第3回 がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

令和3年12月21日(火)13:00~15:00

議題

  1. (1)がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○事務局(湯川がん医療専門官) それでは、定刻を少し過ぎておりますが、ただいまより第3回「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、健康局がん・疾病対策課の湯川でございます。
 本検討会はYouTubeにて配信しておりますので、御承知おきください。
 本日は、10名の委員全員に御出席いただいております。限られた時間でございますので、委員の皆様方の御紹介は謹んで割愛させていただきます。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトにも掲載しております議事次第、資料1から2、及び参考資料1から3がございますので、御確認ください。
 また、構成員の方々には医療機関の状況についてまとめた資料を事前に送信しておりますので、現状把握の一助にしていただければと考えております。
 また、参考資料1、本ワーキンググループの開催要綱を御覧いただきますと、3の(2)において、「本ワーキンググループに座長を置く。座長は、ワーキンググループ構成員の中から、『がん診療提供体制のあり方に関する検討会』座長が指名する」とされています。事前に「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」の土岐座長より中釜委員を座長に御指名いただいておりますので、これからの進行については中釜座長にお願いいたします。
○中釜座長 本ワーキンググループの座長に指名されました中釜です。2019年6月から保険診療下でのゲノム医療検査が可能となり、そこからゲノム医療の展開を図ってきているところであり、現在中核拠点、拠点あるいは連携病院を含めて200を超える病院が連携を取りながら、このがんゲノム医療が推進されてきているところであります。したがいまして、このワーキンググループでは、これまでの実績を踏まえた上で、次に向けての指定要件の見直しは非常に重要ですので、委員の先生方におかれましては積極的な御発言と活発な議論をお願いしたいと思います。
 それでは、早速議題に入らせていただきます。本日2時間と時間が限られておりますので、スムーズな進行に努めたいと思います。御協力よろしくお願いいたします。まず、議題1「がんゲノム医療中核拠点病院等の指定要件について」に移りたいと思います。資料1、2を事務局より説明いただきたいと思います。では、事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) それでは、資料1、がんゲノム医療の現状について説明させていただきます。スライド2枚目をお願いいたします。現在、がんゲノム医療推進コンソーシアムの下、病院、患者、国民、研究機関等が一体となってがんゲノム医療を進めております。
 次にがん遺伝子パネル検査の概要でございますが、現在3品目が保険収載されているという状況でございます。
 次のスライドに行っていただきますと、がん遺伝子パネル検査の件数でございますが、2021年8月にFoundation One Liquidが保険収載されておりますので、少し増えてきておりまして、おおむね月1,500件程度でございます。
 次をお願いいたします。がんゲノム医療中核拠点病院と拠点病院は自施設でエキスパートパネルができる病院、中核拠点病院はさらに人材育成や研究開発の機能が求められております。連携病院は中核拠点病院と拠点病院がそれぞれ選んでいるところでございまして、エキスパートパネルをそれぞれ連携先の拠点病院、中核拠点病院に依頼するという形でございます。
 こちらは中核拠点病院、拠点病院の一覧でございます。
 次のスライドとその次のスライドにつきましても病院の一覧を載せてございます。
 最後のスライドは、10月末に行われたがん診療提供体制のあり方に関する検討会におきまして、現在指定されている中核拠点病院と拠点病院の指定期間を1年間延長する方針が決定いたしましたので、こちらに再度転載しております。
 以上が資料1の説明でございます。
 続きまして、資料2の説明に参らせていただきます。1枚送っていただきまして、「指定要件の見直しの進め方について(案)」というところで、現在の整備指針につきましては、以下の8つの観点に、人材育成の観点、指定の申請手続き等の観点を加えた、全部で10の観点について記載されているところでございます。この10の観点を踏まえながら必要な検討を行う方針としてはどうかというところで、案とさせていただきました。
 次のスライドからこの10の観点について具体的に論点案を記載させていただいております。「パネル検査を実施できる体制がある」という1つ目の観点から、5ページ「指定の申請手続き等について」というところまで10の観点について、見直しの論点を挙げさせていただいております。また、その他の論点として、全ゲノム解析や、小児がん、造血器腫瘍を対象としたパネル検査等の、今後開発されていく新規技術についてどのように考えるかというところを挙げさせていただきました。
 最後に、参考としましてこの10の観点について、現行の整備指針の中でどのような記載ぶりになっているかというところを載せております。
 以上が資料2の説明になります。
○中釜座長 ありがとうございました。
 今、事務局から説明がありましたが、資料1ががんゲノム医療の現状についての説明で、資料2が今回の整備指針改定の論点を挙げたものでございます。
 資料1について特段御質問がなければ、資料2に進みたいと思いますが、資料1について御質問はございますでしょうか。よろしいですか。
 特に質問がないようですので、資料2に入らせていただきます。資料2、先ほど事務局から説明がありました10個の論点プラス最後のその他の論点が本日の会議の主たる論点になりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、資料2のスライド2枚目に指定要件の見直しの進め方について書かれておりますが、資料1の中で10個の論点を順次進めていきたいと思います。では、3枚目以降の最初の論点、1番目「パネル検査を実施できる体制がある」というところに関してです。ここに先ほどの説明に加えて、「今年度保険収載されたリキッドバイオプシーや、今後の活用が期待される全ゲノム解析等の新規技術を行う上で、検査室等に求められる機能や、検体処理等に必要な医療従事者についての要件をどう考えるか」というところが書かれておりますが、最初の論点について何か御意見ございますでしょうか。では、土原委員、お願いいたします。
○土原構成員 土原です。
 1番のパネル検査を実施できる体制に関しましては、過去2回のこのワーキンググループにおきましてもISOの臨床検査室あるいは病理検査室としての質保証が保たれているかというところが論点として議論されてきたと思います。これまでは組織、病理検体を扱ってきたということで、そこが大きなポイントだったのですが、今回はリキッドバイオプシーが始まりまして、血液の検体を扱うという意味では、これまでの病理の先生が中心というところからさらに検査のやり方が変わってくるというところで、そこについての配慮が必要かどうかということについて、まず確認が必要かと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 この点について、現時点で事務局、何か御意見ございますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 
 病理の先生方にも引き続き御協力いただきながら、必要に応じて病理以外の分野も含めて、検査の体制等についてこのワーキンググループの中で御議論いただければと考えております。
○中釜座長 今の説明で土原委員から具体的な提案などございますでしょうか。
○土原構成員 これまでは病理学会のほうで検体の取扱い等についてかなり議論されて、ガイドラインも出ているという状況ですが、これまでも臨床検査の専門家の意見をきちんと反映させてほしいということは、例えば学会のガイダンスをつくったときも意見としてございましたので、今日は金井先生が恐らくこのジャンルの御専門の先生かと思うのですけれども、そういった病理と臨床検査、どのように取り扱うのがよいのかというところに関して、専門の先生方の御意見を伺いたいと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。重要な視点かと思います。
 金井先生、この点について、現時点で何かコメントございますか。
○金井構成員 ありがとうございます。臨床検査部門と質保証、あるいは検査室のクオリティーについてはすり合わせをしておりますし、大きく矛盾するものではないと思いますけれども、やはり両方とも第三者認定を受けたという指定になっておりますし、従事者についても同じように専門性のある臨床検査医学の専門家ということが要件として入るということはよろしいかと思います。必要なことかと思います。
○中釜座長 ありがとうございました。
 今、御指摘の点は十分に考慮しながら指定要件の文案というのを検討していきたいと思います。
 それでは、中島委員、よろしいでしょうか。
○中島構成員 ありがとうございます。リキッドに関しては、今、御議論いただいたとおりだと思いますけれども、ホールゲノム、全ゲノム解析などの新規技術を行うということを想定して、今回の改定で施設要件を見直す必要があるのかというところは、疑問に思っておりまして、現時点ではあくまでも研究段階のものでありますので、そこに関して関連の皆様方でどのような議論が行われているのか、教えていただければと思っております。
○中釜座長 この点について、事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 
 全ゲノム解析の体制につきましては、全ゲノムの専門委員会で議論が進んでいるところですが、現在もAMEDの研究班で患者さんに還元するというところも見据えて研究を行っていただいているものと承知しておりますので、専門委員会の議論も踏まえながら、全ゲノム解析の医療実装の形の中で、今回ご議論いただく整備指針の中にあてはめるべきものについてはあてはめていくものと考えております。
○中釜座長 そういう説明でよろしいですか。必ずしも指定要件というところでないにしても、両方の動きを見ながらがんゲノム医療の要件のところを考慮していくという説明かと思いました。よろしいでしょうか。
○中島構成員 はい。
○中釜座長 ほかに御意見、御質問ございますか。金井委員、お願いいたします。
○金井構成員 提示されたことと少しずれるかもしれないのですけれども、第1の論点の1のマル1の(イ)です。日本病理学会の2つの規程をここで書いていただいていると思いますが、研究用の規程というのは、後のほうの論点の新鮮凍結標本を収集する、保管するという体制についての規程であって、パネル検査を実施するということに関しては診療用の規程に書いてございます。両方とも併記していただけるというのはありがたいというところではあるのですけれども、むしろ1番の論点のところには診療用の規程を置いていただいて、この先の6番の論点のところに研究用の規程というのを置いていただくのが内容には即しているということで、御配慮いただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。
○中釜座長 重要な御指摘ありがとうございました。では、そのように対応していきたいと思います。
 ほかに御質問ございますか。では、若尾委員、お願いいたします。
○若尾構成員 一ユーザーとして参加させていただいている若尾直子です。よろしくお願いします。
 「パネル検査を実施できる体制」という言葉ですけれども、このパネル検査を実施できる体制があるというものの中の、中核拠点と拠点病院は、一般から見ると自施設でシークエンスができるだろうなということを考えるのですが、一ユーザーから見た自施設でのシークエンス体制があるかどうかということをこの指定要件の中に文言として盛り込むということは可能なのでしょうか。それともそういうことは必要ないのでしょうか。
○中釜座長 この点について、事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 
 現在のがん遺伝子パネル検査、保険診療でやっているものについては、シークエンスは全て外注、検査会社で行われているものと理解しておりまして、もちろんその検査会社でクオリティーは担保されているものと理解しております。
