都会に出て受けていたりする患者さんもいらっしゃいます。ただ、この先生に聞けば分かるけれども、この病院の先生に聞いても分からないということもすごくあって、まず何をすればいいのかなと思ったときに、みんなで支えるのであれば、皆さんが情報を持っている状態にしないと絶対に変わっていかないなと思っておりまして、そこのリソースの可視化が不十分ではないかというのは、まだまだこれからだと思うので、そういうところも検討していく必要があるかなと思ったので付け加えさせていただきました。
○西田座長 ありがとうございます。
牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 地域の実情に応じたネットワークについて述べたいと思います。
やはり医療機関や介護施設等の医師も含めまして、医療従事者や介護従事者が連携して患者や家族を支援できる療養生活を支えるためのネットワークが必要だと思っております。そのためには、多機関にネットワークを構築している人たちが同じ情報を持って携われるように、そのような方を養成する仕組みが必要だと思います。
その手法です。地域のネットワークを構築する方々が定期的に集まる機会を持つことを指針として、好事例を持ち寄ったり地域の課題を持ち寄ったりすることで、がん患者の支援を検討していくような会を各地で行えるような仕組みができたら良いと思いました。
補足ですが、先ほど藤先生がおっしゃってくださった九州がんセンターの取組、在宅の状況を医療者の皆様に知っていただくのは本当に大切な視点だと思いました。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
塩川構成員どうぞ。
○塩川構成員 地域のネットワークという意味では、薬局薬剤師が薬だけではなく在宅にかなり関われると思うので、そういうネットワークづくりの中に薬局、今薬局と病院が結びつくような関係性を持ちたいということで、協力体制も薬局の方たちとともにしていく予定でおりますので、薬局薬剤師をうまくネットワークの中に入れていただきたいと思います。
○西田座長 牧野構成員どうぞ。
○牧野構成員 地域の薬剤師さんの役割もとても大きく、薬の状況も在宅で見てくださっている方もとても多いですので、塩川構成員が言ってくださった内容は必要なことだと思いました。
以上です。
○西田座長 ありがとうございます。
ほかに御意見ございませんでしょうか。確かに全体像を描かないといけないのですけれども、描くまで待っていたら進まないので、今、医師会の先生方も非常に努力していただいています。先ほど羽鳥構成員から御指摘がありましたように、厚生労働省もその方向に向けて船はこいでくれているかなと思います。その中で、医師会の先生方がつくっておられる在宅のシステムと、我々は急性期病院なので、そこで在宅を理解するというのは藤先生御指摘のように非常に難しい。その間のコーディネーターを育成するとともに、相互理解のために、十何年前、私は大阪の警察病院にいたのですけれども、そこでは四半期に1回は在宅をやっている先生と病院が話し合う機会を持っていましたが、大変かも分かりませんけれども、そういった会を持っていかないといけないかなと、先生方の意見を聞いて思いました。
木澤構成員、最後に付け加えることはございますか。
○木澤構成員 特にないです。ありがとうございます。
○西田座長 前田構成員どうぞ。
○前田構成員 私が急性期の病院にいることを踏まえての発言ですが、先ほど院内で地域の実情が分からないと言う話が出ました。それは確かに今でもあると思いますが、一方で、入退院支援センターの設置だったり連携部分の強化であったり、院内にある連携部門にいる、退院支援に関わっている社会福祉士や看護師さんたちは地域の実情といった知識を蓄えていっていますし、先生方よりもケアマネジャーさんと日常的に接しているわけです。ですが、院内の連携部門にいる私どもが地域に出ていくということは実際の業務の中では難しい部分もあったりします。地域包括ケア会議と言った地域にもともとある枠組の中にいかに拠点病院が院内の連携部門等の人材をちゃんと送り込めるかも議論が必要だと考えます。
以上です。
○西田座長 ありがとうございました。
おおむね意見が出たかと思います。意思決定に関してはまだ決まっていませんけれども、どこかで、何らかベースを用い、何かのインプットできるようなシステムを構築しなければいけないと思います。がんだけでいいのかどうかというのは微妙な問題があるのですけれども、少なくともがんはやらなければいけない。緩和ケアとがん治療認定医機構もあるので、何らかの形でシステマティックに情報をインプットする方法が必要ではないかという御意見を伺いました。
一方で、住み慣れたところ、あるいは自分の望むところで人生の最終場面を迎えることに関しては、大分整備は進んできた。けれども、その間をつなぐ病院と地域の先生方をどううまくつなぐか。地域の先生もサステナビリティーのある組織をつくって、互いに助け合いながら患者さんのためにやっていくことが必要であるという御指摘を受けたと思います。
今日はたくさんの御議論をいただき、ありがとうございました。座長の不手際で時間をオーバーしてしまいましたけれども、以降マイクを事務局に返したいと思います。よろしくお願いします。
○事務局 西田座長、ありがとうございました。
次回の日程に関しましては、事務局より追って御連絡いたします。お忙しい中大変恐縮ではございますが、日程の御調整のほどよろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議を終了いたします。構成員の皆様方、長時間にわたり誠にありがとうございました。
 

照会先

健康局がん・疾病対策課

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