 先ほどお話にありましたような全ゲノム解析等についても、シークエンスは外注しているような状況でして、シークエンスを検査会社に外注するという現状に即して要件を定めるのが適当なのかなと思ってはおりますが、先生方にご意見、ご議論をいただければと考えております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 若尾委員、今の説明でよろしいですか。
○若尾構成員 実際に行っている中核拠点や拠点病院の専門家の方は外注でするということが基本ということでよろしいのでしょうか。
○中釜座長 そうですね。そのような理解でよろしいかと思います。実際に検査レベルでの遺伝子検査をするというところにおいては、質の担保された検査会社で行うというのが現在のがんゲノム医療、ゲノム検査の流れというふうに理解します。
 ほかに御質問ございますでしょうか。よろしいですか。
 パネル検査が実施できる体制という意味では、今、委員の先生方から御指摘のリキッドバイオプシーというところを踏まえた臨床検査と病理検査の一体化、連携などの視点を少し丁寧に書き込むということ。それから金井委員から御指摘は、研究レベルでの病理と臨床、診療レベルでの病理検査、そういうものの項目を分けて記載していただきたい、という御指摘だったかと思います。大きな流れとしては、これまでの指定要件の書かれている記述ということで方向性としてはよろしいのかなという御意見だと思いますが、そういう理解でよろしいですか。ほかに追加で御発言はございますでしょうか。よろしいですか。
 もしないようでしたら、2番目の論点「パネル検査結果の医学的解釈可能な専門家集団を有している」という点、いわゆるエキスパートパネルに関する点について御議論いただきたいと思います。資料の中に現時点での幾つかの課題や論点が書かれていますが、こういうものを踏まえながら御発言いただきたいと思います。では、土原委員から御発言いただけますか。
○土原構成員 私自身はこのワーキンググループの第1回から参加をしておりますし、その前身となるサブワーキンググループ時代の議論にも参加した経験がございます。2番目の専門家集団の定義というところは、当初から非常に難しかったところかと思います。当時、日本の中で診療レベルでのこうしたパネル検査が行われていなかったときに、どのぐらいの専門家が必要かというところをかなり手探りで決めたというふうに感じておりました。実際のところは、手探りであったがゆえに、かなり手厚い人的要件、施設要件の配慮がされてきたのかなということを現場の感覚として今、感じているところであります。
 実際に保険診療が始まって2年がたちまして、特に中核拠点病院、拠点病院では経験を積んでくると、ここまでは全員がそろって会議をしなくても大丈夫かなというところも今、見えてきているというところですので、今、現行の指針に書かれているものに関しては、それぞれ専門家は、必要なときには意見が求められるという体制は必要だと思うのですが、その辺り、運用のところを現実に即した形にしていくということは十分意味があるのかなと考えているところであります。
○中釜座長 ありがとうございます。
 それでは、織田委員、何か御発言ございますか。
○織田構成員 織田ですけれども、お願いいたします。
 前回のこの要件と大きな違いというのは、前回は実際に保険のパネルがない中で構成要件を決めているというところがあって、今回は、2年以上がんゲノム医療が提供されているという状況がありますので、実際にどのような形で成果、出口につながったかとか、そういった部分に関しても検討が必要かと思っております。この辺、負担増という部分もあるのですが、負担増がある中で、どのような形でしっかり患者さんに出口としてのがんゲノム医療からの治療に結びついたか、そういったところも少し議論ができればと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。ただいま織田委員から、当初このパネル検査を導入した際に、検査の実施数を増やすと同時に、それを出口につなげるというところが非常に重要な視点であるということと、それを踏まえてエキスパートパネルの負担をどういうふうに考えていくかという2つの論点をご提示いただきました。質を担保し出口につなげながら、エキスパートパネルの負担軽減を図るという2つの論点が非常に重要だろうということでありました。特に最初の部分、出口につなげるところをしっかりと進めていく、そういった意味でのエキスパートパネルの重要性ということで御指摘いただいたと理解しました。
 これについて追加の御発言ございますでしょうか。中島委員、お願いいたします。
○中島構成員 ありがとうございます。まさに今、御発言いただいた委員の御意見に同意なのですけれども、しっかり出口につなげる方を増やすということを目的に、各拠点、中核拠点で手厚いエキスパートパネルを2年間行ってきたわけですが、一方で、御指摘のとおり現場の負担がかなり大きいということで、今日のエキスパートパネルに本当はかけていただきたい患者さんも来週になってしまう、再来週になってしまうということで、より治験や臨床試験に登録できる確率が減っていってしまっているというのが現状かなと思っています。
 ですので、2年間しっかりやってきた経験を踏まえて、どういう方、どういう結果であればエキスパートパネルをスキップできるのかというところを少し見直す時期に来ているかなと思っています。恐らくどの中核拠点、拠点でもエキスパートパネルの前にプレエキスパートとか、その前の本当のコアメンバーでのディスカッションというのが2段階もしくは3段階で行われていると思いますので、そういう段階で結論を出せるような結果の方というのを、そういうパターンで省力化していくというところは必要かなと思っております。実際日本臨床腫瘍学会でもエキスパートパネルの省力化というところを、メンバーを募って検討を開始していると聞いていますので、そのような取組ができる時期に来たのかなと思っています。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 これまでの委員の御指摘である、エキスパートパネルの負担の軽減、同時に出口戦略の確保について事務局のほうでお考えがありましたら、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 
 まさに今、御議論いただいたように、しっかりと出口を拡充していくというところと、現場の負担軽減というところと両にらみで議論を進めていくのかなと考えております。増えてきた検査をさばくためだけの省力化ではなくて、省力化可能な部分は省力化して、本当に議論が必要な部分をしっかり議論していただくということが重要だと理解しております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 それでは、吉田委員、お願いできますか。
○吉田構成員 ありがとうございます。一部繰り返しなのですが、2点。1つは、エキスパートパネルの「省力化」「負担軽減」という言葉が出てきていて、その点はそのとおりなのですが、重要なことは、患者さんによって、もっと時間をかけなければいけない患者さんと、定型的に手早く議論が終わる患者さんがいらっしゃるということです。単なる医療者側の負担軽減ではなくて、検討の時間が必要な患者さんにもっと時間をかけられるようにしないと、トータルの件数が増えてきていますので、全体的に適正な議論がなかなかしにくくなっているのではないか。その最適化という点があるかと思います。
 2点目は、この資料2の2ページに「専門家集団を有している」とあるのですが、これも土原先生がおっしゃったように、最初の立ち上げのときはその医療機関で全ての専門家を網羅するような形でつくったのですが、次第にやってみると、希少症例、あるいは遺伝性腫瘍などの二次的所見、あるいは血液とか小児とか、単施設では必ずしも全てをそろえられなくなってきていることもあると思うので、必ずしも「有している」だけではなくて、そういった施設外の専門家集団のネットワークと連携できると。こういったことも組み合わせて考えていくと、より強力になるのではないかと思います。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございました。
 今の御指摘に対して、定型的な症例とそうでない症例の類型化というのは、現時点で例えばどういうところがあると吉田委員はお考えでしょうか。
○吉田構成員 C-CATではゲノム医療中核拠点病院等連絡会議、いわゆる病院長会議の事務局をしておりますので、そのほうから御紹介しますと、病院長会議からエキスパートパネルの運用を簡略化できる案というものが出されて、がん対課に提出されているところであります。湯川専門官のほうからこの後コメントをいただけるかなと思いますが、いかがでしょうか。
○中釜座長 今の点に関して、事務局から発言できる範囲でお願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 中核拠点病院等連絡会議から、遺伝子以上が検出されなかった場合等の一部の症例について、運用の方式を省力化してはどうかという御提案がありました。様々な御意見を踏まえて検討を進めて参ります。
○中釜座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 では、平沢委員、お願いできますか。
○平沢構成員 よろしくお願いします。
 これは2番だけではなくて、7番と8番とも関連している項目なのですけれども、エキスパートパネルの構成メンバーに薬剤師が含まれていないという課題があります。薬剤師は、薬剤の適正使用や臨床研究における実施状況の確認や、適格性の確認ということで、がんゲノム医療の実装に貢献しています。
 また、薬剤師間での地域間ネットワークが治療薬の候補、選択に重要な役割を示した例も複数経験していますので、エキスパートパネル構成メンバーに薬剤師を加えることを御検討思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘に関して、事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 施設要件として必要な人員の体制と、そして先ほどから省力化という話もございましたが、運用のあり方と、二つの側面があると思っております。必要な症例については当然現時点でも薬剤師の方に検討いただいているものと思っておりますが、今いただいた御意見は施設要件としての一つの観点と理解いたしました。
○中釜座長 よろしいでしょうか。
○平沢構成員 はい。
○中釜座長 ほかに御発言。金井委員、お願いいたします。
○金井構成員 先ほど来問題となっております省力化できる症例と手をかけなければいけない症例を見極めるというのは、高い専門性が必要ということに集約されるとは思うのですが、その点に関しまして、出身母体ばかりを代表しているので恐縮なのですけれども、日本病理学会におきましては、病理専門医の中で特にエキスパートパネルを主導することができるという資格を目指して、分子病理専門医という制度を新設しております。今までがんゲノム医療に対応してこなかったような病理専門医たちも真摯に勉強いたしまして、かなり年長者も含めて毎年受験をして着々と人員を増やしているところでありますので、病理学に関する専門的な知識及び技能を有する常勤の医師というものを可能であれば。それはほかの資格と表現をそろえなければいけないとは思いますけれども、基本領域に入っていますから、この部分を「病理専門医」と書き換えていただいて、さらにエキスパートパネルに参画する要件の専門家集団としては分子病理専門医が望ましい。そちらのほうは学会認定ですので難しいのかもしれませんが、可能であれば「分子病理専門医が望ましい」ということも併記していただくということが、日本病理学会としては総意で希望であるということをお伝えしたいと思います。
 以上です。
○中釜座長 今の点について、事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) ほかの資格との並びというところもございますので、課内で検討させていただければと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 金井委員御指摘のように、エキスパートパネルの省力化に加えて、質の担保をどういうふうに書き込めるかということだろうと思いますので、その辺りは検討していただきたいと思います。
 ほかにございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 それでは、ないようですので、3番目の論点に移らせていただきます。3番目は「遺伝性腫瘍等の患者に対して専門的な遺伝カウンセリングが可能である」という点です。幾つかの論点が書かれてありますが、この点について御意見ございますでしょうか。では、平沢委員、お願いいたします。
○平沢構成員 用語についての意見です。「遺伝カウンセリング」と記載されているところの多くは、遺伝カウンセリングのみならず遺伝学的検査も含めた広い意味での「遺伝子診療」という言葉に置き換えたほうが良いと考えます。遺伝カウンセリング自体は一つのプロセスですので、多くは「遺伝子診療」という意味だと理解しています。
 同じように用語ですが、この文章の中で「がん遺伝子パネル検査」「遺伝子パネル検査」「パネル検査」という言葉が統一なく出てきているのですが、海外で「多遺伝子パネル検査」というと生殖細胞系列の遺伝学的検査でであるMultigene Panel Testing(MGPT)を指し、がん遺伝子パネル検査は(Comprehensive Genome Profile:CGP)ということが一般的です。今後はがんも難病もゲノム医療が実装して多遺伝子パネル検査や全ゲノム解析が始まるところで、一度用語の整理が必要になるかなと思っています。その上で、こちらの記載をほとんど「がん遺伝子パネル検査」という言葉に置き換えたほうがいいと考えます。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘に関して、事務局、何か御発言ございますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 今回10の観点については、見出しとして、元々の文言をそのまま使用させていただいたほうが分かりやすいかと考えて、元のまま使用させていただいたところです。「パネル検査」と書かれているものについては、御理解いただいておりますように、がん遺伝子パネル検査のことでございます。また、遺伝カウンセリングや遺伝学的検査を含めて、遺伝子診療というところで今回指定要件について御議論いただければと考えております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。
 ほかに御意見ございますでしょうか。若尾委員、お願いいたします。
○若尾構成員 患者としては、遺伝子カウンセリングは、遺伝子診療に含まれるということになるかと思いますが、質の担保はどうなっているのかなということを強く思います。施設によって、例えばカウンセリングでしたらば、カウンセリングの内容がどんな評価をされているのかというところの見える化はどのような形でされているのか、教えていただきたいです。
○中釜座長 では、事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 現在の整備指針においては遺伝カウンセリングの件数というところが要件になっているところでございますが、評価方法も含めて具体的な施設要件について何かお考えがあれば、構成員の先生方に御意見をいただければと考えております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 それでは、この辺り、臨床の現場から例えば坂田委員、何か御発言ございますでしょうか。
○坂田構成員 ありがとうございます。非常に大事な点かと思います。特に2番の点ともすごくリンクするのですが、エキスパートパネルでどういった症例や議論を時間をかけてしなくてはいけないのか。一番重要なのは、遺伝カウンセリングが必要な症例かどうかという点が必要かなと思っております。どういった症例、例えば家族歴があるかとか、いろいろな点から検討しているのですけれども、施設間でばらつきがないようにしていく必要はあるように考えております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 では、平沢委員、何か御発言ございますか。
○平沢構成員 がんゲノム医療連携病院の施設要件では「遺伝性腫瘍に係る遺伝カウンセリングを過去1年の間に1人以上に対して実施していること」が条件となっています。2018年にBRCA1BRCA1/2の遺伝学的検査がコンパニオン診断として保険収載された後に一年間で1件というのは、実情に合っていないと思いますので、数の上でも見直しが必要かなと思います。
 その上で、今年9月の厚生労働省からの現状報告書では遺伝子診療についての調査項目が追加されました。そこでは遺伝カウンセリングの件数や遺伝学的検査の数、そして血縁者にどのように及んでいるかということまで把握するもので、これは遺伝診療の広がりに関しても質的評価が可能な調査でであると感じました。
 がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会がんゲノム医療の定義は、「治療の最適化、予後予測、発症予防」で、未発症者も対象とするとしています。今後のわが国のがんゲノム医療は未発症者や発症予防、いわゆる遺伝性腫瘍への対応によって確実に国民のがん死低減につながると思いますので、ここのところは突き詰めて議論することが必要かと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の点について、事務局、何か御発言ございますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 今、平沢構成員に御発言いただきました9月1日時点での現況報告書というものを、11月末を締切りとしまして回収させていただいたところで、今回のワーキングでは暫定的な資料をお手元に配付させていただいておりますが、今後、集計結果も使いながら、次回以降のワーキングで御議論いただけるようにと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 御指摘のように、調査に基づいたカウンセリング等の実績数に応じたような要件、数の点での見直しが必要かなと考えます。
 それでは、吉田委員、お願いできますか。
○吉田構成員 ありがとうございます。若尾委員のおっしゃることは本当に根本的なところで、そもそもがんゲノム医療だけに限らず、がん診療連携拠点病院全体を含めて、指定した後のPDCAサイクルな仕組みをどのように組み込んであるかということに関係するのかなと気がしています。何らかの形で患者さんや御家族からのフィードバックを集める。例えば厚労科研費などの研究班でもいいかもしれませんし、そのようなフィードバックを集めて医療の評価をしていくということが必要なのではないか。指定要件だと、いろいろな認定医医等の資格を持っている人数とか、件数とか、そういう外形的な指標になりがちなのですけれども、医療の質についてはなかなかそれだけでは捉えられないものがありますので、そういうPDCA的な仕組みをどう組み込むのかというのはどのように考えられているのか。このワーキングの親会議のようなところなどで検討されているのでしょうか。
○中釜座長 2番目の論点のエキスパートパネルの質的な担保ということとも共通するのかなと思うのですが、今日は指定要件に関する論点が中心になっています。その辺りの質の担保についてどのように考えるか。現時点で事務局から御発言がありましたら、よろしくお願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 今回は整備指針、ミニマムリクワイアメントとしての指定要件を定めるようなワーキングと理解しております。PDCAサイクルが回っているのかを評価するために、どのような形で指定要件に組み込んでいくか、評価軸の具体案も含めて御意見をいただければと思っております。
○中釜座長 今のお答えでよろしいでしょうか。
 恐らくエキスパートパネルに基づいた診療を行う際の結果の解釈など、そういうところの質を担保しながら、どのようにがんゲノム医療の均てん化を図るかという大きな議論だと思います。ここをどういう形で指定要件の中に反映できるかについては、もう少し検討していただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 それでは、織田委員、お願いいたします。
○織田構成員 吉田構成員からの御発言で確かにと思ったところは、厚労科研のほうで進めているようなアンケートでも、Germlineの所見に関してどういう説明を聞いたか、患者さんのほうで覚えていなかったりというところもあったりしますので、そういったフィードバックというところは、難しいかもしれないけれども、やはり考えていければと思いました。
 あとは、件数はもちろんですが、これから全ゲノム等も含めて様々な患者還元が行われていく中で、どういった遺伝子に関してGermline Findingsが見つかったときに開示をしているのかというところも、これは少し各論なので細か過ぎるかとは思うのですけれども、幅広い遺伝子に関して見つかったら適切に開示ができるかどうかというところも本来は重要になるのかなと思いました。結局、件数だけであれば、HBOCであったり、リンチであったり、コモンなものが疑われる場合のみでも件数は十分到達するというところはあるのですが、様々なレアに見つかっているものに関して適切にアセスメントができるかというのも少し検討できればと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 では、ほかに。若尾委員、お願いいたします。
○若尾構成員 ありがとうございます。こうやって検討していただけることはとてもありがたいと思います。吉田構成員や織田構成員がおっしゃってくださったように、適切な開示ということを実際その相談を得ている患者・家族がどういうふうに感じているかということは、質の調査を待たないと分からないかもしれませんが、数多くはないのですけれども、がんゲノムに関するパネル検査を受けた方の相談をいただいた中では、ELSI的な配慮が少なくて、遺伝子保護がしっかりしていない日本においては、少し危ういような件数も見られたりするのです。なので、遺伝子カウンセリングに対する質の評価というものをできたら緩和ケアのように、ピアレビューのような形でお互いにお互いをチェックし合うみたいなことがこの中に可能性として盛り込まれたらいいなと思うのですが、これはちょっとハードルが高いでしょうか。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘について、事務局、ございますでしょうか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 実際にハードルが高いかどうかというのは、各病院の先生方の御意見をいただきたいところです。その中で今回いただいたご意見も踏まえて、次回以降のワーキングに生かしていくのかなと理解しております。
○中釜座長 現行でも診療機能として、生殖細胞系列等に変異が同定された場合の対応方針について明文化された規定があると書かれておりますので、指定要件としてこの辺りを必ず取り込むということと、さらにはその規定の運用状況をどういうふうに把握していくのか、その体制を並行して設ける必要があるのではないかという御指摘かなと理解しますが、そういう方向で検討は可能でしょうか。
○事務局(湯川がん医療専門官) はい。そういう方向で今後検討を進めさせていただければと考えております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 では、ないようですので、4番目の論点に移らせていただきます。4番目は「パネル検査等の対象者について一定数以上の症例を有している」。これは実績という点での要項ですが、この点について何か御意見ございますでしょうか。現行では遺伝子パネル検査が保険収載されたその後の要件でしたので、実際実績についての要件は特に定められていないわけですが、2年半の実績を踏まえて、次期の指定要件に関しては実績をある程度鑑みるという非常に重要な視点かなと思います。この点について、実際の現場でゲノム医療に関わっている方々、あるいはその患者代表として何か御意見がありましたら、お願いいたします。では、土原委員、お願いいたします。
○土原構成員 実績は、既に2年間やっていまして、特に中核拠点病院等はかなりの症例が集まっていると思います。ただ、あまり数を競うという類いのことではないと思います。一方で、せっかく指定を受けていても、なかなかその指定が十分に生かされていないというところに関しては、その原因が何かということも踏まえて、ある程度のアセスメントというのは必要になるかと思います。その原因、なぜ増えないのか、あるいはできないのかということから逆算していくと、これまで議論にあったような施設要件等にも波及してくると思いますので、こういったところというのは、雰囲気とかフィーリングで議論するところではなくて、ちゃんとしたデータに基づいての議論が必要だと思いますし、必要であれば、学会や厚労科研の研究班のようなところできちんと専門家が議論した上で考察をするというのが大事だろうと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。今、土原委員御指摘のように、単なる数ではなく、例えば冒頭に説明がありました出口への展開の実績、あるいは連携病院等との連携体制など、そういうものも重視すべきかなという御意見と理解いたしました。ありがとうございます。
 それでは、若尾委員、お願いできますか。
○若尾構成員 今、単なる数ではないということがありましたが、均てん化というか、どこに住んでいても適切にがんゲノム医療が受けられるということであれば、47都道府県の中でどのくらいの検査とつながっている人がいるのか、もしくは検査が必要なのにつながっていない人がいるのかということは把握する必要があると思います。診療病院まで含めれば全部の都道府県にあると思いますので、どの程度の数が上がっているのかということは定期的に見ていく必要があるのではないかなと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の若尾委員からの御指摘も指定要件ということと、質の担保をどのような体制で確保するのか、その2つの視点が必要だという御指摘かと理解いたしました。ありがとうございます。
 では、坂田委員、お願いいたします。
○坂田構成員 ありがとうございます。先ほどから御指摘があったように、出口などへどのぐらいつながったかという点は重要である一方、今回経験を積んでからの指定要件の見直しということで、経験を積んできたということも重要な点であるかなと感じております。
 それに加えまして、拠点病院と中核拠点病院というのは今、規定されていますけれども、拠点病院が中核拠点病院になるために、例えばどのように努力すべきなのか中核拠点病院のように例えば人材育成を担ったり、そういう努力をしていくこともがんゲノム医療の均てん化という意味では重要かなと思いますので、そういう点でも議論していただければと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。坂田委員から御指摘は、単なる検査数だけではなく、実績の評価指標として次の指定要件の中に盛り込めるものがあれば、そういうものも考慮いただけないかという御指摘と理解いたしました。事務局、現時点で何かお答えできますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 皆様方の御意見を伺いまして、単に数の問題ではないというところ、そして出口を含めて実績を評価していくものと理解いたしました。先ほどもお話しさせていただきましたように、11月末締切で現況報告書をいただいておりますので、次回以降のワーキングで数、データをもって具体的に、出口も含めた実績というものを評価、要件化していくのかなと理解いたしました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 では、中島委員、お願いできますか。
○中島構成員 ありがとうございます。出口を含めた実績の評価に関しては、後ほど7のところでもお話が出るかなと思いますので、そこは私も省かせていただきますけれども、今までの構成員の先生方と全く意見ですが、連携病院もしくは拠点、中核拠点が所在する場所のがんの患者さんの数とか、連携病院の数とか、その所在地によって検査に出せる数というのは大きく違います。実際にエキスパートパネルを見ていますと、月に1例出るか出ないかの連携病院でも非常に質の高い資料を作成したり、解釈をつけている病院もございますので、単なる数でカットオフを引くのであれば、相当慎重に引かなければいけないですし、今、事務局の方からデータを詳細に解析してという御発言もありましたので、なぜ少ないのかというところもひっくるめた条件を設定しないと、もったいないことになるかなと思っています。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。重要な御指摘と思います。これは中核拠点あるいは拠点と連携病院の連携の在り方について何らかの指標で再検討する。これは拠点側の考え方として整理をするという理解ですか。事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 連携病院は中核拠点病院、拠点病院に選んでいただいているものであって、連携病院でもがん遺伝子パネル検査をすることによって、全国どこでもがんゲノム医療が受けられるような体制を構築してきたというところでございますので、その連携体制というものを強化していくということなのかなと理解しております。そういった出口も含めて連携関係を強化していくという形で進めていければと理解しております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 中島委員、今の説明でよろしいでしょうか。
○中島構成員 はい。
○中釜座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 では、ないようですので、5番目の論点に移らせていただきます。5番目は「パネル検査結果や臨床情報等について、セキュリティが担保された適切な方法で収集・管理することができ、必要な情報については『がんゲノム情報管理センター』に登録する」という論点です。研究開発を促進するためのゲノム情報管理センターへのデータの登録が必要なわけですが、現状を踏まえたこの点についての御意見、御発言ございますでしょうか。では、土原委員、お願いいたします。
○土原構成員 いつも私ばかり口火を切って申し訳ないのですが、これは患者、症例数が増えてくる中で、ある意味現場にとって今後対応が一番難渋するだろうということが予想されるところであります。これまで中核拠点病院長会議等でもこの議論は何度もされているところなのですが、こういうのが自動的に集められるような技術的な基盤ができてくれば、また考えればいいと思うのですが、現状ではかなり人力に頼っているところがあります。
 そうなってくると、幅広く全ての悉皆性を持ってデータを集めるべきなのか、それとも基本的なデータだけを入力しておいて、必要に応じて例えば追加の調査を行うというやり方もあるでしょうし、この辺りのところも、もう一度どういう目的でデータを集めるのかというところに関して議論した上で、ここの要件は考えるべきだと思います。ただ、その議論はここのワーキンググループの中でやるべきことなのか、あるいはがんゲノム情報管理センターそのものの在り方について継続的な討議をするべきなのかというところで、私には分かりかねるところがあるのですけれども、現場の感覚からいきますと、必要不可欠なところだけをまずはしっかりと押さえていくというふうにしていただくのがよろしいかと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。今の御指摘は、登録はするが、段階的な登録をする際に、最終的な臨床情報の収集に対して、その項目をどうするかなどの議論が必要ではないかという御指摘と思いました。登録することに関しては必要だという御意見だと思うのですが、その仕組みについて、事務局のほうから何かございますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 現在、C-CATに登録する臨床情報というのは、中核拠点病院の先生方を中心に患者情報登録WGというところで御議論いただいた内容を登録していただいているものと理解しておりまして、もちろんそれをその時々に合わせてブラッシュアップ、修正していくものと理解しております。引き続きC-CATの吉田先生のほうからも御発言いただければと思います。
○中釜座長 吉田委員、何か御発言ございますでしょうか。
○吉田構成員 今、湯川専門官がおっしゃったとおり、ガバナンスとしてはゲノム医療中核拠点病院等連絡会議の下のRPWG、患者情報登録ワーキンググループをつくって、それで臨床情報収集項目を、項目数が過大にならないように、しかし必要な情報を適切な質で集めていくための議論を継続しているところです。
 1つ重要な点は、リアルワールドデータをどのように活用するかということで、世界でもまだ確実な成功例に乏しく、教科書的な例、あるいはまねできるようなものがない最先端のところをやっている、ということがあります。しかもそれを研究として、臨床試験などの枠組みではなく、日常診療、保険診療の中で行なっているということで、この日本がやっている仕組みは本当に新しいモデルなのです。なので、初めからC-CATに集めるデータの活用法はこうである、こういうふうにしか使えない、等々のユースケース自体がまだまだ発展途上で、探索しているところという点があります。しかし、逆にそこは大きな可能性を含んでいますので、リアルワールドデータを今後どのように研究のみならず医療に生かしていくか。日本全体が取り組んでいる取組の一つがここにあるかと思います。
 2点目は、ここに「研究開発を促進していくために」とあるのですが、確かにそのとおりではあるのですけれども、C-CATに集める情報の利用は2つあって、1つは二次利用と言われる研究開発、もう一つは一次利用と言われるリアルワールドデータを次の患者さんの診療に生かすといったことにも使えるだろうと考えております。
 なお、研究開発促進についてもう一点、付け加えますと、先ほどから出口戦略が非常に重要であるということだったのですが、それのためには、今の標準治療がない方、終了後の方を対象にしている以上は、どうしても臨床試験をいかに我が国に呼び込むかということが重要な課題になります。その点においても、がんゲノム情報管理センターに集まるデータを見て新たな治験が計画されたり、あるいは治験を日本に持ってこようとするとか、そういう効果もあると。そういう意味合いがこのC-CATへの情報集積にはあるだろうと考えております。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の吉田委員の御発言をまとめると、まず登録に関しては保険診療でやっていくことが必要であるということ。また、収集する情報の取り方、内容、さらにはその集め方、範囲に関しては、引き続き議論を続けていき、最終的な出口により活用できるような仕組みを現場の負担を考えながら検討する質的な議論が必要であるということと思います。そこは指定要件に加えて、繰り返しますが、質的な内容をどういうふうに連携しながら進めていくかという議論の中に入るのかなと理解いたしました。
 この点について、織田委員、追加で御発言ございますでしょうか。
○織田構成員 今の点に少し関連して、入力する情報がリアルタイムでというか、なるべく迅速に生かされるような形がよいかと思います。正直、最近までフィードバック、入力状況に関してあまり連絡がなく、比較的未入力の状態のままでも済んでいたというところがあるのですけれども、利活用も始まったというところもありますので、利活用している側からのフィードバックというものも大事になってくると思います。
 あとは、特に薬剤開発につなげる治験を増やしていって出口を拡充するというのが大事という点では、がんゲノム医療からこの出口につながったという、最後の出口の部分のデータに関しては、なるべくリアルタイムでというか、アップデートな情報を入れていただけるといいと思いますので、登録という部分に関しても、特に重点的に入れてもらいたい部分に関しては、現況報告のタイミングだけではなく、かなりリアルタイムで入力したりという形で、データの質向上というところもちょっと考慮できればと思いました。
○中釜座長 重要な御指摘ありがとうございます。
 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。繰り返しますけれども、情報を登録するということに関しては、一次利用、二次利用を含めて出口を見据えた展開を見据えつつ、ゲノム医療の根幹に関わるものをいかに現場負担感を抑えながら、かつ同時に利活用の可能性を担保できる仕組みにしていくために、引き続き議論をしていくことが必要というご指摘だと思います。指定要件として登録を要件にすること、その内容、タイムリーな登録実績をいかに評価するかというところは論点としてあるのかなと理解いたしました。ありがとうございます。
 ほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、6番目の論点に移らせていただきます。こちらは「手術検体等生体試料を新鮮凍結保存可能な体制を有している」という記載です。この点については、新規技術への対応、あるいは生体試料の保管・管理体制について、どのような要件が考えられるかというところが論点として書かれています。この点について。では、金井委員、お願いいたします。
○金井構成員 がんゲノム医療を実施した、遺伝子パネル検査を実施した症例等について、生体試料が保存されているということは、次世代のがんゲノム医療を創造するような研究に供する中核拠点病院の要件とされるような研究開発に必須でもありますし、極めて重要なところであり、我々検体を預かっている病理、また、解析研究に供している者といたしましては、これが極めて重要だと感じるところです。
 細かいことを言いますと、先ほど1番の要件のところでも言及しましたように、研究用の規程を6番に残していただき、診療用の規程を1番に持っていっていただくというのが適切な配置かと思うというのが1つです。
 生体試料の保存というのは、いつ何を保存するかということがここに明記はされていないのですけれども、実際に明記することは難しい。つまり、バイオプシーでホルマリン固定パラフィン包埋されてしまって、そして遺伝子パネル検査に供して分子標的治療が行われるというものであれば、凍結組織検体を保存する機会が一度もないという可能性もありますし、通常施設で悉皆的に凍結組織検体等を取っておいて、標準治療が終わった後に、結局、遺伝子パネル検査に回ってというときにも、過去に遡ってその生体試料が保存されているとの状況を作り出すには、常にそれに気を遣っているなければならないので大変難しく、ここでいつ何を取るというのを明記できないというのは分かるのですけれども、今、リキッドバイオプシーが保険適用になったということで、実はこのことは大変重要性を増したのではないかと思います。
 病理検体が手に入らなかったので、リキッドに回しましたという発言はしばしば聞かれますし、そして実際に件数も伸びているわけですが、リキッドバイオプシーで何をつかまえたかということが最終的に俯瞰的な状態で検証されないまま、リキッドバイオプシーだけで診療が進むというのが必ずしも適切であるとは思いがたいので、特にリキッドバイオプシーに供したような症例であったとしても、チャンスがあったら必ず細心の注意を払っていて、その機会を逃さずに生体試料を保存するということは、中核拠点病院、拠点病院等に課された役目ではないかと思いますので、ここの要件のところにリキッドバイオプシーを適用した症例を含めてというような趣旨の言葉が付加されるというのがぜひ望まれるのではないかと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。重要な御指摘で、今後大きく展開するであろうリキッドバイオプシーについての検体管理の視点、あるいは従来の手術検体と凍結保存等とどのように関連づけるかというところの記載を書き込んでいけるかというところだと思いますので、また御意見をいただければと思います。重要な御指摘と思いました。
 それでは、坂田委員、お願いいたします。
○坂田構成員 ありがとうございます。金井先生の御意見に研究者として非常に感銘を受ける点があるのですけれども、一方で、研究的な新規技術への開発というところと、臨床実装で、先ほどから若尾先生をはじめとして御指摘があったように、患者さんに検査が広く行き渡るということは、どうしても相矛盾する点があるのかなと思います。ですので、こうした新鮮凍結保存検体可能で、それをするということは努力目標であるべきで、私たちはやるべきであると思うのですが、それを施設の指定要件にすることで、もし検査から漏れる患者さんがいるとすごく残念かなと思いますので、その点に配慮していただいて指定要件というものをつくっていただければと考えました。
○中釜座長 ありがとうございます。今の坂田委員の御指摘は、例えば中核拠点、拠点、連携において、検体管理の在り方に要件で多少の違いを設けるべきだという理解でよろしいでしょうか。それとも中核拠点の中でもそこはあまり厳しい要件にしないほうがよいのではないかということでしょうか。
○坂田構成員 中核拠点や拠点病院の多くの施設では実際には対応できると思いますので、要件にしてもいいかもしれないのですが、例えば地域的にそれで落ちてしまうような地域がもしあるとしますと、その地域の患者さんが検査を受けられないということがないように、先ほど調査ということがありましたが、そうしたことも踏まえて考えていただきたいと思います。ですので、要件というよりは努力目標で、地域的にカバーできるかどうかということを考慮いただきたいなと考えました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘について、事務局、何かございますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 実際の医療実装されている診療についてと今後の研究開発という側面と、どちらも重要だと思っておりまして、その中で類型ごとにどれぐらいの要件が適切かということを今後も引き続き検討していくのかというふうに理解いたしました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 金井委員、関連する発言でしょうか。
○金井構成員 はい。坂田先生のおっしゃることは大変よく分かりますし、実際に多数の検体をいい条件で保管するということは、中核拠点病院等の責務であって、全ての連携病院までということではないのかなという気もいたしますが、体制が整っているという要件の書き方になっており、さらには日本病理学会でつくりました規程そのものも、これが望ましいという順番に列記しているので、極めて高額であるような保管設備を完備していないと駄目であるというような書き方には決してなっていませんから、もともと努力目標に近いような書き方がしてあるので、これが要件に入っているために指定から落ちてしまうということにはなりにくくなっていると思います。
 さらには、これは新鮮材料ですので、発生した病院でしか取れないということを考えると、連携病院まで含めて努力目標的な要件であるから、このままの書き方を残しておいても首を絞めることはないのではないかと思います。
○中釜座長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 では、土原委員、お願いいたします。
○土原構成員 金井先生の御指摘の点はもっともだとは思うのですが、一方でという反論になってしまいますが、これもいろんな病院の先生方から御相談を受けるときに一番分かりにくい要件であると。結局、何を整備すればいいのか分からないというのは、特に連携病院や拠点病院を目指しているような施設からよく相談を受けるところだと思います。そういう曖昧なものというのはこういった規定のところに残すべきではないということを思います。
 一方で、これは研究のために絶対大事であるというのは、まさに御指摘のとおりですが、それをがんゲノム医療中核拠点病院の要件として示すべきなのかというところに若干引っかかりがあります。というのは、同じ厚生労働省が整備している中では、例えば臨床研究中核病院でも実は研究を主とするというところでいろんな整備が進んでいるわけですが、もし研究というところを中心に置くのであれば、例えばそういうところで議論をするという手もあるのではないか。それもあって、今日の会の冒頭でも何人もの先生方が議論されておりますが、この指針というものは、ゲノム診療そのものがこれだけ一般化している中で、より診療のところに軸足を置くという観点もあるのではないかなということを感じております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 これは後ほど論点になるかと思うのですけれども、一方で、実際に検査を受けた患者さんの薬剤到達率をいかに上げていくのかという課題に対する対応が、このがんゲノム医療の体制の中には求められていると思います。診療の枠の中でいかにそれを開発のところにつなげていくことができるのかという点でもありますので、拠点、連携拠点、中核の役割としてはそのような観点も考慮すべきなのではないかと思います。どういう書きぶりにしていくのかということに関して、重要な御指摘かと理解しました。
 事務局、追加で御発言ございますか。よろしいですか。
○事務局(湯川がん医療専門官) はい。
○中釜座長 それでは、中島委員、お願いいたします。
○中島構成員 大体同じ意見になってしまうのですけれども、金井先生から言われた診療の部分と研究の部分を分けて記載すべきという御意見は、まさにアグリーなのですが、そもそも保険診療内で行うがん遺伝子パネル検査に関する指定要件のところに研究に関する、たとえ望ましいといえどもそういう要件を記載する必要があるのかというそもそも論になってしまうのですが、そこにいまだに少し疑問を感じております。診療と研究と分けた記載でもいいとは思うのですけれども、現場の混乱という意味で、たとえ「望ましい」と書いてあっても、やはりそういう実績がないと申請する資格がないのではないかというところで、戸惑う連携施設もあるのではないかと思いますので、記載の必要性について疑問を感じるなというところです。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘について、事務局から御発言はございますか。
○岩佐がん対策推進官 事務局でございます。
 御指摘の点につきましては、がん遺伝子パネル検査を含めたゲノム医療については、まだ診療と研究の中間にある、そういう状態であるということが一番大きな点だと思っています。もしも完全に診療に軸足を置くという形になるのであれば、それは保険診療の規定の中で明確にしていけばいいというところですが、そもそもこのがん遺伝子パネル検査自体が、その後の研究、そして薬剤の到達、それは必ずしも保険診療の対象にならないものも含めて入れていくというものです。私たち厚生労働省として、がんゲノム医療の拠点病院等を明確に位置づけて、それらについて少しでも支援をして進めていくというところは、この辺りの中間的な立ち位置にあるということを踏まえてのものだと考えておりますので、その点は皆様方にも御理解いただいた上で御議論いただければと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。では、織田委員、お願いいたします。
○織田構成員 すみません。追加で。研究と診療を分けるという考え方は非常に大事だと思うのですけれども、その一方、少なくともがんゲノム医療中核拠点病院においては人材育成、研究開発というのが明確に役割として求められている。将来的に診療になってくるであろうものに対して、少なくともがんゲノム医療中核拠点病院はその準備がしっかりとできていて、牽引していくという部分は求められるのではないかと思うので、そう考えると、研究的な要素がある部分に関しても、がんゲノム医療中核拠点病院の要件としては十分求めても差し支えないのではないかという考え方もあって、その中でがんゲノム医療中核拠点病院は他の連携施設等とも連携をしながら、リードするような形でこういった保管の体制に関しても前向きに進めていけばよい、そのような形の書きぶりにすれば、拠点、連携がオブリゲーションとして発生するわけではなく、中核のしっかりとした責務として盛り込むこともできるのかなと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 よろしいでしょうか。では、中島委員、お願いいたします。
○中島構成員 織田先生の御意見に賛成でして、中核拠点はゲノム医療に係る人材の育成、臨床試験、治験、研究の推進というところがタスクになっているので、中核拠点に関しては要件として「望ましい」と記載するのはありかなと思います。
 一方で、拠点、連携病院に関しては、研究の推進というところは絶対的なタスクになっておりませんので、そこは3つのカテゴリーで書き分けが必要かなと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 この点については恐らく拠点病院の取扱いにも影響するのかと思うのですけれども、現時点で事務局のほうから御発言ございますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 御意見をいただきありがとうございます。病院の類型によらず、がん遺伝子パネル検査自体が診療と研究のいずれの側面も重要とされる状況で、中核拠点病院、拠点病院、連携病院それぞれにおいてどの程度の要件が妥当かを検討していければと考えております。
○中釜座長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。
 では、金井委員、お願いできますか。
○金井構成員 これが3つのカテゴリー、中核拠点、拠点、連携にまたがって書かれているのは新鮮凍結ということですので、発生している病院でなければ取れないということのために3つにまたがって書かれていると思います。しかしながら、諸先生方がおっしゃっているように、中核拠点にはきちんとした体系化した保管設備等が整備されていて、連携施設等は気を遣っていて検体が出たら中核拠点に送ればいいと。研究に生かすように体系的に保管するのは中核拠点のような重みづけをして、連携病院の先生が惑わないようにする。なおかつそれで認定から落ちることもないようにし、でも、次の世代のパネル検査をつくっていく、研究開発に関する責務を中核拠点が果たせるようにするというのは、「保管施設を中核拠点に置く」と書くことによって達成できるのではないかと思いました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 ほかに。では、若尾委員、お願いできますか。
○若尾構成員 ありがとうございます。今、お話を聞いていて、患者としては、「研究用」と「診療用」という言葉がここで出てきたことがすごく新鮮です。自分が今、受けているものは、当然診療用の医療として受けているわけですけれども、それが次世代の研究としても使われるということが一般の患者・家族に伝わると、ゲノム医療に対する考え方をより広い視野で捉えることができると思いますので、この要件を書くときに、先ほどおっしゃったように、今は研究用と診療用の中間的な立ち位置にあるとは思いますが、中核拠点、拠点、診療のそれぞれの役割として、この言葉を用いて適切な表現をしていただけるといいなと思いました。
 以上です。
○中釜座長 貴重な御意見ありがとうございました。その辺りを明確に記載できる方向で検討していきたいと思います。ありがとうございました。
 ほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、続きまして、7番目の論点に移ります。「先進医療、医師主導治験、国際共同治験も含めた臨床試験・治療等の実施について適切な体制を備えており、一定の実績を有している」。これは先ほどの議論とも共通する部分でありますが、この点について御発言がございましたら、お願いいたします。では、坂田委員、お願いします。
○坂田構成員 よろしくお願いします。先ほど6番の御議論も大変勉強になったのですが、中核拠点、拠点、連携それぞれの立場があると思うのですけれども、特に丸ポチの2番のところに注目させていただきたいと思います。スムーズに臨床試験、治験に紹介することができるということは、医療実装という点で非常に重要な点です。ですので、施設の要件というよりは、こうした臨床試験や治験などの実績を有している医師がいるということを要件として重視したほうがよいのではないかと思います。施設というより、そういう医師、経験が過去にあれば、十分紹介とかに持っていけると思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 では、中島委員、お願いできますか。
○中島構成員 ありがとうございます。当初拠点病院、連携病院の申請が始まったときに、この項目は申請施設にとってかなりハードルが高かった項目だと思っております。実際拠点病院は過去3年に合計100人以上の治験などの登録例、経験例というところでしたが、この条件で拠点病院に申請できなかった、もしくは選定されなかったという施設がどのくらいあるかを正確に把握することは難しいと思いますが、例えば連携病院の過去3年間に合計2人以上の患者さんを治験などに登録した。これは数字としてはすごく少ないように、もしくはハードルが低いように思いますが、実際現場としては非常に高いハードルだと思っています。その病院が存在する地域に治験を多く実施している施設があるかどうかにも大きく関わってきますし、遠方になりますと、患者さん御自身の負担もかなり大きくなりますので、条件としては満たしても、でも、患者さんが望まれない、もしくは違う選択肢を選択するという場合も現場では多く起こっていますので、実際何例の患者さんを登録したかという数の要件は撤廃したほうがよろしいのかなと正直思っています。
 ただ、一方で、今までの御議論でもございましたが、臨床試験や治験に患者さんを紹介して、参加していただくという経験を有しているとか、そういう試みをしようという医師や施設の意向があるというのは非常に大事だと思っています。日本はコンパッショネートユースができませんし、アメリカに比べると治験の数も圧倒的に少ないですから、出口自体が少ないという状況でありながらも、その中でも御紹介したい、御紹介しようという意向を持つというバックグラウンドは必要かなと思いますので、数としての絶対要件ではなくて、例えばエキスパートパネルで推奨した結果に基づいて患者さんを治験などに紹介した経験があることが望ましいとか、その辺の緩い、易しい要件のほうが連携施設になろうという施設の意向も潰さないで済みますし、一方で、努力が必要であるというところを示すことにもなるのかなと思っています。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございました。今の御指摘は、数は撤廃してもいいのではないかというご指摘でした。そのためには、実績、実態をどのように評価しているのかというところも重要な点と思います。実態を踏まえた上での具体的な数値の設定あるいは撤廃、どちらが適切かというところの議論かなと思いますので、その辺りについて、現状を事務局から教えていただけますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 連携病院でも臨床試験へのアクセスを確保している、自施設で必ずしも直接臨床試験ができるわけではなくても、やっているところにつなげられることが重要であるという趣旨の御発言と理解いたしました。具体的に要件としてどのように数値を定めるのか、数値を定めない場合は評価軸をどうするのかというところでご意見をいただきたいと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 中島委員、お願いいたします。
○中島構成員 実際に今の要件ですと患者さんを登録したというところが要件になっていると思うのですが、登録というのは現場にとって非常に難しいのです。治験、臨床試験、それぞれ物すごく厳しい適格基準、除外基準がありまして、御紹介申し上げても、ほんの2週間、3週間のタイムラグで患者さんの状態が変わって、たった一つの条件を満たさなかったために登録ができなかったという患者さんを現場はたくさん経験しているのです。ですので、登録できたというところの評価ではなくて、連携がしっかり取れていて、紹介できる体制にあるというところが評価できるような要件だといいなと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の御指摘の点をどのように具体的に表現できるかというところにかかるのかなと思いますけれども、この点について、事務局、お願いできますか。
○岩佐がん対策推進官 事務局でございます。
 まさに思っている向かいたい方向性は恐らく同じ方向なのではないかと思っております。いかに患者さんへのアクセスをしっかりと確保して、対象となる病院を増やしていくのかというところなのだと思っています。
 一方で、これまでほかの拠点病院などでの対応を見ていますと、「望ましい」という要件で定めていた場合に、実質的にその要件に対してほとんど何もやっていない、それでも別に拠点病院になれてしまうということもあるというのも事実でございますので、では、どういったものを要件として示すことによって望ましい方向性がよりきちんとできるのかという辺りで知恵を絞っていきたいと考えています。例えば紹介した件数をカウントするというのでもいいのかもしれないしというところで、そこは現場の知見、知識等をいただきたいと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 この点について、まず土原委員、御発言いただけますか。
○土原構成員 今の点に関してですけれども、中島先生がおっしゃっていたのは連携病院のところであって、拠点や中核拠点ではないというところがまずあると思います。事務局がおっしゃっていたのは、拠点や中核拠点のことをお話しされているようでしたので、我々もこちらのほうは動かさなくてもいいのではないかと思います。
 連携病院に関しましては、現状でも拠点病院なり中核拠点病院なりが選べば、基本的には厚労省のほうから特段のことがなければ認められるという状況になっていると思います。その点を考えますと、先ほどの中島先生の御趣旨を生かすとすれば、例えば連携病院になった後、次の認定の間まで、今、言ったように拠点や中核拠点とどれぐらいの連携ができたのかということ、これは要件としては9のほうになるかと思うのですけれども、それを実績として上げるという方向で定量化することは可能なのではないかと思いました。それであれば方向性としても同じ方向性に向くのではないかと思います。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今回指定要件の改定に向けては、これまでの実績をどういう形で表現できるかということだと思います。先ほどの事務局の説明ともそれほど齟齬がないように思いますので、その方向で検討していければと思います。
 若尾委員、御発言ございますでしょうか。
○若尾構成員 ありがとうございます。患者・家族としては、住んでいる地域によって、臨床試験などの情報から漏れるということがないようにしていただきたいなと思いますので、IC、インフォームド・コンセントとか記録媒体に臨中への紹介を行ったということが残されたならば、選択は患者・家族のほうにもある程度任されるということになっていきますので、そういった記録媒体に臨中への紹介をしたということが残されるような方向性がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○中釜座長 ありがとうございます。指定要件に加えて、先ほど来議論になっている要件を満たす質の担保を、どのようにモニタリングしていくかというところと同様の議論かなと思います。事務局、現時点でお答えできることはありますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 紹介についても含めて、いかに臨床試験を進めていくか、出口を確保するかという観点で御議論いただいているものと思いますので、その中で具体的に指定要件に定められるようなことを指定要件として取り入れていければいいかなと考えております。
○中釜座長 よろしいでしょうか。
 では、平沢委員、お願いいたします。
○平沢構成員 こちらのアクセスの課題というのは、実はがんゲノム医療中核拠点、拠点、連携というだけの課題ではなくて、地域差が非常に大きいという実情があります。しかしがんゲノム医療は究極の地域医療だと考えています。平成30年3月に閣議決定された第3期がん対策推進基本計画は、ゲノム医療を必要とするがん患者が全国どこにいてもがんゲノム医療を受けられるように、全ての都道府県でがんゲノム医療の提供が可能になることを目指すとうたっています。
 がん診療が地域差を感じることが大きい中で、2020年からのコロナウイルス感染症というのが医療資源のブロック化というリスクを明らかにしました。そもそも日本の治験の多くを行っている東京と地方との移動制限のみならず、県境を越えた移動や、同じ県内であっても初診患者をスムーズに受けられないという状況が発生しています。患者さんにとっては病院にかかりたいのにかかれない、医療者としても来てもらいたいのに来てもらえないという状況です。
 その上で、我々は、これができない、あれができないと言うのではなくて、医療ブロック化の教訓から逆転の発想で、がんゲノム医療をモデルとして我が国のがん医療の均てん化を進めていくということが非常に大事だと考えています。そういう意味では、ここの条件をポジティブな発想で、がん医療全体の均てん化に向けて、数のみを評価にしないという考え方も大事でであると考えます。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の平沢委員の御指摘は、まさにがんゲノム医療をスタートする際の基本的な考え方で、いかに拠点から均てん化につなげていくは、新しい医療提供の在り方としてまさにがんゲノム医療が目指しているところと私自身も理解しています。事務局、追加での御発言ございますか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 非常に重要な御意見だと思いますので、そういった方向を皆で向いていけるように、整備指針というものを考えていければいいと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。
 ないようですので、続きまして、8番目の論点「医療情報の利活用や治験情報の提供等について患者等にとって分かりやすくアクセスしやすい窓口を有している」という点についてです。幾つかの論点が整理されておりますが、この点について御発言、御意見ございますでしょうか。では、若尾委員、お願いいたします。
○若尾構成員 ありがとうございます。中核拠点、拠点病院、診療病院それぞれゲノム医療について均てん化で、日本のどこに住んでいてもアクセスできるような体制が整備されつつあることは分かるのですが、この情報開示が本当に患者に分かるようにされているかどうかというと、ちょっと疑問で、ゲノム医療に対するアクセス性はいまだにすごくハードルが高いと思います。病院の施設内での情報共有もしっかりとされていないように思いますし、それからがん診療病院等と自施設以外のがん診療連携病院等との情報共有もあまりできていないような気がいたしますので、アクセスしやすい窓口というものは、患者向けとその地域の拠点病院なり医療施設向けの両方の情報開示が必要なのではないかなと思うので、その方向性でお願いしたいです。
○中釜座長 ありがとうございます。
 この情報提供等については、当初からC-CATの機能の一つだと思うのですが、C-CATの体制の点から吉田委員、何か御発言ございますでしょうか。
○吉田構成員 C-CATでも一般向けのホームページなどをつくりまして情報提供に努めておりますし、また、そもそも各病院でも対応されているところに必要な資料などの提供をするという形で貢献できればと考えております。
○中釜座長 実際に各施設からの情報提供という点に関してはどのような状況ですか。
○吉田構成員 各施設からの国民への情報提供については、C-CATでは今のところは組織的な調査はしておりません。
○中釜座長 分かりました。ただ、要望があれば、支援する体制、準備についてはある程度備えてあるという理解でよろしいですか。
○吉田構成員 はい。一般的な相談支援センターとかがん治療連携拠点病院の相談窓口などで使えるような情報は分かりやすく提示していくということを進めております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 中島委員、御発言ございますか。
○中島構成員 ありがとうございます。今、若尾構成員がおっしゃったことを聞いて、非常に耳が痛いことでして、我々、実際にがんゲノム医療といいますか、がん医療を実施している現場の人間、医療従事者でも治験のオンタイムの情報にアクセスするのは非常に難しいです。知り合いの先生に直接お電話をするということまでしないと簡単には詳細を把握することができませんし、当然のことながら各治験に課されている適格基準とか、そういうものもオープンにされている情報というのは非常に限られています。
 一方で、2016年だったと思うのですけれども、日本臨床腫瘍学会ですとかキャンサーネットジャパンさんとか、幾つかのグループが合同になって、患者さんを対象にした臨床試験に関する意識調査をしたことがございました。その結果を見ますと、半分以上のがん患者さんは身近な方からの情報に頼っているというところがございます。当時と今とで公共機関が開示している臨床試験の情報が大分変わってきているとは思いますが、自分がかかっている病院、その病院が連携している拠点病院、中核拠点病院の情報をよりスムーズに提供していく、オープンにしていくということが、日本ではすごく大事な課題になっているのだろうと思います。
 今回はがんゲノム医療の指定要件のワーキンググループですので、ここで全てを検討することは難しいかなと思っていますので、この会にかかわらず、がんの臨床試験におけるPatient Centricityというところに関しては、日本が最も取り組まなければいけない課題だなと感じています。この検討会での結論に至るような発言でなくて申し訳ないのですが、ぜひ患者会の皆さんにも御協力いただいて進めていかなければいけない案件だと思っています。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 この点について、情報提供に関する要件という観点から織田委員、何か御発言ございますか。
○織田構成員 話題が直接的でないかもしれないので、すみません。
○中釜座長 結構です。
○織田構成員 窓口を有している、アクセスしやすい窓口ということと、アクセスした後に、そこから適切な形での情報につながるのかというところは、ちょっと違うところもあると思いまして、アクセスはできて、窓口はあるのだけれども、その後に担当しているスタッフがそれほどゲノム医療に習熟していなかったり、あるいはつないだ医師のほうががんゲノム医療にあまり関心がなかったりということで、病院の中でもがん種などによって格差が生じたりしないかというところもちょっと課題になるかなと思っています。例えばがんゲノム医療のコーディネーターの役回りであったり、うまく医師とつなぐような役回りが機能しているかどうか、あるいは病院の中でどのがん種であっても必要な情報が窓口に来た患者さんにしっかり届くかというところも少し考慮できればと思いました。
○中釜座長 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 8番目の論点について、ほかに追加で御発言ございますか。若尾委員、お願いいたします。
○若尾構成員 ありがとうございます。一番最初のポツの対象者は患者に対しというところが書いてあります。これは非常に重い言葉だと思いますので、患者に対し、ゲノム医療に関する必要な情報提供や情報開示ということを念頭に置いて、今後どういう条件が必要なのかということを検討していけたらいいなと思います。
 以上です。
○中釜座長 御指摘ありがとうございます。
 がんゲノム医療の推進において、患者さんとともに新たな医療体制を育てていくという観点からも重要な論点と思いますので、どのような形で指定要件の形に書き込めるかということも含めて検討していきたいと思います。
 ほかに御発言ございますか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、9番目の論点「人材育成・連携体制について」です。この点について既に幾つか論点が挙げられておりますが、この点を含め何か御発言ございますでしょうか。人材をいかに育成するのか。これはゲノム医療体制を展開する上においても当初から想定された重要な視点です。土原委員、お願いいたします。
○土原構成員 これも指定要件を当初から議論しているときに、各病院で人材育成をするべきだというところがかなり重点化をされてきたと思います。一方で、これまでも厚労省の委託事業で臨床腫瘍学会がやっていたようながんゲノム医療コーディネーターの研修会などが典型だと思うのですが、質の高い人材育成をしようと思えば、ある程度セントラライズをするというか、日本中で同じような企画で教育を実施するということは非常に意味があると思います。
 数年前と一番違うのは、この会もそうですけれども、オンラインでこれだけいろいろなセミナーや講習会ができるというところを考慮すると、全てを中核拠点病院がそれぞれでやらなければいけないというところは少しウエートを落としても差し支えない。中核拠点病院の集合体でも結構ですし、学会等でも結構だと思うのですが、ある程度そういったところに人材育成集中化していくということも想定してもいいのかなと思います。
 そういう意味では、ここについては、これも努力目標に近いと思いますけれども、やり方について中央化をするということについても少しニュアンスを込めてもいいのかと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 研修という事業的なところと、実際にオンライン等でその情報を共有しながら経験を積むということなどをいかに人材育成という定義の中に位置づけるのかというところも大事かなと理解いたしました。その点も含めてどういうふうな書き込みが可能か、現時点で事務局のほうから何か御発言ございますか。よろしいですか。
○事務局(湯川がん医療専門官) はい。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに御発言ございますか。連携体制を含めてこれまでの議論の中でも幾度か出てきましたし、中核、拠点、連携病院の定義、あるいはその役割というものを明確にしながら、出口に向けて加速する連携体制の在り方、その実績の評価をこの中にうまく書き込めていければいいのかなというふうにこれまでの議論を通じても感じています。ほかによろしいですか。
 特にないようですので、次の論点に移らせていただきます。次は「指定の申請手続き等について」というかなり技術的な点ですが、この点について何か御発言ございますでしょうか。冒頭の資料説明でもありましたように、当初4年という指定で、初回は2年、今回3年でトータル5年ということです。ある程度実績を踏まえながら、申請の手続、あるいはその期間ということを定めてきたわけですが、これからさらにがんゲノム医療は全ゲノム解析への展開であるとか、現在既にリキッドへの展開など、様々な展開がその都度起きてくるだろうと理解しますし、そういうものをタイムリーに取り入れていきながら、指定の時期あるいはその申請のタイミングというのは考慮される必要があると思います。この点について何か御発言ございますか。
 この記載の中にこれまでの状況等を考慮した上で、次回の指定期間を決定する、そういう方針ではどうかと書かれていますが、この点も非常に現実的な対応かなと思うのですけれども、よろしいですか。何か御発言がございましたら。土原委員、お願いいたします。
○土原構成員 あまり本質的ではないかもしれませんが、今、病院に対しての事務的な作業が増えているところもあって、非常によく似通った情報に関しては、成人の拠点病院や小児の拠点病院、ゲノム中核といったところである程度統一していただく。今回指定期間をそろえるというのはそういう御趣旨かと思うので、できれば同じような書類も何回も何回も毎年つくらなくてもいいような配慮をしていただけると、現場は助かるのかなと思います。
○中釜座長 ありがとうございます。
 では、織田委員、お願いします。
○織田構成員 これは全体的な考え方としてある程度の方向性があれば、少し教えていただきたいのですけれども、今後拠点病院等をどのような形で運営していくのか。中核拠点、拠点、連携に関して、それぞれ増やしていくような方向性にしたいのか。それとも例えばもう少し中核拠点を厚めにして、拠点の部分に関しては、その中でもさらにえりすぐられたところは中核拠点になっていくような方向に行くとか、それとも連携から拠点という流れを増やしていく方向性なのか。全体の枠組みとしてエキスパートパネルの開催がどういった形でどの施設で行われていくのかという枠組みがある程度あると、それぞれの要件の部分の議論も深めやすいように思ったので、今の数の指定、12、33という枠組みに関して、将来的にどのような考え方があるのか、御意見をいただければと思いました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 御指摘の点について、事務局から御発言をお願いいたします。
○岩佐がん対策推進官 事務局でございます。
 この点につきましては、事務局として現時点でこうだと明確に考えているものがあるわけではございません。まさにこれからどういう体制が望ましいのかということを踏まえて、先生方にも御意見をいただきながら方向づけをしていければと思っております。
 恐らくベースとなるところとしては、全国どこにいてもきちんとゲノム医療を受けられる体制を確保するということと、質の高い臨床研究に適切にアクセスができるということ、その両者を満たすような体制というのはどういう形なのか。恐らく臨床研究へのアクセスというのは幅広く色々なところ、どこでもかしこでもやるという形にはならないのではないかと思っております。一定絞ったものと幅広くやるものとがあるというのは、大まかなイメージとしてはありますが、その辺りも含めて、先生方の御意見もいただきながら考えていきたいと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の織田委員の御指摘は非常に重要かなと私自身も思います。このがんゲノム医療全体をどういうふうに広げていくのか、そのときに実績を踏まえた評価をどのようなタイミングで適切に行うのかということは、今後の展開を踏まえ、事務局とも相談しながら、参画していただいている拠点、連携、中核等の病院連携下においても議論を深めながら、いかに効率的に効果的にこの体制を展開していくのかという重要な御指摘と理解いたしました。ありがとうございます。ぜひその辺りも考慮して指定要件に直接書き込むか、その後の運用をどういうふうにしていくのかというところにも関わってくると思います。
 ほかに御意見ございますか。若尾委員、お願いいたします。
○若尾構成員 今、中核、拠点、連携という形になっているのですが、今後エキスパートパネルはますます増えていくと思います。その中で中核拠点と拠点病院の数を増やさなければならないということになっていくのではないかなと思うのですが。これは勝手に思っているだけなのですけれども、今後増えていくのではないかなということを思いながら、今後指定の申請手続をしようとする病院が目指すことができる数はどのぐらいなのかというのをある程度分かったほうが、エキスパートパネルの増大ということを見込むと親切なのではないかなと思うのですが、今後中核なり拠点なりを増やしていくというような数のイメージは持っていらっしゃるのでしょうか。教えてください。
○中釜座長 若尾委員からの御指摘について、事務局、お願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 事務局でございます。
 エキスパートパネルの数が増えるから拠点病院が増える、検査数が増加するから拠点病院を指定するというようなものではなくて、出口も含めて、必要な検査に必要な対応ができるところ、評価の高い病院を、必要な数、拠点病院や中核拠点として指定するものと理解しております。エキスパートパネルの件数が増えることについての対応は、先ほど来御議論いただいている省力化の議論等も踏まえて総合的に今後検討していくものと理解しております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の事務局からの御回答でよろしいでしょうか。
○若尾構成員 はい。分かりました。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御発言ございますか。よろしいですか。
 では、最後に「その他の論点」になります。現在全ゲノム解析、小児がんを対象としたパネル検査、あるいは造血器腫瘍のパネル検査、解析等が進んでいるわけですが、今後の医療実装が想定される新規技術等々について、いろんな御意見があるかと思います。その他の論点について御発言がありましたら、お願いいたします。では、坂田委員、お願いいたします。
○坂田構成員 私は固形がんのエキスパートパネルにも参加しているのですが、血液内科医でありまして、造血器腫瘍の現状について御説明させていただければと思います。造血器腫瘍は現在のパネル検査では遺伝子変異がそもそも違います。
 またまたがんゲノム検査の目的も違います。出口戦略ということが先ほどから何度か出てきていますが、お薬を見つける以外に、例えば予後不良と考えられる患者さんには移植医療につなげるなど層別化医療を目指すために利用する、また診断にも役に立つなどの点で目的が違います。このため、現在厚労科研で赤司班というのを採択いただきまして、血液がんに特化した造血器パネルやがんゲノム医療の在り方について、現在ガイドラインを作成したりして議論を深めております。
 例としては、先ほど来、議論されている中核拠点病院や拠点病院の在り方、エキスパートパネルにどのような人材が必要なのか、なども造血器腫瘍パネルではかなり違う可能性があるかなと考えております。造血器腫瘍に特化したC-CATキュレーターの選定も始まっておりまして、私も一応一員に加えさせていただくことになっております。また患者情報登録ワーキンググループでも議論が深められているという状況です。ですので、非常に近い将来、造血器腫瘍パネルについても実装化できればと思いますが、目指す形は固形がんの遺伝子パネル検査とは違った側面があるかなと思いますので、この点、ぜひ議論に加えていただければと思っております。
 長くなりました。
○中釜座長 今のお話は、現在研究開発が進められている造血器腫瘍等の新しい技術についても情報を常に共有しながら、次の体制に生かしていけるような仕組みをぜひ考慮いただきたいということだと思いますので、事務局、ぜひよろしくお願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) はい。
○中釜座長 それでは、菱木委員、お願いいたします。
○菱木構成員 ありがとうございます。私は小児がんの立場で加えていただいていると思いますので、小児がんの論点というのがここで挙がっていたので、まとめて現状を報告させていただきます。今、坂田先生のお話を聞いていると、少し似た状況だなと思っておりまして、先生方御存じのように、今、対象にしているのは小児固形腫瘍ですが、ほとんどアクショナブルなミューテーションがなくて、ターゲットになる遺伝子がそもそも少ないということと、もし仮にターゲットがあったとしても、小児の治験というのはほとんど行われていないので、出口という意味ではほとんどたどり着かないというのが現状です。
 では、パネルに意義がないかというと、そういうことではないと僕たちは思っていて、特に僕たちが注目するのはセカンダリーのGermlineのミューテーションがある方で、リ・フラウメニにだけでなくて、結構有名なところではDICER1とか、子供にしかないような遺伝性腫瘍があったりして、こういうものが現状のパネルには含まれていないというところもあります。こういうものを発見して、治療の軽減とか放射線を回避するとか、そういうところにつなげていけるという意味では意義が十分あります。
 それを踏まえて、小児特有の遺伝子異常を含んだパネルを、今、東大オンコパネルをバージョンアップするという形でTOP2というのが開発されておりまして、これが近々、東大の加藤教授を中心に臨床研究としてオールジャパン体制で進めていくという形で、これが実際に保険収載されるかどうか分からないですけれども、保険収載されたときには、小児がんの特性を十分に理解した専門家集団によるエキスパートパネルが必要になってくるということです。
 現状どうなっているかというと、例えば小児がんのハイボリュームセンター、小児病院単体で存在しているところが連携施設にもなれていないというところが一つ問題です。それから、私も今、連携病院にいるのですが、連携している拠点病院に必ずしも小児がんのエキスパートが存在しない。こういうときに、本当は成育とかそういうところでやったエキスパートパネルに連携を持ってやりたいという声も上がるのですけれども、そこのハードルは、しがらみもありますし、実際契約の問題もあって難しいというところもあるので、この辺がうまく解消されるような指定要件の見直しというのもちょっと必要なのかなと思っておりまして、今後の議論に加えていただければと思っています。
 長くなりました。すみません。
○中釜座長 ありがとうございます。今、菱木委員から小児がんパネルの開発状況と、小児がんのゲノムが抱える特殊性について御意見がありました。その連携等々について、よろしくお願いいたします。
○岩佐がん対策推進官 事務局でございます。
 現状では、小児がん症例については、別の連携先を設定することができる状況です。
 先生がおっしゃるのは、そうはいっても別のところと連携するのが難しいという状況もあるということだと思いますけれども、我々としてもそういう方向にしていきたいというものがある一方で、その他の難しい事例、先ほどおっしゃられた血液がんの事例等、それぞれ別個に別々のメンバーとエキスパートパネルをやるという状況をつくり出すことがふさわしいのかどうか、その辺は様々な課題もあると認識しておりますので、皆様にお知恵をいただきながら、できる限り個々の症例がより適切なエキスパートパネルのメンバーで議論がされるような要件の設定の仕方を工夫していきたいなと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 今の説明でよろしいでしょうか。
○菱木構成員 ありがとうございます。前回の要件に小児のことを少し強調ぎみに書かれているのですが、それは受け取る側が逆に小児に取り組まなければいけないと思ってしまっている節もちょっとあるので、その辺の書き込み方も少し工夫を加えるような議論をさせていただければと思います。
 ありがとうございます。
○中釜座長 ありがとうございます。
 それでは、平沢委員、お願いいたします。
○平沢構成員 ありがとうございます。私は、がんゲノム医療からがんの約1割を占めると言われています遺伝性腫瘍診療を実現することを次のテーマにしていただきたいと思っています。がんゲノム医療の目下のエンドポイントというのは治療薬の選択ということですが、将来的な真のエンドポイントというのは国民のがん死低減であって、それを目指すにはどうしたらよいのかということです。がんゲノム医療推進コンソーシアム懇談会では、がんゲノム医療の定義を治療の最適化と予後予測、発症予防を行う医療であって、未発症者も対象とするということが記載されています。治療最適化については、2019年6月のがん遺伝性パネル検査の保険収載のおかげで個別化治療に到達する道筋ができたわけです。しかし、この定義にありますように、未発症者も含めた発症予防に向けた介入が可能になって、初めて国民の確実ながん死低減が可能になると考えています。
 我々日本人は明治時代から予防医療を導入することで世界に冠たる衛生環境と医療体制を確立してきました。そして、今、新型コロナウイルスの蔓延によって予防医療が再注目されています。自分のゲノム情報を基にがん予防ができるという遺伝性腫瘍に対して、がんゲノム医療の定義の原理原則にのっとって、今後の保険収載も含めた臨床実装の推進ということを強くお願いしたいと考えております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 平沢委員の御指摘の点が、日本のがんゲノム医療が目指す悉皆的な情報収集とその利活用、その方向性として未発症者を含めたがんゲノム医療のあり様であり、がんゲノム医療の展開が目指している方向性というふうに理解いたしました。御指摘ありがとうございます。
 それでは、若尾委員、お願いいたします。
○若尾構成員 坂田構成員の繰り返しになってしまうようで恐縮ですけれども、血液腫瘍のパネル検査は固形がんとはその目的が違っているように思います。ですので、このがんゲノムの拠点病院の中に組み込むとしたら、どんな形で組み込んでいったらいいのか。新しくつくるということはないと思いますが、小児も含め、血液腫瘍に関するパネルの道筋というのもしっかりと検討していってほしいと思います。自分がその立場にいたので、血液腫瘍のことをその他の項目に書いてくれたことはとてもありがたいので、確実にこの中に落とし込んでいってもらいたいなと思います。
 以上です。
○中釜座長 ありがとうございます。
 坂田委員の先ほど御指摘で、治療法の最適化に加えて、治療の層別化や、診断の提供にmついてもこのゲノム医療の方向性の中には記されていると理解しますが、事務局、御発言ございますでしょうか。
○事務局(湯川がん医療専門官) 小児のパネル検査にしても造血器のパネル検査にしても、今後医療実装の形が見えてきた折に、適切な体制で検査、治療を提供できるよう、検討したいと思っております。
○中釜座長 ありがとうございます。
 そのような回答でよろしいでしょうか。
○若尾構成員 はい。
○中釜座長 ありがとうございます。
 ほかに御発言ございますか。
 ありがとうございます。
 それでは、本日の論点は全て御議論いただきましたが、活発な御議論をありがとうございました。
 本日構成員の方々からいただきました御意見に関しては、事務局のほうで整理していただき、次回以降に各論点の方針を決定していきたいと思います。
 それでは、以後の進行は事務局のほうにお願いいたします。
○事務局(湯川がん医療専門官) 本日は御議論いただき、誠にありがとうございました。
 次回以降のワーキンググループの日程につきましては、追って御連絡させていただきます。
 本日いただいた御意見を踏まえまして、引き続き所与の検討を進めてまいりたいと思いますので、御指導を賜れますと幸いでございます。
 本日はありがとうございました。
○中釜座長 どうもありがとうございました。
 

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